(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-07
(45)【発行日】2023-04-17
(54)【発明の名称】外照式照明具
(51)【国際特許分類】
F21V 21/02 20060101AFI20230410BHJP
F21S 8/00 20060101ALI20230410BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20230410BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20230410BHJP
F21W 131/107 20060101ALN20230410BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230410BHJP
【FI】
F21V21/02 300
F21S8/00 100
F21S2/00 620
F21V23/00 120
F21W131:107
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2018232787
(22)【出願日】2018-12-12
【審査請求日】2021-06-24
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年8月30日から平成30年9月1日まで第60回サイン&ディスプレイショウSIGN & DISPLAY SHOW 2018にて展示
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090206
【氏名又は名称】宮田 信道
(72)【発明者】
【氏名】北河 耕治
(72)【発明者】
【氏名】小谷 一希
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-032840(JP,A)
【文献】特開2015-097157(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 21/02
F21S 8/00
F21S 2/00
F21V 23/00
F21W 131/107
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面にアンカーボルトで取り付けられる取付材と、照明具本体と、カバー材とを備え、
取付材は、被係合部を有し、
照明具本体は、照明と、照明に接続された電装部品と、係合部とを有していて、予め躯体に取り付けられた取付材の被係合部に係合部が係合することで保持されており、
取付材と照明具本体との間には、電装部品と躯体側の電源とを接続するための配線空間が形成されており、
カバー材は、取付材と照明具本体に架設されることで、アンカーボルト及び配線空間を覆っており、
且つ
照明具本体が取付材に取り付けられた状態でカバー材が取付材及び照明具本体から取り外すことができることを特徴とする外照式照明具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外照式照明具に関する。
【背景技術】
【0002】
交通広告やビル壁面のサイン用の照明装置として、非特許文献1には、壁面取付材と、照明具本体(LED照明及び照明カバー)と、壁面取付材と照明具本体とを連結しつつ配線空間を覆うカバー材とを備えた外照式照明具が記載されている。
しかしながら、上記従来の外照式照明具は、照明具本体に予めカバー材を取り付けたのちに壁面取付材に取り付ける必要があったため、電気配線作業は照明具本体を壁面に取り付ける前に行う必要があり、施工手順が煩雑で作業性が悪かった。また、LED等のメンテナンス時にはカバー材のみを取り外すことができず、照明具本体ごと壁面取付材から取り外す必要があるため、作業性が悪かった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】「アドフレーム総合カタログ2017-2018(098322)」、三協立山株式会社タテヤマアドバンス社、p.29
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記課題に鑑み、電気配線作業及びメンテナンスが容易な外照式照明具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の外照式照明具は、壁面にアンカーボルトで取り付けられる取付材と、照明具本体と、カバー材とを備え、取付材は、被係合部を有し、照明具本体は、照明と、照明に接続された電装部品と、係合部とを有していて、予め躯体に取り付けられた取付材の被係合部に係合部が係合することで保持されており、取付材と照明具本体との間には、電装部品と躯体側の電源とを接続するための配線空間が形成されており、カバー材は、取付材と照明具本体に架設されることで、アンカーボルト及び配線空間を覆っており、かつ照明具本体が取付材に取り付けられた状態でカバー材が取付材及び照明具本体から取り外すことができることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の外照式照明具によれば、壁面に取り付けられている取付材の被係合部と、照明具本体の係合部とが係合することで照明具本体が支持されるので、壁面に取り付けられた取付材に照明具本体を取り付けた後に躯体側の交流電源からトランスへの電気配線作業を行うことができ、さらにこの電気配線作業の際には照明具本体を外力によって支える必要がないので、作業性に優れる。また、照明やトランス等のメンテナンス時には照明具本体を取付材から取り外す必要がなくカバー材のみを取り外せばよいので、作業性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】(a)は
図3のI-I線断面図であり、(b)は照明具本体とカバー材の取り付け方法を示す説明図である。
【
図3】外照式照明具の(a)は正面図、(b)は下面図、(c)は側面図である。
【
図4】電気配線がなされた照明具本体の斜視図である。
【
図5】外照式照明具の取付手順を示す説明図である。
【
図6】外照式照明具の取付手順を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本発明の外照式照明具(以下、照明具とする)の使用場所は特に限定されるものではないが、ここでは壁面に設置される大型サイン用の照明として使用する場合を示す。なお、以下の説明において正面側、背面側、及び左右方向とは、
図1乃至
図3に示した通りとし、照明具の構成の説明は
図1(a)に示す壁面への取付済みの状態を基準とする。
【0009】
照明具は、
図1(a)及び
図2に示すように、壁面Wに沿って設置された広告板8を正面側上方から照らすものであって、壁面Wに取り付けられる取付材1と、取付材1に取り付けられる照明具本体2と、取付材1と照明具本体2との間に形成された配線空間Sの開口部を上方から覆うように塞ぐカバー材3とから構成されている。
【0010】
取付材1は、照明具を壁面Wに取り付けるためのものであって、照明具の左右方向に亘って設けられた側面視略コの字状の部材であり、壁面Wに前方からアンカーボルト7によって固定される固定壁11と、固定壁11の上下端からそれぞれ前方へと延びた上見込壁12と下見込壁13とを有している。上見込壁12は、その略前端部からそれぞれ前側上方及び下方に延びた被当接部12aとネジ止め部12bを有している。被当接部12aは、上見込壁12の略前端部から上方へと延びた立上り壁12cと、立上り壁12cの上端から前方へと延びた見込壁12dを有している。下見込壁13は、固定壁11の下端から正面側へと水平に突出した水平部13aと、水平部13aの正面側端部から正面側上方へと伸びた傾斜部13cと、傾斜部13cの先部において、正面側に鉛直面を有する被当接部13dと、被当接部13dから背面側へと伸びた平板状の被係合部13eとを有している。
【0011】
照明具本体2は、
図1及び
図3に示すように、LED光源である照明4と、照明4に接続され躯体側からの交流電流を直流電流に変換するトランス6と、照明面板5とを保持するためのものであって、それぞれ照明具の長手方向に亘って設けられた略水平な板状の下面部21と、正面側へとやや傾斜した略平板状の上面部22と、上面部22の正面側端から垂下した正面壁23と、下面部21と上面部22とを繋いでいる略鉛直な連結壁24とから構成されている。下面部21は、背面側端部にトランス6をネジ止めするためのトランス保持部21bを有していて、トランス保持部21bの下部から後方へと略水平に突出した当接部21aと、トランス保持部21bの上部から背面側へと水平に延出したネジ止め部21dと、ネジ止め部21dの背面側端部から下方へと鉤状に屈曲した係合部21cとが形成されている。当接部21aは取付材1の被当接部13dの正面側面に当接しており、また、係合部21cは取付材1の被係合部13eに被さるように係合している。これにより、照明具本体2は外力を必要とせずに、取付材1によって前後方向に移動不能かつ下方へ回動不能に支持されている。そして、照明具本体2をこの状態で固定するため、ネジ止め部21dが取付材1の被当接部13dに上からネジ止めされている。上面部22は、その背面側端部に上方へと鉤状に屈曲した係合部22aを有する。上面部22の中間部には、照明4をネジ止めするためのネジ止め部22bが設けられている。照明面板5は、下面部21の前端と正面壁23の下端とにそれぞれ設けられた溝に挿入されて保持されている。連結壁24は、下面部21の前後方向中央部付近と、上面部22の背面側端部付近とを連結するように、照明具本体2の長手方向に亘って略鉛直に設けられた平板状の部材であり、トランス6と照明4との間の電気配線Eを挿通するための貫通孔24aを有している。
【0012】
配線空間Sは、照明具本体2の連結壁24と、下面部21のうち連結壁24より背面側の部分と、取付材1とによって囲まれ、照明具の長手方向に亘って連続した空間であり、カバー材3の取付前の状態では上方へと開口している。取付材1を壁面Wに固定しているアンカーボルト7は、配線空間S内に位置している。
【0013】
カバー材3は、配線空間Sの開口部を塞ぐためのものであって、略平板状の上面部31と、上面部31の背面側端部から立ち上がったネジ止め部32と、ネジ止め部32上端部から背面側に突出している当接部33とを有している。上面部31の前部には、背面側下方へと鉤状に屈曲した被係合部31aが設けられている。被係合部31aは、照明具本体2の係合部22aに対し正面側から略水平に挿入されることで、両者は互いに係合する。当接部33は、取付材1の被当接部12aに対し正面側から略水平に挿入されて当接する。したがってカバー材3は取付材1と照明具本体2に対し、正面側から水平に挿入することで取り付けることができ、さらにネジ止め部32が取付材1のネジ止め部12bに対しネジ止めされることで固定される。
【0014】
次に、本発明の照明具の壁面Wへの取付方法を
図1,4,5,6に基づいて説明する。なお、予め照明具本体2には照明4とトランス6が取り付けられている。まず、
図5(a)のように壁面Wに取付材1をアンカーボルト7で固定する。次に、
図1(b),
図5(b)~(d)のように、照明具本体2を背面側が下になるよう傾斜させて係合部21cを被係合部13eに上から被せるように引っ掛けた後、照明具本体2を係合部21cを軸にして正面側端部を引き下げるように回動させると、当接部21aが被当接部13dに当接して照明具本体2はそれ以上回動できないため、
図1(a),
図5(d)の状態となり、照明具本体2は取付材1によって支持される。そして、
図5(d)のようにネジ止め部21dを被当接部13dに上からネジ止めして固定する。次いで、
図4及び
図6(a)のように、トランス6と躯体側の交流電源との電気配線を行う。そして、
図6(b)のように、カバー材3を取付材1と照明具本体2に対し、正面側から水平に挿入するようにして取り付ける。このとき、被係合部31aは、照明具本体2の係合部22aに対し正面側から略水平に挿入されることで係合し、当接部33は、取付材1の被当接部12aに対し正面側から当接する。さらに、ネジ止め部32を取付材1のネジ止め部12bに対しネジ止めすることでカバー材3を固定する。そして、
図6(b)のように照明具の左右両端部にエンドキャップ9をネジ止めして、照明具の壁面Wへの取り付けが完了する(
図2)。なお、広告面8の壁面Wへの取り付けは、照明具の壁面Wへの取り付けの前後どちらであってもよい。
【0015】
次いで、本発明の照明具の構成による作用及び効果について説明する。本発明の照明具によれば、壁面Wに取り付けられている取付材1の被係合部13eと、照明具本体2の係合部21cとが係合しており、また、当接部21aが取付材1の被当接部13dの正面側面に当接していることで、照明具本体2が取付材1によって前後方向に移動不能かつ下方へ回動不能に支持されているので、壁面Wに取り付けられた取付材1に照明具本体2を取り付けた後に躯体側の交流電源からトランス6への電気配線作業を行うことができ、作業性が良い。そればかりでなく、躯体側の交流電源からトランス6への電気配線作業の際や、照明具本体2のネジ止め部21dを取付材1の被当接部13dにネジ止めして固定する際には、照明具本体2を外力によって支えておく必要がないので、作業性に優れる。また、照明4やトランス6等のメンテナンス時には照明具本体2を取付材1から取り外す必要がなくカバー材3のみを取り外せばよいので、作業性が良い。
【0016】
また、照明具本体2は、ネジ止め部21dが取付材1の被当接部13dに上からネジ止めされることで固定されているので、ネジ止め作業時にネジが不意に外れた際には、落下したネジは配線空間S内に留まる。これにより、ネジが照明具の外部へと落下せず作業性が良いばかりでなく、照明具の取り付け場所が高所であってもネジが地上へと落下することがないので、安全性が高い。
【0017】
また、照明具本体2の下面部21と上面部22とを連結する連結壁24が照明具本体2の長手方向に亘って設けられていることで、カバー材3の取り付け前の状態で配線空間S内に雨水等が降りかかった場合にも、雨水は連結壁24よりも正面側へは浸入することがないので、照明4に雨水が付着することがない。
【0018】
本発明は、上記の実施形態に限らず本発明の要旨を逸脱しない範囲で変形可能であり、外照式照明具の各部の形状、寸法等は適宜変更できる。
【符号の説明】
【0019】
W 壁面
1 取付材
13e 被係合部
2 照明具本体
21c 係合部
3 カバー材
4 照明
6 トランス
7 アンカーボルト
S 配線空間