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7258023乾式壁構造用の構成要素を配置するための異形材および構造要素セット、およびそれにより形成された乾式壁
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  • -乾式壁構造用の構成要素を配置するための異形材および構造要素セット、およびそれにより形成された乾式壁 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-06
(45)【発行日】2023-04-14
(54)【発明の名称】乾式壁構造用の構成要素を配置するための異形材および構造要素セット、およびそれにより形成された乾式壁
(51)【国際特許分類】
   E04C 3/07 20060101AFI20230407BHJP
   E04B 2/78 20060101ALI20230407BHJP
【FI】
E04C3/07
E04B2/78
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020526226
(86)(22)【出願日】2018-10-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-28
(86)【国際出願番号】 EP2018000488
(87)【国際公開番号】W WO2019091593
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2021-08-18
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2017/001315
(32)【優先日】2017-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】510094539
【氏名又は名称】クナウフ ギプス カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】ヘルフルト,ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】スチュビッツ,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ラッハヴィッツ,シルヴィア
(72)【発明者】
【氏名】フィーバーン,ミヒャエル
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0126104(US,A1)
【文献】特開平11-123458(JP,A)
【文献】特開2005-351085(JP,A)
【文献】特開2000-320050(JP,A)
【文献】特表2007-513274(JP,A)
【文献】特開昭62-288243(JP,A)
【文献】特開2002-054250(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0159807(US,A1)
【文献】米国特許第03841051(US,A)
【文献】欧州特許出願公開第02333182(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/24
E04B 1/58
E04B 2/56
E04B 2/74
E04B 2/78
E04B 2/82
E04B 9/06
E04B 9/18
E04C 3/00-3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾式壁構造の構成要素を配置するための異形材、特に乾式壁の天井、床または壁側の固定のための異形材であって、前記異形材の断面において、実質的にU字型を有する前記異形材が、ウェブおよび2つの隣接するフランジを含むことを特徴とし、前記フランジが、前記ウェブの面に実質的に直交する方向に、同程度および/または同じ様式で弾性であるように各々設計されており、前記弾性のフランジが、各々の場合において、それぞれの前記フランジに組み込まれ、前記ウェブの範囲に対して実質的に平行に長手方向に延在する少なくとも1つのビードによって達成されており、前記ビードを形成する1つ以上の座屈に沿った、1つ以上の凹状バンドの形態の、材料を弱化する1つ以上の領域を有することを特徴とする、前記異形材。
【請求項2】
それぞれの前記ビードが、前記異形材の内部の中に入り込む前記フランジの実質的にアーチ型の凹みとして形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の異形材。
【請求項3】
それぞれの前記ビードが、前記ウェブに隣接する有効フランジ深さの実質的に半分に形成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の異形材。
【請求項4】
それぞれの前記ビードの深さが、前記ウェブの幅の約4分の1~3分の1に対応することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の異形材。
【請求項5】
前記ビードを組み込む前の前記フランジの元の材料の深さ、すなわち、前記ビードの側面の長さを含む深さに対する、前記ビードのチャネル幅を含む、前記ビードを組み込んだ後の前記ウェブから突出する前記フランジ深さとしての前記有効フランジ深さが、約3:4であることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の異形材。
【請求項6】
乾式壁構造の構成要素を配置するための異形材であって、前記異形材が、実質的にU字型の断面を有する請求項1~5のいずれか一項に記載の2つの異形材から形成されることにより、実質的に箱型の断面を有すること特徴とし、前記2つのU字異形材が、これらのU字異形材のフランジの自由端から先に、互いに押し込まれるようなやり方で、前記異形材が互いに入れ子にされる、前記異形材。
【請求項7】
乾式壁構造の構成要素を配置するための、請求項1~6のいずれか一項に記載の異形材であって、前記異形材が、天井に直接取り付けるための天井異形材として、式壁の天井側の固定のための天井異形材として提供されることを特徴とする、前記異形材。
【請求項8】
乾式壁構造の構成要素を配置するための、請求項1~7のいずれか一項に記載の異形材であって、前記異形材が、外装シェルを固定するための接続部材として提供されることを特徴とする、前記異形材。
【請求項9】
パネル付きスタッドフレームを含む乾式壁用の建設構成要素セットであって、請求項1から8のいずれか一項に記載の少なくとも1つのばね異形材を特徴とする、前記建設構成要素セット。
【請求項10】
少なくとも1つのばね異形材のウェブが、天井、壁、または床への接続のため、および少なくとも1つのパネリングボードをその異形材フランジのうちの少なくとも1つに固定するために、設けられることを特徴とし、この異形材のフランジが、前記パネリングボードの自由端と、前記天井、前記壁、または前記床との間の間隙領域を塞いで、空気の通過を防止する、請求項9に記載の建設構成要素セット。
【請求項11】
前記ばね異形材の前記ウェブが、前記天井の側、壁の側または床の側に、1片のパネリングボード材料に沿って並べられていることを特徴とする、請求項10に記載の建設構成要素セット。
【請求項12】
前記少なくとも1枚のパネリングボードを前記異形材のフランジに固定することが、前記ウェブの方向に突出する前記パネリングボードの張り出しにより提供されることを特徴とする、請求項10または11に記載の建設構成要素セット。
【請求項13】
請求項9~12のいずれか一項に記載の建設構成要素セットから構築されること、および/または請求項1~8のいずれか一項に記載の異形材を有することを特徴とする、乾式壁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾式壁構造のための構成要素を配置するための異形材に関し、特に、好ましくは乾式壁の天井側の固定のための異形材、好ましくはパネル付きスタッドフレームを含む乾式壁のための異形材に関する。さらに、本発明は、構造要素セットと、そのような異形材を有する乾式壁とに関する。
【背景技術】
【0002】
乾式壁構造では、いわゆるスライド式天井接続が公知である。スライド式天井接続用の接続要素は、例えばUS5,040,345に開示されている。
【0003】
前述の刊行物からの接続要素は、その端側のうちのU字型断面を示す一方によって、U字異形材形状の天井異形材の中に、そのU字異形材ウェブまで、すなわち天井に対して挿入され得る実質的にU字型を有し、その結果、U字異形材形状の接続要素が横方向に、そしてひいてはU字異形材の天井異形材に対して直角に配置される。乾式壁のスタッドフレームの垂直スタッドの上端を、接続要素のU字型の上にスライド様式で押圧することができるか、または、U字型をスタッドの上端の中にスライド様式で導入することができる。接続要素のU字異形材のUフランジの最も外側の自由端部は、天井異形材のUフランジに螺入させることができ、その結果、天井異形材の水平方向の変位に対して固定される。対照的に、接続要素のUフランジの下方に指向された幅は、スタッドの上端の垂直スライド経路を予め決定し、それにより、その端部は、これに対応して、接続要素から完全に自由になることなく、天井異形材のUウェブから離れるように下方向に移動することができる。加えて、スタッド異形材の押し込み式スライド式誘導のために、接続要素のUフランジが、ビードとして具体化され、スタッドのC字異形材形状の自由な縦方向の端が押し込み様式で係合することができるガイド経路を備えている。したがって、この押し込み式の係合は、スタッドの水平方向の移動を防止すると同時に、垂直方向の移動をさらに可能にする。
【0004】
天井のたるみまたは上向きの曲げの場合、接続要素は、いわゆるスライド式天井接続として使用され、その助けを借りて、天井異形材をスタッド異形材に接続し、垂直方向の移動と、スタッドの上端と天井異形材との間の間隔の変化とを可能にして許容することができるようにする。同時に、またはそれにより、スタッドと天井異形材との間の接続が、完全に解除されることを防止し、スタッドはその上端によってもはや水平方向に固定されず、この結果として、壁が不安定になる。天井異形材および/またはスタッド異形材のたわみは、特に大きな熱の作用を伴う火災の場合、または、例えば、地震または他の揺れなど、すなわち動的な衝撃の場合に、生じる場合がある。そのような場合、天井と壁との間のしっかりした接続を維持して、人への悪影響や負傷を回避し、火災が発生した場合、可能な限り延焼を防止する必要がある。
【0005】
接続によって可能になるスライド式移動は、ガイドスタッドの上部自由端を、天井からより大きなまたはより小さな距離に配置できることを意味する。
【0006】
乾式壁を形成するために、スタッドは通常、片側または両側に1層または2層のパネリングボードでパネル張りされている。これらのボードは、好ましく構成部品として石膏を含むことができ、これは特に防火にも適し得る。特に火災の状況では、実際にスライド式の天井接続を提供することもできる。ただし、スライド式天井接続の結果として、スタッドの上部自由端と天井異形材との間の距離が増加すると、スタッドと天井に固定されたパネリングボードの上部自由端との間の距離も増加する。これが、所望の防火に違反する通気の隙間を生じさせ、「弱点」として、火の伝達を促進し加速させる可能性がある。
【0007】
同様の問題は、乾式壁とそのパネリングボードが防音のために設けられている場合にも発生するが、これは、天井とパネリングボードの間の間隙も所望の防音を破る可能性があるためである。
【0008】
したがって、本発明が基づく目的は、改良された様式で乾式壁構造の構成要素の可能な相対運動に適応することができる、冒頭で述べた一般的なタイプの異形材を提案することである。
【0009】
本発明によれば、この目的は、実質的にU字型の断面を有する乾式壁の天井、床または壁側の固定のための異形材によって達成され、異形材はウェブと2つの隣接するフランジを備え、フランジはそれぞれ、ウェブ表面に実質的に直交する方向に同じ程度および/または同じ様式で弾性があるように設計されている。
【0010】
本発明の解決策は、驚くほど簡単な様式で、防火および/または防音に違反したり、弱体化したりすることなく、天井とパネリングボードとの間の動きの遊びを確実に可能にする。動きがある場合であっても、本発明による異形材のそれぞれのU字型フランジは、天井とパネリングとの間に生じる比較的小さいかまたは大きな間隙を完全にブロックする。一般的に、動きの遊びは、数センチメートル程度である。これは、対応するバネのたわみによって限定され得る。さらに、本発明による異形材の使用は、例えば、天井と壁との間の当接領域だけでなく、2つの当接壁間の当接領域においても好都合かつ有用であり得る。本発明による異形材はまた、特に特定の部分において、部屋の床に対する壁要素の床側接続には有利に使用することができる。例えば、火災の場合、部屋の天井が落下した場合、これは、本発明による異形材によって、天井異形材として補償される。ただし、落下した天井は、おそらくは同時に、上の部屋の現在落下した床でもある。したがって、間隙は、上の部屋の床領域でも発生する可能性があり、これらの間隙は床異形材として使用される異形材によって補償され得る。これは、壁要素の過度の重量力によって負荷がかかっていない部分、特に、例えばスクリードに適用される、本発明による異形材を備えた、例えば、ドア要素の領域において特に有利である。
【0011】
本発明の一実施形態は、それぞれのフランジに組み込まれ、ウェブ範囲に実質的に平行に長手方向に延在する少なくとも1つのビードによって、各々の場合において、達成されるばね作用によって特徴付けられる。
【0012】
その結果、特に好ましい様式で、ビードの形状およびサイズによって適切なバネのたわみを事前に決定し、対応するフランジがバネの移動中に面的に閉じたままであることを保証することが可能である。ばねの移動を可能にする異形材用の柔軟な材料を好適に選択することができ、金属シートが一般的に好まれる材料である。
【0013】
本発明による異形材の好ましい実施形態は、それぞれのビードが、異形材の内部に入り込むフランジ材料のアーチ型の凹部として実質的に形成されることを提供する。それぞれのビード自体は、実質的にほぼV字型の断面を有することが好ましい。
【0014】
限定されたバネのたわみは、この様式で特にうまく設定することができる。
【0015】
本発明の別の実施形態によれば、それぞれのビードは、ウェブに隣接する有効フランジ深さのほぼ半分に形成される。その結果、ばねのたわみは、それが必要とされかつパネルの妨げにならない領域に設けられ、自由に維持されるフランジの半分の領域に固定され得る。
【0016】
ここで、および以下で「有効フランジ深さ(effective flange depth)」という表現によって理解されることは、ビードのチャネル幅を含む、ウェブからのフランジの突出または張出しであり、この有効フランジ深さは、ビードの範囲またはその側面の範囲に従うフランジの材料長さ、すなわちビードが組み込まれる前の材料の長さよりも短い。異形材は、例えば、押出プロセスまたは射出成形によって、しかし好ましくは、平坦な材料、特に金属シートの(複数の)折り畳みによって生成することができる。
【0017】
以下では、ほんの一例として、ビードの設計に有利に考慮することができる本発明による異形材の実施形態のサイズ比およびパラメータのいくつかに言及することが意図されている。
【0018】
それぞれのビードのチャネル幅は、好ましくは、有効フランジ深さの約3分の1に達し得る。有効フランジ深さは、好ましくは約50~70mm、特に約60mmであり、ビードのチャネル幅は、約15~25mm、特に約20mmとすることができる。
【0019】
それぞれのビードの深さは、好ましくは、有効フランジ深さの約4分の1に相当し得る。前述の寸法であるとすると、ビードの深さは約12~18mm、特に約15mmとすることができる。
【0020】
それぞれのビードの深さは、ウェブ幅の約4分の1~3分の1に相当し得ることが好ましい。前述の寸法であるとすると、ウェブ幅は、約40~60mm、特に約50mmとすることができる。
【0021】
有効フランジ深さは、好ましくは、ウェブ幅以上とすることができる。
【0022】
有効フランジ深さは、好ましくは、ウェブ幅よりも約20%大きくなるように選択することができる。
【0023】
特に考慮されるウェブ幅は、スタッドフレームの乾式壁構造において、適切な場合、国内または地域または国際標準に従って、国際的に使用される寸法であることが好ましい。ドイツだけでも、現在、たとえば、75mm、100mm、125mm、および150mmのウェブ幅の異形材がある。他の国では、加えて、例えば70mmのウェブ幅など、さらなる異形材の寸法が存在する。最後に、本発明によれば、ウェブ幅は、特に所望の仕上がり壁厚に適合させることができ、フランジの高さまたは深さは、特に必要なばねのたわみに適合させることができる。
【0024】
ビードを組み込む前のフランジの元の材料の深さ、すなわち、ビードの側面の長さを含む深さに対する、ビードのチャネル幅を含む、ビードを組み込んだ後に前記ウェブから突出するフランジ深さとしての有効なフランジの深さは、好ましくは約3:4とすることができる。前述の寸法であるすると、フランジの材料の深さは、約65~95mm、特に約80mmとすることができる。
【0025】
ビードの深さは、好ましくは、そのチャネル幅の約3/4とすることができる。これは、角度67.4度のビード頂角にほぼ一致する。
上記で既に述べたように、異形材は、好ましくは、金属シートから生成される。特に、金属シートの厚さは、約0.6mmとすることができる。この厚さにより、安定性とバネ特性との間の良好な折り合いが可能となる。
【0026】
本発明の好ましい実施形態によれば、異形材は、ビードを形成する1つ以上の座屈に沿って弱化する材料の1つ以上の領域を有する。材料の弱化領域は、ビードを形成する座屈において長手方向に延在する1つ以上の凹状バンドの形態を有することができる。例えば、1つ以上の座屈内に(細長い)穴のバンドが連続して形成され得る。
【0027】
座屈内の材料の弱化領域は、材料の剛性を低下させ、ゆえに、ばね作用のより容易な変形を可能にする。したがって、弾性が低下し、一方で変形能力が向上する。言い換えると、これは、ばねをより容易に圧縮することができることを意味する。
【0028】
代替的には、材料の弱化領域は、例えば、座屈内部の材料の厚さを薄くすることにより形成される場合もある。異形材のばね作用の圧縮性を高めることを実現する他のすべての実施形態も同様に有用である。
【0029】
本発明の別の開発は、実質的にU字型の断面を有する、本発明による2つの異形材から形成されることにより、実質的に箱型の断面を有する異形材によって特徴付けられ、これらの異形材は互いに入れ子にされ、それによって、それらのU字型フランジの自由端が先頭になるように、2つのU字型異形材が互いに押し込まれる異形材。
【0030】
これは、例えば、かなり大きな自立天井での使用には、ばね特性を維持しながら、本発明による異形材を増加および/または強化するために有利に役立ち得る。互いに押し込まれた2つのU字型異形材のU字型フランジは、好ましくは、例えば、ろう付け、溶接、リベット留め、または他の好適な手段により、互いに固定接続されることができる。
【0031】
独立した保護は、乾式壁構造用の構成要素を配置するための本発明による異形材についても要求され、この異形材は、天井に直接取り付けるための天井異形材として、好ましくは乾式壁の、特にパネル付きスタッドフレームを含む乾式壁の天井側の固定のための天井異形材として提供される。これは、有利には、既に上述したように、スライド式天井接続とは対照的に、防火概念も防音概念も打ち消さない閉鎖異形材のフランジ面による動きの遊びをもたらす。
【0032】
加えて、本発明による異形材は、防火材料、好ましくは火災の際に膨張する防火材料を備えることができ、上記材料は、例えば、ワニス、コーティングまたはパテとして異形材に適用される。
【0033】
乾式壁構造用の構成要素、特に、必要に応じて、そのような異形材の比較的短いストランド部分も配置するための本発明による異形材は、特に有利には、外装シェルを固定するための、特に、直接固定された外装シェルのための、または他のそれに応じて固定された乾式壁構造のための接続部材としても特に有利に提供され得る。
【0034】
本発明による異形材の別の実施形態は、異形材、または特にそのような異形材のストランド部分が、直接減衰ハンガーまたは他のばねブラケットとして設計されかつ設けられることを提供する。これは、好ましくは、外装シェルを固定するための使用に関連付けることができる。
【0035】
独立した保護は、パネル付きスタッドフレームを含む乾式壁用の建設構成要素セットに対しても要求され、この建設構成要素セットは、本発明による少なくとも1つのばね異形材によって特徴付けられる。
【0036】
本発明による建設構成要素セットの好ましい開発は、天井または壁への接続のため、および少なくとも1つのパネリングボードをその異形材のフランジの少なくとも1つに固定するために、少なくとも1つのばね異形材のウェブが設けられることを特に特徴とし、この異形材のフランジが、パネリングボードの自由端と天井または壁との間の間隙領域を遮断して、空気の通過を防止する。すでに上記で説明したように、これにより、防火および/または防音の弱体化が回避される。
【0037】
これは、本発明によるばね異形材の場合には絶対に必要ではないが、本発明の実施形態によれば、ばねのたわみのための追加の防火領域を事前に決定するために、特に、さらなる実施形態により好まれるように、少なくとも1つのパネリングボードを異形材のフランジに固定することにより、ウェブの方向に突出するパネリングボード材料の張り出しが設けられる場合に、建設構成要素セットは、ばね異形材のウェブが、パネリングボード材料の少なくとも1片と天井側または壁側に裏打ちされることを特徴とすることができる。天井接続の場合、張り出しは、好ましくは、ばね異形材のウェブにほぼ達するまで突出することができる。ばね異形材の弾性圧縮の場合、パネル張り出し部の上部自由端は、ばね異形材のウェブの平面を超えて上方に移動し、必要な動きの遊びが、パネリングボード材料とウェブの裏打ちによってウェブの上方に設けられることが可能になる。これにより、エプロンまたは欄干のように重なり合う様式で上方に突出する裏打ちとパネルとによる防火がもたらされる。裏打ちは、ばね異形材の弾性伸張中であっても、この重なりが依然として提供されるような厚さと大きさになるように選択することができる。上記で既にさらに言及されたように、対応する手段は、2つの隣接する壁の間の当接領域でも使用することができる。
【0038】
特に、防火材、好ましくは火災時に膨張する防火材を、少なくともパネリングボードの自由端と天井または壁との間の間隙領域に付加的に配置することができる。したがって、このような配置は、必ずしもばね異形材自体で実行されなければならない必要はなく、この領域で何らかの他の方法で設けることもできる。
【0039】
本発明による建設構成要素セットの好ましい実施形態は、石膏を含むパネル材料によって特徴付けられる。少なくとも1つのパネリングボードは、好ましくは、石膏ボード、石膏プラスターボードまたは石膏繊維ボードとすることができる。しかしながら、意図された用途に従って選択される、当業者に知られている他のパネル材料も可能である。
【0040】
独立した保護は、本発明による乾式壁に対しても要求され、それは、本発明による建設構成要素セットから構築され、および/または本発明による異形材を含むことを特徴とする。
【0041】
さらなる発明の特徴を結果として得ることができるが、原則として単なる例示として見なされるべきであり、本発明の主題またはその保護範囲を限定することを意図しない例示的な実施形態が、図面に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本発明によるばね異形材の一部の斜視図を示す。
図1a】ビードを形成する座屈に沿って凹部を備えるバンドを有するばね異形材の一部の斜視図を示す。
図2図1による2つのともに入れ子になったばね異形材から形成される、本発明によるばね異形材の第2の例示的な実施形態として、本発明による箱形ばね異形材の断面または端面図を示す。
図3図1によるばね異形材の端面図を、寸法例によって示す。
図4図4a)、b)、c)は、乾式壁の天井異形材として図1に示される本発明によるばね異形材のばね相を備えた垂直断面の断面図を示す。
図5図5a)、b)、c)は、ばね異形材の裏打ちを有する、図4a)、b)、c)に対応する乾式壁の天井異形材として図1に示される本発明によるばね異形材のばね相を有する垂直断面の断面図を示す。
図6図1に示される本発明によるばね異形材の水平断面の断面図であり、壁との当接領域の乾式壁の壁接続異形材として示されている。
図7】天井に吊り下げられた外装シェル用の直接減衰ハンガーとしての本発明によるばね異形材を備えた垂直断面の断面図を示す。
【0043】
図1は、本発明によるばね異形材の一部の斜視図を示す。
【0044】
ばね異形材は、ウェブ1と、そこから互いに対して実質的に平行に突出するフランジ2とから形成される実質的にU字型の断面を有する。ほぼV字型の断面を有するビード3は、フランジ2の各々にアーチ型に埋め込まれている。これらのビード3は、フランジ2の深さの弾性的な伸縮を可能にする。ばね異形材は、好ましくは、金属シートから製造される。
【0045】
図1a)は、ビード3を形成する座屈13に沿って凹部14を備えたバンドを有するばね異形材の一部の斜視図を示す。凹部14は、座屈13の折り目内部に位置付けられる一連の細長い穴である。凹部は、座屈における材料強度を弱め、そのため、フランジが、ウェブの領域に垂直な方向に作用する力に対してより弾性的に反応するようになる。異形材の弾性が強化されている。
【0046】
図2は、本発明によるばね異形材の第2の例示的な実施形態の端面図を示す。このばね異形材の断面は、実質的に箱型または長方形である。この箱型異形材は、図1による2つのばね異形材で構成され、互いに接続されて互いに入れ子になっている。図2および他の図では、同一の構成要素には図1と同じ参照番号が付されている。
【0047】
2つのU字型のフランジ2は、それらの重なり合う領域でさらに互いに固定接続することができる(上記の説明を参照)。
【0048】
図3は、図1によるばね異形材を、所与の寸法例で示している。
【0049】
図4a)、b)およびc)は、乾式壁の天井異形材として図1に示される本発明によるばね異形材の異なるばね相を有するそれぞれの垂直断面の断面図を示す。
【0050】
ばね異形材4は、図4a)に無負荷状態で示され、一方、図4b)では圧縮され、図4c)では引き離されている。結果として、ビード3の形状およびそれぞれのフランジ2の有効深さは、それぞれの場合で変化する。
【0051】
本発明によるばね異形材4は、天井異形材として天井5に直接螺合される。天井5は、多層設計にすることができる。
【0052】
ばね異形材4は、天井5と、この例ではパネリングボード7の形態の二重層のパネリングを両側に有するスタッドフレーム6を含む乾式壁との間の接続を提供する。この例では、パネリングボードは、石膏繊維ボードである。
【0053】
特に図4では、ばねフェーズとは無関係に、ばね異形材4が天井5とパネリングボード7との間の空気路間隙を広げないため、防火または防音に違反しないことがわかる。
【0054】
完全を期すために、図4の図が、上下逆さまになっている場合、本発明による異形材が、その基点の壁を部屋の床に接続するために対応して使用された場合に、どのように見えて、使用され得るかの条件を表しているかについてこの時点で言及するべきである。
【0055】
図5a)、b)およびc)は、本発明によるばね異形材4の異なるばね位相を有するそれぞれの垂直断面の断面図を示し、同じ参照番号で図4a)、b)およびc)に対応している。
【0056】
図4とは対照的に、図5のばね異形材4には、そのウェブ1と天井5との間に、パネリングボードストリップ8の多層裏打ちが設けられている。さらに、パネリングボード7は、ウェブ1を越えて上方に突出する張り出し部9を有する。これらの張り出し部9は、防火エプロンとして、パネリングボードストリップ8とともに、この領域の防火および/または防音を強化するためのさらなるラビリンスを形成する。ここで、パネリングボード7の上端と天井5との間の移動の遊びは、パネリングボードストリップ8の厚さによって画定され、特に、ビード3のばねのたわみおよび張り出し部9の高さと整合される。
【0057】
図6は、図1に示した本発明によるばね異形材4の水平断面の断面図であり、壁10との当接領域における乾式壁の壁接続異形材として示されている。
【0058】
図6の図は、図4a)または図5a)の図に実質的に対応しており、壁10を天井5に置き換え、それに対応して、ばね異形材4および図が異なる向きになっている。
【0059】
図7は、一例として、多層天井5上の多層設計の吊り下げ式外装シェル11用の直接減衰ハンガーとしての、本発明によるばね異形材4を備えた垂直断面の断面図を示す。
【0060】
異形材ストランドの短い部分のみを、さらに遠くに続くかまたは延在する外装シェル11のU字型天井異形材12に配置される直接減衰ハンガーとして使用することもできる。

図1
図1a
図2
図3
図4
図5
図6
図7