(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-06
(45)【発行日】2023-04-14
(54)【発明の名称】通信システム及び通信方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0601 20230101AFI20230407BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20230407BHJP
G06F 3/01 20060101ALI20230407BHJP
G06F 3/0487 20130101ALI20230407BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20230407BHJP
【FI】
G06Q30/0601 340
G06Q50/10
G06F3/01 510
G06F3/0487
G05B19/418 Z
(21)【出願番号】P 2019520201
(86)(22)【出願日】2017-05-16
(86)【国際出願番号】 EP2017061777
(87)【国際公開番号】W WO2017220262
(87)【国際公開日】2017-12-28
【審査請求日】2020-05-18
(32)【優先日】2016-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】518453006
【氏名又は名称】フラッシー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【氏名又は名称】江上 達夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【氏名又は名称】中村 聡延
(72)【発明者】
【氏名】フリーマン,ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】エサフィ,ダニエル
【審査官】加舎 理紅子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-004336(JP,A)
【文献】特開2007-122563(JP,A)
【文献】特表2008-502030(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0057565(US,A1)
【文献】特開2004-295206(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G06F 3/01
G06F 3/0487
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アイテムに関連する送信器から信号を受信する受信器と、
前記受信器に関連するディスプレイと、
前記受信された信号に基づいて、関連する前記アイテムに対するユーザの心理状態を推測するように計画されたプロセッサと、
を備え、
前記プロセッサは、前記ユーザ及び前記アイテム間の相対運動を示すモーションデータを受信し、
前記プロセッサは、前記アイテムに対する前記ユーザの運動が、前記アイテムと、前記ユーザの携帯電話又は携帯情報端末との両方の運動に応じた規定運動パターンを経るか否か
を判定し、前記規定運動パターンを経る場合、前記プロセッサは、前記受信器に関連する前記ディスプレイ上で、前記アイテムを前記ユーザに提示す
る
ことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記ディスプレイは、前記推測された心理状態に応じて対応する画像を表示す
ることを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記ユーザが前記アイテムに近いことを示す近接データを受信することを特徴とする請求項1又は2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記アイテムに関連する前記送信器から信号を受信するための前記
受信器は
、ブルートゥース(登録商標)受信器であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の通信システム。
【請求項5】
前記受信器は、携帯電話又は携帯情報端末に組み込まれることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の通信システム。
【請求項6】
前記画像は、前記携帯電話のスクリーン上にグラフィカルユーザインターフェース(GUI)の一部として表示されることを特徴とする請求項2に従属する請求項5に記載の通信システム。
【請求項7】
当該通信システムは、前記GUIとのユーザインタラクションに応答し、それに応じて前記アイテムに印をつけることを特徴とする請求項6に記載の通信システム。
【請求項8】
前記アイテムに対するユーザの心理状態の推測は、前記受信器が、最小閾値期間よりも長い間、前記アイテムに対して50cmよりも近いか否かに基づいて行われることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載の通信システム。
【請求項9】
前記最小閾値期間は30秒であることを特徴とする請求項8に記載の通信システム。
【請求項10】
前記プロセッサが、前記アイテムに対する前記ユーザの運動が、規定パターンの運動を受けた後に静止期間があると判定した場合、GUIを介して前記アイテムを前記ユーザに提示することを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項11】
加速度計、温度計、湿度センサ、光センサ、音響センサ、及び一又は複数のその他の環境センサを含む群から選択される、一又は複数のセンサを含むタグの一部として備えられる少なくとも一の送信器を備えることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか一項に記載の通信システム。
【請求項12】
アイテムに関連する送信器から通信を受信する受信器と、
前記受信器に関連するディスプレイと、
対応するアイテムに夫々が関連する複数の送信器と、
前記受信された信号のパラメータに基づいて、関連する前記アイテムに対するユーザの心理状態を推測するように計画されたプロセッサと、
前記推測された心理状態に応じて対応する画像を表示するディスプレイと、
を備え、
前記プロセッサは、前記ユーザ及び前記アイテム間の相対運動を示すモーションデータを受信し、
前記プロセッサは、前記アイテムに対する前記ユーザの運動が、前記アイテムと、前記ユーザの携帯電話又は携帯情報端末との両方の運動に応じた規定運動パターンを経るか否か
を判定し、前記規定運動パターンを経る場合、前記プロセッサは、前記受信器に関連する前記ディスプレイ上で、前記アイテムを前記ユーザに提示す
る
ことを特徴とする通信システム。
【請求項13】
前記複数の送信器の夫々は、衣料品1点に関連するアイテムに統合されることを特徴とする請求項
12に記載の通信システム。
【請求項14】
前記アイテムは、モデル
又はコートハンガ
ーからなる群から選択されることを特徴とする請求項
13に記載の通信システム。
【請求項15】
ユーザにより制御及び管理され、使用の際にアイテムに関連する送信器から信号を受信するように計画された受信器と、
前記受信器に関連するディスプレイと、
前記受信された信号のパラメータに基づいて、関連する前記アイテムに対するユーザの心理状態を推測するように計画されたプロセッサと、
を備え、
前記プロセッサは、前記アイテムに対する前記ユーザの運動が、前記アイテムと、前記ユーザの携帯電話又は携帯情報端末との両方の運動に応じた規定運動パターンを経るか否か
を判定し、前記規定運動パターンを経る場合、前記プロセッサは、前記受信器に関連する前記ディスプレイ上で、前記アイテムを前記ユーザに提示す
る
ことを特徴とする通信システム。
【請求項16】
対応するアイテムに関連し、且つ前記受信器に受信される信号を送信するように夫々が設定された複数の送信器を備えることを特徴とする請求項
15に記載の通信システム。
【請求項17】
前記プロセッサは、受信された信号の強度の経時変化を決定するように、且つ、マッチングを識別して、これにより前記アイテムに対するユーザの認識状態を推測するために、前記決定された変化を格納プロファイルと比較するように計画されることを特徴とする請求項
15又は
16に記載の通信システム。
【請求項18】
各送信器は、特定のコートハンガーに関連又は結合されることを特徴とする請求項
17に記載の通信システム。
【請求項19】
受信器が、アイテムに関連する送信器から信号を受信する工程と、
プロセッサが、前記受信された信号のパラメータに基づいて、関連する前記アイテムに対するユーザの心理状態を推測する工程と、
を備え、
前記プロセッサは、前記アイテムに対する前記ユーザの運動が、前記アイテムと、前記ユーザの携帯電話又は携帯情報端末との両方の運動に応じた規定運動パターンを経るか否か
を判定し、前記規定運動パターンを経る場合、前記推測された心理状態に応じて対応する画像を表示することによって、前記プロセッサは、前記アイテムを前記ユーザに提示す
る
ことを特徴とする通信方法。
【請求項20】
前記ブルートゥース受信器は、BLE受信器であることを特徴とする請求項4に記載の通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
日常生活においてユーザがごく普通の生活を送る際、ユーザの心理状態や認識状態が自分たちを取り巻く世界との反応のしかたに影響を及ぼす。それは、機械又は装置の扱い方や、アイテムに対する感じ方に現れる可能性がある。これは一般的に本当であり、考えられるあらゆる環境に当てはまる。例えば、製造会社では、ユーザの認識状態は、使用中の機械との物理的な反応に影響を及ぼす。従って、ユーザの認識状態は、ユーザが機械を操作する安全性に影響を及ぼす。ユーザが怒っている場合には、例えばボタンを押す又はレバーを動かす等の制御を、素早く又はより暴力的に行う可能性が高い。対照的に、ユーザが幸福でリラックスしている場合には、それに対応してより滑らかに制御を行う可能性がある。ユーザが疲れている場合には、ユーザの行動は、よりゆっくりである可能性がある。この制御入力の変化は、機械類の応答を変化させうる。ユーザの認識状態は、ユーザの制御下で機械類の出力に影響を与えうる。
【0003】
異なる環境、例えば衣料品店等の小売業環境では、ユーザの行動を用いて、特定の販売アイテムに対する態度を決定又は推測できる。
【0004】
EP-A-1,328,421は、車両操縦者のパフォーマンスを評価する方法を開示する。この方法は、車両操作データを受信する工程と、車両の内部を監視し、前記車両の内部から操縦者活動データを受信する工程と、前記車両の外部環境から車両環境データを受信する工程と、前記車両操縦者を監視し、操縦者条件データを受信する工程と、操縦者評価値を決定する工程と、を備える。前記操縦者評価値は、前記車両操作データ、前記操縦者活動データ、前記環境データ、及び前記操縦者条件データに基づいており、車両操縦者のパフォーマンスを示す。
【発明の概要】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、アイテムに関連する送信器から信号を受信する受信器と、前記受信された信号に基づいて、関連する前記アイテムに対するユーザの心理状態を推測するように計画されたプロセッサと、を備えることを特徴とする通信システムが提供される。
【0006】
一の実施形態では、この通信システムは、前記推測された心理状態に応じて対応する画像を表示するディスプレイを含む。
【0007】
関連アイテムに対するユーザの心理状態を推測可能とする通信システムが提供される。アイテムに関連する送信器を用いることにより、前記アイテムに関するパラメータをプロセッサに通信でき、よってユーザの心理状態の推測が可能となる。この心理状態は、第一に前記アイテムに対する連想であってよく、又はそれを含んでよい。
【0008】
パラメータは、温度、湿度、外乱光等の環境因子と同様に、アイテムのユーザからの相対的離間や、アイテムに対するユーザの相対運動又は加速度等の因子を含んでよい。典型的には、この通信システムは、伝送用運動又は環境パラメータを検出する幾つかのセンサを夫々が含む一又は複数の送信器を含んでよい。好ましくは、送信器は、例えばBLE等のブルートゥース信号をプロセッサ又はリーダに送信するように計画される。
【0009】
一の実施形態では、前記プロセッサは、前記ユーザが前記アイテムに近いことを示す近接データを受信する。近接センサは、アイテムに対するユーザの近さの経時変化を検出できる。このデータを用いて、ユーザの認識状態を決定又は推測できる。
【0010】
一の実施形態では、前記プロセッサは、前記ユーザ及び前記アイテム間の相対運動を示すモーションデータを受信する。
【0011】
一の実施形態では、前記受信機はRF受信器である。一例では、前記プロセッサは、ブルートゥース(登録商標)受信器である。
【0012】
一の実施形態では、前記受信器は、携帯電話又は携帯情報端末に組み込まれる。
【0013】
一の実施形態では、前記画像は、前記携帯電話のスクリーン上にグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)の一部として表示される。
【0014】
一の実施形態では、前記通信システムは、前記GUIとのユーザインタラクションに応答し、それに応じて前記アイテムに印をつける。
【0015】
一の実施形態では、前記関連アイテムに対するユーザの心理状態の推測は、前記受信器が、最小閾値期間よりも長い間、前記アイテムに対して50cmよりも近いか否かに基づいて行われる。
【0016】
一の実施形態では、前記最小閾値期間は30秒、より好ましくは20秒、10秒又はさらに6秒である。実際の最小閾値期間は、物品又は物品の種類に応じて変更できる。例えば、アイテムが手に取られ、ユーザと共に6秒等の最小時間動いている場合に判定がなされてよい。
【0017】
一の実施形態では、前記プロセッサは、前記アイテムに対する前記ユーザの運動が、規定パターンの運動をした後に静止期間があるかを判定し、肯定の場合には前記GUIを介して前記アイテムを前記ユーザに提示するように計画される。相対位置又は運動を検出することにより、ユーザの位置又は運動の経時変化を表すプロファイルを決定できる。これは、所定又は既知のプロファイルと比較できるので、従って、それに応じてユーザの認識状態を決定できる。
【0018】
本発明の第2の態様によれば、アイテムに関連する送信器から通信を受信する受信器と、対応するアイテムに夫々が関連する複数の送信器と、前記受信された信号のパラメータに基づいて、関連アイテムに対するユーザの心理状態を推測するように計画されたプロセッサと、前記推測された心理状態に応じて対応する画像を表示するディスプレイと、を備えることを特徴とする通信システムが提供される。
【0019】
一の実施形態では、前記受信機はRF受信器である。一例では、前記プロセッサは、ブルートゥース受信器である。
【0020】
一の実施形態では、前記複数の送信器の夫々は、衣料品1点に関連するアイテムに統合される。
【0021】
一の実施形態では、前記アイテムは、モデル、コートハンガー、マネキン、又は支持棚からなる群から選択される。
【0022】
本発明の第2の態様によれば、ユーザにより制御及び管理され、使用の際にアイテムに関連する送信器から信号を受信するように計画された受信器と、前記受信された信号のパラメータに基づいて、関連する前記アイテムに対するユーザの心理状態を推測するように計画されたプロセッサと、を備えることを特徴とする通信システムが提供される。
【0023】
一の実施形態では、前記通信システムは、対応するアイテムに関連し、且つ前記受信器に受信される信号を送信するように夫々が計画された複数の送信器を備える。
【0024】
一の実施形態では、前記プロセッサは、受信された信号の強度の経時変化を決定するように、且つ、マッチングを識別して、これにより前記アイテムに対するユーザの認識状態を推測するために、前記決定された変化を格納プロファイルと比較するように計画される。
【0025】
一の実施形態では、各送信器は、特定のコートハンガーに関連又は結合される。一の実施形態では、これに加えて又はこれに代わって、一又は複数の送信器は、店内ディスプレイ及び/又はディスプレイレール及び/又は小売業環境/小売店の外から見たウィンドウディスプレイに関レしてよい。
【0026】
本発明の第3の態様によれば、アイテムに関連する送信器から信号を受信する工程と、前記受信した信号のパラメータに基づいて、関連アイテムに対するユーザの心理状態を推測する工程と、を備えることを特徴とする通信方法が提供される。
【0027】
一の実施形態では、前記通信方法は、前記推測された心理状態に応じて対応する画像を表示する工程を備える。この画像は、好ましくは前記アイテムの画像或いはそのインジケータ又は記載を含んでよい。
【0028】
ここで、本発明の実施形態について添付の図面を参照して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図4】
図3の通信システムで使用する一連のグラフィカルユーザインターフェースの一例を示す概略図である。
【
図5】
図3及び
図4の通信システムの例で求められる基本アルゴリズムの一例を示すフロー図である。
【
図6】典型的な変化の一例が、通信システムの受信器において検出されるような信号強度であることを示す図である。
【
図9】
図8の通信システムの動作を理解するためのフロー図の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
一の実施形態では、本通信システムは、アイテムに関連する送信器から通信を受信する受信器を含む。受信した信号のパラメータに基づいて、関連アイテムに対するユーザの心理又は認識状態を推測又は決定でき、また随意に、推測された心理状態に基づいて、対応する画像をユーザに対して表示できる。この心理状態は、例えば、問題のアイテムとのユーザインタラクション又は関与に関する任意の認識状態の態様を含んでよい。これは、問題のアイテムに対する嗜好又は好意的見解、或いは願望への一般的興味のいずれかを示してよい。
【0031】
先ず
図1を参照して、製造システムで用いられる通信システム2の一例を示す。システム2は、製造装置4を備える。通常運転時には、ユーザ又は操縦者6は、装置4と相互作用して、通常処理及び機能を実施するであろう。送信器8は、通信システムの一部として備えられ、典型的には使用の際に操縦者6が位置する装置4に近い領域に、RF信号10等の信号を送信するように計画される。操縦者6は、送信器8から通信を受信する受信器12を有する。操縦者6が装置4の近くに位置する相対時間、又は操縦者6の装置4に対する相対運動は、送信器8から受信した信号10を測定することにより、受信器12によって検出及び推測できる。言い換えれば、長期間にわたって受信器12が一定且つ変動しない信号を受信するようにユーザが長時間単に静止している場合には、ユーザは対応する時間の間休みなしに装置を連続操作していると推測又は推論できる。
【0032】
ユーザが装置の近くにいる期間が規定閾値を超える場合には、操縦者が疲れている、又は装置4の操作を休む必要があると推測できる。例えばユーザの携帯電話又はPDA(図示せず)の一部として備えられる受信器12に、必ずではないが典型的には関連するディスプレイは、操縦者6に対して警告又は何らかの指示信号を生成するように、作動又は制御できる。
【0033】
言いかえれば、受信器で送信器8からの通信を受信することにより、受信器内の処理は、装置4に対するユーザの心理状態を推測することができる。
【0034】
ユーザ6が装置4の近くにいる時間量に基づいて単に操作する場合と同様に、検出器12は、操縦者6の制御下で、装置に対するユーザ12の相対運動を決定できてよい。これは、例えば送信器8から送信された信号10の強度の、時間に対する変化を検出することにより、達成されてよい。送信器8は、好ましくは連続的に一定パワーの信号10を送信するように構成される。従って、受信器12における受信信号の強度の変化は、ユーザ6と装置4との間の相対位置の変化の結果となるであろう。言い換えれば、装置4に対する操縦者6の運動の結果となるであろう。一定の環境において、操縦者の動揺状態が、抱えている仕事への集中度の低さを示すと仮定すると、それは、装置4に関連するコントローラが、操縦者が規定閾値よりも動いていることが検出された際に、装置4を操作する制御信号内で更なる確認ステップを誘導するように計画又は構成される、ということであってよい。言い換えれば、プロセッサは、持続時間又は強度変化等の受信した信号のパラメータに基づいて、関連アイテムに対するユーザの心理状態を推測するように計画される。その後、対応する操作を行うことができる。
【0035】
上述の例では、アイテムに関連する送信器と、ユーザに関連する受信器との使用について記載した。他の例では、アイテムに関連する送信器の代わりに、信号の伝送を含まない何らかの形態のデータ収集装置又はモニタを用いてよい。例えば、撮像装置は、アイテムに関連してよく、アイテム又は装置4に対するユーザの位置又は運動を監視するように計画されてよい。
【0036】
図2に通信システムの動作の更なる例を示す。この場合、装置4は、模式的に示されるが、例えば押出PVCビームの製造用産業システムであってよい。操縦者は、装置の近くに示される。カメラ17は、装置4に比較的近い操作ゾーン内部の対象物や活動を捉えるように計画されて備えられる。このカメラは、有線又は無線でサーバ19に接続される。サーバ19は、本例ではクラウドベースとして示される。サーバ19は、受信した画像データを処理し、処理データから操縦者の認識又は心理状態を推測するように計画されたソフトウェアをサーバ上で実行する。上述の如く、この認識状態は、装置4に対するユーザの相対的近接度、ドゥエル(滞留)時間、運動等を決定するアルゴリズムに基づいて決定されてよい。この例ではカメラを用いているので、ユーザの顔及び/又は姿勢の画像は、サーバ、そしてユーザの認識状態を推測するために用いられる顔認識ソフトウェアに通信されてよい。
【0037】
決定された認識状態に応答して、予想されるユーザのパフォーマンス変化を可能にするように、装置4の動作を自動的に制御できる。例えば、操縦者の動きが遅い又は通常よりも遅いと判定された場合には、ユーザは疲れている可能性があると推測でき、制御入力を受信する際に、装置のオペレーティングシステムによって更なるレベルの確認が要求されてよい。ユーザは、認識状態に関して何らかの変更があった場合又は特定の状況の場合に、サーバ19からの通知を受信するように構成された受信器を有していてよい。言い換えれば、装置自体とのユーザの物理的相互作用によって決定される直接的な感覚情報とは無関係に、システムは、ユーザの認識又は心理状態を推測でき、それに応じて操作を行うことができる。
【0038】
上述のニ例では、ユーザは、明らかに、特定の機械類又は設備に関連する。
図3に、通信システムの動作の更なる例を示すが、上述の場合と同じく又はその代わりに、このシステムは、ユーザをアイテムにマッチングさせるために用いられる。ユーザのアイテムへのマッチングは、アイテムに対するユーザの心理状態として考えることができる。しかしながら、以下に詳細に説明するように、心理状態の更なる態様も特定できる。この例では、通信システムは、衣料品店等の小売店の環境内に配置される。これに関連して、本発明者等はEIRE(Emotionally Intelligent Retail Engine)としてのシステムを参照する。ここで、ユーザの心理状態に基づいて、画像、オファー、その状態に適したコミュニケーションをEIREによってユーザに提供できる。
【0039】
それ自体に関連する送信器16を夫々が有する複数の衣類ハンガー14が備えられる。複数の送信器16は、信号18を送信するように計画されるが、この信号18は、使用の際にユーザの携帯電話20(又はタブレット、ポータブルコンピュータ、iPod(登録商標)、Wi-Fi装置、スマートデバイス、スマートウォッチ等の他の装置)内の受信器によって検出される。この例では、ユーザが送信器16の近くにいるドウェル時間又は期間を検出することにより、信号が受信された送信器16又はハンガー14に関連するアイテムに対するユーザ6の興味を推測できる。
【0040】
よって、相関、運動及び近接データが、アイテムに対するユーザの精神状態をより学習するために使用できるだけではなく、当然ユーザをアイテムに関連付ける、即ち、どのユーザがどのアイテムを有しているかを特定するために使用できることは、理解されるであろう。これは本発明の重要な態様である。なぜなら、多くの既知のシステムでは、例えば特定人物が特定のセンサを着用している、又はセンサと人物との間にその他の明確な関係があるという理由から、特定のセンサからのデータが特定人物に関係することは知られているが、これは、小売業環境における本システムには当てはまらないからである。確かに本システムでは小売業環境で用いる際に、特異環境において複数のアイテムにアクセスしてその取扱いを行う人々が複数存在してよい。このシステムは、アイテムを人々と関連付け、そしてセンサデータを用いて、特定された又はユーザマッチングされたアイテムに対するユーザの更なる心理状態を見つけ出すことができる。
【0041】
好適な例では、複数の送信器16はブルートゥース送信器であり、ユーザの携帯電話のブルートゥース受信器と通信するように計画される。この構成要素の組み合わせで、(受信した信号を用いて決定される)ユーザの挙動に基づいて、関連アイテムに対するユーザの心理又は認識状態を推測できる。アイテムは、ハンガー14上の衣服であってよい。信号の変化又は規定閾値時間に渡って一貫した強い信号を検出することにより、ユーザは送信器16に関連する衣服アイテムの試着及び/又は購入に興味があると推測できる。
【0042】
好適な例では、ユーザは、ハンガー上の送信器からブルートゥース信号を受信し、且つユーザの活動に基づいてハンガー上の衣服に対するユーザの認識状態を決定するように構成されたアプリを、自分の携帯電話(又はその他上述の装置)にダウンロードする。例えば、ユーザが15秒から90秒の間(より好ましくは15秒から60秒の間)衣料品店でハンガーの近くに立つ場合には、規定アルゴリズムに基づいて、アプリは、衣服アイテムに対するユーザの認識状態は肯定的であると判定するであろう。その後、ユーザの電話のディスプレイは、ユーザに対して、衣服ウィッシュリスト内にそのアイテムを配置する選択肢を提示する。
【0043】
ディスプレイとの相互作用により、ユーザは、ウィッシュリストに自分の好きなアイテムを集めることができる。言い換えれば、ユーザの挙動に基づいて、特定アイテムに対する心理状態が推測され、そして推測された心理状態に基づいて招待状が送信されてよい。これにより、ユーザは、容易に且つ簡易にそのアイテムをウィッシュリストに含めることができる。
【0044】
図4を参照すると、小売業環境におけるグラフィカルユーザインターフェースとのユーザインタラクションの処理が示される。ここで生じた状況は、ユーザが衣料品店等の店舗を訪れ、ユーザがハンガー又は棚上の送信器に関連するディスプレイ又は衣服アイテムのそばに規定期間留まる状況である。送信器とユーザの携帯電話との通信は、上述の如く確保される。ハンドセットの振動又は可聴通知等の通知又はアラームが、ユーザに送信される。これは、特定アイテムに関して送信器とユーザの携帯電話との間で通信が行われたことをユーザに示す。
図4に、通知に対してユーザがとると考えられる応答を示す。第1の選択肢は、左にスワイプして製品及び関連するオファーを削除することである。第2の選択肢は、右にスワイプして製品及び関連するオファーをウィッシュリストに保存することである。第3の選択肢は、通知を2回タップして、製品及びオファーについてソーシャルネットワーク等を介して友人と共有することである。
【0045】
ユーザには、ウィッシュリスト上の製品に関するリアルタイムオファーが通知される。ユーザは、ウィッシュリストに追加された製品がセールになる際にリマインダを受けるであろう。しかしながら、受信するリマインダや通知に関してユーザは完全に制御でき、必要であればこれらをオフすることができる。ユーザは、どのような通知を、いつ、どれくらい受信したいかを決定できる。また、通知を消去する前に経過すべき日数も設定できる。指定されたアプリは、この機能の全てを達成できるようにユーザの携帯電話に備えられてよい。更に、このアプリは、ウィッシュリスト上にアイテムを含めることを提案するインターフェースから、ユーザが、問題のアイテム又は物品を直接選択して購入できるように、配達サービス又はオンラインショッピングとのやりとりも可能である。
【0046】
図1の例を再度参照すると、ディスプレイスクリーン又はモニタは、ユーザのPDA又は携帯電話の一部として、或いは装置の統合部として備えられてよい。先ず、装置4に対するユーザ6の相対位置及び運動の検出に基づいて、ユーザの認識状態が推測され、その後ディスプレイは、関与のためにユーザに対して適切なグラフィカルユーザインターフェースを示すように計画される。この例では、GUIは、確認を求める質問を示してよい。例えば、「休憩せずに2時間働いています。休憩が必要ですか?」と言うメッセージを示してよい。
【0047】
図5は、
図3及び
図4の通信システムの例で用いられる基本アルゴリズムの一例を示すフロー図である。先ず、ブルートゥース伝送等の信号が受信されたかについて判定される。受信された場合には、信号強度が決定され、これに応じてタイマーが開始される。強度が規定閾値よりも高い場合は、ユーザは送信器に対して規定近接範囲内にいるとされ、従って、送信器に関連するアイテムに興味を示しているとされる。タイマーは、ユーザが近くにいる時間長を測定できるように開始される。信号の強度が規定閾値以上で維持されるように、周期的に確認が行われる。信号強度の減少は、ユーザが、問題のアイテム及び送信器から歩き去ったことを示してよい。信号が、規定期間、閾値レベルよりも上に維持された、即ち、ユーザが、規定期間、アイテムに対して必要閾値近接範囲内にいたと判定される場合には、アイテムに対するユーザの認識状態が推測される。言い換えれば、ユーザがアイテムに興味を持っていると判定される。
【0048】
ディスプレイは、
図4を参照して図示及び記載されたように、ユーザの携帯電話上に生成される。ディスプレイを通信システムの一部として備えない例もある。その他ユーザにフィードバックする手段が備えられる。例えば、携帯電話のスクリーンを介してユーザに何かを表示する代わりに、ユーザの注意を引く又はユーザからの反応を得るために生成されるハプティック(触覚)応答又は可聴アラームの形態でフィードバックすることにより、ユーザの応答を促すことができる。
【0049】
信号強度の変化は、衣服アイテムに対するユーザの予想挙動パターンに対して予想されるものにマッピングできる。
図6は、受信器において検出されるような信号強度における典型的変化の一例を示す図である。この例では、ここに示された状況は、衣料品店におけるハンガー上の、例えばシャツ等の衣服アイテムとのユーザの相互作用(インタラクション)である。先ず、ユーザは店内を歩き回るが、そうすると、ユーザが各種のアイテムに近づいたり離れたりするにつれて、ユーザの携帯電話は店内の複数の送信器からのブルートゥース伝送を受信したり喪失したりするであろう。ある時点で、ユーザは、シャツの近くで速度を落とし、シャツに近づく。従って、検出された信号の強度は、T1で第1ピークとして示されるように増加する。その後すぐに、信号が規定強度閾値S
Tを超えたので、タイマーが開始される。ユーザはほぼ同じ領域に留まるが、シャツを見ているのでシャツに近づいたり離れたりする。よって信号強度に僅かな変化がある。T2では、ユーザはT3まで静止して単にシャツを見ている。そしてユーザは、シャツを手に取り、自分の近くに当てて近くの鏡で見る。ユーザはシャツを離し、また繰り返してシャツを更に近くに当てる。これは、二本の近いピーク(一つ目はT4)で示される。最後にユーザは、シャツを衣類ラックに戻して歩き去る。信号強度は先細る。持続期間ΔTの間、信号強度が規定閾値S
Tよりも上である。
【0050】
信号強度の変化は、ある特徴が特異な相互作用にモデル化できるように信号スペクトルに類似する。言い換えれば、
図6のグラフに示された信号強度の変化は、ある種の相互作用における認識可能な「指紋」として考えられる。アプリは、測定された信号変化がアイテム(本例ではシャツ)に対するユーザの(肯定的)認識状態を示すと解釈し、よって、
図4を参照して上記に説明したように、ウィッシュリストにシャツを含む選択肢の提示を選択できる。
【0051】
図7は、通信システムを示す概略図である。システム26は、
図3を参照して図示及び記載されたシステムと類似する。しかしながら、この場合、コートハンガーの夫々が、信号を送信及び受信するように計画された、コートハンガーに関連する送信器を有する。ユーザの携帯電話28は、ダウンロードされたアプリを介して、コートハンガーと、故にその上の衣服アイテムとに関連するトランシーバ30に通信を送信するように計画される。トランシーバは、信号強度を検出し、強度の経時変化を含むこの信号強度の情報をサーバ32に送信するように計画される。中間トランスポンダ34が備えられてよく、サーバは、図示の例の如く、ネットワーク接続されたサーバであってよい。このように、ユーザの認識状態を決定するための受信した信号の処理は、ユーザの装置28と同じく、代わりにサーバで行うことができる。
【0052】
図8は、通信システムを示す概略図である。このシステムは、
図1から
図3及び
図7を参照して記載されたシステムと類似するが、更なる機能性と構成要素を含んでいる。
【0053】
図示の例では、ユーザの電話38が備えられる。一又は複数のタグ40は、使用時に衣料品店における衣服アイテム又はハンガーに関連して備えられる。例えば
図3の通信システムに加えて、この例では、リーダ42が備えられる。リーダ42は固定されてよく、通信システムが動作している環境内の規定及び固定位置における任意の点に位置される。
【0054】
この例では、電話38がタグ40から信号を受信するように計画される場合と同じく、固定リーダ42もそのように構成及び計画される。固定リーダ42は、例えばタグ40からの信号伝送の通信を受信するように計画される。任意の特定タグからの伝送は、位置、運動、加速度、及び温度や湿度等の環境データのいずれか又は全て等の、そのタグに関連するパラメータに関するデータを含む。タグ40は、好ましくは、受けている運動又は加速度等のタグに関する情報を決定する際に用いられる加速度計(図示せず)を含む。タグは、好ましくは、加速度計、温度計、湿度センサ、光センサ、音響センサ及び一又は複数のその他の環境センサを含む群から選択される一又は複数のセンサを含む。
【0055】
ユーザの電話38は、スマートフォンの標準部品として典型的に取り付けられる加速度計46からデータを受信するように計画されたプロセッサ又はエンジン44を含む。以下に説明されるように、タグ40内にも含まれる加速度計は、タグと共に動き、従ってタグの動き及び加速度に関連するデータは、伝送48を介して固定リーダ42に、また伝送50を介して電話38に通信することができる。
【0056】
好ましくはスマートフォン38及びタグ40内に備えられる加速度計は、好ましくは、3本の直交軸における運動及び加速度を検出できる微小電気機械システム(MEMS)3軸加速度計である。使用の際には、タグ40の一部として備わる加速度計は、タグの運動及び加速度を検出し、伝送48及び50を介して夫々固定リーダ48及び電話38に送信するペイロードデータ内でこれをエンコードするように計画される。タグにより提供されたエンコードデータは、典型的には、信号飛行時間、信号到着角度、位置データ、角回転運動(これは、タグ内に備えられる一又は複数のジャイロスコープから由来してよい)、並びに三次元の運動及び加速度のうちの幾つか又は全てを含むであろう。
【0057】
好ましくは、タグ49内の送信器は、BLE(Bluetooth(登録商標) low energy)信号送信器であり、使用時にハンガーに装着される。BLE信号がタグによって送信される際には、電話38及び/又は固定リーダ42で受信されるが、そこでは、強度が測定され信号をデコードできる。言い換えれば、好ましくは、固定リーダ42は、データを分析し、よって受信信号に基づいてタグ40に関連するアイテムに対するユーザの心理状態を推測できるような処理能力を有して備えられる。固定リーダは、実際に、できるだけ多くのタグ40から信号を受信可能とする位置に永久的に又は半永久的に固定されるため、そのように称される。しかしながら、例えば、子機を備えた固定電話の親機が固定されるように、短期間「固定」されるだけの例もある。言い換えれば、容易に手にとって他の場所に移動可能であるけれども、通常使用では、受信するデータの送信元であるタグと比べて、「固定基地」である。
【0058】
よって、タグは、該タグに関連するパラメータを測定し、データをBLEデータパケットで電話の受信器に送信する各種のセンサを含む。電話38の三次元の加速度は、電話内の内部加速度計/センサによって測定される。最近の大抵のスマートフォンは、このような部品又は機能性を含む。これらは、以下に詳細を説明するサーバ52に備えられてよい。加えて、タグ40から固定リーダ42によって受信されたデータも、サーバ52に通信される。図示の例では、データは、インターネット接続で電話38からサーバ52に通信される。他の実施形態では、電話及び固定リーダ42間のBLE通信が可能とされてよく、その場合、電話自体からのデータも、電話自体からではなく、固定リーダ42から直接サーバ52に提供される。
【0059】
測定パラメータの経時変化が検出され、固定リーダ及び/又はサーバ52に送信される。よって、複数の時系列が測定され、サーバ及び/又は固定リーダに提供される。タグ及び電話上の異なるセンサから各種の時系列を受信することにより、サーバ52は分析を実行可能であり、よって、電話38のユーザの精神状態を推測できる。サーバ52は、例えば、タグ40及び電話38から受信した時系列を相関させ、その相関関係から、電話の所有者がタグ40に関連するアイテムに対してある考え方であったと判定するようにプログラム且つ計画されてよい。
【0060】
図6を参照して上述した例では、ユーザ及びタグの相対的離間に基づいて、ユーザの精神状態に関する物事をどのように推測するかについて説明した。この例では、ユーザ及び物品間の距離又は離間距離に主に(又は唯一)依存する代わりにその他のパラメータが考慮されることを除いては、同じ推論を下すことができ、またアイテムに対するユーザの気持ちの同様な評価も行うことができる。
【0061】
上述の如く、その後、ユーザと通信するために、サーバ52から電話38のユーザインターフェースに通信を送信できる。よって、上述の如く、タグ40に関して受信した加速度計データと電話38に関して受信した加速度計データとの間の相関関係に基づいて、ユーザがタグ40に関連する特定アイテムに興味を持っていると判定される場合には、サーバ52からユーザにオファーを送信でき、その後ユーザが受諾又は削除/無視するかを選択できる。
【0062】
固定リーダ42及び電話38から受信したデータに応じて管理、制御、及び行動を可能とするウェブユーザインターフェース54が備えられる。ウェブユーザインターフェース54は、受信及び処理データとの様々なレベルの相互作用を提供するように計画できる。例えば、一のレベルでは、特定ユーザが特定アイテムに興味を持っているという通知を、インターフェースを介して受信する店長によって等、小売業環境内の直接管理に単に用いられてよい。これは、店長に、そのユーザに近づいて、その物品に関して割引等の何かを提案することを促したり、或いは問題の物品をユーザが実際に購入したい可能性が高いと知った上で、単にユーザを会話に引き込むことを促したりしてよい。
【0063】
将来又は高いレベルの管理では、複数のリーダ及び/又は携帯電話に関して、データをサーバから集めることで、理解すべき特定環境内での挙動パターンの全体を理解することができる。
【0064】
一例では、ユーザが、タグと直接相互作用するように計画された電話を有していない際にも、ユーザがタグ40と相互作用することを単に選択することで、データは固定リーダ42へ送信されるであろう。複数のタグ40からデータを受信する際に、サーバ52は、タグや該タグに関連するアイテムに関する理解を有益なレベルにすることができる。例えば、1ヶ月間等の長期間に渡って、ある種の衣服をかけたハンガーを備えた特定の衣類ラックを店内のある領域に設ける際には、タグとのユーザインタラクションが高いレベルにされることに着目されてよい。これは、特定の単一ユーザが問題の物品を購入する気があるかに関する情報に関わらず、有益なデータである。店長又はビジネスマネジャーができることは、店内のある領域内にある種の衣類を配置すると、衣服アイテムの販売という点で有益な効果があることを理解することである。再び、上述の如く、これは、タグから受信したデータの時系列を決定することにより達成できる。時系列内のパターンを認識することにより、有益なデータ集合体を構築できる。
【0065】
加えて、タグの単なる運動又は加速度以外のデータを用いる際にも、同じ概念が適用される。例えば、温度データが一又は複数のタグによって測定され、BLE信号の一部としてリーダ42に送信される場合には、ユーザインタラクション54と相互作用する管理アプリケーションは、例えば、店内の温度がタイムテーブル又はスケジュールに応じて変化する場合に販売を最大化できる、と推測できる。言い換えれば、サーバ52は、タグ又はリーダ42(これら自体はタグ40からデータを受信する)からデータを受信することによりデータ収集装置として機能できる。よって、ユーザ装置38との直接相互作用が無くても、有益な情報を得ることができる。
【0066】
図9は、
図8の通信システムの動作を更に理解するためのフロー図の概略図である。
【0067】
図示の例では、先ずステップ56において、信号が検出されたかについて判定される。検出された場合には、固定リーダ42において、信号の強度が一定閾値よりも高いかについて判定がなされる。
【0068】
信号の検出56は、タグ40からとユーザの携帯電話38からとの両データを含んでよい。サーバ52では、タグ40から受信したデータと、電話38から受信したデータとの間に十分な相関関係があるかについて判定がなされる。十分な相関関係がある場合には、その結果が重要であるかについて、即ち、判定された結果に基づいて何らかのオファー又はユーザとの相互作用(インタラクション)が要求されるかについて、ステップ62において更なる判定がなされる。重要である場合には、ステップ64においてウィッシュリストにエントリが生成されてユーザに表示される。
【0069】
本発明の実施形態について、特に例を挙げて説明したが、発明の範囲を逸脱することなく、変形及び変更が記載例になされてよいことは理解されるであろう。