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特許7258152光学検出システムの洗浄装置用流体スプレーノズル、洗浄装置および自動車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-06
(45)【発行日】2023-04-14
(54)【発明の名称】光学検出システムの洗浄装置用流体スプレーノズル、洗浄装置および自動車
(51)【国際特許分類】
   B05B 1/04 20060101AFI20230407BHJP
   B60S 1/62 20060101ALI20230407BHJP
【FI】
B05B1/04
B60S1/62 110A
B60S1/62 110C
B60S1/62 120B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021537791
(86)(22)【出願日】2019-12-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-18
(86)【国際出願番号】 EP2019085527
(87)【国際公開番号】W WO2020136036
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-08-17
(31)【優先権主張番号】1874191
(32)【優先日】2018-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】512092737
【氏名又は名称】ヴァレオ システム デシュヤージュ
【氏名又は名称原語表記】VALEO SYSTEMES D’ESSUYAGE
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ、ピコ
(72)【発明者】
【氏名】マキシム、ボドワン
【審査官】磯部 洋一郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/059806(WO,A1)
【文献】特開2016-078688(JP,A)
【文献】特開2005-081318(JP,A)
【文献】特開2007-112383(JP,A)
【文献】特開2008-150012(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0138357(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106660059(CN,A)
【文献】特開2004-352167(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/157591(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106671942(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/04
B60S 1/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車(2)に搭載された光学検出システム(4)を洗浄するための洗浄装置(12)の本体に配置可能な流体スプレーノズル(20)であって、
前記ノズルは、前記本体に形成された流体流通管に流体的に接続可能な近位端(36)と、流体のための出口オリフィスを形成する遠位端(38)との間に延びる内部流通ダクト(34)を備えており、
前記流通ダクト(34)は、少なくとも底壁(62)および2つの対向する側壁(64)によって区画されており、
前記ノズルは、さらに、前記出口オリフィスのレベルで流体の経路に配置された傾斜路(70)を備え、
前記側壁(64)は、前記流通ダクトの前記遠位端(38)のレベルで前記傾斜路(70)に向かって互いに徐々に離れるように配置され、
前記流通ダクトの幅は、前記傾斜路(70)に向かって広がっていることを特徴とする流体スプレーノズル(20)。
【請求項2】
前記底壁(62)および前記側壁(64)はそれぞれ、前記傾斜路(70)との交差部に縁(72、74)を含むことを特徴とする、請求項1に記載のスプレーノズル(20)。
【請求項3】
前記側壁(64)は、それらが互いに離れる部分において、少なくとも前記流通ダクトの前記遠位端(38)のレベルで、前記底壁(62)に対して垂直に延びていることを特徴とする、請求項2に記載のスプレーノズル(20)。
【請求項4】
各側壁(64)と前記傾斜路(70)との間の交差部が、直線状または直線状に近い交差部の前記縁(74)を形成しており、交差部の前記縁(74)は、それらの間に10°から80°の間で構成される開口の角度(γ)を形成していることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のスプレーノズル(20)。
【請求項5】
前記傾斜路(70)は、前記流通ダクトの前記底壁(62)が延びる平面と、10°から60°の間で構成される数値の傾斜角(β)を形成することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のスプレーノズル(20)。
【請求項6】
前記スプレーノズルは、基部(30)とカバー部(32)とを備え、前記基部および前記カバー部は、それらの間に前記流通ダクト(34)を形成するように、一方が他方に固定されていることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のスプレーノズル(20)。
【請求項7】
前記カバー部(32)は、前記流通ダクトの前記底壁、前記側壁(64)、および前記傾斜路(70)を形成する傾斜面を一体的に形成するように構成されていることを特徴とする、請求項6に記載のスプレーノズル(20)。
【請求項8】
自動車(2)に搭載された光学検出システム(4)のための洗浄装置(12)であって、請求項1~7のいずれか一項に記載のスプレーノズル(20)を備えた、洗浄装置(12)。
【請求項9】
前記スプレーノズル(20)が伸縮体の先端に配置されており、前記洗浄装置は、少なくとも休止位置と、前記スプレーノズルが洗浄されるべき前記光学検出システムのガラス面に対向する作動位置とを取るように構成されていることを特徴とする、請求項8に記載の洗浄装置(12)。
【請求項10】
請求項8または9に記載の洗浄装置(12)を備える自動車(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援装置の分野に関し、より詳細には、この目的のために使用される光学検出システムの分野に関する。本発明は、より詳細には、このような光学検出システムの光学センサを洗浄するように構成された洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光学検出システムとは、カメラ、レーザーセンサ、または人間に見えるか見えないかのスペクトルの光、特に赤外線の照射および/または検出に基づいた他のセンサなどの光学センサを含むシステムに与えられた名称である。
【0003】
このような光学検出システムは、ますます多くの自動車に搭載され、よく知られている駐車支援をはじめとする特定の運転状況において自動車の運転者を支援したり、あるいは自動車の自動運転若しくは少なくとも部分的な自動運転を実現したりしている。自動運転機能および/または運転支援を可能な限り効果的にするためには、光学検出システムから提供されるデータが可能な限り最高の品質でなければならず、したがって、これらのデータ取得を実行するためには、清浄な光学システムが不可欠である。これを実現するために、光学検出装置(例えば画像撮影カメラのレンズ)の近傍に洗浄装置を配置し、必要に応じて流体を噴射して、検出装置の表面に付着した汚れを除去することができる。
【0004】
知られた態様では、このような洗浄装置は、洗浄液を搬送する搬送体を備えており、この搬送体の中を洗浄液が、液溜めから、搬送体の先端の液流通ダクトの出口に配置された1つまたは複数のスプレーノズルに向かって通流することができる。洗浄液は、これらのスプレーノズルを介して、洗浄すべき光学センサに向かって装置から噴出される。
【0005】
洗浄を最適化するためには、流体が拡散して噴射される円錐形ジェットと呼ばれるジェットではなく、流体が噴射ライン上に集中する平坦または実質的にフラットジェットの形で流体を噴射することが重要な目的である。これを実現するために、流通ダクトの出口の前に位置する傾斜路を備えたスプレーノズルを採用することが知られており、流体の流れを洗浄すべき光学センサに向かって急激に偏向させることができる。この急激な偏向現象により、流体の形状は発散したフラットジェット(jet plat divergeant)に変化する。
【0006】
ところで、フラットジェットの発散の角度は、流体の圧力と粘度に応じて大きく変化することがわかる。本発明者らは、このタイプのスプレーノズルから放出されるフラットジェットの発散角の値に20°のオーダーの変動を、ある一定期間にわたって観察することができた。その結果、洗浄の質は、洗浄装置の流体圧縮手段の温度および摩耗の度合いに応じて変化し、流体の圧力が高くなると発散角の値が大きくなることがわかった。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、光学センサの表面を洗浄するための流体を噴射するためのノズルであって、先行技術と比較して時間の経過とともにより安定した発散角で、フラットジェットの形態で流体を噴射するノズルを提案しようとするものである。
【0008】
本発明によれば、自動車に搭載された光学検出システムを洗浄するための洗浄装置の本体に配置可能なスプレーノズルは、本体に形成された流体流通管に流体的に接続可能な近位端と、流体のための出口オリフィスを形成する遠位端との間に延びる内部流通ダクトを備え、流通ダクトは、少なくとも底壁と2つの対向する側壁とによって区画され、ノズルは、さらに、出口オリフィスのレベルで流体の経路に配置された傾斜路を備える。側壁は、流通ダクトの遠位端のレベルで、互いに離れるように配置され、流通ダクトは、傾斜路の方向にフレア(evasement)している。
【0009】
言い換えれば、流通ダクト内の流体の通過断面積を傾斜路の近傍で大きくし、流体が傾斜路に達する前に広がる。これにより、傾斜路に接触する前の流体の最大の広がりを制御し、流れを分解してフラットジェットを発生させることができる。
【0010】
本発明のもう一つの特徴によれば、底壁および側壁はそれぞれ、傾斜路との交差部に縁(arete)を含んでいる。言い換えれば、流通ダクトを区画することに寄与している3つの壁、すなわち底壁と側壁は、傾斜路を形成する傾斜面に接触するまで、すべて長手方向に延びている。これにより、側壁のフレアによって調整された流体の最大広がり角が、流体が傾斜路に接触する瞬間に維持されるようになっている。このようにして、流体が傾斜路で偏向された後のフラットジェットの開口角度の制御が改善される。
【0011】
本発明の他の特徴によれば、単独で、または組み合わせて、以下のような規定を設けることが可能になる。
側壁は、それらが互いに離れる部分において、少なくとも流通ダクトの遠位端のレベルで底壁に対して垂直に延びている。
各側壁と傾斜部の交差部が、直線状または直線状に近い交差部の縁を形成しており、交差部の縁は、それらの間に10°から80°の間で構成される開口の角度を形成しており、開口角度は、好ましくは40°のオーダーであってもよい。
傾斜路は、流通ダクトの底壁が延びる平面と、10°から60°の間で構成される数値の傾斜角を形成する。
スプレーノズルは、基部とカバー部とを含み、これらの間に流通ダクトを形成するように、一方が他方に固定されている。
カバー部は、流通ダクトの底壁、側壁、および傾斜路を形成する傾斜面を一体的に形成するように構成されている。
流通ダクトの底壁は、基部の端面によって形成された、流通ダクトを反対側で区画する壁と平行または実質的に平行である。
傾斜路を形成する傾斜面は、基部の方向にカバー部からの突出部として延びており、側壁の高さよりも大きい高さを提供している。高さとは、傾斜路が延びるカバー部の平面に垂直な方向の寸法を意味する。
基部とカバー部が互いに接着または融着されている。
【0012】
また、本発明は、本明細書で定義されたスプレーノズルを備えた、自動車に搭載された光学検出システムのための洗浄装置に関する。
【0013】
スプレーノズルは、伸縮体の先端に配置されていてもよく、洗浄装置は、少なくとも、休止位置と、スプレーノズルが洗浄されるべき光学検出システムのガラス面に対向する作動位置とを取るように構成されている。
【0014】
また、本発明は、本明細書に記載の光学センサの外面を洗浄するための装置を備えた自動車に関する。
【0015】
本発明とその動作の他の特徴、詳細、および利点は、以下の図を参照しながら説明を読むことで、より明確に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の一態様にしたがって、光学検出システムとスプレーノズルを備えた洗浄装置を前面に装備した自動車の正面図である。
図2図2は、図1の光学検出システムと洗浄装置の斜視図であり、特に、光学検出システムと洗浄装置の延長軸と、洗浄装置の自由端に配置された本発明の一態様によるスプレーノズルを示している。
図3図3は、本発明の一態様に係るスプレーノズルの基部の斜視図である。
図4図4は、本発明の一態様に係るスプレーノズルの基部の斜視図である。
図5図5は、図4のノズルとともに、本発明の一態様に係るスプレーノズルの形成に寄与するカバー部を下から見た斜視図である。
図6図6は、特に、フラットジェットを形成するための傾斜路と、傾斜路のレベルでカバー部に形成された流通ダクトのフレアを示す図である。
図7図7は、図6のカバー部の断面図で、特に流通ダクトを形成するためにカバー部に作られた形状を示す斜視角度から見た断面図である。
図8図8は、スプレーノズルのカバー部分の縦断面図で、特に傾斜路の傾斜角度を示している。
図9図9は、図3から図8に示されたカバー部と基部から構成された、本発明によるスプレーノズルの縦断面図である。
図10図10は、スプレーノズルを下から見た図で、スプレーノズルから噴射されたスプレー液を示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
まず、図は本発明をその実施のために詳細に説明しているが、当然のことながら、必要に応じて本発明をよりよく定義するために使用されてもよいことに留意する必要がある。また、図に示されている本発明の実施形態は、非限定的な例として与えられていることも理解されるであろう。
【0018】
図1は、光学センサ4が搭載された自動車2の正面図を示す。光学センサ4は、自動車2の運転者を特定の運転状況、例えば、駐車操作の際に支援することを目的としている。光学センサ4は、カメラ、レーザーセンサ、または人間に見えるか見えないかのスペクトル、特に赤外線の光の照射および/または検出に基づく他のセンサであってもよい。光学センサ4は、自動車2のラジエータグリル8を通過する開口部6のレベルに配置されている。そのため、光学センサ4は、埃や飛散した有機物にさらされる。そのため、運転支援システムの最適な動作を保証するためには、光学センサ4の外面10を定期的に洗浄する必要がある。
【0019】
これを行うために、自動車2は、光学センサ4の近傍に配置された洗浄装置12を備えている。この洗浄装置は、光学センサ4の外面10に存在する汚れを除去するために、要求に応じて洗浄液を噴射するように構成されている。図2に示した例では、本発明を限定するものではないが、洗浄装置12と光学センサ4は、共通のユニット14に形成されたハウジングに取り付けられている。光学センサ4と洗浄装置12は、中間支持要素16を介して共通ユニット14に取り付けられている。光学センサ4および洗浄装置12は、実質的に相互に平行な2つの延長軸(X)および(X’)に沿ってそれぞれ長手方向に延びている。光学センサに関連する延長軸(X)は、光学センサ4の光軸に対応し、洗浄装置12に関連する延長軸(X’)は、洗浄装置12の伸縮部の展開軸に対応する。
【0020】
図2では、洗浄装置12は伸縮可能な装置で、ここでは、洗浄装置の先端に存在するスプレーノズル20を介して洗浄液を光学センサ4に噴射されることができるように展開された位置で描かれている。
【0021】
洗浄装置12は、追加的に、特に、搬送体24を含んでいて、搬送体24は、例えば、内部をピストン18が格納位置と上述の展開位置との間で移動可能な中空体を含み、この移動性がスプレーノズル20の伸縮展開に寄与している。中空体は、延長軸(X’)を中心とした回転の対称性を示す形状を有しており、一端は入口フランジ26によって閉じられ、反対側の端部には内部をピストンがスライド可能なスリーブを有している。洗浄液を入れるための入口エンドピースは、入口フランジ26からの突出部として形成されている。
【0022】
明記されているように、洗浄装置のピストン18は、その端部にスプレーノズル20を備えており、このスプレーノズルは、洗浄装置12を通過する流体の噴射を可能にするように、既知の手段によって洗浄装置の他の部分に流体的に接続されている。
【0023】
スプレーノズル20は、ピストン18に固定された基部30と、カバー部32の2つの異なる部品を含んでいる。組み立てられると、これらの2つの部品は、近位端36と、スプレーノズル20の遠位端38との間に延びる流通ダクト34を定義する。近位端36は、流通ダクトの入口を形成し、洗浄装置の流通管に流体的に接続される。遠位端38は、ダクトの出口を形成し、それを介して流体が洗浄されるべき光学面に向かって噴射されることができる。
【0024】
図3および図4に見えるスプレーノズルの基部30は、ピストン18に固定するための固定部40を備えており、ここでのこの固定部は、延長軸(X)に沿って延びる円筒形の胴体で形成されている。固定部40は、ピストン18の自由端を補完する形状となっており、例えば、これらを弾性的に挟み込むことで互いに取り付けることができるようになっている。スプレーノズル20の洗浄装置12の残りの部分へのスプレーノズル20の取り付けは、図示されていないOリングを介在させることによって液密になっている。
【0025】
また、スプレーノズルの基部30は、前述のカバー部32によって覆われることを意図した支持部42を備えており、この支持部は、(図4では可視の)円筒形胴体の延長軸(X)に対して垂直または実質的に垂直な軸(Y)に沿って延びている。オリフィス44は、ピストン18とは反対側を向いている基部の接触面46に開口している。このオリフィスは、洗浄装置の延長軸の延長に配置されている洗浄装置の流通管と連通しているので、このオリフィス44によって、洗浄装置の展開体に存在する流体が、流通ノズルに形成された流通管の方向に流れることができることが理解されるであろう。
【0026】
接触面46は、カバー部32によって覆われるようになっている。接触面46は、平らな面または実質的に平らな面を有しており、オリフィス44を部分的に取り囲むリブ48を構成している。後述するように、リブ48は、スプレーノズル20の基部30とカバー部32との間の液密な組み付けを可能にし、流通ダクトの形状を定義することを意図している。したがって、リブ48はU字型の形状を有しており、枝がスプレーノズルの遠位端38に向かって延びていることに留意すべきである。
【0027】
図5図6および図7に示すように、スプレーノズルのカバー部32は、基部30に直接接触するスリーブ50と、スリーブの基部30とは反対側の端部を半径方向に延びるフランジを形成する閉鎖板52と、を含んでいる。
【0028】
スリーブ50は、スプレーノズル20の支持部42の接触面46と接触するように意図された自由端面54を有している。スリーブ50は、自由端面54に形成された、図5図6および図7に顕著に見えるくぼみ(empreinte)56を有し、基部に配置されたリブ48に形状および寸法で対応するように構成されている。図9で部分的に見えているように、くぼみ56とスプライン48は、基部30とカバー部32の固定結合によってスプレーノズルが組み立てられたときに、スプレーノズル内の流体の通流を液密にするために協働することが理解されるであろう。
【0029】
カバー部32は、スプレーノズルの基部30に接着されていてもよいし、弾性変形手段を用いて組み立てるようにしてもよい。特定の一実施形態では、特に液密な固定を保証し、したがって、スプレーノズル内を通流するはずの流体の漏れのリスクを最小化し、2つの部品は、特に超音波溶接プロセスまたはレーザー溶接プロセスを用いて、互いに融着される。組み立てを容易にすることに関する理由、および美観上の理由の両方で、スプレーノズル20の2つの部品は、それぞれ、洗浄装置の長手方向の延長軸(X)に垂直な平面における断面において、同等の形状および寸法の周縁部を有している。
【0030】
スプレーノズルのカバー部32は、その自由端面に、オリフィス44の開口部に対面するように、スプレーノズルの遠位端38の方向に、くぼみ56の内側に延びるトレンチ(tranchee)58を含んでいる。
【0031】
特に図5図6および図7に示されているように、トレンチ58は、基部30の接触面46と一緒に、軸(Y)に沿って延びる前述の流通ダクト34を形成するのに寄与している。
【0032】
基部30とは反対側に配置された流通ダクト34の底壁62は、スリーブの自由端面54が延びる平面と平行または実質的に平行に延びるトレンチ58の底部によって形成されている。底壁の位置によって定義されるトレンチ58の深さは、0.3~1.5ミリメートルのオーダーであり、この値は、本発明を限定するものではなく、指標として与えられていることが理解される。
【0033】
流通ダクト34は、底壁62に対して垂直または実質的に垂直である2つの側壁64によって境界が定められている。図示された例では、側壁は、流通ダクト34の遠位端のレベルで、底壁に直立した垂直な内壁面を有している。
【0034】
この流通ダクト34において、横方向の壁64は、3から10mmの間で構成される距離によって分離されているが、後でさらに詳しく説明するように、ダクトは、幅、すなわち横方向の壁の間の距離が、一方の端から他方の端まで変化し、流体出口のレベルでフレア状になり、流体入口のレベルでの幅が流体出口のレベルでの幅よりも大きいことに留意されたい。その結果、ダクトの中央部には、制限スロート65が設けられている。
【0035】
図9に特に示されているように、カバー部32の自由端面54を基部30の接触面46に密着させて押圧することにより形成された流通ダクト34の形成によって、スプレーノズルの出口オリフィスまでの流体の通流が可能になる。このようにして、接触面46は、流通ダクト34を閉じる上壁66を形成し、流体を洗浄装置の流通管に導くことができる連続した経路を得ることができる。
【0036】
また、スプレーノズルのカバー部32は、流通ダクト34の遠位端に面して配置された傾斜路70を形成する傾斜面を有している。本実施例によれば、傾斜部70は、カバー部32の接触面46から突出する突起によって形成されている。傾斜面は、スリーブ50の自由端面54からの突起として顕著に延びており、このように形成された傾斜路は、流通ダクト34の遠位端に面しているとともに、このダクトを境界づける側壁64に面しているように横方向に延びている。傾斜路70は、図8に顕著に見られるように、流通ダクトの底壁62が延びる平面に対して、傾斜角βを形成する。傾斜角度βの値は、10°から60°の間、特に15°から50°の間、好ましくは20°から30°のオーダーで構成される。そのようにして、流通ダクト34から来る洗浄液は、図2に模式的に示されているように、光学センサ4の外面10を洗浄するために、発散フラットジェット100の形態で、傾斜路70によって偏向される。傾斜路70の目的は、流通ダクト34を流出する流体の流れを分断して、傾斜路形成傾斜面に垂直な面に散乱させることである。ここで、「フラットジェット」とは、1つの寸法が他の2つの寸法に比べて非常に小さいことを特徴とするボリュームに含まれる流体のジェットを意味する。言い換えれば、この流体のジェットは、互いに平行な2つの互いに近づけられた平面の間に構成されている。
【0037】
流体が傾斜路70から反射した後に形成される(特に図2図10で見える)フラットジェットの発散角αの値を制限するために、カバー部32は、スプレーノズル20に形成される流通ダクト34が傾斜路70を形成する傾斜面まで延びるように構成されている(図8参照)。言い換えれば、カバー部に形成され、流通ダクト34の画定に寄与する底壁62および側壁64は、材料の連続性を示すように、傾斜路70を形成する傾斜面まで延びている。
【0038】
傾斜路70を形成する傾斜面は、流通ダクト34の形成に寄与する底壁62までスリーブの内側に向かって延びており、この底壁と傾斜路との交差部に交差部の縁72を形成している。
【0039】
さらに、各側壁は、スリーブ50の自由端面54が傾斜路70に接触するまで延び、その結果、交差部の縁74が形成されるようになっている。したがって、各側壁64は、これらの縁74の1つに沿って、傾斜路70を形成する傾斜面に接続されている。各側壁64は、流通ダクト34を区画するのに寄与する他の側壁の内壁面に面して配置された内壁面76を有している。ダクトの遠位端38の近傍では、各側壁は、内壁面76の間にフレアを形成する、面取り部分77を有する。ここでの面取り部分は、平らな形状を有し、それらの間に流通ダクトの遠位端の開口角度γを形成する。角度γの値は、10°から80°の間、好ましくは30°から50°の間、または40°のオーダーで構成される。言い換えれば、流通ダクト34の遠位端38のレベルでは、側壁64は、傾斜路70を形成する傾斜面の方向に互いに離れる。
【0040】
なお、流通ダクト34の上壁66の端部は、洗浄液が噴射される流通オリフィス78の端部を区画するように、少なくとも部分的に傾斜面70から後退させていることに留意すべきである。
【0041】
側壁64を傾斜路70に接続し、流通ダクト34の遠位端38にフレアを形成し、当該側壁が傾斜路70に徐々に近づくにつれて互いに離れるようにすることで、有利には、流通オリフィス78から出るフラットジェット100の発散角αの最大値を制限することができる。
【0042】
そのため、本発明では、圧力および/または温度が本明細書で定義した値の範囲内で変化したときに、フラットジェットが広がるのを防ぐことができる。これらの変化する条件の下で、流体は、傾斜路まで延びる側壁のフレアにより、これらの側壁が中断されることなく、常に同じ開口角γで傾斜路に衝突する。これにより、傾斜路に衝突する前の流れの発散が制御され、流通ノズルを出る際の発散も制御される。
【0043】
図示された例では、特に図9に示されているように、スプレーノズルを出る流れの発散角αの変動は、5~10°のオーダーであることが確実になっているが、傾斜路までフレア状に続く側壁のない先行技術の設計では、これらの変動は40°にも及ぶ可能性があることが理解される。その結果、本発明によるスプレーノズルは、流体の圧力および/または温度が所定の範囲内で変化する場合でも、光学センサの外面10の洗浄を実質的に同一視することができる。
【0044】
なお、本発明は、本明細書に明示的に記載された洗浄装置のスプレーノズルの実施形態のみに限定されるものではなく、非限定的な変形例として、スプレーノズルが流通管の側壁に接続された傾斜面で構成され、当該側壁が傾斜面の方向に離れていることを条件で、スプレーノズルを構成する部品の形状および/または流通管の形成に寄与するトレンチの形状を顕著に変更することができることに留意されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10