(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-07
(45)【発行日】2023-04-17
(54)【発明の名称】電子時計
(51)【国際特許分類】
G04G 21/04 20130101AFI20230410BHJP
H04M 1/00 20060101ALI20230410BHJP
【FI】
G04G21/04
H04M1/00 U
(21)【出願番号】P 2019060140
(22)【出願日】2019-03-27
【審査請求日】2021-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣田 悠介
【審査官】菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-16539(JP,A)
【文献】特開2013-3873(JP,A)
【文献】特開2007-266968(JP,A)
【文献】特開2017-103815(JP,A)
【文献】特開2005-86650(JP,A)
【文献】特開2010-87908(JP,A)
【文献】特開2004-200968(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04G 21/04
H04M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯通信機器と無線通信する通信部と、
前記携帯通信機器の着信情報を無線通信によって前記携帯通信機器から取得し、前記着信情報を表示させる制御部と、
前記制御部によって制御される表示部と、
を備え、
前記制御部は、前記携帯通信機器に対して前記着信情報を所定の間隔で問い合わせて、ユーザに通知すべき新たな前記着信情報を前記携帯通信機器から無線通信により取得し、
前記制御部は、前記携帯通信機器との無線通信が一時的に不能となった後に前記携帯通信機器との無線通信が正常に回復した場合、
前記携帯通信機器から取得する新たな前記着信情報を前記表示部に表示する前に、前記表示部に無線通信の回復を知らせる報知動作を
行わせる
ことを特徴とする電子時計。
【請求項2】
前記制御部は、ユーザによる確認操作がなされるまで前記表示部に前記報知動作を行わせる
請求項1に記載の電子時計。
【請求項3】
前記制御部は、ユーザによる前記確認操作がなされると、前記携帯通信機器との無線通信が不能となった時刻を前記表示部によって表示させる
請求項2に記載の電子時計。
【請求項4】
前記制御部は、前記携帯通信機器との無線通信が不能となると、前記携帯通信機器に対して接続要求を実行し、かつ前記接続要求を所定回数行っても前記携帯通信機器との無線通信が正常に回復しない場合、前記接続要求の実行を終了する
請求項1から3の何れか1項に記載の電子時計。
【請求項5】
前記制御部は、前記携帯通信機器との無線通信が不能となると、第一の間隔で前記携帯通信機器に対する接続要求を繰り返す第一の接続動作を実行し、前記第一の接続動作を実行しても前記携帯通信機器との無線通信が正常に回復しない場合、前記第一の間隔よりも長い第二の間隔で前記接続要求を繰り返す第二の接続動作を実行する
請求項1から4の何れか1項に記載の電子時計。
【請求項6】
前記報知動作は、前記第一の接続動作を実行して前記携帯通信機器との無線通信が正常に回復した場合に実行される第一の報知動作、および前記第二の接続動作を実行して前記携帯通信機器との無線通信が正常に回復した場合に実行される第二の報知動作を含む
請求項5に記載の電子時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子時計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線回線の障害に対応する技術がある。特許文献1には、複数の基地局と、複数の移動通信交換局とを備える移動通信網における自動再接続方法の技術が開示されている。特許文献1の自動再接続方法では、移動通信交換局は無線回線の障害復旧を検出すると、相手ユーザに対して再接続したことを示す文字表示情報を送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子時計において、携帯通信機器と無線通信を行い、携帯通信機器の着信情報をユーザに通知する技術が検討されている。ここで、無線通信が不能となった場合に、電子時計が着信情報を取得できず、ユーザに対して着信情報を提供できなくなることがある。その結果、ユーザにおいて着信情報の確認漏れが発生する可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、着信情報の確認漏れを抑制することができる電子時計を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子時計は、携帯通信機器と無線通信する通信部と、前記携帯通信機器の着信情報を無線通信によって前記携帯通信機器から取得し、前記着信情報を表示させる制御部と、前記制御部によって制御される表示部と、を備え、前記制御部は、前記携帯通信機器との無線通信が一時的に不能となった後に前記携帯通信機器との無線通信が正常に回復した場合、前記表示部に報知動作を行わせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る電子時計の制御部は、携帯通信機器との無線通信が一時的に不能となった後に携帯通信機器との無線通信が正常に回復した場合、表示部に報知動作を行わせる。本発明に係る電子時計は、報知動作によって無線通信が不能であったことをユーザに知らせることで、着信情報の確認漏れを抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態の電子時計および着信通知システムを示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る電子時計および着信通知システムのブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態の着信通知動作を説明する図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る電子時計の動作を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施形態に係る電子時計の動作を説明するタイムチャートである。
【
図6】
図6は、実施形態に係る電子時計の接続動作を説明する図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る電子時計の通信OFF動作を説明する図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る電子時計の通信OFF動作を説明する他の図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る電子時計の動作を示す他のフローチャートである。
【
図10】
図10は、実施形態に係る電子時計の通信ON動作を説明する図である。
【
図11】
図11は、実施形態の第1変形例に係る電子時計の再接続動作を説明する図である。
【
図12】
図12は、無線通信が早期に正常化した場合の動作を説明する図である。
【
図13】
図13は、第一の報知動作が行われる条件を説明する図である。
【
図15】
図15は、第二の報知動作が行われる条件を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態に係る電子時計につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
[実施形態]
図1から
図10を参照して、実施形態について説明する。本実施形態は、電子時計に関する。
図1は、実施形態の電子時計および着信通知システムを示す図、
図2は、実施形態に係る電子時計および着信通知システムのブロック図、
図3は、実施形態の着信通知動作を説明する図、
図4は、実施形態に係る電子時計の動作を示すフローチャート、
図5は、実施形態に係る電子時計の動作を説明するタイムチャートである。
【0011】
図1に示すように、本実施形態の電子時計1は、アナログ表示部14および外装ケース13を有する。外装ケース13の形状は、環状であり、例えば、円筒形状である。外装ケース13の前面には、電子時計1の状態や動作を示すための各種のマークが配置されている。本実施形態の外装ケース13には、通信ONマーク18a、通信OFFマーク18b、ACTマーク19、CALLマーク20、INFOマーク25等が配置されている。なお、通信ONマーク18a、通信OFFマーク18b、ACTマーク19、CALLマーク20、INFOマーク25等の各マークは、文字板15等のアナログ表示部14に配置されていてもよい。
【0012】
ACTマーク19は、例えば、時計中心から見て12時の方向に配置されている。通信ONマーク18aは、例えば、時計中心から見て2時の方向に配置されている。通信OFFマーク18bは、例えば、時計中心から見て1時の方向に配置されている。通信ONマーク18aと通信OFFマーク18bとの間には、アンテナを示すアンテナマーク18cが配置されている。CALLマーク20は、例えば、時計中心から見て11時の方向に配置されている。INFOマーク25は、例えば、時計中心から見て10時の方向に配置されている。
【0013】
ACTマーク19は、電子時計1が携帯通信機器50との接続を試みていることを示すためのマークである。通信ONマーク18aは、電子時計1が携帯通信機器50との接続を確立したことを示すためのマークである。通信OFFマーク18bは、電子時計1が携帯通信機器50との接続に失敗したことを示すためのマークである。CALLマーク20は、電子時計1が携帯通信機器50から着信情報を取得したことを示すためのマークである。
【0014】
CALLマーク20は、携帯通信機器50に電話着信があった旨を通知するマークである。INFOマーク25は、携帯通信機器50にメールやSNS(Social Networking Service)などのメッセージの受信があった旨を通知するマークである。すなわち、本実施形態の電子時計1は、携帯通信機器50に着信があったことをユーザに通知することができるだけでなく、着信の種類をユーザに通知することができる。
【0015】
アナログ表示部14は、外装ケース29の内部空間に収容されている。アナログ表示部14は、指針6、文字板15、および日表示部26を有する。指針6は、秒針6a、分針6b、および時針6cを有する。指針6は、表示部の一部である。日表示部26は、日付や曜日を表示する部材であり、文字板15に対して背面側に配置されている。日表示部26は、日付や曜日を示す文字が配置された板状の部材であり、日板とも称される。文字板15には、日表示部26の文字を表示させる開口が設けられている。外装ケース29には、リューズ16およびプッシュボタン17が配置されている。
【0016】
本実施形態の電子時計1は、携帯通信機器50と無線通信する機能を有する。携帯通信機器50は、例えば、電子時計1のユーザが所有する機器であり、ユーザによって使用される。携帯通信機器50は、典型的には、スマートフォン等の携帯型の端末機器である。携帯通信機器50は、近距離無線通信を実行する機能を有する。また、携帯通信機器50は、インターネット網100を介して外部サーバ200と通信する機能を有する。携帯通信機器50は、筐体51およびタッチパネル52を有する。タッチパネル52は、画像表示面に重畳されている。画像表示面には、アプリケーション60のユーザインタフェースが表示される。ユーザは、タッチパネル52に対する入力動作によって携帯通信機器50を操作することができる。
【0017】
図2に示すように、電子時計1は、駆動部2、制御部3、通信部4、電池5、指針6、モータ7、メモリ8、センサ9、太陽電池11、およびブザー12を有する。本実施形態の電子時計1は、指針6によって時刻を表示するアナログ電子時計である。電子時計1は、時刻を表示するデジタル表示部を有していてもよい。
【0018】
電池5は、電子時計1の電源であり、例えば、充電可能な二次電池である。電池5は、駆動部2、制御部3、通信部4を含む各部に対して電力を供給する。指針6は、輪列等を介してモータ7と連結されている。従って、指針6は、モータ7の回転と連動して回転する。
【0019】
モータ7は、第一モータ71と、第二モータ72と、を有する。第一モータ71および第二モータ72は、例えば、電磁モータや静電式のモータである。第一モータ71は、秒針6aおよび分針6bを回転させるモータである。秒針6aおよび分針6bは、第一モータ71の回転と連動して回転する。第一モータ71と秒針6aおよび分針6bとの間には、輪列等の減速機構が介在している。第二モータ72は、時針6cおよび日表示部26を回転させるモータである。第二モータ72と時針6cおよび日表示部26との間には、輪列等の減速機構が介在している。なお、指針6の各針6a,6b,6cおよび日表示部26と、これらを回転させるモータとの組み合わせは上記の組み合わせに限定されない。例えば、秒針6a、分針6b、時針6c、および日表示部26が各々別のモータで駆動されてもよい。
【0020】
メモリ8は、例えば、フラッシュメモリやEEPROM等の不揮発性メモリである。メモリ8には、電子時計1で実行される各種のプログラムが記憶されている。メモリ8には、例えば、通常の時計動作を行うプログラムや、後述する着信通知プログラムが記憶されている。
【0021】
センサ9は、電子時計1に関する情報を取得するセンサである。センサ9は、例えば、電子時計1の内部温度を計測する温度センサ、電子時計1の加速度を計測する加速度センサ、電子時計1の傾斜角度の変化を検出する傾斜センサ、太陽電池11が受光する光の強度を検出する光センサ等を含む。センサ9による検出結果は、制御部3や駆動部2によって取得される。
【0022】
太陽電池11は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する光発電機構である。太陽電池11は、例えば、文字板15に対して背面側に配置されている。太陽電池11によって発電された電力は、電池5や計時回路に対して分配される。
【0023】
ブザー12は、ブザー音を発生させる鳴動機構である。ブザー12は、例えば、ピエゾ素子等の圧電素子を有し、圧電素子の振動によってブザー音を発生させる。圧電素子は、供給される電圧の変化に応じて振動することでアラームを示すブザー音を発生する。
【0024】
駆動部2は、例えば、時計ICであり、電子時計1に搭載されている動作部を駆動する。本実施形態の電子時計1において、駆動部2によって駆動される動作部は、モータ7およびブザー12を含む。
【0025】
駆動部2は、モータ駆動回路21、電源管理部22、ブザー駆動回路23、およびタイマー24を有する。モータ駆動回路21は、モータ7を駆動する回路である。モータ駆動回路21は、制御部3から入力される指令に応じて、モータ7に対して駆動信号を出力する。例えば、制御部3は、内部時刻に基づいて秒針6a、分針6b、および時針6cを運針させる指令を駆動部2に対して出力する。この指令を受け取った駆動部2は、秒針6a、分針6b、および時針6cの回転位置を内部時刻に応じた位置とするようにモータ7を駆動する。
【0026】
電源管理部22は、電池5の充放電を管理する。例えば、電源管理部22は、電池5から駆動部2や制御部3に対する電力の供給を制御する。また、電源管理部22は、太陽電池11から電池5への充電を管理する。また、電源管理部22は、電池5の電圧を検出する電圧検出回路と接続されている。ブザー駆動回路23は、ブザー12に対する駆動信号を出力する回路である。ブザー駆動回路23は、制御部3から駆動部2に対して出力された指令に基づいてブザー12に対して駆動信号を出力する。
【0027】
タイマー24は、発振回路等から出力されるクロック信号に基づいて経過時間をカウントする。駆動部2は、制御部3から入力された指令に応じてタイマー24に対する駆動信号を出力する。駆動部2は、タイマー24を利用して、各種の動作を実行する。
【0028】
通信部4は、例えば、アンテナ、通信モジュール、および変換部を有する。通信部4は、携帯通信機器50との間で近距離無線通信を行う。通信部4は、例えば、Bluetooth(登録商標)のプロトコルによって携帯通信機器50と通信する。
【0029】
制御部3は、例えば、マイクロコンピュータであり、演算部31、RAM(Random Access Memory)32、およびROM(Read Only Memory)33を有する。演算部31は、ROM33に予め格納されている基本プログラムに従って各種の情報処理を行う。RAM32は、演算部31のワークメモリとして利用される。
【0030】
本実施形態の制御部3は、電子時計1が予め記憶しているプログラムに基づいて通信部4および指針6を制御する。例えば、制御部3は、現在時刻を表示する時刻表示動作を指針6に実行させる。また、本実施形態の制御部3は、着信通知プログラムを実行する。着信通知プログラムは、携帯通信機器50の着信情報を電子時計1において表示し、ユーザに通知するプログラムである。制御部3は、携帯通信機器50との無線通信によって着信情報を携帯通信機器50から取得する。
【0031】
より詳しくは、制御部3は、無線通信によって、新規通知が発生したか否かを携帯通信機器50に対して問い合わせる。携帯通信機器50に対する問い合わせは、ユーザの操作によって実行されてもよく、所定の間隔で自動的に実行されてもよい。本実施形態の着信通知プログラムは、所定の間隔で自動的に携帯通信機器50に対して新規通知の有無を問い合わせるように構成されている。着信通知プログラムは、更に、ユーザの操作に応じて新規通知の有無を問い合わせるように構成されている。
【0032】
携帯通信機器50には、アプリケーション60がインストールされている。アプリケーション60は、電子時計1からの問い合わせを受信すると、新規通知の有無を回答する。アプリケーション60は、過去の所定期間において新たな着信があった場合、電子時計1に対して新規通知有りと送信する。つまり、アプリケーション60は、ユーザに通知すべき新たな着信が存在する場合に、新規通知ありと回答する。一方、アプリケーション60は、過去の所定期間において新たな着信がない場合、電子時計1に対して新規通知なしと送信する。アプリケーション60は、新規通知有りの場合、電子時計1に対して着信の種類を通知する。着信の種類は、電話着信と、メールやSNSの受信と、の二種類を含む。
【0033】
制御部3は、携帯通信機器50から新規通知有りとの回答があった場合、新規着信の存在をユーザに通知する。制御部3は、新規通知があること、および着信の種類を秒針6aの動作によってユーザに通知する。例えば、制御部3は、新規通知があり、かつ新規通知が電話着信である場合、
図3に示すように、CALLマーク20を示す位置(以下、単に「CALL位置」と称する。)まで秒針6aを移動させる。このときに、制御部3は、秒針6aを現在位置からCALL位置まで、通常の運針よりも速い速度で移動させてもよい。制御部3は、CALL位置において秒針6aを停止させる。
【0034】
制御部3は、新規通知があり、かつ新規通知がメールやSNSの受信である場合、INFOマーク25を示す位置(以下、単に「INFO位置」と称する。)まで秒針6aを移動させる。このときに、制御部3は、秒針6aを現在位置からINFO位置まで、通常の運針よりも速い速度で移動させてもよい。制御部3は、INFO位置において秒針6aを停止させる。制御部3は、新規通知があり、かつ新規通知が電話着信およびメールやSNSの受信の両方を含む場合、秒針6aをCALL位置に移動させてもよく、秒針6aをINFO位置に移動させてもよく、秒針6aをCALL位置およびINFO位置に交互に移動させてもよい。
【0035】
制御部3は、例えば、ユーザによる操作がなされるまで秒針6aをCALL位置やINFO位置に停止させてもよく、一定時間だけ秒針6aをCALL位置やINFO位置に停止させてもよい。制御部3は、ユーザによる操作がなされるまで秒針6aをCALL位置やINFO位置に停止させておく場合、一分経過するごとに秒針6aを高速で一回転させてもよい。これにより、分針6bの位置を内部時刻に応じた位置に移動させることができる。
【0036】
制御部3は、携帯通信機器50から新規通知なしとの回答があった場合、指針6に通常の時刻表示のための運針をさせる。制御部3は、秒針6a、分針6b、および時針6cによって内部時刻を表示させるように、駆動部2に対して運針指令を行う。駆動部2は、指令に応じて指針6を運針させる。
【0037】
本実施形態の制御部3は、以下に説明するように、携帯通信機器50との無線通信が一時的に不能となった後に携帯通信機器50との無線通信が正常に回復した場合、指針6に報知動作を行わせる。制御部3は、例えば、着信通知プログラムに従って携帯通信機器50に対する再接続要求や指針6の報知動作を実行する。
【0038】
図4および
図5を参照して、本実施形態の制御部3の動作について説明する。
図4に示すフローチャートは、例えば、電子時計1と携帯通信機器50との無線通信が確立された後に開始される。電子時計1と携帯通信機器50との無線通信は、例えば、次の手順で確立される。
図5に示すように、本実施形態では、無線通信による接続を開始する場合、電子時計1の側から接続要求を行う。すなわち、次の手順で無線通信が確立される。
(1)電子時計1は、例えば、秒針6aが通常の時刻運針を行っている状態で無線通信の接続手順を開始する。
(2)電子時計1から携帯通信機器50に対して接続要求を行う。電子時計1は、予め記憶しているペアリング情報に基づいて携帯通信機器50に対して接続要求を送信する。
(3)携帯通信機器50のアプリケーション60は、電子時計1からの接続要求に対して、接続要求を送信する。アプリケーション60は、予め記憶しているペアリング情報に基づいて電子時計1を認証し、電子時計1に対して接続要求を送信する。
(4)電子時計1からの接続要求に対して携帯通信機器50が接続要求を送信することで、電子時計1および携帯通信機器50において無線通信の接続が確立される。電子時計1と携帯通信機器50との間で通信リンクが形成される。
【0039】
制御部3は、携帯通信機器50との間で無線通信の接続が確立されると、ステップS10において通知確認を行う。制御部3は、携帯通信機器50に対して新規通知の有無を確認する信号を送信する。
図5では、(5)および(8)で通知確認が送信される。ステップS10が実行されるとステップS20に進む。
【0040】
ステップS20において、制御部3は、通知情報を受信したか否かを判定する。制御部3は、ステップS10で通知確認を行ってから所定時間が経過するまでの間に携帯通信機器50から通知情報を受信したか否かを判定する。ステップS20で通知情報を受信したと肯定判定された場合にはステップS30に進み、否定判定された場合にはステップS70に進む。
【0041】
ステップS30において、制御部3は、新規通知有りか否かを判定する。
図5では、(6)で携帯通信機器50から電子時計1に対して通知情報が送信され、ステップS30の判定が行われる。制御部3は、携帯通信機器50から受信した通知情報に基づいてステップS30の判定を行う。受信した通知情報が新規通知有りという内容であれば、ステップS30で肯定判定される。ステップS30の判定の結果、新規通知有りと肯定判定された場合にはステップS40に進み、否定判定された場合にはステップS60に進む。
【0042】
ステップS40において、制御部3は、秒針6aを所定位置に移動させる。本実施形態の所定位置は、CALL位置またはINFO位置である。例えば、新規通知が電話着信である場合の所定位置は、CALL位置である。この場合、制御部3は、駆動部2に対して、秒針6aをCALL位置まで移動させてCALL位置で停止させる運針指令を出力する。駆動部2は、制御部3からの運針指令に応じて秒針6aをCALL位置まで移動させる。ステップS40が実行されると、ステップS50に進む。
【0043】
ステップS50において、制御部3は、指針6の運針を通常運針に戻すか否かを判定する。制御部3は、例えば、秒針6aを所定位置まで移動させる指令を出力した後に、ユーザによる操作が検出されるとステップS50において肯定判定する。制御部3は、秒針6aを所定位置まで移動させる指令を出力した後に、所定時間が経過した場合にステップS50で肯定判定してもよい。ステップS50の判定の結果、通常運針に戻すと肯定判定された場合にはステップS60に進み、否定判定された場合にはステップS50の判定を繰り返す。
【0044】
ステップS60において、制御部3は、駆動部2に対して、指針6に通常の時刻運針をさせる運針指令を出力する。通常の時刻運針は、秒針6a、分針6b、および時針6cのそれぞれを内部時刻に対応する位置に位置付ける運針である。通常の時刻運針において、秒針6aは、例えば、1秒運針される。なお、通常の時刻運針において、秒針6aは一定の速度で連続的に回転させられてもよい。ステップS60が実行されると、本制御フローは終了する。
【0045】
ステップS70において、制御部3は、駆動部2に対して、秒針6aをACT位置に移動させ、ACT位置で停止させる運針指令を出力する。
図5では、(8)の通知確認に対して携帯通信機器50からの応答がなされないことで、ステップS70が実行される。ACT位置は、ACTマーク19を示す位置である。ACT位置まで移動するときの秒針6aの回転方向は、例えば、時計回りの回転方向である。駆動部2は、
図6に示すように、秒針6aをACT位置まで回転させる。ステップS70が実行されると、ステップS80に進む。
【0046】
ステップS80において、制御部3は、携帯通信機器50に対して接続要求を送信する。本実施形態の制御部3は、携帯通信機器50との無線通信が切断されると、自動的に接続要求を送信し、無線通信の回復を試みる。
図5では、(10)で携帯通信機器50に対して接続要求が送信される。ステップS80が実行されると、ステップS90に進む。
【0047】
ステップS90において、制御部3は、携帯通信機器50からの接続要求を受信したか否かを判定する。ステップS90の判定の結果、接続要求を受信したと肯定判定された場合にはステップS100に進み、否定判定された場合にはステップS140に進む。
図5では、(11)で携帯通信機器50から電子時計1に対して接続要求が送信され、ステップS100に進む。
【0048】
ステップS100において、制御部3は、指針6を通常と異なる動作で運針させる。この動作は、携帯通信機器50との無線通信が正常に回復したときの指針6の動作であり、本実施形態では「報知動作」と称する。報知動作は、携帯通信機器50との無線通信が再開されたことをユーザに報知する動作である。本実施形態の報知動作において、制御部3は、まず、秒針6aを通信ON位置に移動させ、その後に秒針6aの回転移動のインターバルが通常とは異なる値とされる。回転移動のインターバルは、例えば、10秒や20秒である。ステップS100が実行されると、ステップS110に進む。
【0049】
ステップS110において、制御部3は、ボタン操作があったか否かを判定する。制御部3は、報知動作が開始された後にユーザによってプッシュボタン17に対する操作がなされた場合にステップS110で肯定判定する。ステップS110の判定の結果、ボタン操作があったと肯定判定された場合にはステップS120に進み、否定判定された場合にはステップS100に移行する。なお、報知動作を終了させるための操作は、プッシュボタン17に対する操作には限定されない。
図5では、(13)でユーザのボタン操作が検出されてステップS120に進む。
【0050】
ステップS120において、制御部3は、駆動部2に対して、無線通信が不能となった切断時の時刻を表示させる指令を出力する。切断時の時刻は、無線通信が切断された時刻である。切断時の時刻は、例えば、ステップS20において否定判定がなされた時刻であってもよい。制御部3は、駆動部2に対して、指針6を切断時の時刻に対応する位置まで回転させ、切断時の時刻に対応する位置で停止させる運針指令を出力する。ステップS120が実行されるとステップS130に進む。
【0051】
ステップS130において、制御部3は、指針6の運針を通常運針に戻すか否かを判定する。制御部3は、例えば、ステップS120の運針指令を出力してから所定時間が経過した場合にステップS130で肯定判定する。なお、制御部3は、所定時間が経過する前であっても、ユーザによる操作が検出された場合には指針6の運針を通常運針に戻すと判定してもよい。ステップS130の判定の結果、通常運針に戻すと肯定判定された場合にはステップS60に進み、否定判定された場合にはステップS120に移行する。
図5では、(15)で通常運針が開始される。
【0052】
ステップS140において、制御部3は、接続が失敗したか否かを判定する。制御部3は、例えば、携帯通信機器50に対して接続要求を所定回数送信しても無線通信が正常に回復しなかった場合、ステップS140で肯定判定する。ステップS140の判定の結果、接続が失敗したと肯定判定された場合にはステップS150に進み、否定判定された場合にはステップS80に移行して再度接続要求を送信する。制御部3は、所定の間隔で接続要求を繰り返す。すなわち、着信通知プログラムにおいて、携帯通信機器50に対する接続要求を送信してから次の接続要求を送信するまでの間隔が所定の間隔に定められている。
【0053】
ステップS150において、制御部3は、通信OFF動作を実行する。通信OFF動作は、携帯通信機器50との再接続が成功せず、携帯通信機器50との無線通信が切断されていることをユーザに通知する動作である。本実施形態の通信OFF動作は、例えば、
図7および
図8に示す指針6の動作である。
【0054】
制御部3は、まず、駆動部2に対して、
図7に示すように秒針6aを通信OFF位置まで移動させ、通信OFF位置で停止させる運針指令を出力する。通信OFF位置は、通信OFFマーク18bを示す位置である。また、制御部3は、駆動部2に対して、60秒に一回秒針6aを一回転させる運針指令を出力する。この運針指令に応じて、駆動部2は、
図8に示すように、60秒に一回秒針6aを一回転させる。駆動部2は、秒針6aを一回転させると、秒針6aを通信OFF位置で停止させる。ステップS150が実行されると、本制御フローは終了する。なお、制御部3は、ユーザの操作が検出された場合に通信OFF動作を終了させ、指針6に通常の時刻運針を行わせてもよい。
【0055】
図9を参照して説明するように、無線通信の回復を試みる動作はユーザの操作によって実行されてもよい。
図9に示すフローチャートは、例えば、通信OFF動作が実行された後に開始される。ステップS210において、制御部3は、再接続操作が検出されているか否かを判定する。再接続操作は、ユーザによる操作であり、例えば、プッシュボタン17に対する操作である。一例として、再接続操作は、通信OFF動作が実行されているときにプッシュボタン17を押し込む操作である。ステップS210の判定の結果、再接続操作有りと肯定判定された場合にはステップS220に進み、否定判定された場合にはステップS210の判定が繰り返される。
【0056】
ステップS220において、制御部3は、駆動部2に対して、秒針6aをACT位置に移動させ、ACT位置で停止させる運針指令を出力する。ステップS220が実行されると、ステップS230に進む。
【0057】
ステップS230において、制御部3は、携帯通信機器50に対して接続要求を送信する。ステップS230が実行されると、ステップS240に進む。
【0058】
ステップS240において、制御部3は、携帯通信機器50からの接続要求を受信したか否かを判定する。ステップS240の判定の結果、接続要求を受信したと肯定判定された場合にはステップS250に進み、否定判定された場合にはステップS270に進む。
【0059】
ステップS250において、制御部3は、通信ON動作を実行する。通信ON動作は、報知動作の一つであり、携帯通信機器50との再接続が成功して無線通信が確立されたことをユーザに通知する動作である。本実施形態の通信ON動作は、例えば、
図10に示す指針6の運針である。通信ON動作において、制御部3は、駆動部2に対して、秒針6aを通信ON位置まで移動させ、通信ON位置で停止させる運針指令を出力する。通信ON位置は、通信ONマーク18aを示す位置である。制御部3は、通信ON動作において、所定時間が経過するまで秒針6aを通信ON位置で停止させる。ステップS250が実行されると、ステップS260に進む。
【0060】
ステップS260において、制御部3は、駆動部2に対して、指針6に通常の時刻運針をさせる運針指令を出力する。ステップS260が実行されると、本制御フローは終了する。
【0061】
ステップS270において、制御部3は、接続が失敗したか否かを判定する。制御部3は、例えば、携帯通信機器50に対して接続要求を所定回数送信しても無線通信が正常に回復しなかった場合、ステップS270で肯定判定する。なお、ステップS270において接続失敗を判定する際の所定回数は、ステップS140における所定回数と同じ回数であってもよく、異なる回数であってもよい。ステップS270の判定の結果、接続が失敗したと肯定判定された場合にはステップS280に進み、否定判定された場合にはステップS230に移行して再度接続要求を送信する。
【0062】
ステップS280において、制御部3は、通信OFF動作を実行する。ステップS280における通信OFF動作は、ステップS150における通信OFF動作と同様である。ステップS280が実行されると、本制御フローは終了する。
【0063】
以上説明したように、本実施形態の電子時計1は、通信部4と、制御部3と、指針6と、を有する。通信部4は、携帯通信機器50と無線通信する通信回路や通信ユニットを含む。制御部3は、通信部4および指針6を制御するように構成された制御回路を含む。制御部3は、携帯通信機器50の着信情報を無線通信によって携帯通信機器50から取得し、着信情報を表示させる。指針6は、制御部3によって動作が制御される表示部の一例である。
【0064】
制御部3は、携帯通信機器50との無線通信が一時的に不能となった後に携帯通信機器50との無線通信が正常に回復した場合、指針6に報知動作を行わせる。本実施形態の電子時計1は、無線通信が不能であったことをユーザに知らせることで、着信情報の確認漏れを抑制することができる。
【0065】
本実施形態の電子時計1は、無線通信が一時的に不能となっていたことを指針6の報知動作によってユーザに知らせる。これにより、電子時計1は、無線通信が不能であった期間に新規の着信があったかもしれないことをユーザに知らせ、携帯通信機器50を確認するようユーザに促すことができる。その結果、仮に無線通信が不能であった期間に通知情報の取りこぼしがあったとしても、着信情報の確認漏れが発生しにくい。よって、本実施形態の電子時計1では、再接続を試みる際の接続要求の送信間隔を長くすることができる。接続要求の送信間隔を長くすることで、長時間にわたり再接続のリトライを行うことが可能となる。
【0066】
本実施形態では、電子時計1と携帯通信機器50のアプリケーション60とによる着信通知システム10が構成されている。本実施形態の着信通知システム10は、ユーザによる着信情報の確認漏れを抑制することができる。
【0067】
[実施形態の第1変形例]
実施形態の第1変形例について説明する。
図11は、実施形態の第1変形例に係る電子時計の再接続動作を説明する図、
図12は、無線通信が早期に正常化した場合の動作を説明する図、
図13は、第一の報知動作が行われる条件を説明する図、
図14は、第一の報知動作を説明する図、
図15は、第二の報知動作が行われる条件を説明する図、
図16は、第二の報知動作を説明する図である。実施形態の第1変形例において、上記実施形態と異なる点は、例えば、接続要求を送る間隔が可変とされる点である。
【0068】
図11に示すように、実施形態の第1変形例に係る電子時計1は、携帯通信機器50との再接続を試みる際に、第一の接続動作および第二の接続動作を行うように構成されている。制御部3は、第一の接続動作を行っても携帯通信機器50との無線通信が正常に回復しない場合に第二の接続動作を実行する。
【0069】
第一の接続動作は、第一の間隔Δt1で接続要求を繰り返す動作である。すなわち、制御部3は、携帯通信機器50からの接続要求を受信しない間は、携帯通信機器50に対して第一の間隔Δt1で接続要求を繰り返し送信する。第一の接続動作を実行する場合、制御部3は、秒針6aの位置をACT位置とする(
図6参照)。制御部3は、第一の接続動作において携帯通信機器50からの接続要求を受信すると、第一の接続動作を中断して第一の報知動作を実行する。
【0070】
第一の接続動作を終了して第二の接続動作に移行する条件は、例えば、携帯通信機器50からの接続要求を受信しないままで第一の接続動作の開始から所定時間が経過したことである。第二の接続動作への移行条件は、携帯通信機器50からの接続要求を受信しないままで携帯通信機器50に対する接続要求の送信回数が所定回数に到達することであってもよい。
【0071】
第二の接続動作は、第二の間隔Δt2で接続要求を繰り返す動作である。すなわち、制御部3は、携帯通信機器50からの接続要求を受信しない間は、携帯通信機器50に対して第二の間隔Δt2で接続要求を繰り返し送信する。第二の間隔Δt2は、第一の間隔Δt1よりも長い。第二の接続動作を実行する場合、制御部3は、秒針6aの位置をACT位置とする(
図6参照)。制御部3は、第二の接続動作において携帯通信機器50からの接続要求を受信すると、第二の接続動作を中断して第二の報知動作を実行する。
【0072】
第二の接続動作を終了する条件は、携帯通信機器50からの接続要求を受信しないままで第二の接続動作の開始から所定時間が経過したことであってもよい。第二の接続動作を終了する条件は、携帯通信機器50からの接続要求を受信しないままで携帯通信機器50に対する接続要求の送信回数が所定回数に到達することであってもよい。
【0073】
本変形例の制御部3は、第一の接続動作を実行して携帯通信機器50との無線通信が正常に回復した場合、指針6に第一の報知動作を行わせる。制御部3は、第二の接続動作を実行して携帯通信機器50との無線通信が正常に回復した場合、指針6に第二の報知動作を行わせる。第二の報知動作における指針6の動作は、第一の報知動作における指針6の動作とは異なる。従って、本変形例の電子時計1は、携帯通信機器50との無線通信が不能であった期間の長さを指針6の動作によってユーザに知らせることができる。
【0074】
図12を参照して、携帯通信機器50との無線通信が不能である期間(以下、単に「通信不可期間」と称する。)が短時間であった場合の電子時計1の動作について説明する。
図12に示すように、第一の接続動作において電子時計1から携帯通信機器50に対して接続要求が送信される。第一の接続動作が開始されてから電子時計1が携帯通信機器50からの接続要求を受信するまでの時間が短時間である場合、制御部3は、指針6に通常の時刻運針を行わせる。すなわち、制御部3は、通信不可期間が短時間であった場合は、ユーザに対する報知動作を実行しない。
【0075】
制御部3は、例えば、無線通信が正常に回復するまでの通信不可期間が所定時間以下である場合は報知動作を実行しない。あるいは、制御部3は、無線通信が正常に回復するまでに携帯通信機器50に接続要求を送信した回数が所定回数以下である場合は報知動作を実行しない。制御部3は、無線通信が回復すると携帯通信機器50に対して通知確認を行い、新規通知が有った場合には秒針6aを所定位置まで移動させる。新規通知がメールやSNSの受信である場合、制御部3は、秒針6aをINFO位置まで移動させる。
【0076】
図13を参照して、第一の報知動作が行われる条件について説明する。制御部3は、第一の接続動作によって無線通信が正常に回復し、かつ通信不可期間が所定時間を超えている場合に第一の報知動作を実行する。あるいは、制御部3は、無線通信が正常に回復し、かつ第一の接続動作において携帯通信機器50に接続要求を送信した回数が所定回数を超えている場合に第一の報知動作を実行する。
【0077】
第一の報知動作は、例えば、
図14に示す10秒運針である。10秒運針を行う場合、制御部3は、駆動部2に対して、秒針6aを10秒運針させる運針指令を出力する。駆動部2は、この運針指令に応じて、秒針6aを10秒に一回移動させる。一回の移動における秒針6aの回転角度は、60°である。駆動部2は、例えば、移動後の秒針6aの位置が内部時刻に対応する位置となるように秒針6aを運針させる。制御部3は、例えば、ユーザの操作が検出されると第一の報知動作を終了して指針6に通常の時刻運針を行わせる。
【0078】
図15を参照して、第二の報知動作が行われる条件について説明する。制御部3は、第二の接続動作によって無線通信が正常に回復した場合、第二の報知動作を実行する。第二の報知動作は、例えば、
図16に示す20秒運針である。20秒運針を行う場合、制御部3は、駆動部2に対して、秒針6aを20秒運針させる運針指令を出力する。駆動部2は、この運針指令に応じて、秒針6aを20秒に一回移動させる。一回の移動における秒針6aの回転角度は、120°である。駆動部2は、例えば、移動後の秒針6aの位置が内部時刻に対応する位置となるように秒針6aを運針させる。制御部3は、例えば、ユーザの操作が検出されると第二の報知動作を終了して指針6に通常の時刻運針を行わせる。
【0079】
本変形例の電子時計1は、無線通信が正常に回復するまでの通信不可期間の長さに応じて二種類の報知動作を実行する。よって、本変形例の電子時計1は、通信不可期間の長さをユーザに知らせることができる。従って、本変形例の電子時計1は、通信エラーの原因を分析するための情報をユーザに提供することできる。
【0080】
また、本変形例では、第二の間隔Δt2が第一の間隔Δt1よりも長い。すなわち、本変形例の電子時計1は、通信不可期間が長くなった場合は、通信不可期間が短い場合と比較して接続要求の送信間隔を長くする。これにより、携帯通信機器50が電子時計1から離れた部屋に置かれている場合など、無線通信が物理的に不可能な状態となっている場合の電力消費が抑制される。
【0081】
なお、電子時計1は、三種類以上の報知動作を実行してもよい。例えば、制御部3は、第二の報知動作において無線通信が正常に回復した場合に、通信不可期間が短ければ第二の報知動作を実行し、通信不可期間が長ければ第三の報知動作を実行してもよい。第三の報知動作は、第一の報知動作および第二の報知動作の何れとも異なる指針6の動作である。第三の報知動作は、例えば、30秒運針とされてもよい。
【0082】
制御部3は、何れの報知動作を行なうかを判断するための通信不可期間の閾値を時間帯等に応じて可変してもよい。例えば、着信頻度が低い時間帯と、着信頻度が高い時間帯とで閾値が異なる値とされてもよい。着信頻度が低い時間帯は、例えば、夜中の時間帯や、過去の携帯通信機器50への着信履歴により電子時計1への報知が少ないと判断される時間帯である。着信頻度が低い時間帯の閾値は、着信頻度が高い時間帯の閾値よりも長時間とされる。この場合、通信不可期間が長くても、無線通信が正常に回復した際の挙動が第三の報知動作ではなく第二の報知動作とされる。また、電子時計1に報知する着信種類(電話、メール、LINE等)にフィルタリング機能を設け、フィルタリング機能により電子時計1への報知が少ないと判断した時間帯は通信不可期間が長くても、正常に回復した際の挙動を第三ではなく、第二の報知動作としてもよい。
【0083】
電子時計1は、第一の接続動作における第一の間隔Δt1を可変としてもよい。例えば、第一の接続動作において、通信不可期間が長くなるに従って第一の間隔Δt1が長くされてもよい。ただし、第一の間隔Δt1の最大値は、第二の間隔Δt2以下とされる。電子時計1は、第二の接続動作における第二の間隔Δt2を可変としてもよい。例えば、第二の接続動作において、通信不可期間が長くなるに従って第二の間隔Δt2が長くされてもよい。
【0084】
制御部3は、時間帯等に応じて第一の接続動作の実行期間を可変としてもよい。例えば、着信頻度が低い時間帯には、着信頻度が高い時間帯と比較して、第一の接続動作の実行期間が短くされてもよい。これにより、着信頻度が低い時間帯には電子時計1が早期に第一の接続動作から第二の接続動作に移行し、消費電力が低減される。また、電子時計1に報知する着信種類(電話、メール、LINE等)にフィルタリング機能を設け、フィルタリング機能により電子時計1への報知が少ないと判断した時間帯は第一の接続動作の実行期間が短くされてもよい。
【0085】
制御部3は、第二の接続動作を実行しても無線通信が正常に回復しない場合、通信OFF動作を実行してもよい。この場合、制御部3は、第二の接続動作を終了する条件が成立すると、秒針6aを通信OFF位置まで移動させ(
図7参照)、60秒に一回秒針6aを一回転させる(
図8参照)。
【0086】
[実施形態の第2変形例]
実施形態の第2変形例について説明する。制御部3は、新規通知が有ることを秒針6a以外の構成要素によって表示させてもよい。例えば、電子時計1がランプを有する場合、制御部3は、新規通知が有ることなど、報知動作をランプの点灯やランプの点滅等によって表示してもよい。この場合は、ランプが表示部となる。また、表示部が、デジタル表示部である場合には、報知動作としてデジタル表示をしてもよい。さらに制御部3は、報知動作を行う際に、新規通知が有る場合とない場合とで秒針6a等の表示部の動作を異ならせてもよい。
【0087】
上記の実施形態および変形例に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。
【符号の説明】
【0088】
1 電子時計
2 駆動部
3 制御部
4 通信部
5 電池
6 指針
6a:秒針、 6b:分針、 6c:時針
7 モータ
8 メモリ
9 センサ
10 着信通知システム
11 太陽電池
12 ブザー
13 外装ケース
14 アナログ表示部
15 文字板
16 リューズ
17 プッシュボタン
18a 通信ONマーク
18b 通信OFFマーク
19 ACTマーク
20 CALLマーク
21 モータ駆動回路
22 電源管理部
23 ブザー駆動回路
24 タイマー
25 INFOマーク
26 日表示部
50 携帯通信機器
60 アプリケーション
71 第一モータ
72 第二モータ
100 インターネット網
200 外部サーバ
Δt1 第一の間隔
Δt2 第二の間隔