(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-07
(45)【発行日】2023-04-17
(54)【発明の名称】音響装置
(51)【国際特許分類】
H04R 1/02 20060101AFI20230410BHJP
H04R 1/28 20060101ALI20230410BHJP
B60Q 5/00 20060101ALI20230410BHJP
H04R 1/00 20060101ALN20230410BHJP
【FI】
H04R1/02 101D
H04R1/28 310C
B60Q5/00 670Z
H04R1/00 311
(21)【出願番号】P 2019147325
(22)【出願日】2019-08-09
【審査請求日】2022-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085453
【氏名又は名称】野▲崎▼ 照夫
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 亮
【審査官】大石 剛
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/041605(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/080574(WO,A1)
【文献】特開2005-260625(JP,A)
【文献】実開昭50-138923(JP,U)
【文献】特表2015-518348(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/02
H04R 1/28
B60Q 5/00
H04R 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースと、前記本体ケース内に固定されるスピーカユニットと、が設けられ、
前記スピーカユニットは、磁石を含む磁気回路部と、前記磁気回路部で発生する磁界が作用するコイルと、前記コイルとともに振動する振動体と、を有している音響装置において、
前記振動体を境界として、前記本体ケースの内部空間と、外部空間と、が区画され、
一方の面が内部空間と接し、他方の面が外部空間と接し、その両面に作用する圧力の差により変形する弾性部材と、
前記内部空間と前記外部空間とを連通する連通孔と、前記連通孔を覆って設けられて、空気の通過を許容し、流体の通過を遮断する通気部材と、を備えたことを特徴とする音響装置。
【請求項2】
前記連通孔は、前記弾性部材に設けられることを特徴とする請求項1記載の音響装置。
【請求項3】
前記連通孔が設けられた位置は、弾性部材の重心位置であることを特徴とする請求項2記載の音響装置。
【請求項4】
前記振動体と前記弾性部材に作用する前記内部空間に向かう同じ圧力に対して、前記振動体の最大変位量よりも、前記弾性部材の最大変位量の方が大きいことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか記載の音響装置。
【請求項5】
前記弾性部材の周縁部が前記本体ケースに固定されており、前記弾性部材には、前記周縁部に沿って、前記内部空間と前記外部空間の少なくとも一方に向けて隆起する変形可能な隆起部が設けられている請求項1ないし4のいずれか記載の音響装置。
【請求項6】
前記弾性部材はゴムで形成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか記載の音響装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体ケースと、スピーカユニットと、を有する音響装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車に搭載される警告音発生用スピーカや浴室用スピーカなどの音響機器は、水が機器の内部構造に浸入することを防止する必要があるため、本体ケースに水密性が要求される。しかしながら、この種の音響機器は、常温の水ではなく、低温や高温の水に浸水して、本体ケース内の空気に急激な温度変化が生じることがある。この急激な温度変化により、本体ケース内の空気が熱膨張しあるいは熱収縮し、振動板が内部に引き込まれる、もしくは、逆に振動板が外部に押し出され、振動板の変形や破損が生じてしまうおそれがある。
【0003】
そこで、以下の特許文献1に記載された音響機器は、機器内部に内部空間が区画され、機器内部の境界部にスピーカが備えられ、この内部空間を密閉するダイヤフラムが設けられている。また、ダイヤフラムを覆うダイヤフラムカバーに外部空間と連通する通気孔が形成されている。温度変化により内部空間の圧力が変化したときに、ダイヤフラムが動作することで、スピーカのコーン紙部の変形や破損が防止されるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された発明では、リモコンケースとダイヤフラム状部材とで区画された内部空間にスピーカが設けられ、この内部空間は密閉されており外部空間と通じていない。そのため、内部空間と外部空間との圧力差を完全に解消することが難しい。また、内部空間の圧力が変化した後に、環境温度が安定したとしても、内部空間の圧力と外部空間の圧力とを同化させる手段を有していないので、内部空間の圧力変化が残存しやすい。そのため、スピーカのコーン紙部が圧力で変位したままの状態が継続されやすい。
【0006】
よって、スピーカのコーン紙部が、本体ケース内に引き込まれたり押し出されたりし、正常の中立位置からずれた位置で保持される。また、内部空間と外部空間との圧力差が残ると、ダイヤフラム状部材が変位し、本体ケース内部の容量が正常値から変化した状態で保持される。その状態で発音動作を行うと、発音周波数帯域の音響特性が変わってしまい、通常より音響特性が劣化するおそれがあるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、スピーカユニットを備えた内部空間と外部空間との圧力差を解消でき、しかも急激な温度変化が生じたときに、振動体の過剰な変位を防止でき、振動体の変形や破壊を防止できるとともに、安定した発音動作を実現できる構造の音響装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、本体ケースと、前記本体ケース内に固定されるスピーカユニットと、が設けられ、前記スピーカユニットは、磁石を含む磁気回路部と、前記磁気回路部で発生する磁界が作用するコイルと、前記コイルとともに振動する振動体と、を有している音響装置において、
前記振動体を境界として、前記本体ケースの内部空間と、外部空間と、が区画され、一方の面が内部空間と接し、他方の面が外部空間と接し、その両面に作用する圧力の差により変形する弾性部材と、前記内部空間と前記外部空間とを連通する連通孔と、前記連通孔を覆って設けられて、空気の通過を許容し、流体の通過を遮断する通気部材と、を備えたことを特徴とするものである。
【0009】
前記連通孔は、前記弾性部材に設けられることが好ましい。
【0010】
前記連通孔が設けられた位置は、弾性部材の重心位置であることが好ましい。
【0011】
前記振動体と前記弾性部材に作用する前記内部空間に向かう同じ圧力に対して、前記振動体の最大変位量よりも、前記弾性部材の最大変位量の方が大きいことが好ましい。
【0012】
前記弾性部材の周縁部が前記本体ケースに固定されており、前記弾性部材には、前記周縁部に沿って、前記内部空間と前記外部空間の少なくとも一方に向けて隆起する変形可能な隆起部が設けられていることが好ましい。
【0013】
前記弾性部材はゴムで形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の音響装置には、内部空間と外部空間とを連通する連通孔が設けられているので、内部空間の空気と外部空間の空気とがお互いの空間を自由に移動でき、通常の環境の温度変化による内部空間の圧力の変動を生じないものとすることができる。よって、常に温度変化による音質の影響、例えば発音周波数帯域の音響特性の変動などを防止できる。さらに、内部空間と外部空間とを仕切る弾性部材が設けられているため、急激な温度変化で内部空間の圧力が急激に変化し、連通孔の通気のみでは解消できないときには、弾性部材が変形することで、急激な内部圧力の変化に追従でき、スピーカの振動板の破損を防止できる。また、連通孔の通気作用で、弾性部材を中立位置へ確実に復帰させることができる。そのため、急激な温度変化が生じ、内部空間の圧力が急激に変化したとしても、振動体の変形や破損を防止でき、また、迅速に通常の発音動作を行うことが可能な状態に復元することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態における音響装置を発音方向である前方から見た斜視図。
【
図2】本発明の実施形態における音響装置を発音方向の逆側の後方から見た斜視図。
【
図6】比較例の音響装置が有する課題を説明するための断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態に係る音響装置1について、
図1~
図6を参照して説明する。以下の説明において、発音方向を前方(Y1方向)、発音方向と逆向きの方向を後方(Y2方向)として説明する。
図1~
図6には、発音方向に延びる中心線Oが示されている。
【0017】
音響装置1は、車載用であり、車が浸水した場合にも破壊しないことが求められている。
図3に示すように、音響装置1は、本体ケース2、スピーカユニット6、回路基板8、弾性部材21及び通気部材22を備える。
【0018】
図1に示すように、本体ケース2は前方ケース3と後方ケース4とに分離されている。前方ケース3の後端部と後方ケース4の前端部とが嵌め合わされており、複数か所に設けられた凹凸嵌合部5によって、前方ケース3と後方ケース4とが互いに固定されている。前方ケース3と後方ケース4は、合成樹脂材料を用いた樹脂成型、あるいは軽金属材料を用いたダイキャスト成型により形成されている。前方ケース3の前方に向く前面部には、複数の長角孔3aとそれぞれの長角孔3aを仕切る仕切部3bとが形成されている。
図2と
図5に示すように、後方ケース4の後方(Y2方向)に向く後面部には、開口部4aが形成されている。
【0019】
図3と
図5に示すように、前方ケース3の内部にスピーカユニット6が設けられている。スピーカユニット6は非磁性または磁性の金属板で形成されたブラケット7を備えており、ブラケット7の外径側に形成されたブラケット曲げ面部7aが、前方ケース3の内面に、スピーカ固定用ねじ9で固定されている。
図5に示されるように、ブラケット7の後端部に、中心線Oと垂直なブラケット内底部7bとブラケット外底部7cとが形成され、ブラケット外底部7cはブラケット内底部7bより、前方(Y1方向)に位置している。
【0020】
図5に示すように、ブラケット内底部7bの後方(Y2方向)に向く後面に磁気回路部10が固定されている。磁気回路部10は、磁石11と磁石11の後方(Y2方向)に向く後面が接合されるヨーク12と、磁石11の前方(Y1方向)に向く前面が接合されるプレート13とから構成されている。プレート13の前方(Y1方向)に向く前面が、ブラケット7のブラケット内底部7bの後方(Y2方向)に向く後面に接着されて固定されている。ヨーク12とプレート13は、磁性材料で形成されている。ヨーク12の中心部には、前方(Y1方向)に突出するセンターポール部12aが一体に形成されている。磁石11とプレート13は、中空の円筒状をなしている。センターポール部12aの外周面とプレート13の内周面との間に磁気ギャップGが形成されている。
【0021】
図5に示すように、磁気回路部10より前方(Y1方向)に振動体15が設けられている。振動体15は、振動板部16とエッジ部17とで構成されている。エッジ部17は、中心線Oと垂直な平面に向く全ての仮想軸の軸方向を曲率方向とする曲げ剛性が、振動板部16の同じ方向での曲げ剛性よりも低い。エッジ部17は、ウレタンにより形成されている。前記曲げ剛性は、縦弾性係数Eと断面二次モーメントIとの積である。振動板部16の外周部16aは、エッジ部17と接着されている。エッジ部17の外端部17aはブラケット7に接着されて固定され、接合部(a)が形成されている。エッジ部17は振動板部16に接着されて固定され、接合部(b)が形成されている。振動板部16の内周部16bには、ボビン18の外周面が接着されて固定され、接合部(c)が形成されている。振動体15の振動板部16はコーン形状であり、中心線Oに向かうにしたがって後方(Y2方向)に向けて傾斜するテーパ形状である。
【0022】
図5に示すように、音響装置1は、振動体15を境界として本体ケース2が区切られており、振動体15の下面と本体ケース2とで区画された内部空間Aと、振動体15の上面と本体ケース2とで区画された前方空間及びケースの外部の空間である外部空間Bとに区画される。
【0023】
図5に示すように、ボビン18の外周面とブラケット7のブラケット外底部7cとの間には、断面がコルゲート形状のダンパー19が設けられている。エッジ部17とダンパー19の弾性変形によって、コーン形状の振動板部16が前後方向(Y1-Y2方向)に振動可能である。ボビン18の後方に向く後端部にコイル20が巻かれており、コイル20が磁気ギャップG内に位置している。
【0024】
図3に示すように、電子部品が実装された回路基板8が、回路基板固定用ねじ14を用いて、後方ケース4の内部に固定される。
【0025】
図2と
図5に示されるように、後方ケース4の後方(Y2方向)に向く後面部に開口部4aが形成され、開口部4aを塞ぐ弾性部材21が設けられている。弾性部材21の周縁部21bは、後方ケース4の後方の表面であって開口部4aの周囲に接着されて固定されている。弾性部材21は、ゴム弾性を有する弾性材料、すなわち天然ゴムや合成ゴム材料で形成されている。弾性部材21は、周縁部21bに沿って、前方(Y1方向)である内部空間Aと、後方(Y2方向)である外部空間Bの少なくとも一方に向けて隆起する変形可能な隆起部21cが設けられている。
図5に示すように、実施形態では、隆起部21cが内部空間Aと外部空間Bの双方に向けて隆起している。
【0026】
振動体15と弾性部材21に作用する、内部空間Aに向かう同じ圧力に対して、弾性部材21の前方(Y1方向)に変形する最大変位量は、振動体15の振動板部16が後方(Y2方向)に変位する最大変位量より大きくなるように構成されている。
【0027】
弾性部材21の重心位置に、内部空間Aと外部空間Bとを連通する連通孔21aが設けられている。連通孔21aは、通気部材22で塞がれている。通気部材22は、弾性部材21といわゆる一体成形されまたはインサート成形されて、通気部材22は、周辺部が弾性部材21の肉厚内に埋設されている。通気部材22は、空気は通すものの水は通さない防水透湿性素材で形成される。通気部材22は前後方向(Y1-Y2方向)を厚み方向とする円板状をなしている。
【0028】
次に、音響装置1の発音動作を説明する。
コイル20に電流が与えられると、磁気回路部10においてコイル20に作用する磁界と電流とで励起される電磁力によって、振動体15が前後方向(Y1-Y2方向)に振動し、音圧が発音方向の前方(Y1方向)へ与えられる。
【0029】
通常使用時において、音響装置1は、連通孔21aおよび通気部材22を通じて内部空間Aの空気と外部空間Bの空気とがお互いの空間を自由に移動することが可能なため、内部空間Aの空気の圧力と外部空間Bの空気の圧力とを同じにすることが可能である。よって、振動体15が内部空間Aの圧力変化を受けにくくなって、音質が安定する
【0030】
ただし、音響装置1は車に搭載されるため、高温の空気環境に置かれた後、低温の水に浸水するなどして、温度が急激に低下することがある。そのとき、音響装置1は、内部空間Aの圧力が低下し、内部空間Aの空気が収縮しようとする。
【0031】
内部空間Aの内部圧力が急激に低下すると、弾性部材21が、中立状態(v)から内部空間Aの内部に向けて前方(Y1方向)に変形し、
図5において破線で示す引き込み状態(vi)となる。弾性部材21には、後方ケース4の開口部4aの形状に沿って、前記内部空間Aと前記外部空間Bとのそれぞれに向けて隆起する変形可能な隆起部21cが設けられているために、弾性部材21が変形しやすい。また、弾性部材21は、スピーカユニット6の振動体15が後方(Y2方向)に変位するよりも大きく前方(Y1方向)に変形する。弾性部材21が引き込み状態(vi)となることで、内部空間Aの容積を減少させ、内部空間Aの圧力の低下が抑制される。
【0032】
したがって、内部空間Aの圧力が急激に低下したとしても、振動体15の振動板部16が中立状態(vii)から引き込み状態(viii)まで後方(Y2方向)に移動する移動量が小さくなり、エッジ部17の外端部17aとブラケット7との接合部(a)の剥がれや、振動板部16とエッジ部17との接合部(b)の剥がれ及び振動板部16とボビン18との接合部(c)の剥がれが生じにくくなる。また、振動板部16とエッジ部17の破壊も生じにくくなる。
【0033】
また、例えば、音響装置1への浸水が解除されて、周囲温度が上昇し始めたとしても、音響装置1の内部空間Aの空気の温度の上昇が遅れ、内部空間Aと外部空間Bとの圧力差がすぐに解消されないことがある。このような場合でも、連通孔21aおよび通気部材22を介して、内部空間Aと外部空間Bとの間で空気が流通できるため、弾性部材21が引き込み状態(vi)から中立状態(v)に迅速に引き戻されるとともに、振動体15の振動板部16も、引き込み状態(viii)から中立状態(vii)に迅速に引き戻され、内部空間Aの減少された容積が元の容積に戻る。したがって、振動体15の振動板部16が中立状態(vii)からずれた位置で保持されてしまうこと及び内部空間Aの容積が正常状態より減少してしまうことによる音響性能の劣化から、迅速に回復し、通常の発音動作を行うことが可能となる。
【0034】
連通孔21aは、弾性部材21の重心位置に設けられている。これにより、連通孔21aと弾性部材21とを別々の位置に設けるより、スペースを確保できる。例えば、弾性部材21をより大きくできる。
空気が通過する連通孔21aが、容易に変形する弾性部材21の中心にあることで、内部空間Aの圧力が急激に低下したとしても、通気部材22と弾性部材21との固定部に大きな負荷がかかることはなく、通気部材22が弾性部材21から外れてしまうことを防止できる。
【0035】
連通孔21aは、弾性部材21の重心位置にあり、すなわち、開口部4aの縁部に沿って形成された弾性部材21の中心に連通孔21aがある。弾性部材21が変形するときに、弾性部材21の中心の連通孔21aに空気が通過することで、弾性部材21が偏り変形などせずに対称的に変形する。温度が戻って弾性部材21が自らの弾性力で復帰しようとするときに、中心に連通孔21aがあることで、バランスよく迅速に復帰できる。
【0036】
比較例として、
図6に、弾性部材21、連通孔21a及び通気部材22がない音響装置1が示されている。この比較例では、内部空間Aの空気に急激な圧力低下が生じたときに、剛性の低いエッジ部17が中立状態(i)から後方(Y2方向)へ吸引されて、内部空間Aに向けて反転状態(ii)になる。エッジ部17の反転に追従して、振動板部16が内部空間Aに向けて折り曲げられた変形状態(iii)となる。折り曲げられた変形状態(iii)でさらに内圧の低下により後方へ強く引かれると、エッジ部17の外端部17aとブラケット7との接合部(a)の剥がれや、振動板部16とエッジ部17との接合部(b)及び振動板部16とボビン18との接合部(c)の剥がれも生じやすい。
【0037】
図5に示す実施形態では、内部空間Aの空気に急激な圧力低下が生じたときに、弾性部材21が前方(Y1方向)に引き込まれ、中立状態(v)から引き込み状態(vi)になることで、
図6に示したように振動板部16が折り曲げられた変形状態(iii)となるのを防止でき、エッジ部17の外端部17aとブラケット7との接合部(a)、振動板部16とエッジ部17との接合部(b)及び振動板部16とボビン18との接合部(c)の剥がれを防止しやすくなり、振動板部16とエッジ部17の破壊を防止できる。また、連通孔21aに設けられた通気部材22を介して、外部空間Bから内部空間Aに空気を吸い込むことで、弾性部材21が引き込み状態(vi)から中立状態(v)に戻されるとともに振動板部16が引き込み状態(viii)から中立状態(vii)に戻され、内部空間Aの容積が通常に戻され、迅速に通常の発音動作を行うことが可能な状態に復元することが可能となる。
【符号の説明】
【0038】
1 音響装置
2 本体ケース
3 前方ケース
3a 長角孔
3b 仕切部
4 後方ケース
5 凹凸嵌合部
6 スピーカユニット
7 ブラケット
7a ブラケット曲げ面部
7b ブラケット内底部
7c ブラケット外底部
9 スピーカ固定用ねじ
10 磁気回路部
11 磁石
12 ヨーク
13 プレート
14 回路基板固定用ねじ
15 振動体
16 振動板部
17 エッジ部
18 ボビン
19 ダンパー
20 コイル
21 弾性部材
21a 連通孔
21b 周縁部
21c 隆起部
22 通気部材
A 内部空間
B 外部空間
G 磁気ギャップ
O 中心線