(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-07
(45)【発行日】2023-04-17
(54)【発明の名称】CAD向け作図方法
(51)【国際特許分類】
G06F 30/10 20200101AFI20230410BHJP
【FI】
G06F30/10 100
(21)【出願番号】P 2023515692
(86)(22)【出願日】2022-12-31
(86)【国際出願番号】 JP2022048713
【審査請求日】2023-03-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520091292
【氏名又は名称】五藤 帰己二
(74)【代理人】
【識別番号】100102738
【氏名又は名称】岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】五藤 帰己二
【審査官】堀井 啓明
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-22927(JP,A)
【文献】特開2022-22928(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F30/00-30/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
CADシステムにより、直線OXと直線OYとの間の交角XOYを3等分、または5等分、または7等分、または11等分するCAD向け作図方法において、
該CADシステムは、
直線OX上に点A、直線OY上に点Bをそれぞれ、OA=OBとなるように求める段階と、
直線OX上の点Aと直線OY上の点Bとを結び、三角形AOBを作成する段階と、
辺ABを一辺とする正三角形ABO
1を作成する段階と、
正三角形ABO
1に外接する中心O
2の外接円を作図する段階と、
O
2を通り、ABに平行な線分が外接円と交わる点CおよびDを求める段階と、
前記外接円とO
1O
2の延長線との交点O
3を頂点とし、GおよびHが前記外接円上にあり、かつ、ABと平行な対辺GHを有する正三角形GHO
3を作成する段階と、
GO
3とA O
1、HO
3とB O
1それぞれの交点Eおよび交点Fを求める段階と、
角度XOYの値および角度XOYの3等分、または5等分、または7等分、または11等分に応じて、OO
1上の頂点Zにより構成されるZAとZBとのなす角度(中央角θ)を、中央角θを作図して、中央角θを算出する段階と、
複数の交角XOYそれぞれに対して、上記中央角θを算出する段階を繰り返し、角度XOYの3等分、または5等分、または7等分、または11等分に応じて、角度XOYを変数とする中央角θの近似曲線をそれぞれ求める段階と、
所与の角度XOYに対して、前記近似曲線により対応する中央角θを算出する段階と、
OO
1上に角度AZB=θとなるZを求める段階と、
O
1A//O
2H、O
1B//O
2I、となるHおよびIをそれぞれ、AZおよびBZ上に求める段階と、
3等分の場合は、O
1HとO
2Aとの交点PおよびO
1IとO
2Bとの交点Qを求め、5等分の場合は、O
1HとCDとの交点PおよびO
1IとCDとの交点Qを求め、7等分の場合は、O
1HとFGとの交点PおよびO
1IとEHとの交点Qを求め、11等分の場合は、O
1HとBEとの交点PおよびO
1IとAFとの交点Qを求める段階と、
OPおよびOQを引き、角POQを構成する段階とを、実行し、
これにより、角POQが角度XOYの3等分、または5等分、または7等分、または11等分に相当するCAD向け作図方法。
【請求項2】
前記近似曲線を求める段階は、交角XOYに該当する角度Δと角度Δ+10°との間ごとに、中央角度θを直線式F(Δ)で近似し、角度Δに対応した直線式F(Δ)をメモリに記憶させておき、任意の3等分、または5等分、または7等分、または11等分すべき角度が選択される場合において、それに応じて、中央角度θを算出すべき直線式F(Δ)を選択する、請求項1に記載のCAD向け作図方法。
【請求項3】
角度XOYの5等分の場合は、角度XOPおよび角度QOYそれぞれを2等分作図する、請求項2に記載のCAD向け作図方法。
【請求項4】
角度XOYの7等分の場合は、角度XOPおよび角度QOYそれぞれを、請求項1に記載の3等分作図法により3等分する、請求項3に記載のCAD向け作図方法。
【請求項5】
角度XOYの11等分の場合は、角度XOPおよび角度QOYそれぞれを請求項2に記載の5等分作図法により5等分作図する、請求項4に記載のCAD向け作図方法。
【請求項6】
角度XOYを3
m5
l7
n11
o(m、l、n、oは零以上の整数)分割する場合、請求項1ないし請求項4それぞれに記載の作図法により、角度XOYの3等分、または5等分、または7等分、または11等分を段階的にm+l+n+o回行う、請求項5に記載のCAD向け作図方法。
【請求項7】
角度XOYを3
m5
l7
n11
o(m、l、n、oは零以上の整数)分割する場合、角度XOYをまず3分割し、3分割した角度領域各々に対して、5分割し、5分割した角度領域各々に対して、7分割し、7分割した角度領域各々に対して、11分割することにより行う、請求項5に記載のCAD向け作図方法。
以上のように、角度XOYを3
m5
l7
n11
o分割する場合において、たとえば、角度XOYを3等分し、3等分したそれぞれの角度を5等分し、5等分したそれぞれの角度を7等分し、7等分したそれぞれの角度を11等分することにより行うところ、3等分、または5等分、または7等分、または11等分において、近似曲線に基づいて中央角度を利用して、作図する点は共通であり、角POQが角度XOYの3等分、または5等分、または7等分、または11等分に相当する中央角度の作図をする際、点Pおよび点Qの作図方法が異なるに過ぎず、3等分の場合は、O
1HとO
2Aとの交点PおよびO
1IとO
2Bとの交点Qを求め、5等分の場合は、O
1HとCDとの交点PおよびO
1IとCDとの交点Qを求め、7等分の場合は、O
1HとFGとの交点PおよびO
1IとEHとの交点Qを求め、11等分の場合は、O
1HとBEとの交点PおよびO
1IとAFとの交点Qを求める。
【請求項8】
直線OXと直線OYとの間の交角XOYは、0°より大きく、180°以下 である、請求項1に記載のCAD向け作図方法。
【請求項9】
前記角度3φが、90°および180°それぞれの場合、中央角θは 、90°および180°であり、前記近似曲線は、少なくともこの2 点を通過する、請求項1に記載のCAD向け作図方法。
【請求項10】
複数の所与の角度φに対応する3φにおいて、隣接する3φの角度間隔は、10°ないし20°ごとに設定される、請求項1に記載のCAD向け作図方法。
【請求項11】
複数の所与の角度φに対応する3φにおいて、前記近似曲線の角度3 φに対する微係数に応じて、10°ないし20°の範囲で、隣接する 3φの角度間隔ごとに設定される、請求項1に記載のCAD向け作図方法。
【請求項12】
前記近似曲線は、3φと、それに対応する中央角θとによる複数の座 標(3φ、θ)間を接続する折れ線により近似する、請求項1に記載のCAD向け作図方法。
【請求項13】
前記角度XOYを3等分する作図段階において、角度XOYの値 に応じて、ズームアップ機能を利用して、拡大して作図を行う、請求項1に記載のCAD向け作図方法。
【請求項14】
正三角形ABO1を作図する場合、O1がABに関してOと反対側に位置するように位置決めする、請求項1に記載のCAD向け作図方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CAD向け作図方法に関し、より詳細には、0°から180°までの任意角度において、実質的な誤差を限りなく小さくすることが可能な実用的な任意角度の3等分に関するCAD向け作図方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンパスと定規だけを用いた角度の等分の厳密な作図方法に関し、特に角度の3等分の作図方法はあり得ないことが数学的に証明されている。
より詳細には、ギリシャの3大作図問題のひとつである、『角の3等分問題』について、角の3等分問題とは、『任意に与えられた角度を三等分することは可能か?』という問題であり、通常の作図方法、すなわち、コンパスと目盛りの無い定規を用いた作図法では、一般に与えられた角の三等分を作図することが不可能であることが知られている。しかしながら、目盛りのついた定規を使用する作図方法、折り紙を用いた作図方法、放物線を描ける小道具を用いた作図方法等、道具の使い方を変更したり、新しい道具を追加することにより、角の三等分を作図できる場合があることも知られている。
【0003】
たとえば、特許文献1は、角の3等分作図補助器を開示する。より詳細には、任意角の3等分作図方法の、習得のため、容易に3等分の作図を行う際の補助となる器具を目的として、一方の端部の縁が円弧状になっている略長方形の透明板の円弧側の上面には、扇形の4分円とその中心点を上端とする中心線が引かれ、その中心線の下端では、15度の狭角で傾斜線が4 分円の左角でつながっている。以上の図形を表示し、そして4 分円の中心点には指示針とその指示針を軸支する為の中心軸を基板上に設けた角の3等分作図補助器が開示されている。このような補助器によれば、ノートなどの用紙に任意角と4等分線と中心角が直角となる直線の一辺を書き入れた図面の上に、発案した3等分作図法の法則をつかって3等分線の印を書き入れられる基板1を置き指示針などを、操作することによって、任意角の4分の1である4等分線に、12分の1の角度を加えることにより3等分線が引ける印を書き入れられる。以上の構成により容易に作図がかけるとされている。
【0004】
たとえば、特許文献2は、等分線作図定規器を開示する。より詳細には、等分線を簡単な手法で求めることのできる定規を提供することを目的として、直角2辺と、この2辺間を結ぶ傾斜辺とからなる三角定規において、直角2辺の一辺と傾斜辺との合点を基点とし、この基点と直角2辺の他の一辺の等分点とを結ぶ直線上にスリットによる辺を設けたことを特徴とする等分線作図定規器である。このような等分線作図定規器によれば、測定すべき直線上の2点間の1点に直角2辺の一辺を合わせ、そのときの他の一辺が傾斜辺に交わった点で前記1辺に直交する直線の測定線を引き、この測定線とスリットとが交差する交点が等分点となる。
【0005】
しかしながら、いずれの作図も特殊な器具により、角の等分を作図するに過ぎず、特に角の3等分は厳密な作図はできないとしても、実用的に許容される誤差の範囲で、円または線分の長さを規定するコンパスおよび直線を引く定規のみを用いて、簡単な手順により、作図する方法を提示するものでない。特に、特許文献2は、角度の等分でなく、線分の等分に関する作図器具である。
【0006】
よって、CADにおいても、角度の等分の作図アルゴリズムは、厳密な等分となっておらず、CADのデータに基づいてCAMにより、実際に加工する場合、たとえば、底面が正多角形(正11角形)の正角錐形を加工する場合には、11面の側面が厳密に形成されないことから、たとえば、11面の側面の各々に対する光の反射は、微妙に異なってしまう。そのため、光学系機器において、厳密な光経路の実現が重要となるような用途においては、誤差をなるべく小さくすることが要求されている。
また、CADにおいて、直線または曲線を作図する線の太さは、細いほど好ましく、作図自体が厳密になるほど、線の太さ自体がクローズアップされる。よって、特に、角度の等分の作図方法が厳密になるほど、作図する線の太さ自体を細くすることが要求される。
【0007】
この点、本出願人は、特許文献3において、任意の角度を等分化する作図において、簡便な手順でありながら、従来の作図方法に比べて、実用に供するように誤差を小さくしたCAD向け作図方法を提供している。
このCAD向け作図方法は、直線OXと直線OYとの間の交角XOYを3等分するCAD向け作図方法において、直線OX上に点A1、直線OY上に点B1をそれぞれ、OA1=OB1となるように求める段階と、直線OX上の点A1と直線OY上の点B1とを結び、三角形A1OB1を作成する段階と、辺A1B1を一辺とする正三角形A1B1O ‘を作成する段階と、正三角形A1B1O ‘の外接円の中心O11を通り、A1B1に平行な直線がA O ‘およびB O ‘それぞれと交わる点をA2およびB2とする一方、A1B1の中点をO12とする段階と、A2B1とB2 O12、A1B2とA2 O12それぞれの交点C1‘およびC1を求める段階と、O ‘C1およびO ‘C1‘それぞれの延長線がA1B1と交わる点をE1およびE1‘とする段階と、を有し、これにより、E1およびE1‘により、A1B1が3等分され、さらに、A2B2とO ‘C1との交点F1、およびA2B2とO ‘C1‘との交点F1‘それぞれを求める段階と、AおよびBそれぞれから、F1E1‘またはF1‘E1の距離である外接円上の点をそれぞれa及びbとする段階と、a O ‘およびb O ‘それぞれとA1B1との交点IおよびJを求める段階と、直線OIおよび直線OJを引く段階とを、有し、角XOI、角IOJおよび 角JOYそれぞれが、交角XOYの3等分に相当する、構成としている。
【0008】
しかしながら、このCAD向け作図方法は、直線OXと直線OYとの間の交角XOYを3等分する際、直線OX上に点A1、直線OY上に点B1をそれぞれ、OA1=OB1となるように求め、直線OX上の点A1と直線OY上の点B1とを結び、三角形A1OB1を作成し、辺A1B1を一辺とする正三角形A1B1O ‘を作成したうえで、A1B1が3等分される点E1およびE1‘を利用していることに起因して、交角XOYの3等分に相当する角XOI、角IOJおよび 角JOYそれぞれにおいて、作図誤差が少なくとも1%を超える結果を招き、必ずしも実用的なCAD向け作図方法といえるものではなかった。
【0009】
この点、本発明者は、特許文献4において、作図誤差を限りなく小さくした実用的なCAD向け作図方法を提案している。
このCAD向け作図方法は、CADシステムにより、直線OXと直線OYとの間の交角XOYを3等分するCAD向け作図方法において、
該CADシステムは、直線OX上に点A、直線OY上に点Bをそれぞれ、OA=OBとなるように求める段階と、直線OX上の点Aと直線OY上の点Bとを結び、三角形AOBを作成する段階と、辺ABを一辺とする正三角形ABO1を作成する段階と、正三角形ABO1に外接する中心O2の外接円を作図する段階と、OO1上の頂点Zにより構成されるZAとZBとのなす角度(中央角θ)を、角度XOYの値に応じて、中央角θを角度XOYを変数とする近似曲線により、中央角θの値を算出する段階と、OO1上に角度AZB=θとなるZを求める段階と、O1A//O2H、O1B//O2I、となるHおよびIをそれぞれ、AZおよびBZ上に求める段階と、O1HとO2Aとの交点PおよびO1IとO2Bとの交点Qを求める段階と、
OPおよびOQを引き、角XOP、角POQおよび角QOYを構成する段階とを、実行する、構成としている。
【0010】
上記構成を有するCAD向け作図方法によれば、直線OXと直線OYとの間の交角XOYを3等分する際、重心、内心、および外心が一致する正三角形を利用して、OA=OBとなるように求めた、直線OX上の点A、および直線OY上の点Bについて、辺ABを一辺とする正三角形ABO1と正三角形ABO1に外接する中心O2の外接円に基づき、OO1上の頂点Zが構成するZAとZBとのなす角度(以降、中央角度と称する)に着目することにより、0°から180°までの任意角度において、実質的な誤差を限りなく小さくすることが可能な実用的な任意角度の3等分が可能となる。
より詳細には、任意角度の3等分に関するCAD向け作図方法に関し、2つの頂点がそれぞれ、3等分すべき任意角度を形成する各線分上にある任意の大きさの正三角形に基づきながら、3等分すべき任意角度に対応する中央角度に注目し、中央角度を利用して作図する場合において、0°から180°までの間で、有限数の角度それぞれにおいて、角度の3等分の角度に相当する角度そのものを用いて中央角度を算出し、これらの有限個の座標点(3等分対象角度、中央角度)に基づいて、近似曲線を求めておけば、この近似曲線を利用することにより、任意角度の3等分の作図方法が、数学的には不可能であることが証明されているとしても、それは、線分の太さがない純理論的な場面であり、実際のCAD向け作図方法においては、視認可能が必須であり、そのために、作図を構成する線分の太さが不可欠である点を考慮すれば、0°から180°までの任意角度において、実質的な誤差を限りなく小さくすることが可能な実用的な任意角度の3等分に関するCAD向け作図方法を提供することが可能となる。
【0011】
しかしながら、上記CAD向け作図方法によれば、任意角度の3等分の作図を実質的に誤差のない範囲で実用的な作図方法を実現可能であるが、
従来既知の2等分作図方法と組み合わせる6等分(2×3)、12等分(2×2×3)、18等分(2×3×3)等なら別段、任意角度の3等分以外の分割作図、たとえば、5等分、7等分、11等分あるいは、これらの組合わせ分割(15等分、21分割、35分割、77分割等)には、適用できず、限定された分割数に限っての作図方法であり、実用に供するCAD向け作図方法とは言い難いものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】特開2001-131593号
【文献】実開平03-95901号
【文献】特開2022-22928号
【文献】PCT/JP2022/019472
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
以上の技術的問題点に鑑み、本発明の目的は、0°から180°までの任意角度において、実質的な誤差を限りなく小さくすることが可能な実用的な任意角度を任意非素数について分割可能なCAD向け作図方法を提供することにある。
以上の技術的問題点に鑑み、本発明の目的は、0°から180°までの任意角度を任意非素数について分割する作図において、従来の作図方法に比べて、誤差を小さくすることにより、実用に供するように作図の線の太さを従来より細くすることが可能なCAD向け作図方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を達成するために、本発明のCAD向け入れ子式作図方法は、
CADシステムにより、直線OXと直線OYとの間の交角XOYを3等分、または5等分、または7等分、または11等分するCAD向け作図方法において、
該CADシステムは、
直線OX上に点A、直線OY上に点Bをそれぞれ、OA=OBとなるように求める段階と、
直線OX上の点Aと直線OY上の点Bとを結び、三角形AOBを作成する段階と、
辺ABを一辺とする正三角形ABO1を作成する段階と、
正三角形ABO1に外接する中心O2の外接円を作図する段階と、
O2を通り、ABに平行な線分が外接円と交わる点CおよびDを求める段階と、
前記外接円とO1O2の延長線との交点O3を頂点とし、GおよびHが前記外接円上にあり、かつ、ABと平行な対辺GHを有する正三角形GHO3を作成する段階と、
GO3とA O1、HO3とB O1それぞれの交点Eおよび交点Fを求める段階と、
角度XOYの値および角度XOYの3等分、または5等分、または7等分、または11等分に応じて、OO1上の頂点Zにより構成されるZAとZBとのなす角度(中央角θ)を、中央角θを作図して、中央角θを算出する段階と、
複数の交角XOYそれぞれに対して、上記中央角θを算出する段階を繰り返し、角度XOYの3等分、または5等分、または7等分、または11等分に応じて、角度XOYを変数とする中央角θの近似曲線をそれぞれ求める段階と、
所与の角度XOYに対して、前記近似曲線により対応する中央角θを算出する段階と、
OO1上に角度AZB=θとなるZを求める段階と、
O1A//O2H、O1B//O2I、となるHおよびIをそれぞれ、AZおよびBZ上に求める段階と、
3等分の場合は、O1HとO2Aとの交点PおよびO1IとO2Bとの交点Qを求め、5等分の場合は、O1HとCDとの交点PおよびO1IとCDとの交点Qを求め、7等分の場合は、O1HとFGとの交点PおよびO1IとEHとの交点Qを求め、11等分の場合は、O1HとBEとの交点PおよびO1IとAFとの交点Qを求める段階と、
OPおよびOQを引き、角POQを構成する段階とを、実行し、
これにより、角POQが角度XOYの3等分、または5等分、または7等分、または11等分に相当する、構成としている。
【0015】
上記構成を有するCAD向け作図方法によれば、直線OXと直線OYとの間の交角XOYを3等分、または5等分、または7等分、または11等分する際、重心、内心、および外心が一致する正三角形を利用して、OA=OBとなるように求めた、直線OX上の点A、および直線OY上の点Bについて、辺ABを一辺とする正三角形ABO1と正三角形ABO1に外接する中心O2の外接円に基づき、OO1上の頂点Zが構成するZAとZBとのなす角度(以降、中央角度と称する)に着目することにより、0°から180°までの任意角度において、実質的な誤差を限りなく小さくすることが可能な実用的な任意角度の3等分、または5等分、または7等分、または11等分が可能となる。
【0016】
より詳細には、任意角度の3等分、または5等分、または7等分、または11等分に関するCAD向け作図方法に関し、2つの頂点がそれぞれ、3等分すべき任意角度を形成する各線分上にある任意の大きさの正三角形に基づきながら、3等分、または5等分、または7等分、または11等分すべき任意角度に対応する中央角度に注目し、中央角度を利用して作図する場合において、0°から180°までの間で、有限数の角度それぞれにおいて、角度の3等分、または5等分、または7等分、または11等分の角度に相当する角度そのものを用いて中央角度を算出し、これらの有限個の座標点(3等分、または5等分、または7等分、または11等分対象角度、中央角度)に基づいて、近似曲線を求めておけば、この近似曲線を利用することにより、任意角度の3等分の作図方法が、数学的には不可能であることが証明されているとしても、それは、線分の太さがない純理論的な場面であり、実際のCAD向け作図方法においては、視認可能が必須であり、そのために、作図を構成する線分の太さが不可欠である点を考慮すれば、0°から180°までの任意角度において、実質的な誤差を限りなく小さくすることが可能な実用的な任意角度の3等分、または5等分、または7等分、または11等分に関するCAD向け作図方法を提供することが可能となる。
【0017】
また、前記近似曲線を求める段階は、交角XOYに該当する角度Δと角度Δ+10°との間ごとに、中央角度θを直線式F(Δ)で近似し、角度Δに対応した直線式F(Δ)をメモリに記憶させておき、任意の3等分、または5等分、または7等分、または11等分すべき角度が選択される場合において、それに応じて、中央角度θを算出すべき直線式F(Δ)を選択するのでもよい。
【0018】
さらに、角度XOYの5等分の場合は、角度XOPおよび角度QOYそれぞれを2等分作図するのでもよい。
さらにまた、角度XOYの7等分の場合は、角度XOPおよび角度QOYそれぞれを、請求項1に記載の3等分作図法により3等分するのでもよい。
加えて、角度XOYの11等分の場合は、角度XOPおよび角度QOYそれぞれを請求項2に記載の5等分作図法により5等分作図するのでもよい。
【0019】
また、角度XOYを3m5l7n11o(m、l、n、oは零以上の整数)分割する場合、請求項1ないし請求項4それぞれに記載の作図法により、角度XOYの3等分、または5等分、または7等分、または11等分を段階的にm+l+n+o回行うのがよい。
さらに、角度XOYを3m5l7n11o(m、l、n、oは零以上の整数)分割する場合、角度XOYをまず3分割し、3分割した角度領域各々に対して、5分割し、5分割した角度領域各々に対して、7分割し、7分割した角度領域各々に対して、11分割することにより行うのでもよい。
【0020】
以上のように、角度XOYを3m5l7n11o分割する場合において、たとえば、角度XOYを3等分し、3等分したそれぞれの角度を5等分し、5等分したそれぞれの角度を7等分し、7等分したそれぞれの角度を11等分することにより行うところ、3等分、または5等分、または7等分、または11等分において、近似曲線に基づいて中央角度を利用して、作図する点は共通であり、角POQが角度XOYの3等分、または5等分、または7等分、または11等分に相当する中央角度の作図をする際、点Pおよび点Qの作図方法が異なるに過ぎず、3等分の場合は、O1HとO2Aとの交点PおよびO1IとO2Bとの交点Qを求め、5等分の場合は、O1HとCDとの交点PおよびO1IとCDとの交点Qを求め、7等分の場合は、O1HとFGとの交点PおよびO1IとEHとの交点Qを求め、11等分の場合は、O1HとBEとの交点PおよびO1IとAFとの交点Qを求める。
【0021】
また、直線OXと直線OYとの間の交角XOYは、0°より大きく、180°以下 であるのがよい。
さらに、前記角度3φが、90°および180°それぞれの場合、中央角θは 、90°および180°であり、前記近似曲線は、少なくともこの2 点を通過する。
さらにまた、複数の所与の角度φに対応する3φにおいて、隣接する3φの角度間隔は、10°ないし20°ごとに設定されるのがよい。
加えて、複数の所与の角度φに対応する3φにおいて、前記近似曲線の角度3 φに対する微係数に応じて、10°ないし20°の範囲で、隣接する 3φの角度間隔ごとに設定されるのがよい。
【0022】
また、前記近似曲線は、3φと、それに対応する中央角θとによる複数の座 標(3φ、θ)間を接続する折れ線により近似するのでもよい。
さらに、前記角度XOYを3等分する作図段階において、角度XOYの値 に応じて、ズームアップ機能を利用して、拡大して作図を行うのがよい。
さらにまた、正三角形ABO1を作図する場合、O1がABに関してOと反対側に位置するように位置決めするのでもよい。
【0023】
上記構成を有するCAD向け作図方法によれば、直線OXと直線OYとの間の交角XOYを3等分する際、重心、内心、および外心が一致する正三角形を利用して、OA=OBとなるように求めた、直線OX上の点A、および直線OY上の点Bについて、辺ABを一辺とする正三角形ABO1と正三角形ABO1に外接する中心O2の外接円に基づき、OO1上の頂点Zが構成するZAとZBとのなす角度(以降、中央角度と称する)に着目することにより、0°から180°までの任意角度において、実質的な誤差を限りなく小さくすることが可能な実用的な任意角度の3等分が可能となる。
より詳細には、任意角度の3等分に関するCAD向け作図方法に関し、2つの頂点がそれぞれ、3等分すべき任意角度を形成する各線分上にある任意の大きさの正三角形に基づきながら、3等分すべき任意角度に対応する中央角度に注目し、中央角度を利用して作図する場合において、0°から180°までの間で、有限数の角度それぞれにおいて、角度の3等分の角度に相当する角度そのものを用いて中央角度を算出し、これらの有限個の座標点(3等分対象角度、中央角度)に基づいて、近似曲線を求めておけば、この近似曲線を利用することにより、任意角度の3等分の作図方法が、数学的には不可能であることが証明されているとしても、それは、線分の太さがない純理論的な場面であり、実際のCAD向け作図方法においては、視認可能が必須であり、そのために、作図を構成する線分の太さが不可欠である点を考慮すれば、0°から180°までの任意角度において、実質的な誤差を限りなく小さくすることが可能な実用的な任意角度の3等分に関するCAD向け作図方法を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1は、この発明の一実施例に係る作図支援方法を実現するCAD システムの基本構成の一部を示す機能ブロック図である。
入力部10は、マウスやキーボード等の入力装置から構成される。この入力部10から入力される例えばマウスカーソルの位置情報は、カーソル位置検知部20で検出される。このカーソル位置検知部20によって検出されたこのカーソル位置情報は、表示制御部90に供給され、そこで例えばCRT装置や液晶ディスプレイ装置からなる表示部80の表示画面上の検出された位置にマウスカーソル等が表示される。
また、カーソル位置検知部20からのカーソル位置情報は、コマンド実行処理部30に与えられ、そこでカーソル位置検知部20で検出されたカーソル位置と入力部10からのクリック情報等から選択されたコマンドを実行し、CAD処理部40に対して実行されたコマンド処理を施す。このコマンド実行処理部30は、カーソル位置検知部20で検出されたカーソル位置にアイコン等のコマンド起動メニューが表示されていない場合には、そのカーソル位置情報をCAD処理部40にスルー状態で供給する。
CAD処理部40は、コマンド実行処理部30を介して入力された情報に基づきCAD 処理を行う。このCAD処理部40については、通常のCAD 処理を行うものなので詳しい説明は割愛するが、外部のハードディスク装置等の記憶媒体からなる図形情報記憶部50から図形要素情報を入力し、編集等を加えた後にその図形要素情報を図形情報記憶部50に保存する役割も果たしている。
【0025】
また、カーソル位置検知部20からのカーソル位置情報は、目的要素位置検知部60にも供給される。この目的要素位置検知部60は、カーソル位置検知部20で検出されたカーソル位置情報が、目的要素位置を捕捉したことを検出する。ここで、「目的要素位置」とは、図形情報記憶部50に記憶されている作図済の1又は複数の図形要素、又はCAD処理部40で現在作図中の1又は複数の図形要素( 以下、これらを「反応要素」と呼ぶ)に対して特定の位置関係となる目的要素( 例えば延長線上の交点や水平、垂直線等) の位置のことである。また、「目的要素位置検知」とは、カーソル位置を中心とする所定の近傍範囲に目的要素位置が位置したことを意味している。目的要素位置検知部60は、カーソルが目的要素位置を捕捉したことを検出したら、表示制御部90に、その目的要素及びその位置、並びに反応要素の情報を供給する。
【0026】
表示制御部90は、目的要素位置検知部60からの情報及び予め設定された表示色情報に基づいて、表示部80に表示されるカーソルや反応要素の表示形態を変更したり、反応要素から目的要素までの補助線を表示したりする制御を実行する。
【0027】
図2は、このCAD システムの表示部80上に表示される画面の一例を示す図である。この画面は、図形表示領域、各種メニュー表示領域等で構成されている。まず、画面のメニュー表示領域12 から「作図支援機能」の設定をするためのメニューを選択すると、
図3に示すように、作図支援機能設定ダイアログボックスが画面上に表示される。
【0028】
同図に示すように、目作図支援機能有効チェックボックス140をマウス等を用いてクリックしチェックマークを付けることにより、作図支援機能が有効になる。この場合、作図支援機能が選択された旨の情報はカーソル位置検知部20からコマンド実行処理部30、目的要素位置検知部60及び表示制御部90に供給され、目的要素位置検知部60が起動することでその機能が有効になる。この作図支援機能設定ダイアログボックスで設定できる作図支援機能のコマンドは、第1に、反応要素である2つの直線要素の延長上の交点を目的要素として、カーソルがこれを捕捉したときに、カーソルの表示形態を変更する延長交点コマンド150と、第2に、次に示す反応要素のそれぞれの点、
( 1 ) 直線の場合、端点・中点、
( 2 ) 円・楕円・穴記号の場合、中心点、
( 3 ) 円弧・楕円弧の場合、端点・中心点、
( 4 ) 自由曲線の場合、頂点、
の対からX 軸及びY 軸に沿う延長直線の交点を目的要素として、カーソルがこれを捕捉したときに、カーソルの表示形態を変更する等X ・等Yコマンド160と、第3に、反応要素である図形要素の描画開始点から水平又は垂直方向に延びる線を目的要素として、カーソルがこれを補足したときに、カーソルの表示形態を変更する水平・垂直コマンド170と、第4に、反応要素である図形要素の描画開始点から予め入力した角度増量値の値と一致する角度方向に延びる線を目的要素とし、カーソルがこれを捕捉したときに、カーソルの表示形態を変更する角度増量コマンド180との4つのコマンドがあり、それぞれのコマンド150~180のチェックボックスをチェックすることにより、チェックされたコマンドが目的要素位置検知部60で実行される。また、この作図支援機能設定ダイアログボックスには、角度増量コマンド180において任意の角度を入力部10のキーボード等を用いて手入力により入力する角度増量値入力ボックス190も備えられている。
分割数の入力ボックス191および分割対象角度入力ボックス192も備えられている。
【0029】
また、この作図支援機能が有効になったことで表示制御部90では、マウスカーソルを通常モード形状のマウスカーソル250aから作図支援機能モード形状のマウスカーソル250bへ変更し表示部80で表示するように制御する。また、マウスカーソル250bが目的要素位置を捕捉したときに、その目的要素を特定する情報表示カーソル250cがマウスカーソル250bの斜め下位置に表示される。この情報表示カーソル250cの形状は、目的要素の内容が視覚的に認識し易い形状に設定されている。例えば、マウスカーソル250bが反応要素上の端点や点要素等の既存点を捕捉したときには、情報表示カーソルとして既存点であることを示す十字形が表示される。延長交点コマンドや等X ・等Y コマンドが実行された場合には、情報表示カーソルとして× 形が表示される。マウスカーソル250bが反応要素上の点を捕捉しているときには、情報表示カーソルとして要素上点であることを示す表示がなされる。同様に、水平・垂直コマンド及び角度増量コマンドが実行された場合には、水平線、垂直線及び角度標記がそれぞれ情報表示カーソル250cとして表示される。
【0030】
更に、この作図支援機能設定ダイアログボックスには、作図支援機能を有効にした場合に図形表示領域に表示される図形要素の表示色を設定することができる表示色設定機能も備えられている。作図支援図形表示チェックボックスをチェックすることで、表示制御部90内の色表示設定機能が有効になる。この表示色設定機能で設定できる図形要素の表示色は、オペレータがマウス等を用いて入力操作しているときの図形要素の表示色と、反応要素の表示色との2種類がある。この場合、入力中の図形要素の表示色についてはプルダウンメニューで、反応要素の表示色についてはプルダウンメニューで、それぞれ任意の表示色を設定することができる。
【0031】
次に、この作図支援機能を有効にして各コマンド150~180を実行した場合の動作について説明する。
図4は、延長交点コマンド150を実行した場合のイメージを表す図である。まず、図形表示領域内に開かれた表示ウィンドウ230に表示された2つの図形要素の直線要素240a ,240b上の任意の位置にマウスカーソル250bを重ね合わせ、マウスクリック等で図形要素240a ,240bを選択/ 決定する。この選択/ 決定操作は、対象を特定して演算量を削除するためになされるもので、演算量が問題なければこの操作を行わないようにしても良い。このとき、マウスカーソル250bの中心位置250dから一定領域の範囲250e内に、直線要素240a ,240bの延長交点成分が入っていなければ、情報表示カーソル250cは表示されない。
【0032】
次に、マウスカーソル250b を図中矢印方向に移動させてゆくと、直線要素240a,240b の延長交点P1がマウスカーソル250bの一定領域範囲250e 内に入ってくる。延長交点P1 がマウスカーソル250bの一定領域範囲250e内に入ると情報表示カーソル250cとして交点表示形状がマウスカーソル250bの近傍に表示され、マウスカーソル250bの位置が直線要素240a,240bの延長交点にあることを表示すると共に、例えば、オペレータがこの状態で確定する旨を入力すれば、補助線としてラバーバンド260a,260bが直線要素240a,240bの延長線上に表示され、直線要素240a,240bを正確に延長交点P1まで延長して描画した図形を簡単に作成すること等が可能となる。このとき、直線要素240a,240bは予め設定された反応要素色に変わり、ラバーバンド260a,260bも他の図形要素と異なる表示形態となる。
【0033】
図5は、等X ・等Yコマンド160を実行した場合のイメージを表す図である。まず、上述したように、表示された2つの図形要素の直線要素240a,240b上の任意の位置にマウスカーソル250bを重ね合わせ、マウスクリック等で図形要素240a,240bを選択/決定する。この操作も上述したように任意である。このとき、マウスカーソル250bの中心位置250d から一定領域の範囲250e内に、この場合、直線要素240a,240bの端点a,bからX軸方向及びY軸方向に延びる線の交点が含まれていなければ、情報表示カーソル250cは表示されない。
【0034】
次に、マウスカーソル250bを図中矢印方向に移動させてゆくと、直線要素240a,240bの端点a,b からX軸方向及びY軸方向に延びる線の交点P2がマウスカーソル250bの一定領域範囲250e内に入ってくる。このとき、情報表示カーソル250cの形状として交点表示形状がマウスカーソル250bの近傍に表示され、マウスカーソル250bの位置が直線要素240a,240bの端点a,bのX座標値又はY座標値と等しい位置にあることを表示する。このように、直線要素240a,240bの端点a,bの位置を基準とし、そこから等しいX 及びY座標値に対して図形等を描画することも可能になる。
【0035】
図6は、水平・垂直コマンド170を実行した場合のイメージを表す図である。まず、表示ウィンドウ230内の任意の位置にマウスカーソル250bのマウスクリック等で図形要素描画の始点sを設定する。このとき、マウスカーソル250bの中心位置250d又はそこから一定領域の範囲250eが、始点sと水平・垂直の位置関係になければ、情報表示カーソル250cは表示されない。
【0036】
次に、マウスカーソル250bを図中矢印(1)又は(2)方向に移動させてゆき、始点sとそのマウスカーソル250bの中心位置250d等とが水平・垂直の位置関係になる位置にマウスカーソル250bの一定領域範囲250eが入ると、情報表示カーソル250cの形状として水平表示形状又は垂直表示形状がマウスカーソル250bの近傍に表示される。この情報表示カーソル250cが水平表示又は垂直表示のときに線分等を作成すれば、水平線分や垂直線分を補助線等用いなくても簡単に描画することができる。
【0037】
図7は、角度増量コマンド180を実行した場合のイメージを表す図である。まず、表示ウィンドウ230内の任意の位置にマウスカーソル250bのマウスクリック等で図形要素描画の始点sを設定する。次に、作図支援機能設定ダイアログボックスの角度増量値入力ボックス190に任意の角度を入力する。例えば、その角度を45°と設定した場合、マウスカーソル250bの中心位置250d又はそこから一定領域の範囲250eが、始点sと設定角度45°の位置関係になければ、情報表示カーソル250cは表示されない。
【0038】
次に、マウスカーソル250bを図中矢印方向に移動させる。始点sとそのマウスカーソル250bの中心位置250d等とが45°の位置関係になる位置にマウスカーソル250bの一定領域範囲250eが入る毎に、情報表示カーソル250cとして角度増量表示形状がマウスカーソル250bの近傍に表示される。この情報表示カーソル250cが角度増量表示のときに線分等を作成すれば、任意の角度で正確に線分等を作成することが可能となる。
【0039】
以上の構成を有するCADシステムを利用して、本CAD向け作図方法は、分割すべき直線OXと直線OYとの間の交角XOYが所与のもとで、後述するパラメータ(中央角度)に着目し、交角XOYを3等分、または5等分、または7等分、または11等分するかに応じて、中央角度を交角XOYの関数とする近似曲線をデータベースとして記憶し、近似曲線を参照して、所与の交角XOYによる中央角度を算出し、CAD画面上において、算出した中央角度を利用して、作図することにより、0°から180°までの任意角度において、実質的な誤差を限りなく小さくすることが可能となる。
【0040】
まず、近似曲線の作成方法について、説明する。
近似曲線の作成方法は、CADシステムにより、直線OXと直線OYとの間の交角XOYを3等分、または5等分、または7等分、または11等分するCAD向け作図方法において、該CADシステムは、
直線OX上に点A、直線OY上に点Bをそれぞれ、OA=OBとなるように求める段階と、
直線OX上の点Aと直線OY上の点Bとを結び、三角形AOBを作成する段階と、
辺ABを一辺とする正三角形ABO1を作成する段階と、
正三角形ABO1に外接する中心O2の外接円を作図する段階と、
O2を通り、ABに平行な線分が外接円と交わる点CおよびDを求める段階と、
前記外接円とO1O2の延長線との交点O3を頂点とし、GおよびHが前記外接円上にあり、かつ、ABと平行な対辺GHを有する正三角形GHO3を作成する段階と、
GO3とA O1、HO3とB O1それぞれの交点Eおよび交点Fを求める段階と、
角度XOYの値および角度XOYの3等分、または5等分、または7等分、または11等分に応じて、OO1上の頂点Zにより構成されるZAとZBとのなす角度(中央角θ)を、中央角θを作図して、中央角θを算出する段階と、
複数の交角XOYそれぞれに対して、上記中央角θを算出する段階を繰り返し、角度XOYの3等分、または5等分、または7等分、または11等分に応じて、角度XOYを変数とする中央角θの近似曲線をそれぞれ求める段階を有する。
【0041】
より詳細には、
図44に示すように、角度XOYの3等分の場合は、角度XOYを3等分する直線OLおよび直線OMを引き、直線OLとO
2Aとの交点P、および直線OMとO
2Bとの交点Qを求め、O
1PとO
2を通りO
1Aに平行な線分との交点H、およびO
1QとO
2を通りO
1Bに平行な線分との交点Iを求め、AHとBIとの交点ZをO
1O
2上に求め、角度XZYを中央角θとして算出する。
図8、
図9および
図45に示すように、角度XOYの5等分の場合は、角度XOYを3等分する直線OLおよび直線OMを引き、直線OLとO
2Aとの交点P、および直線OMとO
2Bとの交点Qを求め、O
1PとO
2を通りO
1Aに平行な線分との交点H、およびO
1QとO
2を通りO
1Bに平行な線分との交点Iを求め、AHとBIとの交点ZをO
1O
2上に求め、角度XZYを中央角θとして算出する。
図46に示すように、角度XOYの7等分の場合は、角度XOYを3等分する直線OLおよび直線OMを引き、直線OLとO
2Aとの交点P、および直線OMとO
2Bとの交点Qを求め、O
1PとO
2を通りO
1Aに平行な線分との交点H、およびO
1QとO
2を通りO
1Bに平行な線分との交点Iを求め、AHとBIとの交点ZをO
1O
2上に求め、角度XZYを中央角θとして算出する。
図47に示すように、角度XOYの11等分の場合は、角度XOYを3等分する直線OLおよび直線OMを引き、直線OLとO
2Aとの交点P、および直線OMとO
2Bとの交点Qを求め、O
1PとO
2を通りO
1Aに平行な線分との交点H、およびO
1QとO
2を通りO
1Bに平行な線分との交点Iを求め、AHとBIとの交点ZをO
1O
2上に求め、角度XZYを中央角θとして算出する。
【0042】
以上のように、角度XOYの3等分、または5等分、または7等分、または11等分に応じて、交点Pおよび交点Qの求め方が異なるのみであり、角度XOYの3等分、5等分、7等分、および11等分共通に、角度XOYを、たとえば、10°刻みごとに、上述の作図方法により、中央角θを算出し、角度XOY―中央角θの近似曲線を求めておく。
この場合、以下に示すように、角度XOYを、たとえば、10°刻みごとに、近似曲線を直線近似し、0°から180°までの任意角度XOYの全体近似曲線を折れ線近似した場合でも、所与の角度XOYに対して、折れ線近似により算出した中央角度を利用して、角度XOYを3m5l7n11o(m、l、n、oは零以上の整数)分割する場合において、作図の線の太さも考慮すれば、実質的に誤差のない作図方法を実現可能である。
【0043】
図44に示すような作図手順に従って、3等分する角度に応じて、中央角度θを求めた結果は、以下である。
3等分する角度が、10ごとに、10°、20°、30°、40°、50°、60°、70°、80°、90°、100°、110°、120°、130°、140°、150°、160°、および170°それぞれの場合、中央角度θは、小数点2位まで、110.72°、102.93°、96.60°、91.83°、88.55°、86.72°、86.36°、87.43°、90.00°、94.12°、99.87°、107.31°、116.47°、127.26°、139.48°、152.71°、および166.44°となった。
この結果を、横軸に3等分する角度(3φに相当)、縦軸に中央角度θとして、17点をプロットして、17点を滑らかに通る近似曲線を作成したのが、
図10である。
図10に示すように、近似曲線は、60°ないし70°の範囲に最小値を有する下に凸の曲線である。
CADの作図画面において、上記作図手順に従い、中央角度θを作図し、中央角度θの数値をCADの基本的角度読み取り機能(例えば、中央角度θを構成する2直線の一方の直線にカーソルを合わせ、他方の直線までカーソルを移動させることにより、中央角度θの読み取り可能)により算出し、10°ごとの3等分すべき角度と、対応する中央角度θとのデータセットにより、角度Δと角度Δ+10との間ごとに、中央角度θを直線式F(Δ)で近似し、角度Δに対応した直線式F(Δ)をメモリに記憶させておき、任意の3等分すべき角度が選択される場合において、それに応じて、中央角度θを算出すべき直線式F(Δ)が選択されるようにしておく。
角度XOYの3等分の場合と同様な手順に従って作成した、角度XOYの5等分、7等分および11等分する場合それぞれの
図10と同様な近似曲線を、
図11、
図12、および
図13に示す。
【0044】
角POQが角度XOYの3等分、または5等分、または7等分、または11等分に相当するCAD向け作図方法は、
所与の角度XOYに対して、前記近似曲線により対応する中央角θを算出する段階と、
OO1上に角度AZB=θとなるZを求める段階と、
O1A//O2H、O1B//O2I、となるHおよびIをそれぞれ、AZおよびBZ上に求める段階と、
3等分の場合は、O1HとO2Aとの交点PおよびO1IとO2Bとの交点Qを求め、5等分の場合は、O1HとCDとの交点PおよびO1IとCDとの交点Qを求め、7等分の場合は、O1HとFGとの交点PおよびO1IとEHとの交点Qを求め、11等分の場合は、O1HとBEとの交点PおよびO1IとAFとの交点Qを求める段階と、
OPおよびOQを引き、角POQを構成する段階とを、実行することにより構成される。
【0045】
直線OXと直線OYとの間の交角XOYは、0°より大きく、180°以下である。
角度3φが、90°および180°それぞれの場合、中央角θは、90°および180°であり、近似曲線は、少なくともこの2点を通過する。
複数の所与の角度φに対応する3φにおいて、隣接する3φの角度間隔は、10°ないし20°ごとに設定される。
複数の所与の角度φに対応する3φにおいて、近似曲線の角度3φに対する微係数に応じて、10°ないし20°の範囲で、隣接する3φの角度間隔ごとに設定される。
角度XOYを3等分する作図段階において、角度XOYの値に応じて、ズームアップ機能を利用して、拡大して作図を行うのでもよい。
近似曲線は、3φと、それに対応する中央角θとによる複数の座標(3φ、θ)間を接続する折れ線により近似するのでもよい。
正三角形ABO1を作図する場合、O1がABに関してOと反対側に位置するように位置決めするのでもよい。
【0046】
以下に具体例を示す。
図14ないし
図22(いずれもCAD作図画面を示す)において、上述の近似曲線を利用して、分割すべき対象角度、および分割数に応じて、中央角度を算出し、それにより作図する場合を示す。
図14は、分割すべき対象角度が20°、および分割数が5分割の場合であり、
図11の近似曲線によれば、中央角度は182.63°である。
それに基づいて、CAD向け作図方法は、所与20°の角度XOYに対して、近似曲線により対応する中央角θを算出する段階と、
OO
1上に角度AZB=θとなるZを求める段階と、
O
1A//O
2H、O
1B//O
2I、となるHおよびIをそれぞれ、AZおよびBZ上に求める段階と、
5等分の場合は、O
1HとCDとの交点PおよびO
1IとCDとの交点Qを求める段階と、
OPおよびOQを引き、角POQを構成する段階とを、実行し、
これにより、角POQが角度XOYの5等分に相当する。
図15は、分割すべき対象角度が97°、および分割数が5分割の場合であり、
図11の近似曲線によれば、中央角度は158.4°である。
CAD向け作図方法は、
図14と同様である。
図16は、分割すべき対象角度が160°、および分割数が5分割の場合であり、
図11の近似曲線によれば、中央角度は183.96°である。
CAD向け作図方法は、
図14と同様である。
図17は、分割すべき対象角度が20°、および分割数が7分割の場合であり、
図12の近似曲線によれば、中央角度は183.44°である。
それに基づいて、CAD向け作図方法は、所与20°の角度XOYに対して、近似曲線により対応する中央角θを算出する段階と、
OO
1上に角度AZB=θとなるZを求める段階と、
O
1A//O
2H、O
1B//O
2I、となるHおよびIをそれぞれ、AZおよびBZ上に求める段階と、
7等分の場合は、O
1HとFGとの交点PおよびO
1IとEHとの交点Qを求める段階と、
OPおよびOQを引き、角POQを構成する段階とを、実行し、
これにより、角POQが角度XOYの7等分に相当する。
図18は、分割すべき対象角度が97°、および分割数が7分割の場合であり、図の近似曲線によれば、中央角度は112.7°である。
CAD向け作図方法は、
図17と同様である。
図19は、分割すべき対象角度が160°、および分割数が7分割の場合であり、図の近似曲線によれば、中央角度は113.57°である。
CAD向け作図方法は、
図17と同様である。
図20は、分割すべき対象角度が20°、および分割数が11分割の場合であり、図の近似曲線によれば、中央角度は229.26°である。
それに基づいて、CAD向け作図方法は、所与20°の角度XOYに対して、近似曲線により対応する中央角θを算出する段階と、
OO
1上に角度AZB=θとなるZを求める段階と、
O
1A//O
2H、O
1B//O
2I、となるHおよびIをそれぞれ、AZおよびBZ上に求める段階と、
11等分の場合は、O
1HとBEとの交点PおよびO
1IとAFとの交点Qを求める段階と、
OPおよびOQを引き、角POQを構成する段階とを、実行し、
これにより、角POQが角度XOYの11等分に相当する。
図21は、分割すべき対象角度が97°、および分割数が11分割の場合であり、図の近似曲線によれば、中央角度は229.03°である。
CAD向け作図方法は、
図20と同様である。
図22は、分割すべき対象角度が160°、および分割数が11分割の場合であり、図の近似曲線によれば、中央角度は232.88°である。
CAD向け作図方法は、
図20と同様である。
【0047】
次に、上述の角度XOYを3分割、5分割、7分割および11分割作図方法を利用して、角度XOYを3
m5
l7
n11
o(m、l、n、oは零以上の整数)分割する場合の例を示す。
図23ないし
図26を参照して、角度XOYが80°の場合において、21分割するCAD用作図方法を説明する。概略的には、3分割用の近似曲線により中央角度を求め、角度XOYを3分割作図し、角度XOYを3分割する角度それぞれに対して、7分割用の近似曲線により中央角度を求め、角度XOYを3分割する角度それぞれを7分割作図する。
【0048】
より詳細には、
図23は、角度XOYを3分割する場合の中央角度87.43°に基づいて、角度XOYを3分割するためのPおよびQをそれぞれ求め、OとPとを結ぶOL、およびOとQとを結ぶOMを引き、角度XOL、角度LOMおよび角度MOYそれぞれが、角度XOYの3分割に相当する角度である点を示す。
図24は、角度XOYを3分割する角度LOMに対して、角度LOMを7分割するためのPおよびQをそれぞれ求め、OとP1とを結ぶOL1、およびOとQ1とを結ぶOM1を引き、角度LOL1、角度L1OM1および角度M1OMそれぞれが、角度LOMの7分割の3倍、1倍および3倍に相当する角度である点を示す。
図25は、角度LOMの7分割の3倍に相当する角度LOL1を3分割する場合の中央角度に基づいて、角度LOL1を3分割するためのPおよびQをそれぞれ求め、OとPとを結ぶOL2、およびOとQとを結ぶOM2を引き、角度LOL2、角度L2OM2および角度M2OM1それぞれが、角度LOL1の3分割に相当する角度である点を示す。
また、角度LOMと同様に、角度XOYを3分割する角度XOLについて、角度LOMと同様に、角度XOLを7分割するためのPおよびQをそれぞれ求め、角度XOL3、角度L3OM3および角度M3OLそれぞれを、角度XOLの7分割の3倍、1倍および3倍に相当する角度として作図し、さらに、角度XOL3、および角度M3OLそれぞれを3分割するためのPおよびQをそれぞれ求め、角度XOL5、角度L5OM5および角度M5OL3それぞれ、および角度M3OL4、角度L4OM4および角度M4OLそれぞれを、角度XOL3、および角度M3OLそれぞれの3分割に相当する角度として作図する。
図26は、角度XOYを21分割する作図が完了した図を示す。以上のように、角度XOYが80°の場合において、まず、角度XOYを3分割の作図を行い、3分割したそれぞれの角度に対して、7分割の作図を行い、3分割および7分割それぞれにおいて、近似曲線を利用して、中央角度を算出し、算出した中央角度に基づいて、作図を行うことにより、
図26に示すように、実質的に誤差のない作図が可能であることが示されている。
【0049】
次に、
図27ないし
図34を参照して、角XOYが160°の場合において、77等分するCAD用作図方法を説明する。
図27は、角度XOYを7分割する場合の中央角度113.57°に基づいて、角度XOYを7分割するためのPおよびQをそれぞれ求め、OとPとを結ぶOL、およびOとQとを結ぶOMを引き、角度XOL、角度LOMおよび角度MOYそれぞれが、角度XOYの7分割の3倍、1倍および3倍に相当する角度である点を示す。
図28は、角度XOYの7分割の3倍に相当する角度XOLに対して、角度LOMを利用して、角度LOMを3分割するOL2、およびOL3を引き、角度XOL3、角度L3OL2および角度L2OLそれぞれが、角度XOLの3分割に相当する角度である点を示す。
図29は、角度LOMの11分割する場合の中央角度229.18°に基づいて、角度LOMを11分割するためのP1およびQ1をそれぞれ求め、OとP1を結ぶOL1、およびOとQ1を結ぶOM1を引き、角度LOL1、角度L1OM1、および角度M1OMそれぞれが、角度LOMの11分割の5倍、1倍および5倍に相当する角度に相当する角度である点を示す。
さらに、角度LOL1が角度LOMの11分割の5倍に相当するところ、角度LOL1の5分割する場合の中央角度187.7°に基づいて、角度LOL1を5分割するためのP2およびQ2をそれぞれ求め、OとP2を結ぶOL4、およびOとQ2を結ぶOM4を引き、角度LOL4、角度L4OM4、および角度M4OL1それぞれが、角度LOL1の5分割の2倍、1倍および2倍に相当する角度に相当する角度である点を示す。
さらに、角度LOL4、および角度M4OL1それぞれを、従来既知の作図方法により2分割し、角度LOL5、角度L5OL4、および角度M4OM5、角度M4OL1それぞれが、角度LOL4、および角度M4OL1それぞれの2分割に相当する角度である点を示す。
【0050】
図30は、角度MOM1が角度LOMの11分割の5倍に相当するところ、角度MOM1の5分割する場合の中央角度187.7°に基づいて、角度MOM1を5分割するためのP3およびQ3をそれぞれ求め、OとP3を結ぶOL6、およびOとQ3を結ぶOM6を引き、角度MOM6、角度M6OL6、および角度L6OM1それぞれが、角度MOM1の5分割の2倍、1倍および2倍に相当する角度に相当する角度である点を示す。
さらに、角度MOM6、および角度L6OM1それぞれを、従来既知の作図方法により2分割し、角度MOM7、角度M7OM6、および角度L6OL7、角度L7OM1それぞれが、角度MOM6、および角度L6OM1それぞれの2分割に相当する角度である点を示す。
図31および
図32は、
図30の角度LOMの11分割と同様に、角度XOYの7分割の3倍に相当する角度LOXについて、角度LOXの3分割に相当する角度LOL2、角度L2OL3および角度L3OXそれぞれを11分割する手順を示す。
【0051】
図33は、
図32の角度LOXと同様に、角度XOYの7分割の3倍に相当する角度MOYについて、角度LOXの3分割に相当する角度LOM2、角度M2OM3および角度M3OYそれぞれを11分割する手順を示す。
図34は、角度XOYを77分割する作図が完了した図を示す。以上のように、角度XOYが160°の場合において、まず、角度XOYを7分割の作図を行い、7分割したそれぞれの角度に対して、11分割の作図を行い、7分割および11分割それぞれにおいて、近似曲線を利用して、中央角度を算出し、算出した中央角度に基づいて、作図を行うことにより、
図34に示すように、実質的に誤差のない作図が可能であることが示されている。
【0052】
次に、
図35ないし
図43を参照して、角XOYが160°の場合において、105等分するCAD用作図方法を説明する。
上述の、角度XOYが80°の場合において、21分割するCAD用作図方法(
図23ないし
図26)、および角度XOYが160°の場合において、111分割するCAD用作図方法(
図27ないし
図34)と同様に、角度XOYを3分割する場合の中央角度152.71°に基づいて、角度XOYを3分割し(
図35)、次いで、角度XOYを3分割したそれぞれに対して、5分割する場合の中央角度164.2°に基づいて、5分割し(
図36)、次いで、角度XOYを5分割したそれぞれに対して、11分割する場合の中央角度に基づいて、11分割し(
図37ないし
図42)、
図43において、160°の角度XOYを105分割する作図が完了した図を示す。
【0053】
以上のように、角度XOYが160°の場合において、まず、角度XOYを3分割の作図を行い、3分割したそれぞれの角度に対して、5分割の作図を行い、5分割したそれぞれの角度に対して、11分割の作図を行い、3分割、5分割および11分割それぞれにおいて、対応する近似曲線を利用して、中央角度を算出し、算出した中央角度に基づいて、作図を行うことにより、
図43に示すように、実質的に誤差のない作図が可能であることが示されている。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1】本発明の実施形態に係る作図方法において利用するCADシステムの概略を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る作図方法において利用するCADシステムにおいて、表示部に表示される画面の一例を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る作図方法において利用するCADシステムにおいて、表示部に表示される画面において、作図支援機能設定ダイアログボックスを示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る作図方法において利用するCADシステムにおいて、
図2の画面部に表示される延長交点コマンドを実行した場合のイメージを表す図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る作図方法において利用するCADシステムにおいて、
図2の画面部に表示される等X・等Yコマンドを実行した場合のイメージを表す図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る作図方法において利用するCADシステムにおいて、
図2の画面部に表示される水平・垂直コマンドを実行した場合のイメージを表す図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る作図方法において利用するCADシステムにおいて、
図2の画面部に表示される角度増量コマンドを実行した場合のイメージを表す図である。
【
図8】本発明に係るCAD作図方法において、所与の5等分角度Δが15°の場合に、中央角度θを求める作図を示す図である。
【
図9】本発明に係るCAD作図方法において、所与の5等分角度Δが25°の場合に、中央角度θを求める作図を示す図である。
【
図10】本発明に係るCAD作図方法において、有限数の角度それぞれにおいて、角度の3等分の角度に相当する角度そのものを用いて中央角度を算出し、これらの有限個の座標点(3等分対象角度、中央角度)に基づいて、作成した近似曲線を示すグラフである。
【
図11】本発明に係るCAD作図方法において、有限数の角度それぞれにおいて、角度の5等分の角度に相当する角度そのものを用いて中央角度を算出し、これらの有限個の座標点(5等分対象角度、中央角度)に基づいて、作成した近似曲線を示すグラフである。
【
図12】本発明に係るCAD作図方法において、有限数の角度それぞれにおいて、角度の7等分の角度に相当する角度そのものを用いて中央角度を算出し、これらの有限個の座標点(7等分対象角度、中央角度)に基づいて、作成した近似曲線を示すグラフである。
【
図13】本発明に係るCAD作図方法において、有限数の角度それぞれにおいて、角度の11等分の角度に相当する角度そのものを用いて中央角度を算出し、これらの有限個の座標点(11等分対象角度、中央角度)に基づいて、作成した近似曲線を示すグラフである。
【
図14】本発明に係るCAD作図方法において、角XOYが20°の5等分の作図する場合に関し、
図11のグラフを利用して中央角を求める図である。
【
図15】本発明に係るCAD作図方法において、角XOYが97°の5等分の作図する場合に関し、
図11のグラフを利用して中央角を求める図である。
【
図16】本発明に係るCAD作図方法において、角XOYが160°の5等分の作図する場合に関し、
図11のグラフを利用して中央角を求める図である。
【
図17】本発明に係るCAD作図方法において、角XOYが20°の7等分の作図する場合に関し、
図12のグラフを利用して中央角を求める図である。
【
図18】本発明に係るCAD作図方法において、角XOYが97°の7等分の作図する場合に関し、
図12のグラフを利用して中央角を求める図である。
【
図19】本発明に係るCAD作図方法において、角XOYが160°の7等分の作図する場合に関し、
図12のグラフを利用して中央角を求める図である。
【
図20】本発明に係るCAD作図方法において、角XOYが20°の11等分の作図する場合に関し、
図13のグラフを利用して中央角を求める図である。
【
図21】本発明に係るCAD作図方法において、角XOYが97°の11等分の作図する場合に関し、
図13のグラフを利用して中央角を求める図である。
【
図22】本発明に係るCAD作図方法において、角XOYが160°の11等分の作図する場合に関し、
図13のグラフを利用して中央角を求める図である。
【
図23】本発明に係るCAD作図方法において、角XOYが80°の21等分の作図手順1を示す図である。
【
図24】本発明に係るCAD作図方法において、角XOYが80°の21等分の作図手順2を示す図である。
【
図25】本発明に係るCAD作図方法において、角XOYが80°の21等分の作図手順3を示す図である。
【
図26】本発明に係るCAD作図方法において、角XOYが80°の21等分の作図手順4を示す図である。
【
図27】本発明に係るCAD作図方法において、角XOYが160°の77等分の作図手順1を示す図である。
【
図28】本発明に係るCAD作図方法において、角XOYが160°の77等分の作図手順2を示す図である。
【
図29】本発明に係るCAD作図方法において、角XOYが160°の77等分の作図手順3を示す図である。
【
図30】本発明に係るCAD作図方法において、角XOYが160°の77等分の作図手順4を示す図である。
【
図31】本発明に係るCAD作図方法において、角XOYが160°の77等分の作図手順5を示す図である。
【
図32】本発明に係るCAD作図方法において、角XOYが160°の77等分の作図手順6を示す図である。
【
図33】本発明に係るCAD作図方法において、角XOYが160°の77等分の作図手順7を示す図である。
【
図34】本発明に係るCAD作図方法において、角XOYが160°の77等分の作図手順8を示す図である。
【
図35】本発明に係るCAD作図方法において、角XOYが160°の105等分の作図手順1を示す図である。
【
図36】本発明に係るCAD作図方法において、角XOYが160°の105等分の作図手順2を示す図である。
【
図37】本発明に係るCAD作図方法において、角XOYが160°の105等分の作図手順3を示す図である。
【
図38】本発明に係るCAD作図方法において、角XOYが160°の105等分の作図手順4を示す図である。
【
図39】本発明に係るCAD作図方法において、角XOYが160°の105等分の作図手順5を示す図である。
【
図40】本発明に係るCAD作図方法において、角XOYが160°の105等分の作図手順6を示す図である。
【
図41】本発明に係るCAD作図方法において、角XOYが160°の105等分の作図手順7を示す図である。
【
図42】本発明に係るCAD作図方法において、角XOYが160°の105等分の作図手順8を示す図である。
【
図43】本発明に係るCAD作図方法において、角XOYが160°の105等分の作図手順9を示す図である。
【
図44】本発明に係るCAD作図方法において、角XOYの3等分の作図手順を示す図である。
【
図45】本発明に係るCAD作図方法において、角XOYの5等分の作図手順を示す図である。
【
図46】本発明に係るCAD作図方法において、角XOYの7等分の作図手順を示す図である。
【
図47】本発明に係るCAD作図方法において、角XOYの11等分の作図手順を示す図である。
【符号の説明】
【0055】
θ:中央角度
φ:3等分角度
XOY(3φ):任意鋭角
ABO1:正三角形
O2:正三角形ABO1の外接円の中心
Z:OO1上の頂点Zにより構成されるZAとZBとのなす角度
H:O2を通り、AO1に平行な線分がO1PのP側への延長線と交わる
I:O2を通り、BO1に平行な線分がO1QのQ側への延長線と交わる点
【要約】
【課題】0°から180°までの任意角度において、実質的な誤差を限りなく小さくすることが可能な実用的な任意角度の3等分に関するCAD向け作図方法を提供する。
【解決手段】
CADシステムにより、直線OXと直線OYとの間の交角XOYを3等分するCAD向け作図方法において、
該CADシステムは、
直線OX上に点A、直線OY上に点Bをそれぞれ、OA=OBとなるように求める段階と、
直線OX上の点Aと直線OY上の点Bとを結び、三角形AOBを作成する段階と、
辺ABを一辺とする正三角形ABO
1を作成する段階と、
正三角形ABO
1に外接する中心O
2の外接円を作図する段階と、
OO
1上の頂点Zにより構成されるZAとZBとのなす角度(中央角θ)を、角度XOYの値に応じて、中央角θを角度XOYを変数とする近似曲線により、中央角θの値を算出する段階と、
OO
1上に角度AZB=θとなるZを求める段階と、
O
1A//O
2H、O
1B//O
2I、となるHおよびIをそれぞれ、AZおよびBZ上に求める段階と、
O
1HとO
2Aとの交点PおよびO
1IとO
2Bとの交点Qを求める段階と、
OPおよびOQを引き、角XOP、角POQおよび角QOYを構成する段階とを、実行し、
これにより、角度XOYを3等分するCAD向け作図方法。
【選択図】
図1