(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-06
(45)【発行日】2023-04-14
(54)【発明の名称】活性エネルギー線硬化型オフセットインキ、これを用いた印刷物、及び印刷物の製造方法
(51)【国際特許分類】
C09D 11/106 20140101AFI20230407BHJP
C08F 2/50 20060101ALI20230407BHJP
C08F 20/00 20060101ALI20230407BHJP
B41M 1/30 20060101ALI20230407BHJP
B41M 1/06 20060101ALI20230407BHJP
【FI】
C09D11/106
C08F2/50
C08F20/00 510
B41M1/30 D
B41M1/06
(21)【出願番号】P 2022080773
(22)【出願日】2022-05-17
【審査請求日】2022-10-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】310000244
【氏名又は名称】DICグラフィックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【氏名又は名称】大野 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】関野 吉厚
(72)【発明者】
【氏名】三品 彰義
【審査官】長部 喜幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-214782(JP,A)
【文献】特開2021-038330(JP,A)
【文献】特開2021-070718(JP,A)
【文献】特開2020-169251(JP,A)
【文献】特開2015-172171(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 11/00
C08F 2/50
C08F 20/00
B41M 1/30
B41M 1/06
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光重合開始剤と、エチレン性二重結合を有する化合物、及び
ジメチルジチオカルバミン酸銅錯体である安定剤を含有する活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキであって、
前記インキの増粘測定方法によるトルクが20%上昇するまでのゲル化速度が、750秒~1000秒の範囲であることを特徴とする活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキ。
但し、前記ジメチルジチオカルバミン酸銅錯体の含有量が、インキ全量の0.04質量%~0.25質量%であり、前記光重合開始剤全量の0.19質量%~1.42質量%であり、且つ前記エチレン性二重結合を有する化合物全量の0.08質量%~0.52質量%の範囲である。
尚、ゲル化速度の測定は、自動硬化時間測定装置を用い、1回の測定に用いる活性エネルギー線硬化型オフセットインキは0.2mlとし、攪拌条件として回転速度を自転300rpm、公転速度120rpmとし、昇温スピードは80℃で5分間安定した事を確認した上で、その後1000秒で250℃となるように昇温する。
また、インキ容器の底と撹拌子の先端のギャップ値は0.1mmに設定する。
【請求項2】
前記活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキが、
(1)α-アミノアルキルフェノン化合物、及び/又はアシルフォスフィンオキサイド化合物である光重合開始剤(1)と、
(2)ベンゾフェノン化合物、チオキサントン化合物、及び/又はケトクマリン化合物である光重合開始剤(2)と、
(3)ジメチルジチオカルバミン酸銅錯体である安定剤と、
(4)エチレン性二重結合を有する化合物
を含有する請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキ。
【請求項3】
前記α-アミノアルキルフェノン化合物が、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチル-ベンジル)-1-(4-モルフォリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-ピペリジニルフェニル)-1-ブタノン、1-(ビフェニル-4-イル)-2-メチル-2-モルフォリノプロパン-1-オン、1-(4-メトキシフェニル)-2-メチル-2-モルフォリン-4-イル-プロパン-1-オン、ポリエチレングリコール(200)ジ(β-4[4-(2-ジメチルアミノ-2-ベンジル)ブタノニルフェニル]ピペラジンプロピオネートである請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキ。
【請求項4】
前記アシルフォスフィンオキサイド化合物が、一般式(1)で表される化合物である請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキ。
【化1】
一般式(1)中、
Y
1は、水素原子、炭素原子数1~6のアルキル基、または一般式(2)で表される構造部位を表し、
Y
2は、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数1~6のアルコキシ基、炭素原子数1~6の(ポリ)アルコキシアルキル基(アルコキシアルキル基部分は炭素原子数2~12のアルコキシアルキル基)、フェニル基、又は一般式(3)で表される構造部位を表し、
Y
3は、フェニル基、又は一般式(2)で表される基を表し、
【化2】
【化3】
一般式(3)中、Y
11は、一般式(1)中のY
1と各々独立して同じ基を表し、
一般式(3)中のY
33は、一般式(1)中のY
3と各々独立して同じ基を表し、
一般式(3)中のR
14、R
15は各々独立して炭素原子数1~6のアルキレン基又は炭素原子数1~6の(ポリ)オキシアルキレン基を表し、
一般式(1)、一般式(2)、及び一般式(3)中のR
1~R
13は、各々独立して水素原子または炭素原子数1~6のアルキル基を表す。
【請求項5】
前記ベンゾフェノン化合物が、4,4´-ビス-(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4´-ビス-(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルスルフィド、4-メチルベンゾフェノンから成る群から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキ。
【請求項6】
安定剤として前記ジメチルジチオカルバミン酸銅錯体、及びニトロソアミン化合物を、インキ全量に対して0.01~0.30質量%含有する請求項1記載の活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキ。
【請求項7】
前記エチレン性二重結合を有する化合物が、エチレン性二重結合を2つ以上有する化合物である請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキ。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキを被印刷物に印刷する工程と、活性エネルギー線で印刷された前記インキを硬化する工程とを有することを特徴とする印刷物の製造方法。
【請求項9】
前記被印刷物が、単位平方メートル当たりの含水量が5~300グラムの用紙である請求項8に記載の印刷物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インキのゲル化がし難く、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、無電極メタルハライドランプなどに対してオゾンカットや赤外線フィルターなどを使用した光源を用いたオゾンが発生しない紫外線照射装置や、発光ダイオード、UV-LEDランプを用いた紫外線照射装置でも優れた硬化性と密着性を兼備することを特徴とする活性エネルギー線硬化型オフセットインキに関する。更には、該インキを用いた印刷物、及び印刷物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
活性エネルギー線硬化型インキは、無溶剤型であり瞬間的に活性エネルギー線硬化乾燥することから、環境対応、印刷作業性に優れ、且つ高品質の印刷物が得られるとして、平版印刷(湿し水を使用する平版印刷や湿し水を使用しない水無し平版印刷)、凸版印刷、凹版印刷、孔版印刷や、これらの版に付けられたインキをブランケット等の中間転写体に転写した後被印刷体に印刷する転写(オフセット)方式を組み合わせた種々の印刷方式におけるインキとして使用されており、フォーム用印刷物、各種書籍印刷物、カルトン紙等の各種包装用印刷物、各種プラスチック印刷物、シール、ラベル用印刷物、美術印刷物、金属印刷物(美術印刷物、飲料缶印刷物、缶詰等の食品印刷物)などの種々の印刷物に適用されている。特に平版印刷にオフセット方式を組み合わせた活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキは、各種書籍印刷、美術印刷、シール・ラベル印刷、ビジネスフォーム印刷、玩具や紙器等の食品包装向けパッケージ印刷等の分野で広く使用されている。
活性エネルギー線条件下で硬化する紫外線硬化型オフセットインキは、瞬間乾燥の特性の利便性から、各種書籍印刷、美術印刷、シール・ラベル印刷、ビジネスフォーム印刷、玩具や紙器等の食品包装向けパッケージ印刷等の分野で広く使用されている。
活性エネルギー線硬化型インキは、従来から使用されている水銀ランプやメタルハライドランプといった光源に加えて、オゾンが発生しないオゾンレスメタルハライドランプを使用し230~420nmの紫外線を発生するような光源や、発光ピーク波長が350~420nmの範囲の紫外線を発生する発光ダイオードUV-LED等、様々な種類の光源が近年では使われており、各種光源の波長域に合わせた吸収波長の異なる光重合開始剤を複数組み合わせた発明がなされている(特許文献1~3)。
一方で活性エネルギー線硬化型インキは、常温に保管されることが一般的であるが、保管中にゲル化する場合がある。水銀ランプやメタルハライドランプといった光源の紫外線硬化型インキと比べて、オゾンが発生しないオゾンレスメタルハライドランプを使用し230~420nmの紫外線を発生するような光源や、発光ピーク波長が350~420nmの範囲の紫外線を発生する発光ダイオードUV-LED等の紫外線硬化型インキは更にゲル化しやすい傾向がある。これはUVランプの出力、発光波長が限定され、それを補うために紫外線硬化型インキ中の光重合開始剤を多量に使用しなければいけない事に原因する。
インキのゲル化を抑制した上で、これらの光源に対して活性エネルギー線硬化型インキの基本特性である十分な硬化性と密着性を兼備できているとは決して言えないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】WO2009/008226号公報
【文献】特開2011-94117号公報
【文献】特開2012-214782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、インキのゲル化を抑制した上で、従来のメタルハライドランプや高圧水銀灯はもとより、オゾンが発生しないオゾンレスメタルハライドランプや、発光ダイオード、UV-LEDランプでも優れた硬化性と密着性を兼備することを特徴とする活性エネルギー線硬化型オフセットインキを提供することにある。更には、該インキを用いた印刷物、及び印刷物の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、光重合開始剤と、エチレン性二重結合を有する化合物を含有する活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキであって、
前記インキの増粘測定方法によるインキのゲル化速度が特定の範囲である事で、インキがゲル化し難く優れた硬化性と密着性を兼備する事ができる活性エネルギー線硬化型オフセットインキが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち、本発明は、光重合開始剤と、エチレン性二重結合を有する化合物を含有する活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキであって、
前記インキの増粘測定方法によるトルクが20%上昇するまでのゲル化速度が、750秒~1000秒の範囲であることを特徴とする活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキを提供する。
【0007】
また本発明は、前記活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキが、
(1)α-アミノアルキルフェノン化合物、及び/又はアシルフォスフィンオキサイド化合物である光重合開始剤(1)と、
(2)ベンゾフェノン化合物、チオキサントン化合物、及び/又はケトクマリン化合物である光重合開始剤(2)と、
(3)ジメチルジチオカルバミン酸銅錯体である安定剤と、
(4)エチレン性二重結合を有する化合物
を含有する活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキを提供する。
【0008】
また本発明は、前記α-アミノアルキルフェノン化合物が、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチル-ベンジル)-1-(4-モルフォリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-ピペリジニルフェニル)-1-ブタノン、1-(ビフェニル-4-イル)-2-メチル-2-モルフォリノプロパン-1-オン、1-(4-メトキシフェニル)-2-メチル-2-モルフォリン-4-イル-プロパン-1-オン、ポリエチレングリコール(200)ジ(β-4[4-(2-ジメチルアミノ-2-ベンジル)ブタノニルフェニル]ピペラジンプロピオネートである活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキを提供する。
【0009】
また本発明は、前記アシルフォスフィンオキサイド化合物が、一般式(1)で表される化合物である活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキを提供する。
【0010】
【0011】
一般式(1)中、
Y1は、水素原子、炭素原子数1~6のアルキル基、または一般式(2)で表される構造部位を表し、
Y2は、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数1~6のアルコキシ基、炭素原子数1~6の(ポリ)アルコキシアルキル基(アルコキシアルキル基部分は炭素原子数2~12のアルコキシアルキル基)、フェニル基、又は一般式(3)で表される構造部位を表し、
Y3は、フェニル基、又は一般式(2)で表される基を表し、
【0012】
【0013】
【0014】
一般式(3)中、Y11は、一般式(1)中のY1と各々独立して同じ基を表し、
一般式(3)中のY33は、一般式(1)中のY3と各々独立して同じ基を表し、
一般式(3)中のR14、R15は各々独立して炭素原子数1~6のアルキレン基又は炭素原子数1~6の(ポリ)オキシアルキレン基を表し、
一般式(1)、一般式(2)、及び一般式(3)中のR1~R13は、各々独立して水素原子または炭素原子数1~6のアルキル基を表す。
【0015】
また本発明は、前記ベンゾフェノン化合物が、4,4´-ビス-(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4´-ビス-(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルスルフィド、4-メチルベンゾフェノンから成る群から選ばれる少なくとも1種である活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキを提供する。
【0016】
また本発明は、安定剤として前記ジメチルジチオカルバミン酸銅錯体、及びニトロソアミン化合物を、インキ全量に対して0.01~0.30質量%含有する活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキを提供する。
【0017】
また本発明は、前記エチレン性二重結合を有する化合物が、エチレン性二重結合を2つ以上有する化合物である活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキを提供する。
【0018】
また本発明は、該活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキを被印刷物に印刷する工程と、活性エネルギー線で印刷された前記インキを硬化する工程とを有することを特徴とする印刷物の製造方法を提供する。
【0019】
また本発明は、前記被印刷物が、単位平方メートル当たりの含水量が5~300グラムの用紙である印刷物の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、インキのゲル化を抑制した上で、従来のメタルハライドランプや高圧水銀灯はもとより、オゾンが発生しないオゾンレスメタルハライドランプや、発光ダイオード、UV-LEDランプでも優れた硬化性と密着性を兼備することを特徴とする活性エネルギー線硬化型オフセットインキを提供することが出来る。更には、該インキを用いた印刷物、及び印刷物の製造方法を提供することが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の活性エネルギー線硬化型オフセットインキは、光重合開始剤と、エチレン性二重結合を有する化合物を含有する活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキであって、
前記インキの増粘測定方法によるトルクが20%上昇るまでのゲル化速度が、750秒~1000秒の範囲であることで、目的とする本発明の効果を奏するものである。
【0022】
活性エネルギー線硬化型インキは、常温に保管されることが一般的であるが、保管中にゲル化する場合がある。水銀ランプやメタルハライドランプといった光源の紫外線硬化型インキと比べて、オゾンが発生しないオゾンレスメタルハライドランプを使用し230~420nmの紫外線を発生するような光源や、発光ピーク波長が350~420nmの範囲の紫外線を発生する発光ダイオードUV-LED等の紫外線硬化型インキは更にゲル化しやすい傾向がある。これはUVランプの出力、発光波長が限定され、それを補うために紫外線硬化型インキ中の光重合開始剤を多量に使用しなければいけない事に原因する。
そこで、出来るだけゲル化し難い活性エネルギー線硬化型オフセットインキが望まれまる。
本発明の活性エネルギー線硬化型オフセットインキでは、インキを一定の条件で攪拌しながら昇温することで、攪拌開始からトルクが20%上昇するまでの時間(秒数)でゲル化速度とみなし、ゲル化速度が750秒~1000秒の範囲である事を必須とする。ゲル化速度が750秒~1000秒の範囲であれば、ゲル化し難い傾向となり、1000秒を超えるとインキ自体が固化してしまう傾向にある。
尚、本発明ではゲル化速度の測定は、自動硬化時間測定装置「まどか」株式会社サイバー製を用いて測定した。
また、1回の測定に用いる活性エネルギー線硬化型オフセットインキは0.2mlとし、攪拌条件として回転速度を自転300rpm、公転速度120rpmとした。
昇温スピードは80℃で5分間安定した事を確認した上で、その後1000秒で250℃となるように昇温した。
また、インキ容器の底と撹拌子の先端のギャップ値は0.1mmに設定した。
【0023】
また本発明はの活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキは、下記(1)~(4)を含有する。
(1)α-アミノアルキルフェノン化合物、及び/又はアシルフォスフィンオキサイド化合物である光重合開始剤(1)と、
(2)ベンゾフェノン化合物、チオキサントン化合物、及び/又はケトクマリン化合物である光重合開始剤(2)と、
(3)ジメチルジチオカルバミン酸銅錯体である安定剤と、
(4)エチレン性二重結合を有する化合物。
【0024】
前記α-アミノアルキルフェノン化合物としては、2-(ジメチルアミノ)-2-メチル-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-3-フェニル-1-プロパノン、1-ブタノン,2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-2-(フェニルメチル)-,(2S)-、2-(ジメチルアミノ)-2-メチル-3-(4-メチルフェニル)-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-1-プロパノン、2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-2-(フェニルメチル)-1-ペンタノン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-エチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-1-ブタノン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-ヒドロキシフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-1-ブタノン、2-[(4-ブチルフェニル)メチル]-2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-1-ブタノン、1-ブタノン,2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-2-[(4-プロピルフェニル)メチル]-、2-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-2-フェニル-1-ブタノン、3-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-3-(フェニルメチル)-2-ペンタノン、2-(ジメチルアミノ)-2-エチル-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-4-フェニル-1-ブタノン、3-(ジメチルアミノ)-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-3-フェニル-2-ブタノン、1-(4-メルカプトフェニル)-2-メチル-2-(4-モルフォリニル)-1-プロパノン、1-[4-(エチルチオ)フェニル]-2-メチル-2-(4-モルフォリニル)-1-プロパノン、ジメチル[4-[2-メチル-2-(4-モルフォリニル)-1-オキソプロピル]フェニル]サルフォニウム、2-メチル-1-[4-[(1-メチルエチル)チオ]フェニル]-2-(4-モルフォリニル)-1-プロパノン、エチルメチル[4-[2-メチル-2-(4-モルフォリニル)-1-オキソプロピル]フェニル]サルフォニウム、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチル-ベンジル)-1-(4-モルフォリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-ピペリジニルフェニル)-1-ブタノン、1-(ビフェニル-4-イル)-2-メチル-2-モルフォリノプロパン-1-オン、1-(4-メトキシフェニル)-2-メチル-2-モルフォリン-4-イル-プロパン-1-オン、ポリエチレングリコール(200)ジ(β-4[4-(2-ジメチルアミノ-2-ベンジル)ブタノニルフェニル]ピペラジンプロピオネート等が挙げられる。
特に、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチル-ベンジル)-1-(4-モルフォリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-ピペリジニルフェニル)-1-ブタノン、1-(ビフェニル-4-イル)-2-メチル-2-モルフォリノプロパン-1-オン、1-(4-メトキシフェニル)-2-メチル-2-モルフォリン-4-イル-プロパン-1-オン、ポリエチレングリコール(200)ジ(β-4[4-(2-ジメチルアミノ-2-ベンジル)ブタノニルフェニル]ピペラジンプロピオネートであることが好ましい。
【0025】
前記アシルフォスフィンオキサイド化合物が、一般式(1)で表される化合物である事が好ましい。
【0026】
【0027】
一般式(1)中、
Y1は、水素原子、炭素原子数1~6のアルキル基、または一般式(2)で表される構造部位を表し、
Y2は、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数1~6のアルコキシ基、炭素原子数1~6の(ポリ)アルコキシアルキル基(アルコキシアルキル基部分は炭素原子数2~12のアルコキシアルキル基)、フェニル基、又は一般式(3)で表される構造部位を表し、
Y3は、フェニル基、又は一般式(2)で表される基を表し、
【0028】
【0029】
特に一般式(1)において、R1及びR2及びR4がメチル基、R3及びY1が水素、Y2がエチル基、Y3がフェニル基であるエチルフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フォスフィネートが好ましく、市販品としてはTPO-L(#CAS 84434-11-7、SARTOMER社製)を挙げる事ができる。
【0030】
また、一般式(1)において、R1及びR2及びR4がメチル基、R3は水素原子、Y2が炭素原子数2のポリアルコキシメチル基、Y3が一般式(2)で表される構造部位で示され、R6及びR7及びR9がメチル基でR5及びR8が水素である事が好ましく、市販品としてはOmnirad 820(IGM Resins B.V.社製)を挙げる事ができる。
【0031】
また、一般式(1)において、R1及びR2及びR4がメチル基、R3が水素原子、Y1が一般式(2)で表される構造部位で示され、R5~R9が水素原子、Y2がエチル基、Y3がフェニル基であるエチル(3-ベンゾイル-2,4,6-トリメチルベンゾイル)(フェニル)フォスフィネートが好ましく、市販品としてはSpeedCure XKm(#CAS 1539267-56-5、SARTOMER社製)を挙げる事ができる。
【0032】
また、一般式(1)において、R1、R2、R4はメチル基、R3、Y1は水素原子、Y3はフェニル基であり、Y2は、一般式(3)で表される基であり、R10、R11、R13がメチル基、R12及びY11が水素原子、Y33がフェニル基、R14及びR15が炭素原子数2の(ポリ)オキシアルキレン基である事が好ましく、市販品としてOmnipol TP(#CAS 1834525-17-5、IGM Resins B.V.社製)を挙げる事ができる。
これらアシルフォスフィンオキサイド化合物は、単独で用いられても良いし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0033】
【0034】
一般式(3)中、Y11は、一般式(1)中のY1と各々独立して同じ基を表し、
一般式(3)中のY33は、一般式(1)中のY3と各々独立して同じ基を表し、
一般式(3)中のR14、R15は各々独立して炭素原子数1~6のアルキレン基又は炭素原子数1~6の(ポリ)オキシアルキレン基を表し、
一般式(1)、一般式(2)、及び一般式(3)中のR1~R13は、各々独立して水素原子または炭素原子数1~6のアルキル基を表す。
【0035】
本発明の活性エネルギー線硬化型オフセットインキで使用する光重合開始剤(2)としては、ベンゾフェノン化合物、チオキサントン化合物、及び/又はケトクマリン化合物を使用する。
【0036】
前記ベンゾフェノン化合物としては、4,4´-ビス-(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4´-ビス-(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等の4,4 ’-ジアルキルアミノベンゾフェノン類、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルスルフィド、4-メチルベンゾフェノン等が挙げられる。これらの中では、安全性面から、4,4´-ビス-(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。これらベンゾフェノン化合物は、単独で使用しても良いし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0037】
前記チオキサントン化合物としては、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、4-ジイソプロピルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、2-クロロチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、2-ヒドロキシ-3-(3,4-ジメチル-9-オキソ-9Hチオキサントン-2-イロキシ-N,N,N-トリメチル-1-プロパンアミン塩酸塩などが挙げられ、好ましくは、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン 、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントンが挙げられる。これらチオキサントン化合物は、単独で使用しても良いし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0038】
前記ケトクマリン化合物としては、3-ベンゾイルクマリン、3-(4-メトキシベンゾイル)クマリン、3-ベンゾイル-7-メトキシクマリン、3-(4-メトキシベンゾイル)7-メトキシ-3-クマリン、3-アセチル-7-ジメチルアミノクマリン、3-ベンゾイル-7-ジメチルアミノクマリン、3,3’-クマリノケトン、3,3’-ビス(7-ジエチルアミノクマリノ)ケトン等を挙げることができる。これらケトクマリン化合物は、単独で使用しても良いし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0039】
更に本発明の活性エネルギー線硬化型オフセットインキで使用する前記光重合開始剤(1)(2)以外の光重合開始剤としては、ヒドロキシアセトフェノン化合物、ベンジルジメチルケタール化合物等が挙げられる。
【0040】
前記ヒドロキシアセトフェノン化合物としては、例えば、フェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸エチル、1-ヒドロキシ-シクロヘキシルフェニルケトン(例えば Omnirad 184、IGM Resins B.V.社製)、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン等が挙げられる。これらヒドロキシアセトフェノン化合物は、単独で使用しても良いし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0041】
また、光重合開始剤(3)としてベンジルジメチルケタール化合物を用いてもよい。当該ベンジルジメチルケタール化合物としては、例えば、2,2-ジメトキシー2-フェニルアセトフェノン(Omnirad651、IGM Resins B.V.社製)が挙げられる。
【0042】
前記α-アミノアルキルフェノン化合物による光重合開始剤の含有量としては、各々のインキ全量の2~10質量%の範囲が好ましい。2質量%以上であれば硬化性を得ることができ、また、10質量%以上であれば、開始剤の析出や硬化物の臭気が顕著になってしまう。また、前記アシルフォスフィンオキサイド化合物による光重合開始剤の含有量としては、各々インキ全量の4~20質量%の範囲が好ましい。4質量%以上であれば硬化性を得ることができ、また、20質量%以上であればアクリレートモノマーに対して飽和溶解し、流動性を損ねてしまう傾向となる。
前記ベンゾフェノン化合物、前記チオキサントン化合物、ケトクマリン化合物による光重合開始剤の含有量としては、各々インキ全量の2~8質量%の範囲が好ましい。2質量%以上であれば硬化性を得ることができ、また、8質量%以上であればアクリレートモノマーに対して飽和溶解し、流動性を損ねてしまう。
前記ヒドロキシアセトフェノン化合物、前記ベンジルジメチルケタール化合物による光重合開始剤の含有量としては、各々インキ全量の2~8質量%の範囲が好ましい。2質量%以上であれば硬化性を得ることができ、また、8質量%以上であればアクリレートモノマーに対して飽和溶解し、流動性を損ねてしまう。
また、各種化合物の併用に伴う優れた硬化性、優れた流動性を兼備する観点から両者の添加量はこの範囲が好ましい。
【0043】
更に本発明の活性エネルギー線硬化型オフセットインキでは、(4)エチレン性二重結合を有する化合物を含有する事を必須とする。
【0044】
前記エチレン性二重結合を有する化合物としては、例えば(メタ)アクリル基含有化合物および添加剤が挙げられる。
(メタ)アクリル基含有化合物である単官能モノマーとしては、例えば、例えば、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチルテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0045】
2官能以上のモノマーとしては、例えば、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2-メチル-1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の2価アルコールのジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに2モルのエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート等の3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート、グリセリン1モルに3モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのジ又はトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレンポリオールのポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0046】
更に、(メタ)アクリル基含有化合物は、重合性オリゴマーでもよい。重合性オリゴマーとしては、アミン変性ポリエーテルアクリレート、アミン変性エポキシアクリレート、アミン変性脂肪族アクリレート、アミン変性ポリエステルアクリレート、アミノ(メタ)アクリレートなどのアミン変性アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオレフィン(メタ)アクリレート、ポリスチレン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0047】
エチレン性二重結合を有する化合物の総量は、インキ組成物全量の10~60質量%の範囲が好ましく、より好ましくは10~40質量%であり、10~25質量%の範囲であれば更に好ましい。 また、各種化合物の併用に伴う優れた硬化性、優れた流動性を兼備する観点から両者の添加量はこの範囲が好ましい。
【0048】
<安定剤>
本発明の活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキは、ジメチルジチオカルバミン酸銅錯体を含有することが好ましい。当該安定剤を含むことで、光が当たらない状況下で熱や金属イオン、自動酸化等により発生するフリーラジカルを補足することが可能となり、活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキの意図しない重合反応を抑制し、インキの粘度を長期間に渡り適正な範囲に保つこと可能となる。前記ジメチルジチオカルバミン酸銅錯体はインキ全量に対して0.01~0.3質量%含有することが好ましい。
【0049】
(ジアルキルジチオカルバミン酸銅錯体)
本発明に使用するジアルキルジチオカルバミン酸銅錯体は、例えば、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジブチルジチオカルバミン酸銅等が挙げられる。中でもジメチルジチオカルバミン酸銅が好ましい。
【0050】
(ニトロソアミン化合物)
本発明の活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキは、安定剤としてジアルキルジチオカルバミン酸銅錯体の他に、更にニトロソアミン化合物を併用してもよい。前記ニトロソアミン化合物を併用することで、更にインキの粘度を長期間に渡り適正な範囲に保つこと可能となる。本発明で使用できるニトロソアミン化合物としては、N-ニトロソフェニルヒドロキシルアミン アルミニウム塩等が挙げられ、市販品としては、富士フィルム和光純薬株式会社製 n-ニトロソフィニルハイドロキシルアミンアルミニュウム塩(Q-1301)が挙げられる。
【0051】
本発明に使用する少なくとも1種の安定剤は、インキ全量に対して0.01~0.30質量%含有することが好ましく、この範囲であれば、本発明の活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキの硬化性能を低下させることがないため好ましい。また、当該安定剤は、インキ全量に対して0.03~0.20質量%含有することがさらに好ましい。
【0052】
更に本発明の活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキでは体質顔料を使用してもよい。前記体質顔料として無機微粒子を用いる事ができる。無機微粒子としては、酸化チタン、グラファイト、亜鉛華等の無機着色顔料;炭酸石灰粉、沈降性炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム、石膏、クレイ(ChinaClay)、シリカ、珪藻土、タルク、カオリン、アルミナホワイト、硫酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、バライト粉、砥の粉等の無機体質顔料; 等の無機顔料や、シリコーン、ガラスビーズなどがあげられる。これら無機微粒子は、インキの流動性調整、ミスチング防止、紙等の印刷基材への浸透防止といった効果に加え、冬季等の低温条件下の印刷時や高速印刷時に発生する紙剥けのトラブルを抑制する効果を付加する事が出来る。
特に基材が紙材である場合これらの中でも、「紙剥け」を抑制できる観点からタルク、炭酸マグネシウム、シリカが好ましく、組成物の流動性を保持できる点で特にタルク、炭酸マグネシウムが好ましい。
【0053】
前記タルク、炭酸マグネシウム、シリカは単独で用いてもよいし2種以上組み合わせて用いてもよい。前記タルクを使用する場合、その含有量はインキ全量の1~6質量%の範囲が好ましく、炭酸マグネシウムを使用する場合、その含有量はインキ全量の1~10質量%の範囲が好ましく、シリカを使用する場合、その含有量はインキ全量の0.1~5質量%である事が好ましい。
【0054】
また、本発明の活性エネルギー線硬化型オフセットインキは、該インキの硬化塗膜の硬化性を向上できることから、必要に応じて、さらに光増感剤を添加して、硬化性を向上することもできる。
【0055】
前記光増感剤としては、例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン等のアミン化合物、o-トリルチオ尿素等の尿素化合物、ナトリウムジエチルジチオホスフェート、s-ベンジルイソチウロニウム-p-トルエンスルホネート等の硫黄化合物などが挙げられる。これら光増感剤の使用量は、硬化性向上の効果が良好なものとなる点から本発明の活性エネルギー線硬化型インキ全量の1~20質量%の範囲であることが好ましい。
【0056】
本発明の活性エネルギー線硬化型オフセットインキは必要に応じ更に、酸化防止剤、重合禁止剤、シリコン系添加剤、ワックス、顔料、染料等を含有しても良い。
【0057】
前記酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、有機硫黄系酸化防止剤、リン酸エステル系酸化防止剤等が挙げられる。これらの酸化防止剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0058】
前記シリコン系添加剤としては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環状ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロゲンポリシロキサン、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン共重合体、ポリエステル変性ジメチルポリシロキサン共重合体、フッ素変性ジメチルポリシロキサン共重合体、アミノ変性ジメチルポリシロキサン共重合体等のアルキル基やフェニル基を有するポリオルガノシロキサン、ポリエーテル変性アクリル基を有するポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性アクリル基を有するポリジメチルシロキサンなどが挙げられる。これらのシリコン系添加剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0059】
本発明の活性エネルギー線硬化型オフセットインキでは、硬化性を向上させる目的でワックスを添加することができる。前記ワックスとしては、パラフィンワックス、カルナバワックス、みつろう、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、ポリテトラフルオロエチレンワックス、アマイドワックスなどのワックス、ヤシ油脂肪酸や大豆油脂肪酸などの原子炭素数8~18程度の範囲にある脂肪酸等を挙げることができる。
【0060】
本発明の活性エネルギー線硬化型オフセットインキでは、公知慣用の無機顔料や有機顔料を使用することができる。
【0061】
前記無機顔料としては、例えば、酸化鉄や、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法等の公知の方法によって製造されたカーボンブラック等がある。
例えば、ラーベン14、ラーベン450、ラーベン860Ultra、ラーベン1035、ラーベン1040、ラーベン1060Ultra、ラーベン1080Ultra、ラーベン1180、ラーベン1255(以上、ビルラ社製)、リーガル250R、リーガル400R、リーガル330R、リーガル660R、モーグルL(以上、キャボット社製)、MA7、MA8、MA11(以上、三菱化学社製)等を挙げることができ、これらは単独で使用してもよく、また2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0062】
前記有機顔料としては、例えば、キナクリドン顔料、キナクリドンキノン顔料、ジオキサジン顔料、フタロシアニン顔料、アントラピリミジン顔料、アンサンスロン顔料、インダンスロン顔料、フラバンスロン顔料、ペリレン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ペリノン顔料、キノフタロン顔料、アントラキノン顔料、チオインジゴ顔料、ベンツイミダゾロン顔料、アゾ顔料等が挙げられる。これらの顔料は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0063】
イエローインキに使用される顔料の具体例としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、12、13、14、16、17、73、74、75、83、93、95、97、98、109、110、114、120、128、129、138、150、151、154、155、174、180、185等が挙げられる。
【0064】
また、マゼンタインキに使用される顔料の具体例としては、C.I.ピグメントレッド5、7、12、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、112、122、123、146、168、176、184、185、202、209、269等、C.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられる。
【0065】
また、シアンインキに使用される顔料の具体例としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15、15:3、15:4、16、22、60、63、66等が挙げられる。
【0066】
更に染料としては、例えば、モノアゾ・ジスアゾ等のアゾ染料、金属錯塩染料、ナフトール染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、カーボニウム染料、キノイミン染料、シアニン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、ナフタルイミド染料、ペリノン染料、フタロシアニン染料、トリアリルメタン系染料等が挙げられる。これらの染料は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0067】
(樹脂)
樹脂としては、公知公用の各種バインダー樹脂を利用することができる。ここで述べるバインダー樹脂とは、適切な顔料親和性と分散性を有し、印刷インキに要求されるレオロジー特性を有する樹脂全般を示しており、例えば非反応性樹脂としては、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、石油樹脂、ロジンエステル樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、セルロース誘導体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリアマイド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ブタジエン-アクリルニトリル共重合体等を挙げることができ、また分子中に少なくとも1つ以上の重合性基を有するエポキシアクリレート化合物、ウレタンアクリレート化合物、ポリエステルアクリレート化合物等を使用することもでき、これらバインダー樹脂は、単独で使用しても、いずれか1種以上を組合せて使用してもよい。
【0068】
本発明の活性エネルギー線硬化型オフセットインキは、基材に印刷後、活性エネルギー線を照射することで硬化塗膜とすることができる。
【0069】
前記活性エネルギー線としては、例えば、紫外線、電子線、α線、β線、γ線等の電離放射線が挙げられる。また、前記活性エネルギー線として、紫外線を用いる場合、紫外線による硬化反応を効率よく行う上で、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で照射してもよく、空気雰囲気下で照射しても良い。
【0070】
前記紫外線の発生源としては、実用性、及び経済性の面から紫外線ランプが一般的に用いられている。具体的には、殺菌灯、紫外線用蛍光灯、複写用高圧水銀灯、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、無電極ランプ、カーボンアーク、キセノンランプ、ガリウムランプ、メタルハライドランプ、太陽光、紫外線発光ダイオード(UV-LED)等が挙げられる。
【0071】
特に本発明の活性エネルギー線硬化型オフセットインキでは、前記光重合開始剤(1)~(3)及び(4)エチレン性二重結合を有する化合物を適宜併用する事で、インキがゲル化し難く、従来のメタルハライドランプや高圧水銀灯はもとより、オゾンが発生しないオゾンレスメタルハライドランプや、発光ダイオード、UV-LEDランプでも優れた硬化性、優れた表面硬化性、内部硬化性及び密着性を保持することができる。
【0072】
本発明の活性エネルギー線硬化型オフセットインキで使用する印刷基材としては特に限定は無く、例えばカタログ、ポスター、チラシ、CDジャケット、ダイレクトメール、パンフレット、化粧品や飲料、医薬品、おもちゃ、機器等のパッケージ等の印刷に用いられる上質紙、コート紙、アート紙、模造紙、薄紙、厚紙等の紙、各種合成紙等に使用できる他、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンビニルアルコール共重合体、エチレンメタクリル酸共重合体、ナイロン、ポリ乳酸、ポリカーボネート等のフィルム又はシート、セロファン、アルミニウムフォイル、その他従来から印刷基材として使用されている各種基材に対し使用する事ができる。
中でも、被印刷物とのなる印刷機材が、単位平方メートル当たりの含水量が5~300グラムの用紙である事が好ましい。
また、金属基材、ガラス基材、紙基材、木材基材、繊維質基材等のその他の基材に用いてもよい。
【0073】
本発明で述べる活性エネルギー線硬化型オフセットインキの製造は、従来の活性エネルギー線硬化型オフセットインキと同様に、前記エチレン性二重結合を有する化合物、光重合開始剤、その他添加剤等を配合してミキサー等で撹拌混合し、三本ロールミル、ビーズミル等の分散機を用いて練肉することで製造される。
【実施例】
【0074】
以下、実施例と比較例とにより、本発明を具体的に説明する。
【0075】
[DAP-Aワニスの製法]
ジアリルフタレート樹脂(ダイソーダップA、株式会社大阪ソーダ製)固形分33.33質量%とMIRAMER M600 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(MIWON社製)66.67質量%を90℃で充分溶解、攪拌させDAPワニスを作製した。
【0076】
[活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキの製造方法]
表1~表4に記載の配合に従って、実施例1~13及び比較例1~12の活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキを3本ロールミルにて練肉することによって、活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキを得た。尚、表中の空欄は、未配合を意味し、表中の数値は質量%である。
【0077】
作製した前記活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキについて、各々ゲル化速度、硬化性、及び密着性について評価した。
【0078】
(評価項目1:ゲル化速度)
ゲル化速度の測定は、自動硬化時間測定装置「まどか」株式会社サイバー製を用い、攪拌開始からトルクが20%上昇するまでの時間(秒数)を測定した。秒数が少ない方がゲル化し易い傾向となる。
1回の測定に用いる活性エネルギー線硬化型オフセットインキは0.2mlとし、攪拌条件として回転速度を自転300rpm、公転速度120rpmとした。
昇温スピードは80℃で5分間安定した事を確認した上で、その後1000秒で250℃となるように昇温した。
また、インキ容器の底と撹拌子の先端のギャップ値は0.1mmに設定した。 評価基準は下記の4段階とした。
(評価基準)
4:840秒以上~1000秒未満
3:810秒以上~840秒未満
2:750秒以上~810秒未満
1:750秒未満
【0079】
(評価項目2:硬化性)
硬化性については基材へのインキの浸透がなく評価し易い王子タック株式会社製OKタック(ポリエチレンテレフタレート製タックフィルム) UVPETトウメイ25FL-Sに、実施例及び比較例のインキ0.125mLを用いて、簡易展色機(RIテスター、豊栄精工株式会社製)を使用して印刷した。この印刷物を水冷式UV-LED(中心発光波長385nm±5nmUV-LEDの出力100%)及びベルトコンベアを搭載したUV照射装置(アイグラフィックス株式会社製)を使用し、印刷物をコンベア上に載せ、コンベアスピード10m/分~35m/分の範囲の速度で、LED直下(照射距離9cm)を通過させ、印刷物に紫外線(UV)照射しインキ皮膜を硬化乾燥させた。
作製した印刷物ベタ部表面を上質紙で擦り、インキが付着しなくなったコンベアスピードで硬化性を、下記の5段階の評価基準に従って評価した。
(評価基準)
5:30m/分以上 35m/分以上未満である。
4:25m/分以上 30m/分以上未満である。
3:20m/分以上 25m/分以上未満である。
2:15m/分以上 20m/分以上未満である。
1:10m/分以上 15m/分以上未満である。
【0080】
(評価項目3:密着性)
下記4種の用紙に、実施例及び比較例のインキ0.125mLを用いて、簡易展色機(RIテスター、豊栄精工株式会社製)を使用して印刷した。この印刷物を水冷式UV-LED(中心発光波長385nm±5nmUV-LEDの出力100%)及びベルトコンベアを搭載したUV照射装置(アイグラフィックス株式会社製)を使用し、印刷物をコンベア上に載せ、コンベアスピード10m/分の速度で、LED直下(照射距離9cm)を通過させ、印刷物に紫外線(UV)照射しインキ皮膜を硬化乾燥させた。
尚、各用紙について各々含水量を次の手順にて測定、算出した。
試験装置は円筒状の金属の上底と下底を試験片用紙で形成された容積内に、水道水100mlを充填して測定する。円筒状の金属(内容積100cm3)の上底(50cm2)、下底(50cm2)に予め質量を測定済みの試験片用紙を置き固定する。水が試験片用紙を通して排出しないよう下敷きにポリエチレンラミネート用紙を使用した。試験装置に水道水100mlを充填後、60秒間静置して上底と下底を試験片用紙に水道水を吸収させる。
次に容積内に充填した水道水を取り除き、試験片用紙に上質紙を当てて余分な水分を取り除き、水を吸収した試験片用紙の質量を計測する。
測定は2回行いその平均値とし、「水を吸収させた後の用紙の質量-水を吸収させる前の用紙の質量」から、単位m2当たりの水道水の質量である含水量(g/m2)を算出し、その用紙の含水量(g/m2)とした。
各用紙と含水量は下記の通りである。
・UFコート(王子製紙製コートボール紙 斤量23.5Kg、含水量93.8g/m2)
・しらおい(日本製紙製上質紙 斤量70.5Kg、含水量167.0g/m2)
・米子OKトップコートプラス(王子製紙製 斤量57.5Kg、含水量104.9g/m2)
・ニューエイジ(王子製紙製マットコート紙 斤量44.5Kg、含水量50.8g/m2)
作製した印刷物ベタ部表面を、ニチバン株式会社製セロファンテープ(CT405AP-18)を用い、インキ硬化被膜の基材に対する剥離試験を行い、下記の3段階の評価基準に従って目視評価した。
(評価基準)
○:全く剥離箇所が見られない。
△:全体の面積の50%未満で剥離が見られる。
×:全体の面積の50%以上で剥離が見られる。
【0081】
表1~4に各活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキの各配合、並びに評価結果を示す。
【0082】
【0083】
【0084】
【0085】
【0086】
表中の略語は以下の通り。
・FASTOGEN BLUE FA5375: ピグメントブルー15:3藍顔料(DIC株式会社製)
・Miramer M600: ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(Miwon社製)
・Miramer M3130: エチレンオキサイド変性(3mol)トリメチロールプロパントリアクリレート(Miwon社製)
・Omnirad 907:2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン(IGM Resins B.V.社製)
・Omnirad 379: 2-ジメチルアミノ-2-(4-メチル-ベンゾイル)-1-(4-モルフォリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン(IGM Resins B.V.社製)
・Omnirad TPO-L: エチルフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フォスフィネート(IGM Resins B.V.社製)
・Omnirad EMK: 4,4´-ビス-(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(IGM Resins B.V.社製)
・Omnirad DETX: 2,4-ジエチル-9H-チオキサンテン-9-オン(IGM Resins B.V.社製)
・Omnirad 184: 1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IGM Resins B.V.社製)
・サンセラーTT-CU: ジメチルジチオカルバミン酸銅(三新化学工業株式会社製)
・Q-1301:n-ニトロソフィニルハイドロキシルアミンアルミニュウム塩(富士フィルム和光純薬株式会社)
・アデカスタブ7RD: 4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシルフリーラジカル(TMPOL)(株式会社ADEKA製)
・メチルヒドロキノン:椿本化成株式会社製
【0087】
本発明の活性エネルギー線硬化型オフセットインキは、硬化性と密着性を兼備しつつゲル化を抑制する事ができる。
【要約】
【課題】本発明の課題は、インキのゲル化を抑制した上で、従来のメタルハライドランプや高圧水銀灯はもとより、オゾンが発生しないオゾンレスメタルハライドランプや、発光ダイオード、UV-LEDランプでも優れた硬化性と密着性を兼備することを特徴とする活性エネルギー線硬化型オフセットインキを提供することにある。更には、該インキを用いた印刷物、及び印刷物の製造方法を提供することにある。
【解決手段】本発明の解決手段は、光重合開始剤と、エチレン性二重結合を有する化合物を含有する活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキであって、
前記インキの増粘測定方法によるトルクが20%上昇するまでのゲル化速度が、750秒~1000秒の範囲であることを特徴とする活性エネルギー線硬化型オフセット印刷インキを提供することにある。
【選択図】 なし