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特許7257959食品又は飲料を収容及び運ぶための携帯用手持ち式装置、並びに温度を制御するための方法
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  • 特許-食品又は飲料を収容及び運ぶための携帯用手持ち式装置、並びに温度を制御するための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-06
(45)【発行日】2023-04-14
(54)【発明の名称】食品又は飲料を収容及び運ぶための携帯用手持ち式装置、並びに温度を制御するための方法
(51)【国際特許分類】
   A47J 41/00 20060101AFI20230407BHJP
   B65D 25/20 20060101ALI20230407BHJP
   B65D 81/38 20060101ALI20230407BHJP
【FI】
A47J41/00 305
A47J41/00 302
B65D25/20 K
B65D81/38 F
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019541846
(86)(22)【出願日】2017-10-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-11-07
(86)【国際出願番号】 DE2017100878
(87)【国際公開番号】W WO2018072787
(87)【国際公開日】2018-04-26
【審査請求日】2020-10-12
(31)【優先権主張番号】102016012323.0
(32)【優先日】2016-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518212311
【氏名又は名称】ペルツァー,フランク
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ペルツァー,フランク
(72)【発明者】
【氏名】アムライン,マティーアス
(72)【発明者】
【氏名】ラインデルス,モールッツ
【審査官】川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第2691425(CN,Y)
【文献】実開平3-041616(JP,U)
【文献】特開2013-74950(JP,A)
【文献】特開平9-206226(JP,A)
【文献】実開昭64-23933(JP,U)
【文献】特開昭53-95355(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0219724(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 41/00-41/02
B65D 23/00-25/56
B65D 67/00-79/02
B65D 81/18-81/30
B65D 81/38
B65D 85/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品又は飲料を収容空間内に収容するように設定され、前記収容空間を囲む、内壁及び外壁、並びに、それらの間に配置された、密閉構造でかつ排気されている遮断空間を含む断熱容器と、
前記断熱容器の容器開口部を閉じるように設定された容器蓋と、を含み、
作動媒体は、前記遮断空間内に配置され、外部から前記外壁を介して供給される熱エネルギーによって、前記作動媒体が固体状態であり、前記外壁と物理的に接触しており、前記内壁と物理的に接触していない断熱初期状態と、前記作動媒体の少なくとも一部が流体状態であり、膨張しており、前記外壁及び前記内壁の両方と熱伝導接触している熱伝導状態と、の間で可逆的な方法で転移することができ、
前記外壁は、少なくとも部分的に、前記外壁の基部の外部の領域の材料よりも高い熱伝達率を有する壁材料であって、前記外壁の基部の外部の領域の材料とは異なる壁材料を前記基部に含み、
前記外壁の基部及び/又は前記内壁の基部は、表面拡大壁構造を含む、食品又は飲料を収容及び運ぶための携帯用手持ち式装置。
【請求項2】
前記熱伝導状態において、前記作動媒体は、前記内壁の基部及びそれに当接する前記内壁の側壁部、並びに前記外壁の基部及びそれに当接する前記外壁の側壁部と物理的に接触していることを特徴とする、請求項1に記載の携帯用手持ち式装置。
【請求項3】
前記熱伝導状態において、前記作動媒体の物理的接触は、前記内壁の基部及び前記外壁の基部に限定されることを特徴とする、請求項1に記載の携帯用手持ち式装置。
【請求項4】
前記熱伝導状態において、前記作動媒体の物理的な接触は、前記内壁の基部及び/又は前記外壁の基部を完全に覆うように設計されることを特徴とする、請求項1~3の少なくとも1項に記載の携帯用手持ち式装置。
【請求項5】
前記熱伝導状態において、前記遮断空間は、本質的に、気体状態の作動媒体を含まない、ことを特徴とする請求項1~4の少なくとも1項に記載の携帯型手持ち式装置。
【請求項6】
前記内壁及び前記外壁は、金属、ガラス、及びプラスチックからなる群のうちの一つの材料で作られることを特徴とする、請求項1~5の少なくとも1項に記載の携帯型手持ち式装置。
【請求項7】
断熱状態において、前記作動媒体の少なくとも一部は、前記表面拡大壁構造内に収容されることを特徴とする、請求項に記載の携帯用手持ち式装置。
【請求項8】
断熱状態から前記熱伝導状態に前記作動媒体を運ぶため、及び収容空間内の前記食品又は前記飲料を加熱するために、前記外壁を介して前記作動媒体に熱エネルギーを供給するように設計された前記断熱容器に接するように、加熱装置が配置されることを特徴とする、請求項1~の少なくとも1項に記載の携帯用手持ち式装置。
【請求項9】
前記加熱装置は、ポジティブロック方式で前記断熱容器に接するように配置されることを特徴とする、請求項に記載の携帯用手持ち式装置。
【請求項10】
前記加熱装置は、前記外壁の領域において前記断熱容器に接するように配置されることを特徴とする請求項又はに記載の携帯用手持ち式装置。
【請求項11】
動作中の前記加熱装置を制御するように設定された制御装置が備えられていることを特徴とする、請求項10の少なくとも1項に記載の携帯用手持ち式装置。
【請求項12】
前記制御装置と機能的に対をなすセンサ装置が備えられ、前記制御装置は、前記センサ装置のセンサ信号に応じて前記加熱装置を制御するように設定されることを特徴とする請求項11に記載の携帯型手持ち式装置。
【請求項13】
断熱容器の収容空間内に、食品又は飲料に関する、温度制御されるべきものを供給する工程であって、前記断熱容器は、前記収容空間を囲む、内壁及び外壁、並びに、それらの間に配置された、密閉構造でかつ排気されている遮断空間と含み、前記断熱容器の容器開口部を閉じるように設定された容器蓋を備えている、工程と、
加熱装置による熱エネルギーの供給工程と、
前記断熱容器の前記外壁への前記熱エネルギーの伝達工程と、
前記熱エネルギーによって前記温度制御されるべきものを加熱する工程と、を含み、
前記遮断空間内に配置される作動媒体は、前記熱エネルギーによって加熱され、
前記作動媒体は、前記作動媒体が固体状態であり、前記外壁と物理的に接触しており、前記内壁と物理的に接触していない断熱初期状態から、前記作動媒体の少なくとも一部が流体状態であり、膨張しており、前記外壁及び前記内壁の両方と熱伝導接触している熱伝導状態へ可逆的な方法で転移し、その結果、前記熱エネルギーは、流体の作動媒体を介して前記内壁に伝達され、そこから前記温度制御されるべきものに伝達され、
前記外壁は、少なくとも部分的に、前記外壁の基部の外部の領域の材料よりも高い熱伝達率を有する壁材料であって、前記外壁の基部の外部の領域の材料とは異なる壁材料を前記基部に含み、
前記外壁の基部及び/又は前記内壁の基部は、表面拡大壁構造を含む、携帯手持ち式装置において食品又は飲料の温度を制御するための方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、食品又は飲料を収容及び運ぶための携帯用手持ち式装置、並びに温度を制御するための方法に関する。
【0002】
〔背景〕
このような手持ち式装置は、食品又は飲料を収容し、それらを運ぶために使用される。手持ち式装置は、断熱容器と、断熱容器の容器開口部を閉じるのに適した容器蓋とを備える。このような携帯用手持ち式装置には、例えば、断熱容器を備えた魔法瓶及び魔法瓶フラスコ又は調理器具が含まれる。
【0003】
米国特許出願公開第2006/0219724A1号明細書から、断熱容器を含み、真空で密閉された空間として内壁と外壁との間に形成された遮断空間内に、作動媒体が配置された調理器具が知られている。作動媒体は、遮断空間内の外壁の基部に配置される。外部から熱が供給されると、作動媒体は、ガス粒子が遮断空間内で上昇して内壁と外壁との間の遮断空間の側面領域に到達するように、ガス状態に変化する。ガス粒子は、外壁と内壁との間の熱伝達を可能にする。熱エネルギー供給が再び遮断されると、ガス粒子は凝縮する。
【0004】
内側ポット及び外側ポットと、それらの間に形成された空間と、を有する別の調理器具が、文献WO96/16526A1に開示されている。外部から熱を供給する場合、内側ポットと外側ポットとの間の空間に熱ブリッジが形成され、内側ポットに向かう熱伝達を可能にする。熱ブリッジの形成は、不可逆的な方法で行われる。
【0005】
〔概要〕
本発明の目的は、食品又は飲料を収容及び運ぶための携帯型手持ち式装置、並びに温度を制御するための方法を提供することであり、これを使用して、断熱容器内での食品又は飲料の加熱、及び食品又は飲料の断熱が、携帯型手持ち式装置の場合に効率的な方法で可能になる。
【0006】
目的は、独立請求項1に記載の食品又は飲料を収容及び輸送するための携帯用手持ち式装置、並びに独立請求項15に記載の携帯用手持ち式装置における食品又は飲料の温度を制御するための方法によって解決される。従属請求項の内容は、代替の実施形態に関する。
【0007】
一態様によれば、断熱容器と、断熱容器の容器開口部を閉じるように設定された容器蓋と、を含む、食品又は飲料を収容し、温度を制御するための携帯型手持ち式装置が創作される。断熱容器は、収容空間に食品又は飲料を収容するように設定される。断熱容器は、収容空間を囲む、内壁及び外壁、並びに、それらの間に配置された、密閉構造でかつ排気されている遮断空間を含む。遮断空間内には、外部から外壁を介して供給される熱エネルギーによって、作動媒体が固体状態であり、外壁と物理的に接触しており、内壁と物理的に接触していない断熱初期状態と、作動媒体の少なくとも一部が流体状態であり、膨張しており、外壁と内壁の両方と物理的に接触している熱伝導状態と、の間で可逆的に転移することができる作動媒体が配置される。
【0008】
別の態様によれば、携帯型手持ち式装置において食品又は飲料の温度を制御するための方法が創作される。この方法の場合には、断熱容器の収容空間に、温度制御され、食品又は飲料に関するものが備えられる。断熱容器は、収容空間を囲む、内壁及び外壁、並びに、それらの間に配置された、密閉構造でかつ排気されている遮断空間を含む。断熱容器の容器開口部を閉じるように設定された容器蓋が備えられている。この方法の場合には、熱エネルギーは、加熱装置によって与えられる。熱エネルギーは、断熱容器の外壁に伝達される。温度制御されるべきものは、熱エネルギーによって加熱され、ここで、遮断空間内に配置された作動媒体は、熱エネルギーによって加熱される。これにより、作動媒体は、断熱初期状態から熱伝導状態へ可逆的な方法で転移する。断熱初期状態では、作動媒体は固体状態であり、外壁と物理的に接触しており、内壁と物理的に接触していない。熱伝導状態では、作動媒体の少なくとも一部は、流体状態にあり、膨張しており、外壁及び内壁の両方と物理的に接触し、それによって、熱エネルギーは、熱伝導によって、外壁から内壁へ、流体の作動媒体を介して、そこから、熱制御されるべきものへ伝達される。
【0009】
作動媒体が、作動媒体が固体状態であり、外壁と物理的に接触しており、少なくとも外壁の基部の領域に配置され、内壁と物理的に接触していない、断熱初期状態の間で、可逆的な方法で、外壁を介して外部から熱エネルギーを供給することによって、作動媒体の少なくとも一部が流体状態であり、膨張しており、少なくとも内壁の基部の領域において、外壁及び内壁の基部の両方と熱伝導接触している、熱伝導状態に転移することができる。
【0010】
容器蓋は、このようにして蓋領域における断熱容器の断熱効果も支持するために、断熱蓋として設計することができる。容器蓋は、断熱容器の上にねじ止め又は旋回可能に配置することができる。これに加えて、又はこれに代えて、断熱容器を閉じるために容器蓋が容器開口部に配置されている場合には、摩擦接続を与えることができる。これは、取り外し可能なカバーに関するものであってもよい。
【0011】
断熱容器の外壁は、携帯型手持ち式装置の外壁を形成することができる。
【0012】
熱伝導状態では、流体の作動媒体を介して、外壁から内壁へ、そこから食品又は飲料へ供給された熱エネルギーによる熱伝達は、このようにして加熱でき、行われる。作動媒体の膨張及び液体状態への転移は可逆的であり、その結果、熱エネルギーの供給を終了する場合、作動媒体は固体状態に戻り、これにより、内壁への熱伝導接触が再び中断される。作動媒体は、断熱初期状態に戻る。食品又は飲料の加熱された状態は、ここで、断熱容器によって断熱される。
【0013】
作動媒体は、以下の群:パラフィン及びパラフィン誘導体のうちの一つの材料であり得る。作動媒体は、流体状態の作動媒体の熱伝導を支持する1つ又は複数の充填材、例えばチタン屑をさらに含むことができる。充填材は、例えば、Hollowlite社から入手可能である担体材料、例えば、「中空ガラス球」の膨張を支持することもできる。さらに、作動媒体の蒸気圧を低下させるために、又は作動媒体を低レベルに維持するために、充填材を備えることができる。
【0014】
熱エネルギーを供給することによって形成可能な作動媒体の熱伝導状態は、作動媒体が少なくとも部分的に流動状態にあり、作動媒体が内壁及び外壁の両方と物理的に接触している場合に確立される。
【0015】
断熱容器は、外壁上に、例えばシリコーンなどのプラスチック材料の断熱材料のコーティングを含むことができる。
【0016】
熱伝導状態では、作動媒体は、内壁の基部及びそれに当接する内壁の側壁部、並びに外壁の基部及びそれに当接する外壁の側壁部と物理的に接触することができる。内壁及び/又は外壁の側壁部の領域において、流体の作動媒体の物理的接触は、縁部領域において基部に直接当接する側壁部に限定することができる。
【0017】
熱伝導状態では、作動媒体の物理的接触は、内壁の基部及び外壁の基部に限定することができる。物理的接触は、このようにして、両方の基部間の接触に限定される。
【0018】
熱伝導状態では、作動媒体の物理的接触は、内壁の基部及び/又は外壁の基部を完全に覆うように設計することができる。代替として、熱伝導状態における作動媒体の物理的接触は、内壁の基部の一部の領域のみ、及び/又は外壁の基部の一部の領域のみを覆うことができる。
【0019】
熱伝導状態では、遮断空間は、本質的に、気体状態の作動媒体を含まないことができる。熱伝導状態においても、熱非伝導性固体状態においても、断熱空間は、本質的に、気体状態の作動媒体を含まなくてもよい。これにより、排気された遮断空間の汚染を回避することができる。
【0020】
内壁及び外壁は、金属、ガラス、及びプラスチックの群のうちの一つの材料から作ることができる。外壁に熱エネルギーを供給することに耐える耐熱性材料を使用することができる。収容空間内の食品を調理する、又は飲料を煮る限り、熱エネルギーの供給が結果として生じることができる。断熱容器の壁は、1つ又は複数の適合性のある材料で作ることができ、特に、材料の結合を可能にし、遮断空間の密閉された、排気された形態を可能にする。
【0021】
外壁は、少なくとも部分的に、外壁の基部の外部の領域において壁材料とは異なる別の材料よりも高い熱伝達率を有する、基部上の壁材料を含むことができる。加えて、又は代替として、そのような実施形態を内壁に設けることができる。異なる熱伝達率は、異なる材料を使用することによって構成することができる。加えて、又は代替として、対応する壁部分の内側又は外側にコーティングを備えることができ、前記コーティングは、異なる熱伝達挙動をなすために使用される。例えば、基部内の外壁が熱を吸収し、それをより効率的に伝達し、すなわち、作動媒体が少なくとも断熱状態で配置される領域内に備えることができる。耐熱性及び/又は耐火性の材料を使用することができる。
【0022】
外壁の基部及び/又は内壁の基部は、表面拡大壁構造を有することができる。表面拡大壁構造は、1つ又は複数の基部の窪み及び/又は1つ又は複数の壁の突起を含むことができる。したがって、壁構造は規則的な配置を形成することができる。例えば、基部及び外壁は、中心から半径方向に外側に向かって伸びる窪みを含んでいてもよく、これらの窪みは、互いに同一又は異なる距離で円周方向に配置される。
【0023】
断熱状態では、作動媒体の少なくとも一部を表面拡大壁構造に収容することができる。断熱状態では、作動媒体の少なくとも一部を、表面拡大壁構造の窪み内に配置することができる。断熱容器が直立容器に関する場合、流体の作動媒体は、重力により外部からの熱エネルギー供給を終了した後、自動的に窪みに蓄積され、再び固体状態になり、窪みは、基部に蓄積する作動媒体の均一な分布を与えるように設定することができる。一実施形態では、「接続された容器」の原理を使用することができる。
【0024】
断熱容器には加熱装置を配置することができ、この加熱装置は、断熱状態から熱伝導状態に作動媒体を運ぶため、及び収容空間内の食品又は飲料を加熱するために、外壁を介して作動媒体に熱エネルギーを供給するように設定される。加熱装置は、収容空間内で食品を調理する、又は飲料を煮る限り、熱エネルギーを与えるように設定することができる。例えば、電気加熱装置又はガス燃焼加熱装置を備えることができる。例えば、燃料カプセルを燃焼させるために、固形燃料燃焼装置を備えることもできる。加熱装置は、取り外し可能な方法で断熱容器上に配置することができる。加熱装置は、単一の携帯用手持ち式装置が構成されるように、断熱容器上に収容することができる。例えば、断熱容器及び加熱装置は、携帯用魔法瓶又は魔法瓶フラスコを構成することができる。
【0025】
加熱装置は、積極的に固定するように(in a positive-locking manner)断熱容器上に配置することができる。積極的に固定するように断熱容器上に加熱装置を配置する場合、表面拡大壁構造が、積極的に固定するように加熱装置上の関連する表面構造に係合するようにすることができる。正施錠嵌合は、部分的に又は完全に確立することができる。
【0026】
加熱装置は、外壁の基部の領域において断熱容器上に配置することができる。加熱装置は、断熱容器にねじ止めすることができ、及び/又はクリック蓋によって取り付けることができる。代替的に又は追加で、プラグ接続を備えることができる。
【0027】
動作中の加熱装置を制御するように意図された制御装置を設けることができる。特に、加熱装置の制御は、供給される熱エネルギーを発生させる場合に行われる。制御は、熱エネルギー出力の制御を含むことができる。スイッチオン及び/又はスイッチオフの時点は、制御装置によって、例えば、トリガー刺激によって、加熱装置のために制御することができる。ここで、プログラムできる制御装置が関与し得る。制御装置は、少なくとも制御信号の受信を遠隔制御のために可能にするトランシーバに連結することができる。例えば、そのようなリモートコントロールは、携帯コンピュータ又は携帯電話にインストールされたソフトウェアアプリケーションの助けを借りて実行することができる。制御情報は、現在の動作状態又は制御状態に関する情報を提供され、動作中に1回又は数回、制御装置によって送信されるようにすることができる。このような遠隔制御と組み合わせて、又はこれなしで、制御装置が加熱工程を構成するためにプログラム可能なようにすることができる。この目的のために、ユーザ入力は、制御装置によって取り込まれることができる。
【0028】
制御装置と機能的に対をなすセンサ装置を備えることができ、制御装置は、センサ装置のセンサ信号に応じて加熱装置を制御するように設定される。センサ装置は、断熱容器の収容空間のための動作パラメータ、例えば、圧力及び/又は温度を取り込むように設定することができる。センサ装置は、所望の動作パラメータを測定することができるように、収容空間内及び/又は収容空間上に配置することができる。このようにして取り込まれたセンサ信号は、加熱装置の動作を制御できるようにこれらを処理するために、有線式であっても無線式であっても、制御装置に送信することができる。位置に応じて加熱装置の動作を可能にするか又は阻止するように設定された傾斜センサを備えることができる。例えば、センサ装置が断熱容器がその側部にあることを示している場合、加熱装置の動作をこのようにして防止することができ、一方、傾斜センサは、断熱容器が直立位置にある場合、加熱装置のスイッチを入れることを可能にする。
【0029】
遮断空間には、ゲッターを配置することができる。これは、真空を可能な限り長く維持するために使用される化学反応性材料に関する。
【0030】
把持装置は、断熱されたグリップとして形成された把持部を有する断熱容器の外側、例えば、外側の殻上に配置することができる。
【0031】
圧力調理器は、携帯用手持ち式装置を備えることができる。
【0032】
本明細書に関して、様々な状態の作動媒体が物理的に接触するか、又は物理的接触に関わる基部は、加熱装置が熱エネルギーを放出する容器の壁の一部である。一実施形態では、これは、断熱容器上に形成された起立面と必ずしも一致する必要はないが、可能である。
【0033】
携帯用手持ち式装置における食品又は飲料の温度を制御する方法に関連して、携帯用手持ち式装置についての前述の説明が、対応して適用される。この方法の場合、温度制御されるべきものを加熱した後、エネルギーの供給を停止し、それによって流体の作動媒体が固体状態に戻るようにすることができる。これにより、熱伝導状態で確立された液体の作動媒体の内壁との物理的接触が再び中断され、断熱状態が再び確立される。
【0034】
〔例示的な実施形態の説明〕
以下、図面の図を考慮して他の例示的な実施形態を説明する。図は以下を示す。
【0035】
図1〕作動媒体が断熱状態にある、断熱容器を有する携帯用手持ち式装置の概略断面図である。
【0036】
図2〕作動媒体が液体状態にあり、膨張した熱伝導状態にある、図1の携帯用手持ち式装置の概略断面図である。
【0037】
図3〕作動媒体が再び断熱初期状態にある、図1の携帯用手持ち式装置の概略断面図である。
【0038】
図4〕断熱容器の概略斜視図である。
【0039】
図5図3の断熱容器の別の部分斜視図である。
【0040】
図6〕断熱容器の基部の斜視図である。
【0041】
図1図3は、断熱容器2と、断熱容器2の容器開口部4を閉じる容器蓋3とを有する携帯用手持ち式装置1の概略断面図を示す。例えば、魔法瓶又は調理器具は、携帯用手持ち式装置1を備えることができる。
【0042】
断熱容器2の場合、内壁5及び外壁6が収容空間7を囲み、その中に、温度制御されるべき液体又は固体のもの8、例えば食品又は飲料が収容される。
【0043】
内壁5及び外壁6は、密閉構造であり、排気されている遮断空間9を囲んでいる。排気によって、断熱容器又はデュワー瓶について知られているように、真空が確立される。
【0044】
図1によれば、固体状態の作動媒体11は、外壁6の基部10に配置され、示した図面において、作動媒体11は、外壁6の基部10を完全に覆うように配置される。図1において、断熱状態の作動媒体11は、外壁6の基部10と物理的に接触している。しかしながら、作動媒体11は、内壁5の基部12から間隔があいている、すなわち物理的に接触していない。
【0045】
収容空間7内で温度制御されるべきもの8を加熱するために、熱エネルギーが外部から外壁6に供給され、その結果、作動媒体11は、図2のように液化され、その体積に関して膨張し、その結果、内壁5の基部12との接触が確立される。示した例示的な実施形態の場合、接触は、内壁5の基部12と外壁6の基部10とに直接当接する側壁部分13、14の領域内に伸びている。代替として、接触は、基部10、12の領域に限定することができ、これらは、接触によって部分的に又は完全に覆うことができる。
【0046】
側壁部分13、14の領域内には、作動媒体を収容する遮断空間2内の下部部分空間と、作動媒体11のない上部部分空間とを分離する仕切り壁(図示せず)を備えることができる。両方の部分空間は排気され、代替として、部分空間のうちの1つだけも排気される。仕切り壁は、内壁5と外壁6との間の遮断空間2内で水平に伸ばすことができる。仕切り壁は、作動媒体11に対して不浸透性であってもよい。仕切り壁は、図に示す例示的な実施形態に限定されず、色を有して設計することができる。
【0047】
液化物11の上方の領域15は、作動媒体11がないままである。内壁5と外壁6との間の作動媒体11のために確立される接触を介し、ここで、外壁6を介した外部からの熱エネルギーを内壁5に伝達することができ、そこから、温度制御されるべき品物8を調理するまでの範囲の温度制御されるべきもの8に伝達することができる。
【0048】
加熱工程が終了すると、熱エネルギーの供給が終了する。この後、図3によれば、作動媒体11は再び断熱初期状態に戻り、作動媒体11は固体状態で内壁5の基部12と接触することなく外壁6の基部10上に配置される。この状態で、排気された遮断空間9は、その断熱効果を再び完全に広げることができる。
【0049】
作業媒体11としては、例えば、パラフィン又はパラフィン誘導体の材料が用いられる。
【0050】
図3には、熱エネルギーを発生し、示した例示的な実施形態では、外壁6の基部10で熱エネルギーを放出するように設定された加熱装置20が模式的に示されている。
【0051】
図4図6は、図1図3の断熱容器2と同じ特徴で設計することができ、携帯用手持ち式装置の構成要素とすることができる二重壁断熱容器30の実施形態の模式図を示す。断熱容器30は、(図1図3の実施形態の場合と同様に)基部領域31内に表面拡大壁構造32を含み、これは(遮断空間9内の)翼状窪み33の間に内側窪み34を形成する。断熱容器30が加熱装置(図示せず)と組み合わされる場合、加熱装置が積極的に固定するように壁構造に係合するようにできる。
【0052】
前述の説明、特許請求の範囲、及び図面に記載された本発明の特徴は、個々にも、いかなる組み合わせにおいても、様々な実施形態を実行するために重要であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】作動媒体が断熱状態にある、断熱容器を有する携帯用手持ち式装置の概略断面図である。
図2】作動媒体が液体状態にあり、膨張した熱伝導状態にある、図1の携帯用手持ち式装置の概略断面図である。
図3】作動媒体が再び断熱初期状態にある、図1の携帯用手持ち式装置の概略断面図である。
図4】断熱容器の概略斜視図である。
図5図3の断熱容器の別の部分斜視図である。
図6】断熱容器の基部の斜視図である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6