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  • 特許-酸化ガリウム結晶育成用るつぼ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-07
(45)【発行日】2023-04-17
(54)【発明の名称】酸化ガリウム結晶育成用るつぼ
(51)【国際特許分類】
   C30B 11/00 20060101AFI20230410BHJP
   C30B 29/16 20060101ALI20230410BHJP
【FI】
C30B11/00 C
C30B29/16
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019156941
(22)【出願日】2019-08-29
(65)【公開番号】P2021031367
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000236687
【氏名又は名称】不二越機械工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】干川 圭吾
(72)【発明者】
【氏名】太子 敏則
(72)【発明者】
【氏名】小林 拓実
(72)【発明者】
【氏名】大葉 悦子
【審査官】宮崎 園子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-193466(JP,A)
【文献】特開2018-145029(JP,A)
【文献】特開2016-79080(JP,A)
【文献】特開平06-247719(JP,A)
【文献】特開昭55-71700(JP,A)
【文献】特開2003-112998(JP,A)
【文献】特開平8-48591(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C30B 11/00
C30B 29/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
白金を主組成とする白金とロジウムとの合金製であり、酸化ガリウム結晶育成用のるつぼであって、
前記るつぼの上部と下部が溶接によって接合され、
前記るつぼ上部における前記ロジウムの組成割合が前記るつぼ下部における前記ロジウムの組成割合よりも多いことを特徴とする酸化ガリウム結晶育成用るつぼ。
【請求項2】
前記るつぼ下部が、種子結晶が収まる有底筒状の小径部と該小径部の上端に溶接によって接合され上方に向けて拡径して延びる拡径部よりなり、前記るつぼ上部が、前記拡径部の上部に溶接によって接合されて上方に筒状に延びる大径部からなることを特徴とする請求項1記載の酸化ガリウム結晶育成用るつぼ。
【請求項3】
前記拡径部の上部が、一定径の筒部に形成され、筒状の前記大径部が前記筒部に溶接されていることを特徴とする請求項2記載の酸化ガリウム結晶育成用るつぼ。
【請求項4】
前記るつぼ上部における前記ロジウムの組成割合が15~30wt%であり、前記るつぼ下部における前記ロジウムの組成割合が10~25wt%であることを特徴とする請求項1~3いずれか1項記載の酸化ガリウム結晶育成用るつぼ。
【請求項5】
前記るつぼ上部の肉厚が前記るつぼ下部の肉厚より薄く形成されていることを特徴とする請求項1~4いずれか1項記載の酸化ガリウム結晶育成用るつぼ。
【請求項6】
前記るつぼ上部の肉厚が0.1~0.2mm、前記るつぼ下部の肉厚が0.15~0.3mmであることを特徴とする請求項5記載の酸化ガリウム結晶育成用るつぼ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化ガリウム結晶育成用のるつぼに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2017-193466号公報)には、酸化ガリウムの単結晶(特にβ-Ga2O3単結晶。以下ではβ-Ga2O3単結晶で説明する)の製造方法が記載されている。この特許文献1に記載されている方法は、大気雰囲気下での結晶育成装置により、白金-ロジウム(PtRh)合金製の細種子るつぼを用いて、垂直ブリッジマン法(VB法)もしくは垂直温度勾配凝固法によりβ-Ga2O3単結晶を育成するものである。PtRh合金(特に、Rh含有量が10~30wt%のもの)は融点が1800℃以上の高融点を有し、高温でのβ-Ga2O3単結晶育成に好適である。
【0003】
細種子るつぼは、溶接によって接合される下部と上部を有し、特許文献2(特開2001-58896号公報)等に示されるように、下部が、種子結晶が姿勢を安定して収まる有底筒状の小径部と該小径部の上端から上方に向けて拡径して延びる拡径部よりなり、上部が、前記拡径部の上部から上方に筒状に延びる大径部(希望する結晶径となる直径を有する)からなる。
細種子るつぼは異形をなすことから、拡径部が小径部の上端に溶接によって接合され、また大径部が拡径部の上部に溶接によって接合されることにより形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-193466号公報
【文献】特開2001-58896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
PtRh合金製細種子るつぼは、大気中高温下で使用できるように、PtにRhを混ぜ合金化して使用している。
しかし、Rhは結晶中に溶け込み易いことから、Rhの比率はできる限り下げて使用したい。しかし、下げすぎると融点が低下し、るつぼが融解してしまう可能性がある。Rhの比率を上げるとるつぼの融点は上がるが、材料自身の硬度が増すことで、溶接が容易でなくなり、溶接不十分により融液漏れが発生するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述した課題を解決すべくなされたものであり、溶接が容易かつ良好に行え、融液漏れを防止できる酸化ガリウム結晶育成用るつぼを提供することを目的とする。
【0007】
本発明に係る酸化ガリウム結晶育成用るつぼは、白金を主組成とする白金とロジウムとの合金製であり、酸化ガリウム結晶育成用のるつぼであって、前記るつぼの上部と下部が溶接によって接合され、前記るつぼ上部における前記ロジウムの組成割合が前記るつぼ下部における前記ロジウムの組成割合よりも多いことを特徴とする。
【0008】
前記るつぼ下部が、種子結晶が収まる有底筒状の小径部と該小径部の上端に溶接によって接合され上方に向けて拡径して延びる拡径部よりなり、前記るつぼ上部が、前記拡径部の上部に溶接によって接合されて上方に筒状に延びる大径部からなるるつぼに適用できる。
【0009】
前記拡径部の上部が、一定径の筒部に形成され、筒状の前記大径部が前記筒部に溶接されるようにすると、溶接が容易、確実にできる。
前記るつぼ上部における前記ロジウムの組成割合が15~30wt%であり、前記るつぼ下部における前記ロジウムの組成割合が10~25wt%とすることができる。
【0010】
前記るつぼ上部の肉厚が前記るつぼ下部の肉厚より薄くなるように形成することができる。
この場合、前記るつぼ上部の肉厚が0.1~0.2mm、前記るつぼ下部の肉厚が0.15~0.3mmとなるようにすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る酸化ガリウム結晶育成用るつぼによれば、るつぼ下部の材料として、るつぼ上部の材料よりRhの含有量の少ない材料を用いることにより硬度および融点が低くなり、例えば下部材料と同じ材料の硬度および融点の低い溶接棒を用いるなどすることにより、るつぼ上部とるつぼ下部との間の溶接が容易、かつ良好に行え、クラック発生や孔あき防止が図れ、融液漏れを防ぐことができる。
また、るつぼ上部の肉厚をるつぼ下部の肉厚より薄くすれば、育成した結晶を取り出し易くなると共に、るつぼ下部は肉厚なので溶接時の作業性が良くなり、るつぼ上部とるつぼ下部との溶接が容易かつ確実に行え、クラックや孔あきを防止し、融液漏れを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施の形態におけるるつぼの端面図である。
図2】第2の実施の形態におけるるつぼの端面図である。
図3】既存の文献データと実験データを基に作成したPt/Rh合金の組成(wt%)と融点との関係を示すグラフである。
図4】実施例1のるつぼであって、左側が使用前のるつぼ、右側が結晶育成後で結晶取出し前のるつぼの状態を示す写真である。
図5】実施例2のるつぼであって、結晶育成後で結晶取出し前のるつぼの状態を示す写真である。
図6図6Aは比較例のるつぼであって融液漏れが生じたるつぼの状態を示す写真、図6Bは比較例のるつぼであって漏れ出た融液がるつぼ受けに付着した状態を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は第1の実施の形態におけるるつぼ(細種子るつぼ)10の端面図である。
るつぼ10は、垂直ブリッジマン法(VB法)もしくは垂直温度勾配凝固法により、大気雰囲気中において酸化ガリウム(β-Ga2O3)の単結晶を育成するためのるつぼであり、白金を主組成とする、白金-ロジウム合金製である。
結晶育成装置そのものは、例えば特開2017-193466号公報に示される大気雰囲気下での結晶育成装置を用いることができる。
【0014】
るつぼ10は、前記のように、下部12が、種子結晶が姿勢を安定して収まる有底筒状の小径部14と該小径部14の上端から上方に向けて拡径して延びる拡径部16よりなり、上部18が、拡径部16の上部から上方に筒状に延びる大径部(希望する結晶径となる直径を有する)20からなる。小径部14、大径部20は円筒状をなしている。
【0015】
細種子るつぼ10は異形をなすことから、拡径部16が小径部14の上端(部位A)に溶接によって接合され、また大径部20が拡径部16の上部(部位B)に溶接によって接合されることにより形成される。小径部14における底部と筒部の間も溶接によって接合される。なお、ロート状をなす拡径部16の上端面には大径部20を溶接しずらいことから、拡径部16の上部を高さの低い、一定径の筒部に形成し、この筒部の上端(部位B)に筒状の大径部20を溶接するようにするとよい。
第1の実施の形態におけるるつぼ10は、全体を均一厚さに形成している。厚さは、0.11~0.5mm程度とすることができる。
【0016】
図2は、るつぼ10の第2の実施の形態を示す端面図である。
本実施の形態では、るつぼ上部18の肉厚がるつぼ下部12の肉厚より薄くなるようにした他は第1の実施の形態と同じである。
るつぼ上部18の肉厚を例えば0.1~0.2mm、るつぼ下部12の肉厚を例えば0.15~0.3mmとすることができる。
【0017】
そして、本実施の形態(第1および第2の実施の形態)では、るつぼ上部18におけるロジウムの組成割合をるつぼ下部12におけるロジウムの組成割合よりも多くしたことを特徴としている。
るつぼ上部18におけるロジウムの組成割合を15~30wt%、るつぼ下部12におけるロジウムの組成割合を10~25wt%程度とすると好適である。
【0018】
図3に、既存の文献データと実験データを基に作成したPtRh合金の組成(wt%)と融点との関係を示す。PtRh合金は、Ptに含有されるRhの含有量によって融点が異なる。
β-Ga2O3の融解実験から、β-Ga2O3は約1795℃で完全融解する。したがって、融点が1768℃のPtは、β-Ga2O3を融解・保持するるつぼの材料には適用できないことは明らかである。しかしながら、図3に示すように2wt%以上のRhを含むPtRh合金の融点は、β-Ga2O3の融点を超えるから、理論的にはβ-Ga2O3の融液を保持するるつぼとして使用し得る。
【0019】
実際のβ-Ga2O3の結晶育成において、融点が約1795℃のβ-Ga2O3融液を安定的に保持して結晶育成を行うために求められるPtRh合金るつぼの融点については、結晶成長原理や育成する結晶の大きさ、さらには結晶育成条件等によって異なる。
【0020】
VB法(垂直ブリッジマン法)によるβ-Ga2O3結晶育成の場合、適用できるPtRh合金るつぼ中のRh含有量の下限は10wt%以上が必要である。Rh含有量が10wt%の場合、図3に明らかなように、当該るつぼの融点は1850℃程度となる。
また、Rhの含有量は20wt%程度で、当該るつぼの融点は1900℃程度となり、高い融点となることから、直径100mm程度の結晶育成も行える。
なお、PtRh合金るつぼにおいて、Rhの含有量が多すぎるとRhが溶け出すという問題が起こるので、Rhの含有量は30 wt%以下とするのがよい。
【0021】
VB法(垂直ブリッジマン法)によるβ-Ga2O3結晶育成の場合、育成炉内において、酸化ガリウム材料の融解のため、るつぼ10の上部は高温にまで加熱され、るつぼ10の下部は結晶成長のため上部よりは低温となるように設定される。
るつぼ材料として、高融点となるRhの含有量が30 wt%となるPtRh合金を用いた場合、上記のように、β-Ga2O3結晶育成は良好に行える。
【0022】
しかしながら、るつぼ材料として、るつぼ上部18およびるつぼ下部12の両者に、高融点となるRhの含有量が30 wt%となるPtRh合金を用いた場合、るつぼの硬度が大きくなり、るつぼ上部18とるつぼ下部12の溶接が良好に行えず、そのため溶接部位近傍にクラックが生じたり孔があき、融液漏れの原因となることが判明した。融液漏れが生じると、結晶育成ができなくなるばかりか、るつぼ10を収容する、ジルコニア製等からなるるつぼ受け(サセプタ)にひび割れを生じさせるなど、結晶育成装置側にダメージを与えてしまう。
【0023】
そこで、本実施の形態では、るつぼ下部12の材料として、るつぼ上部18の材料よりはRhの含有量の少ない材料を用いることにした。Rh含有量が少ないとそれだけ硬度が低くなり、例えば下部材料と同じ、硬度の低い溶接棒を用いるなどすることによりるつぼ上部18とるつぼ下部12との間の溶接が容易、かつ良好に行え、クラック発生や孔あき防止が図れ、融液漏れを防ぐことができた。硬度の低くなった拡径部16と小径部14との間の溶接、小径部14における筒部と底部との間の溶接も容易、かつ良好に行える。
【0024】
るつぼ材料の組成は、結晶成長原理や育成する結晶の大きさ、さらには結晶育成条件によって異なるが、るつぼ下部12の材料として、るつぼ上部18の材料よりはRhの含有量の少ない材料を用いることを前提として、るつぼ上部18におけるロジウムの組成割合を15~30wt%とし、るつぼ下部12におけるロジウムの組成割合を10~25wt%とするのが好適である。
【0025】
るつぼ下部12のロジウムの組成割合を10wt%としても、前記のように約1850℃の融点であり、β-Ga2O3結晶育成に十分耐えうる。
一方、融液中へのRhの溶け出しを抑えるためには、るつぼ上部18におけるRh含有量を少なくしたいが、すると融点が下がるので、上記のように、結晶成長原理や育成する結晶の大きさ、さらには結晶育成条件によってるつぼ上部18の組成を決定するようにする。
【0026】
ところで、VB法(垂直ブリッジマン法)によるβ-Ga2O3結晶育成の場合、生成した結晶をるつぼ上部を破壊(剥いて)取り出す場合がある。
この場合、硬度の高いるつぼ上部を破壊するには、るつぼの肉厚が大きいと破壊しにくい。
そこで、第2の実施の形態では、るつぼ上部18の肉厚をるつぼ下部12の肉厚より薄くし、これにより結晶を取り出し易くしている。
【0027】
また、第2の実施の形態では、るつぼ下部12の肉厚をるつぼ上部18の肉厚よりも厚くしている。
るつぼ下部12の肉厚を厚くすることによって溶接時の作業性、取り扱いが容易となる。
上記のように、るつぼ下部12におけるRhの含有量を少なくすることによる溶接のし易さと相俟って、るつぼ下部12の肉厚を厚くすることにより、るつぼ上部18とるつぼ下部12との溶接をさらに容易にし、溶接の信頼性を高めて、クラックや孔あきを防止し、融液漏れを低減できる。
【0028】
なお、上記実施の形態では細種子るつぼで説明したが、必ずしも細種子るつぼ形状のるつぼでなくとも、るつぼ上部とるつぼ下部が溶接により接合されるるつぼの全てに本発明を適用できる。
【実施例
【0029】
(β-Ga2O3の結晶育成の実施例)
VB炉内において一方向凝固β-Ga2O3結晶の育成を試みた。
るつぼは、図1図2に示するつぼであって、るつぼ上部18の内径53mm、高さ50mmのるつぼをそれぞれ2個用意した。組成比(wt)は、いずれもるつぼ上部18のPt/Rhが70/30、るつぼ下部12のPt/Rhが80/20とした。図1の2つのるつぼを実施例1.図2の2つのるつぼを実施例2とする。
【0030】
なお、実施例1のるつぼの厚さは、るつぼ上部18およびるつぼ下部12のいずれも0.2mmである。実施例2のるつぼの厚さは、るつぼ上部18が0.15mm、るつぼ下部12が0.2mmとして、るつぼ下部12の肉厚をるつぼ上部18の肉厚よりも厚くした。
比較例のるつぼとして、るつぼ上部18とるつぼ下部12の組成比がいずれもPt/Rhが70/30であり、厚さがるつぼ上部18およびるつぼ下部12共に0.2mmのるつぼを2個用意した。
【0031】
Pt-Rh系合金製のるつぼに種子結晶およびβ-Ga2O3焼結体原料を充填し、β-Ga2O3の融点(約1795℃)近傍の温度勾配を5~10℃/cmになるように温度分布を設定した1800℃以上の空気中高温炉内で全融解させた。その後るつぼ移動および炉内温度降下を併用し一方向凝固を行った。冷却後、るつぼを剥がし成長結晶を取り出した。
【0032】
実施例1および実施例2のるつぼを用いた場合、それぞれ2個とも、クラックのないβ-Ga2O3の単結晶体が得られた。
一方、比較例のものは、1個はクラックのないβ-Ga2O3の単結晶体が得られたが、もう一つのるつぼは、るつぼ上部18とるつぼ下部12の溶接部(Bの部位)において融液漏れが生じ、良好な結晶を得ることができなかった。
【0033】
図4は、実施例1の2つのるつぼの内の1つのるつぼであって、左側が使用前、右側が結晶育成後で結晶取出し前のるつぼの状態を示す写真である。結晶育成後のものにおいて融液漏れが生じていないことがわかる。
図5は、実施例2の2つのるつぼの内の1つのるつぼであって、結晶育成後で結晶取出し前のるつぼの状態を示す写真である。融液漏れが生じていないことがわかる。
実施例2のるつぼの方が、実施例1のものよりるつぼ上部18の厚さが薄いので、るつぼの剥がしが容易で、結晶が取出し易かった。
【0034】
図6A図6Bは、比較例の2つのるつぼの内の1つで融液漏れが生じたるつぼの状態を示す写真である。図6Aに示すように、るつぼ上部18とるつぼ下部16の溶接部位でクラックが生じ、融液漏れが生じているのがわかる。図6Bは、るつぼ受け上部に漏れ出た融液が固化して付着した状態を示す。
【符号の説明】
【0035】
10 るつぼ
12 るつぼ下部
14 小径部
16 拡径部
18 るつぼ上部
20 大径部
図1
図2
図3
図4
図5
図6