(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-07
(45)【発行日】2023-04-17
(54)【発明の名称】ブラケット
(51)【国際特許分類】
F16F 1/36 20060101AFI20230410BHJP
F16F 15/08 20060101ALI20230410BHJP
【FI】
F16F1/36 K
F16F15/08 W
(21)【出願番号】P 2018238381
(22)【出願日】2018-12-20
【審査請求日】2021-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】522297236
【氏名又は名称】株式会社プロスパイラ
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】大西 正
(72)【発明者】
【氏名】小林 将人
【審査官】児玉 由紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-167264(JP,A)
【文献】特開2014-163487(JP,A)
【文献】特開2005-048838(JP,A)
【文献】特開2010-001909(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 1/00- 6/00
F16F 15/00-15/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動発生側及び振動受け側の一方に連結された防振部材を取り付けるための開口部を有し、前記振動発生側及び前記振動受け側の他方に連結可能な、ブラケットであって、
前記ブラケットは、樹脂からなり、
間隔を置いて配列された一対の柱部と、前記一対の柱部の間に配列されていると共に当該一対の柱部を連結している、一対の架け渡し部とを有し、前記開口部が、前記一対の柱部と前記一対の架け渡し部とによって区画されている、筒状のブラケットであり、
前記一対の柱部のうちの、少なくとも、一方の柱部のブラケット外周側外側面に、前記柱部の延在方向の全体にわたって延在していると共に、前記柱部よりも前記架け渡し部の延在方向に突出しているプレート部を備えており、
更に、前記一対の架け渡し部のうちの、
一方の架け渡し部は、ブラケット外周側部分と、ブラケット内周側部分と、前記ブラケット外周側部分及び前記ブラケット内周側部分を連結している、仕切部分及びリブとを有し、
前記一方の架け渡し部において、前記柱部の延在方向視で、前記一方の架け渡し部の
前記ブラケット外周側部分のブラケット外周側外面の開口部貫通方向幅が、前記架け渡し部の、前記一方の柱部の側の延在方向端において最大となっている、ブラケット。
【請求項2】
前記柱部の延在方向視で、前記一方の架け渡し部の
前記ブラケット外周側部分の前記ブラケット外周側外面の開口部貫通方向幅が、前記架け渡し部の前記延在方向端から当該架け渡し部の延在方向中心に向かうに従って狭くなっている、請求項1に記載のブラケット。
【請求項3】
前記柱部の延在方向視で、前記一方の架け渡し部の
前記ブラケット外周側部分の前記ブラケット外周側外面
の開口部貫通方向側輪郭を形作る一対の開口部貫通方向側輪郭線のうちの、一方の開口部貫通方向側輪郭線は、前記架け渡し部の前記延在方向端から当該架け渡し部の延在方向中心に向かうに従って、前記一対の開口部貫通方向側輪郭線のうちの、他方の開口部貫通方向側輪郭線に向かう凹の曲線である、請求項1又は2に記載のブラケット。
【請求項4】
前記柱部の延在方向視で、前記一方の架け渡し部の
前記ブラケット外周側部分の前記ブラケット外周側外面の前記他方の開口部貫通方向側輪郭線は、前記架け渡し部の前記延在方向端から当該架け渡し部の延在方向中心に向かうに従って、前記一方の開口部貫通方向側輪郭線に向かう凹の曲線である、請求項3に記載のブラケット。
【請求項5】
前記柱部の延在方向視で、前記一方の架け渡し部の
前記ブラケット外周側部分の前記ブラケット外周側外面における、前記一方の開口部貫通方向側輪郭線の前記凹
の開口部貫通方向深さと、前記他方の開口部貫通方向側輪郭線の前記凹の前記開口部貫通方向深さとが異なる、請求項4に記載のブラケット。
【請求項6】
前記一対の架け渡し部のうちの、他方の掛け渡し部は、当該他方の掛け渡し部の延在方向の延長上に、少なくとも、前記一方の柱部のブラケット外周側外側面から突出しているフランジ部を更に備え、前記フランジ部と前記プレート部とが連結されている、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のブラケット。
【請求項7】
前記一方の架け渡し部の
前記ブラケット外周側部分の前記
ブラケット外周側外面に、補強部を備えている、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のブラケット。
【請求項8】
前記補強部は、前記柱部の延在方向視で、前記一方の架け渡し部から前記プレート部に向かうに従って先細りに傾斜する傾斜端を有している、請求項7に記載のブラケット。
【請求項9】
前記補強部は、前記
傾斜端によって形作られた先細り部分から前記プレート部の間を前記柱部の延在方向に更に延在している、請求項8に記載のブラケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動発生側及び振動受け側の一方に連結された防振部材を取り付けるための開口部を有し、前記振動発生側及び前記振動受け側の他方に連結可能な、ブラケットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のブラケットとしては、合成樹脂材料に補強材を接合させてなるブラケットの外周面に補強リブを形成したものがある(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載のブラケットによれば、補強材と共に補強リブを追加したことで、当該ブラケットに高い強度及び高い耐疲労性を発揮させ、ひいては、耐久性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のブラケットは、前記補強リブの分だけ、重量の増加を招く虞があり、更なる改善の余地があった。
【0005】
本発明の目的は、重量の増加を抑制しつつ、耐久性に優れたブラケットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る、ブラケットは、振動発生側及び振動受け側の一方に連結された防振部材を取り付けるための開口部を有し、前記振動発生側及び前記振動受け側の他方に連結可能な、ブラケットであって、前記ブラケットは、樹脂からなり、間隔を置いて配列された一対の柱部と、前記一対の柱部の間に配列されていると共に当該一対の柱部を連結している、一対の架け渡し部とを有し、前記開口部が、前記一対の柱部と前記一対の架け渡し部とによって区画されている、筒状のブラケットであり、前記一対の柱部のうちの、少なくとも、一方の柱部のブラケット外周側外側面に、前記柱部の延在方向の全体にわたって延在していると共に、前記柱部よりも前記架け渡し部の延在方向に突出しているプレート部を備えており、更に、前記一対の架け渡し部のうちの、一方の架け渡し部において、前記柱部の延在方向視で、前記一方の架け渡し部のブラケット外周側外面の開口部貫通方向幅が、前記架け渡し部の、前記一方の柱部の側の延在方向端において最大となっている。本発明に係るブラケットによれば、重量の増加を抑制しつつ、耐久性に優れたブラケットとなる。
【0007】
本発明に係るブラケットでは、前記柱部の延在方向視で、前記一方の架け渡し部のブラケット外周側外面の開口部貫通方向幅が、前記架け渡し部の前記延在方向端から当該架け渡し部の延在方向中心に向かうに従って狭くなっていることが好ましい。この場合、ブラケットへの荷重の入力時に応力集中し易い柱部及び架け渡し部の接続部分の強度を確保しつつ、重量の増加を抑制することができる。
【0008】
本発明に係るブラケットでは、前記柱部の延在方向視で、前記一方の架け渡し部の前記ブラケット外周側外面の前記開口部貫通方向側輪郭を形作る一対の開口部貫通方向側輪郭線のうちの、一方の開口部貫通方向側輪郭線は、前記架け渡し部の前記延在方向端から当該架け渡し部の延在方向中心に向かうに従って、前記一対の開口部貫通方向側輪郭線のうちの、他方の開口部貫通方向側輪郭線に向かう凹の曲線であることが好ましい。この場合、開口部貫通方向幅を滑らかに減少させることにより、射出成型時に樹脂流れの離合部に形成される強度低下部位ウェルドラインが多数存在する、前記架け渡し部の一方の開口部貫通方向側輪郭線上において生じ得る応力集中を抑制しつつ、重量の増加を抑制することができる。
【0009】
本発明に係るブラケットでは、前記柱部の延在方向視で、前記一方の架け渡し部の前記ブラケット外周側外面の前記他方の開口部貫通方向側輪郭線は、前記架け渡し部の前記延在方向端から当該架け渡し部の延在方向中心に向かうに従って、前記一方の開口部貫通方向側輪郭線に向かう凹の曲線であることが好ましい。この場合、開口部貫通方向幅を滑らかに減少させることにより、前記架け渡し部の他方の開口部貫通方向側輪郭線上において生じ得る応力集中を抑制しつつ、重量の増加を抑制することができる。
【0010】
本発明に係るブラケットでは、前記柱部の延在方向視で、前記一方の架け渡し部の前記ブラケット外周側外面における、前記一方の開口部貫通方向側輪郭線の前記凹の前記開口部貫通方向深さと、前記他方の開口部貫通方向側輪郭線の前記凹の前記開口部貫通方向深さとが異なることが好ましい。この場合、耐久性により優れたブラケットになる。
【0011】
本発明に係るブラケットでは、前記一対の架け渡し部のうちの、他方の掛け渡し部は、当該他方の掛け渡し部の延在方向の延長上に、少なくとも、前記一方の柱部のブラケット外周側外側面から突出しているフランジ部を更に備え、前記フランジ部と前記プレート部とが連結されていることが好ましい。この場合、耐久性により優れたブラケットになる。
【0012】
本発明に係るブラケットは、前記一方の架け渡し部の前記外周側外面に、補強部を備えていることが好ましい。この場合、耐久性により優れたブラケットになる。
【0013】
本発明に係るブラケットでは、前記補強部は、前記柱部の延在方向視で、前記一方の架け渡し部から前記プレート部に向かうに従って先細りに傾斜する傾斜端を有していることが好ましい。この場合、耐久性により優れたブラケットになる。
【0014】
本発明に係るブラケットでは、前記補強部は、前記先細り部分から前記プレート部の間を前記柱部の延在方向に更に延在していることが好ましい。この場合、耐久性により優れたブラケットになる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、重量の増加を抑制しつつ、耐久性に優れたブラケットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るブラケットを概略的に示す斜視図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態に係るブラケットを概略的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明のいくつかの実施形態に係るブラケットについて説明をする。
【0018】
図1は、本発明の第1の実施形態に係るブラケット1Aを概略的に示す斜視図である。
【0019】
ブラケット1Aは、振動発生側及び振動受け側の一方に連結された防振部材を取り付けるための開口部Aを有し、前記振動発生側及び前記振動受け側の他方に連結可能な、ブラケットである。
【0020】
本実施形態に係るブラケット1Aは、エンジンマウント用ブラケットである。振動発生側及び振動受け側としては、例えば、エンジン及び車体が挙げられる。具体的には、振動発生側及び振動受け側の一方は、前記エンジンとすることができる。また、前記防振部材としては、例えば、内筒及び外筒を弾性体(例えば、ゴム)で連結した防振装置が挙げられ、前記内筒を前記エンジンに繋げる。
図1では、前記防振部材は省略されている。これに対し、振動発生側及び振動受け側の他方としては、前記車体とすることができる。この場合、ブラケット1Aは、後述のとおり、前記車体に固定することができる。
【0021】
ブラケット1Aは、樹脂からなっている。ブラケット1Aは、例えば、射出成形によって一体に形成することができる。
【0022】
本実施形態に係るブラケット1Aは、樹脂からなるブラケット本体10と、補強部20とを備えている。本実施形態では、ブラケット本体10は、補強部20をインサート品として、例えば、射出成形によって一体に形成することができる。前記樹脂としては、例えば、熱可塑性合成樹脂、熱硬化性合成樹脂が挙げられる。好適には、前記合成樹脂として、熱可塑性合成樹脂を用いる。こうした熱可塑性合成樹脂としては、例えば、6-6ナイロン、6ナイロン、ポリプロピレン等が挙げられる。
【0023】
ブラケット1Aは、筒状のブラケットである。
図2に示すように、ブラケット1Aは、間隔を置いて配列された一対の柱部11と、2つの柱部11の間に配列されていると共に当該2つの柱部11を連結している、一対の架け渡し部12とを有している。これにより、開口部Aは、一対の柱部11と一対の架け渡し部12とによって区画されている。
【0024】
本実施形態に係るブラケット1Aでは、ブラケット本体10は、2つの柱部11と、2つの架け渡し部12とを有している。
【0025】
本実施形態に係るブラケット1Aでは、2つの柱部11は、互いに平行に延びるプレート部として形成されている。本実施形態では、ブラケット1Aを、例えば、車体に固定したとき、柱部11は、上下方向に延在し、ブラケット本体10(ブラケット1A)の側部を形作る。この場合、柱部11のブラケット外周側外側面11f1がブラケット本体10の外周面の一部を形作る。具体的には、柱部11のブラケット外周側外側面11f1は、ブラケット本体10の外周側面を形作る。
【0026】
また、本実施形態に係るブラケット1Aでは、架け渡し部12のブラケット外周側外面12f1もブラケット本体10の外周面の一部を形作っている。本実施形態では、ブラケット本体10は、2つの架け渡し部12として、第1架け渡し部121と、第2架け渡し部122とを有している。本実施形態では、ブラケット1Aを、例えば、車体に固定したとき、第1架け渡し部121は、上方に位置し、ブラケット本体10(ブラケット1A)の上部の一部を形作る。また、この場合、第2架け渡し部122は、下方に位置し、ブラケット本体10(ブラケット1A)の下部の一部を形作る。更に詳細には、
図2に示すように、第1架け渡し部121の外周側外面121f1は、柱部11のブラケット外周側外上面11f3と共に、ブラケット本体10の外周上面を形作っている。また、第2架け渡し部122の外周側外面122f1は、柱部11のブラケット外周側外下面11f4と共に、ブラケット本体10の外周下面を形作っている。
【0027】
また、ブラケット1Aは、一対の柱部11のうちの、少なくとも、一方(本実施形態では、両方)の柱部11のブラケット外周側外側面11f1に、当該柱部11の延在方向の全体にわたって延在していると共に、当該柱部11よりも架け渡し部12の延在方向に突出しているプレート部13を備えている。
【0028】
本実施形態に係るブラケット1Aでは、ブラケット1Aを、例えば、車体に固定したとき、柱部11の延在方向は、上下方向である。また、本実施形態では、ブラケット1Aを、例えば、車体に固定したとき、架け渡し部12の延在方向は、水平方向である。具体的には、架け渡し部12の延在方向は、車両前後方向及び車両左右方向(車両幅方向)の少なくともいずれか1方向である。本実施形態では、架け渡し部12の延在方向は、車両前後方向である。本実施形態では、プレート部13は、柱部11から突出していることで、ブラケット本体10の一部を形作っている。本実施形態では、ブラケット本体10は、プレート部13として、2つのプレート部13を有している。
【0029】
更に、
図3に示すように、ブラケット1Aは、一対の架け渡し部12のうちの、一方の架け渡し部12において、柱部11の延在方向視で、当該一方の架け渡し部12のブラケット外周側外面12f1の開口部貫通方向幅W1が、架け渡し部12の、一方の柱部11の側の延在方向端12eにおいて最大となっている。
【0030】
本実施形態に係るブラケット1Aでは、開口部貫通方向は、開口部Aが貫通する方向である。本実施形態では、開口部Aの中心軸O1は、開口部貫通方向に対して平行である。また、本実施形態では、架け渡し部12の延在方向端12eは、架け渡し部12の延在方向において、柱部11のブラケット内周側内側面11f2と一致している。本実施形態では、一方の架け渡し部12として、第1架け渡し部121のブラケット外周側外面121f1の開口部貫通方向幅W1が、当該ブラケット外周側外面121f1の面積が延在方向端121eの架け渡し部12の延在方向間で減少するように、第1架け渡し部121の、一方の柱部11の側の延在方向端121eにおいて最大となっている。即ち、本実施形態では、第1架け渡し部121のブラケット外周側外面121f1の開口部貫通方向幅W1は、延在方向端121eの架け渡し部12の延在方向間で減少している。
【0031】
詳細には、
図3に示すように、本実施形態に係るブラケット1Aでは、柱部11の延在方向視で、架け渡し部12のブラケット外周側外面12f1の開口部貫通方向側輪郭は、一対の開口部貫通方向側輪郭線L1及びL2で形作られている。本実施形態では、第1架け渡し部121のブラケット外周側外面121f1の開口部貫通方向幅W1は、第1の開口部貫通方向側輪郭線(以下、「第1開口部貫通方向側輪郭線」という)L1と、第2の開口部貫通方向側輪郭線(以下、「第2開口部貫通方向側輪郭線」という)L2との間の、開口部貫通方向幅である。
図3に示すように、本実施形態では、第1架け渡し部121のブラケット外周側外面121f1の開口部貫通方向幅W1は、第1架け渡し部121のブラケット外周側外面121f1の延在方向中心の開口部貫通方向幅W1cが最小となり、第1架け渡し部121の延在方向端121eの開口部貫通方向幅W1eが最大となっている。
【0032】
ここで、
図4Aは、
図2のA-A断面図である。また、
図4Bは、
図2のB-B断面図である。更に、
図5は、
図2のC-C断面図である。本実施形態に係るブラケット1Aでは、
図4A及び
図4Bに示すように、一方の架け渡し部12では、当該一方の架け渡し部12のブラケット内周側内面12f2の開口部貫通方向幅Wbは、当該一方の架け渡し部12のブラケット外周側外面12f1の開口部貫通方向幅W1よりも長い。また、本実施形態では、
図4A及び
図4Bに示すように、一方の架け渡し部12の開口部貫通方向一端側外面12f3及び開口部貫通方向他端側外面12f4は、それぞれ、架け渡し部12の延在方向視で、柱部11の延在方向のうち、ブラケット外周側(本実施形態では、車両取付時において車両上側)に向うに従って開口部貫通方向中心に向かって傾斜する傾斜面である。
【0033】
本実施形態に係るブラケット1Aでは、
図2に示すように、一方の架け渡し部12は、ブラケット外周側部分12aと、ブラケット内周側部分12bと、ブラケット外周側部分12a及びブラケット内周側部分12bを連結している、仕切部分12c及びリブ12rとを有している。ブラケット外周側部分12a及びブラケット内周側部分12bは、柱部11の延在方向に間隔を置いて配列されている。ブラケット外周側部分12a及びブラケット内周側部分12bは、架け渡し部12の延在方向に延びている。仕切部分12cは、外周側部分12a及び内周側部分12bと共に、柱部11のブッシュ内周側内側面11f2に連結されている。また、本実施形態では、リブ12rとして、架け渡し部12の延在方向に間隔を置いて配列された複数のリブ12rを有している。リブ12rは、それぞれ、ブラケット外周側部分12a及びブラケット内周側部分12bと共に仕切部分12cに連結されている。
図4A及び
図4Bに示すように、一方の架け渡し部12は、リブ12rとして、仕切部分12cを挟んで、複数の開口部貫通方向一端側リブ12r3と、複数の開口部貫通方向他端側リブ12r4と、を有している。第1架け渡し部12の開口部貫通方向一端側外面12f3は、傾斜面で形作られている。また、本実施形態では、架け渡し部12の開口部貫通方向他端側外面12f4も傾斜面で形作られている。
【0034】
更に詳細には、
図2に示すように、本実施形態に係るブラケット1Aでは、第1架け渡し部121は、ブラケット外周側部分121aと、ブラケット内周側部分121bと、ブラケット外周側部分121a及びブラケット内周側部分121bを連結している、仕切部分121c及びリブ121rとを有している。
図4A及び
図4Bに示すように、本実施形態では、第1架け渡し部121は、リブ121rとして、仕切部分121cを挟んで、複数の開口部貫通方向一端側リブ121r3と、複数の開口部貫通方向他端側リブ121r4と、を有している。
図4A及び
図4Bに示すように、本実施形態では、第1架け渡し部121の開口部貫通方向一端側外面121f3は、開口部貫通方向一端側リブ121r3の傾斜面で形作られている。また、本実施形態では、第1架け渡し部121の開口部貫通方向他端側外面121f4は、開口部貫通方向他端側リブ121r4の傾斜面で形作られている。
【0035】
上述のように、ブラケット1Aでは、例えば、
図2に示すように、少なくとも一方の柱部11のブラケット外周側外側面11f1にプレート部13を設け、当該プレート部13を、柱部11の延在方向の全体にわたって延在していると共に、当該柱部11よりも架け渡し部12の延在方向に突出させることができる。この場合、プレート部13のないブラケットに比べて、当該ブラケットの強度を高めることができる。特に、本実施形態に係るブラケット1Aでは、2つの柱部11のブラケット外周側外側面11f1にそれぞれ、プレート部13を設けたことで、ブラケット1Aの強度をより高めることができる。
【0036】
加えて、ブラケット1Aでは、
図3に示すように、柱部11の延在方向視で、一対の架け渡し部12のうちの、一方の架け渡し部12において、一方の架け渡し部12のブラケット外周側外面12f1の開口部貫通方向幅W1が、架け渡し部12の延在方向端12eにおいて最大となっている。この場合、一方の架け渡し部12のブラケット外周側外面12f1の開口部貫通方向幅W1が最大値W1eとなっているため、ブラケット1Aへの荷重の入力時に応力集中し易い柱部11及び架け渡し部12の接続部分の強度を確保することができる。また、この場合、架け渡し部12のブラケット外周側外面12f1のうち、当該ブラケット外周側外面12f1の延在方向端12eの間で、開口部貫通方向幅W1が狭くなる分、ブラケット1Aの軽量化を図ることができる。本実施形態では、架け渡し部12の一方は、ブラケット1Aを車体に固定したとき、上方に配列される第1の架け渡し部12である。
【0037】
このように、本実施形態に係るブラケット1Aによれば、重量の増加を抑制しつつ、耐久性に優れたブラケットとなる。
【0038】
特に、
図4A及び
図4Bに示すように、本実施形態に係るブラケット1Aでは、架け渡し部12のブラケット内周側内面12f2の開口部貫通方向幅Wbは、当該架け渡し部12のブラケット外周側内面12f1の開口部貫通方向幅W1よりも長い。このため、前記防振部材とブラケット1Aとを連結する前記弾性体との接合力を大きく確保することができる。また、本実施形態では、架け渡し部12の開口部貫通方向一端側外面12f3及び開口部貫通方向他端側外面12f4が傾斜面を形作ることで、架け渡し部12の重力増加を抑えている。このため、架け渡し部12のブラケット外周側外面12f1に合わせて、当該架け渡し部12のブラケット外周側外面12f1からブラケット内周側内面12f2に至るまで、当該架け渡し部12の容積を削減した場合に比べて、架け渡し部12の強度をより高く確保することができる。
【0039】
また、
図3に示すように、ブラケット1Aでは、柱部11の延在方向視で、一方の架け渡し部12のブラケット外周側外面12fの開口部貫通方向幅W1が、架け渡し部12の延在方向端12eから当該架け渡し部12の延在方向中心Cに向かうに従って狭くなっている。
【0040】
図3に示すように、本実施形態に係るブラケット1Aでは、架け渡し部12の延在方向中心Cは、柱部11の延在方向視で、架け渡し部12の延在方向長さを二等分する位置である。
図3に示すように、本実施形態では、架け渡し部12の延在方向中心Cは、柱部11の延在方向視で、開口部Aの中心軸O1と一致している。また、本実施形態では、柱部11の延在方向視で、第1架け渡し部121のブラケット外周側外面121f1の開口部貫通方向幅W1は、第1架け渡し部121の延在方向端121eから当該第1架け渡し部121の延在方向中心Cに向かうに従って狭くなっている。
【0041】
この場合、ブラケット1Aへの荷重の入力時に応力集中し易い柱部11及び架け渡し部12の接続部分の強度を確保しつつ、第1架け渡し部121のブラケット外周側外面の延在方向中心Cを狭くすることで、重量の増加を抑制することができる。
【0042】
また、ブラケット1Aでは、柱部11の延在方向視で、一方の架け渡し部12のブラケット外周側外面12f1の開口部貫通方向側輪郭を形作る一対の開口部貫通方向側輪郭線L1及びL2のうちの、一方の開口部貫通方向側輪郭線L1又はL2は、架け渡し部12の延在方向端12eから当該架け渡し部12の延在方向中心Cに向かうに従って、前記2つの開口部貫通方向側輪郭線L1及びL2のうちの、他方の開口部貫通方向側輪郭線L2又はL1に向かう凹の曲線であることが好ましい。
【0043】
図3に示すように、本実施形態に係るブラケット1Aでは、柱部11の延在方向視で、第1架け渡し部121のブラケット外周側外面121f1の開口部貫通方向側輪郭を形作る一対の開口部貫通方向側輪郭線L1及びL2のうち、第1開口部貫通方向側輪郭線L1は、架け渡し部121の延在方向端121eから当該架け渡し部121の延在方向中心Cに向かうに従って、第2開口部貫通方向側輪郭線L2に向かう凹の曲線である。本実施形態絵は、第1開口部貫通方向側輪郭線L1は、第1架け渡し部121の、第1開口部貫通方向側輪郭線L1の側の延在方向端121eから架け渡し部12の延在方向に延びる2つの曲線と、当該2つの曲線を繋ぐ直線とで形成されている。本実施形態では、2つの曲線は、それぞれ、曲率半径r1で形成された曲線である。また、本実施形態では、前記直線は、架け渡し部12の延在方向に延びる直線であって、架け渡し部12の延在方向中心C付近に延在している。
【0044】
この場合、第1架け渡し部121のブラケット外周側外面121f1の第1開口部貫通方向側輪郭線L1が凹の曲線であることから、開口部貫通方向幅W1を滑らかに減少させることにより、射出成型時に樹脂流れの離合部に形成される強度低下部位ウェルドラインが多数存在する、当該第1開口部貫通方向側輪郭線L1上において生じ得る応力集中を抑制しつつ、重量の増加を抑制することができる。
【0045】
また、ブラケット1Aでは、柱部11の延在方向視で、一方の架け渡し部12のブラケット外周側外面12f1の、一対の開口部貫通方向側輪郭線L1及びL2の他方は、架け渡し部12の延在方向端12eから当該架け渡し部12の延在方向中心Cに向かうに従って、開口部貫通方向側輪郭線L1又はL2の前記一方に向かう凹の曲線であることが好ましい。
【0046】
図3に示すように、本実施形態に係るブラケット1Aでは、柱部11の延在方向視で、第1架け渡し部121のブラケット外周側外面121f1の第2開口部貫通方向側輪郭線L2は、第1架け渡し部121の延在方向端121eから当該架け渡し部121の延在方向中心Cに向かうに従って、第1開口部貫通方向側輪郭線L1に向かう凹の曲線である。本実施形態では、第2開口部貫通方向側輪郭線L2は、第1架け渡し部121の、第2開口部貫通方向側輪郭線L2の側の延在方向端121eから架け渡し部12の延在方向に延びる2つの曲線と、当該2つの曲線を繋ぐ直線とで形成されている。本実施形態では、2つの曲線は、それぞれ、曲率半径r2で形成された曲線である。また、本実施形態では、前記直線は、架け渡し部12の延在方向に延びる直線であって、架け渡し部12の延在方向中心C付近に延在している。
【0047】
この場合、第1架け渡し部121のブラケット外周側外面121f1の第2開口部貫通方向側輪郭線L2が凹の曲線であることから、開口部貫通方向幅W1を滑らかに減少させることにより、当該第2開口部貫通方向側輪郭線L2上において生じ得る応力集中を抑制しつつ、重量の増加を抑制することができる。
【0048】
更に、ブラケット1Aでは、柱部11の延在方向視で、一方の架け渡し部12のブラケット外周側外面12f1における、第1開口部貫通方向側輪郭線L1の前記凹の開口部貫通方向深さDと、第2開口部貫通方向側輪郭線L2の前記凹の開口部貫通方向深さDとが異なることが好ましい。
【0049】
ブラケットを射出成形した場合、前記ブラケットに過大な荷重が加わると、当該ブラケットのウェルドラインWLは、当該ブラケットをウェルドラインWLに沿って剥離させる起点となり得る。このため、ブラケットのウェルドラインWLは、ブラケットの使用中において、大きな荷重が加わる位置を回避するように形成されることが好ましい。しかしながら、設計上・構造上において、射出ゲート位置に制約がある場合、ウェルドラインWLの位置が一義的に決まってしまう。この場合、前記射出ゲート位置の変更に制限があるため、ウェルドラインWLを制御して応力集中を回避することが困難である。
【0050】
一方、本実施形態に係るブラケット1Aにおいて、当該ブラケット1AのウェルドラインWLが、
図5に示すように、柱部11の延在方向視で、架け渡し部12の延在方向に延びるウェルドラインWLとなるとき、
図3に示すように、柱部11の延在方向視で、開口部貫通方向側輪郭線L1及びL2の一方の開口部貫通方向深さDと、開口部貫通方向側輪郭線L1及びL2の他方の開口部貫通方向深さDとを異ならせれば、当該ウェルドラインWLは、開口部貫通方向深さDが浅い側の、開口部貫通方向側輪郭線L1又はL2に近い位置に形成することができる。即ち、2つの開口部貫通方向深さDを調整することで、ウェルドラインWLの位置を制御することができる。
【0051】
従って、
図3に示すように、本実施形態に係るブラケット1Aにおいて、柱部11の延在方向視で、開口部貫通方向側輪郭線L1及びL2の一方の開口部貫通方向深さDと、開口部貫通方向側輪郭線L1及びL2の他方の開口部貫通方向深さDとを異ならせて、当該開口部貫通方向深さDを適宜調整すれば、ブラケット1Aに対して大きな荷重が加わる位置からウェルドラインWLを回避させることができる。
【0052】
図3に示すように、本実施形態に係るブラケット1Aでは、柱部11の延在方向視で、一方の架け渡し部12のブラケット外周側外面12f1における、一方の開口部貫通方向側輪郭線L1の開口部貫通方向深さDが、他方の開口部貫通方向側輪郭線L2の開口部貫通方向深さDよりも浅くなっている。本実施形態では、第1架け渡し部121のブラケット外周側外面121fにおいて、第1開口部貫通方向側輪郭線L1の開口部貫通方向深さD1が、第2開口部貫通方向側輪郭線L2の開口部貫通方向深さD2よりも浅くなっている。
【0053】
本実施形態に係るブラケット1Aでは、第1開口部貫通方向側輪郭線L1の開口部貫通方向深さD1は、
図3に示すように、柱部11の延在方向視で、一方の架け渡し部12のブラケット内周側部分12bの開口部延在方向一方側端12b1と、当該一方の架け渡し部12の開口部貫通方向側輪郭線L1との間の開口部貫通方向深さD1である。また、本実施形態では、第2開口部貫通方向側輪郭線L2の開口部貫通方向深さD2は、
図3に示すように、柱部11の延在方向視で、前記一方の架け渡し部121のブラケット内周側部分12bの開口部延在方向他方側端12b2と、当該一方の架け渡し部12の開口部貫通方向側輪郭線L2との間の開口部貫通方向深さである。
【0054】
更に、本実施形態に係るブラケット1Aでは、
図3に示すように、柱部11の延在方向視で、第1開口部貫通方向側輪郭線L1の開口部貫通方向深さD1は、架け渡し部12の延在方向中心Cで最も深い。本実施形態では、
図3に示すように、柱部11の延在方向視で、第1開口部貫通方向深さD1の最大値は、D1=D1maxである。また、本実施形態では、
図3に示すように、柱部11の延在方向視で、第2開口部貫通方向側輪郭線L2の開口部貫通方向深さD2も、架け渡し部12の延在方向中心Cで最も深い。本実施形態では、
図3に示すように、柱部11の延在方向視で、第2開口部貫通方向深さD2の最大値は、D2=D2maxである。本実施形態では、開口部貫通方向深さD1の最大値D1maxと、開口部貫通方向深さD2の最大値D2maxとは、異なっている。
【0055】
本実施形態に係るブラケット1Aでは、開口部貫通方向深さD1の最大値D1maxは、開口部貫通方向深さD2の最大値D2maxよりも浅くなっている。この場合、
図5に示すように、本実施形態では、ウェルドラインWLは、開口部貫通方向深さDが浅い側に形成される傾向となる。一方、こうしたブラケットでは一般的に、
図5に示すように、ブラケットの架け渡し部において、当該架け渡し部に加わる外力は、柱部の延在方向視で、ブラケット幅方向中心線LO上に、当該直線LOに沿って作用する。ブラケット幅方向中心線LOは、架け渡し部12の延在方向に平行な直線であって、当該架け渡し部12(本実施形態では、ブラケット本体10(ブラケット1A))の開口部貫通方向幅の中心を通る直線である。これに対し、
図5に示すように、本実施形態によれば、ウェルドラインWLは、開口部貫通方向深さDが浅い第1開口部貫通方向側輪郭線L1の側に形成される。この場合、ブラケット1Aに荷重が入力されることで、例えば、直線LO上に沿って加わる荷重による応力集中が生じても、当該直線LOから開口部貫通方向にウェルドラインWLがずれているため、当該ウェルドラインWLに沿って生じ得る応力集中は抑制される。このため、本実施形態に係るブラケット1Aによれば、耐久性により優れたブラケットになる。
【0056】
加えて、ブラケット1Aでは、一対の架け渡し部12のうちの、他方の掛け渡し部12は、当該他方の掛け渡し部12の延在方向の延長上に、柱部11のブラケット外周側外側面11f1から突出しているフランジ部14を更に備え、フランジ部14と前記プレート部13とが連結されていることが好ましい。
【0057】
図2等に示すように、本実施形態に係るブラケット1Aでは、他方の架け渡し部12としての第2掛け渡し部122は、当該第2掛け渡し部122の延在方向の延長上に、柱部11のブラケット外周側外側面11f1から突出しているフランジ部14を更に備えている。本実施形態では、プレート部13は、フランジ部14に連結されている。本実施形態では、プレート部13は、柱部11と共にフランジ部14に連結されていることで、ブラケット本体10の一部を形作っている。この場合、耐久性により優れたブラケットになる。本実施形態では、ブラケット本体10は、フランジ部14として、2つのフランジ部14を有している。この場合、耐久性により優れたブラケットになる。
【0058】
本実施形態に係るブラケット1Aでは、
図3等に示すように、フランジ部14は、ブラケット1Aを車体に固定するための固定部15を有している。本実施形態では、固定部15は、ボルト等の締結要素を貫通させる開口部を有している座部である。本実施形態では、
図3に示すように、柱部11の延在方向視で、プレート部13のブラケット外周側側縁13eは、開口部貫通方向において、フランジ部14の固定部15を覆い隠すように、架け渡し部12の延在方向に延びている。本実施形態では、プレート部13のブラケット外周側側縁13eは、柱部11の延在方向視で、架け渡し部12の延在方向において、固定部15を超える位置まで延びている。特に、本実施形態では、
図5に示すように、プレート部13のブラケット外周側側縁13eは、フランジ部14のブラケット外周側側縁14eと一致する位置まで延びている。更に、本実施形態では、プレート部13は、
図2に示すように、開口部貫通方向視で、第1輪郭線L131と、当該第1輪郭線L131と繋がる第2輪郭線L132とで、形作られている。本実施形態では、第1輪郭線L131は、一方の架け渡し部12(第1架け渡し部121)に対して曲率半径R13で繋がる曲線である。第2輪郭線L132は、柱部11の延在方向(車両上下方向)に延在する直線である。
【0059】
また、ブラケット1Aは、一方の架け渡し部12のブラケット外周側外面12f1に、補強部20を備えていることが好ましい。
【0060】
本実施形態に係るブラケット1Aは、
図2に示すように、第1架け渡し部121の外周側外面121f1に、補強部20を備えている。本実施形態では、補強部20は、繊維状要素に合成樹脂を含ませて強度を向上させた複合材料、所謂、繊維強化プラスチック(FRP)である。前記繊維強化プラスチックとしては、例えば、プリプレグが挙げられる。前記繊維状要素としては、例えば、ガラス繊維織物、炭素繊維織物、金属繊維織物、有機繊維、ブラケット本体10よりも曲げ強度が高い繊維織物その他が挙げられる。好適には、前記繊維状要素として、ガラス繊維織物を用いる。また前記繊維強化プラスチックとしては、例えば、方向性を有した繊維状要素に合成樹脂を含ませたUD(Uni Direction)材が挙げられる。前記繊維状要素としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、有機繊維、ブラケット本体10よりも曲げ強度が高い繊維、これらの織物その他が挙げられる。本実施形態では、ブラケット1Aは、例えば、補強部20をインサート品として、射出成形によって一体に形成することができる。
【0061】
本実施形態に係るブラケット1Aにおいて、架け渡し部12は、ブラケット1Aに対して荷重が入力された際、当該補強部20をブラケット1Aの外周側で受ける荷重が必要最低限となる箇所である。このため、本実施形態のように、架け渡し部12のブラケット外周側外面12f1に、補強部20を設ければ、ブラケット1Aに対して荷重が入力された際、当該補強部20をブラケット1Aの外周側で受ける荷重が必要最低限となる箇所に、プレート部13を設けることなく、補強部20によってブラケット1A(ブラケット本体10)を補強することができる。この場合、ブラケット1Aは、耐久性により優れたブラケットになる。
【0062】
また、
図3に示すように、ブラケット1Aでは、補強部20は、柱部11の延在方向視で、一方の架け渡し部12からプレート部13に向かうに従って先細りに傾斜する傾斜端20e1を有していることが好ましい。
【0063】
図3に示すように、本実施形態に係るブラケット1Aでは、プレート部13として、開口部貫通方向に間隔を配列された複数のプレート部13を備えている。本実施形態では、2つの柱部11にそれぞれ、2つのプレート部13が設けられている。本実施形態では、補強部20は、
図3に示すように、柱部11の延在方向視で、一方の架け渡し部12からプレート部13に向かうに従って先細りに傾斜する傾斜端20e1を有している。
【0064】
本実施形態に係るブラケット1Aでは、補強部20の傾斜端20e1は、
図3に示すように、柱部11の延在方向視で、補強部20の開口部貫通方向側輪郭を形作る、一対の開口部貫通方向側輪郭線L3及びL4である。本実施形態では、補強部20の傾斜端20e1は、補強部20の一部として、当該補強部20に先細り部分20aを形作る。2つの開口部貫通方向側輪郭線L3及びL4はそれぞれ、
図3に示すように、柱部11の延在方向視で、ブラケット幅方向中心線LOに対して角度αだけ傾斜している。角度αは、
図3に示すように、柱部11の延在方向視で、柱部11から架け渡し部12に向かうに従って、ブラケット幅方向中心線LOに向かって傾斜する鋭角である。角度αは、60°以下が好ましい。より好ましくは、10°以上45°以下である。更に、好ましくは、10°以上40°以下である。角度αは、ブラケット1Aの形状、材質、使用目的に応じて、適宜設定することができる。
【0065】
ブラケット1Aの製造方法としては、上述のような繊維部材をインサート品として、射出成形を行う方法がある。この方法によれば、ブラケット本体10の外周面側に補強部20を設けたブラケット1Aをインサート成形することができる。
【0066】
しかしながら、プリプレグ等の補強部20は、一般的に、ブラケット本体10を形成する基材樹脂よりも剛性が高い。このため、インサート成形後のブラケット1Aに対して大きな荷重が入力されたとき、補強部20の端の付近(ブラケット本体10を形作る基材樹脂と、補強部20を形作る前記繊維部材との境界線)において前記基材樹脂に対して応力集中が生じてしまい、効率的な補強効果を得ることができない。
【0067】
これに対し、本実施形態に係るブラケット1Aでは、柱部11の延在方向視で、補強部20に、架け渡し部12からプレート部13に向かうに従って先細りに傾斜する傾斜端20e1を形成したことで、補強部20の架け渡し部12の延在方向端(開口部貫通方向側輪郭線L3及びL4)を主として、引っ張り応力発生方向(本実施形態では、架け渡し部12の延在方向)に対して傾斜させている。この場合、補強部20の架け渡し部12の延在方向端を、当該架け渡し部12の延在方向に引き延ばすこと(斜めにすること)によって、基材樹脂(ブラケット本体10)と補強部20との剛性差による応力発生個所を分散させることができる。なお、補強部20の傾斜端20e1は、本実施形態のように、プレート部13として、開口部貫通方向に間隔を置いて配列された複数のプレート部13を備える場合、補強部20の開口部貫通方向の両側に設けることが好ましい。ただし、本発明に従えば、補強部20の傾斜端20e1は、2つの開口部貫通方向側輪郭線L3及びL4のいずれか一方とすることもできる。
【0068】
また、
図1等に示すように、ブラケット1Aでは、補強部20は、前記先細り部分20aからプレート部13の間を柱部11の延在方向に延在していることが好ましい。
【0069】
本実施形態に係るブラケット1Aでは、補強部20の一部20cは、先細り部分20aからプレート部13の間を柱部11の延在方向に延在している。20cは、補強部20の先細り部分20aに繋がる延長部である。この場合、耐久性により優れたブラケットになる。なお、本実施形態では、補強部20は、帯状の部材である。補強部20には、先細り部分20aと延長部20cとが含まれる。
【0070】
図6は、本発明の第2の実施形態に係るブラケット1Bを概略的に示す斜視図である。以下、ブラケット1Aと実質的に同一の構成の部分は、同一の符号をもって、その説明を省略する。
【0071】
ブラケット1Bでは、補強部20は、傾斜端20e1に代えて、柱部11の延在方向視で、一方の架け渡し部12からプレート部13に向かうに従って開口部貫通方向幅W1がステップ状に(柱部11の延在方向視で、開口部Aの中心軸O1と平行となるように)変化する垂直端20e2を有している。補強部20の垂直端20e2は、
図3に示すように、補強部20の架け渡し部12の延在方向側輪郭の一部を形作る、一対の架け渡し部延在方向側輪郭線L5である。本実施形態では、垂直端20e2は、補強部20の一部として、当該補強部20に段差部分20bを形作る。2つの開口部貫通方向側輪郭線L5はそれぞれ、
図6に示すように、柱部11の延在方向視で、ブラケット幅方向中心線LOに対して角度α=90°だけ傾斜している。即ち、本実施形態では、2つの開口部貫通方向側輪郭線L5はそれぞれ、開口部貫通方向に対して平行に延びている。なお、本実施形態でも、補強部20は、帯状の部材である。補強部20には、段差部分20bと延長部20bとが含まれる。
【0072】
上述のように、本発明によれば、重量の増加を抑制しつつ、耐久性に優れたブラケット1A,1Bを提供することができる。
【0073】
上述したところは、本発明のいくつかの実施形態について説明を行ったにすぎず、特許請求の範囲に従えば、様々な変更が可能となる。例えば、ブラケット1A,1Bは、開口部Aの形状が開口部貫通方向視で、矩形形状であるが、楕円形状、真円形状とすることができる。
【符号の説明】
【0074】
1A:ブラケット(第1実施形態), 1B:ブラケット(第2実施形態), 10:ブラケット(第2実施形態), 11:柱部, 11f1:柱部のブラケット外周側外側面, 11f2:柱部のブラケット内周側内側面, 12:架け渡し部, 12c:架け渡し部の延在方向中心, 12e:一方の架け渡し部のブラケット外周側外面の延在方向端, 121:第1架け渡し部, 122:第2架け渡し部, 13:プレート部, 14:フランジ部, 15:固定部, 20:補強部, 20a:補強部の先細り部分, 20e1:補強部の傾斜端, A:開口部, D1:一方の開口部貫通方向側輪郭線の凹の前記開口部貫通方向深さ, D2:他方の開口部貫通方向側輪郭線の凹の開口部貫通方向深さ, L1:一方の架け渡し部の前記ブラケット外周側外面の前記開口部貫通方向側輪郭を形作る一対の開口部貫通方向側輪郭線のうち、一方の開口部貫通方向側輪郭線, L2:L1:一方の架け渡し部の前記ブラケット外周側外面の前記開口部貫通方向側輪郭を形作る一対の開口部貫通方向側輪郭線のうち、他方の開口部貫通方向側輪郭線, W1:一方の架け渡し部のブラケット外周側外面の開口部貫通方向幅, W1c:一方の架け渡し部のブラケット外周側外面の延在方向中心の開口部貫通方向幅, W1e:一方の架け渡し部のブラケット外周側外面の延在方向端の開口部貫通方向幅