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特許7258654モータ駆動装置用の回路基板およびモータ駆動装置
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  • 特許-モータ駆動装置用の回路基板およびモータ駆動装置 図1
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  • 特許-モータ駆動装置用の回路基板およびモータ駆動装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-07
(45)【発行日】2023-04-17
(54)【発明の名称】モータ駆動装置用の回路基板およびモータ駆動装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 25/18 20060101AFI20230410BHJP
   H02P 27/06 20060101ALI20230410BHJP
【FI】
H02P25/18
H02P27/06
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019096712
(22)【出願日】2019-05-23
(65)【公開番号】P2020191753
(43)【公開日】2020-11-26
【審査請求日】2022-04-04
(73)【特許権者】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】東芝キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉村 公志
(72)【発明者】
【氏名】李 志剛
【審査官】谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-062726(JP,A)
【文献】国際公開第2018/070005(WO,A1)
【文献】特開2017-103993(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 25/18
H02P 27/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに非接続状態の複数の相巻線を有するオープン巻線モータの駆動及び一端が非接続状態で他端がスター結線された複数の相巻線を有する第1,第2スター結線モータの駆動が可能なモータ駆動装置用の回路基板であって、
前記オープン巻線モータまたは前記第1,第2スター結線モータの各相巻線が接続される第1~第7出力端子と、
直流電圧を3相電圧に変換する第1インバータと、
前記直流電圧を3相電圧に変換する第2インバータと、
前記第1インバータの各出力端と前記第1,第2,第3出力端子との間に設けられた第1,第2,第3相導電路と、
前記第2インバータの各出力端のうち2つの出力端と前記第4,第5出力端子との間に設けられた第4,第5相導電路と、
前記第2インバータの各出力端のうち前記第4,第5相導電路との接続がない1つの出力端と前記第6,第7出力端子との間に設けられた第6,第7相導電路と、
前記第4,第5相導電路の相互間に設けられた第1開閉器接続端子と、
前記第5,第6相導電路の相互間に設けられた第2開閉器接続端子と、
前記第1,第2,第3相導電路のいずれか2つの相導電路に設けられた第1,第2電流検知器と、
前記第4,第5相導電路のうち、前記第1,第2電流検知器が設けられる2つの相導電路とは相が対応しない1つの相導電路に設けられた第3電流検知器と、
を備え、
前記第6相導電路は、互いに離間した一対の導電路からなり、前記一対の導電路の相互間に第4電流検知器が接続可能な端子を備え、
前記第1開閉器接続端子は、前記第4相導電路または前記第5相導電路における前記第3電流検知器の配置位置より前記第2インバータ側の位置に設けられ、
前記第2開閉器接続端子は、前記第6相導電路における前記第4電流検知器の接続位置より前記第2インバータ側の位置に設けられている、
ことを特徴とする回路基板。
【請求項2】
前記第1開閉器接続端子および前記第2開閉器接続端子に部品の接続がない場合に前記第1,第2インバータを制御し、前記第1開閉器接続端子に第1開閉器が接続されかつ前記第2開閉器接続端子に第2開閉器が接続された場合は前記第1,第2インバータおよび前記第1,第2開閉器を制御する制御部、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の回路基板。
【請求項3】
前記第1,第2,第3電流検知器が設けられる前記各相導電路は、互いに離間した一対の導電路からなり、その一対の導電路の相互間に前記第1,第2,第3電流検知器がそれぞれ接続されることにより、その第1,第2,第3電流検知器を通して導通する
ことを特徴とする請求項1に記載の回路基板。
【請求項4】
前記直流電圧を出力する直流電源が接続される正側電源端子および負側電源端子と、
前記正側電源端子および前記負側電源端子への入力電圧を前記第1,第2インバータに導く正側導電路および負側導電路と、
さらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の回路基板。
【請求項5】
請求項に記載の回路基板を備えたモータ駆動装置であって、
前記第1開閉器接続端子第1開閉器が接続され、
前記第2開閉器接続端子第2開閉器が接続され、
前記オープン巻線モータの3つの相巻線のそれぞれ一端が前記第1,第2,第3出力端子に接続され、前記オープン巻線モータの3つの相巻線のうち2つの相巻線のそれぞれ他端が前記第4,第5出力端子に接続され、前記オープン巻線モータの3つの相巻線のうち前記第4,第5出力端子に接続されない1つの相巻線の他端が前記第7出力端子に接続されて前記オープン巻線モータが駆動される
ことを特徴とするモータ駆動装置。
【請求項6】
前記オープン巻線モータを駆動する場合、前記第1,第2,第3電流検知器の検知結果に応じて前記第1,第2開閉器の開閉および前記第1,第2インバータのスイッチングを制御する制御部
をさらに備える
ことを特徴とする請求項5に記載のモータ駆動装置。
【請求項7】
請求項に記載の回路基板を備えたモータ駆動装置であって、
前記第1,第2スター結線モータを駆動する場合、前記第6相導電路の前記一対の導電路の相互間に第4電流検知器が接続され、前記第1スター結線モータの3つの相巻線のそれぞれ一端が前記第1,第2,第3出力端子に接続され、前記第2スター結線モータの3つの相巻線のうち2つの相巻線のそれぞれ一端が前記第4,第5出力端子に接続され、前記第2スター結線モータの3つの相巻線のうち前記第4,第5出力端子との接続がない1つの相巻線の一端が前記第6出力端子に接続されて前記第1,第2スター結線モータが駆動される、
ことを特徴とするモータ駆動装置。
【請求項8】
前記第1,第2スター結線モータを駆動する場合、前記第1,第2電流検知器の検知結果に応じて前記第1インバータのスイッチングを制御し、前記第3,第4電流検知器の検知結果に応じて前記第2インバータのスイッチングを制御する制御部
をさらに備える
ことを特徴とする請求項7に記載のモータ駆動装置。
【請求項9】
前記直流電圧を出力する直流電源部と、
前記回路基板に設けられ、前記直流電源部の出力端に接続される正側電源端子および負側電源端子と、
前記回路基板に設けられ、前記正側電源端子および前記負側電源端子への入力電圧を前記第1,第2インバータに導く正側導電路および負側導電路と、
さらに備える、
ことを特徴とする請求項5から請求項8のいずれか一項に記載のモータ駆動装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記回路基板に設けられる
ことを特徴とする請求項6または請求項8に記載のモータ駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オープン巻線モータの駆動及び2台のスター結線状態の駆動を可能とするモータ駆動装置用の回路基板、およびその回路基板を用いるモータ駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機や熱源機などの冷凍サイクル装置に搭載される圧縮機の駆動用モータとして、複数の相巻線を有する永久磁石同期モータが使用される。また、この永久磁石同期モータの例として、3相巻線の一端を相互に接続してスター結線(星形結線)とした構成の通常のスター結線モータ(星形結線モータ)のほかに、3相巻線の両端を非接続状態とした構成のオープン巻線モータ(Open-Windings Motor)が知られている。さらに、このオープン巻線モータの3相巻線の一端を開放状態すなわちオープン巻線状態とするか、同オープン巻線モータの3相巻線の一端を相互接続してスター結線状態とするかを選択的に切換える開閉器を設け、オープン巻線モータをオープン巻線状態およびスター結線状態のいずれかで駆動するモータ駆動装置がある。例えば、オープン巻線モータの高速回転が必要な場合は、オープン巻線状態として2つのインバータを連係運転することにより、3相巻線への印加電圧を高くすることができ、これによりオープン巻線モータを高速回転域で駆動することができる。中・低速回転域では、スター結線状態に切換えて1つのインバータを単独運転することにより、オープン巻線モータを高効率で駆動することができる。すなわち、オープン巻線モータを広範囲の回転数域で効率よく駆動することができる。
【0003】
このモータ駆動装置は、3相巻線の一端への通電を制御する第1インバータ、各相巻線の他端への通電を制御する第2インバータ、3相巻線の他端を相互接続(星形結線)または開放する開閉器、3相巻線に流れる電流を検知する電流検知器などの部品を1つの回路基板にまとめて搭載することにより、できるだけ小形化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4906836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記モータ駆動装置は、2つのインバータを装備しているので、オープン巻線モータの駆動に用いるだけでなく、2台のスター結線モータの駆動にも用いることができる。この兼用に際しては、回路基板に搭載する部品をできるだけ共通化できるとともに、部品点数を削減できることが望ましい。
【0006】
本発明の実施形態の目的は、オープン巻線モータの駆動および2台のスター結線モータの駆動に兼用することができ、しかも搭載する部品をできるだけ共通化できるとともに、部品点数を削減できる回路基板およびモータ駆動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の回路基板は、互いに非接続状態の複数の相巻線を有するオープン巻線モータの駆動および一端が非接続状態で他端がスター結線された複数の相巻線を有する第1,第2スター結線モータの駆動が可能なモータ駆動装置用の回路基板であって;前記オープン巻線モータまたは前記第1,第2スター結線モータの各相巻線が接続される第1~第7出力端子と;直流電圧を3相電圧に変換する第1インバータと;前記直流電圧を3相電圧に変換する第2インバータと;前記第1インバータの各出力端と前記第1,第2,第3出力端子との間に設けられた第1,第2,第3相導電路と;前記第2インバータの各出力端のうち2つの出力端と前記第4,第5出力端子との間に設けられた第4,第5相導電路と;前記第2インバータの各出力端のうち前記第4,第5相導電路との接続がない1つの出力端と前記第6,第7出力端子との間に設けられた第6,第7相導電路と;前記第4,第5相導電路の相互間に設けられた第1開閉器接続端子と;前記第5,第6相導電路の相互間に設けられた第2開閉器接続端子と;前記第1,第2,第3相導電路のいずれか2つの相導電路に設けられた第1,第2電流検知器と;前記第4,第5相導電路のうち、前記第1,第2電流検知器が設けられる2つの相導電路とは相が対応しない1つの相導電路に設けられた第3電流検知器と;を備える。前記第6相導電路は、互いに離間した一対の導電路からなり、前記一対の導電路の相互間に第4電流検知器が接続可能な端子を備える。前記第1開閉器接続端子は、前記第4相導電路または前記第5相導電路における前記第3電流検知器の配置位置より前記第2インバータ側の位置に設けられている。前記第2開閉器接続端子は、前記第6相導電路における前記第4電流検知器の接続位置より前記第2インバータ側の位置に設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態の構成をオープン巻線モータと共に示す図。
図2】一実施形態の制御部が実行する制御の流れを示すフローチャート。
図3】一実施形態の制御部が実行する制御の時間的変化を示すタイムチャート。
図4】一実施形態の構成をスター結線モータと共に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態について説明する。
図1に示すように、3相交流電源1に直流電源部2が接続される。直流電源部2は、ノイズ除去用のフィルタおよび全波整流回路を含み、3相交流電源1の電圧を直流電圧に変換する。この直流電源部2の正側出力端(+)および負側出力端(-)に、回路基板10の正側電源端子Apおよび負側電源端子Anが配線接続される。回路基板10は、オープン巻線モータの駆動とスター結線モータの駆動が可能なモータ駆動装置用であり、正側電源端子Ap,負側電源端子Anを一側辺に有するほかに、出力端子(第1~第6出力端子)Pu,Pv,Pw,Qu,Qv,Qw1を他側辺に有し、出力端子(第7出力端子)Qw2とリレー接続端子(第1開閉器接続端子)Ru,Rv1およびリレー接続端子(第2開閉器接続端子)Rv2,Rwを内側板面に有する。
【0010】
[オープン巻線モータの駆動]
3相巻線Lu,Lv,Lwの一端を互いに非接続状態とし他端も互いに非接続状態とした構成のオープン巻線モータ70を駆動する場合、モータ駆動装置の製造者は、3相巻線Lu,Lv,Lwの一端を出力端子Pu,Pv,Pwに接続し、3相巻線Lu,Lv,Lwのうち2つの相巻線たとえば相巻線Lu,Lvの他端を出力端子Qu,Qvに接続し、その出力端子Qu,Qvに接続されない残りの1つの相巻線Lwの他端を出力端子Qw2に接続する。出力端子Qw1には何も接続しない。
【0011】
オープン巻線モータ70は、永久磁石同期モータであり、空気調和機や熱源機などの冷凍サイクル装置に搭載される圧縮機の駆動用モータとして使用される。
【0012】
回路基板10において、正側電源端子Ap,負側電源端子Anと出力端子Pu,Pv,Pwとの間の位置にインバータ(第1インバータ)20が設けられ、このインバータ20の下方側かつ出力端子Qu,Qv,Qw1,Qw2と対応する位置にインバータ(第2インバータ)30が設けられている。そして、正側電源端子Apとインバータ20,30のそれぞれ正側入力端との間に正側導電路(正側導電パターン)11が設けられ、負側電源端子Anとインバータ20,30のそれぞれ負側入力端との間に負側導電路(負側導電パターン)12が設けられている。
【0013】
インバータ20は、直列接続したスイッチング素子たとえばIGBT21,22の相互接続点が相電圧Eu1の出力端となるU相直列回路、直列接続したスイッチング素子であるIGBT23,24の相互接続点が相電圧Ev1の出力端となるV相直列回路、直列接続したスイッチング素子であるIGBT25,26の相互接続点が相電圧Ew1の出力端となるW相直列回路を有し、IGBT21~26のスイッチングにより、所定周波数の相電圧Eu1,Ev1,Ew1を出力する。IGBT21~26には、回生用ダイオード(フリー・ホイール・ダイオードともいう)21a~26aが逆並列接続されている。
【0014】
インバータ30は、直列接続したIGBT31,32の相互接続点が相電圧Eu2の出力端となるU相直列回路、直列接続したIGBT33,34の相互接続点が相電圧Ev2の出力端となるV相直列回路、直列接続したIGBT35,36の相互接続点が相電圧Ew2の出力端となるW相直列回路を有し、IGBT31~36のスイッチングにより、所定周波数の相電圧Eu2,Ev2,Ew2を出力する。IGBT31~36には、回生用ダイオード31a~36aが逆並列接続されている。
【0015】
回路基板10において、インバータ20の相電圧Eu1の出力端と出力端子Puとの間に、U相導電路(第1相導電路)13が直線状に設けられている。回路基板10において、インバータ20の相電圧Ev1の出力端と出力端子Pvとの間に、互いに離間した導電路14a,14bからなるV相導電路(第2相導電路)14が直線状に設けられている。そして、導電路14a,14bの相互間に、V相導電路14に流れる電流を検知するための電流検知器(第1電流検知器)41が接続されている。電流検知器41は、接続に伴い一端が導電路14aに接して他端が導電路14bに接し、導電路14a,14bを相互に導通させる導通要素となり、導通した導電路14a,14bに流れる電流を検知する。
【0016】
回路基板10において、インバータ20の相電圧Ew1の出力端と出力端子Pwとの間に、互いに離間した導電路15a,15bからなるW相導電路(第3相導電路)15が直線状に設けられている。そして、導電路15a,15bの相互間に、W相導電路15に流れる電流を検知するための電流検知器(第2電流検知器)42が接続されている。電流検知器42は、接続に伴い一端が導電路15aに接して他端が導電路15bに接し、導電路15a,15bを相互に導通させる導通要素となり、導通した導電路15a,15bに流れる電流を検知する。
【0017】
回路基板10において、インバータ30の相電圧Eu2の出力端と出力端子Quとの間に、互いに離間した導電路16a,16bからなるU相導電路(第4相導電路)16が直線状に設けられている。そして、導電路16a,16bの相互間に、U相導電路16に流れる電流を検知するための電流検知器(第3電流検知器)43が接続されている。電流検知器43は、接続に伴い一端が導電路16aに接して他端が導電路16bに接し、導電路16a,16bを相互に導通させる導通要素となり、導通した導電路16a,16bに流れる電流を検知する。
【0018】
回路基板10において、インバータ30の相電圧Ev2の出力端と出力端子Qvとの間に、V相導電路(第5相導電路)17が直線状に設けられている。回路基板10において、インバータ30の各出力端のうちU相導電路16およびV相導電路17との導通がない相電圧Ew2の1つの出力端と出力端子Qwとの間に、互いに離間した導電路(第1,第2導電路)18a,18bからなるW相導電路(第6相導電路)18が直線状に設けられている。導電路18aは相電圧Ew2の出力端に導通し、導電路18bは出力端子Qwい導通する。回路基板10をオープン巻線モータ70の駆動用とする場合、製造者は、導電路18a,18bの相互間に電流検知器を接続することはせず、W相導電路18の遮断状態(非導通状態)を保つ。
【0019】
なお、導電路18a,18bの相互間には、回路基板10を後述するスター結線モータ71,72の駆動に用いる場合のみ、製造者によって図4に示すように電流検知器(第4電流検知器)44が接続される。導電路18a,18bは、電流検知器44の接続と取外しを可能にするための端子18at,18btを備えている。電流検知器44は、導電路18a,18bへ接続されるのに伴い、導電路18a,18bを相互に導通させる導通要素となり、導通した導電路18a,18bに流れる電流を検知する。
【0020】
回路基板10において、インバータ30の各出力端のうちW相導電路18との接続がある相電圧Ew2の出力端と出力端子Qw2との間に、W相導電路(第7相導電路)19が直線状に設けられている。このW相導電路19は、インバータ30の相電圧Ew2の出力端を介してW相導電路18aと導通状態にある。
【0021】
U相導電路16の導電路16aと接する位置にリレー接続端子(第1開閉器接続端子)Ruが配置され、V相導電路17において上記リレー接続端子Ruと対向する位置にリレー接続端子(第1開閉器接続端子)Rv1が配置されている。回路基板10をオープン巻線モータ70の駆動用とする場合、製造者は、リレー接続端子Ru,Rv1の相互間に第1開閉器である例えばリレー51の常開接点を接続する。リレー51の常開接点が接続されるリレー接続端子Ruの配置位置は、U相導電路16aにおける電流検知器43の接続位置よりインバータ30側に存する。
【0022】
V相導電路17において上記リレー接続端子Rv1の配置位置と同じところにリレー接続端子(第2開閉器接続端子)Rv2が配置され、W相導電路18の導電路18aにおいて上記リレー接続端子Rv2と対向する位置にリレー接続端子(第2開閉器接続端子)Rwが配置さられている。回路基板10をオープン巻線モータ70の駆動用とする場合、製造者は、リレー接続端子Rv2,Rwの相互間に第2開閉器である例えばリレー52の常開接点を接続する。リレー52の常開接点が接続されるリレー接続端子Rwの配置位置は、W相導電路18における電流検知器44の接続位置(導電路18a,18bの相互間)よりインバータ30側に存する。
【0023】
回路基板10の所定箇所に、制御プログラムを記憶した記憶素子を含む単一のマイクロコンピュータおよびその周辺回路からなる制御部60が設けられている。上記直流電源部2、回路基板10、およびその回路基板10上のインバータ20,30や制御部60など各種電気部品により、オープン巻線モータ70の駆動及び後述する2台のスター結線モータ71,72の駆動が可能なモータ駆動装置が構成されている。
【0024】
上記リレー51,52は、常開接点のほかにそれぞれ励磁コイルを有する。これら励磁コイルにそれぞれ駆動信号を入力するための複数の入力端子が回路基板10に設けられており、制御部60から発せられる2つの駆動信号がこれら入力端子に入力される。各駆動信号が高レベルのときリレー51,52が付勢されてそれぞれの常開接点が閉成し、各駆動信号が低レベルのときリレー51,52が消勢されてそれぞれ常開接点が閉成する。
【0025】
制御部60は、リレー51,52を互いに同期する状態で付勢および消勢する。リレー51の常開接点が閉成すると、オープン巻線モータ70の相巻線Luの他端と相巻線Lvの他端が、出力端子Qu,U相導電路16b,電流検知器43,U相導電路16a,リレー51の常開接点,V相導電路17,出力端子Qw1を介して導通する。リレー52の常開接点が閉成すると、オープン巻線モータ70の相巻線Lvの他端と相巻線Lwの他端が、出力端子Qv,V相導電路17,リレー52の常開接点,W相導電路18a,W相導電路19,出力端子Qw2を介して導通する。つまり、リレー51,52の常開接点の閉成により、オープン巻線モータ70の3相巻線Lu,Lv,Lwの他端が相互接続されてスター結線状態(星形結線状態)となり、3相巻線Lu,Lv,Lwのそれぞれの通電路に電流検知器41,42,43がそれぞれ介在する状態となる。この介在により、3相巻線Lu,Lv,Lwに流れる電流を電流検知器41,42,43でそれぞれ的確に検知することができる。
【0026】
リレー51,52の常開接点が開放すると、3相巻線Lu,Lv,Lwの他端が非接続状態となり、3相巻線Lu,Lv,Lwが互いに電気的に分離したオープン巻線状態となる。このオープン巻線状態においても、リレー51,52の常開接点の閉成時と同じく、3相巻線Lu,Lv,Lwのそれぞれの通電路に電流検知器41,42,43がそれぞれ介在する状態となる。この介在により、たとえオープン巻線モータ70およびインバータ20,30に零相電流が流れても、その零相電流に影響を受けることなく、3相巻線Lu,Lv,Lwに流れる電流をそれぞれ的確に検知することができる。
【0027】
なお、制御部60は、リレー51,52の常開接点を開放から閉成に切換える際に、リレー51,52を保護するため、リレー51,52の常開接点の両端間に電位差がかからないようインバータ20,30の出力を制御する。具体的には、リレー51,52を付勢する前に、リレー51,52の常開接点の両端間の電位が互いに同電位となるよう、インバータ20,30の出力を制御する。とくに、制御部60は、リレー51,52の常開接点が開放してオープン巻線状態にあるときにこの保護制御を一時的に実行しながらリレー51,52の常開接点を閉成してオープン巻線状態からスター結線状態(星形結線状態)への切換えを行い、リレー51,52の動作が確実に完了したその後、インバータ20を単独運転(インバータ30は停止)するスター結線モードの駆動に切り替える。こうすることで、オープン巻線モータ70を停止することなく、運転しながらオープン巻線モードの駆動からスター結線モードの駆動に移行できる。
【0028】
ただし、制御部60がこの保護制御を一時的に実行しながらリレー51,52の常開接点を閉成した際には、両方のインバータ20,30が動作中であるため、U相導電路16a,16bにおける電流検知器43の接続位置がリレー51の接続位置よりインバータ30側にあると仮定すると、相巻線Luの通電路に電流検知器43が介在しなくなる。こうなると、相巻線Lv,Lwの通電路に存する電流検知器41,42だけの電流検知となり、3相巻線Lu,Lv,Lwに流れる電流をそれぞれ的確に検知することができなくなる。この不具合を防ぐためには、U相導電路16aにおける電流検知器43の接続位置がリレー51の接続位置より出力端子Qu側(オープン巻線モータ70側)に存することが必須の条件となる。この条件を満たすことにより、オープン巻線状態からスター結線状態への切換えに際しても3相巻線Lv,Lw,Luのすべての通電路に電流検知器41,42,43が介在する。これにより、たとえオープン巻線モータ70およびインバータ20,30に零相電流が流れても、その零相電流に影響を受けることなく、3相巻線Lu,Lv,Lwに流れる電流をそれぞれ的確に検知することができる。
【0029】
また、制御部60として単一のマイクロコンピュータを用いる構成なので、オープン巻線モータ70をオープン巻線モードで駆動する際のインバータ20,30の連係運転を時間的な遅れなく適切に同期させることができるとともに、オープン巻線モードの駆動(インバータ20,30の連係運転)からスター結線モードの駆動(インバータ20の単独運転)への移行もスムースに行うことができる。
【0030】
オープン巻線モータ70を駆動する場合、製造者は、オープン巻線モータ70の3相巻線Lu,Lv,Lwを回路基板10の出力端子Pu,Pv,Pw,Qu,Qv,Qw2に接続し、リレー51,52をリレー接続端子Ru,Rv1,Rv2,Rwに接続し、かつ制御部60における所定の操作により第1駆動モードを設定する。
【0031】
第1駆動モードの設定時、制御部60は、電流検知器41,42,43の検知結果に応じてリレー51,52の開閉およびインバータ20,30のスイッチングを制御する。この制御を図2のフローチャートおよび図3のタイムチャートを参照しながら説明する。フローチャートのステップS1,S2…については、単にS1,S2…と略称する。
【0032】
制御部60は、外部から運転開始指令を受けた場合(S1のYES)、リレー51,52を閉成して3相巻線Lu,Lv,Lwの他端を相互接続しかつインバータ20を単独運転(インバータ30は停止)するスター結線モードを設定する(S2)。そして、制御部60は、所定の励磁電流をインバータ20から3相巻線Lu,Lv,Lwに加えてオープン巻線モータ70のロータを指定の位置(角度)まで回動させる“初期位置決め”を実行する(S3)。
【0033】
“初期位置決め”を一定時間t1続けた後(S4のYES)、制御部60は、界磁成分電流をインバータ20から3相巻線Lu,Lv,Lwに加えてロータを強制的に牽引する“強制転流”を実行する(S5)。この“強制転流”を一定時間t2続けた後(S6のYES)、制御部60は、界磁成分電流を低減しながら、徐々に増加するトルク成分電流をインバータ20から3相巻線Lu,Lv,Lwに与えてロータの回転数Nを上昇させ、この回転数Nの上昇に伴い、3相巻線Lu,Lv,Lwに誘起する電圧によってその3相巻線Lu,Lv,Lwに流れる電流を電流検知器41,42,43で検知し、この検知結果からロータの回転数Nを推定し、推定した回転数Nが空調負荷に対応する目標回転数Ntとなるようインバータ20のスイッチングをPWM(Pulse Width Modulation)制御する(S7)。
【0034】
3相巻線Lu,Lv,Lwの他端を相互接続してインバータ20を単独運転するスター結線モードでは、インバータ30が動作しないので、オープン巻線モータ70を高効率で運転することができる。
【0035】
続いて、制御部60は、オープン巻線モータ70の回転数Nが閾値N2(<Nt)まで上昇したかどうかを判定する(S8)。回転数Nが閾値N2へ向かって上昇する間(S8のNO,S11のNO)、上記S7に戻り、3相巻線Lu,Lv,Lwに流れる電流を電流検知器41,42,43により検知し、この検知結果からロータの回転数Nを推定し、推定した回転数Nを目標回転数Ntへ上昇させるべく、インバータ20のスイッチングのPWM制御を続ける(S7)。なお、スター結線モードでは、オープン巻線モード時の電流検知器41,42,43による3相巻線Lv,Lw,Luの電流検知を継続してもよいし、零相電流が流れないため、電流検知器41,42,43のうち2つの電流検知器で検知した2つの相巻線電流の値から、残りの相巻線に流れる電流の値を算出してもよい。
【0036】
回転数Nが上昇して閾値N2に達した場合(高回転数領域;S8のYES)、制御部60は、回転数Nを一定時間tsにわたり閾値N2一定に保持する(S9)。回転数Nを閾値N2一定に保持している間、リレー51,52を開放して相巻線Lu,Lv,Lwの他端を開放しかつインバータ20,30を連係運転するオープン巻線モードを設定する(S10)。そして、制御部60は、外部から運転停止指令がなければ(S14のNO)、上記S7に戻り、相巻線Lu,Lv,Lwに流れる電流を電流検知器41,42,43により検知し、この検知結果からロータの回転数Nを推定し、推定した回転数Nが目標回転数Ntとなるよう、インバータ20のIGBT21~26のスイッチングおよびインバータ30のIGBT31~36のスイッチングを互いに連係してPWM制御する(S7)。このオープン巻線モードの設定により、スター結線モード時のほぼ1.73倍の高レベルの電圧を3相巻線Lu,Lv,Lwに印加することができる。このため、高負荷、高速運転に対応し得る十分な圧縮機能力を発揮できる。なお、零相電流が流れるオープン巻線モードでは、電流検知器41,42,43の3つの電流検知器によって各巻線の電流値を検知して、零相電流の影響を排除することができる。
【0037】
回転数Nが下降して閾値N1に達した場合(低回転数領域;S8のNO,S11のYES)、制御部60は、回転数Nを一定時間tsにわたり閾値N1一定に保持する(S12)。回転数Nを閾値N1一定に保持している間、制御部60は、リレー51,52を閉成して相巻線Lu,Lv,Lwの他端を相互接続しかつインバータ30を単独運転するスター結線モードを設定する(S13)。そして、制御部60は、外部から運転停止指令がなければ(S14のNO)、上記S7に戻り、相巻線Lu,Lv,Lwに流れる電流を電流検知器41,42,43により検知し、この検知結果からロータの回転数Nを推定し、推定した回転数Nが目標回転数Ntとなるよう、インバータ20のIGBT31~36のスイッチングをPWM制御する(S7)。このスター結線モードの設定により、低負荷運転に対応し得る低レベルの電圧を相巻線Lu,Lv,Lwに印加することができる。
外部から運転停止指令を受けた場合(S14のYES)、制御部60は、インバータ20およびインバータ30の全ての運転を停止する(S15)。
【0038】
スター結線モードからオープン巻線モードへの切換え時及びオープン巻線モードからスター結線モードへの切換えに際し、制御部60が、回転数Nを一定時間tsにわたり閾値N2または閾値N1で一定に保持するのは、回転数Nの変動中にモードを切換えると、脱調などの恐れがあるため、これを回避するためのもので、一定時間tsは少なくとも1秒以上を必要とする。
【0039】
[2台のスター結線モータの駆動]
回路基板10を2台のスター結線モータ(第1,第2スター結線モータ)71,72の駆動に用いる場合、製造者は、図4に示すように、スター結線モータ71の相巻線Lu1,Lv1,Lw1の一端(非結線端)を出力端子Pu,Pv,Pwに接続し、スター結線モータ72の相巻線Lu2,Lv2,Lw2の一端(非結線端)を出力端子Qu,Qv,Qw1に接続し、W相導電路18における導電路18a,18bの相互間に電流検知器44を接続する。また、製造者は、出力端子Qw2に何も接続せず、開閉器であるリレー51,52をリレー接続端子Ru,Rv1,Rv2,Rwに接続することもしない。そして、制御部60における所定の操作により第2駆動モードを設定する。電流検知器41,42,43は、オープン巻線モータ70の駆動時と同じく、V相導電路14、W相導電路15、U相導電路16に接続された状態を維持する。
【0040】
スター結線モータ71は、3相巻線Lu1,Lv1,Lw1を備え、その3相巻線Lu1,Lv1,Lw1の一端を互いに非接続状態とし、かつ3相巻線Lu1,Lv1,Lw1の他端を互いに接続してスター結線状態(星形結線状態)とした構成の永久磁石同期モータであり、空気調和機や熱源機などの冷凍サイクル装置に搭載される圧縮機の駆動用モータとして使用される。他方のスター結線モータ72も、3相巻線Lu2,Lv2,Lw2を備え、その3相巻線Lu2,Lv2,Lw2の一端を互いに非接続状態とし、かつ3相巻線Lu2,Lv2,Lw2の他端を互いに接続してスター結線状態とした構成の永久磁石同期モータであり、圧縮機の駆動用モータとして使用される。
【0041】
電流検知器44は、接続に伴い一端が導電路18aに接して他端が導電路18bに接し、導電路18a,18bを相互に導通させる導通要素となり、導通したW相導電路18に流れる電流を検知する。
【0042】
回路基板10をオープン巻線モータ70の駆動に用いる第1駆動モードでは回路基板10にリレー51,52を接続して電流検知器44を接続しないのに対し、回路基板10を2台のスター結線モータ71,72を駆動に用いる第2駆動モードでは回路基板10にリレー51,52を接続せず電流検知器44を接続する。2つのリレー51,52と1つの電流検知器44という3つの部品を回路基板10に選択的に接続または取外す構成なので、回路基板10をオープン巻線モータ70の駆動と2台のスター結線モータ71,72の駆動に兼用することができる。回路基板10上の各種部品のうち、上記3つの部品を除く多くの電気部品については、回路基板10から外すことなく、それぞれの駆動に共通化することができる。この共通化に伴い、回路基板10に搭載する部品点数を削減できる。
【0043】
第2駆動モードの設定時、制御部60は、スター結線モータ71の相巻線Lv1,Lw1に流れる電流の値を電流検知器41,42により検知し、その検知結果を用いる演算により残りの相巻線Lu1に流れる電流値を検出し、これら検知および検出した電流値に応じてインバータ20のスイッチングを制御するとともに、スター結線モータ72の相巻線Lu2,Lw2に流れる電流を電流検知器43,44により検知し、その検知結果を用いる演算により残りの相巻線Lv2に流れる電流値を検出し、これら検知および検出した電流値に応じてインバータ30のスイッチングを制御する。相巻線の電流値に基づくスイッチング信号の生成はベクトル制御で実施される。
【0044】
[まとめ]
以上の制御部60の処理をまとめると、以下のようになる。
(1-1)第1駆動モードを設定してオープン巻線モータ70を駆動する場合、オープン巻線モードでは、リレー51,52の常開接点を開放し、3相巻線Lu,Lv,Lwに流れる電流を電流検知器41,42,43で検知し、かつインバータ20、30を連係運転させる。
【0045】
(1-2)第1駆動モードを設定してオープン巻線モータ70を駆動する場合、スター結線モードでは、リレー51,52の常開接点を閉成して3相巻線Lu,Lv,Lwの他端を相互接続し、かつインバータ20のみを単独運転する。なお、この状態では、インバータ30は、停止状態とする。
【0046】
(2)第2駆動モードを設定して2台のスター結線モータ71,72をそれぞれ独立して駆動する場合、スター結線モータ71の2つの相巻線電流を電流検知器41,42により検知し、この検知結果からスター結線モータ71の残りの1つの相巻線電流を検出するとともに、スター結線モータ72の2つの相巻線電流を電流検知器43,44により検知し、この検知結果からスター結線モータ72の残りの1つの相巻線電流を検出する。
【0047】
なお、上述の実施形態においては、制御器60内の記憶素子(メモリー)に予め、第1駆動モード及び第2動作モードの両方のプログラムを書込んでおき、製造時にいずれのモードで動作させるかを切換え可能としたが、製造時に第1駆動モードで使用するか第2動作モードで使用するかを選定したところで、その選定に対応する一方のプログラムを記憶素子に書込むようにしてもよい。
【0048】
[効果]
回路基板10の出力端子Pu,Pv,Pw,Qu,Qv,Qw2にオープン巻線モータ70の相巻線Lu,Lv,Lwを接続し、リレー51,52をリレー接続端子Ru,Rv1,Rv2,Rwに接続し、制御部60において第1駆動モードを設定する作業により、オープン巻線モータ70を駆動することができる。回路基板10の出力端子Pu,Pv,Pwにスター結線モータ71の相巻線Lu1,Lv1,Lw1を接続し、回路基板10の出力端子Qu,Qv,Qw1にスター結線モータ72の相巻線Lu2,Lv2,Lw2を接続し、回路基板10のW相導電路18a,18bに電流検知器44を接続し、リレー51,52をリレー接続端子Ru,Rv1,Rv2,Rwに接続し、制御部60において第2駆動モードを設定する作業により、スター結線モータ71,72を駆動することができる。
【0049】
回路基板10およびその回路基板10に搭載したインバータ20,30、電流検知器41,42,43、および制御部60などの各種電気部品を、オープン巻線モータ70の駆動およびスター結線モータ71,72の駆動に共用することができる。共用しないのは2つのリレー51,52と1つの電流検知器44だけである。したがって、製造時の作業効率が向上するとともに、コストの低減が図れる。なお、コスト低減よりも共通化を優先するのであれば、2つのリレー51,52と1つの電流検知器44を初めから搭載した回路基板10を用いれば、全く同一の部品を搭載した回路基板10でオープン巻線モータ70の駆動およびスター結線モータ71,72の駆動が可能となり、回路基板10は搭載している部品も含め完全に共通化できる。このため回路基板10の補修部品の在庫管理が容易になる。
【0050】
また、U相導電路16における電流検知器43の接続位置がリレー51の常開接点の接続位置より出力端子Qu側(オープン巻線モータ70側)にあり、W相導電路18における電流検知器44の接続位置もリレー52の常開接点の接続位置より出力端子Qw1側(オープン巻線モータ70側)にあるので、オープン巻線モータ70を駆動する場合に3相巻線Lu,Lv,Lwのそれぞれの通電路に電流検知器41,42,43がそれぞれ介在する状態となる。この介在により、たとえオープン巻線モータ70およびインバータ20,30に零相電流が流れても、その零相電流に影響を受けることなく、3相巻線Lu,Lv,Lwに流れる電流を的確に検知することができる。
【0051】
[変形例]
上記実施形態では、開閉器がリレー51,52である場合を例に説明したが、半導体スイッチを開閉器として用いる場合も、同様に実施できる。
【0052】
上記実施形態では、圧縮機の駆動用モータとして用いるオープン巻線モータおよびスター結線モータを例に説明したが、他の用途に用いるオープン巻線モータおよびスター結線モータについても同様に実施できる。
【0053】
その他、上記実施形態および変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態および変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、書き換え、変更を行うことができる。これら実施形態や変形は、発明の範囲は要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0054】
2…直流電源部、10…回路基板、Ap…正側電源端子、An…負側電源端子、Pu,Pv,Pw…出力端子(第1~第3出力端子)、Qu,Qv,Qw1,Qw2…出力端子(第4~第7出力端子)、11…正側導電路、12…負側導電路、13…U相導電路(第1相導電路)、14…V相導電路(第2相導電路)、15…W相導電路(第3相導電路)、16…U相導電路(第4相導電路)、17…V相導電路(第5相導電路)、18…W相導電路(第6相導電路)、19…W相導電路(第7相導電路)、20,30…インバータ(第1,第2インバータ)、51,52…リレー(第1,第2開閉器)、41,42,43,44…電流検知器(第1~第4電流検知器)、60…制御部、70…オープン巻線モータ、71,72…スター結線モータ、Ru,Rv1,Rv2,Rw…リレー接続端子
図1
図2
図3
図4