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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-07
(45)【発行日】2023-04-17
(54)【発明の名称】乾燥コンテナ
(51)【国際特許分類】
   B27K 5/00 20060101AFI20230410BHJP
   B65D 88/12 20060101ALI20230410BHJP
   F26B 3/06 20060101ALI20230410BHJP
   F26B 21/00 20060101ALI20230410BHJP
   F26B 9/06 20060101ALI20230410BHJP
【FI】
B27K5/00 F
B65D88/12 T
F26B3/06
F26B21/00 B
F26B9/06 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019125217
(22)【出願日】2019-07-04
(65)【公開番号】P2021011037
(43)【公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】柏原 一仁
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-035541(JP,A)
【文献】特開2017-132146(JP,A)
【文献】実開昭53-022975(JP,U)
【文献】実開昭60-101694(JP,U)
【文献】実開昭59-122485(JP,U)
【文献】特開2016-210592(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B27K 1/00 - 9/00
B65D 88/12
F26B 3/06
F26B 21/00
F26B 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の粒状体を収容して送風により乾燥させるために用いる乾燥コンテナにおいて、
箱状であるコンテナ本体と、
複数の貫通孔を有する板状の部分であり、前記コンテナ本体の底面から一定高さを空けて設けられたデッキと、
前記コンテナ本体の側面に、前記コンテナ本体の底面と前記デッキとの間へ送風するように、前記コンテナ本体の外部へと連通するように設けられた送風口と、
前記送風口の外周部に設けられた固定具であって、前記送風口に連結されて前記コンテナ本体の内部に送風を行う連結管が有する被固定具に結合することで、前記連結管を前記送風口に固定可能な固定具と、
を備え
前記送風口は、正対した場合の形状が円形であり、
前記固定具は、前記送風口の周方向に沿って少なくとも3個設けられ、
前記少なくとも3個のうち1個の前記固定具である基準固定具が、前記送風口における最上部に設けられており、
前記基準固定具と前記送風口の径中心とを通る線を基準線とした場合、
前記少なくとも3個のうち前記基準固定具を除いた複数の固定具は、前記基準線を挟む一方側の領域と他方側の領域とに振り分けられて配置されていることを特徴とする乾燥コンテナ。
【請求項2】
多数の粒状体を収容して送風により乾燥させるために用いる乾燥コンテナにおいて、
箱状であるコンテナ本体と、
複数の貫通孔を有する板状の部分であり、前記コンテナ本体の底面から一定高さを空けて設けられたデッキと、
前記コンテナ本体の側面に、前記コンテナ本体の底面と前記デッキとの間へ送風するように、前記コンテナ本体の外部へと連通するように設けられた送風口と、
前記送風口の外周部に設けられた固定具であって、前記送風口に連結されて前記コンテナ本体の内部に送風を行う連結管が有する被固定具に結合することで、前記連結管を前記送風口に固定可能な固定具と、
を備え、
前記送風口を不使用時に塞ぐ送風口蓋を更に備え、
前記被固定具が前記送風口蓋にも設けられており、
前記送風口蓋が有する前記被固定具は、前記連結管が有する前記被固定具と同じ位置関係で設けられたことを特徴とする乾燥コンテナ。
【請求項3】
前記固定具と、前記連結管が有する前記被固定具のうち一方は、フックを有し、
前記固定具と前記被固定具のうち他方は、前記結合をする操作のための力を受ける操作部と、前記フックに引っ掛けられた状態で前記操作部が操作されることにより、前記フックとの間で引張力を生じさせることで、前記フックに引っ掛かった状態のまま保持される引掛具と、を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の乾燥コンテナ。
【請求項4】
前記固定具は、前記被固定具との当接面を有し、当該当接面は前記送風口に向かう気流の方向に対して対向する面であり、
前記固定具と、前記連結管が有する前記被固定具との間に結合時に生じる前記引張力の方向が、前記送風口に向かう気流によって前記連結管に生じる反力の方向と一致していることを特徴とする、請求項3に記載の乾燥コンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木材チップ等の多数の粒状体を収容して送風により乾燥させるために用いる乾燥コンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、木材チップ用の乾燥コンテナとして、例えば特許文献1に従来例として開示された構造が存在している(特許文献1の図4)。この乾燥コンテナは、底部が2重底とされ、底部における上側の板につき、多数の貫通孔が設けられた多孔板とされている。この乾燥コンテナでは、2重底部分の空間にコンテナ外部から熱風を供給して、多孔板を通り抜けた熱風により、多孔板よりも上方に収容された木材チップが乾燥される。
【0003】
この従来の構成では、特許文献1には明示されていないが、送風のための手段であるダクトを送風口に接続するのに、バンド等で緊縛していたため、手間がかかっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-132146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、送風のための手段を送風口に接続することが容易な乾燥コンテナを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、多数の粒状体を収容して送風により乾燥させるために用いる乾燥コンテナにおいて、箱状であるコンテナ本体と、複数の貫通孔を有する板状の部分であり、前記コンテナ本体の底面から一定高さを空けて設けられたデッキと、前記コンテナ本体の側面に、前記コンテナ本体の底面と前記デッキとの間へ送風するように、前記コンテナ本体の外部へと連通するように設けられた送風口と、前記送風口の外周部に設けられた固定具であって、前記送風口に連結されて前記コンテナ本体の内部に送風を行う連結管が有する被固定具に結合することで、前記連結管を前記送風口に固定可能な固定具と、を備えることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、送風口に設けられた固定具と連結管が有する被固定具とを結合させることにより、連結管を送風口に固定することが容易にできる。
【0008】
また、前記送風口は、正対した場合の形状が円形であり、前記固定具は、前記送風口の周方向に沿って少なくとも3個設けられ、前記少なくとも3個のうち1個の前記固定具である基準固定具と前記送風口の径中心とを通る線を基準線とした場合、前記少なくとも3個のうち前記基準固定具を除いた複数の固定具は、前記基準線を挟む一方側の領域と他方側の領域とに振り分けられて配置されているものであってもよい。
【0009】
この構成によれば、送風口の外周部に固定具を周方向に分散して配置できるため、限られた数量の固定具と被固定具の組み合わせで、送風口と連結管とを安定的に固定できる。
【0010】
また、前記固定具と、前記連結管が有する前記被固定具のうち一方は、フックを有し、前記固定具と前記被固定具のうち他方は、前記結合をする操作のための力を受ける操作部と、前記フックに引っ掛けられた状態で前記操作部が操作されることにより、前記フックとの間で引張力を生じさせることで、前記フックに引っ掛かった状態のまま保持される引掛具と、を有するものであってもよい。
【0011】
この構成によれば、連結管の送風口への着脱が簡単にできる。
【0012】
また、前記固定具は、前記被固定具との当接面を有し、当該当接面は前記送風口に向かう気流の方向に対して対向する面であり、前記固定具と、前記連結管が有する前記被固定具との間に結合時に生じる前記引張力の方向が、前記送風口に向かう気流によって前記連結管に生じる反力の方向と一致しているものであってもよい。
【0013】
この構成によれば、簡単な構成でありながら連結管に生じる反力に対抗できる。
【0014】
また、前記送風口を不使用時に塞ぐ送風口蓋を更に備え、前記被固定具が前記送風口蓋にも設けられたものであってもよい。
【0015】
この構成によれば、不使用時の送風口に送風口蓋を簡単に固定できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、送風のための手段である連結管を送風口に固定することが容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る乾燥コンテナを含む乾燥コンテナシステムを示す正面図である。
図2】前記乾燥コンテナシステムを示す平面図である。
図3】前記乾燥コンテナシステムを、気流供給機構と連結管を除き、送風口に送風口蓋を取り付けた状態を示す右側面図である。
図4】前記乾燥コンテナの2重底を形成するフレームを示す平面図である。
図5図4におけるV-V矢視断面図を、送風口と連結管との関係と共に示した図である。
図6】送風口における固定具の位置関係を示す、右側面視での概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明につき一実施形態を取り上げて説明を行う。なお、説明の都合上、以下の方向の表現は、上下方向については図1に示す方向を基準とする。また、前後方向については、図1図2図4に示す状態における左方が車載時に車両前方に位置することから前方とし、同右方が車載時に車両後方に位置することから後方とする。また、幅方向とは車載時の車幅方向に一致する方向であって、図2に示す上下方向である。
【0019】
本実施形態に係る乾燥コンテナ1は、図1図3に示すような乾燥コンテナシステムSの一構成要素である。ここで、乾燥コンテナシステムSについて説明する。乾燥コンテナシステムSは主に、乾燥コンテナ1、気流供給機構2、連結管3から構成されている。乾燥コンテナ1は、図示はしないが車載可能に構成されている。乾燥コンテナ1の内部には多数の粒状体である木材チップ(以下「チップ」)が収容される。収容された多数のチップは送風により、外面に付着した水分及び木材組織内に含まれた水分が蒸発することで乾燥させられる。乾燥したチップは、例えば木質バイオマス発電に用いられる。乾燥により、発電時の燃焼がしやすくなり、かつ、水分が抜けた分軽量化されるため、例えば運搬時において有利である。
【0020】
気流供給機構2は、例えば熱風を発生できる機構であって、図示しないが、送風機とヒーターとを備えている。なお、気流を加熱するための熱源は、例えば、他の装置の排熱を利用して加熱を行う場合、気流供給機構2の外部に設けることもできる。気流の加熱は、乾燥コンテナ1に収容されたチップの乾燥度合や収容量に応じて適宜行うことができる。また、状況によっては加熱を行わず、送風だけを行うこともできる。連結管3は、気流供給機構2で生じた気流(熱風)を乾燥コンテナ1に送るため、乾燥コンテナ1と気流供給機構2とを連結する管であって、パイプやホースを用いることができる。連結管3の乾燥コンテナ1への連結に関しては後述する。本実施形態では、横断面形状が円形のホース(ダクトホース)が用いられている。
【0021】
乾燥コンテナ1は、一般的な車載コンテナと同様の略直方体形状であって、図1図3に示す乾燥コンテナシステムSとしての使用状態において上面が開口しており、底面については閉鎖され、側面については、連結管3が接続される送風口116を除いて閉鎖された箱状体である。チップは、乾燥コンテナ1の上面から内部に投入される。
【0022】
乾燥コンテナ1は、気流供給機構2から連結管3を経由して送られた気流(熱風)を底面近傍の部分である底部で受け、その後、収容された多数のチップに気流を当てることができるよう、2重底構造とされている。このため乾燥コンテナ1は、主に、コンテナ本体11、デッキ12、支持体13、副支持体14を備える。
【0023】
コンテナ本体11は、乾燥コンテナ1の外観に現れる箱状の部分である。前部側面111には、乾燥コンテナ1を車載する際に、車両側の可動アームが備えるフックが引っ掛けられるフック係合部112が突出している。また、車両への上げ下ろしの際に、地面または路面に対して転がるローラ113が底部の後方に設けられている。このローラ113は、図3に示すように、コンテナ本体11の幅方向に一対設けられている。また、設置時に前記ローラ113と共に接地する脚部114が底部の前方に設けられている。この脚部114も、コンテナ本体11の幅方向に一対設けられている。
【0024】
図1及び図3に示すように、コンテナ本体11の後部側面115における下部で幅方向中央の位置には、コンテナ本体11の内外を連通するものであって、連結管3を接続できる送風口116が設けられている。本実施形態の送風口116は、コンテナ本体11の後部側面115から後方であって、後部側面115の法線方向に突出した短い円筒状とされている。この送風口116には、コンテナ本体11の内部に送風を行う連結管3が連結される。送風口116は、正対した場合(後部側面115に正対した場合)の形状が円形である。また、図3に示すように、コンテナ本体11の後部側面115には扉1151が設けられており、例えばチップの取り出しを行う際、または、コンテナ本体11の内部を清掃する際に、送風口116の周囲部分を除いて開放できる。また、コンテナ本体11の底面及び側面は、リブ等が形成されることで補強されている。
【0025】
次に、デッキ12は、厚さ方向に貫通した複数の貫通孔121…121を有する板状の部分であり、コンテナ本体11の底面から一定高さを空けて、底面と平行に設けられている。コンテナ本体11の底面とデッキ12との間に気流滞留空間15(図5参照)が形成される。送風口116は、コンテナ本体11の底面とデッキ12との間で、コンテナ本体11の外部へと連通している。なお、大風量の気流を導入するために、コンテナ本体11の底面とデッキ12との高さ方向の距離に比べ、送風口116の高さ寸法が大きく設定されている。このため、コンテナ本体11の内部に、高さ寸法を調整するための送風ガイド部16が設けられている。この送風ガイド部16は、図2及び図4に示すように平面視で二等辺三角形状、図5に示すように縦断面視で台形状とされた箱状の部分である。送風ガイド部16における内部空間のうち後端部は送風口116につながっている。また、送風ガイド部16における内部空間のうち下端部は気流滞留空間15につながっている。送風ガイド部16の上面には、工作の都合上発生が不可避のものを除き、開口部や貫通孔は設けられていない。このため、送風口116から導入された気流(熱風)は、送風ガイド部16を介して気流滞留空間15に流れていく。このように、送風口116は送風ガイド部16を介してコンテナ本体11の外部へと連通している。
【0026】
デッキ12は、複数のデッキ単板12a…12aが並べられて構成されている。本実施形態では、前後方向に並べられた4枚のデッキ単板12a…12aからデッキ12が構成されている。ただし、これに限られず、デッキ単板12a…12aを左右方向に並べること、更に、前後及び左右に並べることもできる。各デッキ単板12aとして、本実施形態では、パンチングプレートが用いられている。ただしこれに限らず、例えば、金網と開口率を調整するための部材(スリットを設けた板状体等)との組み合わせを用いてもよく、構成は種々に選択できる。
【0027】
次に、支持体13は副支持体14と共に、コンテナ本体11の底部に固定され、図4に示すように、下方からデッキ12(複数のデッキ単板12a…12a)を支持するフレームを構成する。支持体13は、縦断面形状が横倒しのコの字状であって、送風口116からコンテナ本体11に導入される気流F1の方向(前後方向)に平行に延びている。本実施形態では、支持体13が、コンテナ本体11の一方側側面である後部側面115から前記一方側側面に対向する他方側側面である前部側面111に向かって延びている。副支持体14は支持体13に直交しており、支持体13とコンテナ本体11の幅方向側面とを連結している。本実施形態では、前後方向で3列に副支持体14…14が設けられている。
【0028】
支持体13は、デッキ12とコンテナ本体11の底面との間に亘って設けられている。このため、コンテナ本体11におけるデッキ12よりも底面側(下側)の空間、つまり、気流滞留空間15を幅方向に仕切る。ただし、この支持体13は、コンテナ本体11における前部側面111と後部側面115との間の距離よりも短い。支持体13の後端部において気流滞留空間15を仕切らない部分には前述の送風ガイド部16が被せられている。
【0029】
図5に示すように、送風口116の外周部には固定具1171が設けられている。本実施形態では、送風口116において後部側面115から突出した短い円筒状である部分の外周面にブラケット1161が固定されており、そのブラケット1161の外周面に固定具1171が設けられている。つまり、前記「外周部」は、本実施形態では円筒状部分の外周面が相当する。しかし、これに限定されず、コンテナ本体11の後部側面115(外面)が相当するものであってもよい。この固定具1171は、連結管3が有する被固定具1172に対して結合及び分離ができるものであって、結合時には、連結管3を送風口116に固定可能である。固定具1171と被固定具1172とを結合させることにより、連結管3を送風口116に固定することが容易にできる。また、固定具1171と被固定具1172の組117だけで連結管3を送風口116に固定することができるので、別途バンド等を用意する必要がないことから紛失等の心配がなく、送風口116を固定するための部品の管理に格別の配慮が不要である。
【0030】
本実施形態において、固定具1171と被固定具1172の組117は、周知の「パチン錠」が用いられる。この組117が一般的な「パチン錠」である場合、固定具1171と被固定具1172のうち一方は、フック1173を有する。このフック1173は、図5に示された湾曲した部分である。また、固定具1171と被固定具1172のうち他方は、固定具1171と被固定具1172との結合をする操作のための力を受ける操作部(レバー)1174と、フック1173に引っ掛けられた状態で操作部1174が操作されることにより、フック1173との間で引張力を生じさせることで、フック1173に引っ掛かった状態のまま保持される引掛具1175と、を有する。ただし、図5に現れている形状はあくまでも一例であって、この形状に限られない。
【0031】
前記引掛具1175は、例えば多角形や円形の枠状体であって、一部が操作部1174に回動可能に支持されており、他の一部がフック1173に引っ掛けられるようになっている。この引掛具1175の一部に、圧縮力を発するばねが組み込まれていてもよい。この「パチン錠」のように、固定具1171と被固定具1172の組117が構成されたことにより、連結管3の送風口116への着脱が簡単にできる。
【0032】
固定具1171は、円形である送風口116の周方向に沿って少なくとも3個設けられている。図6に示すように、3個のうち1個の固定具1171(基準固定具1171Aとする)と送風口116の径中心116Cとを通る線を基準線116Lとした場合、3個のうち基準固定具1171Aを除いた2個の固定具1171B,1171Cは、基準線116Lを挟む一方側の領域と他方側の領域とに振り分けられて配置されている。
【0033】
本実施形態では、基準固定具1171Aと2個の各固定具1171B,1171Cとの間、また、2個の各固定具1171B,1171C同士の間が、送風口116の径中心116Cを基準とした角度で約120度離れている。このように、送風口116の外周部に固定具1171を、周方向に分散して配置、より詳しくは、均等(または略均等)に配置できるため、限られた数量の固定具1171と被固定具1172の組(パチン錠)117により、送風口116と連結管3とを安定的に固定できる。
【0034】
また、固定具1171は、短い円筒状とされた送風口116の軸方向(送風口116における送風方向)、つまり、コンテナ本体11の後部側面115の法線方向に延びている。これに対応し、フック1173の延びる方向は前記法線方向に直交する方向となっている。また、固定具1171は被固定具1172との当接面を有している。この当接面はフック1173の内面であって、送風口116に向かう気流の方向(送風方向)に対して対向する面である。なお、前記「対向する面」は、本実施形態では送風方向に対して直交する面である。ただしこれに限定されず、送風方向に対して交差する面であってもよい。この当接面に、結合時における被固定具1172の引掛具1175が当接する。このため、固定具1171と、連結管3が有する被固定具1172との間に結合時に生じる引張力の方向が、送風口116に向かう気流によって連結管3に生じる反力の方向、つまり、連結管3における軸方向であり、かつ、連結管3が後部側面115から離れる方向と一致している。このように構成することで、簡単な構成でありながら連結管3に生じる反力に対抗できる。
【0035】
なお、前記「送風方向」とは、送風口116の開口する方向である。また、後部側面115の法線方向または板厚方向でもある。本実施形態では、送風口116において後部側面115から突出した短い円筒状である部分における軸方向である。ただし、本実施形態のように円筒状部分が設けられず、送風口116が後部側面115を貫通する穴のみから構成された場合であっても、送風方向を送風口(穴)116の開口する方向や軸方向で定めることができる。
【0036】
なお、図3に示すように、乾燥コンテナ1は、送風口116を不使用時(例えば乾燥コンテナ1の車載時)に塞ぐ送風口蓋4を更に備えることができる。この場合、連結管3が有するものと同じ形状の被固定具1172が送風口蓋4にも設けられる。このため、送風口116の固定具1171と送風口蓋4が有する被固定具1172とを結合させることで、送風口116に送風口蓋4を固定できる。送風口蓋4は、図示のように、ワイヤ41でコンテナ本体11と結ばれていて、送風口蓋4を送風口116から取り外した際に、散逸せず送風口116の近くにとどまるようにされている。
【0037】
以上、本発明につき一実施形態を取り上げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されない。例えば、前記実施形態の乾燥コンテナ1は車載が可能に構成されていたが、これに限られず、車載しないものであってもよい。この場合、乾燥コンテナ1を一定位置で動かさない固定式としてもよいし、適宜移動できる可搬式としてもよい。特に、車載を前提としない場合、乾燥コンテナ1は、前記実施形態のような略直方体形状に限られず、例えば円筒形状とする等、種々の形状とできる。
【0038】
また、前記実施形態の乾燥コンテナ1は上面が常に開放されていた。しかしこれに限定されず、例えばチップに雨水が当たらないようにするため、上面を必要により閉じることができる、硬質材料または軟質材料からなる蓋を設けることもできる。
【0039】
また、前記実施形態の送風口116は、コンテナ本体11の後部側面115に設けられていた。しかし、これに限定されず、送風口116をコンテナ本体11の前部側面、幅方向側面に設けることもできる。
【0040】
また、前記実施形態の送風口116は短い円筒状とされていた。しかし、これに限定されず、単にコンテナ本体11の後部側面115を貫通する穴のみから構成されていてもよい。
【0041】
また、固定具1171は、コンテナ本体11の側壁(後部側面115等)に設けることもできる。この場合であっても、固定具1171が被固定具1172との当接面を有していれば、送風口116に向かう気流の方向(送風方向)の分力を、連結管3における軸方向であり、かつ、連結管3が後部側面115から離れる方向と一致させることができる。よって、連結管3に生じる反力に対抗できる。
【0042】
また、固定具1171及び被固定具1172の組117は、前記実施形態では3組(各3個)設けられていたが、4組(各4個)以上設けることもできる。この場合の各組117の振り分けについては、前記実施形態と同じ要領で行うことができる。
【0043】
また、前記実施形態において、固定具1171と被固定具1172の組117として「パチン錠」が用いられていたが、その他、結合及び分離ができる種々の構成を採用できる。例えば、出願人による特開2016-210592号公報に記載の「錠部材」と同様の構成とすることができる。この「錠部材」は、先端に溝部を有する揺動片を有し、揺動片の溝部に棒状部材を受け入れた状態(結合状態)で保持できるように構成されている。また、穴(貫通穴または有底穴)にピンを差し込むことにより結合状態で保持できるように構成することもできる。また、永久磁石等の磁力により、結合及び分離ができるよう構成することもできる。
【0044】
また、乾燥コンテナシステムSの乾燥対象物は、前記実施形態では木材チップであったが、これに限定されず、例えば鉱石、石材、樹脂、金属、木材以外の動植物由来の素材、食品材料、燃料等、種々の粒状体とできる。また、水分が外面にのみ存在するものであってもよいし、外面及び内部に存在するものであってもよい。
【符号の説明】
【0045】
1…乾燥コンテナ、2…気流供給機構、3…連結管、4…送風口蓋、11…コンテナ本体、12…デッキ、12a…デッキ単板、12b…継ぎ目、13…支持体、14…副支持体、15…気流滞留空間、16…送風ガイド部、41…ワイヤ、111…一方側(前部)側面、112…フック係合部、113…ローラ、114…脚部、115…他方側(後部)側面、116…送風口、116C…送風口の径中心、117…固定具と被固定具の組、121…貫通孔、122…ボルト孔、1151…扉、1161…ブラケット、1171(1171A~C)…固定具、1172…被固定具、1173…フック、1174…操作部、1175…引掛具、S…乾燥コンテナシステム、F1…コンテナ本体に導入される気流
図1
図2
図3
図4
図5
図6