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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-06
(45)【発行日】2023-04-14
(54)【発明の名称】空調装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/0038 20190101AFI20230407BHJP
   F24F 11/74 20180101ALI20230407BHJP
【FI】
F24F1/0038 441
F24F11/74
【請求項の数】 32
(21)【出願番号】P 2021530246
(86)(22)【出願日】2019-12-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-17
(86)【国際出願番号】 JP2019047566
(87)【国際公開番号】W WO2020116551
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-05-27
(31)【優先権主張番号】18211139.3
(32)【優先日】2018-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】18211149.2
(32)【優先日】2018-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】18211153.4
(32)【優先日】2018-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】510048875
【氏名又は名称】ダイキン ヨーロッパ エヌ.ヴイ.
【氏名又は名称原語表記】DAIKIN EUROPE N.V.
【住所又は居所原語表記】Zandvoordestraat 300,Oostende 8400,Belgium
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】山口 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンデーレ,シュテファン
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-173322(JP,A)
【文献】特開2002-174448(JP,A)
【文献】特開2007-051864(JP,A)
【文献】国際公開第2015/173910(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/025877(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02821727(EP,A1)
【文献】米国特許第04655278(US,A)
【文献】米国特許第06038879(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0216558(US,A1)
【文献】英国特許出願公開第02528642(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/0038
F24F 11/00 - 11/89
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが所定空間と連通する還気入口および給気出口と、
内部を空気が前記給気出口に向かって流れることができるよう構成される第一主空気流路と、
内部を流れる冷媒と通過する空気との間で熱交換を行うよう前記第一主空気流路内に配置される第一熱交換器と、
前記所定空間の外部と連通する外気入口および排気出口と、
内部を空気が前記排気出口に向かって流れることができるよう構成される第二主空気流路と、
内部を流れる冷媒と通過する空気との間で熱交換を行うよう前記第二主空気流路内に配置される第二熱交換器と、
内部を空気が前記還気入口から前記排気出口に向かって流れることができるよう構成される排出用換気流路と、
少なくとも第一通過空気と第二通過空気と換気排出空気とのそれぞれの流れを調整するよう構成されている気流調整器と、
を備える空調装置であって、
前記第一通過空気は前記還気入口を通じて取り込まれる空気であって前記給気出口を通じて放出される空気であり、
前記第二通過空気が前記外気入口を通じて取り込まれる空気であって前記排気出口を通じて放出される空気であり、
記換気排出空気は前記還気入口を通じて取り込まれる空気であって前記排気出口を通じて放出される空気であり、
前記第二主空気流路は、その内部を空気が前記外気入口から前記給気出口に向かって流れるように構成されており、
前記排出用換気流路は前記換気排出空気が前記第二熱交換器を通過することができるよう構成されており、
前記気流調整器は前記第二通過空気および前記換気排出空気の流れを調整して、前記第二熱交換器を通り抜ける空気の温度が前記第二熱交換器に流れる二酸化炭素冷媒の超臨界温度より低くなるよう構成されている、
空調装置。
【請求項2】
請求項1に記載の空調装置であって、前記第二主空気流路は実質的に前記換気排出空気のみが前記第二熱交換器を通過することができるよう構成されている空調装置。
【請求項3】
それぞれが所定空間と連通する還気入口および給気出口と、
内部を空気が前記還気入口から前記給気出口に向かって流れることができるよう構成される第一主空気流路と、
内部を流れる冷媒と通過する空気との間で熱交換を行うよう前記第一主空気流路内に配置される第一熱交換器と、
それぞれが前記所定空間の外部と連通する外気入口および排気出口と、
内部を空気が前記外気入口から前記排気出口に向かって流れることができるよう構成される第二主空気流路と、
内部を流れる冷媒と通過する空気との間で熱交換を行うよう前記第二主空気流路内に配置される第二熱交換器と、
内部を空気が前記還気入口から前記排気出口に向かって流れることができるよう構成される排出用換気流路と、
少なくとも第一通過空気と第二通過空気と換気排出空気とのそれぞれの流れを調整するよう構成されている気流調整器と、
を備える空調装置であって、
前記第一通過空気は前記還気入口を通じて取り込まれる空気であって前記給気出口を通じて放出される空気であり、
前記第二通過空気が前記外気入口を通じて取り込まれる空気であって前記排気出口を通じて放出される空気であり、
前記換気排出空気は前記還気入口を通じて取り込まれる空気であって前記排気出口を通じて放出される空気であり、
前記第二主空気流路は、その内部を空気が前記外気入口から前記給気出口に向かって流れるように構成されており、
前記排出用換気流路は前記換気排出空気が前記第二熱交換器を通過することができるよう構成されており、
前記気流調整器は前記第二通過空気および前記換気排出空気の流れを調整して、前記第二熱交換器を通り抜ける空気の温度が前記第二熱交換器に流れる二酸化炭素冷媒の超臨界温度より低くなるよう構成されている、
空調装置。
【請求項4】
請求項に記載の空調装置であって、
前記排出用換気流路は前記第二通過空気を、前記第二通過空気が前記第二熱交換器を通過する前に、前記換気排出空気と混合できるよう構成されており、
前記第二通過空気が前記外気入口を通じて取り込まれる空気であって前記排気出口を通じて放出される空気である空調装置。
【請求項5】
請求項のいずれか1項に記載の空調装置であって、さらに、内部を空気が前記外気入口から前記給気出口に向かって流れることができるよう構成される供給用換気流路を備える空調装置。
【請求項6】
請求項に記載の空調装置であって、
前記供給用換気流路は前記第一通過空気を、前記第一通過空気が前記第一熱交換器を通過する前に、換気吸入空気と混合できるよう構成されており、
前記第一通過空気は前記還気入口を通じて取り込まれる空気であって前記給気出口を通じて放出される空気であり、
前記換気吸入空気は前記外気入口を通じて取り込まれる空気であって前記給気出口を通じて放出される空気である空調装置。
【請求項7】
請求項6に記載の空調装置であって、さらに、前記供給用換気流路の少なくとも一部と前記排出用換気流路の少なくとも一部とを形成して、前記換気吸入空気と前記換気排出空気との間で熱交換を行う全熱交換器を備える空調装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の空調装置であって、
前記気流調整器は、
前記第一主空気流路内に配置される第一主ダンパと、
前記第二主空気流路内に配置される第二主ダンパと、
前記排出用換気流路に配置される排出ダンパと、
を備える空調装置。
【請求項9】
請求項のいずれか1項に記載の空調装置であって、
前記第一熱交換器の空気通過方向が前記第一主空気流路の延設方向に対して傾斜するよう、前記第一熱交換器が配置されており、
前記第二熱交換器の空気通過方向が前記第二主空気流路の延設方向に対して傾斜するよう、前記第二熱交換器が配置されている空調装置。
【請求項10】
請求項のいずれか1項に記載の空調装置であって、前記第一主空気流路と前記第二主空気流路とが実質的に平行に配置され、かつ前記還気入口から前記給気出口への方向と前記外気入口から前記排気出口への方向とが実質的に反対向きとなるよう構成されている空調装置。
【請求項11】
請求項のいずれか1項に記載の空調装置であって、前記第一主空気流路と前記第二主空気流路とが実質的に平行に配置され、かつ前記還気入口から前記給気出口への方向と前記外気入口から前記排気出口への方向とが実質的に同じ向きとなるよう構成されている空調装置。
【請求項12】
求項のいずれか1項に記載の空調装置であって、
前記供給用換気流路と前記排出用換気流路とが実質的に平行に配置され、かつ前記外気入口から前記給気出口への方向と前記還気入口から前記排気出口への方向が実質的に反対向きとなるよう構成されている空調装置。
【請求項13】
求項のいずれか1項に記載の空調装置であって、
前記供給用換気流路と前記排出用換気流路とが実質的に平行に配置され、かつ前記外気入口から前記給気出口への方向と前記還気入口から前記排気出口への方向が実質的に同じ向きとなるよう構成されている空調装置。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の空調装置であって、さらに、前記第一熱交換器および前記第二熱交換器のそれぞれを冷媒圧縮機に、前記冷媒圧縮機の吐出側に接続される高圧気体冷媒パイプと前記冷媒圧縮機の吸引側に接続される低圧気体冷媒パイプとを介して、接続して、前記第一熱交換器と前記第二熱交換器と前記冷媒圧縮機とがヒートポンプ回路を形成するよう構成されるパイプ接続機構を備える空調装置。
【請求項15】
請求項14のいずれか1項に記載の空調装置であって、前記第一熱交換器および前記第二熱交換器のそれぞれは内部を二酸化炭素冷媒が流れるよう構成される空調装置。
【請求項16】
請求項1または2のいずれか1項に記載の空調装置であって、
前記第一熱交換器および前記第二熱交換器のそれぞれは内部を二酸化炭素冷媒が流れるよう構成されており、
前記気流調整器は前記換気排出空気の流れを調整して、前記第二熱交換器を通り抜ける空気の温度が前記第二熱交換器に流れる二酸化炭素冷媒の超臨界温度より低くなるよう構成されている空調装置。
【請求項17】
求項16のいずれか1項に記載の空調装置であって、
前記気流調整器は前記換気排出空気が前記第二熱交換器を通り抜けるか抜けないかを切り換えるよう構成されている空調装置。
【請求項18】
請求項17に記載の空調装置であって、さらに、前記外気入口から前記空調装置内へと引き込まれた空気の温度が所定の閾値以上であるという所定の条件を満たしているか否かを判断するように構成される制御器を備えており、
前記所定の条件を満たしている場合前記換気排出空気が前記第二熱交換器を通り抜け、また前記所定の条件を満たしていない場合前記換気排出空気が前記第二熱交換器を通り抜けるのを禁止するよう、前記第二通過空気および前記換気排出空気の流れを調整するように、前記気流調整器は構成されている空調装置。
【請求項19】
請求項7に記載の空調装置であって、
前記気流調整器は前記全熱交換器を通過した前記換気排出空気が前記第二熱交換器を通り抜けるか抜けないかを切り換えるよう構成されている空調装置。
【請求項20】
請求項1または2のいずれか1項に記載の空調装置であって、
前記第二熱交換器は、
内部を流れる冷媒と通過する空気との間で熱交換を行うよう構成される第二主熱交換器と、
内部を流れる冷媒と通過する空気との間で熱交換を行うよう前記排出用換気流路内に配置される第二副熱交換器と、
を備える空調装置。
【請求項21】
請求項20に記載の空調装置であって、前記第二熱交換器が凝縮器として機能するとき、前記第二副熱交換器は、前記第二主熱交換器を通って流れた冷媒が該第二副熱交換器の内部を流れるように構成されている空調装置。
【請求項22】
請求項3~19のいずれか1項に記載の空調装置であって、
前記第二熱交換器は、
内部を流れる冷媒と通過する空気との間で熱交換を行うよう構成される第二主熱交換器と、
内部を流れる冷媒と通過する空気との間で熱交換を行うよう前記排出用換気流路内に配置される第二副熱交換器と、
を備える空調装置。
【請求項23】
請求項22に記載の空調装置であって、前記第二熱交換器が凝縮器として機能するとき、前記第二副熱交換器は、前記第二主熱交換器を通って流れた冷媒が該第二副熱交換器の内部を流れるように構成されている空調装置。
【請求項24】
請求項22または23に記載の空調装置であって、前記第二副熱交換器は、前記換気排出空気が通過できるよう、かつ前記第二通過空気が通過できないよう配置されている空調装置。
【請求項25】
請求項2224のいずれか1項に記載の空調装置であって、前記第二副熱交換器と前記第二主熱交換器とはこの順で前記換気排出空気の気流の方向に沿って直列に配置されている空調装置。
【請求項26】
求項に記載の空調装置であって、
前記第二熱交換器は、
内部を流れる冷媒と通過する空気との間で熱交換を行うよう構成される第二主熱交換器と、
内部を流れる冷媒と通過する空気との間で熱交換を行うよう前記排出用換気流路内に配置される第二副熱交換器と、
を備え、 前記全熱交換器と前記第二副熱交換器と前記第二主熱交換器とはこの順で前記換気排出空気の気流の方向に沿って直列に配置されている空調装置。
【請求項27】
請求項2224のいずれか1項に記載の空調装置であって、前記第二主熱交換器は、前記第二通過空気が通過できるよう、かつ前記換気排出空気が通過できないよう配置されている空調装置。
【請求項28】
請求項27に記載の空調装置であって、
前記第二主熱交換器と前記第二副熱交換器とは一つの板形状を形成しており、
前記排出用換気流路は、空気が前記第二主熱交換器と前記第二副熱交換器とに引き込まれる空間を、空気が前記第二主熱交換器に引き込まれる主空間と空気が前記第二副熱交換器に引き込まれる副空間と、に分離する分離板を有する空調装置。
【請求項29】
請求項2228のいずれか1項に記載の空調装置であって、前記第二副熱交換器は前記第二通過空気の少なくとも一部と接するように配置されている空調装置。
【請求項30】
請求項7に記載の空調装置であって、
前記第二熱交換器は、
内部を流れる冷媒と通過する空気との間で熱交換を行うよう構成される第二主熱交換器と、
内部を流れる冷媒と通過する空気との間で熱交換を行うよう前記排出用換気流路内に配置される第二副熱交換器と、
を備え、
前記第二副熱交換器は、前記還気入口から前記排気出口への方向において前記全熱交換器の下流側に配置されている空調装置。
【請求項31】
請求項7に記載の空調装置であって、さらに、前記供給用換気流路内で前記外気入口と前記全熱交換器との間に配置される電気予熱器を備える空調装置。
【請求項32】
請求項1~31のいずれか1項に記載の空調装置であって、さらに、
少なくとも前記第一主空気流路と前記第二主空気流路と前記排出用換気流路とを収容する筐体と、
前記筐体内の空気を前記給気出口に向かって引き込むよう構成される第一ファンと、
前記筐体内の空気を前記排気出口に向かって引き込むよう構成される第二ファンと、
を備える空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
欧州特許出願公開第91643号明細書(EP0091643A2)には、換気吸入口と換気排出口との間で熱交換を行うよう構成される全熱交換器を有する空調装置が提案されている。この空調装置では、全熱交換器を通過した換気排出空気は、屋外熱交換器を通過した外気と合流し、そして外部に排出される。こうして、この空調装置は換気排出空気の熱を回収して空調装置の性能を向上させることができる。
【0003】
しかしながら、しかし、冷房運転動作時に外気が比較的高い場合や暖房運転動作時に外気が比較的低い場合には、屋外熱交換器が良好な熱交換効率を達成することは困難となる。このため、全熱交換器を用いたとしても、空調装置の性能を十分に改善できない場合がある。
【0004】
さらに、この空調装置は、屋内熱交換器が配置される屋内主空気流路と、屋外熱交換器が配置される屋外主空気流路と、供給用換気流路と、排出用換気流路と、を有する。したがって、空調装置は、空調システムの屋内ユニット、空調システムの屋外ユニット、および換気機として機能することができる。
【0005】
加えて、二酸化炭素冷媒の使用が人々の関心を引いている。二酸化炭素冷媒には、安全性、無毒性、低地球温暖化係数等の多くの利点がある。このため、上記空調装置には二酸化炭素冷媒を使用することが好ましい。一方、空調および/または換気される空間における二酸化炭素レベルは、たとえ二酸化炭素冷媒が漏れたとしても、低くしておかなければならない。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、より高性能な空調装置を提供することにある。本発明の他の目的は、二酸化炭素レベルが高くなるのを確実に防止できる空調装置および/または空調システムを提供することにある。
【0007】
本発明の第一の面では、還気入口と給気出口と第一主空気流路と第一熱交換器と排気出口と第二主空気流路と第二熱交換器と排出用換気流路とを備える空調装置を提供する。還気入口および給気出口はそれぞれ所定空間と連通する。第一主空気流路は、内部を空気が給気出口に向かって流れることができるよう構成される。第一熱交換器は、内部を流れる冷媒と通過する空気との間で熱交換を行うよう第一主空気流路内に配置される。排気出口は、所定空間の外部と連通する。第二主空気流路は、内部を空気が排気出口に向かって流れることができるよう構成される。第二熱交換器は、内部を流れる冷媒と通過する空気との間で熱交換を行うよう第二主空気流路内に配置される。排出用換気流路は、内部を空気が還気入口から排気出口に向かって流れることができるよう構成される。排出用換気流路は、換気排出空気が第二熱交換器を通過することができるよう構成されている。換気排出空気は、還気入口を通じて取り込まれる空気であって排気出口を通じて放出される。
【0008】
上記の構成により、外気を使用する場合よりも換気排出空気を使用する場合の方が、第二熱交換器を通過する空気の温度と第二熱交換器内を流れる冷媒の温度との間の差がより大きくなる。このため、第二熱交換器を備える空調システムの性能を、簡単な構造で向上させることができる。また、冷房運転動作時および暖房運転動作時の両方において低負荷で動作する範囲を広げることができる。
【0009】
上述した空調装置の好ましい態様では、第二主空気流路は実質的に換気排出空気のみが第二熱交換器を通過することができるよう構成される。
【0010】
この構成により、上記の温度差を最大化することができる。これにより、空調システムの性能をより向上させることができる。
【0011】
上述した空調装置のうちのいずれか1つにおいて他の好ましい態様では、空調装置はさらに所定空間の外部と連通する外気入口を有する。第二主空気流路は、その内部を空気が外気入口から排気出口に向かって流れることができるよう構成される。
【0012】
この構成によれば、第二通過空気が第二熱交換器を通り抜けるか抜けないかを切り換えることができる。このように、例えば外気の温度と第二熱交換器内に流れる冷媒の温度との差が比較的大きい場合などで、換気排出空気の流れを低減することができる。
【0013】
本発明の第二の面では、還気入口と給気出口と第一主空気流路と第一熱交換器と外気入口と排気出口と第二主空気流路と第二熱交換器と排出用換気流路とを備える空調装置を提供する。還気入口および給気出口は、それぞれが所定空間と連通する。第一主空気流路は、内部を空気が還気入口から給気出口に向かって流れることができるよう構成される。第一熱交換器は、内部を流れる冷媒と通過する空気との間で熱交換を行うよう第一主空気流路内に配置される。外気入口および排気出口は、それぞれが所定空間の外部と連通する。第二主空気流路は、内部を空気が外気入口から排気出口に向かって流れることができるよう構成される。第二熱交換器は、内部を流れる冷媒と通過する空気との間で熱交換を行うよう第二主空気流路内に配置される。排出用換気流路は、内部を空気が還気入口から排気出口に向かって流れることができるよう構成される。排出用換気流路は、換気排出空気が第二熱交換器を通過することができるよう構成されている。換気排出空気は、還気入口を通じて取り込まれる空気であって排気出口を通じて放出される。
【0014】
上記の構成により、第二熱交換器を通過する空気の温度と第二熱交換器内を流れる冷媒の温度との間の差を、換気排出空気を利用することによって、大きくできる。これにより、簡単な構造で空調装置の性能を向上させることができる。
【0015】
上述した空調装置の好ましい態様では、排出用換気流路は第二通過空気を、該第二通過空気が第二熱交換器を通過する前に、換気排出空気と混合できるよう構成されている。第二通過空気は、外気入口を通じて取り込まれる空気であって排気出口を通じて放出される。
【0016】
この構成により、冷房運転動作時および暖房運転動作時の両方において低負荷で動作する範囲を広げることができる。これにより、空調装置の性能をさらに向上させることができる。
【0017】
上述した空調装置のうちのいずれか1つにおいて他の好ましい態様では、空調装置は、さらに、内部を空気が外気入口から給気出口に向かって流れることができるよう構成される供給用換気流路を備える。
【0018】
この構成により、空調装置は、外部から所定空間に空気が流れることを可能にし、これにより、所定空間の強制給気を行うことができる。これにより、所定空間の換気性を高めることができる。
【0019】
上述した空調装置のうちのいずれか1つにおいて他の好ましい態様では、供給用換気流路は第一通過空気を、該第一通過空気が第一熱交換器を通過する前に、換気吸入空気と混合できるよう構成される。第一通過空気は還気入口を通じて取り込まれる空気であって給気出口を通じて放出される。換気吸入空気は外気入口を通じて取り込まれる空気であって給気出口を通じて放出される。
【0020】
この構成により、第一熱交換器を通過する空気の温度と第一熱交換器内を流れる冷媒の温度との間の差を、換気吸入空気を利用することによって、大きくできる。これにより、簡単な構造で空調装置の性能を向上させることができる。
【0021】
上述した空調装置のうちのいずれか1つにおいて他の好ましい態様では、空調装置は、さらに、供給用換気流路の少なくとも一部と排出用換気流路の少なくとも一部とを形成して、換気吸入空気と換気排出空気との間で熱交換を行う全熱交換器を備える。
【0022】
この構成により、換気吸入空気の温度は換気排出空気の温度によって中程度とされる。こうして、換気吸入空気を空調が行われる空間内へと取り込む場合でも空調装置の空調負荷を低減することができる。
【0023】
上述した空調装置のうちのいずれか1つにおいて他の好ましい態様では、空調装置は、さらに、少なくとも第一通過空気と第二通過空気と換気排出空気とのそれぞれの流れを調整するよう構成される気流調整器を備える。第一通過空気は還気入口を通じて取り込まれる空気であって給気出口を通じて放出される。第二通過空気が外気入口を通じて取り込まれる空気であって排気出口を通じて放出される。
【0024】
この構成により、第一通過空気と第二通過空気と換気排出空気とのそれぞれの流れを調整することができる。これにより、空調装置の空調性能および/または換気性能を最適化することができる。空気の流れの調整には、空気の流量の調整、空気の流量の他の空気の流量に対しての調整、および/または空気を流すか流さないかの切り換えが含まれうる。
【0025】
上述した空調装置のうちのいずれか1つにおいて他の好ましい態様では、気流調整器は、第一主空気流路内に配置される第一主ダンパと、第二主空気流路内に配置される第二主ダンパと、排出用換気流路に配置される排出ダンパと、を有する。
【0026】
この構成では、ダンパを用いるので、簡単な構造で第一通過空気と第二通過空気と換気排出空気とのそれぞれの流れを調整することができる。
【0027】
上述した空調装置のうちのいずれか1つにおいて他の好ましい態様では、第一熱交換器の空気通過方向が第一主空気流路の延設方向に対して傾斜するよう、第一熱交換器が配置される。そして、第二熱交換器の空気通過方向が第二主空気流路の延設方向に対して傾斜するよう、第二熱交換器が配置される。
【0028】
この構成により、第一熱交換器の空気通過面積を第一主空気流路の断面積より小さくすることができるとともに、第二熱交換器の空気通過面積を第二主空気流路の断面積より小さくすることができる。こうして、第一熱交換器および第二熱交換器の熱交換性能を維持しながら、空調装置の大きさを低減することができる。
【0029】
上述した空調装置のうちのいずれか1つにおいて他の好ましい態様では、第一主空気流路と第二主空気流路とが実質的に平行に配置され、かつ還気入口から給気出口への方向と外気入口から排気出口への方向とが実質的に反対向きとなるよう構成される。
【0030】
この構成により、第一主空気流路と第二主空気流路とを二つの側へと分離することができる。これにより、所定空間とその外側との間に配置することが容易な空調装置を得ることができる。また、第一通過空気と第二通過空気とは実質的に逆方向に流れる。これにより、第一熱交換器、第二熱交換器などの部品を配置するのに適した構成を得ることができる。
【0031】
上述した空調装置のうちのいずれか1つにおいて他の好ましい態様では、第一主空気流路と第二主空気流路とが実質的に平行に配置され、かつ還気入口から給気出口への方向と外気入口から排気出口への方向とが実質的に同じ向きとなるよう構成される。
【0032】
この構成により、第一主空気流路と第二主空気流路とを二つの側へと分離することができる。これにより、所定空間とその外側との間に配置することが容易な空調装置を得ることができる。また、第一通過空気と第二通過空気とは実質的に平行に流れる。これにより、第一通過空気と第二通過空気とを円滑に通過させるのに適した構成を得ることができる。
【0033】
上述した空調装置のうちのいずれか1つにおいて他の好ましい態様では、供給用換気流路と排出用換気流路とが実質的に平行に配置され、かつ外気入口から給気出口への方向と還気入口から排気出口への方向が実質的に反対向きとなるよう構成される。
【0034】
この構成により、換気吸入空気と換気排出空気とは実質的に逆向きに流れる。これにより、全熱交換器、第一ファン、第二ファンなどの部品を配置するのに適した構成を得ることができる。
【0035】
上述した空調装置のうちのいずれか1つにおいて他の好ましい態様では、供給用換気流路と排出用換気流路とが実質的に平行に配置され、かつ外気入口から給気出口への方向と還気入口から排気出口への方向が実質的に同じ向きとなるよう構成される。
【0036】
この構成により、換気吸入空気と換気排出空気とは実質的に平行に流れる。これにより、換気吸入空気と換気排出空気とを円滑に通過させるのに適した構成を得ることができる。
【0037】
上述した空調装置のうちのいずれか1つにおいて他の好ましい態様では、空調装置は、さらに、第一熱交換器および第二熱交換器のそれぞれを冷媒圧縮機に、冷媒圧縮機の吐出側に接続される高圧気体冷媒パイプと冷媒圧縮機の吸引側に接続される低圧気体冷媒パイプとを介して、接続して、第一熱交換器と第二熱交換器と冷媒圧縮機とがヒートポンプ回路を形成するよう構成されるパイプ接続機構を備える。
【0038】
この構成により、ヒートポンプ回路の冷媒圧縮機等を空調装置に搭載することなく空調システムを得ることができる。これにより、コンパクトで、軽量で、静かで、かつ/または設計、設置、メンテナンスが容易な空調装置を得ることができる。
【0039】
上述した空調装置のうちのいずれか1つにおいて他の好ましい態様では、第一熱交換器および第二熱交換器のそれぞれは内部を二酸化炭素冷媒が流れるよう構成される。
【0040】
二酸化炭素冷媒を用いるシステムの熱交換効率は、R410Aまたは他のHFCなど他の冷媒を用いる同様のシステムより低い傾向がある。この点、上記の空調装置においては、第二熱交換器が換気排出空気と熱を交換することができるので、二酸化炭素冷媒を用いているにもかかわらずその熱交換効率を向上させることができる。
【0041】
上述した空調装置のうちのいずれか1つにおいて他の好ましい態様では、気流調整器は第二通過空気および換気排出空気の流れを調整して、第二熱交換器を通り抜ける空気の温度が第二熱交換器に流れる二酸化炭素冷媒の超臨界温度より低くなるよう構成される。
【0042】
この構成により、第二熱交換器において二酸化炭素冷媒との熱交換を受ける空気の温度は、二酸化炭素冷媒の超臨界温度より低く維持することができる。
【0043】
上述した空調装置のうちのいずれか1つにおいて他の好ましい態様では、第一熱交換器および第二熱交換器のそれぞれは内部を二酸化炭素冷媒が流れるよう構成される。気流調整器は第二通過空気および換気排出空気の流れを調整して、第二熱交換器を通り抜ける空気の温度が第二熱交換器に流れる二酸化炭素冷媒の超臨界温度より低くなるよう構成される。
【0044】
二酸化炭素冷媒を用いるシステムの熱交換効率は、R410Aまたは他のHFCなど他の冷媒を用いる同様のシステムより低い傾向がある。この点、上記の空調装置においては、第二熱交換器が換気排出空気と熱を交換することができるので、二酸化炭素冷媒を用いているにもかかわらずその熱交換効率を向上させることができる。さらに、第二熱交換器において二酸化炭素冷媒との熱交換を受ける空気の温度は、二酸化炭素冷媒の超臨界温度より低く維持することができる。
【0045】
上述した空調装置のうちのいずれか1つにおいて他の好ましい態様では、気流調整器は換気排出空気が第二熱交換器を通り抜けるか抜けないかを切り換えるよう構成される。
【0046】
この構成により、適切な気流をより確実に達成することができる。
【0047】
上述した空調装置のうちのいずれか1つにおいて他の好ましい態様では、空調装置は、さらに、外気入口から空調装置内へと引き込まれた空気の温度が所定の閾値以上であるという所定の条件を満たしているか否かを判断するように構成される制御器を備える。そして、所定の条件を満たしている場合換気排出空気が第二熱交換器を通り抜け、また所定の条件を満たしていない場合換気排出空気が第二熱交換器を通り抜けるのを禁止するよう、第二通過空気および換気排出空気の流れを調整するように、気流調整器は構成される。
【0048】
この構成により、第二熱交換器において冷媒との熱交換を受ける空気の温度を、適切に低下することができる。こうして、第二熱交換器の熱交換効率をさらに向上できる。
【0049】
上述した空調装置のうちのいずれか1つにおいて他の好ましい態様では、気流調整器は全熱交換器を通過した換気排出空気が第二熱交換器を通り抜けるか抜けないかを切り換えるよう構成される。
【0050】
この構成により、適切な気流をより確実に達成することができる。
【0051】
上述した空調装置のうちのいずれか1つにおいて他の好ましい態様では、第二熱交換器は、第二主熱交換器と第二副熱交換器とを有する。第二主熱交換器は、内部を流れる冷媒と通過する空気との間で熱交換を行うよう構成される。第二副熱交換器は、内部を流れる冷媒と通過する空気との間で熱交換を行うよう排出用換気流路内に配置される。
【0052】
つまり、第二通過空気の流量に対する換気排出空気の流量が、第二主熱交換器よりも第二副熱交換器においてより大きくなるよう、第二副熱交換器は配置される。そのために、冷媒は、冷房運転動作において、第二主熱交換器を通って流れた後のより冷たい空気との熱交換を受けることができる。したがって、熱交換効率を冷房運転動作において向上できる。
【0053】
上述した空調装置のうちのいずれか1つにおいて他の好ましい態様では、第二熱交換器が凝縮器として機能するとき、第二副熱交換器は、第二主熱交換器を通って流れた冷媒が該第二副熱交換器の内部を流れるように構成される。
【0054】
この構成により、冷房運転動作時における熱交換効率を確実に向上することができる。
【0055】
上述した空調装置のうちのいずれか1つにおいて他の好ましい態様では、第二熱交換器は、第二主熱交換器と第二副熱交換器とを有する。第二主熱交換器は、内部を流れる冷媒と通過する空気との間で熱交換を行うよう構成される。第二副熱交換器は、内部を流れる冷媒と通過する空気との間で熱交換を行うよう排出用換気流路内に配置される。
【0056】
つまり、第二通過空気の流量に対する換気排出空気の流量が、第二主熱交換器よりも第二副熱交換器においてより高くなるよう、第二副熱交換器は配置される。そのために、冷媒は、冷房運転動作において、第二主熱交換器を通って流れた後のより冷たい空気との熱交換を受けることができる。したがって、熱交換効率を冷房運転動作において向上できる。
【0057】
上述した空調装置のうちのいずれか1つにおいて他の好ましい態様では、第二熱交換器が凝縮器として機能するとき、第二副熱交換器は、第二主熱交換器を通って流れた冷媒が該第二副熱交換器の内部を流れるように構成される。
【0058】
この構成により、冷房運転動作時における熱交換効率を確実に向上することができる。
【0059】
上述した空調装置のうちのいずれか1つにおいて他の好ましい態様では、第二副熱交換器は、換気排出空気が通過できるよう、かつ第二通過空気が通過できないよう配置される。
【0060】
この構成により、第二副熱交換器における第二通過空気の流量に対する換気排出空気の流量を第二主熱交換器よりも大きくすることができる。第二副熱交換器を、第二通過空気が通過できないよう、配置することもできる。
【0061】
上述した空調装置のうちのいずれか1つにおいて他の好ましい態様では、第二副熱交換器と第二主熱交換器とはこの順で換気排出空気の気流の方向に沿って直列に配置される。
【0062】
この構成により、換気排出空気を、第二副熱交換器を通過した後の第二通過空気と混合することができる。これにより、第二副熱交換器における第二通過空気の流量に対する換気排出空気の流量を第二主熱交換器よりも大きくすることができる。
【0063】
上述した空調装置のうちのいずれか1つにおいて他の好ましい態様では、全熱交換器と第二副熱交換器と第二主熱交換器とはこの順で換気排出空気の気流の方向に沿って直列に配置される。
【0064】
この構成により、第二熱交換器の熱交換効率をさらに向上することができる。
【0065】
上述した空調装置のうちのいずれか1つにおいて他の好ましい態様では、第二主熱交換器は、第二通過空気が通過できるよう、かつ換気排出空気が通過できないよう配置される。
【0066】
この構成により、第二副熱交換器における第二通過空気の流量に対する換気排出空気の流量を第二主熱交換器よりも大きくすることができる。第二主熱交換器を、換気排出空気が通過できないよう、配置することもできる。
【0067】
上述した空調装置のうちのいずれか1つにおいて他の好ましい態様では、第二主熱交換器と第二副熱交換器とは一つの板形状を形成している。そして、排出用換気流路は、空気が第二主熱交換器と第二副熱交換器とに引き込まれる空間を、空気が第二主熱交換器に引き込まれる主空間と空気が第二副熱交換器に引き込まれる副空間と、に分離する分離板を有する。
【0068】
この構成により、分離板は、第二主熱交換器および第二副熱交換器の上流側で第二主空気流路と排出用換気流路とを分離する。これにより、第二副熱交換器における第二通過空気の流量に対する換気排出空気の流量を第二主熱交換器よりも大きくすることができる。
【0069】
上述した空調装置のうちのいずれか1つにおいて他の好ましい態様では、第二副熱交換器は第二通過空気の少なくとも一部と接するように配置される。
【0070】
この構成により、第二副熱交換器を流れる冷媒と第二通過空気との間の熱交換が行われる。こうして、換気排出空気が第二副熱交換器を通過しない場合であっても、空調装置の性能を向上できる。
【0071】
上述した空調装置のうちのいずれか1つにおいて他の好ましい態様では、第二副熱交換器は、還気入口から排気出口への方向において全熱交換器の下流側に配置される。
【0072】
この構成により、全熱交換器における換気吸入空気と温度と換気排出空気の温度との間の差が、第二副熱交換器によって小さくなることがない。したがって、全熱交換器における熱交換効率を高く維持することができる。
【0073】
上述した空調装置のうちのいずれか1つにおいて他の好ましい態様では、空調装置はさらに、供給用換気流路内で外気入口と全熱交換器との間に配置される電気予熱器を備える。
【0074】
この構成により、暖房運転動作時に、すなわち第一熱交換器が凝縮器として機能する場合、全熱交換器に流れ込む前に換気吸入空気をあらかじめ加熱することができる。これにより、冷たい空気が給気出口から放出されることが防止され、全熱交換器の熱交換負荷を低減することができる。
【0075】
上述した空調装置のうちのいずれか1つにおいて他の好ましい態様では、空調装置はさらに、筐体と第一ファンと第二ファンとを備える。筐体は、少なくとも第一主空気流路と第二主空気流路と排出用換気流路とを収容する。第一ファンは、筐体内の空気を給気出口に向かって引き込むよう構成される。第二ファンは、筐体内の空気を排気出口に向かって引き込むよう構成される。
【0076】
この構成により、空調システムの屋内ユニットと空調システムの屋外ユニットと換気機とが一つのユニットとして共通の筐体内に一体化される。これにより、設計、設置、メンテナンスが容易な空調装置を得ることができる。さらに、空調装置において適切な気流が生成されるので、空調装置の性能が保証される。
【0077】
本発明の第三の面では、還気入口と給気出口と第一主空気流路と第一熱交換器と外気入口と排気出口と第二主空気流路と第二熱交換器と供給用換気流路と排出用換気流路と第一ファンと第二ファンと制御器とを備える空調装置を提供する。還気入口および給気出口は、それぞれが所定空間と連通する。第一主空気流路は、内部を空気が還気入口から給気出口に向かって流れることができるよう構成される。第一熱交換器は、内部を流れる二酸化炭素冷媒と通過する空気との間で熱交換を行うよう第一主空気流路内に配置される。外気入口および排気出口は、それぞれが所定空間の外部と連通する。第二主空気流路は、内部を空気が外気入口から排気出口に向かって流れることができるよう構成される。第二熱交換器は、内部を流れる二酸化炭素冷媒と通過する空気との間で熱交換を行うよう第二主空気流路内に配置される。供給用換気流路は、内部を空気が外気入口から給気出口に向かって流れることができるよう構成される。排出用換気流路は、内部を空気が還気入口から排気出口に向かって流れることができるよう構成される。第一ファンは、給気出口に向かう気流を生じさせるよう構成される。第二ファンは、排気出口に向かう気流を生じさせるよう構成される。制御器は、所定空間内の二酸化炭素レベルを示すCO2情報を取得し、該CO2情報に応じて少なくとも第一ファンと第二ファンとを制御するよう構成される。
【0078】
上記の構成により、第一ファンおよび第二ファンを両方とも、所定空間内の二酸化炭素レベルに応じて所定空間における換気量を大きくするよう動作させることができる。こうして、たとえ二酸化炭素冷媒が漏れたとしても、空調および/または換気される空間内の二酸化炭素レベルが高くなってしまうことを防止することができる。所定空間内の二酸化炭素レベルを、所定空間にある空気のまたは所定空間から取り込まれる空気の二酸化炭素濃度とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
図1】本発明の実施形態にかかる複数の空調装置を有する空調システムの配置を示す概略図である。
図2】空調装置の設置を示す斜視図である。
図3】空調装置の構造的な構成を示す概略図である。
図4】空調装置の概略的な配管図である。
図5】空調システムの概略的な配管図である。
図6】空調システムの機能的な構成を示すブロック図である。
図7】空調装置の熱回収標準状態を示す概略図である。
図8】空調装置の非熱回収標準状態を示す概略図である。
図9】空調装置の低換気状態を示す概略図である。
図10】空調装置の空調状態を示す概略図である。
図11】空調装置の弱冷房状態を示す概略図である。
図12】空調装置のフリークーリング状態を示す概略図である。
図13】空調装置の冷媒排出状態を示す概略図である。
図14】空調装置とその周辺との圧力平衡を説明するための概略図である。
図15】空調装置によって実行されるプロセスを示すフローチャートである。
図16】空調装置の第一変形例の概略的な構成を示す概略図である。
図17】空調装置の第二変形例の概略的な構成を示す概略図である。
図18】空調装置の第三変形例の概略的な構成を示す概略図である。
図19】空調装置の第四変形例の概略的な構成を示す概略図である。
図20】空調装置の第五変形例の概略的な構成を示す概略図である。
図21】空調装置の第六変形例の概略的な構成を示す概略図である。
図22】空調システムの変形例の概略的な配管図である。
【発明を実施するための形態】
【0080】
本発明にかかる、空調装置および空調システムの好ましい実施形態を図面を参照して以下に説明する。
【0081】
(空調システムの構成)
図1は、本発明にかかる複数の空調装置を有する空調システムの配置を示す概略図である。
【0082】
空調システム100は、二酸化炭素 (CO2)冷媒を用いるヒートポンプ式空調システムである。図1に示す通り、空調システム100のほとんどの部分は建物200内に配置されている。この建物は、複数の所定空間220と機械空間(機械室)210とを有する。所定空間220のそれぞれは、必要に応じて換気および/または空調が行われる空間である。所定空間220の数は、本の実施形態では4つであるが、1つであってもよいし、2つであってもよいし、他の正の整数であってもよい。機械空間210はこの実施形態において建物200内にあるが、機械空間210は本実施形態においては建物200内にあるが、実質的に建物200の外部230に配置することもできる。各空間の位置に関する配置は図1に示した配置に限定されない。
【0083】
空調システム100は、複数の空調装置300と冷媒圧縮機システム400と複数の室内CO2センサ510と機械室CO2センサ511とを備える。複数の空調装置300は略同じ構成を有する。複数の室内CO2センサ510および機械室CO2センサ511は略同じ構成を有する。
【0084】
第一~第四空調装置300-1~300-4は、第一~第四の所定空間220-1~200-4内にまたは近接してそれぞれ配置される。冷媒圧縮機システム400は、機械空間210からそれぞれの空調装置300へと延設される。冷媒圧縮機システム400は、機械空間210内に配置される圧縮機ユニット410を有する。第一~第四室内CO2センサ510-1~510-4は、第一~第四の所定空間220-1~200-4内にそれぞれ配置される。機械室CO2センサ511は機械空間210内に配置される。CO2センサ510,511はそれぞれ、対応する空間220,210の床面に近くに配置されることが好ましい。CO2センサ510,511のそれぞれとして、一般的な冷媒漏出検出を行うセンサは利用することができる。
【0085】
図2は、空調装置300の設置を示す斜視図である。
【0086】
所定空間220はそれぞれ、垂直方向には天井スラブ261と床スラブ262によって実質的に区分けされ、水平方向には内壁240のうちの一つ以上によって実質的に区分けされる。内壁240の少なくとも一つは、建物200の外壁520に面しており(図1参照)、かつその面している外壁520から間隔を空けて配置される。
【0087】
図2に示す通り、空調装置300は所定空間220と外部230との間に配置される。より具体的には、空調装置300は、天井スラブ261とスラブ262と内壁240と外壁520とによって形成される背壁空間270内に設置される。
【0088】
内壁240には、空調装置300に面する領域に検査開口部(図示せず)と、開口部を覆う検査扉243と、が配置されている。内壁240には、内壁240の開口部であるRA(Return-Air(還気))吸気格子(グリル)241とSA((Supply-Air)給気)放出グリル242とが形成される。外壁250には、外壁250の開口部であるOA(Outside-Air(外気))吸気グリル251とEA((Exhaust-Air)排気)放出グリル252とが形成される。それぞれのグリル241,242,251,252の背壁空間270側は、ダクト(図示せず)等によって空調装置300に接続される。これにより、空調装置300は、二つの異なる位置で所定空間220と、そして二つの異なる位置で外部230と、連通する。
【0089】
空調装置300は、水平方向に薄い略箱形状を有することが好ましい。この形状は、背壁空間270を可能な限り薄くしながら、空調装置300を背壁空間270内に配置するのに有用である。一方、空調装置300の配置は図2に示した配置に限定されるものではない。例えば、空調装置300の一部を所定空間220にかつ/または外部230に露出させることもでき、空調装置300の全体を所定空間220または外部230に露出させることもできる。
【0090】
それぞれの空調装置300において、空調システムの室内ユニット、空調システムの屋外ユニット、換気機(ベンチレータ)および空気熱回収機が一体化されている。
【0091】
図3は、空調装置300の構造的な構成を示す概略図である。
【0092】
例えば、図3における左側および右側は、それぞれ図2における上側および下側に対応し、図3における上下方向は、図2における奥行き方向に対応する。言い換えれば、図3における左側および右側を、空調装置300が用いられる状態において上側および下側にそれぞれ対応させることもでき、図3における上下方向は、内壁240および/または外壁520に沿って延びる水平方向に対応させることもできる。
【0093】
空調装置300は筐体(ハウジング)301、還気入口321と給気出口322と外気入口323と排気出口324とRA分離器(セパレータ)311とSAセパレータ312とOAセパレータ313とEAセパレータと全熱交換器344を有する。
【0094】
筐体301は、略直方体形状を有し、空調装置300のほとんどの部分を収容する箱状部材である。筐体301は、内壁240および/または外壁250と実質的に平行な一対の対向する主面を有する(図3では前方と後方とに配置されているので省略)。
【0095】
還気入口321と給気出口322のそれぞれは、所定空間220と連通する。また、外気入口323と排気出口324のそれぞれは、外部230と連通する(図2を参照)。より具体的には、還気入口321、給気出口322、外気入口323および排気出口324のそれぞれは、筐体301に形成された開口部を有する。還気入口321、給気出口322、外気入口323および排気出口324は、それぞれRA吸気グリル241、SA放出グリル242、OA吸気グリル251およびEA放出グリル252にダクトなどによってこの順で接続される。
【0096】
還気入口321、給気出口322、外気入口323および排気出口324は、筐体301の上述の主面と実質的に平行な、つまり内壁240および/または外壁250と実質的に平行な同じ面に実質的に沿って配置される。
【0097】
給気出口322と外気入口323は、筐体301の同じ第一面302上に、好ましくは空調装置300が用いられる状態において給気放出グリル242および外気吸気グリル251に近い側に、配置される。還気入口321と排気出口324は、第一面302とは反対側にある筐体301の同じ第二面303上に、好ましくは空調装置300が用いられる状態において還気吸気グリル241よび排気放出グリル252に近い側に、配置される。
【0098】
筐体301は、互いに反対側にある第三面304および第四面305を有する。第三面304および第四面305は、それぞれが第一面302と第二面303との両方に接続されている。還気入口321および給気出口322は、第四面305よりも第三面304に近い方に配置される。そして、外気入口323および排気出口324は第三面304よりも第四面305に近い方に配置される。言い換えれば、還気入口321、給気出口322、外気入口323および排気出口324は、筐体301の周囲にこの順で配置される。
【0099】
筐体301は、互いに反対側にある第五面および第六面(図示せず)を上述した主面として有する。第五面および第六面は、それぞれが第一面302~第四面305のすべてに接続されている。
【0100】
RAセパレータ311、SAセパレータ312、OAセパレータ313およびEAセパレータ314は、筐体301内に配置される。また、それぞれは筐体301の第五面と第六面との両方に接続されている。セパレータ311,312,313,314のそれぞれは、第三面304および/または第四面305と実質的に平行である。
【0101】
RAセパレータ311は還気入口321に近い方に配置される。同時に、RAセパレータ311はRAセパレータ311と筐体301の第二面303との間に開口部を形成するよう構成される。SAセパレータ312は、給気出口322に近い方に配置され、RAセパレータ311と実質的に同一面内にある。SAセパレータ312は、筐体301の第一面302とRAセパレータ311との両方に接続される。一方、RAセパレータ311とSAセパレータ312との間に開口部が形成されている。こうして、RAセパレータ311とSAセパレータ312とのセパレータ・ユニット(以降「第一セパレータ・ユニット316」という)は、筐体301の内部空間を分離する。第一セパレータ・ユニット316は、還気入口321の近くに一の開口部と中央部に他の開口部とを有する。
【0102】
OAセパレータ313は外気入口323の近くに配置される。同時に、OAセパレータ313はOAセパレータ313と筐体301の第一面302との間に開口部を形成するよう構成される。EAセパレータ314は、排気出口324に近い方に配置され、OAセパレータ313と実質的に同一面内にある。同時に、EAセパレータ314はEAセパレータ314と筐体301の第二面303との間に開口部を形成するよう構成される。この開口部を以降では「内部アパーチャ315」という。EAセパレータ314はOAセパレータ313に接続されている。一方、OAセパレータ313とEAセパレータ314との間に開口部が形成されている。こうして、OAセパレータ313とEAセパレータ314とのセパレータ・ユニット(以降「第二セパレータ・ユニット」という)は、筐体301の内部空間を分離する。第二セパレータ・ユニットは、外気入口323の近くに一の開口部と中央部に他の開口部と排気出口324の近くにさらに他の開口部(内部アパーチャ315)とを有する。
【0103】
第一セパレータ・ユニット316と第二セパレータ・ユニット317とは、互いから間隔を空けて配置される。第一セパレータ・ユニット316は第三面304側に配置される。また、第二セパレータ・ユニット317は第四面305側に配置される。言い換えれば、第一セパレータ・ユニット316は、第二セパレータ・ユニット317よりも還気入口321および給気出口322に近い方に配置されており、そして第二セパレータ・ユニット317は、第一セパレータ・ユニット316よりも外気入口323および排気出口324に近い方に配置されている。
【0104】
第一セパレータ・ユニット316および第二セパレータ・ユニット317は、還気入口321と排気出口324との間の領域と給気出口322と外気入口323との間の領域とから、互いに実質的に平行に延設されている。好ましくは、図2に示す通り、第一セパレータ・ユニット316および第二セパレータ・ユニット317の延設方向は、外気入口323および/または還気入口321に向かって多少傾斜している。第一セパレータ・ユニット316のRAセパレータ311と第二セパレータ・ユニット317のEAセパレータ314との間には還気入口321と連通する空間が形成される。SAセパレータ312とOAセパレータ313との間には外気入口323と連通する空間が形成される。
【0105】
全熱交換器344は、第一セパレータ・ユニット316と第二セパレータ・ユニット317との間に配置される。全熱交換器344は、互いに合流することなくライナーを介して互いに交差する複数の第一空気経路および複数の第二空気経路(部分的に図3に示す)を有する。全熱交換器344は、第一空気経路を通過する空気と第二空気経路を通過する空気と間の全熱交換を行うよう構成される。
【0106】
SAセパレータ312とOAセパレータ313との間に形成される上述の空間およびRAセパレータ311とSAセパレータ312と間に形成される上述の開口部のそれぞれと第一空気経路が連通するよう、全熱交換器344が配置される。また、RAセパレータ311とEAセパレータ314との間に形成される上述の空間およびOAセパレータ313とEAセパレータ314との間に形成される上述の開口部それぞれと第二空気経路が連通するよう、全熱交換器344が配置される。
【0107】
こうして、空調装置300は、筐体301に収容される第一主空気流路331、第二主空気流路332、供給用換気流路333および排出用換気流路334を有する。
【0108】
第一主空気流路331は、筐体301の第三面304と第一セパレータ・ユニット316との間に実質的に形成される空間である。第一主空気流路331は、内部を空気が還気入口321から給気出口322に向かって流れることができるよう構成される。還気入口321を通じて取り込まれそして給気出口322を通じて放出される空気を、以降では「第一通過空気611」という。図3の一点破線の矢印のうちの一つで示す通り、第一通過空気611は第一主空気流路331内を流れる。
【0109】
第二主空気流路332は、筐体301の第四面305と第二セパレータ・ユニット317と間に実質的に形成された空間である 第二主空気流路332は、その内部を空気が外気入口323 から排気出口324に向かって流れることができるよう構成される。外気入口323を通じて取り込まれそして排気出口324を通じて放出される空気を、以降では「第二通過空気612」という。図3の一点破線の矢印のうちの一つで示す通り、第二通過空気612は第二主空気流路332内を流れる。
【0110】
なお、第一主空気流路331と第二主空気流路332とが実質的に平行に配置され、かつ還気入口321から給気出口322への方向と、外気入口323から排気出口324への方向とが実質的に反対向きとなるよう構成されることを記載しておく。
【0111】
供給用換気流路333は、外気入口323の近くにあるOAセパレータ313の上述の開口部と、OAセパレータ313とSAセパレータ312との間に形成される上述の空間と、全熱交換器344の第一空気経路と、SAセパレータ312とRAセパレータ311との間に形成される上述の開口部と、によって実質的に形成される。供給用換気流路333は、内部を空気が外気入口323から給気出口322に向かって空気が流れることができるよう構成される。外気入口323を通じて取り込まれそして給気出口322を通じて放出される空気を、以降では「換気吸入空気613」という。図3の一点破線の矢印のうちの一つで示す通り、換気吸入空気613は、第二主空気流路332の一部、供給用換気流路333そしてその後第一主空気流路331の一部を流れる。
【0112】
排出用換気流路334は、還気入口321の近くにあるRAセパレータ311の上述の開口部と、RAセパレータ311とEAセパレータ314との間に形成される上述の空間と、全熱交換器344の第二空気経路と、OAセパレータ313とEAセパレータ314との間に形成される上述の開口部と、によって実質的に形成される。排出用換気流路334は、内部を空気が還気入口321から排気出口324に向かって流れることができるよう構成される。還気入口321を通じて取り込まれそして排気出口324を通じて放出される空気を、以降では「換気排出空気614」という。図3の一点破線の矢印のうちの一つで示す通り、換気排出空気614は、第一主空気流路331の一部、排出用換気流路334そしてその後第二主空気流路332の一部を流れる。
【0113】
また、全熱交換器344は、供給用換気流路333の少なくとも一部と排出用換気流路334の少なくとも一部とを形成するとも言える。こうして、全熱交換器344は、換気吸入空気613と換気排出空気614との間の熱交換を行うよう構成される。
【0114】
空調装置300はさらに、第一熱交換器341と第二主熱交換器342と第二副熱交換器343とを有する。第一熱交換器341と一セットの第二主熱交換器342および第二副熱交換器343とは、ヒートポンプ回路の蒸発器および凝縮器として機能するように構成される。第一熱交換器341、第二主熱交換器342および第二副熱交換器343のそれぞれは、内部を流れる冷媒と通過する空気との間で熱交換を行うよう構成される。なお、第二主熱交換器342と第二副熱交換器343とを、単一の熱交換器(第二熱交換器342,343)と見なすこともできることを記載しておく。
【0115】
第一熱交換器341は第一主空気流路331内に配置される。より具体的には、第一熱交換器341は、RAセパレータ311とSAセパレータ312との間に形成される上述の開口部(つまり全熱交換器344の第一空気経路の出口)と給気出口322との間に配置される。言い換えれば、第一熱交換器341は、第一通過空気611だけでなく換気吸入空気613も通過できるよう、配置される。また、供給用換気流路333は、第一通過空気611を、第一通過空気611が第一熱交換器341を通過する前に、換気吸入空気613と混合できるよう構成されるとも言える。好ましくは、第一熱交換器341の空気通過方向が第一主空気流路331の延設方向に対して傾斜するよう、第一熱交換器341が配置されている。
【0116】
第二熱交換器342は第二主空気流路332内に配置される。より具体的には、第二主熱交換器342は、OAセパレータ313とEAセパレータ314との間に形成される上述の開口部(つまり全熱交換器344の第二空気経路の出口)と排気出口324との間に配置される。言い換えれば、第二主熱交換器342は、第二通過空気612だけでなく換気排出空気614も通過できるよう、配置される。また、排出用換気流路334は、第二通過空気612を、第二通過空気612が第二主熱交換器342を通過する前に、換気排出空気614と混合できるよう構成されるとも言える。好ましくは、第二主熱交換器342の空気通過方向が第二主空気流路332の延設方向に対して傾斜するよう、第二主熱交換器342は配置される。
【0117】
第二副熱交換器343は排出用換気流路334に配置される。第二副熱交換器343は、還気入口321から排気出口324への方向において全熱交換器344の下流側に(つまり全熱交換器344の第二空気経路の出口側に)配置されている。より具体的には、第二副熱交換器343は、OAセパレータ313とEAセパレータ314との間に形成される上述の開口部を覆うよう(つまり全熱交換器344の第二空気経路の出口を覆うよう)、第二主空気流路332内に配置される。
【0118】
このように、全熱交換器344、第二副熱交換器343および第二主熱交換器342は、この順で換気排出空気614の気流の方向に沿って直列に配置される。第二副熱交換器343は、換気排出空気614が通過できるよう、かつ第二通過空気612が通過するのを防止すると同時に換気排出空気614を第二通過空気612の少なくとも一部と接触させるよう、配置されると言える。また、第二通過空気612の流量に対する換気排出空気614の流量が、第二主熱交換器342よりも第二副熱交換器343においてより大きくなるよう、第二副熱交換器343は配置されると言える。
【0119】
排出用換気流路334はさらに、筐体301内に排出バイパス流路335を有する。排出バイパス流路335は、排気出口324の近くにあるEAセパレータ314の上述の内部アパーチャ315によって実質的に形成される。
【0120】
排出バイパス流路335は、内部を空気が還気入口321から排気出口324に向かって流れることができるよう、しかもその空気が第一熱交換器341、全熱交換器344および第二主熱交換器342のうちのいずれの一つも通過しないよう、構成される。還気入口321を通じて取り込まれ、そして全熱交換器344を通過することなく(つまり排出バイパス流路335を通過することによって)排気出口324を通じて放出される空気を、以降では「排出バイパス空気615」という。図3の一点破線の矢印のうちの一つで示す通り、排出バイパス空気615は、第一主空気流路331の一部、排出バイパス流路335そしてその後第二主空気流路332の一部を流れる。排出バイパス空気615を換気排出空気614の一部であるとも言える。
【0121】
空調装置300はさらに、第一ファン345と第二ファン346と第三ファン347と第一主ダンパ351と第二主ダンパ352と第二副ダンパ353と排出バイパスダンパ(排出ダンパ)354とを有する。第一主ダンパ351、第二主ダンパ352、第二副ダンパ353および排出バイパスダンパ(排出ダンパ)354のそれぞれはモータ・ダンパである。
【0122】
第一ファン345は、給気出口322を好ましくは筐体301の内部から覆うよう、第一主空気流路331に配置される。第一ファン345は、筐体301内の空気を給気出口322に向かって引き込むよう、構成される。
【0123】
第二ファン346は、排気出口324を好ましくは筐体301の内部から覆うよう、第二主空気流路332に配置される。第二ファン346は、筐体301内の空気を排気出口324に向かって引き込むよう、構成される。
【0124】
第三ファン347は、供給用換気流路333に、つまり外気入口323と全熱交換器344との間に、配置される。第三ファン347は、空気を外気入口323から給気出口322に向かって全熱交換器344の第一空気経路を通じて引き込むよう、構成される。
【0125】
第一主ダンパ351は、第一主空気流路331内の、還気入口321と第一熱交換器341との間に配置される。より具体的には、第一主ダンパ351は、第一主空気流路331と排出用換気流路334とが分岐する点と、第一主空気流路331と供給用換気流路333とが合流する点と、の間に配置される。このように、第一主ダンパ351は第一通過空気611の流れを調整するよう構成される。なお、本実施形態において空気の流れの調整には、空気の流量を段階的にまたは無段階に調整することと、空気の流量の他の空気の流量に対して段階的にまたは無段階に調整することと、および/または空気を流すか流さないかを切り換えること、を含めることができることを記載しておく。
【0126】
第二主ダンパ352は、第二主空気流路332内の、外気入口323と第一熱交換器341との間に配置される。より具体的には、第二主ダンパ352は、第二主空気流路332と供給用換気流路333とが分岐する点と、第二主空気流路332と排出用換気流路334とが合流する点と、の間に配置される。このように、第二主ダンパ352は第二通過空気612の流れを調整するよう構成される。
【0127】
第二副ダンパ353は、供給用換気流路333に、つまり外気入口323と全熱交換器344との間に、配置される。より具体的には、第二副ダンパ353は、第二主空気流路332と供給用換気流路333とが分岐する点と、第三ファン347と、の間に配置される。このように、第二副ダンパ353は換気吸入空気613の流れを調整するよう構成される。
【0128】
排出バイパスダンパ354は、内部アパーチャ315内に排出バイパス流路335に配置される。このように、排出バイパスダンパ354は排出バイパス空気615の流れを調整するよう構成される。
【0129】
いくつかの気流のうちの一つの調整により、気流の他の一つが影響を受けることになる。したがって、第一主ダンパ351、第二主ダンパ352、第二副ダンパ353および排出バイパスダンパ354のそれぞれは、空調装置300における気流を調整するよう構成される気流調整器(レギュレータ)350(図6参照)の一部であるとも言える。さらに、第一ファン345、第二ファン346および第三ファン347のそれぞれもまた、同じ理由で気流調整器350を構成すると言える。
【0130】
空調装置300にはさらに電気予熱器348を有することもできる。電気予熱器348は、供給用換気流路333内の外気入口323と全熱交換器344との間に配置される。より具体的には、電気予熱器348は、第三ファン347と、全熱交換器344の第一空気経路の入口と、の間に配置される。第一熱交換器341が凝縮器として機能する場合に、電気予熱器348は通過する空気を加熱するよう構成される。
【0131】
図4は、空調装置300の概略的な配管図である。
【0132】
空調装置300は、パイプ接続機構370と液体冷媒パイプ360と第一膨張弁(バルブ)361と第二膨張弁362と受け器(レシーバ)363と放出弁420を有する。
【0133】
パイプ接続機構370は、第一熱交換器341と第二熱交換器342,343(第二主熱交換器342および第二副熱交換器343)のそれぞれを冷媒圧縮機システム400(図1参照)に接続するよう構成される。このように、パイプ接続機構370は、第一熱交換器341と第二熱交換器342,343とを、空調装置300のうちのいずれか1つの筐体301の外部に配置される圧縮機ユニット410に、高圧気体冷媒パイプ430と低圧気体冷媒パイプ440とを介して接続するよう構成される。
【0134】
パイプ接続機構370は、高圧気体冷媒ポート371と、低圧気体冷媒ポート372と、切換機構としての四方弁(フォーウェイ・バルブ)373と、を有する。
【0135】
高圧気体冷媒ポート371は、四方弁373を冷媒圧縮機システム400の高圧気体冷媒パイプ430(図5参照)に接続するよう構成される。低圧気体冷媒ポート372は、四方弁373を冷媒圧縮機システム400の低圧気体冷媒パイプ440(図5参照)に接続するよう構成される。低圧気体冷媒ポート372は、四方弁373を冷媒圧縮機システム400の低圧気体冷媒パイプ440(図5参照)に接続するよう構成される
四方弁373は四つの配管接続ポートを有するモータ・バルブとすることができる。四方弁373は、第一熱交換器341と第二熱交換器342,343とのそれぞれに接続される。このように、四方弁373は、空調装置300の状態を冷房モード接続状態と暖房モード接続状態との間で切り換えるよう構成される。
【0136】
ここで、冷房モード接続状態とは、第一熱交換器341が低圧気体冷媒パイプ440に接続され、かつ第二熱交換器342,343が高圧気体冷媒パイプ430に接続される状態である。冷房モード接続状態では、冷房運転動作を空調装置300において達成することができる。冷房運転動作とは、第一熱交換器341がヒートポンプ回路の蒸発器として機能し、かつ第二熱交換器342,343がヒートポンプ回路の凝縮器として機能する動作である。
【0137】
一方、暖房モード接続状態は、第一熱交換器341が高圧気体冷媒パイプ430に接続され、かつ第二熱交換器342,343が低圧気体冷媒パイプ440に接続される状態である。暖房モード接続状態では、暖房運転動作を空調装置300において達成することができる。暖房運転動作とは、第一熱交換器341がヒートポンプ回路の凝縮器として機能し、かつ第二熱交換器342,343がヒートポンプ回路の蒸発器として機能する動作である。
【0138】
液体冷媒パイプ360は、第二主熱交換器342、第二副熱交換器343および第一熱交換器341をこの順で、四方弁373が第一熱交換器341と第二熱交換器342,343とに接続されている側に対して反対側で、直列に接続する。このように、冷媒が第二主熱交換器342、第二副熱交換器343および第一熱交換器341に、この順序でおよび/または逆の順序で直列に流れるよう、液体冷媒パイプ360は構成される。
【0139】
こうして、第一熱交換器341、第二熱交換器342,343、冷媒圧縮機システム400および液体冷媒パイプ360は、ヒートポンプ回路を形成する。
【0140】
ここで、語「ヒートポンプ回路」は、蒸発器と凝縮器の間の熱媒体として循環冷媒を循環させることにより、蒸発器の周囲の領域から凝縮器の周囲の領域へと熱エネルギーを送るよう構成されるシステムを意味する。「ヒートポンプ回路」は少なくとも冷媒圧縮機、凝縮器、膨張弁、および蒸発器を有することができ、少なくとも冷媒圧縮機、凝縮器、膨張弁、および蒸発器はこの順で直列に接続されている。冷媒圧縮機は、冷媒を加圧して冷媒回路を通って循環させるよう構成される。凝縮器は、冷媒圧縮機から放出された冷媒によって放熱を行うよう構成される。膨張弁は、凝縮器から放出された冷媒の減圧を行うよう構成される。蒸発器は、膨張弁から放出された冷媒によって熱吸収を行いそしてその冷媒を冷媒圧縮機に向かって送るよう構成される。
【0141】
第一膨張弁361および第二膨張弁362は、液体冷媒パイプ360に配置される。第一膨張弁361および第二膨張弁362を電磁弁(ソレノイドバルブ)とすることができる。第一膨張弁361は、第二膨張弁362よりも第一熱交換器341の近くに配置され、第一熱交換器341が蒸発器として機能する場合には第一熱交換器341へ放出される冷媒の量を制御する。第二膨張弁362は、第一膨張弁361よりも第二熱交換器342,343の近くに配置され、第二熱交換器342,343が蒸発器として機能する場合には第二熱交換器342,343へ放出される冷媒の量を制御する。
【0142】
受け器363は、液体冷媒パイプ360において第一膨張弁361と第二膨張弁362との間に配置される。受け器363は、ヒートポンプ回路内を循環する冷媒の量の変動を吸収するよう構成される。
【0143】
このように、第一熱交換器341と第二主熱交換器342とは、同じ冷媒回路において一セットの凝縮器および蒸発器として機能することができる。それだけでなく、第一熱交換器341と第二主熱交換器342のそれぞれの機能を、蒸発器と凝縮器との間で切り換えることができる。
【0144】
なお、第二主熱交換器342が凝縮器として機能する場合には、第二副熱交換器343は第二主熱交換器342を通って流れた冷媒が該第二副熱交換器の内部を流れるよう構成されていることを記載しておく。また、第二主熱交換器342が蒸発器として機能する場合には、第二主熱交換器342は第二副熱交換器343を流れた冷媒が該第二主熱交換器の内部を流れるよう構成されていることを記載しておく。
【0145】
放出弁420は安全弁としての機能を有する電磁弁とすることができる。放出弁420は、液体冷媒パイプ360に接続されるとともに、開いたときにヒートポンプ回路内の冷媒を液体冷媒パイプ360から放出するよう構成される。放出弁420は建物200の外部230(図1参照)に配置されることが好ましい。この場合、パイプを、外部230にある放出弁420を液体冷媒パイプ360に接続するために液体冷媒パイプ360から外部230へと分岐させることができる。
【0146】
図5は、空調システム100の概略的な配管図である。
【0147】
上述の通り、空調システム100は、複数の空調装置300と、冷媒圧縮機システム400と、を有する。冷媒圧縮機システム400は、圧縮機ユニット410と高圧気体冷媒パイプ430と低圧気体冷媒パイプ440とを有する。
【0148】
圧縮機ユニット410は少なくとも一つの冷媒圧縮機411を有する。冷媒圧縮機411は、冷媒を吸引側から取り込み、取り込んだ冷媒を圧縮し、圧縮した冷媒を吐出側から放出するよう構成される。圧縮機ユニット410は、圧縮機ユニット410の他のすべての部品を実質的に収容する筐体を有することができる。
【0149】
高圧気体冷媒パイプ430は冷媒圧縮機411の吐出側に接続される。高圧気体冷媒パイプ430は各空調装置300に向かって分岐し、各空調装置に接続される。分岐した高圧気体冷媒パイプ430は、それぞれ空調装置300の高圧気体冷媒ポート371に接続される。低圧気体冷媒パイプ440は冷媒圧縮機411の吸引側に接続される。低圧気体冷媒パイプ440は各空調装置300に向かって分岐し、各空調装置に接続される。分岐した低圧気体冷媒パイプ440は、それぞれ空調装置300の低圧気体冷媒ポート372に接続される。
【0150】
このように、空調装置300のそれぞれと冷媒圧縮機システム400とがヒートポンプ回路を形成する。少なくとも圧縮機ユニット410は複数の空調装置300によって共有される。さらに、高圧気体冷媒パイプ430の少なくとも一部と低圧気体の少なくとも一部も、複数の空調装置300によって共有される。こうして、ツーパイプシステムの冷媒配管が達成される。
【0151】
特に二酸化炭素冷媒が用いられる場合、冷媒の圧力が比較的高いので、冷媒配管を厚くする必要がある。この点、上記のようなツーパイプシステムを用いることによって、配管の全長を短くし、配管接続を簡単化することができる。したがって、配管のコストを大幅に低減し、配管の空間を大幅に節約できる。
【0152】
圧縮機ユニット410は、流体が通るよう気体冷媒パイプに接続されるとともに液体冷媒と気体冷媒を分離するように構成されるアキュムレーター(図示せず)を有することができる。
【0153】
図6は、空調システム100の機能的な構成を示すブロック図である。
【0154】
上述の通り、空調システム100は、室内CO2センサ510と機械室CO2センサ511と空調装置300と圧縮機ユニット410とを有する。空調装置300は気流調整器350と冷媒調整器374とユニット制御器(コントローラ)381とを有する。圧縮機ユニット410は冷媒圧縮機411とシステム制御器412とシステム・ストレージ(記憶器)413とを有する。
【0155】
室内CO2センサ510は、所定空間220における二酸化炭素レベルを検出し、検出された二酸化炭素レベルを示すCO2情報をユニット制御器381へと送信するよう構成される。機械室CO2センサ511は、機械空間210における二酸化炭素レベルを検出し、検出された二酸化炭素レベルを示すCO2情報をシステム制御器412へと送信するよう構成される。二酸化炭素レベルを、空気中の二酸化炭素濃度の値、または二酸化炭素濃度の各所定範囲に対応する所定値のうちの指数(インデックス)値とすることができる。
【0156】
室内CO2センサ510は、CO2情報を対応する空調装置300のユニット制御器381および/またはシステム制御器412へと直接送信することができる。室内CO2センサ510は、CO2情報をユニット制御器381へとシステム制御器412を介して間接的に、および/またはシステム制御器412へとユニット制御器381を介して間接的に送信することもできる。同じことが機械室CO2センサ511にも適用できる。室内CO2センサ510と機械室CO2センサ511とのそれぞれは、有線通信および/または無線通信によってCO2情報を送信することができる。
【0157】
気流調整器350は、第一主ダンパ351と第二主ダンパ352と第二副ダンパ353と排出バイパスダンパ354とを有する(図3参照)。こうして、気流調整器350は、第一通過空気611、第二通過空気612、換気吸入空気613、換気排出空気614および排出バイパス空気615のそれぞれの流れを調整するよう構成される。
【0158】
冷媒調整器374は、第二熱交換器342,343、液体冷媒パイプ360および第一熱交換器341における冷媒の循環量を調整するよう構成される。また、冷媒調整器374は、二酸化炭素冷媒を上記の要素内に流すか流さないかを切り換えるよう構成される。なお、本実施形態においては、冷媒の循環量の調整には、冷媒の流量の調整、および/または冷媒を流すか流さないかの切り換えを含めることができることを記載しておく。
【0159】
冷媒調整器374は、ヒートポンプ回路に配置されるとともに高圧気体冷媒ポート371と低圧気体冷媒ポート372とのそれぞれの近くに、および/または四方弁373(図4参照)の近くに配置されるソレノイドバルブ(図示せず)を有する。また、冷媒調整器374を、第一膨張弁361と第二膨張弁362のそれぞれが開く程度を制御するよう構成することができる。また、冷媒調整器374は、指示信号をシステム制御器412および/またはユニット制御器381へと送信することにより、冷媒圧縮機411の回転数を制御することができる。
【0160】
ユニット制御器381は、空調装置300の動作を制御するよう構成される。より具体的には、ユニット制御器381は、少なくとも第一ファン345と第二ファン346と第三ファン347と気流調整器350と冷媒調整器374とを制御するよう構成される。これにより、ユニット制御器381は、空調装置300の複数の所定の動作状態のなかから空調装置300の状態を切り換える。所定の動作状態の詳細は後で説明する。また、ユニット制御器381は、少なくとも対応する室内CO2センサ510から送信されたCO2情報を取得するよう構成される。ユニット制御器381を、他の室内CO2センサ510および機械室CO2センサ511からの送信されたCO2情報を取得するよう構成することが好ましい。ユニット制御器381は、取得されたCO2情報に基づいて上記の動作制御を行うよう構成される。
【0161】
ユニット制御器381は、図示しないが、CPU(中央処理装置)などの演算回路と、CPUによって用いられるRAM(ランダムアクセスメモリ)などの作業メモリと、CPUよって用いられる制御プログラムおよび情報を記憶するROM(読み出し専用メモリ)などの記録媒体と、を有する。このように、ユニット制御器381は、空調装置300の動作を制御するために制御プログラムを実行するCPUによって情報処理および信号処理を行うよう構成される。
【0162】
システム制御器412は、冷媒圧縮機411の出力(回転速度)を含む空調システム100の動作を制御するよう構成される。システム制御器412は、室内CO2センサ510と機械室CO2センサ511とのそれぞれから送信されるCO2情報を取得し、CO2情報に基づいて放出弁420を制御するよう構成される。システム制御器412は、演算回路と、CPUによって用いられる作業メモリと、CPUによって用いられる制御プログラムおよび情報を記憶する記録媒体と、を有する。このように、システム制御器412は圧縮機ユニット410の動作を制御するために制御プログラムを実行するCPUによって情報処理および信号処理を行うよう構成される。
【0163】
(空調装置の動作状態)
空調装置300の上述の所定の動作状態には、熱回収標準状態と非熱回収標準状態と低換気状態と空調状態と弱冷房状態とフリークーリング状態と冷媒排出状態とが含まれる。
【0164】
これらの動作状態の詳細を、図面の図7図13を参照して以下に説明する。これらの図において、細い破線は対応する部品が動作中ではないことを示しており、矢印は実質的に主な気流の経路と方向を示している。気流に関する説明は、所定空間220が実質的に気密であることを前提とする。なお、空気漏れなどにより示した気流以外の微小な気流も空調装置300に流れている場合があることを記載しておく。
【0165】
図7は、空調装置300の熱回収標準状態を示す概略図である。
【0166】
図7に示す通り、熱回収標準状態は、第一通過空気611、第二通過空気612、換気吸入空気613および換気排出空気614が流れることができ、排出バイパス空気615(図3を参照)は流れず、第一ファン345と第二ファン346とが動作可能であり、そして冷媒が第一熱交換器341、第二副熱交換器343および第二主熱交換器342を流れることができる状態である。また、第三ファン347を動作可能とすることもできる。予熱器348を、空調装置300が暖房モード接続状態である場合には、つまり空調装置300が所定空間220を暖房する場合には、動作可能とすることもできる。
【0167】
この熱回収標準状態においては、空調装置300は、少なくとも換気排出空気614の暖気(ホットヒート)および/または冷気(コールドヒート)の一部を回収することによって換気吸入空気613の加熱および/または冷却を行いながら、所定空間220の空調と換気とを行うことができる。
【0168】
図8は、空調装置300の非熱回収標準状態を示す概略図である。
【0169】
図8に示す通り、非熱回収標準状態は、第一通過空気611、第二通過空気612、換気吸入空気613および排出バイパス空気615が流れることができ、第一ファン345と第二ファン346とが動作可能であり、そして冷媒が第一熱交換器341、第二副熱交換器343および第二主熱交換器342を流れることができる状態である。また、第三ファン347を動作可能とすることもできる。予熱器348を、空調装置300が所定空間220を暖房する場合には、動作可能とすることもできる。換気排出空気614(図3参照)は流れることがあったとしても、その流れは小さい。全熱交換器344、第二副熱交換器343および第二主熱交換器342による摩擦抵抗が、開いている排出バイパスダンパ354による摩擦抵抗よりはるかに高いからである。
【0170】
この非熱回収標準状態において、空調装置300は、排出バイパス空気615を流れさせながら、所定空間220の空調と換気とを行うことができる。また、換気排出空気614の少なくとも一部が全熱交換器344を通過しないように迂回するとも言える。
【0171】
図9は、空調装置300の低換気状態を示す概略図である。
【0172】
図9に示す通り、低換気状態は、換気排出空気614および換気吸入空気613が流れることができ、第一通過空気611、第二通過空気612および排出バイパス空気615は流れず、第一ファン345は動作可能であり、そして冷媒が第一熱交換器341、第二副熱交換器343および第二主熱交換器342を流れない状態である。また、第三ファン347と予熱器348とを動作可能とすることもできる。必要とされる換気性能が低いので、第二ファン346を停止することもできる。
【0173】
この低換気状態においては、空調装置300は、少なくとも換気排出空気614の暖気(ホットヒート)および/または冷気(コールドヒート)の一部を回収することによって換気吸入空気613の加熱および/または冷却を行いながら、所定空間220の換気を行うことができる。
【0174】
図10は、空調装置300の空調状態を示す概略図である。
【0175】
図10に示す通り、空調状態は、第一通過空気611および第二通過空気612が流れることができ、換気吸入空気613、換気排出空気614および排出バイパス空気615は流れず、第一ファン345と第二ファン346とが動作可能であり、そして冷媒が第一熱交換器341、第二副熱交換器343および第二主熱交換器342を流れることができる状態である。第三ファン347と電気予熱器348とは停止することが好ましい。
【0176】
この空調状態においては、空調装置300は、所定空間220へと外気を取り込むことなく、所定空間220の空調を行うことができる。ここで、外気は、外気入口323からの空調装置300内へと引き込まれる空気を意味する。
【0177】
図11は、空調装置300の弱冷房状態を示す概略図である。
【0178】
図11に示す通り、弱冷房状態は、換気吸入空気613および換気排出空気614が流れることができ、第一通過空気611、第二通過空気612および排出バイパス空気615は流れず、第一ファン345は動作可能であり、そして冷媒が第一熱交換器341、第二副熱交換器343および第二主熱交換器342を流れることができる状態である。また、第三ファン347を動作可能とすることもできる。必要とされる換気性能が低いので、第二ファン346を停止することもできる。
【0179】
この弱冷房状態においては、空調装置300は、換気排出空気614を流れさせながら、所定空間220の換気を行うことができる。このように、空調を、第一通過空気611および第二通過空気612を用いることなく行うことができる。
【0180】
図12は、空調装置300のフリークーリング状態を示す概略図である。
【0181】
図12に示す通り、フリークーリング状態は、第一通過空気611と第二通過空気612とが流れず、換気吸入空気613および排出バイパス空気615は流れることができ、第一ファン345は動作可能であり、そして冷媒が第一熱交換器341、第二副熱交換器343および第二主熱交換器342を流れない状態である。また、第三ファン347を動作可能とすることもできる。必要とされる換気性能が低いので、第二ファン346を停止することもできる。換気排出空気614の流れ(図3参照)は上述の通り小さい。
【0182】
このフリークーリング状態においては、空調装置300は、排出バイパス空気615を流れさせながら、所定空間220のフリークーリングと換気とを行うことができる。
【0183】
図13は、空調装置300の冷媒排出状態を示す概略図である。
【0184】
図13に示す通り、冷媒排出状態は、換気吸入空気613と排出バイパス空気615とが流れることができ、第一通過空気611と第二通過空気612とは流れず、第二ファン346、第三ファン347および第一ファン345が動作し、そして冷媒が第一熱交換器341、第二副熱交換器343および第二主熱交換器342を流れない状態である。換気排出空気614の少なくとも一部が排出バイパス流路335に流れ込むことができると言える。換気排出空気614の流れ(図3参照)は上述の通り小さい。
【0185】
この冷媒排出状態においては、空調装置300は、排出バイパス空気615を流れさせながら、所定空間220の強制換気を行うことができる。
【0186】
(動作状態の切換)
空調装置300のユニット制御器381は、空調装置300の状態を上述の所定の動作状態の間で、空調装置300の動作状態の指示および/または所定空間220と関係する条件に基づいて、切り換えるよう構成される。そのような指示および/または条件を、所定空間220の目標温度、所定空間220の実際の温度、外気の温度、所定空間220が使用されているか否か、等とすることができる。ユーザは、空調装置300の動作状態の指示を、タッチ・パネルなどのユーザ・インターフェースを介して行うことができる。
【0187】
CO2情報によって示される二酸化炭素レベルが第一所定閾値以上である場合に冷媒排出状態(図13)が達成されるよう、ユニット制御器381が第一ファン345、第二ファン346、第三ファン347、気流調整器350および冷媒調整器374を制御することが好ましい。第一所定閾値を、二酸化炭素冷媒の漏出が疑われる二酸化炭素レベルとすることができる。
【0188】
また、二酸化炭素レベルが第一所定閾値以上である状態が所定時間続いたという条件でユニット制御器381が空調装置300の状態を冷媒排出状態(図13)へと切り換えることも好ましい。
【0189】
二酸化炭素レベルが第一所定閾値より低くかつ第二所定閾値以上である場合に低換気状態(図9)を達成するよう、ユニット制御器381が第一ファン345、第二ファン346、第三ファン347、気流調整器350および冷媒調整器374を制御することが好ましい。第二所定閾値は第一所定閾値より低く設定される。第二所定閾値を、人体に好ましくない最も小さい限度の二酸化炭素レベルとすることができる。
【0190】
ユニット制御器381は、少なくとも標準状態と換気状態と空調状態(図10)との間で切り換えるよう構成されると言える。標準状態は、第一通過空気611、第二通過空気612、換気吸入空気613および換気排出空気614が流れることができ、第一ファン345と第二ファン346とが動作可能であり、そして冷媒が第一熱交換器341と第二主熱交換器342を流れることができる状態である。換気状態は、第一通過空気611と第二通過空気612とが流れず、換気吸入空気613と換気排出空気614とが流れることができ、第一ファン345は動作可能であり、そして冷媒が第一熱交換器341および第二主熱交換器342を流れない状態である。
【0191】
この場合、上述の熱回収標準状態(図7)と上述の非熱回収標準状態(図8)とは標準状態に含まれ、そして上述の低換気状態(図9)とフリークーリング状態(図12)と冷媒排気状態(図13)とは換気状態に含まれる。
【0192】
また、上記の換気状態においては、排出バイパス空気615は流れずかつ第一ファン345が動作可能である通常換気状態と、冷媒排出状態(図13)と、の間で少なくとも切り換えるよう、ユニット制御器381が構成されると言える。この場合、上述の低換気状態(図9)を通常換気状態に含めることができる。
【0193】
空調装置300が冷房モード接続状態である場合、つまり空調装置300が所定空間220の冷房動作を行いかつ冷房負荷が比較的低い場合、ユニット制御器381は非熱回収標準状態(図8)や低冷房状態(図11)を選択することが好ましい。
【0194】
空調装置300が所定空間220の冷房動作を行いかつ外気の温度が所定空間220における内部空気の温度よりかなり低いという条件では、ユニット制御器381はフリークーリング状態(図12)を選択することが好ましい。
【0195】
凍結や目詰まり等によって全熱交換器344が誤動作していることが検出された場合または予想される場合、ユニット制御器381は、排出バイパスダンパ354が開いている動作状態を、例えば非熱回収標準状態(図8)、弱冷房状態(図9)、および冷媒排出状態(図13)を、選択することもできる。そのような状況は、全熱交換器344にまたはその近傍に配置される温度センサおよび/または圧力センサを用いることにより、検出することができる。
【0196】
二酸化炭素レベルが第一所定閾値または第三所定閾値以上である場合には、二酸化炭素冷媒の漏出の可能性を示す警報情報を、ユニット制御器381が出力することが好ましい。第三所定閾値を第一所定閾値より高くすることも低くすることもできる。警報情報は、音、音声メッセージ、光、画像、振動、外部情報処理デバイスに送信される電気信号等の態様とすることができる。
【0197】
さらに、二酸化炭素レベルが第一所定閾値または第四所定閾値以上である場合、ヒートポンプ回路内の冷媒を所定空間220の外部230へと放出するよう放出弁420(図4参照)を制御するように、ユニット制御器381は構成される。第四所定閾値を第一所定閾値より高くすることも低くすることもできる。この制御を圧縮機ユニット410のシステム制御器412(図6参照)によって実行することができる。
【0198】
冷媒としての二酸化炭素(CO2)の臨界温度は比較的低い(31°C)。空調装置の室外熱交換器が高い室外温度において凝縮器として機能する場合、室外熱交換器内の冷媒は「超臨界(transcritical)」となる。このことは、冷媒が液体に凝縮できずに、気体状態のまま残留し、室外熱交換器において廃棄される熱の量が凝縮が生じる(「臨界未満(subcritical)」状態のような)場合よりはるかに小さくなってしまうことを意味する。その結果、二酸化炭素冷媒を用いるシステムの熱交換効率は、R410Aまたは他のHFCなど他の冷媒を用いる同様のシステムより低い傾向にある。この点、上記の空調装置300においては、第二熱交換器342,343が外気より冷たい換気排出空気614と熱を交換するので、二酸化炭素冷媒を用いているにもかかわらずその熱交換効率を向上させることができる。したがって、本実施形態にかかる空調装置300は好適である。
【0199】
第二熱交換器(第二主熱交換器342および/または第二副熱交換器343)を通り抜ける空気の温度が第二熱交換器に流れる二酸化炭素冷媒の超臨界温度より低くなるよう、空調装置300はその動作状態を切り換えるよう構成されることが好ましい。
【0200】
例えば、空調装置300が空調状態(図10参照)にあるときには、ユニット制御器381は、第二熱交換器を通り抜ける空気の温度を、そして好ましくは外気の温度と所定空間220内の空気の温度を、取得するよう構成される。取得した温度が第二熱交換器に流れる二酸化炭素冷媒の超臨界温度以上である場合、ユニット制御器381は、動作状態を空調状態から熱回収標準状態(図7参照)へと切り換えるよう、気流調整器350を制御する。炭素の超臨界温度の値を、ユニット制御器381のメモリに予め記憶することができる。
【0201】
(気圧バランスの制御)
さらに、ユニット制御器381を、空調装置30における気圧バランスが所定のバランスに維持されるよう、気流調整器350を制御するよう構成することもできる。外気が扉(ドア)や窓等を介して所定空間220内に入るのを防止するために、所定空間220における気圧を外部230の気圧以上に維持することが好ましい。
【0202】
図14は、空調装置300とその周辺との圧力平衡を説明するための概略図である。
【0203】
ここで、第一~第六圧力P1~P6を上記の気圧バランスを説明するために定義する。第一圧力P1は、所定空間220における、例えば給気出口322の直ぐ下流側における気圧の値である。第二圧力P2は、第一主空気流路331における、例えば第一熱交換器341の直ぐ上流側における気圧の値である。第三圧力P3は、排出用換気流路334における、例えば全熱交換器344の直ぐ上流側における気圧の値である。第四圧力P4は、供給用換気流路333における、例えば全熱交換器344の直ぐ上流側における気圧の値である。第五圧力P5は、第二主空気流路332における、例えば第二主熱交換器342の直ぐ上流側における気圧の値である。第六圧力P6は、外部230における、例えば外気入口323の直ぐ上流側における気圧の値である。
【0204】
第一圧力P1が第二圧力P2~第六圧力P6のうちのどの一つよりも高く、第四圧力P4および第六圧力P6が第二圧力P2、第三圧力P3および第五圧力P5のうちのどの一つよりも高く、かつ第二圧力P2および第三圧力P3が第五圧力P5よりも高い気圧バランスを維持するよう、空調装置300が構成される。
【0205】
上記の気圧バランスを達成するよう、ユニット制御器381は、第一ファン345、第二ファン346および第三ファン347のそれぞれの回転速度と、第一主ダンパ351、第二主ダンパ352、第二副ダンパ353および排出バイパスダンパ354のそれぞれの回転角と、を制御することができる。このために、空調装置300は複数のセンサを有することができる。
【0206】
(空調装置の動作)
図15は、空調装置300によって実行されるプロセスを示すフローチャートである。プロセスはユニット制御器381(図6参照)によって実行される。
【0207】
ステップS1100において、ユニット制御器381は、所定空間220における二酸化炭素レベルLを示すCO2情報を室内CO2センサ510から取得する。ユニット制御器381は、室内CO2センサ510に要求を送信しその後CO2情報を応答として受信する、かつ/または室内CO2センサ510によって定期的に送信されるCO2情報を受動的に受信する。
【0208】
ステップS1200において、ユニット制御器381は、二酸化炭素レベルLが第一所定閾値Th1以上か否かを判断する。二酸化炭素レベルLが第一閾値Th1より低い場合(S1200がNoの場合)、ユニット制御器381はステップS1300へと移行する。二酸化炭素レベルLが第一閾値Th1以上である場合(S1200がYesの場合)、ユニット制御器381は後で説明するステップS1600へと移行する。
【0209】
ステップS1300において、ユニット制御器381は、動作状態が指定されているか否かを判断する。上述の動作状態のうちの一つが指定されている場合がある。その指定は、ユーザの操作、他のデバイス、または上述の条件に基づいてユニット制御器381自体によって行われる。動作状態が指定されている場合(S1300でYesの場合)、ユニット制御器381はステップS1400へと移行する。いずれの動作状態も指定されていない場合(S1300でNoの場合)、ユニット制御器381は後で説明するステップS1500へと移行する。
【0210】
ステップS1400において、ユニット制御器381は指定されている動作状態を空調装置300に設定する。より具体的には、ユニット制御器381は、指定されている動作状態を達成するよう、第一ファン345と第二ファン346と第三ファン347と気流調整器350と冷媒調整器374とを制御する。
【0211】
ステップS1500において、ユニット制御器381は、ユニット制御器381による動作の終了が指示されたか否かを判断する。その指示は、ユーザの操作、他のデバイス、またはユニット制御器381自体によって行われる。動作の終了が指示されていない場合(S1500でNoの場合)、ユニット制御器381はステップS1100に戻る。動作の終了が指示された場合(S1500でYesの場合)、ユニット制御器381は後で説明するステップS1900へと進む。
【0212】
ステップS1600において、つまり二酸化炭素レベルLが第一閾値Th1以上であった場合、ユニット制御器381は冷媒排気状態を空調装置300に設定する。より具体的には、ユニット制御器381は、冷媒排出状態を達成するよう、第一ファン345と第二ファン346と第三ファン347と気流調整器350と冷媒調整器374とを制御する。
【0213】
ステップS1700において、ユニット制御器381は警報情報を出力する。
【0214】
ステップS1800において、ユニット制御器381は、冷媒排気状態での動作の終了が指定されたか否かを判断する。その指定は、ユーザの操作、他のデバイス、またはユニット制御器381自体によって行われる。動作の終了が指定されていない場合(S1800でNoの場合)、ユニット制御器381はステップS1800における判断を繰り返す。動作の終了が指定された場合(S1800でYesの場合)、ユニット制御器381はステップS1900へと進む。
【0215】
ステップS1900において、ユニット制御器381はその動作を終了する。
【0216】
(利点のある効果)
上述の通り、本実施形態にかかる空調装置300は、換気排出空気614が第二熱交換器342,343を通過できるよう構成される排出用換気流路334を有する。第二熱交換器342,343を通過する空気の温度と第二熱交換器342,343内を流れる冷媒の温度との間の差を、換気排出空気614を利用することによって、大きくできる。これにより、簡単な構造で空調装置300の性能を向上させることができる。
【0217】
さらに、本実施形態にかかる空調装置300は、空調装置300によって空調および/または換気が行われる所定空間220における二酸化炭素レベルを示すCO2情報を取得するとともにCO2情報に基づいて少なくとも第一ファン345および第二ファン346を制御するよう構成されるユニット381を有する。これにより、たとえ二酸化炭素冷媒が漏れたとしても、空調および/または換気される空間における二酸化炭素レベルが高くなってしまうことを防止することができる。
【0218】
(変形例)
上で説明した本実施形態にかかる空調装置300および空調システム100の構成を変更することもできる。そのような変更のいくつかの例を以下に説明する。それぞれの変更実施例を他の変更実施例のうちの一つ以上と組み合わせることもできる。
【0219】
(空気経路の変形例)
空調装置300はさらに、内部を空気が流れることができるよう構成される流路を、上述の流路に加えてまたは上述の流路のうちの一つ以上の代わりに有することができる。
【0220】
例えば、空調装置300を、より能動的に、換気排出空気614が全熱交換器344と第二熱交換器の両方を通過するのを防止するよう構成することもできる。
【0221】
図16は、空調装置300の第一変形例の概略的な構成を示す概略図である。空調装置300の第一変形例としての空調装置300aは、以下に説明する特徴を除いて空調装置300と実質的に同じ特徴を有する。
【0222】
空調装置300aは、モータ・ダンパでありユニット制御器381によって制御される排出切換ダンパ(排出ダンパ)355を、排出バイパスダンパ354(図3参照)の代わりに、有する。排出切換ダンパ355は、内部アパーチャ315と、RAセパレータ311とEAセパレータ314との間に形成される上述の空間と、の間に配置される。排出切換ダンパ355は気流調整器350(図6参照)の一部である。
【0223】
排出切換ダンパ355は第一角度と第二角度との間で、図16における破線の矢印によって示す通り、回転するよう構成される。第一角度は、内部アパーチャ315が排出切換ダンパ355によって閉じられており同時に上述の空間が還気入口321に対して開いている角度である。第二角度は、上述の空間が排出切換ダンパ355によって閉じられる際に、内部アパーチャ315が開く角度である。このように、排出切換ダンパ355は、換気排出空気614が主として流れる空気経路を全熱交換器344の第二空気経路と内部アパーチャ315との間で切り換えるよう構成される。言い換えれば、排出切換ダンパ355は、換気排出空気614が第二熱交換器342.343を通り抜けるか抜けないかを切り換えるよう構成されている。
【0224】
例えば、冷房運転動作の際に、ユニット制御器381は、外気の温度を取得し、外気の温度が所定閾値以上であるという所定の条件が満たされているか否かを判断するよう構成される。ユニット制御器381は、上記の条件が満たされる場合に、内部アパーチャ315を閉じるよう排出切換ダンパ355を制御する。これにより、換気排出空気614は、全熱交換器344と第二主熱交換器342とを通り抜ける。一方、ユニット制御器381は、上記の条件が満たされない場合には、内部アパーチャ315を開くよう排出切換ダンパ355を制御する。これにより、換気排出空気614は、全熱交換器344と第二主熱交換器342とを通り抜けることができない。この状態は、図12を参照して上で説明したフリークーリング状態と実質的に同じである。
【0225】
また、空調装置300を、換気排出空気614が全熱交換器344を通過することなく第二熱交換器を通過するよう構成することもできる。
【0226】
図17は、空調装置300の第二変形例の概略的な構成を示す概略図である。空調装置300の第二変形例としての空調装置300bは、以下に説明する特徴を除いて空調装置300と実質的に同じ特徴を有する。
【0227】
空調装置300bはセミ・バイパス(半迂回)経路336を有する。セミ・バイパス流路336は、全熱交換器344の第二空気経路と実質的に平行に形成される。セミ・バイパス流路336を、EAセパレータ314と全熱交換器344の外面との間に形成することができる。セミ・バイパス流路336は、内部を空気が全熱交換器344を通過することなく還気入口321から排気出口324に向かって流れることができるよう、構成される。
【0228】
セミ・バイパス流路336の一端は、排出バイパス流路335が排出用換気流路334から分岐する点と、全熱交換器344の第二空気経路と、の間に位置することが好ましい。また、セミ・バイパス流路336の他端は、全熱交換器344の第二空気経路と第二副熱交換器343との間に位置することが好ましい。こうして、セミ・バイパス流路336により、換気排出空気614が全熱交換器を通過することなく第二副熱交換器343と第二主熱交換器342とを通過することができる。
【0229】
空調装置300bは、モータ・ダンパでありユニット制御器381によって制御される第一切換ダンパ(排出ダンパ)356を有する。第一切換ダンパ356は、セミ・バイパス流路336が排出用換気流路334から分岐する点に配置される。第一切換ダンパ356は気流調整器350(図6参照)の一部である。
【0230】
第一切換ダンパ356は第一角度と第二角度との間で、図17における破線の矢印によって示す通り、回転するよう構成される。第一角度は、セミ・バイパス流路336が第一切換ダンパ356によって閉じられており、かつ全熱交換器344の第二空気経路が還気入口321に対して開いている角度である。第二角度は、セミ・バイパス流路336が開いており、かつ全熱交換器344の第二空気経路が第一切換ダンパ356によって還気入口321に対して閉じられている角度である。このように、第一切換ダンパ356は、換気排出空気614が主として流れる空気経路を全熱交換器344の第二空気経路とセミ・バイパス流路336との間で切り換えるよう構成される。
【0231】
例えば、冷房運転動作の際に、ユニット制御器381は、第二主熱交換器342に流れる冷媒の温度を取得し、取得した温度が所定閾値以上であるか否かを判断するよう構成される。ユニット制御器381は、取得した温度が所定閾値以上である場合全熱交換器344の第二空気経路を閉じるよう、第一切換ダンパ356を制御する。これにより、換気排出空気614は、セミ・バイパス流路336と第二主熱交換器342を通り抜ける。一方、ユニット制御器381は、取得した温度が所定閾値より低い場合セミ・バイパス流路336を閉じるよう、第一切換ダンパ356を制御する。これにより、換気排出空気614は、全熱交換器344と第二主熱交換器342とを通り抜ける。したがって、必要に応じて、第二副熱交換器343と第二主熱交換器342とに流れる冷媒の温度を効果的に低下させることができる。
【0232】
また、凍結や目詰まり等によって全熱交換器344が誤動作していることが検出された場合または予想される場合には全熱交換器344の第二空気経路を閉じるよう第一切換ダンパ356を制御するように、ユニット制御器381を構成することもできる。
【0233】
あるいは、空調装置300を、換気排出空気614が第二熱交換器を通過することなく全熱交換器344を通過するよう構成することもできる。
【0234】
図18は、空調装置300の第二変形例の概略的な構成を示す概略図である。空調装置300の第三変形例としての空調装置300cは、以下に説明する特徴を除いて空調装置300と実質的に同じ特徴を有する。
【0235】
空調装置300cはセミ・バイパス・アパーチャ337を有する。この構成により、第二副熱交換器343を省略することもできる。セミ・バイパス・アパーチャ337は、第二主熱交換器342とEAセパレータ314との間に形成される。こうして、第二主熱交換器342に沿った第二主空気流路332の断面は、第二主熱交換器342が広がっている領域と、第二熱交換器がない他の領域(つまりセミ・バイパス・アパーチャ337)と、に少なくとも分割される。セミ・バイパス・アパーチャ337は、内部を空気が第二主熱交換器342を通過することなく全熱交換器344の第二空気経路から排気出口324に向かって流れることができるよう、構成される。
【0236】
空調装置300cは、モータ・ダンパでありユニット制御器381によって制御される第二切換ダンパ(排出ダンパ)357を有する。第二切換ダンパ357は、第二主熱交換器342とセミ・バイパス・アパーチャ337との間に配置される。第二切換ダンパ357は気流調整器350(図6参照)の一部である。
【0237】
第二切換ダンパ357は第一角度と第二角度との間で、図18における破線の矢印によって示す通り、回転するよう構成される。第一角度は、セミ・バイパス・アパーチャ337が第二切換ダンパ357によって閉じられており、かつ第二主熱交換器342が全熱交換器344の第二空気経路に対して開いている角度である。第二角度は、セミ・バイパス・アパーチャ337が開いており、第二主熱交換器342が全熱交換器344の第二空気経路に対して第二切換ダンパ357によって閉じられている角度である。このように、第二切換ダンパ357は、換気排出空気614が主として流れる空気経路を、第二主熱交換器342とセミ・バイパス・アパーチャ337との間で切り換えるよう、構成される。言い換えれば、第二切換ダンパ357は、全熱交換器344を通過した換気排出空気614が第二主熱交換器342を通り抜けるか抜けないかを切り換えるよう、構成される。
【0238】
例えば、冷房運転動作の際に、ユニット制御器381は、外気の温度を取得し、外気の温度が所定閾値以上であるか否かを判断するよう構成される。ユニット制御器381は、外気の温度が所定閾値以上である場合セミ・バイパス・アパーチャ337を閉じるよう、第二切換ダンパ357を制御する。これにより、換気排出空気614は第二主熱交換器342を通り抜ける。一方、ユニット制御器381は、外気の温度が所定閾値より低い場合セミ・バイパス・アパーチャ337を開くよう、第二切換ダンパ357を制御する。これにより、換気排出空気614は第二主熱交換器342を通り抜けない。
【0239】
空調装置300の他の変形として、還気入口321、給気出口322、外気入口323および排気出口324の位置関係(つまり第一主空気流路331、第二主空気流路332、供給用換気流路333、排出用換気流路334および排出バイパス流路335の配置)を、上で説明した位置関係から変更することができる。
【0240】
図19は、空調装置300の第四変形例の概略的な構成を示す概略図である。空調装置300の第四変形例としての空調装置300dは、以下に説明する特徴を除いて空調装置300と実質的に同じ特徴を有する。
【0241】
空調装置300dにおいては、還気入口321と外気入口323とが筐体301の同じ第一面302に配置され、そして、給気出口322と排気出口324とが同じ第二面303に配置される。言い換えれば、第一主空気流路331と第二主空気流路332とが実質的に平行に配置され、一方、還気入口321から給気出口322への方向と、外気入口323から排気出口324への方向とが実質的に同じ向きとなるよう構成されている。
【0242】
このような構成においては、図19に示す通り、第一熱交換器341の空気通過方向と第二主熱交換器342の空気通過方向とが互いに対して傾斜するよう、第一熱交換器341と第二主熱交換器342とを配置することが好ましい。また、全熱交換器344を第一熱交換器341と第二主熱交換器342との間に配置することが好ましい。
【0243】
空調装置300のさらに他の変形例として、供給用換気流路333と排出用換気流路334とが実質的に平行に配置され、かつ外気入口323から給気出口322への方向と還気入口321から排気出口324への方向が実質的に反対向きとなるよう構成される。
【0244】
また、外気入口323から給気出口322への方向と還気入口321から排気出口324への方向とを実質的に同じと向きとすることもできる。
【0245】
第二主熱交換器342と排出用換気流路334との位置関係は、上で説明した位置関係に限定されない。例えば、第二主熱交換器342を、第二通過空気612が通過できるよう、かつ換気排出空気614が通過できないよう、配置することもできる。
【0246】
図20は、空調装置300の第五変形例の概略的な構成を示す概略図である。空調装置300の第五変形例としての空調装置300eは、以下に説明する特徴を除いて空調装置300と実質的に同じ特徴を有する。
【0247】
空調装置300eにおいて、第二主熱交換器342と第二副熱交換器343とは一つの板形状を形成する。排出用換気流路334は分離板(プレート)358を有する。分離プレート358は、空気が第二主熱交換器342と第二副熱交換器343とへ引き込まれる空間を、主空間と副空間とに分離する。主空間は、空気が第二主熱交換器342に引き込まれる空間である。副空間は、空気が第二副熱交換器343に引き込まれる空間である。
【0248】
この構成においては、分離プレート358は、第二主熱交換器342および第二副熱交換器343の上流側で第二主空気流路332と排出用換気流路334を分離して、換気排出空気614が第二主熱交換器342を通過するのを防止する。
【0249】
(ユニット構造の変形例)
空調装置300のさらに他の変形として、空調装置300の一部を空調装置300の他の部分から分離することができる。例えば、第一主空気流路331および第一熱交換器341を有する室内ユニットと、第二主空気流路332および第二主熱交換器342を有する屋外ユニットと、を別々に配置することができる。
【0250】
図21は、空調装置300の第六変形例の概略的な構成を示す概略図である。空調装置300の第六変形例としての空調装置300fは、以下に説明する特徴を除いて空調装置300と実質的に同じ特徴を有する。
【0251】
空調装置300fにおいては、第一主空気流路331、第二主空気流路332および全熱交換器344は、互いから分離される。これらの流路は複数のダクトによって接続される。このように、供給用換気流路333の一部と排出用換気流路の一部は、ダクトによって形成される。圧縮機ユニット410を、図21に示す通り、背壁空間270に配置することができる。
【0252】
さらなる選択肢として、例えば、ユニット制御器381を圧縮機ユニット410に配置し、システム制御器412(図6参照)と一体化することもできる。この場合、この一体的制御器は、第一ファン345、第二ファン346、第三ファン347、気流調整器350、冷媒調整器374および/または放出弁420と有線通信および/または無線通信によって通信して制御するよう構成される。
【0253】
いずれの場合も、制御器を、空調装置300の少なくとも一つを冷房モード接続状態と暖房モード接続状態との間で制御して、空調装置300の該少なくとも一つを冷房モード接続状態と暖房モード接続状態のうちの一方とすると同時に空調装置300の他の一つを冷房モード接続状態と暖房モード接続状態のうちの他方とするよう、構成することが好ましい。
【0254】
(システム構造の変形例)
空調装置300のさらに他の変形として、冷媒回路を、複数の空調装置300との間で、および/または第一熱交換器341と第二主熱交換器342との間で分離することもできる。例えば、図5に示す通り、フォー・パイプ・システムをツー・パイプのシステムの代わりに用いることができる。
【0255】
図22は、空調システム100の変形例の概略的な構成を示す概略図である。空調システム100の変形例としての空調システム100gは、以下に説明する特徴を除いて空調システム100と実質的に同じ特徴を有する。
【0256】
空調システム100gにおいては、それぞれの空調装置300gには、第一熱交換器341と第二熱交換器342,343とを直接接続する液体冷媒パイプ360と四方弁373と(図4および図5参照)が備えられていない。それに代わって、空調システム100gは、空調装置300gの外部に液体冷媒パイプ360gと、圧縮機ユニット410g内に切換機構として四方弁373gと、を有する。言い換えれば、液体冷媒パイプ360gと四方弁373gとは、冷媒圧縮機システム400eに配置される。四方弁373が空調装置300gに装着されないので、空調装置300gは四方弁373によって生じるノイズの影響を回避できる。
【0257】
さらに、それぞれの空調装置300gは、高圧気体冷媒ポート371および低圧気体冷媒ポート372(図4および図5参照)の代わりに、第一気体冷媒ポート375と第二気体冷媒ポート376と第一液体冷媒ポート377と第二液体冷媒ポート378とを有する。
【0258】
第一気体冷媒ポート375と第一液体冷媒ポート377とは、第一熱交換器341の両側に接続される。第二気体冷媒ポート376と第二液体冷媒ポート378とは、第二熱交換器342,343 の両側に接続される。
【0259】
液体冷媒パイプ360gの一端は、空調装置300gの各第一熱交換器341に向かって分岐されて接続される。より具体的には、液体冷媒パイプ360gの一端は、空調装置300gの第一液体冷媒ポート377のそれぞれに接続される。液体冷媒パイプ360gの他端側は、空調装置300gの各第二熱交換器342に向かって分岐されて接続される。より具体的には、液体冷媒パイプ360gの他端は、空調装置300gの第二液体冷媒ポート378のそれぞれに接続される。こうして、空調装置300gの第一熱交換器341と液体冷媒パイプ360gと同じ空調装置300gの第二熱交換器342とがこの順序で直列に接続される。
【0260】
液体冷媒パイプ360gには、少なくとも一つの膨張弁が配置される。好ましくは、第一膨張弁361は、それぞれの空調装置300gの第一液体冷媒ポート377と第一熱交換器341との間に配置され、そして第二膨張弁362は、それぞれの空調装置300gの第二液体冷媒ポート378と第二熱交換器342,343との間に配置される。なお、第一膨張弁361と第二膨張弁362との代わりに、すべての空調装置300gのそれぞれを循環する冷媒が通過する部分に一つの膨張弁のみを配置することもできる。
【0261】
空調システム100gはさらに、第一気体冷媒パイプ451gと第二気体冷媒パイプ452gとを有する 第一気体冷媒パイプ451gは空調装置300gの第一熱交換器341に向かって分岐されて接続される。より具体的には、第一気体冷媒パイプ451gは、空調装置300gの第一気体冷媒ポート375のそれぞれに接続される。第二気体冷媒パイプ452gは空調装置300gの第二熱交換器342,343に向かって分岐されて接続される。より具体的には、第二気体冷媒パイプ452gは、空調装置300gの第二気体冷媒ポート376のそれぞれに接続される。液体冷媒パイプ360gには放出弁420が備えられることが好ましい(図22には図示せず)。
【0262】
高圧気体冷媒パイプ430と低圧気体冷媒パイプ440は、圧縮機ユニット410gに配置される。四方弁373gは、高圧気体冷媒パイプ430、低圧気体冷媒パイプ440、第一気体冷媒パイプ451gおよび第二気体冷媒パイプ452gのそれぞれに接続される。四方弁373gは、空調装置300の状態を冷房モード接続状態と暖房モード接続状態との間で切り換えるよう構成される。四方弁373gの動作は、システム制御器412(図6参照)によって制御される。
【0263】
液体冷媒パイプ360gの少なくとも一部を圧縮機ユニット410gに配置することができる。この場合、受け器363をこの部分に配置することが好ましい。加えて、圧縮機ユニット410gがさらに冷却用副熱交換器414を有することが好ましい。
【0264】
冷却用副熱交換器414は、流体が通るよう液体冷媒パイプに接続される。冷却用副熱交換器414は、液体冷媒パイプ内を流れる冷媒を冷ますよう構成される。より具体的には、冷却用副熱交換器414は、液体冷媒パイプ360gから分岐して低圧気体冷媒パイプ440と合流するバイパスパイプを有する。バイパスパイプは、液体冷媒パイプ360gから低圧気体冷媒パイプ440への冷媒の流れの方向に沿って膨張弁と冷媒熱交換器とをこの順で有する。冷媒熱交換器は、液体冷媒パイプ360g内を流れる冷媒と、膨張弁の後のバイパスパイプ内を流れる冷媒と、の間で熱交換を行う。
【0265】
この膨張弁を通過するとき、冷媒の温度は低下する。従って、液体冷媒パイプ360g内を流れる冷媒は、冷媒熱交換器において冷やされる。また、液体冷媒パイプ360g内を流れる冷媒の一部は、冷媒圧縮機411の吸引側に向かって分岐し、したがって空調装置300g内には流れ込まない。このように、この構成により、蒸発器として機能する第一熱交換器341または第二熱交換器342,343の熱交換効率を向上できる、かつ/または蒸発器の熱交換効率を維持しながら蒸発器における冷媒の質量流(マスフロー)を低減できる。
【0266】
上で説明した空調システム100の構成のいずれにおいても、圧縮機ユニット410は複数の冷媒圧縮機411を有することができる。この場合、高圧気体冷媒パイプ430および低圧気体冷媒パイプ440のそれぞれを冷媒圧縮機411に向かって分岐させて接続することができる。この場合、複数の冷媒圧縮機411が複数の空調装置300によって共有される。
【0267】
圧縮機ユニット410、高圧気体冷媒パイプ430および低圧気体冷媒パイプ440の部品を、空調装置300のうちの一つ以上と筐体301または他の筐体内で一体化することもできる。
【0268】
(他の変形例)
言うまでもなく、空調装置300の応用は上で説明した応用に限定されない。例えば、空調装置300を、空調および/または換気される複数の空間を含む区域(コンパウンド)に設置することができる。
【0269】
上記の空調システムにおいて用いられる冷媒は二酸化炭素冷媒に限定されない。例えば、R410A、R134a、R32または他の冷媒を空調システム100に用いることができる。
【0270】
空調装置300、圧縮機ユニット410および空調システム100の他の部品のそれぞれの数および/または配置は、上で説明した数および/または配置に限定されない。例えば、複数の空調装置300を同じ空間のために配置することもできる。空調装置300を、天井に、空調および/または換気される空間に、または外部に露出された状態で配置することもできる。
【0271】
もちろん、空調装置300のそれぞれの部品の数および/または配置は、上で説明した数および/または配置に限定されない。例えば、第一熱交換器341および第二主熱交換器342の空気通過方向が第一主空気流路331および第二主空気流路332の延設方向にそれぞれ実質的に対応するよう、第一熱交換器341および第二主熱交換器342を配置することができる。
【0272】
空調装置300の複数の部品および複数の空気流路の一つ以上を省略できる、または実質的に同一の機能を有する他の部品と置き換えることができることは明らかであろう。例えば、全熱交換器344、第二副熱交換器343、第三ファン347、電気予熱器348および/または内部アパーチャ315(そして排出バイパスダンパ354)を省略することができる。空調装置300における必要な気流を生じさせる一つ以上の動力源(空気ファンなど)が空調装置300の外部に配置される場合、第一ファン345、第二ファン346および/または第三ファン347を省略することもできる。第一パイプから分岐される第一ペアのパイプと、第二パイプから分岐される第二ペアのパイプと、四つの分岐パイプにそれぞれ配置される四つのバルブと、を有する機構で、四方弁373を置き換えることもできる。
【0273】
上記の記述において特に記載しなかった部品を追加することもできる。例えば、排出用換気流路334に配置される排出ダンパとして、モータ・ダンパであって排出バイパスダンパ354とは異なる排出主ダンパを配置することもできる。そのような排出主ダンパを、還気入口321と全熱交換器344との間に配置し、全熱交換器344を通過する換気排出空気614の少なくとも一部の流れを調整するよう構成することができる。
【0274】
空調装置300によって実行される動作は上で説明した動作に限定されない。例えば、空調装置300を、上で説明した動作状態の一部だけを実行するよう構成することもできる。また、動作状態を切り換えるための条件も上で説明した条件に限定されない。
【0275】
本発明の説明のためにいくつかの実施形態が選択されたに過ぎず、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の変更、変形ができることは、本開示から当業者には明らかであろう。例えば、特に記載しない限り、必要に応じておよび/または所望により、種々の部品の大きさ、形状、配置、向きを、変更によりそれらの意図する機能を損なわない限り、変更できる。特に記載しない限り、直接接続された、または互いが接触しているよう示した二つの部品は変更によりそれらの意図する機能を損なわない限り、それらの間に中間構造を有することができる。特に記載しない限り、一つの要素の機能は二つによって達成することができ、またその逆の場合も同様である。一の態様の構造および機能を他の態様に適用することもできる。すべての利点が必ずしも同時に特定の態様にもたらされる必要はない。したがって、本発明にかかる実施形態の上記説明は例示のためのみのものである。
【符号の説明】
【0276】
100,100g 空調システム
200 建物
210 機械空間
220 所定空間
230 外部
240 内壁
241 RA吸気グリル
242 SA放出グリル
243 検査扉
250 外壁
251 OA吸気グリル
252 EA放出グリル
261 天井スラブ
262 床スラブ
270 背壁空間
300、300a、300b、300c、300d、300e、300f,300g 空調装置
301 筐体
302 第一面
303 第二面
304 第三面
305 第四面
311 RAセパレータ
312 SAセパレータ
313 OAセパレータ
314 EAセパレータ
315 内部アパーチャ
316 第一セパレータ・ユニット
317 第二セパレータ・ユニット
321 還気入口
322 給気出口
323 外気入口
324 排気出口
331 第一主空気流路
332 第二主空気流路
333 供給用換気流路
334 排出用換気流路
335 排出バイパス流路
336 セミ・バイパス流路
337 セミ・バイパス・アパーチャ
341 第一熱交換器
342 第二主熱交換器(第二熱交換器)
343 第二副熱交換器(第二熱交換器)
344 全熱交換器
345 第一ファン
346 第二ファン
347 第三ファン
348 電気予熱器
350 気流調整器
351 第一主ダンパ
352 第二主ダンパ
353 第二副ダンパ
354 排出バイパスダンパ(排出ダンパ)
355 排出切換ダンパ(排出ダンパ)
356 第一切換ダンパ(排出ダンパ)
357 第二切換ダンパ(排出ダンパ)
358 分離プレート
360,360g 液体冷媒パイプ
361 第一膨張弁
362 第二膨張弁
363 受け器
370 パイプ接続機構
371 高圧気体冷媒ポート
372 低圧気体冷媒ポート
373,373g 四方弁(切換機構)
374 冷媒調整器
375 第一気体冷媒ポート
376 第二気体冷媒ポート
377 第一液体冷媒ポート
378 第二液体冷媒ポート
381 ユニット制御器(コントローラ)
400,400g 冷媒圧縮機システム
410,410g 圧縮機ユニット
411 冷媒圧縮機
412 システム制御器(コントローラ)
413 システム記憶器
414 冷却用副熱交換器
420 放出弁
430 高圧気体冷媒パイプ
440 低圧気体冷媒パイプ
451g 第一気体冷媒パイプ
452g 第二気体冷媒パイプ
510 室内CO2センサ
511 機械室CO2センサ
611 第一通過空気
612 第二通過空気
613 換気吸入空気
614 換気排出空気
615 排出バイパス空気
【先行技術文献】
【特許文献】
【0277】
【文献】欧州特許出願公開第91643号明細書(EP0091643A2)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22