(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-07
(45)【発行日】2023-04-17
(54)【発明の名称】パイプ連結用カップリングアッシーおよびこの製造方法
(51)【国際特許分類】
F16L 21/06 20060101AFI20230410BHJP
F16L 23/08 20060101ALI20230410BHJP
【FI】
F16L21/06
F16L23/08
(21)【出願番号】P 2021568832
(86)(22)【出願日】2020-05-14
(86)【国際出願番号】 KR2020006371
(87)【国際公開番号】W WO2020235867
(87)【国際公開日】2020-11-26
【審査請求日】2021-11-17
(31)【優先権主張番号】10-2019-0057932
(32)【優先日】2019-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518253370
【氏名又は名称】ニュー アジアジョイント カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】イ サン ホン
(72)【発明者】
【氏名】ハン ドン イル
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0253382(US,A1)
【文献】特表2015-531460(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 21/06
F16L 23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に沿って連続配置されるパイプを連結するために二つ以上のカプラーが対向配置され、複数の前記カプラーに締結部材が仮組立てされた状態で前記パイプを連結するカップリングアッシーにおいて、
前記カプラーには前記パイプに形成された締結溝に挿入さ
れ、前記締結溝の外径に対応する大きさの内径を有する係止部が形成され、
前記係止部の両側には仮組立てされた前記カプラーの間に、前記パイプの外周面が貫通可能なように前記係止部と前記パイプの干渉を防止する干渉防止溝が形成さ
れ、
前記係止部には前記締結溝の外周面に対向するアーチ面が形成され、
前記干渉防止溝には前記アーチ面から半径方向の外側に延長形成される第1延長面が形成され、
前記干渉防止溝には前記第1延長面から下向きに延長形成され、前記アーチ面と同心円上に配置される曲率を有する第2延長面が形成され、
前記第2延長面は、前記パイプの外周面と同心円状に配置され、前記パイプの外周面から離間しつつ径方向において前記パイプの外周面よりもさらに外側に位置する、カップリングアッシー。
【請求項2】
前記アーチ面と前記第1延長面が接触する位置は、前記カプラーの底面を基準として0°超過および24°以下の範囲で形成されることを特徴とする、請求項
1に記載のカップリングアッシー。
【請求項3】
前記アーチ面と前記第1延長面が接触する位置は、前記カプラーの底面を基準として12°以上および20°以下の範囲で形成されることを特徴とする、請求項
2に記載のカップリングアッシー。
【請求項4】
前記パイプと前記カプラーの間には流体の漏れを防止するゴムリングが備えられ、
前記カプラーの内部には前記ゴムリングを支持固定する支持面が形成され、
前記支持面の両端には半径方向の外側に延長形成される変形許容溝が形成される、請求項
1に記載のカップリングアッシー。
【請求項5】
前記カプラーの外周面の両端には半径方向の外側に延長形成される補強部が形成される、請求項
4に記載のカップリングアッシー。
【請求項6】
軸方向に沿って連続配置されるパイプを連結するために二つ以上のカプラーが対向配置され、複数の前記カプラーに締結部材が仮組立てされた状態で前記パイプを連結するカップリングアッシーを製造する方法において、
前記パイプに形成された締結溝の外径と対応する大きさの内径を有する係止部を前記カプラーに形成する段階;および
前記係止部の両側に仮組立てされた前記カプラーの間に、前記パイプの外周面が貫通可能なように前記係止部と前記パイプの干渉を防止する干渉防止溝を形成する段階;を含
み、
前記干渉防止溝を形成する段階は、
前記係止部に形成されたアーチ面から半径方向の外側に延長形成される第1延長面を形成する段階と、
前記第1延長面から下向きに延長形成され、前記アーチ面と同心円上に配置される曲率を有する第2延長面であって、前記パイプの外周面と同心円状に配置され、前記パイプの外周面から離間しつつ径方向において前記パイプの外周面よりもさらに外側に位置する第2延長面を形成する段階と、を含む、カップリングアッシーを製造する方法。
【請求項7】
前記第1延長面を形成する段階は、
前記アーチ面と前記第1延長面が接触する位置が、前記カプラーの底面を基準として0°超過および24°以下の範囲で形成されるように前記第1延長面を形成する段階である、請求項
6に記載のカップリングアッシーを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパイプ連結用カップリングアッシーおよびこの製造方法に関し、さらに詳細には締結部材を利用してカプラーを仮組立てした状態で設置が可能であり、締結過程で変形しないため締結後にも安定した固定が可能なパイプ連結用カップリングアッシーおよびこの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、軸方向に沿って連続配置されるパイプを連結するためにパイプとパイプとをカップリングを利用して連結することになる。
【0003】
このようなカップリングは、パイプの周方向に沿って配置されて相互に連結可能な複数のセグメントを含み、このようなセグメントをパイプの終端に配置した状態で別途の締結部材を利用して複数のセグメントを相互に締結することによって、連続するパイプを連結することになる。
【0004】
この時、パイプの両端には周方向に沿って締結溝が形成され、カップリングの一部はこのような締結溝に挿入された状態で締結される。これは、パイプ内部の流体の圧力によって相互に連続するパイプの間の間隔が広がる方向に力が印加される時にも、パイプが広がらないようにカップリングを通じて支持するようにするためである。
【0005】
従来のカップリングの場合、セグメントにはこのような締結溝に挿入されるアーチ形表面が形成されるが、パイプの外周面の一部が陥没する形状で締結溝が形成され、この時、セグメントのアーチ形表面がこのような締結溝に装着されるように配置した状態でセグメントを締結することになる。セグメントが安定的に固定されるようにアーチ形表面の曲率半径は締結溝の外周面の半径と同一に形成される。
【0006】
ただし、パイプの外周面の半径が締結溝の外周面の半径より大きく形成される構造的な特徴により、それぞれのセグメントを締結溝の上部に配置した状態でパイプの半径方向に下向き移動させる方式でセグメントのアーチ形表面を締結溝に装着させた後、締結部材を利用してこのようなセグメントを相互に締結することになるが、このような方式でセグメントを配置および締結する場合、複数のセグメント配置状態を維持した状態で締結部材にてセグメントを締結しなければならないため、作業者が一人で作業することが難しくなり、このため作業能率が低下する問題があった。
【0007】
これを改善するために特許文献1には、セグメントのアーチ形表面の曲率半径をパイプの外周面の半径より大きく形成して作業性を向上させることができる構成が記載されている。すなわち、セグメントのアーチ形表面の曲率半径がパイプの外周面の半径より大きく形成されるため、このようなセグメントを締結部材で仮組立てした状態でパイプの軸方向に移動させることができ、これを通じて仮組立てされたセグメントはパイプの外周面を通って締結溝が形成された位置まで移動できるようになる。
【0008】
ただし、前述した通り、締結溝の外周面の半径はパイプの外周面の半径より小さく形成されるため、このようなセグメントのアーチ形表面を締結溝の外周面に装着させるために、特許文献1ではこのようなアーチ形表面の曲率半径が締結溝の外周面の半径と一致するように締結部材が締め付けられる時に変形可能なセグメントを記載している。
【0009】
施工現場で適用されているカップリングは鋳鉄材質で形成されることが一般的である。カップリングの複雑な形状を具現することと製造原価とを共に考慮して、鋳鉄を利用した鋳物加工を通じて生産することになる。
【0010】
しかし、鋳鉄材質のセグメントを特許文献1のような構造で形成した状態で締結することになると、炭素含有量が高い鋳鉄材質の特性によって変形過程でセグメントが壊れて破損する問題があるため、実際の現場では適用できない限界がある。
【0011】
したがって、前述した問題に対する解決が急を要しているのが実情である。
【0012】
(特許文献1)韓国公開特許公報第10-2007-0012723号(2007.01.26公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明で解決しようとする技術的課題は、締結部材を利用してカプラーを仮組立てした状態で設置が可能であり、締結過程で変形しないため締結後にも安定した固定が可能なパイプ連結用カップリングアッシーおよびこの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前述した技術的課題を解決するための本発明に係るカップリングアッシーは、軸方向に沿って連続配置されるパイプを連結するために二つ以上のカプラーが対向配置され、複数の前記カプラーに締結部材が仮組立てされた状態で前記パイプを連結するカップリングアッシーにおいて、前記カプラーには前記パイプに形成された締結溝に挿入されるものの、前記締結溝の外径に対応する大きさの内径を有する係止部が形成され、前記係止部の両側には仮組立てされた前記カプラーの間に、前記パイプの外周面が貫通可能なように前記係止部と前記パイプの干渉を防止する干渉防止溝が形成される。
【0015】
この時、前記係止部には前記締結溝の外周面に対向するアーチ面が形成され、前記干渉防止溝には前記アーチ面から半径方向の外側に延長形成される第1延長面が形成され得る。
【0016】
この時、前記干渉防止溝には前記第1延長面から下向き延長形成されるものの、前記アーチ面と同心円上に配置される曲率を有する第2延長面が形成され得る。
【0017】
この時、前記アーチ面と前記第1延長面が接触する位置は、前記カプラーの底面を基準として0°超過および24°以下の範囲で形成され得る。
【0018】
この時、前記アーチ面と前記第1延長面が接触する位置は、前記カプラーの底面を基準として12°以上および20°以下の範囲で形成され得る。
【0019】
この時、前記パイプと前記カプラーの間には流体の漏れを防止するゴムリングが備えられ、前記カプラーの内部には前記ゴムリングを支持固定する支持面が形成され、前記支持面の両端には半径方向の外側に延長形成される変形許容溝が形成され得る。
【0020】
この時、前記カプラーの外周面の両端には半径方向の外側に延長形成される補強部が形成され得る。
【0021】
また、本発明に係るカップリングアッシーを製造する方法は、軸方向に沿って連続配置されるパイプを連結するために二つ以上のカプラーが対向配置され、複数の前記カプラーに締結部材が仮組立てされた状態で前記パイプを連結するカップリングアッシーを製造する方法において、前記パイプに形成された締結溝の外径と対応する大きさの内径を有する係止部を前記カプラーに形成する段階、および前記係止部の両側に仮組立てされた前記カプラーの間に、前記パイプの外周面が貫通可能なように前記係止部と前記パイプの干渉を防止する干渉防止溝を形成する段階を含む。
【0022】
この時、前記干渉防止溝を形成する段階は、前記係止部に形成されたアーチ面から半径方向の外側に延長形成される第1延長面を形成する段階と、前記第1延長面から下向き延長形成されるものの、前記アーチ面と同心円上に配置される曲率を有する第2延長面を形成する段階を含むことができる。
【0023】
この時、前記第1延長面を形成する段階は、前記アーチ面と前記第1延長面が接触する位置が前記カプラーの底面を基準として0°超過および24°以下の範囲で形成されるように前記第1延長面を形成する段階であり得る。
【発明の効果】
【0024】
前述した構成を有する本発明のパイプ連結用カップリングアッシーおよびこの製造方法によると、二つ以上のカプラーを締結部材で仮組立てした状態でパイプに設置が可能であるため作業性が向上する利点がある。
【0025】
また、カプラーの締結過程でカプラーが変形しなくてもパイプに形成された締結溝に装着するように構成されるため、締結後安定的な固定が可能であり、現場適用のための要求水圧を十分に満足できる利点もある。
【0026】
併せて、簡単な方法でカップリングアッシーを製造できるため、製作性が向上する利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明に係るカップリングアッシーが締結された状態を図示した正面図である。
【
図2】本発明に係るカップリングアッシーが締結された状態を図示した断面図である。
【
図3】本発明に係るカップリングアッシーの干渉防止溝を拡大図示した断面図である。
【
図4】本発明に係るカップリングアッシーが締結される前の状態を図示した正面図である。
【
図5】本発明に係るカップリングアッシーの第1延長面の形成位置による許容水圧の相関関係を図示した性能グラフである。
【
図6】本発明に係るカップリングアッシーを製造する方法を図示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施例について本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。本発明は多様な異なる形態で具現され得、ここで説明する実施例に限定されない。図面で本発明を明確に説明するために説明に係わらない部分は省略し、明細書全体を通じて同一または類似する構成要素については同一の参照符号を付した。
【0029】
本明細書で、「含む」または「有する」等の用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部分品またはこれらを組み合わせたものなどの存在または付加の可能性をあらかじめ排除しないものと理解されるべきである。
【0030】
図1は本発明に係るカップリングアッシーが締結された状態を図示した正面図であり、
図2は本発明に係るカップリングアッシーが締結された状態を図示した断面図であり、
図3は本発明に係るカップリングアッシーの干渉防止溝を拡大図示した断面図であり、
図4は本発明に係るカップリングアッシーが締結される前の状態を図示した正面図であり、
図5は本発明に係るカップリングアッシーの第1延長面の形成位置による許容水圧の相関関係を図示した性能グラフであり、
図6は本発明に係るカップリングアッシーを製造する方法を図示したフローチャートである。
【0031】
図1および
図2に図示された通り、本発明に係るカップリングアッシーは軸方向に沿って連続配置されるパイプ10を連結するために二つ以上のカプラー100が対向配置され、複数のカプラー100に締結部材20が仮組立てされた状態でパイプ10を連結できるように構成される。
【0032】
この時、カプラー100にはパイプ10に形成された締結溝11に挿入される係止部110が形成されるものの、このような係止部110の内径は締結溝11の外径に対応する大きさで形成される。
【0033】
すなわち、パイプ10の中心からパイプ10の外周面10aまでの距離がroであり、パイプ10の中心から締結溝11の外周面11aまでの距離がrgであるとき、係止部110が締結溝11の外周面11aに密着できるように係止部110の内径は締結溝11の外径に対応する大きさで形成されるのである。この時、係止部110の内径は締結溝11の外径より多少大きく形成されてもよい。これは係止部110が締結溝11より半径方向の外側で密着するためである。係止部110の内径と締結溝11の外径の大きさの差は、係止部110が締結溝11の外周面11aに密着できる程度だけ形成されることが好ましい。
【0034】
このように構成する場合、係止部110が締結溝11の外周面11aに密着することになることによって構造的な安定性が確保され得る。
【0035】
ただし、係止部110が締結溝11の外周面11aに密着するように構成する場合、構造的安定性は確保できるものの、これによって複数のカプラー100が締結部材20によって仮組立てされた状態で軸方向に沿ってパイプ10の外周面10aに挿入する場合、係止部110がパイプ10の外周面10aに係止されることにより仮組立てされた複数のカプラー100が挿入されない問題が発生し得る。
【0036】
したがって、このような問題を解決するために、
図3および
図4に図示された通り、係止部110の両側には干渉防止溝112が形成される。このような干渉防止溝112は、仮組立てされたカプラー100の間にパイプ10の外周面10aが貫通可能なように間隔を形成することになる。
【0037】
すなわち、係止部110が締結溝11の外周面11aに密着することによって構造的な安定性が確保されるだけでなく、係止部110の両側に干渉防止溝112が形成されることによってカプラー100が仮組立てされた状態でパイプ10を軸方向に貫通しながら設置できるため、作業性が向上し得る。
【0038】
このようなカプラー100には一側のパイプ10に形成された締結溝11に挿入される一側の係止部110と、他側のパイプ10に形成された締結溝11に挿入される他側の係止部110が形成され、このような一側の係止部110と他側の係止部110を連結する胴体部120が形成される。また、このような胴体部120と係止部110を通じて形成される空間の内部には、パイプ10の内部を流れる流体が漏れることを防止するように弾性を有するゴムリング(図示されず)が備えられることが好ましい。
【0039】
また、このようなカプラー100には締結部材20が貫通する締結部130が形成され、相互に対向するカプラー100に形成された締結部130を締結部材20で同時に貫通した後に締結することになる。このようにカプラー100が正位置に配置されると、締結部材20を利用して締結する前に作業者は相互に対向配置されたカプラー100をパイプ10の半径方向の内側に平行移動させて、締結部130に形成された底面131が相互に接触するようにする方式でカプラー100が正常に締結されるか否かを確認することになる。この時、カプラー100は別途の変形がなくても締結部130に形成された底面131が相互に接触できるように形成される。
【0040】
連続配置されるパイプ10と仮組立てされたカプラー100が正位置に設置されると、その後、締結部材20を利用して締結力を印加することになる。このように締結力が印加されると相互に対向配置されたカプラー100がパイプ10の半径方向の内側に平行移動することになり、カプラー100に形成された締結部130が接触することになるとカプラー100はそれ以上移動しなくなり、このような状態で締結部材20には一定水準の締結トルクが印加されることになる。この時、係止部110が締結溝11の外周面11aに密着できる程度に係止部110の内径が締結溝11の外径より多少大きく形成されるため、カプラー100に形成された締結部130が接触する過程でカプラー100に変形は発生しなくなる。
【0041】
併せて、前述した通り、カプラー100がパイプ10の半径方向の内側に平行移動することになるとカプラー100に形成された係止部110は締結溝11に挿入され、その後、パイプ10の内部の流体圧力によってパイプ10が軸方向に広がらないように支持することになる。
【0042】
この時、
図3に図示された通り、係止部110には締結溝11の外周面11aに対向するアーチ面111が形成され、前述した干渉防止溝112にはアーチ面111から半径方向の外側に延長形成される第1延長面112aが形成され得る。
【0043】
すなわち、このような第1延長面112aがアーチ面111から半径方向の外側に延びるため、係止部110とパイプ10の外周面10aの間に間隔を確保することが容易となる。
【0044】
また、干渉防止溝112には、第1延長面112aから下向き延長形成されるものの、アーチ面111と同心円上に配置される曲率を有する第2延長面112bが形成され得る。
【0045】
すなわち、第1延長面112aが半径方向の外側に延長形成された状態で第2延長面112bがこのような第1延長面112aから追加で延長形成されるのであり、第1延長面112aと第2延長面112bが形成された部分だけ係止部110とパイプ10の外周面10aの間に間隔が確保されるのである。
【0046】
この時、第2延長面112bは
図3に図示された通り、アーチ面111と同心円上に配置される曲率を有するように形成される。このように第2延長面112bがアーチ面111と同心円上に配置される曲率を有するように形成されると、第2延長面112bはパイプ10に形成された締結溝11の外周面11aおよびパイプ10の外周面10aと同心円上に配置され得るようになり、第2延長面112bがパイプ10の外周面10aより半径方向の外側に位置することになると、パイプ10の外周面10aと第2延長面112bの配置状態を通じて締結溝11の外周面11aに係止部110が安定的に密着したかどうかを作業者が肉眼で容易に確認できるようになる。
【0047】
併せて、第1延長面112aは第2延長面112bがパイプ10の外周面10aより半径方向の外側に位置できる長さで形成されることが好ましい。
【0048】
ただし、第1延長面112aが形成される部分は、係止部110のアーチ面111と締結溝11の外周面11aが相互に離隔するため、このような部分では係止部110がパイプ10を支持できなくなる。これは第1延長面112aが形成されることによってカプラー100が支持できる水圧が減少することを意味する。したがって、このような第1延長面112aはカプラー100の締結後に許容水圧を満足できる範囲内で形成されることが好ましい。第1延長面112aの形成位置は、カプラー100の仮組立状態でパイプ10に設置する時にこのようなカプラー100をパイプ10に軸方向に容易に挿入できるかを決定するだけでなく、パイプ10の内部の流体の圧力によって相互に連続するパイプ10の間の間隔が広がる方向に力が印加される時にこれを効果的に支持できるかを決定するため、このような第1延長面112aの形成位置は慎重に決定する必要がある。
【0049】
第1延長面112aの形成位置、すなわち、カプラー100の底面131を基準としてアーチ面111と第1延長面112aが接触する位置まで形成される角度をαと定義する時、
図5に図示された通り、第1延長面112aが低い角度に形成されるほど許容水圧が増加することを確認することができる。すなわち、第1延長面112aの形成位置と許容水圧は反比例の関係にあることになる。
【0050】
また、第1延長面112aの形成角度が大きくなるほど許容水圧が減少することになり、このような角度が24°を超過することになると許容水圧が急激に減少することになるため、このような角度は24°以下に形成されることが好ましい。
【0051】
併せて、一般的にパイプ10連結用カプラー100に関連した代表的な基準としては、アメリカのUL(Underwriters Laboratories)基準を挙げることができ、このようなUL基準によると、パイプ10連結用カプラー100の場合、使用水圧の5倍に該当する水圧に耐えなければならないものと規定している。
【0052】
すなわち、建物で使われる使用水圧は21bar程度が一般的であるので、UL基準に従う時、少なくとも105barの水圧に耐えなければならない。
【0053】
これに伴い、第1延長面112aの形成角度を変更しながらカプラー100の許容水圧を確認してみると、
図5に図示された通り、第1延長面112aの形成角度が20°を超過する場合、カプラー100の許容水圧がアメリカのUL基準を満足しなくなるため、第1延長面112aはαが20°以下の位置で形成されることがさらに好ましい。
【0054】
この時、第1延長面112aが低い角度で形成されるほど許容水圧は増加することになるが、第1延長面112aが低い角度で形成されるほどカプラー100が仮組立てされた状態でパイプ10に設置することが難しくなる。したがって、第1延長面112aはカプラー100が仮組立てされた状態でパイプ10に設置され得る最小限の位置または少なくともこのような位置より高い位置に形成される必要がある。
【0055】
このようなαの最小値を導き出すための過程は次の通りである。
【0056】
まず、カプラー100をパイプ10の外周面10aの上部から下向き移動させると、係止部110のアーチ面111の曲率半径がパイプ10の外周面10aの曲率半径(ro)より小さく形成されることによって、係止部110がパイプ10の外周面10aの一部分のみ囲んだ状態でそれ以上下向き移動することができず、このような位置でカプラー100の高さが固定される。
【0057】
すなわち、このようにカプラー100の高さが固定された状態で、このようなカプラー100の両端より鉛直下方に位置するパイプ10の他の部分はパイプ10の外周面10aの曲率半径(ro)がより大きいため、カプラー100の内部に挿入できない部分を意味することになる。
【0058】
したがって、このようにカプラー100の内部に挿入できないパイプ10の他の部分がカプラー100の内部に挿入され得るように干渉防止溝112を形成する必要があり、パイプ10の中心で高さが固定されたカプラー100の一端まで延長した線とパイプ10の中心を貫通する水平線がなす角度がαの最小値となり、このような過程を通じて導き出されたαの最小値は12°である。
【0059】
すなわち、αの形成角度は12°~20°の間の範囲で形成されることが好ましい。
【0060】
この時、パイプ10とカプラー100の間には流体の漏れを防止するゴムリングが備えられ、カプラー100の内部にはこのようなゴムリングを支持固定する支持面121が形成される。
【0061】
すなわち、パイプ10とカプラー100の間にゴムリングを配置した状態で締結部材20を利用してカプラー100を組み立てることになると、ゴムリングがカプラー100によって押圧されながらパイプ10の外周面10aを加圧することになる。このようにゴムリングが押圧されながら流体の漏れを防止することになるが、ゴムリングが設計仕様に合うように適切に加圧されながら弾性変形されると流体の漏れが効果的に防止されるが、万一ゴムリングが加圧される過程で設計仕様を越える加圧力によりゴムリングに変形が発生することになると、このような過度な変形によりゴムリングとパイプ10が接触する部分で流体が漏れる問題があり得る。
【0062】
したがって、ゴムリングがカプラー100により押圧される過程で設計仕様を越える加圧力によりゴムリングに変形が発生する場合、このようなゴムリングがカプラー100により押圧されても、それ以上パイプ10の外周面10aを加圧しないように支持面121の両端から半径方向の外側に延長形成される変形許容溝122が形成される。
【0063】
すなわち、設計仕様に合う加圧力がゴムリングに印加されると、このようなゴムリングが弾性変形しながらパイプ10の外周面10aを加圧することになるが、万一、設計仕様を越える加圧力がゴムリングに印加される場合には、ゴムリングが変形許容溝122に沿って半径方向の外側に変形しながらそれ以上パイプ10の外周面10aを加圧しないように構成することによって、ゴムリングの過度な変形による流体の漏れ問題を解決できるようになる。
【0064】
また、カプラー100を組み立てる過程で支持面121とゴムリングの外周面の間には摩擦力が作用することになるが、特に、支持面121のうちカプラー100の両端に隣接するように形成された支持面121で大きな摩擦力が作用することにより、このような摩擦力によってゴムリングがカプラー100の組立方向に沿って押された状態で加圧されながらゴムリングの過度な変形が発生することになり、これによって流体漏れが発生し得るが、前述した通り、支持面121の両端から半径方向の外側に延長形成される変形許容溝122が形成されると、支持面121の両端がゴムリングの外周面と離隔するため摩擦力によるゴムリングの過度な変形問題を解決できるようになる。
【0065】
この時、
図3および
図4に図示された通り、カプラー100の胴体部120の外周面123の両端には半径方向の外側に延長形成される補強部124が形成され得る。
【0066】
前述した通り、支持面121から半径方向の外側に延びる変形許容溝122が形成される場合、カプラー100の胴体部120の厚さが減少することによって耐久性に問題が発生し得るため、これを防止するために、カプラー100の胴体部120の外周面123には半径方向の外側に補強部124が延長形成される。
【0067】
また、本発明に係るカップリングアッシーを製造する方法は、
図6に図示された通り、軸方向に沿って連続配置されるパイプ10を連結するために二つ以上のカプラー100が対向配置され、複数のカプラー100に締結部材20が仮組立てされた状態でパイプ10を連結するカップリングアッシーを製造する方法において、パイプ10に形成された締結溝11の外径と対応する大きさの内径を有する係止部110をカプラー100に形成する段階(S100)、および係止部110の両側に仮組立てされたカプラー100の間にパイプ10の外周面が貫通可能なように係止部110とパイプ10の干渉を防止する干渉防止溝112を形成する段階(S200)を含む。
【0068】
すなわち、パイプ10に形成された締結溝11の外径と対応する大きさの内径を有する係止部110をカプラー100に形成して係止部110が締結溝11の外周面11aに密着することになることによって、構造的な安定性が確保され得る。
【0069】
ただし、係止部110が締結溝11の外周面11aに密着するように構成する場合、構造的安定性は確保することができるものの、これによって複数のカプラー100が締結部材20によって仮組立てされた状態で軸方向に沿ってパイプ10の外周面10aに挿入する場合、係止部110がパイプ10の外周面10aに係止されることによって仮組立てされた複数のカプラー100が挿入されない問題が発生し得るため、係止部110の両側に仮組立てされたカプラー100の間にパイプ10の外周面が貫通可能なように係止部110とパイプ10の干渉を防止する干渉防止溝112を形成することになる。
【0070】
この時、干渉防止溝112を形成する段階(S200)は、係止部110に形成されたアーチ面111から半径方向の外側に延長形成される第1延長面112aを形成する段階と、第1延長面112aから下向き延長形成されるものの、アーチ面111と同心円上に配置される曲率を有する第2延長面112bを形成する段階を含むことができる。
【0071】
すなわち、アーチ面111から半径方向の外側に第1延長面112aを延長すると、係止部110とパイプ10の外周面10aの間に間隔を確保することが容易となる。
【0072】
また、第1延長面112aから下向き延長形成されるものの、アーチ面111と同心円上に配置される曲率を有する第2延長面112bを形成することになる。
【0073】
すなわち、第1延長面112aが半径方向の外側に延長形成された状態で第2延長面112bがこのような第1延長面112aから追加で延長形成されるのであり、第1延長面112aと第2延長面112bが形成された部分だけ係止部110とパイプ10の外周面10aの間に間隔が確保されるのである。
【0074】
併せて、第1延長面112aを形成する段階は、アーチ面111と第1延長面112aが接触する位置がカプラー100の底面131を基準として12°~20°の間の範囲で形成されるように第1延長面112aを形成する段階であり、このように第1延長面112aを形成することになると、前述した通り、カプラー100の仮組立状態でもパイプ10に設置が可能であり、UL基準で要求する許容水圧も満足できるようになる。
【0075】
このような方式でカップリングアッシーを製造することになると、カップリングアッシーを簡単な方式で製造できるため、製作性が向上する利点がある。
【0076】
本発明の一実施例について説明したが、本発明の思想は本明細書に提示される実施例に制限されず、本発明の思想を理解する当業者は同一思想の範囲内で、構成要素の付加、変更、削除、追加などによって他の実施例を容易に提案できるであろうが、これも本発明の思想範囲内に含まれるものと言える。