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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-07
(45)【発行日】2023-04-17
(54)【発明の名称】改良されたTASセンサ
(51)【国際特許分類】
   G01R 33/02 20060101AFI20230410BHJP
【FI】
G01R33/02 B
G01R33/02 L
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018234157
(22)【出願日】2018-12-14
(65)【公開番号】P2019109237
(43)【公開日】2019-07-04
【審査請求日】2021-11-16
(31)【優先権主張番号】15/843,837
(32)【優先日】2017-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】マティットヤフ・アミット
(72)【発明者】
【氏名】エデン・キディシュマン
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-109820(JP,A)
【文献】特開2006-343180(JP,A)
【文献】特開2006-091014(JP,A)
【文献】特開平09-148135(JP,A)
【文献】国際公開第2014/114401(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 33/00-33/26
G01N 27/72-27/9093
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3軸センサ(TAS)装置であって、
四角錐構造に積層された複数の層であって、連続する層のそれぞれは、上に該層が組み立てられる層よりも面積が小さくなるように構成されており、前記複数の層のそれぞれが少なくとも1つのコイルを含み、該コイルは、上面から見て、下層に形成されたコイルの最大の直径のループは、上層に形成されたコイルのループを包含するように配置される、複数の層と、
前記複数の層のうち隣接する各層を相互接続する複数の相互接続部と、をそれぞれが含む6個の単軸センサ(SAS)を備え、前記6個の単軸センサ(SASが立方体様構造に形成されている、3軸センサ(TAS)装置。
【請求項2】
前記3軸センサ(TASが磁界をアナログ信号に変換する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記複数の層が8層を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記複数の層がプリント回路基板(PCB)で形成される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記複数の層のうちの最大層が7個のループを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記複数の層のうちの最小層が3個のループを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
3軸センサ(TAS)を形成する方法であって、
前記3軸センサの四角錐である各単軸センサ(SAS)に含まれる層の数を決定することと、
連続する各層の設置面積が下の層から上の層に向かって徐々に小さくなるように、前記数の層のそれぞれの上にコイルを製造することと、
前記層のそれぞれの前記コイル同士を相互接続することと、
前記製造されたコイルを、最大のものから最小のものへと積層して四角錐構造を作製することと、
前記数の層のうち隣接する各層を相互接続することと、
6個の作製された前記単軸センサ(SASを立方体様構造に組み立てて前記3軸センサ(TASを形成することと、
を含む、方法。
【請求項8】
前記層の数が8を含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記層がプリント回路基板(PCB)で形成される、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記3軸センサ(TASが磁界をアナログ信号に変換する、請求項に記載の方法。
【請求項11】
単軸センサ(SAS)装置であって、
四角錐構造に積層された複数の層であって、連続する層のそれぞれは、上に該層が組み立てられる層よりも面積が小さくなるように構成されており、前記複数の層のそれぞれの上に少なくとも1つのコイルが形成され、前記少なくとも1つのコイルのそれぞれは、上面から見て、下層に形成されたコイルの最大の直径のループは、上層に形成されたコイルのループを包含するように配置される、複数の層と、
前記複数の層のうち隣接する各層を相互接続する複数の相互接続部と、を含む、単軸センサ(SAS)装置。
【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
3軸センサ(TAS)による正確な磁界測定を行うために、既知の感度を有する高感度センサが必要とされている。
【0002】
このセンサは、例えば外科医が、より高精度で正確な低侵襲性手術を実施したいと考える手術において使用される。磁気ナビゲーションツールを使用することで、このタイプの外科手術(例えば、電気生理学及び耳鼻咽喉科)を実施する一機構が得られる。センサの追加利用には、ヘルメットモノクル上に標的を正確に投影するのに必要な、パイロットヘルメット用位置追跡が挙げられる。
【0003】
最適なTASとは、同心状、対称的、かつ均質である。すなわち、3軸(X、Y、Z)において同様の感度と抵抗を備えていることを意味する。他の設計考慮事項には、信頼性とコスト面を両立させた製造が挙げられる。
【0004】
本発明のTASの設計においては、センサはプリント回路基板(PCB)で構成され、これにより標準的な巻線コイルで構築された従来型センサに比べて製造性が改善されている。記載されるPCB式TASコイルには、TASが、6個のPCB四角錐から構築されており、これらが互いに接合されて立方体を形成していること、及び、この6個のPCB四角錐のそれぞれが、様々な幾何学的形状により積層された層で構築された「四角錐台」の形状の複数のPCBから構築されてセンサを構成していることの2つの重要な側面がある。記載されるセンサは、他のPCB技術に比べ、体積当たりの高い感度密度を示す。同心状センサは、立方体として、積層された正方形として、又は、寸法が小さくなる積層された正方形として配置することで四角錐構造を形成し、これにより立方体の構造を得ることができる。
【0005】
TAS装置、システム及び方法、並びに単軸センサ(SAS)装置、システム及び方法が開示される。このTASは、四角錐構造に形成された複数の層であって、連続する層のそれぞれは、上に層が組み立てられる層よりも面積が小さくなるように構成されており、複数の層のそれぞれの上に少なくとも1つのコイルが形成され、当該少なくとも1つのコイルのそれぞれは、コイルが形成される層内の利用可能な断面積を実質的に包含する、複数の層と、連続する各層を隣接する他の層と相互接続する複数の相互接続部と、をそれぞれが含む6個の単軸センサ(SAS)を備え、これら6個のSASが立方体様構造に形成される。
【0006】
このSASは、四角錐構造に形成された複数の層であって、この連続する層のそれぞれが、上に層が組み立てられる層よりも面積が小さくなるように構成されており、この複数の層のそれぞれの上に少なくとも1つのコイルが形成されており、当該少なくとも1つのコイルはそれぞれ、そのコイルが形成されている層内の利用可能な断面積を実質的に包囲する、複数の層と、連続する各層を隣接する他の層と相互接続する、複数の相互接続部とを含む。
【0007】
TASの形成方法もまた開示される。この方法は、3軸センサの四角錐として各SASに含まれる層の数を決定することと、連続する各層の設置面積が小さくなるように、上記の数の層のそれぞれの上にコイルを製造することと、上記の層のそれぞれの内部のコイル同士を相互接続することと、製造されたコイルを、最大のものから最小のものへと積層して四角錐構造を作製することと、連続する各層を隣接する他の層と相互接続することと、6個の作製したSASを立方体様構造に組み立ててTASを形成することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
より詳細な理解は、添付の図面と併せて実例として示される下記の説明文より得ることができる。
図1】本発明の第1の実施形態による多層センサとして形成された磁気センサを示す。
図2図1の多層センサを形成するために使用され得る四角錐センサを示す。
図3A図2に示すセンサの追加の詳細を提示する四角錐構造を示し、図3Aには四角錐構造の上面図、図3Bには四角錐構造の等角図、図3Cには四角錐構造の側面図が示されている。
図3B図2に示すセンサの追加の詳細を提示する四角錐構造を示し、図3Aには四角錐構造の上面図、図3Bには四角錐構造の等角図、図3Cには四角錐構造の側面図が示されている。
図3C図2に示すセンサの追加の詳細を提示する四角錐構造を示し、図3Aには四角錐構造の上面図、図3Bには四角錐構造の等角図、図3Cには四角錐構造の側面図が示されている。
図4】本発明の第2の実施形態による同心円センサの追加の設計を示す。
図5】本発明におけるセンサの尺度を示す。
図6】3軸センサ(TAS)を形成する方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の説明では、本実施形態の一貫した理解を提供するために、特定の構造、構成要素、材料、寸法、処理工程、及び技術などの多数の具体的な詳細が記載される。しかしながら、この実施形態がこれらの具体的な詳細を伴わずに実施され得ることが、当業者には理解されよう。他の場合において、実施形態が不明瞭になるのを避けるために、周知の構造又は処理工程は詳細には説明していない。層、領域、又は基材などのある要素が他の要素の「上」又は「上方」にあるといわれるとき、他の要素の上に直接存在し得るか、又は介在する要素も存在し得ることが理解されよう。対照的に、ある要素が他の要素に対して「上に直接」又は「直接に」あるといわれるとき、介在する要素は存在しない。更に、ある要素が他の要素の「下」、「下位」又は「下方」にあるといわれるとき、他の要素の下若しくは下方に直接存在し得るか、又は介在する要素が存在し得ることが理解されよう。対照的に、ある要素が他の要素に対して「下に直接」又は「直接に」あるといわれるとき、介在する要素は存在しない。
【0010】
下記の発明を実施するための形態において実施形態の提示を曖昧にしないために、当該技術分野で周知の一部の構造、構成要素、材料、寸法、処理工程、及び技法が、提示及び説明目的のために組み合わせられていることがあり、場合によってはこれらは詳細に記述されていない場合がある。他の例において、当該技術分野で周知の一部の構造、構成要素、材料、寸法、処理工程、及び技法は、全く記述されていない場合がある。以下の説明は、本明細書に記載された様々な実施形態の特有の特徴又は要素に焦点を合わせていることが理解されよう。
【0011】
3軸センサ(TAS)として使用するための改良された磁気センサのためのシステム及び方法が開示される。このTASは、PCB層の使用により高感度を提供する。図示されているTASセンサは、コイル式である。感受コイルが磁界をアナログ信号に変換し、この信号を電子機器が検出することができ、既知のパラメータ及びアルゴリズムにしたがって、磁気センサの位置が決定される。磁界をアナログ電圧に変換する能力は、コイルの感度として定義される。
【0012】
この感度は、ループ(コイルとも呼ばれる)の断面積に直接比例する。この断面積は、所定の容積内に閉じ込められている。設計により、またシステムのダイナミックレンジを維持するために、各軸は互いに類似であってよい。センサの感度は、作製されるループの表面積の線形関数である。ゆえに本センサは、可能な限り最大の面積を利用するため、画定された体積内のループの数と、ループの表面積とを最大限にする。当業者には周知のように、表面積は、円周率(Π)にループの半径の2乗を掛けたものとして機能的に定義される。ゆえに、各軸の対称性を維持することにより、ループは各軸において同じ感度を提供し得る。
【0013】
例として、本TASセンサは、磁気センサによる検出が利用されている任意のシステムに使用することができ、例えば、周知のCARTO(登録商標)Navigation System及び新型ACCLARENT ENTナビゲーションシステムが挙げられるがこれらに制限されない。
【0014】
この磁気センサは典型的に、プリント回路基板(PCB)のいくつかの層からなっていてよい。このPCB層は、様々な幾何学形状にしたがっていくつかの層に積層されて、位置認識を強化する磁気センサを形成する。結果として得られる構成は、高い感度と、高い精度とを提供する。例えば、この6面の同心状かつ対称的なセンサは、検出の精度を高め、位置判定をより正確なものにする。同心状センサは、立方体として、積層された正方形として、又は、寸法が小さくなる積層された正方形として配置することで四角錐構造を形成することができる。最終的に、この四角錐構造を組み合わせて、立方体の構造を構成することができる。この立方体形状は、3軸すべてにおいてほぼ同一の感度を与える。PCB技術と、PCB技術の全体に平坦な表面形態とを利用する結果、この立方体形状のような幾何学形状は容易に形成することができる。
【0015】
図1は、多層センサ100として形成された磁気センサを示す。多層センサ100は立方体として形成することができる。多層センサ100は、ループの6個の四角錐110、112、114、116、118、120を含み得、このそれぞれが立方体構造の一側面をなしている。ループの四角錐110、112、114、116、118、120はそれぞれ、SASであり得る。ループの四角錐110、112、114、116、118、120はそれぞれ、四角錐構造に積層された複数のループ層を含み得る。個々の四角錐それぞれを作製するには、徐々に小さくなるPCB部品を積み重ねて、四角錐を形成する。これについては図2及び3を参照して下記に詳述する。追加する層それぞれの寸法が小さくなることで、四角錐構造がもたらされる。この四角錐構造を形成する積層の各層が、一連のループを含み得る。
【0016】
ループ(コイル)の数が増大する結果、多層センサ100が磁界を、電子機器が検出可能なアナログ信号に変換する際に、多層センサ100の感度は大幅に高くなる。多層センサ100の感度はループの断面積に比例するため、この多層構造は、立方体の画定されている体積内のループの断面積を最大にする。センサの感度は、作製されるループの表面積の線形関数である。したがって、ループの面積を最大にすることにより、感度が最大になる。本センサは、画定された体積内のループと、ループの表面積とを最大限にし、可能な限り最大の面積を提供する。多層センサ100の設計は、既存の製造方法に比較して、画定された体積当たり約10倍の感度を提供する。更に、設計により、またシステムのダイナミックレンジを維持するために、各軸は類似であってよい。各軸の対称性を維持することにより、ループは各軸において同じ感度を提供し得る。
【0017】
図2は、図1の多層センサ100を形成するのに使用され得る四角錐センサ200を示す。四角錐センサ200はSASである。四角錐センサ200はそれ自体、多層センサであると見なすことができる。各層はPCBで構成されてもよく、これらの層は、1つの層を別の層の上に配置しこれらを電気的に連結することによって、相互接続されていてもよい。四角錐200を作製するために、徐々に小さくなるPCB部品を積み重ねて、四角錐200を形成する。
【0018】
例として、四角錐200は複数の層210を含み得る。複数の層210は任意の数の層を含み得る。明瞭さと説明のために、図2は5層の四角錐を含む。しかしながら、任意の数の層を使用することができ、この5層の例は単に明瞭な説明及び理解のために使用されるものである。そのような5層構成において、複数の層210は、基底又は第1の層231、第2の層233、第3の層235、第4の層237、及び、最上層の第5の層239を含み得る。基底層231は、面積による定義として、最大の層であってよく、四角錐の底面を形成し得る。第2の層233は2番目に大きい層であってよく、基底層231の上に積層され得る。第3の層235は3番目に大きい層であってよく、第2の層233の上に積層され得る。第4の層237は第3の層235よりも小さい寸法であってよく、第3の層235の上に積層され得る。第5の層239は最も小さい層であってよく、第4の層237の上に積層され得る。
【0019】
図2は四角錐200の頂点に第5の層239を示しているが、層の数と最上層の寸法によっては、第5の層239は頂点でなくてもよく、四角錐200は頂点を含んでいなくともよい。実際にこの設計では、頂点を形成する層を含まないことにより、6個の四角錐にある程度の間隔を設けて組み合わせて、四角錐センサの組み合わせをTASの立方体に形成することができるようになり得る。
【0020】
6つの四角錐を組み立てることにより、基底層231が立方体の側面を形成することができ、立方体は、図1に示すように、立方体の本体内に向かって延出する6個の四角錐200それぞれによって形成され得る。立方体の中心に向かうこの延出は、例えば、立方体の中心に食い込んでもよい。すなわち、立方体の内部で、各四角錐の最上層は、他の最上層のそれぞれと実質的に接触していてもよい。あるいは、四角錐200は、形成された立方体の中心に向かって部分的にのみ延出していてよく、これにより立方体の中心に隙間を残してもよい。この特定の実施形態は、説明されるように、精密な位置読み取り値を与える高感度を提供する。
【0021】
図3A~3Cは、図1及び2に示す四角錐の更なる詳細を提供する四角錐構造300を示す。図3Aは四角錐構造300の上面図301である。図3Bは四角錐構造300の等角図302である。図3Cは四角錐構造300の側面図303である。図3A~3Cを形成する描画は、ループ又はコイルを図示しており、PCB及び他の構造材料は図に示されていない。
【0022】
特に図3Aを参照して、四角錐構造300の描画、及び上面図301のPCB四角錐310は、四角錐である。四角錐構造300はPCB四角錐310を含む。製造されるセンサは、8つの層を含み、外側正方形の寸法は4.8mm×4.8mmであり、この最大層は直径4.11mm~2.28mmの7つのループを備える。内側層は直径2.87mm~2.26mmの3つのループを有する。四角錐310は、第1の層312、第2の層314、第3の層316、第4の層318、及び第5の層322を含む。図2に関して記述されたように、第1の層312は四角錐310の底面であり得る。第2の層314は第1の層312の上に積層され得る。第3の層316は第2の層314の上に積層され得る。第4の層318は第3の層316の上に積層され得る。第5の層322は第4の層318の上に積層され得る。各層312、314、316、318、322は、単一のループ又はコイルを有するものとして記述されているが、各層312、314、316、318、322は代わりに、それぞれの層に複数の巻線を含んでいてもよい。
【0023】
各層312、314、316、318、322は、一連の相互接続部320のうち1つを使用して、層312、314、316、318、322それぞれの上及び下の層に電気的に接続される。これらの相互接続部320は、異なる層を電気的に接続するための、はんだ付け、ワイヤ、ソケット、ビアトレース、又は任意の他の従来技術による接続方法を含む、任意の種類の方法を含み得る。相互接続部320は更に、層312、314、316、318、322内のループを電気的に接続するのにも使用され得る。この図及び説明では、はんだ付けを含む相互接続部320について議論しているが、はんだ接続の代わりに、又ははんだ接続に加えて、他の接続要素も使用することができる。次にこの電気的接続部が、センサの使用のために、多層コイルに連結される。
【0024】
各層312、314、316、318、322は、多層PCB上に設計することができる。理解されるように、多層設計によって、より高いループ密度が可能になり、ゆえにより高い感度が可能になる。図3A内に示すように、四角錐構造300は約4.8mm四方の設置面積を形成しており、これはAcclarent Navigationシステムにおける要件に従った設計の一例である。
【0025】
図3Bは、四角錐構造300の描画と、等角図302のPCB四角錐310を示す。上述のように、四角錐310は第1の二重層312、第2の二重層314、第3の二重層316、及び第4の二重層318を含む。図2に関して記述されたように、第1の層312は四角錐310の底面であり得る。第2の層314は第1の層312の上に積層され得る。第3の層316は第2の層314の上に積層され得る。第4の層318は第3の層316の上に積層され得る。一連のはんだ付け320のうち1つを使用して、各層312、314、316はその層の上及び下の層に接続され、かつ層内のループは相互接続され得る。
【0026】
図3Cは、四角錐構造300及び四角錐310の側面図303を示す。上述のように、四角錐310は第1の二重層312、第2の二重層314、第3の二重層316、及び第4の二重層318を含む。図2に関して記述されたように、第1の層312は四角錐310の底面であり得る。第2の層314は第1の層312の上に積層され得る。第3の層316は第2の層314の上に積層され得る。第4の層318は第3の層316の上に積層され得る。積層312、314、316、318において、積層された層のそれぞれが徐々に小さくなるPCB部品を積み重ねて、四角錐310を形成する。連続する層312、314、316、318の間で寸法が小さくなることで、連続的な関係を形成することができる。すなわち、連続する層312、314、316、318のそれぞれが、積層が進むにつれてほぼ同じ程度で寸法が小さくなり得る。この縮小角度が図3Cに示されており、例えば、四角錐310の縁部での角度は45°である。四角錐構造300のそのような設計によって、6つの四角錐構造を組み合わせて図1のセンサ100を形成するとき、四角錐310間の干渉なしに、かつ、図1のセンサ100を形成する四角錐310間に隙間(隙間があるということは、感度を高めるために利用可能な領域を利用していないことを意味する)を生じることなしに、適切な構成を作製することが可能になる。
【0027】
図3Cに示すように、各層312、314、316、318は完全なループ又はコイルにより形成され得る。完全なコイル又はループの形成は、各層312、314、316、318が2つのリングである外観で示されている。製造されるセンサは、8つの層を含み、外側正方形の寸法は4.8mm×4.8mmであり、この最大層は直径4.11mm~2.28mmの7つのループを備える。内側層は直径2.87mm~2.26mmの3つのループを有する。
【0028】
各層312、314、316、318が、その層の上及び下の層に接続される。層内のループは、一連の相互接続320bのうち1つを使用して相互接続され得る。層312、314、316、318内の複数の層の相互接続部は、一連の相互接続部320aのうち1つを利用する。相互接続部320aと相互接続部320bは、記述されている相互接続部320のうち任意の1つであり得る。これらは、層内接続と層間接続とを強調するために別の番号が付けられているのであって、行われている接続の機械的なタイプの違いによるものではない。
【0029】
加えて、四角錐310を形成するのに、整列機構340を利用することができる。この整列機構340は、内側コイルと外側表面との電気的接続を与える。これが更に、ワイヤ又はその他の外部接続に接続され得る。図3には、層及び接続点の具体的な形状が示されているが、任意の形状を利用することができる。
【0030】
図4は、本発明による同心状センサ400の更なる設計を示す。同心状センサ400は6つのセンサ円(集合的にセンサ円410と呼ばれる)を含み、これを折り畳んで立方体420となる。同心状センサ400の形成において、センサ円410は、第1の同心円412、第2の同心円414、第3の同心円416、第4の同心円418、第5の同心円422、及び第6の同心円424の、6つのセンサ円を含み得る。センサ円410の形成において、第1の同心円412を第2の同心円414に連結することができ、これを更に、第3の同心円416に連結することができ、これを更に、第4の同心円418に連結することができ、これを更に、第5の同心円422に連結することができ、これを更に、第6の同心円424に連結することができる。センサ円410は例えば、PCBの単一層で形成され得る。特定の実施形態において、センサ円410はPCBの単一層であってよく、他の実施形態において、センサ円410は各円の中に複数の層の円を含み得る。例えば、四角錐の実施形態に関して上述したように、追加の層を構成することができる。
【0031】
幾何学的に、第2の同心円414、第3の同心円416、第4の同心円418、及び第5の同心円422は、各円414、416、418、422のおよその中心に基づいて定義されるように直線的な構成に配列され得る。そのような円414、416、418、422のパターンでは、PCBの単一片から円414、416、418、422を形成することが可能になり得る。第1の同心円412は、円414、416、418、422の中心で形成される線に対して直角に形成され得る。第6の同心円424は、円414、416、418、422の中心で形成される線に対して直角に形成され得る。第6の同心円424は、第1の同心円412とは反対方向で直角になるよう構成され得る。第1の同心円412と第6の同心円424は、実質的に直線配列の円414、416、418、422の遠位端に形成され得る。
【0032】
上述のセンサ円410の構成によって、センサ円410を操作して立方体420にすることが可能になる。2つの隣接する円それぞれの交差部は、各円を立方体の側面として形成するための折り線を提供し得る。例として、第1の同心円412は、立方体420の第1の側面432に配置又はこれを形成することができ、第2の同心円414は、立方体420の第2の側面434に配置又はこれを形成することができ、第3の同心円416は、立方体420の第3の側面436に配置又はこれを形成することができ、第4の同心円418は、立方体420の第4の側面438に配置又はこれを形成することができ、第5の同心円422は、立方体420の第5の側面442に配置又はこれを形成することができ、第6の同心円424は、立方体420の第6の側面444に配置又はこれを形成することができる。いったん組み立てられると、センサ円410は、同心状センサを形成するセンサ円の立方体420を形成する。
【0033】
図5は、本発明におけるセンサの尺度の一例を示す。例えば、図示されている第1のセンサ510は、約5mm四方の正方形である。図1~3に関する上記の説明から理解されるように、図5には、立方体の1つの側面がセンサ510として示されている。すなわち、第1のセンサ510は、図1に示されている立方体の一端のみが図示されている。図示されている第2のセンサ520も、5mm四方の正方形として示されている。単なる例として、本明細書に記述されるセンサは、約4~5mV/Gの感度を提供し、これは利得20~25V/Gの感度に対応する。そのような構成では3~4オームの抵抗を利用して、約40dBの信号雑音比(SNR)を提供する。提供される感度は、8層の四角錐からなる、側面が一辺約5mmの立方体構造を用いて達成することができる。
【0034】
図6は、TASを形成する方法600を示す。方法600は、工程610において、3軸センサの各SAS(四角錐)に含まれる層の数を決定することを含む。方法600は、工程620において、連続する各層の寸法が減少するようにして、その数の層のそれぞれの上にコイルを製造することを含む。工程630において、層のそれぞれの内部に相互接続部が設けられる。工程640において、製造された各コイル層を最大のものから最小のものへと積層して、四角錐構造を作製する。工程650において、層と他の層との相互接続部が設けられる。工程660において、作製された6つの四角錐構造を立方体様構造に組み立てて、TASを形成することができる。
【0035】
特徴及び要素が特定の組み合わせで上に記載されるが、当業者であれば、特徴又は要素の各々を単独で又は他の特徴及び要素と組み合わせて、又は組み合わせることなしに、使用できることを理解するであろう。加えて、本明細書に記載される方法は、コンピュータ又はプロセッサによる実行に対して、コンピュータ可読媒体に組み込まれるコンピュータプログラム、ソフトウェア、又はファームウェアにおいて実施されてもよい。
【0036】
〔実施の態様〕
(1) 3軸センサ(TAS)装置であって、
四角錐構造に形成された複数の層であって、連続する層のそれぞれは、上に該層が組み立てられる層よりも面積が小さくなるように構成されており、前記複数の層のそれぞれが少なくとも1つのコイルを含み、該コイルは、該コイルが形成される前記層の断面積を実質的に包含する、複数の層と、
連続する各層を隣接する層と相互接続する複数の相互接続部と、をそれぞれが含む6個の単軸センサ(SAS)を備え、前記6個のSASが立方体様構造に形成されている、3軸センサ(TAS)装置。
(2) 前記立方体様構造が約5mmである、実施態様1に記載の装置。
(3) 与えられる感度が約4~5mV/Gの範囲である、実施態様1に記載の装置。
(4) 前記TASが磁界をアナログ信号に変換する、実施態様1に記載の装置。
(5) 前記複数の層が8層を含む、実施態様1に記載の装置。
【0037】
(6) 前記層の前記断面積を実質的に包含することが、前記コイルのループの数を最大化することを含む、実施態様1に記載の装置。
(7) 前記層がプリント回路基板(PCB)で形成される、実施態様1に記載の装置。
(8) Carto Navigation Systemで使用される、実施態様1に記載の装置。
(9) Acclarent ENT Navigation Systemで使用される、実施態様1に記載の装置。
(10) 前記装置が実質的に対称、実質的に同心状、かつ実質的に均質(homogenic)である、実施態様1に記載の装置。
【0038】
(11) 前記複数の層のうちの最大層が7個のループを含む、実施態様1に記載の装置。
(12) 前記ループが約4.1×2.3mmである、実施態様11に記載の装置。
(13) 前記複数の層のうちの最小層が3個のループを含む、実施態様1に記載の装置。
(14) 前記ループが約2.9×2.3mmである、実施態様13に記載の装置。
(15) 3軸センサ(TAS)を形成する方法であって、
前記3軸センサの四角錐として各単軸センサ(SAS)に含まれる層の数を決定することと、
連続する各層の設置面積が小さくなるように、前記数の層のそれぞれの上にコイルを製造することと、
前記層のそれぞれの内部の前記コイル同士を相互接続することと、
前記製造されたコイルを、最大のものから最小のものへと積層して四角錐構造を作製することと、
連続する前記各層を隣接する他の層と相互接続することと、
6個の作製された前記SASを立方体様構造に組み立てて前記TASを形成することと、
を含む、方法。
【0039】
(16) 前記層の数が8を含む、実施態様15に記載の方法。
(17) 前記層がプリント回路基板(PCB)で形成される、実施態様15に記載の方法。
(18) 与えられる感度が約4~5mV/Gの範囲である、実施態様15に記載の方法。
(19) 前記TASが磁界をアナログ信号に変換する、実施態様15に記載の方法。
(20) 単軸センサ(SAS)装置であって、
四角錐構造に形成された複数の層であって、連続する層のそれぞれは、上に該層が組み立てられる層よりも面積が小さくなるように構成されており、前記複数の層のそれぞれの上に少なくとも1つのコイルが形成され、前記少なくとも1つのコイルのそれぞれは、該コイルが形成されている前記層内で利用可能な断面積を実質的に包含する、複数の層と、
連続する各層を隣接する他の層と相互接続する複数の相互接続部と、を含む、単軸センサ(SAS)装置。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6