(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-06
(45)【発行日】2023-04-14
(54)【発明の名称】生理学的データを感知し、体液を排出しかつ分析するためのシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/20 20060101AFI20230407BHJP
A61M 1/00 20060101ALI20230407BHJP
G01N 21/33 20060101ALI20230407BHJP
【FI】
A61B5/20
A61M1/00 130
G01N21/33
(21)【出願番号】P 2020115966
(22)【出願日】2020-07-03
(62)【分割の表示】P 2017513028の分割
【原出願日】2015-09-28
【審査請求日】2020-07-28
【審判番号】
【審判請求日】2021-11-04
(32)【優先日】2014-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2014-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2014-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2014-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2014-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2015/010530
(32)【優先日】2015-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517075355
【氏名又は名称】ポトレロ メディカル,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】バーネット,ダニエル アール.
(72)【発明者】
【氏名】ルソン,エヴァン エス.
(72)【発明者】
【氏名】キーナン,リッチ
(72)【発明者】
【氏名】ハミルトン,マーシー
(72)【発明者】
【氏名】ステイリア,サヒール
(72)【発明者】
【氏名】ジーグラー,マーク
(72)【発明者】
【氏名】イー,アレックス
(72)【発明者】
【氏名】トゥリー,グリフェス
(72)【発明者】
【氏名】スキーラー,クリスティーナ
(72)【発明者】
【氏名】ボイド,ステファン
【合議体】
【審判長】石井 哲
【審判官】伊藤 幸仙
【審判官】樋口 宗彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/043650(WO,A2)
【文献】特表2009-500111(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0172840(US,A1)
【文献】特許第6634661(JP,B2)
【文献】米国特許第10517538(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00 - 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の体内への液体の輸液を制御するためのシステムであって、
カテーテルの遠位端またはその近傍に1つまたは複数の開口部を有する細長いカテーテルであって、同細長いカテーテルが前記1つまたは複数の開口部と流体接続する排尿ルーメンをさらに画定する、細長いカテーテルと、
前記カテーテルと接続する尿ドレナージチューブであって、前記カテーテルの排尿ルーメンと接続する尿ルーメンを備えた尿ドレナージチューブと、
前記
尿ドレナージチューブの尿ルーメン内の障害物を取り除くために
前記尿ドレナージチューブの尿ルーメン内の圧力レベルを定期的に調整するようにプログラムされている制御装置と、
前記
カテーテルの排尿ルーメンの近位端に結合される通気機構であって、一方向弁を備え、前記一方向弁は、前記障害物を取り除くために前記制御装置によって
前記尿ドレナージチューブの尿ルーメンに負圧が加えられた場合に、前記
尿ドレナージチューブの尿ルーメンに空気を流入させるとともに前記
尿ドレナージチューブの尿ルーメンから空気が出るのを防ぐように構成されている通気機構と、
前記
尿ドレナージチューブの尿ルーメンと流体的に接続する尿貯蔵部であって、前記尿貯蔵部内で患者の体から受け取られた尿排出量を監視するようにプログラムされた前記制御装置との間で接続する尿貯蔵部と、
注入ルーメンと流体的に接続し、前記制御装置との間で接続する流体貯蔵部と、
前記流体貯蔵部と接触し、前記制御装置に接続される加速度計であって、前記制御装置と前記尿貯蔵部が同じレベルであることを判断するように構成されている加速度計が備えられ、
前記制御装置は監視された前記尿排出量に基づいて前記流体貯蔵部から前記患者の体内への液体の流量を調整するようにプログラムされている、システム。
【請求項2】
前記通気機構は、ガスを透過し液体を透過させないように構成された疎水性膜を有する通気口を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記疎水性膜はPTFEまたはePTFE膜を含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記制御装置は、所定の時間の間隔で前記排尿ルーメンに陰圧を加えるようにさらにプログラムされている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記流体貯蔵部からの前記液体は水和流体を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記流体貯蔵部からの前記液体は薬物を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記制御装置は、監視された前記尿排出量に基づいて前記液体の前記流量を自動的に調整するようにプログラムされている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記制御装置は、監視された前記尿排出量の開ループフィードバックに基づいて前記液体の前記流量を調整するようにプログラムされている、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記制御装置は、監視された前記尿排出量の半閉ループフィードバックに基づいて前記液体の前記流量を調整するようにプログラムされている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記制御装置は、患者データを記憶するようにさらに構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記患者データがメモリ構成要素に記憶される、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記システムは、前記患者データをリモートデータベースに転送するように構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記尿貯蔵部は剛性の筐体を有するカセット構成要素を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記制御装置は、前記カセット構成要素を受け、かつ該カセット構成要素と連動するように構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記制御装置は、前記尿排出量を含む前記患者から取得された患者データを分析し、かつ、感染または患者の挙動の予測因子として、前記患者データの前記1つまたは複数の患者パラメータの間の1つまたは複数の傾向もしくは関係を判断するようにさらにプログラムされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記制御装置は、呼吸速度または心拍を含む、前記患者の1つまたは複数の生理学的パラメータを検知するようにさらにプログラムされる、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記尿貯蔵部に近位の光送信機および受信機をさらに備え、前記尿貯蔵部は光学的に透明なセクションを画定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記受信機は、前記尿貯蔵部を通して、および内部に収容される尿の量から伝達される1つまたは複数の波長を検出するようにさらにプログラムされる前記制御装置と連通している、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記制御装置は、感染を示すような、細菌、赤血球、血しょう、または白血球の存在について前記1つまたは複数の波長を分析するようにさらにプログラムされる、請求項18に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2014年9月28日に出願された米国特許仮出願第62/056,563号
、2014年9月28日に出願された米国特許仮出願第62/056,564号、201
4年10月12日に出願された米国特許仮出願第62/062,924号、2014年1
1月7日に出願された米国特許仮出願第62/076,725号、2014年11月28
日に出願された米国特許仮出願第62/085,463号、2015年3月8日に出願さ
れた米国特許仮出願第62/129,899号、2015年4月9日に出願された米国特
許仮出願第62/145,241号、および、2015年6月13日出願された米国特許
仮出願第62/175,237号に対する優先権を主張するものであり、2014年6月
27日出願された国際出願PCT/US2014/44565および2015年1月7日
に出願された国際出願PCT/US2015/010530に関連し、これらのそれぞれ
はその全体を参照することにより本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明は、医療デバイス、特に、排尿を助ける、尿排出量、および酸素圧、尿伝導度、
および尿比重などのさまざまな尿パラメータを測定する、腎機能を監視する、感染の存在
を含む尿含有量を含む尿パラメータを分析する、ならびに、流体投与を追跡および/また
は制御するデバイスの分野に関する。本発明は、さらに、尿路、消化管、直腸位置、腹膜
前、胸膜腔、または他の体腔のいずれかにあるように適応されるカテーテルに組み込まれ
るセンサに基づく生理学的データを感知することができる医療デバイスに関する。
【0003】
文献の引用
本明細書に述べられた全ての刊行物および特許出願は、各個々の刊行物または特許出願
が参照により組み込まれるように具体的におよび個々に指示された場合と同じ程度に参照
により本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0004】
入院患者および長期療養患者全てのうちの10%が留置尿道カテーテルを受けていると
推定される。ほとんど全ての重病患者は1つのカテーテルを受け、ICUでは、1時間ご
とに尿排出量を監視することが常法である。生じた尿の量は、体液状態および腎機能の指
標である。しかしながら、多数の誤差の原因は、この重要な指標の誤った測定値を生じさ
せる可能性がある。
【0005】
膀胱からの排出に使用される最も一般的なデバイスはフォーリーカテーテルである。こ
のカテーテルが導入されてから、中央ルーメンから尿を排出させることができるアンカー
バルーンおよびアイレットによる可撓チューブの設計は、ほとんど何も変わってないまま
である。しかしながら、フォーリーカテーテルの現在の設計では、仰臥した患者において
例えば50mLを上回って膀胱に残っている大量の残留量が生じてしまう可能性があるこ
とが分かっている。非特許文献1を参照されたい。ある調査では、平均残留量はICUで
は96mL、一般病棟では136mLであった。非特許文献2を参照されたい。大量の残
尿量はまた、フォーリーカテーテルをドレナージバッグに接続する排液チューブ、または
、ドレナージシステムのどこか他の所で見出されることが多い。
【0006】
膀胱および排液チューブにおける残尿によって、該チューブにおいて形成される大きな
気泡(エアロック)が生じ、膀胱からドレナージバッグまでの尿の流れを妨げる。この結
果、尿排出量を測定する前にドレナージチューブを操作することが看護師の常法になって
おり、これによってチューブ材料からの排液を支援する。1時間ごとの頻度で測定が行わ
れるICUでは、このことはかなり繰り返される不正確なプロセスである。より精確で自
動的な尿排出量測定に対する必要性が存在する。
【0007】
さらに、採尿システム内で、尿パラメータを測定しかつ分析する機会がある。
【0008】
尿排出量測定および尿パラメータ分析の改善に加えて、尿ドレナージカテーテルそのも
のによって、さらなる患者パラメータを検出、採取、および分析を行うこれまでにない機
会が与えられる。
【0009】
さらに、多くのタイプの医療デバイスは、患者の治療および/または維持管理を制御す
るように設計される。例えば、レスピレータは、とりわけ、患者の呼吸速度、呼吸量、お
よび/またはガス混合を制御することができる。IV(静脈内供給)は、薬品などの流体
および/または他の物質を患者に供給することができる。他のデバイスは、薬品を供給す
ること、または他の作用を施すことができるものを含む。これらのタイプの医療デバイス
は、さまざまな設定などによって厳重に制御可能である。看護師または他の施術者は、さ
まざまな患者パラメータをチェックし、かつ、それに応じて医療デバイス設定を調節する
ことができる。自動的にまたは半自動的に、患者パラメータを使用して医療デバイスの設
定を制御する制御装置が必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【非特許文献】
【0011】
【文献】Fallis、Wendy M.による「Indwelling Foley Catheters Is the Current Design a Source of Erroneous Measurement of U rine Output?」、Critical Care Nurse、25.2 (2005):44-51
【文献】Garciaらによる「Traditional Foley D rainage Systems-Do They Drain the Blad der?」、J Urol.2007年1月;177(1):203-7;disc ussion 207
【文献】Chawla LS、Davison DL、Brasha-Mi tchell E、Koyner JL、Arthur JM、Tumlin JA 、Shaw AD、Trevino S、Kimmel PL、Seneff MG による「Development and standardisation of a furosemide stress test to predict t he severity of acute kidney injury」、Cr it Care.2013年9月20日;17(5):R207
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
医療従事者によって低費用で容易に設置される、広く使用されているフォーリー型カテ
ーテルは、フォーリー型カテーテルを修正することによって、および/または、フォーリ
ー型カテーテルに機能性を追加することによって重要な診断情報を引き出すための手段と
して使用されてよい。本明細書に開示された技術によって、腹腔内圧(および他の)感知
機能を有するフォーリー型カテーテルから引き出し可能である高分解能の以前は利用不可
能であった診断情報が提供される。
【0013】
さらに、腹腔内圧示度をかなりゆがませるエアロックの発現が見出されている。加えて
、排尿がないことはまた、膀胱内の圧力示度に悪影響を与える可能性がある。本明細書に
開示された技術によって、腹腔内圧測定の設定またはその他におけるエアロックの検出お
よび排除、ならびに、より完全な膀胱ドレナージももたらされる。
【0014】
本明細書に開示された技術は、膀胱からの排出をより効果的にし、エアロックがドレナ
ージチューブにおいて形成されないようにし、かつそれらエアロックが形成される時は除
去し、尿排出量が自動的に測定されるように精度を高めることを求めるものである。開示
された技術はまた、体液状態、腎機能、および他の重要な患者パラメータの監視を改善す
るために、酸素圧、伝導度、比重、ガス圧、濁度、感染、沈渣、およびその他を含む尿の
追加の測定値を取り入れることを求めるものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
開示された技術はまた、患者の膀胱および/または尿路から生理学的データを感知する
ためのフォーリー型カテーテルに関する。該生理学的データは、とりわけ、高忠実度の圧
力感知、および処理するのに適した信号への変換によって集められたものを含む。いくつ
かの実施形態では、圧力感知するフォーリー型カテーテルは、臨床的に重要である温度お
よび検体を感知することをさらに可能にしてよい。感知フォーリーカテーテルシステムが
測定することができる生理学的パラメータの例(時間別測定値、および経時的な値の傾向
)は、尿排出量、呼吸速度、心拍、心拍変動、1回拍出量、1回拍出量変動、腹腔内圧(
IAP)、組織酸素化、組織ガス含有量、脈遷移時間、肺血液量変動、温度、血液含有量
、および他の患者パラメータを含む。
【0016】
開示された技術によって測定および/または判断可能である、ある特定の患者パラメー
タは、医療デバイスに影響される、および/または、医療デバイスによる患者の治療に影
響を与える。例えば、患者の尿排出量、呼吸速度、心拍、1回拍出量、1回拍出量変動、
腹腔内圧(IAP)、組織酸素化、組織ガス含有量、温度、血液含有量、および他の患者
パラメータは、医療に影響される、および/または、医療に影響を与える。医療デバイス
によって制御可能である医療のいくつかの例は、レスピレータによって制御される呼吸速
度および容積、IV点滴制御装置によって制御されるIV速度および容積、薬品供給デバ
イスまたはIV制御装置によって制御される薬品供給、尿排出用ポンプによって制御され
る尿排出量、排出ポンプによって制御される腹腔液量、および、他の医療デバイスによっ
て制御される他の治療を含む。
【0017】
体液を分析するためのシステムの一実施形態は、一般に、細長いカテーテルであって、
該カテーテルの近くにまたは遠位端に位置付けられる拡張可能バルーンを有し、さらに、
該バルーンに近接した1つまたは複数の開口部を画定する細長いカテーテルと、カテーテ
ルの近位端に結合される通気機構であって、陰圧が通気機構に加えられる時に空気を通す
ように構成される通気機構と、通気機構に結合され、かつ1つまたは複数の開口部と流体
連通する第1のルーメンと、バルーンと流体連通する第2のルーメンと、第1のルーメン
の近位端に結合され、かつ1つまたは複数の開口部と流体連通する貯蔵部と、該貯蔵部に
接続するように構成され、かつ、第1のルーメン内の圧力を制御するようにプログラムさ
れる制御装置と、を備えることができ、該制御装置は、患者から貯蔵部に受けられる尿排
出量を監視し、かつ、バルーン内の圧力の変化にある程度基づいて患者の腹腔内圧を判断
するようにさらにプログラムされ、該制御装置は患者データを記憶するようにさらに構成
される。
【0018】
患者からの1つまたは複数の身体パラメータを分析するための方法の一例では、方法は
、一般に、細長いカテーテルであって、少なくとも部分的に体液が充填された体内腔内に
、該カテーテルの近くにまたは遠位端に位置付けられる拡張可能バルーンを有する細長い
カテーテルを位置付けることと、バルーンに近接したカテーテルに沿って画定される1つ
または複数の開口部から尿を受けることと、体内腔の外部に位置し、かつ流体ルーメンを
介して1つまたは複数の開口部と流体連通する貯蔵部内に体液をさらに受けることと、流
体ルーメンに陰圧が加えられる時に流体ルーメンと連通する通気機構を通して通気するこ
とと、通気機構に対する陰圧を制御するようにプログラムされる制御装置を介して貯蔵部
内に受けられる尿の量を分析することと、バルーン内の圧力の変化にある程度基づいて患
者の腹腔内圧を判断することと、制御装置を介して患者データの1つまたは複数のパラメ
ータを記憶することと、を含むことができる。
【0019】
感知フォーリーカテーテルシステムのいくつかの実施形態は、患者パラメータに関連す
る1つまたは複数のデータを受信するループ制御装置を含み、この情報を使用して、1つ
または複数の医療デバイスを制御する。ループ制御装置は、患者パラメータを測定するデ
バイスもしくは医療デバイスのいずれか、またはその両方と一体化させることができる。
【0020】
(参照により全体が本明細書に組み込まれている)「感知フォーリーカテーテル」とい
う名称の特許文献1に開示されるようなカテーテル上の圧力測定バルーンは、患者パラメ
ータを測定するデバイスの例である。さらなる実施形態が本明細書に開示される。感知フ
ォーリーカテーテルシステムは、圧力測定バルーンおよび/または他のセンサ、ならびに
、尿排出率、IAP、呼吸速度、心拍、1回拍出量、組織酸素化、尿組成、温度、および
他の患者パラメータなどの患者パラメータを判断するために尿排出量および含有量を測定
するための能力を含むことができる。
【0021】
感知フォーリー型カテーテルを介して測定および/または判断可能である他のパラメー
タは、尿比重および脈圧変動を含む。これらのパラメータは、酸素吸入器、ならびに/ま
たは、流体投与用デバイスおよび/もしくは水和デバイスなどの医療デバイスの制御を支
援するために使用されてよい。
【0022】
尿比重は、尿における溶質粒子の数および重量の測定値である。通常の範囲はおよそ1
.010~1.030である。これより高い測定値は、脱水または他の状態を示す場合が
ある。これより低い測定値は体液過剰または他の状態を示す場合がある。感知フォーリー
カテーテル上のセンサによって測定が行われてよい。測定結果は、患者に対する注入速度
を増加させること(脱水の場合)または減少させること(体液過剰の場合)を示すことが
できる。測定結果はまた、通気パラメータまたは薬品注入などの変化を示すことができる
。
【0023】
脈圧変動は、酸素吸入器および/または流体投与用デバイスなどの医療デバイスに対す
る流体反応性の予測因子とすることができる。感知フォーリーカテーテルは圧力波形を記
録することができ、制御装置は呼吸サイクルと一致する最高および最低脈圧を特定するこ
とができる。制御装置は、脈圧変動を計算することができる。脈圧変動は、ある患者が輸
液療法に反応するまたはしないかどうかの判断を支援することができる。脈圧変動はまた
、フィードバックループにおける療法を制御するために制御装置によって使用可能である
。脈圧変動が高い場合、より多くの流体が患者によって要求される場合がある。脈圧変動
が低い場合、より少ない流体が必要とされる場合がある。感知フォーリーカテーテルシス
テムは、膀胱において感知する圧力によって心臓活動を測定することができる。感知フォ
ーリーカテーテルは呼吸活動のみならず心臓活動を測定することができ、ある患者の呼吸
速度および心拍数の度数は互いに同様である可能性があるため、患者の呼吸測定値は心臓
測定値を歪曲する可能性がある。この問題を克服するために、制御装置のいくつかの実施
形態は、(毎回ほんの数秒間、例えば1~3秒間、または例えば1~4秒間)1つまたは
複数の吸気点の終わりにレスピレータを休止する、および/または、1つまたは複数の呼
気点の終わりにレスピレータを休止することで、心臓波形は呼吸ひずみがなく捕獲される
ことが可能である。このように詳細な心臓波形を捕獲することによって、制御装置は、敗
血症の検出および体液過剰の防止に有用である1回拍出量変動(SVV)を判断すること
ができる。代替的な実施形態として、患者は吸気点および/または呼気点において自身の
息を止めるように求められる場合がある。
【0024】
本発明の新規の特徴が示される。本発明の原理が利用される例示の実施形態を示す以下
の詳細な説明、および添付の図面を参照することによって、本発明の特徴および利点をよ
り良く理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】感知フォーリー型カテーテルの実施形態を示す図である。
【
図4】心拍数および相対的な心拍出量感知データの例を示す図である。
【
図5】人間の下肢挙上運動において感知する相対的な心拍出量に関連するデータを 示す図である。
【
図8】腹腔内圧、呼吸波圧、および心臓圧の間の関係を示す図である。
【
図10A】感知フォーリーカテーテルシステムの実施形態を示す図である。
【
図10B】
図10Aのエアロック除去機構、ならびに流体採取および分析システム の詳細図である。
【
図10C】感知フォーリーカテーテルシステムの実施形態の使い捨て部品を示す図 である。
【
図11】感知フォーリーカテーテルシステムの別の実施形態を示す図である。
【
図12】感知フォーリーカテーテルシステムの別の実施形態を示す図である。
【
図13】感知フォーリーカテーテルシステムの別の実施形態を示す図である。
【
図14】感知フォーリーカテーテルシステムの除去機構の例を示す図である。
【
図15】感知フォーリーカテーテルシステムの除去機構の例を示す図である。
【
図16】ガスサンプリングルーメンを有するドレナージチューブを有する感知フォ ーリーカテーテルシステムの実施形態を示す図である。
【
図17】圧力解放用の通気口および無菌状態をさらに有する感知フォーリーカテー テルシステムの実施形態を示す図である。
【
図18】圧力解放通気口および逃がし弁を有する感知フォーリーカテーテルシステ ムの実施形態を示す図である。
【
図19】UV/光分光法を使用して、尿中の細菌、血液、およびその他の物質を検 出するために感知フォーリーカテーテルシステムに含まれてよい採取用容器、チャン バ、または採取カセットの実施形態を示す図である。
【
図20】光に対する、尿における大腸菌、赤血球、および血しょうのさまざまな吸 収波長を示す図である。
【
図21】バッフルまたはフラップを含むカセットの実施形態を示す図である。
【
図22】いくつかの実施形態における圧力バルーンプライミング法を表すグラフで ある。
【
図23】いくつかの実施形態における圧力バルーンプライミング法を表すグラフで ある。
【
図24】本発明のさまざまな実施形態において可能な論理のフローチャートである 。
【
図25】本発明のさまざまな実施形態において可能な論理のフローチャートである
【
図26】本発明のさまざまな実施形態において可能な論理のフローチャートである 。
【
図27】患者環境におけるループ制御装置を有する感知フォーリーカテーテルシス テムの実施形態を示す図である。
【
図28】患者環境におけるループ制御装置を有する感知フォーリーカテーテルシス テムの実施形態を示す図である。
【
図29】患者環境におけるループ制御装置を有する感知フォーリーカテーテルシス テムの実施形態を示す図である。
【
図30】患者環境におけるループ制御装置を有する感知フォーリーカテーテルシス テムの実施形態を示す図である。
【
図31】可能な入力パラメータおよび出力作用を有するループ制御装置の細部を示 す図である。
【
図32】体積発散の超音波および圧力測定の図表である。
【
図33】感知フォーリーカテーテルの実施形態の遠位端を示す図である。
【
図34】バルーン内のフィルタの実施形態を示す図である。
【
図35】膨らんだバルーンによるバルーン内のフィルタの実施形態を示す図である 。
【
図36】しぼんだバルーンによるバルーン内のフィルタの実施形態を示す図である 。
【
図37】バルーン内のフィルタの実施形態を示す図である。
【
図38】バルーン内のフィルタの実施形態を示す図である。
【
図39】バルーン内のフィルタの実施形態を示す図である。
【
図40】バルーン内のフィルタの実施形態を示す図である。
【
図41】バルーン内のフィルタの実施形態を示す図である。
【
図42】バルーン内のフィルタの実施形態を示す図である。
【
図43】バルーン内のフィルタの実施形態を示す図である。
【
図44】バルーン内のフィルタの実施形態を示す図である。
【
図45】複数の進入用ルーメンを有するバルーンの実施形態を示す図である。
【
図48】ガス透過性膜を有するバルーンカテーテルのさまざまな実施形態を示す図 である。
【
図49】ガス透過性膜を有するバルーンカテーテルのさまざまな実施形態を示す図 である。
【
図50】ガス透過性膜を有するバルーンカテーテルのさまざまな実施形態を示す図 である。
【
図51】ガス透過性膜を有するバルーンカテーテルのさまざまな実施形態を示す図 である。
【
図52】バルーンカテーテルを介してガス含有量を測定するための制御装置を示す 図である。
【
図53】ガス測定カテーテル/制御装置システムの概略図である。
【
図54】ガス測定カテーテル/制御装置システムの概略図である。
【
図55A】ガス測定アドオン部品の実施形態を示す図である。
【
図55B】ガス測定アドオン部品の実施形態を示す図である。
【
図56A】可能性のある痕跡によって、患者パラメータに基づいて急性腎障害およ びUTIを特定できるようにするパラメータの組み合わせを列挙する表である。
【
図56B】可能性のある痕跡によって、患者パラメータに基づいて、急性腎障害、 敗血症、および急性呼吸窮迫症候群を特定できるようにするパラメータの組み合わせ を列挙する表である。
【
図57】エアロックの除去中の採取チャンバ内の圧力痕跡曲線を示す図である。
【
図58】本発明のいずれの実施形態によっても使用可能であるデータ処理システム のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の好ましい実施形態が本明細書において詳細に説明される。しかしながら、デバ
イスのさまざまな特徴の代替的な実施形態も可能である。これらの実施形態の例は以下で
提供されるが、本発明の範囲はこれらの特定的な構成に限定されない。
【0027】
感知フォーリーカテーテル
【0028】
図1は、感知フォーリーカテーテルおよびその特徴のいくつかの実施形態を示す。カテ
ーテルでは、被験者の外部にある近位部、中央または尿道滞留部、および遠位または膀胱
滞留部といった、該被験者にカテーテルが挿入されている時のその配置によってさまざま
なセクションを有することが理解できる。
【0029】
膀胱停留バルーン104および停留バルーンポート118と連通する空気または流体ル
ーメンなどのさまざまな内部ルーメンは、カテーテルの長さにわたって横断する。尿ドレ
ナージルーメンは、カテーテルの膀胱部にある遠位開口部(複数可)106を有し、カテ
ーテルの近位端114に開口部を有する。尿ドレナージルーメンは、尿を採取容器まで運
搬する尿ドレナージチューブに接続されてよい。尿ドレナージチューブは、感知フォーリ
ーカテーテルとは別個であってよい、または一体化されてよい。いくつかの実施形態では
、膀胱におけるドレナージルーメンおよび遠位開口部は、薬剤が注入可能である、または
、加熱または冷却流体が注入可能である注入コンジットとしての役割を果たすこともでき
る。(図示されない)検体センサ(複数可)または(図示されない)温度センサ(複数可
)は、カテーテルの尿道部または膀胱滞留部のいずれかにおいて、カテーテル上に配設さ
れてよい。導線または光ファイバー導線は、遠位に配設されるセンサとカテーテルの近位
部との間の感知信号の通信、さらには、データ処理装置または制御装置への通信を可能に
するルーメンに配設されてよい。
【0030】
膨張式圧力感知バルーン108(または開口部にわたって配置される圧力感知膜)は、
カテーテルの遠位端にまたは遠位端近くに位置付けられてよい。
【0031】
圧力感知バルーンまたは圧力感知膜の実施形態は、膀胱内からの圧力にさらされる末端
部に向いている表面、および、近位流体柱にさらされる基部に向いている表面を有する圧
力インターフェースを含むとして理解されてよい。圧力感知バルーンまたは膜は、カテー
テルの近位端においてまたは近位端近くで圧力ポート116と流体連通している流体柱ま
たはルーメンと流体連通している。(液体またはガスのいずれかである流体が充填された
)流体柱の実施形態は、専用ルーメンまたは共有ルーメンを含むことができる。
【0032】
いくつかの実施形態において、温度センサはカテーテルの遠位端にまたは遠位端近くに
存在してよい。温度ポート110は、温度センサをディスプレイ、コネクタ、および/ま
たは制御装置に接続する温度通信線112を含むことができる。
【0033】
図1は複数の別個のポートを含むカテーテルの近位端を示すが、これらポートのいくつ
かまたは全ては、単一ポートに組み入れられてよい、または、尿ドレナージシステムおよ
び/または制御装置まで進む尿ドレナージ管路に組み入れられてよい。他のルーメンおよ
び/またはポートも存在可能である。
【0034】
感知フォーリーカテーテルシステムが、感知したパラメータに基づいて制御装置を介し
て感知および/または判断することができる圧力ベースの生理学的パラメータは、例とし
て、腹膜圧、呼吸速度および心拍数、相対的な肺1回呼吸量プロファイル、心拍出量、相
対的な心拍出量、ならびに、絶対心臓拍出量を含むことができる。フォーリー型カテーテ
ルのいくつかの実施形態は、さらに、温度センサ、1つまたは複数の検体センサ、電極、
ならびに対になった光源およびセンサのいずれかが装備されていてよい。よってさらに装
備された実施形態は、例えば、血圧、酸素飽和度、パルスオキシメトリ、心電図、および
毛細血管充満圧といった、他の形式の生理学的データを供給することが可能である。
【0035】
感知フォーリーカテーテルの実施形態は、以下の例:尿pH、尿酸素含有量、尿硝酸塩
含有量、呼吸速度、心拍、膀胱壁または尿道壁のかん流圧、膀胱または尿道内の温度、膀
胱壁または尿道上のセンサによる心電図記録、呼吸量、呼吸圧力、腹膜圧、尿中ブドウ糖
、尿道粘膜および/または膀胱粘膜による血糖、尿中タンパク、尿中ヘモグロビン、血圧
に含まれるような複数の臨床的に関連するパラメータのうちのいずれか1つまたは複数を
感知可能とすることができる。いくつかの実施形態では、カテーテルは複数のパラメータ
を感知することができるが、いくつかの実施形態は、集中的応用に対してわずか1つのパ
ラメータ(例えば、呼吸困難の患者の呼吸速度)に限定される場合がある。
【0036】
開示された技術は、腹膜圧、呼吸速度、および心拍数を含む、特定の生理学的ソースと
なる特異的な圧力プロファイルに変換および処理できる膀胱内からの腹膜圧の高分解能の
時系列プロファイル(時間に応じた圧力)を捕獲する。当該技術によって提供されるよう
な、十分に迅速なサンプリング速度で圧力プロファイルを追跡することによって、圧力プ
ロファイルは、さらに、相対的な肺1回呼吸量、心拍出量、相対的な心拍出量、および絶
対心臓拍出量に分解および/または分析可能である。
【0037】
従って、開示された技術の態様は、前述の生理学的ソースからの累積入力を含む圧力プ
ロファイルといった、腹膜腔内の圧力プロファイルを反映している変化などの、膀胱内圧
力の変化に応答して生成される圧力信号の忠実度および分解能に関する。当該技術の態様
は、さらに、圧力信号を高分解能にできる電気信号に変換する忠実度および分解能に関す
る。当該技術の態様は、さらにまた、電気信号プロファイル、腹膜腔内の圧力プロファイ
ルのサロゲートの全体を生理学的ソースに割り当て可能である構成要素プロファイルに処
理することに関する。
【0038】
圧力センサとして膨らんだバルーンの感度は、ある程度、ベースライン状態としてのバ
ルーン膜にわたる圧力差の関数である。バルーンは、ベースライン圧力差がほとんどゼロ
である時の圧力に対して最も感度がよい。ベースライン圧力差が大きくなると、圧力感知
バルーンの感度は低くなる。従って、開示された技術は、膨らんだ状態ではあるが最小圧
力差を有するバルーンを維持する自動プライミング法を提供する。
【0039】
生理学的圧力プロファイルを効果的に捕獲するために、プロファイルはプロファイルの
変更の固有頻度を解決するのに十分である速度でサンプリングされる必要がある。この考
慮事項は、ナイキスト-シャノンサンプリング定理によって知らされる。この定理は、B
サイクル/秒の頻度で進行するイベントを解決するために、少なくとも2B標本/秒のサ
ンプリング頻度が必要とされることを提示している。生理学的圧力サイクルに適用される
と、例えば、70拍動/分の心拍数は、そのサイクルを効果的に捕獲するために少なくと
も140標本/分のサンプリング速度を必要とする。この関係は、相対的な肺1回呼吸量
、心拍出量、相対的な心拍出量、および絶対心臓拍出量などの生理学的圧力サイクルを捕
獲するためにとりわけ必要とされるサンプリング速度を特定する開示された技術の態様の
根底をなす。
【0040】
本技術の実施形態は、柔軟膜または非柔軟膜のいずれかを有するバルーンによって表さ
れる場合があるような圧力インターフェースを含む。
【0041】
この技術の実施形態に従った拡張可能圧力感知バルーンは、少なくとも2つの、柔軟ま
たは非柔軟の基本的な形態のうちの1つまたは複数を想定することができる。一般に従来
のパーティー用バルーンのようなものである柔軟バルーン型において、圧力感知バルーン
は柔軟膜から形成されるまたは該膜を含む。従って、膜の表面積は、バルーンの拡張に応
じて拡張するか収縮する。膜のコンプライアンスは、異なる拡張レベルで、全体としてバ
ルーンのさまざまな特徴を判断する。拡張すると、バルーンは非収縮である場合、バルー
ンが形成されるマンドレルによって判断されるような実質的に一定のもしくは好ましい形
態または形状を維持する。バルーンが最小容量から最大容量まで拡張すると、バルーンの
膜はある程度の緊縮性を維持する。柔軟膜のコンプライアンスの限度内で、注入中の圧力
の増加は、結果として容量が拡大することになる。バルーンは全体として、その形状が、
拡張または膨張時に遭遇する場合がある空間制約に応じるというように、部分的に柔軟で
あると考慮されてよいが、バルーンは、好ましいまたは本来の形状を有し、このような形
状の優先傾向は、非柔軟バルーンによって示されるような、ある程度の形状コンプライア
ンスまたは順応性を妨げる。
【0042】
非柔軟バルーンでは、拡張圧力感知バルーンは、非柔軟膜、または、実質的に非柔軟で
ある膜から形成される、または該膜を含む。従って、膜の表面積は、バルーンの拡張/加
圧のレベルに従って拡張または収縮しない。非柔軟圧力感知バルーンは、一般に、従来の
マイラー(登録商標)バルーンのようなものである。膜のコンプライアンスの欠如によっ
て、全体として種々のレベルの拡張でバルーンのさまざまな特徴が判断される。バルーン
が、最小容量から最大容量に近いレベルまで拡張すると、バルーンの膜は柔軟であり、あ
る程度の緩みを有する。非柔軟バルーンの拡張は、外方に向けて膜におけるしわおよびひ
だを伸ばすことによって生じる。非柔軟バルーンのしぼみまたは圧縮は、全体的に内方に
向けてしわおよびひだを入れることによって生じる。非柔軟バルーンを閉じ込め空間にお
くことなく十分膨らませる(または実質的に膨らませる)時、バルーンの膜または構造の
幾何学的配列によって判断されるような好ましいまたは本来の形状が想定される。しかし
ながら、部分的に膨らませた状態で、バルーンは、全体として、高い柔軟性および順応性
を有し、閉じ込め空間によって決定づけできるようなおおまかな形をとる。
【0043】
本技術の実施形態による拡張圧力感知バルーンは、2つの柔軟および非柔軟の基本的な
形態の両方の特徴を含むこともできる。これらの実施形態では、膜は、柔軟な領域および
非柔軟な領域を含んでよい。この混成型のバルーンは、全体として、上述されるように、
柔軟バルーンおよび非柔軟バルーン両方の行動的側面から引き出されるような動きを取る
ことになる。さらに、柔軟バルーンは、均一な組成または厚さを有さない膜で形成されて
よい。かかる実施形態では、種々の厚さまたは組成の領域では、コンプライアンス度が変
動している可能性があるため、バルーンの拡張中にこれらの領域の挙動に影響を及ぼす。
さらに他の実施形態では、膜のコンプライアンスは、1つまたは複数の方向におけるコン
プライアンスを認める傾向があり、かつ、1つまたは複数の方向におけるコンプライアン
スを認めない傾向があるバイアスまたは極性を有することができる。
【0044】
感知フォーリーカテーテルの実施形態は、空気伝播用の非常に小さい圧力のルーメンを
利用したデバイスを含む。3mm、1mm、および0.5mmの内腔直径を使用した圧力
示度が測定された。空気ルーメン直径が3mmから1mmおよび0.5mmまで減少した
時にわずかな信号劣化が見られた。
【0045】
これらのデータは、4Fと同じサイズまで下がった小さい直径の小児カテーテルにおけ
る圧力変換システムの実施形態を使用した妥当性を示す。この実施形態においても、カテ
ーテルの先端部は、圧力感知バルーンを追加しても一貫して小さい直径を可能にするため
にカテーテルの他の部分より小さくしたプロファイルとすることができる。よって、本発
明のカテーテルは、より適切で低侵襲的な監視方法の差し迫った必要性がある小児適応性
に比類なく適している。別の実施形態では、必要とされるルーメンの数を最小限に抑える
ために、停留バルーンそのものが圧力バルーンとして使用可能である。一実施形態では、
停留バルーンは十分に膨らませた状態で使用され、IAPにおけるマクロ動向を追跡する
ためだけに使用される。別の実施形態では、停留バルーンは、圧力の小さな変化に対する
バルーンの感度が増すようにするためにわずかに膨らませるだけである。この実施形態に
よって、心拍、相対的な1回拍出量、相対的な心拍出量、呼吸速度、および相対的な1回
換気量といった、マイクロパラメータのより微細な測定値が可能になる。より小さい圧力
ルーメンによって、センサなどの他の技術用のより大きなカテーテルにおけるより大きい
空間も可能になる。
【0046】
停留バルーンが圧力バルーンとして使用される感知フォーリーカテーテルの実施形態で
は、停留バルーン内で測定される圧力は、停留バルーンとしての役割を果たさせるのに十
分大きくバルーンを膨らませるだけのために必要とされる圧力で相殺される。この結果、
膨張圧、場合によっては膀胱の内面と接触している停留バルーンから生じる圧力は、圧力
示度から差し引かれる必要がある。このように、より小さい圧力の変化は、別個の圧力バ
ルーンによって測定されるものと同様に追跡可能である。膨張圧の相殺は、最初に患者に
挿入される時に停留バルーン内の圧力を測定することによって、または、患者の外側の停
留バルーンの膨張圧を測定することによって、またはその他の手段によって判断されてよ
い。停留バルーンは、流体、空気、または任意の他の適切なガスが充填されてよい。
【0047】
開示された技術の実施形態は、圧力センサが、光ファイバー、歪みゲージ、磁気、共振
、および/または他の適した技術を使用したものなどの機械式圧力センサである実施形態
を含むことができる。
【0048】
図2は、感知フォーリーカテーテルシステムの実施形態によって提供されるような被験
者からの呼吸速度感知データの例を示す。この試験期間中、その被験者は、以下のような
呼吸連鎖を行う:(1)呼気の終わりに息を止める、(2)バルサルバ、(3)過呼吸、
(4)バルサルバ、および(5)呼気の終わりに息を止める。
【0049】
図3は、
図2に示されるのと同様の呼吸プロファイルにおける通常の呼吸周期の詳細部
を示す。圧力曲線は、呼吸ピーク、ひいては判断できる呼吸速度、および、心拍ピーク、
ひいては判断できる心拍を明確に示すことに留意されたい。
【0050】
図4は、感知フォーリーカテーテルシステム、および同時にかつ独立して測定されるよ
うな心電図トレースの実施形態によって提供されるように、被験者からの心拍数および相
対的な心拍出量感知データの例を示す。このグラフは、感知フォーリーカテーテルによっ
て測定されるような心拍ピークが心拍と合致していることを明確に示す。
【0051】
図5は、心拍動の振幅が増加することによって実証されるように、心拍出量が増加する
人間の下肢挙上運動において感知する相対的な心拍出量に関連するデータを示す。
【0052】
図6および
図7に示されるデータは、IACUC承認プロトコル下でのヨークシャー種
の豚で行われた研究から得られた。
図6は、感知フォーリーカテーテルシステムの実施形
態によって提供されるように、豚による呼吸速度に重点を置いた腹膜感知データの例を示
す。
図7は、腹部内圧上昇を検出するために感知フォーリーカテーテルシステムの実施形
態の機能を実証する豚の研究の例を示す。この研究では、腹膜腔には、5mmのテノーミ
ンによるトロッカーを進入させた。トロッカーは次いで、蠕動ポンプを介して乳酸リンゲ
ル液の5Lバッグに取り付けられ、該液は、毎分約1Lの速度で注入された。流量は、約
20mmHgの圧力が得られると中断され、その後、その空洞内または空洞外における正
味の流体流はなくなった。
【0053】
図8は、圧力(対数目盛でmmHg)と周波数(Hz)の関係を示す二次元の図表とし
て概略的に配列される腹腔内圧、呼吸波圧、および心臓圧を示す。圧力と周波数との逆相
関があり、さまざまな生理学的圧力関連パラメータは、このように配列される時に別々の
セクターを占めることが分かる。これら圧力および/または周波数プロファイルが別個で
あることによって、本明細書に開示されるような方法の実施形態は、それらの生理学的起
源に従って、単一の全体的な時系列圧力プロファイルを別々のサブプロファイルに分ける
ことができる。腹腔内圧測定値は、約0Hz~約0.5Hzの周波数域に収まらせること
ができる。呼吸圧力測定値は、約0.25Hz~約0.75Hzの周波数域に収まらせる
ことができる。心臓圧測定値は、約0.75Hz~約3.0Hzの周波数域に収まらせる
ことができる。腹腔内圧測定値は、約5mmHg~約30mmHgの振幅域に収まらせる
ことができる。呼吸圧力測定値は、約0.5mmHg~約5mmHgの振幅域に収まらせ
ることができる。心臓圧測定値は、約0mmHg~約0.5mmHgの振幅域に収まらせ
ることができる。圧力測定値がとられる周波数であるサンプリング周波数は、好ましくは
、分解能周波数の約2倍である。例えば、サンプリング周波数は、腹腔内圧測定値につい
ては約0Hz~1Hz、呼吸圧力測定値については0.5Hz~1.5Hz、心臓圧測定
値については1.5Hz~6Hzであってよい。
【0054】
図9は、膀胱内から検出されるように、腹腔内腔における変動周波数および振幅の波と
して動的に生じる時の圧力を監視する方法の実施形態のフロー図を示す。圧力インターフ
ェースの仲介で、高忠実度圧力プロファイルは、流体柱を通して近接して生成かつ伝達さ
れる。より近接して、圧力変換器は、高忠実度圧力波を、圧力周波数および振幅の情報を
与える高忠実度電気信号に変える。生成された高忠実度電気信号は次いで、制御装置によ
って処理されて、腹膜圧、呼吸速度、心拍数、相対的な心拍出量、および患者の運動また
は活動といった、特定の生理学的ソースに起因するサブセットなどの全体的な圧力プロフ
ァイル内の構成要素を反映するデータサブセットをもたらす。
【0055】
感知フォーリーカテーテルシステム
【0056】
図10Aは、エアロック除去機構ならびに流体採取および分析システムの実施形態と併
せて使用される感知フォーリーカテーテルシステムの実施形態を示す。尿ドレナージおよ
び圧力示度の両方には、尿ドレナージ管路におけるエアロックの消去または低減を活かす
。
【0057】
感知フォーリーカテーテル1000は、
図1に示される感知フォーリーカテーテルと同
様である。膀胱1014において使用される感知フォーリーカテーテルが示される。
図1
に示されるカテーテルの近位端におけるポートのいくつかが
図10Aに示される実施形態
において組み合わせられることは留意されたい。尿ドレナージチューブ1001もここに
示される。尿ドレナージチューブは、感知フォーリーカテーテルと組み合わせられてよい
、または、別個の構成要素であってよい。尿ドレナージチューブ1001および/または
感知フォーリーカテーテルは、通気口付きバーブ継手1016も含むことができる、また
は、通気口付きバーブ継手は別個の構成要素であってよい。エアロック除去機構ならびに
流体採取および分析システム1002もここに示され、感知フォーリーカテーテル100
0と流体連通する尿ドレナージチューブ1001と流体連通する。エアロック除去機構な
らびに流体採取および分析システムは、基部/制御装置1018、流体採取バッグ102
0、および貯蔵部またはカセット1022を含む。感知フォーリーカテーテル1000、
尿ドレナージチューブ1001、およびエアロック除去機構ならびに流体採取および分析
システム1002の組み合わせは、本明細書において、感知フォーリーカテーテルシステ
ムとも呼ばれる。感知フォーリーカテーテル、尿ドレナージ管路、および貯蔵部/カセッ
トは、使い捨てであってよく、ユニットとして売られている場合がある。感知フォーリー
カテーテル1000、(通気口付きバーブ継手を含む)尿ドレナージチューブ1001、
および貯蔵部/カセット1022を含むこの使い捨て組立品は、
図10Cに示される。
【0058】
通気口付きバーブ継手1016は、通気口(複数可)1006、および尿サンプリング
ポート1004を含むことができる。この実施形態では、通気口1006は、好ましくは
、疎水性膜といった、液体でなくガスの伝達を可能にする膜から作られる。このような例
示的な1通気口の例は、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ePTFE(発泡P
TFE)、または、(ニューヨーク州ポートワシントンのPall社による)バーサポア
(登録商標)膜であるが、他の材料は使用可能である。通気口は、陰圧がドレナージチュ
ーブに加えられる時に空気がシステムに入ることを可能にし、かつ、陽圧がドレナージ管
路におけるエアロックによって生じた時に空気がシステムを出ることを可能にすることが
できる。かかる機構は、例えば、膀胱壁における吸引障害を防止する。通気口1006は
、空気がドレナージ管路を出ること、またはドレナージ管路に入ることを防止する一方向
弁を組み込むことができる。好ましい実施形態では、一方向弁は、通気口1006を介し
て、空気がドレナージ管路を出ないようにするために使用されるが、空気がドレナージ管
路に入るのを可能にする。このように、弁はまた、尿が通気口1006と接触することを
防止する。
【0059】
尿ドレナージチューブ1001は、圧力ルーメン1010、温度ルーメン1008、お
よび尿ルーメン1012を含むいくつかのルーメンを含むことができる。圧力ルーメン1
010は、圧力感知バルーン108のみならず、制御装置1018における圧力変換器イ
ンターフェース1016と流体連通している。温度ルーメン1008は、感知フォーリー
カテーテルにおける(図示されない)温度センサ、さらには制御装置における温度コネク
タ1024と連通する。尿ルーメン1012は、開口部(複数可)106および尿貯蔵部
/カセット1022と流体連通している。
【0060】
使い捨て測定用容器、採取用容器、チャンバ、またはカセット部品1022は、カセッ
ト設置台、基部、または制御装置1018に収まるように、かつ、制御装置の構成要素と
連動するように設計される。(カセット/ポンプインターフェース1148の背後の)制
御装置/ポンプインターフェースは、ポンプ1134、および、使い捨てカセット部品上
のカセット/ポンプインターフェース1148に接続する。ポンプは、カセット部品内に
真空状態を作り出した後、それがドレナージ管路における尿ドレナージルーメンに移送さ
れるように設計される。好ましくは、採取用容器は、ポンプが陰圧を加える時に一定の容
量を維持するように剛性を有する。加えられる陰圧のレベルは、圧力センサによって監視
可能である。エアロックの除去中、圧力は
図59に示されるような痕跡曲線をたどる。圧
力は吸引が施されると減少し、最終的には、尿のメニスカスがドレナージチューブ材料に
おける最低点を通る時に変曲点に達する。この点において、エアロックの除去を継続する
のに必要な吸引は少なくて済むため、ポンプ動力は、エアロックが完全に除去されると膀
胱に伝達される吸引量を最小限に抑えるように低減させることができる。例えば、この圧
力感知特徴がないより大きな容器は、エアロックが除去されると、および、容器が大気と
の平衡を保つための時間を有する前にかなりの陰圧を膀胱に伝達することになる。(カセ
ット圧力インターフェース1150の背後の)制御装置圧力インターフェースは、圧力変
換器などの圧力測定デバイス、およびカセット圧力インターフェース1150に接続する
。圧力測定デバイスは、圧力変換器とすることができる圧力測定デバイスに対してかけら
れる圧力に基づいて、尿または他の流体の量を測定するように設計される。超音波変換器
インターフェース1130はまた、尿量測定値を示すためのものである。超音波測定値は
圧力測定値と併せて使用可能である、または、尿または他の流体、容量出力を判断するた
めに使用可能である。能動ピンチ弁1132は、カセットのアウトフローチューブ材料に
接続するように設計される。ピンチ弁は、カセット容器の排尿を制御するためのものであ
り、ピンチ弁は、圧力および/または超音波測定値によって判断されるように、尿排出量
がカセットにおけるある特定の量に達する時に尿/流体を解放するように、制御装置によ
って制御される。カセットにおける尿の量は測定され、尿がある特定の量になると、尿は
ピンチ弁を介して尿ドレナージバッグ1020に流し込まれる。このように、尿排出量は
、経時的に精確に測定可能である。代替的には、制御装置は、カセットからの排尿の間の
設定時間を利用し、かつ、排尿直前にカセットにおける尿の量を測定することが可能であ
る。代替的には、制御装置は、ポンプの稼働によって引き起こされたエアロックの排除な
どが生じるとカセットからの排尿を行うことができる。例えば、制御装置は、尿量が約5
0mlに達する時に貯蔵部/カセットから排尿するようにピンチ弁を制御することができ
る。代替的には、制御装置は、カセット内の尿量を測定後1時間ごとに貯蔵部/カセット
から排尿するようにピンチ弁を制御することができる。代替的には、制御装置は、ポンプ
の運転といった尿ドレナージが行われている間またはその後に貯蔵部/カセットから排尿
するようにピンチ弁を制御することができる。または、制御装置は、これらの作動の組み
合わせを使用して、貯蔵部/カセットから排尿するようにピンチ弁を制御することができ
る。
【0061】
他の技術は、圧力に基づいた、抵抗に基づいた、キャパシタンスに基づいた、超音波に
基づいた、または光学に基づいた技術を含む、圧力および/または超音波に加えてまたは
その代わりに尿量を測定するために使用可能である。2つ以上の技術は、測定値が容量測
定値の精度を改善するために互いに比較できるように使用されてよい。1つまたは複数の
技術によって行われる2つ以上の容量測定は、より精確な尿量測定値を得るために、冗長
性を持たせるために、バックアップのために、または、それぞれを併せて使用されてよい
。
【0062】
ベッドフック1116は、必要に応じて、ベッドまたは他のデバイスに制御装置を引っ
掛けるためのものである。これらフックは、患者を搬送する際に制御装置をポータブルデ
バイスに引っ掛けるためにも使用可能である。採取バッグフック/穴1102は、尿/流
体が、ピンチ弁を通過後最後に採取されるドレナージバッグを装着するためのものである
。採取バッグフック1102は、バッグ内の流体の重量が判断できるように歪み測定を行
えるように、ひいては、バッグ内の流体量を判断するための別の方法を提供するように設
計可能である。例えば、圧電変換器が使用可能である。比重の判断はまた、重量および比
重に基づく有用な容量測定値を判断するために制御装置によって使用可能である。
【0063】
スクリーン1110は、現在の尿/流体量状態、システム状態などを含む情報を表示す
るためのものである。スクリーン1110はまた、タッチスクリーンであってよく、設定
、スクリーン表示変更、メニュー変更などを含む入力を受信することができる。圧力ポー
ト1026は、使用される場合、感知フォーリーカテーテルを使用して膀胱圧を測定する
、膀胱圧管路1010に接続する。代替的には、圧力ポートは、カセット1022下のカ
セット設置台内に、または、制御装置/基部のどこかに位置することができる。温度入力
ポート1024は、ルーメン1008を介して感知フォーリーカテーテルによって、また
は他の手段によって、体温を測定するサーミスタ/温度センサに接続する。温度出力ポー
ト1122は、いずれの温度測定値も外部デバイスおよび/またはモニタに伝達するため
のものである。アダプタポート1124は、RFIDアダプタの場合など、他のデバイス
に制御装置を適応させるためのものであり、これは、IAPの測定値、呼吸速度、心拍、
心拍出量、または、感知フォーリーカテーテルによって測定可能である任意の他のパラメ
ータなどの任意の追加の/拡張機能をアクティブにするために使用可能である。これによ
って、さらなるパラメータをアクティブにして、その情報が所望される時のみに病院側で
支払われることを可能にする。拡張機能のアクティブ化はまた、例えば、種々の使い捨て
部品を使用することによって制御可能である。代替的には、拡張機能は、使い捨て品の一
部として、または別個に、購入されるソフトウェアアップグレードによってアクティブに
してよい。ソフトウェアアップグレードは、USBドングルによって、マイクロSDカー
ドによって、EPROMカードによって、または、他の適した技術によって無線で供給さ
れてよい。それぞれの患者および/または集計された患者についてのデータはまた、制御
装置によって保存されてよい。患者データは、メモリ、USB、マイクロSDカード、E
PROMカード、ハードドライブに、またはその他の手段で保存されてよい。患者データ
は、無線で、または、インターネットまたはイントラネット上のサーバといった、別の記
憶デバイスへの有線接続によって転送されてよい。患者データは匿名にされてよい。
【0064】
パワーLED/指示器1114は、電源がオンまたはオフになっているかを指し示すも
のである。エラーLED/指示器1112は、システム内で何らかのエラーが生じた場合
の指標である。スクリーン1110上にエラーの詳細が表示可能であるが、指示器111
2は、エラーがあることをユーザに警告する。指示器は、音または他の警告を組み入れて
もよい。
【0065】
ポート1108は、ダウンロード、アップロード、ソフトウェアアップグレード、EM
R(電子医療記録)システムとの一体化といった、他のデバイスへの接続などのためのも
のである。ポート1108は、USBポートまたは他の適切なポートであってよい。SD
ポート1106はデータのダウンロードのためのものである。パワーポート1104は、
制御装置を壁または他の電源に接続して制御装置に電力供給するためのものである。
【0066】
尿/流体ドレナージバッグ1020は、一旦採取されると尿/流体がドレナージバッグ
を出ないようにするために、オーバーフローチューブ材料1138およびアウトフローチ
ューブ材料1140に接続される一方向弁1136を含む。これらの弁はまた、ポンプ1
134が真空状態を引き寄せる時に採取用容器1022に空気が入らないようにすること
で、真空状態はバッグではなくドレナージチューブ材料に対して作用する。好ましい実施
形態では、単一の弁は、オーバーフローチューブ材料およびアウトフローチューブ材料両
方に対して使用される。装着用フック/穴1102によって、ドレナージバッグ1020
を制御装置1018に取り外し可能に取り付けることができる。疎水弁または他の弁とす
ることができる通気口1142は、空気またはガスがドレナージバッグを出るのを可能に
するが、流体がバッグを出るのを可能にしない。これによって、バッグ内に集積した過剰
空気および場合によっては圧力を防止するため、ドレナージバッグの効率的な充填が可能
になる。目盛付きマーク1144は、バッグ内の流体量が採取される時のいくぶんおおま
かな測定値を示す。流出弁1146は、流体/尿のバッグから排尿するために使用されて
よい。好ましくは、弁は、1人で容易に動作可能である。採取バッグフック1102は、
歪み測定要素として設計される時、バッグが全容量に達しており、かつ、排尿の必要があ
る場合に警告音を出すようにすることもできる。バッグに対して不必要に過剰な力がかけ
られる場合、例えば、患者を移動させている際に障害物に対してバッグが引っ張られるま
たは捕獲されている場合に警告音を出すようにすることもできる。
【0067】
ドレナージバッグは、透明ビニルまたは他の適した材料から作られてよい。一方向弁は
、ビニルまたは他の適した材料から作られてよい。疎水通気口は、ePTFE、バーサポ
ア、または他の適した材料から作られてよい。流出弁は、PVC、PC、または他の適し
た材料から作られてよい。
【0068】
感知フォーリーカテーテルからの圧力示度は、ポンプ、ひいては、ドレナージチューブ
材料の排尿を作動させるために使用可能である。例えば、膀胱において感知された圧力が
あらかじめ設定された数字を超える時、ポンプは、ドレナージチューブ材料を通して尿を
より迅速に移動させるように動いてよい。
【0069】
制御装置/基部および/または貯蔵部/カセットは、制御装置/カセットが同じレベル
である時およびそうでない時を判断するための、加速度計または他のセンサを含むことが
できる。制御装置/カセットが同じレベルでない時に警告音を出すことができる。代替的
には、尿量測定値は、システムにおける異なる角度を考慮するために調節されてよい。
【0070】
カセットにおける尿貯蔵部の底部は、縁が丸くなっていてよい、または、ピンチ弁が開
放される時にカセットから完全に排尿されるように構成されてよい。
【0071】
図10Bは、エアロック除去機構ならびに流体採取および分析システム1002の詳細
図である。スクリーン1110は、患者パラメータおよびタッチスクリーン、または他の
制御機能を含むユーザインターフェースを表示する。心拍エリア1152は、感知フォー
リーカテーテルによって感知される膀胱内圧測定値に基づいて制御装置によって判断され
る患者の心拍を示す。呼吸速度エリア1154は、感知フォーリーカテーテルによって感
知される膀胱内圧測定値に基づいて制御装置によって判断される患者の呼吸速度を示す。
中核体温エリア1156は、感知フォーリーカテーテルにおける温度センサまたはその他
によって感知されるような患者の中核体温を示す。尿排出量エリア1158は、圧力イン
ターフェース1150および/または超音波変換器インターフェース1130に接続され
る圧力測定デバイスによって測定されるような尿量測定値に基づいて制御装置によって判
断される患者の現在のおよび/または平均尿排出量を示す。敗血症指数エリア1160は
、採取および/または計算された1つまたは複数の患者パラメータに基づいて制御装置に
よって判断される患者の敗血症の可能性を示す。例えば、敗血症リスクを判断する際に、
温度、心拍異常、呼吸速度異常、および/もしくは尿排出量、または他の要因が考慮され
てよい。これらのパラメータの傾向は、リスク評価を行う際に使用されてもよい。例えば
、尿排出量の低減、心拍の増加、中核体温の増加または減少は、敗血症の指標とすること
ができる。
【0072】
他のリスク評価は、制御装置によって判断され、かつ敗血症指数に加えてまたはその代
替策として表示されてよい。これらは、急性腎障害、尿路感染、腹部内圧上昇、腹部コン
パートメント症候群、感染リスク、敗血症、およびその他のリスク評価を含む。例えば、
急性腎障害および尿路感染の標本リスクアルゴリズムが
図56Aに示される。急性腎障害
、敗血症、および急性呼吸窮迫症候群についての標本リスクアルゴリズムが
図56Bに示
される。測定された尿パラメータは、伝導度、比重、尿排出量、感染の存在、細菌、白血
球、酸素圧、およびその他を含むことができる。
【0073】
グラフィック指標1162は、これらのエリアのいずれかの履歴データを示す。例えば
、ユーザは、スクリーンをタッチすることによってグラフ表示をトグルし、かつ、尿排出
量、温度、心拍、呼吸速度、敗血症指数、急性腎障害のリスク、尿路感染、腹部内圧上昇
、腹部コンパートメント症候群、感染リスク、およびその他、または任意の他の関連のあ
るパラメータの患者の病歴を示すことができる。病歴についての時間フレームは、常時、
毎日、毎時、またはユーザによって設定される任意の期間であってよい。範囲外の任意の
リスク要因は、そのリスク増加において、自動的にここにまたはディスプレイ上のどこか
に示されてよい。警告および/または領域はユーザによって設定されてよく、絶対値、お
よび経時的な傾向を含むことができる。例えば、特定的な時間フレーム上での2度以上の
中核温度の増加は、映像を表示するか可聴の警告音を出してよい。
【0074】
図11は、通気口付きバーブ継手1182の代わりに通気口1180が制御装置101
8または貯蔵部/カセット1022上に位置する、
図10Aに示されるのと同様の(エア
ロック除去機構、排液、採取および分析システム/制御装置を含む)感知フォーリーカテ
ーテルシステムの実施形態を示す。この実施形態では、通気口1180は、バーブ継手1
182において尿ルーメン1012に流体接続する通気口ルーメン1184を介して尿ド
レナージルーメン1012と流体連通している。この実施形態では、バーブ継手設計は簡
略化され、ドレナージチューブ材料は、
図10Aに示される実施形態と比較して単に追加
のルーメンを有する。通気口は、システムのどこにでも位置することができ、尿ルーメン
との流体インターフェースも同様にシステムのどこにでもあってよい。
【0075】
図12は、
図10Aに示されるシステムとは対照的に、圧力バルーンが利用されない、
図10Aに示されるものと同様の感知フォーリーカテーテルシステムの実施形態を示す。
代わりに、圧力は、感知フォーリーカテーテルにおける尿ルーメン(または他のルーメン
)を介して膀胱内で測定される。この実施形態では、圧力ルーメン1202は、通気口1
204、または患者の外側のシステムにおけるどこかに接続され、少なくとも周期的に、
カテーテルのドレナージ/尿ルーメンと流体連通する。この実施形態では、感知フォーリ
ーカテーテルシステムは任意の標準的なフォーリーカテーテルによって使用可能である。
感知フォーリーカテーテルシステムのいずれの実施形態も標準的なフォーリーカテーテル
によって使用されてよいことは留意されたい。
図12に示されるシステムは、圧力ルーメ
ン1202無しで使用されてもよく、膀胱における圧力測定が所望されない場合、標準的
なフォーリーカテーテルによって使用されてもよい。
【0076】
図13は、
図12に示されるのと同様の感知フォーリーカテーテルシステムの実施形態
を示す。この実施形態では、弁1302は、圧力ルーメン1202を尿ドレナージルーメ
ンに周期的に近づけるために利用されてよい。弁は、圧力測定値がとられる時に制御装置
によってまたは手動で開放可能であり、膀胱圧力示度が必要とされない時に再び制御装置
によってまたは手動で閉鎖可能である。
【0077】
図10A、
図10B、
図11、および
図12は、ドレナージチューブにおけるサイホン
によって、もしくは、ポンピング機構によって、またはその両方によって陰圧がもたらさ
れる場合、空気がドレナージチューブに入ることを可能にするドレナージチューブの患者
端に近い通気口を含む感知フォーリーカテーテルシステムの実施形態を示す。このような
陰圧は、膀胱の粘膜内層に生じた障害などの吸引障害に至る可能性がある。これらの実施
形態が通気口(複数可)によって空気を逃がすことができるがドレナージチューブに入れ
ないようにすることができるデバイスとは異なっていることは留意されたい。尿ドレナー
ジルーメンは好ましくは、ルーメンにおける液体がルーメンとの周辺での接触を維持する
ことでシールを形成し、かつ、ポンピング機構が稼働される時に液体を送ることができる
ように、約0.25インチ未満の内径を有する。ポンピング機構が機能しない場合に流れ
が遮断されないようにするために、複数のドレナージルーメンがあってよい。これらの実
施形態では、ドレナージルーメンは、優先的には概して排尿されており、これには、ポン
ピング機構を継続的に稼働させる必要がある場合がある。代替的には、ポンピング機構は
、容量の測定を行う前に稼働させて液体全てが確実に排出されているようにすることがで
き、これによって、デバイスの電力の必要性を低減する。
【0078】
感知フォーリーカテーテルシステムのいくつかの実施形態は、肉体組織内圧は一定のま
までドレナージ管路における圧力スパイクを検出することと、ドレナージ管路における圧
力が肉体組織における圧力に等しくなるまでドレナージ管路を通して陰圧を生じさせるた
めにポンプを使用することとを含む。
【0079】
一実施形態では、通気口は、患者からの液体流に対する抵抗を上回る気流に対する抵抗
を有することで、患者に集積したいずれの液体も空気が通気口を通って入る前にドレナー
ジ管路へと浄化される。例えば、排尿の場合、充満した膀胱は、ドレナージ管路へと排尿
された後、通気口を通る気流の抵抗が患者のカテーテルを流れる尿の抵抗を上回る限り空
気は通気口から入ることになる。しかしながら、通気口は好ましくは、気流に対する最小
限の抵抗を有して、この要件を満たすことで吸引障害を最小限に抑える。
【0080】
別の実施形態では、通気口では気流に対する抵抗が非常に小さいため、膀胱はさらに、
吸引から保護され、制御装置式ポンプは、例えば、1分ごと、5分ごと、または10分ご
とといったより頻繁な間隔で稼働されて、ドレナージ管路から尿を除去し続ける。ポンプ
は、稼働される時、排出される尿はそれ以上なく、膀胱が完全に排尿されていることを検
出するまで運転し続けることができる。
【0081】
使用されるポンピング機構は、蠕動ポンプ、ダイヤフラムポンプ、ベーンポンプ、イン
ペラーポンプ、遠心ポンプ、または任意の他の適したポンプを含むがこれらに限定されな
い任意の適した機構とすることができる。ポンプは、壁コンセント、電池、人力、または
任意の他の適したものが動力源となってよい。いくつかの実施形態では、真空は、約0~
-50mmHgである。陰圧は、代替的には、病室に存在することが多い真空壁によって
与えられてよい。ポンピング機構は、蠕動状ポンプ、または採取用容器に直接加えられる
吸い込みを含むことができる。このポンプは、ドレナージ貯蔵部の患者側に位置すること
ができ、または、このポンプは、好ましくは、ドレナージ貯蔵部/カセットの患者がいな
い側に位置することができ、それによって、貯蔵部は患者とポンプとの間にある。適正に
機能させるために、ポンプは、好ましくは、ドレナージチューブの液柱の最大高さに等し
い陰圧を生成することができるものとし、これは、ドレナージチューブの長さの半分であ
ってよい。最大長が60インチの尿ドレナージチューブによって、必要とされる最高陰圧
はおよそ30inH2O、または56mmHgになる。
【0082】
尿をチューブ材料および/またはシステムを通して進ませるために、ドレナージ管路お
よび体内の体液の移動のうちの少なくとも1つを生じさせるために、拍動機械式、振動音
響、熱、振動、ピンチング、ローリング、または、電磁刺激を含む他の技術が使用されて
よい。いくつかの実施形態では、ローリング刺激は、ルーメンが決して全て同時に圧縮さ
れないように、複数のルーメンを連続的に圧縮することを含む。
【0083】
別の実施形態では、エアロックは、(図示されない)より堅いねじれ耐性チューブにあ
る押し出しドレナージチューブによって排除される。周期的に、ドレナージチューブは、
押し出しチューブとねじれ耐性チューブとの間の空間に陽圧を加えることによって、また
は、押し出しチューブの内部に陰圧を加えることなどによって折りたたませる。ドレナー
ジチューブを折りたたむことで、尿を患者から採取用容器の方へ押しやる。
【0084】
別の実施形態では、ドレナージルーメン除去機構は、約0.25インチ未満の内径を有
するチューブを備えて、空気ポケットがチューブの長さにわたって移動できないようにす
る。これは、より小さいチューブ内の表面張力によって可能であり、これによって、(膀
胱の場合など)チューブの一端が大気に対して閉じられる時に流体の移動が妨げられる。
よって、ドレナージチューブは常に、尿が充満したままであり、生じたそれぞれの尿の量
に対して、同じ尿の量は、尿が圧縮できないため、ドレナージチューブを出る必要がある
。別の実施形態では、内径は0.125インチ未満である。別の態様では、上記ドレナー
ジチューブは、サイホンとして作用し、少ない安全な量の真空を膀胱に与える。代替的に
は、小さいルーメンのドレナージチューブによって、空気を、通気口/弁を介してチュー
ブルーメンに周期的に入らせることができる。ポンプによって引き起こされた陰圧はこれ
を助長することができる。尿は、ポンプによって引き起こされる陰圧によって採取貯蔵部
に流れ込み続けるように促されるため、エアロックを妨げる。
【0085】
小径チューブ材料の使用はまた、先行技術と比較してドレナージチューブにおいて少量
の残尿をもたらす。残留量がより少ないことは、尿を、患者の膀胱から採取用容器へより
迅速に移動させることができるため優先事項である。この搬送の速度は、生じて間もない
尿の測定値を取るために重要である。このことは、尿を膀胱から採取用容器まで搬送させ
るのにさらに時間がかかるため、尿産生が低速度の患者にとってとりわけ重要である。例
えば、標準的なドレナージチューブで10ml/時間の尿(およそ40mLの残留量)し
か出さない患者にとって、採取用容器におけるその尿の測定値は、実際通りの尿産生から
4時間遅れてとられることになる。それに反して、(およそ5mLの残留量を有するチュ
ーブ材料といった)より小さいチューブ材料では、測定は実際通りの産生から30分しか
遅れないことになる。通気口/弁があるまたはない、より小さい直径のルーメンを利用す
るいくつかの実施形態では、ドレナージ管路に陰圧を与えるポンプは必要とされない。
【0086】
図14は、一定の陰圧を患者に与える排出用胸腔チューブまたは他のドレナージチュー
ブに良く適したデバイスの実施形態を示す。これらの実施形態はまた、膀胱からの尿、ま
たは他の空洞からの流体を排出するのに適する場合がある。胸腔チューブドレナージとの
関連で開示される特徴のいずれかは、膀胱ドレナージまたは他の体腔ドレナージに適用さ
れる場合もある。採取用容器1582に接続するドレナージルーメン1585を通して、
液体は患者から排出される。陰圧を採取用容器1582に引き寄せることによって、例え
ば、吸引チューブ1583を病院壁面吸い込みに取り付けることによって、ドレナージは
補助される。吸引はまた、本明細書のどこかに開示されるようなポンプのようなもので他
の方法によって行われてもよい。空気は、所望される陰圧に等しいクラック圧を有する弁
1584を通してドレナージルーメン1585に入る。正しいクラック圧(例えば、-1
5~0mmHg、または-10mmHg)を選ぶことによって、患者に加えられる圧力は
、病院壁面吸い込み/ポンプが採取用容器1582において十分な吸引を生じさせること
ができる限り、この圧力のままになる。好ましくは、排出用胸腔チューブに対して使用さ
れるドレナージルーメン(複数可)は、サイホンを維持する間できるだけ大きいものにす
る。適した内径は、約1/4インチ、約5/16インチ、約3/8インチを含むがこれら
に限定されない。
【0087】
図15は、一定の陰圧を患者に加える排出用胸腔チューブまたは他のドレナージチュー
ブに良く適したデバイスの別の実施形態を示す。液体はドレナージルーメン1688を通
して患者から排出され、ポンピング機構1686を使用して陰圧が加えられる。圧力セン
サ1687は、患者端においてドレナージチューブ内にあり、それによって、患者に加え
られる圧力を測定する。センサ1687によって得られる測定値は、ポンピング機構16
86を制御する制御装置に送り戻され、ポンピング機構1686によって生じた圧力は、
センサ1687(および患者)における圧力を所望のレベルで保つように調節される。圧
力センサ1687はまた、システムのどこかに位置することができる。センサは、加えら
れる吸引レベルについての情報を臨床医に与えるために、チューブの患者端における圧力
の受動監視に使用されてもよい。
図15は、ドレナージ貯蔵部の患者側のポンプを示すが
、ポンプは、代替的には、貯蔵部が患者とポンプとの間にあるようにドレナージ貯蔵部の
反対側にあってよい。
【0088】
排出用胸腔チューブに使用される本発明の別の実施形態では、排出される流体の量は、
胸腔チューブのドレナージ状態についての情報を臨床医に与えるために測定される。この
測定は、とりわけ、尿量を測定するためにここに記載される、任意の適した手段によって
達成可能である。
【0089】
エアロックの消去に加えて、上述されるエアロック除去設計のうち、尿ドレナージ管路
から沈着物および血栓を効果的に除去するいくつかが分かっている。これらの問題は、現
在の尿ドレナージチューブ、とりわけ、より小さいルーメンの排液チューブによるもの、
およびドレナージバッグにおける監視技術において悩まされているものであり、この発明
は、破片および塊を阻止するこれらのドレナージの除去を自動化することによって現状技
術の進歩をもたらす。この特徴はとりわけ、フォーリーの先端におけるバルーンにおいて
か、膀胱と流体連通するかのどちらかで感知する圧力と併せて使用される時に有用である
。このことは、膀胱における圧力および真空の監視を可能にし、かつ、塊/障害物が除去
されるまで実際の膀胱圧に基づいてより積極的にポンピングを行うことを可能にする。こ
の圧力/真空の感知を行わずに、排液チューブにおける流体のポンピングは、膀胱粘膜を
過剰な真空状態にさらすことによる吸引障害といった膀胱における臨床的続発症を生じさ
せる場合がある。
【0090】
図16に示される別の実施形態では、ガスサンプリングルーメン1790は、ドレナー
ジチューブの全長にわたり、尿と接触したままである、ガス透過性を有するが液体不浸透
性のフィルタで終端し、このメニスカス1792はフィルタよりも患者から離れている。
酸素、二酸化炭素、または任意の他のガスの測定値が必要とされる時、ガスサンプリング
ルーメン1790内の空気は、分析のためにドレナージデバイスの基部1789に引き入
れられる。この構成は、
図10~
図15に示されるようなドレナージ管路内への空気を可
能にするデバイスの実施形態によっても、精確なガス分析を可能にする。
【0091】
図17に示されるように、体液を排出すための能動通気型システムは追加の通気口を有
することができる。1つのこのような通気口、通気口1962は、採取用容器上に位置す
ることができ、空気を採取用容器から逃がすことができるようにする。このことは、シス
テムに入るそれぞれの流体の量を、システムを出る空気の同じ量で相殺することができる
ことによって、新しい流体が容器に入る時の圧力の集積を防止する。別のこのような通気
口、通気口1964は、採取用容器とポンプとの間に位置することができる。この通気口
によって、ガス(好ましくは空気)の伝達が可能になるが、液体の伝達は妨げられること
で、細菌またはウィルスが採取用容器およびドレナージチューブを出たり入ったりするの
を防ぐ。好ましくは、この通気口は無菌処理されており、これは、通過する空気が無菌で
あると見なされることを意味する。(ここで示されない)通気口はドレナージ管路の患者
端において存在してもしてなくてもよい。
【0092】
図18に示されるように、圧力相殺は、採取用容器上の単一の弁で達成可能である。こ
の場合、通気口、つまり通気口2072は、これまでのように採取用容器とポンプとの間
にあってよいが、追加の弁2074は、空気を、陽圧の存在下の採取用容器から逃すこと
ができる。この弁は好ましくは、空気がシステムから出るが入らないようにできる一方向
弁である。ポンプが稼働する時、一方向弁は閉鎖し、空気は採取用容器から引き出されな
ければならず、それによって、採取時に陰圧を生成し、かつ、ドレナージ管路を通る流体
の流れを容易にする。通気口は、ドレナージ管路の患者端に存在してもしてなくてもよい
(ここでは図示されない)。
【0093】
感染の検出
【0094】
図19は、UV/光分光法を使用して、尿中の細菌、血液、およびその他の物質を検出
するために感知フォーリーカテーテルシステムに含まれてよい採取用容器、チャンバ、ま
たはカセットの実施形態を示す。カセット2100は、好ましくは剛性を有する容器壁2
102を含む。尿2106はカセットに採取される。尿の採取が迅速すぎる、または、カ
セットからの排尿に何らかの支障がある場合、オーバーフローエリア2104はいずれの
過度な尿もカセットから排出できるようにする。カセット2100は、好ましくはカセッ
トの外壁に組み込まれる光学的に透明なセクション2110、および、好ましくはカセッ
トの内壁上にあるまたは該内壁に組み込まれる反射板セクション2112を含むことがで
きる。「光学的に透明な」はここでは、光学的に透明なセクションを通して必要とされる
分析する波長(複数可)で光を伝達することが可能であることを意味する。好ましくは、
光学的に透明なセクションは、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、アクリル、石英
などの、UV光を伝達することができる材料から作られる。壁厚は、適切なUV波長(複
数可)を光学的に透明なセクションを通って伝達できるようにするくらい十分薄くする必
要がある場合がある。例えば、光学的に透明なセクションの厚さは、およそ0.5mmか
らおよそ0.7mmまでの厚さであってよい。代替的には、光学的に透明なセクションの
厚さは、およそ0.5mmから0.6mmまでの厚さであってよい。代替的には、光学的
に透明なセクションの厚さは、およそ0.6mmから0.7mmまでの厚さであってよい
。代替的には、光学的に透明なセクションの厚さは、およそ0.7mm未満の厚さであっ
てよい。
【0095】
UV/光送信機/受信機2108は、カセットにおける尿を通してカセットにおける反
射板2112へと、光学的に透明なセクション2110を通して、適切な波長のUVまた
は他の波長光を伝達する。UV/光送信機/受信機は、感知フォーリーカテーテルシステ
ムの制御装置の構成要素に組み込まれるまたは接続されてよい。光は、UV/光受信機へ
戻るように反射された後、採取されたデータを信号分析用に制御装置に伝送する。2つ以
上のUV/光波長は、同時にまたは順次に分析されてよい。UV域の外部の光は、UV域
内の光に加えて使用されてよい。物理的に光の伝送と受信との間の尿の量は、好ましくは
、尿における1つまたは複数の物質の濃度を反映するより強い信号のために最大にされる
。送信機/受信機は、
図19に示されるように、またはカセットの他のエリアに位置して
よい。受信機は、送信機と異なる場所にあってよく、反射板は必要な場合もあれば存在し
ない場合もある。カセットにおける尿は頻繁に排尿されるため、UV/光吸収測定値は、
経時的に採取可能であり、尿における1つまたは複数の物質のレベルの増加および/また
は減少は、基本的にまたはほぼリアルタイムで経時的に追跡できる。これはとりわけ、尿
路感染およびカテーテル関連尿路感染(CAUTI)を含む感染を迅速に特定する際に重
要である。ドレナージチューブ材料、別個のサンプリングエリアなどに含むUV/光検出
は、感知フォーリーカテーテルシステムのどこかで行われてもよい。
【0096】
感染は、UV/光分光法を使用して、細菌、赤血球、および血しょう、ならびに/また
は白血球について尿を分析することによって特定可能である。
図20は、光に対する、尿
における大腸菌、赤血球、および血しょうのさまざまな吸収波長を示す。尿における血し
ょう/白血球および/または細菌の存在は両方とも、感染の指標である。赤血球の存在は
、感染を示すことにはならない場合がある。従って、尿において、赤血球と細菌/血しょ
う/白血球との間で区別することが望ましい。赤血球についての分光学的痕跡が約414
nmの波長で細菌または血しょう/白血球のものと大幅に異なるため、赤血球についての
信号は、細菌および/または血しょう/白血球のものと別個である可能性があり、この波
長で光の吸収を分析することによって感染は特定可能である。血しょうおよび細菌につい
ての痕跡が260nmおよび280nmの波長において互いに異なっているため、これら
の波長は、血しょうと細菌との間で区別するために使用可能である。しかしながら、血し
ょうおよび細菌両方が感染中に存在する場合があり得る。
【0097】
他の波長および他の技術は、尿または任意の採取/排出された体液におけるさまざまな
物質を検出するために使用されてもよい。UV/光吸収は濁度を検出するために使用され
てもよい。染料もしくは薬品または反応性物質はまた、システムに組み込まれて、または
システム、カセットなどの内部上に被覆されて、分析の際の助けとなるように尿における
物質と反応させる。
【0098】
CAUTIまたは感染は、汚染物質を早期に特定するために、分光法、光波長分析など
を使用して尿を分析することと、吸引によって膀胱に対して生じた障害を低減することと
、膀胱における尿閉を低減することと、抗菌コーティング、または銀または他の材料など
の埋め込まれた材料の使用によって細菌または微生物の存在を低減することと、膀胱内の
吸引を低減することによって膀胱内の圧力測定値の精度を高めることと、システムにおけ
るエアロックおよび膀胱内の吸引を低減することによって尿排出量測定の精度を高めるこ
ととを含むいくつかの方法によって特定および/または低減可能である。膀胱における吸
引によって引き起こされる圧力スパイクは、約-20mmHg以下の圧力示度として定め
られてよい。代替的には、膀胱における吸引によって引き起こされる圧力スパイクは、約
-10mmHg~約-20mmHg以下の圧力示度として定められてよい。代替的には、
膀胱における吸引によって引き起こされる圧力スパイクは、約-10mmHg以下の圧力
示度として定められてよい。
【0099】
図21は、バッフルまたはフラップ2302を含むカセットの実施形態を示す。このバ
ッフル/フラップは、点で描いた矢印によって示されるようにカセットの内壁に沿った尿
のウィッキングを防止することを意味する。バッフルは、尿が以下の測定用貯蔵部に戻る
ようにバッフルの地点の下の尿のウィッキングを防止することになる。
【0100】
プライミング
【0101】
特定の生理学的ソースからの圧力プロファイル(腹膜圧、呼吸速度および心拍数、相対
的な肺1回呼吸量、心拍出量、相対的な心拍出量、ならびに、絶対心臓拍出量など)が監
視可能である高分解能信号を実現する際にとりわけ有利である開示された技術の態様は、
圧力感知バルーンの膜によって表される圧力インターフェースの両側の圧力の均衡を調節
することおよび維持することに関する。この圧力の均衡は、圧力差と呼ばれる場合がある
。いくつかの実施形態では、好ましい圧力差はゼロかほぼゼロである。いくつかの実施形
態では、好ましい圧力差は異なる値であってよい。(膀胱の内面に向いている)バルーン
の外面に作用する圧力は、患者の生理機能に従って変化を受ける。(流体柱と流体連通す
る)バルーンの内面に対する圧力は、流体の漏れおよび不完全なシールによって低下する
。
【0102】
感知フォーリーカテーテルの最初の挿入時に、外圧は典型的には、流体柱へと圧力イン
ターフェースに対して、膀胱内から圧力インターフェースにかけられる圧力の第1の近似
までかけられる。圧力インターフェース全体にわたって測定されるような圧力信号は、圧
力差がおよそゼロである時に最大振幅を有する。従って、圧力信号の振幅は、圧力インタ
ーフェースに対して流体柱から加えられる圧力を調整するために使用できる。インターフ
ェースに対して適切な圧力の量を加えるこのプロセスは、流体柱のプライミングまたはバ
ルーンのプライミングと呼ばれる場合がある。上述されるように、圧力インターフェース
の両側の圧力が変化する程度まで、流体柱は、時々、再プライミングまたは調整の必要が
ある場合がある。再プライミングの必要性は、圧力の小さな変化を試験することによって
監視され、それによって、圧力信号プロファイルの最大振幅を実現できる。代替的には、
プライミングは、周期的な基準で制御装置を介して自動的に生じさせることができる。
【0103】
開示されたシステムおよび方法の実施形態は、制御装置によって調整する自動圧力を含
む。従って、調整システムは、感知された圧力信号を監視し、かつ、必要に応じて空気ま
たは流体量を追加するまたは排除することによって、バルーンを膨らませるために最適な
目標圧力および容量を検出することができる。例えば、カテーテルを挿入すると、バルー
ン容量および圧力を加減する圧力調整回路は、生理学的ソースからの圧力の割合を検出す
るまでバルーンを膨らませることができる。その割合を感知すると、圧力調整制御装置は
、感知された波の振幅が最大になるまで規則化したシーケンスで微量の空気を加えるまた
は差し引くことができる。(バルーン圧力および容量として現れる)最適に調整させた圧
力と、感知された生理学的圧力プロファイルとの間の制御フィードバックループは、継続
的におよび/または必要に応じて繰り返して、生理学的データの高忠実度の測定を徹底す
る。いくつかの実施形態では、自動圧力調整は、明確な背景で行われている間、生理学的
データは伝送かつ表示されていてよく、他の実施形態では、システムは圧力調整シーケン
スの間生理学的データの伝送を一時停止することができる。
【0104】
開示された技術の実施形態は、プライミング動作におけるガスを供給することができる
ガス供給システムを含むことで、圧力が圧力インターフェースの基部に向いている側面に
近位の流体柱に加えられ得る。圧縮された空気または液体などのガス源は、貯蔵タンクに
保持される。例としてCO2を使用して、CO2は、タンクにおける圧力(例えば、約8
50psiの圧力)を約1psi~約2psiまで進ませることができる圧力調整器を通
して貯蔵タンクから制御可能に解放される。解放されたガスは、フィルタ、および約2.
5psiで設定された圧力逃がし弁を通過する。圧力逃がし弁は、上流の調整器に異常が
発生した場合、2.5psiを上回るレベルでのガスの流れを防止する安全機能である。
圧力逃がし弁を出るCO2は、次に、第1の電磁充填弁を通過してカテーテル管路に入り
、最終的に、圧力感知インターフェースを含むバルーンを充填する。バルーン内の圧力は
、30mmHgのレベルまで上昇させることができ、そこで第1の電磁弁は閉鎖する。第
1の弁に遠位の第2の電磁弁は、放出弁として動作し、この弁は、カテーテルからの圧力
を目標圧力へと解放することができる。代替的には、放出弁は、呼吸波形が検出されるま
で作動させた後、バルーンは最適にプライミングされることになり、弁は閉鎖されること
になる。放出弁は、操作可能に電圧またはパルス幅変調(PWM)に基づいて、比例制御
可能であり、これによって、目標圧力に達し、かつ、弁がオーバーシュートの前に閉鎖で
きるように十分減速した排出速度を可能にする。代替的には、蠕動ポンプまたは他の空気
ポンプは、室内空気でバルーンを充填するために利用されてよい。
【0105】
図22は、いくつかの実施形態における圧力バルーンプライミング法を表すグラフを示
す。ここで、流体量の少量のバースト(おおよそ約0.3cc)が圧力感知バルーンに加
えられ、バルーン内の圧力が測定される。流体の少量のバーストは、バルーン内の測定さ
れる圧力が安定した圧力2401に落ち着くまで導入される。この遷移は変曲点2402
で示される。容量の大きな増加は、測定された圧力が急増し始めるまで(例えば、曲線の
傾き2404が約2mmHg/10ミリ秒を上回る場合)、この点を通り越して導入され
る。この変曲点は2406で示される。この点では、バルーン内の圧力は安定した圧力2
401あたりのまたは該圧力をわずかに上回る圧力に低減される。この圧力は、いくつか
の実施形態における圧力を測定する主要な圧力を表す。このプロセスはまた、
図25にお
けるフローチャートにおいて表される。
【0106】
流体の少量のバーストは、およそ0.2ccからおよそ0.4ccまでであってよい。
流体の少量のバーストは、およそ0.1ccからおよそ0.5ccまでであってよい。流
体の少量のバーストは、およそ0.5ccまでであってよい。流体の少量のバーストは、
およそ1.0ccまでであってよい。
【0107】
図23は、いくつかの実施形態における圧力バルーンプライミング法を表すグラフを示
す。この方法は、
図22に示されるバーストがなく、圧力感知バルーン内でより円滑に圧
力を増加させること以外は、
図22に示されるのと同様である。流体量は、圧力感知バル
ーンに加えられ、バルーン内の圧力が測定される。バルーン内の測定された圧力が安定し
た圧力2505に落ち着くまでバルーン圧力を増加させる。この遷移は変曲点2506で
示される。測定された圧力が急増し始めるまで(例えば、曲線の傾き2510が約2mm
Hg/10ミリ秒を上回る場合)、バルーン圧力はこの点を通り越して導入される。この
変曲点は2508で示される。この点では、バルーン内の圧力は安定した圧力2505あ
たりのまたは該圧力をわずかに上回る圧力に低減される。この圧力は、いくつかの実施形
態における圧力を測定する最良の圧力を表す。このプロセスはまた、
図26におけるフロ
ーチャートにおいて表される。
【0108】
図24は、本発明のある特定の実施形態のバルーンプライミングプロセスのフローチャ
ートを示す。開示されたシステムおよび方法の実施形態は、制御装置による自動圧力調整
を含む。従って、調整システムは、感知された圧力信号を監視し、かつ、必要に応じて空
気量を追加するまたは排除することによって、バルーンを膨らませるために最適な目標圧
力および容量を検出することができる。例えば、カテーテルを挿入すると、バルーン容量
および圧力を調整する圧力調整回路は、生理学的ソースからの圧力の割合を検出するまで
バルーンを膨らませることになる。その割合を感知すると、圧力調整制御装置は、感知さ
れた波の振幅が最大になるまで規則化したシーケンスで微量の空気または流体(おおよそ
約0.3cc)を加えるまたは差し引くことになる。(バルーン圧力および容量として現
れる)最適に調整させた圧力と、感知された生理学的圧力プロファイルとの間の制御フィ
ードバックループは、継続的におよび/または必要に応じて繰り返して、生理学的データ
の高忠実度の測定を徹底する。いくつかの実施形態では、自動圧力調整は、明確な背景で
行われている間、生理学的データは伝送かつ表示されていてよく、他の実施形態では、シ
ステムは圧力調整シーケンスの間生理学的データの伝送を一時停止することができる。
【0109】
微量の空気または流体は、およそ0.2ccからおよそ0.4ccまでであってよい。
微量の空気または流体は、およそ0.1ccからおよそ0.5ccまでであってよい。微
量の空気または流体は、およそ0.5ccまでであってよい。微量の空気または流体は、
およそ1.0ccまでであってよい。
【0110】
ループ制御装置
【0111】
感知フォーリーカテーテルシステムによって、および他の手段によって測定されるある
特定の患者パラメータは、医療デバイスを通して患者の治療に影響される、および/また
は該治療に影響を及ぼす。
【0112】
ループ制御装置は、(同じデバイスにおいてまたは別個のデバイスにおいて)感知フォ
ーリーカテーテルシステムの制御装置と一体化されて、患者パラメータを解釈して患者の
医療を制御することができる。
【0113】
例えば、IAPは、IV注入速度を制御するために使用されてよい。IAPが高くなり
すぎる場合、注入速度はIAPが許容範囲に戻るまで低減または停止可能である。IAP
は、相対的1回拍出量および/または1回拍出量変動(呼吸サイクル中に膀胱などに見ら
れる心拍動の大きさの変動)と組み合わせて、過剰な流体の指標としてIAPを使用した
IV流体または血液製品注入の優れた制御、および、追加の流体が必要とされる指標とし
て1回拍出量変動における相対的な1回拍出量の増減を可能にすることができる。尿排出
量は、尿排出量が戻ることで流体状態が回復されているという指標を提供する制御ループ
にさらに追加されてよい。呼吸速度と組み合わせた心拍は、薬品注入を制御するために使
用されてよい(薬品タイプ、注入速度、頻度、投薬量など)。このように、薬品は、患者
を、心拍および呼吸速度によって判断されるより安定した状態にするために使用可能であ
る。IAPおよび呼吸速度は、人工呼吸器またはレスピレータを制御するために使用され
てもよい。IAPが上昇すると、人工呼吸器によって供給される呼気終末陽圧(PEEP
)はまた、この圧力を克服するために上昇するものとする。換気が適当でないという指標
は、組織酸素化、および/または、人工呼吸器の根底をなす信号として見られる場合があ
る自然呼吸速度に見られる可能性がある。この信号は、人工呼吸中に抽出可能である、ま
たは、好ましくは、ループ制御装置は、根本的な呼吸速度/呼吸ドライブのより適正かつ
精確な検出を可能にするために人工呼吸器を休止することができる。このIAP、組織酸
素化、および/または呼吸速度は、患者の状態を悪化させてしまうことを介護者に警告す
るために使用可能である、および/または、呼吸速度、PEEP、吸入酸素%、および他
の設定を含む人工呼吸器の自動調節を提供するために使用可能である。理想的なケースで
は、これらのパラメータは、ループ制御装置によって、機械学習およびアルゴリズム調整
によって通知されるように、療法を監視および制御するために使用されてよい。これらは
ほんの数個の例であるが、多くの組み合わせが存在する。1つまたは複数のパラメータは
1つまたは複数の処置デバイスを制御するために使用可能である。
【0114】
図27は、患者環境におけるループ制御装置の実施形態を示す。この例では、ループ制
御装置は、感知フォーリーカテーテル2902から入力された患者パラメータを受信する
。感知フォーリーカテーテルは患者の膀胱2904にあり、停留バルーン2908および
圧力感知バルーン2910を含む。感知フォーリーカテーテルは本明細書に開示されるよ
うに他のセンサを含むことができる。
【0115】
感知フォーリーカテーテル2902は、停留バルーン膨張ルーメン、圧力バルーン感知
ルーメン、および尿ルーメンを含む。圧力感知バルーン2910は、制御装置2928に
組み込まれてよい圧力変換器2920に接続される圧力感知ルーメンに接続される。尿ル
ーメンは尿排出チューブ2912に接続される。尿排出チューブは尿貯蔵部2914内へ
排尿される。この尿貯蔵部2914は、尿量測定デバイス2916に接続されてよい、ま
たは、本明細書に開示されるように制御装置に組み込まれてよい。さらに、尿排出量は尿
ポンプ2918によって制御されてよい。この尿ポンプ2918は、尿ドレナージチュー
ブ材料上に位置してよい、制御装置に組み込まれてよい、または、本明細書のどこかに開
示されるように、制御装置の患者がいない側に位置してよい。
【0116】
この患者は、レスピレータチューブ2924による送給が行われるレスピレータマスク
2922を有して示される。呼吸ガスの流れおよび構成はレスピレータ2926によって
制御される。
【0117】
ループ制御装置2928は、コネクタ2930、2932、2934、および2936
を介してそれぞれ、尿量測定デバイス2916、尿ポンプ2918、圧力変換器2920
、およびレスピレータ2926に接続される。コネクタは有線または無線であってよい。
代替的には、この実施形態および他の実施形態のいくつかまたは全ては、制御装置292
8に組み込まれてよい。
【0118】
この例では、ループ制御装置2928は、尿量測定デバイス2916および圧力変換器
2920から患者パラメータ入力を受信し、これらのパラメータによって提供される情報
を使用して、尿ポンプ2918およびレスピレータ2926を制御することができる。ル
ープ制御装置が感知フォーリーカテーテルから受信することができるいくつかのパラメー
タは、本明細書に開示されるものを含む、IAP、呼吸速度、心拍、1回拍出量、組織酸
素化、組織かん流圧、温度、尿検体、尿排出率、および他のパラメータを含む。
【0119】
例えば、患者のIAPが高くなっていることを指示するパラメータ情報をループ制御装
置が受信する場合、ループ制御装置は、レスピレータかん流速度、圧力、または他のパラ
メータを制御することができる。ループ制御装置は、1つまたは複数の入力パラメータか
らデータを取り入れ、かつ、1つまたは複数の処置用医療デバイスを制御することができ
る。例えば、高くなったIAPおよび受信された異常組織酸素化パラメータに基づいて、
ループ制御装置は、尿ポンプ2918を制御することによって、レスピレータ2926の
出力、また、尿排出率を制御することができる。
【0120】
ループ制御装置は、患者パラメータ(複数可)を監視し、かつ、それに応じて処置用医
療デバイス(複数可)を調節し続ける。患者パラメータが正規化すると、処置用医療デバ
イスの制御はそれに応じて調節され、それによって、ループ制御装置によって制御される
フィードバックループは閉ループとすることができる。このループは、必要な時に手動で
調節されてもよく、この場合、ループは開ループまたは半閉ループであってよい。
【0121】
図28は、患者環境におけるループ制御装置の別の例を示す。この例では、患者は、腕
の血管における静脈(IV)路3002を有する。IV流体バッグ3004は、IV流体
を、IV路3002を介して患者に点滴および/または流入することを可能にするために
上げられる。弁3006は、流体が自由に流れることができるようにする、流れを制限す
る、または、流れを停止することによって患者に流入されたIV流体の流量を制御する。
ここで、弁3006は、接続3008によってループ制御装置2928によって制御され
る。IV流体バッグ3004は、水和流体および/または薬物を収容することができる。
1つまたは2つ以上のIVバッグを伴う場合があり、1つまたは2つ以上の弁はIVバッ
グ(複数可)を制御することができる。ループ制御装置は、ループ制御装置によって受信
される患者パラメータに基づいて患者に対するIV流体(複数可)の流れおよび容積を制
御することができる。
【0122】
図29は、患者環境におけるループ制御装置の別の例を示す。この例では、患者は腹部
に挿入される流体ドレナージ管路3102を有する。腹部からの流体は、患者から容器3
104に流れてよい。流体の流れは、接続3108によってループ制御装置2928によ
って制御されるポンプ3106によって制御されてよい。ループ制御装置は、受信される
患者パラメータに基づいてポンプ3106を介して患者から容器3104への流体の流れ
を制御することができる。例えば、IAPが異常に高い場合、ループ制御装置は、ポンプ
3106を制御することによって患者から流体を排除する割合を増加させる、またはこの
排除を開始することができる。
【0123】
図30は、患者環境におけるループ制御装置の別の例を示す。この例において、患者は
、腕の血管における静脈(IV)路3202を有する。薬品注入デバイス3204は、I
V路3202を介して患者内への薬品の流量を制御する。2つ以上の薬品注入デバイスが
使用可能である。ここで、薬品注入デバイス3204は、接続3206によってループ制
御装置2928によって制御される。薬品注入デバイス3204は、任意の適切な流体お
よび/または薬物を収容することができる。ループ制御装置は、ループ制御装置によって
受信される患者パラメータに基づいて患者に対する薬品(複数可)の流れおよび容積を制
御することができる。
【0124】
これらの例は、ループ制御装置によって制御可能である医療デバイスのいくつかを示す
が、任意の医療デバイスが使用できる。
【0125】
図31は、ループ制御装置の詳細な図である。ループ制御装置2928は、感知フォー
リーカテーテルまたは他のデバイスからの1つまたは複数の患者パラメータ入力を受信で
きる。これらの入力は、尿排出量および速度、膀胱からの圧力プロファイル、および、感
知フォーリーカテーテルまたは他のデバイスからのセンサ情報を含むがこれらに限定され
ない。膀胱からの圧力プロファイル情報は、IAP、呼吸速度、心拍、1回拍出量、およ
び他の患者パラメータを判断するためにさらに分析可能である。この分析は、ループ制御
装置2928において、または、有線または無線接続のいずれかによってループ制御装置
に接続される別個の制御装置において行われてよい。この接続は、インターネット、イン
トラネット、WAN、LAN、または他のネットワークを介してよい、または、ブルート
ゥース、Wi-Fiなどを介してローカルであってよい。
【0126】
ループ制御装置は、医療デバイスの制御が変更される必要があるかどうかを判断するた
めに入力(複数可)を受信し、かつデータを分析する。1つまたは複数の医療デバイスは
、患者パラメータを目標範囲にするために制御されてよい。患者目標範囲が実現されると
、ループ制御装置は、制御された医療デバイス(複数可)を標準状態に戻すことができる
。標準状態は、それぞれの医療デバイスで異なることになり、それぞれの患者で異なる可
能性もある。患者パラメータ目標範囲はまた同様に、それぞれの患者でおよび患者状況で
も異なることになる。例えば、レスピレータ速度目標は、患者が落ち着いているかどうか
によって異なる場合がある。
【0127】
本技術の実施形態は、感知される心拍出量または呼吸速度からのフィードバックに基づ
いて、静脈内流体または薬品注入速度を自動的に調節することもできる。このような一実
施形態において、患者管理無痛法によるポンプは、呼吸速度が下がり過ぎる場合、作動し
ないようにすることができる。呼吸抑制はこの類型では致命的である可能性があり、この
予防対策として過量を防止するようにする。自動フィードバックシステムは、大量の蘇生
手順において有利である場合もあり、この場合、流体注入は、腹腔内圧が上昇すると、警
告音を出すことおよび注入速度を遅くすることによって腹部コンパートメント症候群を防
止するために、腹腔内圧に基づいて適応させることができる。さらに別の自動フィードバ
ック機能は、換気されるガスの最適な圧力を提供するために酸素吸入器システムへのフィ
ードバックを直接行えるようにできる。腹圧が増加した状況では、典型的な酸素吸入器設
定では患者にとっての十分な呼吸が提供されない。この実施形態からの腹腔内圧フィード
バックに基づく酸素吸入器設定の自動調節は、有利には、患者にとって最適な換気を提供
することができる。本技術の実施形態はまた、他の診断測定の応用または理解における補
正として適用可能である。例えば、中心静脈圧を、上昇した腹腔内圧の状況において著し
くゆがませる場合がある。中心静脈圧報告システムによってこれらのデータに直接アクセ
スすることは、この重要な生理学的パラメータの自動補正および精確な報告を可能にする
。本技術の実施形態は、心拍出量または他のパラメータの増加または減少に応答して、昇
圧薬または利尿薬といった活性薬剤をさらに含むことができる流体の注入を含む療法を自
動化するためのさまざまな他のやり方で使用されてもよい。
【0128】
医療デバイス(複数可)を直接制御することに加えて、ループ制御装置2928は、可
聴警報、電子メール送付による警報、文章化警報、ページャ警報などを含む警報を鳴らす
こともできる。ループ制御装置2928は、システム統合した他のシステムに、電子カル
テもしくは他のデータアーカイビングシステム、または他のシステムへの情報の出力とい
った出力を行うこともできる。ループ制御装置2928は、さまざまなEHR、EMR、
または他のシステムからの入力を受信することもできる。
【0129】
感知フォーリーカテーテルシステムによって、採取されたおよび/または分析されたデ
ータの結果としての医療が患者に対して行われてよい。この医療は、ループ制御装置を介
して自動的に投与される薬物であってよい、または、従来の薬品による方法によって、す
なわち、経口、注射などによって手動で行われてよい。
【0130】
さらに、医療診断は、感知フォーリーカテーテルシステムの結果に基づいて行われても
よい。
【0131】
比重
【0132】
尿比重は、感知フォーリーカテーテルを使用した圧力および超音波測定を使用して測定
可能である。
図32は、容量の超音波および圧力測定値が液体密度でどのように発散する
かを説明する図表を示す。測定される液体は、比重がおよそ1.100である合成尿濃縮
である。
【0133】
比重が1.000の液体について、同じ容量測定を行うための2つの測定技法が較正さ
れる。しかしながら、密度が増加すると発散し始める。圧力によって、密度の増加は、V
=A*hおよびP=ρ*g*h、またはV=A*ρ*g/Pであるため、容量示度を増加
させることになる。超音波によって、密度の増加は、V=A*h、v=h*2/t、およ
びv=(E/ρ)∧(1/2)であることで、V=A*(E/ρ)∧(1/2)*t/2
であるため、容量示度を減少させることになる。
V:容量
A:断面積
h:液体の高さ
P:圧力
ρ:液体密度
g:重力
v:音速
t:音が反射する時間
E:液体の体積弾性率
【0134】
もっと簡単に言えば、液体の密度が増加すると、圧力は増加し、その測定値が高くなる
ように歪曲する。同時に、音はより速く伝わり、超音波測定値が低くなるように歪曲する
。どれほど発散したかを測定することによって、液体の密度は判断可能である。これによ
って、温度は変化していないが、温度はまた、温度変動について補正するために監視可能
であることが想定される。超音波および圧力による容量測定は、温度測定で可能なように
感知フォーリーカテーテルによって行われ得る。このように、感知フォーリーカテーテル
は、制御装置と組み合わせて、尿比重を判断できる。
【0135】
凝縮の低減
【0136】
バルーンカテーテル、特に、比較的長い期間人体内または動物体内にあるように設計さ
れるバルーンカテーテルは、経時的に漏洩する場合がある。例えば、空気または別のガス
で膨らませたバルーンは、経時的にバルーン外へ空気を漏洩する場合がある。代替的には
、液体が充填されたバルーンは経時的に液体を外に漏洩させる場合があり、その反対も然
りである。尿、血液などの流体に置く、ガスまたは空気が充填されたバルーンは、経時的
にバルーン内への流体の漏洩を経験する場合がある。これは、バルーンが比較的低い圧力
で膨らませた場合に該当する。
【0137】
感知フォーリーカテーテルは、比較的長い期間および比較的低い圧力で膨らませるよう
に設計されるバルーンの例である。バルーンが圧力を測定するように設計されるこの例で
は、バルーンは、比較的低い圧力で膨らませられてよく、このことから、比較的に軟質で
薄い材料から製造されてよい。低い膨張圧および軟質で薄いバルーン材料のため、液体は
経時的にバルーン内に漏洩することが起こり得る。圧力測定バルーンにおける液体は、と
りわけ、液体が、圧力測定が行われるカテーテルルーメン内に移る場合に、非常に敏感な
圧力測定に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0138】
この問題を解決する一実施形態は、圧力測定バルーンと、カテーテルの圧力測定ルーメ
ンとの間に、非常に小さな孔のフィルタまたは疎水性フィルタを置くことである。これに
よって、バルーンを膨らませて、継続的にその圧力、および、カテーテルルーメンを介し
てとられる圧力測定値を維持するように準備させることが可能になる。空気またはガスは
フィルタを通過できるが流体は通過できない。
【0139】
別の実施形態は、バルーンを低水分透過性材料から作ることを含む。
【0140】
別の実施形態は、1つのルーメンまたは2つ以上のルーメンのいずれかを通して、真空
および圧力をバルーンに交互に与えることによってバルーン内のガスを補給することを含
む。
【0141】
別の実施形態は、2つ以上のルーメンをバルーンに進入させることによってバルーン内
のガスを循環させることを含む。1つのルーメンは、ガスをバルーン内に導入するために
使用されてよく、別のルーメンは、ガスをバルーンから抜くために使用されてよい。
【0142】
別の実施形態は、バルーン内に、バルーンルーメン内に、バルーンへのガス供給源内に
、またはこれらの任意の組み合わせに乾燥剤を使用することを含む。
【0143】
図33は、凝縮の低減から利益を得ることができるフォーリー型カテーテルの遠位端を
示す。この例では、バルーンカテーテルは、膀胱から排尿する際に助けるように患者の膀
胱に置かれるように設計される。カテーテルは、膀胱内にカテーテルを据え付ける停留バ
ルーン3506を有する。カテーテルシャフト3502は、カテーテルのルーメンを収容
する。開口部3504は、膀胱内からの尿が、カテーテルを通して排出し、かつ、カテー
テルの近位端を出る(図示せず)ことを可能にする。開口部3508は、停留バルーンを
膨らませるおよびしぼませるためのものである。圧力感知バルーン3510は、開口部3
512を介して膨らませるおよびしぼませる。圧力感知バルーン3510は、カテーテル
シャフト内の圧力ルーメンを通して膀胱内から、カテーテルの近位端に近位の圧力変換器
へ圧力信号を伝達する。
【0144】
ある特定の状況下で、経時的に、流体は圧力バルーン3510内に漏洩する場合がある
。さらに、流体は、圧力バルーン3510内から開口部3512を通してカテーテルシャ
フト3502内に移ることができる。圧力ルーメン内の流体は、圧力バルーンからの圧力
示度に悪影響を及ぼす場合がある。この結果、流体が開口部3512を通して圧力バルー
ン内から移らないようにすること、または、可能な場合、圧力バルーン内に入る流体の量
を低減することが望ましい。
【0145】
図34は、バルーン内のフィルタの実施形態を示す。フィルタ3602は、バルーン3
510の内部と、開口部3512におけるカテーテルの内部の圧力ルーメンとの間にある
。フィルタ3602は、好ましくは、ガスを通過させるが流体を通過させないことを可能
にする材料から作られる。例えば、フィルタは、バーサポア、PTFE、ePTFEなど
の疎水性膜から作られてよい。フィルタは、ナイロンなどのポリマー、または任意の他の
適した材料から作られてよい。孔径は、およそ5ミクロンであってよい、または、およそ
0.2ミクロンからおよそ5ミクロンまであってよい、または、およそ5ミクロンからお
よそ10ミクロンまでであってよい。フィルタの厚さは、およそ6ミルからおよそ12ミ
ルまでであってよい。代替的には、フィルタの厚さは、およそ1ミルからおよそ6ミルま
でであってよい。孔径はバルーン感度に関連している。例えば、5ミクロンの孔径のフィ
ルタは、およそ5mmHgからおよそ20mmHgまで膨らませたバルーンにとって適切
である場合があり、0.01mmHgの分解能範囲に至るまでの圧力差を感知する能力を
有する。より小さい孔のフィルタは、圧力バルーンを介して測定される圧力の感度がより
低いことがある場合に使用されてよい。より大きい孔のフィルタは、圧力バルーンを介し
て測定される圧力の感度がより大きくする必要がある場合に使用されてよい。
【0146】
図34は、開口部3512を完全に覆っている、該開口部においてカテーテルシャフト
を取り囲むチューブ材料の形態のフィルタを示す。該フィルタは、任意の適した接着剤、
または熱収縮などの他の手段を使用して、カテーテルシャフトの端部に接着させてよい。
フィルタとカテーテルとの間のシールは、ガス不浸透性を有するのが理想的であり、それ
によって、開口部3512を介してバルーン3510に入りかつ出るガスがフィルタ36
02を通過しなければならなくなる。
【0147】
図35は、フィルタがバルーン内に取り付けられるより小さいカテーテルシャフトを含
む本発明の別の実施形態を示す。バルーン内のカテーテルシャフト3704は、バルーン
の下にないカテーテルシャフト3706より小さい直径を有する。このことは、追加され
たフィルタ3702のかさがしぼませたバルーンの直径を大きくしないようにする。
【0148】
図36は、しぼんだバルーンによる
図35に示される実施形態を示し、本図によって、
バルーンエリアの下のカテーテルシャフトの直径を低減することでバルーンカテーテルに
おける大幅な膨らみを防止することが分かる。
【0149】
図37は、バルーンの下のフィルタの別の実施形態を示す。この実施形態におけるフィ
ルタ3902は、カテーテルのシャフトを完全に一周しないが、代わりに、接着剤または
他の適した手段によって、カテーテルシャフトに接着させる平坦なまたは湾曲した一つの
フィルタである。接着剤は好ましくは、バルーン膨張/収縮/圧力測定用開口部3512
上で侵害することなく、その縁部周り全てでフィルタを密閉する。
【0150】
図38は、フィルタの長さがより短いフィルタ4002の別の実施形態を示す。
【0151】
図39は、フィルタを有するバルーンの別の実施形態を示す。この実施形態では、バル
ーンカテーテルは、バルーンと流体連通する2つのルーメンを有する。フィルタ4102
は開口部4104を覆っているが、開口部4106は覆われていない。この実施形態では
、開口部4104および4106はそれぞれ、カテーテルの別個のルーメン、または、同
じルーメンに進入することができる。これら開口部が別個のルーメンに進入する実施形態
では、バルーン膨張、収縮、および圧力測定は、いずれかのルーメンを介して行われてよ
い。例えば、圧力測定は、ルーメンにおける液体集積が圧力測定に悪影響を与えるまで、
開口部4106と流体連通するルーメンを介して行われてよい。この点で、圧力変換器は
開口部4104と流体連通するルーメンに切り換え可能であり、それによって、圧力測定
は液体が除去されたルーメンから行われてよい。
【0152】
代替的には、圧力測定値は、ルーメンにおける液体集積が圧力測定に悪影響を与えるま
で、開口部4106と流体連通するルーメンを介してとられてよい。この点で、ガスは、
ルーメンから流体を除去するために開口部4106と流体連通するルーメンに導入可能で
ある。同時に、ガスは、開口部4104と連通するルーメンを介してバルーンから引き出
されてよい。このように、開口部4106と連通するルーメンから液体は除去可能であり
、圧力測定は、そのルーメンを通して再開されてよい。この管路除去手順は、周期的に行
われるようにプログラム可能である。
【0153】
図39は、開口部のうちの1つのみを覆うフィルタ4104を有するカテーテルの異な
る側面上の2つのバルーン開口部4102および4106を示す。代替的には、
図40は
、2つの開口部4204および4206が並んであり、ここでフィルタ4202が該開口
部のうちの1つのみを覆う以外は、
図39のものと同様の実施形態を示す。
【0154】
図41は、フィルタ4302がより大きい開口部4304を覆う本発明の実施形態を示
す。バルーンからより精確な圧力測定値を得るために、より大きい開口部が望ましい場合
がある。さらに、より大きい開口部は、フィルタ、場合によるとその接着手段が開口部4
304周りのカテーテルのエリアにもたらすように格別完全な状態にするため、フィルタ
4304を追加することによって可能になる場合がある。
【0155】
図42は、フィルタ4402が熱収縮チューブ材料セグメント4404によってカテー
テルシャフトに取り付けられる本発明の実施形態を示す。これによって、フィルタとカテ
ーテルとの間の気密シールを可能にし、カテーテル開口部4406が明確に残るように徹
底する。
【0156】
図43は、カテーテルシャフトがバルーンエリアの下で縮小される
図42のものと同様
の実施形態を示す。これによって、バルーンを、フィルタが取り付けられるカテーテル上
に膨らみを生じされることなくしぼませることができる。フィルタ4502は、熱収縮チ
ューブ材料セグメント4504によってカテーテルシャフトに取り付けられる。これによ
って、フィルタとカテーテルとの間の気密シールを可能にし、カテーテル開口部が明確に
残るように徹底する。
【0157】
図44は、フィルタ4602が開口部においてカテーテルの内部に取り付けられる本発
明の実施形態を示す。
【0158】
図45は、バルーンが2つの進入用ルーメン4702および4704を有する本発明の
実施形態を示す。この実施形態では、バルーンカテーテルは、バルーンと流体連通する2
つのルーメンを有する。この実施形態では、開口部4702および4704はそれぞれ、
カテーテルの別個のルーメン、または同じルーメンに対して進入可能とすることができる
。それら開口部が別個のルーメンに対して進入可能とする実施形態では、バルーン膨張、
収縮、および圧力測定は、いずれかのルーメンを介して行われてよい。例えば、圧力測定
は、ルーメンにおける液体集積が圧力測定に悪影響を与えるまで、または、設定された期
間まで、開口部4702と流体連通するルーメンを介して行われてよい。この点で、ガス
は、ルーメンから流体を除去するために開口部4702と流体連通するルーメンに導入可
能である。同時に、ガスは、開口部4704と連通するルーメンを介してバルーンから引
き出されてよい。その逆もまた行うことができ、流体は開口部4704と流体連通するル
ーメンに導入可能であり、開口部4702と流体連通するルーメンから排除されてよい。
このように、開口部4702と連通するルーメンから液体は除去可能であり、圧力測定は
、そのルーメンを通して再開されてよい。この管路除去手順は、周期的に行われるように
プログラム可能である。
【0159】
図46および
図47は2つの異なる圧力バルーン設計を示すが、任意の適した設計およ
び/または形状も使用可能である。バルーン材料によって、バルーンは種々の方法で製造
されてよい。いくつかの材料は、ブロー成形により良く適しており、またいくつかはディ
ップ成形により良く適している。他の製造技法も同様に使用可能である。
図46は、ブロ
ー成形バルーンの例を示す。
図47は、ディップ成形バルーンの例を示す。
【0160】
バルーンが製造可能である材料のいくつかの例は、ウレタン、ポリウレタン、ナイロン
、ポリフッ化ビニリデン、もしくは任意の他の適したポリマー、または他の材料もしくは
材料の任意の組み合わせを含む。
【0161】
バルーンコーティングは、バルーンの流体透過性を低減するために利用されてもよい。
このようなコーティングの例は、ポリp‐キシリレン系重合体、またはパリレンである。
【0162】
いくつかの実施形態では、いずれの水蒸気も圧力バルーンに入らないようすることが望
ましい。これらの実施形態では、水または流体不浸透性材料がバルーンに使用可能である
。本明細書内に述べられる材料のいくつかは適している。さらに、Mylarという商標
で聞くことが多い、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(BoPET)が使用可能であ
る。また、金属化ポリマーまたは任意の他の適した材料が使用可能である。
【0163】
いくつかの実施形態では、感知フォーリー型カテーテルは、(圧力ルーメンなど)空気
充填ルーメンにおける水滴または他の障害物の存在を報告後、その液滴に対処するまたは
これを解決するように構成される。低体温の状況では、特に、空気ルーメンにおける水分
は凝縮し、障害となる水滴を形成する可能性がある。空気充填ルーメンにおける水滴(ま
たは水充填ルーメンにおける気泡)は、水の表面張力によって圧力信号を妨害するまたは
複雑にする可能性がある。従って、開示された技術のいくつかの実施形態における圧力伝
達ルーメンは、(ルーメン自体の壁上のコーティング、または、ルーメンの全長にわたる
親水性繊維などの)親水性特徴を含んで、継続した途切れない風路を維持するためにルー
メンから水分を逃すことができる。いくつかの実施形態では、吸湿性組成物(例えばシリ
カゲル)は、空気注入管路がある、または空気注入ルーメン内にある管路において使用さ
れて、水または湿度を捕獲することができる。いくつかの実施形態では、吸湿性組成物は
、空気注入回路がこの材料を取り替えるためのサービスを必要としないようにカテーテル
内に含まれてよい。
【0164】
いくつかの実施形態では、乾燥した空気またはガスは、水分蓄積を防止するために圧力
ルーメンおよび圧力バルーンにおいて使用されてよい。
【0165】
いくつかの実施形態では、疎水性または親水性コーティングは圧力ルーメンおよび/ま
たは圧力バルーンにおいて使用されてよい。
【0166】
ガス含有量
【0167】
別の実施形態は、膀胱における尿とのインターフェースとしての疎水性フィルタもしく
は膜、または、尿道の粘膜内層を使用して、相対的な酸素、他のガス、または、尿または
組織の含有量を測定することを含む。
【0168】
感知フォーリーカテーテルのいくつかの実施形態では、ガス含有組織および/もしくは
尿、または、経時的なガス含有量の変化を測定することが望ましい。対象となり得るガス
は、酸素、二酸化炭素、窒素、麻酔に関連するガス、または他のガスを含む。いくつかの
実施形態では、膜は、ガスに対して透過性を有するが液体に対して有さず、例えば、疎水
性膜または他の適した膜が使用可能である。疎水性膜の孔径はおよそ5ミクロンであって
よい。代替的には、疎水性膜の孔径は約3ミクロン~約7ミクロンである。
【0169】
図48は、酸素透過性膜を有する感知フォーリーカテーテルを示す。停留バルーン50
02は膨張/収縮ポート5010と流体連通する。尿は、カテーテルを通って開口部50
04を流れて、開口部5004と流体連通するポート5012から出る。圧力感知バルー
ン5006はルーメン5014と流体連通する。ガス透過性膜5008は、ルーメン50
16と流体連通するカテーテルの遠位端における開口部を覆っている。
【0170】
図49は、膜5108が圧力感知バルーン5106と停留バルーン5102との間にあ
ること以外は、
図48に示されるものと同様の酸素透過性膜を有する感知フォーリーカテ
ーテルを示す。尿のための開口部5104は、停留バルーン5102に対して遠位のどこ
かに設置されてよい。
【0171】
図50は、膜5204がガス感知バルーン5202に組み込まれる感知フォーリーカテ
ーテルの実施形態を示す。この図では、ガス感知バルーン5202は圧力感知バルーン5
206に対して遠位であるが、別の実施形態が
図51に示され、ここではこれは該当しな
い。ガス感知バルーン5202は、シリコーン、ポリマー、または任意の他の適した材料
から作られてよい。
【0172】
膜材料は、本明細書において他の実施形態において説明される疎水性膜材料と同様であ
ってよい。この膜は、ガス、とりわけ、尿などの液体に対してではなくガス(複数可)に
対する透過性を有する。このように、ガスは、組織および/または尿のガス含有量、およ
び/または、経時的なガス含有量の変化を測定するために膜からカテーテル内へ通過する
ことができる。測定されるガスは、酸素、窒素、二酸化炭素、または他のガスを含む。
【0173】
カテーテルは、膜が膀胱または尿道のいずれかにあるように患者に設置可能である。膜
は、ここでは、圧力感知バルーンを有する感知フォーリーカテーテル上に示されるが、ガ
ス透過性膜は、血管または他の体腔にあるカテーテルを含む、任意の体内留置カテーテル
上に設置可能である。膜は、流体、ガス、または体組織と直接的または間接的に接触する
ことができる。
【0174】
図52は、酸素または他のガス(複数可)の測定を制御する制御装置を示す。制御装置
は一般に、患者の外部にあり、ポート、例えばポート5016を介してカテーテルに接続
することになる。制御装置は、感知フォーリーカテーテルの圧力感知機能または他の機能
を制御することもできる、または別個の制御装置とすることができる。
【0175】
ガス測定制御装置5402はここで、カテーテル5404およびガス輸送膜5406の
描写と共に示される。ガス測定制御装置5402は、空気またはガス注入口5408、空
気またはガス排出口5410、ポンプ5412、酸素、または他のタイプのセンサ541
4、および逆止め弁5416を含む。
【0176】
この実施形態では、ポンプ5412は周期的に、カテーテル内へチューブ材料を通して
少量の空気または他のガスを押し込む。空気は膜の「窓」5406を通り、空気の酸素含
有量は、(ガス輸送膜が尿道にある場合)粘膜内層または(ガス輸送膜が膀胱にある場合
)尿の酸素含有量に基づいて変化する。さらに(ガス測定制御装置ボックス5402に遡
って)下流では、空気の酸素パーセンテージは、光ファイバーまたは他のタイプの酸素セ
ンサを使用して測定される。ポンプは、組織/流体との平衡を保つためのシステム時間に
おける空気を可能にするために短期間だけ動作することができる。
【0177】
逆止め弁5416は、システムを通過した空気と、外気または先の測定間隔からの空気
との混合を限定するのに役立つ。
【0178】
測定された酸素または他のガス含有量は、非常に小さくてよい。測定値は、絶対ガスレ
ベルまたは相対的ガスレベルのいずれかを示すことができる。例えば、ガス測定制御装置
の測定値は、経時的な患者の相対的な酸素含有量を示して、患者の状態の変化を指し示す
ことができる。
【0179】
図53は、尿または患者組織のガス含有量を測定するためにガス測定制御装置がカテー
テルとどのように相互作用するかについて概略的に示す。カテーテル5502は、排尿ル
ーメン5504、ならびにガス輸送膜5510と流体連通しているガス測定ルーメン55
06および5508を含む。ルーメン5506は、カテーテルに入る空気または他のガス
を収容し、ルーメン5508は、搬送ガスがガス輸送膜を通過した後カテーテルを出る空
気またはガスを収容する。出ていくガスの酸素または他のガスレベルは、患者の尿および
/または組織の酸素レベルまたは酸素レベル変化を判断するために測定される。引き込み
ガス測定ルーメン5506は、大気または他のソースに開放されてよく、または、閉鎖さ
れたシステムであってよく、それによって、ルーメン5506および5508内のガスは
継続的に循環されるため、ガス含有量の変化は経時的に容易に判断可能である。換言すれ
ば、
図52における空気またはガス注入口5408、および空気またはガス排出口541
0は、互いに流体連通されてよい。
【0180】
引き込みガス測定ルーメン5506が大気に開放される場合、ポンプは間欠的に運転さ
せてよく、それによって、ガス測定ルーメン内のガスは、膜表面にわたって平衡を保つた
めのより多くの時間がある。これによって、測定されたガスの間欠的な濃度が高くなり、
ひいては、より感度の高い測定値がもたらされる。
【0181】
ポンプは、システムが閉鎖されるか開放されるかどうかにかかわらず、継続的にまたは
間欠的に運転させることができるが、開放システムモードで間欠的に運転させる場合、よ
り感度の高い測定値がもたらされる場合がある。閉鎖されたシステムモードでは、システ
ム内の測定されたガスが測定されている尿、流体、または組織のガスレベルとの平衡を保
つ際の傾向がより明らかとなる場合がある。
【0182】
この実施形態では、尿ルーメンおよびガス測定ルーメンは別個である。しかしながら、
ガス輸送膜は、
図54に示されるように、尿ルーメンとガス測定ルーメンとの間に据え置
かれてもよい。この場合、ガス輸送膜5602は尿ルーメンと流体連通している。
【0183】
図55Aおよび
図55Bは、ガス測定アドオン部品の実施形態を示す。ガス測定部品5
702は、感知フォーリーカテーテル1000または任意のフォーリーカテーテルと、尿
ドレナージチューブ1001または任意の尿ドレナージチューブとの間に挿入されてよい
。ガス測定部品5702は、本明細書のどこかに開示される材料から作られてよい疎水性
フィルタ5704を含む。ガス注入口ルーメン5706およびガス出口ルーメン5708
はガスを、ドレナージシステム内の尿とガス連通しているフィルタ5704上を通過させ
ることができる。フィルタ5704近くの空気またはガスは、非常に迅速に、ドレナージ
システム内の尿内のガスとの平衡を保つようになる。
図55Bは、フィルタ5704にわ
たる空気の流れの通路を示す。ガス出口ルーメン5708は、該当するガス(複数可)の
ためのルーメン内のガスを分析する(ここでは示されない)制御装置と流体連通する。ガ
ス注入口ルーメン5706は、大気、別のガスに開放されてよい、または、制御装置内の
ガス出口ルーメン5708によって閉ループになっていてよい。制御装置は、本明細書の
どこかに述べられる尿排出量を測定する同じ制御装置であってよい、または別個の制御装
置であってよい。ルーメン5706および5708は、ドレナージチューブ1001に組
み込まれてよい、または別個であってよい。ガス測定部品5702は、ここで示されるよ
うに別個の構成要素であってよい、または、通気口付きバーブ継手1016に組み込まれ
てよい。ガス測定部品5702は、代替的には、システムのどこにでも位置してよい。
【0184】
ある特定の状態を検出/判断する
【0185】
図56Aは、AKI(腎前性、内因性、および閉塞性)の種々の指標についてのフィン
ガープリントまたは痕跡(パラメータの組み合わせ)を可能にするパラメータの組み合わ
せを列挙する表を示す。さらに、AKIの原因を判断することもできるパラメータの変更
のタイミングに関するフィンガープリントまたは痕跡がある場合がある(例えば、糸球体
腎炎によって引き起こされる内因性AKIに対する急性尿細管壊死によって引き起こされ
る内因性AKIについてのいくつかのパラメータがより速く変化することがもっともらし
いと思われる)。このマルチパラメトリックアプローチは、AKIの種々の原因が種々の
効果的な療法を有するため、AKIを治療するための効果的な療法の選択を容易にするこ
ともできる(例えば、組み換え型アルカリホスファターゼは、内因性(敗血症)AKIの
治療において効果的であるが、非敗血症AKIの治療において非効果的である)。
【0186】
図56Bは、敗血症、AKI、および、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の種々の指標
についてのフィンガープリントまたは痕跡(パラメータの組み合わせ)を可能にするパラ
メータの組み合わせを列挙する表を示す。これらの痕跡は、尿排出量、心拍、呼吸速度、
温度、1回拍出量、心拍出量、および、腹部かん流圧を含むさまざまな患者パラメータの
増加、減少、またはその両方を伴う。腹部かん流圧は、平均動脈圧(MAP)から腹腔内
圧(IAP)を引いたものである。平均動脈圧は、拡張期圧(DP)に脈圧(PP)の1
/3を足したものに等しい(脈圧は収縮期圧から拡張期圧を引いたものに等しい)。簡潔
に言えば、MAP=DP+1/3PPである。
【0187】
他の患者パラメータも使用可能である。1つ、いくつか、または全ての該当するパラメ
ータは、制御装置によって使用されて、診断および/またはリスクをユーザにまたはべつ
のデバイスに通信することができる。感知フォーリーカテーテルシステムによって捕獲さ
れる患者パラメータは、それ自体で、または、心電図、血圧測定デバイス、またはEMR
からの情報といった、どこか他の所で得られたパラメータと併せて使用可能である。
【0188】
感知フォーリーカテーテルシステムは、さまざまな医学的状態の早期検出を監視するリ
アルタイムの自動的で適正な生理学的パラメータを提供する。これらの高周波数データス
トリームのリアルタイムの多変量(ポイント値)分析および時系列(トレンディング)分
析を利用して当機械学習式モデルに通知することによって、早発性敗血症(または他の医
学的状態の判断)のための高感度の生理学的痕跡が示される場合がある。これは、早期の
診断および介入を可能にすることによって臨床転帰を改善することになる。ある特定の医
学的状態の発症前および/またはその間に生じる生理学的変化に関連するデータに関連す
る痕跡は、該当するパラメータを強化し、あまり関係のないパラメータを弱め、つながり
を築くまたは消滅させるために、人工の神経ネットワークを介した機械学習を使用して継
続的に改善可能である。これによって、制御装置は、アルゴリズムを利用して、医学的状
態を互いに、ならびに通常および他の病理学と区別することが可能になる。
【0189】
本発明のいくつかの実施形態は、患者が利尿剤を与えられた直後の尿排出量を測定する
ことができる。このタイプの試験は、AKIの患者がより深刻な段階および/または死へ
と進行するのかどうかの強力な指標とすることができる。患者の尿排出量が利尿剤の投与
後に増加する場合、これは、患者がAKIのより深刻な段階に進行する可能性が低いこと
を示す。患者の尿排出量が利尿剤の投与後に大幅に増加しない場合、これは、患者がAK
Iのより深刻な段階に進行する可能性が高いことを示す。本発明は、尿排出量をリアルタ
イムで迅速かつ精確に測定できる。そのために、利尿剤に対する反応は、従来の尿測定技
法よりも迅速に(数時間ではなく数分で)検出できる。
【0190】
この試験は、制御された用量の利尿剤を提供後、数分または数時間、好ましくは数分の
み尿排出量を監視する制御装置で自動化可能である。与えられる利尿剤は、フロセミド、
または、任意の他の適したループ利尿剤もしくは他の利用剤であってよい。参照によって
本明細書に組み込まれる特許文献3に開示されるように、利尿剤は与えられることが可能
であり、データは収集される。
【0191】
AKIの検出に加えて、本発明は、酸素圧の減少、二酸化炭素濃度、比重の増加、なら
びに、相対的に安定した尿排出量および伝導度によって示されるように、尿路感染(UT
I)を検出することができる。UTIの検出は、AKIがない場合に、場合によるとAK
Iの存在下で、UTIの固有のフィンガープリントについて尿中マーカーを組み合わせる
ことによって実現可能である。固有のUTIフィンガープリントは、UTIの存在に対し
て臨床医に警告することができる。
【0192】
記載されたパラメータを使用したAKIおよびUTIの検出に加えて、これらのパラメ
ータは、腹部内圧上昇(IAH)、腹部コンパートメント症候群(ACS)、および敗血
症などの状態を検出するために既に使用されている、腹腔内圧(IAP)、呼吸速度(R
R)、心拍(HR)、心拍出量(CO)、相対的な1回拍出量(RSV)、温度(Tem
p)、脈圧(PP)、尿伝導度(UC)、尿排出量(UO)、および/または1回拍出量
(SV)示度と組み合わせて使用されてよい。IAP、RR、HR、CO、RSV、Te
mp、PP、UC、UO、および/またはSV測定値を本明細書に記載されるアルゴリズ
ムに加えることによって、AKIまたはUTIを検出する感度および特異性が高まる場合
がある。他方では、本発明によって得られる測定値をIAP、RR、HR、CO、RSV
、Temp、PP、UC、UO、および/またはSV測定アルゴリズムに加えることによ
って、IAH、ACS、または敗血症の感度および特異性が高まる場合がある。他の臨床
応用は障害およびやけどの治療を含む。
【0193】
IAP、RR、HR、CO、RSV、Temp、PP、UC、UO、ガス濃度、および
/またはSVの絶対測定値に加えて、これらのパラメータのトレンディングデータは、I
AH、ACS、敗血症、または他の状態を検出するために使用されてもよい。例えば、こ
れらのパラメータの値の経時的な勾配、および/またはこれらのパラメータの値の経時的
な変動も使用されてよい。データ傾向を使用する別の例は、脈圧波形分析および脈波伝播
速度(または脈遷移時間)の使用である。脈遷移時間は、感知フォーリーカテーテルの手
掛かりおよび/またはどこかから心電図などの心臓信号を捕獲すること、および、脈波圧
信号が膀胱に伝わるまでの時間を判断することによって判断可能である。複数のパラメー
タおよび/またはパラメータ傾向は、IAH、ACS、敗血症、または他の状態の存在を
判断するために使用されてよい。
【0194】
トレンディングデータを使用するいくつかの例は以下を含む。
【0195】
-安定したバイタルの状況(その他)でのUOの減少は、急性腎障害を示すことができ
る。1回拍出量が減少している場合、腎臓は虚血性を有する場合がある。尿量が安定した
バイタルの状況で急増する場合、中毒性急性腎障害を示すことができる。
【0196】
-1回拍出量と共に呼吸速度が上昇すると、肺塞栓症、出血、または他の体液量減少を
示すことができる。
【0197】
-安定したバイタルの状況での呼吸速度の増加は、切迫気道閉塞を示すことができる。
【0198】
-他のパラメータにおける安定した状況での呼吸速度の減少は、麻薬過剰摂取を示すこ
とができる。これは、患者管理無痛法による大きな問題である。
【0199】
-安定した1回拍出量の状況での腹腔内圧(IAP)の増加、および尿排出量の増加は
、切迫体液過剰の指標とすることができる。
【0200】
-UOの減少および心拍出量の減少によるIAPの増加は心肺機能不全の指標とするこ
とができる。これは、体液過剰、敗血症などによるものとすることができる。
【0201】
本発明は、さまざまな病院環境(例えば、緊急治療室、手術室、集中治療室、病棟)に
おいて使用可能である。どんな時でも、当該デバイスは、AKIの進行、かつ、改善して
いるまたは衰弱しているかどうかを監視するために使用可能である。そのアルゴリズムは
、AKIが新たに発症した場合、または、AKIの状態の変化を臨床医に警告するように
機能する。デバイスは、腎臓に対する損傷が生じる前に設置して(例えば、腎臓への損傷
が術中に始まるかどうかを検出するために心臓手術を行っている患者)、AKIが発生し
ているかを検出することができる。該デバイスは、腎臓損傷が既に存在している時に設置
して、その時の損傷の程度を検出することができる。デバイスは、療法/療法的介入(例
えば、腎代替療法、急速流体投与)への反応を監視するために使用されてもよい。
【0202】
代替的な実施形態
【0203】
本技術の実施形態は、発作性疾患の検出または診断時の患者の動きを報告することもで
きる。この実施形態では、圧力変動は、EEGまたは記録装置を作動させて、発作の疑い
のある症状の出現中に監視する集中期間を可能にすることができる。さらにまたは代替的
には、圧力センサ、音響センサ、または他のセンサは、蠕動を含む腸運動、患者の動き、
発作の機能活動、患者の震え、咳の頻度、咳のひどさ、睡眠時間、睡眠の質、音声検出、
患者コンプライアンス(患者の動きの有無)を検出するために使用可能であり、患者が動
いていないこと、および向きを変えるか回転させなければならないことを医療介護提供者
に警告することができる。この運動関連の情報はまた、低体温デバイス、薬物供給デバイ
ス、または他のデバイスに中継して、発作の機能活動、震え、および/または咳を制御ま
たは軽減することもできる。
【0204】
いくつかの実施形態では、感知フォーリー型カテーテルは、(圧力ルーメンといった)
空気充填ルーメンにおける水滴または他の障害物の存在を報告し、その後、その液滴に対
処しかつ解決するように構成される。低体温の状況では、特に、空気ルーメンにおける水
分は凝縮し障害となる水滴を形成する可能性がある。空気充填ルーメンにおける水滴(ま
たは水充填ルーメンにおける気泡)は、水の表面張力によって圧力信号を妨害するまたは
複雑にする可能性がある。従って、開示された技術のいくつかの実施形態における圧力伝
達ルーメンは、(ルーメン自体の壁上のコーティング、または、ルーメンの全長にわたる
親水性繊維などの)親水性特徴を含んで、継続した途切れない風路を維持するためにルー
メンから水分を逃すことができる。いくつかの実施形態では、吸湿性組成物(例えばシリ
カゲル)は、空気注入管路がある、または空気注入ルーメン内にある管路において使用さ
れて、水または湿度を捕獲することができる。いくつかの実施形態では、吸湿性組成物は
、空気注入回路がこの材料を取り替えるためのサービスを必要としないようにカテーテル
内に含まれてよい。
【0205】
開示された技術のいくつかの実施形態では、空気は、圧力感知バルーン内に間欠的に(
かつ自動的に)注入および抽出されることで、さらに詳細に上述されるように、バルーン
が最適に準備されることが絶えず続く状態にする。ルーメンにおけるウィッキング繊維ま
たは親水性コーティングの場合、空気抽出はまた、いずれの水も送気管から排除しかつ取
り込むことに貢献することができる。液体充填ルーメンの例では、圧力ルーメンの内部上
の親水性繊維または親水性コーティングは、このルーメンが気泡に対処できるようにする
同様のメリットを与えることになる。この例では、気泡は信号をゆがませる場合があるが
、空気/水界面張力は、カテーテルのルーメンにおける親水性コーティングによって和ら
げられる。
【0206】
さらには、カスタム抽出およびルーメン形状は、液体および/または空気充填ルーメン
の場合の障害物を防止するために使用されてもよい。本技術のいくつかの実施形態では、
例えば、フォーリー型カテーテルは、縦断面が星形のルーメンを有することができる。か
かるルーメンは、一般に、液滴はそれ自体が凝集しかつ疎水性壁から遠ざかる傾向にある
ため、水滴による障害物を受け付けない。この挙動は、断面空間の充填を認めない傾向に
あり、風路が水滴に開存したままにし、かつ、センサに連通することを可能にする。同じ
論理が、疎水性の星形水ルーメンにおける水中の気泡にあてはまる。この例では、親水性
液体は、その壁に密着し、かつ、ルーメンの中央への、気泡を締め出す継続的な水柱を可
能にすることになる。同じことが疎水性ルーメンにおける疎水性液体にもあてはまる。い
くつかの実施形態では、カテーテルは、風路、および、カテーテル自体の中に組み込まれ
るセンサ、または、センサに圧力を伝達し戻すことができる流体ルーメンを含むことがで
きる。
【0207】
ドレナージチューブは、尿ドレナージ管路、圧力ルーメン、および、熱電対のワイヤを
収容するマルチルーメンチューブであってよく、一端でバーブ継手に接続され、他端で制
御装置に接続される。
【0208】
フォーリーカテーテルでは、BaSO4が抽出可能である、または、透視観察を提供す
るためのX線不透過性マーカーが取り付けられている。
【0209】
カテーテルの先端に位置するサーミスタは、多数の異形押出しおよび組立技法を使用し
て適所に固定させることができる。
【0210】
いくつかの実施形態では、感知フォーリーカテーテルは、いくつかの形態のいずれかを
取ることができる血圧感知要素を含むことができる。一実施形態では、血圧感知要素は、
圧力供給バルーン(別個の専用バルーン、または、デバイス停留バルーンまたは圧力感知
バルーンと流体連通するバルーンのどちらか)を含む。この圧力供給バルーンは、膨らま
せて、この圧力で膀胱または尿道内の容器が青白化しかつ血流が停止するかを判断するた
めに光学的に分析可能である。このアプローチは、全身血圧および血管抵抗の両方を反映
する示度などの、圧力供給バルーンと隣接する組織のかん流圧の示度をもたらす。かん流
圧デバイスのこの実施形態は、敗血症、衝撃、出血などのさまざまな急性または緊急の医
学的状態の早期検出または監視をもたらすために使用可能であり、早期の段階でこれらの
状態を検出する際にとりわけ有利である可能性がある。敗血症を予測する際に、本発明の
実施形態は、敗血症をより良く予測するために白血球数情報を受信可能とすることができ
る。
【0211】
血管系の圧迫をもたらすように、ルーメン、体腔、または身体組織内で間欠的に膨張さ
せる一般的な方法論的側面で、組織が青白化するまたは虚血性を有することを検出するた
めの他のモダリティが使用可能である。このデバイスおよび関連の方法の実施形態は、間
欠的に膨らませることが可能な部材、および血流または血液の存在の光学的検出によって
、身体の他の部位におけるかん流圧を検出するために使用されてもよい。
【0212】
組織かん流情報は、カテーテルが適所にある時に尿道壁に接触するようにカテーテルの
シャフト上に配設されるセンサによって提供されてもよい。これらの感知技術は、マイク
ロダイアリシス、ピルベート、ラクタート、pO2、pCO2、pH、かん流指数、近赤
外分光法、レーザードップラー流量計、尿道カプノグラフィ、および直交偏光分光法を含
むことができる。これらの試験の任意のものは、組織かん流の測定値を生成するために尿
または膀胱壁自体に対して行われてもよい。
【0213】
感知フォーリーカテーテルシステムの別の実施形態は、ドレナージ管路の初め頃に正の
気流のためのデバイスおよび/またはポートを含む除去機構の実施形態を含む。正の気流
は、尿がドレナージ管路を流れるようにすることによってドレナージを容易にする。正の
気流用デバイスは、尿カテーテルの端部において、尿が尿採取デバイスの方へ流れること
だけを可能にし、かつ、空気がカテーテルに入らないようにする一方向弁を含むことがで
きる。
【0214】
いくつかの実施形態では、尿除去機構は、表面張力を低減し、かつドレナージを容易に
するために、尿ドレナージチューブの内部上のコーティングを含む。一態様では、上記コ
ーティングは、PTFEまたはFEPを含むがこれに限定されない疎水性ポリマーである
。
【0215】
さらに別の実施形態では、除去機構は、デバイスのドレナージルーメンに挿入できるこ
とで空気が全長にわたって排気されるようにする管状疎水性通気口フィルタを含む。分節
状疎水性通気口はまた、空気がこれらの領域を通る際にチューブから確実に排気されるよ
うにするために設定された間隔で組み込み可能である。この実施形態では、疎水性通気口
は、尿における通気口の浸水を防止するために最低1~2フィートの間隔で置かれるよう
にする。冗長性を持たせることによって、複数の通気口/フィルタは、任意の1フィルタ
/通気口のその浸水による故障を防止する。理想的な構成では、通気口は、pTFEまた
はePTFE材料にして、バーブ継手を付ける、および/または、容易な製造可能性を可
能にするために間隔をあけてチューブにグロメットでとめるようにする。代替的な実施形
態では、通気口は、ドレナージチューブの全長にわたるスリットまたはらせんの形態をと
ることで、空気を任意の地点でチューブから逃すことができるようにする。これによって
、ドレナージチューブが、エアロックを防止するおよび/または消去する時に位置的に依
存しないようにする。
【0216】
代替的な実施形態では、エアロックは、ひとまとまりの空気がチューブの高い部分に形
成されないようにし、かつ、尿が低い部分に集まらないようにする伸縮式ドレナージチュ
ーブによって防止される。伸縮式チューブでは、尿カテーテルと採取バッグとの間にチュ
ーブをできるだけまっすぐなままにすることによってエアロックが生じないようにする。
一態様では、伸縮式ドレナージチューブは、患者から採取バッグまでの距離に適合させる
ために伸ばすまたは折りたたむことができる複数の入れ子式セクションから構成される。
別の態様では、ドレナージチューブは、必要に応じて伸ばすまたは折りたたむことができ
る蛇腹を形成するようにひだが付けられる。さらに別の態様では、チューブはらせん状に
巻かれている。さらに別の態様では、ドレナージチューブは、適切な長さを実現するため
に回転盤にチューブ材料を巻き付けるばね状コイルによって伸縮自在である。
【0217】
相対的な心拍出量および相対的な1回換気量はまた、圧力センサおよび/または他の力
計のふれに基づいて計算可能である。十分な周波数(例えば、1Hz以上)でサンプリン
グされる場合、呼吸運動は、カテーテル設置時の往復運動の振幅に対して相対的になるよ
うに定量化できる。往復運動が大きくなることは、一般に、呼吸が激しくなること、また
は、ベースラインにおける上方へのずれの状況では、腹膜圧が高くなることに関連する。
拍動する心臓によって引き起こされる振動する呼吸波における小さなピークも、より速い
サンプリング速度(例えば、5Hz以上)を使用することによって追跡可能であり、この
波の振幅は、比較的一定の腹膜圧の状況で使用されて、既知の、安定した腹膜圧、絶対1
回拍出量、および/または心拍出量の状況において相対的な心拍出量を判断することがで
きる。
【0218】
開示された技術の実施形態によって感知される腹腔内圧または膀胱圧は、(例えば、実
質的に移動がない状態から高レベルの移動までの間で変動することがあるような)患者の
動きのレベルを検出するために、および、移動レベルを医療介護提供者に報告するために
使用されてもよい。膀胱圧活性において一気に生じる浮き沈みは、例えば、かかる膀胱圧
プロファイルが、ベッドから起き上がるまたは出るために患者が自身の腹筋を使用してい
ることの強力な指標である体の動きの役割を果たすことができる。この実施形態は、落下
するリスクがある患者にとってとりわけメリットがある場合がある。落下のリスクがある
患者の場合、医療介護提供者には、患者が起き上がっており、それに応じて反応している
ことを知らせることができる。代替的には、デバイスは、患者が活動していないこと、お
よび/または患者が動いていないことを報告するために使用されてよい。
【0219】
パルスオキシメトリ要素は、血中酸素濃度または飽和度の判断を可能にし、カテーテル
の、尿道の長さに沿ったどの場所においても配設できる。いくつかの実施形態では、セン
サ(複数可)は、尿道粘膜に確実に近づけるためにデバイスのチューブ材料内に配設され
る。この技術によって、医療介護提供者は、尿カテーテルで膀胱を減圧し、かつ、繰り返
し可能で精確なやり方で、パルスオキシメトリデータを得ることができる。パルスオキシ
メーター用の電源は、尿採取容器内にまたはカテーテル自体の中に組み込み可能である。
いくつかの実施形態では、パルスオキシメーターは、再利用可能であり、カテーテルイン
ターフェースは使い捨てにでき、この配置構成では、パルスオキシメーターは、使い捨て
カテーテルに可逆的に取り付けられ、かつ、酸素測定がもはや所望されない時に取り去ら
れる。感知フォーリーカテーテルの実施形態は、光ファイバーケーブルなどのオキシメト
リ信号用の光学的に透明なまたは十分透明な経路、透明窓、および再利用可能なオキシメ
ーター用インターフェースを含むことができる。尿道パルスオキシメトリ用のこの方法お
よびデバイスは、本明細書に記載される他の実施形態のいずれかと併せて使用可能である
、または、独立型デバイスであってよい。
【0220】
抗菌性コーティング、または抗菌化合物を含浸させた材料は、感染を防止するために感
知フォーリーカテーテルに対して使用されてよい。抗菌性コーティング/材料の例は、銀
、クエン酸銀、パリレン、または任意の他の適した材料を含む。
【0221】
肺血液量変動は、心不全の存在またはリスクを評価する際の助けとなるように感知フォ
ーリーカテーテルシステムによって判断されてもよい。左室機能の低下は、肺血液量(P
BV)の増加、または、肺血液量変動の減少につながる可能性がある。PBV変動は、心
臓周期の間の経時的なPBVの変化として定義される。PBVは、心拍出量と肺移動時間
(PTT)との積として判断可能である。心拍出量は、1回拍出量と心拍との積として判
断でき、ここで、1回拍出量は、1心臓周期の流れ時間曲線下のエリアである。脈遷移時
間は、心電図におけるQRS群の間の遅延に対する膀胱における信号の出現を見ることに
よって得られてよい。心電図信号は、別個の心電図誘導、感知フォーリーカテーテルに組
み込まれる誘導、カテーテル挿入キットに組み込まれる誘導、またはどこか他の所から得
られてよい。心電図誘導はまた、システムのどこにおいても尿内から心電図信号を読み出
し可能とすることができる。2つの誘導は、脈遷移時間をより精確に判断するために使用
されてよい。
【0222】
1回拍出量、駆出率、およびPBV変動は、心筋梗塞後に減少すること、および、PB
V変動に最大の変化が見られることが分かっている。そのために、PBV変動を判断する
こと、およびPBV変動の減少を特定することは、心不全または心不全のリスクの強い徴
候である場合がある。
【0223】
感知フォーリーカテーテルシステムによって採取されたデータは、データベースに記憶
され、かつ、トレンディングまたは他の使用のために分析されてよい。例えば、データは
、数人の患者から採取され、かつ将来の患者の挙動をより良く治療する、監視する、また
は予測するために使用されるように匿名で集約されてよい。例えば、心拍、呼吸速度、温
度、感染などに関連して経時的に採取されたデータは、制御装置によって集約かつ分析さ
れて、さまざまなパラメータおよび結果の間または中での関係などの傾向を見出すことが
できる。例えば、ある特定の温度の傾向は、単独でまたは他のパラメータと組み合わせて
、感染の予測因子とすることができる。
図56はいくつかの既知の例を示すが、他の傾向
および現在は未知の傾向は集約された患者データから現れる場合がある。
【0224】
感知フォーリーカテーテルシステムによって採取されたデータは、電子カルテ(EHR
)もしくは電子医療記録(EMR)、および/または他のシステムと統合されてよい。感
知フォーリーカテーテルシステムの制御装置によって採取されたデータは、EMR/EH
Rシステムと直接的にまたは間接的に結び付けることができる。EMR/EHRからの患
者人口統計データまたは病歴データなどのデータは、感知フォーリーカテーテルシステム
と統合することもできる。
【0225】
データ処理システムの実施例
【0226】
図58は、本発明のいずれの実施形態によっても使用可能であるデータ処理システムの
ブロック図である。例えば、システム6000は、本明細書のいくつかの実施形態に示さ
れるような制御装置の一部として使用されてよい。
図58はコンピュータシステムのさま
ざまな構成要素を示すが、その構成要素を相互接続する任意の特定のアーキテクチャまた
は様式を表すことは意図されておらず、それ自体の細部は本発明に密接に関係していない
ことは留意されたい。また、ネットワークコンピュータ、ハンドヘルドコンピュータ、モ
バイルデバイス、タブレット、携帯電話、および、より少ない構成要素、またはことによ
るとより多くの構成要素を有する他のデータ処理システムも本発明によって使用されてよ
いことは理解されるであろう。
【0227】
図58に示されるように、データ処理システムの形態であるコンピュータシステム60
00は、1つまたは複数のマイクロプロセッサ6003およびROM6007に結合され
るバスまたは相互配線6002、揮発性RAM6005、および不揮発性メモリ6006
を含む。マイクロプロセッサ6003はキャッシュメモリ6004に結合される。バス6
002は、これらのさまざまな構成要素を共に相互接続し、また、これらの構成要素60
03、6007、6005、および6006をディスプレイ制御装置およびディスプレイ
デバイス6008に、ならびに、入力/出力(I/O)デバイス6010に相互接続する
。入力/出力(I/O)デバイス6010は、マウス、キーボード、モデム、ネットワー
クインターフェース、プリンタ、および、当技術分野で周知の他のデバイスであってよい
。
【0228】
典型的には、入力/出力デバイス6010は、入力/出力制御装置6009を通してシ
ステムに結合される。揮発性RAM6005は典型的には、メモリにおけるデータをリフ
レッシュするまたは維持するために、継続的に電力を必要とするダイナミックRAM(D
RAM)として実装される。不揮発性メモリ6006は典型的には、磁気ハードドライブ
、磁気光学ドライブ、光学ドライブ、または、DVD RAM、もしくはシステムから電
源が取り去られた後でもデータを維持する他のタイプのメモリシステムである。典型的に
は、不揮発性メモリはまた、ランダムアクセスメモリになるが、これは必要なことではな
い。
【0229】
図58は、不揮発性メモリがデータ処理システムにおける構成要素の他のものと直接的
に結合されるローカルデバイスであることを示すが、本発明は、モデムまたはイーサネッ
トインターフェースなどのネットワークインターフェースを通してデータ処理システムに
結合されるネットワーク記憶デバイスといった、システムから遠隔の不揮発性メモリを利
用することができる。バス6002は、当技術分野で周知であるさまざまなブリッジ、制
御装置、および/またはアダプタを通して互いに接続される1つまたは複数のバスを含む
ことができる。一実施形態では、I/O制御装置6009は、USB(ユニバーサルシリ
アルバス)周辺機器を制御するためのUSBアダプタを含む。代替的には、I/O制御装
置6009は、ファイヤーワイヤーデバイスを制御するためのファイヤーワイヤーアダプ
タとしても既知のIEEE-1394アダプタを含むことができる。
【0230】
先の詳細な説明の一部は、コンピュータメモリ内のデータビットに対する演算のアルゴ
リズムおよび記号表現に関して提示されている。これらのアルゴリズム的記述および表現
は、データ処理技術における当業者が自らの研究内容を他の当業者に最も効果的に伝える
ために使用されるやり方である。ここでは、および一般に、アルゴリズムは、望まれる結
果をもたらす首尾一貫した作業の順序であると考えられる。これらの作業は、物理量の物
理的操作を必要とするものである。
【0231】
しかしながら、これらのおよび同様の用語は全て、適切な物理量に関連付けられるべき
ものであり、これらの量に与えられた便利な表記にすぎないことに留意すべきである。上
記の論述から明らかなように、特に別途述べていない限り、説明全体を通じて以下の特許
請求の範囲に述べられるような用語を利用した論述は、コンピュータシステムのレジスタ
およびメモリ内の物理(電子)量として表されるデータを操作し、コンピュータシステム
のメモリ、レジスタ、またはその他のこのような情報記憶装置、伝送または表示デバイス
内の物理量として同様に表される他のデータに変換するコンピュータシステムまたは同様
の電子コンピュータデバイスの作用および処理に言及することは理解されたい。
【0232】
本図に示される技法は、1つまたは複数の電子デバイスに記憶されかつ実行されるコー
ドおよびデータを使用して実装可能である。このような電子デバイスは、非一時的なコン
ピュータ可読記憶媒体(例えば、磁気ディスク、光学ディスク、ランダムアクセスメモリ
、読み出し専用メモリ、フラッシュメモリデバイス、相変化メモリ)、および、一時的な
コンピュータ可読伝送媒体(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号といった、電気
、光学、音響、または他の形態の伝播信号)などのコンピュータ可読媒体を使用して、コ
ードおよびデータを記憶および(内部的に、および/またはネットワーク上で他の電子デ
バイスと)通信する。
【0233】
先の図に示されるプロセスまたは方法は、ハードウェア(回路、専用論理回路など)、
ファームウェア、(例えば、非一時的なコンピュータ可読媒体において具現化される)ソ
フトウェア、または両方の組み合わせを備える処理論理回路によって行われてよい。プロ
セスまたは方法はいくつかの順次動作に関して上述されるが、記載される動作のいくつか
は異なる順番で行われてよいことは理解されるべきである。さらに、いくつかの動作は、
順次ではなく並列に行われてよい。
【0234】
別段定められていない限り、本明細書で使用される全ての専門用語は、医療技術分野に
おける当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。特定的な方法、デバイ
ス、および材料は本願において説明されるが、本明細書に記載されるものと同様のまたは
同等の任意の方法および材料は、本発明を実践する際に使用可能である。本発明の実施形
態は多少詳しく例証によって記載されているが、このような例証は理解を明確にするため
だけのものであり、限定することを意図するものではない。さまざまな用語は本発明の理
解を伝えるために本明細書に使用されているが、これらのさまざまな用語の意味は、それ
らの一般的な言語学的または文法的な変化にまで及ぶことは理解されるであろう。さらに
、本技術をさらに理解してもらうためにいくつかの理論的考察が提示されている場合があ
るが、本発明の添付の特許請求の範囲はそのような理論には制約されない。また、本発明
の範囲から逸脱しない範囲で、本発明の任意の実施形態の任意の1つまたは複数の特徴を
、本発明の任意の他の実施形態の1つまたは複数の特徴と組み合わせることができる。さ
らにまた、本発明は、例示の目的で述べられている実施形態に限定されず、本特許明細書
の添付の特許請求の範囲を正しく読み取ることによってのみ定められ、その各要素が権利
を与えられる等価性の全範囲を含むことは理解されるべきである。