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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-07
(45)【発行日】2023-04-17
(54)【発明の名称】ENT画像の位置合わせ
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20230410BHJP
   A61B 34/20 20160101ALI20230410BHJP
   A61B 17/24 20060101ALI20230410BHJP
【FI】
A61B6/03 377
A61B6/03 360D
A61B34/20
A61B17/24
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017171815
(22)【出願日】2017-09-07
(65)【公開番号】P2018043000
(43)【公開日】2018-03-22
【審査請求日】2020-09-07
(31)【優先権主張番号】62/384,823
(32)【優先日】2016-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/674,380
(32)【優先日】2017-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】イタマル・ブスタン
(72)【発明者】
【氏名】ヨアヴ・ピンスキー
(72)【発明者】
【氏名】アクラム・ゾアビ
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・ゴバリ
(72)【発明者】
【氏名】モシェ・アイ・シレメイ
【審査官】佐藤 秀樹
(56)【参考文献】
【文献】特表2001-500651(JP,A)
【文献】特開2007-130240(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00- 6/14
A61B 13/00-18/18
A61F 2/01
A61N 7/00- 7/02
A61B 34/00-90/98
A61B 1/00- 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
被験者の頭部のボクセルを含んだコンピュータ断層(CT)画像を受け取ることと、
前記CT画像から前記被験者の頭部の表面画像を生成することと、
前記表面画像における前記被験者の鼻の先端に対応する最高点を取得することと、
前記被験者の左眼及び右眼のそれぞれの存在位置を連結する第1の線分を規定するために、前記表面画像における前記それぞれの存在位置を識別するように前記表面画像を解析することと、
ボクセルサブセットを識別することであって、該ボクセルサブセットは、前記頭部の骨性区分に対応するボクセルを含むものであり、また、第2の線分上、及び第3の線分上に存在し、
前記第2の線分は、前記第1の線分に対して平行であり、事前設定された距離だけ前記第1の線分より、前記鼻の先端と反対側にあり、
前記第3の線分は、前記最高点から開始し、前記最高点に近接しかつ垂直方向に存在する前記表面画像上の局所最大値を反復的に探索することによって決定される、
識別することと、
前記被験者の前記頭部上の位置を測定するように構成された磁気追跡システムを起動することと、
前記頭部の表面における磁気システム位置を測定するために、前記磁気追跡システムにおいて動作するプローブを前記骨性区分に近接して配置することと、
前記第2の線分及び前記第3の線分上を移動した前記プローブにより取得された、前記第2の線分及び前記第3の線分に対応する前記磁気システム位置の点を受け取ることと、
ICPアルゴリズムによって生成された費用関数に関連付けられる、前記第2の線分及び前記第3の線分と前記磁気システム位置の点との誤差が、事前設定されたしきい値未満である場合に、前記取得された磁気システム位置と前記ボクセルサブセットとの間の対応を構成することと、
前記対応に応じて、前記CT画像と前記磁気追跡システムとの間の位置合わせを生成することと、を含み、
前記第2の線分と前記第3の線分は大文字のT字を形成し、前記方法は、前記表面の前記磁気システム位置を測定するために前記プローブを配置するのに先立って、前記CT画像を表示し、前記表示されたCT画像上に前記大文字のT字を配置することを更に含む、方法。
【請求項2】
前記事前設定された距離は5cmである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
+200よりも大きいか又はそれに等しいハウンスフィールド単位値を有するボクセルとして、前記頭部の前記骨性区分を識別することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第3の線分は前記被験者の鼻の先端に重なる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
装置であって、
磁気センサと、
前記磁気センサの存在位置を測定するように構成された磁気追跡システムと、
前記システムにおけるプローブの磁気システム位置を測定するように構成された前記磁気センサを備えるプローブと、
プロセッサと、を含み、前記プロセッサが、
被験者の頭部のボクセルを含んだコンピュータ断層(CT)画像を受け取ることと、
前記CT画像から前記被験者の頭部の表面画像を生成することと、
前記表面画像における前記被験者の鼻の先端に対応する最高点を取得することと、
前記被験者の左眼及び右眼のそれぞれの存在位置を連結する第1の線分を規定するために、前記表面画像における前記それぞれの存在位置を識別するように前記表面画像を解析することと、
ボクセルサブセットを識別することであって、該ボクセルサブセットは、前記頭部の骨性区分に対応するボクセルを含むものであり、第2の線分上、及び第3の線分上に存在するものであり、
前記第2の線分は、前記第1の線分に対して平行であり、事前設定された距離だけ前記第1の線分より、前記鼻の先端と反対側にあり、
前記第3の線分は、前記最高点から開始し、前記最高点に近接しかつ垂直方向に存在する前記表面画像上の局所最大値を反復的に探索することによって決定される、
識別することと、
前記磁気追跡システムを起動することと、
前記第2の線分及び前記第3の線分上を移動した前記プローブにより取得された、前記第2の線分及び前記第3の線分に対応する前記磁気システム位置の点を受け取ることと、
ICPアルゴリズムによって生成された費用関数に関連付けられる、前記第2の線分及び前記第3の線分と前記磁気システム位置の点との誤差が、事前設定されたしきい値未満である場合に、前記取得された磁気システム位置と前記ボクセルサブセットとの間の対応を構成することと、
前記対応に応じて、前記CT画像と前記磁気追跡システムとの間の位置合わせを生成することと、を行うように構成されており
前記第2の線分と前記第3の線分は大文字のT字を形成し、前記プロセッサが、前記プローブから前記表面の前記磁気システム位置を受け取るのに先立って、前記CT画像を表示し、前記表示されたCT画像上に前記大文字のT字を配置することを更に行うように構成されている、装置。
【請求項6】
前記事前設定された距離は5cmである、請求項に記載の装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、+200よりも大きいか又はそれに等しいハウンスフィールド単位値を有するボクセルとして、前記頭部の前記骨性区分を識別するように構成されている、請求項に記載の装置。
【請求項8】
前記第3の線分は前記被験者の鼻の先端に重なる、請求項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、参照により本明細書に組み込まれる2016年9月8日出願の米国特許仮出願第62/384,823号の利益を主張するものである。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、広義には画像の位置合わせに関するものであり、より具体的には、画像誘導手術のために用いられ得る種々の様式で生成された画像に関する。
【背景技術】
【0003】
画像誘導手術(IGS)において、医療専門家は、外科手術手技の間に器具の位置及び/又は配向が患者の解剖学的構造の画像上に提示され得るように実時間で追跡される器具を使用する。場合によっては、患者の解剖学的構造の追跡と撮像の両方が、透視診断法などの1つの様式によって実現され得る。しかしながら、透視診断法は電離放射線を用いるものであるため、その利用は最小限にされるべきである。結果として、多くのシナリオにおいて、患者の画像は、磁気共鳴画像法(MRI)又はコンピュータ断層撮影(CT)透視診断法などのある様式で準備され、器具追跡では、電磁気追跡などの異なる様式が用いられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
追跡が効果的となるためには、2つの様式の基準フレームが互いに対して位置合わせされなければならない。耳鼻咽喉科(ENT)手術の場合、特に洞の領域においては、洞が脳及び視神経などの他の器官に近接しているために、正確な位置合わせが重要となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態は方法を提供するものであり、方法は、
被験者の頭部のボクセルを含んだコンピュータ断層(CT)画像を受け取ることと、
被験者の左眼及び右眼のそれぞれの存在位置を連結する第1の線分を規定するために、画像におけるそれぞれの存在位置を識別するように画像を解析することと、
ボクセルサブセットを識別することであって、ボクセルサブセットは、頭部の骨性区分を覆うボクセルを含むものであり、また、第1の線分に対して平行な第2の線分上に、かつ第1の線分に直交する第3の線分上に存在する、ことと、
被験者の頭部上の位置を測定するように構成された磁気追跡システムを起動することと、
骨性区分を覆う頭部の表面の磁気システム位置を測定するために、磁気追跡システムにおいて動作するプローブを骨性区分に近接して配置することと、
磁気システム位置とボクセルサブセットとの間の対応を構成することと、
その対応に応じて、CT画像と磁気追跡システムとの間の位置合わせを生成することと、を含む。
【0006】
通常、第2の線分は、事前設定された距離だけ、第1の線分より上方にある。開示する実施形態では、事前設定された距離は5cmである。
【0007】
開示する実施形態では、頭部の骨性区分は、+200よりも大きいか又はそれに等しいハウンスフィールド単位値を有するボクセルとして識別される。
【0008】
開示する更なる実施形態では、第3の線分は被験者の鼻の先端に重なる。
【0009】
開示する更なる実施形態では、第2の線分と第3の線分は大文字のT字を形成し、方法は、表面の磁気システム位置を測定するためにプローブを配置するのに先立って、CT画像を表示し、表示されたCT画像上にその大文字のT字を配置することを更に含む。
【0010】
本発明の一実施形態により、次のことを含む方法が更に提供され、本方法は、
被験者の頭部のボクセルを含んだコンピュータ断層(CT)画像を受け取ることと、
被験者の左眼及び右眼のそれぞれの存在位置を連結する第1の線分と、第1の線分を直角に切断する第2の線分とを規定するために、画像におけるそれぞれの存在位置を識別するように、画像を解析することであって、2つの線分は画像を各領域に分割するものである、ことと、
被験者の頭部上の位置を測定するように構成された磁気追跡システムを起動することと、
表面の磁気システム位置を測定するために、領域に対応する頭部の表面に近接して、磁気追跡システムにおいて動作するプローブを配置することと、
所与の領域の磁気システム位置の計数が所与の領域に対する事前設定されたしきい値を超えたときに、その指示を提供するし、磁気システム位置と画像のボクセルとの間の対応を形成することと、
その対応に応じて、CT画像と磁気追跡システムとの間の位置合わせを生成することと、を含む。
【0011】
代替的な実施形態では、指示を提供することは、頭部のスケッチの視覚的特徴を変更することを含む。
【0012】
更なる代替的な実施形態では、各領域は、それぞれの事前設定されたしきい値を有する4つの四半分を含む。
【0013】
更なる代替的な実施形態では、方法は、計数を決定するのに先立って、CT画像内のランドマーク点に対応する表面の磁気システム位置を用いて、CT画像と磁気追跡システムとの間の予備的な位置合わせを実施することを含む。ランドマーク点は典型的には、被験者の鼻の先端の下方にある第1の点と、被験者の両眼の間にある第2の点と、第1の線分の左側にある第3の点と、第1の線分の右側にある第4の点とのうちの少なくとも2つを含み得る。
【0014】
本発明の実施形態によると、装置が更に提供され、装置は、
磁気センサと、
磁気センサの存在位置を測定するように構成された磁気追跡システムと、
システムにおけるプローブの磁気システム位置を測定するように構成された磁気センサを含んだプローブと、
プロセッサと、を含み、プロセッサは、
被験者の頭部のボクセルを有するコンピュータ断層(CT)画像を受け取ることと、
被験者の左眼及び右眼のそれぞれの存在位置を連結する第1の線分を規定するために、画像におけるそれぞれの存在位置を識別するように画像を解析することと、
ボクセルのボクセルサブセットを識別することであって、ボクセルサブセットは、頭部の骨性区分を覆うものであり、第1の線分に対して平行な第2の線分上に、かつ第1の線分に直交する第3の線分上に存在する、ことと、
磁気追跡システムを起動することと、
プローブから骨性区分に重なる頭部の表面の磁気システム位置を受け取ることと、
プローブからの磁気システム位置とボクセルサブセットとの間の対応を構成することと、
対応に応じて、CT画像と磁気追跡システムとの間の位置合わせを生成することと、を行うように構成される。
【0015】
本発明の実施形態によると、装置が更に提供され、装置は、
磁気センサと、
磁気センサの存在位置を測定するように構成された磁気追跡システムと、
システムにおけるプローブの磁気システム位置を測定するように構成された磁気センサを含んだプローブと、
プロセッサと、を含み、プロセッサは、
被験者の頭部のボクセルを含んだコンピュータ断層(CT)画像を受け取ることと、
被験者の左眼及び右眼のそれぞれの存在位置を連結する第1の線分と、第1の線分を直角に切断する第2の線分とを規定するために、画像におけるそれぞれの存在位置を識別するように画像を解析することであって、2つの線分は画像を各領域に分割するものである、ことと、
磁気追跡システムを起動することと、
プローブから頭部の表面の磁気システム位置を受け取ることと、
所与の領域の磁気システム位置の計数が所与の領域に対する事前設定されたしきい値を超えたときに、その指示を提供し、磁気システム位置と画像のボクセルとの間の対応を形成することと、
対応に応じて、CT画像と磁気追跡システムとの間の位置合わせを生成することと、を行うように構成される。
【0016】
以下の本開示の実施形態の詳細な説明を図面と併せ読むことで本開示のより完全な理解が得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態による、ENT(耳鼻咽喉)位置合わせシステムを示す概略図である。
図2】本発明の一実施形態による、図1のシステムに対するプロセスの各工程のフローチャートである。
図3】本発明の一実施形態による、図2のフローチャートの各工程を示す概略図である。
図4】本発明の一実施形態による、図2のフローチャートの各工程を示す概略図である。
図5】本発明の一実施形態による、図2のフローチャートの各工程を示す概略図である。
図6】本発明の一実施形態による、代替的なENT位置合わせシステムを示す概略図である。
図7】本発明の一実施形態による、図6のシステムに対する代替的なプロセスの各工程のフローチャートである。
図8】本発明の一実施形態による、図7のフローチャートの各工程を示す概略図である。
図9】本発明の一実施形態による、患者のCT画像における患者の眼の中心を発見するための各工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
概要
CT画像と磁気追跡システムとの間における典型的な位置合わせ手順では、両方のシステムにアクセス可能な多数の異なる点の存在位置が、両方のシステムにおいて獲得される。一例として、鼻の先端がCT画像において識別されてもよく、その鼻の先端の存在位置はまた、磁気追跡システムにおいて獲得されてもよい。そのようなポイントのペアが獲得されると、反復最近点(ICP)定理又はICP定理の変型などの定理によって費用関数が使用されて、2組の点を最良に整合させる、すなわち位置合わせする回転及び/又は並進の変換が推定される。通常、この処理は、変換の精度を改善するために、例えば点のペア数を増加させることによって反復される。
【0019】
CT画像の特質により、ENT処置を受ける患者の外側形体の存在位置、すなわち鼻の先端又は耳垂などの種々の皮膚領域の存在位置は明確に定められる。しかしながら、磁気センサが領域上に配置される磁気追跡システムでは、存在位置が十分に定められないこともある。例えば、耳垂は、その上に磁気センサが配置されるときに移動することがある。2つのシステム間における正確な位置合わせのために、磁気システムにアクセス可能であり、かつそれらの存在位置がシステムで獲得されるときに移動する確率の低い領域が用いられる。本発明の実施形態は、オペレータがそのような領域を識別及び使用するのを支援する方法を提供する。
【0020】
一実施形態では、被験者の左眼及び右眼のそれぞれの存在位置を連結する第1の線分を規定するために、画像におけるそれぞれの存在位置を識別するように、被験者のCT画像が分析される。画像のボクセルサブセットが識別され、そのサブセットは、被験者の頭部の骨性区分を覆うボクセルを含むものであり、また、第1の線分に対して平行な第2の線分上に、かつ第1の線分に直交する第3の線分上に存在するものである。
【0021】
被験者の頭部上の位置を測定するように構成された磁気追跡システムが起動される。骨性区分を覆う頭部の表面の磁気システム位置を測定するために、磁気追跡システムにおいて動作するプローブが骨性区分に近接して配置される。
【0022】
プロセッサは、磁気システム位置とボクセルサブセットとの間の対応を形成し、その対応に応じてCT画像と磁気追跡システムとの間の位置合わせを生成する。
【0023】
代替的な実施形態では、被験者の左眼及び右眼のそれぞれの存在位置を連結する第1の線分と、第1の線分を直角に切断する第2の線分とを規定するために、画像におけるそれぞれの存在位置を識別するように、被験者のCT画像が分析され、2つの線分は画像を各領域に分割するものである。
【0024】
被験者の頭部上の位置を測定するように構成された磁気追跡システムが起動される。表面の磁気システム位置を測定するために、磁気追跡システムにおいて動作するプローブが、領域に対応する頭部の表面に近接して配置される。
【0025】
プロセッサは、測定された磁気システム位置の数を計数し、また、所与の領域の磁気システム位置の計数が前記所与の領域に対する事前設定されたしきい値を超えたときにその指示を提供し、磁気システム位置と画像のボクセルとの間の対応を形成する。プロセッサは、その対応に応じて、CT画像と磁気追跡システムとの間の位置合わせを生成する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
ここで図1を参照するが、図1は、本発明の一実施形態による、ENT(耳鼻咽喉)画像位置合わせシステム20の概略図である。以下の説明では、位置合わせシステム20は、患者22に対する副鼻腔処置の実施に先立って使用されると想定されている。システム20は、本明細書では一例として透視検査用CT(コンピュータ断層撮影)画像を含むと想定される、患者22のCT画像の基準フレームと、患者に近接する磁気センサを追跡するために使用される磁気追跡システム23の基準フレームとを位置合わせする。
【0027】
システム20では、続く洞の処置の間、磁気追跡システムに含められた磁気放射器アセンブリ24が、患者の頭部の下方に配置される。アセンブリ24は磁場放射器26を含み、磁場放射器26は、定位置に固定されるものであり、また患者22の頭部が位置する領域30に交番正弦波磁場を伝送するものである。一例として、アセンブリ24の放射器26は、患者22の頭部の周りに、ほぼ蹄鉄形に配列される。しかしながら、アセンブリ24の放射器に関する代替的な構成は当業者には明らかとなり、そのようなすべての構成が本発明の範囲内に含まれると想定される。
【0028】
処置に先立って、システム20によって実施される位置合わせのために、遠位端部に磁気センサ32を有するプローブ28の遠位端部34が、患者22の皮膚の種々の領域において接触される。アセンブリ24が校正されると、磁場との相互作用に応答してセンサ内に誘発される信号により、遠位端部34の位置を追跡することが可能となる。システム20を操作する医師54によって把持されるプローブコントローラ52は、プローブ28の近位端部に接続され、コントローラは医師がセンサ32からの信号の獲得を制御することを可能にする。Carto(登録商標)システム(Biosense Webster(Diamond Bar,CA))は、磁界によって照射された領域内にあるコイルの位置及び方向を検出するために、本明細書に記載のシステムに類似のシステムを使用する。
【0029】
放射器26を含むシステム20の要素は、1つ以上のメモリと通信する処理ユニットを備えるシステムプロセッサ40によって制御される。プロセッサ40は、キーパッド及び/又はマウス若しくはトラックボールなどのポインティングデバイスを典型的に含む、動作制御装置58を備えるコンソール50内に搭載され得る。コンソール50は、ケーブルを介してかつ/又はワイヤレスで放射器に接続され、また、プローブ28のコントローラ52など、システム20の他の要素にも接続される。医師54は、コントローラ52及び動作制御装置58を使用して、システム20の位置合わせを実施する間にプロセッサと相互作用する。位置合わせプロセスの間、医師が視認するための表面画像70及び顔スケッチ72がスクリーン56上に提示される。表面画像70及び顔スケッチ72の機能について以下で説明する。(位置合わせプロセスに続いて、医師54は、動作制御装置を使用して、処置を実施する間にプロセッサと相互作用し、またプロセッサは処置の結果をスクリーン56上に提示してもよい。)
【0030】
プロセッサ40は、メモリ42内に記憶されたソフトウェアを用いてシステム20を操作する。ソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して、電子的形態でプロセッサ40にダウンロードされてもよいし、又は代替的若しくは追加的に、磁気メモリ、光メモリ、若しくは電子メモリなどの、非一時的な有形媒体上に提供かつ/若しくは記憶されてもよい。
【0031】
プロセッサ40は、とりわけアセンブリ24の磁気放射器26を操作するためにソフトウェアを使用する。上述したように、放射器は、種々の周波数の正弦波交番磁場を患者22の頭部を含む領域30に伝達し、放射器からの磁場はセンサ32内に信号を誘発する。プロセッサは信号を解析して、センサに関して、したがってプローブ28の遠位端部に関して、アセンブリによって規定された基準フレームに対して測定される存在位置及び配向値を導出する。
【0032】
処置の実施に先立って、患者22のCT画像がシステム20による利用のために獲得される。CT画像のデータは、プロセッサ40による後の取り出しのためにメモリ42内に記憶される。以下で説明するように、プロセッサは記憶されたデータを使用して、表面画像70をスクリーン56上に提示する。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、図2はシステム20に実装されるプロセスの各工程のフローチャートであり、図3はそのフローチャートの第1の工程を示す概略図である。フローチャートは、工程100~108を含む第1の準備セクションと、工程109~114を含む後続の実行セクションとの2つのセクションに分割される。フローチャートの実行セクションは、準備セクションの完了後に、数日あるいは更に数週にわたって実施されてもよい。
【0034】
初期の工程100では、患者22の頭部のCT画像が生成され、画像の獲得されたデータがメモリ42内に記憶される。
【0035】
第1の画像解析工程102では、プロセッサ40は、記憶されたCTデータにアクセスし、患者の頭部の表面画像70を生成する。プロセッサは次いで、患者の前額面を越える表面画像の最高点152を発見する。通常、この最高点は患者の鼻の先端に対応する。
【0036】
第2の画像解析工程104では、プロセッサ40は、患者の眼の中心154、146を発見する。1993年に発行された「人工知能及びエキスパートシステムの工業的及び工学的応用(Industrial and Engineering Applications of Artificial Intelligence and Expert Systems)」に関する第6回国際会議の会議録における論文「CT脳スキャンデータにおける眼の特定(Locating the eyes in CT brain scan data)」のページ507~517には、眼の中心を発見するための1つの方法が記載されており、この文献は参照により本明細書に組み込まれる。中心を発見するための他の方法が当業者には明らかとなり、そのようなすべての方法が本発明の範囲内に含まれると想定される。患者の画像において患者の眼の中心を発見するための方法の説明は、以下の付録に示されている。
【0037】
作成工程106では、プロセッサは、工程104において発見された2つの眼の中心を連結する線160を作成する。加えて、プロセッサは線164を作成するが、線164は、線160に直交し、前額面に対して平行であり、工程102において発見された最高点の突出部を通過するものである。図3に示すように、2つの線は、対応する表面画像を、本明細書において1/4区とも呼ばれる4つの四半分領域170、174、178、182へと分割する。
【0038】
しきい値定義工程108では、プロセッサ40は、四半分170、174、178、182の各々において獲得されるべき点の最小数を記憶する。一実施形態では、最小数はそれぞれ20、12、12、及び20である。しかしながら、最小数は、これらの値よりも少なくても多くてもよく、またすべての区分に関して同じであっても異なっていてもよい。本発明者らは、上述した点の数の値は十分な結果を与えるものであることを見出しており、また、当業者は、過度な実験なしに満足な結果を与える値の他のセットを決定することが可能となる。
【0039】
工程108は、フローチャートの準備セクションを完了させる。
【0040】
フローチャートの実行セクションの開始点である、初期の磁気システム点獲得工程109では、(プローブの遠位端部にある)磁気センサ32からの信号がプロセッサ40によって獲得され得るように、医師54がプローブ28を起動する。通常、医師がプローブの遠位端部34を患者の皮膚の所望の部分に配置し、それと同時に、例えば、獲得された信号をメモリ42に保存するためにプローブのコントローラ52内の制御装置を使用してシステム20を起動したときに、信号が獲得される。
【0041】
工程109では、医師は、患者の皮膚上の事前設定された複数の「ランドマーク」点に遠位端部を配置する。ランドマーク点は、プロセッサ40が識別することが可能である、CT画像内の所定のCT位置に対応する。一実施形態では、患者の鼻の先端の下方にある点、眼を除く患者の顔の左側と右側、及び両眼の間の点を含む4つのランドマーク点、並びに磁気センサ32からの信号がこれらの点で獲得される。
【0042】
磁気センサ信号が獲得されると、プロセッサは、磁気アセンブリ基準フレームにおけるそれぞれの磁気位置を計算し、それによって位置の4つの順序対を生成するが、各順序対は対応し、ある形態(磁気位置、CT位置)を有するものである。
【0043】
プロセッサ40は、順序対のセットを使用して予備的な位置合わせ、すなわち、CTシステムを磁気アセンブリと整列させる並進及び/又は回転を含む変換を生成する。
【0044】
上記で説明した実施形態は4つのランドマーク点を使用するが、本発明者らは、4つ未満の点、おそらくは2つの点のみで予備的な位置合わせを生成するのに十分となり得ると考えている。
【0045】
本発明の一実施形態によれば、図4はスクリーン56上の表面画像70及び顔スケッチ72の初期表示を示し、図5は表面画像及びスケッチのそれに続く表示を示している。以下で説明するように、スケッチは、(工程109に見出される予備的な位置合わせと比較して)CT画像の基準フレームと磁気追跡システムの基準フレームとの正確な位置合わせのために十分なデータが収集されたことを指示するために、システム20のユーザ向けの視覚的指示として使用される。
【0046】
フローチャートに戻ると、続く獲得工程110において、プロセッサは、図4に示すように、表面画像及びヒトの顔スケッチをスクリーン56上に表示する。医師54は、引き続き磁気センサ32から信号を獲得し、プロセッサ40はその獲得された信号をメモリ42に保存する。いくつかの実装形態では、ある通知がスクリーン56上に表示されるが、その通知は、鼻橋及び眉毛又は前頭部など、患者の骨性特徴部に近接して遠位端部34が配置されたときに医師が信号を獲得することを示唆するものである。
【0047】
信号が獲得されるたびに、工程109の予備的な位置合わせによって決定された遠位端部34の存在位置にほぼ対応する領域において、それぞれのマークが表面画像150上に置かれる。図4は、一例として、3つのマーク192、194、及び196を示している。
【0048】
信号が獲得されるたびに、プロセッサは、点のソースクラウドへの追加として新たな存在位置を使用してICP定理を更新するために、信号によって決定された存在位置を使用する。(表面画像70は、ICP定理によって使用される点の基準クラウドに対応する。)
【0049】
加えて、信号が獲得されるたびに、プロセッサは、信号が獲得された四半分領域に対するカウンタを増分する。
【0050】
続く工程112では、プロセッサは、各四半分領域のカウンタをチェックし、また獲得された存在位置のしきい値がその領域に到達したとき、プロセッサは、領域のしきい値が到達されているという指示を医師に提供する。
【0051】
本発明の一実施形態では、提供される指示は視覚的指示であり、スケッチ70のうちの初期にはグレーであった部分は、着色されるか又は陰影を付けられることなどによって視覚的に変更される。図4及び5は、指示エリアとして使用される四半分領域170、174、178、182にそれぞれ対応する4つのグレーエリア198、200、202、及び204を示している。図5は、エリア204が陰影付きにされていることを示しており、四半分領域182のしきい値が到達されていることを示している。
【0052】
条件工程114では、医師は、スケッチの視察によって、すべての四半分領域のしきい値が到達されているかどうかをチェックする。チェックが肯定を返す場合、医師は、プローブ28を用いて存在位置を獲得するのを中止し得る。チェックが否定を返す場合、すなわち、しきい値に到達したことの1つ以上の視覚的指示が提供されない場合、フローチャートは工程110に戻り、医師は引き続きプローブ28を用いて点を獲得する。
【0053】
本発明者らは、上記で説明したシステム20の実装が、磁気システム基準フレームとCT撮像基準フレームとの高速で効率的でかつ正確な位置合わせをもたらすことを見出した。
【0054】
ここで図6を参照するが、図6は、本発明の一実施形態による、代替的なENT画像位置合わせシステム220の概略図である。以下に説明する差異を除き、システム220の動作はシステム20(図1~5)の動作と概ね同様であり、システム20と220との双方において同じ参照番号によって示される要素は、構造においても動作においても概ね同様である。
【0055】
システム20とは対照的に、システム220では、スケッチ72などの視覚的指示はスクリーン56上に表示されず、そのため、スクリーン上の表示は表面画像70のみとなり得る。また、2つの基準フレームを位置合わせするためにシステム20によって用いられる、図2のフローチャートの各工程とは対照的に、システム220は、以下で説明するように、異なるフローチャートの各工程を用いる。
【0056】
本発明の一実施形態によれば、図7はシステム220に実装されるプロセスの各工程のフローチャートであり、図8はそれらの工程のうちの1つを示している。図2のフローチャートに関して言えば、図7のフローチャートは、実行セクションが後に続く初期の準備セクションを有する。図7のフローチャートでは、工程230、232、及び234は、それぞれ図2のフローチャートの工程100、102、及び104と実質的に同じである。
【0057】
画像解析工程236では、プロセッサは、工程232及び234で獲得された値を用いて、工程232で生成された表面画像70を解析して、大文字の「T」字形状の獲得された画像内にボクセルを描写する。T字形状は、患者の鼻橋をT字の垂直線250(図8)として含む。垂直線のボクセルを決定するために、プロセッサは、工程232で決定された鼻の先端から開始し、鼻の先端に近接しかつ垂直方向にその上にある表面画像70の局所的最大値を探索することによって、鼻橋の他のボクセル、すなわち鼻の骨性区分を発見する。プロセッサはこのプロセスを反復的に継続して、T字形状の完全な垂直線250に対応するボクセルを発見する。
【0058】
T字形状の水平線252に対応するボクセルを発見するために、工程234で発見された患者の眼の中心を連結する線から、事前設定された垂直距離にあるボクセルを選択する。一実施形態では、事前設定された距離は眼の中心線から上に5cmであるが、他の実施形態では、その距離は5cmより長くても短くてもよい。事前設定された距離は、水平線のボクセルが患者の前頭部の骨性区分に重なるように選定される。
【0059】
必要な場合、上記で説明したように発見されたボクセルの垂直線250は、ボクセルの水平線252と会合するように延長される。
【0060】
解析工程236では、プロセッサは、表面画像70を構成するボクセルのセットのサブセットを生成することが理解されよう。サブセットは、大文字のT字の全体的形状をなし、サブセット34のボクセルは患者の頭部の骨性区分に重なる。一実施形態では、骨性区分は、約+200よりも大きいか又はそれに等しいハウンスフィールド単位値を有する全CT画像のボクセルに対応する。通常、垂直線と水平線のボクセルの両方が1ボクセルの幅を超える。
【0061】
工程236は、フローチャートの準備セクションを完了させる。
【0062】
フローチャートの実行セクションでは、実行工程238において、医師54は、患者22の鼻橋に沿って、また患者の前頭部に沿って、プローブ28の遠位端部34を移動させる。換言すれば、医師はプローブの遠位端部を「T」字のパターンで移動させる。いくつかの実装形態では、プローブをT字のパターンで移動させるように医師に指示するために、図8などの図形がスクリーン56上に表示される。その移動の間、医師はコントローラ52を使用して、プローブ内のセンサ32から信号を獲得する。
【0063】
相関及び位置合わせ工程240では、プロセッサはICP定理を用いて、工程238で獲得された点と工程236で生成されたボクセルのサブセットとを相関させる。相関を実施する間、プロセッサはまた、2つの基準フレーム、すなわち磁気システムの基準フレームとCT撮像システムの基準フレームとを位置合わせする。この定理は、ボクセルのサブセットを点の基準セットとして、また工程238で獲得された点を点のソースセットとして用いるものである。
【0064】
条件工程242では、プロセッサは、工程240で実施された位置合わせが十分に正確であるかどうか、すなわち、ICP定理によって生成された費用関数に関連付けられる誤差が十分に小さく、典型的には事前設定されたしきい値未満であるかどうかをチェックする。条件が肯定を返す場合、医師が点の獲得を中止し得ることを医師に知らせる通知が通常、スクリーン56上に提示される。その通知はまた、所定の位置をタッチし、CT画像上でこれらの位置をプロセッサにマークさせること、及び/又はそのような位置の間の距離を測定することによって、医師が位置合わせの検証を実施することを示唆してもよい。条件が否定を返す場合、又は検証が失敗する場合、フローチャートは工程238に戻り、ここで医師は引き続きプローブ28を用いて点を獲得する。
【0065】
点の基準セット及び点のソースセットは同じ「T」字形状を有することから、またいずれのセットもそれぞれのセットの小さなサブセットであるため、ICP定理を用いることで、磁気システムの基準フレームとCT撮像の基準フレームとの位置合わせが極めて迅速で正確となることを本発明者らは見出した。
【0066】
付録
図9は、本発明の一実施形態による、患者のCT画像における患者の目の中心を発見するための各工程を示すフローチャートである。フローチャートの各工程は、上記で参照した文献、「CT脳スキャンデータにおける眼の特定(Locating the eyes in CT brain scan data)」に基づくものであり、以下の説明では、フローチャートの各工程は、プロセッサ40が患者22の頭部のCT画像を操作することによって実現されると想定されている。
【0067】
初期工程300は、上記で説明した工程100と実質的に同等である。
【0068】
関心領域特定工程302では、プロセッサ40は、例えば、画像のスライスをラスタ走査して各スライスにおいて頭部の表面を発見することによって、CT画像における患者の頭部に対する境界ボックスを描写する。
【0069】
エッジ検出工程304では、プロセッサは、典型的にはキャニー(Canny)アルゴリズムを用いることによって、境界ボックス内の実態のエッジを区分する。
【0070】
円形特定工程306では、プロセッサは、典型的にはハフ変換を用いることにより、エッジによって画定される円形を発見する。当該技術分野では知られているように、ハフ変換は投票手順を用いて、所与の形状、この場合は円形の物体のインスタンスを発見するものである。通常、線投票が用いられ得るが、線は円形に対して定義されるものである。ハフ変換の結果は、収束2乗アルゴリズムを用いて拡張され得る。
【0071】
パターン認識工程308において、工程306で発見された円形は、それらがパターンを形成するかどうか、すなわち、対応する円形がCT画像の隣接スライスのクラスタに存在することを確認するためにチェックされる。円形のクラスタを形成するために、ISODATA教師なしクラスタリングアルゴリズムが用いられてもよい。
【0072】
濾過工程310において、誤った結果を除去するために、工程308のクラスタが濾過される。一実施形態では、眼球半径に対する既知の考えられる寸法を用いて、ハフ変換が2度目に用いられてもよい。
【0073】
最終工程312において、工程310の後の残存するクラスタの中心が、CT画像における眼の中心とされる。
【0074】
上に述べた実施形態は例として挙げたものであり、本発明は上記に具体的に示し、説明したものに限定されない点は理解されよう。むしろ、本発明の範囲は、上記されている種々の特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせと、前述の説明を読むことに基づいて当業者が想起するであろう、先行技術に開示されていない変形例及び修飾との両方を含む。
【0075】
〔実施の態様〕
(1) 方法であって、
被験者の頭部のボクセルを含んだコンピュータ断層(CT)画像を受け取ることと、
前記被験者の左眼及び右眼のそれぞれの存在位置を連結する第1の線分を規定するために、前記画像における前記それぞれの存在位置を識別するように前記画像を解析することと、
ボクセルサブセットを識別することであって、該ボクセルサブセットは、前記頭部の骨性区分を覆うボクセルを含むものであり、また、前記第1の線分に対して平行な第2の線分上に、かつ前記第1の線分に直交する第3の線分上に存在する、ことと、
前記被験者の前記頭部上の位置を測定するように構成された磁気追跡システムを起動することと、
前記骨性区分を覆う前記頭部の表面の磁気システム位置を測定するために、前記磁気追跡システムにおいて動作するプローブを前記骨性区分に近接して配置することと、
前記磁気システム位置と前記ボクセルサブセットとの間の対応を構成することと、
前記対応に応じて、前記CT画像と前記磁気追跡システムとの間の位置合わせを生成することと、を含む方法。
(2) 前記第2の線分は、事前設定された距離だけ前記第1の線分より上にある、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記事前設定された距離は5cmである、実施態様2に記載の方法。
(4) +200よりも大きいか又はそれに等しいハウンスフィールド単位値を有するボクセルとして、前記頭部の前記骨性区分を識別することを含む、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記第3の線分は前記被験者の鼻の先端に重なる、実施態様1に記載の方法。
【0076】
(6) 前記第2の線分と前記第3の線分は大文字のT字を形成し、前記方法は、前記表面の前記磁気システム位置を測定するために前記プローブを配置するのに先立って、前記CT画像を表示し、前記表示されたCT画像上に前記大文字のT字を配置することを更に含む、実施態様1に記載の方法。
(7) 方法であって、
被験者の頭部のボクセルを含んだコンピュータ断層(CT)画像を受け取ることと、
前記被験者の左眼及び右眼のそれぞれの存在位置を連結する第1の線分と、前記第1の線分を直角に切断する第2の線分とを規定するために、前記画像における前記それぞれの存在位置を識別するように、前記画像を解析することであって、前記2つの線分は前記画像を各領域に分割するものである、ことと、
前記被験者の前記頭部上の位置を測定するように構成された磁気追跡システムを起動することと、
前記頭部の表面の磁気システム位置を測定するために、前記領域に対応する前記表面に近接して、前記磁気追跡システムにおいて動作するプローブを配置することと、
所与の領域の前記磁気システム位置の計数が前記所与の領域に対する事前設定されたしきい値を超えたときに、その指示を提供し、前記磁気システム位置と前記画像の前記ボクセルとの間の対応を形成することと、
前記対応に応じて、前記CT画像と前記磁気追跡システムとの間の位置合わせを生成することと、を含む方法。
(8) 前記指示を提供することは、前記頭部のスケッチの視覚的特徴を変更することを含む、実施態様7に記載の方法。
(9) 前記領域は、それぞれの事前設定されたしきい値を有する4つの四半分を含む、実施態様7に記載の方法。
(10) 前記計数を決定するのに先立って、前記CT画像内のランドマーク点に対応する前記表面の磁気システム位置を用いて、前記CT画像と前記磁気追跡システムとの間の予備的な位置合わせを実施することを含む、実施態様7に記載の方法。
【0077】
(11) 前記ランドマーク点は、前記被験者の鼻の先端の下方にある第1の点と、前記被験者の両眼の間にある第2の点と、前記第1の線分の左側にある第3の点と、前記第1の線分の右側にある第4の点とのうちの少なくとも2つを含む、実施態様10に記載の方法。
(12) 装置であって、
磁気センサと、
前記磁気センサの存在位置を測定するように構成された磁気追跡システムと、
前記システムにおけるプローブの磁気システム位置を測定するように構成された前記磁気センサを備えるプローブと、
プロセッサと、を含み、前記プロセッサが、
被験者の頭部のボクセルを含んだコンピュータ断層(CT)画像を受け取ることと、
前記被験者の左眼及び右眼のそれぞれの存在位置を連結する第1の線分を規定するために、前記画像における前記それぞれの存在位置を識別するように前記画像を解析することと、
ボクセルサブセットを識別することであって、該ボクセルサブセットは、前記頭部の骨性区分を覆うボクセルを含むものであり、前記第1の線分に対して平行な第2の線分上に、かつ前記第1の線分に直交する第3の線分上に存在するものである、ことと、
前記磁気追跡システムを起動することと、
前記プローブから前記骨性区分に重なる前記頭部の表面の磁気システム位置を受け取ることと、
前記プローブからの前記磁気システム位置と前記ボクセルサブセットとの間の対応を構成することと、
前記対応に応じて、前記CT画像と前記磁気追跡システムとの間の位置合わせを生成することと、を行うように構成されている、装置。
(13) 前記第2の線分は、事前設定された距離だけ、前記第1の線分より上方にある、実施態様12に記載の装置。
(14) 前記事前設定された距離は5cmである、実施態様13に記載の装置。
(15) 前記プロセッサは、+200よりも大きいか又はそれに等しいハウンスフィールド単位値を有するボクセルとして、前記頭部の前記骨性区分を識別するように構成されている、実施態様12に記載の装置。
【0078】
(16) 前記第3の線分は前記被験者の鼻の先端に重なる、実施態様12に記載の装置。
(17) 前記第2の線分と前記第3の線分は大文字のT字を形成し、前記方法は、前記プローブから前記表面の前記磁気システム位置を受け取るのに先立って、前記CT画像を表示し、前記表示されたCT画像上に前記大文字のT字を配置することを更に含む、実施態様12に記載の装置。
(18) 装置であって、
磁気センサと、
前記磁気センサの存在位置を測定するように構成された磁気追跡システムと、
前記システムにおけるプローブの磁気システム位置を測定するように構成された前記磁気センサを備えるプローブと、
プロセッサと、を含み、前記プロセッサが、
被験者の頭部のボクセルを含んだコンピュータ断層(CT)画像を受け取ることと、
前記被験者の左眼及び右眼のそれぞれの存在位置を連結する第1の線分と、前記第1の線分を直角に切断する第2の線分とを規定するために、前記画像における前記それぞれの存在位置を識別するように、前記画像を解析することであって、前記2つの線分は前記画像を各領域に分割するものである、ことと、
前記磁気追跡システムを起動することと、
前記プローブから前記頭部の表面の磁気システム位置を受け取ることと、
所与の領域の前記磁気システム位置の計数が前記所与の領域に対する事前設定されたしきい値を超えたときに、その指示を提供し、前記磁気システム位置と前記画像の前記ボクセルとの間の対応を形成することと、
前記対応に応じて、前記CT画像と前記磁気追跡システムとの間の位置合わせを生成することと、を行うように構成されている、装置。
(19) 前記指示を提供することは、前記頭部のスケッチの視覚的特徴を変更することを含む、実施態様18に記載の装置。
(20) 前記領域は、それぞれの事前設定されたしきい値を有する4つの四半分を含む、実施態様18に記載の装置。
【0079】
(21) 前記プロセッサは、前記計数を決定するのに先立って、前記CT画像内のランドマーク点に対応する前記表面の磁気システム位置を用いて、前記CT画像と前記磁気追跡システムとの間の予備的な位置合わせを実施するように構成されている、実施態様18に記載の装置。
(22) 前記ランドマーク点は、前記被験者の鼻の先端の下方にある第1の点と、前記被験者の両眼の間にある第2の点と、前記第1の線分の左側にある第3の点と、前記第1の線分の右側にある第4の点とのうちの少なくとも2つを含む、実施態様21に記載の装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9