(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-06
(45)【発行日】2023-04-14
(54)【発明の名称】圧縮機を無負荷状態に向かって制御する方法
(51)【国際特許分類】
F04C 28/06 20060101AFI20230407BHJP
F04C 28/24 20060101ALI20230407BHJP
F04B 49/035 20060101ALI20230407BHJP
【FI】
F04C28/06 E
F04C28/24
F04B49/035 331
(21)【出願番号】P 2021544575
(86)(22)【出願日】2020-01-09
(86)【国際出願番号】 IB2020050134
(87)【国際公開番号】W WO2020157587
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-08-11
(32)【優先日】2019-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(73)【特許権者】
【識別番号】593074329
【氏名又は名称】アトラス コプコ エアーパワー,ナームローゼ フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】ATLAS COPCO AIRPOWER,naamloze vennootschap
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】マルテンス クリストフ アドリアン ラウラ
(72)【発明者】
【氏名】ピトイス スティン
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-530450(JP,A)
【文献】特開昭57-052697(JP,A)
【文献】特開2017-020516(JP,A)
【文献】特開昭57-212385(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 28/06
F04C 28/24
F04B 49/035
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機要素(2)を備える圧縮機を無負荷状態に向かって制御する方法であって、前記圧縮機要素(2)は、
入口(5)と、弁入口(7)を備え前記圧縮機要素(2)の前記入口(5)を少なくとも部分的に閉鎖することができるように構成された制御可能な入口弁(6)と、
下流側の消費者ネットワーク(15)と接続される圧力管路(11)に接続された出口(10)と、を備え、
前記圧縮機は、前記圧力管路(11)に接続される制御可能な吹出し弁(19)をさらに備え、前記圧縮機の負荷状態において、前記吹出し弁(19)は閉鎖され、前記入口弁(6)は完全に開放され、
前記負荷状態から前記無負荷状態への移行に関して、前記方法は、
前記消費者ネットワーク(15)の作動圧(p
15)を決定するステップと
前記作動圧(p
15)が設定最大作動圧(p
15max)に到達したとき、前記吹出し弁(19)を開放し、前記入口弁(6)によって前記圧縮機要素(2)の前記入口(5)を部分的に閉鎖し、前記圧縮機の前記負荷状態から前記無負荷状態への移行期間の後で、前記無負荷状態において、残留流量(Q
D)が、前記入口(5)を介して前記圧縮機要素(2)に向かってその中に吸い込まれるステップと、を含み、
前記移行期間の間の前記入口(5)の前記部分的な閉鎖は、連続的な離散移行ステップで実行され、
前記残留流量(Q
D)は、前記圧力管路(11)に接続された圧力タンク(12)における最小平衡圧(p
12u)を維持するために必要な最小のガス流量に対応する、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
第1の移行ステップにおいて、前記圧縮機要素(2)の前記入口(5)は、前記残留流量(Q
D)に対して、余分のガス流量(ΔQ)が前記入口(5)を介して通過するように部分的に閉鎖され、何らかの後続の移行ステップにおいて、ますます小さな流量を、前記入口(5)を介して前記圧縮機要素(2)に向かってその中に吸い込むために、前記入口(5)はその都度さらに閉鎖される、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記入口(5)を介して前記圧縮機要素(2)に向かってその中に吸い込まれるガス流は、前記入口弁(6)をより大きな又はより小さな程度に閉鎖することにより制御される、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記入口弁(6)は、前記残留流量(Q
D)に対応する端部位置を有し、前記連続的な離散移行ステップのうちの1つにおいて、前記入口弁(6)は、第1の位置に向かって制御され、前記入口弁(6)は、前記残留流量(Q
D)よりも大きいガス流を前記圧縮機要素(2)に向かってその中に吸い込むために、前記端部位置の方に完全には閉鎖されず、前記入口弁(6)は、後続の移行ステップのうちの少なくとも1つにおいて前記端部位置の方にさらに閉鎖される、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記入口(5)を介して前記圧縮機要素(2)に向かってその中に吸い込まれたガス流は、前記圧縮機要素(2)の前記入口(5)を、1又は2以上の密閉可能な追加のバイパス(39)を介して、前記入口弁(6)の前記弁入口(7)と接続するか又は接続しないかによって制御される、
請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記負荷状態から前記無負荷状態への移行の前に、前記圧縮機要素(2)の前記入口(5)は、前記1又は2以上の密閉可能な追加のバイパス(39)を介して、前記入口弁(6)の前記弁入口(7)と接続され、前記密閉可能な追加のバイパス(39)のうちの少なくとも1つは、前記連続的な離散移行ステップのうちの少なくとも1つの間に少なくとも部分的に閉鎖される、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記入口(5)を介して前記圧縮機要素(2)に向かってその中に吸い込まれたガス流は、前記圧縮機要素(2)の前記入口(5)を、1又は2以上の密閉可能な追加のバイパス(39)を介して、前記圧力タンク(12)と接続するか又は接続しないかによって制御される、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
前記負荷状態から前記無負荷状態への移行の前に、前記圧縮機要素(2)の前記入口(5)は、前記1又は2以上の密閉可能な追加のバイパス(39)を介して、前記圧力タンク(12)と接続され、前記密閉可能な追加のバイパス(39)のうちの少なくとも1つは、前記連続的な離散移行ステップのうちの少なくとも1つの間に少なくとも部分的に閉鎖される、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記方法は、後続の移行ステップの時間を決定するために、
圧力タンク(12)の圧力(p
12)を決定するステップと、
前記移行ステップの各々に関して、前記後続の移行ステップの初期設定圧力(p
12max)を予め設定するステップと、
-前記移行期間の間に、前記圧力タンク(12)の前記圧力(p
12)が前記後続の移行ステップの前記予め設定された初期設定圧力(p
12max)以下である場合に、前記後続の移行ステップを実行するステップと、をさらに含む、
請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記予め設定された初期設定圧力(p
12max)は、前記後続の移行ステップを実行した直後に、前記圧縮機要素(2)上で実現された圧力比(pr)が予め設定された最大圧力比率(p
rmax)よりも小さいように選択される、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
第1の移行ステップにおいて、前記圧縮機要素(2)の前記入口(5)は、前記残留流量(Q
D)に対して、余分のガス流量(ΔQ)が前記入口(5)を介して通過するように部分的に閉鎖され、何らかの後続の移行ステップにおいて、ますます小さな流量を、前記入口(5)を介して前記圧縮機要素(2)に向かってその中に吸い込むために、前記入口(5)はその都度さらに閉鎖され、
前記第1の移行ステップでの前記余分のガス流量(ΔQ)は、前記消費者ネットワーク(15)の前記設定最大作動圧(p
15max)に等しい前記出口(10)での圧力(p
10)に関して、前記予め設定された最大圧力比(p
rmax)よりも小さい、前記第1の移行ステップを実行した直後に実現された圧力比(pr)を取得するために、前記圧縮機要素(2)の前記入口(5)で必要とされる圧力(p
5)によって決定される、
請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
前記余分のガス流量(ΔQ)は、前記消費者ネットワーク(15)の前記設定最大作動圧(p
15max)の関数として予め理論的に又は実験的に決定される、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記余分のガス流量(ΔQ)は、可変である、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記余分のガス流量(ΔQ)は、固定値を有する、
請求項12に記載の方法。
【請求項15】
後続の移行ステップの時間を決定するために、
-前記移行ステップの各々について、前記後続の移行ステップまでの時間間隔を予め設定するステップと、
-前記時間間隔の終了後に前記後続の移行ステップを実行するステップと、をさらに含む、
請求項1から14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記移行期間の間の前記入口(5)の部分的な閉鎖は、2つの連続的な離散移行ステップのみで実行される、
請求項1から15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
圧縮機要素(2)を備える圧縮機であって、前記圧縮機要素(2)は、
入口(5)、及び、1又は2以上の較正開口(33、34)を除いて、前記入口(5)を閉鎖することができるように構成され、弁入口(7)を備える制御可能な入口弁(6)と、
下流側消費者ネットワーク(15)と接続される圧力管路(11)に接続された出口(10)と、を備え、
前記圧縮機は、前記圧力管路(11)に接続される制御可能な吹出し弁(19)をさらに備え、
前記圧縮機は、前記消費者ネットワーク(15)の作動圧(p
15)が設定最大作動圧(p
15max)に到達した場合に前記圧縮機の何らかの負荷状態から何らかの無負荷状態への移行の間に前記入口弁(6)及び前記吹出し弁(19)を制御する制御装置(35)をさらに備え、
前記負荷状態において、前記入口弁(6)は完全に開放され、前記吹出し弁(19)は閉鎖され、
前記無負荷状態において、前記吹出し弁(19)は開放され、前記圧縮機要素(2)の前記入口(5)は前記入口弁(6)によって部分的に閉鎖され、前記圧縮機の前記負荷状態から前記無負荷状態への移行期間の後で、前記無負荷状態において、残留流量(Q
D)が、前記入口(5)を介して、前記圧縮機要素(2)に向かってその中に吸い込まれるようになっており、
前記圧縮機は、連続的な離散移行ステップにおける前記移行期間の間に前記圧縮機要素(2)の前記入口(5)を部分的に閉鎖するために前記制御装置(35)を使用する手段(38)を備え、
前記圧縮機は、圧力タンク(12)をさらに備え、前記圧力タンク(12)は、前記圧力管路(11)に接続され、前記手段(38)は、前記無負荷状態において、前記圧力タンク(12)内で最小平衡圧(p
12u)を維持するのに必要な最小ガス流量に対応する残留流量(Q
D)が、前記圧縮機要素(2)の向かってその中に吸い込まれるように構成される、
ことを特徴とする圧縮機。
【請求項18】
前記手段(38)は、第1の移行ステップにおいて、前記残留流量(Q
D)に対して、余分の流量(ΔQ)が前記入口(5)を介して通過するように前記圧縮機要素(2)の前記入口(38)を部分的に閉鎖するように構成され、何らかの後続の移行ステップにおいて、ますます小さな流量を、前記入口(5)を介して前記圧縮機要素(2)に向かってその中に吸い込むために、前記入口(5)は、その都度さらに閉鎖される、
請求項17に記載の圧縮機。
【請求項19】
前記手段(38)は、前記入口弁(6)をより大きな又はより小さな程度に閉鎖するために前記制御装置(35)を使用するように構成される、
請求項17又は18に記載の圧縮機。
【請求項20】
前記手段(38)は、前記圧縮機要素(2)の前記入口(5)と前記入口弁(6)の前記弁入口(7)との間の接続部を形成するように構成された1又は2以上の密閉可能な追加のバイパス(39)を含み、前記密閉可能な追加のバイパス(39)は、制御可能なシャッター(40)を備える、
請求項17から19のいずれか1項に記載の圧縮機。
【請求項21】
前記手段(38)は、前記圧縮機要素(2)の前記入口(5)と前記圧力タンク(12)との間の接続部を形成するように構成された1又は2以上の密閉可能な追加のバイパス(39)を含み、前記密閉可能な追加のバイパス(35)は、前記制御装置(35)によって制御可能であるシャッター(40)を備える、
請求項17から20のいずれか1項に記載の圧縮機。
【請求項22】
前記制御装置(35)は、前記圧力タンク(12)の圧力(p
12)が設定最小閾値(p
12min)よりも小さい場合に、無負荷状態から負荷状態への前記圧縮機の移行の間の特定の遅延期間の間に前記入口弁(6)を最初は閉鎖状態に維持し、その後でのみ前記入口弁(6)を開放し、前記圧力タンク(12)の前記圧力が漸増するのを可能にするために、前記遅延期間の間に前記密閉可能な追加のバイパス(39)のうちの少なくとも1つを開放し、前記圧力タンク(12)の前記圧力(p
12)が前記設定最小閾値(p
12min)に到達した瞬間にのみ、前記入口弁(6)を開放するアルゴリズムを備える、
請求項20又は請求項21に記載の圧縮機。
【請求項23】
前記制御装置(35)は、電気又は電子制御装置であり、前記入口弁(6)及び前記吹出し弁(19)は、前記圧力タンク(12)に接続された電動弁によって空圧制御される、
請求項17から22のいずれか1項に記載の圧縮機。
【請求項24】
圧力センサー(37)は、前記圧力タンク(12)の圧力(p
12)を測定するために設けられ、前記制御装置(35)は、前記移行期間の間に、移行ステップが前記圧力タンク(12)内の測定された圧力が予め設定された初期設定圧力(p
12max)以下である場合に実行されるようなものである、
請求項17から23のいずれか1項に記載の圧縮機。
【請求項25】
前記制御装置(35)は、前記連続的な離散移行ステップを実行するために前記連続的な離散移行ステップの間の設定時間間隔を有するタイマーを備える、
請求項17から24のいずれか1項に記載の圧縮機。
【請求項26】
前記圧縮機は、一定の回転速度を有する、
請求項17から25のいずれか1項に記載の圧縮機。
【請求項27】
前記圧縮機は、前記圧縮機要素(2)の駆動装置を備え、前記圧縮機要素(2)と前記駆動装置との間には弾性継手が設けられていない、
請求項17から26のいずれか1項に記載の圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機、並びに、特に圧縮機が圧縮ガス、例えば加圧空気を消費者ネットワークに供給する必要がある負荷状態から圧縮ガスが消費されない無負荷状態への移行中にこのような圧縮機を制御する方法に関する。
【0002】
本発明は、より具体的には、圧縮機を無負荷状態に向かって制御する方法に関し、圧縮機は、入口弁及び入口弁を特徴とする圧縮機要素を備え、無負荷状態において、残留流量は、入口を通って圧縮機要素に向かってその中に吸い込まれ、吹出し弁を通って圧縮機の出口に放出され、圧縮機の負荷状態から無負荷状態への移行のために、圧縮機要素の入口は、連続的な離散移行ステップで部分的に閉鎖される。
【背景技術】
【0003】
無負荷状態において、圧縮機要素は停止されず、所定の回転速度で駆動され続ける。その場合において、入口弁の一部の較正通路は別として、入口が閉鎖されるという事実に起因して、限られたガス量のみが残留流量で吸い込まれ、吸い込まれたガスは、出口から大気に直ちに排出されるので、圧力は圧縮機の圧力タンク内で増大することができない。
【0004】
従って、圧縮機要素を無負荷状態で稼働するのを維持するために最小のエネルギーのみが必要である。
【0005】
移行期間の後で、平衡状態に到達し、圧力タンクは所定の平衡圧に到達する。「無負荷状態」はこの平衡状態を指す。
【0006】
上述した較正通路は、無負荷状態に到達した平衡圧を低いエネルギー使用のためできるだけ低く、さらに、例えば、とりわけ、圧縮機要素の十分な冷却及び潤滑に必要とされる圧縮ガスから除去された流体の、圧力タンクから圧縮機の圧縮機要素への流体回路による十分な流体注入を保証するのに、十分に高く維持するために計算される。
【0007】
無負荷状態から負荷状態への移行は、消費者ネットワークの作動圧が選択され、ユーザーによって設定された最小値よりも低下した場合に開始される。
【0008】
従来の大部分の圧縮機において、入口弁は、作動圧が上述した設定値に到達すると直ちに完全に開放され、同時に、吹出し弁は、完全に閉鎖される。
【0009】
これは、圧縮機要素の出口での急激な望ましくない温度ビークを引き起こす可能性があり、これは、圧縮機故障につながる場合がある。
【0010】
これに対する解決策は、国際公開第15035478号に記載されており、入口弁は、即座に開放されず、無負荷状態から負荷状態への移行の間の所定の遅延の後でのみ開放される。従って、国際特許出願第15035478号は、この解決策を本発明と組み合わせることができるという意味において、本明細書に引用により組み込まれると見なされる。
【0011】
しかしながら、反対側の負荷状態から無負荷状態への移行の間に発生する問題は解決されておらず、本発明に至ることになった。
【0012】
この負荷状態から無負荷状態への移行において、従来の圧縮機において、入口弁は、消費者ネットワークの所望の作動圧に到達すると即座に急激に閉鎖され、同時に吹出し弁は開放される。その瞬間、圧縮機要素の出口の圧力は、最大であり、ほぼ設定作動圧に等しく(圧縮機要素の出口と圧縮機の出口との間の圧力降下を除く)、圧縮機要素の入口での圧力は、最小であり、圧縮機要素が入口弁の上述した較正開口を介して僅かなガス流量を吸い込み続けることに起因して引き起こされる負圧に等しい。
【0013】
これは、負荷状態から無負荷状態への移行時に、入口弁が急激に閉鎖され、吹出し弁が開放される場合に、圧縮機要素上の圧力比の値、換言すると、出口での圧力と圧縮機要素の入口との圧力の圧力比の値は、ビークに到達することを意味する。
【0014】
これは、特に、振動の周期数が回転部分又は圧縮機の構造の固有周期数と一致する場合に、圧縮機要素の出口でのガスの圧縮によって生成され、直接的に又は弾性結合を介して、圧縮機要素の回転部分及び駆動装置、及び、場合によっては駆動装置と圧縮機要素との間の歯車筐体に伝達される圧力の周期的なパルスに起因する高い振動レベルにつながる可能性がある。この悪影響は、典型的には、圧縮機要素での上述した圧力比が大きい場合に一層顕著であり、望ましくない損傷となり得る。
【0015】
望ましくない損傷のリスクは、弾性継手が駆動装置と圧縮機要素との間にない場合にさらに一層大きい。これは、例えば、圧縮機の長さを制限するために、経費を節減するために、又はメンテナンスの容易化のために、弾性継手が省略される場合に当てはまる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、上述の及び/又は他の問題のうちの1又は2以上、より具体的には、負荷状態から無負荷状態への移行に関係する問題の解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
これらの目的のために、本発明は、圧縮機要素を備える圧縮機を無負荷状態に向かって制御する方法に関し、圧縮機要素は、
入口、及び圧縮機要素の入口を少なくとも部分的に閉鎖することができるように構成され、弁入口を備える制御可能な入口弁と、
下流側の消費者ネットワークと接続される圧力管路に接続された出口と、
を備え、
圧縮機は、圧力管路に接続される制御可能な吹出し弁をさらに備え、圧縮機の負荷状態において、吹出し弁は閉鎖され、入口弁は完全に開放され、
負荷状態から無負荷状態への移行に関して、本方法は、
消費者ネットワークの作動圧)を決定するステップと
作動圧が設定最大作動圧に到達した場合に、吹出し弁を開放し、入口弁によって圧縮機要素の入口を部分的に閉鎖し、圧縮機の負荷状態から無負荷状態への移行期間の後で、無負荷状態において、残留流量が、入口を介して圧縮機要素に向かってその中に吸い込まれるようになっているステップと、を含み、
移行期間の間の入口の部分的な閉鎖は、連続的な離散移行ステップで実行されることを特徴とする。
【0019】
本発明による方法の1つの利点は、複数の連続的な離散移行ステップでの移行期間の間の入口の部分的な閉鎖によって、及び、結果的に移行期間の間の残留流量よりも大きな流量の吸い込みによって、低い負圧が、圧縮機要素の入口に介して実現される、又は、従って、移行期間の間に残留流量のみが入口を介して圧縮機要素に向かってその中に吸い込まれることになる状況と比較すると入口のより大きな絶対圧力が実現される。
【0020】
負荷状態から無負荷状態への移行に関して、この移行は設定最大作動圧に到達した場合に開始されるので、圧縮機要素の出口内の圧力は、消費者ネットワーク内の設定最大作動圧にほぼ等しい。同時に、本発明の結果として、入口の絶対圧力は大きくなり、その結果として、出口内の圧力とその瞬間での入口内の圧力との間の圧力比のピークが低下し、好都合な結果は、上述した圧力比の過度に高いピークから生じる危険な振動レベルを防止することができるということである。
【0021】
通常の無負荷状態で吸い込まれる残留流量と比較するとより大きな吸い込み流量に起因して、圧力管路に接続された圧力タンクの平衡圧は、無負荷状態で通常の平衡圧よりも高いことになり、従って、圧縮機要素の無負荷駆動のエネルギーの必要性をできるだけ少なくする目的で、圧力タンクの平衡圧を無負荷状態において通常の平衡状態値に回復するために、1又は2以上の移行ステップで吸い込まれた流量を通常の無負荷の残留流量に低減させることが必要である。
【0022】
また、後続の移行ステップの時間を決定するために、本方法は、
-圧力タンクの圧力を決定するステップと、
-移行ステップの各々に関して、後続の移行ステップの初期設定圧力を予め設定するステップと、
-移行期間の間に、圧力タンクの圧力が後続の移行ステップの予め設定された初期設定圧力以下である場合に、後続の移行ステップを実行するステップと、
を含むことができる。
【0023】
予め設定された初期設定圧力は、後続の移行ステップを実行した直後に、圧縮機要素上の実現された圧力比が予め設定された最大圧力比率よりも小さいように事前に選択することができる。
【0024】
代替案において、後続の移行ステップの上述した時間を決定するために簡素化された方法を使用することができ、本方法は、
-移行ステップの各々に関して、時間間隔が、後続の移行ステップに予め設定され、
-後続の移行ステップは、上述した時間間隔の終了後に初期化される、
ことを提供する。
【0025】
本発明による方法の好適な実施形態によれば、圧縮機要素内で吸い込まれた余分のガス流は、消費者ネットワークの設定最大作動圧に等しい出口での圧力に関して、予め設定された最大圧力比よりも小さい、第1の移行ステップを実行した直後に実現された圧力比を取得するために、圧縮機要素の入口で必要とされる圧力によって決定される。
【0026】
圧縮機要素に吸い込まれたこの追加のガスは、好ましくは、消費者ネットワークの設定最大作動圧の関数として予め理論的に又は実験的に決定することができる。
【0027】
次に、第1のステップで圧縮機要素に吸い込まれた余分のガス流量は、可変とすることができ、このガス流量は、負荷状態から無負荷状態への移行時の設定最大作動圧に関して予め決定される。
【0028】
消費者ネットワークの設定最大作動圧の低い値に関して、吸い込まれた余分の流量は、ゼロとすることができる。
【0029】
次に、第1の移行ステップで吸い込まれた余分のガス流量は、可変とすることができ、このガス流量は、負荷状態から無負荷状態への移行時の設定最大作動圧に関して予め決定される。
【0030】
代替案において、第1のステップで吸い込まれた余分のガス流量は、設定する必要がある消費者ネットワークの作動圧の安全な最大値の関数として、理論的に又は実験的に予め決定された固定値を有することができ、これによって、制御がより簡単になる。
【0031】
好ましくは、本方法は、負荷から無負荷に移行する2つの連続的な離散ステップに限定される。
【0032】
また、本発明は、圧縮機要素を備える圧縮機に関し、圧縮機要素は、
入口、及び、1又は2以上の較正開口を除いて、入口を閉鎖することができるように構成され、弁入口を備える制御可能な入口弁と、
下流側消費者ネットワークと接続される圧力管路に接続された出口と、
を備え、
圧縮機は、圧力管路に接続される制御可能な吹出し弁をさらに備え、
圧縮機は、消費者ネットワークの作動圧が設定最大作動圧に到達した場合に圧縮機の何らかの負荷状態から何らかの無負荷状態への移行の間に入口弁及び吹出し弁を制御する制御装置をさらに備え、
負荷状態において、入口弁は完全に開放され、吹出し弁は閉鎖され、
無負荷状態において、吹出し弁は開放され、圧縮機要素の入口は入口弁によって部分的に閉鎖され、圧縮機の負荷状態から無負荷状態への移行期間の後で、無負荷状態において、残留流量が、入口を介して、圧縮機要素に向かってその中に吸い込まれるようになっており、
圧縮機は、連続的な離散移行ステップにおける移行期間の間に圧縮機要素の入口を部分的に閉鎖するために制御装置を使用する手段を備える。
【0033】
本発明による当該圧縮機は、本発明による上記の方法と同じ利点を有することは言うまでもない。
【0034】
本発明の特徴をより良好に示すために、以下において、これらの説明は非制限的な正確であり、好適な用途の一部の実施例は、添付された図面を参照して、圧縮機を説明し、さらに当該圧縮機の負荷状態から無負荷状態への移行のために制御するための本発明による方法を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明による負荷状態の圧縮機の概略図である。
【
図2】
図1において枠F2でマーキングされた部分を示す。
【
図5】
図1の負荷状態から
図3及び
図4の無負荷状態への移行中の
図1及び
図2の圧縮機の動作パラメータの一部の経時的な進展に関係する一連のグラフを示す。
【
図6】
図1と
図3の負荷状態と無負荷状態との間の中間状態の、より具体的には、本発明による方法の第1の移行ステップ後の本発明による圧縮機を示す。
【
図7】
図6の中間状態を考慮して、比較のために
図5のグラフ上に重ね合わされた
図5の動作パラメータのタイムスパンを示す。
【
図8】本発明による圧縮機の他の代替実施形態を示す。
【
図9】本発明による圧縮機の他の代替実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1に示す設備は、本発明による圧縮機、この場合、流体注入スクリュー圧縮機1に関し、圧縮機は、2つの協働するヘリカルロータ4が図示されていないモーター又は同様のものによって駆動される、従来の筐体3を有するスクリュー式の圧縮機要素2を備える。
【0037】
圧縮機要素2は、弁入口7を有する制御可能な入口弁6によって密閉することができる入口5を備え、弁入口7は、ガス、この場合は空気を環境から吸い込むために、吸い込み管路8によって入口フィルタ9に接続される。
【0038】
また、圧縮機要素2は、圧力管路11に接続された出口10を備え、圧力管路11は、流体分離器13を収容する圧力タンク12及び冷却器14を通って、図示されていない様々な空圧工具又は同様のものに供給するための下流側の消費者ネットワーク15に接続される。
【0039】
この場合、逆止弁16は、圧縮機要素2の出口10に設けられ、最小圧力弁17は、圧力タンク12の出口上に配置される。
【0040】
圧力タンク12において、排気分岐管18が設けられており、排気分岐管は、入口弁6の弁入口7の場所で終端し、排気分岐管は、制御可能な電動弁の形態の吹出し弁19によって密閉可能である。
【0041】
スクリュー圧縮機1は、潤滑及び/又は冷却するために、及び/又は、様々な回転子4の相互の間で及び回転子4と筐体3との間でシールをもたらすために、圧力タンク12内の圧力p12の影響下で、流体21、例えばオイルを圧力タンク12から圧縮機要素2の中に注入するための流体回路20を備える。
【0042】
この流体回路20は、注入器22又は同様のものを備え、これは、流体フィルタ24を含む注入管路23を介して圧力タンク12内の加圧流体21に接続される。
【0043】
圧力タンク12から注入器22に流れる流体21は、注入管路23内の温度を調整するために、流体冷却器27を通る分岐管路26を介して温度調節コック25を介して迂回させることができる。
【0044】
各図面に示す実施例において、制御式遮断弁28は、注入器22上に設けられ、制御式遮断弁28は、流体が、圧縮機要素2から圧力タンク12に逆流するのを、及びこの圧縮機要素2の停止時に圧力タンク12から圧縮機要素2に流れるのを防止する。
【0045】
もしくは、逆止弁16及び遮断弁28の機能は、また、入口弁6の動作に組み込むこともでき、その場合、物理的な逆止弁16及び物理的な遮断弁28は設ける必要がない。
【0046】
入口弁6は、
図2により詳細に示されており、これは筐体29を備えており、ポペット弁30は、
図1に示す負荷状態に対応する、圧縮機要素2の入口5が最大に開放されるように設定された位置と、
図4に示す無負荷状態に対応する、入口5が、残余流量Q
Dを通過させるための一部の較正通路33及び34を除いて、最大に閉鎖される位置との間で移動可能に配置される。
【0047】
入口弁6の開閉は、この場合、パイロット圧の影響下で従来の方法で行われ、パイロット圧は、例えば、圧力タンク12の蓋から制御ライン31を介して分岐され、入口弁6を閉鎖するために制御弁32又は同様のものによって通過させられ、又は入口弁6を開放するために閉ざされる。
【0048】
ポペット弁30自体に及び入口弁6の筐体29には、上述した較正通路33及び34が設けられ、これは、
図4の無負荷状態のように入口弁6が閉鎖された場合に、残余流量Q
Dを制御された方法で吸い込むことができるように入口弁6の弁入口7と圧縮機要素2の入口5との間の永久接続にもたらす。
【0049】
加えて、電気又は電子制御装置35は、最小作動圧p15min及び最大作動圧p15maxによって範囲が定められた圧力間隔の中で消費者ネットワーク15の作動圧p15を調整するために設けられ、最小作動圧p15min及び最大作動圧p15maxは、スクリュー圧縮機1のユーザーによって選択することができ、制御装置35で選択して入力することができ、制御装置35は、消費者ネットワーク15の作動圧p15を測定して判定する圧力センサー36に接続される。
【0050】
制御装置35は、入口弁6を制御弁32及び吹出し弁19を介して制御するためのプログラム又は同様のものをさらに備え、消費者ネットワーク15の作動圧p
15が空気の減少に起因して最小作動圧p
15minよりも低下した場合に、スクリュー圧縮機1は、さらなる圧縮空気又はガスを除去できす抽出されないまで、
図1及び
図2に示すように入口弁6が開放され吹出し弁19が閉鎖される負荷状態に入り、これによって消費者ネットワーク15の圧力p
15は上昇する。
【0051】
圧力p
15が最大作動圧p
15maxに到達した瞬間に、制御装置は、負荷状態から無負荷状態に切り替わり、
図3及び
図4に示すように、入口弁6は閉鎖され、吹出し弁19は開放される。
【0052】
その結果として、残留流量QDを除いて、ガスは、圧縮機要素2によって吸い込まれず、圧縮機要素2は依然として動力が供給されており、残留流量QDは、較正通路33及び34を介して吸い込まれて圧縮される。
【0053】
その結果として、移行期間の後で、圧力タンク12内で、一定の最小平衡圧p12uでの平衡状態が生じ、一定の最小平衡圧p12uの値は、選択された較正通路33及び34に左右され、好ましくは、較正通路33及び34は、無負荷状態において、この最小平衡圧p12uが、無負荷状態の圧縮機要素2を駆動するのに必要なエネルギーを最小限に制限するために、できるだけ低いように選択される。
【0054】
この最小平衡圧p12uは、例えば、圧力センサー37によって測定され、信号は制御装置35にリンクされる。
【0055】
具体的には、本発明によれば、スクリュー圧縮機1は、
図3及び
図4の無負荷状態の残留流量Q
Dに対して余分の流量ΔQを、入口5を通って圧縮機要素2に向かってその中に吸い込むために、第1の移行ステップにおいて設定作動圧p
15maxに到達した場合に、制御装置35を使用して圧縮機要素2の入口5を部分的にしか閉鎖しない手段38を備え、その結果、無負荷状態において較正通路33及び34を通って吸い込まれる残留流量Q
Dよりも大きな総流量が圧縮機要素2に吸い込まれる。
【0056】
図1~
図4の場合、手段38は、入口弁6が閉鎖された場合に、空気を吸い込むために入口弁6のポペット弁30を短絡する較正開口を有する追加のバイパス39によって形成され、この追加のバイパス39において、制御可能なシャッター40は、この場合、制御装置35に接続された電動弁の形態でもたらされる。
【0057】
これは、負荷状態から無負荷状態への移行を示す
図5のグラフに示されており、負荷状態から無負荷状態への移行に従来使用された方法によって、及び、例えば国際公開第15035478号で説明されているように、吸い込まれる余分の流量がないという理由で、追加のバイパス39は開放されない。
【0058】
この
図5において、消費者ネットワークの作動圧p
15、圧縮機要素2によって吸い込まれた質量流量ガスQ、圧力タンク12の圧力p
12、圧縮機要素2の入口5の(過小)圧力p
5、上記の絶対圧力p
12とp
5との間の圧力比p
r =p
12/p
5のグラフがそれぞれ順々に示され、これらの全ては、同じ時間尺度tである。
【0059】
この
図5は、時間t
Eの前の負荷状態C、及び無負荷状態D(平衡状態に到達する時間t
Dで移行期間Eの後の)を示す。
【0060】
上述した時間t
Eにおいて、入口弁6は、
図1のような開放位置から
図3のような閉鎖位置に移動し、同時に吹出し弁19は開放される。
【0061】
入口弁6の閉鎖後、吸い込まれる流量は、較正通路33及び34を通って吸い込まれる残留流量QDに制限される。
【0062】
これによって、圧縮機要素2の入口5に負圧が生じる。
【0063】
吹出し弁19を開放することによって、移行期間Eの間に、ガスは、圧力タンク12から排出され、その結果として、圧力タンク12の圧力p12は、時間tEでの消費者ネットワーク15の設定最大圧力p15maxにほぼ等しかった圧力p12から無負荷状態Dの最小平衡圧p12uに徐々に低下する。
【0064】
従って、時間tEにおいて、圧力タンクの圧力p12は、最大であり、従って、圧縮機要素2の出口10の圧力p10、及び、同時に圧縮機要素2の入口5の圧力p5は、最小であり、その結果として、結果として生じる圧力比prは、時間tEにピークprEに到達することがグラフから明らかになる。
【0065】
圧力比p
rのこのピークp
rEが高すぎる場合、例えば、
図5に示すように最大圧力比率p
rmaxよりも大きい場合、これは、本明細書の序文で説明したように、望ましくない振動の点で問題を引き起こす場合がある。安全な値p
rmaxは、例えば、特定のスクリュー圧縮機1に関して実験的に又は理論的に決定することができる。
【0066】
ピークprEの値は、例えば、圧力p12及びp5又は同様の関連した圧力の測定結果から決定又は導出することができる。
【0067】
ピークprEが最大圧力比率prmax未満のままである範囲では振動のリスクがなく、ピークprEを低下させるためのさらなる措置を行う必要はない。
【0068】
測定されたピークp
rEが実際にはp
rmaxよりも高いことが分かった場合、本発明による方法は、追加の第1の移行ステップ提供し、時間t
Eにおいて、圧縮機要素2の入口5は、例えば、
図6に示すように追加のバイパス39を開放することによって、追加的に開放される。
【0069】
その結果として、余分の流量ΔQは、無負荷状態Dのように較正通路33及び34を介して既に吸い込まれた残留流量QDに加えて、追加のバイパス39を通って圧縮機要素2によって吸い込まれ、これは、結果として生じる流量QE’をもたらす。
【0070】
【0071】
より多くの圧縮ガスが圧力タンク12内に到達するので、移行期間E’での圧力タンク12の放出は、圧力タンク12の圧力p
12の低下を少なくし、平衡圧p
12u’に向かって漸進的に変化させることになり、平衡圧p
12u’は、
図5のスクリュー圧縮機1の無負荷状態の上述した最小平衡圧p
12uよりも高い。
【0072】
同時に、圧縮機要素2の入口5において、それほど真空でない状態が生じるので、絶対圧力p5は、移行期間E’の方が大きくなる。
【0073】
これによって、結果的に、圧力比p
rのピークの低減が生じ、圧力比p
rは、ここでは値p
rE’に低減され、値p
rE’は、
図7に示すように、ピークp
rEよりも小さく、上述した最大圧力比p
rmaxよりも小さい。
【0074】
第1の移行ステップの直後の圧力比の値prE’は、以下の比率に等しい。
-圧力タンク12の圧力p12、tEにおいて、消費者ネットワーク15の設定作動圧p15にほぼ等しい、
-入口5の負圧、それ自体、追加のバイパス39での制限に左右される余分の流量ΔQの量の関数である。
【0075】
従って、圧力比prを最大圧力比率prmaxに制限するために必要な余分の流量ΔQは、設定最大作動圧p15maxの関数であり、例えば、設定最大作動圧p15maxの関数として理論的に又は実験的に決定することができる。
【0076】
従って、追加のバイパス39の制限は、例えば、設定最大作動圧p15maxの関数として制御することができる。
【0077】
もしくは、追加のバイパス39の固定的な制限を選択することができ、これは、安全性の理由から、設定することができる消費者ネットワーク15のできるだけ高い最大作動圧p15maxの関数として選択される。
【0078】
低い設定最大作動圧p15maxがリスクを提示しない場合、これは、第1の移行ステップにおいて、最大圧力比率prmaxが、この移行ステップにおいて余分の流量ΔQを通すことなく超えられることはなく、本発明による追加のバイパス39を開放するこの余分のステップは、省略することができることを意味することが明らかである。
【0079】
第1の移行ステップ後のより高い平衡圧p12u’は、スクリュー圧縮機1をこの無負荷の移行期間E’で運転状態に維持するのに必要なエネルギーが高いことを要求する。
【0080】
従って、追加の第2の移行ステップにおいて、本発明による方法は、例えば、時間tE’’に追加のバイパス39を再び閉鎖することで第1の移行期間E’後に余分の流量ΔQを除去することによって、無負荷状態Dの残留流量QDへの流量の低下をもたらす。
【0081】
第2の移行期間E’’後、これは、無負荷状態Dの平衡圧p12uに等しい新しい平衡圧となる。
【0082】
時間tE’’において、追加のバイパス39の閉鎖によって、新しいピークprE’’が生成され、これは同様に最大圧力比率prmaxよりも高くないであろう。そうでない場合、必要に応じて第3の移行ステップ又は追加の移行ステップを挿入することができ、入口5を通って吸い込まれる流量は、各々の移行ステップで、例えば、追加のバイパス39を閉鎖することによって又は複数の追加のバイパス39を設けることによって低減され、各々の移行ステップにおいて、1又は2以上が少なくとも部分的に閉鎖される。
【0083】
図7の場合、2つの移行ステップで十分であり、移行期間Eは、2つより短い移行期間E’及びE’’に効果的に分割される。
【0084】
第2の移行ステップの時間t
E’’は、例えば、圧力タンク12の圧力p
12又は注入器22の注入圧力p22又は圧縮機要素2の出口10の圧力p10を測定することによって決定することができ、第2の移行ステップは、
図7に示すように、この測定された圧力が予め設定された安全な初期設定圧力p
12max又はp
22maxに降下した場合に、時間t
E’’で実行されるようになっている。
【0085】
時間tE’’において、追加のバイパス39の閉鎖によって、入口5の圧力p5は、急激に降下し、その結果、圧力比prは、新しいピークprE’’まで急激に上昇する。
【0086】
予め設定された初期設定圧力p12maxは、第2の移行ステップを実行した直後、時間tE’’において、新しいピークprE’’が、上述した予め設定された最大圧力比率prmaxよりも小さいように選択される。
【0087】
もしくは、圧力が測定されない場合、時間tE’’は、第1の移行ステップと後続の移行ステップとの間のプログラムされた時間間隔tE’’-tEを有するタイマーによって決定することができる。設定される時間間隔は、例えば実験的に決定することができる。
【0088】
負荷状態から無負荷状態への移行時、圧力タンク12は、エネルギー節約の理由から結果として生じる総移行期間E’及びE’’をできるだけ短く保つためにできるだけ早く排出されたことが好ましい。この移行期間において、圧力タンク12の圧力p12は、無負荷状態Dの最小平衡圧p12uよりも大きい。
【0089】
この移行期間をできるだけ短く保つことによって、比較される本発明が適用されない単一の移行ステップでの移行のエネルギー消費と、2つの移行ステップでの移行を有する本発明の場合のエネルギー消費との差異は僅かであろう。
【0090】
また、消費者ネットワークの作動圧p15が、設定された最小作動圧p15minよりも低くなった場合の無負荷状態から負荷状態への移行に関する国際公開第15035478号で説明されたものに本発明を適用するためにバイパス39を使用することもできる。
【0091】
この場合、制御装置35はアルゴリズムを備える必要があり、このアルゴリズムは、無負荷状態から負荷状態までの移行中に吹出し弁19を閉鎖して最初に入口弁6を閉鎖状態に維持してこれを所定の遅延後にのみに開放し、この遅延中に圧力タンク12の圧力p12が徐々に上昇するのを可能にするためにバイパス39を開放し、圧力タンク12の圧力p12が不十分な流体注入に起因する温度ピークを回避するのに十分な設定最小閾値p12minに到達した場合にのみ入口弁6を開放するためのものである。
【0092】
これは、無負荷状態から負荷状態への移行中に温度ピークを防止するために、及び負荷状態から無負荷状態への移行中に圧力比prのピークを防止するために、同じデバイスを使用することができることを意味する。これには、制御調整のみを必要とする。
【0093】
図8は、本発明によるスクリュー圧縮機1の代替実施形態を示し、これは追加のバイパス39が、圧縮機要素2の入口5を、入口弁6の入口7ではなくタンク12に接続する点で
図1及び
図3の実施形態とは異なっている。
【0094】
このバイパス39の制御可能なシャッター40は、負荷状態から無負荷状態への移行中に余分の流量ΔQをこの場合は圧力タンク12から受け取ることを可能にする。
【0095】
この場合、圧力比p
rのピークp
rEは、
図7よりも小さくなるが、時間tの関数としての圧力タンク12の圧力p
12のカーブは、平衡圧p
12u’に向かって迅速により少なく降下することになる。
【0096】
また、余分の流量ΔQは、追加の物理的なバイパス39なしで、しかし、
図9に示すように、第1の移行期間E’の間に余分の流量ΔQを圧縮機要素2の入口5を通して吸い込むために、及び、第2の移行ステップの時間t
E’’にのみ入口弁6を完全に閉鎖するために、第1の移行ステップの間に入口弁6を完全に閉鎖しないことによって実現することができる。
【0097】
本発明は、図示するような入口弁6に限定されず、バタフライ弁又は同様のものなどの他のバルブ形式に拡張することができることも自明である。
【0098】
入口弁6及び吹出し弁19の形式に応じて、負荷状態から無負荷状態への移行中に最初に一時的に余分の流量ΔQを供給することができる異なる手段38を使用できることが明らかである。
【0099】
本発明により、可能性のある振動ピークが阻止され又は振動イメージが調整され、これは、圧縮機要素2を中間弾性継手なしで、剛性結合部を介してモーターで駆動することを可能にすることができる。
【0100】
本発明は、実施例で説明しかつ図示したような、本発明による流体注入スクリュー圧縮機、及び負荷状態から無負荷状態への移行を制御するためにその中で使用される方法に限定されず、むしろ、本発明の枠組みを超えることなく、様々な変形例で実行することができる。