(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-07
(45)【発行日】2023-04-17
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
G11C 16/10 20060101AFI20230410BHJP
G11C 16/34 20060101ALI20230410BHJP
【FI】
G11C16/10 140
G11C16/34 140
G11C16/34 163
(21)【出願番号】P 2019159655
(22)【出願日】2019-09-02
【審査請求日】2022-03-04
(73)【特許権者】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 真人
(72)【発明者】
【氏名】有薗 大介
(72)【発明者】
【氏名】原田 佳和
【審査官】小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-203953(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0044113(US,A1)
【文献】特開2000-076878(JP,A)
【文献】特開2012-203692(JP,A)
【文献】米国特許第08750045(US,B2)
【文献】米国特許出願公開第2016/0062656(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 16/10
G11C 16/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリトランジスタと、
前記メモリトランジスタのゲート電極に接続されたワード線と、
前記ワード線に接続された周辺回路と、
前記周辺回路に接続され、データの入出力に使用可能な複数の電極と
を備え、
前記周辺回路は、前記複数の電極を介した書込コマンドの入力に応じて、
前記書込コマンドが前記メモリトランジスタに対応するn1(n1は自然数)回目からn2(n2はn1より大きい自然数)回目までの書込コマンドである場合には、前記ワード線に第1プログラム電圧を転送する第1プログラム動作を1回又は複数回実行する第1書込シーケンスを実行し、
前記書込コマンドが前記メモリトランジスタに対応するn2+1回目からn3(n3はn2より大きい自然数)回目までの書込コマンドである場合には、前記ワード線に第2プログラム電圧を転送する第2プログラム動作を1回又は複数回実行する第2書込シーケンスを実行し、
前記第2書込シーケンスのk(kは自然数)回目の前記第2プログラム動作における前記第2プログラム電圧は、前記第1書込シーケンスのk回目の前記第1プログラム動作における前記第1プログラム電圧よりも小さい
半導体記憶装置。
【請求項2】
メモリトランジスタと、
前記メモリトランジスタのゲート電極に接続されたワード線と、
前記ワード線に接続された周辺回路と、
前記周辺回路に接続され、データの入出力に使用可能な複数の電極と
を備え、
前記周辺回路は、
前記複数の電極を介した第1書込コマンドの入力に応じて、前記ワード線に第1プログラム電圧を転送する第1プログラム動作を1回又は複数回実行する第1書込シーケンスを実行し、
前記複数の電極を介した第2書込コマンドの入力に応じて、前記ワード線に第2プログラム電圧を転送する第2プログラム動作を1回又は複数回実行する第2書込シーケンスを実行し、
前記第2書込シーケンスのk(kは自然数)回目の前記第2プログラム動作における前記第2プログラム電圧は、前記第1書込シーケンスのk回目の前記第1プログラム動作における前記第1プログラム電圧よりも小さい
半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第1書込シーケンス及び前記第2書込シーケンスの少なくとも一方において最大でm(mは自然数)回の第1プログラム動作又は第2プログラム動作が実行される場合、
前記第2書込シーケンスの1回目~m回目の前記第2プログラム動作における前記第2プログラム電圧の平均値は、前記第1書込シーケンスの1回目~m回目の前記第1プログラム動作における前記第1プログラム電圧の平均値よりも小さい
請求項1又は2記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記周辺回路は、
前記第1書込シーケンスにおいて、前記ワード線に第1ベリファイ電圧を転送する第1ベリファイ動作を1回又は複数回実行し、
前記第2書込シーケンスにおいて、前記ワード線に第2ベリファイ電圧を転送する第2ベリファイ動作を1回又は複数回実行し、
前記第1ベリファイ動作において、前記ワード線に1種類の第1ベリファイ電圧のみが供給され、
前記第2ベリファイ動作において、前記ワード線に1種類の第2ベリファイ電圧のみが供給される
請求項1~3のいずれか1項記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
複数のメモリチップと、
前記メモリチップに接続されたコントローラチップと、
前記コントローラチップに接続された制御装置と
を備え、
前記複数のメモリチップは複数のメモリブロック及び前記周辺回路を備え、前記複数のメモリブロックは複数の前記メモリトランジスタ及び複数の前記ワード線を備え、
前記複数のメモリチップ、前記コントローラチップ及び前記制御装置の少なくとも一つは第1記憶部を備え、
前記第1記憶部は、
前記複数のメモリチップに含まれる複数の前記メモリトランジスタに対する書込シーケンス又は消去シーケンスの実行回数の最小値、最大値又はその間の値を記憶し、
前記メモリチップに含まれる複数の前記メモリトランジスタに対する書込シーケンス又は消去シーケンスの実行回数の最小値、最大値又はその間の値を、前記複数のメモリチップに対応して記憶し、
前記メモリブロックに含まれる複数の前記メモリトランジスタに対する書込シーケンス又は消去シーケンスの実行回数の最小値、最大値又はその間の値を、前記複数のメモリブロックに対応して記憶し、又は、
前記ワード線に接続された複数の前記メモリトランジスタに対する書込シーケンス又は消去シーケンスの実行回数の最小値、最大値又はその間の値を、前記複数のワード線の少なくとも2つに対応して記憶する
請求項1~4のいずれか1項記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
メモリトランジスタと、メモリトランジスタのゲート電極に接続されたワード線と、ワード線に接続された周辺回路と、を備える半導体記憶装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
長寿命且つ高速な半導体記憶装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一の実施形態に係る半導体記憶装置は、メモリトランジスタと、メモリトランジスタのゲート電極に接続されたワード線と、ワード線に接続された周辺回路と、周辺回路に接続され、データの入出力に使用可能な複数の電極と、を備える。周辺回路は、複数の電極を介した書込コマンドの入力に応じて、書込コマンドがメモリトランジスタに対応するn1(n1は自然数)回目からn2(n2はn1より大きい自然数)回目までの書込コマンドである場合には、ワード線に第1プログラム電圧を転送する第1プログラム動作を1回又は複数回実行する第1書込シーケンスを実行する。また、周辺回路は、複数の電極を介した書込コマンドの入力に応じて、書込コマンドがメモリトランジスタに対応するn2+1回目からn3(n3はn2より大きい自然数)回目までの書込コマンドである場合には、ワード線に第2プログラム電圧を転送する第2プログラム動作を1回又は複数回実行する第2書込シーケンスを実行する。また、第2書込シーケンスのk(kは自然数)回目の第2プログラム動作における第2プログラム電圧は、第1書込シーケンスのk回目の第1プログラム動作における第1プログラム電圧よりも小さい。
【0006】
一の実施形態に係る半導体記憶装置は、メモリトランジスタと、メモリトランジスタのゲート電極に接続されたワード線と、ワード線に接続された周辺回路と、周辺回路に接続され、データの入出力に使用可能な複数の電極と、を備える。周辺回路は、複数の電極を介した第1書込コマンドの入力に応じて、ワード線に第1プログラム電圧を転送する第1プログラム動作を1回又は複数回実行する第1書込シーケンスを実行する。また、周辺回路は、複数の電極を介した第2書込コマンドの入力に応じて、ワード線に第2プログラム電圧を転送する第2プログラム動作を1回又は複数回実行する第2書込シーケンスを実行する。また、第2書込シーケンスのk(kは自然数)回目の第2プログラム動作における第2プログラム電圧は、第1書込シーケンスのk回目の第1プログラム動作における第1プログラム電圧よりも小さい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】メモリシステム10の構成を示す模式的なブロック図である。
【
図2】メモリダイMDの構成を示す模式的なブロック図である。
【
図3】メモリセルアレイMCAの構成を示す模式的な回路図である。
【
図4】動作電圧生成ユニット35の構成を示す模式的な等価回路図である。
【
図5】動作電圧生成ユニット35の構成を示す模式的な等価回路図である。
【
図6】動作電圧生成ユニット35の構成を示す模式的な等価回路図である。
【
図7】メモリダイMDの構成を示す模式的な平面図である。
【
図8】メモリセルアレイMCAの構成を示す模式的な平面図である。
【
図9】メモリセルアレイMCAの構成を示す模式的な断面図である。
【
図10】メモリセルMCの構成を示す模式的な断面図である。
【
図11】メモリセルMCに記録されるデータについて説明するための模式的な図である。
【
図12】読出動作について説明するための模式的な断面図である。
【
図13】書込シーケンスについて説明するための模式的なフローチャートである。
【
図14】プログラム動作について説明するための模式的な断面図である。
【
図15】ベリファイ動作について説明するための模式的な断面図である。
【
図16】書込シーケンスに際して選択ワード線WLに供給される電圧を示す模式的なグラフである。
【
図17】メモリセルMCの特性の変化について説明するための模式的なグラフである。
【
図18】書込シーケンスに際してメモリセルMCに供給される電子の電荷量について説明するための模式的なグラフである。
【
図19】書込シーケンスに際してメモリセルMCに供給される電子の電荷量について説明するための模式的なグラフである。
【
図20】書込シーケンスに際してメモリセルMCに供給される電子の電荷量について説明するための模式的なグラフである。
【
図21】第1実施形態に係る半導体記憶装置の構成を示す模式的なブロック図である。
【
図22】書込/消去回数記憶部41の構成例を示す模式的な図である。
【
図23】書込/消去回数記憶部41の構成例を示す模式的な図である。
【
図24】書込/消去回数記憶部41の構成例を示す模式的な図である。
【
図25】コマンド記憶部42の構成例を示す模式的な図である。
【
図26】パラメータ記憶部43の構成例を示す模式的な図である。
【
図27】パラメータ記憶部43の構成例を示す模式的な図である。
【
図28】パラメータ記憶部43の構成例を示す模式的な図である。
【
図29】変形例に係る半導体記憶装置の構成を示す模式的なブロック図である。
【
図30】パラメータ記憶部44の構成例を示す模式的な図である。
【
図31】変形例に係る半導体記憶装置の構成を示す模式的なブロック図である。
【
図32】コマンド記憶部45の構成例を示す模式的な図である。
【
図33】コマンド記憶部46の構成例を示す模式的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、実施形態に係る半導体記憶装置を、図面を参照して詳細に説明する。尚、以下の実施形態はあくまでも一例であり、本発明を限定する意図で示されるものではない。
【0009】
また、本明細書において「半導体記憶装置」と言った場合には、メモリダイを意味する事もあるし、メモリチップ、メモリカード、SSD等の、コントロールダイを含むメモリシステムを意味する事もある。更に、スマートホン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等の、ホストコンピュータを含む構成を意味する事もある。
【0010】
また、本明細書において、第1の構成が第2の構成に「電気的に接続されている」と言った場合、第1の構成は第2の構成に直接接続されていても良いし、第1の構成が第2の構成に配線、半導体部材又はトランジスタ等を介して接続されていても良い。例えば、3つのトランジスタを直列に接続した場合には、2つ目のトランジスタがOFF状態であったとしても、1つ目のトランジスタは3つ目のトランジスタに「電気的に接続」されている。
【0011】
また、本明細書において、第1の構成が第2の構成及び第3の構成の「間に接続されている」と言った場合、第1の構成、第2の構成及び第3の構成が直列に接続され、且つ、第1の構成が第2の構成及び第3の構成の電流経路に設けられていることを意味する場合がある。
【0012】
また、本明細書において、回路等が2つの配線等を「導通させる」と言った場合には、例えば、この回路等がトランジスタ等を含んでおり、このトランジスタ等が2つの配線の間の電流経路に設けられており、このトランジスタ等がON状態となることを意味する事がある。
【0013】
[第1実施形態]
[メモリシステム10]
図1は、第1実施形態に係るメモリシステム10の構成を示す模式的なブロック図である。
【0014】
メモリシステム10は、ホストコンピュータ20から送信された信号に応じて、ユーザデータの読み出し、書き込み、消去等を行う。メモリシステム10は、例えば、メモリチップ、メモリカード、SSD又はその他のユーザデータを記憶可能なシステムである。メモリシステム10は、ユーザデータを記憶する複数のメモリダイMDと、これら複数のメモリダイMD及びホストコンピュータ20に接続されるコントロールダイCDと、を備える。コントロールダイCDは、例えば、プロセッサ、RAM、ROM、ECC回路等を備え、論理アドレスと物理アドレスの変換、ビット誤り検出/訂正、ウェアレベリング等の処理を行う。
【0015】
図2は、第1実施形態に係るメモリダイMDの構成を示す模式的なブロック図である。
図3~
図6は、メモリダイMDの一部の構成を示す模式的な回路図である。
【0016】
図2に示す通り、メモリダイMDは、データを記憶するメモリセルアレイMCAと、メモリセルアレイMCAに接続された周辺回路PCと、を備える。
【0017】
[メモリセルアレイMCA]
メモリセルアレイMCAは、複数のメモリブロックMBを備える。これら複数のメモリブロックMBは、
図3に示す様に、それぞれ、複数のストリングユニットSUを備える。これら複数のストリングユニットSUは、それぞれ、複数のメモリストリングMSを備える。これら複数のメモリストリングMSの一端は、それぞれ、ビット線BLを介して周辺回路PCに接続される。また、これら複数のメモリストリングMSの他端は、それぞれ、共通のソース線SLを介して周辺回路PCに接続される。
【0018】
メモリストリングMSは、ビット線BL及びソース線SLの間に直列に接続されたドレイン選択トランジスタSTD、複数のメモリセルMC、及び、ソース選択トランジスタSTSを備える。以下、ドレイン選択トランジスタSTD、及び、ソース選択トランジスタSTSを、単に選択トランジスタ(STD、STS)と呼ぶ事がある。
【0019】
本実施形態に係るメモリセルMCは、チャネル領域として機能する半導体層、電荷蓄積膜を含むゲート絶縁膜、及び、ゲート電極を備える電界効果型のトランジスタ(メモリトランジスタ)である。メモリセルMCのしきい値電圧は、電荷蓄積膜中の電荷量に応じて変化する。メモリセルMCは、1ビット又は複数ビットのデータを記憶する。尚、1のメモリストリングMSに対応する複数のメモリセルMCのゲート電極には、それぞれ、ワード線WLが接続される。これらワード線WLは、それぞれ、1のメモリブロックMB中の全てのメモリストリングMSに共通に接続される。
【0020】
選択トランジスタ(STD、STS)は、チャネル領域として機能する半導体層、ゲート絶縁膜及びゲート電極を備える電界効果型のトランジスタである。選択トランジスタ(STD、STS)のゲート電極には、それぞれ、選択ゲート線(SGD、SGS)が接続される。ドレイン選択線SGDは、ストリングユニットSUに対応して設けられ、1のストリングユニットSU中の全てのメモリストリングMSに共通に接続される。ソース選択線SGSは、1のメモリブロックMB中の全てのメモリストリングMSに共通に接続される。
【0021】
[周辺回路PC]
周辺回路PCは、
図2に示す通り、センスアンプモジュールSAMと、ロウデコーダRDと、ドライバDRVと、電圧生成回路VGと、アドレスデコーダADD(
図3)と、シーケンサSQCと、を備える。また、周辺回路PCは、アドレスレジスタADRと、コマンドレジスタCMRと、ステータスレジスタSTRと、を備える。また、周辺回路PCは、入出力制御回路I/Oと、論理回路CTRと、を備える。
【0022】
センスアンプモジュールSAMは、複数のビット線BLに対応する複数のセンスアンプユニットを備える。センスアンプユニットは、ビット線BLに接続されたセンスアンプと、センスアンプに接続されたデータバスと、データバスに接続された複数のラッチ回路と、を備える。センスアンプは、データバス及び接地端子の間に接続されたセンストランジスタを備える。センストランジスタは、例えば、ビット線BLに流れる電流に応じてデータバスの電荷を放電する。センストランジスタのゲート電極は、センスノード及びクランプトランジスタを介してビット線BLに接続される。また、センスアンプは、センスアンプユニット内のラッチ回路にラッチされている値に応じてビット線BLを第1の電圧供給線又は第2の電圧供給線に選択的に接続するデコード回路を備える。
【0023】
ロウデコーダRDは、例えば
図3に示す様に、メモリブロックMBに対応する複数のブロック選択部31を備える。これら複数のブロック選択部31は、それぞれ、ワード線WL及び選択ゲート線(SGD、SGS)に対応する複数のブロック選択トランジスタ32を備える。ブロック選択トランジスタ32は、例えば、電界効果型の耐圧トランジスタである。ブロック選択トランジスタ32の一端は、それぞれ、対応するワード線WL又は選択ゲート線(SGD、SGS)に電気的に接続される。他端は、それぞれ、配線CGに電気的に接続される。ゲート電極は、対応するブロック選択線36に共通に接続される。
【0024】
ドライバDRVは、ワード線WL及び選択ゲート線(SGD、SGS)に対応する複数の電圧選択部33を備える。これら複数の電圧選択部33は、それぞれ、複数の電圧選択トランジスタ34を備える。電圧選択トランジスタ34は、例えば、電界効果型の耐圧トランジスタである。電圧選択トランジスタ34の一端は、それぞれ、配線CG及びロウデコーダRDを介して、対応するワード線WL又は選択ゲート線(SGD、SGS)に電気的に接続される。他端は、それぞれ、対応する動作電圧出力端子351に電気的に接続される。ゲート電極は、それぞれ、対応する電圧選択線37に接続される。
【0025】
電圧生成回路VGは、複数の動作電圧生成ユニット35を備える。これら複数の動作電圧生成ユニット35には、例えば、電源電圧供給端子VCC,VSSに接続されている。また、これら複数の動作電圧生成ユニット35は、それぞれ、シーケンサSQCからの制御信号に従って、メモリセルアレイMCAに対する読出動作、書込動作及び消去動作に際してビット線BL、ソース線SL、ワード線WL及び選択ゲート線(SGD、SGS)に印加される動作電圧を順次生成し、複数の動作電圧出力端子351に出力する。
【0026】
アドレスデコーダADDは、複数のブロック選択線36及び複数の電圧選択線37を備える。例えば、アドレスデコーダADDは、シーケンサSQCからの制御信号に従って順次アドレスレジスタADR(
図2)のアドレスデータを参照し、このアドレスデータをデコードして、アドレスデータに対応する所定のブロック選択線36及び電圧選択線37を“H”状態とし、それ以外のブロック選択線36及び電圧選択線37を“L”状態とする。
【0027】
シーケンサSQCは、コマンドレジスタCMR(
図2)に保持されたコマンドCMDを順次デコードし、センスアンプモジュールSAM、ロウデコーダRD、ドライバDRV、及び、電圧生成回路VGに内部制御信号を出力する。また、シーケンサSQRは、適宜自身の状態を示すステータスデータをステータスレジスタSTR(
図2)に出力する。例えば、書込シーケンス又は消去シーケンスの実行に際して、書込シーケンス又は消去シーケンスが正常に終了したか否かを示す情報をステータスデータとして出力する。
【0028】
入出力制御回路I/Oは、データ入出力端子I/O0~I/O7と、これらデータ入出力端子I/O0~I/O7に接続されたシフトレジスタと、このシフトレジスタに接続されたFIFOバッファと、を備える。入出力制御回路I/Oは、論理回路CTRからの内部制御信号に応じて、データ入出力端子I/O0~I/O7から入力されたデータを、センスアンプモジュールSAM内のラッチ回路XDL、アドレスレジスタADR又はコマンドレジスタCMRに出力する。また、ラッチ回路XDL又はステータスレジスタSTRから入力されたデータを、データ入出力端子I/O0~I/O7に出力する。
【0029】
論理回路CTRは、外部制御端子/CEn,CLE,ALE,/WE,/REを介してコントロールダイCDから外部制御信号を受信し、これに応じて入出力制御回路I/Oに内部制御信号を出力する。
【0030】
図4~
図6は、動作電圧生成ユニット35の構成を示す模式的な等価回路図である。
【0031】
動作電圧生成ユニット35は、
図4に示す様に、動作電圧出力端子351に電圧V
OUTを出力する昇圧回路35aと、動作電圧出力端子351に接続された分圧回路35bと、分圧回路35bから出力される電圧V
OUT´と参照電圧V
REFとの大小関係に応じて昇圧回路35aにフィードバック信号FBを出力するコンパレータ35cと、を備える。
【0032】
昇圧回路35aは、
図5に示す様に、電源電圧入力端子352及び動作電圧出力端子351の間に交互に接続された複数のトランジスタ353a,353bを備える。電源電圧入力端子352は電源電圧供給端子V
CCに接続されており、電源電圧が供給される。直列に接続された複数のトランジスタ353a,353bのゲート電極は、それぞれのドレイン電極及びキャパシタ354に接続されている。また、昇圧回路35aは、クロック信号CLK及びフィードバック信号FBの論理和を出力するAND回路355と、AND回路355の出力信号を昇圧して出力するレベルシフタ356aと、AND回路355の出力信号の反転信号を昇圧して出力するレベルシフタ356bと、を備える。レベルシフタ356aの出力信号は、キャパシタ354を介してトランジスタ353aのゲート電極に接続される。レベルシフタ356bの出力信号は、キャパシタ354を介してトランジスタ353bのゲート電極に接続される。
【0033】
フィードバック信号FBが“H”状態である場合、AND回路355からは、クロック信号CLKが出力される。これに伴い、動作電圧出力端子351から電源電圧入力端子352に電子が移送され、動作電圧出力端子351の電圧が増大する。一方、フィードバック信号FBが“L”状態である場合、AND回路355からは、クロック信号CLKが出力されない。従って、動作電圧出力端子351の電圧は増大しない。
【0034】
分圧回路35b(
図4)は、動作電圧出力端子351及び分圧端子357の間に接続された抵抗素子358と、分圧端子357及び電源電圧供給端子V
SSの間に直列に接続された可変抵抗素子359と、を備える。可変抵抗素子359の抵抗値は、動作電圧制御信号V
CTRLに応じて調整可能である。従って、分圧端子357から出力される電圧V
OUT´の大きさは、動作電圧制御信号V
CTRLに応じて調整可能である。
【0035】
可変抵抗素子359は、
図6に示す様に、分圧端子357及び電源電圧供給端子V
SSの間に並列に接続された複数の電流経路360を備える。これら複数の電流経路360は、それぞれ、直列に接続された抵抗素子361及びトランジスタ362を備える。各電流経路360に設けられた抵抗素子361の抵抗値は、お互いに異なる大きさであっても良い。各電流経路360に設けられたトランジスタ362のゲート電極には、それぞれ、動作電圧制御信号V
CTRLの異なるビットが入力される。また、可変抵抗素子359は、トランジスタ362を含まない電流経路363を有していても良い。
【0036】
コンパレータ35c(
図4)は、フィードバック信号FBを出力する。フィードバック信号FBは、例えば、分圧端子357の電圧V
OUT´が参照電圧V
REFより大きい場合に“L”状態となる。また、フィードバック信号FBは、例えば、電圧V
OUT´が参照電圧V
REFより小さい場合に“H”状態となる。
【0037】
[構成例]
次に、
図7~
図10を参照して、本実施形態に係る半導体記憶装置の構成例について説明する。
図7は、本実施形態に係る半導体記憶装置の模式的な平面図である。
図8は、
図7のAで示した部分の模式的な拡大図である。
図9は、
図8に示す構造をB-B´線で切断し、矢印の方向に見た模式的な断面図である。
図10は、
図9の模式的な拡大図である。尚、
図7~
図10は模式的な構成を示すものであり、具体的な構成は適宜変更可能である。また、
図7~
図10においては、一部の構成が省略されている。
【0038】
図7に示す通り、本実施形態に係る半導体記憶装置は、半導体基板100を備える。図示の例において、半導体基板100にはX方向に並ぶ2つのメモリセルアレイMCAが設けられている。また、メモリセルアレイMCAのX方向の両端部に沿ってY方向に延伸する領域にはロウデコーダRDが設けられている。また、メモリセルアレイMCAのY方向の端部に沿ってX方向に延伸する領域にはセンスアンプモジュールSAMが設けられている。センスアンプモジュールSAMが設けられた領域のX方向の両端部近傍の領域には、ドライバDRVが設けられている。また、これらの領域の外側の領域には、電圧生成回路VG、シーケンサSQC、入出力制御回路I/O及び論理回路CTRが設けられている。
【0039】
メモリセルアレイMCAは、Y方向に並ぶ複数のメモリブロックMBを備える。本実施形態においては、複数のメモリブロックMBに含まれるメモリセルMCに、例えば4値(2ビット)、8値(3ビット)、16値(4ビット)等の多値のデータが記録される。しかしながら、一部のメモリブロックMBに含まれるメモリセルMCには2値のデータが記録される。この様なメモリセルMCは、例えば、多値のデータとして記録されるユーザデータ等を一時的に2値のデータとして記録するバッファメモリ、又は、メモリダイMDの内部又は外部の動作に使用されるパラメータ等を記録するROM領域等として利用される。
【0040】
メモリブロックMBは、
図8に示す様に、Y方向に並ぶ2つのサブブロック構造SBを備える。また、Y方向において隣り合う2つのサブブロック構造SBの間には、X方向に延伸するブロック間構造STが設けられる。2つのメモリブロックMBに含まれるワード線WLは、ブロック間構造STを介して電気的に絶縁されている。
【0041】
サブブロック構造SBは、Y方向に並ぶ2つのストリングユニットSUと、これら2つのストリングユニットSUの間に設けられたサブブロック間絶縁層SHEと、を備える。
【0042】
ストリングユニットSUは、
図9に例示する様に、半導体基板100の上方に設けられた複数の導電層110と、複数の半導体層120と、複数の導電層110及び複数の半導体層120の間にそれぞれ設けられた複数のゲート絶縁膜130と、を備える。
【0043】
半導体基板100は、例えば、P型の不純物を含む単結晶シリコン(Si)等の半導体基板である。半導体基板100の表面の一部には、リン(P)等のN型の不純物を含むN型ウェルが設けられている。また、N型ウェルの表面の一部には、ホウ素(B)等のP型の不純物を含むP型ウェルが設けられている。
【0044】
導電層110は、X方向に延伸する略板状の導電層であり、Z方向に複数並んでいる。導電層110は、例えば、窒化チタン(TiN)及びタングステン(W)の積層膜等を含んでいても良いし、リン又はホウ素等の不純物を含む多結晶シリコン等を含んでいても良い。また、導電層110の間には、酸化シリコン(SiO2)等の絶縁層111が設けられている。
【0045】
複数の導電層110のうち、最下層に位置する一又は複数の導電層110は、ソース選択線SGS(
図3)及びこれに接続された複数のソース選択トランジスタSTSのゲート電極として機能する。また、これよりも上方に位置する複数の導電層110は、ワード線WL(
図3)及びこれに接続された複数のメモリセルMC(
図3)のゲート電極として機能する。また、これよりも上方に位置する一又は複数の導電層110は、ドレイン選択線SGD及びこれに接続された複数のドレイン選択トランジスタSTD(
図3)のゲート電極として機能する。
【0046】
半導体層120は、
図8に例示する様に、X方向及びY方向に複数配設される。半導体層120は、例えば、ノンドープの多結晶シリコン(Si)等の半導体膜である。半導体層120は、例えば
図9に例示する様に、略円筒状の形状を有し、中心部分には酸化シリコン等の絶縁膜121が設けられている。また、半導体層120の外周面は、それぞれ導電層110によって囲われている。半導体層120の下端部は、ノンドープの単結晶シリコン等の半導体層122を介して半導体基板100のP型ウェルに接続される。半導体層122は、酸化シリコン等の絶縁層123を介して導電層110に対向する。半導体層120の上端部は、リン(P)等のN型の不純物を含む半導体層124、コンタクトCh及びCbを介してビット線BLに接続される。半導体層120は、それぞれ、1つのメモリストリングMS(
図3)に含まれる複数のメモリセルMC及びドレイン選択トランジスタSTDのチャネル領域として機能する。半導体層122は、ソース選択トランジスタSTSの一部のチャネル領域として機能する。
【0047】
ゲート絶縁膜130は、例えば
図10に示す通り、半導体層120及び導電層110の間に積層されたトンネル絶縁膜131、電荷蓄積膜132、及び、ブロック絶縁膜133を備える。トンネル絶縁膜131及びブロック絶縁膜133は、例えば、酸化シリコン等の絶縁膜である。電荷蓄積膜132は、例えば、窒化シリコン(SiN)等の電荷を蓄積可能な膜である。トンネル絶縁膜131、電荷蓄積膜132、及び、ブロック絶縁膜133は略円筒状の形状を有し、半導体層120の外周面に沿ってZ方向に延伸する。
【0048】
尚、
図10には、ゲート絶縁膜130が窒化シリコン等の電荷蓄積膜132を備える例を示したが、ゲート絶縁膜130は、例えば、N型又はP型の不純物を含む多結晶シリコン等のフローティングゲートを備えていても良い。
【0049】
ブロック間構造STは、例えば
図9に示す通り、Z方向に延伸する導電層LIと、この導電層LI及び複数の導電層110の間に設けられた絶縁層SWと、を含む。
【0050】
導電層LIは、Z方向及びX方向に延伸する略板状の導電層であり、ソース線SLの一部として機能する。導電層LIは、例えば、窒化チタン(TiN)及びタングステン(W)の積層膜等を含んでいても良いし、リン又はホウ素等の不純物を含む多結晶シリコン等を含んでいても良いし、シリサイド等を含んでいても良い。絶縁層SWは、例えば、酸化シリコン(SiO2)等の絶縁層である。
【0051】
[メモリセルMCのしきい値電圧]
次に、
図11を参照して、メモリセルMCのしきい値電圧について説明する。
図11(a)は、多値のデータが記録されるメモリセルMCのしきい値電圧について説明するための模式的なヒストグラムである。横軸はワード線WLの電圧を示しており、縦軸はメモリセルMCの数を示している。
図11(b)は、多値のデータが記録されるメモリセルMCのしきい値電圧及びメモリセルMCに記録されるデータの一例である。
図11(c)は、多値のデータが記録されるメモリセルMCのしきい値電圧及びメモリセルMCに記録されるデータの他の例である。
図11(d)は、2値のデータが記録されるメモリセルMCのしきい値電圧について説明するための模式的なヒストグラムである。
【0052】
上述の通り、メモリセルアレイMCAは、複数のメモリセルMCを備える。これら複数のメモリセルMCに書込シーケンスが行われた場合、これらメモリセルMCのしきい値電圧は複数通りのステートに制御される。
【0053】
図11(a)には、8通りのステートに制御されたメモリセルMCのしきい値電圧の分布を示している。例えば、Aステートに制御されたメモリセルMCのしきい値電圧は、
図11(a)の読出電圧V
CGAR及びベリファイ電圧V
VFYAより大きく、読出電圧V
CGBR及びベリファイ電圧V
VFYBより小さい。また、全てのメモリセルMCのしきい値電圧は、
図11(a)の読出パス電圧V
READより小さい。
【0054】
図11(a)の例では、メモリセルMCを8通りのステートに調整することにより、各メモリセルMCに3ビットのデータを記録する。
【0055】
例えば、Erステートは、最も低いしきい値電圧(消去状態のメモリセルMCのしきい値電圧)に対応している。Erステートに対応するメモリセルMCには、例えば、データ“111”が割り当てられる。
【0056】
また、Aステートは、上記Erステートに対応するしきい値電圧よりも高いしきい値電圧に対応している。Aステートに対応するメモリセルMCには、例えば、データ“101”が割り当てられる。
【0057】
また、Bステートは、上記Aステートに対応するしきい値電圧よりも高いしきい値電圧に対応している。Bステートに対応するメモリセルMCには、例えば、データ“001”が割り当てられる。
【0058】
以下同様に、図中のCステート~Gステートは、Bステート~Fステートに対応するしきい値電圧よりも高いしきい値電圧に対応している。これらの分布に対応するメモリセルMCには、例えば、データ“011”,“010”,“110”,“100”,“000”が割り当てられる。
【0059】
尚、
図11(b)に例示した様な割り当ての場合、下位ビットのデータは1つの読出電圧V
CGDRによって判別可能であり、中位ビットのデータは3つの読出電圧V
CGAR,V
CGCR,V
CGFRによって判別可能であり、上位ビットのデータは3つの読出電圧V
CGBR,V
CGER,V
CGGRによって判別可能である。この様なデータの割り当てを、1-3-3コードと呼ぶ場合がある。
【0060】
尚、メモリセルMCに記録するデータのビット数、ステートの数、各ステートに対するデータの割り当て等は、適宜変更可能である。
【0061】
例えば、
図11(c)に例示した様な割り当ての場合、下位ビットのデータは1つの読出電圧V
CGDRによって判別可能であり、中位ビットのデータは2つの読出電圧V
CGBR,V
CGFRによって判別可能であり、上位ビットのデータは3つの読出電圧V
CGAR,V
CGCR,V
CGER,V
CGGRによって判別可能である。この様なデータの割り当てを、1-2-4コードと呼ぶ場合がある。
【0062】
図11(d)には、2通りのステートに制御されたメモリセルMCのしきい値電圧の分布を示している。例えば、上位ステートに制御されたメモリセルMCのしきい値電圧は、
図11(d)の読出電圧V
CGSR及びベリファイ電圧V
VFYSより大きく、読出パス電圧V
READ´より小さい。
【0063】
図11(d)の例では、メモリセルMCを2通りのステートに調整することにより、各メモリセルMCに1ビットのデータを記録する。
【0064】
例えば、下位ステートは、低いしきい値電圧(消去状態のメモリセルMCのしきい値電圧)に対応している。下位ステートに対応するメモリセルMCには、例えば、データ“1”が割り当てられる。
【0065】
また、上位ステートは、高いしきい値電圧(書込状態のメモリセルMCのしきい値電圧)に対応している。上位ステートに対応するメモリセルMCには、例えば、データ“0”が割り当てられる。
【0066】
[読出動作]
次に、
図11及び
図12を参照して、本実施形態に係る半導体記憶装置の読出動作について説明する。
図12は、読出動作について説明するための模式的な断面図である。尚、以下の説明においては、多値のデータが記録されるメモリセルMCに
図11(b)の1-3-3コードに従ってデータが割り当てられる例について説明する。
【0067】
多値のデータが記録されるメモリセルMCに対する下位ビットの読み出しに際しては、例えば
図12に示す様に、選択ページPに含まれる複数の選択メモリセルMCを、選択的にビット線BL及びソース線SLと導通させる。例えば、選択ページPに対応するドレイン選択線SGD及びソース選択線SGSにON電圧V
ONを供給して、選択トランジスタ(STD、STS)をON状態とする。また、それ以外のドレイン選択線SGD及びソース選択線SGSにOFF電圧V
OFFを供給して、選択トランジスタ(STD、STS)をOFF状態とする。また、非選択ページに対応する非選択ワード線WLに読出パス電圧V
READを供給して、非選択ワード線WLに接続された全てのメモリセルMCをON状態とする。
【0068】
また、
図12に示す様に、選択ページPに対応する選択ワード線WLに読出電圧V
CGDRを供給する。これにより、
図11(a)のErステート~Cステートに対応するメモリセルMCはON状態となり、Dステート~Gステートに対応するメモリセルMCはOFF状態となる。
【0069】
また、センスアンプモジュールSAM(
図2)によって、選択メモリセルMCのON状態/OFF状態を検出する。
【0070】
その後、センスアンプモジュールSAMによって検出されたデータを出力する。例えば、センスアンプモジュールSAMによって検出されたデータを、ラッチ回路XDL、バスDB及び入出力制御回路I/Oを介して、コントロールダイCDに転送する。コントロールダイCDはこのデータに対して、ビット誤り検出/訂正等を行った上で、ホストコンピュータ20に転送する。
【0071】
多値のデータが記録されるメモリセルMCに対する中位ビットの読み出しに際しては、例えば、選択メモリセルMCを、選択的にビット線BL及びソース線SLと導通させる。次に、例えば、選択ワード線WLに読出電圧VCGARを供給し、選択メモリセルMCのON状態/OFF状態を検出し、検出されたデータをラッチする。同様に、選択ワード線WLに読出電圧VCGCRを供給し、選択メモリセルMCのON状態/OFF状態を検出し、検出されたデータをラッチする。同様に、選択ワード線WLに読出電圧VCGFRを供給し、選択メモリセルMCのON状態/OFF状態を検出し、検出されたデータをラッチする。次に、ラッチされたデータ間で排他的論理和等の演算処理を行い、選択メモリセルMCの中位ビットのデータを算出する。その後、算出されたデータを出力する。
【0072】
多値のデータが記録されるメモリセルMCに対する上位ビットの読み出しに際しては、例えば、選択メモリセルMCを、選択的にビット線BL及びソース線SLと導通させる。次に、例えば、選択ワード線WLに読出電圧VCGBRを供給し、選択メモリセルMCのON状態/OFF状態を検出し、検出されたデータをラッチする。同様に、選択ワード線WLに読出電圧VCGERを供給し、選択メモリセルMCのON状態/OFF状態を検出し、検出されたデータをラッチする。同様に、選択ワード線WLに読出電圧VCGGRを供給し、選択メモリセルMCのON状態/OFF状態を検出し、検出されたデータをラッチする。次に、ラッチされたデータ間で排他的論理和等の演算処理を行い、選択メモリセルMCの上位ビットのデータを算出する。その後、算出されたデータを出力する。
【0073】
2値のデータが記録されるメモリセルMCに対する読み出しに際しては、例えば、選択メモリセルMCを、選択的にビット線BL及びソース線SLと導通させる。次に、例えば、選択ワード線WLに読出電圧VCGSRを供給し、選択メモリセルMCのON状態/OFF状態を検出し、検出されたデータを出力する。
【0074】
[書込シーケンス]
次に、
図13~
図16を参照して、半導体記憶装置の書込シーケンスについて説明する。書込シーケンスは、プログラム動作及びベリファイ動作を含む。
図13は、書込シーケンスについて説明するための模式的なフローチャートである。
図14は、プログラム動作について説明するための模式的な断面図である。
図15は、ベリファイ動作について説明するための模式的な断面図である。
図16は、書込シーケンスに際して選択ワード線WLに供給される電圧を示す模式的なグラフである。
【0075】
ステップS101では、ループ回数nを1に設定する。ループ回数nは、レジスタ等に記録される。
【0076】
ステップS102では、プログラム動作を行う。
【0077】
プログラム動作に際しては、例えば、しきい値電圧の調整を行うメモリセルMCに接続されたビット線BLと、しきい値電圧の調整を行わないメモリセルMCに接続されたビット線BLと、に異なる電圧を供給する。
【0078】
また、
図14に示す様に、しきい値電圧の調整を行うメモリセルMCを、選択的にビット線BLと導通させる。例えば、選択ページPに対応するドレイン選択線SGDにON電圧V
ON´を供給し、それ以外のドレイン選択線SGDにOFF電圧V
OFFを供給する。ON電圧V
ON´は、例えば、
図12のON電圧V
ONより小さくても良い。これにより、接地電圧が供給されたビット線BLに対応するドレイン選択トランジスタSTDはON状態となり、プログラム禁止電圧が供給されたビット線BLに対応するドレイン選択トランジスタSTDはOFF状態となる。また、非選択ページに対応する非選択ワード線WLに書込パス電圧V
PASSを供給する。書込パス電圧V
PASSは、例えば、
図12の読出パス電圧V
READより大きい。
【0079】
また、
図14に示す様に、選択ワード線WLにプログラム電圧V
PGMを供給する。プログラム電圧V
PGMは、書込パス電圧V
PASSよりも大きい。これにより、所望のメモリセルMCの電荷蓄積膜132(
図10)に電子が蓄積され、メモリセルMCのしきい値電圧が増大する。
【0080】
ステップS103(
図13)では、ベリファイ動作を行う。ベリファイ動作に際しては、例えば
図15に示す様に、読出動作と同様に、選択メモリセルMCを、選択的にビット線BL及びソース線SLと導通させる。次に、例えば、選択ワード線WLにベリファイ電圧V
VFYA,V
VFYB,V
VFYC,V
VFYD,V
VFYE,V
VFYF又はV
VFYG(
図11(a))を供給し、選択メモリセルMCのON状態/OFF状態を検出し、ラッチ回路SDLのデータをラッチ回路XDLに転送する。
【0081】
尚、例えば
図16(a)に示す様に、多値のデータが記録されるメモリセルMCに対する1回のベリファイ動作においては、選択ワード線WLに、お互いに異なる大きさの複数のベリファイ電圧を順次供給しても良い。例えば、選択ページPにAステート~Cステートに対応する複数のメモリセルMCが含まれている場合等には、1回のベリファイ動作において、下記の動作を実行しても良い。例えば、選択メモリセルMCを、選択的にビット線BL及びソース線SLと導通させる。次に、選択ワード線WLにベリファイ電圧V
VFYAを供給し、Aステートに対応する選択メモリセルMCのON状態/OFF状態を検出してラッチする。次に、選択ワード線WLにベリファイ電圧V
VFYBを供給し、Bステートに対応する選択メモリセルMCのON状態/OFF状態を検出してラッチする。次に、選択ワード線WLにベリファイ電圧V
VFYCを供給し、Cステートに対応する選択メモリセルMCのON状態/OFF状態を検出してラッチする。その後、ラッチされたデータを、ラッチ回路XDLに転送する。
【0082】
一方、例えば
図16(b)に示す様に、2値のデータが記録されるメモリセルMCに対する1回のベリファイ動作においては、選択ワード線WLに、一通りのみのベリファイ電圧が供給される。例えば、選択メモリセルMCを、選択的にビット線BL及びソース線SLと導通させる。次に、選択ワード線WLにベリファイ電圧V
VFYSを供給し、上位ステートに対応する選択メモリセルMCのON状態/OFF状態を検出し、検出されたデータをラッチ回路XDLに転送する。
【0083】
ステップS104(
図13)では、ベリファイ動作の結果を判定する。例えば、ラッチ回路XDLに保持されたデータに一定以上“L”が含まれている場合等にはベリファイFAILと判定し、ステップS105に進む。一方、ラッチ回路XDLに保持されたデータに一定以上“L”が含まれていない場合等にはベリファイPASSと判定し、ステップS107に進む。
【0084】
ステップS105では、ループ回数nが所定の回数Nに達したか否かを判定する。達していなかった場合にはステップS106に進む。達していた場合にはステップS108に進む。
【0085】
ステップS106では、ループ回数nに1を加算して、ステップS102に進む。また、ステップS106では、例えば
図16に示す様に、プログラム電圧V
PGMに所定の電圧ΔVを加算する。
【0086】
ステップS107では、ステータスレジスタSTR(
図2)に、書込シーケンスが正常に終了した旨のステータスデータを格納し、コントロールダイCD(
図1)に出力し、書込シーケンスを終了する。
【0087】
ステップS108では、ステータスレジスタSTR(
図2)に、書込シーケンスが正常に終了しなかった旨のステータスデータを格納し、コントロールダイCD(
図1)に出力し、書込シーケンスを終了する。
【0088】
[メモリセルMCの特性の変化]
図17は、メモリセルMCの特性の変化について説明するための模式的なグラフである。横軸は、書込シーケンス及び消去シーケンスの実行回数(以下、「書込/消去回数」等と呼ぶ場合がある。)を示している。縦軸は、1回の書込シーケンスに際してメモリセルMCの電荷蓄積膜132(
図10)に蓄積される電子の電荷量(トンネル絶縁膜131(
図10)を通過する電子の電荷量)を示している。
【0089】
上述の通り、メモリセルMCに対してプログラム動作を実行すると、メモリセルMCの電荷蓄積膜132に電子が蓄積され、メモリセルMCのしきい値電圧が増大する。また、メモリセルMCに対して消去シーケンスを実行すると、メモリセルMCの電荷蓄積膜132から電子が引き抜かれ、メモリセルMCのしきい値電圧が減少する。
【0090】
しかしながら、プログラム動作に際しては、電子の一部がトンネル絶縁膜131、電荷蓄積膜132、又は、これらの界面中の深いトラップ準位にトラップされてしまう場合がある。この様な電子は、消去シーケンスを実行しても引き抜かれない場合がある。従って、メモリセルMCに対して書込シーケンス及び消去シーケンスを繰り返し行うと、この様な電子が電荷蓄積膜132中に蓄積してしまう場合がある。
【0091】
この様な場合、例えばメモリセルMCへの書込/消去回数が比較的少ない段階では、メモリセルMCのしきい値を所望の大きさまで増大させるために、比較的多くの回数分プログラム電圧を供給して、比較的多くの電子をメモリセルMCの電荷蓄積膜132に蓄積させることが必要な場合がある。一方、例えばメモリセルMCへの書込/消去回数が比較的多い段階では、メモリセルMCのしきい値を所望の大きさまで増大させるために、比較的少ない回数分プログラム電圧を供給して、比較的少ない電子をメモリセルMCの電荷蓄積膜132に蓄積させれば良い場合がある。
【0092】
この様な場合、例えば
図17に示す様に、書込/消去回数に伴い、1回の書込シーケンスに際してメモリセルMCの電荷蓄積膜132に蓄積する必要がある電子の電荷量が減少する。
【0093】
ここで、メモリセルMCの長寿命化を図るためには、1回の書込シーケンスに際してメモリセルMCの電荷蓄積膜132に蓄積される電子の量を、必要最小限に抑えることが望ましい。このためには、例えば、プログラム電圧V
PGMの初期値及び増加量ΔV(
図16参照)を小さい大きさに設定することが考えられる。この様な場合、例えば
図18に示す様に、プログラム電圧V
PGMを1回供給した場合に電荷蓄積膜132に蓄積される電荷量Δqが小さい大きさとなる。従って、書込/消去回数の増大と共に書込シーケンスにおけるプログラム動作の回数が減少し、メモリセルMCの電荷蓄積膜132に蓄積される電子の量を、必要最小限の量に近づけることが可能である。
【0094】
しかしながら、
図18に示す様な態様においては、一度の書込シーケンスにおけるプログラム動作の回数が増大してしまい、書込シーケンスの実行時間が増大してしまう場合がある。多値のデータが記録されるメモリセルMCにおいては、メモリセルMCのしきい値電圧が細かく調整される場合もあるため、
図18に示す様な制御とは比較的相性が良い場合もある。しかしながら、2値のデータが記録されるメモリセルMCにおいては、高速な動作が要求される場合があり、
図18に示す様な制御を適用することが困難な場合がある。
【0095】
そこで、例えば、多値のデータが記録されるメモリセルMCについては
図18に示す様な制御を行い、2値のデータが記録されるメモリセルMCについてはプログラム電圧V
PGMの初期値及び増加量ΔVを比較的大きく設定する事も考えられる。
【0096】
しかしながら、この様な場合、
図19に示す様に、書込/消去回数の増大と共に、1回の書込シーケンスに際してメモリセルMCのトンネル絶縁膜131を通過する電子の量と、必要最小限の量との差が増大してしまい、メモリセルMCに対する書込/消去回数の最大値n
A01が減少してしまう場合がある。
【0097】
[プログラム電圧VPGMの調整]
本実施形態においては、メモリセルMCに対する書込/消去回数を監視し、書込/消去回数の増大と共にプログラム電圧VPGMの初期値及び増加量ΔVの少なくとも一方を減少させる。例えば、メモリセルMCに対する書込/消去回数が0回~nA11回(nA11は自然数)である場合と、nA11回~nA12回(nA12は自然数)である場合と、nA12回~nA13回(nA13は自然数)である場合とで、プログラム電圧VPGMの初期値及び増加量ΔVの少なくとも一方を異なる大きさとする。
【0098】
この様な方法によれば、
図20に示す様に、一回のプログラム動作において電荷蓄積膜132に蓄積される電子の電荷量が、Δq
1、Δq
2、(<Δq
1)、Δq
3(<Δq
2)と徐々に減少する。これにより、一回の書込シーケンスにおけるプログラム動作の回数を増大させることなく、メモリセルMCのトンネル絶縁膜131を通過する電子の量を必要最小限の量に近づけることが可能である。これにより、長寿命且つ高速な半導体記憶装置を提供することが可能となる。
【0099】
尚、この様な方法は、多値のデータが記録されるメモリセルMCと2値のデータが記録されるメモリセルMCとの双方に適用可能である。しかしながら、上述の通り、2値のデータが記録されるメモリセルMCにおいては高速な動作が要求される場合があり、一回のプログラム動作においてメモリセルMCの電荷蓄積膜132に比較的多くの電子が蓄積される場合がある。従って、書込/消去回数の増大と共にプログラム電圧VPGMの初期値及び増加量ΔVの少なくとも一方を減少させることにより、メモリセルMCのトンネル絶縁膜131を通過する電子の量を必要最小限の量に近づけて、より有効にメモリセルMCの長寿命化及び高速動作を実現可能であると考えられる。
【0100】
次に、この様な方法を実現するためのより具体的な方法について説明する。
【0101】
上記方法を実現するためには、例えば
図21に示す様に、コントロールダイCDに、書込/消去回数記憶部41と、コマンド記憶部42と、を設けること可能である。この様な場合、書込/消去回数記憶部41は、例えば、コントロールダイCD内のROMに設けられる。また、各メモリダイMDに、パラメータ記憶部43を設けることが可能である。この様な場合、パラメータ記憶部43は、例えば、メモリセルアレイMCA(
図7)中のROM領域に設けることが可能である。
【0102】
図21に示す例では、コントロールダイCDからメモリダイMDに書込シーケンス実行のためのコマンドを送信する際、コントロールダイCD内のCPUが書込/消去回数記憶部41を参照して、書込/消去回数を取得する。また、コマンド記憶部42を参照し、取得された書込/消去回数に対応するコマンドCMD1、コマンドCMD2又はコマンドCMD3を取得する。また、取得したコマンドをメモリダイMDに送信する。メモリダイMDは、パラメータ記憶部43を参照し、コマンドCMD1、コマンドCMD2又はコマンドCMD3に対応するパラメータとしてプログラム電圧V
PGMの初期値及び増加量ΔVを取得する。また、これらのパラメータに応じてプログラム電圧V
PGMを算出し、所定の動作電圧生成ユニット35に動作電圧制御信号V
CTRL(
図4、
図6)として入力する。
【0103】
書込/消去回数記憶部41は、例えば
図22に示す様に、コントロールダイCDによって制御される複数のメモリダイMD(メモリダイMD0,MD1,MD2…)毎に、メモリセルMCの書込/消去回数の最小値、最大値又はその間の値(平均値等)n
0,n
1,n
2,…を記憶しても良い。また、書込/消去回数記憶部41は、例えば
図23に示す様に、コントロールダイCDによって制御される複数のメモリダイMD0,MD1,MD2…に含まれる複数のメモリブロックMB(メモリブロックMB0,MB1,MB2…)毎に、メモリセルMCの書込/消去回数の最小値、最大値又はその間の値(平均値等)n
00,n
01,n
02,…を記憶しても良い。この場合、書込/消去回数記憶部41は、ウェアレベリングに使用される記憶部と共通であっても良い。また、書込/消去回数記憶部41は、例えば
図24に示す様に、コントロールダイCDによって制御される複数のメモリダイMD0,MD1,MD2…に含まれる複数のメモリブロックMB(メモリブロックMB0,MB1,MB2…)に含まれる複数のワード線WL(ワード線WL0,WL1,WL2…)毎に、メモリセルMCの書込/消去回数の最小値、最大値又はその間の値(平均値等)n
000,n
001,n
002,…を記憶しても良い。また、書込/消去回数記憶部41は、コントロールダイCDによって制御される全てのメモリセルMCの書込/消去回数の最小値、最大値又はその間の値(平均値等)を一つの値として記憶しても良い。
【0104】
コマンド記憶部42は、例えば
図25に示す様に、メモリセルMCの書込/消去回数の範囲毎に、メモリダイMDに送信するコマンドCMD(CMD1,CMD2,CMD3)を記憶しても良い。
図25に例示するコマンド記憶部42は、メモリセルMCの書込/消去回数が0回~n
A11回である場合に対応してコマンドCMD1を記憶し、メモリセルMCの書込/消去回数がn
A11+1回~n
A12回である場合に対応してコマンドCMD2を記憶し、メモリセルMCの書込/消去回数がn
A12+1回~n
A13回である場合に対応してコマンドCMD3を記憶する。
【0105】
パラメータ記憶部43は、例えば
図26に示す様に、コントロールダイCDから送信されたコマンドCMD1,CMD2,CMD3毎に、プログラム電圧V
PGMの初期値(V
PGM1,V
PGM2,V
PGM3)を記憶しても良い。また、パラメータ記憶部43は、例えば
図27に示す様に、コントロールダイCDから送信されたコマンドCMD1,CMD2,CMD3毎に、プログラム電圧V
PGMの初期値(V
PGM1,V
PGM2,V
PGM3)及び増加量ΔV(ΔV
1,ΔV
2,ΔV
3)を記憶しても良い。また、パラメータ記憶部43は、図示は省略するものの、コントロールダイCDから送信されたコマンドCMD1,CMD2,CMD3毎に、プログラム電圧V
PGMの増加量ΔV(ΔV
1,ΔV
2,ΔV
3)を記憶しても良い。尚、プログラム電圧V
PGMの初期値V
PGM1は初期値V
PGM2よりも大きく、初期値V
PGM2は初期値V
PGM3よりも大きい。また、プログラム電圧V
PGMの増加量ΔV
1は増加量ΔV
2よりも大きく、増加量ΔV
2は増加量ΔV
3よりも大きい。ただし、プログラム電圧V
PGMの初期値V
PGM1,V
PGM2,V
PGM3の大きさによっては、増加量ΔV
1が増加量ΔV
2よりも小さく、増加量ΔV
2が増加量ΔV
3よりも小さくても良い。
【0106】
また、パラメータ記憶部43は、例えば
図28に示す様に、コントロールダイCDから送信されたコマンドCMD1,CMD2,CMD3及び選択メモリセルMCを含むワード線WL毎に、プログラム電圧V
PGMの初期値(V
PGM11,V
PGM12,V
PGM13,V
PGM21,V
PGM22,V
PGM23,V
PGM31,V
PGM32,V
PGM33)及び増加量ΔV(ΔV
11,ΔV
12,ΔV
13,ΔV
21,ΔV
22,ΔV
23,ΔV
31,ΔV
32,ΔV
33)の少なくとも一方を記憶しても良い。尚、プログラム電圧V
PGMの初期値V
PGM11,V
PGM12,V
PGM13は初期値V
PGM21,V
PGM22,V
PGM23よりも大きい。また、初期値V
PGM21,V
PGM22,V
PGM23は初期値V
PGM31,V
PGM32,V
PGM33よりも大きい。また、プログラム電圧V
PGMの増加量ΔV
11,ΔV
12,ΔV
13は増加量ΔV
21,ΔV
22,ΔV
23よりも大きい。また、増加量ΔV
21,ΔV
22,ΔV
23は増加量ΔV
31,ΔV
32,ΔV
33よりも大きい。
【0107】
尚、以上のような方法は例示に過ぎず、具体的な方法等は適宜調整可能である。
【0108】
例えば、
図29に示す例では、コントロールダイCDに書込/消去回数記憶部41が設けられておらず、メモリダイMDに書込/消去回数記憶部41と、パラメータ記憶部44と、が設けられる。この様な場合、書込/消去回数記憶部41及びパラメータ記憶部44は、例えば、メモリセルアレイMCA(
図7)中のROM領域に設けることが可能である。
【0109】
図29に示す例では、書込シーケンスを実行する際、メモリダイMDは書込/消去回数記憶部41を参照して、書込/消去回数を取得する。また、パラメータ記憶部44を参照し、取得された書込/消去回数に対応するパラメータとしてプログラム電圧V
PGMの初期値及び増加量ΔVを取得する。また、これらのパラメータに応じてプログラム電圧V
PGMを算出し、所定の動作電圧生成ユニット35に動作電圧制御信号V
CTRL(
図4、
図6)として入力する。
【0110】
パラメータ記憶部44は、例えば
図30に示す様に、メモリセルMCの書込/消去回数の範囲毎に、プログラム電圧V
PGMの初期値(V
PGM1,V
PGM2,V
PGM3)及び増加量ΔV(ΔV
1,ΔV
2,ΔV
3)の少なくとも一方を記憶しても良い。また、パラメータ記憶部44は、例えば
図28を参照して説明した様に、メモリセルMCの書込/消去回数の範囲及び選択メモリセルMCを含むワード線WL毎に、プログラム電圧V
PGMの初期値及び増加量ΔVの少なくとも一方を記憶しても良い。
【0111】
また、例えば、
図31に示す例では、コントロールダイCD及びメモリダイMDには書込/消去回数記憶部41が設けられておらず、ホストコンピュータ20に書込/消去回数記憶部41と、コマンド記憶部45と、が設けられる。また、コントロールダイCDにはコマンド記憶部46が設けられる。また、メモリダイMDにはパラメータ記憶部43が設けられる。
【0112】
図31に示す例では、ホストコンピュータに20からコントロールダイCDに書込シーケンス実行のためのコマンドを送信する際、ホストコンピュータ20内のCPU等は書込/消去回数記憶部41を参照して、書込/消去回数を取得する。また、コマンド記憶部45を参照し、取得された書込/消去回数に対応するコマンドCmd1、コマンドCmd2又はコマンドCmd3を取得する。また、取得したコマンドをコントロールダイCDに送信する。コントロールダイCD内のCPU等は書込/消去回数記憶部41を参照して、コマンドCmd1、コマンドCmd2又はコマンドCmd3に対応するコマンドCMD1、コマンドCMD2又はコマンドCMD3を取得する。また、取得したコマンドをメモリダイMDに送信する。メモリダイMDは、パラメータ記憶部43を参照し、コマンドCMD1、コマンドCMD2又はコマンドCMD3に対応するパラメータとしてプログラム電圧V
PGMの初期値及び増加量ΔVを取得する。また、これらのパラメータに応じてプログラム電圧V
PGMを算出し、所定の動作電圧生成ユニット35に動作電圧制御信号V
CTRL(
図4、
図6)として入力する。
【0113】
コマンド記憶部45は、例えば
図32に例示する様に、コマンド記憶部42とほぼ同様に構成されている。ただし、コマンド記憶部42はメモリダイMDに送信されるコマンドCMD1,CMD2,CMD3を記憶しているのに対し、コマンド記憶部45はコントロールダイCDに送信されるコマンドCmd1,Cmd2,Cmd3を記憶している。
【0114】
コマンド記憶部46は、例えば
図33に例示する様に、コントロールダイCDに送信されるコマンドCmd1,Cmd2,Cmd3とメモリダイMDに送信されるコマンドCMD1,CMD2,CMD3とを対応付けて記憶している。
【0115】
[その他の実施形態]
以上、実施形態に係る半導体記憶装置について説明した。しかしながら、以上の説明はあくまでも例示であり、上述した構成や方法等は適宜調整可能である。
【0116】
例えば、上述の例においては、メモリセルMCに対する書込/消去回数の増大に応じて、プログラム電圧VPGMの初期値及び増加量ΔVの少なくとも一方を減少させる。しかしながら、長寿命且つ高速な半導体記憶装置を提供するためには、一回の書込シーケンスにおけるプログラム動作の回数を増大させることなく、メモリセルMCのトンネル絶縁膜131を通過する電子の量を必要最小限の量に近づけられれば良い。従って、書込/消去回数の増大に応じてプログラム電圧VPGMをどのように調整するかは、適宜調整可能である。例えば、1回の書込シーケンスにおいて最大でm(mは自然数)回のプログラム動作が実行される場合、書込シーケンスの1回目~m回目のプログラム動作におけるプログラム電圧の平均値を、書込/消去回数の増大に応じて減少させればよい。この様な方法は、例えば、書込シーケンスに含まれる複数のプログラム動作のうち、少なくとも1回のプログラム動作におけるプログラム電圧VPGMを調整することによっても実現可能である。
【0117】
また、上述の例においては、
図2等を参照して説明した様に、メモリセルアレイMCAが直列に接続された複数のメモリセルMCを備える、所謂NAND型のフラッシュメモリを例示した。しかしながら、上述の様な方法は、メモリセルが電荷蓄積膜132に対応する構成(窒化シリコン等の電荷蓄積膜、多結晶シリコン等のフローティングゲート、又は、その他の電荷を蓄積可能な構成)を備えるものであれば、NAND型のフラッシュメモリ以外にも適用可能である。例えば、NOR型のフラッシュメモリ等にも適用可能である。また、上述の様な方法は、書込/消去回数の増大に伴って必要なプログラム電圧(又はこれに対応する書込電圧等)が減少する様な性質を有するメモリであれば、電荷蓄積膜132に対応する構成を備えていないものにも適用可能である。
【0118】
[その他]
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが出来る。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0119】
MC…メモリセル(メモリトランジスタ)、WL…ワード線、VPGM…プログラム電圧、VVFY…ベリファイ電圧。