(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-07
(45)【発行日】2023-04-17
(54)【発明の名称】屋外フィンの固定構造
(51)【国際特許分類】
E04B 7/02 20060101AFI20230410BHJP
【FI】
E04B7/02 501D
(21)【出願番号】P 2019192053
(22)【出願日】2019-10-21
【審査請求日】2021-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡部 聖大
(72)【発明者】
【氏名】奈良 栄達
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-136916(JP,A)
【文献】特開2011-042955(JP,A)
【文献】特開2014-091911(JP,A)
【文献】特開2017-137692(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 7/02
E04F 10/00
E04F 10/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外壁面から屋外側に向かう出幅方向に延出して配置される屋外フィンを固定ブラケットによって建物に固定する屋外フィンの固定構造であって、
前記屋外フィンは、前記外壁面に沿って配置される長尺のフィン本体部と、前記フィン本体部から前記外壁面側に延出した第一係合片部および第二係合片部とを有し、
前記固定ブラケットは、前記外壁面に固定されるブラケット基部と、前記ブラケット基部から屋外側に延出した第一固定片部および第二固定片部とを有し、
前記第一係合片部は前記第一固定片部に重なって出幅方向に係合し、
前記第二係合片部は前記第二固定片部に重なって出幅方向に係合し、
前記第一係合片部および前記第一固定片部を貫通する軸部を有した固定具によって前記第一係合片部が前記第一固定片部に固定され、
前記軸部の先端は前記第二係合片部と対向して配置され、
前記第二係合片部は上方に窪んだ係合凹部を有し、
前記第二固定片部は上方に突出した係合凸部を有し、
前記軸部の先端および前記第二係合片部の間は、前記屋外フィンの長さ方向および出幅方向に交差する厚さ方向に
おいて前記係合凹部および前記係合凸部が重なる部分である係合代よりも小さい
ことを特徴とする屋外フィンの固定構造。
【請求項2】
請求項1に記載の屋外フィンの固定構造において、
前記固定具は、前記第一係合片部を前記第一固定片部に螺合によって固定し、
前記軸部の先端は、前記第二係合片部を前記第二固定片部側に押圧する配置とされる
ことを特徴とする屋外フィンの固定構造。
【請求項3】
請求項2に記載の屋外フィンの固定構造において、
前記固定具は、軸部がネジ切りされたボルトによって形成され、
前記第一係合片部には、前記軸部が貫通される孔が形成され、
前記第一固定片部には、前記軸部が貫通される長孔が前記屋外フィンの長さ方向に延びて形成され、且つ、前記軸部と螺合する固定部材を長さ方向にスライド可能に保持するスライド溝が形成される
ことを特徴とする屋外フィンの固定構造。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の屋外フィンの固定構造において、
前記第二係合片部および前記第二固定片部の間には、前記軸部の先端に押圧される前記第二係合片部の弾性変形を許容する隙間が形成される
ことを特徴とする屋外フィンの固定構造。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の屋外フィンの固定構造において、
前記第二係合片部は
、前記係合
凹部よりも前記外壁面側に位置して前記固定具の軸部の先端と対向する軸対向部と、前記軸対向部よりも外壁面側に位置して前記第一係合片部側に突出した位置決め突部とを有し、
前記位置決め突部は、前記固定具の軸部に対して出幅方向に対向して配置される
ことを特徴とする屋外フィンの固定構造。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の屋外フィンの固定構造において、
前記屋外フィンは前記外壁面の左右方向に沿って配置され、
前記第一係合片部は前記第一固定片部に対して上方に重なって配置され、
前記第二係合片部は前記第二固定片部に対して上方に重なって配置され、
前記固定具の軸部は前記第一係合片部および前記第一固定片部に対して上方から貫通され、
前記軸部の先端は前記第二係合片部の上面に対向して配置される
ことを特徴とする屋外フィンの固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物に取り付けられる屋外フィンの固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の勝手口のような出入口や窓の屋外側上部に取り付ける庇が知られている(特許文献1参照)。この庇の背面側(建物側)には、先端が下向きに屈曲した上下の掛け爪が形成されている。また、建物の外壁面には取付ブラケットが固定され、取付ブラケットには先端が上向きに屈曲した上下の受け爪が形成されている。庇は、上下の掛け爪を上下の受け爪に引っ掛けることで取付ブラケットに仮置きされ、この後に取付ブラケットにビスで本固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の庇は、前述したように建物の勝手口などに設置されるものであるので、その設置場所に対応可能な耐荷重設定となっていればよく、下側の掛け爪および受け爪はビスで締結されているが、上側の掛け爪は受け爪に引っ掛けられているだけである。
ここで例えば、ビル建物においてカーテンウォールなどによって構成される外壁面に庇などの屋外フィンを設置する場合、建物の勝手口で受ける風圧力よりも大きな風圧力などの外力が加わるので、これに対応した耐荷重設置としなければならない。しかし、特許文献1に記載の庇ではこのような耐荷重設定を想定しておらず、庇の固定強度を向上させることが困難である。また、屋外フィンを水平に設置する場合のほか、垂直に設置する場合も同様である。
【0005】
本発明の目的は、屋外フィンの固定強度を向上できる屋外フィンの固定構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の屋外フィンの固定構造は、建物の外壁面から屋外側に向かう出幅方向に延出して配置される屋外フィンを固定ブラケットによって建物に固定する屋外フィンの固定構造であって、前記屋外フィンは、前記外壁面に沿って配置される長尺のフィン本体部と、前記フィン本体部から前記外壁面側に延出した第一係合片部および第二係合片部とを有し、前記固定ブラケットは、前記外壁面に固定されるブラケット基部と、前記ブラケット基部から屋外側に延出した第一固定片部および第二固定片部とを有し、前記第一係合片部は前記第一固定片部に重なって出幅方向に係合し、前記第二係合片部は前記第二固定片部に重なって出幅方向に係合し、前記第一係合片部および前記第一固定片部を貫通する軸部を有した固定具によって前記第一係合片部が前記第一固定片部に固定され、前記軸部の先端は前記第二係合片部と対向して配置され、前記軸部の先端および前記第二係合片部の間は、前記屋外フィンの長さ方向および出幅方向に交差する厚さ方向における前記第二係合片部および前記第二固定片部の係合代よりも小さいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、屋外フィンの固定強度を向上できる屋外フィンの固定構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る屋外フィンの固定構造が構成されたカーテンウォールを示す外観姿図。
【
図2】
図1に示すカーテンウォールを示す縦断面図。
【
図3】
図1に示すIII-III線に沿った断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本実施形態の構成]
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1および
図2において、本実施形態に係る屋外フィンの固定構造10(以下、固定構造と略称)は、ビル等の建物2の外壁面3を構成するカーテンウォール1に構成されている。建物2は、梁4と、梁4で支持される床スラブ5とを備えている。床スラブ5の下部には吊り天井6が設置されている。カーテンウォール1は、床スラブ5に吊られて連結されたカーテンウォールユニット1Aが上下左右に複数並設されて構成されており、建物2の屋内外を仕切っている。
以下の説明において、カーテンウォール1の左右方向をX軸方向とし、カーテンウォール1の上下方向をY軸方向とし、カーテンウォール1の屋内外方向(見込み方向)をZ軸方向とする。また説明の便宜上、後述する屋外フィン30については、外壁面3への固定状態を基準として、その長さ方向をX軸方向とし、その屋外側への出幅方向をZ軸方向とし、その厚さ方向をY軸方向とする。X,Y,Z軸方向は互いに直交する。
【0010】
カーテンウォールユニット1Aは、アルミ押出形材によって形成された上枠21、下枠22、無目23および左右の縦枠24を有した枠体20と、上枠21、無目23および左右の縦枠24によって形成される上側の開口7に配置されたパネル26と、下枠22、無目23および左右の縦枠24によって形成される下側の開口8に配置されたパネル27とを備えている。本実施形態ではパネル26は単層ガラスパネルによって構成されており、パネル27は複層ガラスパネルによって構成されている。
【0011】
[屋外フィンの固定構造]
図3および
図4に示すように、左右の縦枠24の屋外見付け面部241にはスチール製の断面略コ字形状の固定ブラケット40が固定されており、固定ブラケット40にはアルミ製の屋外フィン30が固定されている。屋外フィン30は無目23の屋外見付け面(建物2の外壁面3の一部を構成)に沿って配置されており、固定ブラケット40は、屋外フィン30のX軸方向における両端部にそれぞれ配置されている。屋外フィン30は、隣接するカーテンウォールユニット1Aの無目23に沿ってそれぞれ配置されるので、X軸方向に複数並設される。なお、
図4ではパネル26の図示を省略している。
【0012】
屋外フィン30は、外壁面3の左右方向(X軸方向)に沿って配置される長尺のフィン本体部31と、フィン本体部31から外壁面3側に延出した第一係合片部32および第二係合片部33とを有している。
フィン本体部31は、
図3に示すように、第一見込み片部311および第二見込み片部312と、第一見込み片部311および第二見込み片部312の先端に連続した先端片部313と、第一見込み片部311および第二見込み片部312の基端に連続した基端片部314と、第一見込み片部311および第二見込み片部312のZ軸方向における中間部分に連続した中間片部315とを有している。第一見込み片部311は基端片部314から先端片部313側に向かって斜め下向きとなるようにZ軸方向に対して傾斜している。第二見込み片部312は、Z軸方向に沿って水平に配置されている。なお、フィン本体部31のX軸方向における両端部には
図4に示す側板34がそれぞれ取り付けられている。また、第二見込み片部312および基端片部314の連続部分から外壁面3に向かって下片部316が延出しており、下片部316によって後述する第二固定片部43の露出部分が減少されている。
第一係合片部32は、第一見込み片部311および基端片部314の連続部分から外壁面3に向かってZ軸方向に延出しており、その先端部には下方に突出した係合部としての係合凸部321が形成されている。また、第一係合片部32はフィン本体部31と同様にX軸方向に延びており、第一係合片部32のX軸方向における両端部には、固定具としてのボルト、本実施形態では皿ボルト50が貫通される円形の孔322が形成されている。ここで、皿ボルト50は、皿状の頭部51と、周面に雄ネジがネジ切りされた軸部52とを有しており、孔322は頭部51が収まるテーパー形状となっている。
第二係合片部33は、第一係合片部32に対してY軸方向(ここでは下方)に間隔を隔てた位置で基端片部314から外壁面3側に向かってZ軸方向に延出している。第二係合片部33には、上方に窪んだ係合部としての係合凹部331と、係合凹部331よりも外壁面3側に位置して皿ボルト50の軸部52の先端とY軸方向に対向する軸対向部332と、軸対向部332よりも外壁面3側に位置して第一係合片部32側に向かって上方に突出した位置決め突部333とが形成されている。係合凹部331は第二係合片部33の基端部に配置され、位置決め突部333は第二係合片部33の先端部に配置され、軸対向部332は第二係合片部33の基端部および先端部の間の中間部に配置されている。また、第二係合片部33はフィン本体部31と同様にX軸方向に延びている。
【0013】
固定ブラケット40は、前述したように屋外フィン30の両端部に配置されるピース材であり、Y軸方向に沿って外壁面3に固定されるブラケット基部41と、ブラケット基部41から屋外側に向かってZ軸方向に延出した第一固定片部42および第二固定片部43とを有している。ブラケット基部41はネジ9で左右の縦枠24の屋外見付け面部241にネジ止めされている。
第一固定片部42は、ブラケット基部41のX軸方向に沿った一方の縁部、本実施形態では上縁部から屋外側に向かってZ軸方向に延出している。第一固定片部42の基端部にはY軸方向に沿った側面およびZ軸方向に沿った底面によって係合部としての係合肩部421が形成されている。第一固定片部42のX軸方向における一端側には第一係合片部32の孔322と同様に円形の孔422が形成されており、第一固定片部42のX軸方向における他方側にはX軸方向に延びた長孔423が形成されている(
図4参照)。第一固定片部42のうち第二固定片部43側に位置する面にはスライド溝424が形成されており、スライド溝424には固定部材としての矩形板状の固定プレート45がX軸方向にスライド可能に保持されている。固定プレート45には皿ボルト50の軸部52が螺合する雌ネジが形成された固定孔451が形成されている。
第二固定片部43は、ブラケット基部41のX軸方向に沿った他方の縁部、本実施形態では下縁部から屋外側に向かってZ軸方向に延出しており、第一固定片部42に対してY軸方向(ここでは下方)に間隔を隔てた位置に配置されている。第二固定片部43の先端部には第一固定片部42側に向かって上方に突出した係合部としての係合凸部431が形成されている。
【0014】
以下、屋外フィン30の固定について説明する。固定ブラケット40のブラケット基部41は予め左右の縦枠24の屋外見付け面部241にネジ止めしておく。
まず、屋外フィン30の第二係合片部33を固定ブラケット40の第二固定片部43の上に重ねながら係合凹部331を係合凸部431に対してZ軸方向(出幅方向)に係合させる。これとともに、屋外フィン30の第一係合片部32を固定ブラケット40の第一固定片部42の上に重ねながら係合凸部321を係合肩部421に対してZ軸方向(出幅方向)に係合させる。このように係合することで、屋外フィン30を固定ブラケット40に仮固定する。固定ブラケット40には、X軸方向に並設される屋外フィン30の端部がそれぞれ仮固定される。本実施形態では、第二係合片部33の軸対向部332と第二固定片部43との間には
図3に示す若干の隙間Cが形成されている。この隙間Cは軸部52の先端に押圧される第二係合片部33の弾性変形を許容可能な隙間として構成される。
次に、一方の屋外フィン30の第一係合片部32における孔322と第一固定片部42の一端側における孔422とに対して、皿ボルト50の軸部52を挿入し、スライド溝424に保持された固定プレート45の固定孔451に軸部52を螺合し、続いて皿ボルト50をねじ込んで頭部51をテーパー形状の孔322に収める。また、他方の屋外フィン30の第一係合片部32における孔322と第一固定片部42の他端側における長孔423とに対して、皿ボルト50の軸部52を挿入し、スライド溝424に保持された固定プレート45の固定孔451に軸部を螺合し、続いて皿ボルト50をねじ込んで頭部51をテーパー形状の孔322に収める。このようにして、X軸方向に並設される屋外フィン30の第一係合片部を共通の固定ブラケット40の第一固定片部に螺合によって締結する。なお、一方の屋外フィン30の第一係合片部32と第一固定片部42とのX軸方向における位置は固定されるが、他方の屋外フィン30の第一係合片部32と第一固定片部42とのX軸方向における位置は長孔423の長さ分に応じた調整が可能であり、この位置調整に応じて固定プレート45はスライド溝424に沿ってスライド移動する。
このように皿ボルト50によって第一係合片部32を第一固定片部42に固定した状態では、軸部52の先端は、弾性変形を生じていない状態の第二係合片部33の上面よりも第二固定片部43寄りの位置に配置される。このため、軸部52の先端は第二係合片部33の上面に当たって当該第二係合片部33を第二固定片部43に向かって下方に押圧して配置される。押圧される第二係合片部33は前述した隙間C分だけ弾性変形した状態になる。これにより、軸部52には第二係合片部33から上方に向かう弾性的な反力が加わるので、皿ボルト50の固定プレート45に対する緩み止めを行える。
また、第二係合片部33の位置決め突部333は、軸部52に対して外壁面3側からZ軸方向に対向して位置しており、本実施形態では軸部52に当接している。このため、第二係合片部33の係合凹部331と第二固定片部43の係合凸部431とにZ軸方向の遊びがあったとしても、位置決め突部333が軸部52に当接することで第二係合片部33がZ軸方向に位置決めされる。このように軸部52を第二係合片部33に押し当てることで、第二係合片部33および第二固定片部43を別個のボルトなどで固定することなく、これらの固定強度を向上できる。
このようにして、屋外フィン30を固定ブラケット40によって建物2の外壁面3に固定するので、カーテンウォール1に設置される屋外フィン30への足掛けを想定した耐荷重設定や、屋外フィン30が受ける上下方向の風圧を想定した耐荷重設定に対応した固定構造10を構成可能である。
【0015】
[変形例]
前記実施形態では、軸部52の先端で第二係合片部33を押圧させているが、押圧せずに当接だけにしてもよく、また、軸部52の先端と第二係合片部33との間に隙間があってもよい。この隙間は、第二係合片部33の係合凹部331と第二固定片部43の係合凸部431とのY軸方向における係合代よりも小さければよく、このような隙間があっても軸部52を第二係合片部33の係合外れを抑制可能である。
前記実施形態では、第二係合片部33および第二固定片部43の間には、軸部52が押し当てられることによる第二係合片部33の第二固定片部43側への弾性変形を許容な可能な隙間Cが形成されているが、この隙間Cが形成されていなくてもよい。この場合であっても、軸部52の先端が、弾性変形を生じていない状態の第二係合片部33の上面よりも第二固定片部43側に若干寄った位置に配置されることで、第二係合片部33および第二固定片部43に若干の弾性変形を生じさせ、これにより、軸部52に対して第二固定片部43および第二係合片部33から上方に向かう弾性的な反力を加えることができ、皿ボルト50の固定プレート45に対する緩み止めを行い得る。
前記実施形態では、第一係合片部32には係合凸部321を形成したが、これに代えて係合凹部を形成してもよく、この場合、第一固定片部42には係合肩部421ではなく前記係合凹部に係合可能な係合凸部を形成する。また、第二係合片部33には係合凹部331を形成したが、これに代えて係合凸部を形成してもよく、この場合、第二固定片部43には係合凸部431ではなく係合凹部を形成する。
前記実施形態では、第一係合片部32および第一固定片部42には皿ボルト50に対して外壁面3側に位置する係合凸部321および係合肩部421が形成されているが、これに限らず、第一係合片部32および第一固定片部42には皿ボルト50に対して屋外側の位置に互いに係合する係合部が形成されていてもよい。また、第二係合片部33および第二固定片部43には皿ボルト50に対して屋外側に位置する係合凹部331および係合凸部431が形成されているが、これに限らず、第二係合片部33および第二固定片部43には皿ボルト50に対して外壁面3側の位置に互いに係合する係合部が形成されていてもよい。
前記実施形態では、第二係合片部33に位置決め突部333を形成したが、係合凹部331および係合凸部431の係合で屋外フィン30のZ軸方向の位置決めを十分に行える場合には、位置決め突部333の構成を省略してもよい。
前記実施形態では、第一固定片部42には、固定プレート45をスライド可能に保持するスライド溝424と、皿ボルト50が通される長孔423とを形成したが、第一係合片部32の第一固定片部42に対するX軸方向の位置調整が必要ない程度に寸法誤差や施工誤差が小さい場合には、スライド溝424の構成を省略し、長孔423に代えて孔422と同様の円形の孔を形成してもよい。またこの場合、固定プレート45をネジ等によって第一固定片部42に固定してもよく、また固定プレート45の構成を省略し、第一固定片部42の孔に雌ネジを形成してもよい。
前記実施形態では、皿ボルト50のZ軸方向における見込み位置は、第一係合片部32のZ軸方向における中央位置としたが、これに限らず、この中央位置よりも外壁面3寄り、または屋外寄りの位置としてもよい。
前記実施形態では、皿ボルト50を固定具としたが、このほか、六角ボルト等の各種ボルトや各種ネジであってもよい。
前記実施形態では、第一係合片部32は第一固定片部42の上に重ねて係合されているが、これに限らず、第一係合片部32が第一固定片部42の下に重ねて係合されていてもよい。この場合、固定プレート45は第一固定片部42ではなく第一係合片部32に取り付けられるか、または固定プレート45を省略して第一係合片部32の孔322に雌ネジを形成する。
前記実施形態では、屋外フィン30は無目23に沿ったいわゆる水平フィンとして設置されてカーテンウォール1の庇を構成しているが、このほか、縦枠24に沿ったいわゆる垂直フィンとして設置されてもよい。
前記実施形態では、屋外フィン30はカーテンウォール1に設置されているが、このほか、建物の勝手口などの出入口に設置されてもよく、この場合にも必要十分な耐荷重設定にできる。
【0016】
[本発明のまとめ]
本発明の屋外フィンの固定構造は、建物の外壁面から屋外側に向かう出幅方向に延出して配置される屋外フィンを固定ブラケットによって建物に固定する屋外フィンの固定構造であって、前記屋外フィンは、前記外壁面に沿って配置される長尺のフィン本体部と、前記フィン本体部から前記外壁面側に延出した第一係合片部および第二係合片部とを有し、前記固定ブラケットは、前記外壁面に固定されるブラケット基部と、前記ブラケット基部から屋外側に延出した第一固定片部および第二固定片部とを有し、前記第一係合片部は前記第一固定片部に重なって出幅方向に係合し、前記第二係合片部は前記第二固定片部に重なって出幅方向に係合し、前記第一係合片部および前記第一固定片部を貫通する軸部を有した固定具によって前記第一係合片部が前記第一固定片部に固定され、前記軸部の先端は前記第二係合片部と対向して配置され、前記軸部の先端および前記第二係合片部の間は、前記屋外フィンの長さ方向および出幅方向に交差する厚さ方向における前記第二係合片部および前記第二固定片部の係合代よりも小さいことを特徴とする。
本発明の屋外フィンの固定構造によれば、第一係合片部を第一固定片部に係合し且つ固定具によって固定するうえ、固定具の軸部の先端を第二係合片部に対向させ、これらの間を第二係合片部および第二固定片部の係合代よりも小さくすることで、固定具を、第一係合片部および第一固定片部の固定だけでなく、第二係合片部および第二固定片部の係合外れを抑制できて、屋外フィンの固定強度を向上できる。このため、建物の勝手口などの出入口だけでなく、大きな外力が加わるビル建物の外壁面などへの設置に対応した耐荷重設定にして利用できる。
なお、固定具の軸部の先端および第二係合片部の間は前記係合代よりも小さい隙間が形成されていてもよく、また、このような隙間を形成せずに固定具の軸部の先端を第二係合片部に当接させてもよい。
【0017】
本発明の屋外フィンの固定構造では、前記固定具は、前記第一係合片部を前記第一固定片部に螺合によって固定し、前記軸部の先端は、前記第二係合片部を前記第二固定片部側に押圧する配置とされていてもよい。
このような構成によれば、固定具の軸部の先端に押圧される第二係合片部から当該固定具に加わる反力を、第一係合片部および第一固定片部の螺合の緩み止めに利用できる。
【0018】
本発明の屋外フィンの固定構造では、前記固定具は、軸部がネジ切りされたボルトによって形成され、前記第一係合片部には、前記軸部が貫通される孔が形成され、前記第一固定片部には、前記軸部が貫通される長孔が前記屋外フィンの長さ方向に延びて形成され、且つ、前記軸部と螺合する固定部材を長さ方向にスライド可能に保持するスライド溝が形成されてもよい。
このような構成によれば、屋外フィンの長さ方向における第一係合片部の第二固定片部に対する位置を調整できる。
【0019】
本発明の屋外フィンの固定構造では、前記第二係合片部および前記第二固定片部の間には、前記軸部の先端に押圧される前記第二係合片部の弾性変形を許容する隙間が形成されていてもよい。
このような構成によれば、固定具の軸部の先端に押圧される第二係合片部をある程度弾性変形でき、このため、第二係合片部から固定具への弾性的な反力によって第一係合片部および第一固定片部の緩み止めをより好適に行い得る。
【0020】
本発明の屋外フィンの固定構造では、前記第二係合片部は、前記第二固定片部と係合する係合部と、前記係合部よりも前記外壁面側に位置して前記固定具の軸部の先端と対向する軸対向部と、前記軸対向部よりも外壁面側に位置して前記第一係合片部側に突出した位置決め突部とを有し、前記位置決め突部は、前記固定具の軸部に対して出幅方向に対向して配置されてもよい。
このような構成によれば、例えば第二係合片部および第二固定片部の係合に出幅方向の多少の遊びがあっても、固定具の軸部を所定位置に配置する際に当該軸部に対して出幅方向に対向する位置決め突部が当たることで位置調整でき、屋外フィンを簡単に位置決めできる。
【0021】
本発明の屋外フィンの固定構造では、前記屋外フィンは前記外壁面の左右方向に沿って配置され、前記第一係合片部は前記第一固定片部に対して上方に重なって配置され、前記第二係合片部は前記第二固定片部に対して上方に重なって配置され、前記固定具の軸部は前記第一係合片部および前記第一固定片部に対して上方から貫通され、前記軸部の先端は前記第二係合片部の上面に対向して配置されてもよい。
このような構成によれば、建物の外壁面の左右方向に沿って配置された屋外フィンによって庇を構成できる。このように構成する庇は前述した固定構造で建物に固定されるので、建物側に掛け爪などで係合されるだけの場合よりも固定強度を向上できる。このため、例えばビル建物の外壁面などに設置される庇が受ける上下方向の風圧を想定した耐荷重設定や、庇への足掛けを想定した耐荷重設定に対応した構成にできる。
【符号の説明】
【0022】
1…カーテンウォール、10…固定構造、1A…カーテンウォールユニット、2…建物、20…枠体、23…無目、24…縦枠、241…屋外見付け面部、3…外壁面、30…屋外フィン、31…フィン本体部、314…基端片部、32…第一係合片部、321,431…係合凸部、322,422…孔、33…第二係合片部、331…係合凹部、332…軸対向部、333…位置決め突部、4…梁、40…固定ブラケット、41…ブラケット基部、42…第一固定片部、421…係合肩部、423…長孔、424…スライド溝、43…第二固定片部、45…固定プレート、451…固定孔、5…床スラブ、50…皿ボルト、51…頭部、52…軸部、6…吊り天井、7,8…開口、9…ネジ、C…隙間。