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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-07
(45)【発行日】2023-04-17
(54)【発明の名称】トリガー式液体噴出器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/34 20060101AFI20230410BHJP
   B05B 11/00 20230101ALI20230410BHJP
   B65D 83/00 20060101ALN20230410BHJP
【FI】
B65D47/34 200
B05B11/00 102E
B65D83/00 K
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018247036
(22)【出願日】2018-12-28
(65)【公開番号】P2020104909
(43)【公開日】2020-07-09
【審査請求日】2021-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大竹 洋平
(72)【発明者】
【氏名】青山 涼平
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 英哉
【審査官】▲高▼橋 杏子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-140820(JP,A)
【文献】国際公開第2007/111454(WO,A1)
【文献】特開2009-012782(JP,A)
【文献】特開2004-329991(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 35/44-35/54
B65D 39/00-55/16
B65D 83/00
B65D 83/08-83/76
B05B 11/00-11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体内の液体を吸引及び圧送可能なポンプが内蔵された本体部と、前記ポンプを作動させる操作レバーと、前記ポンプの作動によって液体を噴出させるノズルとを備えるトリガー式液体噴出器であって、
前記本体部は、
前記容器本体に装着可能に構成された装着部と、
前記装着部から前記容器本体とは反対側に向けて延出した縦筒部と、
前記縦筒部の前記装着部とは反対側の端部から前記液体の噴出方向に向けて延出した横筒部と
を備え、
前記操作レバーは、前記本体部の前記横筒部から前記容器本体側に向けて延出するよう、その基端部が該横筒部に揺動可能に支持されており、
前記ポンプの少なくとも一部は、前記操作レバーと、前記装着部、前記縦筒部及び前記横筒部との間に形成される空間内に配置されており、
前記トリガー式液体噴出器は、前記空間内における前記ポンプよりも前記容器本体側に設けられたポンプ保護手段を更に備え、
前記ポンプ保護手段は、前記操作レバーの揺動に干渉しないよう構成されており、
前記ポンプ保護手段は、前記操作レバーから前記本体部に向けて延出するよう、該操作レバーに設けられており、
前記ポンプ保護手段は、前記本体部との干渉を避けるための凹部を有し、
前記凹部は、一対の突起片を有しており、前記操作レバーを牽引させた際に該一対の突起片間に前記本体部が挿入されるよう構成されている
トリガー式液体噴出器。
【請求項2】
容器本体内の液体を吸引及び圧送可能なポンプが内蔵された本体部と、前記ポンプを作動させる操作レバーと、前記ポンプの作動によって液体を噴出させるノズルとを備えるトリガー式液体噴出器であって、
前記本体部は、
前記容器本体に装着可能に構成された装着部と、
前記装着部から前記容器本体とは反対側に向けて延出した縦筒部と、
前記縦筒部の前記装着部とは反対側の端部から前記液体の噴出方向に向けて延出した横筒部と
を備え、
前記操作レバーは、前記本体部の前記横筒部から前記容器本体側に向けて延出するよう、その基端部が該横筒部に揺動可能に支持されており、
前記ポンプの少なくとも一部は、前記操作レバーと、前記装着部、前記縦筒部及び前記横筒部との間に形成される空間内に配置されており、
前記トリガー式液体噴出器は、前記空間内における前記ポンプよりも前記容器本体側に設けられたポンプ保護手段を更に備え、
前記ポンプ保護手段は、前記操作レバーの揺動に干渉しないよう構成されており、
前記ポンプ保護手段は、前記本体部から前記操作レバーに向けて延出するよう、該本体部に設けられており、
前記ポンプ保護手段は、前記操作レバーとの干渉を避けるための凹部を有し、
前記凹部は、前記操作レバーを牽引させた際に前記操作レバーが挿入されるよう構成されている
トリガー式液体噴出器。
【請求項3】
液体を収容する容器本体と、
請求項1又は2に記載のトリガー式液体噴出器と
を備えるトリガー式スプレー容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリガー式液体噴出器及びこれを備えるトリガー式スプレー容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住居用洗剤、カビ取り剤、整髪剤、芳香剤及び消臭剤等の液体を霧状又は泡状にして噴出させるよう構成されたトリガー式スプレー容器が知られている(特許文献1等)。従来のトリガー式スプレー容器は、液体を収容する容器本体と、該容器本体の口部に取り付けられるトリガー式液体噴出器とを備えている。トリガー式液体噴出器は、操作レバーの牽曳操作によって作動するポンプにより、容器本体内の液体をノズルから霧状又は泡状にして噴出させるよう構成されている。
【0003】
また、近年、浴室のタオル掛け、ドアの取っ手、キッチンの吊り戸棚のポール、ロッカー及び洋服ダンス内のポール等の棒状部位に、トリガー式スプレー容器を吊り下げて保管するための吊り下げ具が提案されている(特許文献2等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-200572号公報
【文献】特開2017-88215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のトリガー式スプレー容器は、床面等に置いて保管することを想定して設計されており、吊り下げて保管することを想定して設計されたものではない。このため、上述した浴室のタオル掛け等や特許文献2の吊り下げ具の横架部31等の被吊り下げ部位に従来のトリガー式スプレー容器を吊り下げると、該被吊り下げ部位がトリガー式液体噴出器のポンプのピストンに接触して、該ピストンに可動方向とは異なる方向の負荷がかかり、これにより、ピストンとシリンダとの間のシール性が低下して部材相互間からの液漏れを引き起こすおそれがある。
【0006】
本発明は、吊り下げて保管することが可能なトリガー式液体噴出器及びこれを備えるトリガー式スプレー容器に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、容器本体内の液体を吸引及び圧送可能なポンプが内蔵された本体部と、前記ポンプを作動させる操作レバーと、前記ポンプの作動によって液体を噴出させるノズルとを備えるトリガー式液体噴出器であって、前記本体部は、前記容器本体に装着可能に構成された装着部と、前記装着部から前記容器本体とは反対側に向けて延出した縦筒部と、前記縦筒部の前記装着部とは反対側の端部から前記液体の噴出方向に向けて延出した横筒部とを備え、前記操作レバーは、前記本体部の前記横筒部から前記容器本体側に向けて延出するよう、その基端部が該横筒部に揺動可能に支持されており、前記ポンプの少なくとも一部は、前記操作レバーと、前記装着部、前記縦筒部及び前記横筒部との間に形成される空間内に配置されており、前記トリガー式液体噴出器は、前記空間内における前記ポンプよりも前記容器本体側に設けられたポンプ保護手段を更に備え、前記ポンプ保護手段は、前記操作レバーの揺動に干渉しないよう構成されているトリガー式液体噴出器に関する。
【0008】
また、本発明は、液体を収容する容器本体と、上述したトリガー式液体噴出器とを備えるトリガー式スプレー容器に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るトリガー式液体噴出器及びトリガー式スプレー容器は、吊り下げて保管することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係るトリガー式スプレー容器を概略的に示す図である。
図2図1のA-A´線に沿った拡大断面図であり、第1実施形態に係るポンプ保護手段を示している。
図3図3(a)は、第1実施形態に係るトリガー式スプレー容器を被吊り下げ部位に吊り下げた状態を示す図であり、図3(b)は、トリガーを牽曳させた状態を示す図である。
図4】第2実施形態に係るトリガー式スプレー容器を概略的に示す図である。
図5】第2実施形態に係るポンプ保護手段を概略的に示す斜視図である。
図6】第3実施形態に係るトリガー式スプレー容器を概略的に示す図である。
図7】第3実施形態に係るポンプ保護手段を概略的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0012】
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態に係るトリガー式スプレー容器1について、図1図3を用いて説明する。第1実施形態に係るトリガー式スプレー容器1は、概略的には、操作レバー26から本体部30に向けて設けられたポンプ保護手段50によってポンプ40を保護することで、吊り下げて保管することが可能に構成されている。なお、第1実施形態に係るトリガー式スプレー容器1は、住居用洗剤、カビ取り剤、整髪剤、芳香剤及び消臭剤等の液体を霧状又は泡状にして噴出させる用途で用いることが可能であるが、これに限定されるものではない。
【0013】
具体的には、第1実施形態に係るトリガー式スプレー容器1は、図1に示すように、液体を収容可能な容器本体10と、使用者の手動操作によって容器本体10内の液体を噴出させることが可能なトリガー式液体噴出器20とを備えている。なお、以下の説明では、後述するノズル24からの液体の噴出方向を「前方」とし、その反対方向を「後方」として説明する。また、容器本体10からトリガー式液体噴出器20に向かう方向(トリガー式液体噴出器20から見た場合における、容器本体10とは反対側)を「上方」とし、その反対方向(トリガー式液体噴出器20から見た場合における、容器本体10側)を「下方」として説明する。
【0014】
容器本体10は、図1に示すように、上部に小径円筒状の口筒部12を有する有底筒状に形成された容器であり、その内部空間において、液体を収容可能に構成されている。なお、このような容器本体10は、種々の公知の構成を採用可能であるため、その詳細な説明を省略する。
【0015】
トリガー式液体噴出器20は、図1に示すように、容器本体10内の液体を吸引及び圧送することが可能なポンプ40が内蔵された本体部30と、本体部30の前方側に設けられ、本体部30に対して揺動させることでポンプ40を作動させる操作レバー26(トリガー)と、本体部30の前方端部に設けられ、ポンプ40の作動によって液体を外部に向けて噴出させるノズル24と、ポンプ40よりも下方(容器本体10側)の空間に設けられたポンプ保護手段50とを備えている。
【0016】
なお、第1実施形態に係るトリガー式液体噴出器20において、ポンプ保護手段50に関連する構成以外の構成については、種々の公知のトリガー式液体噴出器の構成を採用可能であるため、以下では一例に関する簡略的な説明にとどめ、その詳細な説明は省略する。
【0017】
本体部30は、図1に示すように、容器本体10の口筒部12に装着可能に構成された装着キャップ22(装着部)と、装着キャップ22から上方(容器本体10とは反対側)に向けて延出した縦筒部34と、縦筒部34の上端部(装着キャップ22とは反対側の端部)から前方(液体の噴出方向)に向けて延出してノズル24に接続された横筒部36と、縦筒部34の中途部から前方に向けて延在する円筒状の保持部38と、保持部38内に保持されたポンプ40と、縦筒部34、横筒部36及び保持部38を覆い隠すヘッドカバー28とを備えている。
【0018】
縦筒部34は、図1に示すように、装着キャップ22の上部開口(図示せず)に挿通される円筒状のネック部32を下端に有している。ネック部32は、装着キャップ22に比して、操作レバー26の揺動方向に対して交差する方向の幅(すなわち、径)が小さい。また、縦筒部34は、円筒状のインテイク35をその内部に有している。インテイク35は、その下端が容器本体10内に延在するパイプ37に連通されると共に、その上端が横筒部36の後端に連通されており、これにより、パイプ37、インテイク35及び横筒部36によって容器本体10からノズル24に至る送給経路が形成されている。インテイク35には、後述するポンプ室46に連通する連通孔35aが形成されると共に、連通孔35aの上流側及び下流側にそれぞれ吸入弁35b及び吐出弁35cが配されており、ポンプ40の作動によって、容器本体10からポンプ室46内への液体の吸引と、ポンプ室46からノズル24への圧送を行うことが可能に構成されている。
【0019】
ポンプ40は、図1に示すように、保持部38に嵌合保持される円筒状のシリンダ42と、シリンダ42の内側において往復動可能に収容されたピストン44とを備えている。ピストン44は、シリンダ42よりも小径に形成されており、これにより、その外周面とシリンダ42の内周面との間に隙間が形成されている。ピストン44の後端部には、シリンダ42の内周面に対して摺動可能に液密に当接する環状のシール部45が突設されており、該シール部45によってシリンダ42の内側を封止することにより、シール部45よりも後方側にポンプ室46を形成するよう構成されている。ピストン44は、その前端部が操作レバー26に係合されると共に、その内部に設けられたコイルスプリング47によって操作レバー26を押し戻す方向(ポンプ室46の拡張方向)に向けて付勢されている。
【0020】
操作レバー26は、図1に示すように、その上端部(基端部)が本体部30の横筒部36の先端部側において揺動可能に枢着され、縦筒部34、保持部38及び装着キャップ22と対向するよう、該横筒部36から下方(容器本体10側)に向けて垂下して設けられている。操作レバー26の後面は、上述のとおりピストン44の前端部に係合されており、該操作レバー26の往復動によってピストン44を往復動させるよう構成されている。第1実施形態に係るトリガー式液体噴出器20は、このように垂下された操作レバー26により、操作レバー26と、本体部30の装着キャップ22、縦筒部34及び横筒部36との間に空間が形成され、該空間内にポンプ40のピストン44が配置されている。
【0021】
第1実施形態に係るトリガー式液体噴出器20は、以上の構成を備えることにより、操作レバー26を容器本体10に接近させるよう牽曳してピストン44をシリンダ42に対して後退させることで、ポンプ室46内の液体を加圧し、該加圧力によって吸入弁35bを弁座に押し付けて閉状態を維持しつつ吐出弁35cを弁座から離間させて開状態に変位させることで、ポンプ室46内の液体を送給経路を介してノズル24から外部に噴射させることが可能である。また、第1実施形態に係るトリガー式液体噴出器20は、液体の噴射後、操作レバー26を解放すると、コイルスプリング47の付勢力によってピストン44及び操作レバー26が前方に押し戻され、これによってポンプ室46内が負圧となり、該負圧によって吸入弁35bを弁座から離間させて開状態に変位させつつ吐出弁35cを弁座に押し付けて閉状態とすることで、容器本体10内の液体をパイプ37を介してポンプ室46内に流入させることが可能である。このような操作レバー26の牽曳と解放を繰り返すことにより、容器本体10内の液体をノズル24から連続的に噴射することが可能である。
【0022】
ポンプ保護手段50は、図1及び図2に示すように、略U字状の凹部52を有する板状に形成されており、該凹部52の開口側が本体部30のネック部32側に向くように、ポンプ40よりも下方側において、操作レバー26から本体部30のネック部32に向けて延出して設けられている。なお、ここでいう「ポンプ40よりも下方」とは、ポンプ40よりも高さレベルが低い位置という意味であり、ポンプ40の真下に限定されるものではない。また、ポンプ保護手段50は、操作レバー26と一体として設けられる構成(操作レバー26の一部の構成)としても良いし、操作レバー26に取り付けられた別部材の構成としても良い。
【0023】
ポンプ保護手段50は、図1及び図3(a)に示すように、操作レバー26の非作動位置(コイルスプリング47によって付勢された初期位置)において、ポンプ保護手段50の後端と本体部30のネック部32との間を被吊り下げ部位Pが通過できない程度の長さを有している。具体的には、ポンプ保護手段50は、操作レバー26の非作動位置において、操作レバー26の後端部と本体部30のネック部32との間の距離の約半分以上を埋める長さを有することが好ましく、操作レバー26の後端部から本体部30のネック部32に至る長さを有することが更に好ましい。また、操作レバー26の非作動位置において、ポンプ保護手段50の本体部30側の先端が、本体部30または装着キャップ22と重なっていてもよい。なお、被吊り下げ部位Pとしては、例えば、特許文献2の吊り下げ具の横架部31や、フック、浴室のタオル掛け、ドアの取っ手、キッチンの吊り戸棚のポール、ロッカー及び洋服ダンス内のポール等の棒状部位や、棚の縁等の種々の薄壁等が例示されるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
また、ポンプ保護手段50は、図3(a)に示すように、ポンプ保護手段50が被吊り下げ部位Pと接触するよう該被吊り下げ部位Pにトリガー式スプレー容器1を吊り下げた際に、該トリガー式スプレー容器1の荷重に耐え得る剛性を有している。このような剛性は、ポンプ保護手段50の材質や厚み等を調整することにより実現可能である。例えば、ポンプ保護手段50は、金属、木材又は合成樹脂等から形成される。合成樹脂は、例えばPP(ポリプロピレン)やPE(ポリエチレン)等を好適に用いることが可能であるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
凹部52は、図2及び図3(b)に示すように、操作レバー26の作動位置(操作レバー26を牽曳させた位置。牽引限位置)において、本体部30のネック部32を挿通させることが可能な大きさ及び形状を有すると共に、本体部30のネック部32を挿通させることが可能な位置に配置されており、これにより、本体部30のネック部32との干渉を避けるよう構成されている。具体的には、凹部52は、本体部30のネック部32の幅(ネック部32の径)よりも僅かに大きい間隔をおいて離間して設けられた一対の突起片52a,52bを有しており、操作レバー26を牽引させた際に該一対の突起片52a,52b間にネック部32が挿入されるよう構成されている。一対の突起片52a,52bの間は、ネック部32にフィット可能な半円状に形成されることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0026】
以上説明したとおり、第1実施形態に係るトリガー式スプレー容器1は、ポンプ40の少なくとも一部(ピストン44)が、操作レバー26と装着キャップ22、縦筒部34及び横筒部36との間に形成される空間内に配置されると共に、該空間内におけるポンプ40よりも下方にポンプ保護手段50が設けられ、このポンプ保護手段50が、操作レバー26の揺動に干渉しないよう構成されている。なお、ここでいう「干渉しない」とは、操作レバー26の揺動を阻害しないことを意味し、より狭義には、操作レバー26の上記非作動位置と上記作動位置との間の揺動経路上において該操作レバー26と接触しないことを意味する。当該狭義の定義において、操作レバー26が作動位置(牽引限位置)においてポンプ保護手段50と接触することは許容される。
【0027】
このような構成を備えるトリガー式スプレー容器1によれば、操作レバー26と装着キャップ22、縦筒部34及び横筒部36との間に形成される空間内に被吊り下げ部位Pが挿入された場合であっても、ポンプ保護手段50によって被吊り下げ部位Pがポンプ40に接触することを防止することが可能となる。これにより、第1実施形態に係るトリガー式スプレー容器1では、ポンプ40のピストン44に負荷を与えることなく、ポンプ保護手段50によってトリガー式スプレー容器1の荷重を支えることが可能となるため、図3(a)に示すように、液漏れ等の問題を生じることなく、任意の被吊り下げ部位Pに吊り下げて保管することが可能となる。また、図3(b)に示すように、ポンプ保護手段50が操作レバー26の牽曳操作を阻害しないよう構成されているため、ポンプ保護手段50を取り外す等の面倒な作業を行うことなく、トリガー式スプレー容器1を直ちに使用することが可能となると共に、ポンプ保護手段50を設けることによって液体の噴出性能(例えば液体の吐出量や勢い等)や操作レバーの操作性能(例えば牽引力等)を低下させることも無い。
【0028】
特に、第1実施形態に係るトリガー式スプレー容器1では、ポンプ保護手段50の凹部52が一対の突起片52a,52bを有し、該一対の突起片52a,52bによって操作レバー26の牽曳をガイドすることが可能となるため、操作レバー26が斜め方向に牽曳されることを防止することが可能となる。これにより、シリンダ42の内周面とピストン44のシール部45との間のシール性を維持することが可能となるため、液漏れの発生をより一層抑えることが可能となる。
【0029】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係るトリガー式スプレー容器1´について、図4及び図5を用いて説明する。第2実施形態に係るトリガー式スプレー容器1´は、概略的には、本体部30から操作レバー26に向けて設けられたポンプ保護手段50´によってポンプ40を保護することで、吊り下げて保管することが可能に構成されている。なお、第2実施形態に係るトリガー式スプレー容器1´において、ポンプ保護手段50´以外の構成については、第1実施形態に係るトリガー式スプレー容器1と同一の構成を採用可能であるため、その説明を省略する。
【0030】
ポンプ保護手段50´は、図4及び図5に示すように、略U字状の凹部52´を有する板状に形成されており、該凹部52´が操作レバー26側に向くように、ポンプ40よりも下方側において、ネック部32から操作レバー26に向けて延出して設けられている。なお、ポンプ保護手段50´は、トリガー式スプレー容器1´の組み立て時に組み込んでもよく、貫通孔54´の周囲にスリットを設けてトリガー式スプレー容器1´の組み立て後に嵌め込んでもよい。また、第2実施形態に係るトリガー式スプレー容器1´において、ポンプ保護手段50´は、図5に示すように、本体部30のネック部32が挿通可能な貫通孔54´を有する別部材であるが、これに限定されず、本体部30のネック部32と一体として設けられる構成(ネック部32の一部の構成)としても良い。
【0031】
ポンプ保護手段50´は、第1実施形態に係るポンプ保護手段50と同様に、操作レバー26の非作動位置において、ポンプ保護手段50´の先端と操作レバー26との間を被吊り下げ部位Pが通過できない程度の長さを有しており、また、トリガー式スプレー容器1´の吊り下げ荷重に耐え得る剛性を有している。例えば、ポンプ保護手段50´は、金属、木材又は合成樹脂等から形成される。合成樹脂は、例えばPP(ポリプロピレン)やPE(ポリエチレン)等を好適に用いることが可能であるが、これらに限定されるものではない。
【0032】
凹部52´は、操作レバー26の作動位置(操作レバー26を牽曳させた位置)において、操作レバー26を挿通させることが可能な大きさ及び形状を有しており、操作レバー26との干渉を避けるよう構成されている。凹部52´は、操作レバー26にフィット可能な矩形状に形成されることが好ましい。
【0033】
以上の構成を備えるトリガー式スプレー容器1´においても、第1実施形態に係るトリガー式スプレー容器1と同様に、任意の被吊り下げ部位Pに吊り下げて保管することが可能となると共に、ポンプ保護手段50´を取り外す等の面倒な作業を行うことなく直ちに使用することが可能となる。また、ポンプ保護手段50´の凹部52´によって操作レバー26の牽曳をガイドすることが可能となるため、液漏れの発生をより一層抑えることが可能となる。
【0034】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係るトリガー式スプレー容器1´´について、図6及び図7を用いて説明する。第3実施形態に係るトリガー式スプレー容器1´´は、概略的には、ピストン44の下方を覆うようシリンダ42から延出したポンプ保護手段50´´によってピストン44を保護することで、吊り下げて保管することが可能に構成されている。なお、第3実施形態に係るトリガー式スプレー容器1´´において、ポンプ保護手段50´´以外の構成については、第1実施形態に係るトリガー式スプレー容器1と同一の構成を採用可能であるため、その説明を省略する。
【0035】
ポンプ保護手段50´´は、図6及び図7に示すように、半円弧状の断面形状を有する半円筒状の板材からなり、ピストン44のシール部45よりも前方側における、ピストン44の外周面とシリンダ42の内周面との間の隙間に設けられている。ポンプ保護手段50´´は、ピストン44の外周面とシリンダ42の内周面との間の隙間にフィット可能な大きさ及び形状を有することが好ましい。第3実施形態に係るトリガー式スプレー容器1´´において、ポンプ保護手段50´´は、ピストン44の外周面とシリンダ42の内周面との間の隙間に組み入れられる別部材であるが、これに限定されず、ピストン44と一体として設けられる構成(ピストン44の一部の構成)としても良い。
【0036】
ポンプ保護手段50´´は、図6に示すように、操作レバー26が非作動位置に位置する状態おいて、シリンダ42の前端開口から操作レバー26の後面に向けて延出して設けられており、ピストン44の少なくとも下方を保護するよう構成されている。ポンプ保護手段50´´は、第1及び第2実施形態に係るポンプ保護手段50,50´と同様に、操作レバー26の非作動位置において、ポンプ保護手段50´´の前端と操作レバー26との間を被吊り下げ部位Pが通過できない程度の長さを有しており、また、トリガー式スプレー容器1´´の吊り下げ荷重に耐え得る剛性を有している。例えば、ポンプ保護手段50´´は、金属、木材又は合成樹脂等から形成される。合成樹脂は、例えばPP(ポリプロピレン)やPE(ポリエチレン)等を好適に用いることが可能であるが、これらに限定されるものではない。
【0037】
ポンプ保護手段50´´は、操作レバー26の揺動に伴うピストン44の往復動に追従してシリンダ42内を往復動するよう構成されており、これにより、操作レバー26の作動位置(操作レバー26を牽曳させた位置)において、操作レバー26との干渉を避けるよう構成されている。
【0038】
以上の構成を備えるトリガー式スプレー容器1´´においても、第1及び第2実施形態に係るトリガー式スプレー容器1,1´と同様に、任意の被吊り下げ部位Pに吊り下げて保管することが可能となると共に、ポンプ保護手段50´´を取り外す等の面倒な作業を行うことなく直ちに使用することが可能となる。また、第3実施形態に係るトリガー式スプレー容器1´´によれば、ポンプ保護手段50´´によってピストン44の外周面とシリンダ42の内周面との間の隙間を埋めることが可能となるため、操作レバー26の牽曳操作によりピストン44がシリンダ42に対して傾くことがなく、液漏れの発生をより一層抑えることが可能となる。
【0039】
以上、本発明の好適な実施形態として第1~第3実施形態を例示して説明したが、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態に記載の範囲には限定されない。上記各実施形態には、多様な変更又は改良を加えることが可能である。
【0040】
例えば、保護手段は、上述した第1~第3実施形態に係るポンプ保護手段50,50´,50´´の構成に限定されるものではなく、ポンプよりも下方の空間に設けられ、かつ、操作レバーの揺動に干渉しないよう構成されたものであれば種々の構成を採用することが可能である。
【0041】
特に、上述した第1実施形態では、ポンプ保護手段50が操作レバー26から本体部30のネック部32に向けて延出されるものとして説明したが、これに限定されず、例えば、操作レバー26から装着キャップ22、保持部38、シリンダ42又はヘッドカバー28等の他の部位に向けて延出される構成としても良い。ただし、本体部30のネック部32等、操作レバー26の揺動方向に対して交差する方向の幅が小さい部分に向けて延出される構成の方が、ポンプ保護手段50の大きさ(幅)を抑えることが可能となるため、好ましい。
【0042】
また、上述した第2実施形態では、ポンプ保護手段50´が本体部30のネック部32から操作レバー26に向けて延出されるものとして説明したが、これに限定されず、例えば、装着キャップ22、保持部38、シリンダ42又はヘッドカバー28等の他の部位から操作レバー26に向けて延出される構成としても良い。
【0043】
さらに、上述した第3実施形態では、ポンプ保護手段50´´が半円筒状の板材からなるものとして説明したが、これに限定されず、例えば、ピストン44の周囲を覆う円筒状の筒部材や、ピストン44の下方において同軸方向に延びる線状又は棒状の部材等の種々の構成を採用することが可能である。
【0044】
また、上述した第1及び第2実施形態では、ポンプ保護手段50,50´に形成された凹部52,52´によって操作レバー26の揺動を阻害しない構成としたが、これに限定されず、例えば、本体部30のネック部32を挟んで水平方向に離間させた一対の支持片や棒状部材の構成等、操作レバー26の揺動に干渉しない構成であれば、種々の構成を採用することが可能である。
【0045】
さらに、上述した第3実施形態では、ポンプ保護手段50´´をシリンダ42内で往復動させることによって操作レバー26の揺動を阻害しない構成としたが、これに限定されず、ポンプ保護手段50´´を操作レバー26の揺動に干渉しない大きさ及び形状に設定することにより、ポンプ保護手段50´´を往復動させない構成とすることも可能である。
【0046】
上記のような変形例が本発明の範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0047】
1,1´,1´´ トリガー式スプレー容器、10 容器本体、20 トリガー式液体噴出器、22 装着キャップ(装着部)、24 ノズル、26 操作レバー、28 ヘッドカバー、30 本体部、32 ネック部、34 縦筒部、36 横筒部、40 ポンプ、42 シリンダ、44 ピストン、45 シール部、46 ポンプ室、50,50´,50´´ ポンプ保護手段、52,52´ 凹部、P 被吊り下げ部位
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7