(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-07
(45)【発行日】2023-04-17
(54)【発明の名称】ペットフード
(51)【国際特許分類】
A23K 50/45 20160101AFI20230410BHJP
A23K 40/30 20160101ALI20230410BHJP
A23K 20/147 20160101ALI20230410BHJP
A23K 10/20 20160101ALI20230410BHJP
A23K 20/163 20160101ALI20230410BHJP
A23K 20/158 20160101ALI20230410BHJP
A23K 20/26 20160101ALI20230410BHJP
A23K 20/22 20160101ALI20230410BHJP
A23K 10/24 20160101ALI20230410BHJP
A23K 20/24 20160101ALI20230410BHJP
A23K 10/16 20160101ALI20230410BHJP
A23K 40/00 20160101ALI20230410BHJP
【FI】
A23K50/45
A23K40/30 Z
A23K20/147
A23K10/20
A23K20/163
A23K20/158
A23K20/26
A23K20/22
A23K10/24
A23K20/24
A23K10/16
A23K40/00
(21)【出願番号】P 2019533221
(86)(22)【出願日】2018-01-26
(86)【国際出願番号】 GB2018050231
(87)【国際公開番号】W WO2018138515
(87)【国際公開日】2018-08-02
【審査請求日】2021-01-26
(32)【優先日】2017-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】390037914
【氏名又は名称】マース インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】MARS INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ベルト,サラ
(72)【発明者】
【氏名】ゴズリング,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ヒース,ガイ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス,ギャレス
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-096738(JP,A)
【文献】特表2013-517001(JP,A)
【文献】特表2013-505703(JP,A)
【文献】特開2016-168028(JP,A)
【文献】特表2004-535818(JP,A)
【文献】特開2014-008045(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0272070(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0020355(US,A1)
【文献】特表2016-503296(JP,A)
【文献】特開2006-076918(JP,A)
【文献】特開昭61-249354(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23K 10/00 - 50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食用ペットフードを製造する方法において、該方法は、
動物性タンパク質を含むある量の食肉と、デキストリンおよびエステル化デンプンから選択されるある量のグルコース含有炭水化物とを組み合わせて、ペットフード組成物を形成する工程と、
前記ペットフード組成物を蒸気で調理する工程と、
前記ペットフード組成物を乾燥させる工程と、
前記乾燥させる工程の前または後に、前記ペットフード組成物にコーティングを施して、コア内に前記ペットフード組成物を、該コア上に前記コーティングを有するペットフードを製造する工程と、
を含み、
前記ペットフードは少なくとも15から50質量%の含水量を有し、
該ペットフードは少なくとも30質量%の動物性タンパク質含有量を有
し、
前記コアは、キレート剤、および前記ペットフード全体の6.5質量%以下の前記マルトデキストリンを含み、
前記コーティングは、オクテニルコハク酸加水分解デンプンを含む、方法。
【請求項2】
前記方法が、乳化剤を、前記動物性タンパク質を含む前記量の肉および前記量のグルコース含有炭水化物と組み合わせて、前記ペットフード組成物を形成する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ペットフードが、0.14以上のテクスチャ・プロファイル解析によって測定された弾性を有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ペットフードが、0.50以上のテクスチャ・プロファイル解析によって測定された凝集性を有する、請求項1から3いずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、食品組成物に関し、より具体的には、ネコまたはイヌに給餌するための、例えば、おやつの形態にある、組成物および/または製品などの、ペットフード組成物および/またはペットフードに関する。
【背景技術】
【0002】
本開示は、一般に、食品組成物に関し、より具体的には、ネコまたはイヌに給餌するための組成物および/または製品などの、ペットフード組成物および/またはペットフード製品に関する。
【0003】
多くのペットの所有者にとって、高い肉含有量のペット用の食品およびおやつが望ましい商品である。新しいペットフードを考案する際には、ペットの所有者(消費者)がペット用の製品を購入する可能性に影響を及ぼす要因、およびペットがペットフードを食べる可能性に影響を及ぼす要因など、様々な異なる要因が考慮されなければならず、これらは、以下で説明するように、必ずしも同じではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
おやつの重要な特質は、それらが即座に受け入れられ、消費者、すなわちペットの所有者が失望しないことを確実にするために、それらが動物にとって非常に美味しいものでなければならないことである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この概要は、現在開示されている主題のいくつかの実施の形態を説明し、多くの場合、これらの実施の形態の変形および順列を列挙している。この概要は、多数の様々な実施の形態の例示に過ぎない。所定の実施の形態の1つ以上の代表的な特徴の言及は、同様に例示的である。そのような実施の形態は、典型的には、言及された特徴の有無にかかわらず存在することができ、同様に、それらの特徴は、この概要に列挙されているか否かにかかわらず、現在開示されている主題の他の実施の形態に適用できる。過度の繰り返しを避けるために、この概要は、特徴の全ての可能な組合せを列挙または示唆するものではない。
【0006】
いくつかの実施の形態において、本発明はペットフードを提供する。そのペットフードは、セミモイストの食用ペットフードであることがあり、例えば、そのペットフードは15~50質量%、必要に応じて15~40質量%、必要に応じて15~30質量%、必要に応じて15~25質量%の含水量を有する。そのペットフードは、例えば、少なくとも30質量%の量で、動物性タンパク質を含みことがある。そのペットフードは、デキストリンおよびデンプン、例えば、エステル化デンプンから選択されるグルコース含有炭水化物を含むことがある。そのペットフードはキレート剤を含むことがある。そのペットフードは乳化剤を含むことがある。そのペットフードは、コアおよびそのコア上に配置されたコーティングを含むことができ、そのコアは、動物性タンパク質を含むことができ、必要に応じて、そのペットフードは、少なくとも30質量%の動物性タンパク質含有量を有することができ、そのコアおよびコーティングの内の少なくとも一方は、デキストリンおよびエステル化デンプンから選択されるグルコース含有炭水化物を含む。そのペットフードは、コアおよびそのコア上に配置されたコーティングを含むことがあり、そのコアは、動物性タンパク質を含むことがあり、必要に応じて、そのペットフードは、少なくとも30質量%の動物性タンパク質含有量を有することがあり、そのコアおよびコーティングの内の少なくとも一方は、キレート剤を含む。そのペットフードは、コアおよびそのコア上に配置されたコーティングを含むことがあり、そのコアは、動物性タンパク質を含むことがあり、そのペットフードは、少なくとも30質量%の動物性タンパク質含有量を有することがある、および/または必要に応じて、そのコアおよびコーティングの内の少なくとも一方は、乳化剤を含む。
【0007】
いくつかの実施の形態では、前記ペットフードは、セミモイスト食用ペットフードと呼ばれることのある食用ペットフードを含み、そのペットフードは、15~50質量%(必要に応じて15~40質量%、必要に応じて15~30質量%、必要に応じて15~25質量%)の含水量を有し、そのペットフードは、コアおよびそのコア上に配置されたコーティングを含み、そのコアは、動物性タンパク質を含み、そのペットフードは、少なくとも30質量%の動物性タンパク質含有量を有し、そのコアおよびコーティングの少なくとも一方は、デキストリンおよびエステル化デンプンから選択されるグルコース含有炭水化物を含む。
【0008】
いくつかの実施の形態では、ペットフード組成物が提供される。そのペットフード組成物は、その上にコーティングを有していても有していなくてもよい。そのペットフード組成物は、ペットフードのためのここに記載された成分のいずれを、記載された量のいずれで含んでもよい。そのペットフード組成物は、ここに記載されたペットフードのコアを形成するためのものであることがある。いくつかの実施の形態では、少なくとも1種類のデキストリンと、モノおよびジグリセリドのジアセチル酒石酸エステル(DATEM)とを含むペットフード組成物が提供され、そのペットフード組成物は、15~50質量%(必要に応じて15~40質量%、必要に応じて15~30質量%、必要に応じて15~25質量%)の含水量を有する。いくつかの実施の形態では、1~10質量%の少なくとも1種類のデキストリンと、0.2~2質量%のモノおよびジグリセリドのジアセチル酒石酸エステル(DATEM)とを含むペットフード組成物が提供され、そのペットフード組成物は、15~50質量%(必要に応じて15~40質量%、必要に応じて15~30質量%、必要に応じて15~25質量%)の含水量を有する。
【0009】
いくつかの実施の形態において、動物性タンパク質、キレート剤に結合したカルシウムを含むペットフード組成物が提供され、そのペットフード組成物は、(i)組成物1g当たり少なくとも100mgのカルシウム含有量、および(ii)15~50質量%(必要に応じて15~40質量%、必要に応じて15~30質量%、必要に応じて15~25質量%)の含水量を有する。
【0010】
いくつかの実施の形態では、食用ペットフードであって、そのペットフードは、15~50質量%(必要に応じて15~40質量%、必要に応じて15~30質量%、必要に応じて15~25質量%)の含水量を有し、そのペットフードは、コアおよびそのコア上に配置されたコーティングを含み、そのコアは、動物性タンパク質およびキレート剤に結合したカルシウムを含み、そのコーティングは、乳化剤、デキストリンおよびエステル化デンプンから選択される種を含む、食用ペットフードが提供される。
【0011】
いくつかの実施の形態では、食用ペットフード組成物または食用ペットフードを製造する方法が提供される。いくつかの実施の形態では、本方法は、肉を1種類以上の成分と組み合わせて、ペットフード組成物を形成する工程と、そのペットフード組成物を、必要に応じて蒸気で、調理する工程と、必要に応じて、そのペットフード組成物を乾燥させる工程とを含むことがあり、そのペットフードは、本方法によって形成され、ペットフードは、15~50質量%(必要に応じて15~40質量%、必要に応じて15~30質量%、必要に応じて15~25質量%)の含水量を有する。
【0012】
いくつかの実施形態では、ここに記載の食用ペットフードを製造する方法が提供され、この方法は、動物性タンパク質を含むある量の肉と、デキストリンおよびエステル化デンプンから選択されるある量のグルコース含有炭水化物とを組み合わせて、ペットフード組成物を形成する工程と、そのペットフード組成物を蒸気で調理する工程と、そのペットフード組成物を乾燥させる工程と、乾燥の前または後に、そのペットフード組成物にコーティングを施して、コア内にペットフード組成物を、そのコア上にコーティングを有するペットフードを製造する工程とを含み、そのペットフードは、15~50質量%(必要に応じて15~40質量%、必要に応じて15~30質量%、必要に応じて15~25質量%)の含水量を有し、そのペットフードは、少なくとも30質量%の動物性タンパク質含有量を有する。ある実施の形態では、その方法は、乳化剤を、動物性タンパク質を含む前記量の肉および前記量のグルコース含有炭水化物と組み合わせて、ペットフード組成物を形成する工程を含む。
【0013】
いつくかの実施の形態では、ある量の肉、デキストリンおよびエステル化デンプンから選択されるある量のグルコース含有炭水化物、およびある量の少なくとも1種類の乳化剤を組み合わせて、ペットフード組成物を形成する工程と、そのペットフード組成物を蒸気で調理する工程と、少なくとも90℃の温度でペットフード組成物を乾燥させて、15~50質量%(必要に応じて15~40質量%、必要に応じて15~30質量%、必要に応じて15~25質量%)の含水量を有するペットフードを作製する工程とを含むペットフードを製造する方法が提供される。ある実施の形態では、その方法は、調理する工程の後であって、乾燥させる工程の前または後に、ペットフード製品上にコーティングを施して、コーティングがその上に配置されたペットフード製品を含むコアを有するペットフードを製造する工程をさらに含む。
【0014】
ある実施の形態では、15~50質量%の含水量を有する食用ペットフード内に成分を使用して、その表面上のブルーム形成を低減または防止する方法が提供され、この成分は、(i)キレート剤および(ii)エステル化デキストリンおよびエステル化デンプンから選択されるグルコース含有炭水化物から選択される。
【0015】
ある実施の形態において、動物性タンパク質を含む食用ペットフード内に成分を使用して、その成分を含まないペットフードと比べて、ペットフードの噛み応えおよび/または堅さを低下させる方法であって、その成分が、(i)デキストリンおよびエステル化デンプンから選択されるグルコース含有炭水化物、および(ii)乳化剤から選択され、そのペットフードが15から50質量%の含水量を有する方法が提供される。
【0016】
ある実施の形態において、動物性タンパク質を含む食用ペットフード内に成分を使用して、そのペットフードに(a)0.14以上のテクスチャ・プロファイル解析(Texture Profile Analysis)により測定された弾性および/または(b)0.50以上のテクスチャ・プロファイル解析により測定された凝集性を与える方法であって、その成分が、(i)デキストリンおよびデンプンから選択されるグルコース含有炭水化物、および(ii)乳化剤から選択され、そのペットフードが15から50質量%の含水量を有する方法が提供される。
【0017】
前記食用ペットフードは、ネコ用おやつ(または複数のネコ用おやつ)またはイヌ用おやつ(または複数のイヌ用おやつ)であってもよい。
【0018】
ここに記載の食用ペットフードを含むパックも、ここに提供される。そのパックは、内部チャンバを有することができ、そのチャンバは、ある量の2種類以上の気体を含むことができ、その2種類以上の気体は、少なくとも60体積%の窒素および少なくとも25体積%の二酸化炭素を含む。その内部チャンバは気密であることがある。その内部チャンバは、前記ペットフードを収容することができる。
【0019】
本開示は、ネコまたはイヌ用のおやつの形態にあることがある、ペットフードを提供する。
【0020】
本発明者らは、多くの乾燥食品(例えば、低含水量-典型的には15質量%未満-を有する)はネコにとって美味しく、多くの湿った食品(例えば、高含水量を有する-例えば、平均で約50質量%を超える含水量を有する)はネコにとって美味しいが、多くのセミモイスト食品(例えば、約15~50質量%の含水量を含む)はネコにとってあまり美味しいとは分かっていないことを見出した。本発明者らは、セミモイスト食品の中間の含水量が、特にタンパク質含有量が高い場合に、望ましくないほど噛み答えのある/凝集性のあるテクスチャを生じ得ることを見出した。ネコの生理機能は、顎が、剥ぎ取りおよび引き裂きのために形作られているために、噛むのに適していないので、このことは、セミモイスト食品の美味しさの低下に寄与し得る。
【0021】
本発明者らは、セミモイスト食品の美味しさを改善する1つの方法が、食品の表面にコーティング(時には、旨味剤と称される)を施して、動物に対するその魅力を改善することにあることを見出した。しかし、肉含有量が高いセミモイストペットフードでは、これはでは十分な美味しさが提供されないことがある。
【0022】
さらなる要因は、これらのおやつを購入する消費者の嗜好が、彼らのペットの嗜好とは異なり得ることである。消費者は、彼らの動物のために高肉含有量の食品を購入する場合、一般に、食品が「肉のような」外観を有することを望む。この肉のような外観は、ある食品の含水量を調節することによって向上させることができる。
【0023】
したがって、動物は、水分のより少ないペットフードを食べることを好むであろうが、消費者は、より肉のように見え、実際には、含水量がより高いことがあるペットフードを購入することを好む。しかし、本発明者らは、肉のような外観および高い肉含有量を有するこのタイプの製品が、動物にとって魅力のないテクスチャを有し得ることを見出した。
【0024】
製品のテクスチャに加えて、他の要因を考慮しなければならない。例えば、ペットフードはまた栄養がよくなければならない。特に、肉は、限られた量のビタミンおよびミネラルしか提供しないことが知られており、したがって、高肉含有量のペットフードでは、食品の栄養価を改善するために、ビタミンおよびミネラルが添加されることがある。しかし、本発明者らは、いくつかのセミモイスト食品、特にミネラルを添加したものでは、製品が一旦空気と接触すると、時間の経過と共に、セミモイストペットフードの表面に目に見える白色化合物が生じることを見出した。この効果は、本明細書では「ブルーム」と称される。それはまた、添加されたミネラルを含まないセミモイストペットフードにおいても起こる。
【0025】
本発明者らは、前記ブルーム効果が、小包が開けられたときの食品からの水分の蒸発の結果であることを見出した。大気中の含水量と食品の含水量との間の平衡が小包の内部で生じて、ブルームを減少させる一方で、包装から食品を取り出すと、周囲湿度に対する製品の強い水分勾配のために水分が蒸発する。製品からのこの水の移動は、製品内に含まれるミネラルを表面に輸送し(白華)、そこでそれらは堆積し、白色の外皮として現れる。この効果は、脂肪とリン酸塩の混合物を含む旨味剤コーティングをセミモイスト製品上に使用する場合に悪化し、これは、ミネラルがコーティングの高脂肪環境とエンタルピー的に不適合であるので、ミネラルの凝集を促進する。
【0026】
本開示は、動物、特にネコにとってより美味しいことが見出されたテクスチャを有するセミモイストペットフードを提供する。とは言っても、そのペットフードは、イヌなどの他の動物にも適している。
【0027】
改善されたテクスチャは、ペットフード中に少なくとも1種類のデキストリンを含ませることから生じ得る。望ましくない(噛み応えのある/凝集性の)テクスチャは、高肉含有量製品における強力なタンパク質構造の結果であることが分かった。デキストリンは、タンパク質構造に割り込み、製品を弱め、より容易にバラバラにすることができる。
【0028】
本発明の改善されたテクスチャは、ペットフード中に乳化剤を含ませることから生じ得る。乳化剤は、ペットフード内のタンパク質構造に割り込むこともでき、製品を弱め、製品をより容易にバラバラにすることができる。
【0029】
本開示はまた、ブルームが低減または防止されるセミモイストペットフードを提供する。ブルームの「減少」は、ペットフードが、ペットフードの含水量がその周囲(例えば、密封パック中)と平衡している環境から取り出され、周囲条件下、例えば、標準温度(例えば、25℃)、標準圧力(100kPa)、および40%の相対湿度の空気中に置かれたときに、所与の期間、例えば、24時間、48時間、または72時間において、ペットフードにおけるブルーム形成の程度が減少することを示すことがある。ブルーム形成の程度は、この期間中のペットフードの明るさ(または白色化)の程度によって測定することができる。ブルームの程度はまた、以下のイオン:K+、Ca2+、Na+、CO3
2-およびP3O10
5-の内の1つ以上を検出するX線微量分析によって測定することもできる。
【0030】
ブルームの低減または防止は、製品中にキレート剤を含ませることによってもたらされ得る。キレート剤はミネラルに結合し、ミネラルを食品の構造内で安定化させ、ミネラルが水勾配によって食品の表面に移動するエンタルピー推進力を著しく減少させる。
【0031】
ブルームの低減または防止は、製品中、特に製品の表面上のコーティング中に、オクテニルコハク酸加水分解デンプンなどの加工デンプンまたはデキストリンを含ませることによってもたらされ得る。加工デンプンまたはデキストリンは、コーティング中の脂肪に結合し、極性を変える。これにより、ミネラルが脂肪含有コーティング内に分散したままであり、したがって、ミネラルが遊離イオンとして残り、表面上に堆積物を形成しないように、ミネラルに作用する静電力が変化する。さらに、オクテニルコハク酸塩加水分解デンプンなどの加工デンプンまたはデキストリンをコーティングに添加することにより、消費者の視点から食品の外観が改善され、肉の外観を与える光沢のある外観が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】以下の実施例1に記載されるような、テクスチャ・プロファイル解析測定の概略図
【
図2】実施例4に記載されているような本開示のペットフードの実施例と、市販のペットフードおよび調理されているが未加工の肉のサンプルとの特性を比較するデータプロット
【発明を実施するための形態】
【0033】
現在開示されている主題の1つ以上の実施の形態の詳細が、この文書に記載されている。本明細書に記載された実施の形態に対する変更、および他の実施の形態は、本明細書に提供された情報を検討した後、当業者には明らかになるであろう。本文書に提供されている情報、特に記載されている例示の実施の形態の具体的な詳細は、主として理解の明確さのために提供されており、それから不必要な制限が理解されることはない。対立する場合には、定義を含む本文書の明細書が優先する。
【0034】
現在開示されている主題は、本明細書の全体に亘って、具体的であるが非限定的な例によって例示される。それらの例は、本発明に関連する開発および実験の過程中の様々な時点で収集されたデータを表すデータの編集を含むことができる。各例は、本開示の説明のために提供され、それに対する限定ではない。実際、本開示の範囲から逸脱することなく、本開示の教示に対して様々な修正および変形を行えることは、当業者には明らかであろう。例えば、1つの実施の形態の一部として図示または記載された特徴は、別の実施の形態と共に使用して、さらに別の実施の形態をもたらすことができる。
【0035】
本開示の単数の特徴または限定に対する全ての言及は、特に明記のない限り、または言及がなされる文脈によって反対であると明らかに示されない限り、対応する複数の特徴または限定を含み、その逆も同様である。
【0036】
本明細書で使用される方法または工程段階の全ての組合せは、特に明記のない限り、または言及された組合せがなされる文脈によって反対であると明らかに示されない限り、どの順序で実行しても差し支えない。
【0037】
本明細書で使用される以下の用語は、当業者によって十分に理解されると考えられるが、定義は、現在開示されている主題の説明を容易にするために記載される。
【0038】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、現在開示されている主題が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同様または同等のどの方法、デバイス、および材料も、現在開示されている主題の実施または試験において使用することができるが、代表的な方法、デバイス、および材料をここで説明する。
【0039】
長年にわたる特許法の条約に従い、名詞は、特許請求の範囲を含む本出願において使用される場合、「1つ以上」の対象を指す。したがって、例えば、「アミノ酸」への言及は、複数のそのようなアミノ酸などを含み得る。
【0040】
別段の指示がない限り、明細書および特許請求の範囲において使用される数量、特性などを表す全ての数は、全ての例において、「約」という用語によって修飾されたものとして理解されるべきである。したがって、そうでないことが示されない限り、本明細書および特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、現在開示されている主題によって得られることが求められる所望の特性に応じて変化し得る近似値である。
【0041】
ここに用いられているように、「約」という用語は、質量、重量、時間、体積、濃度、または百分率の値または量を称する場合、ある実施の形態において±50%、ある実施の形態において±40%、ある実施の形態において±30%、ある実施の形態において±20%、ある実施の形態において±10%、ある実施の形態において±5%、ある実施の形態において±1%、ある実施の形態において±0.5%、そしてある実施の形態において±0.1%の、特定の量からの変動を、そのような変動は、開示の方法を実施するために適切であるので、包含することを意味する。
【0042】
本明細書で使用する場合、範囲は、「約」1つの特定の値から、および/または「約」別の特定の値まで、として表すことができる。また、本明細書で開示される値は多数あり、各値は、本明細書では、その値自体に加えて、「約」その特定の値としても開示されていることも理解されたい。例えば、「10」という値が開示されている場合、ひいては、「約10」も開示されている。また、2つの特定のユニットの間の各ユニットも開示されていることも理解されよう。例えば、10と15が開示されている場合、ひいては、11、12、13、および14も開示されている。
【0043】
前記ペットフードが特定の量の成分を含むと記載されている場合、このことは、それが、存在する任意のコアおよびコーティングを含む、その成分を特定の量で含むペットフードの全体であることを示す。例えば、ペットフードが5質量%の成分Aを含む場合、これは、存在する場合、コアおよびコーティングを含む、ペットフードの全体が、ペットフード全体の5質量%の量で成分Aを含むことを示す。
【0044】
ここに用いられているように、「ペットフード」は、ペットの1つ以上の栄養必要量を満たすための経口摂取を意図する組成物を意味する。ペットフードは、経口摂取可能であるが、摂取を意図しない、岩などの品目を明確に除外する。ペットフードは、おやつ、噛み物、ビスケット、肉汁ソース、栄養補助食品、トッピング、およびその組合せから選択されてもよい。ペットフードは、栄養的にバランスがとれ、完全であってもなくてもよい。
【0045】
ここに用いられているように、「栄養的にバランスのとれた」および/または「栄養的に完全な」とは、場合により水を除き、どのような他の物質も必要とせずに、動物の唯一の配給される食餌として生命を維持することができる組成物を称する。
【0046】
本明細書中で言及される組成物、ペットフードまたは他の品目中の成分の全ての%は、質量%、すなわち、特に明記しない限り、関連する組成物、ペットフードまたは他の品目中の成分の質量パーセントである。
【0047】
ペットフードは、おやつまたは複数のおやつの形態であってもよい。おやつは、2mmよりも大きい少なくとも1つの寸法および/または20mmよりも小さい少なくとも1つの寸法を有する物体として定義することができる。いくつかの実施の形態では、ペットフードは、20mm以下、必要に応じて17mm以下、必要に応じて15mm以下、必要に応じて12mm以下の最大寸法を有し、および/またはいくつかの実施の形態では、ペットフードは、少なくとも2mm、必要に応じて少なくとも3mm、必要に応じて少なくとも4mmの最小寸法を有する。おやつは、長さ、幅、および高さとして定義される、互いに垂直な寸法を有してもよく、高さは、2mmから20mmであってもよく、長さは、2mmから20mmであってもよく、幅は、2mmから20mmであってもよい。おやつは、長さ、幅、および高さとして定義される、互いに垂直な寸法を有してもよく、高さは、2mmから15mmであってもよく、長さは、2mmから15mmであってもよく、幅は、2mmから15mmであってもよい。おやつは、長さ、幅、および高さとして定義される、互いに垂直な寸法を有してもよく、高さは、3mmから8mmであってもよく、長さは、9mmから13mmであってもよく、幅は、8mmから12mmであってもよい。おやつは、一寸法(例えば、その長さ)に沿って比較的一貫した断面形状を有する物体であってもよい。その断面形状は、規則的な形状、例えば、三角形、または長方形などの四辺形であってもよい。その断面形状は、不規則な形状、例えば、MやTなどの文字の近似形態にあってもよい。その断面形状は、1つ以上の窪みを有する規則的な形状であってもよい。おやつは、ペットフード組成物を、調理前に成形ノズルに通し、次いでそれをその長さに沿って1つ以上の部分に切断することによって形成されることがある。
【0048】
ここに用いられているように、「動物」または「ペット」という用語は、家畜を意味し、家畜には、家畜のイヌ、ネコ、ウマ、ウシ、フェレット、ウサギ、ブタなどが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施の形態において、「ペット」は、家畜化されたネコを意味する。
【0049】
ここに用いられているように、「肉」は、ペットフードでの使用に適した動物の肉体を示すことがある。その肉は、粉砕され、調理されてもよい。その肉は、任意の適切な動物、例えば、ウシ、ニワトリまたは七面鳥由来であり得る。
【0050】
例えば、成分のリストなどの項目の全てのリストは、マーカッュ群として解釈帰されること意図されており、マーカッュ群として解釈されるべきである。したがって、全てのリストは、「…項目のリストおよびそれらの組合せと混合物からなる群から選択される」項目として読まれ、解釈され得る。
【0051】
本明細書に開示される寸法および値は、列挙された正確な数値に厳しく限定されるものとして理解されるべきではない。それよりむしろ、特に規定がない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値の周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することが意図されている。例えば、「40℃」として開示される特性は、「約40℃」を意味することが意図される。
【0052】
本開示における全ての百分率は、特に明記しない限り、材料または混合物の総質量に対する質量パーセントとして列挙される。
【0053】
本明細書に記載のどの随意的なまたは好ましい特徴も、本明細書に記載のどの実施の形態および/またはどの他の随意的なまたは好ましい特徴と組み合わせてもよい。
【0054】
上述のように、いくつかの実施の形態では、本開示はペットフードを提供する。そのペットフードは、セミモイストの食用ペットフードであることがあり、例えば、そのペットフードは15~50質量%(必要に応じて15~40質量%、必要に応じて15~30質量%、必要に応じて15~25質量%)の含水量を有する。そのペットフードは、例えば、少なくとも30質量%の、動物性タンパク質を含んでもよい。そのペットフードは、デキストリンおよびデンプン、例えばエステル化デンプンから選択されるグルコース含有炭水化物を含み得る。そのペットフードはキレート剤を含んでもよい。そのペットフードは乳化剤を含んでもよい。そのペットフードは、コアおよびそのコア上に配置されたコーティングを含んでもよく、そのコアは、動物性タンパク質を含んでもよく、そのペットフードは、少なくとも30質量%の動物性タンパク質含有量を有してもよく、コアおよびコーティングの内の少なくとも一方は、デキストリンおよびエステル化デンプンから選択されるグルコース含有炭水化物を含む。そのペットフードは、コアおよびそのコア上に配置されたコーティングを含んでもよく、そのコアは、動物性タンパク質を含んでもよく、そのペットフードは、少なくとも30質量%の動物性タンパク質含有量を有してもよく、コアおよびコーティングの内の少なくとも一方は、キレート剤を含む。そのペットフードは、コアおよびそのコア上に配置されたコーティングを含んでもよく、そのコアは、動物性タンパク質を含んでもよく、そのペットフードは、少なくとも30質量%の動物性タンパク質含有量を有してもよく、コアおよびコーティングの内の少なくとも一方は、乳化剤を含む。
【0055】
いくつかの実施の形態では、前記ペットフードは食用ペットフードを含み、そのペットフードは、15~50質量%(必要に応じて15~40質量%、必要に応じて15~30質量%、必要に応じて15~25質量%)の含水量を有し、そのペットフードは、コアおよびそのコア上に配置されたコーティングを含み、そのコアは、動物性タンパク質を含み、そのペットフードは、少なくとも30質量%の動物性タンパク質含有量を有し、コアおよびコーティングの内の少なくとも一方は、デキストリンおよびエステル化デンプンから選択されるグルコース含有炭水化物を含む。
【0056】
いくつかの実施の形態では、1~10質量%の少なくとも1種類のデキストリンと、0.2~2質量%のモノおよびジグリセリドのジアセチル酒石酸エステル(DATEM)とを含むペットフード組成物が提供され、そのペットフード組成物は、15~50質量%(必要に応じて15~40質量%、必要に応じて15~30質量%、必要に応じて15~25質量%)の含水量を有する。
【0057】
いくつかの実施の形態では、動物性タンパク質、キレート剤に結合したカルシウムを含み、(i)組成物1g当たり少なくとも100mgのカルシウム含有量、および(ii)15~50質量%(必要に応じて15~40質量%、必要に応じて15~30質量%、必要に応じて15~25質量%)の含水量を有するペットフード組成物が提供される。
【0058】
いくつかの実施の形態では、食用ペットフードであって、ペットフードが15~50質量%(必要に応じて15~40質量%、必要に応じて15~30質量%、必要に応じて15~25質量%)の含水量を有し、ペットフードはコアおよびそのコア上に配置されたコーティングを含み、そのコアは、動物性タンパク質およびキレート剤に結合したカルシウムを含み、そのコーティングは、乳化剤、デキストリンおよびエステル化デンプンから選択される種を含む、食用ペットフードが提供される。
【0059】
グルコース含有炭水化物(修飾および未修飾のデキストリンおよびデンプンを含む)
いくつかの実施の形態では、このグルコース含有炭水化物は、デキストリンおよびデンプン、例えばエステル化デンプンから選択される。デンプンは、グリコシド結合によって連結されたグルコース単位を含む炭水化物として定義することができ、デンプンは、典型的にはアミロースおよびアミロペクチンを含む。デンプンは、質量で、20~25%のアミロースおよび75~80%のアミロペクチンを含み得る(修飾の不在下で)。本開示において、デンプンは、非加工デンプンまたは加工デンプンであってもよい。加工デンプンは、例えば、エステル化デンプンであってもよい。
【0060】
デキストリンおよびデンプンは、必要に応じて修飾されたデキストリンまたはデンプンである。デキストリンは、α-(1→4)またはα-(1→6)グリコシド結合によって連結されたD-グルコース単位の高分子である炭水化物として定義することができる。デキストリンは、デンプンの加水分解によって製造することができる。デキストリンは、マルトデキストリンであってもよく、3~17個のグルコース単位を含んでもよい。デキストリンは、マルトデキストリン、シクロデキストリン、アミロデキストリン、(ベータ)または(アルファ)限界デキストリンから選択され得る。本開示において、デキストリンは、未修飾デキストリンまたは修飾デキストリンであってもよい。修飾デキストリンは、例えば、エステル化デキストリンであってもよい。未修飾デキストリンは、どのような置換基も付加されていない、例えばエステル基が付加されていないデキストリンを示すことができる。
【0061】
デキストリンは、1~25、必要に応じて1~13、必要に応じて3~20のデキストロース当量を有することができる。デキストロース当量(DE)は、乾燥基準で百分率として表される、デキストロース(グルコースとしても知られる)に対する、糖製品中に存在する還元糖の量の尺度である。デキストロース当量は、アルカリ性酒石酸塩溶液中の硫酸銅(II)の還元を含むレイン・エイノン滴定によって測定することができる。
【0062】
ペットフードがコアおよびコーティングを含む場合、そのコアが未修飾デキストリンを含むことが好ましい。未修飾デキストリンは、マルトデキストリン、シクロデキストリン、アミロデキストリン、(ベータ)または(アルファ)限界デキストリンから選択され得る。未修飾デキストリン、特にマルトデキストリンは、ペットフードが、例えば、ネコにとって望ましく、噛み応えがありすぎたり凝集性が強すぎたりしないように、好ましいテクスチャ特性を有する製品を製造するのに役立つことが見出された。例えば、典型的に、食物を噛むのではなく、食物を剥ぎ取ったり、引き裂いたりするネコとって、その製品は、受け入れられることが分かり、デキストリンを欠く同等の食物ほど頻繁には拒絶されないであろう。グルコース含有炭水化物、例えば、デキストリンの組合せが選択され、乳化剤が、ある実施の形態において、適度に多量の動物性タンパク質を含むにもかかわらず、あまり噛み応えのありすぎないペットフードを作り出すのに特に効果的であることが分かった。グルコース含有炭水化物および/または乳化剤は、ペットフード中のタンパク質構造にある程度割り込むように作用して、そのペットフードを動物の口内でより容易にバラバラにできるようにするであろう。
【0063】
いくつかの実施の形態では、前記コアはマルトデキストリンを含む。いくつかの実施の形態では、前記ペットフードは、1質量%~6質量%のマルトデキストリンを含む。いくつかの実施の形態では、そのペットフードは、1.2~1.6質量%のマルトデキストリン、必要に応じて約1.3質量%、約1.4質量%または約1.5質量%のマルトデキストリンを含む。
【0064】
いくつかの実施の形態では、本開示は、ペットフードを提供し、そのペットフードは、15質量%~50質量%(必要に応じて15~40質量%、必要に応じて15~30質量%、必要に応じて15~25質量%、必要に応じて18質量%~23質量%)の含水量を有し、少なくとも1種類のデキストリンおよび少なくとも1種類の乳化剤を含む。いくつかの実施の形態において、そのペットフードは、マルトデキストリンおよび/またはDATEMを含む。
【0065】
実際、いくつかの実施の形態において、前記ペットフードは、以下の成分:マルトデキストリン、DATEM、OSA加工デンプン、およびそれらの任意の組合せの内の1つ以上を含み得る。
【0066】
修飾デキストリンおよび加工デンプン、特にエステル化デンプンおよびエステル化デキストリンは、例えば、ペットフードが密封パッケージから取り出されたときの「ブルーム」形成を低減または防止するのに有効であることが分かった。そのペットフードがコアおよびコーティングを含む場合、そのコーティングは、好ましくは、修飾デキストリンおよび加工デンプンから選択される炭水化物、より好ましくは、エステル化デキストリンおよびエステル化デンプンから選択される炭水化物を含む。これらの炭水化物は、コーティングに含まれた場合、ブルーム形成を低減または防止するのに特に有効であることが見出された。ブルーム変色は、コアからペットフードの表面に移動するミネラルに起因し得、これらの炭水化物の存在は、ミネラルが堆積物を形成しないように、それらを安定化すると考えられる。エステル化デキストリンおよびエステル化デンプンから選択される炭水化物、およびキレート剤の使用の組合せは、特にコアがキレート剤を含み、コーティングがエステル化デキストリンおよび/またはエステル化デンプンを含む場合、ペットフードにおけるブルーム形成を低減または防止するのに特に効果的であることが見出された。キレート剤は、金属イオンに結合すると、コアからコーティングへの金属イオンの移動を遅らせるが、金属イオンがコーティングに到達した場合であっても、キレート化された金属イオンは析出しにくく、堆積物を形成しにくい。
【0067】
ある実施の形態では、前記コーティングは、エステル化デキストリンおよびエステル化デンプンから選択されるグルコース含有炭水化物を含む。
【0068】
ある実施の形態では、そのエステル化デキストリンまたはエステル化デンプンは、少なくとも2個の炭素原子、必要に応じて少なくとも4個の炭素原子、必要に応じて少なくとも5個の原子、必要に応じて2~15個の原子、必要に応じて5~12個の原子、必要に応じて6~10個の原子、必要に応じて7、8または9個の原子を有するアルキル基を含有する。
【0069】
ある実施の形態では、そのエステル化デキストリンまたはエステル化デンプンは、デキストリンまたはデンプンのアルキルコハク酸無水物によるエステル化の生成物である。ある実施の形態では、そのエステル化デキストリンまたはエステル化デンプンは、デキストリンまたはデンプンのアルキルコハク酸無水物によるエステル化の生成物であり、そのアルキルは、少なくとも2個の炭素原子、必要に応じて少なくとも4個の炭素原子、必要に応じて少なくとも5個の原子、必要に応じて2~15個の原子、必要に応じて5~12個の原子、必要に応じて6~10個の原子、必要に応じて7、8または9個の原子を含む。
【0070】
ある実施の形態では、前記グルコース含有炭水化物は、エステル化デキストリンおよびエステル化デンプンから選択され、そのグルコース含有炭水化物は、食用ペットフードの0.5~10質量%、必要に応じて食用ペットフードの1~6質量%、必要に応じて食用ペットフードの1~5質量%、必要に応じて食用ペットフードの1~4質量%、必要に応じて食用ペットフードの2~5質量%、必要に応じて食用ペットフードの2~4質量%を構成する。
【0071】
ある実施の形態では、前記コーティングは、オクテニルコハク酸マルトデキストリンとも呼ばれる、ある量の少なくとも1種類のオクテニルコハク酸加水分解デンプンを含む。
【0072】
ある実施の形態では、オクテニルコハク酸加水分解デンプンの量は、食用ペットフードの0.5~10質量%、必要に応じて食用ペットフードの1~6質量%、必要に応じて食用ペットフードの1~5質量%、必要に応じて食用ペットフードの1~4質量%、必要に応じて食用ペットフードの2~5質量%、必要に応じて食用ペットフードの2~4質量%を構成する。
【0073】
キレート剤
前記ペットフードがキレート剤を含むことが好ましい。そのキレート剤は、ブルーム形成を低減または防止するのに役立つことが見出された。キレート剤は、イオン、例えば、金属イオンと2つ以上の配位結合を形成することができる種として定義することができる。キレート剤は多座配位子であってもよい。いくつかの実施の形態では、そのキレート剤は金属原子に結合している。その金属原子は、2価および3価の金属原子から選択することができる。その金属原子は、II族および遷移金属(周期表の3~12族)からの原子であってもよい。金属原子は、カルシウム、銅、鉄、マグネシウム、マンガン、亜鉛、ナトリウムおよびカリウムから選択され得る。キレート剤が、カルシウムに結合するキレート剤であることが好ましい。
【0074】
ある実施の形態では、前記ペットフードがコアおよびコーティングを含む場合、そのコアおよびコーティングの内の少なくとも一方が、キレート剤をさらに含むことが好ましい。そのキレート剤は、クエン酸塩、酢酸塩、エチレンジアミン四酢酸塩(EDTA)、リン酸塩、ソルビトール、酒石酸塩およびチオ硫酸塩、グルコン酸塩、オキシステアリンおよびフィチン酸塩から選択することができる。そのクエン酸塩は、クエン酸カルシウム、クエン酸、クエン酸モノイソプロピル、クエン酸モノグリセリド、クエン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸ステアリル、クエン酸トリメチルから選択することができる。そのリン酸塩は、一リン酸塩(オルトリン酸塩とも呼ばれる)、二リン酸塩などのポリリン酸塩(ピロリン酸塩と呼ばれることもある)、メタリン酸塩(トリメタリン酸塩などの環状リン酸塩)から選択することができる。リン酸塩は、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウムおよびリン酸カリウムから選択され得る。その酢酸塩は酢酸カルシウムであってもよい。EDTAは、EDTA二ナトリウムカルシウムおよびEDTA二水素二ナトリウムから選択することができる。そのグルコン酸塩は、グルコン酸カルシウムおよびグルコン酸ナトリウムから選択され得る。その酒石酸塩は、酒石酸カルシウム、酒石酸ナトリウム、および酒石酸カリウムから選択することができる。そのチオ硫酸塩は、チオ硫酸カルシウムおよびチオ硫酸ナトリウムから選択され得る。そのクエン酸カルシウムはまた、二クエン酸三カルシウムまたは2-ヒドロキシ-1,2,3-プロパン-トリカルボン酸カルシウム塩と呼ばれることもある。
【0075】
前記キレート剤がクエン酸塩であることが好ましい。
【0076】
ある実施の形態では、前記ペットフードは、少なくとも1質量%の少なくとも1種類のクエン酸塩を含む。そのクエン酸塩が、クエン酸カルシウム、クエン酸ナトリウムおよびそれらの任意の組合せから選択されることが好ましい。ある実施の形態では、そのペットフード、例えば、前記コアは、カルシウムイオンを含み、必要に応じて、その少なくとも一部はキレート剤に結合し、必要に応じて、カルシウムイオン含有量は、ペットフード100グラム当たり少なくとも100mg、必要に応じてペットフード100グラム当たり少なくとも200mg、必要に応じてペットフード100グラム当たり少なくとも500mg、必要に応じてペットフード100グラム当たり少なくとも800mg、必要に応じてペットフード100グラム当たり少なくとも1g、必要に応じてペットフード100グラム当たり少なくとも1.2gである。
【0077】
乳化剤
ある実施の形態では、前記食用ペットフードは乳化剤を含む。ある実施の形態では、その食用ペットフードは、コアおよびコーティングを含み、そのコアおよびコーティングの内の少なくとも一方は、乳化剤をさらに含む。その乳化剤は、デキストリンおよびデンプンから選択されるグルコース含有炭水化物と共に存在してもよい。その乳化剤は、マルトデキストリンと共に存在してもよい。
【0078】
ある実施の形態では、前記乳化剤は15未満のHLB値を有する。ある実施の形態では、その乳化剤は、5~15、必要に応じて6~12、必要に応じて7~11、必要に応じて8~10のHLB値を有する。
【0079】
必要に応じて、前記乳化剤は、モノおよびジグリセリドのジアセチル酒石酸エステル[DATEM]、レシチン[LC]、モノおよびジグリセリド[MDG]、ステアロイル乳酸塩、例えば、ステアロイル乳酸ナトリウム[SSL]およびステアロイル乳酸カルシウム[CSL]、モノグリセリドのアセチルエステル[AMG]、エトキシ化モノおよびジグリセリド[EMG]、モノステアリン酸グリセロール[GMS]、モノグリセリドのラクチルエステル[LMG]、ポリグリセロールエステル[PGE]、プロピレングリコールモノステアレート[PGMS]、ポリソルベート60[PS60]、スクシニルモノグリセリド[SMG]、ソルビタンモノステアレート[SPAN 60]、スクロースエステル[SUE]から選択される。その乳化剤が、モノおよびジグリセリドのジアセチル酒石酸エステル(DATEM)を含むことが好ましい。ある実施の形態では、前記コアが、モノおよびジグリセリドのジアセチル酒石酸エステル(DATEM)を含む。ある実施の形態では、そのコアは、マルトデキストリンと、モノおよびジグリセリドのジアセチル酒石酸エステル(DATEM)とを含む。ある実施の形態では、そのペットフードは、0.5~1.1質量%のDATEMを含む。
【0080】
凝集性および弾性
前記ペットフードの弾性および凝集性は、ペットフードがネコやイヌなどの動物によってどの程度容易に食べられるかに影響を及ぼす特徴であることが見出された。本発明者らは、あるレベルの弾性および凝集性を有するペットフードが他のものよりも望ましいことを見出した。以下の値は、特にネコにとって望ましい食物を示す。弾性および凝集性は、例えば、以下の実施例1に記載されるように、テクスチャ・プロファイル解析によって測定され得る。
【0081】
ある実施の形態では、前記ペットフードは、0.14以上のテクスチャ・プロファイル解析によって測定された弾性、必要に応じて0.14~0.25、必要に応じて0.14~0.23、必要に応じて0.14~0.21、0.14~0.20のテクスチャ・プロファイル解析によって測定された弾性を有する。ある実施の形態では、そのペットフードは、0.50以上のテクスチャ・プロファイル解析によって測定された凝集性を有する。ある実施の形態では、そのペットフードは、0.50~0.75のテクスチャ・プロファイル解析によって測定された凝集性を有する。ある実施の形態では、そのペットフードは、0.50~0.61、必要に応じて0.50~0.58、必要に応じて0.50~0.56のテクスチャ・プロファイル解析によって測定された凝集性を有する。ある実施の形態では、そのペットフードは、0.14以上のテクスチャ・プロファイル解析によって測定された弾性、および0.50以上のテクスチャ・プロファイル解析によって測定された凝集性を有する。
【0082】
含水量
前記ペットフードの含水量は、実施例2に記載のように測定することができる。含水量は、BS 4401 Pt 3:1997、BS 4401-3:1997、ISO 1442:1997にしたがって測定することができる。
【0083】
ある実施の形態では、前記ペットフードは、15~50質量%、必要に応じて15~40質量%、必要に応じて15~30質量%、必要に応じて15~25質量%、必要に応じて17~25質量%、必要に応じて19~23質量%の含水量を有する。
【0084】
肉およびタンパク質含有量
ある実施の形態では、前記ペットフードは、少なくとも50質量%の肉、必要に応じて少なくとも60質量%の肉、必要に応じて少なくとも70質量%の肉、必要に応じて少なくとも80質量%の肉を含む。ある実施の形態では、そのペットフードは、50質量%~95質量%の肉、必要に応じて60質量%~95質量%、必要に応じて70質量%~95質量%の肉を含む。
【0085】
必要に応じて、前記肉の少なくとも一部は臓器肉を含む。必要に応じて、その肉の少なくとも50質量%は臓器肉である。その臓器は、肝臓および心臓から選択され得る。必要に応じて、そのペットフードは、少なくとも50質量%の肉を含み、その内の少なくとも50質量%は臓器肉である。
【0086】
必要に応じて、前記肉の少なくとも一部は内臓を含む。必要に応じて、そのペットフードは、少なくとも50質量%の肉を含み、その内の少なくとも15質量%が内臓である。
【0087】
ある実施の形態では、前記ペットフードは、少なくとも2質量%の血漿、必要に応じて少なくとも3質量%の血漿、必要に応じて少なくとも4質量%の血漿、必要に応じて少なくとも5質量%の血漿、必要に応じて少なくとも6質量%の血漿を含む。ある実施の形態では、そのペットフードは、2質量%~10質量%の血漿、必要に応じて4質量%~9質量%の血漿、必要に応じて5質量%~9質量%の血漿、6質量%~8質量%の血漿を含む。血漿は、ブタまたはウシなど、どの適切な動物由来であってもよい。
【0088】
前記ペットフードは、少なくとも30質量%、必要に応じて少なくとも35質量%、必要に応じて少なくとも38質量%、必要に応じて少なくとも40質量%の動物性タンパク質含有量を有することができる。そのペットフードは、少なくとも30質量%~60質量%、必要に応じて30質量%~50質量%、必要に応じて35質量%~45質量%、必要に応じて38質量%~44質量%の動物性タンパク質含有量を有することができる。タンパク質含有量は、どの適切な方法、例えば、BS 4401 Pt 2:1980、ISO 937-1978による方法を用いて測定してもよい。
【0089】
ピロリン酸四カリウム
前記ペットフード、例えば、コアまたはコーティングは、リン酸塩、例えば、ピロリン酸四カリウムを含み得る。ある実施の形態では、そのペットフードは、少なくとも約0.3質量%のピロリン酸四カリウムを含む。これは、タンパク質構造を弱め、ペットフードにとってより好ましいテクスチャを生じることに寄与すると考えられる。
【0090】
水分活性
ある実施の形態では、前記食用ペットフードの水分活性(Aw)は、0.7~0.8である。
【0091】
他の成分
前記ペットフードの他の可能な成分が、本明細書に記載されている。そのペットフードがコアおよびコーティングを含む場合、各成分はそのコアおよび/またはコーティング中に存在してもよい。
【0092】
前記食用ペットフードは、少なくとも1種類の湿潤剤を含むことができる。その湿潤剤は、コアまたはコーティング、好ましくはコアに存在してもよい。その湿潤剤は、水と結合し、ペットフードの表面への移動を防止するように作用し、ブルーム形成を低減または防止するのに役立ち得る。ある実施の形態では、その少なくとも1種類の湿潤剤は、グリコール、グリセロール、ペクチン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース(CMC)、およびそれらの任意の組合せから選択される。
【0093】
前記ペットフードは、ある量の酵母、ある量の酵母抽出物、またはそれらの組合せの内の少なくとも1つを含んでもよい。
【0094】
いくつかの実施の形態では、本開示のペットフードは、100%栄養的に完全であり、かつ、動物栄養のためにバランスがとれるように設計される。
【0095】
いくつかの実施の形態において、本開示のペットフードはまた、少なくとも1つの脂肪、調味料、保存料、栄養素、および/または着色料を含み得る。ここに用いられているように、脂肪は、食用油を含み、好ましくは、室温で液体の脂肪である。例示的な脂肪としては、トウモロコシ油、大豆油、ピーナッツ油、綿実油、ブドウ種子油、ヒマワリ油、亜麻仁油(およびオメガ-3およびオメガ-6脂肪酸の他の供給源)、植物油、パーム核油、オリーブ油、獣脂、ラード、ショートニング、バターおよびそれらの組合せが挙げられる。
【0096】
本開示のペットフードが、様々に「持続時間」とも呼ばれる、噛む時間を短縮するための柔軟性および弾性特性を示すことが好ましい。そのペットフードは、最小の噛み込みで崩れるように設計されている。そのペットフードのテクスチャは、動物の安全性と好みとの間の適切なバランスを確実にする。
【0097】
いくつかの実施の形態において、本開示のペットフードは、以下の成分の内の1つ以上を使用して配合され得る:ゼラチン、小麦タンパク質単離物、グリセリン、エンドウタンパク質、水、ポテトタンパク質、カゼイン酸ナトリウム、天然家禽香味料、レシチン、ミネラル(リン酸二カルシウム、塩化カリウム、アミノ酸キレートマグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸亜鉛、硫酸第一鉄、硫酸銅、硫酸マンガン、ヨウ化カリウム)、ビタミン(dl-αトコフェロールアセテート[ビタミンEの供給源]、L-アスコルビル-2-ポリリン酸[ビタミンCの供給源]、ビタミンB12サプリメント、d-カルシウムパントテン酸塩[ビタミンB5]、ナイアシンサプリメント、ビタミンAサプリメント、リボフラビンサプリメント、ビタミンD3サプリメント、ビオチン、ピリドキシン塩酸塩[ビタミンB6]、硝酸チアミン[ビタミンB1]、葉酸)、乾燥トマト、りんご汁のかす、植物油(トコフェロール混和物で保存)、粉砕亜麻仁、乾燥サツマイモ、クランベリー繊維、乾燥脱脂乳、塩化コリン、タウリン、脱カフェイン緑茶エキス、カロテン、ウコン、およびアントシアニン。特定の実施の形態では、そのペットフードは天然ペットフードである。
【0098】
いくつかの実施の形態では、本開示のペットフードは、タンパク質材料、デンプン材料、繊維材料、脂肪材料、ミネラル材料、ビタミン材料、並びにそれらの混合物および組合せを含むことができるが、これらに限定されない。タンパク質材料としては、鶏肉粉、鶏肉、鶏肉副産物粉、子羊の肉、子羊の肉粉、七面鳥の肉、七面鳥の肉粉、牛肉、牛肉副産物、内臓、魚粉、腸、並びにそれらの混合物および組合せが挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0099】
デンプン材料は、穀類、穀物、トウモロコシ、小麦、米、オート麦、挽き割りトウモロコシ、モロコシ、穀実用モロコシ、小麦ふすま、オート麦ふすま、アマランス、デュラム小麦、ジャガイモ、タピオカ、並びにそれらの混合物および組合せを含むことができるが、これらに限定されない。
【0100】
繊維材料としては、フラクトオリゴ糖、ビートパルプ、マンナンオリゴ糖、オート麦繊維、柑橘パルプ、カルボキシメチルセルロース、アラビアゴム、グアーガムおよびカラギーンなどのガム、リンゴおよびトマト搾りかす、柑橘繊維、繊維抽出物、繊維誘導体、乾燥ビート繊維、蒸留乾燥穀物固形物、並びにそれらの混合物および組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0101】
脂肪材料には、家禽脂肪、鶏脂、七面鳥脂肪、豚脂、ラード、獣脂、牛脂、植物油、コーン油、大豆油、綿玉油、菜種玉油、魚油、ニシン油、アンチョビ油、ヤシ油、パーム核油、ココナッツ油、およびこれらの混合物と組合せ、並びに上記油のいずれかの部分的または完全水素化バージョンが含まれるが、これらに限定されない。ミネラル材料としては、亜セレン酸ナトリウム、リン酸一ナトリウム、炭酸カルシウム、塩化カリウム、硫酸第一鉄、酸化亜鉛、硫酸マンガン、硫酸銅、酸化マンガン、ヨウ化カリウム、炭酸コバルト、並びにこれらの混合物および組合せが挙げられるが、これらに限定されない。ビタミン材料には、塩化コリン、ビタミンEサプリメント、アスコルビン酸、ビタミンAアセテート、パントテン酸カルシウム、パントテン酸、ビオチン、硝酸チアミン、ビタミンB12サプリメント、ナイアシン、リボフラビンサプリメント、イノシトール、ピリドキシン塩酸塩、ビタミンD3サプリメント、葉酸、ビタミンC、並びにそれらの混合物および組合せが含まれが、それらに限定されない。
【0102】
1つの実施の形態では、本開示のペットフードは、以下に限られないが、牛肉肉汁、ビール乾燥酵母、卵、卵製品、亜麻粉、アミノ酸、例えば、メチオニン、ロイシン、リジン、トリプトファン、アルギニン、システイン、アスパラギン酸、タウリン、並びにこれらの混合物および組合せを含む追加の成分を含むことができる。
【0103】
コーティング
いくつかの実施の形態では、前記ペットフードは、コアと、そのコア上に配置されたコーティングとを含む。そのコーティングは、コアの少なくともいくらか、必要に応じて、コアの全てを覆う層であってよい。そのコーティングは、例えば、コアの表面積の少なくとも10%、必要に応じてコアの表面積の少なくとも20%、必要に応じてコアの表面積の少なくとも30%、必要に応じてコアの表面積の少なくとも40%、必要に応じてコアの表面積の少なくとも50%、必要に応じてコアの表面積の少なくとも60%、必要に応じてコアの表面積の少なくとも70%、必要に応じてコアの表面積の少なくとも80%、必要に応じてコアの表面積の少なくとも90%、必要に応じてコアの表面積の少なくとも95%、必要に応じてコアの表面積の少なくとも98%を覆うことができる。
【0104】
前記コーティングは、ペットフードの1質量%~30質量%、いくつかの実施の形態ではペットフードの5質量%~30質量%、例えば、ペットフードの10質量%~20質量%を構成することができる。前記コアは、一般に、タンパク質を含む動物肉を含み、前記コーティングは、そのコアよりも少ないタンパク質(質量%で)を含み得るか、またはタンパク質を欠くかまたは実質的に欠いており、例えば、そのコーティングは、10質量%以下のタンパク質、必要に応じて5質量%以下のタンパク質、必要に応じて2質量%以下のタンパク質、必要に応じて1質量%以下のタンパク質を含み得る。そのコーティングは、脂肪、例えば、家禽脂、鶏脂、七面鳥脂肪、豚脂肪、ラード、獣脂および牛脂から選択することができる動物脂肪を含むことができる。そのコーティングは、少なくとも10質量%の脂肪、必要に応じて、20質量%の脂肪を含むことができる。ある実施の形態では、そのコアは、タンパク質を含む動物肉を含み、そのコーティングは、動物脂肪を含み、必要に応じて、そのコアは、タンパク質を実質的に欠く。そのコーティング中に存在し得る動物脂肪は、ペットフードの0.1質量%~10質量%、必要に応じてペットフードの0.1質量%~5質量%、必要に応じてペットフードの0.5質量%~5質量%、必要に応じてペットフードの0.5質量%~4質量%を構成し得る。
【0105】
前記コーティングは、粒状材料をさらに含んでもよい。その粒状材料は、リン酸塩を含むことができる。
【0106】
前記コーティング中の動物脂肪および/またはリン酸塩の存在は、ペットフードの美味しさを増すことが見出された。しかしながら、それには、ペットフードのブルーム形成の傾向を増加させる効果もある。
【0107】
先に述べたように、前記コーティングは、好ましくは、デキストリンおよびデンプンから選択されるグルコース含有炭水化物、好ましくは、エステル化デキストリンおよびオクテニルコハク酸加水分解デンプンなどのエステル化デンプンから選択されるグルコース含有炭水化物を含む。前記コアは、キレート剤をさらに含んでもよい。これらの特徴は一緒になってブルーム形成を低減または防止するのを助ける。
【0108】
ある実施の形態では、前記コーティングは、少なくとも1種類の脂肪および少なくとも1種類のリン酸塩を含む。
【0109】
パック
本明細書に記載された食用ペットフードを含むパックも提供される。そのパックは、気密である、および/または10体積%未満の酸素、必要に応じて5体積%未満の酸素、必要に応じて1体積%未満の酸素、必要に応じて0.5体積%未満の酸素を含む、内部チャンバを含むことができる。その内部チャンバは、酸素を欠いていても、実質的に欠いていてもよい。その内部チャンバは、ある量の2種類以上の気体を含むことができ、その2種類以上の気体は、少なくとも60体積%の窒素および少なくとも25体積%の二酸化炭素を含む。その内部チャンバは、窒素および酸素から選択される気体、並びに必要に応じて、それらの混合物を含むことができ、その内部チャンバは、10体積%未満の酸素、必要に応じて5体積%未満の酸素、必要に応じて1体積%未満の酸素、必要に応じて0.5体積%未満の酸素を含有することができ、その内部チャンバは、酸素を欠いているか、または実質的に欠いていてもよい。前記ペットフードは、その内部チャンバ内に存在してもよい。
【0110】
そのパックは、適切な材料、例えば、プラスチックおよび/または金属から形成されてもよい。
【0111】
方法
いくつかの実施の形態では、食用ペットフード組成物または食用ペットフードを製造する方法が提供される。いくつかの実施の形態では、その方法は:
肉を1種類以上の成分、例えば、ここに述べられた1種類以上の成分と組み合わせて、ペットフード組成物を形成する工程、そのペットフード組成物を、必要に応じて蒸気で、調理する工程、および必要に応じて、そのペットフード組成物を乾燥させる工程を有してなり、そのペットフードはこの方法によって形成され、そのペットフードは15~50質量%(必要に応じて15~40質量%、必要に応じて15~30質量%、必要に応じて15~25質量%)の含水量を有する。
【0112】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の食用ペットフードを製造する方法が提供され、この方法は、動物性タンパク質を含むある量の肉、デキストリンおよびエステル化デンプンから選択されるある量のグルコース含有炭水化物を組み合わせて、ペットフード組成物を形成する工程、そのペットフード組成物を蒸気で調理する工程、そのペットフード組成物を乾燥させる工程、および、その乾燥の前または後に、そのペットフード組成物にコーティングを施して、そのペットフード組成物をコアに有し、その上にコーティングが配置されたペットフードを製造する工程を含み、そのペットフードは、少なくとも15~50質量%(必要に応じて15~40質量%、必要に応じて15~30質量%、必要に応じて15~25質量%)の含水量を有し、そのペットフードは、少なくとも30質量%の動物性タンパク質含有量を有する。ある実施の形態では、その方法は、乳化剤を、動物性タンパク質を含む前記量の肉および前記量のグルコース含有炭水化物と組み合わせて、ペットフード組成物を形成する工程を含む。
【0113】
ある実施の形態では、ある量の肉、デキストリンおよびエステル化デンプンから選択されるある量のグルコース含有炭水化物、およびある量の少なくとも1種類の乳化剤を組み合わせて、ペットフード組成物を形成する工程と、そのペットフード組成物を蒸気で調理する工程と、少なくとも90℃の温度でペットフード組成物を乾燥させて、15~50質量%(必要に応じて15~40質量%、必要に応じて15~30質量%、必要に応じて15~25質量%)の含水量を有するペットフードを作製する工程とを含むペットフードを製造する方法が提供される。ある実施の形態では、その方法は、調理の後であって、乾燥の前または後に、そのペットフード上にコーティングを施して、上にコーティングが配置されたペットフードを構成するコアを有するペットフードを製造する工程をさらに含む。
【0114】
ここに記載されたいずれの実施の形態においても、乾燥は、90℃~110℃、必要に応じて、95℃~105℃で実施され得る。調理は、乾燥よりも高い温度、例えば、少なくとも120℃、必要に応じて少なくとも130℃、必要に応じて150~190℃の温度で行うことができる。
【0115】
前記コーティングは、ペットフード組成物(またはコア)に、そのコーティングを形成する材料を噴霧する、またはペットフード組成物(またはコア)をその材料中に浸漬するなど、どの適切な方法を使用して形成してもよい。
【0116】
いくつかの実施形態では、ここに記載の食用ペットフードを製造する方法が提供され、この方法は、動物性タンパク質を含むある量の肉、デキストリンおよびエステル化デンプンから選択されるある量のグルコース含有炭水化物を組み合わせて、ペットフード組成物を形成する工程、そのペットフード組成物を蒸気で調理する工程、そのペットフード組成物を乾燥させる工程、および、乾燥の前または後に、そのペットフード組成物にコーティングを施して、ペットフード組成物をコアに有し、その上にコーティングが配置されたペットフードを製造する工程を含み、そのペットフードは、少なくとも15~50質量%(必要に応じて15~40質量%、必要に応じて15~30質量%、必要に応じて15~25質量%)の含水量を有し、そのペットフードは、少なくとも30質量%の動物性タンパク質含有量を有する。いくつかの実施の形態において、その方法は、乳化剤を、動物性タンパク質を含む前記量の肉および前記量のグルコース含有炭水化物と組み合わせて、ペットフード組成物を形成する工程を含む。組み合わせた後であって、調理前に、そのペットフード組成物をノズル、例えば、成形ノズルに通し、次いで、調理用のオーブンに入れることができる。調理後、その組成物は、ここに記載されるようなコーティングで被覆されてもよい。その組成物またはペットフードは、調理の前または後に、例えば、その長さに沿った特定の点で切断され、次いで、ここに記載されるように、コーティングで被覆されてもよい。
【0117】
コーティングが施される場合にペットフードのコアを形成し得る、1種類以上のさらなる成分が、ペットフード組成物中に含まれ得、その1種類以上のさらなる成分は、ここに記載されたようであり得る。コーティングが施される場合、1種類以上のさらなる成分がそのコーティングに含まれ得、その1種類以上のさらなる成分は、ここに記載されたようであり得る。
【0118】
前記方法の実施の形態のいずれにおいても、デキストリンはマルトデキストリンを含んでもよい。
【0119】
前記方法の実施の形態のいずれにおいても、乳化剤は、モノおよびジグリセリドのジアセチル酒石酸エステル(DATEM)、レシチン、モノおよびジグリセリド、[ステアロイル乳酸塩、例えば、ステアロイル乳酸ナトリウムおよびステアロイル乳酸カルシウム]、モノグリセリドのアセチルエステル[AMG]、エトキシ化モノおよびジグリセリド[EMG]、グリセロールモノステアレート[GMS]、モノグリセリドのラクチルエステル[LMG]、ポリグリセロールエステル[PGE]、プロピレングリコールモノステアレート[PGMS]、ポリソルベート60[PS60]、スクシニルモノグリセリド[SMG]、ソルビタンモノステアレート[SPAN 60]、スクロースエステル[SUE]から選択することができる。
【0120】
前記方法の実施の形態のいずれにおいても、必要に応じて、乳化剤は、モノおよびジグリセリドのジアセチル酒石酸エステル(DATEM)を含む。
【0121】
前記方法の実施の形態のいずれにおいても、必要に応じて、この方法によって製造されたペットフードは、0.14以上のテクスチャ・プロファイル解析によって測定された弾性を有する。
【0122】
前記方法の実施の形態のいずれにおいても、必要に応じて、この方法によって製造されたペットフードは、0.14から0.19のテクスチャ・プロファイル解析によって測定された弾性を有する。
【0123】
前記方法の実施の形態のいずれにおいても、必要に応じて、この方法によって製造されたペットフードは、0.50以上のテクスチャ・プロファイル解析によって測定された凝集性を有する。
【0124】
前記方法の実施の形態のいずれにおいても、必要に応じて、この方法によって製造されたペットフードは、0.50から0.75のテクスチャ・プロファイル解析によって測定された凝集性を有する。
【0125】
前記方法の実施の形態のいずれにおいても、必要に応じて、この方法によって製造されたペットフードは、0.50から0.61のテクスチャ・プロファイル解析によって測定された凝集性を有する。
【0126】
前記方法の実施の形態のいずれにおいても、必要に応じて、この方法によって製造されたペットフードは、0.14以上のテクスチャ・プロファイル解析によって測定された弾性および0.50以上のテクスチャ・プロファイル解析によって測定された凝集性を有する。
【0127】
前記方法の実施の形態のいずれにおいても、必要に応じて、前記弾性は0.14から0.19である。
【0128】
前記方法の実施の形態のいずれにおいても、必要に応じて、前記凝集性は0.50から0.75である。
【0129】
前記方法の実施の形態のいずれにおいても、その方法によって製造されるペットフードは、1.2~1.6質量%のマルトデキストリンを含む。
【0130】
前記方法の実施の形態のいずれにおいても、その方法によって製造されるペットフードは、0.5~1.1%のDATEMを含む。
【0131】
前記方法の実施の形態のいずれにおいても、含水量は19~25質量%であることがある。
【0132】
前記方法の実施の形態のいずれにおいても、その方法によって製造されるペットフード組成物および/またはペットフードは、少なくとも50質量%の肉を含む。必要に応じて、その肉は、少なくとも50質量%の臓器肉を含む。必要に応じて、その肉は、少なくとも15質量%の内臓を含む。
【0133】
前記方法の実施の形態のいずれにおいても、その方法によって製造されるペットフード組成物および/またはペットフードは、少なくとも約0.3質量%のピロリン酸四カリウムをさらに含む。
【0134】
前記方法の実施の形態のいずれにおいても、その方法によって製造されるペットフード組成物および/またはペットフードは、少なくとも約1質量%の少なくとも1種類のクエン酸塩をさらに含む。必要に応じて、その少なくとも1種類のクエン酸塩は、クエン酸カルシウム、クエン酸ナトリウム、およびそれらの任意の組合せから選択される。
【0135】
前記方法の実施の形態のいずれにおいても、その方法によって製造されるペットフードのAwは0.7~0.8である。
【0136】
前記方法の実施の形態のいずれにおいても、その方法によって製造されるペットフード組成物および/またはペットフードは、少なくとも1種類の湿潤剤をさらに含む。必要に応じて、その少なくとも1種類の湿潤剤は、グリコール、グリセロール、ペクチン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース(CMC)、およびそれらの任意の組合せから選択される。
【0137】
前記方法の実施の形態のいずれにおいても、その方法によって製造されるペットフード組成物および/またはペットフードは、少なくとも6質量%の血漿をさらに含む。
【0138】
前記方法の実施の形態のいずれにおいても、その方法によって製造されるペットフード組成物および/またはペットフードは、ある量の酵母、ある量の酵母抽出物、およびそれらの組合せの内の少なくとも1つをさらに含む。
【0139】
コーティングが施される前記方法の実施の形態のいずれにおいても、そのコーティングは、少なくとも1種類の脂肪および/または少なくとも1種類のリン酸塩を含んでもよい。
【0140】
コーティングが施される前記方法の実施の形態のいずれにおいても、そのコーティングは、ある量の少なくとも1種類のオクテニルコハク酸加水分解デンプンを含んでもよい。そのオクテニルコハク酸加水分解デンプンの量は、その方法によって製造されるペットフードの1~4質量%であってよい。
【0141】
前記方法の実施の形態のいずれにおいても、その方法は、前記ペットフードをパックに充填する工程をさらに含んでもよく、そのパックは、気密内部チャンバを含み、必要に応じて、その内部チャンバは、ある量の2種類の気体を含み、その2種類以上の気体は、少なくとも60体積%の窒素および少なくとも25体積%の二酸化炭素を含む。
【実施例】
【0142】
図1は、以下の実施例1に記載されるような、テクスチャ・プロファイル解析測定の概略図である。
【0143】
図2は、実施例4に記載されるような、本開示のペットフードの実施例の特性を、市販のペットフード、および調理されているが未加工の肉のサンプルの特性と比較するデータのプロットである。
【0144】
以下の試験方法を用いて、ここに開示された新規のペットフードの特性を特徴付けた。
【0145】
実施例1:
テクスチャ・プロファイル解析
テクスチャ・プロファイル解析(TPA)により、サンプルのテクスチャを特徴付けるいくつかのパラメータを決定することができる。試験前に、サンプルを最初に22℃で1時間インキュベーションする。サンプルを、インキュベータから取り出した直後に試験する。これらのサンプルは、サンプルが長手方向に圧縮されるように、平面の中心に平らに置かれる。テクスチャアナライザー(Stable Micro Systems TA HD Plus)を使用して、サンプルの全表面を圧縮するのに十分なサイズの圧縮プレートを使用して、製品を1mm/sの速度で50%歪み、またはその全高の50%まで圧縮する。高さ10mmのサンプルの場合、50%歪みまでの距離は5mmである。必要な歪み距離に一旦達すると、プローブは、1mm/sの速度で直ちに上方に動かされ、元のサンプル高さであるベースプレートの10mm上方で停止する。第1の圧縮サイクルを完了した後、圧縮プレートは5秒間休止し、その間に、製品は、その材料特性に応じて、その元の形状および形態のいくらかを回復することができる。次に、第2の圧縮サイクルが実行される。圧縮プレートは、1mm/sの速度で、最初の圧縮中に50%の歪みを達成するのに要した距離(この場合、5mm)まで下方に動かされる。必要な歪み距離に達した後、プローブは、1mm/sの速度で直ちに上方に動かされ、元のプローブ高さで停止する。
【0146】
テクスチャ・プロファイル解析測定の概略図が
図1に示されている。この測定は、経過した時間に対するプローブが経験した力として示されていることが分かる。これは、第1の噛みつきと、その後の同じ位置での第2の噛みつきによる圧縮を模倣しており、十分に確立された技術である。
図1を参照すると、L1は、プローブが第1の圧縮中に下方向に移動し、力が測定される試験中の期間に対応する。L2は、プローブが第1の圧縮中に上方向に移動し、力が測定される試験中の期間に対応する。L4は、プローブが第2の圧縮中に下方向に移動し、正の力が測定される試験中の期間に対応する。L5は、プローブが第2の圧縮中に上方向に移動し、正の力が測定される試験中の期間に対応する。
【0147】
この測定からの興味深い第1のパラメータは、硬度である。これは、サンプルの第1の圧縮のピーク力である。これは、最も深い圧縮点に対応する必要はない。本研究では、これはまた、プラテンが応力値を与えるように作用するサンプルの面積に対して正規化されている。この値は、噛み動作中に歯が遭遇するであろう抵抗の量を示す。上述のように、より高い応力値は、歯牙破折の危険性を増大させ得る。
【0148】
興味深い第2のパラメータは、凝集性である。これは、第1の圧縮中の仕事に対する第2の圧縮中の仕事の尺度である:
【0149】
【0150】
したがって、凝集性は、製品が、第1の変形の下でどのように挙動するかと比較して、第2の変形にどの程度良好に耐えるかを表し、したがって、その後の噛みつきに対する抵抗性を維持し、動物の歯に対して継続的な清浄作用を提供するサンプルの能力の良好な指標である。
【0151】
興味深い第3のパラメータは、瞬間回復可能弾力性(IRS)であり、これは、第1の圧縮中の跳ね返りの尺度である:
【0152】
【0153】
したがって、IRSは、圧縮下り行程の直後のサンプルの弾力性を示す。
【0154】
第4のパラメータは、遅延回復可能弾力性(RRS)であり、これは、製品が第1の圧縮中に変形した後に、製品がどれだけ良好に物理的に跳ね返るかの尺度である。その跳ね返りは、第1の圧縮に対する第2の圧縮の下り行程で測定される:
【0155】
【0156】
したがって、RRSは、第2の圧縮下り行程前の跳ね返りの量を示す。
【0157】
第5のパラメータは、弾性であり、これは、第1の圧縮下り行程中の面積に対する第1の圧縮の撤退中の面積の尺度である:
【0158】
【0159】
弾性は、サンプルがその元の形状を回復しようと試みる際にどれだけの仕事をするかを示し、よってサンプルの瞬間的な弾力性の別の指標である。
【0160】
本発明は、以下の実施例によってさらに説明される。当然のことながら、それらの実施例は、例示の目的のためだけのものであり、上記のように本発明を限定することを意図するものではない。本発明の範囲から逸脱することなく、詳細の変更を行うことができる。
【0161】
実施例2:
含水量
サンプルの含水量(すなわち、水分含有量)は、以下の手順を用いて測定される。アルミニウム皿をオーブン中で102±2℃で少なくとも1時間乾燥させる。トレイをオーブンから取り出し、デシケータに入れ、室温に達するまで少なくとも30分間冷ます。次に、乾燥した皿の質量を記録する(A)。5±0.5gのサンプル(例えば、ペットフードまたは組成物)を皿に入れ、皿を再秤量してサンプルと皿の総質量を得る(B)。次いで、サンプル含有皿を102±2℃に保持したオーブン内に240分間±5分間置き、オーブンが平衡に達した時点から時間を記録し、オーブンのドアをこの時間を通じて閉じたままにする。次いで、サンプル含有皿を取り出し、デシケータ中に30分間置き、次いで再秤量して、皿とサンプルとの最終的な総質量を得る(C)。次いで、サンプルの総質量の百分率としてのサンプルの含水量が、下記の式によって与えられる。
【0162】
【0163】
実施例3:以下は、本開示によるペットフードの一例である。
【0164】
この実施例におけるセミモイストの食用ペットフード、この場合はニワトリベースの製品を、表1に示す成分を用いて調製した。
【0165】
【0166】
セミモイストの食用ペットフードを形成する際に、最初にコアを形成した。表1において「M」とラベル付けされた肉成分を最初に粉砕することにより肉エマルジョンを調製することによって、コアを処方した。肉は、粉砕の開始時に凍結しており、粉砕、混合および乳化工程の間に徐々に解凍される。次に、「D」とラベル付けされた乾燥成分および「L」とラベル付けされた液体成分の混合物を、「M」とラベル付けされた粉砕肉成分に加え、その組成物を混合し、乳化した。
【0167】
牛肉および七面鳥製品を製造するために、同等のレシピを使用した。それに際して、ニワトリの臓器を牛肉または七面鳥の臓器に置き換えた。
【0168】
混合および乳化の後、ペットフードのコアは、次に、ペットフードを成形ノズルに押し通すことによって成形される。
【0169】
次に、成形されたコアを、コンビオーブンを用いて調理する。このコンビオーブンは、蒸気と加熱の組合せを利用して約150℃~190℃の温度で組成物を調理する。この手順は、タンパク質凝固によって形状を固定する。ある場合には、成形されたコアは、次いで、最終製品の形状およびサイズを提供するために切断される。
【0170】
次いで、調理したコアを乾燥機内において100℃で約40~50分間乾燥させて、18質量%の含水量に到達させる(牛肉については、同じ温度を使用するが、牛肉を70~80分間調理し、七面鳥については、同じ温度を使用するが、七面鳥を75~90分間調理する)。これにより、セミモイストの食用ペットフードに使用されるコアが提供される。120℃で乾燥させると、このおやつはネコにとってより美味しくなるが、製品の全体的な外観はそれほど望ましくなかった。
【0171】
セミモイストの食用ペットフードのためのコーティングは、C成分(コーティングの17.24質量%のリン酸塩を含む旨味剤粉末、コーティングの41.38質量%の旨味剤液、コーティングの41.38質量%の動物脂肪)を混ぜ合わせることによって形成される。
【0172】
次いで、コア(ペットフードの92.75質量%)の全面にコーティング(ペットフードの7.25質量%)を吹き付け、コアおよびそのコア上に配置されたコーティングを形成することによって、セミモイストの食用ペットフードを形成する。
【0173】
次いで、セミモイストの食用ペットフードを、窒素(70質量%)および炭素(30質量%)の改善雰囲気中で包装することができる。
【0174】
この製品について、実施例1に記載したテクスチャ・プロファイル解析を行った。ニワトリから製造されたセミモイストの食用ペットフードの弾性および凝集性は、実施例4で見出されたものと同様であった。
【0175】
消費者スクリーニング研究はまた、非常に類似しているがマルトデキストリンおよびDATEMエステルを欠く製品と比較して、OPE(所有者が感じる楽しみ)の改善およびネコにとっての製品拒絶の減少を示した。
【0176】
先に記載された蒸気を用いて調理する方法は、(いわゆる「スライス」プロセスを用いて)沸騰させて調理した同じ食品と比較して、ネコにとってのペットフードの美味しさを改善することも分かった。
【0177】
さらなる試験において、6.5質量%を超えると、ペットフード中のタンパク質構造が弱くなることが分かった(製品はあまり容易に加工されず、調理工程中にバラバラになることが観察された)ので、ペットフード全体の6.5質量%以下のレベルのマルトデキストリンが好ましいことが分かった。
【0178】
水分、タンパク質、脂肪、カルシウム、リン、カリウムおよびナトリウムの含有量は、以下の実施例4について記載した量と同様であった。
【0179】
実施例4:以下は、本開示によるペットフードの例である。
【0180】
炭酸カルシウムをクエン酸カルシウムで置き換え(製品中のCa:P比を維持するために、製品中のカルシウムイオンの量が同じままであるように)、変性加水分解オクテニルコハク酸トウモロコシデンプンナトリウムを、コーティングを含むペットフード組成物全体の3質量%を形成するのに充分な量でコーティングに添加したことを除いて、実施例3に記載したようにコアを調製した。これは、50:50または55:45の比率で水と混ぜ合わせ、その組成物を加熱した後、コーティングを全ペットフード組成物の5.5または6質量%にするのに充分な量でコア上に吹き付けることによって、コーティングに含まれる。
【0181】
試験において、実施例4のペットフードを、コアが炭酸カルシウムを含有し(実施例3におけるように)、コーティングがOSA加水分解デンプンを欠いていたことを除いて、非常に類似した基準ペットフードと比較した。コアの組成に対する変更(すなわち、クエン酸カルシウム)およびコア上に配置されたコーティングの組成に対する変更(すなわち、OSA加水分解デンプン)により、製品の外観が改善された。空気の存在下で放置すると、例えば、窒素および炭素の雰囲気を含有するパッケージから取り出したときに、セミモイストの食用基準ペットフードは水分を失い、コーティングの表面上に明るい色のミネラル堆積物の出現(いわゆる「ブルーム形成」)を生じることが分かった。これは、水分損失によるミネラルの表面への移動の結果であったと思われる。実施例4に記載されるようなコアおよびコーティングの変更は、空気中で24時間後、有意なブルームは見られないほど、ブルーム形成を著しく減少させた。さらに、96時間後でさえ、有意なブルームは見られなかった。対照的に、実施例3のセミモイストの食用ペットフードは、24時間後に有意なブルームを示した。
【0182】
実施例4の食用ペットフード(ニワトリベースのペットフード)および同様の食用ペットフード(ここで、肉はニワトリの代わりに牛肉および七面鳥であった)の給餌性能を、それらが給餌性能目標を満たすことを確実にするために、60匹のネコによる識別試験で評価した。3種類のペットフードをベンチマーク製品(Dreamies Chicken)に対して試験し、95%信頼水準で有意差がないという目標を満たした。
【0183】
消費者研究もまた、所有者が感じる楽しみ(OPE)および拒絶を測定するために行った。この試験では、160匹のネコが参加し、各ネコに3つの製品-基準例のセミモイストペットフード(CC)、実施例4のセミモイストペットフード(CN)、およびベンチマーク製品のDreamies Chicken(DC)-を与えた。目的は、OPEまたは拒絶に関して消費者によってこれらの製品の間に認められる有意差があるかどうかを理解することであった。全てが10%未満の拒絶という基準を満たした。OPEについては、CNとCCとの間に有意差はなかった。
【0184】
それぞれ異なる種類の肉-七面鳥、ニワトリおよび牛肉-を含有する、実施例4の3種類のペットフードを製造した。これらの製品の弾性および凝集性を試験した。その結果が
図2に示されている(P1は七面鳥を含有する実施例4のペットフードを示し、P2は牛肉を含有する実施例4のペットフードを示し、P3はニワトリを含有する実施例4のペットフードを示す)。
図2において、P4は七面鳥肉(調理されているが、他の点では加工されていない)のサンプルであり、P5は牛肉(調理されているが、他の点では加工されていない)のサンプルであり、P6は鶏肉(調理されているが、他の点では加工されていない)のサンプルである。サンプルP7~P19は、概して、おやつの品種の市販されているキャットフードである。
【0185】
実施例4のニワトリベースのペットフードは、以下の含有量(100g当たり)の様々な成分を有することが分かった:
水分-19.1g(BS 4401 Pt 3:1997、BS 4401-3:1997、ISO 1442:1997にしたがって測定した)
タンパク質-42.3g(すなわち、BS 4401 Pt 2: 1980、ISO 937-1978にしたがって測定した粗タンパク質)
脂肪-13.2%(EC 152/2009にしたがって測定した)
カルシウム-1.05g(誘導結合プラズマ発光分光法(ICP-OES)を用いて測定した)
リン-0.738g(誘導結合プラズマ発光分光法(ICP-OES)を用いて測定した)
カリウム-1.4g
ナトリウム-1.20g(本試験では、サンプルを酸中でマイクロ波消化し、ICP-OESで測定する)。
【0186】
相互参照されるかまたは関連する特許または出願、および本出願がその優先権または恩恵を主張する任意の特許出願または特許を含む、本明細書で引用されるすべとの文献は、明らかに除外されるか、または他の様式で限定されない限り、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。いかなる文書の引用も、それが本明細書に開示または請求項に記載される開示に関しても先行技術であること、またはそれが単独で、またはいかなる他の1つまたは複数の参考文献とのいかなる組合せにおいても、そのような開示を教示、示唆または開示することを容認するものではない。さらに、本文書における用語のいかなる意味または定義も、参考として援用される文書における同じ用語のいかなる意味または定義とも矛盾する限り、本文書におけるその用語に割り当てられる意味または定義が優先するものとする。
【0187】
本開示の特定の実施の形態を図示し、説明してきたが、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、様々な他の変更および修正を行うことができることが、当業者には明らかであろう。したがって、本開示の範囲内にあるそのような全ての変更および修正を、添付の特許請求の範囲で包含するものとする。さらに、前述の説明は、例示のみを目的としたものであり、限定を目的としたものではない。
【0188】
当業者であれば、本開示の教示または以下の特許請求の範囲から逸脱することなく、追加の実施の形態または実行が可能であることを認識するであろう。この詳細な記述、特に、本明細書に開示される例示的な実施の形態および実行の具体的な詳細は、主に理解を明確にするために与えられ、本開示を読めば当業者には修正が明らかになり、請求項に記載された発明の精神または範囲から逸脱することなくなされ得るので、不必要な限定はそれから理解されるべきではない。