(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-07
(45)【発行日】2023-04-17
(54)【発明の名称】眼科装置
(51)【国際特許分類】
A61B 3/16 20060101AFI20230410BHJP
A61B 3/103 20060101ALI20230410BHJP
【FI】
A61B3/16
A61B3/103
(21)【出願番号】P 2018191472
(22)【出願日】2018-10-10
【審査請求日】2021-10-01
(73)【特許権者】
【識別番号】501299406
【氏名又は名称】株式会社トーメーコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100117466
【氏名又は名称】岩上 渉
(72)【発明者】
【氏名】山本 重義
(72)【発明者】
【氏名】辺 光春
(72)【発明者】
【氏名】後藤 佳人
【審査官】増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-230303(JP,A)
【文献】特開昭53-038193(JP,A)
【文献】登録実用新案第3201480(JP,U)
【文献】特開2000-201896(JP,A)
【文献】特開2017-051213(JP,A)
【文献】特開平01-227738(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00-3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の種類の眼特性を検査する眼科装置であって、
前記眼特性の種類に応じた複数の位置決め対象位置に移動可能な可動部と、
磁力によって前記位置決め対象位置のそれぞれに前記可動部を位置決めする位置決め部と、を備え
、
前記位置決め部は、
直方体の部材によって構成され、前記位置決め対象位置のそれぞれにおいて前記可動部に接触する隣り合う接触面を備え、磁力によって前記可動部と前記接触面とを接触させることによって前記位置決め対象位置のそれぞれに前記可動部を位置決めする、
眼科装置。
【請求項2】
前記眼科装置は、前記眼特性を検査するための光学系を備え、
前記可動部は、
前記位置決め対象位置のそれぞれに移動することによって前記光学系の少なくとも一部を切り替える、
請求項1に記載の眼科装置。
【請求項3】
前記接触面と前記可動部との少なくとも一方に、前記可動部と前記接触面とを接触させる磁力を生じさせる磁石が埋め込まれており、前記磁石は埋め込まれた部位から突出していない、
請求
項1または請求項2に記載の眼科装置。
【請求項4】
前記位置決め対象位置のそれぞれにおいて前記可動部が接触す
る隣り合う前記接触
面同士は直交し、
前記可動部は、
前記接触面同士が交わって形成する線に対して平行な回転軸を中心に回転する、
請求
項1~請求項3のいずれか一項に記載の眼科装置。
【請求項5】
隣り合う前記接触面のうちの一方の接触面に接触する前記可動部の第1の面の垂線方向における前記第1の面と前記回転軸との距離である第1の距離は、隣り合う前記接触面のうちの他方の接触面に接触する前記可動部の第2の面の垂線方向における前記第2の面と前記回転軸との距離である第2の距離と等しく、
前記一方の接触面の垂線方向における前記一方の接触面と前記回転軸との距離は、前記第1の距離と等しく、
前記他方の接触面の垂線方向における前記他方の接触面と前記回転軸との距離は、前記第2の距離と等しい、
請求項4に記載の眼科装置。
【請求項6】
前記可動部は、
前記可動部の位置を変化させるモーターに接続されており、
前記可動部と前記接触面とが接触している状態において前記モーターは停止されている、
請求
項1~請求項5のいずれかに記載の眼科装置。
【請求項7】
前記位置決め部は、
前記可動部と前記接触面とが接触する直前の状態を検出するセンサを備え、
前記モーターによって前記可動部を移動させ、前記センサによって前記直前の状態が検出された場合に前記モーターを停止させる、
請求項6に記載の眼科装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼科装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、可動部を備える眼科装置が知られている。一般的に、可動部を利用する際には当該可動部が特定の位置に位置決めされる。例えば、特許文献1においては、鉛直方向に向いた回転軸を中心にして回転する検眼ユニットに位置決め用溝部が設けられており、当該位置決め用溝部にストッパーを挿入することで位置決めする構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の従来技術においては、検眼ユニットの重量が位置決め用溝部を介してストッパーに作用することで検眼ユニットが位置決めされる。このような構成は、ストッパーに対して重力を作用させることが可能な状態で実現可能であり、汎用性が低い。
本発明は、前記課題にかんがみてなされたもので、眼科装置で汎用的に利用可能な位置決め技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、複数の種類の眼特性を検査する眼科装置であって、眼特性の種類に応じた複数の位置決め対象位置に移動可能な可動部と、磁力によって位置決め対象位置のそれぞれに可動部を位置決めする位置決め部と、を備える眼科装置が構成される。
【0006】
すなわち、可動部は、複数の位置決め対象位置に移動可能であり、各位置決め対象位置は、眼特性の種類に応じて予め決められた位置である。位置決め部は、可動部が位置決め対象位置のそれぞれに配置された状態で可動部が移動しないように保持するが、可動部を位置決め対象位置に保持するために磁力を利用する。
【0007】
従って、位置決め部は、磁力によって可動部を位置決め対象位置に保持することができる。このため、可動部や他の部材に作用する重力を利用する必要はないし、可動部や他の部材に重力のみが作用する状態では(落下等により)位置決め対象位置に可動部を保持できない場合であっても位置決めをすることが可能になる。このため、汎用的に利用可能な部品の位置決め技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図4】制御系を含めた本発明の一実施例に係る眼科装置の全体構成を説明するブロック図である。
【
図6】
図6Aは磁石の周囲の構成を示す図であり、
図6B,
図6Cは、可動部の回転を検出する構成の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)眼科装置の構成:
(2)位置決め部の構成:
(3)他の実施形態:
【0010】
(1)眼科装置の構成:
本発明の一実施形態にかかる眼科装置1は、図示しない筐体を備えている。眼科装置1の筐体内には、複数の種類の眼特性を検査するための光学系が備えられている。
図1、2は眼科装置1の光学系の詳細を説明した図である。
図1は眼圧検査における光学系を示す図であり、
図2は眼屈折力検査における光学系を示す図である。すなわち、本実施形態にかかる眼科装置1は、眼圧と眼屈折力との2種類の眼特性を検査可能である。
【0011】
図3は検査に際して被験者の眼前に配置される見口部を含む可動部を模式的に説明する図であり、
図4は制御系を含めた本発明の一実施例に係る眼科装置1の全体構成を説明するブロック図である。これら
図1~
図4を用いて本発明の一実施例に係る眼科装置1について以下に説明する。
【0012】
眼科装置1は
図4に示すように、被検眼を検査するための光学系が配置されたヘッド部とヘッド部の中の光学系や可動部の回転動作などを制御する制御部600を備えた本体部で構成される。なお、本体部は、ヘッド部を本体部に対してXYZ(左右、上下、前後)方向に移動させるXYZ駆動制御部630、ヘッド部の空間位置の調整等を支持するジョイスティック640、撮影された前眼部の画像や検査結果を表示するモニタ650、検査項目等の指示を受け付けるタッチパネル660、制御部600の制御処理において利用されるメモリ670、固視標部(後述)を制御する固視標制御部680を備えている。検査時はヘッド部を本体部に対してXYZ(左右、上下、前後)方向に移動して被検眼の検査を実施する。
【0013】
(眼圧検査光学系)
図1には被検眼の眼圧検査時における全体光学系(眼圧検査光学系)を示す。眼圧検査光学系は、光源101からプロファイルセンサ107、108に至る光路上の光学素子等を含むアライメント光学系100を備えている。また、眼圧検査光学系は、光源301、302から2次元撮像素子(CCD)306に至る光路上の光学素子等を含む観察光学系300を備えている。さらに、眼圧検査光学系は、光源401から反射ミラー404を経て被検眼Eに至る光路上の光学素子等を含む固視光学系400と、光源201からノズル205に至る光路上の光学素子等を含み被検眼の角膜の変形度合いを検出する変位変形検出受光光学系200とを備えている。
図1に示すように眼圧検査光学系を構成する各光学系はその一部が共有される構成になっている。本実施形態においては、後述する可動部を回転させることにより、被検眼の眼前に配置される見口部を切り替えることができる。眼圧検査の際には可動部が回転されて位置決めされ、眼圧検査のためのノズル205が被検眼の眼前に配置される。
【0014】
(アライメント光学系100)
アライメント光学系100は、光源101からの光がホットミラー102で反射され、対物レンズ103を通り、ホットミラー104で反射された後、平面ガラス206及びノズル205の開口部を通り被検眼Eの角膜に照射する。本実施例では、光源101は赤外光を出力するLEDが採用されている。
【0015】
角膜で反射された光は、主光軸O1に対して対称的に配置された第1の検出部であるレンズ105及びプロファイルセンサ107、第2の検出部であるレンズ106及びプロファイルセンサ108で受光される。プロファイルセンサ107及びプロファイルセンサ108で得られた信号は本体部の制御部600で処理され、XYZ駆動制御部630によりヘッド部が被検眼に対して3次元方向にアライメントされる。具体的には、モニタ650に表示された前眼部画像のアライメント光による輝点を検者が見て本体部に備えられたジョイスティック640を操作することによって、粗アライメントが行われる。この後、輝点が所定の範囲に入るとXYZ駆動制御部630によりXYZのオートアライメント(微調整)を実施するように制御される。
【0016】
(観察光学系300)
観察光学系300が利用される場合、ヘッド部の被検眼側に配置された光源301及び光源302により被検眼の角膜部を含む前眼部領域が照射される。この状態で、対物レンズ303、結像レンズ305及び2次元撮像素子(CCD)306により、被検眼の前眼部画像が取得され、取得された被検眼の前眼部画像がモニタ650に表示される。光源301及び光源302は赤外光を出力するLEDが採用されるが、アライメント用の光源101より短波長の光を採用する。そのため、ホットミラー104は観察用の光(観察光)は透過し、アライメント用の光(アライメント光、光源101からの光)は反射する。また、ダイクロイックミラー304は、観察光は透過するように反射/透過の波長領域が設定されている。これにより、アライメント光と観察光は適切に分割され、各々の測定を可能にしている。
【0017】
(固視光学系400)
固視光学系400が利用される場合、光源401からの光(固視光)がホットミラー402で反射され、リレーレンズ403を通り、反射ミラー404で反射される。この後、光はホットミラー506を透過し、ダイクロイックミラー304で反射して主光軸O1を通り、対物レンズ303、ホットミラー104を通って、被検眼の網膜上で結像する。そのため、光源401と被検眼の網膜位置は略共役であることが望ましい。被検眼は固視光に基づいて固視され、眼圧検査などの眼特性の検査が可能になる。光源401は被検者が視認可能な可視光を出力するLEDが採用される。
【0018】
(変位変形検出受光光学系200)
変位変形検出受光光学系200が利用される場合、光源201からの光(変形検出光)の一部がハーフミラー202を透過後、ホットミラー102、対物レンズ103を透過し、ホットミラー104で反射して主光軸O1を通る。さらに、光は、平面ガラス206、ノズル205の開口部を通って、被検眼の角膜に照射する。角膜に照射した光は角膜で反射し、逆の経路で、ノズル205の開口部、平面ガラス206を通過し、ホットミラー104で反射して対物レンズ103、ホットミラー102を通り、その一部がハーフミラー202で反射される。その後、光は、集光レンズ203により、受光素子204で受光される。後述するが、眼圧検査時は、ノズル205から圧縮された空気が被検眼の角膜に向けて噴射される。空気が噴射されると角膜は変位変形するため受光素子204で受光する光量が変化する。この光量の変化の度合いから被検眼の眼圧値を算出するのである。光源201も赤外光を出力するLEDが採用されるが、観察光より長波長で、かつ、アライメント光より短波長を光が選択され、採用される。このように、アライメント光、観察光、固視光、変形検出光(光源201からの光)の波長が設定され、ホットミラー102、104、506、402及びダイクロイックミラー304の反射/透過特性を適宜設定することにより、これら4つの光が適切な光路に沿って進むように構成されているのである。
【0019】
(眼屈折力検査光学系)
図2には被検眼の眼屈折力検査時における全体光学系(眼屈折力検査光学系)を示す。眼屈折力検査光学系は、光源101からプロファイルセンサ107、108に至る光路上の光学素子等を含むアライメント光学系100を備えている。また、眼屈折力検査光学系は、光源301、302から2次元撮像素子(CCD)306に至る光路上の光学素子等を含む観察光学系300を備えている。さらに、眼屈折力検査光学系は、光源514から固視標512、反射ミラー404を経て被検眼Eに至る光路上の光学素子等を含む固視光学系400を備えている。さらに、眼屈折力検査光学系は、光源501からミラー503や平面ガラス511を経て被検眼Eに至る光路上の光学素子等を含み、被検眼の眼屈折力を検出する眼屈折力光学系500から構成される。
図2に示すように眼屈折力検査光学系を構成する各光学系はその一部が共有される構成になっている。そして、眼屈折力検査の際には可動部が回転されて位置決めされ、眼圧検査のための平面ガラス510及び511が被検眼の眼前に配置される。
【0020】
アライメント光学系100と観察光学系300は上述の眼圧検査時と同じであるので、ここでは、説明を省略する。固視光学系400は、眼圧検査時とは一部異なるため、以下に説明する。
【0021】
(固視光学系400:眼屈折力検査)
眼屈折力を検査する場合は、眼圧検査時に用いた光源401を消灯して、別の光源である光源514を点灯する。光源514からの光はコリメータレンズ513で平行光とされ、固視標512に照射される。そして、固視標512からの光はホットミラー402、リレーレンズ403を透過した後、反射ミラー404で反射し、ホットミラー506を透過して、ダイクロイックミラー304で反射して主光軸O1を通る。この後、光は、対物レンズ303、ホットミラー104、平面ガラス511、510を透過して、被検眼Eの網膜上で結像する。そのため、固視標512と被検眼の網膜位置は略共役であることが望ましい。被検眼は固視標512に基づいて固視される。眼屈折力を検査する際は、制御部600が固視標制御部680に制御指示を出力する。この結果、固視標制御部680は、固視標と被検眼の網膜位置が略共役になるように固視標部(固視標512、コリメータレンズ513及び光源514)を移動制御して被検眼を固視させる。その後、制御部600が固視標制御部680に制御指示を出力し、固視標制御部680が固視標部を所定距離移動して雲霧状態にしてから、眼屈折力を検査する。そのため、制御部600からの信号により固視標部は光軸に沿って前後に移動可能となっている。光源514は光源401より短波長である被検者が視認可能な可視光を出力するLEDが採用される。
【0022】
(眼屈折力光学系500)
眼屈折力光学系500が利用される場合、光源501からの光(レフ光)が集光レンズ502で集光し、ミラー503で反射して穴あきミラー504の中心にある穴を通る。そして、光軸O2に対して斜めに配置し、図示しない駆動部により光軸O2を中心に回転する平行平面ガラス505を光が透過した後、光は、ホットミラー506及びダイクロイックミラー304で反射して主光軸O1を通る。そして、光は、対物レンズ303、ホットミラー104、平面ガラス511及び平面ガラス510を透過して被検眼Eの網膜に照射する。そして、被検眼Eの網膜からの反射光は、照射時とは逆の経路で、平面ガラス510、平面ガラス511、ホットミラー104及び対物レンズ303を透過する。さらに、光は、ダイクロイックミラー304及びホットミラー506で反射して光軸O2を通り、平行平面ガラス505を透過した後、穴あきミラー504で反射し、レンズ507を透過する。その後、光は、リングレンズ508により、2次元撮像素子(CCD)509でリング状に結像(リング像)する。光源501は、アライメント光(光源101)や観察光(光源301及び302)より長波長の赤外光が採用されている。本実施例では、波長870nmのSLD(スーパールミネッセントダイオード)を採用しているが、これに限定するものではなく、光源101などに採用したLEDやレーザーダイオード(LD)を採用してもよい。
【0023】
ここで、平行平面ガラス505は被検眼Eの瞳孔に共役となる位置に配置されている。レフ光(光源501からの光)は、光軸O2に対して斜めに配置した平行平面ガラス505に入射すると屈折して光軸O2に対して所定距離(例えばΔH)ずれる。上述のように、平行平面ガラス505は光軸O2を中心に回転するため、平行平面ガラス505を透過したレフ光は平行平面ガラス505の位置で、半径ΔHで回転する。平行平面ガラス505は被検眼Eの瞳孔位置と共役な位置に配置されているため、被検眼Eの瞳孔位置で所定(一定)の半径(例えばΔh)で回転しながら被検眼の網膜上に照射する。このため、レフ光は被検眼Eの網膜上で被検眼Eの眼屈折力に応じた大きさや形状を持つ円状に結像される。CCD509は被検眼Eの網膜と共役の位置に配置されているため、CCD509で取得したリング像を解析することにより、被検眼の眼屈折力を求めることができるのである。
【0024】
(見口部)
次に、本実施形態における可動部について
図3を参照して説明する。
図3A~
図3Dは見口部を搭載した可動部700を模式的に示す図である。可動部700は、ヘッド部に設けられた回転軸に対して回転可能に支持される。本実施形態において、
図3Aと
図3Bは眼圧検査時、
図3Cと
図3Dは眼屈折力検査時における見口部の配置を示している。また、
図3Aおよび
図3Cは可動部700を横から見た断面図であり、
図3Bおよび
図3Dは被検眼Eから見た図である。
【0025】
なお、本実施形態においては、被検眼Eの視線方向であって水平方向に平行な方向を前後方向、視線方向に垂直であって水平方向に平行な方向を左右方向、鉛直方向を上下方向とする。
図3Aおよび
図3Cは、可動部700を被検眼Eの右側の空間から眺めた状態を示している。
【0026】
可動部700は、眼圧検査時に被検眼Eの視線方向に配置されるノズル205及び平面ガラス206と、眼屈折力検査時に被検眼Eの視線方向に配置される平面ガラス510及び511を備えている。すなわち、可動部700の内部は空洞であるとともに、当該空洞は直交する2個の筒状の空洞が連結されるようにして形成されており、一方の筒状の空洞の軸に沿ってノズル205および平面ガラス206が配置されている。また、他方の筒状の空洞の軸に沿って平面ガラス510,511が配置されている。なお、
図3Aおよび
図3Cにおいては、筒状の空洞の軸が一点鎖線によって示されている。
【0027】
可動部700は、筒状の空洞の軸の交点を通り、左右方向に平行な回転軸Axを中心に回転できるようにヘッド部に対して支持されている。すなわち、可動部700が回転すると、被検眼Eの眼前にノズル205が配置される状態と、平面ガラス510が配置される状態とを切り替えることができる。
【0028】
可動部700の内部に形成された空洞には眼圧検査の際にノズル205から被検眼Eに向けて空気を噴射させるためのシリンダーSが接続される。本実施形態においては、
図3B,
図3Dに示すように可動部700の右側にシリンダーSが配置され、シリンダーSは配管Paを介して可動部700に接続される。本実施形態においては、配管Paと可動部700との接続部Pa1において、配管Pa内における空気路の中心軸が可動部700の回転軸Axと一致するようにシリンダーSと可動部700とが接続されている。むろん、配管Paは可動部700の左右どちら側に接続されていても良い。
【0029】
眼圧検査時は、制御部600がシリンダー制御部620に制御信号を出力する。この結果、シリンダー制御部620は、ソレノイド等のアクチュエータを駆動する。アクチュエータが駆動されると、アクチュエータによって動作するシリンダーS内のピストンPsが空気を押し出す(
図3Aに示す矢印F
1)。さらに、空気が可動部700内部の空洞を流れ(
図3Aに示す矢印F
2)、ノズル205から被検眼Eの角膜に空気が噴出される。
【0030】
本実施形態にかかる眼科装置1おいては、上述のように複数の光学系を利用して検査を行うが、各光学系はその一部を共有している。すなわち、単一の眼特性の検査を行う際に利用される複数の光学系では共通の光学素子等を利用して、アライメントや角膜部の観察が行われる。一方、本実施形態においては、異なる眼特性の検査を行う際にも光学系の一部が共有される。例えば、眼圧検査と眼屈折力検査とにおいて、
図3に示すように見口部は切り替えられるが、アライメント光学系100と観察光学系300は共通して利用される
【0031】
このように光学系を共有するためには、光学系において共有されない部分を眼特性の種類に応じて切り替える必要がある。本実施形態においては、制御部600による制御対象の切り替え、および可動部700による見口部の切り替えによって光学系の切り替えを実現している。例えば、アライメント光学系100を利用する場合、制御部600は、アライメント光学系100を構成する光源101を制御し、プロファイルセンサ107,108が出力する検出結果を取得する。固視光学系400を利用する場合、制御部600は、固視光学系400を構成する光源401を制御する。このように、制御部600が制御対象を切り替えることによって、光学系の一部を切り替える。
【0032】
一方、見口部は、制御部600が可動部700を移動させることによって切り替えられる。すなわち、可動部700には図示しないモーターが接続されており、制御部600が可動部回転制御部610に制御信号を出力すると、可動部回転制御部610はモーターを動作させることができる。モーターが動作すると、
図3に示す回転機構部790を介してモーターの回転駆動力が可動部700に伝達され、可動部700が回転軸Axを中心に回転する。
【0033】
可動部回転制御部610は、モーターの回転方向および回転量を制御することができる。制御部600が、眼圧検査の開始を示す制御信号を出力すると、可動部700が
図3Cに示す状態であれば可動部回転制御部610がモーターを駆動させ、可動部700を
図3Aに示す状態に回転移動させる。可動部700が既に
図3Aに示す状態である場合、可動部回転制御部610は可動部700を回転させない。制御部600が、眼屈折力検査の開始を示す制御信号を出力すると、可動部700が
図3Aに示す状態であれば可動部回転制御部610がモーターを駆動させ、可動部700を
図3Cに示す状態に回転移動させる。可動部700が既に
図3Cに示す状態である場合、可動部回転制御部610は可動部700を回転させない。
【0034】
(2)位置決め部の構成:
以上のように、本実施形態においては、可動部700を回転移動させることによって見口部を切り替える。見口部を構成するノズル205および平面ガラス206は眼圧検査の際の光路の一部を構成し、平面ガラス510,511とは眼屈折力検査の際の光路の一部を構成する。従って、検査の際には、可動部700が予め決められた位置決め対象位置に対して正確に位置決めされている必要がある。
【0035】
本実施形態においては、可動部700とヘッド部側に設けられた位置決め部の接触面(詳細は後述)とが接触している状態で、可動部700が予め決められた位置決め対象位置に正確に位置するように設計されている。ただし、位置決めが必要な状態において可動部700を接触面に接触させる力が作用していないと、アライメント等によってヘッド部に生じる振動等によって可動部700の位置が不正確になり得る。
【0036】
本実施形態においては、可動部700に回転駆動力を作用させるモーターが備えられているため、モーターによる回転駆動力を継続的に発生させることにより、可動部700が接触面に接触する力を発生させることは可能である。しかし、モーターによって回転駆動力を継続的に発生させて、可動部700が接触面に接触する状態を維持させる構成においては、モーターに過度の負荷がかかってしまう。すなわち、移動しない状態の物体に回転駆動力を作用させる状態においては、モーターに負荷がかかり、モーターの寿命が短くなる。また、モーターが常に稼働していると騒音や振動が発生してしまう。さらに、モーターを継続的に駆動させるための電力も必要になる。
【0037】
そこで、本実施形態においては、磁力によって可動部700を位置決めする位置決め部800がヘッド部に設けられている。
図5Aおよび
図5Bは、可動部700と位置決め部800とを示す図であり、ヘッド部に設けられた可動部700および位置決め部800とその周囲の部材750を現実の形状の通りに示している。また、
図5Aおよび
図5Bにおいては、可動部700および位置決め部800とその周囲の部材750を切断した状態(断面はハッチングが付された部分)で示している。
【0038】
また、
図5Aおよび
図5Bは、可動部700を
図3B等に示す左側から眺めた状態を示している。さらに、可動部700においては、見口部の一部の構成が省略されて示されており、眼圧検査のための見口部を構成するノズル205が図示されているが、眼屈折力検査のための見口部を構成する平面ガラス510は示されていない。
図5Aは、眼圧検査のための見口部が被検眼の眼前に配置された状態(
図3Aに示す状態:眼圧検査状態と呼ぶ)を示している。
図5Bは、眼屈折力検査のための見口部が被検眼の眼前に配置された状態(
図3Cに示す状態:眼屈折力検査状態と呼ぶ。平面ガラス510は図面上で省略)を示している。
【0039】
上述のように、可動部700は、回転軸Axを中心にして回転する。すなわち、ノズル205が被検眼の正面に配置される
図5Aの眼圧検査状態と、ノズル205が鉛直下方を向いている
図5Bの眼屈折力検査状態との間の90度の範囲で可動部700は回転移動する。本実施形態においては、眼圧検査状態と眼屈折力検査状態とのそれぞれにおける可動部700の位置が位置決め対象位置である。
【0040】
位置決め部800は、鉄製の部材であり、直方体である。また位置決め部800が有する隣り合う2つの面は、可動部700が接触する接触面810a,810bを構成する。また、接触面810a,810bの位置、平面度は、可動部700の位置決め精度が許容範囲になるように設計されている。従って、可動部700が接触面810aまたは接触面810bに接触した状態が維持されると、可動部700の位置決め精度が許容範囲となる。
【0041】
なお、本実施形態において、接触面810a,810bは直方体の隣り合う2面であるため、互いに直交する2面である。また、本実施形態において、接触面810aは水平方向に平行な平面であり、接触面810bは上下方向に平行かつ左右方向に平行である。従って、接触面810a,810bが交わって形成する線Lr(線が延びるの方向は左右方向)と可動部700の回転軸Axとは平行である。このため、可動部700は、接触面810a、810bが交わって形成する線Lrに対して平行な回転軸Axを中心に回転する。
【0042】
さらに、本実施形態において、接触面810a,810bと接触する可動部700の面710a,710bは、同一の平面である(面710a,710bを延長すると重なる)。さらに、面710aの垂線方向における面710aと回転軸Axとの距離La1は、面710bの垂線方向における面710bと回転軸Axとの距離Lb1と等しい。さらに、接触面810aの垂線方向における接触面810aと回転軸Axとの距離La2は、距離La1と等しい。さらに、接触面810bの垂線方向における接触面810bと回転軸Axとの距離Lb2は、距離Lb1と等しい。
【0043】
従って、本実施形態において、可動部700は、面710aと接触面810aとが接触した状態から、面710bと接触面810bとが接触した状態まで回転可能であり、その回転範囲は回転軸Ax周りに90度である。以上のように、本実施形態においては直方体の部材によって位置決め部800が構成されており、直方体において隣接する2つの面が接触面810a,810bを構成している。従って、1個の位置決め部を1箇所に取り付けるのみで2箇所に対して可動部700を位置決めする位置決め部800を提供することができる。また、位置決め部800は、直方体であるため、位置や平面度を高精度に調整することが極めて容易である。
【0044】
さらに、本実施形態において位置決め部800は、磁力によって位置決め対象位置のそれぞれに可動部700を位置決めする。このために、本実施形態においては、位置決め部800の接触面810a,810bに接触する可動部700の面710a,710bに磁石(永久磁石)が埋め込まれる。
【0045】
図6Aは、磁石711b,712bが埋め込まれた面710bを示す図である。すなわち、本実施形態においては面710bの2箇所に円柱状の凹部が形成されており、当該凹部に磁石711b,712bが固定される。磁石711b,712bの固定は、種々の手法で実施されて良く、例えば、リベットやネジ等を利用可能である。
【0046】
本実施形態において、磁石711b,712bは、可動部700の面710bから突出しておらず、凹部内に収容されている。従って、面710bが接触面810bと接触した場合において、磁石711b,712bと接触面810bとは接触せず、面710bと接触面810bとが隙間なく接することができる。このため、接触面810bによって可動部700を正確に位置決め対象位置に位置決めすることができる。また、脆い磁石711b,712bが利用されたとしても、磁石711b,712bが接触面810bに衝突することはないため、磁石711b,712bが破損することはない。
【0047】
さらに、磁石711b,712bによって生成された磁力は、鉄に対して引力を作用させる。このため、面710bと接触面810bとの距離が既定距離以下になると、面710bが接触面810bに引き寄せられ、両者が接触した状態で静止する。この結果、可動部700は面710bによって接触面810bと接触し、可動部700が眼屈折力を検査する際の位置決め対象位置に位置決めされる。
【0048】
本実施形態においては、可動部700の面710aにも、面710bと同様に2個の磁石711a,712a(
図5B参照)が埋め込まれる(図示省略)。すなわち、面710aから突出しないように、面710aの内側に磁石711a,712aが埋め込まれる。当該磁石711a,712aによって生成された磁力は、鉄に対して引力を作用させる。従って、面710aと接触面810aとの距離が既定距離以下になると、面710aが接触面810aに引き寄せられ、両者が接触した状態で静止する。この結果、可動部700は面710aによって接触面810aと接触し、可動部700が眼屈折力を検査する際の位置決め対象位置に位置決めされる。
【0049】
本実施形態において可動部700はモーターで回転移動され、可動部700の面710a,710bが位置決め部800に接触することによって位置決めされる。当該位置決めされた状態は磁力によって保持されるため、位置決めされた状態、すなわち、可動部700と位置決め部800の接触面810a,810bとが接触した状態においてモーターは停止される。
【0050】
具体的には、本実施形態にかかる眼科装置1においては、可動部700が接触面810a,810bに接触する直前の状態を検出するセンサ820a,820bが位置決め部800に設けられている。センサ820a,820bは
図5Aに示すように、位置決め部800側から前方向(被検眼側)に向けて突出し、水平方向に平行に向けられた基板825に実装されている。
【0051】
センサ820a,820bは、可動部700に連動して回転移動する円盤部720が各センサ820a,820bの近傍の検出範囲に存在する状態と存在しない状態とを示す信号を出力する。すなわち、円盤部720は、可動部700が接触面810a,810bのそれぞれに接触する直前に、センサ820a,820bそれぞれの検出範囲に達するように設計され、可動部700に取り付けられている。
【0052】
図6Bおよび
図6Cは、
図5Aおよび
図5Bのそれぞれから円盤部720、基板825およびセンサ820a,820bを抜き出して示した図である。円盤部720は、可動部700に連結されており、回転軸Axを中心にして可動部700とともに回転移動可能である。また、円盤部720は、回転軸Axを中心とする薄い板状の円盤を備え、当該円盤の外周部分に半径方向の長さが略一定の最外周部720a、720bが連結されることで形成されている。
【0053】
最外周部720aは、円盤部720が
図6Bおよび
図6Cにおける反時計回りに回転した場合、その先端がセンサ820aの検出範囲に達するが、センサ820bの検出範囲には達しない。また、
図6Cに示す状態から反時計回りに円盤部720が回転した場合、可動部700が位置決め対象位置(
図5Aに示す状態)に達する直前に、センサ820aが最外周部720aを検出する。従って、センサ820aは、可動部700が接触面810aに接触する直前に、最外周部720aを検出する。
【0054】
センサ820aは可動部回転制御部610に接続されており、モーターによって可動部700が回転された後、センサ820aによって最外周部720aが検出されると、可動部回転制御部610は、モーターを停止させる。モーターが停止しても、面710aと接触面810aとは磁力で引きつけられるため、両者が接触し、接触した状態で保持される。また、モーターは、位置決めされて移動不能になった状態の可動部700に回転駆動力を作用させることはない。従って、モーターに過度の負荷を作用させることはなく、モーターの寿命が長期化する。
【0055】
最外周部720bにおいても同様であり、円盤部720が
図6Bおよび
図6Cにおける時計回りに回転した場合、その先端がセンサ820bの検出範囲に達するが、センサ820aの検出範囲には達しない。また、
図6Bに示す状態から時計回りに円盤部720が回転した場合、可動部700が位置決め対象位置(
図5Bに示す状態)に達する直前に、センサ820bが最外周部720bを検出する。従って、センサ820bは、可動部700が接触面810bに接触する直前に、最外周部720bを検出する。
【0056】
センサ820bは可動部回転制御部610に接続されており、モーターによって可動部700が回転された後、センサ820bによって最外周部720bが検出されると、可動部回転制御部610は、モーターを停止させる。この場合においてもモーターが停止すると回転駆動力が可動部700に作用しなくなるが、面710bと接触面810bとは磁力で引きつけられるため、両者が接触し、接触した状態で保持される。モーターは、位置決めされて移動不能になった状態の可動部700に回転駆動力を作用させないため、モーターに過度の負荷を作用させることはなく、モーターの寿命が長期化する。
【0057】
なお、センサ820a,820bは、可動部700と接触面810a,810bとが接触する直前の状態を検出することができればよく、その態様は限定されない。例えば、光学センサ、磁気センサ、接触センサなど、各種のセンサによって構成可能である。
【0058】
以上のような本実施形態においては、磁力によって可動部700が接触面810aまたは接触面810bに接した状態が維持される。従って、モーターによって回転駆動力を作用させ続けなくても、可動部700を容易に位置決め対象位置に位置決めすることができる。さらに、本実施形態においては、磁力によって可動部700と接触面810aまたは接触面810bが接触した状態が維持される。このため、可動部700や他の部材に作用する重力を利用しなくても位置決めを行うことができる。さらに、可動部700や他の部材に重力のみが作用する状態では(落下等により)位置決め対象位置に可動部700を保持できない場合であっても位置決めをすることが可能になる。このため、汎用的に利用可能な部品の位置決め技術を提供することができる。
【0059】
(3)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、眼科装置で利用される可動部を磁力によって位置決めすることができる限りにおいて、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、眼科装置が備える可動部は複数個であっても良いし、位置決め対象位置は3箇所以上であっても良い。可動部が複数個である場合、ある可動部における位置決め対象位置が1箇所であっても良い。眼科装置の態様も限定されず、上述のようにヘッド部と本体部とを備える眼科装置以外にも種々の要素を備える眼科装置であって良い。
【0060】
眼科装置は複数の種類の眼特性を検査することができればよく、眼特性は限定されない。例えば、眼圧、眼屈折力、角膜曲率、角膜形状、視力、眼球の表面状態(傷や濁り、炎症等)、視野、網膜断層像、角膜内皮などの、各種の特性が検査(測定)されて良い。
【0061】
可動部は、眼特性の種類に応じた複数の位置決め対象位置に移動可能であればよい。すなわち、眼科装置は、少なくとも2種類の眼特性を検査可能であり(異なる眼特性を検査可能な異なる検査モードを備えており)、それぞれの種類の眼特性を検査するために、可動部がそれぞれの眼特性に応じた位置決め対象位置に移動する。
【0062】
可動部の移動は、種々の態様で実施されて良く、上述の実施形態のような回転軸周りの回転に限定されない。例えば、可動部は回転移動、並行移動、これらの組み合わせのいずれによって移動しても良いし、回転軸が2個以上存在してもよい。また、可動部の回転軸は自転軸であっても良いし公転軸であっても良い。むろん、回転軸の向きや位置も限定されない。
【0063】
可動部は、当該可動部自体が移動して位置決め対象位置に配置されることによって、各種類の眼特性の検査が実施可能になる部位であれば良い。従って、可動部がそれぞれの位置決め対象位置に移動することによって、眼特性検査のための光学系が切り替えられれば良い。このため、上述のように可動部が各種類の眼特性を検査するための光学系の一部を構成していても良いし、各種類の眼特性を検査するための光学系のそれぞれを全て構成していても良い。後者であれば、可動部が移動することにより、眼特性の種類毎に設けられた光学系自体を切り替える構成となる。
【0064】
磁力は、可動部に引力を作用させて位置決め対象位置に保持させることができればよい。従って、可動部に引力を作用させる永久磁石、電磁石等によって磁力を発生させる構成等を採用可能である。なお、磁力を発生させる永久磁石や電磁石は、可動部に設けられていても良いし、位置決め部に設けられていても良いし、双方に設けられていても良い。また、永久磁石や電磁石は、位置決め部の周囲に存在する部材に設けられていても良い。むろん、磁石の個数は限定されない。
【0065】
可動部が、位置決め対象位置のそれぞれに移動することによって光学系を切り替える構成において、光学系の切り替えは、光学系の少なくとも一部において実施されれば良い。従って、可動部の移動によって、光学系に含まれる光学素子の少なくとも1個が切り替えられても良いし、光学素子同士の距離が変化しても良く、種々の構成が想定し得る。
【0066】
光学系は、眼特性を検査するための光が関連する構成の全てを含み得る。従って、光源、光路、光学素子(ミラーやレンズ、透光板等)、光路を形成する筐体、撮像素子等のセンサ、被験者の眼前の機構を形成する見口部等の全てを含み得る。
【0067】
位置決め部が備える接触面は、可動部に接触することによって可動部を位置決め対象位置に位置決めすることができる面であれば良い。従って、接触面は可動部を位置決め対象位置に位置決め可能な形状であればよく、平面に限定されない。例えば、可動部の曲面と接触面とが接触する場合に接触面が曲面であっても良い。また、接触面と可動部との一方が凹面、他方が凸面によって構成されても良いし、立体的な面であっても良い。さらに、接触面と可動部との少なくとも一方が平面や曲面であり、他方が複数の突起を有する面等であっても良く、3個以上の突起が平面に接触することで位置決めが行われるような構成等であっても良い。
【0068】
上述の実施形態のように、位置決め対象位置のそれぞれにおいて可動部が接触する接触面が直交している構成は、上述のように接触面が隣り合う構成に限定されない。例えば、2個の接触面が離れて存在するが、両接触面を延長した場合に両者が直交する構成等が挙げられる。むろん、接触面は、異なる部材の面によって形成されていても良い。
【0069】
さらに、眼科装置で利用される可動部を磁力によって位置決めする手法は、方法の発明としても適用可能である。また、以上のような眼科装置、方法は、単独の装置として実現される場合や、複数の機能を有する装置の一部として実現される場合が想定可能であり、各種の態様を含むものである。
【符号の説明】
【0070】
1…眼科装置、100…アライメント光学系、200…変位変形検出受光光学系、400…固視光学系、500…眼屈折力光学系、600…制御部、610…可動部回転制御部、620…シリンダー制御部、630…XYZ駆動制御部、640…ジョイスティック、650…モニタ、660…タッチパネル、670…メモリ、680…固視標制御部、700…可動部、710a,710b…面、711b,712b…磁石、720…円盤部、720a,720b…最外周部、790…回転機構部、800…位置決め部、810a…,810b…接触面、820a,820b…センサ、825…基板