(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-07
(45)【発行日】2023-04-17
(54)【発明の名称】飲料自動販売機
(51)【国際特許分類】
A47J 31/44 20060101AFI20230410BHJP
G07F 13/00 20060101ALI20230410BHJP
【FI】
A47J31/44 430
G07F13/00 101
(21)【出願番号】P 2020519689
(86)(22)【出願日】2018-10-19
(86)【国際出願番号】 IB2018058153
(87)【国際公開番号】W WO2019077576
(87)【国際公開日】2019-04-25
【審査請求日】2021-08-13
(32)【優先日】2017-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】102017000146643
(32)【優先日】2017-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】519201606
【氏名又は名称】カリマリ ソチエタ ペル アツィオーニ
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】メラーティ,アレッサンドロ
(72)【発明者】
【氏名】ペッレッタ,マッシモ
(72)【発明者】
【氏名】アンジェレリ,パオロ
(72)【発明者】
【氏名】コッフェッティ,マルチェッロ
【審査官】吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0262729(US,A1)
【文献】特表2011-528928(JP,A)
【文献】特開2013-221593(JP,A)
【文献】特開2008-107922(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/44
G07F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミルク供給回路(2)を包含する飲料自動販売機(1)であって、前記ミルク供給回路(2)が、
- 冷ミルク・タンク(3)と、
- 可変速度ミルク・ポンプ(4)であって、ミルク吸引ダクト(5)を通して、前記冷ミルク・タンク(3)から冷ミルクを引き入れるべく前記冷ミルク・タンク(3)と流体接続され、かつ前記冷ミルク・タンク(3)から引き出された前記冷ミルクを泡立てる空気を前記ミルク・ポンプ(4)に選択的に供給させる空気ソレノイド・バルブ(7)が途中に用意された空気供給ダクト(6)を通して空気源と流体接続される吸引側と、冷ミルクに加えて空気が前記ミルク・ポンプ(4)に供給されたか否かに応じて滑らかな、または泡立てられた冷ミルクが引き渡される引き渡し側と、を有する前記可変速度ミルク・ポンプ(4)と、
- スチームを生成するスチーム発生器(8)と、
- ミルク・ヒータ(9)であって、空気による富化有り、または無しの冷ミルクを受け取るべくミルク引き渡し供給ダクト(10)を通じて前記ミルク・ポンプ(4)の前記引き渡し側と流体接続されるミルク取り入れ口と、前記ミルク・ポンプ(4)から受け取った空気による富化有り、または無しの前記冷ミルクを加熱するためのスチームの選択的な前記ミルク・ヒータ(9)への供給もさせるべくスチーム・ソレノイド・バルブ(12)が途中に用意されたスチーム供給ダクト(11)を通じて前記スチーム発生器(8)の吐き出し口と流体接続されるスチーム取り入れ口と、前記ミルク・ポンプ(4)に、冷ミルクに加えて空気が供給されたか否か、および前記ミルク・ヒータ(9)にスチームが供給されたか否かに応じて、冷または温の、滑らかな、または泡立てられたミルクが引き渡されるミルク吐き出し口と、を有する前記ミルク・ヒータ(9)と、
- 前記ミルク・ポンプ(4)および前記空気ソレノイド・バルブ(7)と電気的に接続され、前記ミルク・ポンプ(4)および前記空気ソレノイド・バルブ(7)の動作をコントロールし、前記ミルク供給回路(2)に、滑らかな、または泡立てられた冷または温ミルクの引き渡しをさせる、電子ミルク・コントロール・ユニット(15)と、を包含し、
前記電子ミルク・コントロール・ユニット(15)が、さらに、
- ミルクに関係する、
○ 前記冷ミルク・タンク(3)内の冷ミルクのタイプと、
○ 前記冷ミルク・タンク(3)内の前記冷ミルクの温度と、
を包含する
情報を決定し、かつ
- 前記決定したミルクに関係する
情報に基づいて前記ミルク・ポンプ(4)および前記空気ソレノイド・バルブ(7)の動作をコントロールするべく構成さ
れ、
前記電子ミルク・コントロール・ユニット(15)は、さらに、
- 追加のミルクに関係する、
○ 分注されるべき泡立ちの量と、
○ 分注されるべきミルクのタイプと、ここで、前記タイプは、冷たく滑らか、冷たい泡立ち、温かく滑らか、及び温かい泡立ちのうちの1つ以上を含み、
を包含する情報を決定し、かつ
- 前記決定した追加のミルクに関係する情報に基づいて前記ミルク・ポンプ(4)および前記空気ソレノイド・バルブ(7)の動作をコントロールするべく構成される、飲料自動販売機(1)。
【請求項2】
前記空気ソレノイド・バルブ(7)は、電子的にコントロールされるサーボ補助付きバルブであり、
- 空気取り入れ口(17)と、空気吐き出し口(18)と、空気室(19)とを有し、前記空気取り入れ口(17)および前記空気吐き出し口(18)と流体連通し、かつバルブ・シート(20)を画定する、バルブ本体(16)と、
- 前記バルブ本体(16)内に収容される可動シャッタ(21)であって、前記シャッタ(21)が前記バルブ・シート(20)と流体密に結合されて前記空気ソレノイド・バルブ(7)を閉じるバルブ閉位置から開始して、前記空気ソレノイド・バルブ(7)の種々の空気流出断面に対応する種々のバルブ開位置に到達する開行程を行う前記シャッタ(21)と、
- 前記バルブ本体(16)にマウントされ、前記シャッタ(21)と機能的に結合され、かつ前記電子ミルク・コントロール・ユニット(15)による電子的なコントロールが可能であり、受信した電気的な命令に応答して相反する方向に回転し、前記シャッタ(21)に、前記空気ソレノイド・バルブ(7)の前記種々のバルブ開位置をとらせるべく前記バルブ開および閉行程に沿った相反する軸方向変位を行わせる、ギア・モータ(23)と、を包含し;前記ギア・モータ(23)には、前記電子ミルク・コントロール・ユニット(15)が、前記閉位置に関する前記シャッタ(21)の位置を決定することを可能にするといった、電気的な位置信号を出力する位置センサ(24)が備えられる、
請求項
1に記載の飲料自動販売機(1)。
【請求項3】
前記シャッタ(21)は、前記空気ソレノイド・バルブ(7)の前記バルブ開位置における断面が前記シャッタ(21)の前記開行程に沿って漸増する環状の空気流出通路を、前記バルブ・シート(20)とともに定める円錐台形状先端を有するピン(22)を包含する、請求項
2に記載の飲料自動販売機(1)。
【請求項4】
前記電子ミルク・コントロール・ユニット(15)は、さらに、
- 前記飲料自動販売機(1)の電子メイン・コントロール・ユニット(29)から、フィールドバス・ベースの通信ネットワーク(28)を通じて、前記ミルク・ポンプ(4)および前記空気ソレノイド・バルブ(7)の動作に関係する命令を受信し、
- 前記位置センサ(24)から前記電気的な位置信号を受信し、かつ
- 前記ミルクに関係する
情報および前記電気的な位置信号に基づいて前記受信した命令を解釈し、かつ実行して、前記ミルク・ポンプ(4)および前記空気ソレノイド・バルブ(7)のための電気的な駆動信号を応答的に生成するべく構成される、
請求項
2または
3に記載の飲料自動販売機(1)。
【請求項5】
前記電子ミルク・コントロール・ユニット(15)は、さらに、
- 前記電子メイン・コントロール・ユニット(29)から受信した電気的な命令に応答して、前記分注される飲料内の前記泡立てられたミルクの舌触りを調整するように、前記ギア・モータ(23)のための電気的な駆動信号を出力するべく構成される、
請求項
4に記載の飲料自動販売機(1)。
【請求項6】
前記電子ミルク・コントロール・ユニット(15)は、さらに、前記シャッタ(21)に、最初に前記閉位置をとらせた後、前記分注される飲料内において獲得されるべき前記ミルクの前記舌触りに対応する位置まで漸進的に移動する開行程を行わせ、かつその後、前記ミルクの前記泡立ちの表面のきめを細かくし、かつ大きな気泡が低減されるかまたは排除されるように前記閉位置まで戻る閉行程を行わせるようにする前記ギア・モータ(23)のための電気的な駆動信号を生成することによって、前記分注される飲料内の前記泡立てられたミルクの前記舌触りを調整するべく構成される、請求項
5に記載の飲料自動販売機(1)。
【請求項7】
前記電子ミルク・コントロール・ユニット(15)は、電子プリント回路基板を包含し、前記電子プリント回路基板は、
- 前記位置センサ(24)への接続のための入力インターフェース(25)と、
- 前記ギア・モータ(23)および前記ミルク・ポンプ(4)への接続のための出力インターフェース(26)と、
- 前記フィールドバス・ベースの通信ネットワーク(28)への接続のための通信インターフェース(27)と、
- 前記電子プリント回路基板上の構成要素と、前記ギア・モータ(23)と、前記位置センサ(24)とに電力を供給するために外部電力源と接続するための電力供給インターフェース(30)と、
- 前記ギア・モータ(23)および前記ミルク・ポンプ(4)のための電気駆動信号を出力するドライバ(32)と、
- 前記電子ミルク・コントロール・ユニット(15)の動作と関連付けされたデータをストアしているメモリ(33)と、
- 前記電子プリント回路基板上の他の構成要素と電気的に接続され、前記電子メイン
・コントロール・ユニット(29)から受信された電気的な命令に応答して前記ミルク・ポンプ(4)および前記ギア・モータ(23)の動作をコントロールするべくプログラムされたマイクロコントローラ(34)と、
を包含する、請求項
4から
6のいずれか一項に記載の飲料自動販売機(1)。
【請求項8】
請求項1乃至
7のいずれか一項に記載の飲料自動販売機(1)内のミルク供給回路(2)のための電子ミルク・コントロール・ユニット(15)であって、請求項1、
4、
5、
6、および
7のいずれか一項に記載されたとおりに構成される電子ミルク・コントロール・ユニット(15)。
【請求項9】
請求項1乃至
7のいずれか一項に記載の飲料自動販売機(1)内のミルク供給回路(2)のための電子ミルク・コントロール・ユニット(15)にロード可能なソフトウエアであって、実行されたときに、前記電子ミルク・コントロール・ユニット(15)を、請求項1、
4、
5、
6、および
7のいずれか一項に記載されたとおりに構成させるべく構成されるソフトウエア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
この特許出願は、2017年10月19日に提出された欧州特許出願公開第17197399.3号および2017年12月19日に提出された伊国特許出願公開第102017000146643号の優先権を主張し、これらの文献のすべての内容は、参照によってこれに援用される。
【0002】
本発明は、飲料自動販売機に関し、特に、たとえば、エスプレッソ・コーヒー、インスタント・コーヒー、ロング・ブラック、または淹れ立てのコーヒーといったコーヒー・ベースの飲料等の加圧された熱湯を用いて淹れられる淹出可能な物質から熱い飲料を、または茶葉ベースの飲料を提供するための機械に関し、また特に、特定の熟練または専門技術を伴わない従業員またはユーザにさえも、感覚刺激性および審美性両方の観点から、すなわち適正な量のミルクが入り、トップのミルク発泡層が適切な高さおよび一貫性を有する品質の高いミルク入り飲料を作ることをねらいとする飲料自動販売機の電子コントロールに関する。
【背景技術】
【0003】
周知のとおり、飲料自動販売機は、すべてが1つの同じ淹出可能物質で、または異なる淹出可能物質で満たし得る明確に区別される容器によって、または単一容器内の別々の小室によって画定できる1つまたは複数の容器を包含する淹出可能物質貯蔵ユニットが用意された上部の淹出可能物質貯蔵エリアと、1つの同じ淹出プロセスまたは異なる淹出プロセスのうちのいずれかを実行し、容器内に入れられ、かつ、異なる、特にコーヒーまたはミルクの場合のように粉体の、またはコーヒーの場合のように粉体および細粒の、または茶の場合のように葉の形式をとる淹出可能物質から1つの同じタイプの飲料または異なるタイプの飲料のうちのいずれかを作るべく構成された1つまたは複数の淹出グループを包含する淹出ユニットが用意された中間淹出エリアと、淹出ユニットによって作られた飲料を分注するべく飲料分注ユニットが用意され、かつ、1つまたは複数の明確に区別される受け器(グラス、カップ等)内に1つのまたは異なる飲料を分注するように用意された1つまたは複数の飲料分注ノズルを包含する下部の飲料分注エリアと、を包含する。
【0004】
飲料自動販売機は、さらに、淹出飲料を作るべく熱い、または冷たい水を淹出ユニットへ供給する水供給回路と、淹出飲料に追加される熱い、または冷たい、泡立てられた、または滑らかなミルクを作るか、またはミルクのみの飲料を作るミルク供給回路と、を包含する。
【0005】
ミルク供給回路は、本質的に、冷ミルク・タンクと、提供する飲料のために適した量のミルクを冷ミルク・タンクから引き出すミルク・ポンプ、通常は可変速度ポンプと、冷ミルク・タンクから引き出したミルクを空気と混合するミルクの泡立てを選択的に行い、泡立てたかまたは滑らかなミルクを、スチームを用いて所望の温度に温め得るミルク泡立ておよび加熱グループと、を包含する。
【0006】
ミルクの泡立てに必要とされる空気の供給は、ミルク・ポンプによって冷ミルク・タンクから引き出されたミルクとともに吸引されて、ミルク・ポンプ内において冷ミルクが泡立てられる結果がもたらされるようにミルク・ポンプの上流において行うか、または泡立ておよび加熱部材内に直接、ミルクの加熱に必要とされるスチームとともに供給され、キャリアとして作用するスチーム流によって生成されるベンチュリ効果によってミルクが中に吸引されるようにミルク・ポンプの下流において行うことが可能である。最初のテクノロジ、すなわちミルク・ポンプの提供が伴えば、温および冷ミルク両方の泡立てが可能であるが、2番目のテクノロジ、すなわちスチーム流によって発生するベンチュリ効果の利用を用いると、温ミルクの泡立てだけしか可能でない。
【0007】
ミルクの加熱、およびオプションとしてのベンチュリ効果による、ミルクの泡立てに必要な空気の引き込みに必要とされるスチームは、水供給回路の水ヒータまたは専用の湯沸かし器内で生成され、水ヒータまたは湯沸かし器内においてスチームが帯びる圧力に起因してミルク泡立ておよび加熱部材に供給される。
【0008】
特許文献1は、外側からの空気の吸引および容器からのミルクの吸引を通じて種々の泡立ち値を伴った泡立ちまたは非泡立ちミルクを分注するための装置を開示している。当該装置は、ミルク容器と、外側に向かって開いた空気取り入れ口と、吸引ポンプと、吸引ポンプを作動するための電気モータと、空気取り入れ口と吸引ポンプとを接続する第1のダクトと、ミルク容器内に浸され、第1のダクトが吸引ポンプに接続されるポイントより上流側で第1のダクトと接合される第2のダクトと、ポンプの引き渡し側に接続され、ミルク分注ポイントで終わる第3のダクトと、を包含する。当該装置は、さらに、あらかじめ決定済みのプログラムに基づいて少なくとも吸引ポンプの電気モータの動作パラメータをコントロールするための中央コントロール・ユニットを包含する。最後に当該装置は、空気取り入れ口と、第1と第2のダクトの間の接合ポイントとの間において第1のダクト内に挿入される連続流れ率レギュレータを包含し、当該連続流れ率レギュレータは、それをコントロールするための中央コントロール・ユニットに接続される関連アクチュエータ部材を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】欧州特許出願公開 3 039 999 号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
出願人は、飲料自動販売機が、多くの側面で満足できるものであるとはいえ、概して、適格な熟練した従業員によって実行されるべき、かつミルク供給回路に関して特に負担の大きい複雑な較正段階を、感覚刺激性ならびに審美性両方の観点から、すなわち適正な量のミルクが入り、トップのミルク発泡層が適切な高さおよび一貫性を有する品質の高いミルクの入った飲料を分注するために必要とすることを経験して来た。
【0011】
本発明は、上に示されている問題および限界が少なくとも部分的に克服されることが可能となるように改良された飲料自動販売機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、付随する特許請求の範囲の中で請求されているとおり、飲料自動販売機が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】飲料自動販売機内のミルク供給回路を示した液圧回路図である。
【
図2】ミルク供給回路内の空気ソレノイド・バルブの構造を示した断面図である。
【
図3】
図2内の空気ソレノイド・バルブのシャッタ・ピンの異なる実施態様を示した斜視図である。
【
図4】ミルク供給回路内の電子ミルク・コントロール・ユニットを示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を、当業者がそれを製造し、使用することを可能にするべく、添付図面を参照して詳細に説明する。当業者には、ここに説明されている実施態様に対する多様な修正が直ちに明白になり、ここに説明されている一般原理を、付随する特許請求の範囲の中に定義されるとおりの本発明の保護範囲から逸脱することなしに、そのほかの実施態様および応用に適用することが可能になるであろう。したがって、本発明は、説明され、図解されている実施態様に限定されると見做されてはならず、むしろ、この中で説明され、請求されている原理および特徴に従った最も広い保護範囲に調和されなければならない。
【0015】
図1は、飲料自動販売機1内の、参照番号1を用いて全体が参照されるミルク供給回路を略図的に示している。
【0016】
図1に示されているとおり、ミルク供給回路2は、
- 冷ミルク・タンク3と、
- 可変速度ミルク・ポンプ4であって、ミルク吸引ダクト5を通して、中に入れられているミルクを引き入れるべく冷ミルク・タンク3と流体接続され、かつ選択された飲料に応じて、ミルク・タンク3から引き出されたミルクの泡立てに必要とされる量の空気をミルク・ポンプ4に供給するべく選択的に動作する空気ソレノイド・バルブ7が途中に用意された空気供給ダクト6を通して空気源(図示せず)と流体接続される吸引側と、ミルク・ポンプ4に空気が供給されたか否かに応じて滑らかな、または泡立てられたミルクを引き渡す引き渡し側を有する可変速度ミルク・ポンプ4と、
- 吸水ダクト(図示せず)を通じて水容器または水道水のいずれとしてもよい冷水源(図示せず)と流体接続される取り入れ口、および加圧スチームを引き渡す吐き出し口を有するスチーム発生器8と、
- ミルクヒータ9であって、ミルク・ポンプ4から空気による富化有り、または無しの冷ミルクを受け取るべくミルク供給ダクト10を通じてミルク・ポンプ4の引き渡し側と流体接続されるミルク取り入れ口と、選択された飲料に応じて、ミルク・ポンプ4からの空気による富化有り、または無しの冷ミルクを加熱するために必要とされる量のスチームをミルクヒータ9に供給するべく選択的に動作するスチーム・ソレノイド・バルブ12が途中に用意されたスチーム供給ダクト11を通じてスチーム発生器8の吐き出し口と流体接続されるスチーム取り入れ口と、飲料自動販売機1の淹出アッセンブリによって淹出された飲料を入れる受け器14(カップ、グラス等)に、冷または温の、滑らかな、または泡立てられたミルクが分注されるミルク引き渡しダクト13と接続される吐き出し口と、を有するミルクヒータ9と、
- ミルク・ポンプ4、空気ソレノイド・バルブ7、およびスチーム・ソレノイド・バルブ12の動作をコントロールして飲料自動販売機1に、飲料自動販売機1の較正を担当している従業員経験、または熟練度とは無関係に、感覚刺激性ならびに審美性両方の観点から、すなわち適正な量のミルクが入り、トップのミルク発泡層が適切な高さおよび一貫性を有する品質の高いミルクの入った飲料を作らせるべく、ミルク・ポンプ4、空気ソレノイド・バルブ7、およびスチーム・ソレノイド・バルブ12と電気的に接続される電子ミルク・コントロール・ユニット15と、を包含する。
【0017】
空気供給ダクト6は、外側から直接、オプションとして空気フィルタを通して、または空気吸引電気ポンプから到来する空気流を空気ソレノイド・バルブ7に供給するべく構成し得る。
【0018】
本発明のある側面によれば、空気ソレノイド・バルブ7が、極めて高い精度で空気の流出セクションを変化させる能力を持った電子コントロールされるサーボ補助付きバルブであり、したがって、ミルク・ポンプ4のミルク流れ率の変調に帰するミルク・ポンプ4の速度の変調とともに、泡立てられるミルクの量および質を希望どおりに調整することを可能にする。
【0019】
図2に示されている実施態様においては、空気ソレノイド・バルブ7が、
- 空気吸引ダクト(図示せず)を通じて空気源(図示せず)と流体接続される空気取り入れ口17と、空気供給ダクト6を通じてミルク・ポンプ4の吸引側と流体接続される空気吐き出し口18と、空気の取り入れ口および吐き出し口と流体連通し、バルブ・シート20を画定する空気室19を有するバルブ本体16と、
バルブ本体16内に収容され、ねじ-送りねじ機構によって好都合にそれと結合されたシャッタ21であって、それにおいてはねじが、シャッタ21の側面に形成されたねじ山によって定義され、送りねじがバルブ本体16上に形成された対応するねじ溝によって定義され、その結果、空気ソレノイド・バルブ7の閉位置から開始して、冷または温の滑らかなミルクを分注するために、空気ソレノイド・バルブ7の可調開位置への開行程を行うように軸方向にスライドすることが可能になるシャッタ21と、を包含する。シャッタ21には、シャッタ21の開行程に沿って好都合に連続して断面が漸増する環状の空気流出通路を、バルブ・シート20とともに定めるように、バルブ・シート20との係合に適合された円錐台形状の先端を有するピン22であって、すなわちそれが、バルブ・シート20から離れる方向に移動するとき、それによってミルク・ポンプ4によって引き入れられるミルクへのより大きな空気の流入を決定するピン22と、
- バルブ本体16にマウントされ、シャッタ21と機能的に結合され、かつ電子ミルク・コントロール・ユニット15による電子的なコントロールが可能であり、受信された電気的な命令に応答して相反する方向に回転し、シャッタ21に、種々の空気流出断面に対応する一連のプログラム可能な位置を、したがって、飲料自動販売機1に作ることが求められる飲料を作る上で有用な種々の開/閉度を空気ソレノイド・バルブ7が呈するように、開および閉行程に沿った相反する軸方向変位を行わせる、ギア・モータ23と、を備える。
【0020】
またギア・モータ23には、ピン22がバルブ・シート20と流体密係合する閉位置に関するシャッタ21の位置を電子ミルク・コントロール・ユニット15が決定することを可能にする電気的な位置信号、通常はパルス化された信号を出力するエンコーダ24の形式で位置センサも備えられる。
【0021】
図3は、2つの可能性のある空気ソレノイド・バルブ7の異なる実施態様を、種々の飲料を作るためのシャッタ21のプログラム可能な軸方向位置、および対応する空気流出断面の可能性のある値とともに図解している。
【0022】
代替実施態様においては、リニア・モータと直接接続された精密スロットルおよびバルブ・ハウジングに統合された電子コントロール・システムが備えられたバルブであり、かつ実質的に連続するバルブの流れ率の調整を可能にするアナログ電圧信号を通じたモータの設定を可能にするAVS-Romer(エー・ブイ・エス・ローマー)によって製造されているEFCタイプの電子分注バルブ等の空気ソレノイド・バルブ7を、商用電子流量コントロール(EFC)バルブとすることが可能である。
【0023】
図4に示されているとおり、電子ミルク・コントロール・ユニット15は、都合よく、電子プリント回路基板の形式であり、
- エンコーダ24と接続するための入力インターフェース(コネクタ)25と、
- ギア・モータ23およびミルク・ポンプ4と接続するための出力インターフェース(コネクタ)26と、
- フィールドバス・ベースの通信ネットワーク28と接続するための通信インターフェース(コネクタ)27であって、それを通じて電子ミルク・コントロール・ユニット15が、飲料自動販売機1の電子メイン・コントロール・ユニット29と通信し、電子ミルク・コントロール・ユニット15をスレーブ電子コントロール・ユニットとし、電子メイン・コントロール・ユニット29をマスタ電子コントロール・ユニットとするマスタ-スレーブ・アーキテクチャを具体化することが可能な通信インターフェース(コネクタ)27と、
- 電子プリント回路基板上の電気および電子構成要素と、ギア・モータ23と、エンコーダ24とに電力を供給するために外部電力源と接続するための電力供給インターフェース(コネクタ)30と、
- 電力供給インターフェース30に接続されて、外部電力源によって供給される電圧を安定化する電圧安定器31と、
- ギア・モータ23およびミルク・ポンプ4のための電気駆動信号を出力するドライバ32と、
- 電子ミルク・コントロール・ユニット15の動作と関連付けされたデータをストアしているメモリ33と、
- 電子プリント回路基板上の他の電気および電子構成要素と電気的に接続され、より詳細を以下に説明する態様において、電子メイン・コントロール・ユニット29から受信された電気的な命令に応答してミルク・ポンプ4およびギア・モータ23の動作をコントロールするべくプログラムされたマイクロコントローラ34と、を包含する。
【0024】
特に、マイクロコントローラ34は、
- 電子メイン・コントロール・ユニット29からミルク・ポンプ4およびギア・モータ23の動作に関係する電気的な命令を、およびエンコーダ24からシャッタ21の軸方向位置を示す電気的な位置信号を受信し、かつ
- エンコーダ24によって供給される電気的な位置信号、および以下において説明するミルクに関係する量に基づいて、電子メイン・コントロール・ユニット29から受信した電気的な命令を解釈し、かつ実行して、対応する、ミルク・ポンプ4およびギア・モータ23のための電気的な駆動信号をドライバ32に応答的に出力させるべくプログラムされている。
【0025】
電子ミルク・コントロール・ユニット15の、電子メイン・コントロール・ユニット29との通信は、とりわけ、
- シャッタ21の初期位置決め、
- 上端位置までのシャッタ21の精密移動、
- 上端位置までのシャッタ21の精密移動、
- エンコーダ24の初期リセット・ステップの間においてギア・モータ23によって吸収される電流の振幅の読み取り、
- エンコーダ24の現在位置の読み取り、
- 動作の間に検出された障害の表示、
- ギア・モータ23を動かすパルス幅変調信号のデューティ・サイクルの設定、および
- シャッタ21のより高い位置決め精度のためのギア・モータ23のソフト・スタート/ソフト・ストップ移動の実施、
といった多様な管理の実装および命令の読み取りを可能にする。
【0026】
本発明のさらなる異なった側面によれば、ミルクに供給されてそれを泡立てる空気の量が変化されるときに、飲料自動販売機1によって作られる種々の飲料内の種々のタイプのミルクによって達成が可能になる、種々の感覚刺激性と審美性のパフォーマンスを自動的にバランスさせるように、空気ソレノイド・バルブ7の空気流出断面とミルク・ポンプ4の速度をコントロールするべく電子ミルク・コントロール・ユニット15がプログラムされる。
【0027】
これを行うために電子ミルク・コントロール・ユニット15は、長期にわたって安定したパフォーマンスを維持しつつ、感覚刺激性ならびに審美性両方の観点から、すなわち適正な量のミルクが入り、トップのミルク発泡層が適切な高さおよび一貫性を有する品質の高いミルクの入った飲料を作るべく、最適プリセットを見出し、かつ相応じてミルク・ポンプ4および空気ソレノイド・バルブ7の動作をコントロールする能力を持った、いわゆる閉ループの自己調整エキスパート・システムを生み出すべくプログラムされる。
【0028】
この目的のために、電子ミルク・コントロール・ユニット15は、次に示すミルクに関係する量に少なくとも基づいてミルク・ポンプ4および空気ソレノイド・バルブ7の動作を決定し、かつコントロールするべくプログラムされる:
- 冷ミルク・タンク3の充填の間に、全乳、部分脱脂乳および脱脂乳といった利用可能な複数のあらかじめ定義済みのタイプの中から選択するか、またはミルクの包括的なタイプをおおまかに選択し、その後、たとえばもっとも一般的に利用可能な基本タイプとは異なるニュージーランド・ミルクのようなマップされていない特定のミルクの具体的なパラメータをマニュアル入力する操作者によって設定可能な情報である冷ミルク・タンク3内に入れられた冷ミルクのタイプ、および
- 冷ミルク・タンク3内に備えられた特定の温度センサによって供給され、電子ミルク・コントロール・ユニット15がこの目的のためにプログラムされている場合には、それによって自律的に獲得されるか、またはそれに代えて、温度センサによって供給される冷ミルク・タンク3内のミルクの温度が、飲料自動販売機1の表示器上に表示されるだけであり、電子ミルク・コントロール・ユニット15が自律的にこの情報を獲得するようにはプログラムされていない飲料自動販売機1においては、表示器上のそれを読み取った後に、飲料自動販売機1の表示器上に表示されるメニューを使用することにより操作者によって電子ミルク・コントロール・ユニット15にマニュアルで入力される情報である、冷ミルク・タンク3内に入れられた冷ミルクの温度。
【0029】
同じ目的のために、電子ミルク・コントロール・ユニット15は、さらに、次に示す追加のミルクに関係する量の一方または両方にも基づいてミルク・ポンプ4および空気ソレノイド・バルブ7の動作を決定し、かつコントロールするべく好都合にプログラムされる:
- 飲料自動販売機1によって分注され得る飲料のストア済みレシピ内に含まれており、したがって、ストア済みレシピから自動的に読み出し得るか、または飲料自動販売機1のユーザによって選択され得る情報である、分注されるべき泡立ちの量(低、中、高)、および
- 自動機械1によって分注され得る飲料のストア済みレシピ内に含まれており、したがって、ストア済みレシピから自動的に読み出し得る情報である、分注されるべきミルクのタイプ(冷たく滑らか、冷たい泡立ち、温かく滑らか、温かい泡立ち)。
【0030】
この目的のために電子ミルク・コントロール・ユニット15は、
- 電子メイン・コントロール・ユニット29からミルク・ポンプ4およびギア・モータ23の動作に関係する電気的な命令を、およびエンコーダ24からシャッタ21の軸方向位置を示す電気的な位置信号を受信し、かつ
- エンコーダ24によって供給される電気的な位置信号、および上で述べたミルクに関係する量に基づいて、電子メイン・コントロール・ユニット29から受信した電気的な命令を解釈し、かつ実行して、一方においては、ミルク・ポンプ4の速度を、したがってミルク・ポンプ4によって引き渡されるミルクの流れ率を、他方においては、シャッタ21の速度および位置決め精度を調整して、分注される飲料内における所望のミルクの温度およびミルクの泡立ちの量ならびに質を獲得するように、対応する、ミルク・ポンプ4およびギア・モータ23のためのパルス幅変調(PWM)された電気的な駆動信号を応答的に出力するべくプログラムされている。
【0031】
電子ミルク・コントロール・ユニット15は、さらに、電子メイン・コントロール・ユニット29から受信した電気的な命令に応答して、分注される飲料内の泡立てられたミルクの中のより大きな気泡を排除してそれの舌触りを調整するように、ギア・モータ23のための電気的な駆動信号を出力するべくプログラムされる。
【0032】
この目的のために、電子ミルク・コントロール・ユニット15は、シャッタ21に、最初に閉位置をとらせた後、選択された飲料の関数として望ましい泡立ちのタイプを生み出すために必要とされる開位置まで漸進的に移動させ、かつその後、泡立ちの表面のきめを細かくし、かつ大きな気泡が低減されるように、閉位置まで、分注の終了に向けて漸進的に移動させるギア・モータ23のための電気的な駆動信号を出力するべくプログラムされる。
【0033】
シャッタ21の動きおよび位置は、期待される要件を満足し、したがって、それへの到達が可能な限り確かとなるように作られる最終製品の産出を獲得するために重要な側面を表すことが前提となっていることが要求される。
【0034】
したがって、具体化の観点からは、シャッタ21が閉位置から開位置まで移動するとき、それらの中から質的に異なるミルクの産出に対応する位置を識別することが可能となるように、たとえば0から5000パルスまでのワイドレンジを有する電気的な位置信号を出力するタイプのエンコーダ24を使用することが有利である。
【0035】
したがって、上で考察した例においては、シャッタ21のプログラム済みの軸方向位置と、それの手前またはそれの後の隣接するプログラム済みの軸方向位置の間において特定の数のパルスを、たとえば、空気ソレノイド・バルブ7の動作エリア内において500の可能位置を定義することが可能となるように、10のパルスを有する電気的な位置信号をエンコーダ24に出力させるべく、ギア・モータ23へ供給されるPWM駆動信号のデューティ・サイクルが適切に選択され得る。
【0036】
シャッタ21は、位置到達精度を向上させる加速および減速を作り出させるギア・モータ23の自動ソフト・スタート/ソフト・ストップ運動メカニズムによって移動される。このメカニズムは、最終結果を改善する開および閉の勾配を生じさせるために使用することも可能である。
【0037】
シャッタ21の初期位置決めは、その後の位置決めが正しくなされる既知の位置が、確定的に識別可能となるための重要な機能である。この既知の位置は、正確な閉じの高さにおける電流吸収を参照する精密移動に基づいたリセット・サイクルに続いて達成される。リセット・サイクルは、飲料自動販売機1の電源投入時に自動的に、または操作者の必要に応じて命令に応答して実行させ得る。この既知の位置への到達後、エンコーダ24のカウントがリセットされ、シャッタ21が、割り当て済みおよび/またはストアされた目標位置に戻される。
【0038】
最後になるが、電子ミルク・コントロール・ユニット15は、飲料自動販売機1の概括的な動作状態を決定し、電子メイン・コントロール・ユニット29へ、示された何らかの破損または障害の兆候をこれが察知可能となるように、周期的に送信するべくプログラムされる。
【0039】
たとえば、リセットの失敗、目標位置への到達の失敗、または機械的/電気的障害にリンクされる異常な電流吸収が合図されることがあり得る。
【0040】
エンコーダ24によって示される位置における飲料自動販売機1の動作状態は、その後、飲料分注サイクルの間における機能的なフィードバックの獲得に使用され得る。