(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-07
(45)【発行日】2023-04-17
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 13/04 20060101AFI20230410BHJP
G09F 13/20 20060101ALI20230410BHJP
【FI】
G09F13/04 D
G09F13/20 G
(21)【出願番号】P 2019085423
(22)【出願日】2019-04-26
【審査請求日】2022-04-08
(73)【特許権者】
【識別番号】390010054
【氏名又は名称】コイト電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104237
【氏名又は名称】鈴木 秀昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】笹井 浩毅
(72)【発明者】
【氏名】中村 恒治
【審査官】三橋 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-078579(JP,A)
【文献】特開2010-160820(JP,A)
【文献】特開2018-031964(JP,A)
【文献】特開平07-319402(JP,A)
【文献】実開昭59-186886(JP,U)
【文献】特開平10-300527(JP,A)
【文献】特開平09-258679(JP,A)
【文献】特開平07-199830(JP,A)
【文献】特開2015-082625(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 13/04
G09F 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を表示可能な表示装置において、
前面側が開口した本体と、該本体の前面側に開閉可能に設けられる前面扉と、を備え、
前記前面扉は、表側に配される表示板と、該表示板の裏側に沿わせる光源基板と、該光源基板を支持する取付枠と、を備え、
前記取付枠の内周縁側に、前記光源基板の外周縁側を前方から係合させて、前記光源基板を前記表示板の裏側に沿わせる位置に支持する支持部を設け
、
前記支持部は、前記取付枠の内周縁側に沿って前記光源基板の外周縁側を囲む位置に複数設けられ、
前記光源基板は、前記各支持部に対して、外周縁側の裏面がスペーサーを介して係合された状態に支持され、
前記各スペーサーのうち少なくとも何れか1つの全部または一部は、前記光源基板の外周縁側の裏面に対して着脱可能であり、該スペーサーの全部または一部を取り外した状態で、前記光源基板を前記取付枠の内周縁側より位置をずらして後方から着脱可能としたことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記表示板は、前記取付枠の外周縁側に前方から支持され、
前記表示板の外周縁側に被せた状態で、前記取付枠の外周縁側に前方から組み付ける開口枠を備えたことを特徴とする請求項
1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記本体の開口周縁に、該開口周縁の周囲からの水を切り返して内部への進入を防ぐ水切り部が設けられ、
前記水切り部は、前記表示板の外周縁側を後方から支持する前記取付枠の外周縁側に対して後方から当接させる当接部を備え、
前記開口枠の開口周縁が前記表示板の表面に重なる位置を、少なくとも前記当接部と対向する部位まで含ませたことを特徴とする請求項
2に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報を表示可能な表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、表示装置として、例えば外郭フレーム(取付枠)の表側に透光性のある樹脂カバー(表示板)を取り付け、樹脂カバーの裏側に数多のLEDを実装した基板(光源基板)を沿わせたものが知られている(例えば特許文献1参照)。ここで基板は外郭フレームに対して、外郭フレームの裏側に取り付けた金属製の裏板にさらに保持具を介して支持されていた。
【0003】
この種の表示装置は、例えば
図17に示すように、前面側が開口した箱状の本体1の前面扉2として構成されたものが知られている。すなわち、前面扉2では、その取付枠3の表側に図示省略したが透光性のある表示板を取り付け、表示板の裏側に光源基板4を沿わせるように支持する。ここで光源基板4は、取付枠3の後方から取付金具5を介して支持されていた。一般に取付金具5は、光源基板5の背面両端に固定する上下に延びた一対の部材である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した従来の表示装置では、何れの構成であっても、光源基板を取付枠に支持するために、金属製の裏板や一対の取付金具など嵩張る大きさの別部品が必要であった。そのため、表示装置全体の部品点数が多くなり、組付工数も増えるだけでなく、構成の簡素化や薄型化の要望に応じることが困難であった。さらに、光源基板の交換作業も煩雑となり面倒であった。
【0006】
本発明は、以上のような従来の技術の有する問題点に着目してなされたものであり、取付枠に対して光源基板を簡易な構成で容易に支持することが可能であり、部品点数や組付工数が削減され、構成の簡素化や薄型化を実現することができ、光源基板の交換作業も容易に行うことが可能となる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一態様は、情報を表示可能な表示装置において、前面側が開口した本体と、該本体の前面側に開閉可能に設けられる前面扉と、を備え、前記前面扉は、表側に配される表示板と、該表示板の裏側に沿わせる光源基板と、該光源基板を支持する取付枠と、を備える。前記取付枠の内周縁側に、前記光源基板の外周縁側を前方から係合させ、前記光源基板を前記表示板の裏側に沿わせる位置に支持する支持部を設けた。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る表示装置によれば、部品点数や組付工数が削減され、構成の簡素化や薄型化を実現することができ、光源基板の交換作業も容易に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係る表示装置を前方から見た分解斜視図である。
【
図2】実施形態に係る表示装置を後方から見た分解斜視図である。
【
図3】実施形態に係る表示装置を前方から見た斜視図である。
【
図4】実施形態に係る表示装置を後方から見た斜視図である。
【
図5】実施形態に係る表示装置の前面扉を開いた状態を示す斜視図である。
【
図10】実施形態に係る表示装置の左側面図である。
【
図12】
図7のXII-XII線拡大断面図である。
【
図13】
図7のXIII-XIII線拡大断面図である。
【
図14】実施形態に係る表示装置の取付枠に光源基板を支持する状態を前方から見た斜視図(a)と後方から見た斜視図(b)である。
【
図15】実施形態に係る表示装置の取付枠に光源基板を支持した後の状態を前方から見た斜視図(a)と後方から見た斜視図(b)である。
【
図16】実施形態に係る表示装置の取付枠から光源基板を取り外す一連の作業を説明する縦断面図(a)~(c)である。
【
図17】従来の表示装置の要部を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づき本発明を代表する実施形態を説明する。
図1~
図16は、一実施形態を示している。
本実施形態に係る表示装置10は、各種の情報を表示可能なものであり、前面側が開口した本体11と、該本体11の前面側に開閉可能に設けられる前面扉20と、を備えている。以下、本実施形態では、表示装置10を縦長となる姿勢で使用する場合について説明するが、表示装置10は横長となる姿勢でも使用可能に構成されている。
【0011】
<表示装置10の概要>
A.本体11について
図1に示すように、本体11は、表示装置10の土台となるものである。本体11は、例えば前面が長方形に開口した底浅な箱状であり金属等で形成されている。本体11は、その内部の底をなす背面部111の4辺より、所定高さで立ち上がる周壁として上面部112、下面部113、および両側面部114,115を備えている。
【0012】
各周面部112~115の端縁が連なる開口周縁に沿って、該開口周縁の周囲からの水を切り返して内部への侵入を防ぐ水切り部12が設けられている。表示装置10を屋外で使用する場合は防水性を保つ必要があるが、前面扉20を閉じたとき、水切り部12によって本体11の内部の防水性は確保される。
【0013】
図12に示すように、水切り部12は、開口周縁の四方より開口内側に向かい所定幅で開口面と平行に延出した後、より短い一定幅で立ち上がり、その最外縁がさらに短い幅だけフランジ状に開口外側に向かい開口面と平行に折り返されて形成されている。ここで水切り部12の最外縁をなすフランジ状の部位は、後述する前面扉20の取付枠21の外周縁側に当接させる当接部121として設けられている。なお、当接部121は、取付枠21の外周縁側の裏側に直に当接させるよりも、後述するパッキン61を介して当接させると良い。
【0014】
本体11は、その内部に制御基板や電源基板等の関連部品16,17を収納するスペースを備えている。関連部品16,17は、例えばネジ等の固定手段によって本体11内部で背面部111に固定される。なお、制御基板は、光源基板30に実装されている個々のLEDの点灯を制御するものであり、各種信号を出力するコネクタ等の電子部品を備えている。
【0015】
B.前面扉20について
図1および
図2に示すように、前面扉20は、表示装置10の表示部をなすものであり、本体11の開口を開閉するように設けられている。前面扉20は、例えば本体11の開口に重なる長方形の板状に形成されている。前面扉20は、その一側端がヒンジ13を介して本体11の一側面部114に開閉可能に連結されている。よって、前面扉20は、ヒンジ13を回動中心として、他側端を前方に向けて開くことができる。
【0016】
前面扉20の他側端と本体11の他側面部115には、互いに合わさる状態でロックおよびロック解除が可能な周知の留め具14が設けられている。また、
図5に示すように、前面扉20の一側端の下方には、前面扉20を開いた状態に保持するための伸縮自在なステー15が設けられている。ステー15の基端は、本体11の内部で下面部113上のブラケットに連結されている。一方、ステー15の先端は、後述する取付枠21の支持部24Cにあるステー取付金具25に連結されている。なお、ステー15自体の構成は、一般的であるので詳細な説明は省略する。
【0017】
このような前面扉20は、さらに詳しく言えば、表側に配される表示板40と、該表示板40の裏側に沿わせる光源基板30と、該光源基板30を支持する取付枠21と、該取付枠21の外周縁側に前方から組み付ける開口枠50と、を備えている。また、取付枠21の外周縁側と表示板40の外周縁側との間には、防水性を確保するためのパッキン60が介装されている。
【0018】
C.前面扉20の取付枠21について
取付枠21は、前面扉20の後側の枠組みをなし、光源基板30や表示板40を支持するものである。取付枠21は、その内側が大きく開口した枠組み状であり金属等から形成されている。取付枠21は、上辺部211、下辺部212、および両側辺部213,214を備えている。各辺部211~214の内周縁をなす内周壁22の前端縁に沿って、開口外側に向かい所定幅で開口面と平行に延出し、外周縁側をなすフランジ部23が設けられている。
【0019】
フランジ部23は、後述する表示板40や開口枠50を取り付ける部位である。すなわち、フランジ部23の表側に、開口枠50と一体の表示板40の外周縁側がパッキン60を介して当接した状態で固定される。また、フランジ部23の裏側には、本体11における水切り部12の当接部121が当接するが、当該部位にも、前面扉20を閉じた際、当接部121が弾発的に当接して防水性を確保するパッキン61(
図12参照)が設けられている。
【0020】
取付枠21の内周縁側には、光源基板30の外周縁側を前方から係合させて、該光源基板30を表示板40の裏側に沿わせる位置に支持するための支持部24A,24B,24Cが設けられている。支持部24A,24B,24Cは、取付枠21の内周壁22の後端縁に沿って、光源基板30の外周縁側を囲む位置に複数設けられている。
【0021】
支持部24A,24B,24Cの数や形状および大きさは特に限定されないが、本実施形態では、両側辺部213,214に位置する内周壁22の後端縁に、それぞれ間隔を開けて並ぶ3個の支持部24B,24A,24Bが設けられている。また、上辺部211と下辺部212に位置する内周壁22の後端縁には、それぞれ両側方向に延びる一連の支持部24Cが設けられている。なお、支持部24A,24B,24Cを総称するときは、単に支持部24と表記する。
【0022】
両側の支持部24A,24Bは、それぞれ内周壁22の後端縁より後方に向かい延出している。各支持部24A,24Bは、水平方向断面が略L字形に形成され、光源基板30の外周縁側を係合させる当接面(開口面と平行な面)を備え、左右で互いに対向するように配置されている。また、上下の支持部24Cは、それぞれ内周壁22の後端縁より開口内側に向かい所定幅で延出している。各支持部24Cは、縦方向断面が略L字形に形成され、光源基板30の外周縁側を係合させる当接面(開口面と平行な面)を備え、上下で互いに対向するように配置されている。
【0023】
取付枠21の両側中央にある支持部24Aは、その上下にある支持部24Bに比べて、当接面が上下に2倍ほど広い幅に設定されている。これは上下の支持部24Bには、後述する光源基板30の2分割された片割れの一方のみ当接させれば足りるが、中央の支持部24Aには、光源基板30の分割された片割れ同士が対接し合う双方を当接させるためである。また、取付枠21の下端にある支持部24Cは、光源基板30の片割れの下端縁を当接させて支持する部位である。同様に、取付枠21の上端にある支持部24Cは、光源基板30の片割れの上端縁を当接させて支持する部位である。
【0024】
図16に示すように、取付枠21の両側中央にある支持部24Aと、上下端にある24Cとは、それぞれの当接面が取付枠21の内周壁22より後方に向かって同じ高さ位置にある。一方、取付枠21の両側で支持部24Aと24Cの中間にある支持部24Bは、その当接面が他の支持部24A,24Cの当接面よりさらに後方に位置している。これは後述するが、光源基板30の片割れを後方から取り出すときに干渉を防ぐためである。
【0025】
また、取付枠21の外周縁側には、後述する開口枠50のボルト部54を通す貫通孔(符号省略)が設けられている。本実施形態では、取付枠21の例えばフランジ部23の4隅と両側中間の上下2箇所の計8箇所に、それぞれ開口枠50のボルト部54に合致する貫通孔が設けられている。
【0026】
取付枠21は、フランジ部23の貫通孔に通したボルト部の先端にナット55を螺着させることで、開口枠50および表示板40と一体に組み合わせされた状態に固定される。また、取付枠21のフランジ部23の表面と表示板40の外周縁側の裏面との間にパッキン60が介装されることにより、前面扉20の内部にある光源基板30への水の侵入が防止される。
【0027】
D.前面扉20の光源基板30について
光源基板30は、後述の表示板40において情報を表示するために、表示板40に裏側から光を照射するものである。光源基板30は、例えば取付枠21の開口に重なる長方形に形成されている。具体的には光源基板30は、例えば基板31の表側に数多のドットをなすLED(図示省略)をマトリクス状に実装したものである。また、基板31の表側には、個々のLEDを格子状に区画して視認性を高めるルーバー32が設けられている。
【0028】
基板31は、一般的なプリント配線基板である。また、LEDは、発光素子を略砲弾型のモールドに埋め込んだLEDランプに限らず、リード線上に実装された発光素子のみからなるLEDチップであっても良い。また、LEDの発光色は、カラーであっても単色であっても良い。なお、基板31の裏側には、電線や信号線等を接続するコネクタ等も設けられており、制御基板や電源基板等に接続されている。
【0029】
図12および
図13に示すように、光源基板30は、取付枠21の開口内側の後方寄りで表示板40の裏側に沿わせる位置に支持される。ここで光源基板30は、表示板40と平行に対向する状態に配置される。本実施形態では、光源基板30は上下2つに分割されている。個々の光源基板30A,30Bは、それぞれ同じ大きさで同様な構成であり、互いに同一平面上に連なるように配置されるが、別々に着脱可能である。なお、各光源基板30A,30Bを総称するときは、単に光源基板30と表記する。
【0030】
光源基板30の外周縁側の裏面には、スペーサーをなすボス部33が立設されている。各ボス部33は、前記取付枠21にある複数の支持部24に合致して係合する位置に立設されている。すなわち、各光源基板30A,30Bごとに、両側中央と両側上下に3個ずつ計6個のボス部33が立設されている。
【0031】
ボス部33は、所定高さの略円筒状あり金属等で形成されている。ボス部34の基端面には雄ネジが軸方向に突設され、先端面には雌ネジが内部に向かって凹設されている。ボス部33は、その雄ネジを光源基板30に穿設された小孔に圧入することで、光源基板30に立設される。また、ボス部33の先端面の雌ネジに別のボス部34の雄ネジを螺合させることで、ボス部33,34全体としての高さを適宜調整することができる。
【0032】
本実施形態では、各光源基板30A,30Bごとに、両側中央に立設されたボス部33に別のボス部34が螺合され、両側中央のボス部33,34が、両側上下のボス部33より2倍の高さとなっている。なお、各ボス部33,34は、金属等の導電性を有する材質により形成することで、アースとしての機能も備えるように構成すると良い。
【0033】
各光源基板30A,30Bにおいて、両側中央のボス部33,34は、それぞれ取付枠21の支持部24Bに係合する。また、両側上下のうち相対向する側のボス部33は、それぞれ共通の幅広の支持部24Aに係合する。また、両側上下のうち離隔する側のボス部33は、それぞれ取付枠21の上下端にある支持部24Cの一方に係合する。
【0034】
このように、各光源基板30A,30Bにおいて、両側上下のボス部33は、それぞれ取付枠21の内周縁より後方に向かい同じ高さ位置にある支持部24A,24Cの当接面に係合するが、両側中央のボス部33,34は、取付枠21の開口内側で他の支持部24A,24Cよりさらに後方に位置する支持部24Bの当接面に係合する。なお、
図16に示すように、支持部24の当接面には、ボス部33,34の先端面の雌ネジに合致する貫通孔が設けられており、各支持部24ごとに貫通孔よりボス部33,34の先端面にネジ止めされる。
【0035】
E.前面扉20の表示板40について
表示板40は、各種の情報を表示するものである。表示板40は、例えば取付枠21のフランジ部23の外形に合致した長方形の平板状であり、透光性のある樹脂等で形成されている。表示板40は、その背面側から光を照射されることにより、各種の情報(例えば文字や図形等)を表示可能に構成されている。
【0036】
表示板40での情報の表示は、前述した光源基板30をなすマトリクス状の個々のLEDの点灯ないし点滅によるドットのパターンとして、文字や図形等を表示することができる。あるいは、表示板40自体に予め所定の情報を印刷等によって記しておき、表示板40の裏側から光を照射することにより、所定の情報を浮かび上がらせるような表示であっても構わない。
【0037】
表示板40の外周縁側には、後述する開口枠50のボルト部54を通す貫通孔(符号省略)が設けられている。本実施形態では、表示板40の例えば4隅と両側中間の上下2箇所の計8箇所に、それぞれ開口枠50のボルト部54に合致する貫通孔が設けられている。表示板40は、その貫通孔に開口枠50のボルト部54を通すことにより、開口枠50の内側で位置決めされる。
【0038】
表示板40は、その外周縁側が開口枠50に囲まれた状態で、開口枠50と共に取付枠21のフランジ部23に対して固定される。このように表示板40は、開口枠50と取付枠21との間に挟まれるように固定される。なお、本実施形態では、表示板40の前方を覆うカバーは特になく、表示板40自体が前面扉20の最前面における外装の主要部をなしている。
【0039】
F.前面扉20の開口枠50について
図1および
図2に示すように、開口枠50は、前面扉20の前側の枠組みをなし、前面扉20の外周縁側となるものである。開口枠50は、その内側が大きく開口した枠組み状であり金属等から形成されている。開口枠50は、前記取付枠21の外周縁側に前方から被さる大きさの長方形の前面壁51と、該前面壁51の4辺より後方に所定幅で立ち上がる周壁52と、を備えている。開口枠50は、表示板40の外周縁側を取り囲む状態で、取付枠21の外周縁側に前方から一体に組み合わせされる。
【0040】
前面壁51には、表示板40の表側を外部へ露出させる長方形の開口が大きく形成されている。
図12に示すように、開口枠50における開口の大きさは、その開口周縁53が表示板40の表面に重なる位置が、少なくとも本体11の水切り部12の当接部121と対向する部位まで含まれるように設定されている。すなわち、前面扉20を閉じたとき、当接部121は、表示板40の外周縁側を後方から支持する取付枠21のフランジ23にパッキン61を介して後方から当接するが、この当接部位は、表示板40の厚さ方向において開口枠50の前面壁51と対向することになる。
【0041】
図2に示すように、開口枠50の内側、すなわち前面壁51の裏側の例えば4隅と両側中間の上下2箇所ずつの計8箇所に、それぞれ後方へ垂直に突出する棒状のボルト部54が一体に設けられている。各ボルト部54は、表示板40やパッキン60を開口枠50の内側に位置決めすると共に、取付枠21のフランジ部23に組み付けて固定するためのものである。
【0042】
G.前面扉20のパッキン60について
図1に示すように、パッキン60は、取付枠21のフランジ部23と表示板40の外周縁側との間に介装されて、前面扉20の内部における光源基板30の防水性を確保するものである。パッキン60は、取付枠21のフランジ部23に沿って周回する長方形の枠組み状であり、例えばシリコンゴム等の弾性材質から形成されている。また、パッキン60の周囲にも、開口枠50のボルト部54が合致する位置にボルト部54を通す貫通孔(符号省略)が設けられている。
【0043】
<表示装置10の作用>
H.上記した表示装置10の作用について説明する。
先ず、前面扉20を組み立てるには、
図14および
図15に示すように、取付枠21の開口内側に光源基板30を取り付ける。このとき、取付枠21の内周縁側にある各支持部24に対して、光源基板30の外周縁側の裏面にあるボス部33,34を前方から係合させる。各支持部24の当接面には、ボス部33,34の先端面の雌ネジに合致する貫通孔があり、各支持部24をボス部33,34にネジ止めする。
【0044】
次いで、表示板40の外周縁側に被せた開口枠50を、表示板40ごと取付枠21のフランジ部23に前方から組み付けて一体化する。すなわち、開口枠50の内側に表示板40を重ねて、表示板40の裏面上にパッキン60も重ねた状態で、さらに取付枠21のフランジ部23を重ね合わせる。このとき、開口枠50の内側より突出したボルト部54が、各部品の周囲にある貫通孔を通って互いに位置決めされる。そして、フランジ部23の裏側に突出したボルト部54の先端にナット55を螺合させれば、前面扉20の各部品を重ね合わせた状態で一体に固定することができる。
【0045】
組み上がった前面扉20は、その一側端をヒンジ13によって本体11の一側面部114に開閉可能に連結する。前面扉20は、ヒンジ13を回動中心として、他側端を前方に向けて開くことができ、ステー15によって開いた状態に保持することもできる。本実施形態では、表示装置10を縦長となる姿勢で使用する場合について説明したが、表示装置10を横長となる姿勢で使用するときは、ステー15によって前面扉20を開いた状態に保持できることが重要となる。
【0046】
すなわち、表示装置10を横長となる姿勢で使用する場合、例えばヒンジ13を設けた前面扉20の一側端を下側にすると、前面扉20の上側となる他側端を前に倒すように開けることになる。このとき、前面扉20をステー15によって、本体11の開口面に対して略90度の角度に開いた状態に保持することができ、前面扉20が自重で垂下することを防止することができる。なお、ステー取付金具25を取付枠21の支持部24Cに設けたことにより、支持部24Cをステー15の取り付けに活用することができる。
【0047】
図12に示すように、前面扉20を閉じたとき、本体11の開口周縁にある水切り部12の当接部121が、取付枠21のフランジ部23の裏面にパッキン61を介して当接する。そのため、水切り部12自体の作用と相俟って、前面扉20と本体11との合わせ目から内部に水が浸入することを確実に防止することができる。また、前面扉20において、取付枠21のフランジ部23の表面と表示板40の外周縁側の裏面との間にパッキン60が介装されることで、前面扉20自体の内部における防水性も高めることができる。よって、本表示装置10は屋外での使用にも適している。
【0048】
また、水切り部12の当接部121が、取付枠21のフランジ部23に当接する部位は、表示板40の厚さ方向において開口枠50の前面壁51と対向している。すなわち、開口枠50の開口周縁53が表示板40の表面に重なる位置を、少なくとも当接部121と対向する部位まで含ませている。これにより、表示板40の外周縁側を強固に挟持することが可能となり、開口枠50の開口周縁53等に歪みが生じ難くなり、前面扉20における高い強度を得ることができる。
【0049】
ところで、光源基板30はLEDの劣化等により交換を要するが、本実施形態では、取付枠21から光源基板30を容易に取り外すことが可能である。すなわち、
図16において、例えば下側の光源基板30Bを交換する場合、同図(a)に示すように、各支持部24の当接面をボス部33,34に固定するネジを外す。次いで、
図16(b)に示すように、光源基板30Bを下方向へずらすと、取付枠21の両側の支持部24A,24Bに係合していたボス部33,34は下方に外れる。
【0050】
光源基板30Bは、その下端縁が取付枠21の下側の支持部24Cが連なる内周壁22に当接するまで移動し、光源基板30Bの両側上端にあるボス部33は支持部24Aから下方に外れ、光源基板30Bの両側中間にあるボス部33,34も支持部24Bから下方に外れる。そして、光源基板30Bの両側中間にあるボス部33,34のうち上側のボス部34だけ取り外す。これにより、
図16(c)に示すように、光源基板30Bの下端縁を支点として上端縁を後方へ引き出すように傾けることができる。
【0051】
図16においては、各光源基板30A,30Bごとに6箇所ずつある各ボス部33,34のうち、全部ではなく一部として両側中央のボス部33,34のさらに一部(上側のボス部34)だけを取り外す例を示したが、他の箇所のボス部33も容易に取り外せるように構成しても良い。また、他の箇所のボス部33も、複数段の高さとなるように複数のボス部33,34を組み合わせても良い。この場合、支持部24の当接面の高さは、ボス部33,34全体の高さに合わせて設定される。
図16の構成によれば、光源基板30を取り外すときに、各ボス部33,34を外す数を最小限(1つだけ)とすることができる。
【0052】
図16(c)に示すように、光源基板30Bを傾けると、その両側中間が支持部24Bに干渉する虞があるが、支持部24Bの当接面の高さは他の支持部24Aよりも高く設定されており、しかも、上側のボス部34が外された分だけ、支持部24Bの当接面と残されたボス部33との間に空間が生じる。そのため、光源基板30Bの両側中間のボス部33が支持部24Bと干渉することなく、光源基板30Bを傾けて斜め後方に引き出すことが可能となる。なお、もう一方の光源基板30Aを外す場合も同様な作業となる。
【0053】
このように、本表示装置10によれば、前面扉20における光源基板30の交換作業も容易に行うことが可能となる。これに対して、
図17に示す従来の前面扉2で光源基板4を交換する場合には、取付枠3から光源基板4ごと一対の取付金具5,5を外すだけでなく、光源基板4からも各取付金具5を外さなければならず、光源基板4の交換作業が煩雑であり面倒であった。
【0054】
なお、光源基板30のLEDは、制御基板によって点灯制御されるが、例えば本体11側の関連部品16,17に設けた光センサによって、外部の明るさに応じて調光したり表示内容を変更することが考えられる。ここで本体11側の光センサまで外部からの光が届くように、例えば光源基板30には光を通す貫通孔を形成しておくと良い。
【0055】
I.以上、本実施形態の表示装置10によれば、次のような効果を得ることができる。
先ず、表示装置10では、取付枠21の内周縁側に、光源基板30の外周縁側を前方から係合させて、光源基板30を表示板40の裏側に沿わせる位置に支持する支持部24を設けたから、光源基板30を取付枠21に対して、
図17に示す従来の取付金具5等の嵩張る別部品を用いることなく、簡易な構成で容易に支持することができる。従って、表示装置10全体の部品点数や組付工数が削減され、構成の簡素化や薄型化を実現することができる。
【0056】
また、支持部24は、取付枠21の内周縁側に沿って光源基板30の外周縁側を囲む位置に複数設けたから、光源基板30を安定した状態で確実に支持することができる。また、光源基板30は、その外周縁側の裏面がスペーサーであるボス部33,34を介して支持部24に係合された状態に支持される。これにより、
図16に示したように、光源基板30を取付枠21の後方より取り外すことが可能となり、光源基板30の交換作業を容易に行うことができる。
【0057】
すなわち、各ボス部33,34のうち少なくとも何れか1つの全部または一部は、光源基板30の外周縁側の裏面に対して着脱可能であり、各ボス部33,34の全部または一部を取り外した状態で、光源基板30を取付枠21の内周縁側より位置をずらして後方から着脱可能となる。特に本実施形態では、各光源基板30A,30Bごとに、それぞれ両側中間のボス部33,34を高くし、その分だけ支持部24Bの当接面の高さも高くしたことにより、各ボス部33,34を外す数を最小限とし、光源基板30をいっそう容易に取り外すことができる。
【0058】
また、表示板40は、取付枠21の外周縁側に前方から支持され、開口枠50は、表示板40の外周縁側に被せた状態で取付枠21の外周縁側に前方から組み付けられる。これにより、取付枠21、光源基板30、表示板40、開口枠50を、互いに重ね合わせた状態で一体に固定することが可能となる。
【0059】
さらに、本体11の開口周縁に、該開口周縁の周囲からの水を切り返して内部への進入を防ぐ水切り部12があるため、表示装置10を屋外で使用するための防水性も確保することができる。特に水切り部12は、表示板40の外周縁側を後方から支持する取付枠21の外周縁側に対して後方から当接させる当接部121を備え、開口枠50の開口周縁53が表示板40の表面に重なる位置を、少なくとも当接部121と対向する部位まで含ませている。これにより、前面扉20における高い強度を得ることができる。
【0060】
以上、実施形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。例えば、本体11や前面扉20の形状は図示したものに限定されることはない。また、表示装置10は、縦長となる姿勢での使用に限らず、横長となる姿勢でも使用可能である。
【0061】
また、本実施形態では、取付枠21の支持部24に対して、光源基板30の外周縁側をボス部33(34)を介して係合させたが、光源基板30の外周縁側を直に当接させて係合するように構成しても構わない。この場合、部品点数をさらに削減するという利点が、光源基板30を交換しずらいという不自由さを上回って評価されることもある。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、例えば屋外に設置する照明ディスプレイ等と、様々な分野における表示装置として広く利用することができる。
【符号の説明】
【0063】
10…表示装置
11…本体
20…前面扉
21…取付枠
22…内周壁
23…フランジ部
24…支持部
30…光源基板
31…基板
32…ルーバー
33…ボス部
40…表示板
50…開口枠
51…前面壁
52…周壁
53…開口周縁
60…パッキン
61…パッキン