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特許7258432路面検出システム、パーソナルモビリティ及び路面検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-07
(45)【発行日】2023-04-17
(54)【発明の名称】路面検出システム、パーソナルモビリティ及び路面検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 21/00 20060101AFI20230410BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20230410BHJP
   G06T 7/60 20170101ALI20230410BHJP
【FI】
G01B21/00 T
G06T7/00 650A
G06T7/60 200Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019101828
(22)【出願日】2019-05-30
(65)【公開番号】P2020197388
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2022-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】中川 知基
【審査官】山▲崎▼ 和子
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-024079(JP,A)
【文献】特開2011-039727(JP,A)
【文献】特開2019-028653(JP,A)
【文献】特開平10-143245(JP,A)
【文献】特開平11-259658(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108052624(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
21/00-21/32
G01C 3/00-3/32
G06T 7/00-7/90
G06V 10/00-20/90
30/418
40/16、40/20
G01S 7/48-7/51
17/00-17/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体が走行可能な路面を走行可能路面として検出する路面検出システムであって、
前記移動体周辺を三次元計測して点群を生成する三次元計測部と、
点群から平面を検出する平面検出部と、
前記平面検出部に前記三次元計測部が生成した点群から平面を検出させ、検出された平面が前記移動体が走行中の路面に相当する平面である場合に、当該平面を走行中平面として検出し、前記走行可能路面に含める走行中平面検出部と、
前記三次元計測部が生成した点群から前記走行中平面の点群を除去した点群である検出対象点群を生成し、前記平面検出部に検出対象点群から平面を検出させ、検出された平面が走行可能路面中の平面に隣接した、走行可能路面中の平面から前記移動体が走行して移動して走行可能な平面である場合に、当該検出された平面を前記走行可能路面に含める隣接路面検出部とを有することを特徴とする路面検出システム。
【請求項2】
請求項1記載の路面検出システムであって、
前記隣接路面検出部は、前記検出対象点群から前記平面検出部が平面を検出したときに、検出した前記検出対象点群を、当該検出対象点群から前記平面検出部が検出した平面の点群を除去した点群である検出対象点群に更新し、前記平面検出部に更新した検出対象点群から平面を検出させ、検出された平面が走行可能路面中の平面に隣接した、走行可能路面中の平面から前記移動体が走行して移動して走行可能な平面である場合に、当該検出された平面を前記走行可能路面に含める処理をm(但し、mは1以上の整数)回行うことを特徴とする路面検出システム。
【請求項3】
移動体が走行可能な路面を走行可能路面として検出する路面検出システムであって、
前記移動体周辺を三次元計測して点群を生成する三次元計測部と、
点群から平面を検出する平面検出部と、
前記平面検出部に前記三次元計測部が生成した点群から平面を検出させ、検出された平面が前記移動体が走行中の路面に相当する平面である場合に、当該平面を走行中平面として検出し、前記走行可能路面に含める走行中平面検出部と、
左方向と右方向と前方向とのうちの少なくとも一つの方向を検出方向として、各検出方向について、前記三次元計測部が生成した点群のうちの、前記走行中平面の当該検出方向側の空間中の点群を検出対象点群に設定し、前記平面検出部に、前記検出対象点群から平面を検出させ、検出された平面が走行可能路面中の平面に隣接した、走行可能路面中の平面から前記移動体が走行して移動して走行可能な平面である場合に、当該検出された平面を前記走行可能路面に含める隣接路面検出部とを有することを特徴とする路面検出システム。
【請求項4】
請求項3記載の路面検出システムであって、
前記隣接路面検出部は、前記検出対象点群から前記平面検出部が検出した平面を前記走行可能路面に含めたときに、当該前記検出対象点群から前記平面検出部が検出し前記走行可能路面に含めた平面を対象平面として、少なくとも、前記対象平面が前記走行可能路面中の平面に隣接していない方向となる検出方向について、前記三次元計測部が生成した点群のうちの、前記対象平面の当該検出方向側の空間中の点群に前記検出対象点群を更新し、前記平面検出部に、更新した検出対象点群から平面を検出させ、検出された平面が走行可能路面中の平面に隣接した、走行可能路面中の平面から前記移動体が走行して移動して走行可能な平面である場合に、当該検出された平面を前記走行可能路面に含める処理をm(但し、mは1以上の整数)回行うことを特徴とする路面検出システム。
【請求項5】
請求項1、2、3または4記載の路面検出システムを搭載した、前記移動体であるパーソナルモビリティであって、
前記走行可能路面と、前記三次元計測部が生成した点群のうちの前記走行可能路面中の平面を除去した点群とから、当該パーソナルモビリティ周辺の障害物を検出する障害物検出部を備えたことを特徴とするパーソナルモビリティ。
【請求項6】
請求項5記載のパーソナルモビリティであって、
前記障害物検出部が検出した障害物の警告する処理と、当該障害物の回避動作を当該パーソナルモビリティに行わせる処理とのうちの少なくとも一方を行う障害物対応部を有することを特徴とするパーソナルモビリティ。
【請求項7】
移動体周辺を三次元計測して生成した点群から、移動体が走行可能な路面を走行可能路面として検出する路面検出方法であって、
前記三次元計測して生成した点群から平面を検出し、検出された平面が前記移動体が走行中の路面に相当する平面である場合に、当該平面を走行中平面として検出し、前記走行可能路面に含める走行中平面検出ステップと、
前記三次元計測して生成した点群から前記走行中平面の点群を除去した点群である検出対象点群を生成し、検出対象点群から平面を検出し、検出された平面が走行可能路面中の平面に隣接した、走行可能路面中の平面から前記移動体が走行して移動して走行可能な平面である場合に、当該検出された平面を前記走行可能路面に含める隣接路面検出ステップとを有することを特徴とする路面検出方法。
【請求項8】
請求項7記載の路面検出方法であって、
前記隣接路面検出ステップにおいて、当該隣接路面検出ステップで前記検出対象点群から前記平面を検出したときに、前記検出対象点群を、当該検出対象点群から検出した平面の点群を除去した点群である検出対象点群に更新し、更新した検出対象点群から平面を検出し、検出された平面が走行可能路面中の平面に隣接した、走行可能路面中の平面から前記移動体が走行して移動して走行可能な平面である場合に、当該検出された平面を前記走行可能路面に含める処理をm(但し、mは1以上の整数)回行うことを特徴とする路面検出方法。
【請求項9】
移動体周辺を三次元計測して生成した点群から、移動体が走行可能な路面を走行可能路面として検出する路面検出方法であって、
前記三次元計測して生成した点群から平面を検出し、検出された平面が前記移動体が走行中の路面に相当する平面である場合に、当該平面を走行中平面として検出し、前記走行可能路面に含める走行中平面検出ステップと、
左方向と右方向と前方向とのうちの少なくとも一つの方向を検出方向として、各検出方向について、前記三次元計測して生成した点群のうちの、前記走行中平面の当該検出方向側の空間中の点群を検出対象点群に設定し、前記検出対象点群から平面を検出し、検出した平面が走行可能路面中の平面に隣接した、走行可能路面中の平面から前記移動体が走行して移動して走行可能な平面である場合に、当該検出された平面を前記走行可能路面に含める隣接路面検出ステップとを有することを特徴とする路面検出方法。
【請求項10】
請求項9記載の路面検出方法であって、
前記隣接路面検出ステップにおいて、当該隣接路面検出ステップで前記検出対象点群から検出した平面を前記走行可能路面に含めたときに、少なくとも、前記検出対象点群から検出し前記走行可能路面に含めた平面が前記走行可能路面中の平面に隣接していない方向となる検出方向について、前記三次元計測して生成した点群のうちの、前記検出対象点群から検出し前記走行可能路面に含めた平面の当該検出方向側の空間中の点群に前記検出対象点群を更新し、更新した検出対象点群から平面を検出し、検出した平面が走行可能路面中の平面に隣接した、走行可能路面中の平面から前記移動体が走行して移動して走行可能な平面である場合に、当該検出された平面を前記走行可能路面に含める処理をm(但し、mは1以上の整数)回行うことを特徴とする路面検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーソナルモビリティ等の移動体が走行可能な路面を検出する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
移動体が走行可能な路面を検出する技術としては、3次元計測で計測した移動体周辺の物体表面の3次元座標を持つ点の群である点群データから、移動体の上下方向を法線とする面である基準面を分割した区域毎に、前記基準面の法線方向に当該区域と重なる空間内にある平面を、RANSAC(Random Sample Consensus)等の推定アルゴリズムを用いて推定面として算定し、移動体近傍が走行中である区域である走行中区域から、当該走行中区域に近い順に順次、高さや勾配の差が、走行中区域の推定面、もしくは、他の探索された推定面と連続的である推定面を探索していき、走行中区域の推定面と探索した推定面とを移動体が走行可能な路面として検出する技術が知られている(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-99068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した移動体の上下方向を法線とする面である基準面を分割した区域毎に算出した推定面を用いて移動体が走行可能な路面として検出する技術によれば、各区域について各々平面を算定する必要があるため、処理負荷が大きく、走行可能な路面の迅速な検出の妨げとなっていた。
【0005】
一方で、3次元計測で計測した全空間を対象として一つの平面を算定することとすると、走行中の路面を検出できたとしても、走行中の路面に連続する、実際には走行可能な路面を走行可能な路面として検出できなくなる場合がある。たとえば、走行中の歩道から車道に降りるための傾斜路などは、走行中の歩道とは異なる平面であるために、走行中の歩道を走行中の路面として検出できた場合であっても、走行可能な路面として検出できなくなる。
【0006】
そこで、本発明は、処理負荷を抑制しつつ、走行中の路面と連続する走行可能な路面についても、これを走行可能な路面として検出することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題達成のために、本発明は、移動体が走行可能な路面を走行可能路面として検出する路面検出システムに、前記移動体周辺を三次元計測して点群を生成する三次元計測部と、点群から平面を検出する平面検出部と、前記平面検出部に前記三次元計測部が生成した点群から平面を検出させ、検出された平面が前記移動体が走行中の路面に相当する平面である場合に、当該平面を走行中平面として検出し、前記走行可能路面に含める走行中平面検出部と、前記三次元計測部が生成した点群から前記走行中平面の点群を除去した点群である検出対象点群を生成し、前記平面検出部に検出対象点群から平面を検出させ、検出された平面が走行可能路面中の平面に隣接した、走行可能路面中の平面から前記移動体が走行して移動して走行可能な平面である場合に、当該検出された平面を前記走行可能路面に含める隣接路面検出部とを設けたものである。
【0008】
ここで、このような路面検出システムは、前記隣接路面検出部において、前記検出対象点群から前記平面検出部が平面を検出したときに、検出した前記検出対象点群を、当該検出対象点群から前記平面検出部が検出した平面の点群を除去した点群である検出対象点群に更新し、前記平面検出部に更新した検出対象点群から平面を検出させ、検出された平面が走行可能路面中の平面に隣接した、走行可能路面中の平面から前記移動体が走行して移動して走行可能な平面である場合に、当該検出された平面を前記走行可能路面に含める処理をm(但し、mは1以上の整数)回行うように構成してもよい。
【0009】
このような路面検出システムによれば、平面検出の対象とする検出対象点群から検出した平面を除去しながら、平面検出を比較的少ない回数繰り返すだけで、効率良く、走行中の平面から走行可能につながる走行可能な平面を、走行可能な路面として検出できることが期待できる。
【0010】
また、前記課題達成のために、本発明は、移動体が走行可能な路面を走行可能路面として検出する路面検出システムに、前記移動体周辺を三次元計測して点群を生成する三次元計測部と、点群から平面を検出する平面検出部と、前記平面検出部に前記三次元計測部が生成した点群から平面を検出させ、検出された平面が前記移動体が走行中の路面に相当する平面である場合に、当該平面を走行中平面として検出し、前記走行可能路面に含める走行中平面検出部と、左方向と右方向と前方向とのうちの少なくとも一つの方向を検出方向として、各検出方向について、前記三次元計測部が生成した点群のうちの、前記走行中路面の当該検出方向側の空間中の点群を検出対象点群に設定し、前記平面検出部に、前記検出対象点群から平面を検出させ、検出された平面が走行可能路面中の平面に隣接した、走行可能路面中の平面から前記移動体が走行して移動して走行可能な平面である場合に、当該検出された平面を前記走行可能路面に含める隣接路面検出部とを備えたものである。
【0011】
ここで、このような路面検出システムは、前記隣接路面検出部において、前記検出対象点群から前記平面検出手段が検出した平面を前記走行可能路面に含めたときに、当該前記検出対象点群から前記平面検出手段が検出し前記走行可能路面に含めた平面を対象平面として、少なくとも、前記対象平面が前記走行可能路面中の平面に隣接していない方向となる検出方向について、前記三次元計測部が生成した点群のうちの、前記対象平面の当該検出方向側の空間中の点群に前記検出対象点群を更新し、前記平面検出部に、更新した検出対象点群から平面を検出させ、検出された平面が走行可能路面中の平面に隣接した、走行可能路面中の平面から前記移動体が走行して移動して走行可能な平面である場合に、当該検出された平面を前記走行可能路面に含める処理をm(但し、mは1以上の整数)回行うように構成してもよい。
【0012】
このような路面検出システムによれば、平面検出の対象とする検出対象点群を、走行可能なことを検出して走行可能路面に含めた平面に応じて更新しながら平面検出を比較的少ない回数繰り返すだけで、効率良く、走行中の平面から走行可能につながる走行可能な平面を走行可能な路面として検出できる。
【0013】
また、本発明は、以上の路面検出システムを搭載した、前記移動体であるパーソナルモビリティであって、前記走行可能路面と、前記三次元計測部が生成した点群のうちの前記走行可能路面中の平面を除去した点群とから、当該パーソナルモビリティ周辺の障害物を検出する障害物検出部を備えたパーソナルモビリティを提供する。
【0014】
ここで、このようなパーソナルモビリティには、前記障害物検出部が検出した障害物の警告する処理と、当該障害物の回避動作を当該パーソナルモビリティに行わせる処理とのうちの少なくとも一方を行う障害物対応部を設けるようにしてよい。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば処理負荷を抑制しつつ、走行中の路面と連続する走行可能な路面についても、これを走行可能な路面として検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係るパーソナルモビリティを示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る走行システムの構成を示すブロックである。
図3】本発明の実施形態に係る走行可能路面算出処理を示すフローチャートである。
図4】本発明の実施形態に係る走行可能路面算出処理の処理例を示す図である。
図5】本発明の実施形態に係る走行可能路面算出処理の処理例を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係る他の走行可能路面算出処理を示すフローチャートである。
図7】本発明の実施形態に係る隣接移動可能平面検出処理を示すフローチャートである。
図8】本発明の実施形態に係る他の走行可能路面算出処理の処理例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1a、bに、本実施形態に係るパーソナルモビリティ100を示す。
図1aはパーソナルモビリティ100の右側面を、図1bはパーソナルモビリティ100の上面を表している。
図示するように、本実施形態に係るパーソナルモビリティ100は、利用者が着座する椅子を備えた四輪の装置であり、人力によらずに走行するための走行システムを備えている。
【0018】
そして、走行システムは、図2に示すように、パーソナルモビリティ100の自走動作を担う自走システム1と、パーソナルモビリティ100の前方の障害物を検出して、検出した障害物の位置を自走システム1に通知する障害物検出システム2とを備えている。
【0019】
自走システム1は、パーソナルモビリティ100の制動を行うブレーキ装置11、パーソナルモビリティ100の駆動輪を回転させる走行用モータ12、パーソナルモビリティ100の舵角を制御する操舵装置13、ブレーキレバーやアクセルレバーやハンドル等の運転装置14、ナビゲーションシステム15、自走制御部16を備えている。
【0020】
自走システム1は、ユーザが設定できる走行モードとして、マニュアルモードと自動運転モードとを備えており、自走制御部16は、マニュアルモードが設定されているときには、運転装置14の操作に従って走行用モータ12やブレーキ装置11や操舵装置13の動作を制御して、パーソナルモビリティ100を走行、停止させる。
【0021】
また、自走制御部16は、自動運転モードが設定されているときには、予めユーザによってナビゲーションシステム15に設定されているルートに従って当該ルートの目的地まで走行するように、走行用モータ12やブレーキ装置11や操舵装置13の動作を制御して、パーソナルモビリティ100を走行させる。
【0022】
また、自走制御部16は、障害物検出システム2から通知された障害物情報が示す障害物の位置に所定レベル以上接近したたならば、所定の注意喚起音を出力して障害物の接近を警告し、障害物に衝突しないようにパーソナルモビリティ100を停止させる処理を行う。ここで、自走制御部16は、走行用モータ12やブレーキ装置11や操舵装置13の動作を制御して、障害物検出システム2から位置を通知された障害物を迂回してパーソナルモビリティ100を走行させる処理なども行うようにしてよい。
【0023】
次に、障害物検出システム2は、パーソナルモビリティ100の前方の三次元計測を行う三次元測位センサ21、三次元測位センサ21で計測したパーソナルモビリティ100の前方の物体表面の三次元座標を持つ点のの群である点群のデータを点群データとして格納した点群データメモリ22、点群データメモリ22の点群データからパーソナルモビリティ100の前方のパーソナルモビリティ100が走行可能な路面を識別する路面識別部23、点群データメモリ22の点群データのうち、路面識別部23が識別したパーソナルモビリティ100が走行可能な路面の点群を除去した路面除去点群データを生成する路面除去部24、路面識別部23が識別したパーソナルモビリティ100が走行可能な路面と路面除去点群データからパーソナルモビリティ100の前方の障害物の存在と位置を検出し、検出した障害物の位置を自走制御部16に通知する障害物検出部25を備えている。
【0024】
ここで、三次元測位センサ21としては、たとえば、ステレオカメラを用いて三次元計測を行うセンサや、レーザを用いて三次元計測を行う3D-LiDARやToF等を用いることができる。そして、三次元測位センサ21は、図1a、bに示すように、パーソナルモビリティ100の前部に配置されて、当該位置からパーソナルモビリティ100の前方の三次元計測を行う。
【0025】
次に、路面識別部23は、平面検出部231と、走行可能路面算出部232とを備えている。
平面検出部231は、点群データから、一つの平面を、RANSAC(Random Sample Consensus)や、LMedS(Least Median of Squares)や、M推定(M-estimation)等のロバスト推定アルゴリズムを用いて検出する
すなわち、平面検出部231は、RANSACによって平面を検出する場合には、点群中の点(3次元座標)をランダムに所定数抽出し、抽出した点が表す平面の方程式を推定し、推定した平面の方程式と、点群中の他の点の整合性を評価する処理を、充分によい評価が得られるまで、もしくは、所定回数回繰り返し、評価が最も良かった平面の方程式を平面の方程式として決定する。
【0026】
また、平面検出部231は、決定した面の方程式に整合する3次元座標の点群の点が存在する領域を平面の領域として抽出する。
次に、走行可能路面算出部232は、平面検出部231を利用して、パーソナルモビリティ100が走行可能な路面を算出する。
図3に、走行可能路面算出部232が、所定時間間隔で繰り返し行う走行可能路面算出処理の手順を示す。
図示するように、走行可能路面算出処理において走行可能路面算出部232は、まず、点群データメモリ22の点群データからの平面検出を平面検出部231に行わせる(ステップ302)。
【0027】
そして、次に、走行可能路面算出部232は、平面検出部231によって、平面として走行中の平面が検出されたかどうかを調べ(ステップ304)、走行中の平面が検出されていなければ走行可能路面算出処理を終了し、走行中の平面が検出されていれば、検出された平面を走行可能路面に追加する(ステップ306)。
【0028】
ここで、平面検出部231によって検出された平面が走行中の平面であるかどうかは、たとえば、検出された平面の領域がパーソナルモビリティ100の直ぐ前の領域であり、かつ、当該平面のパーソナルモビリティ100に最寄りの位置の高さがパーソナルモビリティ下端の高さとほぼ等しく、当該平面の勾配が所定のしきい値以下である場合に、検出された平面が走行中の平面であると判定すること等により行う。ここで、当該平面の勾配のしきい値は、パーソナルモビリティ100が安全に走行可能な勾配の最大値とする。
【0029】
そして、走行中の平面を走行可能路面に追加したならば(ステップ306)、点群データメモリ22の点群データから、検出された平面の点を除去した点群データを検出用点群データとして生成する(ステップ308)。
【0030】
そして、次に、iを1に設定し(ステップ310)、検出用点群データからの平面検出を平面検出部231に行わせる(ステップ312)。
そして、平面検出部231によって検出された平面が、走行可能路面からパーソナルモビリティ100が移動可能な平面であるかどうかを調べる(ステップ314)。
ここで、ステップ314では、平面検出部231によって検出された平面が、走行可能路面中の任意の平面に所定長以上の長さに渡って接する形態で隣接しており、かつ、検出された平面の勾配が所定のしきい値以下であり、検出された平面の隣接する走行可能路面中の平面との勾配の差が所定のしきい値以下である場合に、検出された平面が、走行可能路面からパーソナルモビリティ100が移動可能な平面であると判定する。ここで、前記所定長は、安全な通行に、パーソナルモビリティ100が左右方向に要する長さとし、検出された平面の勾配のしきい値は、パーソナルモビリティ100が安全に走行可能な勾配の最大値とし、検出された平面の隣接する走行可能路面中の平面との勾配の差の差のしきい値は、パーソナルモビリティ100が走行して、平面から他の平面に安全に移動できる勾配の差の最大値とする。
【0031】
そして、検出された平面が走行可能路面からパーソナルモビリティ100が移動可能な平面でなければ(ステップ314)、そのままステップ318に進み、移動可能な平面であれば、検出された平面を走行可能路面に追加した上で(ステップ16)、ステップ318に進む。
次に、このようにして、ステップ318に進んだならば、iが予め設定した1以上の整数であるnに達したかどうかを調べ、達していなければステップ312で検出した平面の点群のデータを検出用点群データから除去し(ステップ322)、iを1増加した上で(ステップ324)、ステップ312からの処理に戻る。
【0032】
一方、iがnに達していれば(ステップ318)、走行可能路面を路面除去部24と障害物検出部25に通知し(ステップ326)、走行可能路面算出処理を終了する。
以上、走行可能路面算出部232が行う走行可能路面算出処理について説明した。
なお、以上の走行可能路面算出処理のステップ312で平面検出部231に行わせる平面検出では、平面検出の対象とする空間を限定した平面検出を平面検出部231に行わせるようにしてもよい。すなわち、たとえば、走行可能路面算出処理のステップ312において、iが1であるときには検出用点群データの点群のうちの走行中の平面または走行可能路面の左側の空間中にある点群からのみの平面検出を平面検出部231に行わせ、iが2であるときには検出用点群データの点群のうちの走行中の平面または走行可能路面の右側の空間中にある点群からのみの平面検出を平面検出部231に行わせ、iが3であるときには検出用点群データの点群のうちの走行中の平面または走行可能路面の前側の空間中にある点群からのみの平面検出を平面検出部231に行わせるようにしてもよい。
または、たとえば、走行可能路面算出処理のステップ312では、検出用点群データの点群のうちの、走行中路面中の平面または走行中路面中の最寄りの平面の高さ(標高)との差の絶対値が所定値以下となる高さの範囲を持つ空間中にある点群からのみの平面検出を平面検出部231に行わせるようにしてもよい。
【0033】
さて、このような走行可能路面算出処理による走行可能路面の算出例を図4、5に示す。
図4は、nが3であり、図4a1のように、パーソナルモビリティ100の三次元測位センサ21で三次元計測が行われる空間中に、パーソナルモビリティ100が走行中の平面401、走行中の平面401に左方において隣接する、左下方に向けて緩やかに傾斜する平面402、走行中の平面401に右方において隣接する、右下方に向けて緩やかに傾斜する平面403、走行中の平面401に前方において隣接する、前上方に向けて緩やかに傾斜する平面404、平面401-404に対して段差のある地面410、走行中の平面401から起立する物体411が存在する場合についてのものである。なお、図中のメッシュは、平面401を包含する平面を表している。
【0034】
この場合、まず、図4a1の点群データメモリ22の全点群を対象とする平面検出が行われて、平面401が走行中の平面として検出され、図4a2に示す走行可能路面に追加される。
【0035】
次に、図4a1の点群データメモリ22の点群データの点群から、平面401の点群を除去した図4b1の検出用検出用点群データが生成され、この検出用検出用点群データを対象として、平面検出が行われて走行中路面中の平面401に左方において隣接する平面402が走行中路面からパーソナルモビリティ100が移動可能な平面として検出され、図4b2に示すように走行可能路面に追加される。
【0036】
そして、図4b1の検出用検出用点群データの点群から、平面402の点群を除去した図4c1の検出用検出用点群データが生成され、この検出用検出用点群データを対象として、平面検出が行われて走行中路面中の平面401に右方において隣接する平面403が走行中路面からパーソナルモビリティ100が移動可能な平面として検出され、図4c2に示すように走行可能路面に追加される。
【0037】
次に、図4c1の検出用検出用点群データの点群から、平面403の点群を除去した図4d1の検出用検出用点群データが生成され、この検出用検出用点群データを対象として、平面検出が行われて走行中路面中の平面401に前方において隣接する平面404が走行中路面からパーソナルモビリティ100が移動可能な平面として検出され、図4d2に示すように走行可能路面に追加される。
そして、この時点で、i=nとなるので、走行可能路面算出処理から、平面401、402、403、404よりなる走行可能路面が路面除去部24と障害物検出部25に通知される。
【0038】
路面除去部24は、図4a1点群データメモリの全点群のうちから、走行可能路面である平面401、402、403、404を構成する点を除去し、図4eに示すような地面410、物体411の点群を表す路面除去点群データを生成し、障害物検出部25は、路面除去点群データの点群が示す物体と走行可能路面との位置関係や、走行可能路面の途切れ等より障害物を検出する処理を行い、地面410による段差や物体411を障害物として検出する。
【0039】
次に、図5は、nが2であり、図5a1のように、パーソナルモビリティ100の三次元測位センサ21で三次元計測が行われる空間中に、パーソナルモビリティ100が走行中の水平な平面501、走行中の平面501に左方において隣接する、左下方に向けて緩やかに傾斜する平面502、平面502の左方において隣接する水平な平面503が存在する場合についてのものである。
【0040】
この場合、まず、図5a1の点群データメモリ22の全点群を対象とする平面検出が行われて、平面501が走行中の平面として検出され、図5a2に示す走行可能路面に追加される。
【0041】
次に、図5a1の点群データメモリ22の点群データの点群から、平面501の点群を除去した図5b1の検出用検出用点群データが生成され、この検出用検出用点群データを対象として、平面検出が行われて走行中路面中の平面501に左方において隣接する平面502が走行中路面からパーソナルモビリティ100が移動可能な平面として検出され、図5b2に示すように走行可能路面に追加される。
【0042】
次に、図5b1の検出用検出用点群データの点群から、平面502の点群を除去した図5c1の検出用検出用点群データが生成され、この検出用検出用点群データを対象として、平面検出が行われて走行可能路面中の平面502に左方において隣接する平面503が走行中路面からパーソナルモビリティ100が移動可能な平面として検出され、図5c2に示すように走行可能路面に追加される。
そして、この時点で、i=nとなるので、走行可能路面算出処理から、平面501、502、503よりなる走行可能路面が路面除去部24と障害物検出部25に通知される。
【0043】
以上、本発明の実施形態について説明した。
このように本実施形態によれば、図4、5に例示したように、平面検出の対象とする点群を当該点群から検出した平面の点群を除去することにより更新しながら、平面検出を比較的少ない回数繰り返すだけで、効率良く、走行中の平面から走行可能につながる走行可能な平面も、走行可能路面として検出できることが期待できる。
【0044】
さて、以上の実施形態において走行可能路面算出部232は、図3の走行可能路面算出処理に代えて、図6に示す走行可能路面算出処理を行うようにしてもよい。
すなわち、この図6に示す走行可能路面算出処理では、走行可能路面算出部232は、まず、全空間を検出対象空間として設定し、平面検出を平面検出部231に行わせる(ステップ602)。
【0045】
ここで、平面検出部231は、設定された検出対象空間内の点群を対象として平面の検出を行う。また、検出対象空間は全空間がである場合、平面検出部231は、点群データメモリ22の全ての点群を対象として平面検出を行う。
【0046】
そして、次に、走行可能路面算出部232は、平面検出部231によって、平面として走行中の平面が検出されたかどうかを調べ(ステップ604)、走行中の平面が検出されていなければ走行可能路面算出を終了し、走行中の平面が検出されていれば、検出された平面を走行可能路面に追加する(ステップ606)。
【0047】
そして、検出した平面を対象平面として設定し、引数G=1を設定した隣接移動可能平面検出処理を起動し(ステップ608)、起動した隣接移動可能平面検出処理からの完了通知をまって(ステップ610)、走行可能路面を路面除去部24と障害物検出部25に通知し(ステップ612)、走行可能路面算出処理を終了する。
【0048】
次に、上述の隣接移動可能平面検出処理について説明する。
図7に、この隣接移動可能平面検出処理の手順を示す。
図示するように、隣接移動可能平面検出処理では、左、右、前の各々を順次対象方向としながら(ステップ702、716-722)、左、右、前の各対象方向について以下のステップ704-714の処理を行う。
【0049】
すなわち、まず、対象平面が対象方向側で走行中路面中の任意の平面に隣接しているかどうかを調べる(ステップ704)。すなわち、対象方向が左であれば、対象平面が左方で走行中路面中の任意の平面に隣接しているかどうかを調べる。
【0050】
そして、対象平面が対象方向側で走行中路面中の平面に隣接していれば(ステップ704)、現在の対象方向についての処理を終了する。
一方、対象平面が対象方向側で走行中路面中の平面に隣接していなければ(ステップ704)、対象平面の対象方向側にある空間を検出対象空間とする平面検出を平面検出部231に行わせる(ステップ706)。すなわち、対象方向が左であれば、平面検出部231に、対象平面より左側の空間を検出対象空間とする、対象平面の左側の空間中の点群からの平面検出を行わせる。
【0051】
そして、平面検出部231によって検出された平面が、走行可能路面からパーソナルモビリティ100が移動可能な平面であるかどうかを調べる(ステップ708)。
ここで、ステップ708では、上述のように、平面検出部231によって検出された平面が、走行可能路面中の任意の平面に所定長以上の長さに渡って接する形態で隣接しており、かつ、検出された平面の勾配や隣接する走行可能路面中の平面との勾配の差が所定値以下である場合に、検出された平面が、走行可能路面からパーソナルモビリティ100が移動可能な平面であると判定する。
【0052】
そして、検出された平面が走行可能路面からパーソナルモビリティ100が移動可能な平面でなければ(ステップ708)、現在の対象方向についての処理を終了する。
一方、検出された平面が走行可能路面からパーソナルモビリティ100が移動可能な平面であれば(ステップ708)、検出された平面を走行可能路面に追加する(ステップ710)。
【0053】
そして、自処理に設定された引数Gが予め設定した1以上の整数であるnであるかどうかを調べ(ステップ712)、nであれば、現在の対象方向についての処理を終了する。
一方、引数Gがnでなければ、ステップ706で検出した平面を対象平面として設定し、引数G=G+1を設定した他の隣接移動可能平面検出処理を起動し(ステップ714)、現在の対象方向についての処理を終了する。
【0054】
そして、左、右、前の各対象方向について、以上のステップ704-714の処理が終了したならば、自処理において、他の隣接移動可能平面検出処理を一つも起動していないかどうかを調べ(ステップ724)、起動していない場合には、自処理の起動元の処理(走行可能路面算出処理または他の隣接移動可能平面検出処理)に完了通知を発行し(ステップ728)、処理を終了する。
【0055】
一方、自処理において、他の隣接走行可能路面検出処理を起動している場合には(ステップ724)、自処理において起動した他の全ての隣接移動可能平面検出処理からの完了通知をまって(ステップ726)、自処理の起動元の処理に完了通知を発行し(ステップ728)、処理を終了する。
【0056】
以上、隣接移動可能平面検出処理について説明した。
以下、このような図6の走行可能路面算出処理と図7の隣接移動可能平面検出処理による処理例を図8a、bに示す。
図8aは、n=1であり、図4a1に示した場合と同様に、パーソナルモビリティ100の三次元測位センサ21で三次元計測が行われる空間中に、パーソナルモビリティ100が走行中の平面401、走行中の平面401に左方において隣接する、左下方に向けて緩やかに傾斜する平面402、走行中の平面401に右方において隣接する、右下方に向けて緩やかに傾斜する平面403、走行中の平面401に前方において隣接する、前上方に向けて緩やかに傾斜する平面404、平面401-404に対して段差のある地面410、走行中の平面401から起立する物体411が存在する場合についてのものである。
【0057】
この場合、まず、走行可能路面算出処理において、全空間が検出対象空間に設定され、点群データメモリ22の全点群を対象とする平面検出が行われて、平面401が走行中の平面として検出され、走行可能路面に追加される。
【0058】
そして、次に、平面401が対象平面として、1が引数Gとして設定された隣接移動可能平面検出処理が起動され、隣接移動可能平面検出処理において、平面401の左方の空間421を検出対象空間として検出対象空間421内の点よりなる点群を対象とする平面検出が行われて、平面402が走行可能路面からパーソナルモビリティ100が移動可能な平面として検出され、走行可能路面に追加される。
【0059】
また、同様に、平面401を対象平面とする隣接移動可能平面検出処理において、平面401の右方の空間422を検出対象空間として検出対象空間422内の点よりなる点群を対象とする平面検出が行われて、平面403が走行可能路面からパーソナルモビリティ100が移動可能な平面として検出され、走行可能路面に追加される。
【0060】
また、平面401を対象平面とする隣接移動可能平面検出処理において、平面401の前方の空間423を検出対象空間として検出対象空間423内の点よりなる点群を対象とする平面検出が行われて、平面404が走行可能路面からパーソナルモビリティ100が移動可能な平面として検出され、走行可能路面に追加される。
そして、平面401を対象平面とする隣接移動可能平面検出処理の引数G=n=1であるので、隣接移動可能平面検出処理から完了通知が走行可能路面算出処理に送られる。
【0061】
また、この完了通知を受けた走行可能路面算出処理によって、平面401、402、403、404よりなる走行可能路面が路面除去部24と障害物検出部25に通知される。
なお、隣接移動可能平面検出処理において、検出対象空間に設定する空間421、422、423は、空間の高さ(標高)の範囲を、対象平面401の当該空間に近接する部分との高さの差の絶対値が所定値以下となる範囲とするなどして、その範囲をより制限するようにしてもよい。
【0062】
次に、図8bは、n=2であり、図5a1に示した場合と同様に、パーソナルモビリティ100の三次元測位センサ21で三次元計測が行われる空間中に、パーソナルモビリティ100が走行中の水平な平面501、走行中の平面501に左方において隣接する、左下方に向けて緩やかに傾斜する平面502、平面502の左方において隣接する水平な平面503が存在する場合についてのものである。
【0063】
この場合、まず、走行可能路面算出処理において、全空間が検出対象空間に設定され、点群データメモリ22の全点群を対象とする平面検出が行われて、平面501が走行中の平面として検出され、走行可能路面に追加される。
【0064】
そして、次に、走行可能路面算出処理によって、平面501が対象平面として、1が引数Gとして設定された隣接移動可能平面検出処理が起動され、隣接移動可能平面検出処理において、平面501の左方の空間511を検出対象空間として検出対象空間511内の点よりなる点群を対象とする平面検出が行われて、平面502が走行可能路面からパーソナルモビリティ100が移動可能な平面として検出され、走行可能路面に追加される。
【0065】
また、平面501を対象平面とする隣接移動可能平面検出処理によって、平面502が対象平面として、2が引数Gとして設定された隣接移動可能平面検出処理が起動され、平面502を対象平面とする隣接移動可能平面検出処理において、平面502の左方の空間512を検出対象空間として検出対象空間512内の点よりなる点群を対象とする平面検出が行われて、平面503が走行可能路面からパーソナルモビリティ100が移動可能な平面として検出され、走行可能路面に追加される。
【0066】
そして、平面502を対象平面とする隣接移動可能平面検出処理の引数G=n=2であるので、隣接移動可能平面検出処理から完了通知が、平面501を対象平面とする隣接移動可能平面検出処理に送られ、この完了通知を受けた平面501を対象平面とする隣接移動可能平面検出処理によって完了通知が、走行可能路面算出処理に送られる。
【0067】
また、この完了通知を受けた走行可能路面算出処理によって、平面501、502、503よりなる走行可能路面が路面除去部24と障害物検出部25に通知される。
図8a、bに例示したように、図6の走行可能路面算出処理と図7の隣接移動可能平面検出処理によれば、平面検出の対象とする検出対象空間を検出して走行可能路面に含めた平面に応じて更新しながら、平面検出を比較的少ない回数繰り返すだけで、効率良く、走行中の平面から走行可能につながる走行可能な平面を、走行可能路面として検出するできる。
【0068】
なお、以上の実施形態で示した走行可能な路面を検出する技術は、電動車いすやシニアカー等のパーソナルモビリティ100以外の、自走式の台車や、自走もしくは歩行するロボット等の任意の移動体について同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0069】
1…自走システム、2…障害物検出システム、11…ブレーキ装置、12…走行用モータ、13…操舵装置、14…運転装置、15…ナビゲーションシステム、16…自走制御部、21…三次元測位センサ、22…点群データメモリ、23…路面識別部、24…路面除去部、25…障害物検出部、100…パーソナルモビリティ、231…平面検出部、232…走行可能路面算出部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8