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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-07
(45)【発行日】2023-04-17
(54)【発明の名称】油過熱試験装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/28 20060101AFI20230410BHJP
【FI】
G01N33/28
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019058559
(22)【出願日】2019-03-26
(65)【公開番号】P2020159829
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000141015
【氏名又は名称】株式会社かんでんエンジニアリング
(73)【特許権者】
【識別番号】506021802
【氏名又は名称】アロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100166958
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 喜代造
(72)【発明者】
【氏名】西川 精一
(72)【発明者】
【氏名】辻 真名美
(72)【発明者】
【氏名】西尾 壽美
(72)【発明者】
【氏名】天池 将人
【審査官】白形 優依
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-094611(JP,A)
【文献】特開2017-215320(JP,A)
【文献】特開2000-321265(JP,A)
【文献】特表2015-528572(JP,A)
【文献】岡部成光 ほか,絶縁油の過熱分解成分の調査,電気学会電力・エネルギー部門大会論文集,1998年,Vol.9, 分冊2,pp.511-512
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/28
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に油が貯留された試料容器と、前記試料容器の外側で前記試料容器に巻回される誘導加熱コイルと、前記誘導加熱コイルに電力を供給する整合器と、前記試料容器の内部に収容されて前記誘導加熱コイルの中心部分に配置される発熱体と、前記発熱体の温度を測定する測定部と、を備えた油過熱試験装置であって、
前記試料容器は、中空筒状の本体部と、前記本体部の上側開口部を閉塞する蓋部と、を備え、
前記蓋部の下面には、油の液面下に挿入される支持部材が下方に延出して設けられ、
前記支持部材の下端部に前記発熱体が取り付けられることにより、前記発熱体が油の液面下に配置され、
前記整合器が前記誘導加熱コイルに電力を供給することにより、前記発熱体を発熱させ、前記試料容器内の油を過熱状態とする、油過熱試験装置。
【請求項2】
前記試料容器には冷却管が収容され、
前記冷却管は前記支持部材の周囲に巻回され、
前記冷却管には油を冷却する冷却水が流通される、請求項1に記載の油過熱試験装置
【請求項3】
前記試料容器の下部には、下方に向かうに従って縮径された縮径部が形成され、
前記誘導加熱コイルは、前記縮径部の周囲に巻回される、請求項1又は請求項2に記載の油過熱試験装置。
【請求項4】
前記試料容器には、油から発生したガスを採取する、気体採取部、及び/又は、気体採取機構が接続される、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の油過熱試験装置。
【請求項5】
前記試料容器には、過熱後の油を採取する油採取部が接続される、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の油過熱試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油の過熱試験を行うための油過熱試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、絶縁用及び冷却用の絶縁油が使用された変圧器において、保守管理のために油中ガス分析による内部異常診断が行われる。変圧器の内部異常の一つである過熱異常が発生した場合、過熱部位及び温度(過熱温度)を推定し、異常の進展具合などの判断を行う必要がある。
【0003】
鉱油系の変圧器の保守管理の一つとして、油中ガス分析による内部異常診断が一般的に行われている。これは、油中ガス成分の濃度および生成パターンから内部異常の有無、また異常発生個所、異常の種類(放電や過熱など)・規模などを診断する技術である。一方、天然エステルや植物由来エステルなどの新しい絶縁油が入った変圧器については、国内において公的は判定基準がまだない。従って、診断技術を確立するための知見を得るために、変圧器内部で起こりうる局所過熱を模擬し、試験するために局所過熱装置が使用される。
【0004】
絶縁油を用いた変圧器において過熱異常を外部から診断する方法として、絶縁油から発生するガス成分を分析し、異常を診断する手法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1には過熱試験装置で絶縁油の過熱試験を行い、発生するガスを採集して成分を分析する技術が記載されている。
【0005】
特許文献1には、試料容器の側壁を貫通する電極導体が設けられ、試料容器の中央側で相対向する電極導体に電極が取り付けられ、これら電極の間に金属製の加熱導体が水平に支持された加熱試験装置が記載されている。この装置においては、電極導体及び電極を介して加熱導体に通電することにより、試料容器内の絶縁油を加熱している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-215320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の従来技術では、絶縁油を加熱する手法として通電加熱を用いているため、加熱導体の最高温度が700℃程度と低く、試験装置において高温(1000℃程度)の過熱状態を再現することが困難であった。また、通電加熱においては、所定温度の過熱状態に到達するまでに数分程度の時間がかかるため、絶縁油の温度が上昇する途中でもガスが発生し、昇温途中の影響を排除することが困難であった。加えて、加熱導体として利用できる材質、大きさ、形状等に制限が多く、試験の自由度が低くなっていた。
【0008】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、1000℃程度の高温の過熱状態を再現することができ、数秒程度で所定温度の過熱状態に到達するために絶縁油の昇温途中の影響を排除することができ、さらに、発熱体の材質、大きさ、形状等に関する自由度を高めることができる、油過熱試験装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前述の課題解決のために、以下の油過熱試験装置を構成した。
【0010】
(1)内部に油が貯留された試料容器と、前記試料容器の外側で前記試料容器に巻回される誘導加熱コイルと、前記誘導加熱コイルに電力を供給する整合器と、前記試料容器の内部に収容されて前記誘導加熱コイルの中心部分に配置される発熱体と、前記発熱体の温度を測定する測定部と、を備えた油過熱試験装置であって、前記試料容器は、中空筒状の本体部と、前記本体部の上側開口部を閉塞する蓋部と、を備え、前記蓋部の下面には、油の液面下に挿入される支持部材が下方に延出して設けられ、前記支持部材の下端部に前記発熱体が取り付けられることにより、前記発熱体が油の液面下に配置され、前記整合器が前記誘導加熱コイルに電力を供給することにより、前記発熱体を発熱させ、前記試料容器内の油を過熱状態とする、油過熱試験装置。
【0011】
(2)前記試料容器には冷却管が収容され、前記冷却管は前記支持部材の周囲に巻回され、前記冷却管には油を冷却する冷却水が流通される、(1)に記載の油過熱試験装置。
【0012】
(3)前記試料容器の下部には、下方に向かうに従って縮径された縮径部が形成され、前記誘導加熱コイルは、前記縮径部の周囲に巻回される、(1)又は(2)に記載の油過熱試験装置。
【0013】
(4)前記試料容器には、油から発生したガスを採取する、気体採取部、及び/又は、
気体採取機構が接続される、(1)から(3)の何れか一に記載の油過熱試験装置。
【0014】
(5)前記試料容器には、過熱後の油を採取する油採取部が接続される、(1)から(4)の何れか一に記載の油過熱試験装置。

【発明の効果】
【0015】
本発明に係る油過熱試験装置によれば、1000℃程度の過熱状態を再現することができ、数秒程度で所定温度の過熱状態に到達するために絶縁油の温度が上昇する途中における影響を排除することができ、さらに、発熱体の材質、大きさ、形状等に関する自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】一実施形態に係る油過熱試験装置の全体構成を示す正面図。
図2】一実施形態に係る油過熱試験装置の全体構成を示す斜視図。
図3】試料容器を示す一部切欠正面図。
図4】試料容器を示す平面図。
図5図4におけるX-X線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図1から図5を用いて、本発明の一実施形態に係る油過熱試験装置(以下、単に「試験装置」と記載する)1について説明する。試験装置1は、変圧器内部で起こりうる局所過熱を模擬し、試験を行うための装置である。具体的には図3に示す如く、試料容器10の中に絶縁油である油Tを貯留した状態で油Tを過熱状態とし、その際に発生するガスの成分を分析するために絶縁油またはガスを採取するように構成されている。
【0018】
本実施形態において、油Tとしては鉱油、天然エステル、及び、植物由来エステルの何れかを用いた。なお、本明細書においては、単に油Tに熱を加えられる状態を「加熱」、変圧器の内部異常で生じる程度の熱が油Tに加えられてガスが発生する状態を「過熱」と記載する。
【0019】
図1に示す如く、試験装置1は、架台2、試料容器10、誘導加熱コイル20、整合器30、測定部40、冷却部50、気体収集袋60等で構成される。以下、各構成要素について、順に説明する。
【0020】
架台2は、試料容器10、誘導加熱コイル20、整合器30等を支持するための台である。架台2の上面には二個の昇降台3・3が重ねて設けられる。上側の昇降台3の上面には、一本の左側支持部材4Lと、二本の右側支持部材4R・4Rが立設されている(図1及び図2を参照)。左側支持部材4Lと右側支持部材4R・4Rとには、後述する配管等が固定される。
【0021】
右側支持部材4R・4Rの上部には、床面と平行となるように右側方に延出される容器支持板6が固定される。容器支持板6には試料容器10が設けられる。試料容器10の下部における外側には、試料容器10から少し離間して巻回される誘導加熱コイル20が配置される。本実施形態に係る試験装置1は、図2に示す如く、試料容器10を取り囲む樹脂製の防護カバー部材5が設けられる。
【0022】
上側の昇降台3の上面には、誘導加熱コイル20に電力を供給するための整合器30が配置される。整合器30には、架台2に収容されている温度コントローラ31、及び、10kW容量の誘導加熱電源32が接続される。試験装置1の使用者は、温度コントローラ31を操作することにより、整合器30が誘導加熱コイル20に供給する電力を調節する。
【0023】
図1に示す如く、試料容器10には測定部40が接続される。測定部40は、一般的なコンピュータ等により構成される測定装置41、第一熱電対42、及び、第二熱電対43で構成される。なお、図2においては、測定装置41の図示を省略している。
【0024】
また、図1に示す如く、試料容器10には冷却水を循環させる冷却装置(チラー)である冷却部50が接続される。冷却部50は、冷却水の往路である、第一冷却経路51、左側支持部材4Lに固定された第一バルブ52、及び、第二冷却経路53を介して試料容器10と接続される。また、冷却部50は、冷却水の復路である、第三冷却経路54、左側支持部材4Lに固定された第二バルブ55、及び、第四冷却経路56を介して試料容器10と接続される。なお、図2においては、第一~第四冷却経路51、53、54、56の図示を省略している。
【0025】
また、図1に示す如く、試料容器10には、気体収集部である気体収集袋60が接続される。気体収集袋60は、第一気体収集経路61、流量計62、左側支持部材4Lに固定された気体バルブ63、及び、第二気体収集経路64を介して試料容器10と接続される。流量計62は内部を流通するガスの流量及びその積算を計測するものであり、本実施形態においては非接触型が採用される。流量計62からは蓄積データを外部に取り出すことができる。なお、図2においては、気体収集袋60及び第二気体収集経路64の図示を省略している。
【0026】
図3及び図5に示す如く、試料容器10は中空筒状の本体部10aと、本体部10aの上側開口部を閉塞する蓋部10bとで構成されている。蓋部10bは、本体部10aに対して着脱可能とされる。本体部10aと蓋部10bとの当接面は、発生したガス等の漏洩がないようにシール部材でシールされている。図3及び図4に示す如く、蓋部10bは各種の部材を試料容器10に接続するためのコネクタとして機能する。
【0027】
本体部10aは、誘導加熱コイル20による誘導加熱に影響がなく、高温による影響のない材質が採用される。本実施形態において、本体部10aはガラスで構成される。本体部10aは内部に収容される器具を除いた内容積が1000~2000mL程度となるように形成される。試料容器10における本体部10aの下部には、下方に向かうに従って縮径された縮径部10cが形成されている。図3に示す如く、誘導加熱コイル20は縮径部10cの周囲に巻回される。
【0028】
縮径部10cの下部には、油採取部16が形成されている。油採取部16は本体部10aの下側開口部に挿入される排出部材16aを備える。排出部材16aの内部には、図5に示す如く排出経路16bが形成されている。この油採取部16を介して、試験後の油Tを試料容器10から採取することができる。油採取部16における排出部材16aは、油Tを加熱する前に窒素ガスでバブリングを行う時の導入口としても機能する。
【0029】
図3から図5に示す如く、蓋部10bの下面(試料容器10の内側面)における中央部には、円筒状のシャフトホルダ21が取り付けられ、シャフトホルダ21にはシャフト22の上端部が組付けられている。シャフト22の下端部にはカップリング23を介してロッド24の上端部が連結される。ロッド24の下端部には誘導加熱コイル20に電力が供給されて生じる誘導加熱によって発熱する発熱体25が取り付けられる。発熱体25は、巻回される誘導加熱コイル20の中心部分に位置するように配置される。発熱体25には第一熱電対42の熱接点を挿入するための溝部25aが形成されている。
【0030】
発熱体25の材質は誘導加熱により発熱する素材であれば良く、鉄、SUS304、タングステン等が採用される。発熱体25は誘導加熱コイル20の内径と発熱効率を考慮して、縦・横・高さが3mm~10mmの寸法に収まるように形成され、その形状は球体、立方体、円柱形状、円筒形状等、さまざまな形状のものを採用することが可能である。本実施形態に係る試験装置1においては、誘導加熱コイル20に電力を供給することにより、発熱体は1000℃以上に昇温させることを可能としている。
【0031】
図3及び図4に示す如く、試料容器10の蓋部10bには第一継手12と第二継手13とが設けられる。第一継手12は第二冷却経路53と接続されることにより、冷却部50から試料容器10へと送られる冷却水の入口となる。第二継手13は第三冷却経路54と接続されることにより、試料容器10からの冷却水の出口となる。第一継手12と第二冷却経路53、及び、第二継手13と第三冷却経路54は、洗浄等の際に容易に取外し可能に構成されている。
【0032】
図3に示す如く、試料容器10における本体部10aの内部には、第一継手12と第二継手13とを連通する冷却管14が収容される。冷却管14は本体部10aの内部において、シャフト22の周囲を巻回する螺旋状に配置され、その内部に冷却部50から送られてきた冷却水が流通される。冷却管14は、誘導加熱コイル20に対する反応性が低く安定した金属素材で形成されており、本実施形態においてはステンレス鋼が採用されている。また、冷却管14は誘導加熱コイル20の影響を受けないように、誘導加熱コイル20よりも上側に配置している。
【0033】
本実施形態において、冷却管14は発熱体25の上方に位置するように配置されている。これにより、発熱体25が発熱することにより加熱された油Tが対流する際に、油Tを効率的に冷却することができる。
【0034】
また、蓋部10bには、過熱状態の油Tから発生したガスを採取する気体採取部として気体収集用接続部15が設けられる。気体収集用接続部15の先端部は気体収集口15aとして試料容器10の内部に挿入されている。気体収集用接続部15は第一気体収集経路61と接続されることにより、気体収集口15aから流出したガスは気体収集袋60に収集される。
【0035】
また、蓋部10bには撹拌部材17が設けられる。撹拌部材17の下端部には、試料容器10の内部に位置する撹拌部17aが備えられる。撹拌部17aを油Tに挿入した状態で、試験装置1の使用者が手動で撹拌部材17を回動することにより油Tを撹拌することができる。なお、撹拌部材17を自動で回動させる構成とすることも可能である。
【0036】
また、蓋部10bには過熱状態の油Tから発生したガスを採取する気体採取機構として、管状の気体採取口18が設けられる。気体採取口18の下端部は試料容器10の内部に挿入されている。試験装置1においては、気体採取口18の上端部にシリンジ等を接続することにより、試料容器10の内部で発生したガスを採取可能としている。
【0037】
また、蓋部10bには第一熱電対取付部19a及び第二熱電対取付部19bが設けられる。第一熱電対取付部19aには第一熱電対42が取り付けられる。第一熱電対42は熱接点が発熱体25に取付けられることにより、1000℃以上となる発熱体25の温度を計測する。第二熱電対43は熱接点が油Tに挿入されることにより、20℃~100℃程度に昇温する油Tの温度を計測する。
【0038】
上記の如く、試験装置1においては、整合器30が誘導加熱コイル20に電力を供給することにより発熱体25を発熱させて、試料容器10の内部に貯留された油Tを過熱状態とするように構成される。このように、試験装置1では油Tを加熱するために誘導加熱を採用している。これにより、発熱体25の温度を1000℃程度として過熱状態を再現することが可能となる。
【0039】
また、試験装置1においては誘導加熱を採用することにより、数秒程度で発熱体25を所定温度の過熱状態に到達させることができる。このため、油Tの温度が上昇する途中における影響を排除することができる。換言すれば、油Tにおける発熱体25の温度を容易に所定温度とすることができ、温度のばらつきによる不要なガスの発生を防止できるため、試験装置1による試験精度を向上させることができるのである。さらに、発熱体25はロッド24で支持することができる形状であれば良く、発熱体25に導線等を接続する必要がないため、発熱体25の材質、大きさ、形状等に関する自由度を高めることができる
【0040】
また、試験装置1において、試料容器10の下部には、下方に向かうに従って縮径された縮径部10cが形成され、誘導加熱コイル20が縮径部10cの周囲に巻回される。これにより、試料容器10の容量を確保しつつ、誘導加熱コイル20と発熱体25との距離を近づけることができる。即ち、発熱体25の周囲に発生する磁束密度を高めることができるため、発熱体25における発熱効率を高くすることが可能となる。
【0041】
また、本実施形態に係る試験装置1において、試料容器10には、過熱状態の油Tから発生したガスを採取する気体採取部として気体収集用接続部15が設けられる。これにより、試験装置1で発生したガスを気体収集袋60に収集することができる。また、試料容器10には、過熱状態の油Tから発生したガスを採取する気体採取機構として、管状の気体採取口18が設けられる。これにより、気体採取口18の上端部にシリンジ等を接続して試料容器10の内部のガスを採取可能としている。
【0042】
また、本実施形態に係る試験装置1において、試料容器10には、油採取部16が接続される。これにより、油採取部16を介して、試験後の油Tを試料容器10から採取することができる。
【0043】
また、本実施形態に係る試験装置1において、試料容器10には冷却管14が収容され、冷却管14には油Tを冷却する冷却水が流通される。これにより、試料容器10の内部で加熱された油Tを冷却することができる。また、本実施形態において冷却管14は発熱体25の上方に位置するように配置されている。これにより、発熱体25が発熱することにより加熱された油Tが対流する際に、油Tを効率的に冷却することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 試験装置(油過熱試験装置) 2 架台
3 昇降台 4L 左側支持部材
4R 右側支持部材 5 防護カバー部材
6 容器支持板 10 試料容器
10a 本体部 10b 蓋部
10c 縮径部 12 第一継手
13 第二継手 14 冷却管
15 気体収集用接続部(気体採取部)
15a 気体収集口 16 油採取部
16a 排出部材 16b 排出経路
17 撹拌部材 17a 撹拌部
18 気体採取口(気体採取機構)
19a 第一熱電対取付部 19b 第二熱電対取付部
20 誘導加熱コイル 21 シャフトホルダ
22 シャフト 23 カップリング
24 ロッド 25 発熱体
25a 溝部 30 整合器
31 温度コントローラ 32 誘導加熱電源
40 測定部 41 測定装置
42 第一熱電対 43 第二熱電対
50 冷却部 51 第一冷却経路
52 第一バルブ 53 第二冷却経路
54 第三冷却経路 55 第二バルブ
56 第四冷却経路 60 気体収集袋(気体収集部)
61 第一気体収集経路 62 流量計
63 気体バルブ 64 第二気体収集経路
T 油
図1
図2
図3
図4
図5