(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-07
(45)【発行日】2023-04-17
(54)【発明の名称】自動収穫ロボットによる自動収穫システム
(51)【国際特許分類】
A01D 46/24 20060101AFI20230410BHJP
A01D 46/30 20060101ALI20230410BHJP
【FI】
A01D46/24 B
A01D46/30
A01D46/24 D
(21)【出願番号】P 2019198700
(22)【出願日】2019-10-31
【審査請求日】2022-06-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【氏名又は名称】松田 正道
(74)【代理人】
【氏名又は名称】特許業務法人新大阪国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 順
(72)【発明者】
【氏名】横山 隆造
(72)【発明者】
【氏名】奈良村 五十志
(72)【発明者】
【氏名】山本 和彦
(72)【発明者】
【氏名】弓達 武志
(72)【発明者】
【氏名】坂井 義明
(72)【発明者】
【氏名】有馬 誠一
【審査官】小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-183319(JP,A)
【文献】特開2004-305109(JP,A)
【文献】特開2003-104515(JP,A)
【文献】特開2006-094833(JP,A)
【文献】特開平07-315576(JP,A)
【文献】特開2016-073265(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104704982(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 46/24
A01D 46/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数並設する栽培ベッド間の
複数の収穫レーン
にそれぞれ設ける移動レール上と、前記収穫レーンの一端側に移動レールと交差する方向に設ける走行スペースを自動走行しながら、前記栽培ベッドで栽培する果菜類を摘果する自動収穫ロボットに、前記栽培ベッド間の収穫レーンに予め載置される果菜類の収穫用の収容容器を検出する容器検出センサ
と、前記移動レールを検出するレールセンサを設け、
前記自動収穫ロボットは、前記自動収穫ロボットが走行スペースを走行中に前記レールセンサが前記移動レールを検出すると停止し、該停止位置で前記容器検出センサが前記収容容器を検出すると当該収穫レーンに入って収穫作業を開始し、該停止位置で前記容器検出センサが前記収容容器を検出しないと当該収穫レーンに入らず次の収穫レーンに向けて走行を開始する選択走行を行うことを特徴とする自動収穫ロボットによる自動収穫システム。
【請求項2】
前記容器検出センサによる前記収容容器の検出は、前記収容容器に取り付ける被検出体を検出することを特徴とする請求項1記載の自動収穫ロボットによる自動収穫システム。
【請求項3】
前記収容容器は、前記収容容器を載置する収容容器載置台に多段に段積みして載置し、前記収容容器載置台に設ける前記収容容器を固定する収容容器固定手段により前記収容容器の載置位置を固定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の自動収穫ロボットによる自動収穫システム。
【請求項4】
前記栽培ベッド間の収穫レーンには少なくとも一対の前記自動収穫ロボットの移動レールを設け、前記移動レール上に前記収容容器載置台を載置し
、移動レールの始端側をUの字に形成し、前記収容容器載置台の走行スペース側の端縁部に、移動レールの方向に延びるアームを形成し、該アームの端を前記Uの字部分に係止させることを特徴とする請求項3に記載の自動収穫ロボットによる自動収穫システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動収穫ロボットによる自動収穫システムに関する。
【背景技術】
【0002】
果実畑において、複数区画にした果実苗床に果実吊下展開面を設け、各果実吊下展開面に沿って台車走行路を配置し、その台車走行路に走行ナビゲートラインを施工すると共に走行ナビゲートラインを読みながら走行ナビゲートラインに沿って走行する、収穫可能果実検出装置と、果実収穫機構と、果実収容トレイ機構とを搭載した収穫車両が公知である。(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1においては、収穫するラインの順序を予めプログラムする必要があるという課題がある。
【0005】
本発明は、収穫するレーンを簡素な方法で確実に選択して収穫作業を行える自動収穫ロボットによる自動収穫システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、
第1の本発明は、
複数並設する栽培ベッド間の複数の収穫レーンにそれぞれ設ける移動レール上と、前記収穫レーンの一端側に移動レールと交差する方向に設ける走行スペースを自動走行しながら、前記栽培ベッドで栽培する果菜類を摘果する自動収穫ロボットに、前記栽培ベッド間の収穫レーンに予め載置される果菜類の収穫用の収容容器を検出する容器検出センサと、前記移動レールを検出するレールセンサを設け、
前記自動収穫ロボットは、前記自動収穫ロボットが走行スペースを走行中に前記レールセンサが前記移動レールを検出すると停止し、該停止位置で前記容器検出センサが前記収容容器を検出すると当該収穫レーンに入って収穫作業を開始し、該停止位置で前記容器検出センサが前記収容容器を検出しないと当該収穫レーンに入らず次の収穫レーンに向けて走行を開始する選択走行を行うことを特徴とする自動収穫ロボットによる自動収穫システムである。
第2の本発明は、
前記容器検出センサによる前記収容容器の検出は、前記収容容器に取り付ける被検出体を検出することを特徴とする第1の本発明の自動収穫ロボットによる自動収穫システムである。
第3の本発明は、
前記収容容器は、前記収容容器を載置する収容容器載置台に多段に段積みして載置し、前記収容容器載置台に設ける前記収容容器を固定する収容容器固定手段により前記収容容器の載置位置を固定することを特徴とする第1又は2の本発明の自動収穫ロボットによる自動収穫システムである。
第4の本発明は、
前記栽培ベッド間の収穫レーンには少なくとも一対の前記自動収穫ロボットの移動レールを設け、前記移動レール上に前記収容容器載置台を載置し、移動レールの始端側をUの字に形成し、前記収容容器載置台の走行スペース側の端縁部に、移動レールの方向に延びるアームを形成し、該アームの端を前記Uの字部分に係止させることを特徴とする第3の本発明の自動収穫ロボットによる自動収穫システムである。
本発明に関連する第1の発明は、
複数並設する栽培ベッド間の収穫レーンを自動走行しながら、前記栽培ベッドで栽培する果菜類を摘果する自動収穫ロボットに、前記栽培ベッド間の収穫レーンに予め載置する果菜類の収穫用の収容容器を検出する容器検出有無センサを設け、
前記容器検出有無センサが前記収容容器を検出した前記栽培ベッド間の収穫レーンを選択して走行し、収穫作業を行うことを特徴とする自動収穫ロボットによる自動収穫システムである。
【0007】
本発明に関連する第2の発明は、
前記容器検出有無センサによる前記収容容器の検出は、前記収容容器に取り付ける被検出体を検出することを特徴とする本発明に関連する第1の発明の自動収穫ロボットによる自動収穫システムである。
【0008】
本発明に関連する第3の発明は、
前記収容容器は、前記収容容器を載置する収容容器載置台に多段に段積みして載置し、前記収容容器載置台に設ける前記収容容器を固定する収容容器固定手段により前記収容容器の載置位置を固定することを特徴とする本発明に関連する第1又は第2の発明の自動収穫ロボットによる自動収穫システムである。
【0009】
本発明に関連する第4の発明は、
前記栽培ベッド間の収穫レーンには少なくとも一対の前記自動収穫ロボットの移動レールを設け、前記移動レール上に前記収容容器載置台を載置することを特徴とする本発明に関連する第3の発明の自動収穫ロボットによる自動収穫システムである。
【0010】
本発明に関連する第5の発明は、
前記収容容器載置台を前記移動レールに固定する載置台固定部材を設けることを特徴とする本発明に関連する第4の発明の自動収穫ロボットによる自動収穫システムである。
【発明の効果】
【0011】
第1の本発明によると、容器検出センサと、レールセンサの検出で収穫レーンの状況の作業の必要性の有無を判別できるので、作業の制御を簡素にすることができる。
第2の本発明によれば、第1の本発明の効果に加え、被検出体を設けることで、収容容器の検出精度を上げることができるため、収穫可能な栽培ベッド間のレーンを確実に選択できる。
第3の本発明によれば、第1又は第2の本発明の効果に加え、収容容器を同じ位置にすることができるため、容器検出センサによる検出精度が向上する。
第4の本発明によれば、収穫ロボットが載置台上を走行することによる載置台のずれを防止しやすいという効果を奏する。
本発明に関連する第1の発明により、収容容器を載置している栽培ベッド間のレーンを簡易に選択して収穫作業ができる。
【0012】
本発明に関連する第2の発明により、被検出体を設けることで、収容容器の検出精度を上げることができるため、収穫可能な栽培ベッド間のレーンを確実に選択できる。
【0013】
本発明に関連する第3の発明により、収容容器を同じ位置にすることができるため、容器検出センサによる検出精度が向上する。
【0014】
本発明に関連する第4の発明により、収容容器の最下段を地面より高い位置に設けることで収容容器を自動収穫ロボットが取り込みやすい。
【0015】
本発明に関連する第5の発明により、収容容器を同じ位置にすることができ、検出精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明における実施の形態にかかる自動収穫ロボットによる自動収穫システムの平面図
【
図2】本発明における実施の形態にかかる自動収穫ロボットによる自動収穫システムの平面図
【
図3】本発明における実施の形態にかかる自動収穫ロボットによる自動収穫システムの正面図
【
図4】本発明における実施の形態にかかる自動収穫ロボットによる自動収穫システムの平面図
【
図5】本発明における実施の形態の別の実施例にかかる自動収穫ロボットによる自動収穫システムの平面図
【
図6】
図5の実施例の自動収穫ロボットによる自動収穫システムの平面図
【
図7】本発明における実施の形態の更に別の実施例にかかる自動収穫ロボットによる自動収穫システムの平面図
【
図8】
図7の実施例にかかる自動収穫ロボットによる自動収穫システムの平面図
【
図9】
図7の実施例にかかる自動収穫ロボットによる自動収穫システムの平面図
【
図10】
図1の本発明における実施の形態にかかる自動収穫ロボットによる自動収穫システムの正面図
【
図11】
図1の本発明における実施の形態にかかる自動収穫ロボットによる自動収穫システムの平面図
【
図12】
図1の本発明における実施の形態にかかる自動収穫ロボットによる自動収穫システムの正面図
【
図13】
図1の本発明における実施の形態にかかる自動収穫ロボットによる自動収穫システムの正面図
【
図14】
図1の本発明における実施の形態にかかる自動収穫ロボットによる自動収穫システムの正面図
【
図15】本発明における実施の形態にかかる自動収穫ロボットによる自動収穫システムの正面図
【
図16】(A)、(B)
図15の実施の形態との比較例を示す正面図
【
図17】(A)、(B)、(C)それぞれ、本発明における実施の形態にかかる自動収穫ロボットによる自動収穫システムの載置台の正面図、側面図、平面図
【
図18】(A)、(B)それぞれ、本発明における実施の形態にかかる自動収穫ロボットによる自動収穫システムの載置台とレールの正面図、平面図
【
図19】本発明における実施の形態にかかる自動収穫ロボットによる自動収穫システムの動作を悦明するための平面図
【
図20】本発明における実施の形態にかかる自動収穫ロボットによる自動収穫システムの平面図
【
図21】
図20に対する比較例を示す自動収穫ロボットによる自動収穫システムの平面図
【
図22】
図20に対する比較例を示す自動収穫ロボットによる自動収穫システムの平面図
【
図23】本発明における実施の形態にかかる自動収穫ロボットによる自動収穫システムの一実施例の平面図
【
図24】本発明における実施の形態にかかる自動収穫ロボットによる自動収穫システムの別の実施例の平面図
【
図25】本発明における実施の形態にかかる自動収穫ロボットによる自動収穫システムの更に別の実施例の平面図
【
図26】本発明における実施の形態にかかる自動収穫ロボットによる自動収穫システムの一実施例の平面図
【
図27】本発明における実施の形態にかかる自動収穫ロボットによる自動収穫システムの一実施例の平面図
【
図28】
図26、
図27の実施例との比較例を示す自動収穫ロボットによる自動収穫システムの一実施例の平面図
【
図29】
図31の本発明における実施の形態にかかる自動収穫ロボットによる自動収穫システムの一実施例との比較例の平面図
【
図30】
図31の本発明における実施の形態にかかる自動収穫ロボットによる自動収穫システムの一実施例との比較例の平面図
【
図31】本発明における実施の形態にかかる自動収穫ロボットによる自動収穫システムの一実施例の平面図
【
図32】本発明における実施の形態にかかる自動収穫ロボットによる自動収穫システムの制御装置を中心とするブロック図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明における実施の形態について詳細に説明する。
図1は本発明の実施の形態にかかる自動収穫ロボットによる自動収穫システムの平面図である。
【0018】
図1において、1は本実施の形態の自動収穫システムにおける栽培ベッド、2はそれら栽培ベッド1間の収穫レーン、3は果菜類を収納する収容容器、4は収穫レーンを走行しながら栽培ベッド1で栽培する果菜類を把持具で摘果する自動収穫ロボット、5はその自動収穫ロボットに設けられた容器有無センサ、6は自動収穫ロボットが走行する走行スペースである。栽培ベッド1及び収穫レーン2は多数併設されている。上記容器有無センサ5は、本発明の容器検出センサの一例であり、収容容器3の有無に限らず他の情報も読み取ることが出来るものである。
【0019】
あらかじめ収穫すべき収穫レーン2に空の収容容器3を置いておく。そこで、自動収穫ロボット4は走行スペース6を走行しながら、容器有無センサ5で収穫レーン2をセンシングしていき、収容容器3が検出されると、その収穫レーン2で収穫することとする。また、
図2のように、収容容器3が無い収穫レーン2では収穫を行わない。このようにすれば収穫レーン2をあらかじめプログラムで設定するような手間がなくなる。
図32は、そのような制御を行うためのブロック図である。
【0020】
そのような容器有無センサ5によるセンシングは正確に行う必要がある。例えば、
図3に示すように栽培ベッド1や給液配管等の存在により収穫レーン2を正確に検出しづらいことがある。なお、
図3は走行スペース6側から栽培ベッド1や収穫レーン2側を見た図である。そこで、
図4に示すように、自動収穫ロボット4に更に、自動収穫ロボット4の移動レール(以下単にレールと称する)21、21をセンシングするレールセンサ7を設ける。
【0021】
すなわち、自動収穫ロボット4は容器有無センサ5をオフした状態で、走行スペース6を走行しながら、レールセンサ7でレール21,21をセンシングしていく。そして、レール21、21を検出した場合、停止する。そこで、容器有無センサ5がオンとなり、収容容器3の有無をセンシングする。無ければ収穫動作に入らず、容器有無センサ5は再びオフとしたうえで、レールセンサ7で検出しながら走行スペース6を更に進ませる。
【0022】
なお、それらレール21,21は本実施例では温湯管を兼ねている。ここに温湯管とはハウス内を暖房する温湯が通過する管である。
【0023】
図5は別の実施例であって、走行スペース6の収穫レーン2に対応する位置にレーン目印8が設けられている。他方、自動収穫ロボット4の側部にはそのレーン目印8をセンシングする目印センサ9が設けられている。そこで、
図6に示すように、レールセンサ7に代えて、この目印センサ9によって、収穫レーン2を正確に検出することが出来る。容器有無センサ5の動作は上述した動作と同じである。
【0024】
図7は更に別の実施例であって、レールセンサ7や目印センサ9を設けず、いわゆる空容器の取り込み動作を制御するための空容器取り込みセンサ10を兼用するものである。すなわち、自動収穫ロボット4の前側の左右に、投光部10aと、受光部10bで構成されるセンサ10を設けておく。そして、各収穫レーン2,2,・・・毎に、自動収穫ロボット4をレーン2に進入させ、その投光、受光動作によって、収容容器3の有無を判断させる。
図8に示すように、光が受光出来なければ収容容器3が有るということになり、収穫作業に進む。逆に
図9に示すように、光が受光出来れば収容容器3が存在しないということになり、走行スペース6へ戻る。これによって、センサの数を節約できることになる。従来技術のように、全ての収穫レーンを全て奥まで走らせて行くやり方に比べて、全ての収穫レーン2の入り口までしか入らないので効率は比較的良い。
【0025】
次に、上述した、容器有無センサ5で収容容器3を検出する場合について説明する。
【0026】
図10、
図11に示すように、収容容器3の走行スペース6側の所定の位置には反射材などの被検出体11が取り付けられている。他方、自動収穫ロボット4の内部の内面の、被検出体11の位置に対応した位置に、容器有無センサ5が取り付けられている。
図10は、収容容器3と、自動収穫ロボット4とが隣り合う収穫レーン2,2に位置している状態を示している。
【0027】
そして、走行スペース6を走行しながら、その容器有無センサ5はオン状態としておき、
図11に示すように、栽培ベッド1のところ(X)では収容容器3の被検出体11は検出できず、収容容器3のあるところ(Y)の収穫レーン2のところに来ると、検出し、自動収穫ロボット4は停止する。これによって収容容器3と収穫レーン2の検出を同時に正確に実現できる。
【0028】
なお、
図12に示すように、その被検出体11は特徴的な模様であってもよい。例えば2次元バーコードであってもよい。いろいろな情報を含めることが出来るからである。例えば、最後の収穫レーン2の模様をそれまでの模様と違う模様とし、そこが最後のレーンであることを示し、それ以上移動しないように制御させるなどである。
【0029】
また、
図13に示すように、その被検出体11が所定の位置に一個だけだと収容容器3が多段に積まれている場合、その上下配置ミスなどの原因で誤検知が起こりうる。そこで、
図14に示すように、全ての収容容器3に被検出体11を付けておくことが望ましい。そのようにすればどのように重ねても誤検知は起こらない。
【0030】
次に、自動収穫ロボット4の収容容器3の取込み構造について説明する。
図15は、自動収穫ロボット4が収容容器3を取り込みやすくするための構造を示す。すなわち、収容容器3を置く場所のレール21、21の上に、自動収穫ロボット4の車体が乗り越えやすい程度に薄い厚さの収容容器載置台(以下単に載置台と称する)12を置き、その上に収容容器3をセットしておく。41はレール21上を走るための車輪であり、43は床を走るための車輪であり、42はその床用車輪42の保持部材である。
【0031】
その状態で、自動収穫ロボット4がレール21、21上に乗り込み、その載置台12の上に移動する。その状態で、挟持部材13でもって収容容器3を鋏みながら保持する。その後、その載置台12から降りてレール21上を奥へ進んで行き、摘果を始める。
【0032】
図16は、このような載置台12を用いない比較例であって、(A)は収容容器3の幅がレール21、21の幅より小さい場合であって、収容容器3の持ち上げが難しい。また(B)は収容容器3の幅がレール21、21の幅より大きい場合であって、レール21、21の上の走行が困難になり、自走収穫ロボット4の車体幅が大きくなってしまう。
【0033】
図17はこの載置台12の更なる工夫を示す。即ち、載置台12上に収容容器3を載置する場合、その位置が正確になる必要がある。特に、収穫レーン2を検出するためにその収容容器3を利用する場合、正確な制御が必要となる。そこで、載置台12の4隅に切り欠き部12aを設け、他方、収容容器3の下面に4本の脚3aを設け、載置台12の上に収容容器3を載置する際、それらの脚3aを切り欠き部12aに嵌入することによって、収容容器3を載置台12に対して正確な位置にセット出来る。ここに、上記切り欠き部12aと脚3aは、本発明の収容容器の収容容器固定手段の一例である。
【0034】
更に、載置台12のレール21に対する位置も正確さが大事になる。そこで、
図18に示すように、レール21の走行スペース6側がUの字になっている場合、載置台12の走行スペース6側の端縁部12cにレール21の方向に延びるアーム121を形成し、さらにそのアーム121の端をレール21のUの字の部分21aに係止させることで、レール21の方向における載置台12のズレを防止する。他方、その載置台12の端縁部12cを下方に折り曲げた部分12bで、レール21の幅方向へのズレを防止する。
【0035】
このように、
図19に示すように、収容容器3の、載置台12に対する縦横方向の位置が正確になるとともに、更に載置台12の、レール21に対する縦横方向の位置も正確となり、これによって、収容容器3がレール21に対して常に正確な位置に載置できることとなる。その結果、自動収穫ロボット4が走行スペース6を走行する際、収容容器3を停止の目印にする場合の精度が向上する。ここに、上記端縁部12c、アーム121、Uの字の部分21a、折り曲げた部分12bなどは、本発明の載置台固定部材の一例である。
【0036】
次に、走行スペース6を走行する際の方向について説明する。
図20に示すように、走行スペース6の走行は一方向にのみ移動することとする。
図20において、収納容器3の中の複数の黒丸は収穫済みを示す符号である。一方方向ではなく、
図21に示すように、逆方向へも移動できるようにすると、
図22に示すように、収穫済み容器か、空容器かの区別がつかなくなり、誤動作の恐れが発生する。一方向のみ移動するとしておけば、制御も容易である。なお、収容容器3の収穫済みか空かを識別する別の手段など工夫しておけば逆方向への移動も許されることになるが、構造が複雑となる。
【0037】
次に走行スペース6の終端を判断する方法を説明する。
図23は、この植物工場の壁を検知する方法を示す。自動収穫ロボット4の側部に温室の壁15を検知する壁検知センサ14を取り付けて、その壁検知センサ14によって、壁15を検知することによって、走行スペース6の終端を判断する。
【0038】
あるいは、
図24に示すように、走行スペース6の終端位置に、その終端を示す終端目印16を設けておき、自動収穫ロボット4の側部に、その終端目印16を検知する終端センサ17を設け、それによって終端目印16を検知することで、走行スペース6の終端を判断させる。なお、壁15より手前で作業を終了させたい場合は、その終端目印16’を壁15より手前の希望の位置に置くことで、実現できる。
【0039】
あるいは、
図25に示すように、自動収穫ロボット4が走行スペース6を走行する場合、その中央に引かれた磁気テープなどのライン61を常に検出するラインセンサ18を、自動収穫ロボット4の側部に設けておき、且つ、走行スペース6の終端位置でそのライン61を切断しておく(その端部は61a)。それによって、そのラインセンサ18がライン61を検出できなくなった位置で終端を検知出来、停止できる。
【0040】
次に、走行スペース6の両側に栽培ベッド1がそれぞれ配置されているような温室の場合、上述のようにして、終端を検知した後、
図26に示すように、自動収穫ロボット4が矢印Aのように旋回する。その後、
図27に示すように一方向に走行して収穫を行う。これに対して、
図28に示すように、所定の収穫レーン2aで収穫した後、走行スペース6のその場で旋回し、反対側の収穫レーン2bに向かわせるやり方は、非常に不効率といえる。
【0041】
次に、自動収穫ロボット4のスタート位置について説明する。
図29に示すように、走行スペース6の上に自動収穫ロボット4を置いておいて、そこからスタートさせると通行の妨げになる問題がある。また、
図30に示すように、待機エリアからスタートさせる場合は、例えば走行ガイドライン61とラインセンサ18との位置合わせが必要となる。あるいは、走行スペース6上のかなり遠方の収穫レーン2からスタートさせたい場合は、そこまでの移動時間が無駄になる。
【0042】
そこで、
図31に示すように、収容容器3が置かれた収穫レーン2のレール21上に自動収穫ロボット4を設置し、そこからスタートさせることが望ましい。これによって、通行の妨げにはならず、また、温室の奥のレーン2からでもスタート出来、時間が節約できる。勿論、レール21の上であるから位置調整が容易になる。
【0043】
図32は上述した各種センサからの出力信号を入力する制御装置100と、その制御装置100からの制御出力信号に従って、前進、旋回、などの走行を行う走行系統機構200を示すブロック図である。
【0044】
なお、本発明の自動収穫ロボットは、上記記載以外の機能や構造は公知の機能や構造を有するものである。
【0045】
なおまた、本発明の自動収穫ロボットによる自動収穫システムは、トマトなどに限らず、複数の収穫レーンと、それに沿った走行スペースを備え、自動収穫ロボットを走行させえて収穫を行う広い分野に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、収穫するレーンを簡素な方法で確実に選択して収穫作業を行える自動収穫ロボットによる自動収穫システムを提供でき、植物工場などに有用である。
【符号の説明】
【0047】
1 栽培ベッド
2 収穫レーン
21 自動収穫ロボットの移動レール
3 収容容器
4 自動収穫ロボット
5 容器有無センサ
6 走行スペース
61 走行ガイドライン
7 レールセンサ
8 レーン目印
9 目印センサ
10 空容器取り込センサ(10a投光部、10b受光部)
11 被検出体
12 載置台
12a 切り欠き部
12b 折り曲げた部分
12c 端縁部
121 アーム
13 挟持部材
14 壁検知センサ
15 壁
16 終端目印
17 終端センサ
18 ラインセンサ
100 制御装置
200 走行系統機構