(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-07
(45)【発行日】2023-04-17
(54)【発明の名称】位置検出装置
(51)【国際特許分類】
G01D 5/244 20060101AFI20230410BHJP
【FI】
G01D5/244 G
G01D5/244 A
(21)【出願番号】P 2019048524
(22)【出願日】2019-03-15
【審査請求日】2022-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100110788
【氏名又は名称】椿 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100124589
【氏名又は名称】石川 竜郎
(74)【代理人】
【識別番号】100166811
【氏名又は名称】白鹿 剛
(72)【発明者】
【氏名】清間 利明
(72)【発明者】
【氏名】鴨木 豊
(72)【発明者】
【氏名】小杉 辰彦
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-185106(JP,A)
【文献】特開2006-214972(JP,A)
【文献】特開平02-099826(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/00- 5/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体と、
前記回転体の回転位置に応じて、第1の分解能を有する周期的な第1パルス信号を出力する回転検出部と、
前記回転体の回転位置が所定の基準位置であることを検出する基準位置検出部と、
前記第1パルス信号に対応する予め設定された補正情報を記憶する記憶部と、
前記回転検出部から出力された第1パルス信号と、前記基準位置検出部の検出結果と、前記記憶部に記憶されている補正情報とに基づいて、前記第1の分解能よりも低い第2の分解能を有する周期的な第2パルス信号を出力する出力部とを備え
、
前記出力部は、前記第1パルス信号に基づいて、前記補正情報によって特定されるタイミングにおいて前記第2パルスのエッジを発生させる、位置検出装置。
【請求項2】
前記補正情報は、回転可能な範囲の全域を前記回転体が回転する間に出力される前記第1パルス信号に含まれるそれぞれのパルスに対応して設定されている、請求項
1に記載の位置検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、位置検出装置に関し、特に、回転体の回転位置に対応して信号を出力する位置検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばモータのロータなどの回転体の回転位置(回転角度)に対応して信号を出力する位置検出装置が用いられている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、遊星歯車装置において、ロータリエンコーダ等によって検出した入力時の回転角度に対応する回転角度補正量に基づいて、サーボモータの回転指令を補正することにより、回転角度誤差を低減することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、簡素な構成を有しており、高精度な位置検出装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためこの発明のある局面に従うと、位置検出装置は、回転体と、回転体の回転位置に応じて、第1の分解能を有する周期的な第1パルス信号を出力する回転検出部と、回転体の回転位置が所定の基準位置であることを検出する基準位置検出部と、第1パルス信号に対応する予め設定された補正情報を記憶する記憶部と、回転検出部から出力された第1パルス信号と、基準位置検出部の検出結果と、記憶部に記憶されている補正情報とに基づいて、第1の分解能よりも低い第2の分解能を有する周期的な第2パルス信号を出力する出力部とを備える。
【0007】
好ましくは、出力部は、第1パルス信号のそれぞれのパルスのうち補正情報に基づいて特定されるパルスが出力されるタイミングに基づいて第2パルス信号のパルスを発生させる。
【0008】
好ましくは、補正情報は、回転可能な範囲の全域を回転体が回転する間に出力される第1パルス信号に含まれるそれぞれのパルスに対応して設定されている。
【発明の効果】
【0009】
これらの発明に従うと、簡素な構成を有しており、高精度な位置検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態の1つにおけるエンコーダを用いたモータ装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】エンコーダの概略構成を示すブロック図である。
【
図3】エンコーダの動作を説明するタイミングチャートである。
【
図4】本実施の形態の第1の変形例に係るエンコーダの動作を説明するタイミングチャートである。
【
図5】本実施の形態の第2の変形例に係るエンコーダの動作を説明するタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態におけるエンコーダ(位置検出装置の一例)について説明する。
【0012】
[実施の形態]
【0013】
図1は、本発明の実施の形態の1つにおけるエンコーダ1を用いたモータ装置91の構成を示すブロック図である。
【0014】
図1に示されるように、モータ装置91は、エンコーダ1と、制御装置50と、モータ80とを有している。モータ80は、制御装置50の制御に基づいて、ロータ(回転体の一例)81を回転させる。エンコーダ1は、モータ80のロータ81の回転位置(回転角度)に対応する出力信号(第2パルス信号の一例)S2を出力する。出力信号S2は、例えば、制御装置50に出力されるが、これに限られるものではない。
【0015】
制御装置50は、例えば、制御部51と、制御部51の制御に基づいてモータ80に駆動電圧を印加するインバータ回路52とを有している。制御部51は、インバータ回路52の制御を行うことでモータ80を駆動させる。制御部51は、例えば、エンコーダ1から出力された出力信号S2に応じてモータ80を駆動させることができるが、これに限られるものではない。
【0016】
なお、エンコーダ1は、このようなモータ装置91に限られず、例えばブラシ等を有するモータと共に用いたり、回転体を有するその他の種々の装置と共に用いたりすることができる。
【0017】
図2は、エンコーダ1の概略構成を示すブロック図である。
【0018】
図2に示されるように、エンコーダ1は、回転検出部11と、基準位置検出部12と、出力部15と、補正情報19を記憶している記憶部18とを有している。
【0019】
回転検出部11は、ロータ81の回転位置に応じて、回転検出信号(第1パルス信号の一例)S1を出力する。回転検出信号S1は、第1の分解能Riを有する、周期的なパルス信号である。すなわち、回転検出部11は、ロータ81が所定の角度だけ回転する間に第1の数のパルスが含まれる回転検出信号S1を出力する。回転検出信号S1は、出力部15に入力される。
【0020】
本実施の形態においては、回転検出部11は、比較的高い第1の分解能Riを有するパルス発生器である。回転検出部11は、例えば、光学式の検出方式によりロータ81の回転位置を検出するものであってもよいし、磁気式の方法などその他の方法でロータ81の回転位置を検出するものであってもよい。また、ロータ81の周方向の変位の検出結果を逓倍することにより比較的高い第1の分解能Riのパルス信号を発生させるように構成されていてもよい。
【0021】
基準位置検出部12は、ロータ81の回転位置が所定の基準位置であることを検出する。検出結果は、基準位置信号Spとして出力され、出力部15に入力される。本実施の形態において、ロータ81が一回転する間において、ロータ81が所定の回転位置にあるときに基準位置信号Spのパルスが発生する。基準位置信号Spは、例えばPG信号であるが、これに限られるものではない。例えば、モータ80に設けたホール素子等から出力されるものであってもよいし、種々の信号を基準位置信号Spとして用いることができる。
【0022】
記憶部18は、例えば、メモリである。記憶部18は、回転検出信号S1に対応する補正情報19を記憶する。補正情報19は、後述のようにして、個々のエンコーダ1について予め設定され、記憶部18に記憶されている。補正情報19には、回転可能な範囲の全域をロータ81が回転する間すなわちロータ81が一回転する間に出力される回転検出信号S1に含まれるそれぞれのパルスに対応する情報が含まれる。
【0023】
出力部15は、入力された信号等に基づいて、出力信号S2を出力する。出力信号S2は、第2の分解能Rtを有する、周期的なパルス信号である。すなわち、出力部15は、ロータ81が所定の角度だけ回転する間に第2の数のパルスが含まれる出力信号S2を出力する。
【0024】
第2の分解能Rtは、第1の分解能Riよりも低い。すなわち、ロータ81が所定の角度だけ回転する間に出力される出力信号S2に含まれるパルスの数(第2の数)は、その間に出力される回転検出信号S1に含まれるパルスの数(第1の数)よりも小さい。本実施の形態において、第1の分解能Riは分解能Rtの数倍又は数十倍であるが、これに限られるものではない。
【0025】
本実施の形態において、出力部15は、回転検出部11から出力された回転検出信号S1と、基準位置検出部12の検出結果である基準位置信号Spと、記憶部18に記憶されている補正情報19とに基づいて、出力信号S2を出力する。
【0026】
図3は、エンコーダ1の動作を説明するタイミングチャートである。
【0027】
図3においては、モータ80のロータ81が略定速で回転している場合においてエンコーダ1において扱われる信号の波形が大まかに示されている。すなわち、
図3において、左右方向は時間に対応しており、また、ロータ81の回転位置に対応しているともいえる。
図3の上側には、上段から、基準位置信号Sp、較正用信号S0、回転検出信号S1、出力信号S2のそれぞれの波形が示されている。
図3の下段には、較正用信号S0、回転検出信号S1、補正情報19、及び出力信号S2のそれぞれの波形等を部分的に拡大したものが示されている。
【0028】
図3の上側に示されているように、基準位置信号Spは、ロータ81が所定の回転位置に到来しているときにパルスが立ち上がるものである。ロータ81が一回転する度に、基準位置信号Spの1つのパルスが立ち上がる。回転検出信号S1及び出力信号S2は、それぞれロータ81の回転位置の変化に伴って周期的に出力されるパルスを含む。
【0029】
較正用信号S0は、第3の分解能Rxを有する。本実施の形態において、較正用信号S0の第3の分解能Rxは、出力信号S2の第2の分解能Rtと同じであるが、これに限られるものではない。第3の分解能Rxは、第2の分解能Rtと同じであるか、第2の分解能Rtよりも高いことが望ましい。
【0030】
本実施の形態において、出力部15は、基準位置信号Spでパルスが出力されたとき、そのときのロータ81の回転位置(以下、この回転位置のことを原点ということがある)を基準にして、その後ロータ81が一回転する間の出力信号S2のパルスを、回転検出信号S1と補正情報19とに基づいて出力する。出力部15は、回転検出信号S1のそれぞれのパルスのうち、補正情報19に基づいて特定されるパルスが出力されるタイミングに基づいて、出力信号S2のパルスを発生させる。すなわち、補正情報19は、予め、回転検出信号S1に、出力信号S2のパルスを出力するタイミングを特定する情報を対応付けたものであり、出力部15は、回転検出信号S1のパルスに基づいて、補正情報19により特定されるタイミングに出力信号S2のパルスを発生させる。
【0031】
より具体的には、出力部15は、回転検出信号S1のそれぞれのパルスのうち補正情報19に基づいて特定されるパルスが出力されている間、出力信号S2のパルスを発生させる。すなわち、
図3の下側に示されているように、補正情報19は、原点を基準にして、回転検出信号S1のそれぞれのパルスに「0」又は「1」の情報を対応付けたものである。出力部15は、原点を基準にして、回転検出信号S1のパルスと補正情報19との対応関係に基づいて、補正情報19として「1」が対応付けられている回転検出信号S1のパルスが出力されているときに、出力信号S2のパルスを出力させる。
【0032】
図3においては、時刻t1より前の回転検出信号S1のパルスについては補正情報19として「0」が対応付けられており、この「0」が対応付けられているパルスが出力されている間は出力信号S2はローレベルとなる。時刻t1から時刻t2までに出力される回転検出信号S1のパルスについては補正情報19として「1」が対応付けられており、時刻t1から時刻t2までの間は出力信号S2はハイレベルとなる。その後、時刻t2から時刻t3までの間及び時刻t4以降は、補正情報19として「0」が対応付けられている回転検出信号S1のパルスが出力されているので、出力信号S2はローレベルとなる。また、時刻t3から時刻t4までの間は補正情報19として「1」が対応付けられている回転検出信号S1のパルスが出力されているため、出力信号S2はハイレベルとなる。換言すると、出力部15は、時刻t1から時刻t2までの間と、時刻t3から時刻t4までの間に、出力信号S2のパルスを出力する。
【0033】
補正情報19は、エンコーダ1をモータ80に組み付けた後で、例えば以下のようにして生成される。補正情報19の生成には、ロータ81の回転位置に応じてその回転位置を高精度に検出可能な較正用信号S0を出力可能な装置が用いられる。
【0034】
まず、エンコーダ1をモータ80に組み付けた状態で、較正用信号S0を出力可能な装置をモータ80に一時的に取り付ける。この状態でロータ81を回転させ、基準位置信号Spと、回転検出信号S1と、較正用信号S0とを得る。
【0035】
次に、回転検出信号S1と較正用信号S0とを、基準位置信号Spのパルスを基準として同期させた状態で比較する。回転検出信号S1のパルスのうち、較正用信号S0のパルスに対応するパルスに補正情報として「1」を対応させ、そうでないパルスに補正情報として「0」を対応させる。具体的には、
図3の下側に示されるように、時刻t1bから時刻t2b、及び時刻t3bから時刻t4bに較正用信号S0のパルスが出力されている場合には、その間の回転検出信号S1のパルスに対応する補正情報として「1」が設定され、それ以外の回転検出信号S1のパルスに対応する補正情報として「0」が設定される。
【0036】
このようにして原点を基準としてロータ81が一回転する間の補正情報19を設定し、記憶部18に記憶させることで、上述のようなエンコーダ1の動作が実行可能となる。
【0037】
一般に、ロータ81の回転位置を正確に検出する必要がある場合には、高いコストが必要となる。例えば、角度の精度が0.01度以下であるというような高精度の角度情報を得るためには、一回転当たり36000パルス以上の分解能を有し、出力する信号自身も安定して高精度に出力することができる高価なエンコーダを用いる必要がある。また、エンコーダのモータへの取り付け精度も高くすることが必要になる。また、エンコーダの大きさも大型になる場合がある。
【0038】
本実施の形態においては、比較的高い分解能Riを有する回転検出信号S1を用いて、予め較正用信号S0に対応させて設定した補正情報19に基づいて、ロータ81の回転位置に応じた比較的低い分解能Rtを有する出力信号S2が出力される。したがって、回転検出信号S1自体の精度が比較的低くても、較正用信号S0に近似した高精度の出力信号S2を出力させることができる。例えば、
図3に示されるように、出力信号S2のパルスのエッジ(立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジ)が出力される時刻t1,t2,t3,t4と、高精度である較正用信号S0のパルスのエッジが出力される時刻t1b,t2b,t3b,t4bとの差は小さくなる。本実施の形態の構成においては、回転検出部11としては、最終的に出力する出力信号S2の分解能Rtよりも高い分解能Riを有する回転検出信号S1を得られるものを用いればよく、高精度のものを用いる必要はない。また、エンコーダ1のモータ80への取り付け精度が低くても、高精度の出力信号S2を出力させることができる。したがって、高精度で高価なエンコーダを用いることなく、低いコストで、必要な分解能Rtで高い精度を有する出力信号S2を出力可能なエンコーダ1を製造することができる。
【0039】
補正情報19は、ロータ81が一回転する間に出力される回転検出信号S1に含まれるそれぞれのパルスに対応して設定されている。そのため、原点を基準としてロータ81が一回転するまでのすべての区間において、ロータ81の回転位置に応じて高精度の出力信号S2を出力させることができる。
【0040】
なお、補正情報19は、上述のような態様のものに限られない。
【0041】
図4は、本実施の形態の第1の変形例に係るエンコーダ1の動作を説明するタイミングチャートである。
【0042】
図4においては、
図3の下側と同様に、較正用信号S0、回転検出信号S1、補正情報19、及び出力信号S2のそれぞれの波形等が示されている。
【0043】
第1の変形例において、補正情報19は、回転検出信号S1のそれぞれのパルスのうち、出力信号S2のパルスのエッジ(立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジ)に対応するパルスについて「1」を、それ以外のパルスについて「0」を、それぞれ対応付けたものである。
【0044】
出力部15は、回転検出信号S1のそれぞれのパルスのうち補正情報19に基づいて特定されるパルスが出力されるタイミングにおいて出力信号S2のパルスのエッジを発生させる。すなわち、出力信号S2がローレベルである場合において、対応付けられている補正情報19が「1」である回転検出信号S1のパルスが検出されたとき、出力信号S2のパルスの出力を開始し(立ち上がりエッジを出力し)、その後、ハイレベルの出力を維持する。また、出力信号S2がハイレベルである場合において、対応付けられている補正情報19が「1」である回転検出信号S1のパルスが検出されたとき、出力信号S2のパルスの出力を終了し(立ち下がりエッジを出力し)、その後、ローレベルの出力を維持する。換言すると、出力部15は、対応付けられている補正情報19が「1」である回転検出信号S1のパルスが検出される度に、出力信号S2のレベルを切り替える。
【0045】
このようにしても、エンコーダ1から高精度な出力信号S2を出力させることができ、上述の実施の形態と同様の利点が得られる。なお、補正情報19において、立ち上がりエッジに対応付けられる情報と立ち下がりエッジに対応付けられる情報とが区別されていてもよい。
【0046】
図5は、本実施の形態の第2の変形例に係るエンコーダ1の動作を説明するタイミングチャートである。
【0047】
図5においても、
図3の下側と同様に、較正用信号S0、回転検出信号S1、補正情報19、及び出力信号S2のそれぞれの波形等が示されている。
【0048】
第2の変形例において、補正情報19は、回転検出信号S1のそれぞれのパルスのうち、出力信号S2のパルスのエッジ(立ち上がりエッジ又は立ち下がりエッジ)に対応するパルスを、原点からのパルスのカウント数で特定する情報である。
【0049】
出力部15は、回転検出信号S1のそれぞれのパルスのうち補正情報19に基づいて特定されるパルスが出力されるタイミングにおいて出力信号S2のパルスのエッジを発生させる。すなわち、出力信号S2のパルスのエッジを発生させるタイミングは、例えば、原点からの回転検出信号S1のパルスをカウントした数が補正情報19において指定されている数と一致したタイミングであるということができる。
【0050】
出力部15は、回転検出信号S1のそれぞれのパルスのうち出力信号S2がローレベルである場合において、補正情報19で特定された回転検出信号S1のパルスが検出されたとき、出力信号S2のパルスの出力を開始し(立ち上がりエッジを出力し)、その後、ハイレベルの出力を維持する。また、出力信号S2がハイレベルである場合において、補正情報19で特定された回転検出信号S1のパルスが検出されたとき、出力信号S2のパルスの出力を終了し(立ち下がりエッジを出力し)、その後、ローレベルの出力を維持する。換言すると、出力部15は、原点からの回転検出信号S1のパルスのカウント数が補正情報19で指定されている数になる度に、出力信号S2のレベルを切り替える。
【0051】
このようにしても、エンコーダ1から高精度な出力信号S2を出力させることができ、上述の実施の形態と同様の利点が得られる。なお、補正情報19において、立ち上がりエッジを特定する情報と立ち下がりエッジを特定する情報とが区別されていてもよい。
【0052】
[その他]
【0053】
上述の実施の形態の構成そのものに限られず、上述の実施の形態の一部の構成要素を、適宜、変更したり、置換したりしてもよい。また、上述の実施の形態のうち、一部の構成要素や機能が省略されていてもよい。
【0054】
エンコーダは、アブソリュート型のものに限られず、インクリメンタル型のものであってもよい。インクリメンタル型のエンコーダにおいても、回転体が一回転する間に所定の回転位置で発生する基準位置信号を基準として、上述と同様に、高精度の出力信号を得ることができる。
【0055】
第1パルス信号を間引いたパルスに対して、第1パルス信号及び補正情報に基づいて補正を行ってもよい。補正情報は間引きされたもので、間引き補正の間は一定カウント毎に第2パルス信号を出力するような構成でも構わない。間引いたパルスに対して補正を行うことで、第2パルス信号を出力する出力部の処理速度(処理能力)を抑えることができる。すなわち、安価に構成することが可能となる。
【0056】
エンコーダは、モータに限られず、回転体を有する種々の装置に用いることができる。
【0057】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0058】
1 エンコーダ(位置検出装置の一例)
11 回転検出部
12 基準位置検出部
15 出力部
18 記憶部
19 補正情報
80 モータ
81 ロータ(回転体の一例)
91 モータ装置
S1 回転検出信号(第1パルス信号の一例)
S2 出力信号(第2パルス信号の一例)
Sp 基準位置信号