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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-06
(45)【発行日】2023-04-14
(54)【発明の名称】要素を保管するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20230407BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20230407BHJP
   A61J 1/05 20060101ALI20230407BHJP
   A61J 3/00 20060101ALI20230407BHJP
   B65G 1/14 20060101ALI20230407BHJP
【FI】
B65G1/137 B
G06K7/10 132
G06K7/10 240
G06K7/10 264
A61J1/05
A61J3/00 300A
B65G1/14 K
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019538560
(86)(22)【出願日】2016-10-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-19
(86)【国際出願番号】 EP2016075508
(87)【国際公開番号】W WO2017153009
(87)【国際公開日】2017-09-14
【審査請求日】2019-09-24
(31)【優先権主張番号】1659522
(32)【優先日】2016-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】519001279
【氏名又は名称】バイオログ-アイディー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-クロード・モングルニエ
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0046020(US,A1)
【文献】特開2006-092464(JP,A)
【文献】特開2014-218377(JP,A)
【文献】特開2001-270608(JP,A)
【文献】米国特許第9275262(US,B2)
【文献】米国特許出願公開第2002/0190845(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/137
G06K 7/10
A61J 1/05
A61J 3/00
B65G 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
要素(12)を保管するためのデバイス(22)であって、各要素(12)は、前記要素(12)に関する情報が格納される第1の無線通信ユニット(14)を備え、前記デバイス(22)は、垂直方向スタック(38)を形成するように相互の上に組み付けられた少なくとも2つの引き出しユニット(30)を備え、各引き出しユニット(30)は、
ハウジング(45)を備える支持体(40)と、
前記支持体(40)の前記ハウジング(45)内に位置決めされ、前記支持体(40)に対して摺動可能である引き出し(42)であって、要素(12)を受けるための複数の位置(58)で空間を画定する底部(56)及びリム(59)を備える、引き出し(42)と、
各位置(58)に対して、電波を発することが可能な少なくとも1つの第2の無線通信ユニット(44)であって、前記第2の通信ユニット(44)それぞれは放射パターンを有する少なくとも1つのアンテナを備え、前記第2の通信ユニット(44)は、前記複数の位置(58)それぞれの前記底部の裏側に配置され、前記第1の通信ユニット(14)が、前記第2の通信ユニット(44)の前記少なくとも1つのアンテナの前記放射範囲にカバーされる前記位置(58)に配置される場合に、前記第1の通信ユニット(14)と通信を行うのに適したものであり、各アンテナの前記放射範囲は、少なくとも、
前記第2の通信ユニット(44)が配置されているその底部の裏側に配置されている位置(58)、および、
前記第2の通信ユニット(44)が配置されているその底部の裏側に配置されている位置(58)に隣接する少なくとも1つの位置(58)、
を対応範囲に含み、前記第2の通信ユニット(44)それぞれの各アンテナは、前記アンテナが作動される第1の状態および前記アンテナが作動停止される第2の状態をさらに備える、第2の無線通信ユニット(44)と、
前記第2の通信ユニット(44)それぞれに対して接続されたデータ処理ユニット(33)であって、前記アンテナの前記第2の通信ユニット(44)が配置されている前記位置(58)が要素(12)により占有されているか否かを判定するために、制御法則にしたがって前記第2の通信ユニット(44)それぞれの前記アンテナの作動および作動停止を命ずることが可能である、データ処理ユニット(33)と、
を備える、デバイス(22)。
【請求項2】
位置(58)に対応する各第2の通信ユニット(44)ごとに、前記制御法則は、各第2の通信ユニット(44)の前記アンテナが前記アンテナに隣接するアンテナの時間間隔とは異なる時間間隔で作動されるように、前記第2の通信ユニット(44)の前記アンテナの作動と前記アンテナに隣接するアンテナの作動停止とを並行的に命ずるように選択される、請求項1に記載のデバイス(22)。
【請求項3】
前記データ処理ユニット(33)は、アンテナのセットにより通信された情報に基づき、各アンテナにより収集された情報に対応する位置(58)を判定することが可能である、請求項2に記載のデバイス(22)。
【請求項4】
各引き出し(42)の前記底部(56)は、前記第2の通信ユニット(44)により発せられる電波が横断し得る材料から作製される、請求項1から3のいずれか一項に記載のデバイス(22)。
【請求項5】
各第2の通信ユニット(44)は、前記対応する位置(58)の上方に配置される、請求項1から4のいずれか一項に記載のデバイス(22)。
【請求項6】
各第2の通信ユニット(44)は、前記対応する位置(58)の前記引き出し(42)の前記底部(56)の下方に配置される、請求項1から4のいずれか一項に記載のデバイス(22)。
【請求項7】
各引き出しユニット(30)は、各引き出しユニット(30)の前記引き出し(42)の前記底部(56)の下方、かつ前記引き出しユニット(30)の前記引き出し(42)の前記底部(56)の前記位置(58)に対応する前記第2の通信ユニット(44)の下方に位置決めされたプレートを備え、各プレートは、すべての前記第2の通信ユニット(44)により発せられた電波の通過を防止することが可能である、請求項6に記載のデバイス(22)。
【請求項8】
各第1の通信ユニット(14)は、無線ICタグであり、各第2の通信ユニット(44)は、無線ICリーダである、請求項1から7のいずれか一項に記載のデバイス(22)。
【請求項9】
内方コンパートメント(24)を備える筐体(20)と、
請求項1から8のいずれか一項に記載のデバイス(22)であって、前記筐体(20)の前記内方コンパートメント(24)内に配置されるデバイス(22)と、
を備える、設備(10)。
【請求項10】
前記要素(12)は、血小板容器であり、前記筐体(20)は、血小板攪拌機である、請求項9に記載の設備(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、要素を保管するためのデバイスに関する。
【0002】
さらに、本発明は、かかる保管デバイスを備える設備に関する。
【0003】
これらの要素は、例えば、血液製剤などの生物学的製品を収容するパウチ(一次血液パウチ、血漿パウチ、血小板パウチ、赤血球パウチ、等)、細胞工学製品(幹細胞、等)を収容するパウチ、または化学療法パウチなどの薬品パウチである。
【背景技術】
【0004】
パウチが挿入される引き出しから構成された冷蔵構造体内にかかるパウチを保管することが知られている。一般的には、かかる構造体内に挿入されるパウチは、対応するパウチに関する情報が格納されたRFID(無線IC)タグなどの識別タグを備える。さらに、少なくとも1つのアンテナを備えるRFIDリーダなどのリーダが、パウチのタグ中に含まれる情報を読み取るおよび更新するために各引き出しの前記パウチが配置された位置の対向側に配置される。
【0005】
しかし、各RFIDリーダのアンテナにより発せられる波同士の間に干渉が生じる場合があり、これは、識別タグに格納された情報の読取りを困難にし、したがって対応する要素の状態の確認を困難にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、要素の状態を確実に確認することを可能にする、前記要素を保管するためのデバイスが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これを目的として、本発明は、要素を保管するためのデバイスであって、各要素が前記要素に関する情報が格納される第1の無線通信ユニットを備え、デバイスが垂直方向スタックを形成するように相互の上に組み付けられた少なくとも2つの引き出しユニットを備える、デバイスに関する。各引き出しユニットは、
ハウジングを備える支持体と、
支持体のハウジング内に位置決めされ、支持体に対して摺動可能である引き出しであって、要素を受けるための少なくとも1つの位置を画定する底部を備える、引き出しと、
各位置ごとの、電波を発することが可能な少なくとも1つの第2の無線通信ユニットであって、各第2の通信ユニットが、対応する位置の対向側に配置され、第1の通信ユニットのセットと通信を行うのに適したものであり、放射帯場を有する少なくとも1つのアンテナを備え、各アンテナの放射帯場が、少なくとも、
前記アンテナの第2の通信ユニットの対向側の位置、および
前記アンテナの第2の通信ユニットの対向側の前記位置に隣接する少なくとも1つの位置
を対応範囲に含み、各アンテナが、前記アンテナが作動される第1の状態および前記アンテナが作動停止される第2の状態をさらに備える、第2の無線通信ユニットと、
各第2の通信ユニットに対して接続されたデータ処理ユニットであって、前記アンテナの第2の通信ユニットの対向側の位置が要素により占有されているか否かを、および該当する場合には前記要素に関する情報を判定するために、制御法則にしたがって各第2の通信ユニットのアンテナの作動および作動停止を命ずることが可能である、データ処理ユニットと
を備える。
【0008】
特定の実施形態によれば、デバイスは、単独でまたは任意の技術的に可能な組み合わせによって考えられる以下の特徴の中の1つまたは複数を備える。
位置に対応する各第2の通信ユニットごとに、制御法則は、各第2の通信ユニットのアンテナが前記アンテナに隣接するアンテナの時間間隔とは異なる時間間隔で作動されるように、前記第2の通信ユニットのアンテナの作動と前記アンテナに隣接するアンテナの作動停止とを並行的に命ずるように選択される。
処理ユニットは、アンテナのセットにより通信された情報に基づき、各アンテナにより収集された情報に対応する位置を判定することが可能である。
各引き出しの底部は、第2の通信ユニットにより発せられる電波が横断し得る材料から作製される。
各第2の通信ユニットは、対応する位置の上方に配置される。
各第2の通信ユニットは、対応する位置の引き出しの底部の下方に配置される。
各引き出しユニットは、各引き出しユニットの引き出しの底部の下方、かつ前記引き出しユニットの引き出しの底部の位置に対応する第2の通信ユニットの下方に位置決めされたプレートを備え、各プレートは、すべての第2の通信ユニットにより発せられた電波の通過を防止することが可能である。
各第1の通信ユニットは、無線ICタグであり、各第2の通信ユニットは、無線ICリーダである。
【0009】
また、本発明は、
内方コンパートメントを備える筐体と、
上述のようなデバイスであって、筐体の内方コンパートメント内に配置されるデバイスと
を備える、設備に関する。
【0010】
特定の実施形態によれば、設備は、単独でまたは任意の技術的に可能な組み合わせによって考えられる以下の特徴の中の1つまたは複数を備える。
要素は、血小板容器であり、筐体は、血小板攪拌機である。
【0011】
本発明の他の特徴および利点が、もっぱら一例としてのおよび図面を参照として実施される本発明の実施形態の以下の説明を読むことにより明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】保管デバイスを備える設備の概略斜視図である。
図2図1の保管デバイスの概略斜視図である。
図3図1の保管デバイスの複数の引き出しユニットの概略図である。
図4図1のデバイス内に保管されるように意図された要素の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
要素12を保管するための設備10が、図1に示される。
【0014】
要素12は、例えば容器である(図2に図示)。一般的には、容器は、厳格な保管制約下において使用される製品を収容するように意図された任意のタイプのパウチに該当する。
【0015】
さらに具体的には、要素12は、例えば、血液製剤などの生物学的製品を収容するパウチ(一次血液パウチ、血漿パウチ、血小板パウチ、赤血球パウチ、等)、または細胞工学製品(ヒトもしくは動物の細胞、特にヒトもしくは動物の幹細胞、ヒトもしくは動物の細胞由来の製品)を収容するパウチである。
【0016】
代替的には、要素12は、化学療法パウチ(一般的に溶質および1つまたは複数の化学療法有効成分を含む)などの、1つまたは複数の有効成分または有効薬物を含む薬品パウチまたは治療調合製剤パウチである。
【0017】
より一般的には、要素12は、ヒトまたは動物に注入されるように設計された任意の製品を含むことが可能である。
【0018】
図4に示すように、各要素12は、第1の無線通信ユニット14を備える。各第1の通信ユニット14は、例えば要素12の外面上に固着された接着タグなどのタグである。
【0019】
一般的には、各第1の通信ユニット14は、少なくともアンテナ、メモリ、および任意にはマイクロプロセッサを備える。
【0020】
各第1の通信ユニット14のアンテナは、例えば高周波アンテナである。
【0021】
各第1の通信ユニット14のメモリは、対応する要素12に関する情報を備える。
【0022】
例えば、かかる情報は、要素12の固有識別子、要素12の保管データ、要素12の有効期限、要素12の第1の通信ユニット14が最後に情報通信を行った日時、要素12の内容物に関する提供番号、要素12の内容物の製品コード、要素12の内容物のRh型、要素12の内容物の血液表現型、要素12の内容物の取得源である患者の情報、要素12の内容物の取得源である患者の氏名、要素12の内容物の容量、要素12の内容物が取得された提供センタ(住所を含む)、要素12に関して進行中のプロセス、および要素12の内容物の抗凝血剤タイプである。化学療法の場合に、かかる情報は、製造日、製品タイプ、賦形剤タイプ、処方医師情報、薬剤師情報、製造業者情報、発売日、およびステータス(発売、供給、等)をさらに含む。
【0023】
設備10は、筐体20および保管デバイス22を備える。
【0024】
筐体20は、保管デバイス22を受ける内方コンパートメント24を備える。
【0025】
筐体20は、例えば冷蔵筐体または冷凍庫である。冷蔵筐体が冷蔵庫である場合には、筐体の温度は、摂氏0度(℃)~5度の間からなり、好ましくは摂氏4度に相当する。冷蔵筐体が冷凍庫である場合には、筐体の温度は、-35℃~-196℃の間からなり、好ましくは-40℃に相当する。
【0026】
代替的には、筐体20は、血小板攪拌機である。この場合に、好ましくは筐体20は、好ましくは24℃に相当する温度を有するインキュベータに組み込まれる。
【0027】
以降において、相対位置は、底部が画定された筐体20の一般的な使用方向に関して定義され、一般的にこの底部は床上に載置され、底部の対向側に頂部が位置する。これらの相対位置は、具体的には「下方」または「上方」などの用語により示される。
【0028】
デバイス22は、複数の引き出しユニット30およびベース32を備える。図2に示すように、デバイス22は、処理ユニット33をさらに備える。
【0029】
以降で述べるように、引き出しユニット30は、引き出しユニット30の垂直方向スタック38を形成するように相互に積み重ねられる。図1図3は、10個の引き出しユニット30のスタックの一例を示す。
【0030】
各引き出しユニット30は、図2に示す支持体40、引き出し42、および少なくとも1つの第2の通信ユニット44を備える。
【0031】
支持体40は、ハウジング45、上方端部46、下方端部48(図3に図示)、および接続部49(図2に図示)を備える。
【0032】
各ハウジング45は、対応する引き出し42を受けることが可能である。
【0033】
図3に示す各引き出しユニット30の上方端部46は、少なくとも第1の組立部材51を備える。第1の組立部材51は、例えば雌型組立部材である。
【0034】
図3に示す各引き出しユニット30の下方端部48は、第1の組立部材51と相補的である少なくとも第2の組立部材52を備える。第2の組立部材52は、例えば雄型組立部材である。
【0035】
図3に示す例では、第1の組立部材51は、スロットであり、第2の組立部材52は、スロットに対して相補的であるリブである。
【0036】
したがって、各引き出しユニット30は、前記引き出しユニット30の第1の組立部材51によりおよび/または前記引き出しユニット30の第2の組立部材52によりスタック38の少なくとも1つの他の引き出しユニット30に対して組み付けられる。
【0037】
接続部49は、例えば電気接続部である。
【0038】
図1図3に示す実施形態では、各引き出しユニット30の接続部49は、一方においては前記引き出しユニット30の第2の通信ユニット44に対して接続され、他方においては他の引き出しユニット30の第2の通信ユニット44に対して接続される。さらに、接続部49は、処理ユニット33に対して接続される。
【0039】
各引き出し42は、支持体40のハウジング45内に位置決めされる。各ハウジング45は、対応する支持体40に対して摺動することが可能である。
【0040】
各引き出し42は、要素12を受けるための少なくとも1つの位置58を画定する底部56を備える。
【0041】
各引き出し42の底部56は、前記引き出し42の引き出しユニット30の第2の通信ユニット44により発せられた電波が横断し得る材料から作製される。
【0042】
各引き出し42の底部56の材料は、例えばプラスチックである。
【0043】
図1図3に示す実施形態では、各引き出し42の底部56は、要素12を受けるための12個の位置58を画定する。
【0044】
各位置58は、例えば小仕切り60を形成するリム59により画定される。
【0045】
図1図3に示す実施形態では、各引き出しユニット30は、位置58と同数の第2の通信ユニット44を備える。
【0046】
図1図3に示す実施形態では、各第2の通信ユニット44は、対応する位置58の対向側の引き出し42の底部56の下方に配置され、それにより前記第2の通信ユニット44と前記位置58内に受けられた要素12の第1の通信ユニット14との間の通信が可能となる。
【0047】
「の対向側の」という表現は、各第2の通信ユニット44が位置58により画定される空間に対面する位置に配置されることを指す。換言すれば、第2の通信ユニット44の平面内に位置58を投影したものが、第2の通信ユニット44に結び付けられる。
【0048】
代替的には、少なくとも1つの第2の通信ユニット44が、対応する位置58の上方に配置される。
【0049】
各第2の通信ユニット44は、該当する場合には、要素12に関する情報を取得するために前記位置58に受けられた要素12の第1の通信ユニット14と通信することが可能である。
【0050】
各第2の通信ユニット44は、電波を発することが可能である。各第2の通信ユニット44は、第1の通信ユニット14のセットとの通信に適したものである。
【0051】
一例の実施形態では、第1の通信ユニット14は、RFIDタグであり、第2の通信ユニット44は、RFIDリーダである。
【0052】
さらに一般的には、各第2の通信ユニット44は、少なくともアンテナ、メモリ、および任意にはマイクロプロセッサを備える。
【0053】
各アンテナの放射帯場は、少なくとも
前記アンテナの第2の通信ユニット44の対向側の位置58と、
前記アンテナの第2の通信ユニットの対向側の前記位置58に隣接する少なくとも1つの位置58と
を対応範囲に含む。
【0054】
さらに具体的には、各アンテナの放射帯場は、アンテナの磁場の強度および形態に基づきアンテナ付近の位置58を対応範囲に含む。
【0055】
各アンテナは、2つの状態を、すなわち前記アンテナが作動される第1の状態と、アンテナが作動停止される第2の状態とをさらに備える。作動されたアンテナは、所定のインピーダンスおよび所定の周波数で共振することが可能なアンテナである。所定のインピーダンスは、例えば50オーム(Ω)に相当し、所定の周波数は、例えば13.56メガヘルツ(MHz)に相当する。したがって、作動されたアンテナの共振周波数は、前記アンテナの作動周波数に近いものとなる。作動停止されたアンテナは、所定の周波数にて共振することが不可能なアンテナである。アンテナの作動停止は、例えば前記アンテナのループを開くか、またはその共振周波数における前記アンテナのインピーダンスが前記アンテナの虚数(または無効)成分よりもはるかに低い実数(または抵抗)成分を有するようにアンテナを離調することによって実施される。
【0056】
図1図3に示す実施形態では、各第2の通信ユニット44が、対応する引き出しユニット30の引き出し42に対して固定される。さらに具体的には、各第2の通信ユニット44が、対応する位置58の引き出し42の底部56の下方に固定される。
【0057】
一代替形態では、各第2の通信ユニット44が、対応する引き出しユニット30の支持体40に対して固定される。各引き出しユニット30は、サテライトをさらに備える。サテライトは、第2の通信ユニット44を収容するケースである。サテライトは、前記引き出しユニット30の引き出し42の直下において前記引き出しユニット30の支持体40に対して固定される。引き出し42が閉じられた場合に、前記第2の通信ユニット44は、対応する位置58の対向側に位置し、したがって該当する場合には対応する位置58内に位置決めされた第1の通信ユニット14との通信が可能となる。引き出し42が開状態にある場合には、前記第2の通信ユニット44は、引き出し42と共には移動されず、結果として対応する位置58に位置決めされた第1の通信ユニット14との通信が不可能となる。
【0058】
また、任意には、各引き出しユニット30が、プレートを備える。
【0059】
各プレートが、すべての第2の通信ユニット44から発せられる電波の通過を防止し得る。各プレートは、例えば金属から作製される。
【0060】
各プレートが、各引き出しユニット30の引き出し42の底部56の下方、かつ前記引き出しユニット30の引き出し42の底部56に位置する位置58に対応する第2の通信ユニット44の下方に位置決めされる。したがって、各第2の通信ユニット44は、前記第2の通信ユニット44の上方に位置決めされた第1の通信ユニット14のみとの通信に適したものとなる。
【0061】
ベース32は、引き出しユニット30のスタック38の最下引き出しユニット30と組み立てられる。これを目的として、ベース32は、少なくとも第3の組立部材を備える上方端部62を備える。各第3の組立部材が、第1の組立部材51と同一である。スタック38の最後の引き出しユニット30の第2の組立部材52は、ベース32の第3の組立部材と組み合わされ、それによりスタック38を閉じることが可能となる。
【0062】
処理ユニット33は、各第2の通信ユニット44に対して接続される。
【0063】
処理ユニット33は、2つの通信ユニット44からの情報を処理することが可能である。具体的には、データ処理ユニット33は、前記アンテナの第2の通信ユニット44の対向側の位置が要素12により占有されているか否かを、および該当する場合には前記要素12に関する情報を判定するために、制御法則にしたがって各第2の通信ユニット44のアンテナの作動および作動停止を命ずることが可能である。
【0064】
さらに具体的には、位置58に対応する各第2の通信ユニット44ごとに、制御法則は、各第2の通信ユニット44のアンテナが前記アンテナに隣接するアンテナの時間間隔とは異なる時間間隔で作動されるように、前記第2の通信ユニット44のアンテナの作動と、前記アンテナに隣接するもしくは前記アンテナの対向側に位置する、すなわちより一般的には前記アンテナの付近に位置するアンテナの作動停止とを並行的に命ずるように選択される。
【0065】
制御法則は、各第2の通信ユニット44が、前記第2の通信ユニット44に隣接する第2の通信ユニット44のアンテナにより発せられる波と干渉することなく、対応する位置58に位置決めされた任意の第1の通信ユニット14との通信を行うことを可能にするのに適したものである。したがって、各第2の通信ユニット44のアンテナは、前記第2の通信ユニット44に隣接する第2の通信ユニット44に基づき確立された時間間隔で作動および作動停止される。
【0066】
制御法則は、各第2の通信ユニット44のアンテナの位置と前記アンテナの放射帯場とに応じて決定される。
【0067】
例えば、各アンテナの放射帯場が、そのアンテナの対向側の位置58と、前記位置58に隣接する(横に、上方に、下方に、および対角線方向に)位置58とを対応範囲に含むことが推定される。干渉を伴わずに所与の第2の通信ユニット44の干渉を確保するために、制御法則は、前記第2の通信ユニット44に隣接する位置の対向側の第2の通信ユニット44のアンテナの既定の持続期間にわたる作動停止と、前記第2の通信ユニット44のアンテナの作動とを命じる。同命令は、他の第2の通信ユニット44に対して異なる時間間隔で繰り返される。
【0068】
別の例では、制御法則は、アンテナのセットの作動停止と、種々の時間間隔での各アンテナの1つずつの作動とを命ずる。さらに別の例では、制御法則は、相互に対向側に位置しないアンテナを選択することにより引き出しユニット30ごとに1つのみのアンテナの作動と、すべての他のアンテナの作動停止とを命ずる。
【0069】
処理ユニット33は、アンテナのセットにより通信された情報に基づき、各アンテナにより収集された情報に対応する位置を決定することがさらに可能である。
【0070】
実際に、各アンテナの放射帯場が、前記アンテナに対応する位置58に加えて少なくとも1つの他の隣接する位置58を対応範囲に含むことにより、処理ユニットは、各アンテナにより収集された情報の出所を判定するように構成される。
【0071】
例えば、アンテナが、引き出し42の下方に配置されることと、各アンテナの放射帯場が、アンテナの対向側の(したがってアンテナの上方の)位置58およびアンテナに隣接しアンテナの底部にて引き出し42内に位置する(したがってアンテナの下方の)位置58を対応範囲に含むこととが推定される。処理ユニット33は、隣接し合うアンテナにより収集された情報を比較することと、それにより各アンテナの対向側の位置に対応する情報を判定することとが可能である。この例では、第1の位置58の対向側の第1のアンテナは、第1の信号Aおよび第2の信号Bを検出し、第1のアンテナの直下の第2の隣接するアンテナが、第2の信号Bおよび第3の信号Cを検出するものと推定する。処理ユニット33は、第1のアンテナおよび第2のアンテナのそれぞれにより検出された第2の信号Bが、第1の位置に位置決めされた要素12の第1の通信ユニット14から来ていることを判定する。処理ユニット33は、第1の信号Aが、第1の位置58に隣接するおよびその直上に位置する位置58に位置決めされた要素12の第1の通信ユニット14から来ていることをさらに判定する。また、処理ユニット33は、第3の信号Cが、第1の位置58に隣接するおよびその直下に位置する位置58に位置決めされた要素12の第1の通信ユニット14から来ていることを判定する。
【0072】
一般的に、制御法則は、処理ユニット33が、各アンテナにより収集された情報に対応する位置58を確実に判定するように選択される。
【0073】
オプションの追加事項として、処理ユニット33は、各アンテナから発せられているRSSI(帰還信号強度)と呼ばれる信号の強度の根拠を示すことが可能である。実際に、アンテナが第1の通信ユニットに対してより近い程、RSSIはより良好になる、すなわちRSSIは高くなる。例えば、0~7のRSSIに関して、「7」は、アンテナが第1の通信ユニットに対して可能な限り近くに位置することを意味し、「0」は、アンテナがいかなる信号も検出していないことを意味する。
【0074】
例えば、デバイス22が6個の引き出しユニット30、5個のアンテナ、および第3の引き出しユニット30内に位置決めされた1個の第1の通信ユニット14を備える場合には、RSSIは、{3、6、7、2、0}であり得る。
【0075】
例えば、第1の通信ユニット14を見つけるために、処理ユニット33は、前記第1の通信ユニット14が最高のRSSIを有する2つのアンテナの間に位置することを考慮し得る。代替的には、処理ユニット33は、取得されたRSSIに基づき加重平均計算またはk平均計算を実施することにより前記第1の通信ユニット14を判定し得る。
【0076】
最後に、処理ユニット33は、各位置58の占有状態と、該当する場合には前記情報から前記位置58に位置決めされた要素12の状態とを判定し得る。
【0077】
例えば、2つの判定される状態、すなわち「有効」状態および「無効」状態が存在する。要素12は、要素12に関する情報が仕様に従ったものである場合に「有効」と見なされ、他の場合には「無効」と見なされる。
【0078】
したがって、処理ユニット33は、保管デバイス22の瞬間画像、すなわちどの要素12がどの位置58に位置するかと、前記要素12のそれぞれに関する情報とを有する。また、処理ユニット33は、デバイス22に関する各要素12の入庫日および出庫日のログを備える。
【0079】
任意には、処理ユニット33は、該当する場合には、第1の通信ユニット14に含まれる情報の第2の通信ユニット44による更新を逐次行うことが可能である。
【0080】
任意には、処理ユニット33は、各位置58の占有状態と、該当する場合には前記位置58に対応する要素12の状態とに基づき警告を発することが可能である。例えば、処理ユニット33が、同一の位置58が2つ以上の要素12を備えると判定した場合には、処理ユニット33は、警告を発する。
【0081】
次に、設備10に組み込まれたデバイス22の動作を説明する。
【0082】
処理ユニット33は、制御法則にしたがって各第2の通信ユニット44のアンテナの作動および作動停止を命ずる。これにより、各第2の通信ユニット44のアンテナは、該当する場合には対応する位置58の要素12に関する情報を収集し得る。処理ユニット33は、前記情報から、要素12が占有する位置58と、該当する場合には要素12の状態とを判定する。場合に応じて、処理ユニット33は、警告を作動させるかまたは警告を作動させない。
【0083】
したがって、デバイス22により、デバイス22内に保管された要素12の状態と、引き出しユニット30の位置58の占有率とを確実に確認することが可能となる。
【0084】
具体的には、制御法則に基づくアンテナの作動および作動停止により、信号同士の間の干渉を軽減することが可能となり、これにより、第1の通信ユニット14に格納された情報の読取りが改善される。
【0085】
さらに、対応する引き出しの下方へのリーダのこの特定の位置決めによって、より低いバルク性を実現することが可能となる。
【0086】
したがって、デバイス22は、保管エリアを取り散らかすことなく要素12の状態を確実に確認することを可能にする、要素を保管するためのデバイスとなる。
【0087】
さらに、デバイス22の引き出しユニット30の組立および分解が容易になる。デバイス22のかかるコンフィギュアビリティにより、スタック38の引き出しユニット30の個数を修正することによって、多数の設備10に対してこのデバイス22を適合させることが可能となる。
【0088】
さらに、引き出しユニットのスタックが、複数の引き出しよりもはるかに軽量かつよりコンパクトになり、したがって操作および設置がより容易になる。
【0089】
さらに、製造の観点から、それぞれ異なるフォーマットを有する大量のキャビネットよりも大量の同一の引き出しユニット30が製造される。これにより、スケールメリットが達成され、在庫管理が簡素化され、メンテナンスが単純化され得る。
【0090】
さらに、デバイスは、RFID技術をまだ有さない設備10に対しても適合可能である。
【0091】
さらに、バルク性の低下により、設備10がより多数の要素12を収容する構成を考慮することが可能となる。
【0092】
さらに、設備10および/またはデバイス22の製造が容易になる。
【0093】
最後に、各引き出しユニット30がサテライトを備える代替形態では、サテライトは、単体ユニットであり、したがって故障した場合の交換が容易となる。
【符号の説明】
【0094】
10 設備
12 要素
14 第1の無線通信ユニット
20 筐体
22 保管デバイス
24 内方コンパートメント
30 引き出しユニット
32 ベース
33 処理ユニット
38 スタック
40 支持体
42 引き出し
44 第2の通信ユニット
45 ハウジング
46 上方端部
48 下方端部
49 接続部
51 第1の組立部材
52 第2の組立部材
56 底部
58 位置
59 リム
60 小仕切り
62 上方端部
図1
図2
図3
図4