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特許7258782ラテラルフローを使用する試料分析の方法及び装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-07
(45)【発行日】2023-04-17
(54)【発明の名称】ラテラルフローを使用する試料分析の方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/543 20060101AFI20230410BHJP
【FI】
G01N33/543 521
G01N33/543 501L
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2019571580
(86)(22)【出願日】2018-07-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-22
(86)【国際出願番号】 AU2018050687
(87)【国際公開番号】W WO2019006500
(87)【国際公開日】2019-01-10
【審査請求日】2021-06-29
(31)【優先権主張番号】2017902606
(32)【優先日】2017-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】512197412
【氏名又は名称】エリューム リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ランゾーニ アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】パーソンズ ショーン アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】フライ スコット ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ミラー クリストファー ロバート
【審査官】白形 優依
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第02905607(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0080254(US,A1)
【文献】特開2009-180580(JP,A)
【文献】特開2009-058507(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0142291(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0186216(US,A1)
【文献】国際公開第2016/164365(WO,A1)
【文献】特開2011-209069(JP,A)
【文献】欧州特許第01046122(EP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48 - 33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体から採取した試料において少なくとも目的の第1の分析物に関して判定を行うために、ラテラルフローテストを実行する方法であって、
前記試料を第1の可動性捕捉試薬と共にインキュベーションして試料混合物を形成することであって、前記第1の可動性捕捉試薬は、前記試料中に前記目的の第1の分析物が存在する場合、前記目的の第1の分析物に特異的に結合して、複数の第1の標識複合体を形成することができ、前記インキュベーションが、前記試料混合物中の前記第1の標識複合体が実質的に均一な分布を形成する期間行われることと、
前記インキュベーションの後、前記試料混合物がラテラルフローデバイスの受取部から前記ラテラルフローデバイスの少なくとも第1のテストゾーン及び第2のテストゾーンへ流れるように、前記試料混合物を前記受取部に付着させることと、
アッセイ期間にわたり前記第1のテストゾーン及び前記第2のテストゾーンそれぞれでの第1の信号レベル及び第2の信号レベルを監視することであって、前記試料混合物中に前記第1の標識複合体が存在することにより、前記アッセイ期間中に前記第1の信号レベル及び前記第2の信号レベルのうちの一方の前記信号レベルが増加する、前記第1の信号レベル及び前記第2の信号レベルを監視することと、
少なくとも第1の時点及び第2の時点を含む前記アッセイ期間中の一定期間にわたり前記第1の信号レベルと前記第2の信号レベルとの間の差の変化を監視することであって、前記第1の時点及び前記第2の時点がそれぞれ、前記試料混合物の先頭が前記受取部から前記第1のテストゾーン及び前記第2のテストゾーンに到達する初期時点の後であることと、
前記第1のテストゾーン及び前記第2のテストゾーンのうちの一方は、前記第1のテストゾーン及び前記第2のテストゾーンのうちの他方と比べて、前記受取部から遠く、前記試料が、前記第1のテストゾーン及び前記第2のテストゾーンのうち前記受取部に最も近い一方の前記テストゾーンに到達してから、前記受取部から最も遠い他方の前記テストゾーンに到達した際の遅延を相殺するために第1の信号及び第2の信号をタイムシフトすることを含み、前記第1の信号レベルと前記第2の信号レベルとの間の差の変化の前記監視は、互いに対してタイムシフトされた前記第1の信号及び前記第2の信号に基づく、前記方法。
【請求項2】
前記試料混合物の前記先頭が前記受取部から前記第1のテストゾーン及び/または前記第2のテストゾーンに到達する前記初期時点より前の前記第1の信号及び前記第2の信号のベースライン信号レベルを特定することと、
前記第1の信号レベル及び前記第2の信号レベルから前記ベースライン信号レベルを減算して、前記初期時点より後の較正された第1の信号レベル及び第2の信号レベルを取得することと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の信号レベル及び前記第2の信号レベルを互いに対して正規化することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の信号レベル及び前記第2の信号レベルの互いに対する前記正規化は、前記試料が前記第1のテストゾーン及び前記第2のテストゾーンにそれぞれ到達したの、それぞれの最初のピーク信号レベルの正規化に基づく、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の信号レベル及び前記第2の信号レベルの互いに対する前記正規化は、前記試料が前記第1のテストゾーン及び前記第2のテストゾーンにそれぞれ到達した時の、それぞれのピーク信号レベルの後に生じる信号レベルに基づく、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記タイムシフトは、前記第1のテストゾーン及び前記第2のテストゾーンのうち前記受取部に最も近い一方の前記テストゾーンに到達してから、前記受取部から最も遠い他方の前記テストゾーンに前記試料が到達した際の増分遅延を考慮したラグ係数を使用して行われる、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
任意の時点での前記第1の信号レベルと前記第2の信号レベルとの前記差は、前記第1の信号レベル及び前記第2の信号レベルの一方を前記第1の信号レベル及び前記第2の信号レベルの他方から減算することによってデルタ値(Δ)を得る、又は、前記第1の信号レベル及び前記第2の信号レベルの比率を決定することにより比率値(R)を得ることにより計算され、
前記第1の信号レベルと前記第2の信号レベルとの間の差の変化の前記監視は、前記デルタ値(Δ)または前記比率値(R)の発展を監視することを含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記初期時点より後の一定期間にわたる前記第1の信号レベルと前記第2の信号レベルとの間の差の変化の前記監視は、
前記第1の時点での前記第1の信号レベルと前記第2の信号レベルとを比較して、前記第1の時点での信号レベル差(Δi)または比率値(Ri)を取得することと、
前記第2の時点での前記第1の信号レベルと前記第2の信号レベルとを比較して、前記第2の時点での信号レベル差(Δf)または比率値(Rf)を取得することと、
前記第1の時点での前記信号レベル差(Δi)と、前記第2の時点での前記信号レベル差(Δf)とを比較すること、または前記第1の時点での前記比率値(Ri)と、前記第2の時点での前記比率値(Rf)とを比較することと、
を少なくとも含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
記信号レベル差または前記比率値の前記比較により、テスト値が生成され、
記テスト値が1つ以上の閾値を上回るか否か、または下回るか否かを判定することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも2つの異なる時点での前記第1の信号レベルと前記第2の信号レベルとの間の差の前記判定により、前記異なる時点でのテスト値が生成され、前記方法は、前記テスト値が傾向に従っているか否かを判定することを含み、前記傾向は、連続する時点の前記テスト値の連続的増加または減少である、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記方法は、前記試料及び/または前記試料を提供する人間もしくは動物の身体における前記第1の分析物のレベルに関して、定量的判定を行う、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記インキュベーションはさらに、前記試料を緩衝液と混合することを含む、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記インキュベーションは、前記試料を容器の内部に納入することにより実行され、前記容器の前記内部は、前記ラテラルフローデバイスから分離されている、請求項1から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記容器の前記内部への前記試料の前記納入前に、少なくとも前記第1の可動性捕捉試薬が、前記容器の内面に配置される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の標識複合体は、蛍光標識である、請求項1から14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記蛍光標識はそれぞれ、1つ以上の量子ドットを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
身体から採取した試料において少なくとも目的の第1の分析物に関して判定を行うためのラテラルフローアッセイ用キットであって、
インキュベーション容器と、ラテラルフローデバイスと、リーダとを備え、
前記インキュベーション容器は、
前記試料の納入を受け入れるように構成された内部を含み、
前記内部で前記試料を第1の可動性捕捉試薬と共にインキュベーションして試料混合物を形成し、前記第1の可動性捕捉試薬は、前記試料中に前記目的の第1の分析物が存在する場合、前記目的の第1の分析物に特異的に結合し、
前記試料混合物中の第1の標識複合体の実質的に均一な分布を形成し、
前記ラテラルフローデバイスは、
前記インキュベーション容器の内部から分離され、
受取部と、少なくとも第1のテストゾーン及び第2のテストゾーンとを備え、前記受取部は、前記インキュベーション容器からの前記試料混合物が前記受取部から前記第1のテストゾーン及び前記第2のテストゾーンへ流れるように前記試料混合物を受け取るように構成され、
前記リーダは、
アッセイ期間にわたり前記第1のテストゾーン及び前記第2のテストゾーンそれぞれでの第1の信号レベル及び第2の信号レベルを監視することであって、前記試料混合物中に前記第1の標識複合体が存在することにより、前記アッセイ期間中に前記第1の信号レベル及び前記第2の信号レベルのうちの一方の前記信号レベルが増加する、前記第1の信号レベル及び第2の信号レベルを監視することと、
少なくとも第1の時点及び第2の時点を含む前記アッセイ期間中の一定期間にわたり前記第1の信号レベルと前記第2の信号レベルとの間の差の変化を監視することであって、前記第1の時点及び前記第2の時点はそれぞれ、前記試料混合物の先頭が前記受取部から前記第1のテストゾーン及び前記第2のテストゾーンに到達する初期時点の後であること
を実行するように構成され、
前記第1のテストゾーン及び前記第2のテストゾーンのうちの一方は、前記第1のテストゾーン及び前記第2のテストゾーンのうちのもう一方と比べて、前記受取部から遠く、前記第1の信号及び前記第2の信号は、前記第1のテストゾーン及び前記第2のテストゾーンのうち前記受取部に最も近い一方の前記テストゾーンに到達してから、前記受取部から最も遠い他方の前記テストゾーンに前記試料が到達した際の遅延を相殺するためにタイムシフトされ、前記第1の信号レベルと前記第2の信号レベルとの間の差の変化の前記監視は、互いに対してタイムシフトされた前記第1の信号及び前記第2の信号に基づく、
前記ラテラルフローアッセイ用キット
【請求項18】
前記インキュベーション容器が、前記試料の前記納入前に、前記インキュベーション容器の内面に配置された前記第1の可動性捕捉試薬を含む、請求項17に記載のラテラルフローアッセイ用キット。
【請求項19】
少なくとも前記第1の分析物に関する前記判定に基づいて、人間または動物の身体の医学的状態に関して判定を行う、請求項17又は18に記載のラテラルフローアッセイ用キット。
【請求項20】
前記初期時点後の期間にわたる前記第1の信号レベルと前記第2の信号レベルとの間の差の変化の前記監視は、テスト値を生成し、
医学的状態に関する前記判定は、前記テスト値が1つ以上の閾値を上回るか否か、または下回るか否かに基づく、請求項19に記載のラテラルフローアッセイ用キット。
【請求項21】
少なくとも2つの異なる時点での前記第1の信号レベルと前記第2の信号レベルとの間の差の変化の前記監視により、前記異なる時点でのテスト値が生成され、医学的状態に関する前記判定は、前記テスト値が傾向に従っているか否かに基づく、請求項19に記載のラテラルフローアッセイ用キット。
【請求項22】
前記傾向は、連続する時点の前記テスト値の連続的な増加または減少である、請求項21に記載のラテラルフローアッセイ用キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年7月4日に出願された豪州仮特許出願第2017902606号に対する優先権を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0002】
本開示は、人間または動物の体内の1つ以上の標的分析物及び/または医学的状態に関して判定を行う方法及び装置に関する。例えば、本開示は、ラテラルフローアッセイを使用して、人間または動物の身体から採取した試料に基づいて、1つ以上の標的分析物及び/または医学的状態に関して判定を行う方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
ラテラルフローアッセイ(LFA)は、体外診断市場に25年以上存在し、ポイントオブケアまたは現場ベースの環境で使用することができる安価で使いやすく迅速で定性的なテストとして広く認められている。
【0004】
LFAは、ニトロセルロースなどの多孔質膜材に沿った液体試料の移動を利用する。試料が個別のゾーンまたはラインを流れて捕捉試薬で固定化されることで、1つ以上の標的分析物の捕捉及び検出が行われる。様々な捕捉試薬を使用することができるが、多くの場合、抗体を選ぶことが好ましい。抗体が使用されるLFAは、通常、ラテラルフローイムノアッセイ(LFIA)と称される。
【0005】
LFAは、サンドイッチアッセイ形式を用いた大きく複雑な分析物の検出、または競合形式を用いた小分子またはハプテンの検出に、使用することができる。サンドイッチアッセイでは、通常、ストリップは、一連の吸収パッド材料で組み立てられ、これにより試料及びアッセイ試薬の流れは、一連の個別ゾーンにわたり移動し、その間に、標的分析物はタグ付けされ(すなわち標識され)、続いて捕捉及び検出される。検体が最初にストリップの吸収試料パッドに付着されるが、これは、試料のフィルタ及びリザーバとして機能する。試料パッドからストリップのコンジュゲートリリースパッドを通して流体が引き出され、試料中の1つ以上の標的分析物は、比色、蛍光、磁気、または放射性のレポータ分子と相互作用することにより、標識される。標識化を行うために、レポータ分子が分析物特異的リガンド(通常は抗体)に結合し、これはそれぞれの標的分析物と迅速に複合体を形成し、標識複合体を形成する。標識複合体を含む試料が、コンジュゲートリリースパッドから、ストリップのテストゾーンに引き出され、ストリップ上の1つ以上のテストラインには、1つ以上の相補的リガンドが、標識複合体と結合するように固定化されている。残りの試料は、テストゾーンから、吸収性の高いシンクパッドに移る。1つ以上のテストゾーンに任意の標識複合体が存在することにより、試料中の1つ以上の標的分析物の存在に関する測定可能な指標が提供される。テストは肉眼で判読することができ、従って、例えば、1つ以上の「目に見える」テストラインの存在により、1つ以上の標的分析物の存在に関する定性的指標が提供される。
【0006】
試料がアッセイ材料(例えばニトロセルロース膜)を飽和させ、次いでウィッキング力により高吸収性シンクパッドに吸い込まれるまで、LFAを介した流体試料の動作は、通常、乾湿界面(すなわち液体前部の前縁)にて毛細管力により試料の移動が引き起こされるため、エネルギーの投入を必要としない。
【0007】
LFAが手頃な価格の搭載電子装置及び内蔵品質管理機能との統合に挑戦するには、従来のLFAは、限られた分析及び臨床感度、定性的測定または二値測定の提供能力を大きく制限するテスト間再現性の低さ、及び視覚的判読への依存に至る、多数の性能限界の問題を抱えている。
【0008】
本明細書に含まれる文書、行為、材料、デバイス、または製品などに関するいずれの議論も、これらの事項のいずれかまたは全てが、先行技術の基礎の一部を形成する、または本出願の各請求項の優先日より前に存在していた本開示に関連する分野の共通の一般的知識であると認められたとみなされるべきではない。
【発明の概要】
【0009】
本開示の一態様によれば、身体から採取した試料において少なくとも目的の第1の分析物に関して判定を行うため、ラテラルフローテストの実行方法が提供され、方法は、試料がラテラルフローデバイスの受取部から、ラテラルフローデバイスの少なくとも第1のテストゾーン及び第2のテストゾーンへ流れるように、試料を受取部に付着させることと、アッセイ期間にわたり第1及び第2のテストゾーンでの第1及び第2の信号のレベルを監視することであって、試料中に目的の第1の分析物が存在する場合、第1の分析物は標識され、試料中に標識された第1の分析物が存在することにより、アッセイ期間中に第1及び第2の信号のうちの一方の信号のレベルが増加する、アッセイ期間にわたり第1及び第2のテストゾーンでの第1及び第2の信号のレベルを監視することと、アッセイ期間中の一定期間にわたり第1の信号レベルと第2の信号レベルとの間の変化を監視することと、を含む。
【0010】
本開示の別の態様によれば、身体から採取した試料において少なくとも目的の第1の分析物に関して判定を行うためのラテラルフローアッセイが提供され、ラテラルフローアッセイは、ラテラルフローデバイスと、リーダとを備え、ラテラルフローデバイスは、受取部と、少なくとも第1及び第2のテストゾーンとを備え、受取部は、試料が受取部から第1及び第2のテストゾーンへ流れるように試料を受け取るように構成され、リーダは、アッセイ期間にわたり第1及び第2のテストゾーンでの第1及び第2の信号のレベルを監視することであって、試料中に目的の第1の分析物が存在する場合、第1の分析物は標識され、試料中に標識された第1の分析物が存在することにより、アッセイ期間中に第1及び第2の信号のうちの一方の信号のレベルが増加する、アッセイ期間にわたり第1及び第2のテストゾーンでの第1及び第2の信号のレベルを監視することと、アッセイ期間中の一定期間にわたり第1の信号レベルと第2の信号レベルとの間の変化を監視することと、を実行するように構成される。
【0011】
いくつかの実施形態では、第1の信号レベルと第2の信号レベルとの間の変化の監視中に、第1の信号レベルと第2の信号レベルのより正確な比較を可能にするために、第1の信号レベル及び第2の信号レベルは調整され得る。第1の信号レベル及び第2の信号レベルの調整は、例えば、第1の信号レベル及び第2の信号レベルの較正及び/または正規化を含み得る。
【0012】
例えば、方法及びテストデバイスのリーダは、
試料の前部が受取部から第1及び/または第2のテストゾーンに到達する初期時点より前の第1及び第2の信号のベースラインレベルを特定し、
第1及び第2の信号レベルからベースラインレベルを減算して、較正された第1及び第2の信号レベルを取得し得る。
【0013】
別の例として、方法及び/テストデバイスのリーダは、第1及び第2の信号レベル、例えば較正された第1及び第2の信号レベルを、正規化し得る。
【0014】
従って、アッセイ期間中に第1の信号レベルと第2の信号レベルとの間の変化を監視することは、較正された及び/または正規化された第1の信号レベルと第2の信号レベルとの間の変化を監視することを含み得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、目的の分析物(複数可)の標識化は、ラテラルフロープロセスとは別個に行われ得る。標識化は、例えば他のインキュベーションプロセスの一環として、ラテラルフロープロセスの上流で行われ得る。試料は、溶質形態で調製され得る。いかなる標識複合体も、試料全体に比較的均一に分散され得る。従って、比較的均質な標識された試料は、第1及び第2のテストゾーンに受け取られ得る。これにより、アッセイ期間中に、例えば、テストゾーンのうちの一方では、信号レベルは実質的に線形に増加し、テストゾーンのうちのもう一方では、信号レベルは実質的に一定であり得る。
【0016】
第1の信号レベルと第2の信号レベルとの間の変化を監視することは、一定期間にわたり第1の信号レベルと第2の信号レベルとの差の変化を監視することを含み得る。信号レベル間の差は、第1及び第2の信号レベルのうちの一方を、第1及び第2の信号レベルのうちのもう一方から減算することにより、または第1の信号レベルと第2の信号レベルとの比率を特定することにより、計算され得る。信号レベル間の差は、1つの時点のみ、例えばテストの単一の終了時点(例えばアッセイ期間の終わり)に関して、または異なる時点、例えばアッセイ期間中の2つ以上の時点に関して、計算され得る。任意の時点での第1の信号レベルと第2の信号レベルとの差により、デルタ値(Δ)または比率値(R)が提供され得る。第1の信号レベルと第2の信号レベルとの間の変化を監視することは、アッセイ期間中の一定期間にわたり、デルタ値(Δ)または比率値(R)の変化(例えば発展)を監視することを含み得る。いくつかの実施形態では、デルタ値または比率値の変化は、定量化され得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、例えば、アッセイ期間中の一定期間にわたり第1の信号レベルと第2の信号レベルとの間の変化を監視することは、
第1の時点での第1の信号レベルと第2の信号レベルとを比較して、第1の時点での信号レベル差(Δi)または比率値(Ri)を取得することと、
第2の時点での第1の信号レベルと第2の信号レベルとを比較して、第2の時点での信号レベル差(Δf)または比率値(Rf)を取得することと、
第1の時点での信号レベル差(Δi)と、第2の時点での信号レベル差(Δf)とを比較すること、または第1の時点での比率値(Ri)と、第2の時点での比率値(Rf)とを比較することと、を少なくとも含む。
【0018】
信号レベル差を比較することは、信号レベル差のうちの一方、または比率値のうちの一方を、もう一方から減算すること、あるいは信号レベル差または比率値の比率を取得することを含み得る。
【0019】
信号レベル差の比較により、デルタ値の変化の定量が提供され得る。定量は、本明細書で「S」値とも称される1つ以上のテスト値として提供され得る。一般に、テスト値またはS値は、特定の期間にわたる第1の信号レベルと第2の信号レベルとの相違の度合いを示す。上記の例では、S値は、S=Δi-Δf、またはS=Δi/Δf、またはS=Ri-Rf、またはS=Ri/Rf、のように計算され得る。あるいは、例えばより早い時点で第1及び第2の信号レベルが正規化される場合、S値は、テストの単一中間時点(t)または単一終了時点(tend)などの、単一後続時点のみの信号レベル差(Δ)または比率値(R)に基づき得る。例えば、S値は、S(t)=Δ、またはS(tend)=Δend、またはS(t)=R、またはS(tend)=Rend、のように計算され得る。
【0020】
しかしながら、例えばテスト値その他を取得するために、第1の信号レベルと第2の信号レベルとの間の変化を定量化する代替的な手法が実行され得る。例えば、第1及び第2の信号レベル線の進行を示す線の勾配が計算され得る。第1の信号レベル線と第2の信号レベル線との相対的勾配の変化が計算され得る。
【0021】
第1の信号レベルと第2の信号レベルとの間の変化の監視は、医学的状態に関して判定を行う方法及び/またはアッセイにおいて使用され得る。医学的状態に関する判定は、例えば、変化が閾値変化を上回るか否か、または下回るか否かに基づき得る。一定期間にわたる第1の信号レベルと第2の信号レベルとの相違を示し得るテスト値が計算される場合、医学的状態に関する判定は、テスト値が閾値を上回るか否か、または下回るか否かに基づき得る。一実施形態では、テスト終了時点(tend)でのテスト値が閾値を上回る場合、「陽性」テスト(すなわち医学的状態が存在する)と特定される。例えば、S値が取得される場合、S(tend)>Smaxであれば、陽性テストと特定され得る。付加的または代替的に、一実施形態では、テスト終了時点(tend)にテスト値が閾値を上回らない場合でも、テスト終了時点(tend)までの第1の信号レベルと第2の信号レベルとの相違が、例えば回帰分析により、将来のある時点にテスト値が閾値を上回ると予測できるような相違である場合、陽性テストと特定される。例えば、テスト終了時点(tend)までの連続した期間(t、t、t...)に、テスト値が連続的に増加する場合、例えばS(t)<S(t)<S(t)...である場合、陽性テストと特定され得る。従って、方法及び/またはアッセイは、最終結果の予測を提供することができ、試料中の標的分析物のレベルが比較的低くても、医学的状態を特定することを可能にする。
【0022】
付加的または代替的に、第1の信号レベルと第2の信号レベルとの間の変化の監視を使用して、試料及び/または試料を提供する人間もしくは動物の身体における第1の分析物のレベル(例えば濃度)に関して、定量的判定が行われ得る。定量的判定を行うために、変化は、ルックアップテーブル、1つ以上の所定の信号曲線その他と比較され得る。テスト値が計算される場合、試料中の第1の分析物のレベルに関する定量的判定は、テスト値が第1の分析物のレベルと相関するルックアップテーブルに基づき得る。
【0023】
一実施形態では、第1の信号レベルと第2の信号レベルとの間の変化を監視することは、2つ以上の時点、例えば3つ以上の時点で、第1の信号レベルと第2の信号レベルとを比較することを含み得る。一例として、少なくとも3つの時点が使用される場合、変化を監視することは、付加的に、
第3の時点での第1の信号レベルと第2の信号レベルとを比較して、第3の時点での信号レベル差(Δg)または比率値(Rg)を取得することと、
第3の時点での信号レベル差(Δg)と、第1及び/または第2の時点での信号レベル差(Δi、Δf)とを比較すること、または第3の時点での比率値(Rg)と、第1及び/または第2の時点での比率値(Ri、Rf)とを比較することと、を含み得る。
【0024】
少なくとも3つの時点を使用した比較により、デルタ値の変化のさらなる定量が提供され得る。定量により、さらなるテスト値が提供され得る。複数のテスト値が取得される場合、それらを平均して最終テスト値が取得され得る。
【0025】
標識された第1の分析物が試料中に存在する場合、第1及び第2の信号レベルのうちの一方が、第1及び第2の信号レベルのうちのもう一方と比較して、一貫して増加していることを確実に観察するのに十分長い期間にわたり、第1の信号レベルと第2の信号レベルとの間の変化の監視が実行され得る。
【0026】
方法及び/またはアッセイは、例えば、試料の前部が受取部から第1及び/または第2のテストゾーンに到達する初期時点の後、所定期間待機してから、第1の信号レベルと第2の信号レベルとの間の変化を監視するように構成され得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、信号レベル差は、少なくとも第1の時点で比較され、第1の時点は、初期時点から、少なくとも10秒後、少なくとも20秒後、少なくとも30秒後、少なくとも1分後、少なくとも2分後、少なくとも3分後、少なくとも4分後、少なくとも5分後、少なくとも6分後、少なくとも8分後、または少なくとも10分後であり得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、信号レベル差は、第1の時点より後の少なくとも第2の時点でも比較され、第2の時点は、初期時点から、少なくとも1分後、少なくとも2分後、少なくとも3分後、少なくとも4分後、少なくとも5分後、少なくとも6分後、少なくとも8分後、または少なくとも10分後であり得る。
【0029】
第2の時点は、第1の時点から、少なくとも1分後、少なくとも2分後、少なくとも3分後、少なくとも4分後、少なくとも5分後、または少なくとも6分後であり得る。
【0030】
一般に、本明細書において1つ以上の時点での信号レベルの比較への言及は、これらの時点に信号が存在したものとして(後述されるように、例えばタイムラグを考慮して信号のタイムシフトが任意で行われた)信号の比較を示す意図があることを理解されたい。比較は、実質的にリアルタイムに、または後の時点に、例えばテスト期間全体にわたり信号データ集合が取得された後に、実行され得る。
【0031】
示されるように、第1の信号レベルと第2の信号レベルとの間の変化の監視は、較正された及び/または正規化された第1及び第2の信号レベルに基づき得る。正規化及び較正を行うことが好ましくあり得るが、例えば、手法が、第1の分析物または関連する医学的状態に関する定量的ではなく定性的判定に、及び/または第1の分析物または関連する医学的状態に関するより大雑把な判定に、使用される場合、代替的な態様では、較正及び正規化のステップのうちの1つまたは両方が省略されてもよい。
【0032】
前述のように較正が使用される場合、試料の前部が第1及び/または第2のテストゾーンに到達する初期時点より前の第1及び第2の信号のベースラインレベルが計算される。初期時点より後の第1及び第2の信号レベルから、ベースラインレベルが減算される。ベースラインレベルは、第1及び第2のテストゾーンでの第1及び第2の信号の「乾性読取値」を示し得る。ベースラインレベルは、第1及び第2のテストゾーンでの任意の標識された分析物を含む試料の存在に起因しない、第1及び第2のテストゾーンでの信号レベルを示し得る。第1及び第2の信号レベルからベースラインレベルを減算することにより、バックグラウンドノイズが除去され得る。第1のベースラインレベル及び第2のベースラインレベルが計算され、第1の信号レベル及び第2の信号レベルからそれぞれ減算されることが、好ましい。それでもなお、単一のベースラインレベルのみが計算され、第1及び第2の信号レベルから減算され得ることが考えられる。
【0033】
正規化が使用される場合、例えば、試料が第1及び第2のテストゾーンに到達して最初の信号レベルピークを生じた時のそれらの信号レベルに基づいて、第1及び第2の信号レベルは、正規化され得る。あるいは、第1及び第2の信号レベルは、例えば、ピーク後の早い時点など、信号レベルピーク後のそれらの信号レベルに基づいて正規化され得る。信号データの分解能及びピーク信号プロファイルの可能な丸めに起因して、十分に正確なピーク信号レベルを見分けることが困難である場合、最初のピーク信号後の信号レベルに基づいた正規化手法が好ましくあり得る。第1及び第2の信号のそれぞれの最初のピークは、実質的に、試料の前部が受取部から第1及び/または第2のテストゾーンに到達する初期時点、または初期時点の直後であり得る。第1の信号レベルの最初のピークのレベルと第2の信号レベルの最初のピークのレベルが一致するように、または第1の信号レベルのその後の値と第2の信号レベルのその後の値が一致するように、正規化は行われ得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、第1及び第2のテストゾーンのうちの一方は、第1及び第2のテストゾーンのうちのもう一方よりも、受取部から遠くに存在し得る。従って、試料は、第1及び第2のテストゾーンのうちの一方に到達するのに、第1及び第2のテストゾーンのもう一方と比べて、より時間がかかり得る。よって、いくつかの実施形態では、初期時点より後の第1の信号レベルと第2の信号レベルとの間の変化を特定する前に、第1及び第2の信号は、例えばリーダにより、相対的にタイムシフトされ得る。受取部から最も遠いテストゾーンに試料が到達した際の遅延を相殺するために、第1及び第2の信号は、タイムシフトされ得る。従って、初期時点より後の第1の信号レベルと第2の信号レベルとの間の変化の監視は、相対的にタイムシフトされた第1及び第2の信号に基づき得る。
【0035】
タイムシフトは、受取部に最も近いテストゾーンと比較して、受取部から最も遠いテストゾーンに試料が到達した際の増分遅延を、相殺し得る。タイムシフトは、増分遅延を考慮したラグ係数に基づき得る。従って、ラグ係数により、アッセイ期間中の第1及び第2の信号の動的なタイムシフトが提供され得る。しかしながら、あるいは第1及び第2の信号の固定タイムシフトが採用されてもよい。
【0036】
上記の態様のうちのいずれか1つ以上において、方法またはアッセイはまた、身体から採取した試料において目的の第2の分析物に関して判定を行い得る。試料中に目的の第2の分析物が存在する場合、試料中で第2の分析物は標識され得る。アッセイ期間にわたる第1及び第2のテストゾーンでの第1及び第2の信号のレベルの監視により、標識された第1の分析物が試料中に存在する場合は、第1及び第2の信号のうちの一方のレベルがアッセイ期間中に増加し得ることが認識され得、標識された第2の分析物が試料中に存在する場合は、第1及び第2の信号のうちのもう一方のレベルがアッセイ期間中に増加し得ることが認識され得る。試料中の目的の第2の分析物の存在は、試料中の目的の第1の分析物の存在と、相互排他的であり得る。例えば、目的の第1の分析物は、インフルエンザA型分析物であり得、目的の第2の分析物は、インフルエンザB型分析物であり得、またはその逆もあり得る。
【0037】
本開示の方法及び/またはアッセイは、例えば、サンドイッチアッセイの形成に依存し得る様々な従来のラテラルフロー技術を採用し得る。試料は、第1及び第2のテストゾーンに受け取られる前に、第1の可動性捕捉試薬と混ぜ合わせられ得、第1の可動性捕捉試薬は、試料中に目的の第1の分析物が存在する場合、目的の第1の分析物に特異的に結合して、複数の第1の標識複合体を形成することができる。第1及び第2のテストゾーンのうちの一方は、第1の標識複合体に特異的に結合して、第1の標識複合体を固定化することができる第1の固定化捕捉試薬を含み得る。これに対して、第1及び第2のテストゾーンのもう一方は、複数の第1の標識複合体を固定化しないように、または固定化能力が低いように、構成され得る。従って、試料中に目的の分析物が存在する場合、標識複合体は、第1及び第2のテストゾーンのうちの一方に蓄積し得、もう一方には蓄積し得ない。
【0038】
前述のように、いくつかの実施形態では、目的の分析物(複数可)の標識化は、ラテラルフロープロセスとは別個に行われ得る。標識化は、例えば他のインキュベーションプロセスの一環として、ラテラルフロープロセスの上流で行われ得る。いかなる標識複合体も試料全体に比較的均一に分散するように、試料は溶質形態で調製され得る。
【0039】
より詳細には、試料は、検出可能な標識を含む少なくとも第1の可動性捕捉試薬と共にインキュベートされ得、第1の可動性捕捉試薬は、試料中に目的の第1の分析物が存在する場合、目的の第1の分析物に特異的に結合して、複数の第1の標識複合体を形成することができる。インキュベーション後、任意の標識複合体を含む試料が、ラテラルフローデバイスの受取部から、ラテラルフローデバイスの少なくとも第1及び第2のテストゾーンへ流れるように、試料がラテラルフローデバイスの受取部に付着され得る。
【0040】
本開示の一態様では、ラテラルフローアッセイと、試料をインキュベートするためのインキュベーション容器とを備える装置が提供される。
【0041】
上記の態様のうちのいずれか1つ以上において、試料の前部が受取部から第1及び/または第2のテストゾーンに到達する初期時点の後、試料中に第1の標識複合体が存在する場合、第1及び第2の信号のうちの一方の信号のレベルは、実質的に線形に増加し得る。これは、特にインキュベーションが実行された場合、試料中の第1の標識複合体の均質性に起因し得る。第1の標識複合体は、各自のテストゾーンにて次第に固定化され得る。
【0042】
これに対し、初期時点の後、第1及び第2の信号のうちのもう一方の信号のレベルは、アッセイ期間中、非ゼロレベルでありながら実質的に同じレベルに留まり得る。これは、インキュベーション後の試料中の第1の標識複合体の均質性に起因し得、この複合体は、固定化されることなく、しかし連続信号を提供しながら、それぞれのテストゾーンを移動する。
【0043】
テストゾーンのうちの一方では信号レベルは実質的に線形に増加するが、テストゾーンのうちのもう一方では信号レベルが実質的に同じ非ゼロレベルに留まることにより、より高い感度有する、及び/またはより早い検出能力を有するアッセイが、達成され得る。信号レベルの線形増加により、例えば、アッセイ期間より長い期間のデータを推定することが可能となり得、これにより、例えば、テスト結果の予測が可能となる。さらに、実質的に同じ状態に留まるレベルは、ベース信号レベルを提供し得、ベース信号レベルに対し、他の信号レベルを正確かつ確実に比較することができる。
【0044】
示されるように、試料をインキュベートすることにより、実質的に均質な標識複合体の混合物が形成され得る。インキュベーションは、少なくとも30秒、少なくとも1分、少なくとも2分、少なくとも5分、少なくとも7分、少なくとも10分、少なくとも15分、少なくとも20分、少なくとも25分、または少なくとも30分の期間、実行され得る。
【0045】
インキュベーションは、試料を緩衝液と混合することを含み得る。インキュベーションは、試料を容器の内部に納入することにより実行され得、容器の内部は、ラテラルフローデバイスから分離されている。試料を容器の内部に納入する前に、少なくとも第1の可動性捕捉試薬が、容器の内面上に配置され得る。付加的または代替的に、少なくとも第1の可動性捕捉試薬は、パッドなどの別個のアイテム上にコーティングされ得、あるいは別個のアイテム内に配置され得、容器内に試料を納入する前、後、またはそれと同時に、容器内に配置され得る。
【0046】
標識は、蛍光標識であり得る。蛍光標識は、1つ以上の量子ドットを含み得る。それでもなお、金ナノ粒子、または様々な他の標識、例えば、色付きラテックスビーズ、磁性粒子、炭素ナノ粒子、セレンナノ粒子、銀ナノ粒子、アップコンバート性燐光体、有機蛍光体、繊維染料、酵素、リポソーム、及びその他が、使用されてもよい。
【0047】
第1及び第2の信号は、1つ以上の検出器を使用して、第1及び第2のテストゾーンで1つ以上の物理的パラメータを監視することにより、生成され得る。標識が蛍光標識、色素その他である場合、第1及び第2の信号は、第1及び第2のテストゾーンで変化する光の強度を検出することにより、生成され得る。第1及び第2の信号のレベルは、例えば、第1及び第2のテストゾーンで検出された光のレベルに比例または反比例し得る。別の例として、標識が磁性粒子である場合、第1及び第2の信号は、第1及び第2のテストゾーンで変化する磁場強度を検出することにより、生成され得る。第1及び第2の信号のレベルは、例えば、第1及び第2のテストゾーンで検出された磁場強度に比例または反比例し得る。
【0048】
本明細書を通して、「備える/含む(comprise)」という単語、または「備える/含む(comprises)」もしくは「備える/含む(comprising)」などの変形は、述べられる要素、整数、もしくはステップ、または要素、整数、もしくはステップのグループの包含を意味するが、任意の他の要素、整数、もしくはステップ、または要素、整数、もしくはステップのグループの除外を意味するわけではないことを理解されたい。
【0049】
ここで本開示の実施形態が、添付図面を参照して例として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】本開示の一実施形態によるラテラルフローアッセイの斜視図を示す。
図2】本開示の一実施形態による、試料中の少なくとも目的の第1の分析物に関する判定を行う方法の特徴を例示するフローチャートである。
図3a図3aは、本開示の一実施形態による、試料を受けるインキュベーション容器の斜視図を示す。
図3b図3bは、試料が一定期間インキュベートされている図3aのインキュベーション容器の斜視図を示す。
図3c図3cは、インキュベーション後の試料を、図1のラテラルフローアッセイに付着させることを示す。
図4】ピーククリアランステスト手法を用いて、ラテラルフローアッセイの第1及び第2のテストゾーンで検出された第1及び第2の信号の正規化された信号強度のグラフである。
図5a図5aは、試料をデバイスに付着させる前に試料をインキュベートした後、ラテラルフローデバイスの第1及び第2のテストゾーンで検出された第1及び第2の信号の信号強度のグラフである(信号強度の単位は、光検出器による光強度から周波数への変換に基づいたHzである)。
図5b図5bは、本開示の一実施形態による、図5aのグラフに対応するが、第1及び第2の信号が正規化されタイムシフトされたグラフである。
図6】本開示の一実施形態による、試料中の少なくとも目的の第1の分析物に関する判定を行う方法の特徴を例示するフローチャートである。
図7】本開示の一実施形態による、試料中の少なくとも目的の第1の分析物に関する判定を行う方法の特徴を示す別のフローチャートである。
図8】本開示の一実施形態による、試料中の少なくとも目的の第1の分析物及び目的の第2の分析物に関する判定を行う方法の特徴を例示するフローチャートである。
図9】本開示の一実施形態による方法を使用して計算され取得されたS値とインフルエンザB型分析物濃度との相関関係を例示するグラフである。
図10】本開示の一実施形態による方法を使用して取得された、S値と分析物精製CRP抗原濃度との相関関係を例示するグラフである。
図11a図11aは、標的分析物がインフルエンザA型抗原である場合の累積法と従来のピーククリアランス法の性能比較を例示するグラフである。
図11b図11bは、標的分析物がインフルエンザB型抗原である場合の累積法と従来のピーククリアランス法の性能比較を例示するグラフである。
図12a図12aは、較正化/正規化の前に、ラテラルフローデバイスの第1及び第2のテストゾーンで検出された第1及び第2の信号の信号強度のグラフである。
図12b図12bは、較正化/正規化の後に、ラテラルフローデバイスの第1及び第2のテストゾーンで検出された第1及び第2の信号の信号強度のグラフである。
図13】信号ピーク後の早い時点で正規化された、ラテラルフローデバイスの第1及び第2のテストゾーンで検出された第1及び第2の信号の信号強度のグラフである。
図14】正規化され、弱陽性テストを例示する、ラテラルフローデバイスの第1及び第2のテストゾーンでの第1及び第2の信号の信号強度のグラフである。
図15】予測することを含む、陽性テスト結果を判定するためのリーダによる意思決定を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0051】
これから、身体から採取した試料において少なくとも目的の第1の分析物に関して判定を行うため、ラテラルフローテストを実行する装置及び方法の実施形態が説明される。装置及び方法により、少なくとも目的の第1の分析物に関して定量的または半定量的判定が行われ得る。いくつかの実施形態では、少なくとも目的の第1の分析物に関する判定により、試料が採取された人間または動物の身体の医学的状態に関する判定が提供され得る、または導き出され得る。
【0052】
図1は、本開示の一実施形態によるアッセイ100の構成要素の例示を提供し、図2は、アッセイを使用することができる本開示の一実施形態による方法で実行される特徴のフローチャート200を提供する。
【0053】
図1に示されるように、本実施形態のアッセイ100のラテラルフローデバイス110は、防水バッキング層1101上に配置された一連の吸収性パッド材料を有し、パッド材料は毛細管現象により、試料の流れがデバイス110を通るように(描かれるように通常左から右の方向に)移動させる。吸収性パッド材料は、毛細管現象により液体試料がその中を流れることを可能にし、ラテラルフローデバイスでの使用に好適であると知られている任意の材料で形成され得る。このような材料は、市販の診断テストに幅広く使用されており、当業者には既知のものであろう。
【0054】
図2も参照すると、201にて、試料がラテラルフローデバイス110の受取部111から、ラテラルフローデバイス110の少なくとも第1のテストゾーン112a及び第2のテストゾーン112bへ流れるように、ラテラルフローデバイス110の受取部111に試料が付着される。ラテラルフローデバイス110は、デバイス110内の吸収性パッド材料を通してまたはそれに沿って試料を引き寄せるように作用し得る流体シンク114を含む。
【0055】
202にて、アッセイ期間にわたり第1及び第2のテストゾーン112a、112bでの第1及び第2の信号のレベルが監視される。試料中に目的の第1の分析物が存在する場合、第1の分析物は、第1及び第2のテストゾーンに到達する前に、試料中で標識される。標識された第1の分析物が試料中に存在する場合、第1及び第2の信号のうちの少なくとも1つの信号のレベルは、アッセイ期間中に増加する。
【0056】
再び図1を参照すると、この実施形態では、第1及び第2のテストゾーン112a、112bでの第1及び第2の信号を監視し、一定期間にわたり第1及び第2の信号のレベルを特定するリーダ120が提供される。リーダ120が、ラテラルフローデバイス110と組み合わされることで、ラテラルフローアッセイ100が提供される。リーダ120は、プロセッサ123と共に、プリント回路基板(PCB)124上に取り付けられた第1及び第2の光検出器121a、121bを含む電気部品を備える。第1及び第2の光検出器121a、121bはそれぞれ、第1及び第2のテストゾーン112a、112bで光の強度を検出する。例えば、第1及び第2のテストゾーン112a、112bに存在する検出可能な標識の数及び種類に応じて、第1及び第2のテストゾーン112a、112bにて異なる程度に光が反射、吸収、及び/または放射され得る。例えば、第1及び第2の信号のレベルは、第1及び第2のテストゾーン112a、112bで検出された光のレベルに比例または反比例する値として計算され得る。
【0057】
203にて、例えばリーダ120、またはより具体的にはリーダのプロセッサ123により、信号/信号レベルの処理が実行される。例えば、処理において、試料の前部が受取部111から第1及び/または第2のテストゾーン112a、112bに到達する初期時点より前の第1及び第2の信号のベースラインレベルの特定が行われる。初期時点の後の較正された第1及び第2の信号レベルを取得するために、第1及び第2の信号レベルからベースラインレベルが減算され得る。ベースラインレベルは、第1及び第2のテストゾーン112a、112bでの第1及び第2の信号の「乾性読取値」を示し得る。ベースラインレベルは、第1及び第2のテストゾーン112a、112bでの任意の標識された分析物を含む試料の存在に起因しない、第1及び第2のテストゾーン112a、112bでの信号レベルを示し得る。第1及び第2の信号レベルからベースラインレベルを減算することにより、バックグラウンドノイズが除去され得る。第1のベースラインレベル及び第2のベースラインレベルが計算され、第1の信号レベル及び第2の信号レベルからそれぞれ減算されることが、好ましい。それでもなお、単一のベースラインレベルのみが計算され、第1及び第2の信号レベルから減算され得ることが考えられる。
【0058】
処理において、第1及び第2の信号レベルはまた、正規化され得る。第1及び第2の信号レベルは、例えば、試料が第1及び第2のテストゾーンに到達して最初の信号レベルピークを生じた時のそれらの信号レベルに基づいて、または試料が第1及び第2のテストゾーンに到達した時の最初の信号レベルピークの後のそれらの信号レベルに基づいて、正規化され得る。第1及び第2の信号のそれぞれの最初のピークは、実質的に、初期時点、または初期時点の直後であり得る。第1の信号の最初のピークレベルと第2の信号の最初のピークレベルが一致するように、正規化は行われ得る。このような正規化の一例が、図5a及び図5bのグラフを参照して下記でさらに論述される。あるいは、最初のピークより後の時点の、例えば最初のピークの30秒後~5分後の間などの比較的早い時点の、第1の信号のレベルと第2の信号のレベルが一致するように、正規化は行われ得る。この一例は図13に示されており、領域Aと識別される期間に、第1及び第2の信号は正規化されている。
【0059】
204にて、例えばリーダ120のプロセッサ123により、初期時点より後のアッセイ期間中の一定期間にわたり、処理された第1の信号レベルと第2の信号レベルとの間の変化が監視される。第1の信号レベルと第2の信号レベルとの間の変化を監視することは、一定期間にわたり第1の信号レベルと第2の信号レベルとの差の変化を監視することを含み得る。信号レベル間の差は、第1及び第2の信号レベルのうちの一方を、第1及び第2の信号レベルのうちのもう一方から減算することにより、または第1の信号レベルと第2の信号レベルとの比率を特定することにより、計算され得る。信号レベル間の差は、1つの時点のみ、例えばテストの単一の終了時点(例えばアッセイ期間の終わり)に関して、または異なる時点、例えばアッセイ期間中の2つ以上の時点に関して、計算され得る。任意の時点での第1の信号レベルと第2の信号レベルとの差により、デルタ(Δ)値または比率値(R)が提供され得る。第1の信号レベルと第2の信号レベルとの間の変化を監視することは、アッセイ期間中の一定期間にわたり、デルタ値(Δ)または比率値(R)の変化(例えば発展)を監視することを含み得る。いくつかの実施形態では、デルタ値または比率値の変化は、定量化され得る。しかしながら、テスト値その他を取得するために、第1の信号レベルと第2の信号レベルとの間の変化を定量化する代替的な手法が実行され得る。例えば、第1及び第2の信号レベル線の進行を示す線の勾配が計算され得る。第1の信号レベル線と第2の信号レベル線との相対的勾配の変化が計算され得る。一定期間にわたり、処理された第1の信号レベルと第2の信号レベルとの間の変化が監視される方法の一例が、再び図5a及び図5bのグラフを参照して下記でさらに論述される。
【0060】
この実施形態では、試料は、ラテラルフローデバイス110の受取部111に付着される前にインキュベートされ、試料中に存在する任意の目的の第1の分析物が標識される。標識化は、検出可能な標識を含む少なくとも第1の可動性捕捉試薬で試料をインキュベートすることにより、実行され得る。インキュベーション中、第1の可動性捕捉試薬は、試料中に目的の第1の分析物が存在する場合、目的の第1の分析物に特異的に結合して、複数の第1の標識複合体を形成し得る。
【0061】
図3aに例示されるように、一実施形態によるインキュベーションプロセスでは、試料101が容器102の内部に納入される。試料101の流動性を高めるために、緩衝液103も容器102内に納入され得る。緩衝液103の納入は、緩衝液103が試料101と混合するように、容器102内に試料101を納入する前、後、またはそれと同時に行われ得る。この実施形態では、試料を受ける前に、少なくとも第1の可動性捕捉試薬104が、容器102の内部の内面上にコーティングされる。代替的な実施形態では、第1の可動性捕捉試薬104は、パッドなどの別個のアイテム上にコーティングされ得、あるいは別個のアイテム内に配置され得、容器内に試料を納入する前、後、またはそれと同時に、容器内に配置され得る。
【0062】
試料101、存在する場合には緩衝液103、及び第1の可動性捕捉試薬104は、容器102内に納入されると、図3bに概して表されるように、試料混合物105を形成し得る。試料混合物105では、試料中に目的の第1の分析物が存在する場合、目的の第1の分析物に対する第1の可動性捕捉試薬の結合が起こる。
【0063】
図3bにおいてタイマ106で表されるように、インキュベーションは、混合物中に第1の標識複合体の均質な混合を形成するのに十分な期間など、特定の期間行われ得る。例えば、インキュベーションは、少なくとも30秒、少なくとも1分、少なくとも2分、少なくとも5分、少なくとも7分、少なくとも10分、少なくとも15分、少なくとも20分、少なくとも25分、または少なくとも30分その他の間、実行され得る。概して図3cに表されるように、インキュベーション後、試料はテストデバイスの受取部に付着され得る。
【0064】
図3a~図3cの容器は、ラテラルフローアッセイ/ラテラルフローデバイス110とは別個のアイテムであるが、代替的な実施形態では、これは、ラテラルフローデバイスと合併され得る。例えば、容器は、ラテラルフローデバイスに取り付けられ得る。ラテラルフローデバイスに取り付けられている間、容器は、その内容物がラテラルフローデバイスから流体的に隔離されている第1の状態から、その内容物がラテラルフローデバイスに流体的に連通された第2の状態に、遷移可能であり得る。インキュベーションは、容器が第1の状態にある間に行われ得、その後、容器が第2の状態に遷移した時に、内容物(例えば試料混合物)は、ラテラルフローデバイスの受取部に自動的に移動し得る。本開示の実施形態では、容器は、液体を保持するのに好適な任意の形態であり得る。例えば、容器は、カップ、チューブ、吸収パッド、スポイトその他として構成され得る。
【0065】
試料を、ラテラルフローデバイス110の受取部111に付着させる前にインキュベートすることにより、ラテラルフローデバイス110には、試料を標識するためのコンジュゲートリリースパッドが全く存在しなくてよい。下記により詳しく論述されるように、ラテラルフロープロセスの前の試料のインキュベーションは、試料が第1及び第2のテストゾーンに到達する前に、試料中の標識の均一な分散をもたらすことから、有利であり得る。それでもなお、代替的な実施形態では、試料が第1及び第2のテストゾーンに到達する前に、テストデバイスその他の一部としてコンジュゲートリリースパッドを使用することを含む異なる試料調製手法が採用され得る。
【0066】
この実施形態では、第1及び第2のテストゾーン112a、112bのうちの一方は、複数の第1の標識複合体を固定化するように構成され、第1及び第2のテストゾーン112a、112bのうちのもう一方は、第1の標識複合体を固定化しない(または少なくとも固定化能力が低い)ように構成される。試料が第1及び第2のテストゾーン112a、112bのそれぞれに移動する時、試料中に存在する任意の第1の標識複合体は、第1及び第2のテストゾーン112a、112bでの第1及び第2の信号の増加をもたらす。第1及び第2の信号は一般に、任意の時点で、第1及び第2のテストゾーンにおける第1の標識複合体のレベルをそれぞれ示す。
【0067】
第1及び第2のテストゾーン112a、112bのうちのいずれか1つが、複数の第1の標識複合体を固定化するように構成され得るが、この実施形態では、第2のテストゾーン112bが、複数の第1の標識複合体を固定化するように構成される。複数の第1の標識複合体を固定化するために、第2のテストゾーン112bは、第1の標識複合体に特異的に結合することができる第1の固定化捕捉試薬を含む。この実施形態では、第1のテストゾーン112aは、第1の標識複合体に特異的に結合することができる捕捉試薬をほとんどまたは全く含まないため、いずれの第1の標識複合体も固定化しない。実際に、この実施形態では、第1のテストゾーン112aは、テストデバイス110のすぐ隣の部分と実質的に区別できない。
【0068】
本実施形態では、標識は、1つ以上の蛍光量子ドットを含む蛍光標識といった蛍光標識である。蛍光標識は、光検出器121a、121bにより検出可能な1つ以上の特定の波長で蛍光を発するように構成される。蛍光標識は、蛍光を発するように構成されており、よって入射励起光信号により励起されると、放射光信号を放出する。この実施形態では、第1及び第2のLED122a、122bなどの第1及び第2の発光源により、励起光が提供される。本実施形態で蛍光標識を使用することにより、第1及び第2の信号のレベルは、光検出器により第1及び第2のテストゾーンで検出された放射光レベルに正比例し得る。導波路及び/または光学フィルタが、テストゾーン112a、112bと、光検出器及び/またはLEDとの間に、配置され得る。代替的な実施形態では、単一の光検出器を使用して、第1及び第2のテストゾーンでの放射光が監視され、例えば、第1及び第2の信号が時間多重化信号として取得され得る。
【0069】
この実施形態または任意の他の実施形態のリーダ120は、例えばラテラルフローデバイス110の少なくともテスト部分112と結合して、共通の筐体内に配置されることにより、ラテラルフローデバイス110と少なくとも部分的に一体化され得る。筐体は、光検出器により検出される可能性のある任意の周囲光を、最小限に抑え得る。あるいは、リーダの全てまたは一部は、ラテラルフローデバイスに接続可能な別個のデバイスに配置されてもよい。別個のデバイスは、電子ベースユニットであり得る。電子ベースユニットは、リーダの構成要素がベースユニットに配置されているか他の場所に配置されているかにかかわらず、リーダの構成要素に電力を供給し得る。電子ベースユニットは、ラテラルフローデバイスを受け入れるポートを備え得る。テストの結果は、リーダ及び/または別個のデバイスの一部を形成するディスプレイ上に提示され得る。
【0070】
蛍光標識を採用することにより、金ナノ粒子(コロイド金)など、アッセイでより一般的に配備される標識よりも、感度の向上が達成され得る。それでもなお、金ナノ粒子、または様々な他の標識、例えば、色付きラテックスビーズ、磁性粒子、炭素ナノ粒子、セレンナノ粒子、銀ナノ粒子、アップコンバート性燐光体、有機蛍光体、繊維染料、酵素、リポソーム、及びその他も、本開示の実施形態で使用されてもよい。
【0071】
ここで、第1及び第2の信号レベルの例示的な変動、第1及び第2の信号レベルの処理、及び第1の信号レベルと第2の信号レベルとの間の変化の監視が、図4図5a、及び図5bのグラフを参照して説明される。
【0072】
図4は、ラテラルフローアッセイの第1及び第2のテストゾーンで検出された正規化された第1及び第2の信号の信号強度のグラフを提供する。この例では、目的の第1の分析物を含む試料を、ラテラルフローデバイスに付着させる前に、インキュベートしていない。代わりに、蛍光標識を含む乾燥された第1の可動性捕捉試薬を含むコンジュゲートリリースパッドが、ラテラルフローデバイスの一部として設けられ、試料がコンジュゲートリリースパッドを濡らして通る時にのみ、可動性捕捉試薬は目的の第1の分析物に結合し、第1の標識複合体が形成される。
【0073】
この「ピーククリアランス」法では、試料の付着後、乾燥試薬の迅速な再水和及び放出により、流体前部の前縁に、高濃度の標識複合体が生じる。第1及び第2のテストゾーンでそれぞれ検出された第1及び第2の信号T1、T2の強度を示す図4に見られるように、監視及びラテラルフロープロセスの開始のすぐ後の大きく鋭い信号ピークにより、高濃度の前縁が表される。第1の標識複合体の固定化が起こる第2のテストゾーンで検出された第2の信号T2と、固定化は起こらず、かつ第1の標識複合体は第1のゾーンを単に濡らして通る第1のテストゾーンで検出された第1の信号T1との両方に、ピークは生じる。第2のテストゾーンでは、高濃度の前縁が通過した後、第2の信号T2のレベルは低下し、その後アッセイが進行してより多くの標識複合体が固定化されると、上昇する。第1のテストゾーンでは、標識複合体がなくなると、第1の信号T1のレベルは低下し、ほぼ本来のベースライン、すなわち最初の「乾性」信号レベルに近づく。
【0074】
図4に見られ得るように、強力な「陽性」テストのこの例においてでも、第1及び第2の両レベルの経時的な変化は、比較的に等しくない。さらに、最初の乾性信号レベルの近くまで低下することにより、第1の信号はより弱い信号を提供し、これに対し第2の信号を一貫して比較することができる。従って、本開示の実施形態で例えば図4に表されるような「ピーククリアランス」法が採用され得るが、いくつかの実施形態では、ラテラルフローテストデバイスに付着させる前に試料をインキュベートすることが好ましくあり得る。
【0075】
図5aは、試料をラテラルフローテストデバイスに付着させる前にインキュベートした本開示の一実施形態によるラテラルフローデバイスの第1及び第2のテストゾーンで検出された第1及び第2の信号T1、T2の信号強度のグラフを提供する。図5aは、鼻の試料に基づいて取得されたものであり、試料は、インフルエンザウイルスに関して分析され、陽性テストを示す。目的の第1の分析物を含む試料は、ラテラルフローデバイスに付着される前に、緩衝液と蛍光標識含む可動性捕捉試薬と共に約1分間インキュベートされた。示されるように、この手法と、図4を参照して前述された従来のピーククリアランス手法との根本的な違いは、分析物特異的標識捕捉試薬の配置が、テストデバイス自体のリリースパッドから上流のインキュベーション容器に変わることである。これにより、試料をラテラルフローデバイスに付着させる前に、捕捉試薬と試料との事前混合及び事前インキュベーションが行われ、第1の標識複合体が均一に分散した試料混合物を形成することが可能となる。
【0076】
第1のテストゾーンでは、標識複合体の固定化は行われない。しかしながら、図5aから明らかなように、一貫したベース信号T1は、テストの全期間にわたり依然として存在する。これは、インキュベートされた均質の試料混合物が、第1のテストゾーンを通って移動することに起因する。第2のテストゾーンでは、第1の標識複合体が第2のテストゾーンで固定化されるにつれて、第2の信号T2の強度が、ベース信号T1を超えて、徐々に蓄積される。第1の標識複合体のこの「累積」は、実質的に線形である。
【0077】
従って、この「累積法」の例では、本開示によれば、第1の信号T1はベースを提供することができ、これに対して第2の信号T2をより正確に比較することができる。比較は、試料の前部が第1及び第2のテストゾーンに到達する初期時点より後の少なくとも一定期間に行われ得る。いくつかの実施形態は、少なくとも第1の時点及び第2の時点で、比較が行われ得る。少なくともベースライン信号に対して、2つの異なる時点で比較を行うことにより、第2のテストゾーンでの第1の標識複合体の累積程度を、より正確に監視することができる。
【0078】
一般に、図5aは、試料を可動性捕捉試薬と共にインキュベートした後、テストゾーンのうちの1つ(この例では第2のテストゾーン)で標識複合体が実質的に線形に累積することを示す。標識複合体はテストの全期間(この例では20分の継続期間)にわたりテストゾーンと一貫して相互作用し得るため、線形の結果により、バックグラウンド信号から陽性(低陽性を含む)を判別するために、テストゾーンを通した標識複合体の完全なクリアランスは必要ないことが示される。流体を動かす毛細管力は徐々に弱まるため、テストゾーンで粒子が相互作用して信号を生成する時間はより長くなる。下記により詳しく論述されるように、線形の結果により、テスト値、例えば「S値」または線勾配値を導き出すことが可能となり、これは、目的の分析物を定量的に分析するのに使用することができる。
【0079】
図6のフローチャートを参照すると、本開示の実施形態では、501にて、第1の時点での第1の信号レベルと第2の信号レベルとを比較して、第1の時点での信号レベル差(Δi)を取得することと、502にて、第2の時点での第1の信号レベルと第2の信号レベルとを比較して、第2の時点での信号レベル差(Δf)を取得することと、503にて、第1の時点での信号レベル差(Δi)と、第2の時点での信号レベル差(Δf)とを比較すること、以上の特徴が実行され得る。信号レベル差の比較により、例えば本明細書で「S値」と称されるテスト値が生成され得る。試料が採取された人間または動物の身体の医学的状態に関する判定は、テスト値またはS値が1つ以上の閾値を上回るか否か、あるいは下回るか否かに基づき得る。それでもなお、テスト値または「S値」は、他の方法で特定されてもよい。例えば、減算により信号レベルを比較してデルタ値を取得するのではなく、異なる時点での第1の信号レベルと第2の信号レベルとの比率を取得することができ、比率が比較されてもよい。さらに、S値は、必ずしも複数の時点での信号レベル差に基づく必要はない。例えば、信号レベル差は、テストの終了時点でのみ計算されてもよい。
【0080】
上記の論述によれば、第1の信号と第2の信号の比較を実行する前に、各テストゾーンでの迷光及び/または非対称効率を考慮するために、第1及び第2の信号は正規化され得る。光検出器(複数可)へ「漏れ入る」励起LEDまたは周囲光により迷光が生じ得、よって試料/蛍光標識の存在に関係なく一定のバックグラウンド信号が生成される。さらに、光学構成要素の小さな位置ずれ、公差スタック、または変形は、非対称効率に至り得る。これらの点で、テストゾーンのうちのいずれかからの蛍光放射の絶対測定は、必ずしも、テストゾーンのうちのいずれか1つに固定化されたまたは存在する蛍光標識の実際の数を表すとは限らない。本開示では、第1のテストゾーンと第2のテストゾーンとの間の不均衡を補正するために、正規化が使用され得る。正規化手順の前に、またはその一環として、第1及び第2の信号レベルが較正され得る。較正では、第1及び第2のテストゾーンでの生の測定値T1、T2は、迷光または非対称から生じるそれらの乾性読取測定値T1dry、T2dryに関して、補正される。従って、この補正に基づいて、両方の乾性測定値はゼロに減少され得る。さらに、正規化手順では、乾性読取測定値に基づいて補正された信号レベル、例えば共役波面でのピーク信号レベルT1peak、T2peakは、1、100、または別の望ましい数に正規化される。
【0081】
第1及び第2の信号レベルT1、T2を較正及び正規化することの重要性は、図12a及び12bを参照して、さらに強調される。図12aは、著しく異なる乾性読取測定値、従って信号レベルを有する第1及び第2の信号レベルT1、T2の一例(この例では陰性試料)を提供する。図12bは、較正され正規化された乾性読取測定値を例示する。
【0082】
較正及び正規化のステップにより、T1とT2との信号レベル(強度)の差を示すパラメータデルタ(Δ)または比率値(R)の時間発展をより正確に監視することが可能となり得る。初期時点より後の少なくとも1つの時点で、時には少なくとも2つ以上の時点で、パラメータデルタまたは比率値を測定することで、いずれかのテストラインでの蛍光標識の蓄積に関するピーク後フェーズにおける相違を、よって試料中に存在する第1の分析物のレベルに、相関付けることができる。テストゾーンでの標識複合体の蓄積は、単一の時点のみ、例えばアッセイの終了時(tend)(例えば共役波面の到着から6分後)に、パラメータデルタ/比率値を特定することにより推定され得ることが認識される。しかしながら、少なくとも第1及び第2の時点でデルタ/比率値の時間発展を監視することにより(例えば3分及び6分でデルタ/比率値の時間発展を比較することにより)、利点が得られ得る。比較は、例えば、テストラインでの蛍光強度の同時ドリフト(例えば非特異的結合)を相殺するのに役立ち得る。さらに、これにより、アッセイの動的範囲拡大(例えば分析物濃度の数十年にわたる線形応答)が可能となり得る。さらに、これにより、最終結果の予測が可能となり得、これに基づいて、テスト結果が陽性であるとみなされ得る。
【0083】
一般に、第1の信号と第2の信号との比較は、初期時点またはその他から、少なくとも10秒後、少なくとも20秒後、少なくとも30秒後、少なくとも1分後、少なくとも2分後、少なくとも3分後、少なくとも4分後、少なくとも5分後、少なくとも6分後、少なくとも8分後、または少なくとも10分後の1つ以上の時点に行われ得る。少なくとも第1及び第2の時点で比較が行われる場合、第1の時点は、初期時点またはその他から、少なくとも10秒後、少なくとも20秒後、少なくとも30秒後、少なくとも1分後、少なくとも2分後、少なくとも3分後、少なくとも4分後、少なくとも5分後、少なくとも6分後、少なくとも8分後、または少なくとも10分後であり得る。さらに、第2の時点は、第1の時点より後であり、初期時点またはその他から、少なくとも20秒後、少なくとも30秒後、少なくとも1分後、少なくとも2分後、少なくとも3分後、少なくとも4分後、少なくとも5分後、少なくとも6分後、少なくとも8分後、または少なくとも10分後であり得る。さらに、第2の時点は、第1の時点またはその他から、少なくとも10秒後、少なくとも20秒後、少なくとも30秒後、少なくとも1分後、少なくとも2分後、少なくとも3分後、少なくとも4分後、少なくとも5分後、または少なくとも6分後であり得る。
【0084】
一般に、本明細書において、初期時点より後の1つ以上の時点に関する、すなわち初期時点より後の1つ以上の時点での、または初期時点から特定時間(例えば3分または6分)が経った時点などでの、信号の読み取りまたは比較への言及には、これらの時点に信号が存在したものとして(下記に論述されるようにタイムラグを考慮してタイムシフトが行われた)信号の読み取りまたは比較を示す意図があることが理解されよう。実際の比較は、実質的にリアルタイムに、または後の時点に、例えばアッセイ期間全体にわたり信号データ集合が取得された後に、実行され得る。
【0085】
パラメータデルタまたは比率値の計算は、第1及び第2のテストゾーンでの迷光及び非対称効率を考慮することに加えて、試料がテストゾーンのうちの一方に到達するには、テストゾーンのうちのもう一方と比較して、テストストリップ上をさらに移動しなければならないことを考慮し得る。例えば、図1に例示されるデバイス110では、試料が第2のテストゾーン112bに到達するには、第1のテストゾーン112aと比較して、さらに移動する必要がある。従って、パラメータデルタまたは比率値を計算する前に、T1及びT2信号は、第1及び第2のテストゾーンの異なる位置により生じるタイムラグtΔを相殺するように、位置が調整され得る。タイムラグは、一定期間にわたり増加し得る。
【0086】
第1及び第2の信号T1、T2の較正及び正規化、タイムラグtΔの補正、及びパラメータデルタΔの時間発展の監視に関する例示的なプロセスが、図7のフローチャートを参照してより詳しくここで説明される。プロセスは、複数の時点での信号強度読取値を示すN個のデータ要素のアレイとして、それぞれの第1及び第2のデータチャネルにわたりリーダにより取得される第1及び第2の信号に基づき、2つのチャネルのi番目のデータ要素は、T1(i)及びT2(i)とそれぞれ称される。データ要素は、リーダ内に配置され得るメモリデバイスに記憶され得、プロセスは、リーダのプロセッサにより実行され得る。
【0087】
601にて、T1チャネルの複数の乾性読取値の平均が計算され、T1dryが取得される。
【0088】
同様に、602にて、T2チャネルの複数の乾性読取値の平均が計算され、T2dryが取得される。
【0089】
603にて、T1dryに対して、信号強度が閾値を超えて増加した、例えば20%以上増加したT1チャネルの読取値の第1のピークが検出され、T1peakが取得される。粒子放出の遅延に起因するいずれの第2のピークも、破棄され得る。
【0090】
同様に、604にて、T2dryに対して、信号強度が閾値を超えて増加した、例えば20%以上増加したT2チャネルの読取値の第1のピークが検出され、T2peakが取得される。この場合も、粒子放出の遅延に起因するいずれの第2のピークも、破棄され得る。
【0091】
T1dry、T2dry、T1peak、及びT2peakの例示的な図解が、図5aに提供される。
【0092】
605にて、T1peakとT2peakとの間の読取要素tΔの数が検出され、この数に基づいて、T及びTの読取要素の位置が調整される。この位置調整は、テストストリップ上の第1のテストゾーン及び第2のテストゾーンの異なる位置により生じるT1チャネルとT2チャネルとのタイムラグを考慮する。テストデバイスで使用される材料及び試料の粘度に特有であり得るタイムラグ係数nの使用により、位置調整は、アッセイ期間全体にわたるT1及びT2の読取要素の動的な位置調整を提供することができる。これは下記の等式1aで表され、第2のテストゾーンは、第1のテストゾーンよりも試料受取部から離れていることを前提とする。係数nは、例えば約2など、1以外の数であってもよい。
【0093】
T2(i)=T2(i-ntΔ) 等式1a
しかしながら、代替的な実施形態では、T1及びT2チャネルの固定タイムシフトが採用され得る。これは下記の等式1bで表され、Nは整数であり、この場合も、第2のテストゾーンは、第1のテストゾーンよりも試料受取部から離れていることを前提とする。
【0094】
T2(i)=T2(i-N) 等式1b
606にて、任意の読取要素jに関して信号強度の平均が取得され、T1avが取得される。平均化は、例えば、複数の前の読取要素の信号強度を考慮し得る。
【0095】
同様に、607にて、任意の読取要素jに関して信号強度の平均が取得され、T2avが取得される。平均化は、例えば、複数の前の読取要素の信号強度を考慮し得る。
【0096】
T1av、T2avの例示的な図解が図5aに提供され、ここでは、少なくとも第1の時点t及び第2の時点tで平均化が行われているが、いくつかの実施形態では、初期時点より後の全ての読取要素に関して平均化が行われる。
【0097】
608にて、T1av値に関して較正及び正規化が実行され、T1normが取得される。正規化手順では、T1av値及びピーク値T1peakの両方から、乾性読取測定値T1dryを減算した後に、1または100などの正規化値にT1peakを調整することに基づいて、T1av値が正規化される。
【0098】
609にて、T2av値に関して較正及び正規化が実行され、T2normが取得される。正規化手順では、T2av値及びピーク値T2peakの両方から、乾性読取測定値T2dryを減算した後に、T1avに使用したのと同じ正規化値(例えば1または100)にT2peakを調整することに基づいて、T2av値が正規化される。
【0099】
T1norm及びT2normの例示的な図解が、図5bに提供される。図5bを図5aと比較して分かるように、図5bのT1及びT2の信号は、タイムラグを考慮してタイムシフトされ、T1peak及びT2peakの値の整合に基づいて、正規化されている。
【0100】
610にて、T1における共役波面の検出から(すなわち初期時点から)t=t分後の第1の時点でのデルタ値Δiが計算される。tは、例えば3分であり得る。このデルタ値は、第1の時点でのT1チャネルとT2チャネルとの信号強度の相違を示す。いずれのテストゾーンでも第1の標識複合体の固定化がほとんどまたは全くない陰性テストでは、デルタ値Δiは、非常に低いかゼロであると予想される。テストゾーンのうちの一方では第1の標識複合体の固定化があるが、もう一方ではそのような固定化がない陽性テストでは、図5bに表されるように、デルタ値Δiは比較的大きいと予想される。
【0101】
611にて、T1における共役波面の検出からt=t分後の第2の時点でのデルタ値Δfが計算される。tは、例えば6分であり得る。このデルタ値は、第2の時点でのT1チャネルとT2チャネルとの信号強度の相違を示す。いずれのテストゾーンでも第1の標識複合体の固定化がほとんどまたは全くない陰性テストでは、デルタ値Δfは、非常に低いかゼロであると予想される。テストゾーンのうちの一方では第1の標識複合体の固定化があるが、もう一方ではそのような固定化がない陽性テストでは、図5bに表されるように、デルタ値Δfは、比較的大きく、デルタ値Δiを超えて増加することが予想される。
【0102】
612にて、ΔiとΔfとを比較して、S値が計算される。S値の計算は、下記の等式2で表される。
【0103】
S=Δf-Δi 等式2
S値などのテスト値(例えば第1及び第2のテストゾーンのどちらが目的の分析物を固定化するかに応じて正または負であり得る)を使用して、試料が採取された人間または動物の身体の医学的状態に関して判定を行うことができる。例えば、S値が公称閾値範囲内にある場合、医学的状態の判定には、陰性のテスト結果(例えば「インフルエンザなし」)が割り当てられ得る。閾値を超えるS値(正常範囲の下限を下回るか正常範囲の上限を上回るかにかかわらず)は、陽性テストとして指定され得る。
【0104】
例えば図4に例示される従来の「ピーククリアランス」手法の固有の変動性を排除することにより、例えば図5a及び図5bに例示される本開示の「累積法」は、高い再現性をもたらすことができる。従って、各標的分析物に関して、試料中の特定の標的分析物の濃度とテスト値(例えばS値)を確実に相関付けることができる検量線またはルックアップテーブルが作成され得る。図9は、複数のテスト試料に関して、本開示の実施形態による累積法を使用して計算されたS値と分析物濃度との相関関係を例示するグラフを提供する。各試料には、異なる量の組み換えインフルエンザB型核タンパク質が加えられた。データにより、S値が分析物濃度と相関し、約2ログの動的範囲にわたり線形応答を有していることが示される。測定は、再現性が高く、CVは10%未満である(n=6の独立的繰り返し)。測定の線形応答及び小さいCV値により、S値の検査を通して試料中の抗原濃度の推定が可能となる(例えばS=-20の値は、約20ng/mLのインフルエンザB型核タンパク質に該当する)。蛍光標識(0.1ng/ml)または金粒子(5ng/ml)を使用する従来のテストと比較すると、線形応答は、本累積法(例えば0.05ng/ml)を使用して、著しい検出下限(LoD)を提供することができる。
【0105】
力価が必ずしも疾患の重症度と相関しない特定の病気(例えばインフルエンザ)には、バイオマーカの定性的検出で十分であるが、いくつかの状況では、抗原の定量化が不可欠であり得る。一例は、炎症の非特異的マーカであり、感染の発症を評価するために使用されるC反応性タンパク質である。図10は、好適なアッセイ緩衝液で希釈された精製CRP抗原の分析物濃度とS値との相関関係を例示するグラフを提供する。高感度CRPアッセイの臨床関連範囲(すなわち1未満~10ng/mL)で、異なる濃度の1000倍希釈の血清が表される(6%未満のCVで各濃度にて4回の再現)。結果、本開示の実施形態による累積法を使用して定量的及び迅速な検出(例えば試料を付着させてから8分以内)が可能であることが立証された。
【0106】
本開示の実施形態による累積法は、ピーククリアランスに基づく従来のテストアッセイと直接比較すると、より高い感度をもたらすことができる。図11a及び図11bは、標的分析物がインフルエンザA型抗原及びインフルエンザB型抗原である場合の累積法と従来のピーククリアランス法の性能比較をそれぞれ例示するグラフを提供し、2つのアッセイ形式の試薬及び抗原希釈液は同じである。累積法及び従来のピーククリアランス手法の両方のカットオフ値(アッセイの感度を示す)は、n=6のブランク測定値の平均に、測定値の標準偏差の3倍を加えたものを概算することで計算される。測定値の分布がガウス分布に従うと仮定すると、平均からの3標準偏差の値は、範囲内で起こる測定値の99.7%に該当する(例えば0.3%は誤った結果)。累積法は、従来の手法と比較すると、15倍(インフルエンザA型)及び25倍(インフルエンザB型)の感度増加をもたらす。さらに、従来の手法の流体プロファイルの固有の変動性により、特定の条件ではCVが20~30%を超える変動性の高い結果が生じる。逆に、累積法では、一貫してCVは10%未満、ほとんどの場合でCVは5%未満である。これは、試料中の抗原の濃度を正確に定量化しようとする場合、重要であり得る。
【0107】
下記にさらに詳しく説明されるように、本開示のいくつかの実施形態では、方法及び装置は、2つ以上の異なる目的の分析物に関して判定を行うことが可能であり得る。試料中の2つの目的の分析物のうちのいずれか一方の存在は、目的の分析物のもう一方またはその他の存在と、相互排他的であり得る。方法及び装置が2つ以上の目的の分析物の存在を把握することができるように、試料は、標識を含む少なくとも第2の可動性捕捉試薬ともインキュベートされ得、第2の可動性捕捉試薬は、試料中の目的の第2の分析物に特異的に結合して、複数の第2の標識複合体を形成することができる。2つの目的の分析物に関して判定が行われる場合、2つのテストゾーンが依然として使用され得る。3つ以上の目的の分析物に関して判定が行われる場合、ラテラルフローデバイスにおいて3つ以上のテストゾーンが使用され得る。
【0108】
従って、本開示の方法及び装置は、試料中の複数の異なる分析物に関して判定を行い、異なる分析物のうちの1つの分析物の特定に基づいて、複数の医学的状態のうちの1つの医学的状態の存在を、ユーザに選択的に示し得る。
【0109】
一実施形態では、図8のフローチャートに示されるように、701にて、試料は、少なくとも、検出可能な標識を含む第1の可動性捕捉試薬及び検出可能な標識を含む第2の可動性捕捉試薬と共に、インキュベートされる。インキュベーション中、第1の可動性捕捉試薬は、試料中に目的の第1の分析物が存在する場合、目的の第1の分析物に特異的に結合して、複数の第1の標識複合体を形成することができ、第2の可動性捕捉試薬は、試料中に目的の第2の分析物が存在する場合、目的の第2の分析物に特異的に結合して、複数の第2の標識複合体を形成することができる。
【0110】
702にて、インキュベーションが実行された後、試料は(インキュベーション後混合物として)、例えば図1に例示されるような第1及び第2のテストゾーンを含むラテラルフローデバイスに、付着される。第1及び第2のテストゾーンで、試料中の全ての第1の標識複合体及び全ての第2の標識複合体が、検出可能な第1及び第2の信号を提供し得る。
【0111】
この実施形態では、第1及び第2のテストゾーンのうちの一方は、複数の第1の標識複合体を固定化するが、第2の標識複合体は固定化しないように構成され、第1及び第2のテストゾーンのうちのもう一方は、複数の第2の標識複合体を固定化するが、第1の標識複合体は固定化しないように構成される。
【0112】
703にて、試料の前部が第1及び第2のテストゾーンに到達する初期時点より後に、第1の信号と第2の信号が比較され、試料中の目的の第1の分析物及び試料中の目的の第2の分析物の両方に関して、判定が行われる。比較プロセスは、例えば、図5a~図7を参照して前述されたプロセスと同一であり得る。このプロセスでは、試料中の目的の第1及び第2の分析物のうちの一方の存在が、もう一方の存在と相互排他的である限り、試料中のどちらかの分析物の存在及びレベルは、デルタ値Δi及びΔf、並びにS値が、正であるか負であるかにより、区別される。
【0113】
前述のように、S値が閾値(Smax)を超える場合、「陽性」テスト(すなわち医学的状態が存在する)と特定され得る。例えば、テスト終了時点(tend)にS値が取得される場合、S(tend)>Smaxであれば、陽性テストと特定され得る。しかしながら、図15に示される意思決定フローチャートを参照すると、テスト終了時点(tend)でのS値が閾値を超えなくても、テスト終了時点(tend)までの特定されたS値の進行により、後続のS値はやがて閾値を超えることが示される場合には、リーダにより同様に陽性テストと特定され得る。例えば、テスト終了時点(tend)までの連続した期間(t、t、t...)に、テスト値が連続的に増加する場合、例えばS(t)<S(t)<S(t)...である場合、陽性テストと特定され得る。較正され正規化された第1及び第2の信号レベルT1norm、T2normを示し、信号T2normは徐々に増加している(従って信号T1normから離れている)が、その増加量は(例えば図5bの信号と比較して)少しだけである図14を参照して、この手法の利点が例示される。それでもなお、決定フローには、いずれの陽性テストを特定する場合もテスト終了時点(tend)でのS値が越えなければならない最小レベルのSmaxなど、制約が含まれ得る。
【0114】
本開示で使用されるいずれのリーダまたはプロセッサも、1つ以上のプロセッサ及びデータ記憶デバイスを備え得る。1つ以上のプロセッサはそれぞれ、1つ以上の処理モジュールを備え得、1つ以上の記憶デバイスはそれぞれ、1つ以上の記憶素子を備え得る。モジュール及び記憶素子は、例えば単一のハンドヘルドデバイス内といった1つの場所に存在し得る、または複数の場所に分散され、インターネットなどの通信ネットワークにより相互接続され得る。
【0115】
処理モジュールは、プログラム命令を含むコンピュータプログラムまたはプログラムコードにより実施され得る。コンピュータプログラム命令は、ソースコード、オブジェクトコード、マシンコード、または説明される方法をプロセッサに実行させるように動作可能な任意の他の記憶データを含み得る。コンピュータプログラムは、コンパイラ型またはインタプリタ型言語を含む任意の形式のプログラミング言語で記述され得、コンピュータプログラムは、独立型プログラム、あるいはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、またはコンピューティング環境における使用に好適な他のユニットを含む任意の形態で、展開され得る。データ記憶デバイスは、揮発性(例えばRAM)及び/または不揮発性(例えばROM、ディスク)メモリまたはその他などの好適なコンピュータ可読媒体を含み得る。
【0116】
本開示の1つ以上の実施形態によるラテラルフローデバイスまたはラテラルフローアッセイは、単一のユニットとして作動し得る。例えば、デバイスまたはアッセイは、ハンドヘルドデバイスの形態で提供されてもよい。デバイスまたはアッセイは、1回使用の使い捨てデバイスであり得る。あるいは、デバイスまたはアッセイは、部分的または完全に再利用可能であり得る。いくつかの実施形態ではデバイスまたはアッセイは実験室で実施され得るが、装置は、家庭での使用または診療所での使用などのための「ポイントオブケア」デバイスとして設計され得る。対象状態の識別を、非常に早く、例えば10分未満でユーザに提供する迅速テストデバイスが、デバイスまたはアッセイにより提供され得る。
【0117】
本開示の1つ以上の実施形態の装置は、様々な異なる種類の生体試料と共に使用するように構成され得る。試料は、流体試料であり得る。本開示の1つ以上の実施形態の装置及び/または方法に従って使用され得る生体試料には、例えば、唾液、粘液、血液、血清、血漿、尿、膣分泌物、及び/または羊水が含まれる。本開示の1つ以上の実施形態の装置及び/または方法に従って使用され得る生体試料は、唾液、粘液、または他の呼吸吸引液である。
【0118】
本開示の1つ以上の実施形態のラテラルフローデバイスまたはアッセイは、被験者が1つ以上の病原体、例えばインフルエンザウイルスに、感染しているか否かを判定する方法で、使用され得る。方法は、家庭環境で、あるいは実験室環境またはその他の環境で、実行され得る。方法は、本明細書で開示される一実施形態の装置を使用することを含み得る。
【0119】
少なくとも第1の分析物は、1つ以上の抗原など、1つ以上の特定の生物学的実体であり得る。例えば、抗原は、インフルエンザA型(H1N1ウイルス亜型を含む)、インフルエンザB型、呼吸器合胞体ウイルス、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルス、ライノウイルス、コロナウイルス、コクサッキーウイルス、HIVウイルス、及び/またはエンテロウイルスを含むがこれらに限定されない1つ以上の呼吸器ウイルスまたは血液媒介ウイルスに由来し得る。装置及び方法はまた、性的接触により蔓延することが知られている細菌感染(例えば淋病、クラミジアまたはその他)、及び性的接触により蔓延することが知られているウイルス感染(例えば単純ヘルペスウイルス(HSV)、パピローマウイルス(HPV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、B型肝炎ウイルス、及びサイトメガロウイルス)などの性感染症のテストにも、使用され得る。このような例では、抗原は、性感染症または疾患を引き起こす1つ以上の病原体に由来する。それでもなお、ウイルス、感染その他に基づく多種多様な他の医学的状態が、本開示による装置及び方法を使用してテストされ得る。
【0120】
本開示の1つ以上の実施形態のラテラルフローアッセイまたはラテラルフローデバイスは、キットで提供され得る。一例では、キットには、本開示の一実施形態のラテラルフローアッセイまたはデバイス、及び使用説明書が含まれ得る。使用説明書により、本開示の方法に従って、被験者が1つ以上の病原体、例えばインフルエンザウイルスに、感染しているか否かを判定するためのアッセイまたはデバイスの使用指示が提供され得る。実施例のそれぞれにおいて、キットは任意で、目的の特定診断用途のために構成された1つ以上のインキュベーション容器を含み得る。
【0121】
本明細書で説明されるように、ラテラルフローデバイスは、1つ以上の捕捉試薬を含むように構成され得る。本開示の1つ以上の実施形態に従って使用される捕捉試薬は、試料中の目的の分析物と結合する能力を有する任意の1つ以上の薬剤であり得る。捕捉試薬は、特定の分析物に特異的に結合するように構成され得る。一例によれば、捕捉試薬は、ウイルス抗原に特異的に結合して、結合対または複合体を形成する能力を有し得る。しかしながら、デバイスは、特定診断用途に必要な他の感染性病原体に由来する抗原と結合して結合対または複合体を形成する能力を有する捕捉試薬を含むように構成され得る。このような結合対または複合体のいくつかの例には、抗体及び抗原(抗原は例えばペプチド配列またはタンパク質配列であり得る)、相補的ヌクレオチドまたはペプチド配列、高分子酸及び基材、染料及びタンパク質結合剤、ペプチド及びタンパク質結合剤、酵素及び補因子、並びにリガンド及び受容体分子が含まれているが、これらに限定されず、受容体という用語は、エピトープまたは決定基などの特定の分子配置を認識することができる任意の化合物または組成物を指す。
【0122】
捕捉試薬に関して使用される用語「固定化された」は、アッセイプロセス中にラテラルフローデバイスの吸収性パッド材料を通るまたはそれに沿う試料のラテラルフローが、試薬を除去することがないように、ラテラルフローデバイスのテストゾーンのうちの1つに試薬が付着されたことを意味する。捕捉試薬は、当技術分野で知られている任意の好適な手段で固定化され得る。逆に、用語「可動性」は、ラテラルフローデバイスを通して少なくとも受取部からテスト部まで、捕捉試薬が、単独で、または捕捉試薬及び同種の分析物を含む複合体の一部として、試料と共に移動することができることを示すために使用され、一例として、インフルエンザA型ウイルス抗原に特異的に結合する捕捉試薬は、インフルエンザB型ウイルス抗原などの任意の他の分析物または成分が試料中に存在しても、試料中の任意の他の分析物または成分にほとんどまたは全く結合し得ない。
【0123】
特定の一例によれば、前述または各捕捉試薬は、抗体またはその抗原結合部分である。「抗体」は一般に、例えばVを含むポリペプチド及びVを含むポリペプチドなど、複数の免疫グロブリン鎖で構成された可変領域を含むタンパク質であるとみなされることが、当業者には認識されよう。抗体はまた一般に、定常ドメインを含み、そのうちのいくつかは、定常領域または定常フラグメントまたは結晶化可能フラグメント(Fc)に配置され得る。V及びVは相互作用して、1つまたはいくつかの密接に関連する抗原に特異的に結合することができる抗原結合領域を含むFvを形成する。一般に、哺乳動物の軽鎖は、κ軽鎖またはλ軽鎖であり、哺乳動物の重鎖は、α、δ、ε、γ、またはμである。抗体は、任意のタイプ(例えばIgG、IgE、IgM、IgD、IgA、及びIgY)、クラス(例えばIgG、IgG、IgG、IgG、IgA、及びIgA)またはサブクラスであり得る。「抗体」という用語は、ヒト化抗体、ヒト抗体、及びキメラ抗体も包含する。本明細書で使用される「抗体」という用語には、エピトープ決定基に結合することができるFab、F(ab’)2、及びFvなど、全長抗体分子、無傷抗体分子、または全抗体分子以外のフォーマットも含む意図がある。これらのフォーマットは、抗体「フラグメント」と称され得る。本開示のデバイス110がインフルエンザウイルス抗原を検出するように構成された抗体フラグメントを含む1つ以上の実施形態によれば、対応する全長抗体、無傷抗体、または全抗体が必要に応じてインフルエンザウイルス抗原に結合する能力の一部または全てを、抗体フラグメントは保持していると予期される。結合能力を保持する抗体フラグメントフォーマットの例には、以下が挙げられるが、これらに限定されない。
(1)Fabであって、このフラグメントは、抗体分子の一価の結合フラグメントを含み、全抗体を酵素パパインで消化して無傷軽鎖及び1つの重鎖の一部を生じることで生成され得る、Fab。
(2)Fab’であって、この抗体分子フラグメントは、全抗体をペプシンで処理し、その後に還元して、無傷軽鎖及び1つの重鎖の一部を生じることで取得され得、抗体分子ごとに2つのFab’フラグメントが取得される、Fab’。
(3)(Fab’)であって、この抗体フラグメントは、後続の還元処理なしで全抗体を酵素ペプシンで処理することで取得され得、F(ab’)は、2つのジスルフィド結合により結び付けられた2つのFab’フラグメントの二量体である、(Fab’)2。
(4)Fvであって、2本の鎖として表される軽鎖の可変領域と重鎖の可変領域とを含む遺伝子操作されたフラグメントと定義される、Fv。
(5)単鎖抗体(「SCA」)であって、軽鎖の可変領域、重鎖の可変領域を含む遺伝子操作された分子として定義され、遺伝子融合単鎖分子として好適なポリペプチドリンカーにより連結されており、このような単鎖抗体は、多特異性であってもなくてもよい、二特異性抗体、三特異性抗体、及び四特異性抗体などの多量体の形態であり得る(例えばWO94/07921及びWO98/44001を参照)、単鎖抗体(「SCA」)。
(6)単一ドメイン抗体であって、通常は軽鎖のない可変重ドメインである、単一ドメイン抗体。
【0124】
従って、本開示の1つ以上の実施形態に従って捕捉試薬として使用される抗体には、別個の重鎖、軽鎖、Fab、Fab’、F(ab’)、Fc、重鎖の全くない可変軽ドメイン、軽鎖のない可変重ドメイン、及びFvが含まれ得る。このようなフラグメントは、組み換えDNA技術により、または無傷免疫グロブリンの酵素的もしくは化学的分離により、生成され得る。
【0125】
「全長抗体」、「無傷抗体」、または「全抗体」という用語は、抗体の抗原結合フラグメントとは対照的に、実質的に無傷の形態の抗体を指すために、互換的に使用される。具体的には、全抗体には、Fc領域を含む重鎖及び軽鎖を有する抗体が含まれる。定常ドメインは、野生型配列定常ドメイン(例えばヒト野生型配列定常ドメイン)またはそのアミノ酸配列変異体であり得る。いくつかの事例では、無傷抗体は、1つ以上のエフェクタ機能を有し得る。
【0126】
本開示の1つ以上の実施形態に従って捕捉試薬として使用される抗体は、ヒト化抗体であり得る。本明細書で使用される「ヒト化抗体」という用語は、親抗体の抗原結合特性を保持するまたはほぼ保持するが、ヒトでは免疫原性が低い非ヒト抗体、通常はマウスに由来する抗体を指す。
【0127】
本開示の広い一般的範囲から逸脱することなく、前述の実施形態に対して、多数の変化及び/または修正を行ってもよいことが、当業者には理解されよう。従って、本実施形態は、あらゆる点で、限定的ではなく例示的であるとみなされるべきである。
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図4
図5a
図5b
図6
図7
図8
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図10
図11a
図11b
図12a
図12b
図13
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図15