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特許7258462B細胞悪性腫瘍の治療のためのセルデュラチニブ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-07
(45)【発行日】2023-04-17
(54)【発明の名称】B細胞悪性腫瘍の治療のためのセルデュラチニブ
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/505 20060101AFI20230410BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230410BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20230410BHJP
【FI】
A61K31/505 ZMD
A61P35/00
A61P35/02
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2017561821
(86)(22)【出願日】2016-05-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-07-26
(86)【国際出願番号】 US2016034861
(87)【国際公開番号】W WO2016196385
(87)【国際公開日】2016-12-08
【審査請求日】2019-05-16
【審判番号】
【審判請求日】2021-06-30
(31)【優先権主張番号】62/168,530
(32)【優先日】2015-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/263,582
(32)【優先日】2015-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506109155
【氏名又は名称】ポートラ ファーマシューティカルズ, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】パンディー, アンジャリ
(72)【発明者】
【氏名】コフィー, グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】リーズ, ジャネット
【合議体】
【審判長】原田 隆興
【審判官】藤原 浩子
【審判官】岩下 直人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/018567(WO,A1)
【文献】特表2011-518158(JP,A)
【文献】A phase I open-label, multi-dose escalation study of the dual Syk/Jak inhibitor PRT062070 (cerdulatinib) in patients with relapsed/refractory B Cell malignancies,Blood,2014年,124 (21),3103
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
CAPlus/MEDLINE/BIOSIS/EMBASE/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要とするヒト患者における血液癌を治療するための、セルデュラチニブまたは薬学上許容できるその塩を含む組成物であって、1日用量のセルデュラチニブまたは薬学上許容できるその塩が前記患者に投与されることを特徴とし、
前記セルデュラチニブまたは薬学上許容できるその塩の1日用量が60mgであり、約30mgが2回で投与され、または
前記セルデュラチニブまたは薬学上許容できるその塩の1日用量が50mgであり、約25mgが2回で投与される、組成物。
【請求項2】
前記血液癌が再発性または難治性である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記患者が、再発及び/または血液癌を治療するための薬剤に対する耐性と関連がある突然変異を有する、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記患者が、del17pの突然変異、P53の突然変異、ATMの突然変異、STATの突然変異、STAT6の突然変異、C481S BTKの突然変異、NOTCH経路に関連する突然変異、またはカドヘリンの突然変異を有する、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記患者が、P53、BTK及びEP300のすべてにおいて突然変異を有さない、請求項3~4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
前記患者が、BTKの突然変異を有する、請求項3に記載の組成物。
【請求項7】
前記患者が、イブルチニブに対する耐性を有する、請求項3に記載の組成物。
【請求項8】
前記血液癌が、非ホジキンリンパ腫(NHL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小
リンパ球性リンパ腫(SLL)、濾胞性リンパ腫(FL)、形質転換濾胞性リンパ腫(tFL)、びまん性大型B細胞リンパ腫(DLBCL)及びマントル細胞リンパ腫(MCL)から成る群から選択される、請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記血液癌がCLLである、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記血液癌がSLLである、請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
前記血液癌がFLである、請求項8に記載の組成物。
【請求項12】
前記血液癌がtFLである、請求項8に記載の組成物。
【請求項13】
前記血液癌がDLBCLである、請求項8に記載の組成物。
【請求項14】
前記血液癌がMCLである、請求項8に記載の組成物。
【請求項15】
前記患者が、アルキル化剤、抗CD20抗体、BCL-2阻害剤、BTK阻害剤、P13Kδ阻害剤、白金系薬剤、代謝拮抗剤、アントラサイクリン、BCR経路阻害剤、及び血液癌を治療するのに使用される別の化学療法剤から成る群から選択される薬剤を以前投与された、請求項1~14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
前記患者が、ベネトクラックス、リツキシマブ、イブルチニブ、イデラリシブ及びフルダラビンから成る群から選択される薬剤を以前投与された、請求項1~15に記載の組成物。
【請求項17】
前記組成物が、薬学上許容できる賦形剤またはキャリアをさらに含む医薬組成物にて投与されることを特徴とする、請求項1~16のいずれかに記載の組成物。
【請求項18】
前記血液癌が非ホジキンリンパ腫である、請求項1~7または15~17のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
前記血液癌が緩慢性非ホジキンリンパ腫である、請求項1~7および15~17のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項20】
前記血液癌がB細胞悪性腫瘍である、請求項1~7または15~17のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項21】
前記セルデュラチニブが他の抗癌剤療法と一緒に投与されない、請求項1~20のいずれか1項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、その双方とも、その全体が参照によって本明細書に組み入れられる2015年5月29日に出願された米国仮特許出願第62/168,530号及び2015年12月4日に出願された同第62/263,582号の米国特許法第119条(e)のもとでの利益を主張する。
【0002】
発明の分野
本開示は一般に、B細胞悪性腫瘍及び再発性または難治性の血液癌を含む血液癌を治療するためのセルデュラチニブ(cerdulatinib)の使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
造血組織及びリンパ組織の腫瘍または造血系及びリンパ系の悪性腫瘍は、血液、骨髄、リンパ及びリンパ系を冒す腫瘍である。それらの要因は循環系及び免疫系の双方を介して最終的にはすべてつながるので、1つを冒している疾患は同様に他を冒すことが多く、骨髄増殖及びリンパ増殖(従って白血病及びリンパ腫)は密接に関連した且つ重複することが多い問題となる。
【0004】
血液悪性腫瘍は2つの主要な血液細胞系列:骨髄細胞系とリンパ細胞系のいずれかに由来してもよい。骨髄細胞系は正常では、顆粒球、赤血球、血小板、マクロファージ及び肥満細胞を生じ、リンパ細胞系はB細胞、T細胞、NK細胞及び形質細胞を生じる。リンパ腫、リンパ性白血病及び骨髄腫はリンパ系に由来する一方で、急性及び慢性の骨髄性白血病、骨髄異形成症候群及び骨髄増殖性疾患は起源が骨髄である。
【0005】
B細胞リンパ腫はB細胞を冒すリンパ腫の型である。リンパ腫はリンパ節における「血液癌」である。B細胞リンパ腫にはホジキンリンパ腫とほとんどの非ホジキンリンパ腫の双方が挙げられる。
【0006】
濾胞性リンパ腫(FL)は一種の血液癌である。それは進行が遅い(緩慢増殖の)非ホジキンリンパ腫の最も一般的なものであり、非ホジキンリンパ腫全体の中で2番目に最も一般的なものである。それは濾胞中心B細胞(中心細胞及び胚中心細胞)のリンパ腫として定義され、少なくとも部分的に濾胞パターンを有する。
【0007】
慢性リンパ性白血病(CLL)としても知られるB細胞慢性リンパ球性白血病(B-CLL)は、成人における白血病(白血球の癌の型)の最も一般的な型である。CLLは、骨髄を起源とし、リンパ節で発達し、正常では抗体を産生することによって感染と闘うB細胞リンパ球を冒す。CLLは、主としてリンパ節で症状が見つかるB細胞リンパ腫の型である小リンパ球性リンパ腫(SLL)の一段階である。CLL及びSLLは見かけだけが異なる同じ基礎疾患と見なされる。
【0008】
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCLまたはDLBL)は、抗体を産生することに関与する白血球の種類であるB細胞の癌である。びまん性大細胞型B細胞リンパ腫は、生物学的に且つ臨床的に多様なセットの疾患を包含し、その多くは明確に定義され、広く受け入れられている基準によって互いに分けることができない。
【0009】
シグナル伝達に介在するB細胞受容体(BCR)は慢性リンパ球性白血病(CLL)の病態形成に必要とされ、BCRのシグナル伝達複合体中でのキナーゼを標的とする薬剤はこの疾患の治療に変革をもたらしている。
【0010】
CLLの治療法に採用される一部の化学療法剤には、BTKを標的とするイブルチニブ(IMBRUVICA(登録商標))及びPI3Kδを標的とするイデラリシブ(ZYDELIG(登録商標))が挙げられる。しかしながら、これらの化合物は疾患を抑制するが、通常治癒させるものではない。さらに、CLL患者はBTLもしくは下流のシグナル伝達タンパク質の突然変異または他のメカニズムを介してこれらの化学療法剤に対する耐性を発生し得る。
【0011】
CLL、SLL、DLBCL及びFLについての標準治療ができない患者にとっての現在の治療選択肢は限られている。その結果、血液悪性腫瘍に対する新しい治療法の必要性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本明細書で提供されるのは、約10mg~約75mgの1日用量のセルデュラチニブまたは薬学上許容できるその塩を患者に投与すること含む、それを必要とするヒト患者にて血液癌またはB細胞悪性腫瘍を治療する方法である。
【0013】
本明細書で提供されるのはまた、有効量のセルデュラチニブまたは薬学上許容できるその塩を患者に投与すること含む、それを必要とする患者にて再発性または難治性の血液癌を治療する方法である。
【0014】
一部の実施形態は、有効量のセルデュラチニブまたは薬学上許容できるその塩を患者に投与すること含む、それを必要とする患者にて再発性または難治性の血液癌を治療する方法を提供し、
その際、患者は、再発及び/または血液癌を治療するための薬剤に対する耐性に関連がある突然変異を有し、
有効量のセルデュラチニブまたは薬学上許容できるその塩は約30mg~約80mgの1日用量のセルデュラチニブである。
【0015】
一部の実施形態では、血液癌は、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、濾胞性リンパ腫(FL)、形質転換濾胞性リンパ腫(tFL)、びまん性大型B細胞リンパ腫(DLBCL)またはマントル細胞リンパ腫(MCL)である。
【0016】
一部の実施形態では、それを必要とする患者は多数の理由で血液癌に対する薬剤耐性及び/または再発を示している患者である。たとえば、患者は再発及び/または血液癌を治療するための薬剤に対する耐性に関連がある突然変異を有してもよい。たとえば、患者は、del17pの突然変異、P53の突然変異、ATMの突然変異、STATの突然変異、STAT6の突然変異、C481S STAT6の突然変異、NOTCH経路に関連する突然変異、カデリン経路に関連する突然変異、またはそれらの組み合わせを有してもよい。一部の実施形態によれば、患者はP53、BTK及びEP300のすべてにおいて突然変異を有さない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】2μMのセルデュラチニブで72時間の種々のDLBCL細胞株におけるFACS解析によるEdu取り込みの阻害を示すグラフである。
図2】2μMのセルデュラチニブで72時間の種々のDLBCL細胞株におけるFACS解析によるカスパーゼ3切断の先行する誘導の阻害を示すグラフである。
図3】溶媒または種々の用量レベルのセルデュラチニブで処理する間の時間に対してプロットした後肢炎症スコア(平均値±平均値の標準誤差(「SEM」);y軸;n=群当たり8匹)を提供する。各投与群の平均血漿濃度(Cmax)をグラフの右にて示す。星印はスチューデントt検定による溶媒と比べた統計的な有意性を示す(p<0.05)。
図4】WTのBTKを形質移入したTMD8細胞におけるイブルチニブ及びセルデュラチニブの効果の結果を示す。250nMのイブルチニブまたはセルデュラチニブを培養物に加え、7日間毎日、生細胞の数を数えた。示した結果は4回の反復実験の平均値±標準誤差(「SE」)である。白抜きの丸=ジメチルスルホキシド(「DMSO」)、黒丸=イブルチニブ(「IBR」);三角=セルデュラチニブ(「Cerd」)。
図5】BTKC481Sで形質移入したTMD8細胞におけるイブルチニブ及びセルデュラチニブの効果を示す。250nMのイブルチニブまたはセルデュラチニブを培養物に加え、7日間毎日、生細胞の数を数えた。示した結果は4回の反復実験の平均値±SEである。白抜きの丸=ジメチルスルホキシド(「DMSO」)、黒丸=イブルチニブ(「IBR」);三角=セルデュラチニブ(「Cerd」)。
図6】変異させていない(「UM」)IGHVを有するCLL細胞(N=33)の方がIGHVを変異させた(「M」)CLL(N=27)よりもセルデュラチニブに感受性であることを示す。データはスチューデントt検定で解析した。IC50の平均値+SEをプロットする。p=0.0395
図7】種々の細胞遺伝学的な異常を有するCLL細胞のセルデュラチニブ感受性を示す。各亜群についての症例数を示す。データはANOVA検定によって解析した。IC50の平均値+SEをプロットする。*,p<0.05
【発明を実施するための形態】
【0018】
1. 定義
定義されない限り、本明細書で使用されている専門用語及び科学用語はすべて本開示が属する技術の当業者によって共通して理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で使用されるとき、以下の用語は以下の意味を有する。
【0019】
本明細書にて及び添付のクレームにて使用されるとき、文脈が明瞭に指示しない限り、単数形態「a」、「an」、及び「the」は複数の指示対象を含むことが言及されなければならない。従って、たとえば、「an agent」に対する言及は複数のagentsを含む。
【0020】
本明細書で使用されるとき、用語「comprising(含んでいる)」または「comprises(含む)」は組成物及び方法が引用された要素を含むが、他を排除しないことを意味するように意図される。「consisting essentially of(本質的に~からなる)」は組成物及び方法を定義するのに使用される場合、示された目的での組み合わせに対して本質的な意義の他の要素を排除することを意味すべきである。従って、本明細書で定義されているような要素から本質的に成る組成物は、請求されている基本的で新規の特徴に実質的に影響を与えない他の物質または工程を排除しないことになる。「consisting of(からなる)」は、他の成分及び実質的な方法工程の少し以上の要素を排除することを意味するべきである。これらの移行用語のそれぞれによって定義される実施形態は本開示の範囲の中にある。
【0021】
用語「約」は数字表示、たとえば、範囲を含む温度、時間、量及び濃度の前で使用される場合、(+)または(-)10%、5%または1%変化してもよい近似値を示す。
【0022】
本明細書で使用されるとき、用語「薬学上許容できる塩」は、その対イオンが塩の薬学的用量にて患者にとって毒性ではない酸または塩基の付加塩を指す。薬学上許容できる塩のホストは薬学の分野で周知である。本開示の化合物の薬学上許容できる塩がこれらの組成物で利用されるのであれば、それらの塩は好ましくは無機または有機の酸及び塩基に由来する。そのような酸塩の中で挙げられるのは、以下:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、カンファー酸塩、カンファースルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、ルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニル-プロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩、ウンデカン酸塩、ヒドロハロゲン化合物(たとえば、ヒドロ塩化物及びヒドロ臭化物)、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、スルファミン酸塩、マロン酸塩、サリチル酸塩、メチレン-ビス-b-ヒドロキシナフトエ酸塩、ゲンチジン酸塩、イセチオン酸塩、ジ-p-トルオイル酒石酸塩、エタンスルホン酸塩、シクロヘキシルスルファミン酸塩、キナ酸塩、等である。薬学上許容できる塩基付加塩には限定しないで、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩基に由来するもの、または従来の有機塩基に由来するもの、たとえば、トリエチルアミン、ピリジン、ピペリジン、モルフォリン、N-メチルモルフォリン、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、たとえば、ナトリウム及びカリウム塩、アルカリ土類金属塩、たとえば、カルシウム及びマグネシウム塩、有機塩基を伴う塩、たとえば、ジシクロヘキシルアミン塩、N-メチル-D-グルカミン、及びたとえば、アルギニン、リジンのようなアミノ酸を伴う塩、等が挙げられる。
【0023】
さらに、たとえば、塩化、臭化、及びヨウ化メチル、エチル、プロピル及びブチルのような低級アルキルハロゲン化合物、たとえば、硫酸ジメチル、ジエチル、ジブチル及びジアミルのような硫酸ジアルキル、たとえば、塩化、臭化、及びヨウ化デシル、ラウリル、ミリスチル及びステアリルのような長鎖ハロゲン化合物、たとえば、臭化ベンジル及び臭化フェネチル等のようなアラルキルハロゲン化合物のような作用物質によって、塩基性窒素含有基を四級化してもよい。それによって水溶性または油溶性または水分散性または油分散性の生成物が得られる。
【0024】
セルデュラチニブまたは本明細書に記載されている他の化合物の「プロドラッグ」も熟考され、それらは生理的条件下で化学的変化を容易に受けて本開示の化合物を提供する化合物である。さらに、プロドラッグは生体外環境にて化学的方法または生化学的方法によって本開示の化合物に変換することができる。たとえば、プロドラッグは、好適な酵素または化学試薬と共に経皮貼付剤リザーバに入れると本開示の化合物にゆっくり変換することができる。プロドラッグは活性のある薬剤に変換されるまで薬理学上不活性であることが多いが、必ずしもそうではない。プロドラッグは通常、使用の特定の条件下で、たとえば、切断のような形質転換を受けて官能基、従って活性のある薬剤を放出するプロ部分を形成するプロ基(以下で定義される)による活性にある程度必要とされる考えられる薬剤における官能基を覆い隠すことによって得られる。プロ部分の切断は、たとえば、加水分解反応を手段としてのように自然発生的に進んでもよく、またはそれは、たとえば、酵素によって、光によって、酸もしくは塩基によって、または温度の変化のような物理的もしくは環境のパラメータの変化もしくはそれへの曝露によってのような別の作用因子によって触媒されてもよいし、もしくは誘導されてもよい。作用因子は、たとえば、プロドラッグが投与される細胞に存在する酵素もしくは胃における酸性条件のように、使用の条件に対して内在性であってもよく、またはそれは外来性に供給されてもよい。
【0025】
「プロ基」は、活性のある薬剤の中での官能基を覆い隠してプロ部分を形成するのに使用される場合、薬剤をプロドラッグに変換する保護基の種類を指す。プロ基は通常、使用の特定の条件下で切断できる結合を介して薬剤の官能基に連結される。従って、プロ基は、使用の特定の条件下で官能基を放出するように切断するプロ部分のその部分である。具体例として、式-NH-C(O)CHのアミドプロ部分はプロ基-C(O)CHを含む。
【0026】
本明細書に記載されている化合物における官能基を覆い隠してプロドラッグを得るのに好適な多種多様なプロ基と同様に得られるプロ部分は当該技術分野で周知である。たとえば、アミノ官能基はアミド、カルバメート、イミン、尿素、ホスフェニル、ホスホリルまたはスルフェニルというプロ部分として覆い隠されてもよく、それは生体内で加水分解されてアミノ基を提供してもよい。本開示には、徐放性製剤またはプロドラッグ製剤として使用するために溶解性または加水分解の特徴を改変するための当該技術分野で既知のエステル及びアシル基が含まれる。好適なプロ基及びそのそれぞれのプロ部分の他の具体例は当業者に明らかであろう。
【0027】
本明細書で使用されるとき、「阻害剤」は、刺激または活性を阻害するまたはそれに結合する、部分的にまたは完全にそれを阻止する、活性化または酵素活性を減らす、終わらせる、防止する、遅延させる、受容体の活性を不活化する、鈍感にするまたは下方調節する作用因子または分子を指す。
【0028】
用語「薬学上許容できるキャリアまたは賦形剤」は一般に安全で、毒性ではなく、生物学的にもその他にも望ましくない医薬組成物を調製するのに有用であるキャリアまたは賦形剤を意味し、それには、ヒト医薬での使用と同様に家畜での使用に許容できるキャリアまたは賦形剤が挙げられる。「薬学上許容できるキャリアまたは賦形剤」には本明細書で使用されるとき、1及び1を超えるそのようなキャリアまたは賦形剤が含まれる。
【0029】
用語「投与すること」は、経口投与、坐薬としての投与、局所接触、静脈内の、腹腔内の、筋肉内の、病変内の、鼻内のまたは皮下の投与、または徐放用用具、たとえば、ミニ浸透圧ポンプの対象への埋め込みを指す。投与は、非経口及び経粘膜(たとえば、頬内、舌下、口蓋、歯肉、鼻、膣、直腸または経皮)を含む任意の経路による。非経口投与には、たとえば、静脈内、筋肉内、細動脈内、皮内、皮下、腹腔内、脳室内及び頭蓋内が挙げられる。他の送達の方式には、リポソーム製剤の使用、静脈内点滴、経皮貼付剤等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
「患者」は、ヒト及び非ヒト動物、特に哺乳類を指す。患者の例には、ヒト、ウシ、イヌ、ネコ、ヤギ、ヒツジ、ブタ及びウサギが挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
用語「治療する」、「治療すること」、「治療」及びその文法的変形には本明細書で使用されるとき、疾患または状態の1以上の付随する症状の激しさを部分的にまたは完全に遅延させる、緩和する、和らげるまたは軽減すること、及び/または疾患または状態の1以上の原因を緩和する、和らげるまたは妨げることが含まれる。本明細書に記載されているような治療は予防的に、予防上、一時緩和で、または救済的に適用されてもよい。
【0032】
用語「予防する」、「予防すること」、「予防」及びその文法的変形は本明細書で使用されるとき、疾患または状態の発症もしくは再発及び/またはその付随する症状の1以上を部分的にまたは完全に遅延させるまたは不可能にする、または対象が疾患または状態に罹るまたは再び罹るのを防ぐ、または疾患または状態またはその付随する症状の1以上に罹るまたは再び罹る対象のリスクを軽減する方法を指す。
【0033】
本文脈では、用語「治療上有効な」または「有効量」は、投与された際の化合物または物質または化合物もしくは物質の量が、治療される疾病、疾患または病状の1以上の症状を予防する、緩和するまたは改善する、及び/または治療される対象の生存を延長するのに十分であるまたは有効であることを示す。治療上有効な量は疾病、疾患または状態及びその重症度ならびに治療される哺乳類の年齢、体重等に応じて変化するであろう。投与量は、たとえば、1日4回までの分割用量でまたは徐放性形態で好都合に投与することができる。
【0034】
本明細書で使用されるとき、「1日用量」は24時間以内に服用されるべきである治療物質の総量を指す。
【0035】
本明細書に記載されている方法及び組成物は通常、ヒト対象のための治療法で使用されるであろう。しかしながら、それらは他の動物対象における類似のまたは同一の適応を治療するのにも使用されてもよい。この文脈で、「対象」、「動物対象」等は、ヒト及び非ヒト脊椎動物、たとえば、非ヒト霊長類、スポーツ及び商業用動物、たとえば、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、齧歯類、及びペット、たとえば、イヌ及びネコのような哺乳類を指す。
【0036】
2.使用方法
悪性腫瘍B細胞は、腫瘍自体と同様に微細環境に存在する非腫瘍細胞を起源とする生存シグナルを受け取る。B細胞抗原受容体(BCR)及びサイトカイン受容体は生存に寄与する。
【0037】
B細胞リンパ腫のサブセットは生存のためのBCR及び/またはサイトカインJAK/STATシグナル伝達への依存を明らかにしている。SYKはBCRのシグナル伝達経路におけるBTK、PI3Kδ及びPLCγ2の上流に位置して潜在的治療標的となっている。追加の生存支援は、サイトカインが誘導するJAK/STAT経路が介在すると思われ、それは腫瘍自己分泌のシグナル伝達ループによって、または腫瘍微細環境に存在する非腫瘍性浸潤白血球を起源とする炎症誘発性サイトカインによって活性化することができる。
【0038】
幾つかのサイトカインの上昇した血清濃度はCLL及び非ホジキンリンパ腫(「NHL」)で観察され、さらに悪性の疾病の進行を予測する。これらのサイトカインの供給源は、自己分泌刺激の方法で腫瘍自体に由来してもよく、または腫瘍微細環境内での無効な免疫応答を開始している非腫瘍性白血球に由来してもよい。実験的に、IL4は、培養にてCLLのB細胞の生存を促進し、フルダラビン及びクロラムブシルでの治療による死滅からそれらを保護することが示されている。この生存支援の根底にあるメカニズムはBCL2ファミリーメンバーのサイトカインが誘導する上方調節であると思われる。
【0039】
慢性リンパ球性白血病(CLL)の病態形成におけるB細胞受容体(BCR)が介在するシグナル伝達の重要性は近年さらに一層明らかになっており、BCRシグナル伝達複合体内でのキナーゼを標的とする薬剤はこの疾病の治療を変革しつつある。最近認可された、再発性/難治性のCLLのための作用物質には、イブルチニブ(BTK阻害剤)及びイデラリシブ(PI3Kδ阻害剤)が挙げられる。今日まで、腫瘍に由来するシグナルがある程度介在してもよいこれらの化合物は治癒性であるとは証明されていない。重要なことに、ある割合の患者は、イブルチニブについてはBTKもしくはPLCγにおける突然変異を介して、または未知のメカニズムのためにこれらの新しい作用物質に耐性を発生している。脾臓チロシンキナーゼ(SYK)は非受容体キナーゼのSYK/ZAP70ファミリーに属し、B細胞内でのBCR、ケモカイン及びインテグリンの受容体の下流のシグナルを活性化することの伝達で中心的な役割を担い、特定のB細胞の悪性腫瘍及び自己免疫疾患の治療のための興味ある標的のままである。
【0040】
CLL細胞は微細環境を構成する種々の細胞に由来するシグナルに依存する。リンパ球におけるIL-4のシグナルは、Janusタンパク質チロシンキナーゼJAK1及びJAK3を介した1型IL-4受容体(IL-4R)を介して優勢に導出され、STAT6のリン酸化(pSTAT6)を生じる。
【0041】
慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)及び濾胞性リンパ腫(FL)の標準治療ができない患者にとって現在の治療選択肢は限られている。
【0042】
本明細書で提供されるのは、セルデュラチニブの投与によって血液癌を治療する方法である。セルデュラチニブは小分子のATP競合性のSYKとJAKファミリーメンバー双方の可逆性阻害剤である。以前記載されている(たとえば、米国特許第8,138,339号を参照のこと)セルデュラチニブは、化学名4-(シクロプロピルアミノ)-2-(4-(4-(エチルスルホニル)ピペラジン-1-イル)フェニルアミノ)ピリミジン-5-カルボキサミドを有し、式:
【化1】
を有する。
【0043】
本明細書に記載されている実施形態では、セルデュラチニブはまた薬学上許容できるその塩またはプロドラッグも指してもよい。
【0044】
セルデュラチニブは、強い前治療を行った患者及び/またはCLL、FL、NHL及びDLBCLを含むが、これらに限定されない再発/難治性の血液癌に有用であってもよい。セルデュラチニブはまた原発CLLでアポトーシスを誘導し、たとえば、変異していないIGHV、高いCD49d、ZAP-70または表面IgMの発現のような予後不良の症例で優先的な活性がある。
【0045】
本明細書で提供されるのは、約10mg~約75mgの1日用量のセルデュラチニブまたは薬学上許容できるその塩、または約10mg~約75mgの1日用量のセルデュラチニブまたは薬学上許容できるその塩を含む医薬組成物と、少なくとも1つの薬学上許容できる賦形剤またはキャリアとを患者に投与することを含む、それを必要とするヒト患者にて血液癌を治療する方法である。
【0046】
本明細書で提供されるのはまた、有効量のセルデュラチニブまたは薬学上許容できるその塩、または約10mg~約75mgの1日用量のセルデュラチニブもしくは薬学上許容できるその塩を含む医薬組成物と、少なくとも1つの薬学上許容できる賦形剤またはキャリアとを患者に投与することを含む、それを必要とする患者にて再発性または難治性の血液癌を治療する方法である。
【0047】
一部の実施形態は、有効量のセルデュラチニブまたは薬学上許容できるその塩、または有効量のセルデュラチニブもしくは薬学上許容できるその塩を含む医薬組成物と、少なくとも1つの薬学上許容できる賦形剤またはキャリアとを患者に投与することを含む、それを必要とする患者にて再発性または難治性の血液癌を治療する方法を提供し、
その際、セルデュラチニブまたは薬学上許容できるその塩の有効量はセルデュラチニブの約30mg~約80mgの1日用量である。
【0048】
一部の実施形態は、有効量のセルデュラチニブまたは薬学上許容できるその塩、または有効量のセルデュラチニブもしくは薬学上許容できるその塩を含む医薬組成物と、少なくとも1つの薬学上許容できる賦形剤またはキャリアとを患者に投与することを含む、それを必要とする患者にて再発性または難治性の血液癌を治療する方法を提供し、
その際、患者は再発及び/または血液癌を治療するための薬剤に対する耐性に関連がある突然変異を有し、且つ
セルデュラチニブまたは薬学上許容できるその塩の有効量はセルデュラチニブの約30mg~約80mgの1日用量である。
【0049】
本明細書で提供される一部の実施形態は、B細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、濾胞性リンパ腫(FL)、びまん性大型B細胞リンパ腫(DLBCL)または他の形質変換したFLの1以上を患っている患者を治療する方法に関連する。
【0050】
一部の実施形態では、患者はB細胞悪性腫瘍、慢性リンパ球性白血病(CLL)、濾胞性リンパ腫(FL)または形質変換したFLの1以上を患っている。
【0051】
一部の実施形態では、患者は進行した悪性腫瘍を患っている。
【0052】
一部の実施形態では、患者は再発しているまたは以前の化学療法に応答していない。一部の実施形態では、患者は少なくとも2回の以前の治療法で失敗している。一部の実施形態では、患者は少なくとも1回の以前の治療法で失敗している。
【0053】
一部の実施形態では、患者はB細胞悪性腫瘍を有する。一部の実施形態では、本明細書で提供されている方法は、たとえば、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、濾胞性リンパ腫(FL)、形質転換濾胞性リンパ腫(tFL)、びまん性大型B細胞リンパ腫(DLBCL)、及び/またはマントル細胞リンパ腫(MCL)のような血液癌を治療するのに使用される。一部の実施形態では、本明細書で提供されている方法は、たとえば、非ホジキンリンパ腫(NHL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、濾胞性リンパ腫(FL)、形質転換濾胞性リンパ腫(tFL)、びまん性大型B細胞リンパ腫(DLBCL)、及び/またはマントル細胞リンパ腫(MCL)のような血液癌を治療するのに使用される。
【0054】
一部の実施形態によれば、血液癌はCLLである。一部の実施形態によれば、血液癌はDLBCLである。一部の実施形態によれば、血液癌はFLである。一部の実施形態によれば、血液癌はSLLである。一部の実施形態によれば、血液癌はNHLである。一部の実施形態によれば、血液癌はtFLである。一部の実施形態によれば、血液癌はMCLである。
【0055】
一部の化学療法剤は、たとえば、血液癌を守ろうとするBCR IL-4が介在するシグナル伝達及び/またはBCR活性化経路のせいで患者における薬剤耐性に悩まされている。本開示の実施形態によれば、セルデュラチニブは薬剤耐性につながるこれらの保護メカニズムを克服することができる。
【0056】
一部の実施形態では、それを必要とする患者は、多数の理由で血液癌に対する薬剤耐性を示す、及び/または血液癌について再発を示す患者である。たとえば、患者は再発及び/または血液癌を治療するための薬剤に対する耐性に関連がある突然変異を有してもよい。たとえば、患者は、del17pの突然変異、P53の突然変異、ATMの突然変異、STATの突然変異、STAT6の突然変異、C481S STAT6の突然変異、NOTCH経路に関連する突然変異、またはカデリン経路に関連する突然変異を有してもよい。
【0057】
一部の実施形態では、患者はSTATにおけるS86A突然変異を有してもよい。
【0058】
一部の実施形態では、患者は、del17pの突然変異、del11qの突然変異、P53の突然変異、ATMの突然変異、STATの突然変異、STAT6の突然変異、C481S STAT6の突然変異、NOTCH経路に関連する突然変異、カデリン経路に関連する突然変異、またはそれらの組み合わせを有してもよい。
【0059】
一部の実施形態によれば、患者はP53、BTK及びEP300のそれぞれで突然変異を有さない。
【0060】
一部の実施形態では、患者はMYD88の突然変異、CARD11の突然変異、またはA20の突然変異を有する。一部の実施形態では、患者はdel11q、トリソミー12及びdel17pを含む高リスクの遺伝子異常を有する。一部の実施形態では、患者はdel17pの突然変異を有する。一部の実施形態では、患者はdel11qの突然変異を有する。
【0061】
一部の実施形態では、患者はBTKの突然変異を有する。
【0062】
一部の実施形態では、患者はたとえば、変異していないIGHV、高いCD49d、ZAP-70または表面IgMの発現のような不良な予後を有してもよい。
【0063】
一部の実施形態では、患者はセルデュラチニブではない薬剤に対する耐性を有する。これらの薬剤の非限定例は、抗CD20抗体、BCL-2阻害剤、BTK阻害剤、P13Kδ阻害剤、リツキシマブ、白金系薬剤、代謝拮抗剤、イブルチニブ、イデラリシブ、フルダラルビン(リン酸フルダラビン、FLUDARA(登録商標)、アントラサイクリン、BCR経路阻害剤、ABT-199(ベネトクラックス)、または血液癌を治療するのに使用される別の化学療法剤である。化学療法剤の他の非限定例には、アルキル化剤、細胞骨格破壊剤、エポチオロン、ヒストン脱アシル化酵素阻害剤、トポイソメラーゼIの阻害剤、トポイソメラーゼIIの阻害剤、ヌクレオチド類似体及び前駆体類似体、抗生剤、白金系作用物質、レチノイド、ビンカアルカロイド、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0064】
一部の実施形態では、患者は、抗CD20抗体、BCL-2阻害剤、BTK阻害剤、P13Kδ阻害剤、白金系薬剤、代謝拮抗剤、アントラサイクリン、BCR経路阻害剤、または血液癌を治療するのに使用される別の化学療法剤に対する耐性を有する。一部の実施形態では、患者は、ABT-199(ベネトクラックス)、リツキシマブ、イブルチニブ、イデラリシブ、及びフルダラルビン(リン酸フルダラビン、FLUDARA(登録商標)に対する耐性を有する。一部の実施形態では、患者はイブルチニブに対する耐性を有する。
【0065】
一部の実施形態では、患者は血液癌を治療する薬剤を以前投与された。非限定例の薬剤には、アルキル化剤、抗CD20抗体、BCL-2阻害剤、BTK阻害剤、P13Kδ阻害剤、リツキシマブ、白金系薬剤、代謝拮抗剤、イブルチニブ、イデラリシブ、フルダラルビン(リン酸フルダラビン、FLUDARA(登録商標)、アントラサイクリン、BCR経路阻害剤、ABT-199(ベネトクラックス)、または血液癌を治療するのに使用される他の作用物質が挙げられる。化学療法剤の他の非限定例には、細胞骨格破壊剤、エポチオロン、ヒストン脱アシル化酵素阻害剤、トポイソメラーゼIの阻害剤、トポイソメラーゼIIの阻害剤、ヌクレオチド類似体及び前駆体類似体、抗生剤、白金系作用物質、レチノイド、ビンカアルカロイド、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0066】
一部の実施形態では、患者は、アルキル化剤、抗CD20抗体、BCL-2阻害剤、BTK阻害剤、P13Kδ阻害剤、白金系薬剤、代謝拮抗剤、アントラサイクリン、BCR経路阻害剤、及び血液癌を治療するのに使用される別の化学療法剤から成る群から選択される薬剤を以前投与された。一部の実施形態では、患者は、ベネトクラックス、リツキシマブ、イブルチニブ、イデラリシブ及びフルダラルビンから成る群から選択される薬剤を以前投与された。一部の実施形態では、薬剤は、R-CHOP(リツキシマブ;サイクロホスファミド;ドキソルビシン塩酸塩;オンコビン(ビンクリスチン);プレドニゾン)である。一部の実施形態では、薬剤はR-CVP(リツキシマブ、サイクロホスファミド、ビンクリスチン;プレドニゾン)である。一部の実施形態では、薬剤はベバシズマブである。一部の実施形態では、薬剤は、フルダラビンとリツキシマブの併用、ベンダムスチンとリツキシマブの併用、またはベバシズマブとリツキシマブの併用である。
【0067】
特定の実施形態では、患者は60歳以上であり、第1選択の癌治療法ののち再発した。特定の実施形態では、患者は18歳以上であり、第2選択の癌治療法ののち再発した、または不応性である。特定の実施形態では、患者は60歳以上であり、第1選択の癌治療法に対して原発性不応性である。特定の実施形態では、患者は70歳以上であり、以前治療されていない。特定の実施形態では、患者は70歳以上であり、癌治療法から利益を得られる資格がない及び/または利益を得られそうにない。
【0068】
投与される種々の化合物の量は、たとえば、化合物のIC50、化合物の生物学的半減期、対象の年齢、大きさ及び体重、ならびに治療される適応のような因子を考慮に入れて標準の手順によって決定することができる。これらの因子及び他の因子の重要性は当業者に周知である。一般に、用量は、約0.01~50mg/治療される対象のkgの間または0.1~20mg/kgの間であろう。複数の用量が使用されてもよい。
【0069】
一部の実施形態では、それを必要とするヒト患者にて再発性または難治性の血液癌を治療する方法は、約10mg~約75mgの1日用量のセルデュラチニブまたは薬学上許容できるその塩、または約10mg~約75mgの1日用量のセルデュラチニブもしくは薬学上許容できるその塩を含む医薬組成物と、少なくとも1つの薬学上許容できるキャリアまたは賦形剤とを患者に投与することを含む。
【0070】
一部の実施形態では、それを必要とするヒト患者にて再発性または難治性の血液癌を治療する方法は、約45mgの用量のセルデュラチニブまたは薬学上許容できるその塩を患者に1日2回投与することを含む。
【0071】
一部の実施形態では、それを必要とするヒト患者にて再発性または難治性の血液癌を治療する方法は、約35mgの用量のセルデュラチニブまたは薬学上許容できるその塩を患者に1日2回投与することを含む。
【0072】
本明細書で提供される一部の実施形態では、セルデュラチニブの1日用量は約10mg~約75mgである。本明細書で提供される一部の実施形態では、セルデュラチニブの1日用量は約25mg~約45mgである。一部の実施形態では、セルデュラチニブの1日用量は約15mg、30mg、45mgまたは50mgである。
【0073】
一部の実施形態では、セルデュラチニブの1日用量は、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約90mg、約95mg、約100mg、約105mg、または約110mgである。一部の実施形態では、セルデュラチニブの1日用量は約90mgである。一部の実施形態では、セルデュラチニブの1日用量は約70mgである。一部の実施形態では、セルデュラチニブの1日用量は投与当たり約35mgで1日2回投与される。
【0074】
一部の実施形態では、セルデュラチニブの投与は1日1回である。一部の実施形態では、投与は1日2回である。一部の実施形態では、投与は1日3回である。
【0075】
特定の実施形態では、本明細書で提供されている方法で使用されるセルデュラチニブの治療上有効な量は1日当たり少なくとも約10mgである。一実施形態では、セルデュラチニブの治療上有効な量は投与量当たり少なくとも約10、20、30、40または50mgである。一実施形態では、セルデュラチニブの治療上有効な量は1日当たり少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、90または100mgである。
【0076】
一実施形態では、セルデュラチニブの治療上有効な量は1日当たり少なくとも30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、60mgまたは65mgである。一実施形態では、セルデュラチニブの治療上有効な量は少なくとも約15mg、20mg、25mg、30mgまたは35mgであり、1日2回投与される。
【0077】
特定の実施形態では、セルデュラチニブの治療上有効な量は1日当たり約500、400、300、200、150、120または100mg以下である。一実施形態では、セルデュラチニブの治療上有効な量は投与量当たり約300、200、150、120、100、90、80、70、60、55または50mg以下である。
【0078】
特定の実施形態では、セルデュラチニブの治療上有効な量は1日当たり約100mg、95mg、90mg、85mg、80mgまたは75mgである。特定の実施形態では、セルデュラチニブの治療上有効な量は45mg、40mg、35mgまたは30mg以下であり、1日2回投与される。
【0079】
一実施形態では、セルデュラチニブの治療上有効な量は、単独であれ、または別の作用物質との併用であれ、1日約10mg~200mg、約25mg~150mg、約50~120mg、約80~100mgで投与される。
【0080】
一実施形態では、セルデュラチニブの治療上有効な量は、単独であれ、または別の作用物質との併用であれ、日々、25mg~120mgである。一部の実施形態では、セルデュラチニブの有効量は、1日2回の25mg~50mgである。
【0081】
一実施形態では、治療上有効な量のセルデュラチニブは、単独であれ、または別の作用物質との併用であれ、1日1回または2回、投与量当たり約10mg~150mg、約25mg~120mg、約30~80mg、約40~50mgで投与される。特定の実施形態では、セルデュラチニブは、単独であれ、または別の作用物質との併用であれ、1日1回、2回、3回または4回投与される。
【0082】
一実施形態では、セルデュラチニブは、単独であれ、または別の作用物質との併用であれ、1日1回約30mg~約80mg投与される。一実施形態では、セルデュラチニブは、単独であれ、または別の作用物質との併用であれ、1日2回約15mg~約40mg投与される。
【0083】
一実施形態では、45mgのセルデュラチニブが、単独であれ、または別の作用物質との併用であれ、1日2回投与される。一実施形態では、35mgのセルデュラチニブが、単独であれ、または別の作用物質との併用であれ、1日2回投与される。
【0084】
一部の実施形態では、セルデュラチニブまたは薬学上許容できるその塩の有効量は、1日2回投与される約40mg~約50mgである。
【0085】
一部の実施形態では、セルデュラチニブまたは薬学上許容できるその塩の有効量は、1日2回投与される約30mg~約40mgである。
【0086】
別の実施形態では、本開示は、癌を治療することにおいて有効な1以上の他の治療法または医療処置との併用でセルデュラチニブを含む有効量の組成物を対象に投与することによってそれを必要とする対象にて癌を治療する方法を提供する。他の治療法または医療処置には、好適な抗癌療法(たとえば、薬物療法、ワクチン療法、遺伝子療法、光線力学療法)または医療処置(たとえば、手術、放射線治療、温熱加熱、骨髄移植または幹細胞移植)が挙げられる。一実施形態では、1以上の好適な抗癌療法または医療処置は、化学療法剤(たとえば、化学療法薬)による治療、放射線治療(たとえば、X線、-線、または電子、光子、中性子、または粒子線)、温熱加熱(たとえば、マイクロ波、超音波、高周波アブレーション)、ワクチン療法(たとえば、AFP遺伝子肝細胞癌ワクチン、AFPアデノウイルスベクターワクチン、AG-858、同種GM-CSF分泌乳癌ワクチン、樹状細胞ペプチドワクチン)、遺伝子療法(たとえば、Ad5CMV-p53ベクター、アデノウイルスがコードするMDA7、アデノウイルス5-腫瘍壊死因子α)、光線力学療法(たとえば、アミノレブリン酸、モテキサフィンルテニウム)、手術、または骨髄移植及び幹細胞移植から選択される。
【0087】
3.医薬組成物及びキット
本明細書で提供されている一部の実施形態は、有効量のセルデュラチニブと、少なくとも1つの薬学上許容できるキャリアまたは賦形剤とを含む医薬組成物を指向する。
【0088】
キャリアまたは賦形剤を用いて組成物を製造することができる。セルデュラチニブのような化合物の投与を円滑にするためにキャリアまたは賦形剤を選択することができる。キャリアの例には、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、たとえば、ラクトース、グルコースもしくはスクロースのような種々の糖類、またはデンプンの種類、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油、ポリエチレングリコール、及び生理的に適合性の溶媒が挙げられる。生理的に適合性の溶媒の例には、注射用の無菌水溶液(WFI)、生理食塩水溶液、及びデキストロースが挙げられる。
【0089】
好適な剤形はある程度、使用または投与の経路、たとえば、経口、経皮、経粘膜、吸入の経路または注射による(非経口)投与に左右される。そのような剤形は化合物が標的細胞に到達できるようにすべきである。他の因子は当該技術分野で周知であり、それには、毒性及び化合物または組成物がその効果を発揮するのを遅らせる剤形のような検討事項が挙げられる。技法及び製剤化は一般に、The Science and Practice of Pharmacy,21st edition,Lippincott,Williams及びWilkins,Philadelphia,PA,2005(参照によって本明細書に組み入れられる)にて見いだされてもよい。
【0090】
セルデュラチニブは、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、経口、経粘膜、直腸、経皮または吸入を含む様々な経路によって投与することができる。一部の実施形態では、セルデュラチニブは経口投与によって投与することができる。経口投与については、たとえば、セルデュラチニブは、たとえば、カプセル剤、錠剤のような従来の経口剤形及び、シロップ、エリキシルのような液体製剤、及び濃縮点滴剤に製剤化することができる。
【0091】
吸入については、セルデュラチニブは、乾燥粉末または好適な溶液、懸濁液またはエアロゾルとして製剤化されてもよい。粉末及び溶液は当該技術分野で既知の好適な添加剤と共に製剤化されてもよい。たとえば、粉末には、たとえば、ラクトースまたはデンプンのような好適な粉末基剤が含まれてもよく、溶液は、プロピレングリコール、無菌水、エタノール、塩化ナトリウム、及びたとえば、酸、アルカリ及び緩衝液の塩のような添加剤を含んでもよい。そのような溶液または懸濁液は、スプレー、ポンプ、噴霧器または吸入器等を介して吸入することによって投与されてもよい。セルデュラチニブはまた、他の吸入療法、たとえば、フルチカゾンプロピオン酸塩、ベクロメタゾンジプロピオン酸塩、トリアムシノロンアセトニド、ブデソニド及びモメタゾンフランカルボン酸エステルのようなコルチコステロイド;アルブテロール、サルメテロール及びフォルモテロールのようなβアゴニスト;臭化イプラトロピウムまたはチオトロピウムのような抗コリン作用剤;トレプロスチナル及びイロプロストのような血管拡張剤;DNA分解酵素のような酵素;治療用タンパク質;免疫グロブリン抗体;一本鎖または二本鎖DNAまたはRNA、siRNAのようなオリゴヌクレオチド;トブラマイシンのような抗生剤;ムスカリン受容体アンタゴニスト;ロイコトリエンアンタゴニスト;サイトカインアンタゴニスト;プロテアーゼ阻害剤;クロモリンナトリウム;ネドクリルナトリウム;及びクロモグリク酸ナトリウムとの併用でも使用されてもよい。
【0092】
経口使用のための医薬製剤は、たとえば、セルデュラチニブを固形賦形剤と混ぜ合わせ、得られた混合物を任意で粉砕し、所望であれば好適な補助剤を加えたのち顆粒の混合物を処理して錠剤または糖衣錠の芯を得ることによって得ることができる。好適な賦形剤は特に、ラクトース、スクロース、マンニトールまたはソルビトールを含む糖類;セルロース調製物、たとえば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプンジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース(CMC)及び/またはポリビニルピロリドン(PVP:ポビドン)のような充填剤である。所望であれば、たとえば、架橋されたポリビニルピロリドン、寒天またはアルギン酸、またはアルギン酸ナトリウムのようなその塩のような崩壊剤を添加してもよい。
【0093】
糖衣錠の芯には好適なコーティングが提供される。この目的で、濃縮された糖溶液が使用されてもよく、それは任意で、たとえば、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール(PEG)、及び/または二酸化チタン、ラッカー溶液、及び好適な有機溶媒または溶媒混合物を含有してもよい。活性化合物の用量の特定のために、またはその様々な組み合わせを特徴付けるために染料または顔料を錠剤または糖衣錠のコーティングに加えてもよい。
【0094】
経口で使用することができる医薬製剤には、ゼラチンで出来た押し込み型のカプセル剤(「ゲルカップ」)、と同様にゼラチンと、グリセロールまたはソルビトールのような可塑剤とで出来た軟質の被覆カプセルが挙げられる。押し込み型のカプセルは、ラクトースのような充填剤、デンプンのような結合剤、及び/またはタルクまたはステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、及び任意で安定剤との混合で有効成分を含有することができる。軟質カプセルでは、セルデュラチニブは、好適な液体、たとえば、脂肪油、流動パラフィンまたは液状ポリエチレングリコール(PEG)に溶解されてもよいし、または懸濁されてもよい。加えて、安定剤が添加されてもよい。
【0095】
或いは、注射(非経口投与)、たとえば、筋肉内、静脈内、腹腔内、及び/または皮下の注射が使用されてもよい。注射については、無菌の溶液にて、たとえば、生理的に適合性の緩衝液または溶液、たとえば、生理食塩水溶液、ハンクス溶液またはリンガー溶液にて製剤化される。加えて、セルデュラチニブは固体の形態で製剤化されて使用直前に再溶解されてもよいし、または懸濁されてもよい。凍結乾燥された形態を製造することもできる。
【0096】
投与は経粘膜、局所、経皮、または吸入の手段によることもできる。経粘膜、局所、または経皮の投与については、透過されるバリアに適する浸透剤が製剤で使用される。そのような浸透剤は一般に当該技術分野で既知であり、それには、たとえば、経粘膜投与については胆汁塩及びフシジン酸誘導体が挙げられる。加えて、界面活性剤を使用して浸透を促してもよい。経粘膜投与は、たとえば、鼻スプレーまたは坐薬(直腸または膣)を介してもよい。
本開示の局所組成物は、当該技術で既知の適当なキャリアの選択によって油、クリーム、ローション、軟膏等として製剤化される。好適なキャリアには、植物油または鉱物油、白色ワセリン(白色軟質パラフィン)、分岐鎖油脂、動物脂肪及び高分子量アルコール(C12を超える)が挙げられる。別の実施形態では、キャリアは有効成分が可溶性であるものである。乳化剤、安定剤、保湿剤及び抗酸化剤も、所望であれば、着色剤または香料と同様に含まれてもよい。局所塗布のためのクリームは、その混合物にて少量の溶媒(たとえば、油)に溶解された有効成分が混合される鉱物油、自己乳化蜜蝋及び水の混合物から製剤化される。さらに、経皮の手段による投与は、有効成分及び任意で当該技術分野にて既知の1以上のキャリアまたは希釈剤を含浸させた経皮貼付剤または帯具のような包帯を含んでもよい。経皮送達系の形態で投与されるには、投与量の投与は投与計画全体にわたって当然、間欠的ではなく連続的であろう。
【0097】
別の実施形態では、本開示はセルデュラチニブまたは薬学上許容できるその塩またはその医薬組成物を含むキットを提供する。一部の実施形態では、化合物または組成物は、さらにたとえば、箱、封筒または袋の中に包装されてもよい、たとえば、バイアル、ビン、フラスコに包装され;化合物または組成物は、哺乳類、たとえば、ヒトへの投与について米国食品医薬品局または類似の規制当局によって認可され;化合物または組成物は、タンパク質キナーゼが介在する疾患または状態について哺乳類、たとえば、ヒトへの投与について認可され;本明細書に記載されているキットは、化合物または組成物が、血液癌のような本明細書に記載されているような疾患または状態について哺乳類、たとえば、ヒトへの投与のために好適であるまたは認可されているという使用のため文書での指示書及び/または他の指示を含んでもよく;化合物または組成物は単位用量または単回用量形態、たとえば、単回用量の丸薬、カプセル等にて包装されてもよい。
【実施例
【0098】
実施例1:前臨床モデル、臨床PK/PD及び腫瘍反応
材料及び方法
精製キナーゼアッセイ:300nMのATPの固定濃度でMilliporeにて実施した。10点濃度曲線を使用してIC(阻害濃度)を決定した。
【0099】
ヒト全血アッセイ:SYK-及びJAK-依存性及び非依存性のシグナル伝達の阻害は、BCR及びサイトカイン受容体に対する種々のアゴニストによってヒト全血を刺激することによって測定した。ヘパリン処理した健常ヒト全血の100μLアリコートを以前記載された(Coffey,et al,J.of Pharm.and Experimental Therapeutics,351:538-548,2014))ように刺激し、8点濃度曲線を用いてIC50を決定した。シグナル伝達及び活性化の反応は蛍光活性化細胞選別(「FACS」)によって測定した。臨床試験については、投与の前と後に全血試料を採取した。阻害百分率は投与前の刺激応答に対して基準化することによって算出した。
【0100】
DLBCL細胞株の生存率アッセイ:10点濃度反応曲線を用いた384穴プレートにおけるCellTiterGlo(Promega)アッセイを用いてATCCから購入した細胞株をスクリーニングしてIC50を生成した。各IC50値は少なくとも4つの反復実験の平均である。FACSに基づいたカスパーゼ3切断検出キット(BD Biosciences)を用いたその後の解析及びEduの取り込みを行った。
【0101】
ラットのコラーゲン誘導関節炎:セルデュラチニブの生体内での抗炎症活性はラットのコラーゲン誘導関節炎モデルを用いて測定し、どこかに(Coffey,et al,J.of Pharm.and Experimental Therapeutics,340:350-359,2012)記載されたように正確に実施した。コラーゲン抗体の力価はELISA(R&D Systems)によって測定した。液体クロマトグラフィ/タンデム質量分析を用いて定常状態の血清Cmaxを測定した。
【0102】
サイトカインの分析:ヒト炎症マップを用い、MyriadRBM(Austin、TX)によって血清タンパク質を分析した。
【0103】
臨床試験の設計:これは、再発性/難治性のCLL/SLLまたはB細胞NHLの患者におけるセルデュラチニブのフェーズI非盲検多用量の用量上昇試験である。試験は、15mgのQD(1日1回)で開始し、28日の安全性ウインドウで3+3の設計にて用量を上昇させた。患者は72時間のPK評価について1日目に単回用量を受け取った。次いで4日目に連続投与を開始した。
【0104】
結果
健常全血生体外スパイク実験では、セルデュラチニブは、0.2~0.9μM(15mg~40mgの臨床用量で達成される)の範囲でのIC50でBCR/SYK及びサイトカイン(IL2、IL4、IL6)のJAK/STATシグナルを選択的に阻害し、0.3μMの平均血漿濃度(≧30mgの用量で達成される)でラットのコラーゲン誘導関節炎モデルにて炎症と関節の破壊を停止させ、2μM(≧40mgの用量で達成される)で細胞株の大半にてアポトーシスを誘導した。約1μMの定常状態Cminを維持しながら、2μMを超える血漿濃度は1日1回の経口投与後の癌患者において安全に達成されている。
【0105】
SYK及びJAKのシグナル伝達に対するセルデュラチニブの能力及び特異性
表1は、270のキナーゼのパネル検査(Millipore)にて>80%阻害した精製キナーゼに対するセルデュラチニブのIC50を示す。酵素反応における阻害にもかかわらず、AMPK、JAK2、TBK-1、RSK2、及びRSK4については細胞レベル及び/または患者にて阻害の証拠はない。
【表1】
【0106】
表2は、種々の健常ヒト全血アッセイにおけるセルデュラチニブのICの要約である。このデータはSYK、JAK1/3及びJAK1/TYK2に依存性の経路に対する選択性を明らかにしている。SYK及びJAK1/3/TYK2の経路に対する能力は同等である。
【表2】
【0107】
セルデュラチニブは2μMにて15のDLBCL細胞株に対して広く活性がある
セルデュラチニブはさらに多く標的作用物質に比べてDLBCL細胞株にて広い抗腫瘍活性を実証した。以下の表3は、他の関連するキナーゼ阻害剤:PRT06318(Syk阻害剤、米国特許第6,432,963号に記載されている);InSolution(商標)JAK阻害剤I(CAS 457081-03-7;表3における「汎Jak」);CP-690550(Jak3阻害剤);イデラリシブ(PI3Kδ阻害剤);IPI-145(PI3Kδ及びγ阻害剤);及びドキソルビシン(「Doxo;」アントラサイクリン)と比べたセルデュラチニブのIC50値を要約する。これらの阻害剤は市販されている、または当業者に既知の合成方法に従って作製される。
【表3】
【0108】
ABC及びGCBの亜型の双方を代表する15細胞株のパネルにて、9がアポトーシスを受け、追加の2が細胞サイクルの停止を受けた。SYKとJAKの阻害の共同効果は、細胞株のうち4つで認められたのに対して3つの細胞株はSYKの阻害に感受性だったが、JAKの阻害には感受性ではなく、細胞株の1つはJAKの阻害に感受性だったが、SYKの阻害には感受性ではなかった。15細胞株のうち3つ(DB、TOLEDO及びRCK8)はセルデュラチニブに耐性だった。
【0109】
図1及び図2はそれぞれ、FACS解析によるEdUの取り込みの阻害百分率及びカスパーゼ3切断の誘導百分率を示すグラフである。
【0110】
上記のデータは、セルデュラチニブが2μMでDLBCL細胞株に対して広く活性があり、アポトーシスを誘導することによって優勢に作用することを実証している。
【0111】
セルデュラチニブはラットにて0.52μMのCmaxで自己免疫機構を停止させる
図3は、ラットのコラーゲン誘導関節炎モデルからのデータを示す。溶媒または種々の用量レベルのセルデュラチニブで処理する間の時間(x軸)に対して後肢炎症スコア(平均値±SEM;y軸;n=群当たり8匹)をプロットする。各投与群についての平均血漿濃度(Cmax)はグラフの右に示す。星印はスチューデントt検定による溶媒に比べた統計的有意性(p<0.05)を示す。
【0112】
ラットにおける炎症及び自己抗体の生成は、0.5~0.6μMのCmax(約0.3~0.4μMのCaverageに相当する)の間のセルデュラチニブの血漿濃度で完全に阻止された。これらの曝露はヒトでは30mgの1日1回用量で安全に達成され、末梢全血アッセイにおけるSYK及びJAKのおよそ50%の阻害に相当する。血清β2M(及び他の炎症性マーカー)の低下の明瞭な証拠は臨床的に調べた用量レベルすべてにおいて観察された。
【0113】
患者における経口投与に続くSYK及びJAKの阻害の能力
患者における経口投与に続いて、健常志願者の生体外スパイク実験で観察されたのと同様の能力でSYK及びJAKの経路が阻害され、複数のサイクルの治療でSYK及びJAKの>90%の阻害が安全に達成されている。
【0114】
CTスキャンによって測定されるような腫瘍反応は、患者に由来する全血におけるSYK及びJAKのシグナル伝達の阻害百分率及び炎症の血清マーカー(たとえば、β2M、CRP、IL10、VCAM1、sTNFR、CCL3)の阻害百分率と有意に相関した。
【0115】
結論
アポトーシス及び/または細胞サイクルの停止を誘導するのに必要とされるセルデュラチニブの濃度は可変であるが、一般に2μMであると認められる。1~2μMのCmin~Cmaxの定常状態の濃度は40mgのQDで安全に達成される。CTスキャンによって評価されるような患者の腫瘍の縮小は、SYK及びJAKの%阻害、幾つかの血清炎症マーカーの%阻害に有意に相関し、またセルデュラチニブの血漿濃度にも関連する。用量の上昇は100mgのQDまで良好な忍容性を継続する。
【0116】
これらの結果に基づいて、セルデュラチニブは、たとえば、DLBCLのようなB細胞リンパ腫の治療に有用であることが熟考される。
【0117】
実施例2:初代ヒトCLL細胞に対するセルデュラチニブの効果
24の初代CLL試料におけるセルデュラチニブ
CLL細胞の単離及び培養:CLL細胞(ATCCから市販されている)はヒトB細胞濃縮カクテルキット(Stemcell Technologies,Vancouver,BC,Canada)を用いて精製し、精製の検証のために全症例で95%を超える抗CD5/CD19で染色した。2.5mg/mLのCpG、100ng/mLのCD40L、10ng/mLのIL-4の存在下または非存在下で1×10個/mLの密度にて15%ウシ胎児血清(Gibco,Grand Island,NY,USA)、ペニシリン(100IU)及びストレプトマイシン(100μg/mL)を伴ったRPMI-1640において単離したCLL細胞を培養した。プレートに結合させた抗IgM(10μg/mL)で抗IgM刺激を行った。CLL細胞を10ng/mLのIL-6(R&D Systems,Minneapolis,MN)で刺激してJAK1/JAK2(Cell Signaling Technology,Danvers,MA)及びSTAT3(Cell Signaling Technology,Danvers,MA,USA)のリン酸化を検出した。
【0118】
細胞生存率アッセイ及びIC50の決定:CLL患者から単離されたCD5/CD19細胞を漸増する濃度のセルデュラチニブ(10~10nM)の有無にて72時間インキュベートし、以前記載されたように2μg/mLのヨウ化プロピジウム(PI)(Molecular Probe)で染色することによって細胞の生存率を測定した。FACSLSR2(BD Biosciences)によって生細胞ゲート内での10,000個の細胞を計数し、各検体について一致する溶媒対照(100%)に対してデータを基準化した。次いで、GraphPad Prism 6プログラム(San Diego,CA,USA)を用いてIC50を生成した。
【0119】
共培養条件:ヒト骨髄間質細胞株HS-5はATCCから入手し、NK-Tert(NKTert)はJan A.Burger博士(M.D. Anderson)によって親切に提供され、CLL細胞及び間質細胞の共培養アッセイは以前記載された(たとえば、Cheng,et al.,Leukemia.2014;28(3):649-657)。手短には、間質細胞を24穴プレートのウェル当たり5×10個の濃度で播き、24時間インキュベートして細胞を付着させた。次いでRPMI培地における間質細胞の集密層の上にて100:1(5×10個の細胞/mL)の比でCLL細胞を培養に加えた。穏やかにピペッティングすることによって、付着した間質細胞をそのままにしてCLL細胞を回収した。
【0120】
連続希釈したセルデュラチニブを伴った初代CLL試料及び72時間後にPI/7AADフローサイトメトリーによって測定した細胞生存率。
【0121】
IL-4/CD40Lの存在下または非存在下にてSYK/JAK二重阻害剤であるセルデュラチニブによって24の初代CLL試料を処理し、ヨウ化プロピジウム/アネキシンVの染色及びPARP切断によってアポトーシスを評価した。B細胞受容体及びサイトカイン受容体が誘導するシグナル伝達に対するセルデュラチニブの効果は免疫ブロット及びフローサイトメトリーによって評価した。
【0122】
24人の患者に由来するCLL細胞をセルデュラチニブによって24、48及び72時間処理し、ヨウ化プロピジウム及びアネキシンVの染色を用いて生存率を評価した。セルデュラチニブは濃度及び時間に依存してアポトーシスを誘導した。
【0123】
変異していないIGHVとCD49dの高い発現とはCLLにおける進行性の疾患及び予後不良に関連する。治療上の使用にとって重要なことに、セルデュラチニブは、M-CLLに比べてU-CLLにて及び低いCD49dまたはZAP70の発現(<30%)のCLL細胞に比べて高いCD49dまたはZAP70の発現(>30%)のCLL細胞にて有意に多くのアポトーシスを誘導した。
【0124】
セルデュラチニブによるCLL細胞の処理は、アポトーシス誘発性カスパーゼ3タンパク質の切断/活性化を誘導すること、且つアポトーシスのマーカーである高いレベルの85kDaのPARPサブ断片を誘導することも見いだされた。セルデュラチニブが誘導するアポトーシスがカスパーゼ阻害剤ZVADによる共処理によって阻害されるということは、CLL細胞のセルデュラチニブが誘導するアポトーシスはカスパーゼ依存性のメカニズムを介して発生することを示している。加えて、ZVADの存在下でのセルデュラチニブ処理の24時間後、アポトーシス誘発性タンパク質NOXAのレベルが上昇した一方で、抗アポトーシスタンパク質MCL1は低下した。
【0125】
リンパ節におけるBCRのライゲーションはCLLの生存及び化学療法への耐性を高める。セルデュラチニブの前処理は、可溶性の抗IgM及び不動化した抗IgMの双方が誘導するシグナル伝達経路を阻害することができた。IL-4はCLL細胞にてJAK/STAT-6経路を介してシグナルを伝達するが、化学療法からの保護に介在することにおいて重要であることが示されている。セルデュラチニブによるCLL細胞の処理はIL-4が誘導するSTAT6のリン酸化を無効にした。加えて、セルデュラチニブは、ZVADの存在下で24時間後、IL-4が増加させるIgMの表面発現を阻害した。
【0126】
患者にて、リンパ節の組織部位はアポトーシスからCLL細胞を保護する種々のシグナルを提供する。従って我々は、IL-4及びCD40Lを用いて試験管内でリンパ節環境を模倣した。IL-4/CD40Lによる処理は24時間後、未処理の細胞に比べてCLL細胞の生存率を高めた。
【0127】
この実施例は、セルデュラチニブによる初代ヒトCLL細胞の処理がカスパーゼ依存性のアポトーシスを誘導し、CLL試料の予後不良マーカーにて高い能力を伴い;セルデュラチニブは患者で達成可能な濃度(約2.2μM)にてBCR及びIL-4が介在するシグナル伝達に打ち勝ち;セルデュラチニブはIL-4/CD40Lの支援の存在下または非存在下でアポトーシスを誘導したことを示している。
【0128】
60のCLL試料におけるセルデュラチニブ
上述の方法に従って解析した60のCLL試料では、60のCLLにおけるIC50は0.37μMから10.02μMに及んだ。セルデュラチニブの平均IC50は臨床的に達成可能である2.57μMだった。
【0129】
既知の予後因子によって階層化されるCLLの亜群の間でセルデュラチニブによる細胞の殺傷が異なるかどうかも検討した。変異したIGHV(N=27)に対比した変異していないIGHV(N=33)を伴うCLL細胞は低いIC50を有するので、セルデュラチニブに対してさらに感受性であることが見いだされた(P=0.0395)(スチューデントt検定によって解析されたデータ)(図6)。高リスクの遺伝子異常(del(11q)、トリソミー12及びdel(17p)を含む)を伴うCLL細胞は、del(13q)を伴うものまたはこれらの特定の遺伝子異常を完全に欠いているものよりもセルデュラチニブに感受性だった(図7)。従って、CLL細胞は、特にIGHV及び細胞遺伝学によって予後不良である症例においてセルデュラチニブに感受性である。
【0130】
セルデュラチニブはまた、たとえば、Zap70によって証拠付けられるような予後不良の症例でも有用であろうことも熟考される。
【0131】
実施例3:セルデュラチニブのフェーズI試験の臨床成績及び相関的結果
再発性/難治性のCLL/SLLまたはB細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)の患者におけるセルデュラチニブのヒト初回投与試験を実施した。28日サイクルでの3+3用量漸増試験を行い、1日1回15mg~65mgに及ぶ用量、及び1日2回45mgまでの用量を検討した。患者は72時間のPK評価のために1日目に単回用量を受け取った。連続投与は4日目に開始した。CLL/SLLまたはB細胞NHLの43人の患者に投与した。年齢の中央値は67歳(範囲は23~85)であり、以前の治療(tx)の中央値は3(範囲1~8)だった。
【0132】
薬物動態(「PK」)、薬物力学(「PD」)及び安全性をモニターした。標準の基準によって応答を評価した。B細胞抗原、IL2、IL4、IL6及びGM-CSFに対する受容体を介したシグナル伝達を測定する種々の全血アッセイを用いてSYK及びJAKの阻害のレベルを測定した。CCL3、CCL4及び炎症の他のマーカー(β2M及びCRP)を含む、腫瘍量の血清マーカーも測定した。
【0133】
PKは1日1回投与に好適であり、12~16時間の半減期と2:1のピークトラフ比を持つことが観察された。サイクル1の28日目に、循環しているリンパ球におけるSYK及びJAKの飽和阻害(80~90%の阻害)、ならびに血清炎症マーカーの飽和阻害(たとえば、β2M、CRP、CCL4;50~90%の阻害)が、40mg用量のCminで達成される約0.6~1μMの血漿濃度で生じた。65mg用量では、これらのパラメータがサイクル1の1日目で80~90%阻害されたということは、低用量に比べてさらに即効を示している。65mg用量では、定常状態Cmin及びCmaxの濃度はそれぞれおよそ1μM及び2μMだったが、調べたB細胞リンパ腫細胞株の大半でアポトーシスを誘導するのに十分だった。
【0134】
一般に、セルデュラチニブは上手く忍容されている。1年以上続けている2名を含めて10名の患者全員が200日を超えてセルデュラチニブにとどまっている。
【0135】
表4はn=28の場合の経口投与に続く定常状態の薬物動態のデータを要約してる。
【表4】
【0136】
n=20で45mgBIDの用量群では、以下が観察された:Cmin=1.27±0.6μM;Cmax=2.16±0.5μM;Cave=1.4±0.7μM;AUC_tau=33.3±15.9μM*時間;T1/2=27.5±22.5時間
【0137】
セルデュラチニブの単回65mgの投与に続いてFL患者に由来する全血にてBCRシグナル伝達の完全な阻害が観察されることが観察された。
【0138】
表5はn=43の場合のPK/PDのデータを要約する。
【表5】
【0139】
40~100mgのQD用量の説明では、平均定常状態(SS)のCmin及びCmaxの濃度はそれぞれ0.77±0.41μM及び1.63±0.56μMで頭打ちになり、平均定常状態(SS)のCave濃度は1.07±0.44μMであることが見いだされた。BCRの%阻害(Cmin-Cmax)は92~100%であり、IL4の%阻害(Cmin-Cmax)は63~78%だった。40~100mgのQD投与は末梢血におけるSYK及びJAKのシグナル伝達の50~100%(定常状態Cmin~Cmax)の阻害及び炎症の血清マーカーの有意な阻害を生じた。
【0140】
これらの結果に基づいて、10mg~約75mgのセルデュラチニブの1日用量はそれを必要とする患者における血液癌の治療に有用であることが熟考される。
【0141】
SYK及びJAKのシグナル伝達の阻害と同様に炎症の血清マーカーの阻害の程度は腫瘍反応に有意に相関した。12~16時間のt1/2と2:1のピーク/トラフ比を持つPKはQD投与に好適である一方で、pH依存性の低溶解性が溶解を限定したこと及び生理的なモデル化がBID投与は全体としての曝露を増やすことを示唆したことが熟考される。
【0142】
このことは45mgのBID用量で達成され、その際、末梢血アッセイにおけるSS CminでのSYK及びJAKの完全な阻害が観察され、それは曝露におけるほぼ倍加に一致した。45mgのBID用量では、SS Cminは、初代細胞及び細胞株の双方を用いた前臨床腫瘍モデルにてアポトーシスを誘導するのに十分な濃度である約1.5μMに上昇した。患者における45mgのBID用量のその後の評価は、この用量レベルで治療した患者すべてについてさらに高いCmin、Cmax及びAUCの値を明らかにし、PDマーカーは双方の経路の完全な阻害を示した。
【0143】
試験に関連すると思われる且つ2名以上の患者に発生している≧等級3の治療中に発生した有害事象(「AE」)は、倦怠感(n=5)、貧血及び好中球減少症(各n=3)、及び腹痛、好中球数の低下及び肺炎(各n=2)であった。最高の全体的な曝露は45mgのBID用量で達成されたが、2つの投与量規制毒性(「DLT」):等級3の膵炎及び等級3の倦怠感が発生した。
【0144】
PK/AEのプロファイルに基づいて、1.25~1.5μM以上のSS Cminではさらに高い等級の有害事象があると思われた。PKモデル化は、35mgのBIDの用量によって1.02μMのSS Cmin、1.3μMのSS Cmax、1.2μMのSS Cave、100~100%のBCRの%阻害(Cmin―max)、及び90~95%のIL4の%阻害(Cmin-max)が得られることを示したが、それは忍容性であり、有効であることが予測され、一貫した抗腫瘍活性を提供する。
【0145】
一貫した腫瘍反応は、0.7μMのSS Cminで再発性/難治性のCLL及びFLの患者にて観察された。
【0146】
30~65mgの範囲の用量のQDで強く前治療されたCLL、FL及び形質転換DLBCLの5名の患者にて部分応答が観察された。45mgのBID用量群で2名の部分応答が観察されたが、1名はFL患者であり、別の1名はCLL患者だった。応答は通常、治療の2サイクルののち生じた。複数の患者はリンパ節の縮小を示し、1年を超えて臨床的利点を維持した。
【0147】
結論
セルデュラチニブはリンパ系の悪性腫瘍の対象にて上手く忍容されている。セルデュラチニブは、好都合なPKプロファイルを示し、高いレベルのSYK及びJAKの阻害で良好な忍容性を示した。PKのデータはCminでの実質的な阻害を維持して1日1回投与を支持した。最大阻害を伴ったSYK/JAKシグナル伝達の用量依存性で且つ選択性の阻害は80パーセントを超え、JAK2またはPKCの阻害は検出されなかった。BCRのシグナル伝達経路は定常状態Cmin/Cmaxで90~100%阻害されたが、JAK/STATのシグナル伝達は60~80%のCmin/Cmaxで阻害される。PKデータは40mg~100mgの経口1日1回からの曝露の頭打ちを示し、定常状態のCminでマイクロモル以下の(約0.7μM)の曝露を生じた。溶解性がその理由であってもよいことが熟考される。BID投与が曝露におけるこの頭打ちを克服し、PDの効果を高めている。
【0148】
セルデュラチニブは、血中の、β2M、CRP、TNFR及びCCL3/4のような炎症のマーカーである複数の血清タンパク質を有意に低下させた。腫瘍反応と炎症の血清マーカー(たとえば、β2M及びCCL4)の阻害との間で有意な相関が認められた。
【0149】
セルデュラチニブは、強く前治療された患者にて有望な活性を有する。これらのデータは再発性/難治性のB細胞悪性腫瘍の患者のこの試験における臨床的な活性の証拠を明らかにした。今日まで、CLL、FL及びDLBCLの患者を含めて部分応答は観察されている。腫瘍の縮小は、その疾患が他のBCR経路阻害剤で進行した(またはそれを忍容することができなかった)者を含む複数の患者で見られた。他のBCR経路阻害剤で見られたようにリンパ球増多症の証拠が認められた。結果はまたセルデュラチニブがこれらの強く前治療された患者にて上手く忍容されることも示した。
【0150】
部分応答を含むこれらの結果は、再発性または難治性の血液癌の患者にてセルデュラチニブは活性があり、且つ上手く忍容されるという追加の証拠を提供している。
【0151】
実施例4:セルデュラチニブはイブルチニブ感受性及びイブルチニブ耐性の初代CLL細胞及びBTKC481S形質導入細胞株の増殖を阻止することが見いだされた
イブルチニブはSelleckchem(Houston,TX,USA)から購入した。
【0152】
細胞の単離及び培養:CLL細胞はヒトB細胞濃縮カクテルキット(Stemcell Technologies,Vancouver,BC,Canada)を用いて精製し、精製の検証のために全症例で95%を超える抗CD5/CD19(それぞれクローンHIB19及びUCHT2、eBioscience,San Diego,CA)で染色した。2.5mg/mLのCpG(ODN2006、刺激性CpG-ODN B型、ヒト特異的、Invivogen(San Diego、CA)から購入した)、100ng/mLのCD40L(Enzo Life Sciences、Plymouth Meeting、PA)、10ng/mLのIL-4 CD40L(Enzo Life Sciences、Plymouth Meeting、PA)の存在下または非存在下で、1×10個/mLの密度にて15%ウシ胎児血清(Gibco,Grand Island,NY)、ペニシリン(100IU)及びストレプトマイシン(100μg/mL)を伴ったRPMI1640において、単離されたCLL細胞を培養した。プレートに結合した抗IgM(10μg/mL)によって抗IgM刺激を行った。
【0153】
細胞増殖アッセイ:組み合わせた刺激(2.5μg/mLのCpG、100ng/mLのCD40L、10ng/mLのIL-4及び10μg/mLのプレートに結合した抗IgM)による8日目の培養物にブロモデオキシウリジン(BrdU)を加えた。製造元の指示書に従ってBrdUフローキット(BD Biosciences)を用いてフローサイトメトリーによってBrdU細胞の比率を解析した。
【0154】
BTKC481S及びT316A変異体構築物の生成:pCMV6発現ベクターにおけるBTK野生型(WT)のcDNAクローンをORIGENE(Rockville,MD,USA)から購入した。製造元の指示書に従ってQuikChange II部位特異的変異誘発キット(Agilent Technologies,CedarCreek,TX,USA)を用いてBTKC481S及びBTKT316A の変異体ベクターを生成した。変異体構築物の固有性はSanger配列決定によって確認した。
【0155】
細胞の形質移入、細胞の計数及び生存率アッセイ:製造元のプロトコール(Amaxa,Cologne,Germany)に従ってキットV、プログラムU-13 on Amaxa Nucleofectorを用いて、WTのBTKまたはBTKC481S変異体の構築物によってTMD8細胞に形質移入した。形質移入ののち、回復のために24時間24穴プレートにて細胞をNKTert細胞と共に共培養した。次いでイブルチニブ、セルデュラチニブ及び溶媒(DMSO)を形質移入したTMD8細胞に加え、Muse(商標)細胞分析器(Millipore,Hayward,CA,USA)を用いてMuse計数&生存率キットによって細胞の生存率を測定した。
【0156】
フローサイトメトリー:FACS解析のための細胞の染色は、以前記載された(たとえば、Cheng,et al.,Leukemia.2014;28(3):649-657)ように最適化された量の蛍光色素を結合させたmAbによって行った。手短には、洗浄緩衝液(1×PBS,0.5%のBSA,0.1%のNaN)で2回洗浄した後、100μLの洗浄緩衝液に1×10個の細胞を浮遊させ、蛍光色素を結合させたmAbによって染色し、室温で20分間インキュベートした。細胞をPerm/Wash緩衝液で2回洗浄したのち、フローサイトメータによって走査した。細胞内ホスホフロー解析については、新たに単離したCLL細胞を直ちに2~4%のパラホルムアルデヒドで固定し、-80℃で保存した。凍結保存した細胞を室温で溶解し、氷上で4時間50%のメタノールで透過化した。1×10個の細胞を100μLの洗浄緩衝液に浮遊させ、蛍光色素を結合させたmAbによって染色し、室温で20分間インキュベートした。次いでLSR2フローサイトメータ(BD Biosciences)によってフローサイトメトリーを行い、FlowJoソフトウエア(FLOWJO LLC,Ashland,OR,USA)を用いてデータを解析した。
【0157】
イブルチニブに応答する患者からイブルチニブ治療に先立って単離された初代細胞を組み合わせ刺激の条件下で250nMのイブルチニブまたはセルデュラチニブによって処理した。8日目にBrdUの取り込みを測定した。これらの細胞はこの濃度でどちらの薬剤にも同等に十分応答した。
【0158】
3名のイブルチニブ/再発患者から単離した細胞における類似の実験も行った。これらの試料はイブルチニブ耐性を付与するBTKの突然変異を持っている。患者のうち2名は既知の突然変異BTKC481Sを有し、他の1名はBTKT316Aを有した。生細胞の数を7日間毎日数えた。
【0159】
これらの変異した細胞をイブルチニブ及びセルデュラチニブに対して調べると、イブルチニブ処理に続いて有意な数のBrdUCLL細胞が残っていたのに対して、3つの症例すべてにてセルデュラチニブはBrdU細胞集団の出現をほぼ完全に阻止した。これらの実験は、セルデュラチニブは、イブルチニブ感受性のCLL細胞にて細胞増殖を阻止するだけでなく、イブルチニブ耐性のCLL細胞での細胞増殖も阻止することを明らかにしている。
【0160】
セルデュラチニブがイブルチニブ耐性細胞の増殖を直接抑制するのかどうかを調べるために、BTKC481S及び野生型BTK(WT)双方の発現ベクターを構築し、クローニングし、次いでイブルチニブ感受性リンパ腫細胞株TMD8に形質移入した。イブルチニブまたはセルデュラチニブへの曝露に続く細胞増殖を評価した。
【0161】
WTのBTKを形質移入したTMD8細胞の増殖は250nMでのイブルチニブ及びセルデュラチニブの双方によって同様に阻害されることが観察された(図4)。しかしながら、BTKC481Sで形質移入した細胞は予想通りイブルチニブにはあまり感受性ではなかった(図5)。一方、これらの細胞の増殖はWTのBTKで見られた阻止と同様にセルデュラチニブによって効果的に阻止された。
【0162】
実施例5:濾胞性リンパ腫患者についての症例研究
症例研究1(患者1):患者は形質転換濾胞性3Bリンパ腫(IHCによりMYC/BCL2/BCL6陽性)の71歳の白人女性だった。腫瘍はCD20+、CD10-、BCL2(強い)、cMYC(50%)及びKi67(80%)だった。
【0163】
患者の以前の治療にはR-CHOP(リツキシマブ、サイクロホスファミド、ドキソルビシン塩酸塩、オンコビン、プレドニゾン)(2013年11月~2014年2月)が含まれた。患者は2015年2月に再発した。2015年3月、患者は1日1回経口による(「PO QD」)セルデュラチニブ65mgを開始した。
【0164】
以下が観察された:定常状態Cmin-Cmaxは0.73~1.74μMだった;BCRシグナル伝達の%阻害は100%だった;IL2、IL4、IL6のシグナル伝達の%阻害は60~100%だった;及びGM-CSFの%阻害は約20%だった。患者は2サイクルののちセルデュラチニブに対して部分応答(69%)を示した。
【0165】
患者1は2015年8月に進行した。患者1は5サイクルの治療に続いて再発した。
【0166】
症例検討2(患者2):患者は濾胞性リンパ腫の71歳の白人女性だった。
【0167】
患者の以前の治療にはクロラムブシル(1998;CR)、フルダラビン/リツキサン(1999-2000;CR)、及びアバスチン/リツキサン(2011年3月~2012年1月)が含まれた。患者2は2014年9月に再発した。患者2は2014年10月、セルデュラチニブ45mgのPOQDを開始し、倦怠感のために用量を30mgに減らした。
【0168】
以下が観察された:定常状態Cmin-Cmaxは0.25~0.63μMだった。BCRシグナル伝達の%阻害は;pSYK Y525/525について90%,pERK Y204について0%だった;IL2、IL4、IL6のシグナル伝達の%阻害は60~100%だった;GM-CSFの%阻害は0%だった;2サイクル後のセルデュラチニブに対する部分応答(56%)及び1年の治療ののち76%のリンパ節縮小。
【0169】
患者2はその薬物にとどまっている。
【0170】
症例検討3(患者3):患者は濾胞性リンパ腫の79歳の白人男性だった。患者の腫瘍はSTATにおけるS86A突然変異を持っている。
【0171】
患者の以前の治療:R-CVP(リツキシマブ;サイクロホスファミド;ビンクリスチン;プレドニゾロン)(2006~2007)、R-維持(2006~2008)、BR(ベンダムスチン;リツキシマブ)(5/2013~9/2013),イブルチニブ(10/2013~4/2014)、R-CHOP(12/2013~4/2014)。患者3は2014年5月に再発した。患者3は2014年6月に1日2回の経口(「PO BID」)によるセルデュラチニブ15mgを与えられた。セルデュラチニブで6カ月間患者3では安定な疾患が観察された(20%のリンパ節縮小)。
【0172】
これらの症例検討は、セルデュラチニブが今日まで上手く忍容されており、強い前治療を受けた濾胞性リンパ腫を有する患者にて有望な活性を有することを示している。応答は他の非ホジキンリンパ腫(NHL)で見られている。
【0173】
定義されない限り、本明細書で使用されている専門用語及び科学用語はすべて、本発明が属する技術の当業者によって共通して理解されるものと同じ意味を有する。
【0174】
本明細書に説明的に記載されている本発明は、本明細書で具体的に開示されていない要素(単数)または要素(複数)、限定(単数)または限定(複数)の非存在下で好適に実践されてもよい。従って、たとえば、用語「comprising(含んでいる)」、「including(含んでいる)」、「containing(含んでいる)」等は広範に且つ限定しないで読み取られるべきである。さらに、本明細書で採用されている用語及び表現は限定という点ではなく、記載という点で使用されており、示され、記載されている特徴またはその一部の同等物を排除するそのような用語及び表現の使用の意図はないが、請求されている本発明の範囲の中で種々の改変が可能であることが認識される。
【0175】
従って、本発明は好まれる実施形態及び任意の特徴によって具体的に開示されているが、本明細書で開示されているその中で具体化された本発明の改変、改善及び変化が当業者によって再分類されてもよく、そのような改変、改善及び変化は本発明の範囲の中にあると見なされることが理解されるべきである。ここで提供されている材料、方法及び実施例は好まれる実施形態の代表であり、例示であり、本発明の範囲を限定するものとしては意図されない。
【0176】
本発明は本明細書に広く且つ一般的に記載されている。一般的な開示の範囲内に入るさらに狭い種及び亜属のグループ分けのそれぞれも本発明の一部を形成する。これには、削除された物質が本明細書で具体的に引用されるかどうかにかかわらず、条件付きでまたは属に由来する主題を取り除く消極的限定と共に本発明の一般的な記載が含まれる。
【0177】
加えて、本発明の特徴または態様がマーカッシュ群という点で記載されている場合、当業者は本発明がそれによってマーカッシュ群の個々のメンバーまたはメンバーの亜群という点でも記載されることを認識するであろう。
【0178】
本明細書で言及されている出版物、特許出願、特許及び他の参考文献はすべて、それぞれが参照によって個々に組み入れられたかのような同じ程度にその全体が参照によって明白に組み入れられる。対立する場合、定義を含む本明細書が支配するであろう。
【0179】
本開示は上記の実施形態と併せて記載されている一方で、前述の記載及び実施例は説明するように意図され、本開示の範囲を限定するようには意図されないことが理解されるべきである。本開示の範囲内にある他の態様、利点及び改変は本開示が関係する技術の当業者に明らかであろう。
本開示の実施形態の例として以下の項目が挙げられる。
(項目1)
それを必要とするヒト患者における血液癌の治療方法であって、約10mg~約75mgの1日用量のセルデュラチニブまたは薬学上許容できるその塩を前記患者に投与することを含む、前記治療方法。
(項目2)
それを必要とする患者における再発性または難治性の血液癌の治療方法であって、有効量のセルデュラチニブまたは薬学上許容できるその塩を前記患者に投与することを含む、前記治療方法。
(項目3)
それを必要とする患者における再発性または難治性の血液癌の治療方法であって、有効量のセルデュラチニブまたは薬学上許容できるその塩を前記患者に投与することを含み、前記患者が、再発及び/または血液癌を治療するための薬剤に対する耐性と関連がある突然変異を有し、
セルデュラチニブまたは薬学上許容できるその塩の有効量が、セルデュラチニブの約30mg~約80mgの1日用量である、前記治療方法。
(項目4)
前記患者が、再発及び/または血液癌を治療するための薬剤に対する耐性と関連がある突然変異を有する、項目1または2に記載の方法。
(項目5)
前記患者が、del17pの突然変異、P53の突然変異、ATMの突然変異、STATの突然変異、STAT6の突然変異、C481S STAT6の突然変異、NOTCH経路に関連する突然変異、またはカデリン経路に関連する突然変異を有する、項目3または4に記載の方法。
(項目6)
前記患者が、P53、BTK及びEP300のすべてにおいて突然変異を有さない、項目3~5のいずれかに記載の方法。
(項目7)
前記患者が、BTKの突然変異を有する、項目3または4に記載の方法。
(項目8)
前記患者が、イブルチニブに対する耐性を有する、項目3または4に記載の方法。
(項目9)
前記血液癌が、非ホジキンリンパ腫(NHL)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、濾胞性リンパ腫(FL)、形質転換濾胞性リンパ腫(tFL)、びまん性大型B細胞リンパ腫(DLBCL)及びマントル細胞リンパ腫(MCL)から成る群から選択される、先行項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目10)
前記血液癌がCLLである、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記血液癌がSLLである、項目9に記載の方法。
(項目12)
前記血液癌がFLである、項目9に記載の方法。
(項目13)
前記血液癌がtFLである、項目9に記載の方法。
(項目14)
前記血液癌がDLBCLである、項目9に記載の方法。
(項目15)
前記血液癌がMCLである、項目9に記載の方法。
(項目16)
前記患者が、アルキル化剤、抗CD20抗体、BCL-2阻害剤、BTK阻害剤、P13Kδ阻害剤、白金系薬剤、代謝拮抗剤、アントラサイクリン、BCR経路阻害剤、及び血液癌を治療するのに使用される別の化学療法剤から成る群から選択される薬剤を以前投与された、先行項目のいずれか1項に記載の方法。
(項目17)
前記患者が、ベネトクラックス、リツキシマブ、イブルチニブ、イデラリシブ及びフルダラルビンから成る群から選択される薬剤を以前投与された、項目1~16に記載の方法。
(項目18)
前記セルデュラチニブが、薬学上許容できる賦形剤またはキャリアをさらに含む医薬組成物にて投与される、先行項目のいずれかに記載の方法。
(項目19)
セルデュラチニブの前記1日用量が約70mgである、項目1に記載の方法。
(項目20)
セルデュラチニブの前記1日用量が投与当たり約35mgで1日2回投与される、項目1に記載の方法。
(項目21)
セルデュラチニブまたは薬学上許容できるその塩の前記有効量が約15mg~約40mgの用量で1日2回投与される、項目2または3に記載の方法。
(項目22)
セルデュラチニブまたは薬学上許容できるその塩の前記有効量が約30mg~約40mgの用量で1日2回投与される、項目2または3に記載の方法。
(項目23)
セルデュラチニブまたは薬学上許容できるその塩の前記有効量が約35mgの用量で1日2回投与される、項目2または3に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7