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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-07
(45)【発行日】2023-04-17
(54)【発明の名称】アブレーション電源装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/12 20060101AFI20230410BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20230410BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20230410BHJP
【FI】
A61B18/12
H02J7/00 H
H02J7/00 302C
H02J7/02 G
【請求項の数】 6
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018136444
(22)【出願日】2018-07-20
(65)【公開番号】P2019022659
(43)【公開日】2019-02-14
【審査請求日】2021-05-11
(31)【優先権主張番号】15/656,227
(32)【優先日】2017-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・ゴバリ
【審査官】山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-136017(JP,A)
【文献】特開2011-143252(JP,A)
【文献】特表2015-521900(JP,A)
【文献】特開2017-112802(JP,A)
【文献】特開2017-077084(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/12
H02J 7/00
H02J 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
比較的高い電圧源(54)への第1の電気的接続を有し、かつ第2の電気的接続を介してカテーテル(40)内のアブレーション回路(38)に接続可能である、電源(56)、
を備え、前記電源(56)は、
前記電源(56)内にある、充電式の第1及び第2の補助電源(64、66)であって、前記第1及び第2の補助電源(64、66)は前記高い電圧源(54)よりも低い電圧を出力し、前記高い電圧源(54)は交流(AC)を生成し、前記第1及び第2の補助電源(64、66)は直流(DC)を生成する、第1及び第2の補助電源と、
制御部(60)と、
前記アブレーション回路(38)を、前記制御部(60)からの制御信号に応答して前記第1及び第2の補助電源(64、66)に交互に接続する、第1のスイッチ(52A)と、
前記第1のスイッチ(52A)によって前記第1及び第2の補助電源のうちの一方(64)が前記アブレーション回路(38)から切断され、前記第1及び第2の補助電源のうちの他方(66)が前記アブレーション回路(38)に接続されている際に、前記制御信号に応答して前記第1及び第2の補助電源のうちの前記一方(64)を充電するために前記第1及び第2の補助電源のうちの前記一方(64)を前記高い電圧源(54)に交互に接続する、第2のスイッチ(52B)と、
前記高い電圧源(54)に連係されたAC入力と、前記第1及び第2の補助電源(64、66)に連係されたDC出力とを有する、コンバータ発電機(68)と、
前記第1及び第2の補助電源(64、66)に連係されたDC入力と、前記アブレーション回路(38)に連係されたAC出力とを有する、インバータ発電機(70)と、
前記コンバータ発電機(68)と前記高い電圧源(54)との間の第3のスイッチ(58)と、
前記インバータ発電機(70)と前記第1のスイッチ(52A)との間の第4のスイッチ(72)と、を備え
前記第3のスイッチ(58)及び前記第4のスイッチ(72)は連動して前記第1及び第2の補助電源(64、66)を前記カテーテル(40)から、前記電源(56)を前記高い電圧源(54)から同時に切断することを可能とするように構成されている、装置。
【請求項2】
前記第1のスイッチ(52A)及び前記第2のスイッチ(52B)の一対は、2極双投スイッチである、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1のスイッチ(52A)及び前記第2のスイッチ(52B)は互いに連動している、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第1及び第2の補助電源(64、66)は、バッテリ又はコンデンサである、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記制御部(60)は、前記第1及び第2の補助電源(64、66)の両方を前記アブレーション回路(38)から、及び前記高い電圧源(54)から連係解除するように動作可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記制御部(60)は、前記第1及び第2の補助電源(64、66)の両方を同時に前記アブレーション回路(38)に連係させ、前記第1及び第2の補助電源(64、66)の両方を同時に前記高い電圧源(54)から連係解除させるように動作可能である、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(著作権情報)
本特許文献の開示の一部には、著作権保護の対象となる資料が含まれる。著作権者は、特許文献又は特許情報開示のうちの任意のものによる複製に対して、それが特許商標庁特許出願又は記録において明らかであるとき、異議を唱えないが、そうでなければ、たとえ何であってもすべての著作権を保有する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、診断及び手術を目的とする器具に関する。より具体的には、本発明は、医療器具における電力の供給又は配電のためのスイッチング構成に関する。
【背景技術】
【0003】
電気エネルギーを用いた体組織のアブレーションが当該技術分野で知られている。このアブレーションは通常、標的組織を破壊するのに十分な電力で、電極に交流を、例えば高周波エネルギーを印加することによって実施される。例えば、不整脈を治療するための処置としては、不整脈の原因となる信号の発生源を外科的に破壊すること、及びそのような信号の伝導路を破壊することがある。カテーテルを介してエネルギーを印加して心臓組織を選択的にアブレーションすることによって、心臓の一部分から別の部分への望ましくない電気信号の伝播を停止又は変更することが時に可能である。アブレーション法は、非伝導性の損傷部位を形成することによって望ましくない電気経路を破壊するものである。通常、電極はカテーテルの遠位先端部に装着され、この遠位先端部が被験者に挿入される。
【0004】
患者及び心臓生理学の研究において使用される繊細な電子機器を保護するために、「壁面」コンセントから流れるアブレーション用電源は非常に高い基準で絶縁されなければならない。これは、高電力を使用しなければならないときに費用が嵩むことになる。例えば、ある種類のアブレーションでは、4秒で5kW(20kJ)を必要とし得る。しかしながら、これよりも電力の高くない他のシステムはより長い時間にわたって100Wの大きさで電力を使用することができるが、これらのシステムであっても、所望の絶縁を実現することは、例えば労働集約的な製造コストによって、高価となる。
例えば、生体組織に処置を行うエネルギー処置具が特許文献1に開示されている。
[特許文献1]
国際公開番号WO2016/203871
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の開示された実施形態は、コンデンサのバンクから、及び/又はバッテリからの電力供給を行うことによって、アブレーションカテーテルで必要となる絶縁に対応している。典型的なシステムは、一対のバッテリ/コンデンサバンクを使用し、1つのバンクは常に充電されている。制御装置、典型的には中継装置は、一対のスイッチを介して、バンクがトグル式に、充電中の状態とカテーテルにアブレーション電力を送達する状態との間で切り替わることを保証する。アブレーション回路が電力送達バンクに接続されると、壁面コンセントから完全に絶縁される。スイッチング回路は、アブレーション電極及び他のカテーテル要素に常に利用可能な電力があることを保証する。
【0006】
一対のバッテリ/コンデンサバンクを用いることにより、本発明の実施形態は、アブレーションカテーテルに影響を及ぼす可能性のある唯一の電力漏洩が、低電力であるスイッチング回路からのものであることを確実とする。カテーテルを通しての電力漏洩を減少させることにより、電源全体としての絶縁要件が大幅に低減される。
【0007】
このように、本発明の実施形態は装置を提供し、装置は、
比較的高い電圧源への第1の電気的接続を有し、かつ第2の電気的接続を介してカテーテル内のアブレーション回路に接続可能である、電源を備えている。電源には充電式の第1及び第2の補助電源があり、制御部もある。装置はまた、アブレーション回路を、制御部からの制御信号に応答して第1及び第2の補助電源に交互に接続する第1のスイッチと、第1のスイッチによって第1及び第2の補助電源のうちの一方がアブレーション回路から切断され、第1及び第2の補助電源のうちの他方がアブレーション回路に接続されている際に、制御信号に応答して第1及び第2の補助電源のうちの一方を充電するために第1及び第2の補助電源のうちの一方を高い電圧源に交互に接続する、第2のスイッチと、を備えている。
【0008】
開示された実施形態では、第1のスイッチ及び第2のスイッチは、2極双投スイッチである。
【0009】
更に開示される実施形態では、第1のスイッチ及び第2のスイッチは互いに連動している。
【0010】
なお更に開示される実施形態では、第1及び第2の補助電源は、バッテリ又はコンデンサである。
【0011】
代替の実施形態では、第1及び第2の補助電源は、高い電圧源よりも低い電圧を出力する。
【0012】
更なる代替の実施形態では、高い電圧源は交流(AC)を生成し、第1及び第2の補助電源は直流(DC)を生成する。装置は、高い電圧源にAC入力を連係させ、第1及び第2の補助電源にDC出力を連係させている、直流発電機と、第1及び第2の補助電源にDC入力を連係させ、アブレーション回路にAC出力を連係させている、交流発電機と、を更に備える。
【0013】
なお更なる代替実施形態では、制御部は、第1及び第2の補助電源の両方をアブレーション回路及び高い電圧源から連係解除するように動作可能である。
【0014】
典型的には、制御部は、第1及び第2の補助電源の両方を同時にアブレーション回路に連係させ、第1及び第2の補助電源の両方を同時に高い電圧源から連係解除させるように動作可能である。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、方法が提供され、方法は、
比較的高い電圧源への第1の電気的接続を有し、かつ第2の電気的接続を介してカテーテル内のアブレーション回路に接続可能である、電源を設けることと、
電源に充電式の第1及び第2の補助電源を組み込むことと、
制御部を設けることと、
第1のスイッチを介して、アブレーション回路を、制御部からの制御信号に応答して第1及び第2の補助電源に交互に接続させることと、
第1のスイッチによって第1及び第2の補助電源のうちの一方がアブレーション回路から切断され、第1及び第2の補助電源のうちの他方がアブレーション回路に接続されている際に、第2のスイッチを介して、制御信号に応答して第1及び第2の補助電源のうちの一方を充電するために第1及び第2の補助電源のうちの一方を高い電圧源に交互に接続させることと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明をより深く理解するため、本発明の詳細な説明を実例として参照するが、この説明は以下の図面と併せて読むべきものである。図中、同様の要素には同様の参照数字を付してある。
図1】本発明の一実施形態に基づいて構成され動作可能である、生体被験者の心臓にアブレーション処置を行うためのシステムの描図である。
図2】本発明の実施形態による、カテーテル用の電源の概略図である。
図3】本発明の実施形態による、図2に示す電源の別の概略図である。
図4】本発明の実施形態による、図2に示す電源の別の概略図である。
図5】本発明の実施形態による、図2に示す電源の別の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の説明では、本発明の様々な原理が十分に理解されるように、多くの具体的な詳細について記載する。しかしながら、これらの詳細のすべてが本発明を実施する上で必ずしも必要であるとは限らない点は当業者には明らかであろう。この場合、一般的な概念を無用に分かりにくくすることのないよう、周知の回路、制御論理、並びに従来のアルゴリズム及びプロセスに対するコンピュータプログラム命令の詳細については、詳しく示していない。
【0018】
参照により本明細書に援用される文書は本出願の一体部分と見なされるべきであり、いずれかの用語が、それらの援用された文書内で、本明細書で明示的又は暗示的に行われる定義と相反するように定義される場合を除き、本明細書における定義のみが考慮されるべきである。
【0019】
用語「連係する(link)」、「連係する(links)」、「連結する(couple)」、「連結する(couples)」は、間接的又は直接的接続を意味することが意図されている。したがって、第1の装置が第2の装置に連結する場合、この接続は直接の接続であってもよく、又は他の装置及び接続を介しての間接の接続であってもよい。
【0020】
本発明の態様は、典型的には、コンピュータ可読媒体などの恒久的なストレージ内に保持されるソフトウェアプログラミングコードにおいて具現化することができる。クライアント/サーバ環境では、かかるソフトウェアプログラミングコードは、クライアント又はサーバに記憶させることができる。ソフトウェアプログラミングコードは、ディスケット、ハードドライブ、電子媒体、又はCD-ROM等の、データ処理システムと共に使用するための様々な既知の非一時的媒体のうちの、いずれかの上に具体化することができる。コードは、かかる媒体上で配布されてもよく、又はユーザに1つのコンピュータシステムのメモリ若しくはストレージから、なんらかのネットワークを介して他のコンピュータシステム上の記憶装置に配布することで、かかる他のシステムのユーザが使用することができる。
【0021】
ここで図面に目を向けると、開示される本発明の実施形態に基づいて構築され動作可能である、生体被験者の心臓12に対してアブレーション処置を行うためのシステム10の描図である図1を最初に参照する。このシステムは、患者の脈管系を通って心臓12の腔又は脈管構造内に操作者16によって経皮挿入されるカテーテル14を備えている。操作者16は通常、医師であり、アブレーション標的部位において、カテーテルの遠位先端部18を心臓壁と接触させる。任意選択的に、次いで電気起動マップが、その開示内容が参照によって本明細書に援用される米国特許第6,226,542号及び同第6,301,496号、並びに本願と同一譲受人に譲渡された米国特許第6,892,091号に開示されている方法に従って、作成されてもよい。システム10の要素を具現化する1つの市販品は、Biosense Webster,Inc.(3333 Diamond Canyon Road,Diamond Bar,CA 91765)から市販されているCARTO(登録商標)3 Systemとして入手可能である。このシステムは、本明細書に説明される本発明の原理を具現化するように、当業者によって変更されてもよい。
【0022】
例えば電気的活動マップの評価によって異常と判定された領域は、熱エネルギーの印加によって、例えば、心筋に高周波エネルギーを印加する、遠位先端18での1つ以上の電極に、高周波電流をカテーテル内のワイヤを介して流すことによって、アブレーションすることができる。エネルギーは組織に吸収され、電気的励起性が恒久的に失われる点(通常、約50℃)まで加熱する。成功裏に行われた場合、この処置によって心臓組織に非伝導性の損傷部が形成され、この損傷部が、不整脈を引き起こす異常な電気経路を遮断する。本発明の原理を様々な心腔に適用することによって、多くの様々な心不整脈を治療することができる。
【0023】
カテーテル14は、通常、ハンドル20を備えており、このハンドル上に好適な制御部を有して、操作者16がアブレーションを行うためのカテーテルの遠位端の操舵、位置決め、及び方向付けを所望のとおりに行うことを可能にするする。操作者16を補助するために、カテーテル14の遠位部分は、コンソール24内に位置する位置決めプロセッサ22に信号を提供する位置センサ(図示せず)を含む。
【0024】
アブレーションエネルギー及び電気信号を、遠位先端部18にあるいはその遠位先端部の近傍に配置される1つ又は2つ以上のアブレーション電極32を通して、コンソール24に至るケーブル34を介し、心臓12との間で伝達することができる。ペーシング信号及び他の制御信号は、コンソール24から、ケーブル34及び電極32を介して、心臓12へと伝達され得る。また、コンソール24に接続されている検知電極33は、アブレーション電極32の間に配設されて、ケーブル34への接続部を有する。
【0025】
ワイヤ接続部35は、コンソール24を体表面電極30及び位置決定サブシステムの他の構成要素とつないでいる。参照により本明細書に援用される、Ovariaらに付与された米国特許第7,536,218号において教示されているように、電極32及び体表面電極30を使用して、アブレーション部位における組織インピーダンスを測定してもよい。温度センサ(図示せず)、典型的には、熱電対又はサーミスタを、電極32のそれぞれの上に、又は電極32のそれぞれの近傍に、載置することができる。
【0026】
コンソール24には通常、1つ又は2つ以上のアブレーション発電機25が収容されている。カテーテル14は、例えば、高周波エネルギー、超音波エネルギー、及びレーザー生成光エネルギー等の任意の既知のアブレーション技術を使用して、心臓にアブレーションエネルギーを伝えるように適合され得る。そのような方法は、参照により本明細書に援用される、本願と同一譲受人に譲渡された米国特許第6,814,733号、同第6,997,924号、及び同第7,156,816号に開示されている。
【0027】
位置決定プロセッサ22は、カテーテル14の場所及び向きの座標を測定するシステム10における位置決定サブシステムの要素である。
【0028】
一実施形態では、位置決めサブシステムは、磁場生成コイル28を使用して、所定の作業体積内に磁場を生成し、カテーテルにおけるこれらの磁場を検知することによって、カテーテル14の位置及び向きを判定する磁気位置追跡配置を備える。位置決定サブシステムでは、例えば、参照により本明細書に援用される米国特許第7,756,576号、及び上記の米国特許第7,536,218号に教示される、インピーダンス測定を用いることができる。
【0029】
上述のように、カテーテル14は、コンソール24に連結されており、これにより操作者16は、カテーテル14を観察し、その機能を調節することができる。コンソール24は、プロセッサ、好ましくは、適切な信号処理回路を有するコンピュータを含む。プロセッサは、モニタ29を駆動するように連結される。信号処理回路は、通常、カテーテル14内の遠位に位置する上述のセンサ及び複数の位置検知電極(図示せず)によって生成される信号を含むカテーテル14からの信号を、受信、増幅、フィルタリング、及びデジタル化する。デジタル化された信号は、コンソール24及び位置決めシステムによって受信され、カテーテル14の位置及び向きを計算し、電極からの電気信号を解析するために使用される。
【0030】
簡略化のために図示されないが、通常、システム10は、他の要素を含む。例えば、システム10は、心電図(ECG)モニタを含み得るが、このECGモニタは、ECG同期信号をコンソール24に供給するために、1つ又は2つ以上の体表面電極から信号を受信するように連結される。上述のとおり、システム10はまた、通常、被験者の身体の外側に取り付けられる外部から貼付された基準パッチの上、又は心臓12内に挿入され、心臓12に対して固定位置に維持されている、体内に置かれたカテーテルの上のいずれかにある、基準位置センサも含む。アブレーション部位を冷却するための液体をカテーテル14を通して循環させるための従来のポンプ及びラインが設けられている。
【0031】
ここで、本発明の実施形態による、アブレーション回路を有するカテーテルに電力を供給するための構成の概略図である図2を参照する。電力源54は、カテーテル14(図1)と実質的に類似し、手術において患者42に導入される、アブレーション回路38及びカテーテル40の他の電力を必要とするものに電力を供給する。電力源54は、交流(AC)の比較的高い電圧源、例えば、120V又は240Vの壁面コンセントであり得る。カテーテル用の電源56は、電力源54に接続されている主電源スイッチ58によって、有効化及び無効化される。この図面、及び以降の図面において、要素間の電気的接続は実線で形成された矢印で示され、切断は破線で形成される矢印で示される。
【0032】
本明細書では電力バンク64、66とも称する2つの補助電源64、66は、カテーテル40、具体的にはカテーテルのアブレーション電極及びアブレーション回路38、ひいては被検者の心臓の電気生理学的研究に必要とされるカテーテルの他の設備にも電力を供給する。このような設備は、図1の説明に記載するものを含むがそれらに限定されない。いずれの場合も、いくつかの用途では、そのような設備への電力が遮断されないことが重要である。バンク64、66は、バッテリ、若しくはコンデンサ、又はそれらの組み合わせであってよい。これらは直流(DC)発電機68で充電され、代わりに主電源スイッチ58が閉じられると電力源54から交流が供給される。DC発電機の電圧出力は、コンデンサの動作電圧、及びバンク64、66のバッテリの出力電圧に互換性を有するように選択される。
【0033】
交流発電機70は、スイッチ72を介して、バンク64、66から直流を受け、アブレーション回路38に交流を供給する。上記に参照される高周波電流の通過によるアブレーションを行うには、アブレーションに使用される典型的な周波数、例えば約10kHzで交流が供給されてもよい。スイッチ72はカテーテルに連結され、主電源スイッチ58と連動することができ、えば患者の処置の終了時に、バンク64、66をカテーテルから、及び電源56を電力源54から、同時に切断することを可能とする。
【0034】
低電力を電力源54から引き出す中継制御部60は、スイッチング部62を制御して、それによってバンク64、66と発電機68、70との間の接続を制御する。スイッチング部62は、典型的には2極双投(DPDT)スイッチである一対のスイッチ52A、52Bを備え、中継制御部60は、バンク64、66と発電機68、70との間のスイッチを交互に接続するように信号を提供して、2つの発電機間で直接的なガルバニック接続がないように構成される(発電機70がカテーテルに電力を供給し、発電機68が電力源54から電力を受ける)。図2から、電力源54とカテーテルとの間の唯一の可能な電気経路が中継制御60を介するものであることが明らかである。これにより、動力源54とカテーテルとの間で漏電経路が存在しないことを確実にする電源56の絶縁要件は、中継制御部の低電力要件に対応するだけでよい。これらの絶縁要件は、電力源54とカテーテル及びその交流発電機との間に直接的な経路が存在する絶縁要件を有するシステムに比べて、大幅に手間が少なく、費用負担も大幅に少ない。
【0035】
図2は、電源56が「オフ」の状態であり、スイッチ58及び72は両方とも開いた「オフ」の状態であることを示す。よって、電力源54から電源への接続がなく、電源からカテーテルへの接続がない。電力源54から電源への接続がないので、中継制御60は動作不能であり、スイッチ52A、52Bはその状態が変化しない。例示として、スイッチ52Aはバンク66に接続されているように示されており、スイッチ52Bはバンク64に接続されているように示されている。
【0036】
ここで、本発明の実施形態による、「オン」の状態にある電源56の異なる状態を示す、図3図4、及び図5を参照する。電源56がオンの状態では、スイッチ58、72は共に閉じている「オン」の状態にある。主電源スイッチ58が閉じられると、中継制御部60はアクティブとなり、スイッチング部62を制御することができるようになる。また、AC電力が発電機70からカテーテルに到達し、カテーテルはスイッチ72を介してアクティブ化され、スイッチ72は、スイッチ58が閉じると閉じる。更に、スイッチング部62は汎用性があり、以下に説明するとおり、バンク64、66の一方若しくは両方を種々の組み合わせで発電機68、70に接続することができ、いずれとも接続させないこともできる。
【0037】
図3は、電源のオンの状態では、スイッチ52Bがバンク66から切断されている間、発電機68はスイッチ52Bを介してバンク64を充電することを示している。バンク64が充電されている間、バンク66はスイッチ52Aを介して発電機70に電力を供給し、一方でスイッチ52Aはバンク64から切断されている。
【0038】
図4は、バンク64、66の役割反転時における電源56の概略図である。電源のオンの状態について上記したように、主電源スイッチ58及びスイッチ72は閉じられている。スイッチング部62のスイッチ52Bは、バンク64、66の両方を発電機68から切断して、スイッチの接点が中間かつ開放回路の状態にあるようにしている。スイッチ52Aは、バンク64、66の両方を発電機70に接続している。バンク64、66のうちの一方は前の動作の結果として充電され、発電機70に電力を供給することができる。バンク64、66のうちの他方は典型的には放電されるが、この段階ではその状態は重要でない。移行時にカテーテルが非通電となることはないが、電力源54によって生成される高い電圧にさらされることはなく、バンク64、66及び発電機70の比較的低い電圧にのみ、さらされる。また、電力源54とカテーテル40との間には、中継60を介したもの以外に経路は存在しない。
【0039】
図5は、バンク64、66の役割の逆転終了後の電源56の概略図である。図3では、バンク66は発電機70に電力を供給していた。ここでは、バンク66は発電機70から切り離され、発電機68によってスイッチ52Bを介して充電されている。バンク64は、スイッチ52Aを介して発電機70に接続されて電力を供給しているが、発電機68からは切断されている。
【0040】
上記のとおり、中継制御60はスイッチ52A、52Bを作動させるので、電源のオンの状態では、電源は図3図4、及び図5に示す状態のいずれかにある。典型的には、制御60は、バンク64、66の状態を監視して、バンクの状態に応じて52A、52Bを切り替えるように構成されている。よって、制御60が、カテーテルに電力を供給しているバンクが放電されている、又は放電しようとしていることを検出すると、制御はスイッチ52A、52Bを切り替えて、他の、充電されているバンクがカテーテルに供給し、放電されたバンクが充電されるようにする。
【0041】
上記の説明では電源56において一対の2極双投スイッチ(DPDT)52A、52Bが動作可能であることを想定しているが、当業者であれば、スイッチ52A、52Bと同一の機能を果たすスイッチの他の構成、及びDPDTスイッチの対の同等物が、電源にて用いられ得ることを認識するであろう。すべてのこのようなスイッチの同等の構成は、本発明の範囲内に含まれる。
【0042】
当業者であれば、本発明が上記で具体的に図示及び記載されたものに限定されない点を理解するであろう。むしろ、本発明の範囲は、上述の様々な特徴の組合せ及び部分的組合せの両方、並びに上記の説明を読むことで当業者には想到されるであろう、先行技術にはない上述の特徴の変形例及び改変例をも含むものである。
【0043】
〔実施の態様〕
(1) 装置であって、
比較的高い電圧源への第1の電気的接続を有し、かつ第2の電気的接続を介してカテーテル内のアブレーション回路に接続可能である、電源と、
前記電源内にある、充電式の第1及び第2の補助電源と、
制御部と、
前記アブレーション回路を、前記制御部からの制御信号に応答して前記第1及び第2の補助電源に交互に接続する、第1のスイッチと、
前記第1のスイッチによって前記第1及び第2の補助電源のうちの一方が前記アブレーション回路から切断され、前記第1及び第2の補助電源のうちの他方が前記アブレーション回路に接続されている際に、前記制御信号に応答して前記第1及び第2の補助電源のうちの前記一方を充電するために前記第1及び第2の補助電源のうちの前記一方を前記高い電圧源に交互に接続する、第2のスイッチと、を備える、装置。
(2) 前記第1のスイッチ及び前記第2のスイッチは、2極双投スイッチである、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記第1のスイッチ及び前記第2のスイッチは互いに連動している、実施態様1に記載の装置。
(4) 前記第1及び第2の補助電源は、バッテリ又はコンデンサである、実施態様1に記載の装置。
(5) 前記第1及び第2の補助電源は、前記高い電圧源よりも低い電圧を出力する、実施態様1に記載の装置。
【0044】
(6) 前記高い電圧源は交流(AC)を生成し、前記第1及び第2の補助電源は直流(DC)を生成し、
前記高い電圧源にAC入力を連係させ、前記第1及び第2の補助電源にDC出力を連係させている、直流発電機と、
前記第1及び第2の補助電源にDC入力を連係させ、前記アブレーション回路にAC出力を連係させている、交流発電機と、を更に備える、実施態様1に記載の装置。
(7) 前記制御部は、前記第1及び第2の補助電源の両方を前記アブレーション回路から、及び前記高い電圧源から連係解除するように動作可能である、実施態様1に記載の装置。
(8) 前記制御部は、前記第1及び第2の補助電源の両方を同時に前記アブレーション回路に連係させ、前記第1及び第2の補助電源の両方を同時に前記高い電圧源から連係解除させるように動作可能である、実施態様1に記載の装置。
(9) 方法であって、
比較的高い電圧源への第1の電気的接続を有し、かつ第2の電気的接続を介してカテーテル内のアブレーション回路に接続可能である、電源を設けることと、
前記電源に充電式の第1及び第2の補助電源を組み込むことと、
制御部を設けることと、
第1のスイッチを介して、前記アブレーション回路を、前記制御部からの制御信号に応答して前記第1及び第2の補助電源に交互に接続させることと、
前記第1のスイッチによって前記第1及び第2の補助電源のうちの一方が前記アブレーション回路から切断され、前記第1及び第2の補助電源のうちの他方が前記アブレーション回路に接続されている際に、第2のスイッチを介して、前記制御信号に応答して前記第1及び第2の補助電源のうちの前記一方を充電するために前記第1及び第2の補助電源のうちの前記一方を前記高い電圧源に交互に接続させることと、を含む、方法。
(10) 前記第1のスイッチ及び前記第2のスイッチは、2極双投スイッチである、実施態様9に記載の方法。
【0045】
(11) 前記第1のスイッチ及び前記第2のスイッチは互いに連動する、実施態様9に記載の方法。
(12) 前記第1及び第2の補助電源は、バッテリ又はコンデンサである、実施態様9に記載の方法。
(13) 前記第1及び第2の補助電源は、前記高い電圧源よりも低い電圧を出力する、実施態様9に記載の方法。
(14) 前記高い電圧源は交流(AC)を生成し、前記第1及び第2の補助電源は直流(DC)を生成し、
前記高い電圧源にAC入力を連係させ、前記第1及び第2の補助電源にDC出力を連係させる直流発電機を設けることと、
前記第1及び第2の補助電源にDC入力を連携させ、前記アブレーション回路にAC出力を連係させる交流発電機を設けることと、を更に含む、実施態様9に記載の方法。
(15) 前記制御部は、前記第1及び第2の補助電源の両方を前記アブレーション回路から、及び前記高い電圧源から連係解除するように動作可能である、実施態様9に記載の方法。
【0046】
(16) 前記制御部は、前記第1及び第2の補助電源の両方を同時に前記アブレーション回路に連係させ、前記第1及び第2の補助電源の両方を同時に前記高い電圧源から連係解除させるように動作可能である、実施態様9に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5