(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-07
(45)【発行日】2023-04-17
(54)【発明の名称】電力盤
(51)【国際特許分類】
H04B 10/116 20130101AFI20230410BHJP
H02B 3/00 20060101ALI20230410BHJP
H04B 3/54 20060101ALI20230410BHJP
H02B 1/40 20060101ALI20230410BHJP
【FI】
H04B10/116
H02B3/00 M
H04B3/54
H02B1/40 A
(21)【出願番号】P 2019048726
(22)【出願日】2019-03-15
【審査請求日】2022-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 俊亮
(72)【発明者】
【氏名】東浦 航
(72)【発明者】
【氏名】川名 重則
(72)【発明者】
【氏名】中山 崇嗣
【審査官】佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-013450(JP,A)
【文献】特開2002-315233(JP,A)
【文献】特開2009-026758(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/116
H02B 3/00
H04B 3/54
H02B 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信によって通信可能な他の電力盤によって生成され、自装置に設けられた電気機器を制御する第1制御信号を無線通信によって受信する無線通信部と、
前記第1制御信号に基づいて前記電気機器を制御する制御機器と、を備え、
前記制御機器は、前記他の電力盤に設けられた電気機器を制御する第2制御信号を生成し、
前記無線通信部は、前記他の電力盤に無線通信によって前記第2制御信号を送信
し、
前記無線通信部は、可視光を放出することで前記第2制御信号を送信し、前記他の電力盤に接続された可視光通信機から放出された可視光を受信することで前記第1制御信号を受信する、電力盤。
【請求項2】
無線通信部は、前記他の電力盤と通信可能に接続された照明から放出された可視光を受信することによって前記第1制御信号を受信する、
請求項
1に記載の電力盤。
【請求項3】
前記制御機器は、前記第1制御信号のうち前記自装置に設けられた遮断器を停止するトリップ信号を前記他の電力盤から有線通信で受信し、前記トリップ信号に応じて前記遮断器を停止する、
請求項1
又は2に記載の電力盤。
【請求項4】
前記無線通信部によって放出された可視光を反射する反射板をさらに備える、
請求項1から
3のいずれか一項に記載の電力盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電力盤に関する。
【背景技術】
【0002】
スイッチギヤ等の電力盤の多くは、他の電力盤との制御信号の送受信を有線通信によって行っている。古い電力盤を新しい電力盤に交換する際、設計者は現地調査を行うことで、電線の長さや電線の本数等の有線通信に必要な情報を収集する。次に、作業員は、電力盤の交換作業の際に、収集した情報に基づいて現地で電線の配線作業を行う。このため、有線通信が行われる通信範囲の広さによっては、現地調査の調査時間や、電力盤の交換作業には長い時間を要する場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、より短い時間で交換及び調査をすることができる電力盤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の電力盤は、無線通信部と、制御機器とを持つ。無線通信部は、無線通信によって通信可能な他の電力盤によって生成され、自装置に設けられた電気機器を制御する第1制御信号を無線通信によって受信する。制御機器は、前記第1制御信号に基づいて前記電気機器を制御する。前記制御機器は、前記他の電力盤に設けられた電気機器を制御する第2制御信号を生成する。前記無線通信部は、前記他の電力盤に無線通信によって前記第2制御信号を送信する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1の実施形態の可視光通信を用いた電気設備1の一具体例を示す図。
【
図2】実施形態の可視光電力盤200が可視光を送信する場合の処理の流れを示すシーケンスチャート。
【
図3】実施形態の可視光電力盤200が可視光を受信する場合の処理の流れを示すシーケンスチャート。
【
図4】第2の実施形態の可視光通信を用いた電気設備1aの一具体例を示す図。
【
図5】第3の実施形態の可視光通信を用いた電気設備1bの一具体例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の電力盤を、図面を参照して説明する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の可視光通信を用いた電気設備1の一具体例を示す図である。第1の実施形態における電気設備1は、可視光通信が可能な可視光電力盤200を1台備える。第1の実施形態における電気設備1は、可視光通信ができない電力盤100を2台備える。以下、いずれの電力盤であるかを区別しないときは、単に電力盤と称して説明する。各電力盤は、電線300及び電線301によって通信可能に接続される。電線300及び電線301は、アナログ信号を送受信する。アナログ信号は各電力盤に対する制御信号である。各電力盤は、制御信号を電線300又は電線301を介して取り合う。電力盤は、例えば、スイッチギヤ、分電盤、制御盤、監視盤又は端子盤等である。電力盤の内部には、遮断器、断路器、変流器又は変圧器等の主回路用品及び、リレー、端子台、ノーヒューズ等の制御用品(いずれも不図示)が収納される。制御用品は、短絡又は地絡等の電力盤の異常を検知する。制御用品は異常を検知すると異常を表す信号(例えば、トリップ信号)を主回路用品に出力する。主回路用品は、制御用品からの信号を受信することで、遮断を行う。
【0009】
電力盤100は、端子台101、制御装置102、変換器103及びリレー104を備える。電力盤100は、制御装置102又はリレー104によって出力された制御信号を、電線300又は電線301を介して、他の電力盤に送信する。電力盤100は、他の電力盤から送信された制御信号を電線300又は電線301を介して受信する。電力盤100は、受信した制御信号に応じて自装置の動作を制御する。制御信号は、状態、故障又は表示等の電力盤に関する制御情報を含む。
【0010】
端子台101は、制御信号を送受信するためのケーブルを接続するための端子が複数配置された台である。端子台101は、電線300又は電線301に接続するための第1端子111と、電力盤100内に設けられた制御機器(例えば、制御装置102又はリレー104)を接続するための第2端子112とを備える。端子台101は、第1端子111及び第2端子112を同じ数だけ備える。端子台101において、対向して設けられた第1端子111及び第2端子112は端子対として構成される。端子対として構成された第1端子111及び第2端子112は電気的に接続される。したがって、制御機器から第2端子112に入力された制御信号は、第1端子111を介して電線300又は電線301に出力される。また、電線300又は電線301から第1端子111に入力された制御信号は、第2端子112を介して電力盤100内に設けられた制御機器に出力される。
【0011】
制御装置102は、例えば、PLC(Programmable Logic Controller)等の制御装置である。制御装置102は、遮断器、断路器、変流器又は変圧器等の電気機器と接続される。制御装置102は、所定のタイミングで制御情報を生成する。制御情報は、制御装置102が設けられた電力盤100を制御する情報であってもよいし、電力盤の表示、状態又は故障を示す情報でもよいし、他の電力盤に対する制御を行う情報であってもよい。制御装置102は、例えば、制御装置102が設けられた電力盤100を制御する情報として、遮断器を停止する情報が生成された場合には、電力盤100に設けられた遮断器を停止する制御を行う。制御装置102は、生成された制御情報を制御信号に含めて他の電力盤に送信する。制御信号は、例えばデジタル信号である。また、制御装置102は、他の電力盤から送信された制御信号を受信すると、制御信号に含まれる制御情報に応じた動作を行う。例えば、制御情報として遮断器に対する停止制御を受け付けた場合、制御装置102は、遮断器を停止する制御を行う。所定のタイミングとは、例えば、予め定められた定期的なタイミングでもよいし、制御対象の機器に異常が生じたタイミングでも良い。所定のタイミングは、どのようなタイミングであってもよい。
【0012】
変換器103は、アナログ信号とデジタル信号とを相互に変換して出力する。例えば、変換器103は、制御装置102から入力されたデジタルの制御信号をアナログの制御信号に変換する。変換器103は、変換されたアナログ信号を端子台101の第2端子112に出力する。また、変換器103は、電線300又は電線301から入力されたアナログの制御信号をデジタルの制御信号に変換する。変換器103は、変換されたデジタル信号を制御装置102に出力する。電線300又は電線301から第1端子111を介して入力されるアナログ信号は、他の電力盤によって送信された制御信号である。
【0013】
リレー104は、遮断器、断路器、変流器又は変圧器等の電気機器と接続される。リレー104は、リレー104が設けられた電力盤100から送信された制御信号に応じて、接続された電気機器を制御する。また、リレー104は他の電力盤から送信された制御信号に応じて、接続された電気機器を制御してもよい。リレー104は、接点の開閉によって電流の流れを調整して電気機器を制御する。リレー104は、所定のタイミングで制御信号を端子台101の第1端子111に出力する。リレー104によって生成される制御信号は制御情報を含む。制御信号は例えばアナログ信号である。また、リレー104は、他の電力盤から送信された制御信号を受信すると、制御信号に含まれる制御情報に応じた動作を行う。例えば、制御情報として遮断器に対する停止制御を受け付けた場合、リレー104は、遮断器を停止する制御を行う。所定のタイミングとは、例えば、定期的なタイミングでもよいし、制御対象の機器に異常が生じたタイミングでも良い。所定のタイミングは、どのようなタイミングであってもよい。
【0014】
可視光電力盤200は、端子台201、制御装置202、リレー203、電源部204、変換器205及び可視光通信機220を備える。可視光電力盤200は制御装置202又はリレー203によって出力された制御信号を可視光通信機220を介して他の電力盤に送信する。可視光電力盤200は、他の電力盤から送信された制御信号を可視光通信機220を介して受信する。可視光電力盤200は、受信した制御信号に応じて自装置の動作を制御する。可視光電力盤200は、電力盤の一態様である。
【0015】
端子台201は、制御信号を送受信するためのケーブルを接続するための端子が複数配置された台である。端子台201は、可視光電力盤200内に設けられた制御機器(例えば、制御装置202又はリレー203)を接続するための第2端子212と、電線300又は電線301に接続するための第1端子211とを備える。端子台201は、第1端子211及び第2端子212を同じ数だけ備える。端子台201において、対向して設けられた第1端子211及び第2端子212は端子対として構成される。端子対として構成された第1端子211及び第2端子212は電気的に接続される。したがって、制御機器から第2端子212に入力された制御信号は、第1端子211を経由して可視光通信機220に出力される。
【0016】
制御装置202は、例えば、PLC等の制御用コントローラである。制御装置202は、遮断器、断路器、変流器又は変圧器等の電気機器と接続される。制御装置202は、所定のタイミングで制御情報を生成する。制御装置202は、生成された制御情報を制御信号に含めて他の電力盤に送信する。制御信号は、例えばデジタル信号である。また、制御装置202は、他の電力盤から送信された制御信号を受信すると、制御信号に含まれる制御情報に応じた動作を行う。例えば、制御情報として遮断器に対する停止制御を受け付けた場合、制御装置202は、遮断器を停止する制御を行う。所定のタイミングとは、例えば、予め定められた定期的なタイミングでもよいし、制御対象の機器に異常が生じたタイミングでも良い。所定のタイミングは、どのようなタイミングでもよい。
【0017】
リレー203は、遮断器、断路器、変流器又は変圧器等の電気機器と接続される。リレー203は他の電力盤から送信された制御信号に応じて、接続された電気機器を制御する。リレー203は、接点の開閉によって電流の流れを調整して電気機器を制御する。リレー203は、所定のタイミングで制御信号を端子台201の第1端子211に出力する。リレー203によって生成される制御信号は制御情報を含む。制御信号は例えばアナログ信号である。また、リレー203は、他の電力盤から送信された制御信号を受信すると、制御信号に含まれる制御情報に応じた動作を行う。例えば、制御情報として遮断器に対する停止制御を受け付けた場合、リレー203は、遮断器を停止する制御を行う。所定のタイミングとは、例えば、定期的なタイミングでもよいし、制御対象の機器に異常が生じたタイミングでも良い。所定のタイミングは、どのようなタイミングであってもよい。
【0018】
電源部204は、可視光通信機220における電力を供給する電源装置である。なお、可視光電力盤200に可視光通信機220以外の構成については、他の電源部(不図示)から電力が供給されるものとするが、電源部204から電力が供給されてもよい。
【0019】
変換器205は、アナログ信号とデジタル信号とを相互に変換して出力する。例えば、変換器205は、リレー203から端子台201を介して入力されたアナログの制御信号をデジタルの制御信号に変換する。変換器205は、変換されたデジタルの制御信号を可視光通信機220に出力する。
【0020】
可視光通信機220は、可視光電力盤200によって出力された制御信号を可視光通信によって他の電力盤に送信する装置である。可視光通信機220は、可視光電力盤200の天井部に設置される。可視光通信機220は、可視光電力盤200の上部に設置されている可視光通信機310と対向して設置される。可視光通信とは、目に見える光(可視光)を使用して通信を行う通信方式である。可視光通信では、例えばLED(Light Emitting Diode)が光源として用いられる。可視光通信機220は、LEDを人の目では感じられないほどの速度で点滅させることで、情報(例えば、制御信号に含まれる制御情報)を伝達する。赤外線通信又はBluetooth(登録商標)等の無線通信方式は、ノイズの影響を受けやすい。電力盤では、多くの制御機器が用いられるため、様々なノイズが発生する。このため、赤外線通信又はBluetooth(登録商標)等の無線通信方式を用いて制御信号を送受信する場合、ノイズによる誤作動が発生する恐れがある。しかし、可視光通信は、光を使用した無線通信である。したがって、可視光通信では、ノイズによる誤作動が発生する恐れは殆どない。また、可視光通信は通信範囲を視認できる。可視光通信は通信範囲を容易に指定できる。可視光通信は、外部からの影響を受ける恐れも少なく、セキュリティ面でも電波を用いた無線通信方式よりも優れている。以上のことから可視光通信はスイッチギヤ等の電力盤に適した通信方式である。可視光通信機220は、可視光受信部221と可視光送信部222とを備える。なお、本実施形態では、可視光通信機220は2台設けられるが、2台に限定されない。例えば、可視光通信機220は、3台以上設けられてもよいし、1台だけ設けられてもよい。可視光通信機220の台数は、通信可能に接続された電力盤100の数に応じて決められてもよい。可視光通信機220は、無線通信部の一態様である。
【0021】
可視光受信部221は、可視光通信機310が備える可視光送信部312から放出された可視光を受信する。可視光には制御情報を含む制御信号が含まれる。可視光受信部221は、受信した可視光の周波数、点滅速度又は色等の可視光の特徴に応じて、可視光に含まれる制御信号を出力する配線を決定する。例えば、可視光受信部221は、受信した可視光の周波数、点滅速度又は色に基づいて、制御装置202宛の制御信号であると判定したならば、制御装置202に接続された配線に制御信号を出力する。可視光受信部221から制御装置202に出力される信号はデジタル信号である。なお、可視光の特徴と、配線との対応関係は予め可視光通信機220に記憶される。
【0022】
可視光送信部222は、制御装置202又はリレー203から送信された制御信号を受信すると、可視光通信機310が備える可視光受信部311に向けて可視光を放出する。可視光には制御情報が含まれる。可視光送信部222は、制御信号の送信先となる電力盤及び電力盤内に設けられた制御機器に応じて、可視光の周波数、点滅速度又は色等を変えて可視光を放出する。例えば、制御装置202が、電力盤100の制御装置102に対する制御信号を可視光通信機220に入力した場合、可視光送信部222は、電力盤100の制御装置102に対応した可視光の周波数、点滅速度又は色で可視光を放出する。
【0023】
可視光通信機310は、電力盤100によって出力された制御信号を可視光通信によって可視光電力盤200に送信する装置である。可視光通信機310は、可視光電力盤200の上部に設置される。可視光通信機310は、可視光電力盤200の天井部に設置されている可視光通信機220と対向するように設置される。可視光通信機310は、可視光受信部311と可視光送信部312とを備える。なお、本実施形態では、可視光通信機310は可視光電力盤200に設けられる可視光通信機220の台数に応じて設けられる。可視光通信機310は、対向する可視光通信機220と一対一に対応する。
【0024】
可視光受信部311は、可視光通信機220が備える可視光送信部222から放出された可視光を受信する。可視光受信部311は、受信した可視光に基づいてアナログの制御信号を生成する。可視光には制御情報が含まれる。可視光受信部311は、生成されたアナログ信号を電線300及び電線301に出力する。アナログ信号は、可視光電力盤200から受信した制御情報を含む。
【0025】
可視光送信部312は、電力盤100から送信された制御信号を受信すると、可視光通信機220が備える可視光受信部221に向けて可視光を放出する。放出される可視光は制御情報を含む制御信号である。可視光送信部312は、送信先となる電力盤及び電力盤内に設けられた制御機器に応じて、可視光の周波数、点滅速度又は色等を変えて可視光を放出する。例えば、制御装置102が、可視光電力盤200の制御装置202に対する制御信号を電線300又は電線301を介して可視光通信機310に入力した場合、可視光送信部312は、可視光電力盤200の制御装置202に対応した可視光の周波数、点滅速度又は色で可視光を放出する。可視光と制御機器との対応関係は予め記憶される。
【0026】
図2は、実施形態の可視光電力盤200が可視光を送信する場合の処理の流れを示すシーケンスチャートである。本処理は、可視光電力盤200の制御装置202が他の電力盤に対して制御信号を送信する際に実行される。なお、
図2では、制御装置202が制御信号を送信する場合について説明をするが、リレー203が制御信号を送信する場合であっても同様である。
【0027】
可視光電力盤200の制御装置202は制御情報を生成する(ステップS101)。制御装置202は、生成された制御情報を制御信号に含めて、可視光通信機220に制御信号を入力する(ステップS102)。具体的には、制御装置202は、端子台201が備える第2端子212のうち、制御装置202に接続された第2端子212に制御信号を入力する。端子台201は第2端子212の端子対として構成された第1端子211から制御信号を出力することで、可視光通信機220に制御信号を入力する。
【0028】
可視光電力盤200の可視光通信機220は、制御信号が入力されると可視光通信を開始する(ステップS103)。具体的には、可視光通信機220が備える可視光送信部222は、制御装置202から送信された制御信号を受信すると、可視光通信機310が備える可視光受信部311に向けて可視光を放出する。可視光には制御情報が含まれる。可視光に含まれる制御情報は、可視光通信機310に送信される(ステップS104)。可視光通信機220は制御信号を送信すると、可視光通信を終了する(ステップS105)。
【0029】
可視光受信部311は、可視光送信部222から受信した可視光に基づいてアナログの制御信号を生成する(ステップS106)。アナログの制御信号は、可視光電力盤200から受信した制御情報を含む。可視光受信部311は、生成されたアナログの制御信号を電線300及び電線301に出力することで、制御情報を電力盤100に送信する(ステップS107)。
【0030】
電力盤100の端子台101が備える第1端子111は、電線300及び電線301からアナログの制御信号を受信する。端子台101は、第1端子111の端子対として構成された第2端子112からアナログの制御信号を出力する。変換器103は、入力されたアナログの制御信号をデジタルの制御信号に変換する(ステップS108)。変換器103は、制御装置102にデジタルの制御信号を出力する。制御装置102は、デジタルの制御信号に含まれる制御情報を受信する(ステップS109)。
【0031】
図3は、実施形態の可視光電力盤200が可視光を受信する場合の処理の流れを示すシーケンスチャートである。本処理は、電力盤100の制御装置102が可視光電力盤200に対して制御信号を送信する際に実行される。なお、
図3では、制御装置102が制御信号を送信する場合について説明をするが、リレー104が制御信号を送信する場合であっても同様である。
【0032】
電力盤100の制御装置102は制御情報を生成する(ステップS201)。制御装置102は、生成された制御情報を含む制御信号を生成し、変換器103に入力する(ステップS202)。制御装置102によって生成される制御信号はデジタル信号である。変換器103は、入力された制御信号をアナログの制御信号に変換する(ステップS203)。変換器103はアナログ信号を端子台101の第2端子112に入力する。第2端子112の端子対として構成される第1端子111は、制御情報を含むアナログの制御信号を可視光通信機310に送信する(ステップS204)。
【0033】
可視光通信機310の可視光送信部312は、電力盤100から送信されたアナログの制御信号をデジタルの制御信号に変換する(ステップS205)。可視光通信機310は、制御信号が入力されると可視光通信を開始する(ステップS206)。可視光送信部312は、変換されたデジタルの制御信号を可視光として放出することで、制御情報を可視光電力盤200に送信する(ステップS207)。可視光通信機310は、制御信号を送信すると、可視光通信を終了する(ステップS208)。可視光電力盤200の制御装置202は、可視光を受光した可視光受信部221からデジタルの制御信号に含まれる制御情報を受信する(ステップS209)。
【0034】
このように構成された電力盤では、他の電力盤によって送信され、自装置に設けられた電気機器を制御する制御信号を可視光通信によって受信し、リレー又は制御装置等の制御機器が受信した制御信号に基づいて遮断器等の電気機器を制御する。また、制御機器は、他の電力盤に設けられた電気機器を制御する制御信号を生成し、生成された制御信号を他の電力盤に可視光通信によって送信する。また、制御機器は、制御機器が設けられた電力盤が備える電気機器を制御する制御信号を生成する。制御機器は、生成された制御信号に基づいて、電気機器を制御する。このように構成された電力盤が、制御信号を可視光通信を用いて送受信することで、有線通信の範囲を減らすことができる。これによって、作業員は現地調査に伴う、有線配線の調査の作業工数や、配線に伴う作業工数を削減することができ、より短い時間で現地調査と電力盤を交換とをすることが可能になる。
【0035】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態における電気設備1aについて説明する。
図4は、第2の実施形態の可視光通信を用いた電気設備1aの一具体例を示す図である。第2の実施形態における電気設備1aでは、可視光電力盤200がトリップ信号を電線302を用いて受信する点で第1の実施形態とは異なるが、それ以外の構成は同じである。以下、第1の実施形態と異なる点について説明する。
【0036】
可視光電力盤200は、トリップ信号を電線302を介して受信する点で第1の実施形態と異なるが、それ以外の構成は同じである。可視光電力盤200は、トリップ信号を電線302を介して受信する。トリップ信号は、トリップ信号を受信した遮断器等の電気機器をトリップさせる信号である。電線302は、端子台201の第1端子211に直接配線される。電線302が配線された第1端子211の端子対となる第2端子212は、遮断器等の電気機器に接続(不図示)される。なお、可視光電力盤200は、トリップ信号以外の制御信号については、第1の実施形態と同様に可視光通信にて送受信を行う。
【0037】
このように構成された電力盤は、トリップ信号を有線通信を用いて受信する。トリップ信号を有線通信を用いて受信する場合、短絡又は地絡等の事故が発生した場合に、他の電力盤は即座にトリップ信号を電力盤が備える遮断器等の電気機器に送ることが可能になる。これにより、電力盤は事故に伴う被害を最小限にとどめることができ、信頼性と安全性を確保することが可能になる。
【0038】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態における電気設備1bについて説明する。
図5は、第3の実施形態の可視光通信を用いた電気設備1bの一具体例を示す図である。第3の実施形態における電気設備1bでは、電線300の代わりに電線300a、電線301の代わりに電線301a、可視光通信機310の代わりにLED照明400を備え、可視光受信機401をさらに備える点で第1の実施形態とは異なるが、それ以外の構成は同じである。以下、第1の実施形態と異なる点について説明する。
【0039】
電線300a及び電線301aは、電力盤100と可視光電力盤200とを可視光通信で通信可能に接続するための電線である。電線300a及び電線301aは、アナログの制御信号を送受信する。各電力盤は、制御信号を電線300a又は電線301aを介して取り合う。
【0040】
LED照明400は、建屋500内の照明に用いられる。LED照明400は照明の光を用いて、可視光通信を行う。LED照明400は建屋500内の天井に設置される。LED照明400は、電線300a及び電線301aを引き込むことで電力盤100から送信された制御信号を可視光通信によって可視光電力盤200に送信する。
【0041】
可視光受信機401は、可視光電力盤200から送信された可視光を受信する。可視光受信機401はLED照明400の近傍に設置される。可視光受信機401は、可視光電力盤200に設置されている可視光通信機220の可視光送信部222から放出された可視光を受信する。可視光受信機401は、受信した可視光に基づいてデジタル信号をアナログ信号に変換する。可視光受信機401は、引き込まれた電線300a及び電線301aを介して、変換されたアナログ信号を電力盤100に出力する。可視光受信機401とLED照明400とは一対一に対応する。
【0042】
第3の実施形態では、LED照明400は2台設置されているが、2台に限定するものではない。例えば、LED照明400は建屋500内に1台設置されていてもよいし、3台以上設置されていてもよい。LED照明400の台数は、通信可能に接続された電力盤100の数に応じて決められてもよい。なお、建屋500内に複数のLED照明400が設けられている場合、LED照明400は、可視光の特性を分けることにより、他の可視光通信機220に影響が出ないようにする。具体的には、LED照明400は、可視光の周波数、点滅速度又は可視光の色を電力盤や可視光通信機220に応じて使い分けることにより、他の可視光通信機220に影響が出ないようにすることができる。LED照明400が放出する可視光の特性は、送信先となる可視光通信機220に応じて予め指定されていてもよい。
【0043】
このように構成された電力盤は、建屋500内に設けられたLED照明400から制御信号を受信することが可能になる。これによって、建屋500内に別途可視光通信機を設けることなく、制御信号を受信することが可能になる。
【0044】
上述の実施形態では、可視光通信機220と可視光通信機310とが対向して設置されている場合について説明したが、これに限定されない。例えば、可視光通信機220と可視光通信機310との間に障害物の可視光を遮断する物体が設けられている場合について説明する。この場合、可視光の経路に反射板を設けておくことで、反射板が可視光を屈折させる。反射板は、可視光を反射する部材である。反射板が可視光を反射することで、可視光は障害物を回避することが可能になる。したがって、可視光通信機220と可視光通信機310とが対向して設置されていない場合でも、反射板を用いることで、可視光通信を行うことが可能になる。
【0045】
上述の実施形態では、可視光電力盤200は、可視光通信を用いて他の電力盤と無線通信を行ったが、可視光通信に限定されない。例えば、可視光電力盤200は、可視光通信の代わりに、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)又は無線LAN(Local Area Network)等の無線通信を用いて他の電力盤と無線通信を行ってもよいが、可視光通信で通信を行う事が望ましい。
【0046】
上記各実施形態では、制御装置102はソフトウェア機能部であるものとしたが、LSI等のハードウェア機能部であってもよい。
【0047】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、可視光通信機220を持つことにより、有線通信に伴う現地調査及び配線作業に伴う工数を削減することが可能になるため、より短い時間で電力盤の調査及び交換をすることができる。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0049】
1…電気設備、100…電力盤、101…端子台、102…制御装置、103…変換器、104…リレー、111…第1端子、112…第2端子、200…可視光電力盤、201…端子台、202…制御装置、203…リレー、204‥‥電源部、205…変換器、211…第1端子、212…第2端子、220…可視光通信機、221…可視光受信部、222…可視光送信部、300…電線、301…電線、302…電線、310…可視光通信機、311…可視光受信部、312…可視光送信部、400…LED照明、401…可視光受信機、500…建屋