(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-06
(45)【発行日】2023-04-14
(54)【発明の名称】ワイパーモータおよびその組立方法
(51)【国際特許分類】
H02K 5/15 20060101AFI20230407BHJP
【FI】
H02K5/15
(21)【出願番号】P 2020514945
(86)(22)【出願日】2018-08-31
(86)【国際出願番号】 EP2018073439
(87)【国際公開番号】W WO2019052834
(87)【国際公開日】2019-03-21
【審査請求日】2021-07-07
(31)【優先権主張番号】102017121217.5
(32)【優先日】2017-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】512092737
【氏名又は名称】ヴァレオ システム デシュヤージュ
【氏名又は名称原語表記】VALEO SYSTEMES D’ESSUYAGE
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100202304
【氏名又は名称】塙 和也
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル、ショイブレ
(72)【発明者】
【氏名】ハラルド、カピッツァ
【審査官】安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/061156(WO,A1)
【文献】特開2017-070207(JP,A)
【文献】国際公開第2016/010023(WO,A1)
【文献】米国特許第05027024(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラシレス電気モータ(10)であって、
複数の軸受手段(28,30)によって回転軸線(31)に対して回転可能に支持された回転子(25)を受け入れるためのハウジング(12)を有し、
磁気要素(32)が前記回転子(25)上に配置され、磁気要素(32)は、前記ハウジング(12)内に固定されて配置された固定子(40)と相互作用し、
前記回転子(25)は、前記ハウジング(12)に連結可能な固定要素(62)によって、前記ハウジング(12)内で、前記回転軸線(31)の方向である軸線方向に位置付けられ、
前記固定要素(62)は、前記固定子(40)を、前記ハウジング(12)内で、前記回転軸線(31)の方向である軸線方向に更に位置付けるように構成されて
おり、
前記固定子(40)は、前記固定要素(62)と協働する位置決め部分(50)を含み、
前記位置決め部分(50)は、前記固定子(40)の長手方向軸線(43)の方向において前記固定子(40)の支持要素(42)を越えるように、軸線方向に突出し、支持要素は、コイル巻線(44)を支持する、電気モータ。
【請求項2】
前記位置決め部分(50)は、形状嵌合連結部(76)によって、前記固定要素(62)と協働する、請求項
1に記載の電気モータ。
【請求項3】
前記固定子(40)は、モータハウジング(16)内に配置され、
前記モータハウジング(16)は、第1側面(18)上でギアハウジング(14)の第2側面(17)に連結されることができ、
前記モータハウジング(16)は、前記ギアハウジング(14)と共に前記ハウジング(12)を形成し、
前記ギアハウジング(14)は、前記位置決め部分(50)が前記回転軸線(31)の方向である軸線方向に挿入されることができる凹部(58)を含み、
前記凹部(58)は、前記固定要素(62)を受け入れるための更なる凹部(60)の領域内にまで延びている、請求項
1または2に記載の電気モータ。
【請求項4】
前記固定要素(62)は、前記回転子(25)の前記回転軸線(31)に対して垂直に延びる方向(70)において、前記更なる凹部(60)内に挿入されることができる、請求項
3に記載の電気モータ。
【請求項5】
前記位置決め部分(50)は、前記固定要素(62)の突起(72)が係合する溝(52)を含む、請求項
1乃至
4のいずれか一項に記載の電気モータ。
【請求項6】
前記回転子(25)の前記回転軸線(31)に対して垂直に延びる平面において、前記固定要素(62)は、前記回転子(25)のシャフト(24)を受け入れるための切り欠き(64)を含むU字形に設計されるとともに、前記位置決め部分(50)と協働するための停止部(74)を含む、請求項
1乃至
5のいずれか一項に記載の電気モータ。
【請求項7】
前記位置決め部分(50)は、前記固定子(40)の延長部(48)に形成され、
前記延長部(48)は、前記固定子(40)の長手方向軸線(43)に対して平行に延び、
前記固定要素(62)は、前記停止部(74)を支持する突起(72)を含む、請求項
1乃至
6のいずれか一項に記載の電気モータ。
【請求項8】
前記固定子(40)および前記延長部(48)は、射出成型により一体に形成されている、請求項
7に記載の電気モータ。
【請求項9】
前記固定要素(62)は、ばね鋼のシートからなるとともに、打抜部品または曲げ部品として形成されている、請求項1乃至
8のいずれか一項に記載の電気モータ。
【請求項10】
前記固定要素(62)は、軸受手段(28)に対して第1側面(65)で作用するとともに、前記ギアハウジング(14)の壁部(68)に、反対側の第2側面(66)で作用する、請求項
4乃至
9のいずれか一項に記載の電気モータ。
【請求項11】
前記延長部(48)は、前記固定子(40)内に設置された電気コイルと電気的に接続するためのポート(53乃至55)を含む、請求項
7乃至
10のいずれか一項に記載の電気モータ。
【請求項12】
前記電気モータ(10)は、ワイパーモータ(100)の一部である、請求項1乃至
11のいずれか一項に記載の電気モータ。
【請求項13】
請求項
3乃至
12のいずれか一項に従って構成される電気モータ(10)を取り付けるための方法であって、
前記取り付けは、
前記モータハウジング(16)内に、前記固定子(40)と前記回転子(25)とを取り付ける工程と、
前記モータハウジング(16)と前記ギアハウジング(14)とを軸線方向に結合する工程であって、前記回転子(25)の一部分と前記固定子(40)の前記位置決め部分(50)とが、前記ギアハウジング(14)内に突出する、工程と、
前記固定要素(62)を取り付ける工程であって、前記回転子(25)と前記位置決め部分(50)とが、前記モータハウジング(16)および前記ギアハウジング(14)に対して軸線方向に位置付けられる、工程とを少なくとも含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載のブラシレス電気モータに関する。また、本発明は、本発明による電気モータの組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のブラシレス電気モータは、実際には既に知られている。ブラシレス電気モータは、回転可能に取り付けられ、磁気要素を支持する回転子を含み、回転子は、電気モータのハウジング内に固定されて配置された固定子と相互作用する。固定子は、回転子を駆動するために、回転子の回転角度位置に応じて作動する、または励起される幾つかの巻線を含んでいる。また、このような電気モータは、通常、回転子のシャフトの一部にギア装置を有しており、ギア装置は、電気モータの被駆動要素を駆動するために、ギアホイールと噛み合うようになっている。この被駆動要素は、例えば風防ガラスのワイパーモータにおいて、風防ガラスワイパーまたはワイピングロッドの少なくとも間接的な移動に役立つ。電気モータのハウジング内に回転子を取り付けるために、被駆動要素がハウジング内で軸線方向、すなわち回転子の回転軸線の方向に位置付けられ、または固定されることが提供される。この目的のために、従来技術では、弓形の固定要素が知られている。固定要素はハウジングの凹部内に挿入されることができ、同時に、例えば、回転子の軸受装置と相互作用することができる。その結果、軸受装置、このため回転子も、ハウジング内で軸線方向に位置付けられる。また、組み立て中に固定子をハウジング内に固定するか、あるいは固定子を軸線方向位置に位置付けることが要求される。従来技術では、これは、回転子の位置付け工程または固定工程とは別の組立工程によって行われる。
【発明の概要】
【0003】
請求項1の特徴を含むブラシレス電気モータは、その設計の構成により、回転子および固定子の両方の軸線方向への固定および位置付けが、同一の固定要素を使用した単一の一般的な組立工程で行われるという利点を有する。このため、回転子を位置付けて固定するように設計された固定要素が、固定子を、ハウジング内で、回転子の回転軸線の方向である軸線方向に更に位置付けるように構成されることが提供される。
【0004】
本発明によるブラシレス電気モータの有利な改良は、従属請求項に明記されている。特許請求の範囲、明細書および/または図面に開示された少なくとも2つの特徴の組み合わせの全ては、本発明の範囲内に含まれる。
【0005】
固定子の軸線方向への位置決めのための、固定要素の固定子との相互作用は、固定要素と相互作用する位置決め部分によって生じることが好ましい。特に、位置決め部分が、形状嵌合連結部(form fit connection)によって、固定要素と協働することが提供される。そのような構成は、特に、固定要素を位置決め部分に連結するための追加の要素または構成要素を省くことを可能にする。
【0006】
通常、回転子の軸線方向への位置決め、または固定のための固定要素の配置は、設計によって決定される。この点に関して、固定要素の取付位置を変更することを回避するとともに、回転子に対する固定子の配置を変更することを回避するために、好ましい実施形態では、位置決め部分は、固定子の長手方向軸線の方向において固定子のコイル領域を越えるように、軸線方向に突出し、コイル領域は、コイル巻線を含んでいる、ということが更に提供される。
【0007】
組立処理に関して最適化された電気モータの別の好ましい実施形態では、固定子は、モータハウジング内に配置され、モータハウジングは、第1側面上でギアハウジングの第2側面に連結されることができ、モータハウジングは、ギアハウジングと共に電気モータのハウジングを形成し、ギアハウジングは、位置決め部分が回転子の回転軸線の方向である軸線方向に挿入されることができる切り欠きを含み、切り欠きは、固定要素を受け入れるための凹部の領域内にまで延びている、ということが提案される。このような構成は、電気モータの構成要素を結合するときに、位置決め部分が固定要素と軸線方向に重なるまで、位置決め部分によって固定子をギアハウジングの切り欠きに案内することを可能にする。
【0008】
特に手動で容易に実施され得る固定要素の組み立ては、固定要素は、回転子の回転軸線に対して垂直に延びる方向において、凹部内に挿入されることができる、ということを提供する。このような構成は、例えば、固定要素のための凹部の領域でギアハウジングに跨がるカバーが、固定要素のカバーをその位置に保持または固定するので、別の構成要素の形態である追加の締結要素が必要とされないという利点を更に有している。
【0009】
位置決め部分、および位置決め部分と相互作用する固定要素の好ましい実施形態では、固定子の位置決め部分は、固定要素の突起が係合する溝を含む、ということが提供される。
【0010】
回転子および固定子の両方の位置決めと固定とに関する固定要素の二重機能を果たすために、固定要素の幾何学的に有利な構成では、回転子の回転軸線に対して垂直に延びる平面において、固定要素は、回転子のシャフトを受け入れるための切り欠きを含むU字形に設計されるとともに、位置決め部分と協働するための停止部を含む、ということが提供される。
【0011】
位置決め部分は、特に固定子の延長部に形成され、延長部は、固定子の長手方向軸線に対して平行に延び、固定要素は、停止部を支持する突起を含んでいる。
【0012】
固定子および延長部は、射出成型により一体に形成されていることが特に好ましい。これは、追加の組み立て費用を必要とすることなく、固定子および延長部の両方を製造する特に経済的な方法を提供する。
【0013】
固定要素は、従来技術で知られているように、電気モータのハウジング内の回転子の軸線方向の位置決めに役立つ。固定要素によって、軸線方向の力が、軸線方向において回転子のシャフトにしっかりと連結された、回転子の軸受装置に及ぼされ、軸受装置に対して、このため回転子に対して、ハウジングの決められた方向に力が加えられる。このような軸線方向の力または付勢力を軸受要素に加えるために、固定要素は、ばね鋼のシートからなるとともに、打抜部品または曲げ部品として形成されていることが有利である。ばね金属シート(spring metal sheet)として形成されることにより、その構成は湾曲され得て、例えば、形状およびハウジングのシートへの固定要素の案内により、固定要素が軸受装置に軸線方向の付勢力を作用させることができる。
【0014】
知られているように、固定子は、回転子を駆動するために励起される必要がある巻線を有している。巻線の起こり得る接触を目的とした別の好ましい実施形態は、延長部は、固定子内に設置された電気コイル(巻線)と電気的に接続するためのポートを含んでいる、ということを提供する。さらに、このような実施形態は、実際の固定子または巻線から離れた領域の延長部により、コイルまたは巻線の電気的接触の位置を定めることを可能にする。
【0015】
好ましい用途において、本発明による電気モータは、少なくとも間接的に風防ガラスワイパーを駆動するワイパーモータの一部である。
【0016】
さらに、本発明は、本発明による電気モータを取り付けるための方法を含んでいる。取り付けは、まず、モータハウジング内に、固定子と回転子とを取り付ける工程を少なくとも含んでいる。次に、モータハウジングとギアハウジングとを軸線方向に結合する工程であって、回転子の一部分と固定子の位置決め部分とが、ギアハウジング内に突出する、工程を含んでいる。最後に、固定要素を取り付ける工程であって、回転子と位置決め部分とが、モータハウジングおよびギアハウジングに対して軸線方向に位置付けられる、工程を含んでいる。
【0017】
本発明の更なる利点、特徴および詳細は、以下の好ましい例示的な実施形態の説明および図面によって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明によるブラシレス電気モータの主要な構成要素を示す部分断面分解図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す電気モータであって、取り付けられた電気モータを示す部分断面図である。
【
図3】
図3は、固定要素の領域における
図2の詳細を示す平面図である。
【
図5】
図5は、
図1および2の電気モータを示す斜視図であり、固定要素のための組立処理を説明するための斜視図である。
【
図6】
図6は、電気モータの固定要素の領域を示す部分断面図である。
【
図7】
図7は、主要な構成要素を含む固定要素の領域における電気モータを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図面において、同一の要素または同一の機能を含む要素には、同一の参照符号が与えられている。
【0020】
図は、図示しない車両の少なくとも1つの風防ガラスワイパーの少なくとも間接的な移動または駆動のためのワイパーモータ100として役立つブラシレス電気モータ10を示している。電気モータ10は、特にプラスチック製であって通常は複数部品であるギアハウジング14と、特にカップ形状であり、ギアハウジング14にフランジで固定され得るとともに図では断面図で示されるモータハウジング16とからなるハウジング12を含んでいる。ギアハウジング14とモータハウジング16との間の連結は、例えば締結ねじなどの締結要素(図示せず)によって、またはロック連結によって、ギアハウジング14の側面、およびモータハウジング16のフランジのような部分の領域における側面である、2つの対向する側面17、18の周辺で生じる。
【0021】
ギアハウジング14の内側には、ギアホイール21を含む、例示的な実施形態では単段のギアであるギア20が配置されている。ギアハウジング14の1つの軸に回転可能に取り付けられたギアホイール21は、例えば風防ガラスワイパーまたはワイパーロッドと直接相互作用する、被駆動シャフトの形態である被駆動要素22(
図7)に影響を与える。ギアホイール21は、外周にはすば歯車装置の形態であるギア装置23を有し、ギア装置23は、回転子25のシャフト24の一部に形成されたウォームギア26と噛み合うようになっている。
【0022】
回転子25は、例えば2つの軸受装置28、30によってハウジング12の内側に回転可能に取り付けられており、2つの軸受装置28、30は、回転子25の回転軸線31の方向において、回転子25のシャフト24上の固定位置に配置されている。また、従来技術でも知られているように、回転子25は、固定子40と相互作用するための第1磁気要素32(
図5)を外周に有するとともに、回転子25の回転角度位置を検出するためのホールセンサの一部としての第2磁気要素34を有する。磁気要素32、34は、回転子25の回転軸線31に関して、互いに軸線方向に間隔をあけて配置されるか、または互いに隣接する(
図5)。
【0023】
回転子25は、回転軸線31と同軸に、ハウジング12内の適所に固定された固定子40によって囲まれている。固定子40は、射出成形処理によりプラスチックで作られた支持要素42を有している。支持要素42は、支持要素42の長手方向軸線43の周りに、円周方向にコイルを形成するように、幾つかの巻線44を受け入れる。支持要素42の長手方向軸線43は、回転軸線31と位置合わせされている。また、支持要素42は、強磁性材料で作られたバックヨークリング46によって中央領域において囲まれている。
【0024】
ハウジング12に取り付けられた状態の固定子40では、巻線44は、回転子25の第1磁気要素32と相互作用し、第1磁気要素32は、長手方向軸線43の方向において、巻線44の軸線方向の延長部に対して特に中央に配置されている。また、支持要素42は、巻線44の領域を越えるように、ギアハウジング14に向かう方向のうち軸線方向に突出する延長部48を含み、延長部48は、支持要素42上に一体成形される。延長部48は、支持要素42の長手方向軸線43に実質的に平行に延び、長手方向軸線43に面する側に、長手方向軸線43に垂直に配置された溝52を含む位置決め部分50を有している(
図4)。さらに、
図3および
図4から最もよく分かるように、延長部48の領域には、例えば、巻線44に電気的に接続される、ばね金属シートから作られた接触要素53~55の形態の3つの電気コネクタが配置されている。接触要素53~55によって、例えば接触要素53~55と相互作用するプラグの形態の図示しない嵌合要素により、巻線44の励磁または接触が生じ得る。例えば、この場合、嵌合接触子を支持し、ギアハウジング14に連結されたときに自動的に作動して接触要素53~55に連結する、ギアハウジング14の追加のカバー要素によって、接触要素53~55の接触が生じる、といったことが提供され得る。
【0025】
図2から最もよく分かるように、延長部48は、ギアハウジング14内に軸線方向に突出している。このため、ギアハウジング14は、凹部58(
図6および
図7)を有し、凹部58は、軸線方向の結合が作り出されたときに、固定子40または固定子40を含むモータハウジング16とギアハウジング14との間に隙間を含むように、延長部48を取り囲む。固定子40とギアハウジング14とが結合された
図2に示す状態では、延長部48は、ギアハウジング14の追加の凹部60の領域において、溝52および接触要素53~55の領域に配置されている。
【0026】
位置決め部分50または溝52は、ばねシートメタル(spring sheet metal)で作られた固定要素62と相互作用する。
図1とともに
図6を参照することにより特に認識できるように、固定要素62は、シャフト24を受け入れるためのU字形の切り欠き64を有している。固定要素62は、一方の側面65によって、側面65に面する一方の軸受装置28の端面と相互作用するとともに、他方の側面66によって、壁部68と相互作用し、ギアハウジング14の他の凹部60の領域に形成された軸線方向の端部ストッパを形成する(
図3および
図5)。打抜部品または曲げ部品として形成された固定要素62は、好ましくは幾分湾曲され、または曲げられるので、固定要素62が回転子25の回転軸線31に対して垂直に延びる取付方向70(
図6)の方向および軸線方向に案内されると、固定要素62の2つの側面65、66は、軸受装置28に対して、このため回転子25に対して、回転軸線31の方向に軸線方向の力を及ぼし、回転子25をハウジング12に対して軸線方向の公称位置に位置付ける。また、固定要素62は、
図6によって特に見ることができるように、延長部48の方向に停止部74を含む突起72を有する。停止部74は、固定要素62が回転子25に組み立てられると同時に、位置決め部分50の溝52と共に形状嵌合連結部76を作り出すようになっている。
【0027】
図6から分かるように、溝52が延長部48の全範囲に沿って延びておらず、代わりに肩部78を有する場合、停止部74が肩部78に対して配置されるとき、延長部48と他の凹部60の底部領域82との間に、第2端部ストッパ80と共に第1端部ストッパ79が形成され、矢印83、84のように、延長部48、このため固定子40が、回転軸線31の方向へロックされるだけでなく、ハウジング12に対する固定子40の固定された回転角度配置がロックされる。
【0028】
電気モータ10の組み立てのために、固定子40および回転子25は、モータハウジング16に取り付けられ、固定子40は少なくともその延長部48がモータハウジング16から突出し、回転子25は一部分がモータハウジング16から突出する。この後、モータハウジング16およびギアハウジング14の軸線方向の結合が行われ、モータハウジング16から突出している固定子40および回転子25の構成要素がギアハウジング14の領域内に入る。ギアハウジング14とモータハウジング16との間の軸線方向の結合が完了したとき(任意に、モータハウジング16のギアハウジング14への固定の後)、固定要素62は、取付方向70の方向において、更なる凹部60の領域内に案内され、同時に、回転子25および固定子40の両方が、長手方向、すなわち、回転軸線31またはハウジング12に対する長手方向軸線43の方向に位置付けられる。この後、電気モータ10またはワイパーモータ100を仕上げるために、または完成させるために、更なる組立工程が行われる。
【0029】
このように記載された電気モータ10は、本発明の概念から逸脱することなく、多くの方法で変更または修正されてもよい。
【符号の説明】
【0030】
10 電気モータ
12 ハウジング
14 ギアハウジング
16 モータハウジング
17 側面
18 側面
20 ギア
21 ギアホイール
22 被駆動要素
23 ギア装置
24 シャフト
25 回転子
26 ウォームギア
28 軸受装置
30 軸受装置
31 回転軸線
32 第1磁気要素
34 第2磁気要素
40 固定子
42 支持要素
43 長手方向軸線
44 巻線
46 バックヨークリング
48 延長部
50 位置決め部分
52 溝
53 接触要素
54 接触要素
55 接触要素
58 凹部
60 凹部
62 固定要素
64 切り欠き
65 側面
66 側面
68 壁部
70 取付方向
72 突起
74 停止部
76 形状嵌合連結部
78 肩部
79 第1端部ストッパ
80 第2端部ストッパ
82 底部領域
83 矢印
84 矢印
100 ワイパーモータ