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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-07
(45)【発行日】2023-04-17
(54)【発明の名称】流体分配装置
(51)【国際特許分類】
   F28F 27/02 20060101AFI20230410BHJP
   F17C 7/02 20060101ALI20230410BHJP
   F25J 3/06 20060101ALI20230410BHJP
   F25J 5/00 20060101ALI20230410BHJP
   B01J 4/00 20060101ALI20230410BHJP
【FI】
F28F27/02
F17C7/02
F25J3/06
F25J5/00
B01J4/00 101
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018218197
(22)【出願日】2018-11-21
(65)【公開番号】P2019098325
(43)【公開日】2019-06-24
【審査請求日】2021-05-25
(31)【優先権主張番号】62/591,948
(32)【優先日】2017-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/145,654
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518414306
【氏名又は名称】チャート・エナジー・アンド・ケミカルズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴン・ジェイ・ヴァリー
(72)【発明者】
【氏名】ズィーク・スカールプカ
(72)【発明者】
【氏名】アダム・マクニーリー
(72)【発明者】
【氏名】エンマ・カーター
(72)【発明者】
【氏名】ライアン・メヒューズ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ラスキン
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・ロブソン
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-109384(JP,A)
【文献】米国特許第05771946(US,A)
【文献】米国特許第05163409(US,A)
【文献】米国特許第02479070(US,A)
【文献】米国特許第06640554(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 4/00
F17C 7/00-04、9/00-04、13/00
F25J 3/06、5/00
F28D 3/04
F28F 27/00-02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体処理構成要素に流体を分配する装置であって、
a.流体の流れを受けるように構成される入口ポートを有する容器と、
b.前記容器の上部空間と流体連通するように、前記容器と流体連通している蒸気出口管入口を前記入口ポートより上に有する蒸気出口管であって、前記流体処理構成要素と流体連通して配置されるようにも構成される、蒸気出口管と、
c.前記容器の液体側と流体連通する液体出口管入口を有する液体出口管であって、前記流体処理構成要素と流体連通して配置されるようにも構成される、液体出口管と、
d.前記容器の前記液体側と流体連通しているバイパス管入口、および前記蒸気出口管と流体連通しているバイパス管出口を有するバイパス管であって、
i)前記容器内の液面が所定のレベルに到達したとき、液体が前記バイパス管を通って前記蒸気出口管へと進み、その結果、液体が前記入口ポートから前記容器に入る際、上部空間が前記液面より上に保たれるように構成され、
ii)前記容器内の液面が前記所定のレベルより下であるとき、液体が前記バイパス管から前記蒸気出口管へと進まないように構成される、
バイパス管と、
を備える、流体処理構成要素に流体を分配する装置
【請求項2】
前記容器が、上方部および下方部を有し、前記蒸気出口管が、前記入口ポートより上で前記容器の前記上方部に連結され、前記液体出口管が、前記容器の前記下方部に連結される、請求項1に記載の流体処理構成要素に流体を分配する装置
【請求項3】
前記容器の液体側と流体連通するように、前記容器の前記下方部に連結される2つ以上の液体出口管をさらに備え、前記2つ以上の液体出口管が、前記流体処理構成要素と流体連通して配置されるようにも構成される、請求項2に記載の流体処理構成要素に流体を分配する装置
【請求項4】
前記バイパス管が、前記バイパス管と、前記バイパス管と前記蒸気出口管の間の接合部の垂直下方にある前記容器の前記下方部との間の接合部を介して、前記容器の前記下方部と流体連通している、請求項2に記載の流体処理構成要素に流体を分配する装置
【請求項5】
前記バイパス管が、前記バイパス管と、前記バイパス管と前記蒸気出口管の間の接合部の垂直下方にある前記液体出口管との間の接合部を介して、前記容器の前記下方部と流体的に通じた状態である、請求項2に記載の流体処理構成要素に流体を分配する装置
【請求項6】
前記バイパス管出口が、接合部において前記蒸気出口管と流体連通していて、前記接合部が、前記蒸気出口管入口の垂直下方に位置決めされる、請求項1に記載の流体処理構成要素に流体を分配する装置
【請求項7】
前記バイパス管が、前記容器の中に位置決めされた細長いパイプ部を含み、前記細長いパイプ部が、前記バイパス管入口を含む下端部と、前記蒸気出口管と流体連通してい上端部とを有する、請求項1に記載の流体処理構成要素に流体を分配する装置
【請求項8】
前記容器が、側壁を含み、前記バイパス管が、前記側壁を通って、前記蒸気出口管と前記細長いパイプ部との間に延在する分岐部をさらに含む、請求項7に記載の流体処理構成要素に流体を分配する装置
【請求項9】
前記容器が、側壁を含み、前記蒸気出口管が、前記容器内に位置決めされかつ前記蒸気出口管入口を含む上方パイプ部を含み、前記蒸気出口管が、前記側壁を通って延在しかつ前記上方パイプ部と流体連通していて分岐部をさらに含む、請求項1に記載の流体処理構成要素に流体を分配する装置
【請求項10】
前記バイパス管が、前記容器内に位置決めされかつ前記バイパス管入口および前記バイパス管出口を含む下方パイプ部を含む、請求項9に記載の流体処理構成要素に流体を分配する装置
【請求項11】
前記上方パイプ部および前記下方パイプ部が、前記容器内に位置決めされた単一のパイプ部材によって形成される、請求項10に記載の流体処理構成要素に流体を分配する装置
【請求項12】
a.熱交換器と、
b.前記熱交換器に流体を分配する装置であって、
i.流体の流れを受けるように構成される入口ポートを有する容器と、
ii.前記容器の上部空間と流体連通するように、前記容器流体連通している蒸気出口管入口を前記入口ポートより上に有する蒸気出口管であって、前記熱交換器へと流体を向かわせるようにも構成される、蒸気出口管と、
iii.前記容器の液体側と流体連通する液体出口管入口を有する液体出口管であって、前記熱交換器へと流体を向かわせるようにも構成される、液体出口管と、
iv.前記容器の前記液体側と流体連通しているバイパス管入口、および前記蒸気出口管と流体連通しているバイパス管出口を有するバイパス管であって、
1.前記容器内の液面が所定のレベルに到達したとき、液体が前記バイパス管を通って前記蒸気出口管へと進み、その結果、液体が前記入口ポートから前記容器に入る際、上部空間が前記液面より上に保たれるように構成され、
2.前記容器内の液面が前記所定のレベルより下であるとき、液体が前記バイパス管から前記蒸気出口管へと進まないように構成される、
バイパス管と、
を含む、前記熱交換器に流体を分配する装置と、
を備える、流体処理システム。
【請求項13】
前記容器の液体側と流体連通するように、前記容器の下方部に連結される2つ以上の液体出口管をさらに備え、前記2つ以上の液体出口管が、前記熱交換器と流体連通して配置されるようにも構成される、請求項12に記載の流体処理システム
【請求項14】
前記容器が、上方部および下方部を有し、前記蒸気出口管が、前記入口ポートより上で前記容器の前記上方部に連結され、前記液体出口管が、前記容器の前記下方部に連結される、請求項12に記載の流体処理システム
【請求項15】
前記バイパス管が、前記バイパス管と、前記バイパス管と前記蒸気出口管の間の接合部の垂直下方にある前記容器の前記下方部との間の接合部を介して、前記容器の前記下方部と流体連通している、請求項14に記載の流体処理システム
【請求項16】
前記バイパス管が、前記バイパス管と、前記バイパス管と前記蒸気出口管の間の接合部の垂直下方にある前記液体出口管との間の接合部を介して、前記容器の前記下方部と流体連通している、請求項14に記載の流体処理システム
【請求項17】
前記バイパス管出口が、接合部において前記蒸気出口管と流体連通していて、前記接合部が、前記蒸気出口管入口の垂直下方に位置決めされる、請求項12に記載の流体処理システム
【請求項18】
前記容器が、側壁を含み、前記バイパス管が、前記容器の中に位置決めされた細長いパイプ部を含み、前記細長いパイプ部が、前記バイパス管入口を含む下端部分、および前記側壁を通って前記蒸気出口管と前記細長いパイプ部の上部部分との間に延在する分岐部を有する、請求項12に記載の流体処理システム
【請求項19】
前記容器が、側壁を含み、前記蒸気出口管が、前記容器内に位置決めされかつ前記蒸気出口管入口を含む上方パイプ部を含み、前記蒸気出口管が、前記側壁を通って延在しかつ前記上方パイプ部および前記熱交換器と流体連通している分岐部をさらに含み、前記バイパス管が、前記容器内に位置決めされかつ前記バイパス管入口および前記バイパス管出口を含む下方パイプ部を含み、前記上方パイプ部および下方パイプ部が、前記容器内に位置決めされた単一のパイプ部材によって形成される、請求項12に記載の流体処理システム
【請求項20】
請求項1に記載の流体処理構成要素に流体を分配する装置を用いて、前記流体処理構成要素に流体を分配する方法であって、
a.前記流体処理構成要素に流体を分配する装置へと流体流れを受けるステップと、
b.前記流体流れが混相の流れである場合、前記受けた流体流れを蒸気流れおよび液体流れに分離し、液体経路に沿って前記流体処理構成要素へと前記液体流れを向かわせ、蒸気経路に沿って前記流体処理構成要素へと前記蒸気流れを向かわせるステップと、
c.前記受けた流体流れが、全体としてすべて液体の流れである場合、前記液体経路と前記蒸気経路の両方に沿って前記流体処理構成要素へと液体流れを送り出すステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、その内容が参照により本明細書に援用される、2017年11月29日出願の米国仮出願第62/591,948号の利益を主張する。
【0002】
本開示は、一般に流体を取り扱う構成要素に関し、詳細には、混相の流入流れとすべての液体の流入流れの両方を収容するバイパス管を有する流体分配装置に関する。
【背景技術】
【0003】
中間天然ガス処理プラントは、図1の10で示されるパイプライン天然ガス供給流を受け、液体としての炭化水素(NGL-天然ガス液)を取り出して流通市場に売る。処理プラントによって受けられるパイプラインガス供給流は、主としてメタン、エタン、プロパン、およびブタンからなる。
【0004】
メタンは、最も基本的な炭化水素であり、パイプラインガスインフラに接続されている家庭では、暖房用の燃料として使用される。メタンは、車両、鉄道、海運、および採掘用途における燃料としても使用され得る。メタンは、十分に発達したインフラが確立されていないかまたは天然ガスが豊富でない区域へと輸送するために液化される場合もある(LNG)。
【0005】
図1のブロック12を参照すると、ガス供給流からNGLを取り出すために、重質の炭化水素は液体として滴下し始め、一方軽質の炭化水素は蒸気(ガス)として流れの中に残るところまで、ガスは、冷却される。ガス処理プラントは、通常、供給ガス流からプロパンおよびブタンを取り出すことに最も関心を寄せる。しかし、エタンも、液体として流れから取り出されることになる望ましい成分である場合がある。商品としてのエタンの主な利用先は、分留し、続いて石油化学工業においてエチレンを作るための供給原料として販売することである。エタン拒絶およびエタン回収という用語は、プラントの運転を指す。エタン拒絶、すなわち拒絶ケースでは、エタンは拒絶され、ガス流から取り出されない。反対に、エタン回収、すなわち回収ケースでは、エタンは、液化することによってガス流から回収される。
【0006】
どちらのモードでプラントを運転するかの決定は、いくつかの要因に基づいて決定される。これらの要因には、エタンの現物価格、プラントの受入れ条件、ガス流の組成、NGLについての製品仕様、パイプラインに戻されるガスについての製品仕様、ならびにプラントの設計および運用性が含まれる。要因は変動するので、各プラントは、エタンを回収または拒絶することが有利になる、異なるエタン現物価格を有することになる。また、プロパンおよびブタンの回収は、エタンを拒絶するときよりもエタンを回収するときのほうが多くなり、したがって、運転モードをいつ切り換えるかの決定では、効率向上が考慮されなければならない。
【0007】
ガス処理プラントは、上記の初期の処理の後で、流れ16(液体メタンおよびエタンガスを含有し得る)をさらに冷却するために、しばしばろう付けされたアルミニウム熱交換器(BAHX)14(図1)を使用する。BAHXに入る二相流の相分配を制御するために、二相流16は、まず分離容器または分配装置24を使用して液体18および蒸気22の個々の流れに分離され、次いで、BAHX14への投入後、内部で混合され得る。BAHXの内部混合装置は、限られた範囲の液体流量および蒸気流量において最適に機能するように設計される静的装置である。流量が激しく異なる場合の複数の設計事例は、通常の混合装置においては最適には及ばない場合がある。
【0008】
上述の拒絶ケースでは、二相流(液体メタンおよびエタンガス)を有するBAHXへの流れが存在し、BAHXへの相の分配を制御するために、二相分配装置が所望される。上述の回収ケースでは、処理流れは、より大きい流量ですべて液体(メタン)である。拒絶ケース向けに設計された従来の分配装置においては、回収ケースの運転中、分離容器があふれる、かつ/または混合装置において不都合な状態を作り出す恐れがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下に述べられ請求される装置およびシステムにおいて別々に具体化されてもよく、一緒に具体化されてもよい、本主題のいくつかの態様が存在する。これらの態様は、単独で採用されても、本明細書に述べられる本主題の他の態様と組み合わせて採用されてもよく、これらの態様を一緒に説明することは、これらの態様を別々に使用すること、またはこのような態様を別々に請求するかもしくは本明細書に添付される特許請求の範囲に記載される異なる組合せで請求することを除外する意図はないものとする。
【0010】
一態様では、処理構成要素に流体を分配する装置は、流体の流れを受けるように構成される入口ポートを有する容器を含む。蒸気出口管は、容器の上部空間と流体連通するように、容器と流体連通している蒸気出口管入口を入口ポートより上に有する。蒸気出口管は、流体処理構成要素と流体連通して配置されるようにも構成される。液体出口管は、容器の液体側と流体連通している液体出口管入口を有し、流体処理構成要素と流体連通して配置されるようにも構成される。バイパス管は、容器の液体側と流体連通しているバイパス管入口と、蒸気出口管と流体連通しているバイパス管出口とを有し、i)容器内の液面が所定のレベルに達したとき、液体がバイパス管を通って蒸気出口管へと進み、その結果、液体が入口ポートから容器に入る際、液面より上に上部空間が保たれるように構成され、ii)容器内の液面が所定のレベルより下であるとき、液体がバイパス管から蒸気出口管へと進まないように、構成される。
【0011】
別の態様では、流体処理システムは、熱交換器と、熱交換器に流体を分配する装置とを含む。熱交換器に流体を分配する装置は、流体の流れを受けるように構成される入口ポートを有する容器を含む。蒸気出口管は、容器の上部空間と流体連通するように、容器と流体連通している蒸気出口管入口を入口ポートより上に有する。蒸気出口管は、熱交換器へと流体を向かわせるようにも構成される。液体出口管は、容器の液体側と流体連通している液体出口管入口を有し、熱交換器へと向かわせるようにも構成される。バイパス管は、容器の液体側と流体連通しているバイパス管入口と、蒸気出口管と流体連通しているバイパス管出口とを有し、i)容器内の液面が所定のレベルに到達したとき、液体がバイパス管を通って蒸気出口管へと進み、その結果、液体が入口ポートを通って容器に入る際、液面より上に上部空間が保たれるように構成され、ii)容器内の液面が所定のレベルより下であるとき、液体がバイパス管から蒸気出口管へと進まないように構成される。
【0012】
さらに別の態様では、処理構成要素に流体を分配する方法は、分配装置へと流体流れを受けるステップと、流体流れが混相の流れである場合、受けた流体流れを蒸気流れおよび液体流れに分離し、液体経路に沿って処理構成要素へと液体流れを向かわせ、蒸気経路に沿って処理構成要素へと蒸気流れを向かわせるステップと、受けた流体流れが、全体としてすべて液体の流れである場合、液体経路と蒸気経路との両方に沿って処理構成要素へと液体流れを送り出すステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】従来技術の低温流体処理システムの概略図である。
図2】本開示の分配装置の第1の実施形態および熱交換器の第1の側面図である。
図3】本開示の分配装置の第1の実施形態および熱交換器の第2の側面図である。
図4】本開示の分配装置の第1の実施形態および熱交換器の第3の側面図である。
図5】本開示の分配装置の第1の実施形態および熱交換器の第4の側面図である。
図6】本開示の分配装置の第2の実施形態の概略図である。
図7】本開示の分配装置の第3の実施形態の概略図である。
図8】本開示の分配装置の第3の実施形態および熱交換器の側面図である。
図9】本開示の分配装置の第3の実施形態および熱交換器の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の分配装置の第1の実施形態は、図2図5において30で全体を示されている。本発明は、低温流体との使用に関して以下に述べられるが、低温でない流体と共に使用されてもよい。分配装置30は、容器31(用語に関して、「分離容器」および「容器」は区別なく使用される)を含み、容器31は、流入流れをそこまで運ぶ配管を連結するための入口ポートノズル34を備える入口ポート32を含む。一対の液体出口管36aおよび36bは、容器31の下方部と熱交換器40(BAHXでもよく、BAHXでなくてもよい)の下方部との間に延在する。さらに、蒸気出口管42が、容器31の上方部と熱交換器40の下方部との間に延在する。代替の実施形態では、追加的な液体出口管および蒸気出口管が使用されてもよく、かつ/または単一の液体出口管が使用されてもよい。さらに、液体出口管および蒸気出口管は、熱交換器の、図示されている以外の代替の場所および部分へと延在してもよい。
【0015】
当技術分野では知られているように、熱交換器40は、いくつかの追加的な流体入口ポートおよび流体出口ポート44(図2)を含む。
【0016】
本開示の分配装置は、天然ガス処理用の熱交換器との使用に関して以下に述べられるが、本開示の分配装置は、代替のタイプの流体流れの処理において使用されてもよく、他のタイプの流体処理構成要素と共に使用されてもよい。さらに、「流れ」、「パイプ」、「配管」および「管」という用語は、区別なく使用される。容器31の「上方部」および「下方部」という用語は、容器内の液面を通る水平面の上および下を意味する。
【0017】
バイパス管50は、容器31の液体側または下方部の接合部52(図2および図3)から蒸気出口管42の接合部54(図4)へと通じる。接合部54は、液体出口管36aおよび36b、ならびに接合部52に対応する、容器の液体出口ポートの垂直上方に位置決めされる。単一のバイパス管50が図示され、以下に述べられるが、本開示の分配装置の実施形態は、図に示される場所以外の蒸気出口管42上の場所に通じる、2つ以上のバイパス管を含んでもよい。さらに、代替の実施形態では、接合部52(すなわちバイパス管50の下端部)は、容器31の液体側または下方部の代わりに、液体出口管36aおよび36bの片方または両方の中に位置決めされてもよい。
【0018】
拒絶ケースの間、二相流(液体および蒸気)は、入口ポート32を通って分配装置30に入り、そして、蒸気部が容器の上方部の上部空間へと上がり、一方液体部が容器31の下方部の液体側へと下がり接合部52を通ってバイパス管50に入る、ように分離される。容器31およびバイパス管50の液面は、同じ高さで等しくなり、バイパス管50の接合部54(図4)および蒸気出口管42より下にとどまる。その結果、拒絶ケースの間、バイパス管50から出て接合部54を通り、蒸気出口管42へと流出する液体は存在しない。容器の上部空間の蒸気は、管42を通って熱交換器40の下部へと進み、一方容器31の下部の液体は、管36aおよび36bを通って熱交換器40へと進む。
【0019】
回収ケースの間、より大きい流量ですべて液体である、すべて液相の流れ(微量の蒸気を含んでもよく含んでいなくてもよい)のみが、入口ポート32を通って分配装置30の容器へと進む。液体は、容器の下方部へと流れ、(液体出口管36aおよび36bの外部へだけでなく、)接合部52を通ってバイパス管50へと流れる。容器とバイパス管両方の液面は、バイパス管内の液体が接合部54のレベルに到達するまで上がり得る。次いで、液体は、液体出口管36aおよび36bを通るだけではなく、バイパス管50を通り、接合部54を通り、蒸気出口管42へ至り、そして熱交換器40へと流れる。結果として、バイパス管50は、容器31の中の液面を制限する。液面が制限されるので、分配装置のその部分を通る液体の流れを駆動する容器内の液体のヘッドが制限される。
【0020】
先に述べたように、バイパス管50からの超過液体は、拒絶ケースの蒸気経路(管42内)を介して熱交換器に入る。熱交換器を通るこの代替の経路は、容器31があふれることを避けるのに十分な量でバイパス管50からの液体流量を収容することができる、開いた区域を提供する。
【0021】
分配装置30の容器の長さ(高さ)は、設計条件から計算される(回収ケースおよび拒絶ケースの間の)液面の範囲を収容し、それに加えて、ポート32を通って入ってくる流れが容器31の中の液面の表面から液体を再取り込みしないように、液面を入口ノズルから離しておくためのいくらかの追加的な距離がとられるように決定される。この理由から、蒸気出口管42経路と一体となったバイパス管50の交差部(図4の54)も、入口ノズル34より下であることが好ましい場合がある。設計条件による軽微な不具合や、プラントの稼働低下状態において、空運転がないように、容器の長さは、いくらかの液体滞留時間を提供するために、十分な長さである。
【0022】
分配装置30の液面と熱交換器40の液体注入装置(液体のヘッド)との間の高低差は、液体経路の圧力損失と蒸気経路の圧力損失との間の差に等しい。液体経路の圧力損失は、容器31の内側から液体出口管36aおよび36b、ならびに熱交換器40の中の対応する混合装置を通り、液体流れが熱交換器内の蒸気と混合するところまでの、経路上での圧力損失である。蒸気経路の圧力損失は、容器の内側から蒸気出口管42、および熱交換器40の中の対応する混合装置を通り、蒸気流れが熱交換器内の液体と混合するところまでの経路上での圧力損失である。単なる一例として、容器内の液面の高低差は、一般に15.24cm~213.36cm(6”~84”)である場合がある。
【0023】
容器入口ポート32は、容器に入る流体速度を下げるような大きさにされ、これは蒸気-液体分離の助けとなる。場合によっては、水理学的改善するために、入口調節板または入口装置が使用され得る。
【0024】
内部混合装置への液体流量が多いとき、図2図5に示されるように、液体出口管36aおよび36bを介して複数の連結部から熱交換器に供給することが役に立つ場合がある。
【0025】
本開示の装置の代替の実施形態では、分配装置の容器31は、並列に運転している多くの熱交換器ブロックに連結されてもよい。このような実施形態では、蒸気および液体の経路配管は、1つまたは複数のマニホルドを介して熱交換器コアのそれぞれに連結されるが、分配装置30は依然として同様に機能することになる。
【0026】
熱交換器40の内部混合装置に関する要求に応じて、液体は、熱交換器コアブロックごとの複数の連結部から供給されてもよい。
【0027】
容器31での、蒸気および液体ノズルの場所(管42ならびに管36aおよび36bに関して)は、容器の側部でもよく、上部(蒸気用)または下部(液体用)から離れたところでもよい。容器31からの複数のノズルは、コールドボックス(中に熱交換器が収容される)の中のレイアウト、ならびに与えられる熱交換器のコアおよびサイドフィードの数に応じて、蒸気出口管と液体出口管のどちらかとして使用され得る。
【0028】
プラントが停止したとき、すべての処理液体が取り出され得るように、液体経路配管36aおよび36bは、それ自体に排出口を有し得る容器へと戻ることで、排水可能でもよく、蒸気経路配管42は排出口を有してもよい。
【0029】
本開示の分配装置の第2の実施形態は、図6において130で全体を示されている。分配装置130は、容器134を含み、容器134は、流体の流入流れをそこまで運ぶ配管を連結するための入口ポート132を有する。液体出口管は、液体出口ポート133aおよび133bへと連結し、熱交換器または他の流体処理装置へと延在する(前の実施形態において説明されたように)。さらに、蒸気出口管142が、装置の上部空間と流体連通するように容器134の上端蓋部135に連結され、流体処理装置へと延在する(前の実施形態において説明されたように)。
【0030】
代替の実施形態では、追加的な液体出口管および蒸気出口管が使用されてもよく、かつ/または単一の液体出口管が使用されてもよい。さらに、液体出口管および蒸気出口管は、熱交換器の、図示されている以外の代替の場所および部分へと延在してもよい。
【0031】
図6において150で全体を示されているバイパス管は、分配装置130の液体側から蒸気出口管142へと通じる。より具体的には、バイパス管は、容器内に位置決めされた細長いパイプ部151を含む。細長いパイプ部は、バイパス管入口152を有する下端部を含む。細長いパイプ部151の上端部は、容器134の側壁を通過する分岐部153と流体連通し、蒸気出口管142に流体連通して取り付けられる。
【0032】
単一のバイパス管150が図示され、以下に述べられるが、本開示の分配装置の実施形態は、図に示される場所以外の蒸気出口管142上の場所に通じる、2つ以上のバイパス管を含んでもよい。
【0033】
拒絶ケースの間、二相流(液体および蒸気)は、入口ポート132を通って分配装置130に入り、そして、蒸気部が容器の上方部の上部空間へと上がり、一方液体部が容器134の下方部の液体側へと下がり入口152を通ってバイパス管150の細長いパイプ部151に入る、ように分離される。細長いパイプ部151および容器134の液面は、同じ高さで等しくなり、バイパス管150の分岐部153より下にとどまる。その結果、拒絶ケースの間、バイパス管150から出て蒸気出口管142へと流出する液体は存在しない。容器134の上部空間の蒸気は、管142を通って流体処理装置へと進み、一方容器134の下部の液体は、液体出口ポート133aおよび133bに連結される管を通って流体処理装置へと進む。
【0034】
回収ケースの間、がより大きい流量ですべて液体である、すべて液相の流れ(微量の蒸気を含んでもよく含んでいなくてもよい)のみが、入口ポート132を通って分配装置130へと進む。液体は、容器134の下方部へと流れ、(液体出口ポート133aおよび133bの外へだけでなく、)入口152を通ってバイパス管150へと流れる。容器134と細長いパイプ部151両方の液面は、バイパス管内の液体が分岐部153に到達するまで上がり得る。次いで、液体は、液体出口ポート133aおよび133bを通るだけではなく、バイパス管150を通って蒸気出口管142へと流れ、そして流体処理装置へと流れる。結果として、バイパス管150は、容器134の中の液面を制限する。液面が制限されるので、分配装置のその部分を通る液体の流れを駆動する容器内の液体のヘッドが制限される。
【0035】
本開示の分配装置の第3の実施形態は、図7図9において230で全体を示されている。分配装置230は、容器234を含み、容器234は、流体の流入流れをそこまで運ぶ配管を連結するための入口ポート232を有する。液体出口管(そのうちの1つが、図8において236で示されている)は、液体出口ポート233aおよび233bへと連結し、熱交換器(図8および図9の240)、または他の流体処理装置へと延在する。
【0036】
図7を参照すると、分配装置230は、蒸気出口管を特徴とし、蒸気出口管は、容器234の上部空間235と流体連通する蒸気出口管入口260を有しかつ容器内に位置決めされた上方パイプ部242を含む。蒸気出口管は分岐部253をさらに含み、分岐部253は、容器234の側壁を通って延在し、接合部254を介して上方パイプ部242と流体連通する。図8および図9を参照すると、分岐部253は、配管262およびポート266を介して流体処理装置240へと通じる(図8)。
【0037】
分配装置230は、バイパス管入口252を有しかつ容器内に位置決めされた下方パイプ部250を有する、バイパス管も含む。
【0038】
図7図9に示される実施形態では、上方パイプ部242および下方パイプ部250は、251で全体を示され、容器内に位置決めされた、単一のパイプ部材によって形成される。代替の実施形態では、上方パイプ部242および下方パイプ部250は、別々のパイプセグメントでもよい。
【0039】
バイパス管の下方パイプ部250は、バイパス管入口252を介して容器234の液体側と流体連通し、容器234の液体側から、蒸気出口管の上方パイプ部242および分岐部253へと通じる。
【0040】
拒絶ケースの間、二相流(液体および蒸気)は、入口ポート232を通って分配装置230に入り、そして、蒸気部が容器234の上方部の上部空間へと上がり、一方液体部が容器234の下方部の液体側へと下がりバイパス管入口252の下方パイプ部250に入る、ように分離される。パイプ部材251の下方パイプ部250および容器234の液面は、同じ高さで等しくなり、分岐部253より下にとどまる。その結果、拒絶ケースの間、下方パイプ部250から接合部254を通って分岐部253へと流れる液体は存在しない。
【0041】
容器234の上部空間の蒸気は、上方パイプ部242を通り、分岐部253から出て、配管262を介して流体処理装置240へと進み(図8および図9)、一方容器234の下部の液体は、液体出口ポート233aおよび233bに連結される管(図8での管236など)を通って流体処理装置240へと進む。
【0042】
回収ケースの間、より大きい流量ですべて液体である、すべて液相の流れ(微量の蒸気を含んでもよく含んでいなくてもよい)のみが、入口ポート232を通って分配装置230へと進む。液体は、容器234の下方部へと流れ、(液体出口ポート233aおよび233bの外へだけでなく)入口252を通って下方パイプ部250へと流れる。容器234と下方パイプ部250両方の液面は、バイパス管内の液体が分岐部253に到達するまで上がり得る。次いで、液体は、液体出口ポート233aおよび233bを通るだけではなく、バイパス管分岐部253を通って配管262へと流れ(図8および図9)、次いで(図8のポート266を介して)流体処理装置240へと流れる。結果として、下方パイプ部250および分岐部253は、容器234の中の液面を制限する。液面が制限されるので、分配装置のその部分を通る液体の流れを駆動する容器内の液体のヘッドが制限される。
【0043】
本開示の好ましい実施形態が示され、説明されてきたが、以下の特許請求の範囲によって定義される範囲で本開示の趣旨から逸脱しない限り、好ましい実施形態における変更および修正がなされてもよいことは、当業者には明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9