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特許7258197データ処理制御装置、検査装置、データ処理制御方法、およびデータ処理制御用プログラム。
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-06
(45)【発行日】2023-04-14
(54)【発明の名称】データ処理制御装置、検査装置、データ処理制御方法、およびデータ処理制御用プログラム。
(51)【国際特許分類】
   G01R 27/08 20060101AFI20230407BHJP
   G01R 35/00 20060101ALI20230407BHJP
   G01R 27/02 20060101ALI20230407BHJP
   G01R 27/26 20060101ALI20230407BHJP
【FI】
G01R27/08
G01R35/00 J
G01R27/02 R
G01R27/26 L
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022018171
(22)【出願日】2022-02-08
【審査請求日】2023-01-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100176371
【弁理士】
【氏名又は名称】笹田 健
(72)【発明者】
【氏名】重田 洋二郎
【審査官】永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-86460(JP,A)
【文献】特開2019-90757(JP,A)
【文献】特開2017-96733(JP,A)
【文献】特開2019-153664(JP,A)
【文献】国際公開第2021/090792(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 27/08
G01R 27/02
G01R 27/26
G01R 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
4端子法によって測定した測定対象物の直流抵抗の第1測定値と、2端子法によって測定し、補正した前記測定対象物の直流抵抗の第2測定値と、を取得するデータ取得部と、
前記第1測定値と前記第2測定値とに基づいて、2端子法による接触抵抗に起因する抵抗成分を算出し、前記抵抗成分と前記第1測定値との関係を示す残留誤差データを生成する残留誤差データ生成部と、を備える
データ処理制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のデータ処理制御装置において、
前記残留誤差データ生成部は、前記測定対象物毎に、前記抵抗成分と前記第1測定値とを対応付けたデータ対を生成し、生成した複数の前記データ対に基づいて、前記第1測定値と前記抵抗成分との関係を表す回帰モデルを生成する
データ処理制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載のデータ処理制御装置において、
前記回帰モデルに基づいて、前記接触抵抗の値を推定する接触抵抗推定部を更に備える
データ処理制御装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載のデータ処理制御装置において、
前記回帰モデルが一次関数である場合に、前記残留誤差データは、前記一次関数の傾きの情報を含む
データ処理制御装置。
【請求項5】
請求項2乃至4の何れか一項に記載のデータ処理制御装置において、
前記回帰モデルが一次関数である場合に、前記残留誤差データは、前記一次関数上の前記第1測定値の平均値に対応する前記抵抗成分の値の情報を含む
データ処理制御装置。
【請求項6】
請求項2乃至5の何れか一項に記載のデータ処理制御装置において、
前記回帰モデルが一次関数である場合に、前記残留誤差データは、前記一次関数の切片の情報を含む
データ処理制御装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項に記載のデータ処理制御装置と、
前記データ処理制御装置による制御に応じて、前記測定対象物の直流抵抗を4端子法によって測定し、前記第1測定値を得る第1測定部と、
前記データ処理制御装置による制御に応じて、前記測定対象物の直流抵抗を2端子法によって測定し、補正した前記第2測定値を得る第2測定部と、
前記残留誤差データに基づく情報を出力する出力部と、を備える
検査装置。
【請求項8】
4端子法によって測定した測定対象物の直流抵抗の第1測定値と、2端子法によって測定し、補正した前記測定対象物の直流抵抗の第2測定値とを取得する第1ステップと、
前記第1ステップにおいて取得した前記第1測定値と前記第2測定値とに基づいて、2端子法による接触抵抗に起因する抵抗成分を算出し、前記抵抗成分と前記第1測定値との関係を示す残留誤差データを生成する第2ステップと、を含む
データ処理制御方法。
【請求項9】
コンピュータに、請求項8に記載のデータ処理制御方法における各ステップを実行させる
データ処理制御用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ処理制御装置、検査装置、データ処理制御方法、およびデータ処理制御用プログラムに関し、例えば、インダクタ素子を検査する検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、チップインダクタ等の電子部品の電気的特性を測定し、測定結果に基づいて電子部品の良否の判定を行う検査装置が知られている。例えば、特許文献1には、検査対象のインダクタ素子の交流抵抗およびインダクタンスを測定するとともに、それらの測定値を用いてQ値を算出し、算出したQ値に基づいてインダクタ素子の良否を判定する検査装置が開示されている。
【0003】
特許文献1には、インダクタ素子の交流抵抗を測定する手法として、4端子法によって測定した直流抵抗の測定値から2端子法によって測定した直流抵抗の測定値を減算することによって、2端子法によるプローブの接触抵抗の推定値を算出し、接触抵抗の推定値に0以上1以下の係数を乗算した値を用いて交流抵抗の測定値を補正することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6949675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、検査装置が備えているLCRメータ等のインピーダンス測定器によって検査対象物(以下、「DUT(Device Under Test)」とも称する。)を測定した場合、測定器に取り付けられたケーブルやプローブの影響により、インピーダンス測定器によって測定したDUTの測定値とDUTの真値との間に誤差が生じる。そのため、一般に、DUTの検査(測定)を行う前に、インピーダンス測定器によって電気的特性が既知のデバイスを測定し、その測定値に基づいて測定値を補正するための補正式を生成する補正処理が行われる。
【0006】
補正処理は、例えば、プローブピンを交換した場合や検査対象の電子部品のロットが変わった場合等、測定環境が変化した場合に、ユーザの判断に基づいて行われることが一般的である。例えば、インピーダンス測定器は、ユーザの操作に応じて、所定の測定条件においてデバイスの電気的特性を測定し、その測定値とデバイスの真値とに基づいて測定値を補正するための補正式を生成する。そして、インピーダンス測定器は、DUTの測定を行った際には、DUTの測定値を補正式を用いて補正し、補正した測定値をDUTの測定結果として出力する。
【0007】
ここで、インピーダンス測定器によってインダクタ素子の直流抵抗の測定を行う場合を考える。例えば、図7に示すように、インピーダンス測定器に取り付けられたケーブルやプローブ等は、インピーダンス測定器と検査対象のインダクタ素子との間に接続された2端子対回路とみなすことができる。
【0008】
図7に示された2端子対回路の入出力の関係は、下記式(1)によって表すことができる。式(1)において、V1は2端子対回路(インピーダンス測定器側)の入力電圧、I1は2端子対回路(インピーダンス測定器側)の入力電流、V2は2端子対回路(DUT側)の出力電圧、I2は2端子対回路(DUT側)の出力電流、A,B,C,Dは2端子対回路のFパラメータである。
【0009】
【数1】
【0010】
ここで、DUTの直流抵抗の真値RdはRd=V2/I2と表され、インピーダンス測定器によるDUTの直流抵抗の測定値Rdmは、Rdm=V1/I1と表される。
【0011】
したがって、DUTの直流抵抗の真値Rdと測定値Rdmとの関係、すなわちDUTの直流抵抗の測定値を補正するための補正式は、下記式(2)によって表すことができる。
【0012】
【数2】
【0013】
上記補正式(2)における3つの定数B’(=B/D)、C’(=C/D),A’(=A/D)は、電気的特性が互いに異なる3つの基準(測定条件)における測定結果に基づいて求めることができる。例えば、電気的特性が互いに異なる3つの基準デバイスを2端子法によって測定したときのそれぞれの測定値と真値とを上記補正式(2)に代入し、それによって得られた3つの連立方程式を解くことにより、3つの定数B’(=B/D)、C’(=C/D),A’(=A/D)をそれぞれ求めることができる。
【0014】
そして、実際にインピーダンス測定器によって検査対象のインダクタ素子の直流抵抗を2端子法によって測定する際には、インピーダンス測定器によって測定したDUTの直流抵抗の測定値を上記補正式(2)のRdmに代入し、それによって得られたRdをDUTの直流抵抗の真値とする。これにより、2端子法によるプローブの接触抵抗の影響を除去した高精度な直流抵抗の測定が可能となる。
【0015】
しかしながら、上述した手法によって検査装置内のインピーダンス測定器の補正を行ったとしても、インダクタ素子の直流抵抗の測定値と真値との誤差を適切に補正できない場合があることを本願発明者は見出した。
【0016】
例えば、DUTとしてのインダクタ素子の直流抵抗を2端子法によって測定する際に、ショート基準時における接触抵抗の値とロード基準時における接触抵抗の値とが相違していた場合や、補正時における接触抵抗の値と検査時における接触抵抗の値とが相違していた場合には、上記補正式によってDUTの直流抵抗の測定値と真値との誤差を適切に除去できないおそれがある。
【0017】
例えば、図8に示すように、2端子法による測定系をプローブの接触抵抗Rcと他の誤差要素とを区別して描いた等価回路において、等価回路の入出力の関係は、下記式(3)によって表される。
【0018】
【数3】
【0019】
式(3)において、接触抵抗Rcの値が一定である場合には、式(3)から、上述の補正式(2)と同様の補正式を導きだすことができる。
しかしながら、上述したように、補正条件によって接触抵抗の値が異なる場合や補正時と検査時とで接触抵抗の値が異なる場合には、接触抵抗の値Rcが測定毎に変化することになる。そのため、接触抵抗Rcの値が一定であるという前提の下で導出した補正式を用いて測定値を補正したとしても、接触抵抗の変動の影響が測定値の誤差として残ることになる。換言すれば、補正によって除去されない誤差(以下、「残留誤差」とも称する。)が存在することになる。
【0020】
残留誤差が存在する場合には、補正処理を再度を行って、新たに補正式を生成することにより、残留誤差を低減できる場合がある。しかしながら、従来の検査装置では、どの程度の残留誤差があるのかをユーザが知ることが困難であったため、再補正の必要性等をユーザが適切に判断することは容易ではなかった。
【0021】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、電子部品の検査における残留誤差の解析を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の代表的な実施の形態に係るデータ処理制御装置は、4端子法によって測定した測定対象物の直流抵抗の第1測定値と、2端子法によって測定した前記測定対象物の直流抵抗の第2測定値と、を取得するデータ取得部と、前記第1測定値と前記第2測定値とに基づいて、2端子法による接触抵抗に起因する抵抗成分を算出し、前記抵抗成分と前記第1測定値との関係を示す残留誤差データを生成する残留誤差データ生成部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る検査装置によれば、電子部品の検査における残留誤差の解析が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施の形態に係るデータ処理制御装置を備えた検査装置の構成を示す図である。
図2】実施の形態に係るデータ処理制御装置10の構成を示す図である。
図3】実施の形態に係る検査装置の出力部に表示された残留誤差データに基づく情報の一例を示す図である。
図4】第2測定部とDUT(インダクタ素子)との間に存在する測定系の等価回路の一例を示す図である。
図5】第2測定部に接続されたプローブの接触抵抗に起因する抵抗成分の影響を説明するための図である。
図6】実施の形態に係る検査装置による残留誤差データの生成のための処理の流れを示すフローチャートである。
図7】インピーダンス測定器とDUT(インダクタ素子)との間に存在する測定系の等価回路の一例を示す図である。
図8】インピーダンス測定器とDUT(インダクタ素子)との間に存在する測定系の等価回路の別の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
1.実施の形態の概要
先ず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。なお、以下の説明では、一例として、発明の構成要素に対応する図面上の参照符号を、括弧を付して記載している。
【0026】
〔1〕本発明の代表的な実施の形態に係るデータ処理制御装置(10)は、4端子法によって測定した測定対象物の直流抵抗の第1測定値(Rdc4)と、2端子法によって測定し、補正した前記測定対象物の直流抵抗の第2測定値(Rdc2)と、を取得するデータ取得部(21)と、前記第1測定値と前記第2測定値とに基づいて2端子法による接触抵抗に起因する抵抗成分を算出し、前記抵抗成分と前記第1測定値との関係を示す残留誤差データ(26)を生成する残留誤差データ生成部(23)と、を備えることを特徴とする。
【0027】
〔2〕上記〔1〕のデータ処理制御装置において、前記残留誤差データ生成部は、前記測定対象物毎に、前記抵抗成分と前記第1測定値とを対応付けたデータ対(27_1~27_n)を生成し、生成した複数の前記データ対に基づいて、前記第1測定値と前記抵抗成分との関係を表す回帰モデル(28)を生成してもよい。
【0028】
〔3〕上記〔2〕のデータ処理制御装置は、前記回帰モデルに基づいて、前記接触抵抗の値を推定する接触抵抗推定部(24)を更に備えていてもよい。
【0029】
〔4〕上記〔2〕または〔3〕に記載のデータ処理制御装置において、前記回帰モデルが一次関数である場合に、前記残留誤差データは、前記一次関数の傾き(a)の情報を含んでもよい。
【0030】
〔5〕上記〔2〕乃至〔4〕の何れかに記載のデータ処理制御装置において、前記回帰モデルが一次関数である場合に、前記残留誤差データは、前記一次関数上の前記第1測定値の平均値(Rdc4a)に対応する前記抵抗成分の値(ΔRr)の情報(32)を含んでもよい。
【0031】
〔6〕上記〔2〕乃至〔5〕の何れかのデータ処理制御装置において、前記回帰モデルが一次関数である場合に、前記残留誤差データは、前記一次関数の切片(b)の情報を含んでもよい。
【0032】
〔7〕本発明の代表的な実施の形態に係る検査装置(1)は、上記〔1〕乃至〔6〕の何れかに記載のデータ処理制御装置(10)と、前記データ処理制御装置による制御に応じて、前記測定対象物の直流抵抗を4端子法によって測定し、前記第1測定値を得る第1測定部(11)と、前記データ処理制御装置による制御に応じて、前記測定対象物の直流抵抗を2端子法によって測定し、補正した前記第2測定値を得る第2測定部(12)と、前記残留誤差データに基づく情報を出力する出力部(14)と、を備えることを特徴とする。
【0033】
〔8〕本発明の代表的な実施の形態に係るデータ処理制御方法は、4端子法によって測定した測定対象物の直流抵抗の第1測定値(Rdc4)と、2端子法によって測定し、補正した前記測定対象物の直流抵抗の第2測定値(Rdc2)とを取得する第1ステップ(S1~S4)と、前記第1ステップにおいて取得した前記第1測定値と前記第2測定値とに基づいて、2端子法による接触抵抗に起因する抵抗成分を算出し、前記抵抗成分と前記第1測定値との関係を示す残留誤差データ(26)を生成する第2ステップ(S7)と、を含むことを特徴とする。
【0034】
〔9〕本発明の代表的な実施の形態に係るデータ処理制御用プログラムは、コンピュータに、上記〔8〕のデータ処理制御方法における各ステップを実行させることを特徴とする。
【0035】
2.実施の形態の具体例
以下、本発明の実施の形態の具体例について図を参照して説明する。なお、以下の説明において、各実施の形態において共通する構成要素には同一の参照符号を付し、繰り返しの説明を省略する。
【0036】
図1は、実施の形態に係るデータ処理制御装置10を備えた検査装置1の構成を示す図である。
【0037】
図1に示す検査装置1は、検査対象物(DUT)の良否を検査する装置である。検査装置1は、DUTの電気的特性を測定し、その測定結果に基づいてDUTの良否を検査する。例えば、検査装置1は、小型の電子部品(チップ部品)の良否を検査し、良品と判定したチップ部品を出荷可能な状態にパッケージングする装置(所謂チップテーピング機)である。
【0038】
本実施の形態において、DUTがインダクタ素子(例えば、チップインダクタ素子)である場合を例にとり説明するが、これに限定されるものではない。
【0039】
検査装置1は、例えば、データ処理制御装置10、第1測定部11、第2測定部12、操作部13、出力部14、および搬送機構15を備えている。
【0040】
第1測定部11は、DUTとしてのインダクタ素子の電気的特性を4端子法によって測定する装置である。第1測定部11としては、4端子法によるインピーダンスの測定が可能な抵抗計やLCRメータ等のインピーダンス測定器を例示することができる。
【0041】
第2測定部12は、DUTとしてのインダクタ素子の電気的特性を2端子法によって測定する装置である。第2測定部12としては、2端子法によるインピーダンスの測定が可能なLCRメータ等のインピーダンス測定器を例示することができる。
【0042】
なお、第1測定部11および第2測定部12は、DUTのインピーダンス等の電気的特性を測定可能な装置であればよく、上述の例に限定されない。
【0043】
第1測定部11は、データ処理制御装置10からの指示に応じて、DUTとしてのインダクタ素子の直流抵抗を4端子法によって測定する。例えば、第1測定部11は、プローブ61a~61dを移動させる移動機構(不図示)と、電流出力部および電圧検出部(不図示)と、検出結果に基づいて測定値を算出する測定値算出部(不図示)とを有している。
【0044】
第1測定部11は、例えば、データ処理制御装置10から測定実行の指示を受け付けた場合に、第1測定部11の移動機構が、所定の測定位置に搬送されたインダクタ素子の一方の端子にプローブ61a,61cを接触させるとともに、インダクタ素子の他方の端子にプローブ61b,61dを接触させる。次に、第1測定部11の電流出力部が、プローブ61a,61bを介して直流電流をインダクタ素子に供給する。第1測定部11の電圧検出部は、直流電流をインダクタ素子に供給したときのインダクタ端子間の電圧値をプローブ61c,61dを介して検出する。第1測定部11の測定値算出部は、検出した電圧値とインダクタ素子に供給した直流電流の電流値とに基づいて、インダクタ素子の直流抵抗の測定値Rdc4を算出する。
【0045】
第2測定部12は、データ処理制御装置10からの指示に応じて、DUTとしてのインダクタ素子の直流抵抗、交流抵抗、およびインダクタンスを2端子法によって測定する。例えば、第2測定部12は、プローブ62a,62bを移動させる移動機構(不図示)と、電流出力部および電圧検出部(不図示)と、検出結果に基づいて測定値を算出する測定値算出部(不図示)とを有している。
【0046】
例えば、第2測定部12は、データ処理制御装置10から測定実行の指示を受け付けた場合に、第2測定部12の移動機構が、所定の測定位置に搬送されたインダクタ素子の一方の端子にプローブ62aを接触させるとともに、インダクタ素子の他方の端子にプローブ62bを接触させる。次に、第2測定部12の電流出力部が、プローブ62a,62bを介して直流電流をインダクタ素子に供給し、第2測定部12の電圧検出部が、インダクタ素子の両端子間の電圧値をプローブ62a,62bを介して検出する。第2測定部12の測定値算出部は、検出した電圧値とインダクタ素子に供給した直流電流の電流値とに基づいて、インダクタ素子の直流抵抗の測定値Rdc2を算出する。
【0047】
また、第2測定部12の移動機構によってインダクタ素子の両端子にプローブ62a,62bをそれぞれ接触させた状態において、第2測定部12の電流出力部が、プローブを介して交流電流をインダクタ素子に供給し、第2測定部12の電圧検出部が、インダクタ素子の両端子間の交流電圧値をプローブ62a,62bを介して検出する。第2測定部12の測定値算出部は、検出した交流電圧値(電圧実効値)と、インダクタ素子に供給した交流電流の交流電流値(電流実効値)と、交流電圧と交流電流との位相差と、に基づいてインダクタ素子の交流抵抗の測定値Rsおよびインダクタンスの測定値Lを算出する。
【0048】
第1測定部11および第2測定部12は、ユーザからの指示に応じたデータ処理制御装置10から制御により、検査対象物の真値と測定値との誤差を補正するための補正式を生成する補正処理を行う。
【0049】
例えば、第2測定部12は、電気的特性が異なる3つの基準における測定結果に基づいて補正式を生成する。電気的特性が異なる3つの基準としては、オープン基準、ショート基準、およびロード基準を例示することができる。オープン基準は、プローブ62aとプローブ62bとの間をオープン(開放)状態とした測定条件である。ショート基準は、プローブ62aとプローブ62bとの間をショート(短絡)状態とした測定条件である。ロード基準は、プローブ62aとプローブ62bとの間に負荷(例えば、直流抵抗の真値が既知であるインダクタ素子)を接続した測定条件である。
【0050】
第2測定部12は、例えば、オープン基準、ショート基準、およびロード基準においてそれぞれ測定された電圧および電流の測定値と真値とを、上述した補正式(2)に代入することによって得られた3つの連立方程式を解くことにより、上記補正式(2)の各定数(B’,C’,A’)をそれぞれ算出する。そして、第2測定部12は、DUTの直流抵抗を測定した際には、検知したDUTの直流抵抗の値を各定数(B’,C’,A’)が定められた補正式(2)に代入することによって補正し、補正後の値を直流抵抗の測定値Rdc2として出力する。
【0051】
上記補正式(2)の各定数(B’,C’,A’)を算出するために行われる、電気的特性が異なる3つの基準での測定は、上述の例に限定されない。例えば、直流抵抗(既知)が互いに異なる3種類のインダクタ素子をプローブ62aとプローブ62bとの間に接続した3つの異なるロード基準における測定値を用いて3つの連立方程式を導出し、各定数(B’,C’,A’)を算出してもよい。
【0052】
なお、第1測定部11および第2測定部12の一部の機能は、データ処理制御装置10によって実現してもよい。例えば、第1測定部11および第2測定部12の各測定値算出部による上記演算は、データ処理制御装置10が実行してもよい。
【0053】
操作部13は、ユーザが検査装置1を操作するための入力インターフェースである。操作部13としては、各種のボタンやタッチパネル等を例示することができる。例えば、ユーザが操作部13を操作することにより、DUTとしてのインダクタ素子を検査するための各種検査条件等を検査装置1に設定するとともに、検査等の実行および停止を検査装置1に指示することができる。
【0054】
出力部14は、検査装置1における検査条件や検査結果などの各種情報を出力するための機能部である。出力部14は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)や有機ELを備えた表示装置である。例えば、出力部14は、ユーザによる操作部13の操作によってDUTの検査の実行が指示された場合に、データ処理制御装置10による制御に応じて検査結果等の情報を画面に表示する。
【0055】
なお、出力部14は、操作部13としての一部の機能を実現するタッチパネルを備えた表示装置であってもよい。また、出力部14は、検査結果等のデータを有線または無線によって外部に出力する通信回路等を含んでいてもよい。
【0056】
搬送機構15は、データ処理制御装置10の制御に応じて、検査装置1内の適切な箇所に検査対象のインダクタ素子を搬送する装置である。例えば、第1測定部11による測定を行う際に、搬送機構15は、検査対象のインダクタ素子を第1測定部11による所定の測定位置まで搬送する。また、例えば、第2測定部12による測定を行う際に、搬送機構15は、検査対象のインダクタ素子を第2測定部12による所定の測定位置まで搬送する。更に、搬送機構15は、検査が終了したインダクタ素子のうち良品と判定されたインダクタ素子をパッケージングするための位置まで搬送し、パッケージングしたインダクタ素子を次の工程における所定の場所まで搬送する。
【0057】
データ処理制御装置10は、検査装置1内の各機能部を統括的に制御するとともに、DUTの検査のための各種のデータ処理を行う機能部である。例えば、データ処理制御装置10は、CPU等のプロセッサと、ROMやRAM、フラッシュメモリ等の記憶装置と、タイマ等の周辺回路とを有するプログラム処理装置である。プログラム処理装置としては、例えば、MCUやFPGA等を例示することができる。
【0058】
データ処理制御装置10は、第1測定部11および第2測定部12による測定結果を取得し、取得した測定結果に基づいてインダクタ素子の性能を示す指標を算出するとともに、算出した指標に基づいて検査対象のインダクタ素子の良否を判定する。ここで、インダクタ素子の性能を示す指標は、例えば、Q値である。
【0059】
データ処理制御装置10は、例えば、ユーザからの指示に応じて、第1測定部11および第2測定部12に補正処理を実行させることにより、測定値と真値との誤差を補正するための補正式を生成させる。
【0060】
上述したように、2端子法によってインダクタ素子の交流抵抗を測定した場合、その測定値は、第2測定部12とDUTとの間に存在するケーブルおよびプローブ(62a,62b)等を含む測定系に起因する抵抗成分の影響を受ける。この抵抗成分の影響は、上記補正処理に基づく補正式を用いることにより除去することが可能であるが、上述したように、補正条件によって接触抵抗の値が相違した場合や補正時と検査時とで接触抵抗の値が変化した場合には、上記補正式によって除去できない残留誤差が存在することになる。
【0061】
そこで、本実施の形態に係る検査装置1は、DUTの検査機能に加えて、第2測定部12による測定における残留誤差をユーザが容易に解析できるようにするための解析支援機能を備えている。以下、検査機能および解析支援機能について、詳細に説明する。
【0062】
図2は、実施の形態に係るデータ処理制御装置10の構成を示す図である。
【0063】
図2に示すように、検査装置1におけるデータ処理制御装置10は、検査機能および解析支援機能を実現するための機能部として、例えば、データ取得部21、記憶部22、残留誤差データ生成部23、接触抵抗推定部24、および判定部25を有する。これらの機能部は、例えば、データ処理制御装置10としてのプログラム処理装置において、CPUが、メモリに記憶されたプログラムにしたがって各種演算を実行するとともにカウンタ等の周辺回路を制御することにより、実現される。
【0064】
データ取得部21は、検査対象のインダクタ素子の性能を示す指標(Q値)の算出と残留誤差に関する情報(以下、「残留誤差データ」とも称する)の生成に必要な各種データを取得する機能部である。
【0065】
データ取得部21は、例えば、第1測定部11が4端子法によって測定したDUTの直流抵抗の測定値Rdc4を取得し、記憶部22に記憶する。データ取得部21は、例えば、第2測定部12が2端子法によって測定したDUTの直流抵抗の測定値Rdc2と、第2測定部12が2端子法によって測定したDUTの交流抵抗の測定値Rsと、第2測定部12が2端子法によって測定したDUTのインダクタンスの測定値Lとをそれぞれ取得し、検査対象の測定データ50として記憶部22に記憶する。
【0066】
記憶部22は、検査対象のインダクタ素子の性能を示す指標(Q値)の算出と残留誤差データの生成に必要な各種データと、残留誤差データ生成部23、接触抵抗推定部24、および判定部25によって生成されたデータを記憶するための機能部である。
【0067】
上述したように、記憶部22には、データ取得部21によって取得された、直流抵抗の測定値Rdc4,Rdc2、交流抵抗の測定値Rs、およびインダクタンスの測定値Lを含む検査されたインダクタ素子毎の測定データ50が記憶される。また、記憶部22には、例えば、後述する残留誤差データ生成部23によって生成された残留誤差データ26と接触抵抗推定部24によって算出された接触抵抗の推定値Rcdとが、それぞれ記憶される。
【0068】
判定部25は、検査対象のDUT(インダクタ素子)の性能に関する指標を算出し、算出した指標に基づいて検査対象のインダクタ素子の良否を判定する機能部である。
【0069】
具体的には、判定部25は、検査対象のインダクタ素子の測定データ50に含まれる交流抵抗の測定値Rsおよびインダクタンスの測定値Lに基づいて、検査対象のインダクタ素子の性能を表す指標であるQ値(Q=ωL/Rs)を算出する。
【0070】
判定部25は、例えば、算出したQ値に基づいて検査対象のインダクタ素子の良否判定を行うとともに、搬送機構15を制御することにより、図外のパッケージング装置によって良品のインダクタ素子をパッケージングする。
【0071】
なお、判定部25は、測定データ50に含まれる交流抵抗の測定値Rsを直流抵抗の測定値Rdc4,Rdc2を用いて補正し、補正後の交流抵抗の測定値とインダクタンスの測定値Lとに基づいて、Q値(Q=ωL/Rsr)を算出してもよい。
【0072】
残留誤差データ生成部23は、上述した第2測定部12における残留誤差に関する残留誤差データ26を生成する機能部である。
【0073】
残留誤差データ生成部23は、第1測定部11が4端子法によって測定した検査対象のインダクタ素子の直流抵抗の測定値Rdc4(第1測定値)と、第2測定部12が2端子法によって測定した検査対象のインダクタ素子の直流抵抗の測定値Rdc2(第2測定値)とに基づいて、2端子法による接触抵抗に起因する抵抗成分を算出する。
【0074】
例えば、残留誤差データ生成部23は、直流抵抗の測定値Rdc2から直流抵抗の測定値Rdc4を減算して得られた値を、接触抵抗に起因する抵抗成分ΔRとする(ΔR=Rdc2-Rdc4)。
【0075】
残留誤差データ生成部23は、接触抵抗に起因する抵抗成分ΔRと直流抵抗の測定値Rdc4との関係を示す残留誤差データ26を生成する。残留誤差データ生成部23は、残留誤差データ26に基づく情報を出力部14に表示させる。
【0076】
具体的には、残留誤差データ生成部23は、検査したインダクタ素子毎に、接触抵抗に起因する抵抗成分ΔRを算出し、算出した接触抵抗に起因する抵抗成分ΔRに直流抵抗Rdc4を対応付けたデータ対27_1~27_nを生成する。これにより、検査したインダクタ素子の数だけデータ対27_1~27_nが生成されることになる。
【0077】
残留誤差データ生成部23は、接触抵抗に起因する抵抗成分ΔRと直流抵抗の測定値Rdc4とを互いに直交する2軸とした二次元座標系に、生成した複数のデータ対27_1~27_nをプロットしたグラフを出力部14の画面に表示させる。
【0078】
図3は、実施の形態に係る検査装置1の出力部14に表示された残留誤差データに基づく情報の一例を示す図である。
【0079】
残留誤差データ生成部23は、例えば、図3に示すように、横軸(X軸)を直流抵抗Rdc4とし、縦軸(Y軸)を接触抵抗に起因する抵抗成分ΔRとした2次元の座標系に、検査したインダクタ素子毎のデータ対27_1~27_nをプロットしたプロット図140を出力部14の画面に表示させる。
【0080】
また、残留誤差データ生成部23は、生成した複数のデータ対に基づいて、直流抵抗の測定値Rdc4と接触抵抗に起因する抵抗成分ΔRとの関係を表す回帰モデル28を生成する。
【0081】
例えば、残留誤差データ生成部23は、線形または非線形の回帰分析を行うことにより、直流抵抗の測定値Rdc4を説明変数とし、接触抵抗に起因する抵抗成分ΔRを目的変数とした関数を導出する。より具体的には、残留誤差データ生成部23は、複数のデータ対に対して線形回帰分析を行うことにより、例えば、直流抵抗の測定値Rdc4を説明変数とし、接触抵抗に起因する抵抗成分ΔRを目的変数とした一次関数の回帰モデル28を導出し、図3に示すように、残留誤差データ26に基づく情報として、プロット図140とともに回帰モデル28としての一次関数141を出力部14(表示装置)に表示させる。
【0082】
この場合、残留誤差データ26には、回帰モデル28としての一次関数141の傾きの情報29と一次関数141の切片の情報30とが含まれる。
【0083】
また、図3に示すように、残留誤差データ生成部23は、生成したデータ対27_1~27_nの直流抵抗の測定値Rdc4の平均値(以下、単に「平均値」とも称する。)Rdc4aを算出する。更に、残留誤差データ生成部23は、一次関数141上の平均値Rdc4aに対応する接触抵抗に起因する抵抗成分ΔRの値(以下、「接触抵抗に起因する抵抗成分の代表値」とも称する。)ΔRrを算出する。接触抵抗に起因する抵抗成分の代表値ΔRrは、平均値Rdc4aを一次関数141に代入することによって得られる。平均値Rdc4aの情報31と接触抵抗に起因する抵抗成分の代表値ΔRrの情報32とは、残留誤差データ26として記憶部22に記憶される。
【0084】
また、残留誤差データ生成部23は、図3に示すように、一次関数141の傾きの情報29、一次関数141の切片の情報30、平均値Rdc4aの情報31、および接触抵抗に起因する抵抗成分の代表値ΔRrの情報32のうち、少なくとも一つの情報を出力部14の画面に表示させてもよい。
【0085】
次に、回帰モデル28に基づく残留誤差の解析方法について説明する。
ここでは、回帰モデル28を一次関数としたときの傾きと接触抵抗に起因する抵抗成分の代表値ΔRrとから読み取ることができる残留誤差の要因について説明する。
【0086】
先ず、傾きについて説明する。
【0087】
図4は、第2測定部12とDUT(インダクタ素子)との間に存在する測定系の等価回路の一例を示す図である。
図5は、第2測定部12に接続されたプローブの接触抵抗に起因する抵抗成分の影響を説明するための図である。
【0088】
図5において、横軸(X軸)は直流抵抗の測定値Rdc4を表し、縦軸(Y軸)は、接触抵抗に起因する抵抗成分ΔR(=Rdc2-Rdc4)を表している。
【0089】
第2測定部12からケーブル等を介してDUT側をみたときの直流抵抗Rrは、インダクタ素子の直流抵抗Rdとプローブの接触抵抗Rcとの直列接続の合成抵抗となる(Rr=Rc+Rd)。
【0090】
接触抵抗に起因する抵抗成分ΔR(=Rdc2-Rdc4)を接触抵抗そのものの値とみなした場合、補正条件に関わらず接触抵抗が一定の値であれば、図5の参照符号150に示すように、直流抵抗Rdc4に対する接触抵抗ΔRの特性を示す一次関数の傾きがゼロとなり、X軸と平行になる。一方、補正条件によって接触抵抗が相違する場合、図5の参照符号151に示すように、直流抵抗Rdc4に対する接触抵抗ΔRの特性を示す一次関数の傾きはゼロとならない。この点について、以下に詳細に説明する。
【0091】
第2測定部12は、DUTの直流抵抗を測定したとき、上述した補正処理によって生成した補正式(例えば、上述した式(2))によって補正した直流抵抗の測定値Rdc2を出力する。この直流抵抗の測定値Rdc2は、補正式によって接触抵抗に起因する抵抗成分が除去された値となる。
【0092】
例えば、直流抵抗の測定値Rdc4がロード基準時の直流抵抗の真値Rdlと等しい場合、直流抵抗の測定値Rdc2は、補正式によってロード基準時の接触抵抗Rclが除去された値となる。一方、直流抵抗の測定値Rdc4がショート基準時の直流抵抗の真値Rdsと等しい場合、直流抵抗の測定値Rdc2は、補正式によってショート基準時の接触抵抗Rcsが除去された値となる。
【0093】
ここで、ロード基準時の接触抵抗Rclとショート基準時の接触抵抗Rcsとが同じ値である場合、Rdl=Rdc4であるときの接触抵抗に起因する抵抗成分ΔRと、Rds=Rdc4であるときの接触抵抗に起因する抵抗成分ΔRとが一致する。すなわち、図5の参照符号150に示すように、直流抵抗Rdc4に対する接触抵抗ΔRの特性を示す一次関数の傾きがゼロとなり、X軸と平行になる。
【0094】
これに対し、ロード基準時の接触抵抗Rclとショート基準時の接触抵抗Rcsとが一致しない場合、Rdl=Rdc4であるときの接触抵抗に起因する抵抗成分ΔRと、Rdc4=Rdsであるときの接触抵抗に起因する抵抗成分ΔRとが不一致となる。すなわち、図5の参照符号151に示すように、直流抵抗Rdc4に対する接触抵抗ΔRの特性を示す一次関数の傾きがゼロにならない。
【0095】
したがって、残留誤差データ26に含まれる回帰モデル28(一次関数)の傾きの情報29を参照することにより、ロード基準時の接触抵抗とショート基準時の接触抵抗との相違に基づく残留誤差の有無が分かる。
【0096】
また、傾きの極性(正または負)を参照することにより、検査時の接触抵抗Rcdに対するロード基準時の接触抵抗Rclのずれと、検査時の接触抵抗Rcdに対するショート基準時の接触抵抗Rcsのずれのどちらが大きいかを判断することができる。例えば、一次関数の傾きが正の場合、Rcl<Rcsであることが分かる。一方、一次関数の傾きが負の場合、Rcs<Rclであることが分かる。
【0097】
次に、接触抵抗に起因する抵抗成分の代表値ΔRrについて説明する。
以下の説明において、ショート基準時の接触抵抗Rcsとロード基準時の接触抵抗Rclとが一致しているものとし、ショート基準時およびロード基準時(以下、単に「補正時」とも称する。)の接触抵抗Rc、DUTの検査時の接触抵抗をRcdとする。
【0098】
第2測定部12によってDUT(インダクタ素子)の直流抵抗の測定を行った場合、第2測定部12から出力される直流抵抗の測定値Rdc2は、補正時の接触抵抗Rcを除去(補正)した値となる。すなわち、2端子法による直流抵抗の測定値Rdc2が4端子法によって測定した直流抵抗の測定値Rdc4に検査時の接触抵抗Rcdを加算したものとみなした場合(Rdc2=Rcd4+Rcd)、補正後の2端子法による直流抵抗の測定値Rdc2は、下記式(4)によって表すことができる。
【0099】
【数4】
【0100】
ここで、上述したように、接触抵抗に起因する抵抗成分ΔRを下記式(5)によって定義する。
【0101】
【数5】
【0102】
上記式(4)のRdc4を左辺に移項することによって得られた式と上記式(5)とより、下記式(6)が得られる。
【0103】
【数6】
【0104】
上記式(6)から理解されるように、接触抵抗に起因する抵抗成分ΔRは、DUTの検査時の接触抵抗Rcdと補正時の接触抵抗をRcとの差を表している。
【0105】
DUTの検査時の接触抵抗Rcdと補正時の接触抵抗が一致している場合、ΔRがゼロとなる。一方、DUTの検査時の接触抵抗Rcdが補正時の接触抵抗より大きい場合、ΔR>0となる。また、DUTの検査時の接触抵抗Rcdが補正時の接触抵抗より小さい場合、ΔR<0となる。
【0106】
そこで、ΔRの代表値としての、一次関数141上の平均値Rdc4aに対応する接触抵抗に起因する抵抗成分ΔRの値(接触抵抗に起因する抵抗成分の代表値)ΔRrの情報32を参照することにより、補正時の接触抵抗と検査時の接触抵抗の相違に基づく残留誤差の有無が分かる。また、接触抵抗に起因する抵抗成分の代表値ΔRrの極性(正または負)を参照することにより、補正時の接触抵抗と検査時の接触抵抗のどちらが大きいかが分かる。
【0107】
データ処理制御装置10は、上述した検査機能および解析支援機能に加えて、接触抵抗の値を推定する機能を有していてもよい。例えば、データ処理制御装置10は、残留誤差データ生成部23によって生成された回帰モデル28に基づいて、接触抵抗の値を推定する接触抵抗推定部24を有していてもよい。以下、接触抵抗推定部24による接触抵抗の推定方法について説明する。
【0108】
例えば、回帰モデル28を一次関数とし、下記式(7)によって定義する
【0109】
【数7】
【0110】
傾きaは、下記式(8)によって表され、切片bは、下記式(9)によって表される。
【0111】
【数8】
【0112】
【数9】
【0113】
式(8)において、Rclはロード基準時の接触抵抗の値であり、Rcsはショート基準時の接触抵抗の値である。Rrlはロード基準時の基準(測定対象)の抵抗値Rdlに接触抵抗Rclを加算した値(Rrl=Rdl+Rcl)である。Rrsはショート基準時の基準(測定対象)の抵抗値Rdsに接触抵抗Rcsを加算した値(Rrs=Rds+Rcs)である。また、Rcdは、検査時における接触抵抗の値である。
【0114】
ここで、RdlとRdsは、補正時の基準となる抵抗値であるため、既知である。また、傾きaと切片bの値は、上述した残留誤差データ生成部23による回帰モデル28の生成処理(回帰分析)によって算出されているため、既知である。したがって、式(8)において、補正時の接触抵抗Rcl,Rcsと検査時の接触抵抗Rcdとが未知の値である。
【0115】
先ず、接触抵抗推定部24は、残留誤差データ生成部23による回帰分析によって算出された傾きaの値に基づいて、上記式(8)を満たす接触抵抗Rcs,Rclのそれぞれの値を、公知のフィッテイング演算により求める。
【0116】
次に、接触抵抗推定部24は、上述のフィッテイング演算により求めたRcsおよびRclと、残留誤差データ生成部23による回帰分析によって算出された切片bの値とを上記式(9)に代入することにより、検査時の接触抵抗の推定値Rcdを求める。接触抵抗推定部24は、算出した接触抵抗の推定値Rcdを記憶部22に記憶する。
以上説明した手法により、接触抵抗の推定値を算出することができる。
【0117】
次に、検査装置1による残留誤差データの生成に係る処理の流れについて説明する。
【0118】
ここでは、第2測定部12が、上述した電気的特性が互いに異なる3つの基準の測定結果に基づいて補正処理を行って補正式(例えば、式(2))を生成した後に、所定数のDUTの検査を実施し、それらの検査結果に基づいて残留誤差データを生成する場合について説明する。
【0119】
図6は、実施の形態に係る検査装置1による残留誤差データを生成するための処理の流れを示すフローチャートである。
【0120】
例えば、検査装置1においてオープン基準、ショート基準、およびロード基準における測定が行われた後に、ユーザが検査装置1の操作部13を操作してDUT(インダクタ素子)の検査の実行を指示したとする。このとき、検査装置1は、ユーザからの指示に応じて、検査対象のインダクタ素子の検査を開始する。
【0121】
先ず、検査装置1におけるデータ処理制御装置10が、第1測定部11を制御することにより、検査対象のインダクタ素子の直流抵抗を4端子法によって測定させる(ステップS1)。例えば、データ処理制御装置10は、操作部13からの指示信号に応じて搬送機構15を制御することにより、検査対象のインダクタ素子を第1測定部11における所定の測定位置に搬送させる。その後、データ処理制御装置10は、第1測定部11を制御して、4端子法により、検査対象のインダクタ素子の直流抵抗を測定させ、直流抵抗の測定値Rdc4を取得する。
【0122】
次に、データ処理制御装置10が、第2測定部12を制御することにより、検査対象のインダクタ素子の直流抵抗を2端子法によって測定させる(ステップS2)。例えば、データ処理制御装置10は、搬送機構15を制御することにより、検査対象のインダクタ素子を第2測定部12における所定の測定位置に搬送させる。その後、データ処理制御装置10は、第2測定部12を制御して、2端子法により検査対象のインダクタ素子の直流抵抗を測定させ、直流抵抗の測定値Rdc2を取得する。
【0123】
次に、データ処理制御装置10が、第2測定部12を制御することにより、検査対象のインダクタ素子の交流抵抗の測定値Rsおよびインダクタンスの測定値Lを2端子法によって測定させる(ステップS3)。例えば、検査対象のインダクタ素子をステップS12と同様の測定位置に配置した状態において、データ処理制御装置10が、第2測定部12を制御して、検査対象のインダクタ素子の交流抵抗を測定させ、交流抵抗の測定値Rsおよびインダクタンスの測定値Lをそれぞれ取得する。
【0124】
次に、データ処理制御装置10が、第2測定部12を制御して、ステップS12と同様の手法により、検査対象のインダクタ素子の直流抵抗を2端子法によって測定させる(ステップS4)。
【0125】
ステップS1~S4においてデータ処理制御装置10が取得した、直流抵抗の測定値Rdc4,Rdc2、交流抵抗の測定値Rs、およびインダクタンスの測定値Lは、検査対象のインダクタ素子の測定データ50として記憶部22に記憶される。
【0126】
次に、判定部25は、ステップS18またはステップS19によって算出した交流抵抗の補正値Rsrと、ステップS13において取得したインダクタンスの測定値Lとに基づいて、検査対象のインダクタ素子のQ値を算出する(ステップS5)。
【0127】
次に、データ処理制御装置10は、予め設定された所定数のサンプル(DUT)の検査が完了したか否かを判定する。所定数のDUTの検査が完了していない場合には、データ処理制御装置10は、ステップS1に戻り、ステップS1~S6の処理を再度行う。
【0128】
一方、所定数のDUTの検査が完了した場合には、データ処理制御装置10は、所定数のDUTの検査結果を用いて、残留誤差データ26を生成する(ステップS7)。具体的には、残留誤差データ生成部23が、上述した手法により、検査したDUT毎に、直流抵抗Rdc4と接触抵抗に起因する抵抗成分ΔR(=Rdc2-Rdc4)とを一組とするデータ対27_1~27_nを生成し、生成した複数のデータ対27_1~27_nに基づいて、直流抵抗Rdc4と接触抵抗に起因する抵抗成分ΔR(=Rdc2-Rdc4)との関係を表す回帰モデル28(例えば一次関数)を生成する。また、残留誤差データ生成部23は、上述したように、直流抵抗の測定値Rdc4の平均値Rdc4aと、一次関数141上の直流抵抗の測定値Rdc4の平均値Rdc4aに対応する、接触抵抗に起因する抵抗成分ΔRの値(接触抵抗に起因する抵抗成分の代表値)ΔRrを算出する。このとき、残留誤差データ生成部23は、例えば、残留誤差データ26としての回帰モデル28の傾き、切片、平均値Rdc4a、および接触抵抗に起因する抵抗成分の代表値ΔRrの情報を、個別に出力可能な形態で記憶部22に記憶しておいてもよい。
【0129】
次に、データ処理制御装置10は、ステップS7において生成した残留誤差データ26に基づいて、第2測定部12における2端子法による接触抵抗の推定値Rcdを算出する(ステップS8)。例えば、接触抵抗推定部24が、上述した手法により、ステップS7において生成された回帰モデル28(一次関数)の傾きaおよび切片bの値と、上記式(8),(9)とに基づいて、検査時の接触抵抗の値(推定値)Rcdを算出し、記憶部22に記憶する。
【0130】
次に、データ処理制御装置10は、残留誤差データ26に基づく情報を出力部14としての表示装置に表示させる(ステップS9)。例えば、データ処理制御装置10は、出力部14を制御することにより、図3に示すように、直流抵抗Rdc4と接触抵抗に起因する抵抗成分ΔR(=Rdc2-Rdc4)との関係を表すプロット図140、回帰モデル28としての一次関数141、傾きの情報29、および切片の情報30の少なくとも一つを表示装置の画面に表示させる。
【0131】
以上の処理手順により、検査装置1は、残留誤差に関する情報をユーザに対して提示する。これにより、ユーザは、提示された残留誤差の情報に基づいて、再補正の必要性を検討することができる。再補正が不要と判断した場合には、引き続き、他のDUTの検査を実行すればよい。一方、再補正が必要と判断した場合には、ユーザは、オープン基準、ショート基準、およびロード基準における測定を再度行った後に、上述した残留誤差データの生成処理(ステップS1~S9)を再度実行し、残留誤差の影響が無視できるほど小さくなったことを確認してからDUTの検査を開始してもよい。
【0132】
なお、検査装置1におけるデータ処理制御装置10としてのプログラム処理装置(MPUやFPGA等)に上述した各ステップ(S1~S9)を実行させるためのデータ処理制御用プログラムは、ネットワークを介して流通可能であってもよいし、メモリカード等のコンピュータが読み取り可能な記憶媒体(Non-transitory computer readable medium)に書き込まれて流通可能であってもよい。
【0133】
以上、本実施の形態に係る検査装置1は、4端子法によって測定したDUTの直流抵抗の測定値Rdc4(第1測定値)と、2端子法によって測定したDUTの直流抵抗の測定値Rdc2(第2測定値)とに基づいて、2端子法による接触抵抗に起因する抵抗成分ΔRを算出し、抵抗成分ΔRと直流抵抗の測定値Rdc4(第1測定値)との関係を示す残留誤差データ26を生成する。
【0134】
上述したように、2端子法による接触抵抗に起因する抵抗成分は、例えば、2端子法によって測定された直流抵抗の測定値Rdc2と、接触抵抗の影響を受けない4端子法による直流抵抗の測定値Rdc4との差に基づいて算出することができる(ΔR=Rdc2-Rdc4)。また、2端子法によって測定された直流抵抗の測定値Rdc2は、DUTの検査(測定)開始前の補正に基づいて生成された補正式によって、接触抵抗の影響を受けない値(真値)に近づくように補正される。
【0135】
したがって、補正式が適切であれば、検査された一つのDUTにおける2端子法による直流抵抗の測定値Rdc2と4端子法による直流抵抗の測定値Rdc4とは互いに等しくなり、接触抵抗に起因する抵抗成分ΔRはゼロとなる。しかしながら、上述したように、ショート基準時における接触抵抗の値とロード基準時における接触抵抗の値とが相違していた場合や、補正時における接触抵抗の値と検査時における接触抵抗の値とが相違していた場合には、補正式が適切でないため、2端子法による直流抵抗の測定値Rdc2と4端子法による直流抵抗の測定値Rdc4とに差が生じる。すなわち、2端子法による直流抵抗の測定において接触抵抗に基づく残留誤差が存在していることになる。
【0136】
そこで、本実施の形態に係る検査装置1のように、接触抵抗に起因する抵抗成分ΔRと直流抵抗の測定値Rdc4(第1測定値)との関係を示す残留誤差データ26を生成する。これによれば、ユーザは、残留誤差データ26を参照することにより、2端子法による直流抵抗の測定において接触抵抗に基づく残留誤差が存在しているか否かを判断することが容易となる。
【0137】
また、検査装置1は、検査したDUT毎に、接触抵抗に起因する抵抗成分ΔRと直流抵抗の測定値Rdc4とを対応付けたデータ対27_1~27_nを生成し、生成した複数のデータ対27_1~27_nに基づいて、接触抵抗に起因する抵抗成分ΔRと直流抵抗の測定値Rdc4との関係を表す回帰モデル28を生成する。
これによれば、接触抵抗に起因する抵抗成分ΔRと直流抵抗の測定値Rdc4との関係を関数としてユーザに提示することができるので、ユーザによる残留誤差の解析が更に容易となる。
【0138】
また、検査装置1は、生成した回帰モデル28に基づいて、接触抵抗の値を推定する。 これによれば、ユーザは、検査時における接触抵抗の値を知ることができるので、残留誤差の解析が更に容易となる。また、DUTとしてのインダクタ素子の交流抵抗を測定する際に、検査装置1が、交流抵抗の測定値を接触抵抗の推定値を用いて補正することが可能となり、より高精度な交流抵抗の測定が可能となる。
【0139】
また、検査装置1において、回帰モデル28を一次関数で表した場合に、残留誤差データ26は、当該一次関数の傾きの情報29を含む。
上述したように、接触抵抗に起因する抵抗成分ΔRと直流抵抗の測定値Rdc4との関係を一次関数で表したときの傾きは、ロード基準時の接触抵抗とショート基準時の接触抵抗とが相違しているか否かを判断する指標となる。したがって、ユーザは、残留誤差データ26に含まれる回帰モデル28の傾きを参照することにより、残留誤差が、ロード基準時の接触抵抗とショート基準時の接触抵抗との差に基づくものであるか否かを容易に判断することができる。
【0140】
また、検査装置1において、回帰モデル28を一次関数で表した場合に、残留誤差データ26は、一次関数141上の直流抵抗の測定値Rdc4の平均値Rdc4aに対応する、接触抵抗に起因する抵抗成分ΔRの値(接触抵抗に起因する抵抗成分の代表値)ΔRrの情報32を含む。
上述したように、接触抵抗に起因する抵抗成分ΔRと直流抵抗の測定値Rdc4との関係を一次関数で表した場合において、接触抵抗に起因する抵抗成分の代表値ΔRrは、補正時の接触抵抗と検査時の接触抵抗とが相違しているか否かを判断する指標となる。したがって、ユーザは、残留誤差データ26に含まれる接触抵抗に起因する抵抗成分の代表値ΔRrを参照することにより、残留誤差が補正時の接触抵抗と検査時の接触抵抗の相違に基づくものであるか否かを、容易に判断することができる。また、ユーザは、接触抵抗に起因する抵抗成分の代表値ΔRrの極性を参照することにより、補正時の接触抵抗と検査時の接触抵抗のどちらが大きいかを把握することができる。
【0141】
このように、本実施の形態に係るデータ処理制御装置10を備えた検査装置1によれば、電子部品の検査における残留誤差の解析が容易となる。
【0142】
≪実施の形態の拡張≫
以上、本願発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0143】
例えば、上記実施の形態では、検査装置1が、データ処理制御装置10、第1測定部11、第2測定部12、操作部13、出力部14、および搬送機構15等の構成要素を一体とした装置である場合を例示したが、検査装置1を構成する一部の構成要素が他の構成要素と別体として構成されていてもよい。例えば、データ処理制御装置10、操作部13、および出力部14を第1装置(例えば、PC等の情報処理装置)によって実現し、第1測定部11、第2測定部12、および搬送機構15を第1装置とは異なる別の第2装置によって実現してもよい。この場合、第1装置と第2装置とは、有線または無線によるネットワークを介して接続されていてもよい。
【0144】
上述のフローチャートは、動作を説明するための一例を示すものであって、これに限定されない。すなわち、フローチャートの各図に示したステップは具体例であって、このフローに限定されるものではない。例えば、一部の処理の順番が変更されてもよいし、各処理間に他の処理が挿入されてもよいし、一部の処理が並列に行われてもよい。
【符号の説明】
【0145】
1…検査装置、10…データ処理制御装置、11…第1測定部、12…第2測定部、13…操作部、14…出力部、15…搬送機構、21…データ取得部、22…記憶部、23…残留誤差データ生成部、24…接触抵抗推定部、25…判定部、26…残留誤差データ、27_1~27_n…データ対、28…回帰モデル、29…傾きの情報、30…切片の情報、31…平均値Rdc4aの情報、32…接触抵抗に起因する抵抗成分の代表値ΔRrの情報。
【要約】
【課題】電子部品の検査における残留誤差の解析を容易にする。
【解決手段】データ処理制御装置10は、4端子法によって測定した測定対象物の直流抵抗の測定値Rdc4と、2端子法によって測定し、補正した測定対象物の直流抵抗の測定値Rdc2と、を取得するデータ取得部21と、直流抵抗の測定値Rdc4と直流抵抗の測定値Rdc2とに基づいて2端子法による接触抵抗に起因する抵抗成分ΔRを算出し、抵抗成分ΔRと直流抵抗の測定値Rdc4との関係を示す残留誤差データ26を生成する残留誤差データ生成部23と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8