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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-06
(45)【発行日】2023-04-14
(54)【発明の名称】軸受監視/解析システム
(51)【国際特許分類】
   G01M 13/045 20190101AFI20230407BHJP
   F16C 17/03 20060101ALI20230407BHJP
   F16C 41/00 20060101ALI20230407BHJP
   F16N 29/00 20060101ALI20230407BHJP
   F16C 17/06 20060101ALI20230407BHJP
【FI】
G01M13/045
F16C17/03
F16C41/00
F16N29/00 Z
F16C17/06
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019564474
(86)(22)【出願日】2018-05-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-16
(86)【国際出願番号】 US2018033945
(87)【国際公開番号】W WO2018217794
(87)【国際公開日】2018-11-29
【審査請求日】2021-04-23
(31)【優先権主張番号】62/509,229
(32)【優先日】2017-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514177133
【氏名又は名称】ワウケシャ ベアリングズ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】WAUKESHA BEARINGS CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】ジョー、ジエ
(72)【発明者】
【氏名】ブレア、バリー
【審査官】森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-145712(JP,A)
【文献】特開平07-168619(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 13/00-99/00
F16C 17/03
F16C 41/00
F16N 29/00
F16C 17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.2つ以上のパッドを含む流体膜軸受と、
b.前記軸受に隣接して位置付けられるアコースティックエミッションセンサであって、前記流体膜軸受から前記2つ以上のパッドのうちの少なくとも1つの状態に関するデータを収集するように構成される、アコースティックエミッションセンサと、を含み、
前記流体膜軸受からデータを収集するように構成される2つのアコースティックエミッションセンサを含み、
第1のアコースティックエミッションセンサは、前記流体膜軸受の径方向表面と係合されるようにさらに画定され、
第2のアコースティックエミッションセンサは、前記流体膜軸受の軸面と係合されるようにさらに画定される
ことを特徴とする軸受監視/解析システム。
【請求項2】
前記第2のアコースティックエミッションセンサは、前記第1のアコースティックエミッションセンサに対しておよそ180度で位置付けられるようにさらに画定される
請求項1に記載の軸受監視/解析システム。
【請求項3】
a.2つ以上のパッドを含む流体膜軸受に隣接して筐体上にアコースティックエミッションセンサを位置付けるステップと、
b.前記アコースティックエミッションセンサを介して信号を収集するステップと、
c.前記信号を解析するステップと、
d.前記信号の解析から前記流体膜軸受の前記2つ以上のパッドのうちの少なくとも1つの状態に関する状態を認識するステップと、
e.前記状態に基づいて措置を通知するステップと、を含み、
前記流体膜軸受からデータを収集するように構成される2つのアコースティックエミッションセンサを含み、
第1のアコースティックエミッションセンサは、前記流体膜軸受の径方向表面と係合されるようにさらに画定され、
第2のアコースティックエミッションセンサは、前記流体膜軸受の軸面と係合されるようにさらに画定される
ことを特徴とする軸受の監視/解析方法。
【請求項4】
前記状態が、損傷の状態である
請求項1に記載の軸受監視/解析システム。
【請求項5】
前記第2のアコースティックエミッションセンサが、流体膜軸受のエンドプレートまたはキャリアリングに配置される
請求項1に記載の軸受監視/解析システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本PCT特許出願は、特許文献1の優先権を主張するものであり、この特許出願の内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、回転機器に関し、より具体的には、流体膜軸受および他の回転機器の非貫入型破損検出のための監視/解析システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
軸受の破損を検出するおよび/または性能を評価するための非貫入型の方法は、機器がまだ動作している間に、作業員が軸受に関する極めて重要な情報を収集可能にすることができるため、非常に需要が高い。軸受を点検するまたは修理するための高額な保守事象および/または損害の大きい操業停止を回避することによって、1つの施設において毎年何千ドルもの金額が節約可能になる。
【0004】
寿命がないように設計された流体膜軸受に関して、流体膜軸受表面の摩耗は、操業開始/操業停止、衝撃負荷、調整不良、端部荷重、残骸、侵食、腐食などの理由で発生する。パッド、ローブ、およびフェース(軸受表面)は、予定のまたは予定外の保守の間に摩耗について視覚的に点検されなければならない。流体膜軸受の摩耗が顧客の重大な用途および動作中の機械装置に対して非貫入式に検出可能である場合、機器の信頼度およびアップタイムを高めることができ、保守サイクルタイムは延長可能であり、予定外の操業停止、製造ロス、保守時間および尽力の増大などの思いがけないことが回避可能である。
【0005】
アコースティックエミッションは、やむを得ない外部から加えられる刺激による、材料内のソースからのエネルギーの敏速な排出の結果として生じた弾性波である。アコースティックエミッション信号は、5~1000kHzの範囲の弾性波または信号に相当し得るものであり、周波数範囲は、振動解析範囲より高く、超音波試験範囲より低いものであってよい。
【0006】
アコースティックエミッション監視および解析は、ある特定のタイプの機器の故障を検出するためにさまざまな分野で適用されている。例えば、特許文献1、特許文献2、および特許文献3は全て、回転要素軸受の故障を検出するためにアコースティックエミッションを使用することを開示している。しかしながら、アコースティックエミッション監視および解析は、流体膜軸受にこれから適用されなければならないものであり、この分野では、流体膜軸受の回転要素と静止要素との間に流体が連続的に存在することにより、アコースティックエミッション検出および解析は回転要素軸受のものと極めて本質的に異なっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】2017年5月22日出願の米国特許仮出願第62/509,229号
【文献】米国特許第4,884,449号
【文献】国際公開第2015178821号
【文献】国際公開第2013159840号
【発明の開示】
【0008】
本明細書の一部に組み込まれかつこれを構成する添付の図面は、実施形態を示しており、この記載と共に、方法およびシステムの原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】軸受監視/解析システムの例示的な実施形態の概略図
図2】軸受監視/解析システムの例示的な実施形態の斜視図
図3】軸受監視/解析システムの別の例示的な実施形態の斜視図
図3A】軸受監視/解析システムの別の例示的な実施形態の斜視図
図4】軸受監視/解析システムの別の例示的な実施形態の斜視図
図5】軸受監視/解析システムの別の例示的な実施形態の斜視図
図6】軸受監視/解析システムの別の例示的な実施形態の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の方法および装置について開示および説明する前に、方法および装置が、具体的な方法、具体的な構成要素、または特定の実装形態に限定されない。本明細書で使用される専門用語が特定の実施形態を説明する目的だけのものであり、限定を意図するものではない。
【0011】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、その文脈において別段明確に指し示していない限り、複数物への言及を含んでいる。「約」という1つの特定の値から、および/または「約」という別の特定の値までとしての範囲が、本明細書に説明され得る。このような範囲が表現される時、別の実施形態は、1つの特定の値から、および/または他の特定の値までを含む。同様に、値がその前に「約」とつけて使用することによって近似値として表現される時、特定の値が別の実施形態を形成することは理解されるであろう。範囲のそれぞれの終点が他の終点に関連しておよび他の終点と無関係に重要である。
【0012】
「オプション」または「オプションとして」は、後に説明されるイベントまたは状況が、生じ得るまたは生じない場合があること、および、上記のイベントまたは状況が生じる事例、および生じない事例を含むことを意味する。
【0013】
本明細書の説明および特許請求の範囲全体を通して、「comprise(備える)」という語、およびこの語の変形の「comprising(備える)」および「comprises(備える)」などは、「限定はされないが~を含む」を意味し、例えば、他の構成要素、整数、またはステップを除外することは意図されていない。「例となる」は、「~の一例」を意味し、好ましいまたは理想的な実施形態の指示を伝えることを意図するものではない。「~など」は、制限的意味ではなく説明の目的で使用される。
【0014】
開示された方法および装置を実行するために使用可能である構成要素が開示される。これらのおよび他の構成要素は本明細書に開示され、これらの構成要素の組み合わせ、一部、相互作用、グループなどが開示される時、さまざまな個々のおよび集合的な組み合わせ、およびこれらの並び替えそれぞれの具体的な言及が明示的に開示されていないが、それぞれが全ての方法および装置について、本明細書において具体的に検討されかつ説明されることが開示されていることは、理解されたい。これは、限定はされないが、開示される方法におけるステップを含むこの用途の態様全てに該当する。よって、実行可能であるさまざまな追加のステップがある場合、これらの追加のステップのそれぞれが、開示される方法の任意の具体的な実施形態または実施形態の組み合わせによって実行可能である。
【0015】
本開示の方法および装置は、好ましい態様、およびこの態様に含まれる例の以下の詳細の説明、ならびに図、および先のかつ以下の説明を参照することによって、より容易に理解可能である。
【0016】
本開示のさまざまな態様を詳細に説明する前に、本開示が、その用途において、以下の説明に明記される、または図面に示される構成の詳細および構成要素の配列に限定されない。本開示は、他の実施形態が可能であり、さまざまなやり方で実践されるまたは実行されることが可能である。また、(例えば、「前」、「後ろ」、「上に」、「下に」、「上部」、および「底部」などのような用語など)デバイスまたは要素の配向に関して本明細書に使用される術語および専門用語が、説明を簡略化するために使用されているだけであり、言及されるデバイスまたは要素が特定の配向を有さなければならないことを指示しているまたは含意しているだけではない。さらに、「第1」、「第2」、および「第3」などの用語は、説明の目的で本明細書および添付の特許請求の範囲において使用されており、比較的重要であるまたは重大であるということを指示するまたは含意することは意図されていない。
【0017】
ここで、同様の参照番号がいくつかの図全体を通して同一のまたは対応する部分を指定している図面を参照すると、図1は、軸受監視/解析システムの例示的な実施形態の概略図を提供している。一般的に、軸受/解析システムは、アコースティックエミッション(「AE」)技術を流体膜軸受に適用するように構成されてよい。軸受監視/解析システムは、軸受と関連付けられた機器が動作しているおよび/または組付け状態にあるが動作していない間に、状態、動作パラメータ、性能、残りの有用な動作期間、および/または、軸受(または、第1の表面が第2の表面に対してその間の流体によって移動する他の機械部品)についての他の情報に関するデータを非貫入式に収集できるように構成可能である。現在、このタイプのデータおよび/または情報は、予定のまたは緊急の保守の間に貫入式に収集されなくてはならず(この場合、軸受と関連付けられた機器が電源を切られなければならず動作していない)、この時点で、軸受および/または他の関連の構成要素への破損は深刻なものになり得、かつ生産性が損なわれることになる恐れがある。本開示による軸受監視/解析システムによって収集された軸受および/またはその構成要素に関する具体的なデータ/情報は、いずれの有用な情報も含むことができ、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲に指示されない限り、いかなる具体的な情報および/または情報のセットにも決して限定されない。
【0018】
さらに、軸受監視/解析システムは、軸受の他の構成要素(または、以下にさらに詳細に説明されるような、回転機器および/または機械部品の他の部分)の状態を監視することができるように構成されてよい。このような他の構成要素は、軸受パッド、(有効表面32の反対側またはこれ以外のパッド30の表面上どちらかの)パッド枢軸面、または、別の構成要素、軸受のある構成要素(例えば、キャリアリング、ピストン、パッド保持、および/または支持構造など)上の表面、および/または、以下の特許請求の範囲に指示されない限り限定されることなく、2つの表面間に相対的運動が回転機器のある軸受または部分の他の表面を含むが、これらに限定されない。
【0019】
軸受監視/解析システムは、初期段階から(数あるデータの中でも特に)軸受の有効表面の変化を追跡して、先行技術では利用可能ではない軸受に関する情報を供給するように構成可能である。具体的には、限定はされないが、ヒット方式のデータ(信号が具体的な閾値を超える時に収集されたデータ)、時間駆動式信号(具体的な時間間隔において収集されたデータ)、および波形信号(具体的な間隔における所与の時間長で複数のソースから収集されたデータ)、ならびに/またはこれらの組み合わせを含む、AEを介して収集されたデータは、異なる程度のおよび/またはタイプの軸受表面破損、破損のタイプおよび/または具体的な場所、性能、状態などを検出するように解釈および/または解析されてよく、および、予防的対策がそれ相応に通知可能であるように軸受の残りの寿命を予測するために使用されてよい。
【0020】
一般的に、軸受監視/解析システムは、軸受からアコースティックエミッション信号(複数可)を収集し、軸受および/またはこの構成要素についての有用な情報を入手するために信号(複数可)を解析し、入手した情報を考慮した方針を提案するように構成されてよい。1つの用途では、軸受および/またはこの構成要素についての情報は、軸受および/またはこの構成要素に対する破損のタイプ、深刻度、および/または場所(例えば、有効表面がパッド上に位置付け可能である軸受の有効表面)であってよい。別の用途では、代替的にはまたはさらに、軸受および/またはこの構成要素についての情報は、軸受および/またはこの構成要素の予測された残りの寿命であってよい。さらにまた、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲に指示されない限り、限定されることなく、AEを介して収集されてよい、軸受および/またはこの構成要素に関する有用な情報全てに及ぶ。
【0021】
軸受監視/解析システムは、限定はされないが、固定形状の傾斜パッドジャーナル軸受、固定形状の傾斜パッドスラスト軸受、有効表面上にまたはこれに隣接する比較的硬い被膜を有する流体膜軸受(この軸受は比較的より薄い膜およびより高い動作温度に対して可能なものとすることができる)、および/または比較的硬い被膜を有する回転構成要素で使用するように構成される流体膜軸受、ポリマー軸受(固体ポリマーパッドまたは固体ポリマー軸受のどちらか)、バビット軸受、1つまたは複数の推進溝(Jacking grooves)(および/または静圧リフトポケット)を有するパッドで構成される軸受、Flexure Pivot(登録商標)軸受、任意のタイプの潤滑(例えば、直接潤滑、油浴潤滑、真空など)を用いる流体膜軸受、任意のタイプの潤滑油(例えば、油、水、空気、プロセス流体など)、代替的な材料をパッドに取り付けるために使用される方法/構造に関わらず、パッドまたは軸受表面上に位置付けられる代替的な材料(複数可)による任意の流体膜軸受、任意の数のパッド(傾斜または固定)、任意の軸受適合材料パッド、任意のサイズの軸受、ならびに任意の形および/または様式のパッド(例えば、固定または傾斜)を含む、ほとんどどの異なるタイプの流体膜軸受に対しても構成可能である。それ故に、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲に指示されない限り、具体的なタイプの流体膜軸受によって決して限定されることはない。さらに、軸受監視/解析システムは、限定はされないが超音波を含む他の技術と併せて使用可能である。最後に、軸受監視/解析システムの概念は、限定はされないが、シール表面、弁表面、および摺動面、ならびに/または回転表面などを含む機械部品などの、軸受以外に流体と接触する機械部品に適用されてよい。それ故に、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲に指示されない限り限定されることなく、機械部品の動作中に互いに対して移動する2つ以上の隣接する表面のうちの少なくとも1つの状態/パラメータを検出するための、軸受監視/解析システムのいずれの使用にも及ぶ。
【0022】
軸受監視/解析システムの範囲は、とりわけ以下の特許請求の範囲に指示されない限り、任意の配向、任意の数または構成のパッド30および/もしくは有効表面32で、および/または、他の要素から均等にまたは不均等に間隔があけられた異なる形および/または配向を有する異なる数量のさまざまな要素で構成される任意の流体膜軸受に及ぶ。さらに、本開示の範囲は、上記の要素の具体的な形、構成、および/もしくは寸法、ならびに/または、とりわけ以下の特許請求の範囲に指示されない限り、この相対的数量および/もしくは位置によって決して限定されることはない。
【0023】
図2を参照すると、軸受監視/解析システムは、上述されるように、傾斜パッドジャーナル軸受20による使用のために構成されてよい。傾斜パッドジャーナル軸受20は、以下の特許請求の範囲に指示されない限り限定されることなく、任意の数の有効表面32を有する任意の数のパッド30を有することができる。このような構成では、第1のセンサ10は、本体50の径方向外面上に位置付けられてよく、第2のセンサ10は、(傾斜パッドジャーナル軸受20の軸面を構成する)エンドプレート40上に位置付けられてよい。追加のセンサ10も、さらに以下に論じられるように、監視システムの能力を高め、かつ冗長性を追加するために、含まれてよい。
【0024】
ここで図3を参照すると、軸受監視/解析システムは、上述されるように、Flexure Pivot傾斜パッドジャーナル軸受20aによる使用のために構成されてよい。Flexure Pivot傾斜パッドジャーナル軸受20aは、以下の特許請求の範囲に指示されない限り限定されることなく、任意の数の有効表面32を有する任意の数のパッド30を有することができる。このような構成では、第1のセンサ10は、本体50の径方向外面上に位置付けられてよく、第2のセンサ10は、本体50の軸面、および/またはFlexure Pivot傾斜パッドジャーナル軸受20aの他の軸面上に位置付けられてよい。さらにまた、追加のセンサ10も、監視システムの能力を高め、かつ冗長性を追加するために、含まれてよい。また、1つまたは複数のセンサは、パッド(単数または複数)に取り付けられてよい。図3Aでは、センサ10はパッド上に位置する。さらなるセンサは、軸受におけるこのパッド、または任意の他のパッド上に位置してよい。パッド上のセンサのこの用途は、以下の特許請求の範囲に指示されない限り、Flexure Pivot実施形態に加えて、全てのタイプの軸受に適用可能である。
【0025】
ここで図4を参照すると、軸受監視/解析システムは、上述されるように、傾斜パッドスラスト軸受20bによる使用のために構成されてよい。このような構成では、第1のセンサ10は、本体50(および/またはパッドキャリアリング)の径方向外面上に位置付けられてよく、第2のセンサ10は、本体50の軸面および/または傾斜パッドスラスト軸受20aの他の軸面(例えば、パッドキャリアリングの軸面)上に位置付けられてよい。さらにまた、第2のセンサ10はこの実施形態に示されているが、単一のセンサ10が使用可能である。
【0026】
スラスト軸受による使用(傾斜または固定のどちらか)のために構成される軸受監視/解析システムのある特定の用途では、パッド30の反対側の軸面上に軸受の軸面と関連付けられたセンサ10を位置付けることが有利であり得ると考えられ、この構成は図4に示されている。しかしながら、任意のパッド30および/または有効表面32に対するセンサ10のいずれかの最適な位置は、軸受監視/解析システムの1つの用途から次の用途に変化する場合があるため、以下の特許請求の範囲に指示されない限り、決してこの範囲に限定されるものではない。さらに、センサ10の数は、軸受監視/解析システムの能力および精度を高め、かつ冗長性を加えるために用途間で変化する場合があるため、以下の特許請求の範囲に指示されない限り、決してこの範囲に限定されるものではない。
【0027】
ここで図5を参照すると、軸受監視/解析システムは、上述されるようにプレーンジャーナル軸受20cによる使用のために構成されてよい。プレーンジャーナル軸受20cは、以下の特許請求の範囲に指示されない限り限定されることなく、有効表面(複数可)32上の任意の数の表面特徴(溝、くぼみなど)および任意の数のローブ、フェースなどを有することができる。このような構成では、第1のセンサ10は、本体50の径方向外面上に位置付けられてよく、第2のセンサ10は、本体50の軸面上に位置付けられてよい。さらにまた、追加のセンサ10は、軸受監視/解析システムの能力を高め、かつ冗長性を加えるために含まれてもよく、従って、以下の特許請求の範囲に指示されない限り、決してこの範囲に限定されるものではない。
【0028】
ここで図6を参照すると、軸受監視/解析システムは、図6においてテーパランドスラストプレートとして示されるように、固定形状のスラスト軸受20dによる使用のために構成されてよい。テーパランドスラスト軸受20dは、以下の特許請求の範囲に指示されない限り限定されることなく、有効表面32上の任意の数の表面特徴(溝、テーパ、フラット、ランド、くぼみなど)および任意の数の送り溝、フェースなどを有することができる。このような構成では、第1のセンサ10は、本体50の径方向外面上に位置付けられてよく、第2のセンサ10は、本体50の軸面上に位置付けられてよい。追加のセンサ10は、監視システムの能力を高め、かつ冗長性を加えるために含まれてもよい。
【0029】
2つのセンサ10が図2~6に示される軸受監視/解析システムの例示の実施形態のそれぞれに示されており、ここで2つのセンサ10は互いに比較的接近しており、第1のセンサは径方向表面と係合し第2のセンサは軸面と係合しているが、以下の特許請求の範囲に指示されない限り、本開示の範囲はそのように限定されない。他の実施形態では、軸受監視/解析システムは、単に1つのセンサ10を含んでよく、なおさらなる実施形態では、2つ以上のセンサ10を含んでよい。別の実施形態では、第1のセンサ10は第2のセンサ10から180度で位置付け可能である。さらに別の実施形態では、軸受監視/解析システムは、軸受の周囲に均一に間隔があけられた3つ(または4つ、5つ、6つなど)のセンサ10を含んでよい。代替的には、第1のセンサ10は第2のセンサ10から90度で位置付けられてよい。なお別の実施形態では、第1の軸方向に位置付けられたセンサ10は第2の軸方向に位置付けられたセンサ10から180度で位置付けられてよく、第1の径方向に位置付けられたセンサ10は第2の径方向に位置付けられたセンサ10から180度で位置付けられてよい。
【0030】
さらに、軸受の、パッド30、有効表面32、および/または他の構成要素に対するセンサ10の最適な位置は、1つの用途から次の用途に変化する場合があり、その位置は少なくとも、用いられるセンサ10のタイプに左右される場合がある。軸受監視/解析システムの1つの実施形態では、1つまたは複数のセンサは、軸受と関連付けられた機器筐体(または回転機器の他の部分)と係合され得る。それ故に、図2図6において、1つのセンサ10は軸受の軸面上で配向され、第2のセンサ10は軸受の径方向表面上で配向されるが、本開示の範囲はそのように限定されず、以下の特許請求の範囲に指示されない限り限定されることなく、軸受および/または他のセンサ10に対する任意の配向での任意の数のセンサ10に及ぶ。
【0031】
さらに、センサ10は、ある特定の用途に対して軸受自体に付着させる必要はないが、以下の特許請求の範囲に指示されない限り限定されることなく、センサ10が関心地点から適したAEを検出/収集することができるように、軸受に対して適当に位置付けられた任意の構造と係合されてよい。例えば、1つの実施形態では、センサ10は、取り付け具上の軸受、および/または軸受が留められる機器筐体に隣接して位置付けられてよい。
【0032】
センサ10は、軸受20、20a、20b、20c、この構成要素、または、化学接着剤、メカニカルファスナー、磁石、および/またはこれらの組み合わせを使用する他の適した構造と係合可能であることが考えられる。しかしながら、センサ10は、軸受20、20a、20b、20c、この構成要素、または以下の特許請求の範囲に指示されない限り限定されることなく、現在既知であるまたは今後開発される任意の適した方法および/または構造を使用する他の適した構造と係合されてよい。
【0033】
3速および3つの負荷の行列を使用してAE信号に対する軸受速度および負荷の影響を評価するために15インチの傾斜パッドジャーナル軸受20上の軸受監視/解析システムを出願人が試験した。具体的な機器構成、試験手順/パラメータ、結果として生じる試験データ、およびこれらの実験に関する他の情報は、簡潔にするために含まれていない。
【0034】
AE信号に対する軸受速度および負荷の影響を評価するために、かつパッド破損に対するAE信号の感度を評価するために、傾斜パッドスラスト軸受20b(モデルVSC460)上の軸受監視/解析システムを出願人が試験した。この試験では、全てのパッドが良好な動作状態にあった時、1つのパッドを意図的に破損させた後、および2つのパッドを、AE信号に対するパッド破損の影響を比較するために意図的に破損させた後、データが収集された。具体的な機器構成、試験手順/パラメータ、結果として生じる試験データ、およびこれらの実験に関する他の情報は、簡潔にするために含まれていない。
【0035】
傾斜パッドジャーナル軸受20および傾斜パッドスラスト軸受20bの試験による結果および所見は、簡潔にするために含まれていない。試験を通して、出願人によって、ある特定の用途について、R15aの汎用のAEセンサ10として構成されるセンサは、ある特定の軸受監視/解析システムに適している場合がある。しかしながら、本開示の範囲は、そのように限定されず、以下の特許請求の範囲に指示されない限り限定されることなく、AE信号を検出するための任意の構造および/または方法に及ぶ。
【0036】
実験、結果、および例示の実施形態はパラメータ、機器構成、結果などに関してかなり具体的であるが、この情報は本開示の範囲を限定することを決して意味するものではなく、むしろ、本明細書に開示されるより広範な原理の具体化を示すことを意味するものである。それ故に、本開示の範囲は、別段以下の特許請求の範囲に指示されない限り、実験のパラメータおよび/または結果に関連する、本明細書に開示される制約および/または構成によって決して限定されない。
【0037】
軸受監視/解析システムおよび/またはこの構成要素を構成するために使用される材料は、この具体的な用途に応じて変化するものであるが、ポリマー、合成材料、金属、金属合金、セラミック、天然材料、および/またはこれらの組み合わせは、いくつかの用途では特に有用である場合があることが考えられる。それ故に、上記に言及された要素は、当業者には既知であるまたは今後開発される任意の材料から構成されてよく、この材料は、以下の特許請求の範囲に指示されない限り、本開示の趣旨および範囲を逸脱することのない、軸受監視/解析システムの具体的な用途にとって適切である。
【0038】
さまざまな方法および装置の好ましい態様について説明してきたが、本開示の他の特徴について、全てが本開示の趣旨および範囲を逸脱することなく実現可能である、本明細書に示されるような実施形態および/または態様の多数の修正および改変がなされるように、当業者は明らかに想到するであろう。それ故に、本明細書に図示されかつ説明される方法および実施形態は例示の目的に過ぎず、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲に指示されない限り、本開示のさまざまな利点および/または特徴を提供するために全ての方法および/または構造に及ぶ。また、本明細書に図示されかつ説明される方法および実施形態は、以下の特許請求の範囲に記されない限り、本開示の範囲を決して限定するものではない。
【0039】
図2図6は精確な縮尺で描かれているが、本明細書に提供されるいずれの寸法も、単なる例示の目的のものであり、以下の特許請求の範囲に指示されない限り、本開示の範囲を決して限定するものではない。本開示による、軸受監視/解析システム、この構成要素、および/またはこれらを使用する方法が、本明細書に図示されかつ説明される具体的な実施形態に限定されず、むしろ、本開示による発明の特徴の範囲は本明細書における特許請求の範囲によって画定されることは、留意されるべきである。説明した実施形態からの修正および改変について、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、当業者は想到するであろう。
【0040】
本開示による、軸受監視/解析システム、この構成要素、および/またはこれらを使用する方法のさまざまな特徴、構成要素、機能性、利点、態様、構成などの任意のものは、特徴、構成要素、機能性、利点、態様、構成などの互換性に応じて、単独でまたは互いを組み合わせて使用されてよい。それ故に、本開示のほとんど無数の変形が存在する。1つの特徴、構成要素、機能性、態様、構成などの別のものに対する修正および/または代用は、以下の特許請求の範囲に指示されない限り、本開示の範囲を決して限定するものではない。
【0041】
本開示が、本文および/または図面から明白である、および/または本質的に開示されている、述べられた個々の特徴の1つまたは複数の代替的な組み合わせの全てに及ぶことは、理解されたい。これらの異なる組み合わせの全ては、本開示および/またはこの構成要素のさまざまな代替的な態様を構成する。本明細書に説明される実施形態は、本明細書に開示される装置、方法、および/または構成要素を実践するのに既知である最良の形態を説明するものであり、当業者がこれらを利用することができるようにする。特許請求の範囲は、先行技術によって認められる範囲内において代替的な実施形態を含むと解釈されるものとする。
【0042】
本開示による、軸受監視/解析システム、方法、この構成要素、および/またはこれを使用する方法が、好ましい態様および具体的な例に関連して説明されているが、別段以下の特許請求の範囲に指示されない限り、本明細書における実施形態および/または態様は、あらゆる点において、制限するのではなく例示であることが意図されるため、明記される特定の実施形態および/または態様に限定されることは意図されていない。
【0043】
別段特許請求の範囲に明示的に記されていない限り、本明細書に明記されるいずれの方法も、このステップが特定の順序で実行されることを必要とすると解釈されるようには決して意図されていない。それ故に、方法の請求項が、実際には、そのステップが従う順序を列挙していない、またはステップが具体的な順序に限定されることが、特許請求の範囲または明細書に別様に具体的に記されていない場合、いかなる観点においても、ある順序が暗示されることは決して意図されていない。これは、ステップまたは動作フローの配列に関する論理の問題、文法構成または句読法から導出される単純な意味、明細書に説明される実施形態の数またはタイプを含むがこれらに限定されない、いかなる可能性のある表現されていない解釈にも該当する。
【0044】
軸受監視/解析システムの実施形態の列挙
1.a.流体膜軸受と、
b.上記の軸受に隣接して位置付けられるアコースティックエミッションセンサであって、上記の流体膜軸受からデータを収集するように構成される、アコースティックエミッションセンサと、を含む、軸受監視/解析システム。
【0045】
2.上記の流体膜軸受からデータを収集するように構成される第2のアコースティックエミッションセンサをさらに含む、開示される特徴および構造全てを別個にまたは組み合わせて有する、実施形態1による軸受監視/解析システム。
【0046】
3.上記の第1のアコースティックエミッションセンサは、上記の流体膜軸受の径方向表面と係合されるようにさらに画定される、開示される特徴および構造全てを別個にまたは組み合わせて有する、実施形態1または2による軸受監視/解析システム。
【0047】
4.上記の第2のアコースティックエミッションセンサは、上記の流体膜軸受の軸面と係合されるようにさらに画定される、開示される特徴および構造全てを別個にまたは組み合わせて有する、実施形態1、2、または3による軸受監視/解析システム。
【0048】
5.上記の第2のアコースティックエミッションセンサは、上記の第1のアコースティックエミッションセンサに対しておよそ180度で位置付けられるようにさらに画定される、実施形態1、2、3、または4による軸受監視/解析システム。
【0049】
6.上記の第1のアコースティックエミッションセンサは、R15aの汎用のAEセンサとしてさらに画定される、開示される特徴および構造全てを別個にまたは組み合わせて有する、実施形態1、2、3、4、または5による軸受監視/解析システム。
【0050】
7.上記の流体膜軸受は傾斜パッドジャーナル軸受としてさらに画定される、開示される特徴および構造全てを別個にまたは組み合わせて有する、実施形態1、2、3、4、5、または6による軸受監視/解析システム。
【0051】
8.上記の流体膜軸受はFlexure Pivot傾斜パッドジャーナル軸受としてさらに画定される、開示される特徴および構造全てを別個にまたは組み合わせて有する、実施形態1、2、3、4、5、6、または7による軸受監視/解析システム。
【0052】
9.上記の流体膜軸受は傾斜パッドスラスト軸受としてさらに画定される、開示される特徴および構造全てを別個にまたは組み合わせて有する、実施形態1、2、3、4、5、6、7、または8による軸受監視/解析システム。
【0053】
10.上記の流体膜軸受はプレーンジャーナル軸受としてさらに画定される、開示される特徴および構造全てを別個にまたは組み合わせて有する、実施形態1、2、3、4、5、6、7、8、または9による軸受監視/解析システム。
【0054】
11.上記の流体膜軸受はテーパランドスラストフェース軸受としてさらに画定される、開示される特徴および構造全てを別個にまたは組み合わせて有する、実施形態1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10による軸受監視/解析システム。
【0055】
12.a.機械部品に隣接してアコースティックエミッションセンサを位置付けることであって、上記の機械部品は第1の表面および第2の表面を含み、上記の第1の表面および上記の第2の表面は、上記の機械部品の動作中に互いに対して移動する、位置付けることと、
b.上記のアコースティックエミッションセンサを介して信号を収集することと、
c.上記の信号を解析することと、
d.上記の機械部品の状態を認識することと、
e.上記の状態に基づいて措置を通知することと、を含む、機械部品の監視/解析のための方法。
【0056】
13.上記の機械部品は弁としてさらに画定される、開示される特徴および構造全てを別個にまたは組み合わせて有する、実施形態12による方法。
【0057】
14.上記の機械部品は回転シールとしてさらに画定される、開示される特徴および構造全てを別個にまたは組み合わせて有する、実施形態12または13による方法。
【0058】
15.上記の機械部品は流体膜軸受としてさらに画定される、実施形態12、13、または14による方法。
【0059】
16.上記のアコースティックエミッションセンサは機器筐体と係合されるようにさらに定められ、上記の機器筐体は上記の機械部品と係合される、開示される特徴および構造全てを別個にまたは組み合わせて有する、実施形態12、13、14、または15による方法。
【0060】
17.上記の状態は、上記の流体膜軸受の破損したパッドとしてさらに画定される、開示される特徴および構造全てを別個にまたは組み合わせて有する、実施形態12、13、14、15、または16による方法。
【0061】
18.上記の流体膜軸受は傾斜パッドスラスト軸受としてさらに画定される、開示される特徴および構造全てを別個にまたは組み合わせて有する、実施形態12、13、14、15、16、または17による方法。
【0062】
19.上記のセンサは、上記の傾斜パッドスラスト軸受のパッドと係合されるようにさらに画定される、開示される特徴および構造全てを別個にまたは組み合わせて有する、実施形態12,13、14、15、16、17、または18による方法。
【0063】
20.a.流体膜軸受に隣接して筐体上にアコースティックエミッションセンサを位置付けるステップと、
b.上記のアコースティックエミッションセンサを介して信号を収集するステップと、
c.上記の信号を解析するステップと、
d.上記の信号の解析から上記の流体膜軸受の状態を認識するステップと、
e.上記の状態に基づいて措置を通知するステップと、を含む、軸受の監視/解析のための方法。
【符号の説明】
【0064】
10 センサ
20 傾斜パッドジャーナル軸受
20a Flexure Pivot傾斜パッドジャーナル軸受
20b 傾斜パッドスラスト軸受
20c プレーンジャーナル軸受
20d テーパランドスラストフェース
30 パッド
32 有効軸受面
40 エンドプレート
50 本体
図1
図2
図3
図3A
図4
図5
図6