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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-07
(45)【発行日】2023-04-17
(54)【発明の名称】ポリウレタン系断熱ボード
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/80 20060101AFI20230410BHJP
   C08G 18/00 20060101ALI20230410BHJP
   B32B 5/18 20060101ALI20230410BHJP
   B32B 13/12 20060101ALI20230410BHJP
   E04B 1/76 20060101ALI20230410BHJP
   E04B 2/56 20060101ALI20230410BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20230410BHJP
【FI】
E04B1/80 100P
C08G18/00 F
B32B5/18
B32B13/12
E04B1/76 400C
E04B1/76 500F
E04B2/56 645C
C08G101:00
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020528204
(86)(22)【出願日】2018-11-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-15
(86)【国際出願番号】 US2018059525
(87)【国際公開番号】W WO2019108350
(87)【国際公開日】2019-06-06
【審査請求日】2021-10-25
(31)【優先権主張番号】102017000136482
(32)【優先日】2017-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100187964
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】バイロ、ジュゼッペ
(72)【発明者】
【氏名】フェラーリ、エレナ
(72)【発明者】
【氏名】ベルトゥチェリ、ルイジ
(72)【発明者】
【氏名】ファンガレッジ、アルベルト
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-244609(JP,A)
【文献】実開昭54-131582(JP,U)
【文献】特表2015-525316(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/62 - 1/99
B32B 1/00 - 43/00
C08G 18/00 - 18/87
C08G 71/00 - 71/04
E04B 2/56 - 2/70
C08G 101/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部断熱複合システムであって、
(i)コンクリート壁または石積み壁と、
(ii)前記コンクリート壁または石積み壁上に配置された多層断熱ボードであって、ASTM D 6226に従って20体積%未満の連続気泡体積を有するポリウレタンを含む少なくとも1つの独立気泡発泡体層と、ASTM D 6226に従って80体積%を超える連続気泡体積を有するポリウレタンを含む少なくとも1つの連続気泡発泡体層と、を含む多層断熱ボードと、を含む、外部断熱複合システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの独立気泡発泡体層が、ASTM D 1622に従って50kg/m未満の密度を有し、前記少なくとも1つの連続気泡発泡体層が、ASTM D 1622に従って30kg/m~80kg/mの密度を有する、請求項1に記載の外部断熱複合システム。
【請求項3】
前記多層断熱ボード上に配置されたガラス繊維メッシュを含む補強コーティングをさらに含む、請求項1に記載の外部断熱複合システム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの独立気泡発泡体層が、10℃で測定された24mW/m*K未満の熱伝導率値(kファクター)を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の外部断熱複合システム。
【請求項5】
前記多層断熱ボードが、飽和ガラスフリースおよび不飽和ガラスフリースのうちの少なくとも1つから選択される少なくとも1つのフェーシング層をさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の外部断熱複合システム。
【請求項6】
前記少なくとも1つの独立気泡発泡体層が、2つの連続気泡発泡体層の間に配置される、請求項1~4のいずれか一項に記載の外部断熱複合システム。
【請求項7】
外部断熱複合システムを調製する方法であって、
コンクリート壁または石積み壁を提供することと、
ASTM D 6226に従って20体積%未満の連続気泡体積を有するポリウレタンを含む少なくとも1つの独立気泡発泡体層と、ASTM D 6226に従って80体積%を超える連続気泡体積を有するポリウレタンおよびポリイソシアヌレートを含む少なくとも1つの連続気泡発泡体層と、を含む多層断熱ボードを提供することと、
前記多層断熱ボードを、前記コンクリート壁または石積み壁の外面に取り付けることと、
前記コンクリート壁または石積み壁の前記外面に取り付けられた前記多層断熱ボード上にガラス繊維メッシュを含む補強コーティングを適用することと、を含む、方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの独立気泡発泡体層が、ASTM D 1622に従って40kg/m未満の密度および10℃で測定された22mW/m*K未満の熱伝導率値(kファクター)を有し、前記少なくとも1つの連続気泡発泡体層が、ASTM D 1622に従って30kg/m~70kg/mの密度を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記多層断熱ボードが、
最下層として第1のフェーシングを提供することと、
第1の反応混合物を分配して、前記第1のフェーシングの表面上に前記少なくとも1つの独立気泡発泡体層を形成することと、
任意選択で、前記少なくとも1つの独立気泡発泡体層上に第2のフェーシングを提供することと、
任意選択で、前記第1のフェーシング、前記任意選択の第2のフェーシング、およびそれらの間にある前記少なくとも1つの独立気泡発泡体層を、2つの回転ロールに通すことと、
第2の反応混合物を分配して、前記第2のフェーシング上に前記少なくとも1つの連続気泡発泡体層を形成することと、
最上層として前記少なくとも1つの連続気泡発泡体層上に第3のフェーシング層を提供することと、
前記多層断熱ボードを、2つの離間した対向する成形コンベヤ間で硬化させることと、を含む連続プロセスに従って調製される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記多層断熱ボードが
最下層として第1のフェーシングを提供することと、
第1の反応混合物を分配して、前記第1のフェーシングの表面上に前記少なくとも1つの連続気泡発泡体層を形成することと、
任意選択で、前記少なくとも1つの連続気泡発泡体層上に第2のフェーシングを提供することと、
任意選択で、前記第1のフェーシング、前記任意選択の第2のフェーシング、およびそれらの間にある前記少なくとも1つの連続気泡発泡体層を、2つの回転ロールに通すことと、
第2の反応混合物を分配して、前記第2のフェーシング上に前記少なくとも1つの独立気泡発泡体層を形成することと、
最上層として前記少なくとも1つの独立気泡発泡体層上に第3のフェーシング層を提供することと、
前記多層断熱ボードを、2つの離間した対向する成形コンベヤ間で硬化させることと、を含む、連続プロセスに従って調製される、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のフェーシングおよび前記第3のフェーシングのうちの少なくとも1つが、前記多層断熱ボードがコンクリート壁または石積み壁の外面に取り付けられる前に除去される除去可能なフィルムである、請求項9または請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して、ポリウレタン系断熱ボードに関し、より具体的には、連続気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層および独立気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層を含むポリウレタン系断熱ボードに関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート壁または石積み壁などの外壁用の断熱システムが提案されてきた。外壁の外面に適用され、レンダリングシステムによって仕上げられた断熱製品の組み合わせは、外部断熱複合システム(ETICS)と称される。外部断熱複合システムは、新しい住居、および既存の建物ストックの改修の両方にとって、建設においてしばしば他のソリューションよりも好まれる選択肢である。
【0003】
最も一般的な外部断熱複合システムは、断熱材料と同様に膨張性ポリスチレン(EPS)を用いる。ポリウレタンは、典型的に、断熱、強度、限られた吸水量など、低コストの代替品よりも優れた特定の特性を提供する。さらに、独立気泡ポリウレタン発泡体は、EPSよりも優れた断熱性を提供する。しかしながら、そのような独立気泡ポリウレタン発泡体は、EPSと比較して低下した寸法安定性を示し得る。したがって、外部断熱複合システムにおいて、連続気泡および独立気泡のポリウレタン系断熱ボードを外壁と組み合わせることが提案されている。
【発明の概要】
【0004】
本明細書の1つ以上の実施形態によれば、外部断熱複合システムは、コンクリート壁または石積み壁と、そのコンクリート壁または石積み壁上に配置された多層断熱ボードと、を含む。多層断熱ボードは、ASTM D 6226に従って20体積%未満の連続気泡体積を有するポリウレタンおよびポリイソシアヌレートを含む少なくとも1つの独立気泡発泡体層と、ASTM D 6226に従って80体積%を超える連続気泡体積を有するポリウレタンおよびポリイソシアヌレートを含む少なくとも1つの連続気泡発泡体層と、を含む。独立気泡層は、断熱特性を提供し、多層断熱ボードの連続気泡層は、独立気泡層の寸法変化の影響を緩和するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】外部断熱複合システムを例示している図である。
図2】独立気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層、連続気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層、および複数のフェーシング層を含む例示的な多層断熱ボードを示している図である。
図3】2つの連続気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層の間に配置された独立気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層を含む例示的な多層断熱ボードを示している図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図1を参照すると、外部断熱複合システム100は、コンクリート壁または石積み壁などの外壁102を含むことができる。石造物または煉瓦積みとしても知られている石積みは、モルタルによってモノリシック構造に一緒に結合される比較的大きなユニット(石、レンガ、ブロックなど)を含み得る。コンクリートは、セメント、骨材、水でできていて、ユニットのない構造を作製するために所定の場所に設置することができる。
【0007】
そのシステムは、外壁102の外面上に直接配置された接着剤104をさらに含み得る。接着剤104は、外壁102の外面と断熱構成要素106との間に載置することができる。様々な実施形態では、接着剤104は、発泡接着剤、シリコーン接着剤、ホットメルト接着剤、またはコールドメルト接着剤などの可撓性接着剤であってよい。いくつかの特定の実施形態では、接着剤は、ポリウレタン発泡接着剤、例えば、The Dow Chemical Company(Midland,MI)からInsta-Stik(商標)として市販されているポリウレタン発泡接着剤であり得る。本明細書で説明する様々な実施形態は、断熱構成要素106を外壁102に取り付けるための接着剤102について説明しているが、断熱構成要素106は、機械的固定デバイスの使用など、他の方法で外壁102に取り付けることができると企図される。
【0008】
様々な実施形態によれば、以下により詳細に記載するように、断熱構成要素106は、ASTM D 6226に従って20体積%未満の連続気泡体積を有する独立気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層202と、ASTM D 6226に従って80体積%を超える連続気泡体積を有する連続気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層204と、を含む(図2および3に示した)多層断熱ボードであり得る。本明細書で使用される場合、ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体の「連続気泡」は、完全に閉じておらず、他の気泡と直接または間接的に相互接続している気泡と定義される。本明細書で使用される場合、「独立気泡」は、完全に閉鎖され、他のいかなる気泡とも接続していない気泡と定義される。
【0009】
さらに図1を参照すると、外部断熱複合システム100は、断熱構成要素106によって接着剤104から分離された1つ以上のベースコート層108をさらに含むことができる。図1に示す実施形態は2つのベースコート層108を含むが、いくつかの実施形態では、外部断熱複合システム100は、3つ以上のベースコート層、1つのベースコート層、またはさらにはベースコート層を含まなくてもよいことが企図される。
【0010】
図1に示す外部断熱複合システム100はまた、2つのベースコート層108の間に位置決めされた補強メッシュ110を含む。様々な実施形態では、補強メッシュ110は、ポリマーコーティングされたガラス繊維メッシュ布であってよい。ガラス繊維メッシュ生地は、いくつかの特定の実施形態では、100~220g/mの重量、または140~180g/mの重量を有することができる。
【0011】
最後に、トップコート112が、外部断熱複合システム100上に位置決めされる。トップコートは、限定ではなく例として、粒子の粗いおよびスクラッチされたレンダリング、装飾パネル、レンガ効果、または実際のレンガスリップを含み得る。特定の実施形態に応じて、他の種類のトップコートが企図される。
【0012】
外部断熱複合システム100を概ね説明してきたが、ここで、図2および3を参照して、断熱構成要素106をより詳細に説明する。上記の通り、様々な実施形態において、断熱構成要素106は、ASTM D 6226に従って20体積%未満の連続気泡体積を有する独立気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層202と、ASTM D 6226に従って80体積%を超える連続気泡体積を有する連続気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層204と、を含む多層断熱ボードである。本明細書で使用される場合、「ポリウレタン」という用語は、ポリウレタン、ポリウレタン/ポリ尿素、およびポリウレタン/ポリイソシアヌレート材料を包含する。本明細書で使用される場合、「ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層」という用語は、ポリウレタンおよびポリイソシアヌレートを含む発泡体層を指す。様々な実施形態では、断熱層106は、少なくとも1つのフェーシング層206を含み得る。
【0013】
独立気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層
様々な実施形態では、独立気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層は、イソシアネート反応性成分をイソシアネート成分と反応させることによって形成されたポリマーマトリックスから形成され得る。特に、ポリマーマトリックスは、ウレタン基、イソシアヌレート基、および/または尿素基を含み得る。
【0014】
イソシアネート反応性成分は、1つ以上のポリオールを含む。いくつかの実施形態では、イソシアネート反応性混合物は、少なくとも1つのポリエステルポリオールを含む。ポリエステルポリオールには様々な分子量が企図される。ポリエステルポリオールは、1分子当たり複数のエステル基を含有し得、1分子当たり平均少なくとも1.5個のヒドロキシル基、1分子当たり少なくとも1.8個のヒドロキシル基、または1分子当たり少なくとも2個のヒドロキシル基を有し得る。ポリエステルポリオールは、いくつかの実施形態において、1分子当たり最大6個のヒドロキシル基を含有し得るが、他の実施形態において、1分子当たり最大約3個のヒドロキシル基を含有し得る。ポリエステルポリオールのヒドロキシル当量は、約75~4000または150~1500の範囲であり得る。
【0015】
好適なポリエステルポリオールとしては、ヒドロキシル化化合物、例えばジオールと、ポリカルボン酸またはそれらの無水物、例えばジカルボン酸またはジカルボン酸無水物との反応生成物が挙げられる。ポリカルボン酸または無水物は、脂肪族、環状脂肪族、芳香族および/または複素環式であってもよく、ハロゲン原子等で置換されてもよい。ポリカルボン酸は、不飽和であってもよい。これらのポリカルボン酸の例としては、コハク酸、アジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水トリメリット酸、無水フタル酸、マレイン酸、無水マレイン酸およびフマル酸が挙げられる。ポリエステルポリオールを作製する際に使用されるヒドロキシル化化合物は、150以下、140以下、または125以下の当量であってよく、例えば、エチレングリコール、1,2-および1,3-プロピレングリコール、1,4-および2,3-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6-ヘキサントリオール、1,2,4-ブタントリオール、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、キニトール、マンニトール、ソルビトール、メチルグリコシド、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジブチレングリコール、ポリエチレングリコールなどを挙げることができる。
【0016】
上記に提供されるものに加えて、他の種類のポリオールを使用することができる。例えば、芳香族または脂肪族ポリエーテルポリオール、脂肪族または芳香族ポリエーテルカーボネートポリオール、脂肪族または芳香族ポリエーテルエステルポリオール、および植物誘導体から得られたポリオールを使用することができる。したがって、ポリオールの様々な組み合わせを使用して、イソシアネート反応性成分を形成することができる。例えば、他のポリオールの例には、VORANOL(商標)RN490およびVORANOL(商標)RH360(スクロースおよびグリセリンにプロピレンオキシドを添加することにより形成され、平均官能価は4を超え、EWがそれぞれ115および156のポリエーテルポリオール)、VORANOL(商標)RN482(酸化プロピレンをソルビトールに添加することにより形成され、公称官能価が6、EWが115のポリエーテルポリオール)、TERCAROL(商標)5903(プロピレンジアミンをトルエンジアミンに付加することにより形成された、公称官能価が4およびEWが127のポリエーテルポリオール)が含まれ、すべてThe Dow Chemical Company(Midland,MI)から入手可能である。
【0017】
連鎖延長剤、架橋剤などの他の添加剤も含まれ得る。連鎖延長剤の例としては、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリプロピレン、およびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0018】
イソシアネート成分としては、脂肪族、環状脂肪族、脂環式、アリール脂肪族、および/または芳香族イソシアネート、およびそれらの誘導体であるイソシアネート含有反応物を挙げることができる。誘導体としては、限定ではなく例として、アロファネート、ビウレット、およびNCO末端プレポリマーを挙げることができる。いくつかの実施形態によれば、イソシアネート成分としては、少なくとも1つの芳香族イソシアネート(例えば、少なくとも1つの芳香族ポリイソシアネート)が挙げられる。例えば、イソシアネート成分としては、芳香族ジイソシアネート、例えば、トルエンジイソシアネート(TDI)の少なくとも1つの異性体、粗TDI、ジフェニルメチレンジイソシアネート(MDI)の少なくとも1つの異性体、粗MDI、および/またはより高官能性のメチレンポリフェノールポリイソシアネートを挙げることができる。本明細書で使用される場合、MDIは、ジフェニルメタンジイソシアネート異性体、ポリフェニルメチレンポリイソシアネート、および少なくとも2つのイソシアネート基を有するそれらの誘導体から選択されるポリイソシアネートを指す。粗製、ポリマー性、または純粋なMDIをポリオールまたはポリアミンと反応させて、変性MDIを生成することができる。ポリマーMDIとモノマーMDIとのブレンドも使用してもよい。いくつかの実施形態では、MDIは、1分子当たり平均2~3.5個(例えば、2~3.2個)のイソシアネート基を有する。イソシアネート含有反応物の例としては、The Dow Chemical Company(Midland、MI)から商品名VORANATE(商標)で市販されているもの、例えば、VORANATE(商標)M229PMDIイソシアネート(1分子当たり平均2.7個のイソシアネート基を有するポリマーメチレンジフェニルジイソシアネート)が挙げられる。
【0019】
独立気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層のイソシアネート指数は、180超得る、195超、および/または200超であり得る。イソシアネート指数は、2,000未満であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、イソシアネート指数は、180~1,500、185~1,000、190~750、195~500、または200~300であり得る。本明細書で使用される場合、「イソシアネート指数」は、イソシアネート反応性化合物の100理論当量当たりに加えられたイソシアネート含有化合物の当量数である。100のイソシアネート指数は、水やポリオール組成物などからの、存在するイソシアネート反応性水素原子当たり1つのイソシアネート基に対応する。イソシアネート指数が高いほど、イソシアネート含有反応物の量が多いことを示す。
【0020】
触媒はまた、独立気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層を形成する組成物中にも含まれ得る。使用できる触媒の例としては、イソシアネートとそれ自身との反応を促進する三量化触媒、例えば、トリス(ジアルキルアミノアルキル)-s-ヘキサヒドロトリアジン(1,3,5-トリス(N,N-ジメチルアミノプロピル)-s-ヘキサヒドロトリアジン、DABCO(商標)TMR30、DABCO(商標)K-2097(酢酸カリウム)、DABCO(商標)K15(カリウムオクトエート)、POLYCAT(商標)41、POLYCAT(商標)43、POLYCAT(商標)46、DABCO(商標)TMR、CURITHANE(商標)52、水酸化テトラアルキルアンモニウム(水酸化テトラメチルアンモニウムなど)、アルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウムなど)、アルカリ金属アルコキシド(ナトリウムメトキシドおよびカリウムイソプロポキシドなど)、および10~20個の炭素原子(およびいくつかの実施形態では、ペンダントヒドロキシル基)を有する長鎖脂肪酸のアルカリ金属塩を挙げることができる。
【0021】
独立気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層は、1つ以上の添加剤も含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、独立気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層は、少なくとも1つの難燃剤をさらに含む。難燃剤は、独立気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層を形成するための組成物の総重量に基づいて、1重量%~50重量%(例えば、1重量%~30重量%、1.5重量%~20重量%、1.5重量%~10重量%、1.5重量%~8重量%、2重量%~5重量%、2.5重量%~4重量%、2.5重量%~3.5重量%など)の量で存在し得る。難燃剤は、固体または液体であり得、非ハロゲン化難燃剤、ハロゲン化難燃剤、またはそれらの組み合わせを含む。難燃剤としては、限定ではなく例として、メラミン、膨張性グラファイト、ハロゲンを有するかまたは有しないリン化合物、アルミニウム含有化合物、マグネシウム系化合物、ハロゲンを有するかまたは有しない窒素系化合物、塩素化化合物、臭素化化合物、およびホウ素誘導体が挙げられる。
【0022】
様々な実施形態では、独立気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層は、物理的発泡剤を含み得る。本明細書で使用される場合、「物理的発泡剤」とは、硬化条件下で揮発して発泡ガスを形成する低沸点液体である。物理的発泡剤としては、例えば、炭化水素、フルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボン、ヒドロフルオロオレフィン、ヒドロクロロフルオロオレフィン、および他のハロゲン化化合物が挙げられる。
【0023】
独立気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層は、10mm~300mmの厚さを有し得る。例えば、独立気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層は、10mm~250mm、10mm~200mm、10mm~150mm、10mm~100mm、10mm~50mm、10mm~25mm、10mm~20mmなどの厚さを有し得る。独立気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層は、硬質または半硬質であってよいが、様々な実施形態では、独立気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層は脆くない。
【0024】
様々な実施形態において、独立気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層は、ASTM D 1622に従って測定した場合、100kg/m未満、75kg/m未満、50kg/m未満、および/または40kg/m未満の密度を有する。密度は、10kg/m超、20kg/m超、および/または30kg/m超であり得る。例えば、密度は、10~100kg/m、20~75kg/m、または25~50kg/mであり得る。
【0025】
独立気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層は、ASTM D 6226に従って、20体積%未満の連続気泡体積、10体積%未満の連続気泡体積、および/または8体積%未満の連続気泡体積を有する。いくつかの実施形態では、独立気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層は、ASTM D 6226に従って、0体積%を超える連続気泡体積、0.1体積%を超える連続気泡体積、1体積%を超える連続気泡体積、2.5体積%を超える連続気泡体積、5体積%を超える連続気泡体積、および/または6体積%を超える連続気泡体積を有する。例えば、独立気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層は、0体積%~20体積%、0.1体積%~10体積%、またはさらには約5体積%~8体積%の連続気泡体積を有し得る。
【0026】
独立気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層は、イソシアネート反応性成分をイソシアネート含有反応物と反応させて、任意の添加剤と共にポリマーマトリックスを形成させることによって、形成することができる。いくつかの特定の実施形態では、独立気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層は、180~450のイソシアネート指数を有するポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層と、ポリエステルポリオールと、物理的発泡剤と、であり、20体積%未満の連続気泡含有量、および50kg/m未満の密度を有することを特徴としている。様々な実施形態において、独立気泡発泡体層は、10℃で測定された26mW/m*K未満、10℃で測定された24mW/m*K未満、またはさらには10℃で測定された20mW/m*Kの熱伝導率値(kファクター)を有する。当業者は理解するように、ラムダまたはkファクターは、発泡体層の熱伝導率の尺度であり、より低い値は、改善された断熱性能を示す。kファクターは、厚さ1インチである材料の1平方フィートを1時間で通過する熱の尺度である。
【0027】
連続気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層
様々な実施形態では、連続気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層は、イソシアネート反応性成分をイソシアネート成分と反応させることによって形成されたポリマーマトリックスから形成され得る。特に、ポリマーマトリックスは、ウレタン基、イソシアヌレート基、および/または尿素基を含み得る。
【0028】
イソシアネート反応性成分は、1つ以上のポリオールを含む。いくつかの実施形態では、イソシアネート反応性混合物は、少なくとも1つのポリエーテルポリオールを含む。ポリエーテルポリオールには様々な分子量が企図される。ポリエーテルポリオールは、当業者には理解されるように、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、および/またはブチレンオキシド等の1つ以上のアルキレンオキシドから誘導することができる。例えば、ポリエーテルポリオールは、重合触媒の存在下で、1つ以上のアルキレンオキシドを2~10個の活性水素を有する1つ以上の開始剤と反応させることによって調製されてもよい。好適な開始剤の例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール;環状脂肪族ジオール、例えば、1,4-シクロヘキサンジオール、グリセリン、トリメタノールプロパン、トリエタノールアミン、スクロース、ソルビトール、およびトルエンジアミンが挙げられる。
【0029】
ポリエーテルポリオールは、約200g/mol~約15,000g/molの数平均分子量を有し得る。いくつかの実施形態において、分子量は約400g/mol超または約1000g/mol超である。他の実施形態において、分子量は、約15000g/mol未満、約10,000g/mol未満、または約9,000g/mol未満であり得る。したがって、いくつかの実施形態において、ポリエーテルポリオールは、約425g/mol~約8500g/mol、または約450g/mol~約4000g/molの分子量を有する。好適なポリエーテルポリオールの例としては、商標VORAPEL(商標)で市販されているもの、商標VORANOL(商標)で市販されているもの、例えば、VORALUX(商標)HF505、VORANOL(商標)8000LM、VORANOL(商標)4000LM、VORANOL(商標)1010L、VORANOL(商標)CP 1055、およびVORANOL(商標)CP 260、ならびにPolyglycol P-2000およびPolyglycol P-425として市販されているもの(すべて、The Dow Chemical Company(Midland,MI)から入手可能)が挙げられるが、それらに限定されない。
【0030】
例えば、他のポリオールの例には、VORANOL(商標)RN490およびVORANOL(商標)RH360(スクロースおよびグリセリンにプロピレンオキシドを添加することにより形成され、平均官能価が4より大きく、EWがそれぞれ115および156のポリエーテルポリオール)、VORANOL(商標)RN482(酸化プロピレンをソルビトールに添加することにより形成され、公称官能価が6、EWが115のポリエーテルポリオール)、TERCAROL(商標)5903(プロピレンジアミンをトルエンジアミンに付加することにより形成された、公称官能価が4およびEWが127のポリエーテルポリオール)が含まれ、すべてThe Dow Chemical Company(Midland,MI)から入手可能である。
【0031】
本明細書で使用される場合、ヒドロキシル価は、1グラムのポリオールまたは他のヒドロキシル化合物中のヒドロキシル含有量に等しい水酸化カリウムのミリグラム数である。いくつかの実施形態において、結果的に得られるポリエーテルポリオールは、約10mgKOH/g~約700mgKOH/gのヒドロキシル価を有する。さらに他の実施形態において、結果的に得られるポリエーテルポリオールは、約275mgKOH/g~約400mgKOH/gのヒドロキシル価を有する。ポリエーテルポリオールは、約2以上(例えば、2~6、2~5、2~4まで、または2)の公称ヒドロキシル官能価を有し得る。ポリエーテルポリオールは、約2~約4.5(例えば、2~3.5)の平均全ヒドロキシル官能価を有し得る。本明細書で使用される場合、ヒドロキシル官能価(公称および全体平均)は、分子上のイソシアネート反応性部位の数であり、OHの総モル数をポリオールの総モル数で除することで計算され得る。
【0032】
上で提供したものに加えて、他の種類のポリオールを使用してもよい。例えば、脂肪族ポリエステルまたは芳香族ポリエステルポリオール、脂肪族または芳香族ポリエーテルカーボネートポリオール、脂肪族または芳香族ポリエーテルエステルポリオール、および植物誘導体から得られるポリオールを使用することができる。したがって、ポリオールの様々な組み合わせを使用して、イソシアネート反応性成分を形成することができる。
【0033】
連鎖延長剤、難燃剤、架橋剤、充填剤などの他の添加剤も含めることができる。連鎖延長剤の例としては、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリプロピレン、およびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0034】
難燃剤は、固体または液体であることができ、非ハロゲン化難燃剤、ハロゲン化難燃剤、またはそれらの組み合わせを含む。難燃剤としては、限定ではなく例として、メラミン、膨張性グラファイト、ハロゲンを有するかまたは有しないリン化合物、アルミニウム含有化合物、マグネシウム系化合物、ハロゲンを有するかまたは有しない窒素系化合物、塩素化化合物、臭素化化合物、およびホウ素誘導体が挙げられる。
【0035】
特定の実施形態では、連続気泡ポリウレタン層を形成するための反応混合物は、充填剤を含み得る。好適な充填剤は、炭酸カルシウムなどの無機化合物のファミリー、またはポリエチレン、ポリアミド、もしくはポリテトラフルオロエチレンなどのポリマー材料のファミリーから選択することができる。
【0036】
イソシアネート成分としては、脂肪族、環状脂肪族、脂環式、アリール脂肪族、および/または芳香族イソシアネート、およびそれらの誘導体であるイソシアネート含有反応物を挙げることができる。誘導体としては、限定ではなく例として、アロファネート、ビウレット、およびNCO末端プレポリマーを挙げることができる。いくつかの実施形態によれば、イソシアネート成分としては、少なくとも1つの芳香族イソシアネート(例えば、少なくとも1つの芳香族ポリイソシアネート)が挙げられる。例えば、イソシアネート成分としては、芳香族ジイソシアネート、例えば、トルエンジイソシアネート(TDI)の少なくとも1つの異性体、粗TDI、ジフェニルメチレンジイソシアネート(MDI)の少なくとも1つの異性体、粗MDI、および/またはより高官能性のメチレンポリフェノールポリイソシアネートを挙げることができる。本明細書で使用される場合、MDIは、ジフェニルメタンジイソシアネート異性体、ポリフェニルメチレンポリイソシアネート、および少なくとも2つのイソシアネート基を有するそれらの誘導体から選択されるポリイソシアネートを指す。粗製、ポリマー性、または純粋なMDIをポリオールまたはポリアミンと反応させて、変性MDIを得ることができる。ポリマーMDIとモノマーMDIとのブレンドも使用してもよい。いくつかの実施形態では、MDIは、1分子当たり平均2~3.5個(例えば、2~3.2個)のイソシアネート基を有する。イソシアネート含有反応物の例としては、The Dow Chemical Company(Midland,MI)から商品名VORANATE(商標)で市販されているもの、例えば、VORANATE(商標)M229PMDIイソシアネート(1分子当たり平均2.7個のイソシアネート基を有するポリマーメチレンジフェニルジイソシアネート)が挙げられる。
【0037】
連続気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層に関するイソシアネート指数は、70超、100超、180超、195超、および/または200超であり得る。イソシアネート指数は、2,000未満であり得る。本明細書で使用される場合、「イソシアネート指数」は、イソシアネート反応性化合物の100理論当量当たりに加えられたイソシアネート含有化合物の当量の数である。100のイソシアネート指数は、水やポリオール組成物などからの、存在するイソシアネート反応性水素原子当たり1つのイソシアネート基に対応する。イソシアネート指数が高いほど、イソシアネート含有反応物の量が多いことを示す。
【0038】
触媒はまた、連続気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層を形成する組成物中にも含まれ得る。触媒の例は、POLYCAT(商標)5およびPOLYCAT(商標)8などの三級アミンである。さらに、触媒組成物は、イソシアネートとそれ自身との反応を促進する三量化触媒、例えば、トリス(ジアルキルアミノアルキル)-s-ヘキサヒドロトリアジン(1,3,5-トリス(N,N-ジメチルアミノプロピル)-s-ヘキサヒドロトリアジン、DABCO(商標)TMR30、DABCO(商標)K-2097(酢酸カリウム)、DABCO(商標)K15(カリウムオクトエート)、POLYCAT(商標)41、POLYCAT(商標)43、POLYCAT(商標)46、DABCO(商標)TMR、CURITHANE(商標)52、水酸化テトラアルキルアンモニウム(水酸化テトラメチルアンモニウムなど)、アルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウムなど)、アルカリ金属アルコキシド(ナトリウムメトキシドおよびカリウムイソプロポキシドなど)、および10~20個の炭素原子(およびいくつかの実施形態では、ペンダントヒドロキシル基)を有する長鎖脂肪酸のアルカリ金属塩を含み得る。
【0039】
連続気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層は、1つ以上の発泡剤も含む。発泡剤は、連続気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層に所望の全体密度および連続気泡含有量を提供する量で存在する。使用される発泡剤としては、気体または液体として添加される、または、任意選択的に物理的共発泡剤と組み合わせた、水とポリイソシアネートとの反応によってその場で有利に生成される、二酸化炭素を挙げることができる。二酸化炭素は、発泡剤として使用するために、米国特許第4,735,970号および第4,500,656号に開示されているようなアミン/二酸化炭素複合体を含む他の手段によって化学的に得ることもでき、それらの全開示は、参照により完全に本明細書に組み入れられる。他の好適な発泡剤としては、揮発性アルカン、例えば、ペンタン、ヘキサン、またはハロゲン含有物質、例えば、フルオロカーボンおよび水素含有クロロフルオロカーボン化合物が挙げられる。物理的発泡剤は特に限定されない。いくつかの特定の実施形態では、発泡剤は本質的に水からなる。典型的にはこの目的のために、存在する水の量は、ポリオール100重量部当たり、約0.5~約15部、好ましくは約2.0部、より好ましくは約3.0部、好ましくは最大約10部、より好ましくは最大約8部である。物理的発泡剤が存在する場合、その量は、典型的には、ポリオール100重量部当たり、約0.5~約10部、好ましくは約1~約5部である。
【0040】
追加的または代替的に、1つ以上の界面活性剤を、連続気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層を調製する際に使用し得る。例えば、様々な実施形態では、ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体における連続気泡対独立気泡のパーセンテージは、気泡開放界面活性剤の使用を通じて制御され得る。そのような気泡開放界面活性剤の例としては、商品名AK-9903でMaystaにより販売されているもの、および商品名NIAX(商標)Silicone L-6164でMomentiveにより販売されているものが挙げられるが、それらに限定されない。
【0041】
本開示のイソシアネート反応性成分は、0.5重量パーセント(重量%)~15重量%の界面活性剤を含むことができ、重量%は、イソシアネート反応性成分の総重量を基準としている。本明細書で論じるような界面活性剤の各種類のうちの2つ以上の組み合わせも、イソシアネート反応性成分中のそれらの合計パーセンテージが、全体として、規定した範囲を満たすならば、選択され得る。
【0042】
連続気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層は、5mm~80mmの厚さを有し得る。例えば、連続気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層は、5mm~50mm、5mm~30mm、5mm~25mm、5mm~20mm、5mm~15mm、5mm~10mmなどの厚さを有し得る。連続気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層は、硬質または半硬質であってよいが、様々な実施形態では、連続気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層は脆くない。
【0043】
様々な実施形態において、連続気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層は、ASTM D 1622に従って測定した場合、200kg/m未満、100kg/m未満、および/または70kg/m未満の密度を有する。密度は、10kg/m超、20kg/m超、および/または30kg/m超であり得る。例えば、密度は、30~70kg/mまたは30~80kg/mであり得る。
【0044】
連続気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層は、ASTM D 6226に従って、50体積%を超える連続気泡体積、60体積%を超える連続気泡体積、75体積%を超える連続気泡体積、および/または80体積%を超える連続気泡体積を有する。例えば、連続気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層は、75体積%~99体積%、または80体積%~95体積%の連続気泡体積を有し得る。
【0045】
連続気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層は、イソシアネート反応性成分をイソシアネート含有反応物と反応させて、任意の添加剤と共にポリマーマトリックスを形成させることによって、形成することができる。いくつかの特定の実施形態では、連続気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層は、80体積%を超える連続気泡含有量、および30~80kg/mの密度を有するポリウレタン発泡体層である。
【0046】
フェーシング層
上記の通り、いくつかの実施形態では、断熱層106は、少なくとも1つのフェーシング層206をさらに含み得る。実施形態では、フェーシング層206は、連続気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層204と独立気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層202との間に配置してもよく、または連続気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層204および独立気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層202のうちの1つだけに隣接して配置してもよい。例えば、図2に示すように、フェーシング層206aは、連続気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層204によって、独立気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層202から分離されていてもよく、フェーシング層206bは、独立気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層202と連続気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層204との間に配置されていてもよく、フェーシング層206cは、独立気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層202によって、連続気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層204から分離されていてもよい。フェーシング層206が断熱層106に含まれる場合、図2に記載した位置のいずれかに配置できることを理解すべきである。例えば、断熱層106は、フェーシング層206a、206b、および206cを含んでいてもよく、または断熱層106は、フェーシング層206aおよび206c、フェーシング層206aおよび206b、もしくはフェーシング層206bおよび206cを含んでいてもよく、またはフェーシング層106は、フェーシング層206a、206b、もしくは206cの1つのみを含んでいてもよい。
【0047】
様々な実施形態では、フェーシング層206は、ガラスフリース系材料などの非金属系フェーシング層である。本明細書で使用される場合、「ガラスフリース系材料」は、ガラスフリース基材などのガラスフリースを含む材料を指す。ガラスフリースは、飽和ガラスフリースまたは非飽和ガラスフリースであり得る。断熱構成要素106のための非金属系フェーシングは、ガラスフリースを含むガラス系材料、ポリマー膜系材料、および複合多層ホイル材料から選択され得る。
【0048】
フェーシング層としての使用に好適な例示的な材料としては、例えば、ポリマーおよび/または紙の複数のプライの積層体を含む複合ホイル、および鉱物または瀝青炭でコーティングされ得るガラスフリースまたはガラス組織が挙げられる。ガラスフリースは飽和していても飽和していなくてもよい。いくつかの実施形態によれば、使用前に1つ以上の最外フェーシング層を除去することが望ましい場合がある。いくつかの実施形態では、断熱構成要素は、剥離可能なフェーシング層を有し得る。そのような実施形態では、剥離可能なフェーシング層は、断熱構成要素が使用される前に、断熱構成要素から除去されてもよい。剥離可能なフェーシングの例としては、ポリオレフィンフィルム(例えば、プロピレンおよびポリエチレンなどであるが、それらに限定されない)、ポリハロゲン化ポリオレフィン、ワックス紙およびワックスプラスチックフィルム、プラスチックおよび複合ホイルが挙げられる。
【0049】
いくつかの実施形態では、第2のフェーサー層は、図2のフェーシング層206aおよび206cなどの第1のフェーシング層とは反対側の面上にある断熱構成要素106上に含まれ得る。第1および第2のフェーシング層は、同じであるかまたは異なる材料から作製され得る。言い換えれば、第1および第2のフェーシング層の材料は、複合多層ホイル、ガラスフリースを含むガラス系材料、ポリマー膜系材料、および木材系材料から独立して選択することができる。各フェーシング層は、独立して、0.01mm~3mm(例えば、0.05~0.6mm、0.05~0.1mm、0.07~0.09mmなど)の厚さを有し得る。特定の一実施形態によれば、第1のフェーシング層は、第2のフェーシング層と同じ材料で作製され、同じ厚さを有し得る。
【0050】
様々な実施形態において、独立気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層202および連続気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層204の少なくとも1つは、フェーシング層上に形成され得る。例えば、独立気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層202または連続気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層204は、液体反応混合物をフェーシングに適用することにより、フェーシング層の表面上に形成され得る。追加または代替として、独立気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層202および連続気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層204のうちの1つ以上は、例えば、その層をフェーシング層に接着剤を用いて固定することによって、固体形態でフェーシング層に適用され得る。
【0051】
特定の一実施形態では、連続気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層は、液体反応混合物をフェーシング層に適用することによって、フェーシング層上に形成され得る。連続気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層を、少なくとも部分的にゲル化させ得る遅延の後、独立気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層のための液体反応混合物を、連続気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層に適用することができる。いくつかの実施形態では、遅延は10秒以上であり得る。別の特定の実施形態では、独立気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート層を形成するための第1の反応混合物を、第1のフェーシング上に分配することができる。次いで、第2のフェーシングを供給し、第1のフェーシングと第2のフェーシングとを(その間に反応混合物を有する)、2つの回転ロールに通すことができる。次いで、連続気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート層を形成するための第2の反応混合物を、第2のフェーシングの外面上に分配する。次いで、第3のフェーシングを最上層として置き、その形成パネルを、間隔を空け対向させた2つの形成コンベアを通過させながら、硬化させる。あるいは、ポリウレタン発泡体が形成されるときに、追加のフェーシング層を、独立気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層に適用してもよい。あるいは、独立気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層を、第2のフェーシング層上に形成してもよく、連続気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層および独立気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層を、接着剤を用いて互いに固定してもよい。断熱層106を製造する他の方法を使用してもよい。いくつかの特定の実施形態では、最外フェーシング層のうちの1つ以上が使用前に除去されてもよい。
【実施例
【0052】
以下の実施例は、様々な実施形態を説明するために提供されるが、特許請求の範囲を制限することを意図するものではない。すべての部およびパーセンテージは、特に指示がない限り重量による。様々な実施例、比較例、ならびに実施例および比較例で使用される材料に関して、おおよその特性、特性、パラメータなどを以下に提供する。さらに、実施例で使用した原料の説明は以下の通りである。
STEPANPOL(商標)PS 2352は、Stepanから入手可能なポリエステルポリオールであり、
STEPANPOL(商標)PS 3152は、Stepanから入手可能なポリエステルポリオールであり、
VORANOL(商標)CP 1055は、The Dow Chemical Company(Midland,MI)から入手可能なポリエーテルポリオールであり、
TERCAROL(商標)5903は、The Dow Chemical Company(Midland,MI)から入手可能なポリエーテルポリオールであり、
VORANOL(商標)CP 260は、The Dow Chemical Company(Midland,MI)から入手可能なポリエーテルポリオールであり、
TCPPはトリクロロイソプロピルホスフェートであり、
NIAX(商標)L-6633は、Momentive Performance Materials,Inc.(Waterford,NY)から入手可能なシリコーン界面活性剤であり、
NIAX(商標)L-6164は、Momentive Performance Materials,Inc.(Waterford,NY)から入手可能な添加剤であり、
POLYCAT(商標)5は、Evonik Industriesから入手可能なペンタメチルジエチレントリアミン触媒であり、
POLYCAT(商標)8は、Evonik Industriesから入手可能な第三級アミンであり、
DABCO(商標)K 2097、DABCO(商標)K15、およびPOLYCAT(商標)41は、Evonik Industriesから入手可能な三量化触媒であり、
c/i-ペンタン70/30は、70重量%のシクロペンタンと、30重量%のイソペンタンと、からなる市販のブレンドであり、
VORANATE(商標)M 600は、The Dow Chemical Company(Midland,MI)から入手可能なポリマーメチレンジフェニルジイソシアネート(PMDI)であり、
VORANATE(商標)M 220は、The Dow Chemical Company(Midland,MI)から入手可能なポリマーメチレンジフェニルジイソシアネート(PMDI)である。
【0053】
発泡体サンプルを、Afros-Cannonの高圧計量分配機(high pressure dosing-dispensing machine)を使用して調製した。イソシアネート反応性成分および発泡剤を予備混合した。イソシアネート反応性成分、発泡剤、およびイソシアネートを、15,000±2,000kPaの混合圧を使用して20±2℃で処理した。各発泡体サンプルの連続気泡含有量を、ASTM D 6226に従って測定した。
【0054】
比較例A~Dの特性を、実施例1および2と共に、表1に報告する。比較例Aは、独立気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層である。比較例BおよびCは、連続気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層である。比較例Dは、市販の白色EPS(例えば、Gruppo Poron製のPORON 035)の層である。実施例1は、比較例Bの連続気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層の2つの層の間に配置された比較例Aの独立気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層の層である。実施例2は、比較例Cの連続気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層の2つの層の間に配置された比較例Aの独立気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層の層である。特に、実施例1および2において、独立気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層は、連続気泡ポリウレタン/ポリイソシアヌレート発泡体層のそれぞれに接着させた。
【0055】
比較例BおよびCの連続気泡層は、表1の「連続気泡」配合に従って調製した。比較例Bは、フリーライズ発泡体バンから取ったが、比較例Cは、密閉金型に特定の過剰充填を適用して調製した。比較例Aの独立気泡発泡体は、連続積層プロセスで製造された表1の「独立気泡」配合に従って調製した。
【表1】
【0056】
実施例1および2と比較例Aの4日間の熱サイクル(70℃、90%RHで2日間および70℃、25%RHで2日間)後の80mm×80mm×80mmの試験片の寸法変化を、測定し、表2に報告する。
【表2】
【0057】
表2に示すように、実施例1および2の寸法変化は、比較例Aのそれよりも0に近く、それは、組み合わせて使用すると、連続気泡層は、独立気泡発泡体に関して、改良された寸法安定性を提供することを示唆している。
【0058】
比較例AおよびCの断熱は、10℃でLaserComp熱流量計装置によって、測定した。試験片の寸法は200mm×200mm×50mm(厚さ)であった。次いで、実施例2の熱抵抗(R値)を、異なる層の熱伝導率値から計算した。実施例2のR値は、比較例Aよりわずかに低いが、同じ厚さのR値が2.67mK/W未満であるEPS、グレーEPS、または鉱物ウールなどのETICS用途に使用される従来の断熱製品よりもはるかに優れていた。
【0059】
記載した様々な実施形態は、多層パネルは、独立気泡発泡体のみからなるボード(比較例A)と比較して熱抵抗の一定の悪化を示す一方で、ETICS用途に現在使用されている一般的な材料(比較例D)と比較すると、はるかに優れた断熱性を提供することを実証している。したがって、本明細書に記載した様々な実施形態は、改善された寸法安定性が望まれる断熱複合材用途で使用することができる。
【0060】
さらに、「一般に」、「一般的に」および「典型的に」等の用語は、請求される発明の範囲を限定するため、またはある特定の特徴が請求される発明の構造もしくは機能にとって重要な意味を持つ、必要不可欠である、もしくはさらには重要であることを意味するために用いられるのではないことに留意されたい。むしろ、これらの用語は、本開示の特定の実施形態において用いられてもまたは用いられなくてもよい代替または追加の特徴を強調することを単に意図するものである。
【0061】
添付の特許請求の範囲に定義される本開示の範囲から逸脱することなく、修正および変更が可能であることは明らかであろう。より具体的には、本開示のいくつかの態様は、本明細書において好ましいまたは特に有利であると認識されているが、本開示は、必ずしもこれらの態様に限定されないことが企図される。
図1
図2
図3