(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-07
(45)【発行日】2023-04-17
(54)【発明の名称】シートフレームの製造方法、及びシートフレーム
(51)【国際特許分類】
B60N 2/68 20060101AFI20230410BHJP
B60N 2/64 20060101ALI20230410BHJP
A47C 7/40 20060101ALI20230410BHJP
【FI】
B60N2/68
B60N2/64
A47C7/40
(21)【出願番号】P 2020002490
(22)【出願日】2020-01-09
【審査請求日】2022-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000133098
【氏名又は名称】株式会社タチエス
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】林田 秀司
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康浩
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-003587(JP,A)
【文献】特開2019-209912(JP,A)
【文献】特開2015-140089(JP,A)
【文献】特開2015-067133(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/68
B60N 2/64
A47C 7/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に直交する断面が、正面領域部、及びこの正面領域部より後退して形成された2つの鍔部を有する形状に形成された第1のフレームと、前記正面領域部と溶接される補強ビームと2つの前記鍔部と溶接される溶接面が形成された第2のフレームとを溶接して固定したシートフレームの製造方法において、
前記第1のフレームの前記正面領域部と前記第2のフレームの前記補強ビーム、及び前記第1のフレームの一方の前記鍔部と前記第2のフレームの前記溶接面を機械的な外力によって密着させる第1密着工程と、この第1密着工程の後に前記第1のフレームの他方の前記鍔部を機械的な外力によって強制的に撓ませて前記第2のフレームの前記溶接面と密着させる第2密着工程からなるクランプ工程と、
前記クランプ工程の後で、前記第1のフレームの前記正面領域部と前記第2のフレームの前記補強ビームとの間、及び前記第1のフレームの2つの前記鍔部と前記第2のフレームの前記溶接面との間をレーザー溶接で溶接する溶接工程と
を実行することを特徴とするシートフレームの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のシートフレームの製造方法において、
前記第1のフレームは、座席の背凭れであるシートバックフレームを構成するアッパーフレームであり、前記第2のフレームは、前記シートバックフレームを構成する一対のバックサイドフレームであり、
前記アッパーフレームは、前記クランプ工程と前記溶接工程によって一対の前記バックサイドフレームの間に橋渡しされる形態で溶接される
ことを特徴とするシートフレームの製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載のシートフレームの製造方法において、
前記クランプ工程が実行される前の状態では、
前記バックサイドフレームの前記溶接面から前記補強ビームの前記アッパーフレームの前記正面領域部の溶接面までの長さ(Hb)に比べて、前記アッパーフレームの前記正面領域部の溶接面から、前記アッパーフレームの
2つの前記鍔部の溶接面までの長さ(Hu)は短く設定されている
ことを特徴とするシートフレームの製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載のシートフレームの製造方法において、
前記クランプ工程の前記第1密着工程では、
前記アッパーフレームの前記正面領域部と前記バックサイドフレームの前記補強ビーム、及び前記アッパーフレームの一方の前記鍔部と前記バックサイドフレームの前記溶接面を機械的な外力によって同時に密着させる
ことを特徴とするシートフレームの製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載のシートフレームの製造方法において、
前記溶接工程では、
前記アッパーフレームの前記正面領域部と前記バックサイドフレームの前記補強ビームをレーザー溶接し、
次に、前記アッパーフレームの一方の前記鍔部と前記バックサイドフレームの前記溶接面をレーザー溶接し、
最後に、前記アッパーフレームの他方の前記鍔部と前記バックサイドフレームの前記溶接面をレーザー溶接する
ことを特徴とするシートフレームの製造方法。
【請求項6】
長手方向に直交する断面が、正面領域部、及びこの正面領域部より後退して形成された2つの鍔部を有する形状に形成された第1のフレームと、前記正面領域部と溶接される補強ビームと2つの前記鍔部と溶接される溶接面が形成された第2のフレームとを溶接して固定したシートフレームにおいて、
前記第1のフレームの前記正面領域部と前記第2のフレームの前記補強ビームを密着させた状態でレーザー溶接して形成された第1溶接領域と、
前記第1のフレームの一方の前記鍔部と前記第2のフレームの前記溶接面とを密着させた状態でレーザー溶接して形成された第2溶接領域と、
前記第1のフレームの他方の前記鍔部を機械的な外力によって強制的に撓ませて前記第2のフレームの前記溶接面と密着させた状態でレーザー溶接して形成された第3溶接領域とを備えた
ことを特徴とするシートフレーム。
【請求項7】
請求項6に記載のシートフレームにおいて、
前記第1のフレームは、座席の背凭れであるシートバックフレームを構成するアッパーフレームであり、前記第2のフレームは、前記シートバックフレームを構成する一対のバックサイドフレームであり、
前記アッパーフレームは、前記一対のバックサイドフレームの間に橋渡しされる形態で溶接されている
ことを特徴とするシートフレーム。
【請求項8】
請求項7に記載のシートフレームにおいて、
前記バックサイドフレームと前記アッパーフレームが溶接される前の状態では、前記バックサイドフレームの前記溶接面から前記補強ビームの前記アッパーフレームの前記正面領域部の溶接面までの長さ(Hb)に比べて、前記アッパーフレームの前記正面領域部の溶接面から、前記アッパーフレームの
2つの前記鍔部の溶接面までの長さ(Hu)は短く設定されている
ことを特徴とするシートフレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車、電車等のような乗り物に搭載される座席に係り、特に座席の骨格を形成する金属製のシートフレームの製造方法、及びシートフレームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車に搭載される座席、特にリクライニングシートと呼称される座席の骨格を形成するシートフレームは、「座面」を構成するシートクッションフレームと、「背凭れ」を構成するシートバックフレームからなり、これらは複数の金属製のプレス部品を溶接して構成されている。
【0003】
溶接されるプレス部品の一例としては、例えば、座席の「背凭れ」であるシートバックフレームを構成する2つのバックサイドフレームと、このバックサイドフレームを橋渡しするようにバックサイドフレームに溶接されたアッパーフレームがある。
【0004】
このバックサイドフレームとアッパーフレームの溶接としては、一般的にはアーク溶接が採用されているが、最近では生産性の高いレーザー溶接が採用されている。レーザー溶接を採用したシートバックフレームとしては、例えば、特表2008-520356号公報(特許文献1)に記載のものが知られている。
【0005】
レーザー溶接の場合は、溶接時に溶かされる金属材料が少ないため、溶接部分のプレス部品同士の密着度の高さが求められる。このため、特許文献1においては、溶接される2つのプレス部品の一方、ここではバックサイドフレームに相対的に柔らかい部分としての溶接タブを形成している。
【0006】
そして、クランプ装置で溶接タブを他方の硬いプレス部品、ここではアッパーフレームの側に強制的に変位させて相互の密着度を高め、この状態でレーザー光を溶接タブに照射して、2つのプレス部品を溶接するようにしている。このような構成にすれば、2つのプレス部品の互いに接合される接合面の間に隙間が生じ難くなり、良好なレーザー溶接を行なうことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、最近ではシートバックフレームの機械的剛性を高めることが要請されている。このためには、アッパーフレームの断面形状を「コ」字状に形成して機械的剛性を高める構成が有効である。また、このような構成だと同じ機械的剛性であれば材料の板厚等を薄くでき、シートバックフレームの軽量化を図ることができる。
【0009】
ただ、このような形状だと特許文献1のような溶接タブを設けてレーザー溶接を行うことは困難である。このため、本発明者等は新たに
図9~
図10に示すような構成の形状のシートバックフレームを提案した。
【0010】
図9において、シートバックフレーム30を構成するバックサイドフレーム31の上側にはアッパーフレーム32が橋渡しされるように固定されている。そして、バックサイドフレーム31の上端部分31Uには、アッパーフレーム32の右側の端部32Rが、バックサイドフレーム31の上端部分31Uを覆うようにしてレーザー溶接されている。もちろん、アッパーフレーム32の左側の端部についても同様の溶接が施されている。
【0011】
アッパーフレーム31の機械的剛性を高める構成として、
図10に示しているように、アッパーフレーム31の長手方向(軸方向)に直交する断面が、「コ」字状の形状とされている。そして、アッパーフレーム32の端部32Rが、バックサイドフレーム31の上端部分31Uを覆う状態で、レーザー溶接によって3か所の溶接領域W1、W2、W3で溶接が行われている。(
図9参照)
図10は
図9のA-A断面を示しており、バックサイドフレーム31の表側にアッパーフレーム32が配置されている。アッパーフレーム32の長手方向(軸方向)に直交する断面は、いわゆる「ハット」形状に形成されており、断面で見て正面領域部32Fと、これの両側(紙面では上下側)に垂直に折り曲げられた上側面領域部32S-U、及び下側面領域部32S-Bと、上側面領域部32S-U、及び下側面領域部32S-Bから、正面領域部32Fと略平行で外側に垂直に折り曲げられた上鍔部32B-U、及び下鍔部32B-Bから形成されている。したがって、上鍔部32B-U、及び下鍔部32B-Bは、正面領域部32Fから見て後退した位置に形成されていることになる。
【0012】
一方、バックサイドフレーム31の上端31Uには、フレーム本体31Mと、このフレーム本体31Mから折り曲げられた、或いは切り起こされた、アッパーフレーム32の正面領域部32Fと略平行な補強ビーム31Bが形成されている。
【0013】
そして、アッパーフレーム32の端部32Rが、バックサイドフレーム31の上端部分31Uを覆う状態で、アッパーフレーム32の上鍔部32B-U、及び下鍔部32B-Bとバックサイドフレーム31のフレーム本体31Mとがレーザー溶接され、更にアッパーフレーム32の正面領域部32Fとバックサイドフレーム31の補強ビーム31Bとがレーザー溶接され、
図10の破線丸印に示すように、3か所の溶接領域W1、W2、W3で溶接が行われている。
【0014】
上述したように、良好なレーザー溶接を行なうためには、溶接領域W1であるアッパーフレーム32の正面領域部32Fとバックサイドフレーム31の補強ビーム31Bの間を密着させ、同様に溶接領域W2、W3であるアッパーフレーム32の上下鍔部32B-U、32B-Bとバックサイドフレーム31のフレーム本体31Mの間を密着させることが重要である。
【0015】
しかしながら、レーザー溶接するために、バックサイドフレーム31とアッパーフレーム32を組み合せて溶接領域W1~W3をクランプ装置で密着させようとした場合、バックサイドフレーム31やアッパーフレーム32の寸法ばらつきよって、バックサイドフレーム31の補強ビーム31Bとアッパーフレーム32の正面領域部32Fとの間、及びアッパーフレーム32の上下鍔部32B-U、32B-Bとバックサイドフレーム31のフレーム本体31Mの間の何れかが密着しない現象が生じる。
【0016】
図10では、バックサイドフレーム31のフレーム本体31Mから補強ビーム31Bのアッパーフレーム32の正面領域部32Fの溶接面までの長さ(B)に比べて、アッパーフレーム12の正面領域部12Fの溶接面から、アッパーフレーム12の上下鍔部12B-U、12B-Bの溶接面までの長さ(A)の方が長くなって、バックサイドフレーム31の補強ビーム31Bとアッパーフレーム32の正面領域部32Fとの間に隙間が生じている状態を示している。尚、図面では隙間を誇張して描いている。
【0017】
図11は、補強ビーム31Bと正面領域部32Fとの間に隙間が生じ、溶接面が密着しない状態で、レーザー溶接を行った結果を示しており、レーザー光(LB)が照射される側の正面領域部32Fの溶接面の金属材料が溶けて貫通孔(H)が生成され、貫通孔(H)が形成される前の金属材料は液状となって正面領域部32Fの溶接面と補強ビーム31Bの溶接面の間の隙間(G)に流れて固化されている。
【0018】
このため、正面領域部32Fの溶接面と補強ビーム31Bの溶接面の溶けた金属材料(WM)が交じり合わず、溶接不良を生じることになる。実際には、
図10にあるように、バックサイドフレーム31の補強ビーム31Bとアッパーフレーム32の正面領域部32Fとの間で隙間(G)を生じて溶接不良を生じる場合が多い。
【0019】
本発明者等の知見によると、隙間(G)が0.2mmを超えると良好なレーザー溶接ができないことが判明した。このため、溶接領域W1、W2、W3での隙間(G)をできるだけ小さく、好ましくは隙間(G)を0.2mm以下に管理して良好なレーザー溶接を行なうことができるシートフレーム及びシートフレームの製造方法が求められている。
【0020】
本発明の目的は、少なくとも第1のフレーム(例えば、アッパーフレーム)の正面領域部と第2のフレーム(例えば、バックサイドフレーム)の補強ビームとの間、及び第1のフレームの上鍔部、下鍔部と第2のフレームのフレーム本体の間の3か所を密着させて良好なレーザー溶接を行なうことができるシートフレームの製造方法、及びシートフレームを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の第1の特徴は、
長手方向に直交する断面が、正面領域部、及びこの正面領域部より後退して形成された2つの鍔部を有する形状に形成された第1のフレームと、正面領域部と溶接される補強ビームと2つの鍔部と溶接される溶接面が形成された第2のフレームとを溶接して固定したシートフレームの製造方法において、
第1のフレームの正面領域部と第2のフレームの補強ビーム、及び第1のフレームの一方の鍔部と第2のフレームの溶接面を機械的な外力によって密着させる第1密着工程と、この第1密着工程の後に第1のフレームの他方の鍔部を機械的な外力によって強制的に撓ませて第2のフレームの溶接面と密着させる第2密着工程からなるクランプ工程と、
クランプ工程の後で、第1のフレームの正面領域と第2のフレームの補強ビームとの間、及び第1のフレームの2つの鍔部と第2のフレームの溶接面の間をレーザー溶接で溶接する溶接工程と
を実行するシートフレームの製造方法にある。
【0022】
本発明の第2の特徴は、
長手方向に直交する断面が、正面領域部、及びこの正面領域部より後退して形成された2つの鍔部を有する形状に形成された第1のフレームと、正面領域部と溶接される補強ビームと2つの鍔部と溶接される溶接面が形成された第2のフレームとを溶接して固定したシートフレームにおいて、
第1のフレームの正面領域部と第2のフレームの補強ビームを密着させた状態でレーザー溶接して形成された第1溶接領域と、
第1のフレームの一方の鍔部と第2のフレームの溶接面とを密着させた状態でレーザー溶接して形成された第2溶接領域と、
第1のフレームの他方の鍔部を機械的な外力によって強制的に撓ませて第2のフレームの溶接面と密着させた状態でレーザー溶接して形成された第3溶接領域と
を備えたシートフレームにある。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、第1のフレームの正面領域部と第2のフレームの補強ビームとの間、及び第1のフレームの2つの鍔部と第2のフレームの溶接面の間を密着させてレーザー溶接を行なうことができ、溶接不良を可及的に少なくすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施形態である、シートバックフレームの外観斜視図である。
【
図2】
図1に示すシートバックフレームの正面図である。
【
図3】
図1に示すシートバックフレームの上面図である。
【
図4】
図1に示すシートバックフレームの右側面図である。
【
図5】
図1に示すシートバックフレームのバックサイドフレームとアッパーフレームの固定部付近の拡大斜視図である。
【
図6】
図5のB-B断面を示し、クランプ装置でバックサイドフレームとアッパーフレームをクランプして溶接する前の状態を示す断面図である。尚、クランプ装置の表示は省略している。
【
図7】
図5のB-B断面を示し、クランプ装置でバックサイドフレームとアッパーフレームをクランプして溶接する時の状態を示す断面図である。尚、クランプ装置の表示は省略している。
【
図8】
図1に示すシートバックフレームの構成部品を溶接する順序を説明する説明図である。尚、クランプ装置の表示は省略している。
【
図9】従来のシートバックフレームのバックサイドフレームとアッパーフレームの固定部付近の拡大斜視図である。
【
図10】
図9のA-A断面を示し、クランプ装置でバックサイドフレームとアッパーフレームをクランプして溶接する前の状態を示す断面図である。尚、クランプ装置の表示は省略している。
【
図11】
図10のバックサイドフレームとアッパーフレームを溶接した時の状態を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、本発明の技術的な概念の中で種々の変形例や応用例をもその範囲に含むものである。
【0026】
図1~
図4は、本発明の実施形態であるシートバックフレームの構成を示しており、このシートバックフレーム10は、主にバックサイドフレーム(請求項でいう第2のフレーム)11、アッパーフレーム(請求項でいう第1のフレーム)12、及びロアフレーム13とで構成されている。尚、座面を構成するシートクッションフレーム等は省略している。
【0027】
ここで、
図1はシートフレームを構成するシートバックフレームの外観を示し、
図2はシートバックフレームの正面を示し、
図3はシートバックフレームの上面を示し、
図4はシートバックバッフレームの右側面を示している。
【0028】
図1~
図4において、シートバックフレーム10は、左右の一対のバックサイドフレーム11、アッパーフレーム12、及びロアフレーム13が枠状に組み合わされて構成されている。バックサイドフレーム11は、プレス成形された鉄板から成り、平面の殆どが前後方向に沿うように形成されている。
【0029】
アッパーフレーム12は、後方に開いた「ハット」形状の断面にプレス成形された鉄板から成り、その左右両端部が左右のバックサイドフレーム11の上部に溶接によって固定されている。また、ロアフレーム13は、プレス成形された鉄板から成り、平面の殆どが上下方向に沿うように形成され、その左右両端部が左右のバックサイドフレーム11の下部に溶接によって固定されている。
【0030】
尚、アッパーフレーム12とロアフレーム13は、バックサイドフレーム11に比べて相対的に柔らかい金属(例えば、軟鉄)で作られており、変形がし易い特性を備えている。これによって、後述のクランプ工程で、アッパーフレーム12とバックサイドフレーム11の溶接領域の密着性を高めることに寄与している。
【0031】
また、バックサイドフレーム11の下端側には回転支持軸14が貫通されており、バックサイドフレーム11は、この回転支持軸14の回りで回転することができ、これによって、座席の「背凭れ」を前後に倒すことができる。回転支持軸14は図示しないシートクッションフレームに取り付けられている。
【0032】
アッパーフレーム12は、長手方向(軸方向)に直交する断面が、正面領域部12Fと、これより後退して形成された2つの鍔部12B-U、12B-Bを有する形状に形成されている。正面領域部12Fは、バックサイドフレーム11の上端と溶接される溶接領域W1が形成され、下側鍔部12B-Bは、バックサイドフレーム11の上端と溶接される溶接領域W2が形成され、上側鍔部12B-Uは、バックサイドフレーム11の上端と溶接される溶接領域W3が形成されている。
【0033】
次に、バックサイドフレーム11とアッパーフレーム12のクランプ装置によるクランプ工程について説明する。
【0034】
図5において、シートバックフレーム10を構成するバックサイドフレーム11の上側には、アッパーフレーム12が橋渡しされるように固定されている。そして、バックサイドフレーム11の上端部分11Uには、アッパーフレーム12の右側の端部12Rが、バックサイドフレーム11の上端部分11Uを覆うようにしてレーザー溶接されている。もちろん、アッパーフレーム12の左側の端部についても同様の溶接が施されている。
【0035】
アッパーフレーム12には、アッパーフレーム12の機械的剛性を高める構成として、
図6に示しているように、アッパーフレーム11の長手方向(軸方向)に直交する断面が「ハット」形状とされている。そして、アッパーフレーム12の端部12Rが、バックサイドフレーム11の上端部分11Uを覆う状態で、レーザー溶接によって3か所の溶接領域W1、W2、W3で溶接が行われている。
【0036】
つまり、溶接領域W1は、アッパーフレーム12の正面領域部12Fに形成された平面領域12F-Mに形成され、溶接領域W2は、アッパーフレーム12の平面状の下鍔部12B-Bに形成され、溶接領域W3は、アッパーフレーム12の平面状の上鍔部12B-Uに形成されている。また、夫々の溶接領域W1~W3は、レーザー溶接のC字状の溶接部を含む大きさに決められている。
【0037】
ここで、アッパーフレーム12の断面が「ハット」形状であるため、アッパーフレーム12の平面領域12F-Mは変形し難く、下鍔部12B-B、及び上鍔部12B-Uは変形し易くなっている。このため、本実施形態では、下鍔部12B-Bや上鍔部12B-Uを変形させて密着させることを特徴としている。尚、「ハット」形状については後述する。
【0038】
また、平面領域12F-M、下鍔部12B-B、及び上鍔部12B-Uを平面状に形成しているのは、密着性を高めてレーザー溶接の溶接品質を高めるためである。もちろん、平面領域12F-M、下鍔部12B-B、及び上鍔部12B-Uと溶接される、補強ビーム11Bの溶接面やバックサイドフレーム11のフレーム本体11Mの溶接面も、これに合せて平面状に形成されている。
【0039】
更に、溶接される平面領域12F-M、下鍔部12B-B、及び上鍔部12B-Uの平面部分は、全てアッパーフレーム12に形成されているため、平面部分を形成する工程を、平面領域12F-M、下鍔部12B-B、及び上鍔部12B-Uを形成するための成形工程に集約することができ、生産性を高めることができる。
【0040】
尚、アッパーフレーム12の端部12Rには、クランプ装置の位置決め孔15が形成されており、この位置決め孔15には、クランプ装置に設けた位置決めピンが挿入されて、クランプ装置とシートバックフレーム10の位置決めが行われる。
【0041】
図6は、溶接される前の
図5のB-B断面を示しており、バックサイドフレーム11の表側にアッパーフレーム12が配置されている。アッパーフレーム12の長手方向(軸方向)に直交する断面は、いわゆる「ハット」形状に形成されており、断面で見て正面領域部12Fと、これの両側(紙面で上下側)に垂直に折り曲げられた上側面領域部12S-U、及び下側面領域部12S-Bと、上側面領域部12S-U、及び下側面領域部12S-Bから、正面領域部12Fと略平行で外側に垂直に折り曲げられた上鍔部12B-U、及び下鍔部12B-Bから形成されている。
【0042】
このように、上鍔部12B-U、及び下鍔部12B-Bは、上側面領域部12S-U、及び下側面領域部12S-Bを介して、正面領域部12Fから見て後退した位置に形成されており、この形状が「帽子」を意味する英語呼称の「ハット」に類似しているので、一般的に「ハット」形状と呼ばれている。
【0043】
一方、バックサイドフレーム11の上端11Uには、フレーム本体11Mと、このフレーム本体11Mから折り曲げられた、或いは切り起こされた、アッパーフレーム12の正面領域部12Fと略平行な補強ビーム11Bが形成されている。バックサイドフレーム11は、アッパーフレーム12に比べて相対的に硬い金属材料(例えば、炭素含有量が多い鉄系金属材料)で作られているので、変形がし難い構成となっている。
【0044】
そして、アッパーフレーム12の端部12Rが、バックサイドフレーム11の上端部分11Uを覆う状態で、アッパーフレーム12の上鍔部12B-U、及び下鍔部12B-Bとバックサイドフレーム11のフレーム本体11Mとがレーザー溶接され、更にアッパーフレーム12の正面領域部12Fとバックサイドフレーム11の補強ビーム11Bとがレーザー溶接され、
図7の破線丸印に示すように、3か所の溶接領域W1、W2、W3で溶接が行われている。
【0045】
図6は、レーザー溶接を行なう前の状態を示しており、特にクランプ装置による機械的な外力によって、アッパーフレーム12をバックサイドフレーム11に押し当てている状態である。この時のクランプ装置においては、3個の押圧片によってアッパーフレーム12に機械的な外力を加えて、アッパーフレーム12をバックサイドフレーム11に押し当てている。
【0046】
つまり、アッパーフレーム12の平面領域12F-Mを補強ビーム11Bに押し当てる正面領域用押圧片15Mと、アッパーフレーム12の下鍔部12B-Bをバックサイドフレーム11のフレーム本体11Mに押し当てる下鍔部用押圧片15Bと、アッパーフレーム12の上鍔部12B-Uをバックサイドフレーム11のフレーム本体11Mに押し当てる上鍔部用押圧片15Uとによって、アッパーフレーム12をバックサイドフレーム11に押し当てている。
【0047】
尚、バックサイドフレーム11のアッパーフレーム12とは反対側の面は、クランプ受け部によって受け止められており、夫々の押圧片15M、15B、15Uから与えられる機械的な押し付け力を受け止め、アッパーフレーム12の平面領域12F-Mと補強ビーム11B、アッパーフレーム12の下鍔部12B-Bとバックサイドフレーム11のフレーム本体11M、及びアッパーフレーム12の上鍔部12B-Uとバックサイドフレーム11のフレーム本体11Mを密着させている。
【0048】
ここで、本実施形態では夫々の押圧片15M、15U、15Bをアッパーフレーム12に押し当てる順序が重要であり、最初に正面領域用押圧片15M、及び下鍔部用押圧片15Bによって、アッパーフレーム12の平面領域12F-Mを補強ビーム11Bに押し当て、同時にアッパーフレーム12の下鍔部12B-Bをバックサイドフレーム11のフレーム本体11Mに押し当てる。
【0049】
尚、バックサイドフレーム11に形成した補強ビーム11Bの溶接面までの長さ、言い換えれば、バックサイドフレーム11のフレーム本体11Mの溶接面から補強ビーム11Bのアッパーフレーム12の正面領域部12Fの溶接面までを長さ(Hb)としたとき、アッパーフレーム12の正面領域部12Fの溶接面から、アッパーフレーム12の上下鍔部12B-U、12B-Bの溶接面までの長さ(Hu)は短く形成されている。
【0050】
このように、「Hb>Hu」の関係に設定されているので、上下鍔部12B-U、12B-Bの溶接面とフレーム本体11Mの溶接面との間には、所定の隙間が形成される。この寸法関係は、バックサイドフレーム11とアッパーフレーム12の公差より生じる、上下鍔部12B-U、12B-Bの溶接面とフレーム本体11Mの溶接面との間の隙間より大きいものである。
【0051】
このため、アッパーフレーム12の平面領域12F-Mは確実に補強ビーム11Bの溶接面に密着し、同様にアッパーフレーム12の下鍔部12B-Bも変形することによって、バックサイドフレーム11のフレーム本体11Mと密着することになる。このように、アッパーフレーム12の平面領域12F-Mと補強ビーム11B、及びアッパーフレーム12の下鍔部12B-Bとバックサイドフレーム11のフレーム本体11Mとは、互いに密着した状態となって、夫々の隙間を0.2mm以下に抑えることができる。
【0052】
ここで、この状態では、アッパーフレーム12の上鍔部12B-Uとバックサイドフレーム11のフレーム本体11Mの間には隙間が生じており、これらは密着していない。そこで、正面領域用押圧片15M、及び下鍔部用押圧片15Bによって、アッパーフレーム12の平面領域12F-Mを補強ビーム11Bに押し当て、同時にアッパーフレーム12の下鍔部12B-Bをバックサイドフレーム11のフレーム本体11Mに押し当てた(請求項でいう第1密着工程)後に、所定の時間差を有して上鍔部用押圧片15Uによって、アッパーフレーム12の上鍔部12B-Uをバックサイドフレーム11のフレーム本体11Mに押し当てる(請求項でいう第2密着工程)。尚、図中の○印の付番はクランプ装置による機械的な外力を与える順番を示している。
【0053】
こうすると、アッパーフレーム12の平面領域12F-Mを、正面領域用押圧片15Mによって補強ビーム11Bに押し当てているので、この部分は拘束状態となり、アッパーフレーム12の上鍔部12B-Uを上鍔部用押圧片15Uでバックサイドフレーム11のフレーム本体11Mに押し当てると、上鍔部12B-Uと上側面領域部12S-Uの間で撓みを発生して変形し、アッパーフレーム12の上鍔部12B-Uとバックサイドフレーム11のフレーム本体11Mが互いに密着した状態となって、夫々の隙間を0.2mm以下に抑えることができる。
【0054】
ただ、バックサイドフレーム11のフレーム本体11Mから補強ビーム11Bのアッパーフレーム12の正面領域部12Fの溶接面までの長さ(Hb)と、アッパーフレーム12の正面領域部12Fの溶接面からアッパーフレーム12の上下鍔部12B-U、12B-Bの溶接面までの長さ(Hu)は、以下に説明するように、上鍔部押圧片15Uで押圧した時に、上鍔部12B-Uと上側面領域部12S-Uが変形して撓み、上鍔部12B-Uがバックサイドフレーム11のフレーム本体11Mに密着できる程度の寸法関係に設定されていることが重要である。
【0055】
仮に正面領域用押圧片15Mだけで、アッパーフレーム12をバックサイドフレーム11に押し付けた場合、上鍔部12B-Uと下鍔部12B-Bは、バックサイドフレーム11のフレーム本体11Mとの間に隙間を生じる。
【0056】
一方、正面領域用押圧片15Mと下鍔部用押圧片15Bで、アッパーフレーム12をバックサイドフレーム11に押し付けた場合、上鍔部12B-Uは、バックサイドフレーム11のフレーム本体11Mとの間に隙間を生じる。この状態で、上鍔部用押圧片15Uによって、上鍔部12B-Uをバックサイドフレーム11のフレーム本体11Mの側に押し当てると、上鍔部12B-Uと上側面領域部12S-Uの間で金属材料が弾性変形、或いは塑性変形して、上鍔部12B-Uとバックサイドフレーム11フレーム本体11Mが密着することになる。
【0057】
このようにして、アッパーフレーム12の上鍔部12B-U、及び下鍔部12B-Bがバックサイドフレーム11のフレーム本体11Mと密着され、更にアッパーフレーム12の正面領域部12Fとバックサイドフレーム11の補強ビーム12Bが密着されるので、レーザー溶接に必要とされる隙間を0.2mm以下に抑えることができる。
【0058】
上述の説明では平面領域12F-Mと下鍔部12B-Bを先にクランプしたが、平面領域12F-Mと上鍔部12B-Uを先にクランプした後に、下鍔部12B-Bをクランプすることも可能である。
【0059】
尚、上述した隙間を0.2mm以下にすることは、例示的に示したものであって、溶接されるフレームの金属材料、フレームの板厚、レーザー溶接のレーザー光の種類等によって変わる場合もある。本実施形態では、要は良好なレーザー溶接が可能な程度に密着されていれば良いことを意味している。
【0060】
次に、バックサイドフレーム11とアッパーフレーム12の夫々の密着された領域の溶接工程について説明する。
【0061】
図7において、正面領域用押圧片15M、下鍔部用押圧片15B、及び上鍔部用押圧片15Uによって、アッパーフレーム12がバックサイドフレーム11に押し付けられている状態において、レーザー溶接機によってレーザー光(LB)が、夫々の溶接領域W1~W3に向けて照射される。
【0062】
そして、アッパーフレーム12をバックサイドフレーム11に溶接する場合は、先ず、アッパーフレーム12の平面領域12F-Mと補強ビーム11Bの間を溶接する。次に、下鍔部12B-Bとフレーム本体11Mの間を溶接し、最後に上鍔部12B-Uとフレーム本体11Mの間を溶接して、アッパーフレーム12とバックサイドフレーム11の溶接を完了する。
【0063】
このように、アッパーフレーム12の正面領域部12Fとバックサイドフレーム11の補強ビーム12Bを密着し、更にアッパーフレーム12の上鍔部12B-U、及び下鍔部12B-Bとバックサイドフレーム11のフレーム本体11Mを密着して、レーザー溶接に必要とされる所定の隙間(0.2mm以下)を確保して、レーザー溶接を行なうので、溶接不良を可及的に少なくすることが可能となる。
【0064】
図7に示しているように、アッパーフレーム12の平面領域12F-Mとバックサイドフレーム11の補強ビーム12Bの溶接領域W1、アッパーフレーム12の上鍔部12B-Uとバックサイドフレーム11のフレーム本体11Mの溶接領域W2、及び下鍔部12B-Bとバックサイドフレーム11のフレーム本体11Mの溶接領域W3は、同じ方向からレーザー光(LB)が照射されるので、溶接工程中にシートバックフレーム10の反転動作、回転動作、裏返し動作、または移動動作等を行なう必要がなく、溶接工程を簡略化でき、生産コストを下げることができる。
【0065】
以上は、バックサイドフレーム11とアッパーフレーム12の間のクランプ工程と溶接工程を部分的に説明したものであるが、次にシートバックフレーム10の全体の溶接工程について説明する。
【0066】
図8は、シートバックフレーム10の正面を示しており、シートバックフレーム10には、固定装置16によって強固に固定されている。この状態でクランプ装置によって、シートバックフレーム11にロアフレーム13、アッパーフレーム12が押し付けられている。尚、クランプ装置の表示は省略している。
【0067】
ここで、クランプ装置によるクランプの順序は、紙面で見て左右のアッパーフレーム12の平面領域12F-Mを補強ビーム11Bに押し当て、同時に左右のアッパーフレーム12の下鍔部12B-Bをバックサイドフレーム11のフレーム本体11Mに押し当て、次に左右のアッパーフレーム12の上鍔部12B-Uをバックサイドフレーム11のフレーム本体11Mに押し当て、最後に、左右のロアフレーム13の平面領域13F-Bをバックサイドフレーム11のフレーム本体11Mに押し付けている。これによって、溶接工程に移行する準備が完了する。
【0068】
次に、溶接工程に移行するが、レーザー溶接機の出射ユニットは、夫々の溶接個所を順次溶接している。尚、夫々の溶接個所に付した○付の付番は溶接順序を示している。
【0069】
最初に、紙面において右側のロアフレーム13F-Bを溶接し、次に、左側のロアフレーム13F-Bを溶接する。次に、左側のアッパーフレーム12の平面領域12F-Mと補強ビーム11Bを溶接し、左側のアッパーフレーム12の下鍔部12B-Bとバックサイドフレーム11のフレーム本体11Mを溶接し、左側のアッパーフレーム12の上鍔部12B-Uとバックサイドフレーム11のフレーム本体11Mを溶接する。
【0070】
次に、右側のアッパーフレーム12の平面領域12F-Mと補強ビーム11Bを溶接し、右側のアッパーフレーム12の下鍔部12B-Bとバックサイドフレーム11のフレーム本体11Mを溶接し、最後に右側のアッパーフレーム12の上鍔部12B-Uとバックサイドフレーム11のフレーム本体11Mを溶接する。
【0071】
このような溶接工程によって、シートバックフレーム11にロアフレーム13、アッパーフレーム12が溶接されている。
【0072】
以上に説明した実施形態では、代表的な例としてバックサイドフレームにアッパーフレームを溶接する場合を示したが、ロアフレームをアッパーフレームのように構成して、同様の実施形態とすることができ、更には他のフレーム同士を同様の構成とすることもできる。
【0073】
以上の通り、本発明は、長手方向に直交する断面が、正面領域部、及びこの正面領域部より後退して形成された2つの鍔部を有する形状に形成された第1のフレームと、正面領域部と溶接される補強ビームと2つの鍔部と溶接される溶接面が形成された第2のフレームとを溶接して固定したシートフレームの製造方法において、第1のフレームの正面領域と第2のフレームの補強ビーム、及び第1のフレームの一方の鍔部と第2のフレームの溶接面を機械的な外力によって密着させる第1密着工程と、この第1密着工程の後に第1のフレームの他方の鍔部を機械的な外力によって強制的に撓ませて第2のフレームの溶接面と密着させる第2密着工程からなるクランプ工程と、クランプ工程の後で、第1のフレームの正面領域と第2のフレームの補強ビームとの間、及び第1のフレームの2つの鍔部と第2のフレームの溶接面の間をレーザー溶接で溶接する溶接工程とを実行することを特徴としている。
【0074】
また、本発明は、長手方向に直交する断面が、正面領域部、及びこの正面領域部より後退して形成された2つの鍔部を有する形状に形成された第1のフレームと、正面領域部と溶接される補強ビームと2つの鍔部と溶接される溶接面が形成された第2のフレームとを溶接して固定したシートフレームにおいて、第1のフレームの正面領域部と第2のフレームの補強ビームを密着させた状態でレーザー溶接して形成された第1溶接領域と、第1のフレームの一方の鍔部と第2のフレームの溶接面とを密着させた状態でレーザー溶接して形成された第2溶接領域と、第1のフレームの他方の鍔部を機械的な外力によって強制的に撓ませて第2のフレームの溶接面と密着させた状態でレーザー溶接して形成された第3溶接領域とを備えていることを特徴としている。
【0075】
これによれば、第1のフレームの正面領域と第2のフレームの補強ビームとの間、及び第1のフレームの2つの鍔部と第2のフレームの溶接面の間を密着させてレーザー溶接を行なうことができ、溶接不良を可及的に少なくすることができる。
【0076】
尚、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0077】
10…シートバックフレーム、11…バックサイドフレーム、11M…フレーム本体、12…アッパーフレーム、12B-B…下鍔部、12B-U…上鍔部、12F…正面領域部、12F-M…平面領域、13…ロアサイドフレーム、14…回転支持軸、15M、15U、15B…押圧片。