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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-06
(45)【発行日】2023-04-14
(54)【発明の名称】口腔用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/37 20060101AFI20230407BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20230407BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20230407BHJP
【FI】
A61K8/37
A61K8/92
A61Q11/00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022091233
(22)【出願日】2022-06-03
【審査請求日】2022-07-14
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514090658
【氏名又は名称】プレミアアンチエイジング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100170874
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 和哉
(72)【発明者】
【氏名】井手上 拓
(72)【発明者】
【氏名】高塚 勉
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-051444(JP,A)
【文献】特開2014-051445(JP,A)
【文献】国際公開第2012/124533(WO,A1)
【文献】特開2019-011271(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)液状油分を30~95質量%、
(B)ノニオン界面活性剤を1種以上
融点が50~120℃である固形油分を1~30質量%
を含有する口腔用組成物。
【請求項2】
液状油分がエステル化合物である、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項3】
液状油分が飽和脂肪酸エステル化合物である、請求項2に記載の口腔用組成物。
【請求項4】
ノニオン性界面活性剤の一種以上が、HLB値5~13である、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項5】
固形油分が、炭化水素である請求項記載の口腔用組成物。
【請求項6】
更に、(C)口腔内に適用可能な清涼化剤及び/又は甘味剤を含有する、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項7】
更に、縮合リン酸塩を含有し、縮合リン酸塩がピロリン酸塩、トリポリリン酸塩、及びメタリン酸塩からなる群より選ばれる1種以上である、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項8】
更に、有効成分を含有し、前記有効成分がイソプロピルメチルフェノール、塩化セチルピリジニウム、グリチルリチン酸類、グリチルレチン酸、ビタミン類からなる群より選ばれる1種以上である、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項9】
更に、歯牙硬組織の着色除去効果及び/又は漂白効果を有する水溶性高分子を一種以上含有する、請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項10】
(A)液状油分を30~95質量%、
(B)ノニオン界面活性剤を1種以上
を含有する口腔用組成物と、電動歯ブラシを併用することによる歯のステインを除去する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は口腔用組成物等に関し、より詳細には液状油分を含有する口腔用組成物等に関する。
【背景技術】
【0002】
口腔内では、飲食物が歯面と接触し、また残留することを起因として、様々な口腔トラブルが発生している。食物残渣は口腔内細菌の代謝により、プラーク(歯垢)が歯面上で形成される原因となり、むし歯や歯周病といった口腔内疾患の発生、進行を促進している。また柑橘類、清涼飲料水などの酸性飲食物は、歯との接触により脱灰(酸蝕)を直接的に引き起こしている。さらに歯の着色汚れであるステインは、飲食物由来ポリフェノール等の着色成分が蓄積されることで形成され、歯の審美性を悪化させ、口まわりの清潔感、ひいては顔全体の印象を低下させる。
【0003】
これらの口腔トラブルを予防するためには、歯面を被覆するなどして、飲食物と歯面とが接触している状態を極力減らすことが望ましい。歯面を被覆する技術としては、リン酸エステル又はポリマーによる歯面コーティング技術(特許文献1及び2)、茶抽出物による歯質強化技術(特許文献3)等が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平5-320032号公報
【文献】特開2005-200345号公報
【文献】特開2005-29496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1~3で提案される技術は、使用者にその歯面コーティング効果を満足に実感させることが難しく、使用実感の向上に課題があった。常に唾液で湿潤されている口腔内において、特許文献1~3をはじめとする従来の水系口腔用組成物では、使用による歯面コーティング実感を付与することは困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、液状油分及び界面活性剤を配合した油系組成物は、口腔内に油状基剤が分散し、口腔組織を被覆することで、高い歯面コーティング実感を示すことを見出した。
【0007】
また優れた歯面滞留性により、歯面コーティングによるプラーク、ステインの沈着防止、並びに歯牙表面からのカルシウムイオンの溶出防止をすることができる。さらに、本発明の口腔用組成物であれば、優れた口腔内(歯面、歯肉、粘膜、舌)滞留性をも有するため、組成物に含有される有効成分の口腔内滞留量を増加させることができる。
【0008】
これにより歯質強化、殺菌、抗炎症、知覚過敏抑制、歯石形成抑制、コラーゲン分解抑制、収れん作用、血行促進、細胞賦活化、コラーゲン産生、組織修復、止血保湿作用を高めた口腔用組成物の提供が可能となる。
【0009】
加えて本発明の口腔用組成物であれば、高配合された液状油分、界面活性剤による高い洗浄効果も有するため、プラーク(歯垢)、ステイン(着色)、タンパク質汚れ、口臭、歯石を効果的に除去できる。
【0010】
本発明は例えば以下の項に記載の主題を包含する。
項1.
(A)液状油分を30~95質量%、
(B)ノニオン界面活性剤を1種以上
を含有する口腔用組成物。
項2.
液状油分がエステル化合物である、項1記載の口腔用組成物。
項3.
液状油分が飽和脂肪酸エステル化合物である、項1又は2に記載の口腔用組成物。
項4.
ノニオン性界面活性剤の一種以上が、HLB値5~13である、項1~3のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
項5.
更に、融点が50~120℃である固形油分を1~30質量%を含有する、項1~4のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
項6.
固形油分が、炭化水素である項5記載の口腔用組成物。
項7.
更に、(C)口腔内に適用可能な清涼化剤及び/又は甘味剤を含有する、項1~6のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
項8.
更に、縮合リン酸塩を含有し、縮合リン酸塩がピロリン酸塩、トリポリリン酸塩、及びメタリン酸塩からなる群より選ばれる1種以上である、項1~7のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
項9.
更に、親油性有効成分を含有し、親油性有効成分がイソプロピルメチルフェノール、塩化セチルピリジニウム、グリチルリチン酸類、グリチルレチン酸、ビタミン類からなる群より選ばれる1種以上である、項1~8のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
項10.
更に、歯牙硬組織の着色除去効果及び/又は漂白効果を有する水溶性高分子を一種以上含有する、項1~9のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
項11.
項1~9のいずれか1項に記載の口腔用組成物と、電動歯ブラシを併用することによる歯のステインを除去する方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の口腔用組成物は高い歯面コーティング実感を有するとともに、歯面コーティングによるプラーク、ステインの沈着予防、脱灰抑制効果、高い洗浄効果、さらには含有する有効成分の口腔内への滞留性をも高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に包含される各実施形態について、さらに詳細に説明する。本発明は、口腔用組成物、当該組成物の製造方法等を好ましく包含するが、これらに限定されるわけではなく、本発明は本明細書に開示される全てを包含する。なお、以下、特に断らない限り、「%」は「質量%」を示す。
【0013】
液状油分としては、口腔内に適用可能であり、室温(25℃)において液状のものであれば特に限定されない。例えば、パルミチン酸2-エチルへキシル、ミリスチン酸イソプロピル、リノール酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸オレイル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸2-エチルへキシル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ステアリン酸2-エチルへキシル、ステアリン酸2-へキシルデシル、パルミチン酸イソステアリル、オレイン酸2-オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、2-エチルヘキサン酸セチル、ジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、トリカプリル酸グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、トリ2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸2-ヘキシルデシル等のエステル油;スクワラン、ポリブテン、流動パラフィン、ワセリン、低比重流動パラフィン、軽質流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、ポリイソブチレン等の炭化水素油;ホホバ油、アボカド油、サフラワー油、ツバキ油、ミンク油、ヒマシ油、シア油、マカデミアナッツ油、酢酸ラノリン、液状ラノリン等の油脂類;イソステアリルアルコール、オレイルアルコール等の高級アルコール類;メチルフェニルポリシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等のシリコーン油;等が挙げられる。
【0014】
液状油分の含有量は、本口腔用組成物に対し30%~95%である必要があり、好ましくは35~90%、より好ましくは40~85%である。液状油分の含有量は、本口腔用組成物に対し、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、又は70%以上であってもよく、80%以下、75%以下、又は70%以下であってもよい。液状油分の含有量が少なすぎる場合は、口腔組織と接触する油状成分量が減少し、使用時のコーティング実感が低下する。逆に、液状油分の含有量が多すぎる場合は、口腔内での使用感に優れない。液状油分は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0015】
ノニオン界面活性剤としては、口腔内に適用可能であるものであれば特に限定されない。例えば、ポリオキシエチレンアラキルエーテル(20E.O.)、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブチルエーテル等のエーテル型;モノステアリン酸エチレングリコール、ジステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸ソルビタン、モノイソステアリン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、親油型モノステアリン酸グリセリル、自己乳化型モノステアリン酸グリセリル等のエステル型、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビット、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ジラウリン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリグリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、デカオレイン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、ペンタオレイン酸ポリグリセリル、モノイソステアリン酸ポリグリセリル、モノオレイン酸ポリグリセリル、モノステアリン酸ポリグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノラウリン酸ポリグリセリル等のエーテル・エステル型;ステアリン酸モノエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、ミリスチン酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド等の脂肪酸アルカノールアミド型;アルキルグリコシド等が挙げられる。
【0016】
ノニオン界面活性剤のHLB (Hydrophilic-Lipophilic Balance)は、本発明の効果が損なわれない範囲であれば、特に制限されない。通常は3~18程度、好ましくは4~16程度、より好ましくは5~13程度である。また、ノニオン性界面活性剤のHLB値が低すぎる場合は、歯面等の親水性口腔組織との親和性が低くなり、使用感に優れない場合がある。逆に、HLB値が高すぎる場合には、水すすぎ、唾液による希釈による製剤の離脱が促進され、組成物および組成物成分の口腔内滞留性が不十分となる場合がある。
【0017】
ノニオン界面活性剤の含有量は、本発明の効果が損なわれない範囲であれば、特に制限されない。通常は本口腔用組成物に対し3%~40%程度、好ましくは4%~35%程度、より好ましくは5%~30%程度である。また、ノニオン性界面活性剤の含有量が少なすぎる場合は、歯面等の親水性口腔組織と油系基剤の親和性が低くなり、使用感に優れない場合がある。逆に、含有量が多すぎる場合には、使用時の刺激性が強くなる場合がある。ノニオン界面活性剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0018】
本発明の口腔用組成物は、清涼化剤及び/又は甘味剤をさらに含むことができる。これらが含まれていることで、本発明の組成物が本質的に油系の組成物であったとしても口腔内で好適な使用感が得られるため非常に有効である。
【0019】
清涼化剤としては、口腔内に適用可能であるものであれば特に限定されない。例えば、メントール類、アネトール、オイゲノール、サリチル酸メチル、リモネン、オシメン、n-デシルアルコール、シトロネール、α-テルビネオール、メチルアセタート、シトロネニルアセタート、メチルオイゲノール、シネオール、リナロール、エチルリナロール、ワニリン、チモール、ハッカ油、スペアミント油、ペパーミント油、レモン油、オレンジ油、セージ油、ローズマリー油、桂皮油、シソ油、冬緑油、チョウジ油、ユーカリ油等が挙げられる。これらの成分は香料成分の一部として配合されてもよい。
【0020】
清涼化剤の含有量は、その効果が得られる範囲であれば、特に制限されない。通常は本口腔用組成物に対し0.01%~5%程度で含有させることができる。清涼化剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0021】
甘味剤としては、口腔内に適用可能であるものであれば特に限定されない。例えば、サッカリンナトリウム、アセスルファームカリウム、ステビオサイド、ソルビトール、パラチニット、キシリトール、エリスリトール、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、グリチルリチン、ペリラルチン、タウマチン、アスパラチルフェニルアラニルメチルエステル、p-メトキシ桂皮アルデヒド等が挙げられる。
【0022】
甘味剤の含有量は、その効果が得られる範囲であれば、特に制限されない。通常は本口腔用組成物に対し0.01%~30%程度で含有させることができる。甘味剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0023】
本発明の口腔用組成物の調製方法としては、例えば、(A)成分と(B)成分とをまず撹拌し混合した後、撹拌を続けながら、当該混合物に(C)成分を加えて混合する方法が挙げられる。混合は公知の攪拌機により行うことができる。
【0024】
また更に固形油分を含有させることで、固形または半固形とすることもできる。この場合の調製方法としては、(A)、(B)とともに固形油分を融点以上に加熱し、均一に混合した後(C)成分を加え、溶融状態のまま所定の容器などに流し込み、冷却または放冷する方法が挙げられる。
【0025】
固形油分としては、口腔内に適用可能であり、融点が50~120℃であるものであれば特に限定されない。例えば、合成炭化水素ワックス、ポリエチレンワックス、エチレン-プロピレンコポリマー、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、パラフィン、オゾケライト、フィッシャートロプシュワックス等の炭化水素;モクロウ、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、コメヌカロウ、ミツロウ、水素添加ホホバ油、硬化油、高級アルコール、シリコーンワックスが挙げられる。
【0026】
固形油分の含有量は、本口腔用組成物に対し1%~30%を含有させることができ、好ましくは2~20%、より好ましくは3~15%である。固形油分の含有量は、本口腔用組成物に対し、5%以上、8%以上、又は10%以上であってもよく、15%以下、12%以下、又は10%以下であってもよい。固形油分の含有量を含まない場合は、組成物の保形性が十分ではなくなるため、固形状の形状にはならない。逆に、固形油分の含有量が多すぎる場合は、口腔内での使用時の分散性が低下する。固形油分は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0027】
液状油分及び固形油分の合計の含有量は、本口腔用組成物に対し40%~95%であり、好ましくは50~90%、より好ましくは70~90%である。液状油分の含有量は、本口腔用組成物に対し、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、又は80%以上であってもよく、95%以下、90%以下、又は88%以下であってもよい。
【0028】
本発明の口腔用組成物の相状態及び分散状態は特に制限されない。相状態は例えば、O(油)相単独、W/O、O/W、W/O/W、O/W/O、Bicontinuous、高内相比乳化が挙げられる。分散状態は、可溶化、乳化、二相分離、三相分離、多相分離、固液分散が挙げられ、使用時に振とう等の外力により分散させるものでもよい。
【0029】
本発明の口腔用組成物の剤形及び形状は特に制限されない。例えば、液体(溶液、乳液、懸濁液、粘性液等)、半固体(ゲル、軟膏、クリーム、ペースト等)、固体(錠剤、粒子状剤、カプセル剤、フィルム剤、混練物、溶融固体、ロウ状固体、弾性固体、ソフトカプセル剤等)が挙げられる。
【0030】
本発明の口腔用組成物は、口腔用途で広く利用できる。固体の剤形の口腔用組成物としては、例えば、トローチ、グミ、ガム、歯磨剤が挙げられる。半固体の剤形の口腔用組成物としては、例えば、歯磨剤、塗布剤が挙げられる。液体の剤形の口腔用組成物としては、例えば、洗口剤、歯磨剤、口中清涼剤(スプレー等)が挙げられる。これらのうち、有効性及び安定性の観点から、歯磨剤、塗布剤、洗口剤、口中清涼剤が好ましい。口腔用組成物の製造方法は特に限定されず、剤形に応じて、それぞれの通常の方法で調製され得る。
【0031】
本発明の口腔用組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、口腔用組成物に含有させることができる公知の成分を含ませてもよい。このような成分を加えた本発明の口腔用組成物は、例えば、(A)成分と(B)成分とを混合した後、(C)成分と一緒に当該成分を加えて混合する方法により調製することができる。
【0032】
このような公知の成分としては、例えば、湿潤剤、発泡剤、増粘剤、研磨剤、矯味剤、収れん剤、pH調整剤、着色剤、防腐剤、有効成分等が挙げられる。なお、このような公知の成分は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0033】
湿潤剤としては、例えば、エタノール、エチレングリコール、プロパンジオール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、ソルビットが挙げられる。
【0034】
発泡剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、N-ラウリルジアミノエチルグリシン、ラウリルスルホコハク酸ナトリウム、N-パルミトイルグルタミン酸ナトリウム、N-メチル-N-アシルタウリンナトリウム、α-オレフィンスルホン酸ナトリウム、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、N-ヤシ油脂肪酸アシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等が挙げられる。
【0035】
増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ジェランガム、キサンタンガム、アラビヤガム、カラギーナン、増粘性シリカ等が挙げられる。
【0036】
研磨剤としては、例えば、無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、リン酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ベントナイト、ヒドロキシアパタイト等が挙げられる。
【0037】
矯味剤としては、例えば、チャエキス、チャ乾留液、塩化マグネシウム、プロポリスエキス、グルタミン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0038】
収れん剤としては、例えば、乳酸アルミニウム、炭酸水素ナトリウム、塩化亜鉛、酸化亜鉛等が挙げられる。
【0039】
pH調整剤としては、例えば、クエン酸、リン酸、乳酸、ピロリン酸、リンゴ酸、フィチン酸、酒石酸、グリセロリン酸、硝酸、酢酸、またはこれらの化学的に可能な塩;水酸化ナトリウム、ケイ酸ナトリウム等が挙げられる。
【0040】
着色剤としては、例えば、青色1号、緑3号、黄色4号、群青、紺青、酸化チタン、雲母チタン等が挙げられる。
【0041】
防腐剤としては、例えば、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、安息香酸ナトリウム、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、フェノキシエタノール等が挙げられる。
【0042】
有効成分としては、例えば、アズレンスルホン酸ナトリウム、ε-アミノカプロン酸、アラントイン、アルミニウムクロルヒドロキシアラントイン、ジヒドロコレステロール、塩化ナトリウム、グリチルリチン酸類、グリチルレチン酸、イソプロピルメチルフェノール、塩化セチルピリジニウム、デカリニウム塩化物、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クロルヘキシジン塩類、トリクロサン等が挙げられる。また、他の有効成分としてビタミン類が挙げられ、例えばアスコルビン酸またはその塩、塩酸ピリドキシン、酢酸-dl-α-トコフェロール、ニコチン酸-dl-α-トコフェロール等が挙げられる。さらに、他の有効成分としては、ゼオライト、ピロリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム等の縮合リン酸塩、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化第一スズ、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、塩化リゾチーム、銅クロロフィリンナトリウム、ヒノキチオール、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ラウロイルサルコシンナトリウム、硝酸カリウム、塩化カリウム、乳酸アルミニウム、酢酸ストロンチウム、シクロデキストリン類、デキストラナーゼ、ムタナーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、溶菌酵素、生体活性ガラス、トラネキサム酸、グルコン酸銅、ピロリドンカルボン酸、アルギニン、リジン、シトルリン、オルニチン、クレアチン、ヒスチジン、ジアミノブタン酸、ジアミノプロピオン酸、フラボノイド、植物抽出物、乳酸菌、過酸化水素等が挙げられる。
【0043】
本発明の口腔用組成物は、 着色除去効果及び又は漂白効果を有する水溶性高分子をさらに含むことができる。これらが含まれていることで、本発明の組成物の美白効果を更に高めることができるため非常に有効である。着色除去効果及び又は漂白効果を有する水溶性高分子は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0044】
着色除去効果及び又は漂白効果を有する水溶性高分子としては、ポリエチレングリコール等のポリオール類;ポリビニルピロリドン等のポリビニルポリマー類等が挙げられる。
【0045】
本発明は、さらに口腔用組成物と、電動歯ブラシを併用することによる歯のステインを除去する方法に関する。本発明の組成物を電動歯ブラシと組み合わせて使用することによって、歯のステインを効率よく除去することができる。
【実施例
【0046】
以下、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の例に限定されるものではない。各表に記載される各成分の配合量値も特に断らない限り「質量%」を示す。
【0047】
《口腔用組成物の調製1》
表1に示す組成(数値は質量%を示す)に従い、固形組成物を常法によって調製した 。得られた歯磨剤組成物をサンプルとして用い、下記方法で評価した。結果を表に併記した。
【0048】
(歯面コーティング実感 評価方法)
被験者パネラー4名によって口腔用組成物の歯面コーティング実感を評価した。サンプルの固形組成物0.5gを歯ブラシにとり、口腔全体を3分間ブラッシングしてから吐き出した。ブラッシング中(口腔内に固形組成物をいきわたらせている最中)の歯面コーティング実感について、それぞれ下記に示す評点基準によって判定した。4名の点数の平均を求め、下記の評価基準によって評価した。なお、ここで、歯面コーティング実感とは、口腔内に分散した組成物が歯面にまとわり付いている実感である。
【0049】
[評価基準]
4点:コーティング実感がかなりあった
3点:コーティング実感がややあった
2点:コーティング実感がほとんどなかった
1点:コーティング実感がなかった
【0050】
[4段階判定基準]
◎:平均点が3.5点以上
○:平均点が3.0点以上、3.5点未満
△:平均点が2.0点以上、3.0点未満
×:平均点が2.0点未満
【0051】
(香味使用感 評価方法)
被験者パネラー4名によって口腔用組成物の使用感を評価した。サンプルの固形組成物0.5gを歯ブラシにとり、口腔全体を3分間ブラッシングしてから吐き出した。ブラッシング中(口腔内に固形組成物をいきわたらせている最中)の香味について、それぞれ下記に示す評点基準によって判定した。4名の点数の平均を求め、下記の評価基準によって評価した。
【0052】
[評価基準]
4点:口腔内で不快感(異味・不快なにおい)を感じなかった
3点:口腔内で不快感(異味・不快なにおい)をほとんど感じなかった
2点:口腔内で不快感(異味・不快なにおい)をやや感じた
1点:口腔内で不快感(異味・不快なにおい)をかなり感じた
【0053】
[4段階判定基準]
◎:平均点が3.5点以上
○:平均点が3.0点以上、3.5点未満
△:平均点が2.0点以上、3.0点未満
×:平均点が2.0点未満
【0054】
【表1】
【0055】
表1に示されるように、実施例1~8の口腔用組成物は、良好な歯面コーティング実感、使用感を示した。実施例9の口腔用組成物は、清涼化剤等を含んでいないため、使用感は良くなかったものの、良好な歯面コーティング実感を示した。
【0056】
《口腔用組成物の調製2》
表2に示す組成(数値は質量%を示す)に従い、液状組成物を常法によって調製した。得られた歯磨剤組成物をサンプルとして用い、下記方法で評価した。結果を表に併記した。
【0057】
(歯面コーティング実感 評価方法)
被験者パネラー4名によって口腔用組成物の歯面コーティング実感を評価した。サンプルの液状組成物10mLを口に含み、20秒間すすいでから吐き出した。すすぎ中(口腔内に液状組成物をいきわたらせている最中)の歯面コーティング実感について、それぞれ下記に示す評点基準によって判定した。4名の点数の平均を求め、下記の評価基準によって評価した。なお、ここで、歯面コーティング実感とは、口腔内に分散した組成物が歯面にまとわり付いている実感である。
【0058】
(香味使用感 評価方法)
被験者パネラー4名によって口腔用組成物の使用感を評価した。サンプルの液状組成物10mLを口に含み、20秒間すすいでから吐き出した。すすぎ中(口腔内に液状組成物をいきわたらせている最中)の香味について、それぞれ下記に示す評点基準によって判定した。4名の点数の平均を求め、下記の評価基準によって評価した。
【0059】
これらの評価基準及び4段階判定基準は、口腔用組成物の調製1に関して用いた基準と同一とした。
【0060】
【表2】
【0061】
表2に示されるように、実施例10~19の口腔用組成物は、良好な歯面コーティング実感、使用感を示した。実施例20の口腔用組成物は、清涼化剤等を含んでいないため、使用感は良くなかったものの、良好な歯面コーティング実感を示した。
【0062】
以下に本発明の口腔用組成物の処方例を示す。なお、各処方例の配合量(%)は質量%を示す。下記処方は良好な歯面コーティング実感、使用感を示した。
【0063】
【表3】
【0064】
【表4】
【要約】
【課題】 本発明は、プラーク(歯垢)、ステイン(着色)、タンパク質汚れ、口臭、歯石等を効果的に除去できる口腔用組成物を提供する。
【解決手段】本発明は、(A)液状油分を30~95質量%、(B)ノニオン界面活性剤を1種以上を含有する口腔用組成物に関する。
【選択図】 なし