(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-06
(45)【発行日】2023-04-14
(54)【発明の名称】車両検出システム
(51)【国際特許分類】
G01B 11/24 20060101AFI20230407BHJP
【FI】
G01B11/24 A
(21)【出願番号】P 2021501077
(86)(22)【出願日】2019-03-26
(86)【国際出願番号】 DE2019000082
(87)【国際公開番号】W WO2019185075
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2022-02-04
(31)【優先権主張番号】102018002621.4
(32)【優先日】2018-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】202018001659.4
(32)【優先日】2018-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】520375066
【氏名又は名称】ツインナー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブゴビクス、ヨーゼフ
【審査官】櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-096615(JP,A)
【文献】特開平06-288730(JP,A)
【文献】特開2009-122065(JP,A)
【文献】特開2016-191993(JP,A)
【文献】特開2008-224374(JP,A)
【文献】特開2009-250740(JP,A)
【文献】特開平11-073456(JP,A)
【文献】独国実用新案第202013000050(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
G06T 1/00
G06T 3/00- 5/50
G01C 3/00- 3/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両測位ユニット(1)と、物体検出ユニット(2)と、評価ユニット(3)とを備える車両状態検出システムであって、
前記車両測位ユニットが、プラットフォーム(11)と、プラットフォーム位置検出ユニット(12)とを有し、前記プラットフォーム(11)がその上に車両(4)を配置するように設計され、前記プラットフォーム(11)が前記配置された車両(4)の垂直軸の周りを回転可能であり、前記プラットフォーム位置検出ユニット(12)が、プラットフォーム位置データを検出し、前記データを前記評価ユニット(3)に送信可能な様態で与えるように設計され、
前記物体検出ユニット(2)が、
3Dカメラ検出システムと、
画像カメラ検出システムと、
赤外検出システムと、
レーザー三角測量検出システムと、
パターン光投影検出システムと、
デフレクトメトリ検出システムと
からなるグループからの個々の検出システム(21)のうちの少なくとも2つを備え、
各個々の検出システム(21)が検出エリア(22)を有し、前記検出エリア(22)が前記車両(4)の少なくとも断面を包含し、
測位ユニット(23)が、前記個々の検出システムの互いとの位置関係と、前記車両測位ユニットとの位置関係とを規定し、
前記少なくとも2つの個々の検出システムの各々によって、前記車両(4)の物体点の物体データが検出可能であり、前記評価ユニットに送信可能な様態で提供可能であり、前記物体データが前記物体点の座標データを含んでおり、
前記評価ユニット(3)が、前記少なくとも2つの個々の検出システム(21)の各々のための個々の評価モジュール(31)と、全体的評価モジュール(32)と、生成モジュール(33)とを備え、
各個々の評価モジュール(31)によって、前記物体データの検出品質の評価が実行され得、前記検出品質の調整可能な品質値が達成されるときは、前記評価に基づいて使用可能な物体データとしての事前分類が実行され得、前記品質値が前記調整可能な品質値を下回るときは、使用不可能な物体データとしての事前分類が実行され得、使用可能な物体データが、前記全体的評価モジュール(32)に送信可能な様態で与えられ得、
前記使用可能な物体データが、前記物体点のための前記座標データを使用して、前記全体的評価モジュール(32)によって互いに割り当てられ得、個々の検出システム(21)の前記使用可能な物体データの前記品質値とさらなる個々の検出システム(21)の前記使用可能な物体データの前記品質値との比較が実行され得、前記個々の検出システム(21)の前記使用可能な物体データのランク付け分類が、前記品質値に応じて1次物体データとして及び2次物体データとして実行され得、
前記生成モジュール(33)が、前記プラットフォーム位置データを含む前記個々の検出システム(21)の前記物体データからの前記座標データを前記1次物体データに基づいて一様空間座標系に割り当て、前記車両のデジタル画像を形成するために前記座標データに基づいて前記2次物体データを追加することによって前記車両(4)のデジタル基本画像を補足し、前記デジタル画像を出力されることが可能な様態で与えるように構成された、車
両検出システム。
【請求項2】
前記車両検出システムがハウジング(5)を備え、前記車両測位ユニット(1)が前記ハウジング(5)内に位置する
ことを特徴とする、請求項1に記載の車両検出システム。
【請求項3】
前記車両検出システムは、さらに、車両の底面の物体データが床下スキャナによって検出され、前記デジタル画像を生成するときに含まれるために前記評価ユニットにとって利用可能にされるような、床下スキャナを採用する
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の車両検出システム。
【請求項4】
前記車両検出システムは、さらに、車両のタイヤの物体データがタイヤ・スキャナによって検出され、前記デジタル画像を生成するときに含まれるために前記評価ユニットにとって利用可能にされるような、タイヤ・スキャナを採用する
ことを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一項に記載の車両検出システム。
【請求項5】
前記車両検出システムは、さらに、前記車両の乗員室の物体データが内部機器スキャナによって検出され、前記デジタル画像を生成するときに含まれるために前記評価ユニットにとって利用可能にされるような、内部機器スキャナを採用する
ことを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一項に記載の車両検出システム。
【請求項6】
前記車両検出システムが比較モジュール(34)を採用し、前記比較モジュール(34)が、規範デジタル画像に関するデータをもつデータベースを備え、前記比較モジュール(34)が前記デジタル画像と前記規範
デジタル画像との間の比較を実行し、デジタル差分画像を生成するように設計された
ことを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一項に記載の車両検出システム。
【請求項7】
前記車両検出システムが修理計算モジュール(35)を備え、前記修理計算モジュール(35)が、修理データをもつデータベースを備え、前記修理データが、予備部品に関するデータと、修理作業時間に関するデータと、修理費用に関するデータとを備え、前記修理計算モジュール(35)が、前記デジタル差分画像と前記修理データとに基づいて修理評価を生成するように設計され、前記修理評価が、修理のために必要とされる予備部品と、費やされる修理作業時間と、修理費用とを備える
ことを特徴とする、請求項6に記載の車両検出システム。
【請求項8】
前記車両検出システムが価値査定モジュール(36)を備え、前記価値査定モジュール(36)が、車両価格データをもつデータベースを備え、前記価値査定モジュール(36)が、前記車両価格データと前記デジタル差分画像と前記修理データとに基づいて車両評価を生成するように設計された
ことを特徴とする、請求項6又は7に記載の車両検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出されるべき車両のn次元デジタル画像を生成するための車両検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、車両の外形寸法を決定するために、又は車両を写真的に記録するために、特殊なパラメータに従って車両をどのように記録するかは、先端技術から基本的に知られている。
【0003】
たとえば、DE 20 2013 000 050 U1は、車両の基本形状に適合させられたスキャナ・アームが、車両の表面を検出するためにそれらのスキャナ・アームが直線的に移動させられ、同時に旋回させられ得るように配置されるソリューションを示している。タスク定義によれば、3次元表面がこのように検出され得る。このデバイスは、異なるカテゴリーのプロパティを同時に識別するか、又は異なる表面タイプを測定するようには設計されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】DE 20 2013 000 050 U1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明のタスクは、できる限り少ない人件費での、車両の複雑な検出のための、障害に鈍感で操作が容易なソリューションを提示することである。
【0006】
タスクは請求項1に記載の特徴によって解決される。好ましいさらなる発展形態が従属クレームから得られる。
【0007】
本発明によれば、車両検出システムは、基本構成要素として、車両測位ユニットと、物体検出ユニットと、評価ユニットとを備える。
【0008】
車両測位ユニットは、プラットフォームと、プラットフォーム位置検出ユニットとを備える。
【0009】
プラットフォームのサイズ及び負荷容量は、車両がそれの上に配置され得るようなものである。車両自体は本発明のデバイスの一部でない。この意味での車両は、陸上車両、特に乗用車である。プラットフォームは、回転するように設計される。プラットフォームの回転軸は、プラットフォームが実質的に水平に配置されるように、配置された車両の垂直軸に対応する。したがって、プラットフォームは、好ましくは回転テーブルの設計に対応する。
【0010】
プラットフォーム位置検出ユニットは、それがプラットフォーム位置データを検出するために使用され得るようなものである。プラットフォーム位置データは、回転プラットフォームの角度位置、したがって間接的に、配置された車両の角度位置を記述する。プラットフォームが検出プロセス中に回転させられる場合、異なる角度位置において異なる空間座標を有する、車両の物体点が、互いに割り当てられ得る。プラットフォーム位置データは、送信可能な様態で評価ユニットに与えられる。プラットフォーム位置データを送信するために、車両測位ユニットと評価ユニットとがデータリンクされる。
【0011】
物体検出ユニットは個々の検出システムを備える。本発明によれば、物体検出ユニットは、
3Dカメラ検出システムと、
画像カメラ検出システムと、
赤外検出システムと、
レーザー三角測量(triangulation)検出システムと、
パターン投影検出システムと、
デフレクトメトリ(deflectometry)検出システムと
からなるグループからの個々の検出システムのうちの少なくとも2つを備える。
【0012】
すべての個々の検出システムは車両の物体点の空間座標データを与える。物体検出ユニットのすべての個々の検出システムの空間座標データは同一の空間座標系に関係する。この目的で、個々の検出システムは同じ空間座標系について較正される。以下では、これを一様空間座標系とも呼ぶ。
【0013】
物体検出ユニットは、好ましくは記載された個々の検出システムのうちの3つ以上、好ましくは個々の検出システムのうちの少なくとも3つ、特に好ましくは個々の検出システムのうちの4つ以上を有する。
【0014】
特にTOFシステム(飛行時間)の形態の深度カメラ・システム、及びステレオ・カメラ・システムが、特に3Dカメラ検出システムとして使用される。3Dカメラ検出システムの助けを借りて、物体点の空間座標が物体データとして検出され得る。
【0015】
画像カメラ検出システムは、物体点の明るさ値及びカラー値が物体データとして検出され得るような、上記のすべてのカラー・カメラ・システムである。このようにして、特に車両の外観が検出され得る。
【0016】
赤外検出システムは、サーモグラフィに基づいており、物体点によって放出された赤外放射を物体データとして受信する赤外線カメラを採用する。赤外検出システムは、受動的、すなわち赤外放射への車両の事前暴露なし、又は能動的、すなわち赤外放射への車両の事前暴露ありであり得る。赤外検出システムによって、損傷及び特に車両塗料の表面の下の上塗りが検出され得る。
【0017】
レーザー三角測量検出システムは、車両表面上にレーザー・ドットを投影し、レーザー・ドットの光学検出のためのレーザー源から離間したカメラを有し、レーザー・ドットの角度は三角法的に評価され、したがってレーザー・ドットに対応する物体点の距離が決定され得る。したがって、3Dカメラ検出システムに対する補完物として、車両の物体点の空間座標が物体データとして検出され得る。
【0018】
パターン投影とも呼ばれるパターン光投影検出システムは、車両表面上に光パターンを投影する。ストリップ光投影(strip light projection)は重要な例である。しかし、たとえば、ドット・パターンも可能である。ストリップ光投影検出システムは車両表面上に光ストリップを投影する。レーザー源から離間したカメラが、投影された光ストリップを検出する。角度及び三角法評価の助けを借りて、光ストリップの点の空間座標データが決定される。レーザー三角測量と同様に、3Dカメラ検出システムに対する補完物として、車両の物体点の空間座標が物体データとして検出され得る。
【0019】
デフレクトメトリ検出システムを使用して、物体表面の形状を決定するために既知のパターンの反射が評価される。デフレクトメトリ検出システムは反射面にとって好適である。デフレクトメトリ検出システムのおかげで、クロムトリム要素など、車両の窓又は他の高光沢面の物体点の空間座標データが、物体データとして検出され得る。
【0020】
個々の検出システムの各々は検出エリアを有する。検出エリアは車両の少なくとも断面を包含する。個々の検出システムの検出エリアは重複し、共通の検出エリアを形成する。プラットフォームは、配置された車両が少なくとも部分的に共通の検出エリア内にあるように配置される。
【0021】
車両測位ユニットによって、車両は回転させられる。検出は、プラットフォーム、したがって車両が様々な異なる角度位置において検出されるように、連続的に実行される。
【0022】
物体検出ユニットはまた、測位ユニットを有する。測位ユニットは、異なる個々の検出システム間の、並びに個々の検出システムと車両測位ユニットとの間の固定の位置関係を確立する。測位ユニットは、好ましくはラック又はフレームである。測位ユニットはまた、ハウジングとして形成され得る。
【0023】
さらに、同じ一様空間座標系への個々の検出システムの較正を可能にするために、共通の検出エリア中にマーキングが配置される。好ましくは、マーキングはハウジングの内側に配置される。
【0024】
物体検出ユニットはさらに、少なくとも2つの個々の検出システムの各々によって、車両の物体点の物体データが検出され、評価ユニットに送信可能な様態で与えられ得ることを特徴とする。物体データは、部分的にさらに、物体点の座標データを含んでいる。個々の検出システムに応じて、座標データは、空間座標データ(x,y,z)として又は2次元座標データ(x,y)として利用可能であり得る。
【0025】
評価ユニットは、個々の評価モジュールと、全体的評価モジュールと、生成モジュールとを備える。
【0026】
評価ユニットは、物体検出ユニットからの物体データと、車両測位ユニットからのプラットフォーム位置データとを受信する。
【0027】
評価ユニットは、各個々の検出システムのための個々の評価モジュールを有する。それぞれの個々の評価モジュールは物体データの検出品質の評価を実行する。評価モジュールは、定義された検出角における定義された座標点に存在する物体データの評価を実行する。座標点は個々の検出システムの座標データによって定義され、検出角はプラットフォーム位置データによって定義される。評価に基づいて、これらの物体データの事前分類が調整可能な品質値の助けを借りて実行される。物体データが調整可能な品質値を達成する場合、それらは使用可能な物体データとして事前分類される。物体データが調整可能な品質値を下回る場合、それらは使用不可能な物体データとして事前分類される。調整可能な品質値は、たとえば、隣接する物体点からの許容偏差(permissible deviation)によって定義され得る。
【0028】
この特定の物体点に関するこの検出からの物体データは、すべての検出角とすべての次元の両方に関するこの物体点についてのすべての検出からの全体的評価中に含められる。次元は、常に、物体データの種類、及びこのようにして取得される情報の種類であると考えられる。
【0029】
個々の評価モジュールによる評価は、したがって、各物体点について、及び、この物体点について実行される各個々の検出プロセスのために実行される。
【0030】
個々の評価モジュールは、後続の中間ストレージをもつ同じユニットによる異なる個々の検出システムの物体データの順次処理も個々の検出システムごとの個々の評価モジュールであると考えられるような、機能カテゴリーであると考えられる。異なる個々の検出システムの検出、及び個々の評価モジュールによる物体データの後続の評価も、固有の形態に応じて、並行して実行され得る。
【0031】
個々の評価モジュールは、使用可能な物体データを送信可能な様態で全体的評価モジュールに配信する。
【0032】
全体的評価モジュールによって、個々の評価モジュールからの、したがって個々の検出システムからの使用可能な物体データは、物体点の座標データに基づいて互いに割り当てられる。
【0033】
全体的評価モジュールは、個々の検出システムの使用可能な物体データの品質値が、別の個々の検出システムの使用可能な物体データの品質値と比較され得るように設計される。これに基づいて、1次物体データとして及び2次物体データとしての、個々の検出システムの使用可能な物体データの、物体点に関係するランク付け分類が、品質値に応じて実現可能である。最も高い品質値をもつ特定の物体点についての物体データは1次物体データとして分類される。最も低い品質値をもつこの特定の物体点についての物体データは2次物体データとして分類される。物体点は、異なる個々の検出システムからのいくつかの2次物体データを有し得るが、物体点についての1次物体データは1回限り存在し得る。1次物体データ及び2次物体データは、送信可能な様態で生成モジュールにとって利用可能にされる。
【0034】
ランク付け分類は、したがって、品質値に基づく物体データの品質の評価に基づく。品質の評価は、絶対的であるか、又は物体データの記録されたデータ品質に対して相対的であり得る。離散アルゴリズムの他に、品質評価における「n対n」関係を含むアルゴリズムも使用され得る。したがって、各々が同じ物体点に関する、いくつかの検出角からの物体データと、いくつかの異なる個々の検出システムからの物体データとを使用することによって、個々の検出からの物体データの品質が低くても、物体データの得られた品質を高めることが可能である。
【0035】
好ましい変形態によれば、各々が物体データを与える、少なくとも3つの個々の検出システムが利用可能である場合、全体的評価モジュールは、特定の物体点について検出された少なくとも3つの個々の検出システムからの物体データが比較され、さらなる少なくとも2つの個々の検出システムの物体データからの第1の個々の検出システムの物体データの偏差の調整可能な度合いに関して、第1の個々の検出システムの物体データが廃棄され、もはや送信可能な様態で生成モジュールにとって利用可能にされないような形で、妥当性(plausibility)検査を実行することができる。
【0036】
生成モジュールは、プラットフォーム位置データを考慮に入れて、個々の検出システムの物体データからの座標データを一様空間座標系に割り当てるように設計される。プラットフォームの角度位置が異なると、車両の同一の物体点の物体データの座標データが異なる。とはいえ、評価ユニットはプラットフォーム座標データをさらに知っているので、同一の物体点に関するすべての物体データの明確な割当てがこの物体点に対して実行され得る。1次物体データに基づいて、車両の基本デジタル画像が最初に一様空間座標系中に生成される。1次物体データは、したがって主要な機能を有する。
【0037】
このようにして生成された基本デジタル画像は、最初は単に、座標データに、及び1次物体データの一部であるさらなるデータに基づく。
【0038】
車両の基本デジタル画像は、次に、車両のデジタル画像を形成するために、座標データの助けを借りて2次物体データを追加することによって、生成モジュールによって補足される。デジタル画像は、いつでも出力できる状態で与えられる。
【0039】
特別な利点として、車両検出システムは、いくつかの個々の検出システムに基づいて車両の一様なデジタル画像の生成を可能にする。
【0040】
したがって、異なる個々の検出システムからの物体データが同一の物体点のために利用可能であり、これはマルチレイヤ情報とも呼ばれる。
【0041】
一方、個々の検出システムは互いを有利にサポートすることができる。これは、特に、たとえば、塗装面など、車両の不明瞭な部分については、3Dカメラ検出システムからの物体データを使用することによって、及び、たとえば、窓など、車両のガラスを入れた部分については、デフレクトメトリ検出システムからの物体データを使用することによって、空間座標データを決定する場合にそうであり得る。別の利点は、車両検出システムが、異なる個々の検出システムからの物体データの品質、したがって適合性を自動的に決定し、物体データを使用すると、デジタル画像の品質が高くなることである。
【0042】
さらに、個々の検出システムの物体データは、たとえば、個々の赤外システムからの物体データを用いて個々の画像カメラ検出システムからの物体データを補足することによって、互いに累積的な割当てにあり得、したがって上塗りによって被覆された隠された損傷が可視化され得る。たとえば、物体点が上塗り表現として示され得、同じ物体点における塗装の下の面が同時にビューアにあらわにされ得る。
【0043】
さらなる利点として、デジタル画像は、異なるビューにおいて、たとえばドアが閉じている又は開いている状態で、及び異なるパースペクティブで、たとえば360°ビューとして、車両を表示することを可能にする。
【0044】
特に有利なことは、結果が、特に以下の2つの重要なアプリケーションのための、十分なデータベースを有する車両のデジタル画像であることである。
【0045】
第1に、デジタル画像は、車両損傷を検出し、必要な修理手段を自動的に決定し、必要とされる予備部品及び必要な作業ステップ、並びに結果として生じる修理費用を指定するために好適であり、それによりあらゆるものがデジタル形式で行われ得る。
【0046】
第2に、たとえば、中古車両の遠隔販売をサポートするために、デジタル画像のさらなる処理が、車両を自動的に評価するために使用され得る。車両年数、走行距離、前の所有者の数、及び他の価値決定要因など、追加のデータが、車両価値の自動計算に含まれ得る。
【0047】
車両損傷検出又は車両評価の、改ざんを防ぐ、信頼性の高い文書化は、特に有利である。
【0048】
別の利点は車両検出システムのモジュール方式(modularity)である。要件に応じて、すなわち品質仕様又は特殊な検出対象に応じて、車両システムは上述のグループからの異なる個々の検出ユニットを装備され得る。
【0049】
全体として、車両検出システムは、特に、この場合個々の検出システムと呼ばれるすべてのセンサーが、同一の座標系に対して較正されることに基づく。センサーの個数及びタイプは、システム原理のおかげで可変であり、限定されない。データ検出はプラットフォーム上の車両の回転運動により異なる角度位置から実行されるので、センサーは物体データを数回検出する。さらに、検出は異なる個々の検出システムにより数回実行される。1つ又は複数のさらなる検出プロセスからのさらなる不確かなステートメントを追加することによって検出プロセスからの不確かなステートメントさえも使用され得るので、検出された物体データから得られる品質は高くなる。
【0050】
言い換えれば、車両の同じポイントは、1つの次元で、しかしいくつかの次元でも数回検出される。この意味では、次元は、幾何学的特性、又は、たとえば、上塗りの有無など、車両の特性に起因する情報の種類であると理解される。
【0051】
すべての物体データ、すなわちあらゆる情報は、物体点を形成するために要約され、(空間座標データx、y、z、並びに特性に関する保存されるデータとしての)1次物体データが形成される。同じ物体点に関係する1次物体データ及び2次物体データはいくつかのレイヤとして表され、これがマルチレイヤ情報とも呼ばれ得る所以である。各レイヤは異なるタイプの情報を含んでいる。情報の各タイプは次元とも呼ばれ得、これが多次元検出、多次元情報及び/又は多次元表現とも呼ばれる所以である。多次元性のおかげで、ビューア、又は、たとえば、車両評価器は、車両の純空間的な表現によるよりも多くの情報を受信する。
【0052】
車両検出の結果は、デジタル画像が、検出された車両のデジタル・ツインを表すように設計されるように、いくつかのタイプの情報をもつデジタル画像として与えられる。
【0053】
デジタル・ツインとしてのデジタル画像のおかげで、検出された車両をバーチャル・リアリティ・フォーマットで、すなわちバーチャル・リアリティで見ることが可能である。これは人間-機械間通信のレベルに関係する。
【0054】
デジタル・ツインとしてのデジタル画像のおかげで、たとえば、修理計算を実行するために、自動的にこの画像中に統合された情報をさらに処理することも可能である。これは機械-機械間通信に関係する。
【0055】
有利なさらなる発展形態によれば、車両検出システムはハウジングを有し、車両測位ユニットはハウジング内に位置する。ハウジングは、定義された光条件又は赤外放射条件が検出プロセスのために達成され得、光又は熱源からの干渉が特に遮蔽されるという利点をもたらす。これは、検出された物体データの正確さを高めるために有利である。同時に、環境、特に人員が個々の検出システムの光、熱又はレーザー源から保護される。好ましくは、ハウジングは、物体検出ユニットの測位ユニットの全部又は一部を同時に形成し、個々の検出システムの位置関係を規定することができる。好ましくは、物体検出ユニットもハウジング内に位置する。
【0056】
別の有利なさらなる発展形態では、車両検出システムは、さらに、床下スキャナを採用し、床下スキャナは、車両の底面の物体データを検出し、それらを評価ユニットに送信するように設計され、評価ユニットは、デジタル画像を生成するための物体データを含む。
【0057】
これは、個々の検出システムは、それらの検出エリアがプラットフォーム上で回転する車両の上部、前面、後面及び両側面を容易に検出することができるように構成されるが、車両の底面は限られた程度までしか検出され得ないことに基づく。
【0058】
床下スキャナのおかげで、アンダーボディとしても知られる車両の底面の状態が検出され得る。これは、第1に、車両状態検出のより高い情報価値が概ね達成され、第2に、それの状態が車両の状態にとって本質的である、排気システムの部品などの機能構成要素、ホイール・サスペンション及び同様の構成要素も検出され、修理査定又は車両評価のために、これから導出され得る限りにおいて、有利である。
【0059】
別の有利なさらなる発展形態によれば、車両検出システムは、さらに、タイヤの物体データがタイヤ・スキャナによって検出され、デジタル画像を生成するときに含まれるために評価ユニットにとって利用可能にされるように、タイヤ・スキャナを採用する。
【0060】
タイヤ・スキャナのおかげで、車両タイヤのプロファイル条件が特に検出され得る。オプションとして、タイヤ・スキャナは、取り付けられたタイヤの許容範囲に関するステートメントも可能であるように、タイヤタイプを検出するためにも使用され得る。プロファイル条件は、車両の評価に含まれる追加のパラメータである。さらに、タイヤの残っている耐用年数、したがってタイヤが交換されるべきときに関するステートメントが作成され得る。
【0061】
別のさらなる発展形態によれば、車両検出システムは、さらに乗員室スキャナを採用する。乗員室スキャナは内部機器スキャナとも呼ばれる。車両の乗員室の物体データは、内部機器スキャナによって検出され、デジタル画像を生成するときに含まれるために評価ユニットにとって利用可能にされる。これは、色彩設計と乗員室の条件の両方を、デジタル画像を生成するために利用可能にする。内部機器スキャナは、3Dカメラ検出システム、画像カメラ検出システム、又は赤外検出システムなど、物体検出ユニットの個々の検出システムについて説明したように、各検出プロセスに従って機能することが可能である。内部機器スキャナは、特に、いくつかの部品を伴い、これらの検出方法のうちのいくつかを同時に適用することができる。物体データが内部機器スキャナによって検出された物体点は、評価ユニットによって一様空間座標系に統合される。
【0062】
別のさらなる発展形態によれば、車両検出システムは比較モジュールを採用する。比較モジュールは、規範デジタル画像に関するデータを含むデータベースを装備される。データベースは内部データベース又は外部データベースであり得る。外部データベースは、追加の利点として集中データ保守を可能にする。規範デジタル画像は、元の製造条件に対応する同じタイプの車両を記述する。
【0063】
比較モジュールは、デジタル画像と規範デジタル画像との間の比較を実行し、デジタル差分画像を生成するように設計される。デジタル差分画像は、それの車両状態が記録された車両の状態が元の製造条件からどの程度異なるかを記述する。デジタル差分画像は、したがって、特に可能性のある損傷を示す。したがって、たとえば、損傷レポートが出力され得る。その上、この車両状態情報は、必要な修理に関する、又は当該車両の価値に関するステートメントのための基礎を形成することもできる。
【0064】
別のさらなる発展形態によれば、車両検出システムは修理計算モジュールを含む。修理計算モジュールは、修理データを含むデータベースが装備され、修理データは、予備部品、修理作業時間及び修理費用に関するデータを含んでいる。データベースはまた、内部データベース又は外部データベースであり得る。
【0065】
予備部品に関するデータは、特定の損傷を修理するために必要とされる予備部品を含む。修理作業時間に関するデータは、修理を実行するために必要とされる修理時間を含み、通常、労働価値と呼ばれる。修理費用に関するデータは、予備部品がどのくらいの価格で入手可能であるか、及び修理作業サービスがどのくらいの価格で利用可能であるかを示す。修理費用は、したがって、好ましくは、標準価格としてデータベースに記憶される。
【0066】
修理計算モジュールは、デジタル差分画像と修理データとに基づいて修理評価を作成するように設計され、修理評価は、修理のために必要とされる予備部品、費やされる修理作業時間及び修理費用を示す。
【0067】
このさらなる発展形態のおかげで、必要な修理及びそれらの費用に関する自動化された改ざんを防ぐ報告書を取得することが有利に可能である。
【0068】
したがって費用見積が自動的に作成され得る。利点として、かなりの人件費が節約され得る。
【0069】
有利なさらなる発展形態では、修理評価に基づいて予備部品を自動的に発注することがさらに可能である。
【0070】
別のさらなる発展形態によれば、車両検出システムは価値査定モジュールを採用する。価値査定モジュールは、車両価格データをもつデータベースを備える。この場合も、データベースは内部データベース又は外部データベースであり得る。
【0071】
車両価格データは、たとえば、車両構成に応じた表示価格、車両年数に応じた価格表、走行距離、前の所有者の数、及び追加の価格データである。
【0072】
価値査定モジュールは、車両価格データと、デジタル画像と、デジタル差分画像と、修理データとに基づいて車両評価を生成するように設計される。車両の状態に応じて、デジタル差分画像は、修理が不要であることをも示し得る。修理データは、したがって、車両評価が影響を受けないように0値として示されている。このさらなる発展形態によれば、自動化され、したがってほとんど作業を必要とせず、改ざんを防ぎ、確実に文書化され得る、車両の商品価値を決定するためのソリューションが有利に与えられる。
【0073】
以下に基づいて、設計例として本発明について詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【
図2】修理計算モジュール及び価値査定モジュールをもつブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0075】
図1は、本発明による車両検出システムの第1の設計例を示す。
【0076】
車両測位ユニット1は、車両4が配置され得る回転可能なプラットフォーム11を有する。プラットフォーム11の回転機能は矢印によって示されている。プラットフォーム11の回転位置、したがって角度位置は、プラットフォーム位置検出ユニット12によって検出され、評価ユニット3に送信される。
【0077】
設計例では、物体検出ユニット2は、各々が検出エリア22をもつ、3つの個々の検出システム21を有する。検出エリア22は、プラットフォーム11上に位置する車両4が包含されるように配向させられる。設計例は、検出エリア22が重複することを示す。個々の検出システム21は、ラックとして設計された測位ユニット23上に堅く取り付けられる。堅く取り付けることにより、較正の後に、車両の物体点上の個々の検出システムによって検出されたすべての物体データが一様空間座標系に確実に割り当てられ得る。設計例における単一の検出システム21は、3Dカメラ検出ユニット、画像カメラ検出ユニット及び赤外検出ユニットである。
【0078】
図1に示された設計例と比較して変更された、特に有利な設計例では、物体検出ユニットは、5つの個々の検出ユニット、すなわち、3Dカメラ検出ユニットと、画像カメラ検出ユニットと、赤外検出ユニットと、デフレクトメトリ検出ユニットと、パターン光投影検出ユニットとを有する。
【0079】
図1に示された設計例では、車両測位ユニット1と物体検出ユニット2の両方がハウジング5内に位置する。これは、閉じられ得る開口部(
図1に示されていない)を有し、それを通して、車両4はプラットフォーム11上で内部に入れられ得、検出の後に再び出され得る。設計例では、物体検出ユニット2はまた、物体データの精度を高めるために、規定された光度と規定された色温度とで車両4を照明するための手段を有する。照明するための手段は
図1に示されていない。
【0080】
さらに、
図1による設計例は評価ユニット3を有する。設計例では、評価ユニット3はコンピュータ・システムである。
【0081】
評価ユニット3の3つの個々の評価モジュール31の各々は、データ・ラインを介して、3つの個々の検出システム21のそれぞれ割り当てられた個々の検出システム21から物体データを受信する。単一の検出システム21から評価ユニット3への、及びプラットフォーム位置検出ユニット12から評価ユニット3へのすべてのデータ・ラインは、参照符号なしで示されている。個々の評価モジュール21は物体データの品質の評価を実行する。検出品質の品質値は、この目的でプリセットされる。物体データが設定された品質値に達するか又はそれを超える場合、物体データは、使用可能な物体データとして事前分類され、全体的評価モジュール32に転送される。物体データが設定された品質値を達成しない場合、物体データは、使用不可能な物体データとして事前分類され、転送されない。これにより、後に形成されるデジタル画像も高い信頼度を有するように、十分に信頼できる物体データのみが確実にそのデジタル画像中に含まれる。
【0082】
全体的評価モジュール32において、使用可能な物体データは、物体点の座標データに基づいて互いに割り当てられる。この割当ては、評価ユニット3が、測位ユニット23による個々の検出システム21の規定された位置と、プラットフォーム位置検出ユニット12、したがって配置された車両4の助けを借りて知られるプラットフォーム11の角度位置とによって、すべての個々の検出システム21を一様空間座標系に割り当てることができることに基づく。割当てが成功した後、全体的評価モジュール32は、個々の検出システム21の各々の使用可能な物体データの品質値を他の個々の検出システム21のそれらと比較する。比較結果において、比較された使用可能な物体データは、それらのランクに従って分類される。最も高い品質値をもつ物体データは最も高いランク付けを受ける。最も高いランク付けをもつ物体データは1次物体データとして分類される。最も低いランク付けをもつ物体データは2次物体データとして分類される。
【0083】
1次物体データ及び2次物体データは生成モジュール33に転送される。生成モジュールは、プラットフォーム位置データを考慮に入れて、個々の検出システム21の物体データからの座標データを一様空間座標系に割り当てる。1次物体データに基づいて、車両4の基本デジタル画像が最初に一様空間座標系中に生成される。車両4の基本デジタル画像は、次に、車両4のデジタル画像を形成するために、座標データの助けを借りて2次物体データを追加することによって補足される。このデジタル画像は、いつでも出力できる状態で与えられる。設計例では、デジタル画像はファイルとして転送される。
【0084】
図2は、修理評価と車両の評価の両方がここで実行され得る、ブロック図での別の設計例を示す。
【0085】
検出ユニット21と、個々の評価モジュール31と、全体的評価モジュール32と、生成モジュール33とについて、
図1による設計例に関する説明が相応して当てはまる。
【0086】
デジタル画像が生成モジュール33によって生成された後、デジタル画像は、
図2に示された設計例中の比較モジュール34に転送される。比較モジュール34は、検出された車両4の規範
デジタル画像をも含む、異なる構成における多くの車両モデルの規範デジタル画像に関するデータをもつデータベースとして、データベース341を含む。このデータベースは、市場に現れる新しい車両モデルで定期的に更新される。比較モジュール34は、デジタル画像に基づいて、検出された車両4の車両モデルを認識し、生成モジュール33によって送信された、検出された車両4のデジタル画像と、データベース341から取られた、対応するモデルの規範
デジタル画像との間の比較を実行し、このようにしてデジタル差分画像を生成する。デジタル差分画像は、特に損傷が識別され得るように、最初に製造された車両からの検出された車両4の偏差に関する情報を含んでいる。
【0087】
デジタル差分画像は、修理評価モジュール35と、並行して価値査定モジュール36との両方に利用可能にされる。
【0088】
修理計算モジュール35は、修理データを含んでいるデータベース351を有する。修理データは、予備部品と修理作業時間と修理費用とに関するモデル関係データであり、それにより修理費用は標準価格として記憶される。デジタル差分画像と修理データとに基づいて、修理評価モジュールは、修理を実行するために必要とされる予備部品、及び必要な修理作業時間、並びに、記憶された標準価格による、負担する修理費用を決定し、これを修理評価として出力する。
【0089】
追加で又は代替として、検出された車両4の商品価値は、価値査定モジュール36を使用して決定され得る。
【0090】
価値査定モジュール36は、この目的のために車両価格データをもつデータベースを備える。車両価格データは、特に、多くの車両モデルの表示価格、及び年数と走行距離とに依存する市場価格に関するデータを含み、それにより検出された車両4のモデルに関するデータも含まれる。価値査定モジュール36は、車両価格データとデジタル差分画像と修理データとに基づいて車両評価を実行する。オプションとして、前の所有者の数などの補足車両データも、デジタル画像とデジタル差分画像とを介して手動で入力され、車両評価を実行するときに価値査定モジュール36によって考慮に入れられ得る。
【符号の説明】
【0091】
1 車両測位ユニット
11 プラットフォーム
12 プラットフォーム位置検出ユニット
2 物体検出ユニット
21 個々の検出システム
22 検出エリア
23 測位ユニット
3 評価ユニット
31 個々の評価モジュール
32 全体的評価モジュール
33 生成モジュール
34 比較モジュール
341 比較モジュールのデータベース
35 修理計算モジュール
351 修理計算モジュールのデータベース
36 価値査定モジュール
361 価値査定モジュールのデータベース
4 車両
5 ハウジング