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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-07
(45)【発行日】2023-04-17
(54)【発明の名称】チラーユニット
(51)【国際特許分類】
   F25B 49/02 20060101AFI20230410BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20230410BHJP
   F25B 13/00 20060101ALI20230410BHJP
【FI】
F25B49/02 570Z
F25B1/00 399Y
F25B13/00 U
F25B1/00 397C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019054853
(22)【出願日】2019-03-22
(65)【公開番号】P2020153632
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-12-10
(73)【特許権者】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】寺岡 正広
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/111175(WO,A1)
【文献】特開2011-033290(JP,A)
【文献】特開2014-130003(JP,A)
【文献】国際公開第2019/049255(WO,A1)
【文献】特開2018-159507(JP,A)
【文献】特開昭60-026259(JP,A)
【文献】特開平08-086477(JP,A)
【文献】特開2014-190645(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
F25B 13/00
F25B 49/00 - 49/02
F24F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水熱交換器を有し、冷媒が循環する冷凍サイクル系統と、
前記水熱交換器に接続され、水が流通する水配管と、
前記水配管に設置され、第1接続口、第2接続口、第3接続口及び第4接続口を有する四方弁と、
前記冷凍サイクル系統において、前記水熱交換器の接続口よりも上流側又は下流側に設置され、前記冷凍サイクル系統を流れる前記冷媒の温度を検出する温度検出部と、
前記冷凍サイクル系統に設置され、前記冷凍サイクル系統を流れる前記冷媒の圧力を検出する圧力検出部と、
制御部と、
を備え、
前記第1接続口において前記水配管を流れる前記水が前記四方弁に常に流入し、前記第4接続口において前記水熱交換器を流通した前記水が前記四方弁から常に流出し、
前記第2接続口と前記水熱交換器の一端側の接続口とが前記水配管によって接続され、前記第3接続口と前記水熱交換器の他端側の接続口とが前記水配管によって接続され、
前記四方弁は、前記第1接続口と前記第2接続口が流通可能となり、かつ、前記第3接続口と前記第4接続口が流通可能となる第1モード、又は、前記第1接続口と前記第3接続口が流通可能となり、かつ、前記第2接続口と前記第4接続口が流通可能となる第2モードに切り換え可能であり、
前記制御部は、前記温度検出部によって検出された温度に基づいて前記四方弁を切り換え、前記圧力検出部によって検出された圧力に基づいて前記四方弁の切り換えの成否を判断する構成を有するチラーユニット。
【請求項2】
前記四方弁は、ユニット本体の内部に設置されている請求項1に記載のチラーユニット。
【請求項3】
前記四方弁は、ユニット本体の外部に設置され、前記ユニット本体の内部に設置された前記水配管と接続されている請求項1に記載のチラーユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チラーユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
チラーユニットは、1又は複数の冷凍サイクルを備え、冷凍サイクルに接続された水熱交換器において冷媒と水とを熱交換させることによって冷水又は温水を生成する。生成された冷水又は温水は、外部へ導かれて、室内の冷暖房や給湯に用いられる。
【0003】
チラーユニットの熱交換器では、冷凍サイクルを循環する冷媒と、水配管を流れる水とが熱交換可能に構成されている。熱交換器では、冷媒の流れ方向と水の流れ方向が同じである並行流よりも、冷媒の流れ方向と水の流れ方向が向かい合う対向流の方が効率良く熱交換を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-130003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
チラーユニットにおける冷凍サイクルは、冷房運転時と暖房運転時とでは冷媒の流れ方向が逆となるため、運転の切り換えに応じて、熱交換器における冷媒の流れ方向と水の流れ方向が、並行流となったり、対向流となったりする。
【0006】
チラーユニットでは、一般的にプレート式熱交換器が用いられている。熱交換器の入口及び出口の決定方法として、冷凍サイクルを流れる冷媒のうち液化した冷媒が熱交換器の下側の接続口において流出入し、ガス化した冷媒が熱交換器の上側の接続口から流出入するように決定される。すなわち、冷房運転では、熱交換器が蒸発器として機能するため、液冷媒が下側から流入し、ガス冷媒が上側から流出するように決定されている。また、暖房運転では、熱交換器が凝縮器として機能するため、ガス冷媒が上側から流入し、液冷媒が下側から流出するように決定されている。
【0007】
そのため、冷凍サイクルの運転の切り換えに応じて、熱交換器における液冷媒及びガス冷媒の接続口を変更することができない。すなわち、水配管の流れは一定のまま、冷凍サイクルの運転の切り換えに応じて、液冷媒及びガス冷媒の接続口を変更することによって、熱交換器における冷媒の流れ方向と水配管の流れ方向とが常に対向流となるようにすることはできない。
【0008】
したがって、上記特許文献1では、冷凍サイクルの液冷媒及びガス冷媒の接続口を一定のままとし、冷凍サイクルの運転の切り換えに応じて、熱交換器における冷媒の流れ方向と水配管の流れ方向が常に対向流となるように、水配管の流れ方向が変更される。特許文献1では、熱交換器における水配管の流れ方向を変更するため、水配管において三方弁と三方弁から分岐した分岐配管とが設置され、三方弁を切り替えることが開示されている。
【0009】
しかし、水配管において三方弁と分岐配管とが設置される構成では、水がある一方向に流れるとき、三方弁から分岐した分岐配管と主配管に水が流れるのに対し、水がある一方向に対して反対方向に流れるとき、主配管のみに水が流れ、分岐配管には水が流れない。そのため、冷房運転又は暖房運転のいずれかの運転時において、水配管では、分岐配管に常に水が流れないという状態が生じうる。その結果、配管内において錆が生じたり、運転切り換え時に分岐配管内の水を排水するといったメンテナンス作業が必要になったりする。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、水熱交換器に接続された水配管における水の流れ方向を変更する場合において、迅速に切り換え可能とし、また、不具合を生じにくくすることが可能なチラーユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明のチラーユニットは以下の手段を採用する。
すなわち、本発明に係るチラーユニットは、水熱交換器を有し、冷媒が循環する冷凍サイクル系統と、前記水熱交換器に接続され、水が流通する水配管と、前記水配管に設置され、第1接続口、第2接続口、第3接続口及び第4接続口を有する四方弁とを備え、前記第1接続口において前記水配管を流れる前記水が前記四方弁に常に流入し、前記第4接続口において前記水熱交換器を流通した前記水が前記四方弁から常に流出し、前記第2接続口と前記水熱交換器の一端側の接続口とが前記水配管によって接続され、前記第3接続口と前記水熱交換器の他端側の接続口とが前記水配管によって接続され、前記四方弁は、前記第1接続口と前記第2接続口が流通可能となり、かつ、前記第3接続口と前記第4接続口が流通可能となる第1モード、又は、前記第1接続口と前記第3接続口が流通可能となり、かつ、前記第2接続口と前記第4接続口が流通可能となる第2モードに切り換え可能である構成を有する。
【0012】
この構成によれば、四方弁が第1モードに切り換えられているとき、第1接続口において水配管を流れる水が流入し、第1接続口から第2接続口へ水が流れた後、第2接続口から水熱交換器へ水が供給される。また、第1モードでは、水熱交換器を流れた水が第3接続口から流入し、第3接続口から第4接続口へ水が流れた後、第4接続口から水が外部へ流出する。また、四方弁が第2モードに切り換えられているとき、第1接続口において水配管を流れる水が流入し、第1接続口から第3接続口へ水が流れた後、第3接続口から水熱交換器へ水が供給される。また、第2モードでは、水熱交換器を流れた水が第2接続口から流入し、第2接続口から第4接続口へ水が流れた後、第4接続口から水が外部へ流出する。
【0013】
よって、四方弁を切り換えることによって、熱交換器に接続された水配管の流れ方向を変更することが可能である。したがって、冷凍サイクル系統の冷房運転と暖房運転の切り換えに応じて、四方弁を切り換えることで、冷凍サイクル系統の冷媒の流れ方向と水配管の流れ方向を常に対向流とすることができる。また、四方弁の切り換えに関わらず、水配管には常に水が流れており、水が流れない系統が存在しない。したがって、熱交換器に接続された水配管の流れ方向を変更する場合において、水の流れ方向を迅速に切り換え可能とし、また、不具合を生じにくくすることができる。
【0014】
また、四方弁の設置個数は一つであり、三方弁を設置する場合の設置個数に比べて低減されるため、部品点数を減らすことができる。また、三方弁を設置する場合、複数の三方弁が動作する必要があるのに対して、一つの四方弁が動作すればよいため、動作ミスによる切り換えの不具合が生じにくい。
【0015】
上記発明において、前記四方弁は、ユニット本体の内部に設置されてもよい。
【0016】
この構成によれば、ユニット本体の内部に四方弁が設置されていることから、チラーユニットを外部の水配管と接続するだけで、冷凍サイクル系統の冷媒の流れ方向と水配管の流れ方向を常に対向流とすることが可能な系統を構成することができる。
【0017】
上記発明において、前記四方弁は、ユニット本体の外部に設置され、前記ユニット本体の内部に設置された前記水配管と接続されてもよい。
【0018】
この構成によれば、ユニット本体の外部に四方弁が設置されていることから、四方弁をユニット本体の内部に設置された水配管と接続されることによって、冷凍サイクル系統の冷媒の流れ方向と水配管の流れ方向を常に対向流とすることが可能な系統を構成することができる。ユニット本体の内部には、四方弁が設置されていないことから、ユニット本体は、水配管の流れ方向が切り換え不要な構成にも適用できる。
【0019】
上記発明において、前記冷凍サイクル系統において、前記水熱交換器の接続口よりも上流側又は下流側に設置され、前記冷凍サイクル系統を流れる前記冷媒の温度を検出する温度検出部と、前記温度検出部によって検出された温度に基づいて、前記四方弁を切り換える制御部とを備えてもよい。
【0020】
この構成によれば、冷凍サイクル系統において、水熱交換器の接続口よりも上流側又は下流側に設置された温度検出部によって、冷凍サイクル系統を流れる冷媒の温度が検出され、検出された温度に基づいて、四方弁が切り換えられる。冷凍サイクル系統の冷房運転と暖房運転の切り換えに応じて、水熱交換器の接続口よりも上流側又は下流側を流れる冷媒の温度が変更される。これにより、検出された冷媒の温度に応じて、四方弁が自動的に切り換えられて、冷凍サイクル系統の冷媒の流れ方向と水配管の流れ方向を常に対向流とすることができる。
【0021】
上記発明において、前記冷凍サイクル系統に設置され、前記冷凍サイクル系統を流れる前記冷媒の圧力を検出する圧力検出部と、前記制御部は、前記圧力検出部によって検出された圧力に基づいて、前記四方弁の切り換えの成否を判断してもよい。
【0022】
この構成によれば、冷凍サイクル系統に設置された圧力検出部によって、冷凍サイクル系統を流れる冷媒の圧力が検出され、検出された圧力に基づいて、四方弁の切り換えの成否が判断される。したがって、冷媒の温度が検出されることによって、四方弁が正しく切り換えられているか否かを判断できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、水熱交換器に接続された水配管における水の流れ方向を変更する場合において、迅速に切り換え可能とし、また、不具合を生じにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態に係るチラーユニットの概略構成を示す回路図である。
図2】本発明の一実施形態に係るチラーユニットの水配管の構成を示す概略図であり、四方弁が第1モードに切り換えられた状態を示す。
図3】本発明の一実施形態に係るチラーユニットの水配管の構成を示す概略図であり、四方弁が第2モードに切り換えられた状態を示す。
図4】本発明の一実施形態に係るチラーユニットの水配管の構成の変形例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態に係るチラーユニット1について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るチラーユニット1の概略構成を示す回路図である。
このチラーユニット1は、2つの冷凍サイクル系統、すなわち、第1,第2冷凍サイクル系統R1,R2と、水系統部3とが図示しない筐体の内部に収容された構成となっている。また、第1冷凍サイクル系統R1と第2冷凍サイクル系統R2は、水配管18において直列に配置される。なお、本実施形態に係る水配管18の構成は、図2及び図3で示しており、図1では、水配管18の構成を簡略化して示している。
【0026】
チラーユニット1が備える冷凍サイクル系統の数や、冷凍サイクル系統の水配管18に対する配置関係は、本実施形態で説明した例に限定されない。例えば、冷凍サイクル系統は、1つ又は3つ以上でもよい。また、複数の冷凍サイクル系統は、水配管18において並列に配置されたり、直列配置と並列配置が組み合わされてもよい。
【0027】
第1,第2冷凍サイクル系統R1,R2は、それぞれ、圧縮機5と、オイルセパレータ6と、逆止弁7と、四方弁8と、水熱交換器9(第1,第2水熱交換器9A,9B)と、レシーバ10と、電子膨張弁11と、空冷熱交換器12と、気液分離器13とを備えている。空冷熱交換器12には冷却ファン12aが設けられている。
【0028】
圧縮機5は、ガス冷媒を吸入し、吸入したガス冷媒を圧縮して吐出する。オイルセパレータ6は、圧縮機5から吐出された圧縮冷媒中のオイルを分離して圧縮機5に還流させる。逆止弁7は、圧縮冷媒の逆流を防止する。
【0029】
四方弁8は、圧縮機5から吐出された圧縮冷媒を水熱交換器9に送る暖房運転モードと、空冷熱交換器12に送る冷房運転モードとの2つのポジションが選択される弁である。図1では、四方弁8が暖房運転モードのポジションとなっている。
【0030】
水熱交換器9は、暖房運転モードにおいて圧縮冷媒を凝縮させて凝縮器として機能し、冷房運転モードにおいて凝縮冷媒を気化させる蒸発器として機能する熱交換器である。そして、その凝縮熱又は気化熱により、後述するように水系統部3を流れる水を加熱又は冷却して暖房用の温水、給湯用の温水若しくは熱水、又は冷房用の冷水を生成する。
【0031】
第1冷凍サイクル系統R1は、第1水熱交換器9Aを有し、第2冷凍サイクル系統R2は、第2水熱交換器9Bを有する。
【0032】
レシーバ10は、凝縮した液冷媒を所定量貯留するタンクである。電子膨張弁11は、凝縮冷媒の圧力を低下させて気化を促進させる。空冷熱交換器12は、冷却ファン12aによって外気が供給される。空冷熱交換器12は、暖房運転モードにおいて凝縮冷媒を気化させる蒸発器として機能し、冷房運転モードにおいて圧縮冷媒を凝縮させる凝縮器として機能する熱交換器である。気液分離器13は、圧縮機5に吸入される前の冷媒を気液分離してガス冷媒のみを圧縮機5に吸入させる。
【0033】
水系統部3は、水入口部15と、水ポンプ16と、水出口部17と、水配管18とを具備して構成されている。水入口部15から延びる水配管18には、水ポンプ16が設置される。
【0034】
次に、図2及び図3を参照して、本実施形態に係る水配管18の構成について説明する。
水配管18は、例えば、水配管18a~18eによって構成される。水配管18には、四方弁20が一つ設置される。四方弁20は、第1接続口21、第2接続口22、第3接続口23及び第4接続口24を有する。
【0035】
四方弁20は、第1モード又は第2モードに切り換え可能である構成を有する。第1モードでは、図2に示すように、第1接続口21と第2接続口22が流通可能となり、かつ、第3接続口23と第4接続口24が流通可能となる。第2モードでは、図3に示すように、第1接続口21と第3接続口23が流通可能となり、かつ、第2接続口22と第4接続口24が流通可能となる。
【0036】
水配管18aは、四方弁20の第1接続口21と接続され、第1接続口21では、供給元から送られた水配管18aを流れる水が四方弁20に常に流入する。
【0037】
水配管18dは、四方弁20の第4接続口24と接続され、第4接続口24では、第1,第2水熱交換器9A,9Bを流通した水が四方弁20から常に流出して、供給先へ送られる。
【0038】
水配管18bは、一端が四方弁20の第2接続口22と接続され、他端が第1水熱交換器9Aの一端側の接続口と接続される。四方弁20が第1接続口21と第2接続口22が流通可能な第1モードであるとき、水配管18bでは、四方弁20の第2接続口22から第1水熱交換器9Aへ水が送られる。四方弁20が第2接続口22と第4接続口24が流通可能な第2モードであるとき、水配管18bでは、第1水熱交換器9Aから四方弁20の第2接続口22へ水が送られる。
【0039】
水配管18eは、一端が第1水熱交換器9Aの他端側の接続口と接続され、他端が第2水熱交換器9Bの一端側の接続口と接続される。
【0040】
水配管18cは、一端が第3接続口23と接続され、他端が第2水熱交換器9Bの他端側の接続口と接続される。四方弁20が第3接続口23と第4接続口24が流通可能な第1モードであるとき、水配管18cでは、第2水熱交換器9Bから四方弁20の第3接続口23へ水が送られる。四方弁20が第1接続口21と第3接続口23が流通可能な第2モードであるとき、水配管18cでは、四方弁20の第3接続口23から第2水熱交換器9Bへ水が送られる。
【0041】
四方弁20が第1モードに切り換えられているとき、第1接続口21において水配管18aを流れる水が流入し、第1接続口21から第2接続口22へ水が流れた後、第2接続口22から第1水熱交換器9Aへ水が供給される。また、第1モードでは、第1水熱交換器9Aと第2水熱交換器9Bを順に経て、第2水熱交換器9Bを流れた水が第3接続口23から流入し、第3接続口23から第4接続口24へ水が流れた後、第4接続口24から水が水配管18dを介して外部へ流出する。
【0042】
四方弁20が第2モードに切り換えられているとき、第1接続口21において水配管18aを流れる水が流入し、第1接続口21から第3接続口23へ水が流れた後、第3接続口23から第2水熱交換器9Bへ水が供給される。また、第2モードでは、第2水熱交換器9Bと第1水熱交換器9Aを順に経て、第1水熱交換器9Aを流れた水が第2接続口22から流入し、第2接続口22から第4接続口24へ水が流れた後、第4接続口24から水が水配管18dを介して外部へ流出する。
【0043】
四方弁20を切り換えることによって、第1,第2水熱交換器9A,9Bに接続された水配管18の水の流れ方向を変更することが可能である。したがって、第1,第2冷凍サイクル系統R1,R2の冷房運転と暖房運転の切り換えに応じて、四方弁20を切り換えることで、第1,第2冷凍サイクル系統R1,R2の冷媒の流れ方向と水配管18の水の流れ方向を常に対向流とすることができる。また、四方弁20の切り換えに関わらず、水配管18には常に水が流れており、水が流れない系統が存在しない。したがって、第1,第2水熱交換器9A,9Bに接続された水配管18の水の流れ方向を変更する場合において、水の流れ方向を迅速に切り換え可能とし、また、不具合を生じにくくすることができる。
【0044】
また、四方弁20の設置個数は一つであり、三方弁を設置する場合の設置個数に比べて低減されるため、部品点数を減らすことができる。また、三方弁を設置する場合、複数の三方弁が動作する必要があるのに対して、一つの四方弁20が動作すればよいため、動作ミスによる切り換えの不具合が生じにくい。
【0045】
四方弁20は、チラーユニット1のユニット本体(筐体)の内部に設置される。この場合、ユニット本体の内部に四方弁20が設置されていることから、水入口部15と水出口部17をそれぞれ外部の水配管と接続する。これにより、チラーユニット1を外部の水配管と接続するだけで、第1,第2冷凍サイクル系統R1,R2の冷媒の流れ方向と水配管18の水の流れ方向を常に対向流とすることが可能な系統を構成することができる。
【0046】
本実施形態において、四方弁20は、ユニット本体の内部に設置される場合に限定されず、四方弁20は、チラーユニット1のユニット本体(筐体)の外部に設置されてもよい。この場合、ユニット本体には、一端が外部の水配管と接続可能とされ、他端が第1水熱交換器9Aと接続された水配管18b、第1水熱交換器9Aと第2水熱交換器9Bを結ぶ水配管18e、及び、一端が第2水熱交換器9Bと接続され、他端が外部の水配管と接続可能とされた水配管18cが設置されている。四方弁20は、これらのユニット本体の内部に設置された水配管18b,18cと接続され、かつ、上述した構成を有する水配管18a,18dを設置することによって、本実施形態に係るチラーユニット1が構成される。これにより、第1,第2冷凍サイクル系統R1,R2の冷媒の流れ方向と水配管18の水の流れ方向を常に対向流とすることが可能な系統を構成することができる。ユニット本体の内部には、四方弁20が設置されていないことから、ユニット本体は、水配管18の水の流れ方向が切り換え不要な構成にも適用できる。
【0047】
本実施形態に係るチラーユニット1は、図1に示すように、温度検出部31と、圧力検出部32と、制御部33を備えてもよい。
【0048】
温度検出部31は、第1,第2冷凍サイクル系統R1,R2において、第1,第2水熱交換器9A,9Bの接続口よりも上流側及び/又は下流側に設置され、第1,第2冷凍サイクル系統R1,R2を流れる冷媒の温度を検出する。
【0049】
圧力検出部32は、第1,第2冷凍サイクル系統R1,R2において、圧縮機5の吸い込み側及び吐き出し側にそれぞれ設置され、第1,第2冷凍サイクル系統R1,R2を流れる冷媒の圧力を検出する。
【0050】
制御部33は、温度検出部31によって検出された温度に基づいて、四方弁20を切り換える。第1,第2水熱交換器9A,9Bに流入する冷媒、又は、第1,第2水熱交換器9A,9Bから流出する冷媒の温度に基づいて、第1,第2冷凍サイクル系統R1,R2が冷房運転であるか又は暖房運転であるかを判断する。
【0051】
冷房運転時、第1,第2水熱交換器9A,9Bは、蒸発器として機能することから、検出された温度が所定の閾値よりも低い場合、冷房運転であると判断でき、四方弁20を冷房運転に対応したモードに切り換える。暖房運転時、第1,第2水熱交換器9A,9Bは、凝縮器として機能することから、検出された温度が所定の閾値よりも高い場合、暖房運転であると判断でき、四方弁20を暖房運転に対応したモードに切り換える。これにより、冷房運転と暖房運転の双方において、第1,第2水熱交換器9A,9Bでは、第1,第2冷凍サイクル系統R1,R2の冷媒の流れ方向と水配管18の水の流れ方向が対向流とされる。
【0052】
また、制御部33は、圧力検出部32によって検出された圧力に基づいて、四方弁20の切り換えの成否を判断する。四方弁20が正しく切り換わっていない場合、第1,第2水熱交換器9A,9Bでは、第1,第2冷凍サイクル系統R1,R2の冷媒の流れ方向と水配管18の水の流れ方向が並行流となるため、第1,第2水熱交換器9A,9Bにおける熱交換効率が低下する。したがって、例えば、圧力検出部32が圧縮機5に吸い込まれる冷媒の圧力と圧縮機5から吐出される冷媒の圧力を検出し、圧力差が所定の閾値よりも低下したとき、四方弁20が正しく切り換わっていないと判断する。他方、圧力差が所定の閾値を超えていれば、四方弁20が正しく切り換わっていると判断する。
【0053】
制御部33は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体等から構成されている。そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶媒体等に記憶されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0054】
本実施形態によれば、第1,第2冷凍サイクル系統R1,R2において、第1,第2水熱交換器9A,9Bの接続口よりも上流側又は下流側に設置された温度検出部31によって、第1,第2冷凍サイクル系統R1,R2を流れる冷媒の温度が検出され、検出された温度に基づいて、四方弁20が切り換えられる。第1,第2冷凍サイクル系統R1,R2の冷房運転と暖房運転の切り換えに応じて、第1,第2水熱交換器9A,9Bの接続口よりも上流側や下流側を流れる冷媒の温度が変更される。したがって、検出された冷媒の温度に応じて、四方弁20が自動的に切り換えられることによって、第1,第2冷凍サイクル系統R1,R2の冷媒の流れ方向と水配管18の水の流れ方向を常に対向流とすることができる。
【0055】
また、第1,第2冷凍サイクル系統R1,R2に設置された圧力検出部32によって、第1,第2冷凍サイクル系統R1,R2を流れる冷媒の圧力が検出され、検出された圧力に基づいて、四方弁20の切り換えの成否が判断される。したがって、四方弁20が自動的に切り換えられた場合において、四方弁20が正しく切り換えられているか否かを判断できる。
【0056】
以上のように構成されたチラーユニット1は、以下のように作動する。以下では、暖房運転時において、四方弁20が図2に示す第1モードに切り替わり、冷房運転時において、四方弁20が図3に示す第2モードに切り替わる例について説明する。
【0057】
まず、暖房運転時における動作について説明する。
暖房運転時には、第1,第2冷凍サイクル系統R1,R2の四方弁8が、図1に示す暖房運転モードのポジションになる。
【0058】
そして、少なくとも1つの圧縮機5が作動する。圧縮機5により圧縮された高温高圧の圧縮冷媒は、オイルセパレータ6にてオイル分が分離され、四方弁8を経て第1,第2水熱交換器9A,9Bのいずれか、又は、全てに流れる。このとき、圧縮冷媒は、水系統部3の水配管18を流れる水と熱交換される。また、温度検出部31によって温度が検出されて、四方弁20が第1モードに切り替わる。
【0059】
すなわち、第1冷凍サイクル系統R1の圧縮機5により圧縮された圧縮冷媒は第1水熱交換器9Aに流れて水配管18を流れる水と熱交換され、第2冷凍サイクル系統R2の圧縮機5により圧縮された圧縮冷媒は第2水熱交換器9Bに流れて水配管18を流れる水と熱交換される。
【0060】
つまり、第1冷凍サイクル系統R1と第2冷凍サイクル系統R2においては、それぞれ第1水熱交換器9Aと第2水熱交換器9Bとによって冷媒と水との熱交換が個別に行われる。このように第1,第2水熱交換器9A,9Bにて高温な圧縮冷媒と熱交換した水は温水又は熱水となり、水出口部17から所定の暖房箇所又は給湯箇所に供給される。
【0061】
四方弁20が第1モードに切り替わることにより、第1接続口21において水配管18aを流れる水が流入し、第1接続口21から第2接続口22へ水が流れた後、第2接続口22から第1水熱交換器9Aへ水が供給される。また、第1モードでは、第1水熱交換器9A、第2水熱交換器9Bの順に水が流れ、第2水熱交換器9Bを流れた水が第3接続口23から流入し、第3接続口23から第4接続口24へ水が流れた後、第4接続口24から水が水配管18dを介して外部へ流出する。そして、第1,第2水熱交換器9A,9Bでは、第1,第2冷凍サイクル系統R1,R2の冷媒の流れ方向と水配管18の水の流れ方向が対向流となる。
【0062】
また、第1,第2水熱交換器9A,9Bで水と熱交換した圧縮冷媒は凝縮して液化し、レシーバ10を経て電子膨張弁11を通過し、ここで圧力を低下されて空冷熱交換器12に流れ、空気と熱交換することにより気化してガス冷媒となり、四方弁8と気液分離器13と経て再び圧縮機5に吸入される。
【0063】
次に、冷房運転時における動作について説明する。
冷房運転時には、第1,第2冷凍サイクル系統R1,R2の四方弁8が図1に示す方向から変更されて冷房運転モードのポジションになる。したがって、圧縮機5により圧縮された高温高圧の圧縮冷媒は四方弁8を経て空冷熱交換器12に流れ、冷却ファン12aによって外気が供給されることにより空気と熱交換して凝縮して液化する。生成された凝縮冷媒は、レシーバ10を経て第1,第2水熱交換器9A,9Bのいずれか、又は、全てに流れる。このとき、凝縮冷媒は、水系統部3の水配管18を流れる水と熱交換して気化する。また、温度検出部31によって温度が検出されて、四方弁20が第2モードに切り替わる。
【0064】
このように、第1,第2水熱交換器9A,9Bにて低温な冷媒と熱交換した水は冷水となり、水出口部17から所定の冷房箇所に供給される。
【0065】
四方弁20が第2モードに切り替わることにより、第1接続口21において水配管18aを流れる水が流入し、第1接続口21から第3接続口23へ水が流れた後、第3接続口23から第2水熱交換器9Bへ水が供給される。また、第2モードでは、第2水熱交換器9B、第1水熱交換器9Aの順に水が流れ、第2水熱交換器9Bを流れた水が第2接続口22から流入し、第2接続口22から第4接続口24へ水が流れた後、第4接続口24から水が水配管18dを介して外部へ流出する。そして、第1,第2水熱交換器9A,9Bでは、第1,第2冷凍サイクル系統R1,R2の冷媒の流れ方向と水配管18の水の流れ方向が対向流となる。
【0066】
また、第1,第2水熱交換器9A,9Bで水と熱交換して気化したガス冷媒は、四方弁8と気液分離器13と経て再び圧縮機5に吸入される。
【0067】
次に、図4を参照して、本発明の一実施形態に係るチラーユニット1の変形例について説明する。なお、チラーユニット1における第1冷凍サイクル系統R1及び第2冷凍サイクル系統R2の構成は上述した実施形態と同一である。その他、上述した実施形態と重複する構成及び作用効果については説明を省略する。
【0068】
上述した実施形態に係る構成では、第1水熱交換器9Aと第2水熱交換器9Bを流れる水は、四方弁20の切り換えによって、図2に示すように、第1水熱交換器9Aが先となったり、図3に示すように、第2水熱交換器9Bが先となったりして、水の流れる順番が入れ替われる。
【0069】
これに対し、複数の第1,第2水熱交換器9A,9Bが直列に配置されている場合において、四方弁20の切り換えに関わらず、第1水熱交換器9A又は第2水熱交換器9Bが常に先となる構成が要求される場合がある。
【0070】
上述した実施形態では、四方弁20と水配管18a~18eが、第1水熱交換器9A及び第2水熱交換器9Bに対して1組のみ設置されている。これに対し、本変形例における水配管18には、上述した実施形態と異なり、四方弁20と水配管18が、第1冷凍サイクル系統R1及び第2冷凍サイクル系統R2のそれぞれに対して1組ずつ設置される。
【0071】
各四方弁20を切り換えることによって、第1,第2水熱交換器9A,9Bに接続された水配管18の水の流れ方向を変更することが可能である。したがって、第1,第2冷凍サイクル系統R1,R2の冷房運転と暖房運転の切り換えに応じて、各四方弁20を切り換えることで、第1,第2冷凍サイクル系統R1,R2の冷媒の流れ方向と水配管18の水の流れ方向を常に対向流とすることができる。また、図4に示すように、複数の第1,第2水熱交換器9A,9Bが直列に配置されている場合において、四方弁20の切り換えに関わらず、第1水熱交換器9Aが常に先となる構成とすることができる。
【符号の説明】
【0072】
1 :チラーユニット
3 :水系統部
5 :圧縮機
6 :オイルセパレータ
7 :逆止弁
8 :四方弁
9 :水熱交換器
9A :第1水熱交換器
9B :第2水熱交換器
10 :レシーバ
11 :電子膨張弁
12 :空冷熱交換器
12a :冷却ファン
13 :気液分離器
15 :水入口部
16 :水ポンプ
17 :水出口部
18,18a,18b,18c,18d,18e :水配管
20 :四方弁
21 :第1接続口
22 :第2接続口
23 :第3接続口
24 :第4接続口
31 :温度検出部
32 :圧力検出部
33 :制御部
R1 :第1冷凍サイクル系統
R2 :第2冷凍サイクル系統
図1
図2
図3
図4