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特許7258019ポリエチレングリコール誘導体及びこの製造方法
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  • 特許-ポリエチレングリコール誘導体及びこの製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-06
(45)【発行日】2023-04-14
(54)【発明の名称】ポリエチレングリコール誘導体及びこの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 65/333 20060101AFI20230407BHJP
【FI】
C08G65/333
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020524291
(86)(22)【出願日】2018-11-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-21
(86)【国際出願番号】 KR2018013381
(87)【国際公開番号】W WO2019088800
(87)【国際公開日】2019-05-09
【審査請求日】2021-10-11
(31)【優先権主張番号】10-2017-0146940
(32)【優先日】2017-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517095722
【氏名又は名称】ハンミ・ファイン・ケミカル・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HANMI FINE CHEMICAL CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・ギュ・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ボ・スン・クォン
(72)【発明者】
【氏名】スン・ファン・クワク
(72)【発明者】
【氏名】ウン・ラン・パク
(72)【発明者】
【氏名】キョン・ド・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン・シク・ユン
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン・ウ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・ポム・チョ
【審査官】内田 靖恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-084632(JP,A)
【文献】国際公開第2017/155288(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 65/333
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)塩基下で下記化学式1の化合物から下記化学式2の化合物を製造する段階;
(2)塩基下で前記化学式2の化合物を下記化学式2‐1の化合物と反応させて下記化学式3の化合物を製造する段階;
(3)塩基下で前記化学式3の化合物から下記化学式4の化合物を製造する段階;
(4)塩基下で前記化学式4の化合物を下記化学式5の化合物と反応させて下記化学式6の化合物を製造する段階;及び
(5)前記化学式6の化合物を脱ベンジル化して下記化学式7の化合物を製造する段階を含む下記化学式7の化合物を製造する方法:
【化1】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
ここで、Tsはトルエンスルホニルで、Msはメタンスルホニルで、Bnはベンジルで、R及びRはそれぞれ独立的に線形または枝型のC‐Cアルキル基で、nは3ないし2000の整数である。
【請求項2】
前記段階(5)の前記化学式7の化合物を製造する段階は、金属触媒の存在下で行われる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記段階(5)は、下記化学式Aで表される化合物の存在下で行われる請求項1に記載の方法:
【化9】
ここで、R、R、及びRはそれぞれ独立的にHまたは線形または枝型のCないしCのアルキル基で、R、R、及びRの中で少なくとも一つはHで、nは3ないし2000の整数である。
【請求項4】
前記段階(5)は水素(H)の存在下で行われる請求項2または請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記R及びRはそれぞれ独立的にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル及びブチルからなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記nは50ないし500の整数である請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記nは100ないし500の整数である請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記nは150ないし250の整数である請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記塩基は、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムt‐ブトキシド、ナトリウムt‐ペントキシド、カリウムt‐ブトキシド、カリウムt‐ペントキシド、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン及びこれらの混合物からなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記段階(2)の化学式2‐1の化合物は、ジメトキシ‐1‐プロパノール、ジエトキシ‐1‐プロパノール、ジプロポキシ‐1‐プロパノール、ジブトキシ‐1‐プロパノール、及びジイソプロポキシ‐1‐プロパノールからなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記段階(5)の金属触媒は、酸化白金、水酸化パラジウム、パラジウム‐炭素及びこれらの混合物からなる群から選択された請求項2に記載の方法。
【請求項12】
前記段階(5)の化学式Aで表される化合物は、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、イソプロピルアミン、ジメチルアミンまたはジエチルアミンである請求項3に記載の方法。
【請求項13】
前記段階(5)は、ギ酸アンモニウムの存在下で行われる請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項14】
下記化学式10の化合物:
【化10】
ここで、Etはエチルで、Bnはベンジルで、nは3ないし2000の整数である。
【請求項15】
前記nは50ないし500の整数である請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
前記nは100ないし500の整数である請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
前記nは150ないし250の整数である請求項1に記載の化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエチレングリコール誘導体及びこの製造方法に関する。より具体的に、本発明は両末端に作用基を置換したポリエチレングリコール誘導体及びこれの効率的な製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレングリコール(polyethylene glycol、PEG)は親水性が強く、水分子と効果的に水素結合する高分子の一つである。PEGは水以外の様々な有機溶媒への溶解度に優れ、毒性がほとんどなく、医薬品の開発に多様に応用されることができる。例えば、PEGはタンパク質、酵素など様々な生理活性物質と結合して薬物の毒性を減少させ、難溶性薬物の溶解度を増加させるし、活性及び血中半減期などを調節して所望の特性を有するPEG‐薬物複合体で製造されることができる。
【0003】
タンパク質医薬品の場合、人体に投与する時に血中半減期が短くて薬効を維持するために投入頻度が高くなり、その結果投薬適応度が落ちる問題点がある。これを解決するためにポリエチレングリコールをタンパク質薬物と結合させるペグ化(pegylation)を通じてタンパク質薬物の血中半減期を増加させるための努力が続いている。このようなペグ化によってタンパク質薬物の血中半減期が増加するだけでなく、タンパク質薬物の抗原性が減少することもあって、タンパク質薬物のペグ化はタンパク質治療剤に広く使われている。
【0004】
PEGとタンパク質薬物を組み合わせるために、PEG鎖の末端のヒドロキシ基(OH group)に様々な官能基が導入されたPEG誘導体が使用される。このようなPEG誘導体として、PEG‐アルデヒド、PEG‐アセトアルデヒド、PEG‐プロピオンアルデヒドなどを挙げることができるが、この誘導体の末端に存在するアルデヒド基がタンパク質のアミノ末端に選択的に反応することができる。また、PEGとタンパク質薬物及び免疫グロブリンFcと組み合わせるためにPEG誘導体末端はマレイミド(maleimide)基、スクシンイミド(succinimide)誘導体(スクシンイミジルプロピオネイト、ヒドロキシスクシンイミジル、スクシンイミジルカルボキシメチルまたはスクシンイミジルカーボネート)などを有することができる。
【0005】
このような生理活性ポリペプチド結合体を製造するにあたり、リンカーとして使用されるポリエチレングリコール誘導体のより効率的な製造方法が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、新規なポリエチレングリコール誘導体の製造方法を提供することである。
本発明の別の目的は、前記新規なポリエチレン誘導体の製造方法に使用される中間体及びこれらの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は、
(1)塩基下で下記化学式1の化合物から下記化学式2の化合物を製造する段階;
(2)塩基下で前記化学式2の化合物を下記化学式2‐1の化合物と反応させて下記化学式3の化合物を製造する段階;
(3)塩基下で前記化学式3の化合物から下記化学式4の化合物を製造する段階;
(4)塩基下で前記化学式4の化合物を下記化学式5の化合物と反応させて下記化学式6の化合物を製造する段階;及び
(5)前記化学式6の化合物を脱ベンジル化して下記化学式7の化合物を製造する段階を含む下記化学式7の化合物を製造する方法を提供する。
【0008】
【化1】
【0009】
【化2】
【0010】
【化3】
【0011】
【化4】
【0012】
【化5】
【0013】
【化6】
【0014】
【化7】
【0015】
【化8】
【0016】
ここで、Tsはトルエンスルホニルで、Msはメタンスルホニルで、Bnはベンジルで、R及びRはそれぞれ独立的に線形(linear)または枝型(branched)のC~Cアルキル基で、nは3ないし2000の整数である。
また、本発明は、前記ポリエチレン誘導体の製造方法に使用される中間体である下記化学式2の化合物を提供する。
【0017】
【化9】
【0018】
ここで、Tsはトルエンスルホニルで、nは3ないし2000の整数である。
また、本発明は、前記ポリエチレン誘導体の製造方法に使用される中間体である下記化学式8の化合物を提供する。
【0019】
【化10】
【0020】
ここで、Etはエチルで、nは3ないし2000の整数である。
また、本発明は、前記ポリエチレン誘導体の製造方法に使用される中間体である下記化学式9の化合物を提供する。
【0021】
【化11】
【0022】
ここで、Etはエチルで、Msはメタンスルホニルで、nは3ないし2000の整数である。
また、本発明は、前記ポリエチレン誘導体の製造方法に使用される中間体である下記化学式10の化合物を提供する。
【0023】
【化12】
【0024】
ここで、Etはエチルで、Bnはベンジルで、nは3ないし2000の整数である。
また、本発明は、前記ポリエチレン誘導体の製造方法に使用される中間体である前記化学式7の化合物を提供する。
【発明の効果】
【0025】
本発明によるポリエチレングリコール誘導体の製造工程は、医薬品リンカーで多様に活用できる新規なポリエチレングリコール誘導体を提供することができ、大量生産に適して効率的であり、高品質の製品を再現性よく大量生産することができる長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】実施例5‐1のNMR分析結果である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明のポリエチレングリコール誘導体の製造方法は、
(1)塩基下で下記化学式1の化合物から下記化学式2の化合物を製造する段階;
(2)塩基下で前記化学式2の化合物を下記化学式2‐1の化合物と反応させて下記化学式3の化合物を製造する段階;
(3)塩基下で前記化学式3の化合物から下記化学式4の化合物を製造する段階;
(4)塩基下で前記化学式4の化合物を下記化学式5の化合物と反応させて下記化学式6の化合物を製造する段階;及び
(5)前記化学式6の化合物を脱ベンジル化して下記化学式7の化合物を製造する段階を含む。
【0028】
【化13】
【0029】
【化14】
【0030】
【化15】
【0031】
【化16】
【0032】
【化17】
【0033】
【化18】
【0034】
【化19】
【0035】
【化20】
【0036】
ここで、Tsはトルエンスルホニルで、Msはメタンスルホニルで、Bnはベンジルで、R及びRはそれぞれ独立的に線形または枝型のC~Cアルキル基で、nは3ないし2000の整数である。
【0037】
本発明によるポリエチレングリコール誘導体の製造方法は、医薬品リンカーで多様に活用できる新規なポリエチレングリコール誘導体を提供することができ、大量生産に適して効率的であり、高純度および高収率で高品質の製品を再現性よく大量生産することができる長所がある。
【0038】
本発明の一具体例によると、前記nは最終的に製造しようとするポリエチレングリコール誘導体の分子量と直接係わるもので、3ないし2000の整数であってもよい。また、前記製造方法でnは、具体的に7ないし1000または10ないし1000であってもよく、より具体的に50ないし500、さらに具体的に100ないし500、さらに具体的に150ないし250であってもよく、例えば、225±25の整数であるが、これらに制限されることではない。
【0039】
本発明の一具体例によると、R及びRは相互同一であるか、または相違してもよく、具体的には同一であってもよい。前記R及びRはそれぞれ独立的に線形または枝型のC~Cアルキル基であり、具体的にはそれぞれ独立的に、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、またはノニルで、より具体的には線形または枝型のC~Cアルキル基であってもよく、さらに具体的には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルまたはブチルであってもよく、例えばR及びRはエチルであってもよい。
【0040】
本発明の一具体例によると、前記塩基は線形または枝型のCないしCのアルコキシド化合物、または線形または枝型のCないしCのアミン化合物であってもよく、具体的には、前記塩基はナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムt‐ブトキシド、ナトリウムt‐ペントキシド(t‐PeONa)、カリウムt‐ブトキシド(t‐BuOK)、カリウムt‐ペントキシド、トリメチルアミン、トリエチルアミン(TEA)、トリブチルアミン及びこれらの混合物からなる群から選択されることができる。
【0041】
本発明の製造方法を段階ごとにより具体的に説明すれば次のとおりである。
前記段階(1)は、前記化学式1の化合物をトルエンスルホン酸化して化学式2の化合物を製造する段階であってもよい。
【0042】
具体的に、前記段階(1)は、前記化学式1の化合物をトルエンスルホニルハライド化合物と反応させて化学式2の化合物を製造する段階であってもよい。
【0043】
前記トルエンスルホニルハライドは、トルエンスルホニルクロリド、トルエンスルホニルブロミド、トルエンスルホニルヨージドであってもよく、具体的には、p‐トルエンスルホニルクロリド、p‐トルエンスルホニルブロミド、p‐トルエンスルホニルヨージドであってもよい。
【0044】
本発明の一つの具体的な実施形態において、前記段階(1)は、下記反応式1で示したように、下記化学式1の化合物(ポリエチレングリコール)を塩基下でp‐トルエンスルホニルクロリド(TsCl)と反応させて下記化学式2の化合物を製造する段階であってもよい。
【0045】
【化21】
【0046】
前記段階(1)は、nが大きい場合も適用することができ、二トシル化ポリエチレングリコール(ditosylated PEG)と未反応PEGのような不純物または柔軟物質などの生成を抑制することができ、水を利用した反応後処理(work‐up)工程で容易に前記不純物または柔軟物質を順次精製し、化学式2のモノトシル化ポリエチレングリコールを純度90%以上の高い収率で得ることができる。
ここで、Ts、nは前述したとおりである。
【0047】
前記段階(1)において、前記塩基は線形または枝型のCないしCのアルコキシド化合物、または線形または枝型のCないしCのアミン化合物であってもよく、具体的には、前記塩基はナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムt‐ブトキシド、ナトリウムt‐ペントキシド(t‐PeONa)、カリウムt‐ブトキシド(t‐BuOK)、カリウムt‐ペントキシド、トリメチルアミン、トリエチルアミン(TEA)、トリブチルアミンまたはこれらの混合物であってもよく、より具体的にはトリエチルアミン(TEA)であってもよい。
【0048】
前記段階(1)において、溶媒はジクロロメタン(DCM)、トルエンであってもよいが、これに制限されない。
前記段階(1)の反応は常温で行われることができる。
前記段階(2)では、下記反応式2で表すように、塩基下で段階(1)で製造された化学式2の化合物を化学式2‐1の化合物と反応させて下記化学式3の化合物を製造する。
【0049】
【化22】
【0050】
ここで、Ts、n、R及びRは前述したとおりである。
【0051】
本発明の一つの具体的な実施形態で段階(2)の化学式2‐1の化合物は、ジ‐(C‐C)アルコキシプロパノールであって、例えば、前記アルコキシ基は線形または枝型のCないしCのアルコキシであってもよく、より具体的にはジメトキシ‐1‐プロパノール、ジエトキシ‐1‐プロパノール(DEP‐OH)、ジプロポキシ‐1‐プロパノール、ジブトキシ‐1‐プロパノール、ジイソプロポキシ‐1‐プロパノールまたはこれらの混合物であってもよく、具体的にはジエトキシ‐1‐プロパノールであってもよい。
【0052】
前記段階(2)において、前記塩基は線形または枝型のCないしCのアルコキシド化合物、または線形または枝型のCないしCのアミン化合物であってもよく、具体的には、前記塩基はナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムt‐ブトキシド、ナトリウムt‐ペントキシド(t‐PeONa)、カリウムt‐ブトキシド(t‐BuOK)、カリウムt‐ペントキシド、トリメチルアミン、トリエチルアミン(TEA)、トリブチルアミンまたはこれらの混合物であってもよく、より具体的にはカリウムt‐ブトキシド(t‐BuOK)であってもよい。
【0053】
前記段階(2)において、溶媒はトルエンであってもよいが、これに制限されない。
前記段階(2)の反応は20~50℃で行われることができる。
前記段階(3)は、塩基下で前記化学式3の化合物をメタンスルホン化して化学式4の化合物を製造する段階である。
【0054】
具体的に、前記段階(3)は前記化学式3の化合物をメタンスルホニルハライド化合物と反応させて化学式4の化合物を製造する段階であってもよい。
【0055】
前記メタンスルホニルハライドは、メタンスルホニルクロリド、メタンスルホニルブロミド、メタンスルホニルヨージドであってもよい。
【0056】
前記段階(3)は、下記反応式3で表すように、塩基下で段階(2)で製造された化学式3の化合物をメタンスルホニルクロリドと反応させて下記化学式4の化合物を製造する段階である。
【0057】
【化23】
【0058】
ここで、Ms、n、R及びRは前述したとおりである。
【0059】
前記段階(3)で、前記塩基は線形または枝型のCないしCのアルコキシド化合物、または線形または枝型のCないしCのアミン化合物であってもよく、具体的には、前記塩基はナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムt‐ブトキシド、ナトリウムt‐ペントキシド(t‐PeONa)、カリウムt‐ブトキシド(t‐BuOK)、カリウムt‐ペントキシド、トリメチルアミン、トリエチルアミン(TEA)、トリブチルアミンまたはこれらの混合物であってもよく、より具体的にはトリエチルアミン(TEA)であってもよい。
【0060】
前記段階(3)において、溶媒は例えばジクロロメタン(DCM)であってもよいが、これに制限されない。
具体的な実施形態において、前記段階(3)の反応は、例えば0~25℃で行われることができる。
【0061】
前記段階(4)では、下記反応式4で表すように、塩基下で段階(3)で製造された化学式4の化合物を下記化学式5の化合物(ジベンジルアミノプロパノール)と反応させて下記化学式6の化合物を製造する段階であってもよい。
【0062】
【化24】
【0063】
ここで、Ms、Bn、n、R及びRは前述したとおりである。
【0064】
前記段階(4)において、前記塩基は線形または枝型のCないしCのアルコキシド化合物、または線形または枝型のCないしCのアミン化合物であってもよく、具体的には、前記塩基はナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムt‐ブトキシド、ナトリウムt‐ペントキシド(t‐PeONa)、カリウムt‐ブトキシド(t‐BuOK)、カリウムt‐ペントキシド、トリメチルアミン、トリエチルアミン(TEA)、トリブチルアミンまたはこれらの混合物であってもよく、より具体的にはカリウムt‐ブトキシド(t‐BuOK)、カリウムt‐ペントキシドであってもよい。
【0065】
前記段階(4)において、溶媒はトルエンであってもよいが、これに制限されない。
前記段階(4)の反応は、20~50℃で行われることができる。
前記段階(5)は下記反応式5で表すように、化学式6の化合物の脱ベンジル化反応(debenzylation)を進める段階である。

【0066】
【化25】
【0067】
ここで、Bn、n、R及びRは前述したとおりである。本発明において、前記脱ベンジル化反応は、ベンジル基を水素に置換する反応を言う。
【0068】
前記反応式(5)で表される段階(5)を通じて化学式(6)の化合物から化学式(7)の化合物を製造する場合、高純度、 高収率で化学式7の化合物をおだやかな条件で生成することができ、不純物の生成を最小化することができる。また、化学式6で表される化合物を使用することで精製し易く、レジン精製のような複雑な精製工程が不要であり、化学式(7)の純度を顕著に向上させることができるため、容易に化学式(7)の化合物を大量生産することができる。
【0069】
本発明の一具現例によると、前記段階(5)では、反応温度は10~50℃であってもよく、通常は室温でも高い収率及び純度で化学式(7)の化合物が製造されることができる。
【0070】
本発明の一具現例によると、前記段階(5)の前記化学式7の化合物を製造する段階は、金属触媒の存在下で行われることができる。これには脱ベンジル化反応に用いられる金属触媒を使用することができるが、例えば前記金属触媒で酸化白金、水酸化パラジウム、パラジウム‐炭素を使用してもよく、より具体的に例えば、パラジウム‐炭素(Pd/C)であってもよい。
【0071】
前記金属触媒は、化学式6の化合物1当量に対して0.001ないし50当量が使用されることが可能であるが、通常0.05ないし20当量、好ましくは0.1ないし5当量が使用される。
【0072】
本発明の一具体例によると、前記段階(5)は下記化学式Aで表される化合物の存在下で行われることができる。
【0073】
【化26】
【0074】
ここで、R、R、及びRはそれぞれ独立的にHまたは線形または枝型のCないしCのアルキル基であり、R、R、及びRの中で少なくとも一つはHである。
【0075】
前記化学式Aで表される化合物は、アンモニア、1次アミンまたは2次アミンであってもよく、例えば、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、イソプロピルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミンなどであってもよく、具体的にはアンモニア、メチルアミン、ジメチルアミンであってもよいが、これに制限されない。
【0076】
前記化学式Aの化合物は、化合物Aを含む水溶液の形態で添加されてもよく、具体的には、前記化学式Aの化合物の濃度が20%(v/v)ないし60%(v/v)、具体的には20%(v/v)ないし55%(v/v)である水溶液の形態で添加されてもよい。
【0077】
本発明の一具体例によると、前記段階(5)は水素(H)の存在下で行われることができる。
【0078】
本発明の前記段階(5)が水素(H)の存在下で進められる場合、水素圧は1~30気圧で実施可能であるが、通常は常圧でも高い収率及び純度で化学式7の化合物が製造されることができる。
【0079】
本発明の一具体例において、前記段階(5)は下記反応式5で表すように、段階(4)で製造された化学式6の化合物を金属触媒及び前記化学式Aで表される化合物の存在下で水素と反応させて下記化学式7の化合物を製造する段階であってもよい。
【0080】
【化27】
【0081】
ここで、n、R、R、R、R、及びRは前述したとおりである。
本明細書において、前記化学式Aで表される化合物は、アンモニア、1級アミンまたは2級アミンであってもよく、例えば、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、イソプロピルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミンなどであってもよく、具体的には、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミンであってもよいが、これに制限されない。
【0082】
前記化学式Aで表される化合物を添加することで化学式6の化合物から脱ベンジル化を通じて化学式7の化合物を高い収率でおだやかな反応環境下で大量合成することができる。
【0083】
前記化学式Aの化合物は、化合物Aを含む水溶液の形態で添加されてもよく、具体的には前記化学式Aの化合物の濃度が20%(v/v)ないし60%(v/v)、具体的には20%(v/v)ないし55%(v/v)である水溶液の形態で添加されてもよい。
【0084】
本発明の製法の一つの具体的な実施形態において、脱ベンジル化段階を化学式Aのアミン化合物の存在下で水素添加反応で進める場合、高純度、高収率で化学式7の化合物をおだやかな条件で生成することができ、不純物の生成を最小化することができる。また、化学式6で表される化合物を使用することで精製が容易であってレジン精製のような複雑な精製工程が不要であり、化学式7の純度を顕著に向上させることができて容易に化学式(7)の化合物を大量生産することができる。
【0085】
本発明の他の具体的な実施例において、前記段階(5)は前記化学式6の化合物をギ酸アンモニウムと反応させて前記化学式7の化合物を製造する段階であってもよい。
前記段階(5)において、反応溶媒は線形または枝型のCないしCのアルコール、水またはこれらの混合物であってもよい。
前記段階(5)では、反応時間は反応条件によって適当に選択されるが、通常、1時間ないし48時間行われることができる。
【0086】
本発明は、前記ポリエチレン誘導体の製造方法に使用される中間体である下記化学式2の化合物を提供する。
【0087】
【化28】
【0088】
ここで、Tsはトルエンスルホニルで、
nは最終的に製造しようとするポリエチレングリコール誘導体の分子量と直接係わるもので、3ないし2000の整数であってもよく、7ないし1000または10ないし1000であってもよく、具体的には50ないし500、より具体的には100ないし500、さらに具体的には150ないし250、または225±25の整数であるが、これらに制限されることではない。
【0089】
本発明の具体例によると、前記化学式2の化合物でnは150ないし250の整数であってもよい。
【0090】
本発明は、前記ポリエチレン誘導体の製造方法に使用される中間体である下記化学式8の化合物を提供する。
【0091】
【化29】
【0092】
ここで、Etはエチルで、nは最終的に製造しようとするポリエチレングリコール誘導体の分子量と直接係わるもので、3ないし2000の整数であってもよく、7ないし1000または10ないし1000であってもよく、具体的には50ないし500、より具体的には100ないし500、さらに具体的には150ないし250、または225±25の整数であるが、これらに制限されることではない。
【0093】
本発明の具体例によると、前記化学式3の化合物でnは150ないし250であってもよい。
【0094】
本発明は、前記ポリエチレン誘導体の製造方法に使用される中間体である下記化学式9の化合物を提供する。
【0095】
【化30】
【0096】
ここで、Etはエチルで、Msはメタンスルホニルで、nは最終的に製造しようとするポリエチレングリコール誘導体の分子量と直接係わるもので、3ないし2000の整数であってもよく、7ないし1000または10ないし1000であってもよく、具体的には50ないし500、より具体的には100ないし500、さらに具体的には150ないし250、または225±25の整数であるが、これらに制限されることではない。
【0097】
本発明の具体例によると、前記化学式9の化合物でnは150ないし250であってもよい。
【0098】
また、本発明は前記ポリエチレン誘導体の製造方法に使用される中間体である下記化学式10の化合物を提供する。
【0099】
【化31】
【0100】
ここで、Etはエチルで、Bnはベンジルで、nは最終的に製造しようとするポリエチレングリコール誘導体の分子量と直接係わるもので、3ないし2000の整数であってもよく、7ないし1000または10ないし1000であってもよく、具体的には50ないし500、より具体的には100ないし500、さらに具体的には150ないし250、または225±25の整数であるが、これらに制限されることではない。
【0101】
本発明の具体例によると、前記化学式10の化合物でnは150ないし250であってもよい。
【0102】
本発明の製造方法は、前記化学式2、3、4または6の中間体を使用することで分子量が大きい化学式7の化合物を容易に生産することができ、特におだやかな条件下で化学式7の化合物を高い純度及び収率で製造可能であり、また精製工程が容易で化学式7の化合物を大量生産することができる。
【0103】
本発明の一具体例によると、前記化学式2、化学式3、化学式4、化学式6及び化学式7の化合物で前記R及びRはそれぞれ独立的に、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、またはノニルで、好ましくは(C‐C)アルキル基、さらに具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピルまたはブチルであってもよく、例えばR及びRはエチルであってもよい。
【0104】
以下、本発明を理解しやすくするために好ましい実施例を提示して説明する。ただし、下記実施例は本発明を例示するものに過ぎず、本発明の範疇及び技術思想の範囲内で様々な変形及び修正が可能であることは当業者にとって自明である。
【実施例
【0105】
以下で言及された試薬及び溶媒は、特に言及しない限りSigma‐Aldrich社から購入し、前記生成物の純度はHPLC(1200series、Agilent)を使用して測定し、構造はH‐NMR装置を利用して確認した。
【0106】
下記反応式6によって化合物2ないし7を製造した。
【0107】
【化32】
【0108】
実施例1:化合物(2)の製造
反応容器にPEG(polyethylene glycol)10kDa(1、n=225、製造社:Clariant社)1kgとジクロロメタン4Lを投入した。トリエチルアミン112mlとp‐トルエンスルホニルクロリド153gを投入した後、室温で4時間撹拌した。反応が完結した後、水を投入して5分間撹拌した。層分離後、抽出液を水で数回洗浄した。有機層を分離した後、硫酸マグネシウムで乾燥させてろ過し、残ったろ液を減圧濃縮させた。濃縮液にジクロロメタン0.5Lを添加して溶解させた後、メチルt‐ブチルエーテル8Lを20分間滴加した。生成された結晶をろ過してメチルt‐ブチルエーテルで洗浄した後、室温で窒素乾燥して目的化合物である化合物(2)300g(収率:30%)を得た。
H‐NMR(CDCl,400MHz)δ7.80(d,2H,J=8.8Hz)、7.35(d,2H,J=8.4Hz)、4.17‐4.15(m,2H)、3.86‐3.45(m,900H)、2.98(t,1H,J=6.4Hz)、2.45(s,3H)
【0109】
実施例2:化合物(3)の製造
反応容器にトルエン400mlとジエトキシ‐1‐プロパノール10.2gを投入した。カリウムt‐ブトキシド3.9gを投入した後50℃まで昇温させ、50℃で1時間撹拌して活性化(activation)溶液を製造した。他の反応容器に化合物(2)100gとトルエン400mlを投入した後、40℃に昇温させて化合物(2)を溶解させた。前記混合液を40℃に冷却させた活性化溶液に40℃で20分間滴加した。40℃で3時間撹拌させた後、反応溶液に水を添加して抽出した。層分離後、水溶液層にジクロロメタンを添加した後、5分間撹拌した。有機層を分離した後、硫酸マグネシウムで乾燥させてろ過し、残ったろ液を減圧濃縮させた。濃縮液にジクロロメタン100mlを添加して溶解させた後、メチルt‐ブチルエーテル1.5Lを20分間滴加した。生成された結晶をろ過してメチルt‐ブチルエーテルで洗浄した後、室温で窒素乾燥して目的化合物である化合物(3)60g(収率:60%)を得た。
H‐NMR(CDCl、400MHz)δ4.64(t,1H,J=6.0Hz)、3.88‐3.40(m,900H)、2.70(t,1H,J=6.4Hz)、1.94‐1.88(m,2H)、1.20(t,6H,J=6.8Hz)
【0110】
実施例3:化合物(4)の製造
反応容器に化合物(3)40gとジクロロメタン120mlを投入した。反応温度を10℃以下で維持しながらトリエチルアミン3mlとメタンスルホニルクロリド1.5mlを投入した。室温で3時間撹拌した。反応が完結した後、水とジクロロメタンを投入して5分間撹拌した。有機層を抽出した後、水層にまたジクロロメタンを投入してさらに抽出した。有機層を集めて硫酸マグネシウムで乾燥してろ過し、残ったろ液を減圧濃縮させた。濃縮液にジクロロメタン40mlを添加して溶解させた後、メチルt‐ブチルエーテル600mlを20分間滴加した。生成された結晶をろ過してメチルt‐ブチルエーテルで洗浄した後、室温で窒素乾燥して目的化合物である化合物(4)38g(収率:95%)を得た。
H‐NMR(CDCl、400MHz)δ4.65(t,1H,J=6.0Hz)、4.40‐4.38(m,2H)、3.85‐3.40(m,900H)、3.08(s,3H)、1.93‐1.88(m,2H)、1.20(t,6H,J=7.2Hz)
【0111】
実施例4:化合物(6)の製造
反応容器にトルエン160mlと化合物(5)10gを投入した。カリウムt‐ペントキシド(25wt%のトルエン溶液)11mlを投入した後、50℃まで昇温させて50℃で1時間撹拌した(activation溶液)。他の反応容器に化合物(4)40gとトルエン400mlを投入した後、30℃に昇温させて化合物(4)を溶解させた。30℃に冷却させたactivation溶液を前記混合液に30℃で1時間滴加した。30℃で3時間撹拌させた後、反応溶液に水を添加して抽出した。層分離後、水溶液層にジクロロメタンを投入して5分間撹拌した。有機層を分離した後、硫酸マグネシウムで乾燥させてろ過し、残ったろ液を減圧濃縮させた。濃縮液にジクロロメタン40mlを添加して溶解させた後、メチルt‐ブチルエーテル600mlを20分間滴加した。生成された結晶をろ過してメチルt‐ブチルエーテルで洗浄した後、室温で窒素乾燥して目的化合物である化合物(6)14g(収率:35%)を得た。
H‐NMR(CDCl、400MHz)δ7.35‐7.18(m,10H)、4.63(t,1H,J=5.2Hz)、3.83‐3.40(m,900H)、2.47(t,2H,J=6.8Hz)、1.92‐1.88(m,2H)、1.81‐1.75(m,2H)、1.19(t,6H,J=7.2Hz)
【0112】
実施例5:化合物(7)の製造
実施例5‐1:アンモニアを利用した脱ベンジル化
反応容器に化合物(6)(DEP‐PEG‐N(Bn)(MW=約10000)n=225)1gとエタノール20mL、28%(v/v)アンモニア水溶液2mLを投入した。溶解後Pd/C0.1gを添加した後、水素ガス下、室温で18時間撹拌した。反応液にジクロロメタン20mLを滴加して5分撹拌した後、ろ過してPd/Cを取り除いた。ろ液を減圧蒸溜した後、濃縮液にジクロロメタン1mLを添加して溶解させた後、メチルt‐ブチルエーテル(tert‐Butyl methyl ether)15mLを20分間滴加した。生成された結晶をろ過してメチルt‐ブチルエーテルで洗浄した後、窒素乾燥して目的化合物である化合物(7)(DEP‐PEG‐NH(MW=10000))0.89g(収率:89%)を得て、これをNMRで確認した。
H NMR(CDCl、400MHz)δ4.64(t,1H)、3.85‐3.43(m,912H)、2.82(t,2H)、1.89(m,2H)、1.75(m,2H)、1.20(t,6H)。
【0113】
実施例5‐2:メチルアミンを利用した脱ベンジル化
反応容器に化合物(6)(DEP‐PEG‐N(Bn)(MW=約10000))1gとエタノール20mL、40%(v/v)メチルアミン水溶液2mLを投入した。溶解した後、Pd/C0.1gを添加した後で、水素ガス下、室温で18時間撹拌した。反応液にジクロロメタン20mLを滴加して5分撹拌した後、ろ過してPd/Cを取り除いた。ろ液を減圧蒸溜した後、濃縮液にジクロロメタン1mLを添加して溶解させた後、メチルt‐ブチルエーテル15mLを20分間滴加した。生成された結晶をろ過してメチルt‐ブチルエーテルで洗浄した後、窒素乾燥して目的化合物である化合物(7)(DEP‐PEG‐NH(MW=10000))0.87g(収率:87%)得てNMRで確認した。
H NMR(CDCl、400MHz)δ4.62(t,1H)、3.42‐3.78(m,912H)、2.91(t,2H)、1.89(m,2H)、1.78(m,2H)、1.18(t,6H)。
【0114】
実施例5‐3:ジメチルアミンを利用した脱ベンジル化
メチルアミン水溶液の代わりに50%(v/v)ジメチルアミン水溶液を使用したことを除いて、実施例5‐2と同様の方法で目的化合物である化合物(7)(DEP‐PEG‐NH(MW=10000))0.87g(収率:87%)得てNMRで確認した。
H NMR(CDCl、400MHz)δ4.63(t,1H)、3.42‐3.78(m,912H)、3.17(t,2H)、2.04(m,2H)、1.87(m,2H)、1.19(t,6H)。
【0115】
比較例1:アミン化合物を投入せずに脱ベンジル化反応
反応容器に化合物(6)(DEP‐PEG‐N(Bn)(MW=約10000))1gとエタノール20mL、水2mLを投入した。溶解した後、Pd/C0.1gを添加した後、水素ガス下、室温で18時間撹拌した。反応液にジクロロメタン20mLを滴加して5分撹拌した後、ろ過してPd/Cを取り除いた。ろ液を減圧蒸溜した後、濃縮液にジクロロメタン1mLを添加して溶解させ、メチルt‐ブチルエーテル15mLを20分間滴加した。生成された結晶をろ過してメチルt‐ブチルエーテルで洗浄した後、窒素乾燥して未知の生成物0.9gを得てNMRで分析した結果、目的化合物である化合物(6)DEP‐PEG‐NHではないと確認された。
【0116】
比較例2:トリメチルアミンを利用した脱ベンジル化
反応容器に化合物(6)(DEP‐PEG‐N(Bn)(MW=約10000))1gとエタノール20mL、30%(v/v)トリエチルアミン水溶液2mLを投入した。溶解した後、Pd/C0.1gを添加した後、水素ガス下、室温で18時間撹拌した。反応液にジクロロメタン20mLを滴加して5分撹拌した後、ろ過してPd/Cを取り除いた。ろ液を減圧蒸溜した後、濃縮液にジクロロメタン1mLを添加して溶解させ、メチルt‐ブチルエーテル15mLを20分間滴加した。生成された結晶をろ過してメチルt‐ブチルエーテルで洗浄した後、窒素乾燥して未知の生成物0.88gを得てNMRで分析した結果、目的化合物である化合物(6)DEP‐PEG‐NHではないと確認された。
【0117】
【表1】

図1