(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-07
(45)【発行日】2023-04-17
(54)【発明の名称】無線高速データ転送のためのレーザグリッド構造
(51)【国際特許分類】
H04B 10/572 20130101AFI20230410BHJP
H01S 5/42 20060101ALI20230410BHJP
H01S 5/183 20060101ALI20230410BHJP
H04J 14/02 20060101ALI20230410BHJP
H04B 10/29 20130101ALI20230410BHJP
H04B 10/66 20130101ALI20230410BHJP
【FI】
H04B10/572
H01S5/42
H01S5/183
H04J14/02
H04B10/29
H04B10/66
(21)【出願番号】P 2020530451
(86)(22)【出願日】2018-08-13
(86)【国際出願番号】 US2018046531
(87)【国際公開番号】W WO2019033111
(87)【国際公開日】2019-02-14
【審査請求日】2021-08-10
(32)【優先日】2017-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518144218
【氏名又は名称】オプティパルス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョーセフ,ジョン・リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ホウ,フェン
(72)【発明者】
【氏名】サロレッタ,ウィリアム・ケイ
【審査官】浦口 幸宏
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0058506(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0033535(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/572
H01S 5/42
H01S 5/183
H04J 14/02
H04B 10/29
H04B 10/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ転送システムであって、
複数の光学データトランシーバであって、各光学データトランシーバが、異なる光学信号を受信し、
対応するデジタル信号へと変換するように構成され
、前記光信号およびそれらの対応するデジタル信号がデータセットを表す、
複数の光学データトランシーバと、
フォトニック放射体であって、
前記フォトニック放射体が
複数のレーザチップを備え、
各レーザチップが
(1)前記光学データトランシーバの1つに対応し、(2)レーザ発光エピタキシャル構造を備え、
前記レーザ発光エピタキシャル構造が、
前記レーザ発光エピタキシャル構造の単一のメサ構造内に位置する複数のレーザ発光領域
を備え
、(3)前記対応するデジタル信号をその対応する光学データトランシーバから受信し、(4)前記受信した対応するデジタル信号に応答して、前記レーザ発光領域を介して対応する可変のレーザ信号を発生し放射し、前記対応する可変のレーザ信号が、前記対応する可変のレーザ信号が発生された前記対応するデジタル信号によって表された前記データセットを表す、フォトニック放射体と
を備え
、
前記フォトニック放射体が、全体として、前記レーザチップによって発生され放射された前記対応する可変のレーザ信号を含む結合されたレーザビームを放射する、データ転送システム。
【請求項2】
前記フォトニック放射体から光学的に下流にあり、結合されたレーザビームを受信しデジタルデータへと変換するように構成される、フォトニック受信機と、
デジタルデータを受信し処理するように構成されるコンピュータシステムと
をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
フォトニック受信機が光学デマルチプレクサを備え、光学デマルチプレクサが、結合されたレーザビームを、その構成要素である可変のレーザ信号に多重分離するように構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記フォトニック放射体が、
前記レーザチップから光学的に下流に位置付けられる光学マルチプレク
サをさらに備え、
前記レーザチップが、互いに異なる波長における、それらのそれぞれの
対応する可変のレーザ信号を発生し放射するように構成され、
前記光学マルチプレクサが、
前記レーザチップからの
前記対応する可変のレーザ信号を多重化する
ことによって前記結合されたレーザビームを発生するように構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
結合されたレーザビーム
の複数のチャンネルを有する複数の
前記フォトニック放射体が互いに冗長的に接続されるように、複数の
前記フォトニック放射体がメッシュネットワークとして構成される、請求項3または4に記載のシステム。
【請求項6】
(1)結合されたレーザビームのうちの少なくとも1つのレーザビームを受信し処理し、(2)受信され処理された少なくとも1つの結合されたレーザビームから導出されるデータを少なくとも1つのサーバの複数のプロセッサに配信するように構成されるフォトニック受信機
をさらに備える、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
少なくとも1つのサーバが、複数の他のサーバと接続する複数の無線ノードも収容するハウジング内に存する、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
少なくとも1つのサーバおよび無線ノードが、情報システムから利用可能である処理およびメモリストレージ機能の無線アドホック接続を形成するネットワーク接続を提供する、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記レーザチップが、レーザグリッドアレイとして構成される複数の
前記レーザ発光エピタキシャル構造を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
データ転送方法であって、
複数の異なる光学信号を、
複数の対応するデジタル信号へと変換すること
であって、前記光学信号およびそれらの対応するデジタル信号が、データセットを表す、ことと、
前記対応するデジタル信号をフォトニック放射体に適用することであって、
前記フォトニック放射体が
複数のレーザチップを備え、
各レーザチップがレーザ発光エピタキシャル構造を備え、
各レーザ発光エピタキシャル構造が単一のメサ構造内に複数のレーザ発光領域を備える、ことと、
を含み、
前記適用するステップは、(1)各レーザチップが(i)前記対応するデジタル信号の異なる1つを受信し、(ii)その受信されたデジタル信号に応答して、
そのレーザ発光領域
を介して対応する可変のレーザ信号を発生し放射
し、前記対応する可変のレーザ信号が、前記対応する可変のレーザ信号が発生された前記対応するデータ信号によって表されたデータセットを表し、(3)前記フォトニック放射体が、前記レーザチップによって発生され放射された前記対応する可変のレーザ信号を含む結合されたレーザビームを放射することを含む、データ転送方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
無線接続性はデータを転送するための重要な方法になりつつある。しかし、この技術分野では改善が必要であると考えられる。例えば、特には自律車両(例えば、自動運転自動車)などの乗り物からデータセンターまでデータを転送する場合などにおいてさらには大量の高速ファイル転送を必要とする他の用途において、高いデータ転送速度を維持しながら大量のデータファイルを無線で転送することに関して多くの技術的課題が存在する。
【0002】
大規模データ取得に対しての従来のアプローチ(その例には、大量のセットの自動車データの転送が含まれてよい)が、光ファイバー接続を用いる標準的なTCP/IPイーサネットネットワークリンクを使用することができる。
【0003】
光検知測距(lidar:light detection and ranging)テクノロジがしばしば自律自動車で使用され、ここでは、乗り物上のライダー(lidar)センサがライダーポイントクラウドの形態のかなり大量のデータファイルを発生させることになる。これらのライダーポイントクラウドは乗り物の周りの3Dビューのイメージであってよい。通常、これらのビューは毎秒30回撮影され、それにより非常に膨大なデータストレージの必要性が乗り物において生じる。例えば、20テラバイト(TB)が必要となる可能性もある。乗り物内のデータストレージユニット(通常、乗り物トランクの中に位置する)がこれらの大量のライダーポイントクラウドを記憶するのに使用される。しかし、これらの大量のポイントクラウドを、乗り物のストレージから、分析および/またはさらなる配信のために遠隔のデータセンターに効率的におよび効果的に転送することが難しい仕事であり、この難しい仕事のために改善が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2011/0176567号明細書
【文献】米国特許出願公開第2017/0033535号明細書
【文献】米国特許第5,978,408号明細書
【非特許文献】
【0005】
【文献】Yoshikawaらの、「High Power VCSEL Devices for Free Space Optical Communications」、Proc. of Electronic Components and Technology Conference、2005年、pp.1353-58Vol.2
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
当技術のこれらの問題に対しての解決策として、本発明者らが、高いデータ速度でデータを光学的に転送するためにフォトニック放射体で使用され得る、低コストであり、高効率であり、ハイパワーである半導体レーザ構造を開示する。このような半導体レーザ構造の一例が、レーザ発光エピタキシャル構造を有するレーザチップであってよく、ここでは、レーザ発光エピタキシャル構造が単一のメサ構造内に複数のレーザ領域を含む。これらのレーザ領域が、入力データ信号を符号化する可変のレーザ信号を発生させて放射するために制御可能にアクティブ化され得る。このような半導体レーザ構造は光グリッドアレイとして構成され得る。
【0007】
このような光グリッドアレイを使用する乗り物からのデータ転送を伴う例示の実施形態では、データセンターが、データが運転手(または、仮想の運転手)の環境である常に変化するデータストリームに関連するようなときに、乗り物からデータを受信することができる(例えば、ライダーポイントクラウド)。次いで、データセンターが、データを整理し、データを処理し、データを記憶し、データを配信してその環境内の他の乗り物のところまで戻し、それら他の乗り物が、それらの最新の環境を検出して、識別して、その最新の環境に反応することが可能となる。このような環境では、データセンターと乗り物との間での一方通行の高速データ伝達が、時宜にかなっておりかつ好都合である必要がある;本明細書で説明される例示の実施形態によって可能となる高速データ転送がこれを可能とすることができ、他方で、データストレージを、放射体、受信機、およびデータセンターにリンクする接続プロセスを単純化する。
【0008】
データストレージユニットが、ファイバーチャンネル接続を介してこのようなフォトニック放射体に接続され得る。したがって、光学信号が、転送されるデータセットを表すのに使用され得る。光学データトランシーバがこの光学信号を受信して、この光学信号を、データセットを表すデジタル信号へと変換することができる。このデジタル信号が半導体レーザ構造を制御可能にアクティブ化するのに使用され得、その結果、半導体レーザ構造が、データセットをやはり表す可変のレーザ信号を発生させて放射する。このレーザ信号がデータセンターまで導かれ得、それによりデータ転送を達成する。このようなデータ転送が、実質的に無制限のデータ転送速度を可能とする後で考察する光グリッドテクノロジにより、大幅により迅速に、および大幅により効率的に、実施され得る。
【0009】
さらに、帯域幅を劇的にさらに拡大するために、実行者によって所望される場合にレーザ信号が大幅に多重化され得る。したがって、フォトニック放射体は、入ってくるデータの複数の光学チャンネルをサポートすることができ、そのデータをこれらの光学チャンネル内で転送するための多重化されたレーザビームを発生させる。
【0010】
例示の実施形態では、フォトニック放射体が複数のレーザチップを含むことができ、ここでは、各レーザチップが異なるファイバーチャンネルを介してデータストレージにリンクされる。したがって、複数のファイバーチャンネルが所与のフォトニック放射体に対して供給を行うことができる。例として、データストレージをフォトニック放射体にリンクする各ファイバーチャンネルが、16Gbpsの光学信号を放射体上の異なるレーザチップに提供することができる。このような4つのファイバーチャンネルが4つのレーザチップにリンクされる場合、4つのレーザチップによって作られる4つのレーザ信号が一体に多重化され得、64Gbpsのデータ通信をサポートするような結合されたレーザビームを作る。さらに、例示の実施形態では、放射体内のこれらの異なるレーザチップが互いに異なる波長におけるレーザ信号を作ることができ、低密度波長分割多重(CWDM:Coarse Wavelength Division Multiplexing)などのテクニックを介して多重化が達成され得る。
【0011】
さらに、複数のマルチチャンネルフォトニック放射体が、例えば空間多重化を使用して、帯域幅をさらに拡大するために一体に結合され得る。例として、5つの4チャンネルフォトニック放射体が乗り物の一部として含まれ得、各チャンネルが16Gbpsをサポートし、それにより5つの多重化されたレーザビームを作り、各多重化されたレーザビームが64Gbpsをサポートし、それにより約320Gbpsの期待される合計の帯域幅をもたらす。上述したように、乗り物から20TBのデータを転送することが必要である可能性もあり、これらの転送は10分以内で達成することが望ましい。5つの4チャンネルフォトニック放射体(ここでは、各チャンネルが16Gbpsをサポートする)を配備することにより利用可能となるような期待される320Gbpsの帯域幅が、このようなデータ転送の要求を満たすことができる。
【0012】
また、光学データ転送の性質により(ここでは、使用されるデータを符号化するレーザビームがデータセンターにルーティングされる)、実行者によって所望される場合、データ転送は、TCP/IPではなく、データのためのより高効率のストレージプロトコルを使用することができる。代わりに、データセンター内のストレージプロトコルは転送されるデータをフォーマットするのに使用され得、それにより高速接続を可能にするかまたはデータセンターの有能な計算能力の拡張を可能にする。したがって、TCP/IPネットワーキングによって必要とされる複雑な構造が回避され得るので、転送されるデータにおいて必要となるオーバーヘッドが低減され、それにより追加的な利益をもたらす。
【0013】
追加の例示の実施形態として、本発明者らが、フォトニック放射体からのレーザ信号を受信して、これらのレーザ信号をデータセンターによって処理されるためのデジタルデータへと変換するのに使用され得る、フォトニック受信機に関するいくつかの改良をさらに開示する。例えば、フォトニック放射体と連携して働くフォトニック受信機が、エッジコンピューティングセンターとして機能する小さいローカルデータセンターの近くの駐車場構造物内に位置してよい。
【0014】
本明細書において以下で、本発明のこれらのおよび他の特徴および利点が当業者に対して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】例示の上面発光のインプラントの実施形態を示す図である。
【
図2】例示の上面発光のインプラントの実施形態を示す図である。
【
図3】例示の上面発光のインプラントの実施形態を示す図である。
【
図4】例示の上面発光のインプラントの実施形態を示す図である。
【
図5】例示の上面発光のインプラントの実施形態を示す図である。
【
図6】例示の底面発光(bottom emitting)のインプラントの実施形態を示す図である。
【
図7】例示の上面発光の酸化の実施形態を示す図である。
【
図7A】例示の上面発光の酸化の実施形態を示す図である。
【
図7A2】例示の上面発光の酸化の実施形態を示す図である。
【
図7B】例示の上面発光の酸化の実施形態を示す図である。
【
図7C】例示の上面発光の酸化の実施形態を示す図である。
【
図8】例示の底面発光の酸化の実施形態を示す図である。
【
図9】例示の底面発光の酸化の実施形態を示す図である。
【
図10】例示の底面発光の酸化の実施形態を示す図である。
【
図10A】例示の底面発光の酸化の実施形態を示す図である。
【
図10A2】例示の底面発光の酸化の実施形態を示す図である。
【
図10B】例示の底面発光の酸化の実施形態を示す図である。
【
図11】例示の底面発光の酸化の実施形態を示す図である。
【
図12】例示の底面発光の酸化の実施形態を示す図である。
【
図13】例示の底面発光の酸化の実施形態を示す図である。
【
図14a】例示の底面発光の酸化の実施形態を示す図である。
【
図14b】例示の底面発光の酸化の実施形態を示す図である。
【
図14c】例示の底面発光の酸化の実施形態を示す図である。
【
図15】例示のマイクロストリップの実施形態を示す図である。
【
図16】例示の位相コヒーレントの実施形態を示す図である。
【
図17】回折光学素子を採用する例示の実施形態を示す図である。
【
図18】パターン回折格子(pattern diffractive grating)を採用する例示の実施形態を示す図である。
【
図19】例示のマイクロレンズの実施形態を示す図である。
【
図23】種々の実施形態に関連するレージンググリッドのための追加のパターンの例を示す図である。
【
図24】本明細書で説明されるように設計される例示の実施形態と米国特許出願公開第2011/0176567号によって教示される実施形態との間で電流フローを比較して示す図である。
【
図25】データストレージからデータを光学的に転送するフォトニック放射体の例示の実施形態を示す図である。
【
図26】マルチチャンネルフォトニック放射体の例示の実施形態を示す図である。
【
図27】
図26のフォトニック放射体と連携して使用されるためのフォトニック受信機の例示の実施形態を示す。
【
図28】例示のデータ転送システムを示す図であり、ここでは、乗り物が、モジュール型のフォトニック受信機までデータを光学的に転送するための複数のマルチチャンネルフォトニック放射体を使用する。
【
図29】モジュール型のフォトニック受信機の例示の実施形態に関する追加の細部を示す図である。
【
図30】
図28-29によって示されるようなデータ転送システムが駐車場構造物内にいかにして配備され得るかの例を示す図である。
【
図31】アクセスパネルがモジュール型の受信機セクションの一部としていかにして提供され得るかの例を示す図である。
【
図32A】本明細書で説明されるテクニックを使用する光学信号処理を採用するデータセンターの例を示す図である。
【
図32B】本明細書で説明されるテクニックを使用する光学信号処理を採用するデータセンターの例を示す図である。
【
図32C】本明細書で説明されるテクニックを使用する光学信号処理を採用するデータセンターの例を示す図である。
【
図32D】本明細書で説明されるテクニックを使用する光学信号処理を採用するデータセンターの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図25は、データストレージ2520からのデータを光学的に転送するフォトニック放射体2500の例示の実施形態を示す。ファイバーチャンネル2502が、光学データトランシーバ2506を介してデータストレージ2520をフォトニック放射体2500にリンクすることができる。データセット(例えばライダーポイントクラウドといった、大量のデータファイル、など)が、ファイバーチャンネル2502を通して光学信号2504として伝播され得る。次いで、光学データトランシーバ2506がこの光学信号2504を受信してデジタル信号2508へと変換することができる。このデジタル信号がデータセットのデジタル表現(例えば、1sおよび0s)として機能することができる。
【0017】
次いで、このデジタル信号2508がフォトニック放射体2500内でレーザチップ2510を駆動するのに使用される。このようにして、レーザチップ2510が、デジタル信号2508に応答する可変のレーザ信号2512を作って放射する。このようにして、可変のレーザ信号2512がさらにデータセットを符合化する。
【0018】
レーザチップ2510は、単一のメサ構造内に複数のレーザ領域を有するレーザ発光エピタキシャル構造であってよく、各レーザ領域がデジタル信号2508に応答してレーザビームを発生させ、作る。レーザチップ2510として使用され得るデバイスの例が以下の米国特許出願公開第2017/0033535号で開示および説明されており、その開示は、引用によりその全体が本明細書に組み込まれており、そのコピーが付録Aとして含められる。付録Aが、複数の導電グリッドから形成されるレーザ構造を説明しており、例示の実施形態ではこの複数の導電性グリッドから形成されるレーザ構造が、メサ構造の中にある半導体レーザの単一のユニットと、高周波動作への高速電気導波管に対してのそれらの接続部と、によって具現化され得る。レーザチップ2510として使用され得るデバイスの追加の例が、以下の米国特許出願で開示および説明されており、その各々の開示は、引用によりその全体が本明細書に組み込まれる:(1)2017年2月2日に出願された、「Methods to Advance Light Grid Structures for Low-Cost Laser Sources」と題される、米国特許出願第62/456,476号、(2)2017年2月2日に出願された、「Fabrication of Light Grid Structures with Wafer Scale Processing」と題される、米国特許出願第62/456,489号、(3)2017年2月2日に出願された、「High Power Laser Grid Structure for Applications over Distance」と題される、米国特許出願第62/456,501号、(4)2017年2月2日に出願された、「Methods for Advancing High Brightness Diodes」と題される、米国特許出願第62/456,518号、(5)2017年2月15日に出願された、「Rigid Lasing Grid Structure Array Configured to Scan, Communicate, and Process Materials Using Deformable Light Fields」と題される、米国特許出願第62/459,061号、および(6)2018年6月18日に出願された、「Graphene Lens Structures for Use with Light Engine and Grid Laser Structures」と題される、米国特許出願第16/011,417号。
【0019】
さらに、レーザチップ2510は複数のレーザ発光エピタキシャル構造のアレイとしても構成され得、各レーザ発光エピタキシャル構造は単一のメサ構造を有し、単一メサ構造が複数の分離されたレーザ領域を含む。このようなアレイの中では、レーザチップ2510が複数のメサ構造を有することができ、各メサ構造が複数の分離されるレーザ領域を含む。このようなレーザグリッド構造は、小さいチップ上にいくつかのレーザ放射体を呈することができる。
【0020】
図26は、マルチチャンネルフォトニック放射体2500の例示の実施形態を示す。この例では、フォトニック放射体2500が複数の光学チャンネルをサポートする。各光学チャンネルがレーザチップ2510を含み、上流の光学データトランシーバ2506からデジタル信号2508によって供給を受ける。このようにして、異なるレーザチップ2520が、これらのレーザチップ2510に印加されたそれぞれのデジタル信号2508に応答する異なるレーザ信号2512を作る。各レーザチップ2510が互いに異なる波長におけるレーザ信号を作ることができる。
【0021】
レーザチップ2510から光学的に下流に、光学マルチプレクサ2600が位置付けられる。光学マルチプレクサ2600が異なるレーザチップ2510からのレーザ信号2512を結合し、それらを結合されたレーザビーム2602とする。この結合されたレーザビーム2602が異なる光学チャンネルからのデータを符号化し、データセンターなどの遠隔のコンピュータシステムによって受信されるためにフォトニック受信機に伝達され得る。レーザ信号2512を多重化するのにいくつかのテクニックのうちの任意のテクニックが使用されてよい。例えば、低密度波長分割多重(CWDM)が採用されてよい。別の例として、高密度波長分割多重(DWDM:Dense Wavelength Division Multiplexing)が採用されてもよい。さらに別の例として、振幅変調が採用されてもよい。
【0022】
上記の例を続けるが、各光学データトランシーバ2506は、16Gbpsの帯域幅をサポートするファイバーチャンネル2502を介して光学信号2504を供給されることができる。この例では、フォトニック放射体2500内に4つの光学チャンネルが存在し、得られる結合されたレーザビーム2602が64Gbpsの帯域幅をサポートすることができる。しかし、ファイバーチャンネル2502内で他のデータ速度が採用されてもよいことを理解されたい。さらに、
図26によって示される4つの光学チャンネルより多くのまたはより少ない光学チャンネルがフォトニック放射体内で使用されてもよいことを理解されたい。
【0023】
図27は、
図26のフォトニック放射体2500と連携して使用されるためのフォトニック受信機2700の例示の実施形態を示す。受信機2700のコレクタレンズ2710が入ってくる結合されたレーザビーム2602を受信することができ、受信機2700が結合されたレーザビーム2602を、データセンター内の1つまたは複数のプロセッサによる処理のためのデジタルデータ2708へと変換することができる。受信機2700が、結合されたレーザビーム2602を光学デマルチプレクサ2704へとルーティングするルーティング用の光学素子(routing optics)2702を含むことができる。例として、光検出器のアレイから光学的に上流に位置付けられる光学フィルターのアレイが光学デマルチプレクサとして機能することができる。このような構成を用いることにより、各光学フィルターは、対応する光検出器の上に位置付けられる狭帯域光学フィルターであってよく、ここでは、フィルターは、正確な波長の信号により光検出器を駆動するのを可能にするのみである。光学デマルチプレクサ2704が結合されたレーザビーム2602を多重分離して、異なる波長のその構成要素であるレーザ信号2512に戻すことができる。これらの多重分離されたレーザ信号2512の各々が異なる光検出器2706に適用され得、各光検出器2706がその入射レーザ信号2512をデジタルデータ2708へと変換する。
【0024】
図27の例は4チャンネル受信機2700を示しているが、やはり、実行者によって所望される場合に受信機2700がより多くのまたはより少ないチャンネルを含んでもよいことを理解されたい。
【0025】
ルーティング用の光学素子2702が、結合されたレーザビーム2602を光学デマルチプレクサ2704へとルーティングするためにいくつかの異なる種類の光学要素のうちの任意の光学要素を採用することができる。例えば、1つまたは複数の鏡が、コレクタレンズ2710と光学デマルチプレクサ2704との間の光学パスに含まれてよい。このような鏡が、光学デマルチプレクサ2704に到達させるためにレーザビームの向きを変えて所望の方向にするのに使用され得る。このように向きを変えることにより、ルーティング用の光学素子が、レンズ2710からの光を光学デマルチプレクサ2704へと伝達するために、特定の物理空間内に存在する可能性のあるいかなる幾何学的課題も受け入れることができる(例えば、角部を回転させる)。このような鏡は、ルーティング用の光学素子2702内で固定される鏡の形態をとることができる。しかし、別の例示の実施形態では、鏡が微小電気機械システム(MEMS:micro-electro-mechanical system)の鏡の形態をとることができる。MEMSの鏡は軸を中心として回転可能であってよく、したがって、MEMSの鏡への入射光が所望の目的地の方へと導かれるように、制御可能に循環(cycled)させられ得、。このようにして、MEMSの鏡のための駆動信号が、各ビームが向かう必要のある場所に従ってタイミング調整され得る。このような形式でMEMSの鏡を使用することが、高速の一定の循環により、待ち時間を短縮させ得る。
【0026】
ルーティング用の光学素子2702内の光学素子の別の例として、1つまたは複数のビームスプリッタが、コレクタレンズ2710と光学デマルチプレクサ2704との間の光学パスに含まれてよい。ビームスプリッタを用いる場合、より複雑なルーティングの選択肢が実行者にとって利用可能となるが、その理由は、所望される場合にレーザビームが選択的に分割されて複数の方向に移動させられ得るからである。例えば、ビームスプリッタが、ビームの一部分を流出させて、その一部分を別のロケーション(データセンター内部にある、ブレード、メモリコア、ルータ、またはスイッチであってよい)に送るのに使用され得る。
【0027】
ルーティング用の光学素子2702内の光学要素のさらに別の例として、実行者によって所望される場合にファイバーチャンネルが転送媒体として使用される。
【0028】
ルーティング用の光学素子2702はまた、互いに接続可能である一連のモジュール型のユニットとして構成され得る。このようなモジュール性を介して、多種多様な標準化されたモジュール型のユニットを使用して複雑な幾何形状が受け入れられ得る。例えば、いくつかのモジュール型のユニットが、90°の回転を可能にする鏡を提供することができる。したがって、一連のモジュール型のユニットが、データセンターのコンピュータシステムまでのパス内に存在する可能性のあるいかなる物理的な障害物も迂回するようにルーティングする受信機2700のための物理的パスを提供するように互いに接続され得る。位置合わせ用のコネクタがモジュール型のユニットの間に提供され得、それによりこれらのモジュール型のユニットを通過する光学信号のための自動の位置合わせが提供される。このような位置合わせは、位置合わせされるビームのための光学軸に対して垂直である射出成形スロット内に配置される放射体-検出器ユニットによって達成され得る。これらの孔またはスロットは高い精度でバルクヘッドタイプのコネクタを位置付けするように工作され、予め位置付けされる見通し線を直接的に接続することをもたらす。このようなモジュール性の例が、後で考察される
図28-29に関連して示される。
【0029】
また、実行者によって所望される場合に光学デマルチプレクサ2704と光検出器2706との間のパス内に類似のルーティング用の光学素子が提供されてもよいことを理解されたい。
【0030】
図28は例示のデータ転送システムを示しており、ここでは、乗り物が、セクション2802内でモジュール型のスナップを含むフォトニック受信機2700にデータを光学的に転送するのに、複数のマルチチャンネルフォトニック放射体2500を使用する。この例では、乗り物がトランク内に多様なデータストレージユニットを含む。16Gbpsのファイバーチャンネルが、乗り物上にあるルーフトランスミッタ2800の一部として含まれる4チャンネルフォトニック放射体2500に対して、トランクストレージユニットの各々をリンクすることができる。この例では、ルーフトランスミッタ2800が5つの4チャンネルフォトニック放射体2500を含む。上述したように、このようなアプローチは、ルーフトランスミッタ2800がトランクのデータストレージの範囲外の約320Gbpsの帯域幅をサポートすることが予期されることを意味している。
【0031】
受信機2700が乗り物のための駐車場構造物内に位置付けられ得、ルーフトランスミッタ2700からの各々の64Gbpsのレーザビームが、空間的に多重化される構成で各ビームデータを案内する予め位置合わせされた鏡(例えば、鏡2804)にコリメートされ得る。
【0032】
図29は、データセンター内の受信機2700の追加のモジュール型のセクション2804の中においてルーティングされるか、またはそこを通過するようにルーティングされる空間的に多重化されたビームのパスを示している。示されるように、各モジュール型のセクション2804は、ビームを新たな方向にルーティングする鏡を含み、この集合体内で、モジュール型のセクション2804はビームを光学マルチプレクサ(
図29の2704を参照)にルーティングする。各デマルチプレクサ2704が、異なる処理用コアのための個別の光検出器への配信のために4つの波長を多重分離することができる。
【0033】
図30は、
図28-29によって示されるようなデータ転送システムが駐車場構造物内にいかにして配備され得るかの例を示す。この例では、多様な乗り物がルーフトランスミッタ2800を有し、駐車構造物内で頭上に配置される受信機2700へと高データ速度のレーザビームを伝達する。次いで、受信機2700内のルーティング用の光学素子2702が、上で考察したように、データセンター内の所望の目的地にレーザビームをルーティングする。
【0034】
図31はモジュール型の受信機2700を示しており、ここでは、構造物の中へのアクセスポイント3100を提供するためにアクセスパネルまたは蓋が構造物の一部として含まれ得る。アクセスポイントが、アクセスポイント3100を通して調整される特定の鏡ロケーションに合わせるようにビームが位置付けられるところの場所を示し得る。モジュール型のユニット2804が、ビームのロケーションの公差をモジュール型のユニットの機械的仕様の範囲内に入るように、構成され得る。このような構成により、ビームの位置合わせなしで、データセンターのオペレーションで受信機2700を迅速に構成することが可能となり得る。
【0035】
上で考察した種々の例は自動車および駐車場構造物を用いる革新的なデータ転送システムの使用を説明するものであるが、このデータ転送テクノロジが自動車および駐車場構造物以外の多くの用途にも使用され得ることを理解されたい。例えば、モジュール型の受信機2700はトンネルと共に使用され得、およびモジュール型の受信機2700は飛行機または列車などの乗り物からビームを配信することもできる。
【0036】
さらに、例示の実施形態では、本明細書で説明されるフォトニック放射体およびフォトニック受信機が、小型化された設備の中に配備され得、小型化された設備は、冗長性および照合のために無線メッシュネットワーク構成に基づくローカライズされたデータセンターを形成する複数の同様の実施形態とインターフェースするように構成されている無線光学バックホール(wireless optical backhaul)に接合される多波長の無線光学バックボーンを使用することにより、データのストレージおよび送達のために最適化される。光学バックホールの接続性は、例えば10Gbpsなどで、低コヒーレントな波長スパンに固有の多重化されたチャンネルのアレイを使用する上記および下記で説明される光グリッド/光エンジンのビームを使用する無線である。しかし、本発明者らは1つのチャンネルで50Gbpsが可能であることを予期している。この構成は、無線接続されるデータセンターとして機能する他の類似の実施形態にへの複数のリンクのための分配ノードを使用し、情報のビームまたはチャンネルが多重化された半透明なビームの分離およびルーティングを用いてノードのところで分配されていることを理由として、切り換えが最小限化される。これらの機能が、地方のコミュニティまたは都市(non-rural)のコミュニティ内での情報交換を強化するための独自の能力を作り出す。この狙いすなわち目標は、完全な機能のために必要である外部接続帯域幅(outside connection bandwidth)を最小にしながらの、ローカルトラフィックのストレージ、取得のための、データセンターである。各々の実施形態がローカライズされるネットワークの構築ブロックであってよく、ここでは、ウェブトラフィックの大部分が、ノードに取り付けられる単一のまたは複数の小型化されたストレージおよびマイクロプロセッサから構成されるローカルインフラストラクチャを対象とするか、またはリンクされるメッシュネットワークを対象とする。この場合、データセンターの処理能力またはメモリ機能のためのユニットが顧客によって借りられ得るかまたは購入され得る。
【0037】
例えば、
図32Aは例示のデータセンター3200を示しており、ここでは、複数の無線光学ノード3202が外部ソースまで光学データ信号を送信するように、および外部ソースから光学データ信号を受信するように構成される。ノード3202によって受信される光学信号が、データセンター3200内に常駐する複数の処理ユニット3206(例えば、サーバブレード)まで、多重化されたレーザビーム3204として送達され得る。このモードの信号処理は、フォトニック受信機2700のために上で説明したテクニックを採用することができる。ノード3202によって送信される光学信号がさらに、多重化されたレーザビームとして遠隔の目的地まで伝達され得る。このモードの信号処理は、フォトニック放射体2500および光学データトランシーバ2506のために上で説明したテクニックを採用することができる。
【0038】
データセンター3200はハウジング3208をさらに含むことができ、ハウジング3208内には、サーバブレードおよび光学的なルーティングコンポーネントが置かれる。データセンター3202が、過熱を回避するのを補助するための冷却ファン3210をさらに有することができる。さらに、太陽電池3214が、従来の壁/コンセントの電力(outlet power)にアクセスするのを必ずしも必要とすることなく動作する能力を促進するためにデータセンターの一部として含まれ得る。さらに、
図32Aの例では、データセンター3200が、LED3212などを介して照明源(例えば、街灯)として機能することもでき、光源のためのトランクまたはポールがサーバブレードを収容するのに使用され得、トランク/ポールの頂部からの延長部分がLED3212を吊り下げるのに使用される(上に位置付けられる、太陽光を集めるための太陽電池3214を有するデータセンターの頂部を用いる)。しかし、データセンター3200が街灯または他の光源として必ずしも配備される必要がなくてもよいことを理解されたい。
【0039】
図32Bが、
図32Aのトランク部分/ポール部分の拡大断面図を示す。トランク/ポールに沿って下方に延びる光学バックボーンが多重化されたレーザビーム3204を運ぶことができ、ビームスプリッタ3220が、
図32Bによって示されるように光学バックボーンに沿う種々の位置において、この多重化されたレーザビーム3204に接触することができる。これらのビームスプリッタが、処理のための特定のサーバブレード3206まで送達のために、多重化されたレーザビーム3204からの信号3222を選択的に多重分離することができる。
【0040】
図32Cが、無線光学ノード3202の例示の実施形態を示す。ノード3202が、光学データを異なる方向に送信することおよび光学データを異なる方向から受信することを目的とする複数の無線光学トランシーバ3230として構成され得る。各トランシーバ3230によって受信される光学信号が多重化され得、結合されたビーム3204を形成することができる。トランシーバ3230が、結合およびノード3202からの伝達のために、異なるサーバブレード3206からのデータ信号を多重化することを目的として、
図25および26に関連して上で考察したフォトニック放射体2500および光学データトランシーバ2506をさらに含むことができる。無線光学トランシーバ3230が、対象の波長の入射光に対して透過性である(例えば、IRに対して透過性である)ハウジング3232内に位置することができる。
【0041】
図32Dがデータセンター3200の別の例を示しており、ここでは、照明機能が提供されない。この例では、無線光学ノード3202が、射出成形パターンなどを使用する材料内に収容される基部の上に位置付けられる。
【0042】
いくつかのデータセンター3200が他のデータセンター3200のうちの少なくとも1つのデータセンター3200の光学範囲内にあるが地理的に分散され得、その結果、無線メッシュネットワークがエリア内でのデータ転送のために形成され得る。したがって、所与のデータセンター3200のノード3202内のトランシーバ3230が、メッシュネットワーク内の他のノード3202/データセンター3200内の他のトランシーバ3230に向けられ得る。
【0043】
したがって、本明細書に開示される革新的なデータ転送テクノロジは、いくつかの用途のうちの任意の用途において大量のデータファイルを無線で転送するのをサポートするのに使用され得る。VCSEL半導体レーザアレイからの高速(1GHzを超えるオン/オフ速度)でありハイパワーであるアウトプットを呈することができる上記および下記で説明される光グリッドテクノロジを活用することにより、この革新的なデータ転送テクノロジが、独自のかつ固有の構成的な設計改良に起因して、従来のVCSELアレイより高い歩留まりを実現する。放射体内で使用されるレーザチップが単純化された製造設計およびプロセスを使用し、ウエハースケールのプロセスを使用する完全な半導体のレーザチップにより速度およびパワーの優良な性能を実現して、複雑な組み立てタスクを排除する。これにより、費用のかかる複雑な外部のマイクロレンズ/鏡アレイとの位置合わせの代わりに、この製造プロセスを使用することで、小型化と、コスト削減と、ビーム特性の融通性の向上とが実現される。したがって、本テクノロジは、自律車両でのダウンロードのための高速無線データ伝達として使用され得るような、高ビーム品質であり、ハイパワーであり、短いコヒーレンス長の半導体レーザアレイの自動製造を改善することになる。
【0044】
上記で本発明を例示の実施形態に関連させて説明してきたが、当業者によって認識される、依然として本発明の範囲内にあるような、例示の実施形態に対しての多様な修正形態が作られ得る。本発明に対してのこのような修正形態は、本明細書の教示を精査することによって認識可能である。したがって、本発明の全範囲は添付の特許請求の範囲およびそれらの法的な均等物のみによって定義される。
【0045】
付録A-米国特許出願公開第2017/0033535号
レーザアレイは、単一レーザ、ファイバレーザ、ダイオード励起固体状態(DPSS:diode pumped solid state)レーザ、および発光ダイオード(LED:light emitting diode)と比較して、高い動作光学パワー(higher operational optical power)および高周波数動作を理由として、通信、光検知測距(LiDaR:light detection and ranging)、および材料処理の分野で重要になりつつある。
【0046】
レーザアレイは、一般に、印刷および通信で使用されているが、並列通信のためのアレイの各レーザデバイスに対して、単一の別個の接続部を有する構成で使用されるものであり、ここでは、各レーザがアレイ内の他のデバイスとは別個のコンタクトを有することを理由として別個の信号を有することができる。
【0047】
アレイ要素が一体に結合されて単一の信号で駆動されるとき、構造があまりに大きい静電容量またはインダクタンスを有することになる。この高静電容量特性/高インダクタンス特性は、レーザアレイがより多くの要素を追加するとき、レーザアレイの周波数応答の速度を低下させることになり、それによりそのようなレーザアレイの速度を低下させる。このことが、Yoshikawaらの、「High Power VCSEL Devices for Free Space Optical Communications」、Proc. of Electronic Components and Technology Conference、2005年、pp.1353-58Vol.2、および米国特許第5,978,408号、の参考文献に明示されている。
【0048】
マルチメサ構造に基づく高速レーザアレイが、本発明者の過去の文献、米国特許出願公開第2011/0176567号で説明されている。米国特許出願公開第2011/0176567号が、半導体レーザのマルチメサアレイと、高周波数動作のための高速電気導波管へのそれらの接続部とを説明している。しかし、米国特許出願公開第2011/0176567号で説明されるマルチメサ構造は多くの欠点を有する。
【0049】
米国特許出願公開第2011/0176567号で説明されるメサ構造の1つの問題は、一般にメサ構造が脆弱であることである。このことは、メサの形成後に接着のためのまたはレーザに触れるための何らかの機械的手順が存在する場合に問題である。メサ構造は直径が5ミクロンから10ミクロン程度小さくなり得、GaAsまたはAlGasなどの非常に脆い材料からあるいは他の同様の結晶材料から構成され得る。これらのメサは加工後に接着されなければならず、熱下で圧力が加えられ、その結果、レーザメサの頂部およびサブマウントがはんだにより電気的に接着される。背面発光デバイスのアレイを接着するときの、接合部分における一般的な破断メカニズムはメサに亀裂が入ることであり、それがレーザを役に立たないものとし、またデバイス全体を廃棄させる可能性がある。チップ上に30個のレーザが存在して、接着後に2個のレーザが壊れた場合、これらの2つのデバイスが発光しなくなる。さらに試験を行わなければならず、それにより、故障を取り除くためのプロセスが高価となる。
【0050】
別の問題は、マルチメサ構造では、レーザチップ上に存在する複数のメサのための間隔の要件を理由としてチップ面積(chip real estate)に応じてのレージングパワーを比較的小さいものとしてしまうことである。
【0051】
メサ分離法によって作られる複数のメサアレイの別の問題は、信号がコンタクトパッドを横断して移動するための距離が短い方が好ましい周波数応答依存の設計パラメータに起因して、レーザがある距離で分離されることによりアレイの全体のサイズが制限されることである。この後、アレイが、赤外線(IR)照射のために使用される複数の垂直共振器面発光レーザ(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)アレイなどのパワーを増大させる要素と共に使用されることになった。しかし、これらのIR源は高周波数動作をサポートしないことから、パルス幅が、高速パルス幅を必要とするLIDARではなく、照明のみに限定される。
【0052】
本発明者らは、より強く、よりパワフルで、高速であるレーザアレイの場合における当技術の要求を満たすために、本明細書で、本発明のいくつかの実施形態を開示する。例えば、以下で説明される本発明の実施形態は、電気導波管を採用する信号パッドを基板上に形成することにより静電容量を低減しながら、アレイのレーザを一体に接続することを目的として、高周波数電気導波管を組み込む。本発明の実施形態は、構造のうちの非導電性部分とは対照的に導電性である複数のエリアを作るためのmulti-conductive current confinementテクニックを単一の構造内で使用することをさらに含む。導電性部分が、レージングポイントの構造全体にわたってエッチングを行うことなく、レーザを形成するレージングエリアまたはレージンググリッドを形成する。上で参照した米国特許第5,978,408号で説明される設計とは異なり、本明細書で開示される本発明の実施形態は、高周波数動作を可能にするためにレーザアレイを高速電気導波管と一体化するように、設計および加工される。本発明の実施形態は、高周波数動作および剛性の構造の両方を呈することにより、ハイパワーである高速の光源の設計における新しい独自の機会をサポートするものであり、それにより当技術で知られている他の設計と比較して性能および信頼性を向上させる。
【0053】
本明細書で説明される例示の実施形態では、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)のエピタキシャル材料から加工される独自の構造が、米国特許出願公開第2011/0176567号で言及される構造などのVCSELアレイの中に形成される一般的なメサ構造と比較して、静電容量を低減させ、構造完全性を向上させ、また、フィルファクタを減らすことにより、高速動作に寄与する単一の剛体構造からレーザポイントのグリッドを形成する。VCSELの実施形態が単に例であり、このような設計が、共振キャビティ発光ダイオード(RCLED:Resonant Cavity Light Emitting Diode)、LED、または垂直延長共振器(または、垂直外部共振器)面発光レーザ(VECSEL:Vertical Extended(or External) Cavity Surface Emitting Laser)などの、他のレーザタイプと共に機能することができることを理解されたい。
【0054】
本明細書で説明される単一の連続構造が、一般的にはエッチングされて除去されるような材料の構造完全性を維持しながら、イオンのインプラントを使用してアパーチャの電気絶縁エリアを形成するか、またはマイクロ構造または孔を通じての非導電性酸化エリアを形成する。この新しい構造の形成が、さらに、分離された異なるレーザ伝導ポイントまたはグリッドの間で高速信号を分配するのを可能にする。レーザグリッドのP型コンタクトエリアのすべてが、グラウンド-シグナル-グラウンド(GSG)の一体化された電気導波管の信号部分に並列に接続され得る。導波管内でオンおよびオフに切り換えられる信号または電流が、レーザを形成するすべての導電パスの間で分配される。マイクロストリップ導波管などの他の種類の電気導波管が使用されてもよいことを理解されたい。
【0055】
この単一の連続構造は、より大型のめっき構造内での熱分配のためのより大きいベースなどのような、他の利点も有する。レージンググリッドはアレイ構造よりも互いにより接近する。レーザがさらに離れると、信号がアレイ内のすべての単一のポイントまで移動しなければならない距離に起因して、周波数応答または速度が低下し、それによりデバイスの最終的な帯域幅が制限される。
【0056】
したがって、本発明の実施形態により得られる利点の例は:
1.剛性の構造がチップ接着プロセスにおいてより高い信頼性を有する
2.剛性の構造がより高いフィルファクタを可能にする
3.剛性の構造がより高い信頼性の金属コンタクトを有する
4.剛性の構造が加工することにおいてより単純である
5.剛性の構造がコンタクトの間でより短い距離を有し、それによりより高い周波数のハイパワービームを可能にする
6.剛性の構造が単一のレンズまたは単一のレンズアレイが取り付けられるためのより良好な表面トポロジーである
7.剛性のメサ構造がリードおよびコンタクトのための別のエリアを作り、それにより電位を低下させる静電容量からの分離を提供する
8.剛性の構造が、コンタクトの三次元性により、サブマウントとのより高い一体性を可能にする
を含む。
【0057】
さらに、例示の実施形態では、レーザグリッドが、非導電性のイオンがインプラントされたエリアと比較して導電性が存在するような構造内の分離される領域にのみに電流を閉じ込めることによって可能にされる2つ以上のレージングエリアによって形成される。これらの導電性エリアおよび非導電性エリアが、単一の固体構造上にある、アクティブなポジティブコンタクトのための単一の金属コンタクトと、周囲のグラウンド構造上にある単一のN型コンタクトとを有する光のグリッドを形成し、単一のN型コンタクトが、2つのエリアを分離するトレンチの底部にあるN型コンタクトエリアに短絡される。例として、
図7Cが、速度を向上させるのにフレーム内の開口部が如何にして補助するかを示している。
【0058】
次いで、これらのP型コンタクトおよびN型コンタクトが高速電気コンタクトに接着される。2つの基板およびレーザチップがボンダによって位置合わせされ、次いで、一方のチップまたはもう一方のチップに堆積されているはんだを接着するために熱および圧力が加えられる。p型パッドがめっきおよびはんだ高さの分だけn型ウエハーグラウンドから分離されることにより高いスピードが可能となるが、これは主として、p型パッドをレーザ基板から除去してp型パッドを電気導波管基板の上に設置することによるものである。このように物理的な分離が静電容量を劇的に低下させ、それにより、回路の静電容量によって制限される周波数応答を増大させる。これがレージンググリッドが高周波数動作を実現することを可能にする。
【0059】
基板の背面上に形成される単一のレンズ、あるいはグリッド構造の背面に取り付けられるかまたは接着される単一のレンズが、集束ポイントまで、または集束ポイントから、各レージングポイントを導くことができる。これは、ビームアウトプットが単一の源からのものであるようなものとして、ビームアウトプットをコリメートすることにおいて理想的な形である。
【0060】
本明細書において以下で、本発明のこれらのおよび他の特徴および利点を当業者に対して説明する。
【0061】
米国特許出願公開第2017/0033535号の実施形態1-上面発光のインプラント
図1は本発明の第1の実施形態の例を示す。この例では、単一の固体構造がエッチングを用いて周囲のグラウンドから分離され、単一の固体構造がその中にイオンインプラントを有する。イオンインプラントが非導電性の半導体材料のエリアを作り、非導電性のこれらのエリアがレージングエリア2に電流を流す。このようにして、イオンインプラントが複数のレージングエリア2のレーザグリッドを形成し、ここでは構造内の分離される領域に電流が閉じ込められ、この分離される領域では非導電性のイオンがインプラントされたエリアと比べて導電性が存在する。導電性エリアおよび非導電性エリアが、アクティブなポジティブ(P型)コンタクトのための,および周囲のグラウンド構造上にある単一のネガティブ(N型)コンタクトのための,単一の固体構造の上にある単一の金属コンタクトを有する光のグリッドを形成し、単一のネガティブ(N型)コンタクトが、2つのエリアを分離するトレンチの底部にあるNコンタクトエリアにまたは周囲のグラウンド構造上のネガティブ金属に短絡され、周囲のグラウンド構造上のこのネガティブ金属が、2つのエリアを分離するトレンチの底部にあるN型コンタクトエリアに短絡される(例えば、
図7Cのように(参照符号781および782を参照されたい))。これらのP型コンタクトおよびN型コンタクトがさらに高速電気コンタクトに接着され、それによりレージンググリッドが高周波数動作を実現することを可能にする。
【0062】
図1はグリッドパターン内に配置されるレージングエリア2を示しているが、多くの形状のおよび多くのパターンのレージングエリア2が形成され得ることを理解されたい。これにより、レージングエリア2の形状/パターンを有する多くの形態の構造が可能となり、例えば、ハニカム構造パターン(例えば、多様なレーザ形状またはレーザパターンを可能にする多くのパターンのうちの1つである、別のパターンを示す
図23を参照されたい;非導電性エリア42に対して、単一のメサ構造内にレーザのための導電性エリア41を残すように、エッチングおよびインプラントのために使用され得る多くのパターンが存在する)、および接着を向上させながらより高い剛性を有するような他の構造パターンなどである。さらに、接合部により近接する複数のレーザを作ることを目的として、単一のメサ構造にエッチングされる孔(例えば、
図7の孔7005を参照)の中に高熱伝導性材料を用いて材料を堆積させることにより、熱除去が達成され得る。追加の構造パターンの例には、直線上にある正方形または円のような構成が含まれてよい。
【0063】
図1は、レーザチップのエピタキシャル側の上面図を示す。単一のレーザ発光エピタキシャル構造1が、レージングエリア2(
図1ではディスクとして示されている)以外のところに、イオンがインプラントされたエリアを有し、イオンがインプラントされたエリアではイオンインプラントがマスクされている。したがって、
図1は注入後およびエッチング後のチップを示している。単一のレージング領域に対して各々のメサが対応しているような、複数のメサを有する米国特許出願公開第2011/0176567号の従来の設計に対して、
図1の設計は、複数のメサを有さず、代わりに単一のメサであることを特徴とし得る単一の連続構造1を示しており、ここではこの単一メサが複数のレージング領域2を有する。
図1の図は電気コンタクトではなく単一のメサ構造を示すことを意図される。この構造1は、P型鏡と比べたN型鏡上の設計および反射率に応じて底面発光(bottom emitting)または上面発光であってよい。
【0064】
図1は:
1 複数のレージングポイントを作ることになる単一のアクティブメサ構造
2 マスクの下のエピタキシャル領域に対してインプラントが影響しないようにインプラントがマスクされているところの領域
3 単一のアクティブメサ構造および単一のグラウンド構造を分離するエッチングされた分離トレンチ
4 単一のグラウンド構造
を示す。
【0065】
図2は
図1によって示されるレーザチップの断面図であり、
図2では
図1によって示される単一のアクティブメサ構造1が11を付されており、
図2では
図1によって示されるマスクされたインプラントエリア2が12を付されている。
図2は、インプラント後およびエッチング後のチップを示しており、頂部金属を示していない。エッチング領域13が「フレーム」またはN型メサ14から単一のメサ構造12を分離する(
図2では、
図1からの単一のグラウンド構造4がフレーム/N型メサ14として示されている)。
図2は:
11 複数のレージングポイントを分離する単一のアクティブメサ構造のインプラントされたエリア
12 レージングを作り出すことになる、インプラントからマスクされたエピタキシーのエリア
13 単一のアクティブメサ構造11および単一のグラウンド構造14を分離するエッチングされた分離トレンチ
14 単一のグラウンド構造
15 頂部のP型鏡と底部のN型鏡との間にある量子井戸(これは光子が放出されるところのアクティブ領域である)
16 N型コンタクト層、またはN型金属電気コンタクトのロケーションのための高濃度ドープ層を有するN型鏡
17 レーザ基板
を示す。
【0066】
図3は
図1および2によって示されるチップの斜視図である。インプラントされた領域は不可視である。金属コンタクトが示されていない。この図は、上面発光のまたは底面発光のインプラントデバイス(implanted device)のために使用され得る単一メサのエッチングのトポロジーを示すためのものである。インプラントのプロセスは頂部側の金属またはエッチングの前に行われてもまたは後で行われてもよい。
【0067】
図4が、例示の上面発光のVCSELグリッド構造のエピタキシャル側の上面図を示している。この図は、はんだ付けプロセスによりレーザチップに接着される頂部側の電気導波管内にある正方形孔を通してのものである。この図では、分離されるエッチング領域が電気導波管によって隠されている。この図の円形ディスクが単一の固体メサ構造の上にある頂部金属コンタクトの中にあるか、またはめっき金属コンタクト領域の中にある孔である。
図4は:
41 下に導波管を有する、基板内にある孔
42 頂部側のP型金属の中にある孔であり、そこを通してレーザビームを放射することができる
43 導波管基板の頂部
44 レーザチップ上にある頂部側の延展金属
を示す。
【0068】
図5は、
図4に示される接着された電気導波管およびレーザチップの断面図を示している。電気導波管のための信号コンタクトが開かれ、その開口部を通してビームを伝播させることが可能となる。この実施形態の別の選択肢は、孔の代わりに、導波管のための透明なまたは透過性の基板材料を有することであり、そこを通してレーザを伝播させる。CVD(化学気相堆積)されるダイヤモンドまたはサファイアあるいはガラスなどの透明材料がこの材料と例となり得る。この図は、不透明でありしたがって孔または開口部を必要とする、AlNiなどの基板を用いる実施形態を示すものである。分離領域が、グラウンドに短絡される単一のメサグラウンドまたは構造から、あるいは「フレーム」構造から、単一のメサ構造を分離していることに留意されたい。
【0069】
これらのP型コンタクトおよびN型コンタクトが高速電気コンタクトに接着(
図7Bの参照符号751から754も参照されたい)される。グラウンド-シグナル-グラウンド(GSG)電気導波管基板およびレーザチップが位置合わせされ(
図14Bを参照)、その結果、ネガティブメサが導波管のネガティブ部分に接着され、レーザを放つポジティブのアクティブエリアが信号パッドに位置合わせされる。このアライメントがボンダによって画定され、次いで、一方のチップまたはもう一方のチップに堆積されているはんだを接着するために熱および圧力が加えられる(
図15を参照)。このコンタクトの高速であるという性質は、p型パッドがめっきおよびはんだ高さの分だけn型ウエハーグラウンドから分離されることによるものであるが、これは主として、それをレーザ基板から除去してそれを電気導波管の上に設置することによるものである。このように物理的な分離が静電容量を劇的に低下させ、それにより、周波数応答を増大させ(周波数応答は回路の静電容量によって制限される)、レージンググリッドのための高周波数動作をもたらす。
【0070】
例示の実施形態では、高速動作のために、エピ設計の底部のところで表面が電気コンタクトに接続され、これが、単一構造(例えば、
図7Aを参照(参照符号717))を囲む分離トレンチ(例えば、
図7Aの参照符号702を参照)を通して達成される。この構造はメサトポロジーに基づいておらず、金属めっき(
図7Cの参照符号782など)を通して、N型コンタクト金属の電気領域に単純に短絡される(
図7Aを参照されたい(参照符号703))。これは米国特許出願公開第2011/0176567号で説明されているような積み重ね構造または隆起構造ではなく、チップ表面と、接着のための表面となるエピ材料とを使用するものであり、エピ材料がさらにデバイスを接着部分のところでより安定する形で堅固にする。
【0071】
図5を再び参照すると、GSG信号パッド51が、P型コンタクト金属をアクティブな単一メサ構造の頂部に電気的に接続するはんだ52を有する。これにより、中にレーザ伝播のための孔を有する金属コンタクト構造の中に信号または電流を注入することが可能となり、電流がエピタキシャル構造のインプラントされていない領域を通って流れ、それによりこれらの画定される領域のみに電流が閉じ込められる。頂部のP型鏡領域が底部のN型鏡よりわずかに低い反射率を有し、それによりエピタキシャル構造の頂部から光を放射するのを可能にする。電流が、量子井戸の上を流れてこれらの接合部分内に光および熱を発生させ、n型鏡の中に入り、ここでは、電流がn型鏡の中にあるかまたはn型鏡の近くにあるN型コンタクト領域まで前進する。次いで、電流が、GSG電気導波管のグラウンド部分に接着されて電気コンタクトする短絡されたフレーム構造の方へ前進する。上面発光の設計を使用するこの構造は、GaAsまたはレーザ基板材料による透過遮断の波長より低いような低波長アウトプット設計のために使用され得る。背面発光構造は、通常、~905nmを超える波長のためにしか設計されない。この上面発光構造は、設置されるエピタキシャル材料の限界値までの範囲において~850nm以下で使用され得る。
【0072】
単一の固体構造がエッチングを用いて周囲のグラウンドから分離され、ここでは単一の固体構造がその中にイオンインプラントを有する。インプラントは不可視であるが、それが引き起こす結晶ダメージを理由として半導体材料を非導電性にする。インプラントデバイスを作るためには、最初に、ダメージから保護されるべき領域をマスクしなければならない。
【0073】
フォトリソグラフィックプロセスによって位置付けされるフォトレジストを用いて小さいメサが形成され、フォトレジストがエピタキシャル材料をダメージから保護し、インプラントの実施後に洗い落とされる。インプラントはイオンインプラント機械の中で行われ、イオンインプラント機械は、管に沿ってイオンを加速させ、イオンストリームの前にウエハーが配置される。
【0074】
インプラントされたイオンは非導電性の半導体材料のエリアを作ることができる。非導電性材料のこれらのエリアがレージングエリアを通るように電流に強いることになる。これらの非導電性エリアは、
図1と同様のパターンをエッチングして、実施形態2に関連して後で説明されるようにこの単一構造を酸化させることによっても作られる。
図5は:
50 非導電性の電気導波管基板
51 電気導波管の信号金属
52 電気導波管をレーザチップに接着するためのはんだ金属
53 P型コンタクト層に短絡されてGSG電気導波管の信号パッドに電気的に接続されるめっき金属
54 P型出力鏡-回折ブラッグレフレクタ(diffractive bragg reflector)
55 アクティブ領域-量子井戸
56 低抵抗性コンタクト層が置かれるところであるN型鏡
57 N型コンタクト層およびグラウンドメサに短絡されるかまたは電気コンタクトするめっき金属
58 高速電気導波管のグラウンドパッドに電気コンタクトしており、接地されているメサ構造に電気コンタクトしている、はんだ
59 高速電気導波管上の信号パッドにコンタクトするための、単一メサ構造上のP型金属に接続されるめっき金属上のエリア
を示す。
【0075】
図24は、実施形態1などの実施形態と、米国特許出願公開第2011/0176567号によって教示される設計との間での、異なる電流フローの比較図を示す。米国特許出願公開第2011/0176567号では、各メサがN型金属コンタクトエリアによって囲まれる。これにはチップ上の貴重な空間または面積が使用されるが、その理由は、各メサの周りにこれらの階段状の金属n型コンタクトを画定するための処理はフォトリソグラフィを必要とし、それが、メサの間にどれくらい近くまで間隔をとれるかを制限するからである。これらの制限により、単位面積当たりのパワーアウトプットが新しい方法と比較して低くなる。したがって、この古い装置の目的は非常に高いパワーおよび速度のためのアレイであったのだが、パワー/面積を大きく改善させることを考慮しておらず、パワー/面積の大きな改善は、非常に高い速度において非常に大きいパワーを得るという最終的な目標においても改善となるものである。また、新しい単一構造を用いる場合は排除された古い方法での構造的制約を理由として、この古い方法のN型コンタクトは大型である必要がある。
【0076】
本明細書で説明される新しい設計を用いる場合、単一構造がその上に複数の層を有し、この単一構造の周りにコンタクトを1つのみ有する。この新しい構造は構造の外部へのN型金属エリアを縮小し、光学素子ごとの面積を大幅に小さくする。これは、単一構造の電流負荷を担うように計算される大型のN型コンタクト層を伴う。単一のコンタクトから電流フローを増大させることは、より厚い金属またはより厚いN型コンタクト領域を通して実現され得る。
【0077】
米国特許出願公開第2017/0033535号の実施形態2-底面発光のインプラント
図6は第2の実施形態の例の断面図を示しており、ここでは、この第2の実施形態は、電流閉じ込めのためのインプラントされた領域を伴う底面発光デバイスである。GSG電気導波管がフレーム-グラウンド構造に、およびアクティブな単一レーザメサ構造にはんだ接着された状態で見られ得る。
図6は:
601 電気導波管基板
602 GSG電気導波管の順序でのグラウンドコンタクトおよび信号コンタクト
603 レーザチップに対してのGSG導波管のはんだ-接着部分
604 電気導波管の信号パッドをレーザのP型コンタクトに電気的に接続するめっき金属
605 P型コンタクト金属
606 非導電性にされた状態のインプラントされた領域
607 P型鏡
608 アクティブ領域(量子井戸)
609 N型鏡
610 インプラントが届かないところであるN型鏡内の導電層
611 レーザ基板を通って伝播するレーザビーム
612 N型コンタクト領域に短絡されるめっき金属
613 N型コンタクト領域に短絡されるフレームエリア
614 レーザ上のN型コンタクトを、電気導波管上のグラウンドに電気的に接続するはんだ
615 大型の単一メサを、グラウンドフレームから分離するエッチング領域
を示す。
【0078】
米国特許出願公開第2017/0033535号の実施形態1および2のためのプロセス
インプラントによる電流閉じ込め(implant current confinement)を用いる、実施形態1および2のための単一構造を作るためのプロセスステップの例示の実施形態が以下のように説明され得る。
【0079】
ステップ1.P型金属を堆積させないエリアをマスクするためにフォトリソグラフィを使用する。
【0080】
ステップ2.P型金属(通常、~2000AのTiPtAu)を堆積する。
【0081】
ステップ3.フォトリソグラフィ-リフトオフおよびウエハー洗浄。O2のディスカムまたはウエハーからのすべての有機物のアッシング。
【0082】
ステップ4.エッチングマスクとして誘電堆積体(通常、~<1000AのSiNx)を使用する。
【0083】
ステップ5.イオン衝撃を通じて非保護領域を非導電性にするようなインプラントからのダメージから、エピ材料を保護するために、複数のエリア内に堆積されるフォトレジストまたは金属を使用するフォトリソグラフィックマスキング。このステップは本プロセスにおいて後で実施されてもよいが、トポロジーがより大きく変化していることに起因して実施がより困難となる可能性がある。
【0084】
ステップ6.インプラント(インプラントドーズ量を計算する技術分野の当業者が、p型領域および量子井戸を互いから分離することになるような深さまで材料構造を切り離すのに必要であるインプラントのドーズ量およびを決定することになる)。
【0085】
ステップ7.インプラントに起因して、このフォトリソグラフィを洗浄することは困難であり、フォトリソグラフィの上のめっきなどの金属の堆積体がレジストを洗い落とすのを容易にするのを補助することができる。
【0086】
ステップ8.エッチングされない誘電体エリアをマスクするためにフォトリソグラフィを使用する。これは、電流が流れることが不可能である場所を画定する本構造内でのインプラントの下方において、分離される大型の構造を作るマスクの設計である独自の部分である。
【0087】
ステップ9.誘電体を通してのエッチングを行うためにプラズマエッチングを使用することが(通常、Flベースのエッチング剤)、BOE(buffered oxide etch)(緩衝酸化物エッチング)などのウェットエッチングを使用することができる。
【0088】
ステップ10.レーザまたは発光ダイオードのエピタキシャル材料の中にパターンをエッチングする。基板またはドープ電気コンタクト層上で止める。これが、チップ周りのN型短絡領域から単一の大型の構造を分離する。
【0089】
ステップ11.マスクを洗い落とす。O2のディスカムまたはウエハーからのすべての有機物のアッシング。
【0090】
ステップ12.N型金属を堆積させないエリアをマスクするために、フォトリソグラフィを使用する。
【0091】
ステップ13.N型金属(通常、原子量で80%Au/20%GeであるGeAu/Ni/Au共晶組成)を堆積させる。他の拡散バリア金属としての~200A以上のNiと、~5000A以上のAuとを有する、全体の厚さが~3000A以上のAuGe層である。また、これは、n型金属がn型コンタクトエッチング領域内に堆積されて、また、N型コンタクト構造までおよびその上方まで堆積されて、それによりこの構造をN型コンタクトに短絡する、という点によって独自的である。
【0092】
ステップ14.マスクを洗い落とす(通常、リフトオフと呼ばれる)。O2のディスカムまたはウエハーからのすべての有機物のアッシング。
【0093】
ステップ15.非導電性分離バリアとして誘電堆積体(通常、~2000AのSiNx)を使用する。
【0094】
ステップ16.エッチングされない誘電体エリアをマスクするために、フォトリソグラフィを使用する。
【0095】
ステップ17.誘電体を通してのエッチングを行うためにプラズマエッチングを使用することが(通常、Flベースのエッチング剤)、BOE(buffered oxide etch)(緩衝酸化物エッチング)などのウェットエッチングを使用することができる。
【0096】
ステップ18.マスクを洗い落とす。O2のディスカムまたはウエハーからのすべての有機物のアッシング。
【0097】
ステップ19.はんだ金属を堆積させないエリアをマスクするために、フォトリソグラフィを使用する。
【0098】
ステップ20.~4-5μmの金属(通常は、Au)または拡散バリアが先に堆積されていてよい場合にはCuでエリアをめっきする。
【0099】
ステップ21.はんだを堆積させないエリアをマスクするためにフォトリソグラフィを使用する。
【0100】
ステップ22.はんだ金属(通常、原子量で80%Au/20%SnであるAuSn/Au共晶組成)を堆積させる。AuGe層の全体の厚さが~40000A(4ミクロン)以上であり、Snのいかなる酸化も防止するために頂部に~500A以上のAuが用いられる。この層がパターニングされてサブマウントの上に堆積され得、電気導波管がレーザグリッドに接着されている。
【0101】
米国特許出願公開第2017/0033535号の実施形態3-上面発光の酸化
第3の実施形態では、単一構造内に上面発光レージング領域のグリッドを作るのにイオンインプランテーションではなく酸化が使用される。例えば、パターニングされたエッチングは単一構造内で導電パスを分離することができ、それにより光源のグリッドを作る。この構造は、単一構造からの複数のレーザ発光点を呈するものである。レージング構造が、エッチング領域により、チップの外周部を形成するグラウンドコンタクトから分離される。実施形態3のためのこの構造は上面発光である。グリッドの導電性エリアが、光が放射されるところの場所となる。ポジティブ電気コンタクトが、光が放射されるところの場所である開口部を伴うグリッドであってよい。
【0102】
レーザウエハーのエピタキシャル材料がVCSEL設計であってよく、ほとんどのVCSELが上面発光である。p型導波管パッドを使用する信号の配信は通常はレーザウエハー上で行われるが、背面発光設計を有する酸化した単一構造の実施形態では、導波管がレーザのn型材料または層から分離される別個の基板上にあってもよいことを理解されたい。
【0103】
実施形態3の例を示す
図7は、複数のポイントでのレージングを可能にする単一構造を作ることを目的としてウエハーにエッチングされる例示のパターンを示している。
図7によって示される実施形態などの実施形態の単一構造は、米国特許出願公開第2011/0176567号によって教示されるような脆い結晶材料で作られる細いカラムより大幅に高い剛性を有する。また、上で考察された実施形態に関連して説明されたように、
図7によって示されるパターン以外のレージングエリアのパターンが実行者によって所望される場合に採用されてもよいことを理解されたい。
【0104】
図7では、分離トレンチの中央にパターニングされた単一メサ構造を作るために、斜線ストライプエリアが好適には下方向にエッチングされる。すべての斜線ストライプエリアが好適には
図7Aの底部のN型電気伝導性層705まで下方向にエッチングされるか、または一般的にはより大型の分離トレンチがエピタキシャル設計として埋設される電気コンタクトまでエッチングされることになり、対してより小型のパターニングされたエッチングエリアは、レージングポイントを分離するアクティブ領域より深くまで到達しなければならない。分離トレンチの中央のパターニングされた構造は、この構造にエッチングされる「成形された」孔を有する単一構造である。
【0105】
大型の単一メサの中にある孔はこの事例では大型である。これらの孔が、この酸化プロセス環境でエピタキシャル領域内の層を酸化させるのを可能にする。酸化層は高いアルミニウム含有量を有し、酸化プロセスの終了時まで層を通って横方向に成長するAlO
2を形成する。白色エリアがチップの表面であり、点線が酸化により電流フローを非酸化エリアのみに制限するような場所である。この大型単一メサの中の孔はこの事例では大型である。これらの孔が、この酸化プロセス環境でエピタキシャル領域内の層を酸化させるのを可能にする。酸化層が、表面の下に埋設されるエピ設計構造内の高いAl含有量を有する層を使用して、形成され得る。エッチングエリアが、酸化チャンバ内に設置されることになる層を露出し、この露出される層が内側へと酸化することが可能となり、ここではAlO
2が酸化プロセスの終了時まで層を通って横方向に成長する。この薄い層の中で酸化の長さが伸びるので、酸化プロセス中に形成されるAlO
2の誘電材料により電流パスが分離されるかまたは閉鎖される。エリア7005がエッチングされる場合、エリア7008のみが導電性となるまで酸化が成長し続け、エピタキシャル層のこのエリアまたは部分がこのセクションを通るように電流を導く。電気伝導性エリアが、電流フローが量子井戸を通るのを可能にし(
図7Aの参照符号707を参照)、p型鏡709とN型鏡706との間のキャビティで光がトラップされるときにレージングを作り出す。
【0106】
図7では酸化長さを点線で見ることができ、すべてが、中に形成される孔を有する大型単一構造の中の、任意の1つの露出される縁部または孔からほぼ等しい距離である。
図7は大型の単一メサグラウンド構造をさらに示している。
図7A、7B、および7Cが位置する場所を示すために3つ断面の図が示されている。
図7Bが、この断面を通して、中央のメサが単一構造であることを明瞭に示していることに留意されたい。
【0107】
図7は:
7001 電気導波管のグラウンドへの電気コンタクトのためのフレーム(単一の短絡メサ)
7002 グラウンドフレームから大型の単一メサを分離するエッチング領域
7003 エッチングされた孔を備える単一メサ構造
7004 単一メサ構造の縁部を酸化状態および非導電性の状態で維持するための縁部内にあるインデント
7005 単一メサ構造内にあるエッチングされた孔
7006 任意のエッチングされた縁部の周りにある酸化パターン
7007 電流フローを可能にしない重複する酸化エリア
7008 電流が自由に流れることができるレーザアパーチャ(
図7Bの761と同様)
7009 グラウンドから電気導波管上の信号パッドまでの静電容量を低減するための短絡メサ構造内にある隙間
を示す。
【0108】
図7A、7A2、および7Bは、例示の
図7の実施形態の側面図である。
【0109】
図7A2は酸化731を形成するのを可能にするエッチングされた孔727を示しており、これがレーザビーム763の形成のために電流を
図7Bの領域761に閉じ込める。
【0110】
図7Aの参照符号706は、p型鏡の回折ブラッグレフレクタ(DBR)であり、これは非常に高いアルミニウム含有量を有する1つまたは複数の層708を中に有し、このことが、高温高湿条件に晒されるときに708を酸化させ、電流を
図7Bによって示されるエリア761に閉じ込め、エリア761においてレーザビームが外に出る。N型鏡のDBR709が、めっき782(
図7Cを参照)へのN型金属オームコンタクトを通して電流を外に流すための導電層705を有し、めっき782が単一のグラウンドメサ構造718(
図7Aを参照)までさらにはその上方ではんだ717まで到達し、GSG導波管716上のN型めっきに電気接続され、さらには導波管のN型コンタクト175の中まで電気的に接続される。
【0111】
電流閉じ込めは半導体レーザの重要な点である。この概念は、電流フローがこの構造の縁部から離れることを強いることであり、その結果、エッチングにより存在し得るような粗い表面状態の近くを電流が流れることによる問題がなくなる。また、材料内での電流密度を上げることによりレージングを実現することを目的として、理想的には、電流フローが集中される。電流閉じ込めは、ドリルされた孔によって可能となる酸化プロセスにおいて、Alの高濃度層が高温高湿条件に晒されるのを可能にすることによる酸化により(例えば、この実施形態3)、または他のすべてのエリアを非導電性にするインプラントにより(例えば、実施形態1および2を参照)、行われる。
【0112】
図7Aは:
701 電気導波管基板
702 大型単一メサをグラウンドフレームから分離するエッチング領域
703 N型コンタクト層に電気コンタクトしているN型金属コンタクト
704 N型鏡
705 N型鏡の中にあるN型コンタクト層(オームコンタクトのために低抵抗性である)
706 N型コンタクト領域の上方にあるN型鏡
707 アクティブ領域(量子井戸)
708 領域内において電流を遮断する酸化層
709 P型鏡
710 誘電層
711 P型コンタクト金属の頂部にあるめっき
712 レーザビームの出口のための、P型コンタクト金属およびめっき金属の中にあるアパーチャ
713 電気導波管基板
714 GSG電気導波管のグラウンドコンタクト
715 GSG電気導波管の信号コンタクト
716 レーザチップへのGSG導波管のはんだ-接着部分
717 レーザチップへのGSG導波管のはんだ-接着部分
718 レーザチップのN型コンタクト領域に電気的に接続されるフレーム構造
を示す。
【0113】
図7A2は上記
図7Aのつづきであり、
図7A2は:
721 GSG電気導波管のグラウンドコンタクト
722 GSG電気導波管のグラウンドコンタクト上のめっき
723 レーザチップへのGSG導波管のはんだ-接着部分
724 GSG電気導波管の信号コンタクト
725 レーザチップへのGSG導波管のはんだ-接着部分
726 GSG電気導波管の信号コンタクト上のめっき
727 酸化により電流閉じ込めアパーチャを形成するのを可能にする、単一メサ構造内にあるエッチングされた孔領域
728 P型コンタクト金属の頂部のめっき
729 めっきからレーザの単一メサ構造上のP型コンタクトへの電気コンタクトのための誘電層内にある開口部
730 誘電層
731 エッチングされた孔領域の近くで電流を遮断する酸化層
を示す。
【0114】
図7Bは、
図7に示されない電気接続部および電気導波管をさらに示している
図7の断面図である。
図7Bは酸化層によって作られるアパーチャを通る断面図を示す。酸化層が、
図7Aに示される単一構造内の孔を介する酸化プロセスに晒される。この図はさらに、このアクティブメサ構造が真に単一メサ構造であることを示している。
図7Bは:
751 GSG電気導波管のグラウンドコンタクト
752 GSG電気導波管のグラウンドコンタクト上のめっき
753 はんだ-レーザチップへのGSG導波管のグラウンドの接着
754 GSG電気導波管の信号コンタクト
755 GSG電気導波管の信号コンタクト上のめっき
756 レーザチップ上のP型コンタクト金属
757 レーザアパーチャの上にあるめっきおよびP型コンタクト金属の中の開口部
758 P型コンタクト金属上のめっき
759 はんだ-レーザチップへの、GSG導波管の信号の接着
760 N型コンタクトからアクティブメサ構造を保護する誘電層
761 酸化層内にある開口部によって形成される電流閉じ込めアパーチャ
762 酸化層誘電体
763 金属開口部を通って伝播するレーザビーム
を示す。
【0115】
図7Cは、GSG導波管のP型コンタクトまたは信号がレーザチップの下方に位置付けされるところのエリアの断面図であり、ここではレーザのN型コンタクトに接地されるN型コンタクトフレームまたは単一構造メサがGSG電気導波管の上方にある。レーザグラウンドとP型信号パッドとの間の大型の隙間が回路の静電容量を低減し、高周波数動作を可能にする。
図7Cは:
780 誘電層
781 N型オームコンタクト金属
782 N型金属コンタクトを単一のグラウンドメサ構造に短絡するめっき
784 エピタキシャル成長側のN型コンタクト層
785 電気導波管上の信号パッドに電気コンタクトしているめっき
786 GSG電気導波管上の金属の信号パッドリード
787 GSG電気導波管のグラウンドパッド上のめっき
788 電気導波管基板
789 導電性信号パッド構造とN型コンタクト層との間の隙間が、静電容量を低減させる
を示す。
【0116】
米国特許出願公開第2017/0033535号の実施形態3のためのプロセス
酸化による電流閉じ込め(oxidation current confinement)を用いる、実施形態3のための単一構造を作るためのプロセスステップの例示の実施形態が以下のように説明され得る。
【0117】
ステップ1.P型金属を堆積させないエリアをマスクするために、フォトリソグラフィを使用する。
【0118】
ステップ2.P型金属(通常、~2000AのTiPtAu)を堆積する。
【0119】
ステップ3.フォトリソグラフィリフトオフおよびウエハー洗浄。O2のディスカムまたはウエハーからのすべての有機物のアッシング。
【0120】
ステップ4.エッチングマスクとして誘電堆積体(通常、~<1000AのSiNx)を使用する。
【0121】
ステップ5.エッチングされない誘電体のエリアをマスクするために、フォトリソグラフィを使用する。
【0122】
ステップ6.誘電体を通してのエッチングを行うためにプラズマエッチングを使用することが(通常、Flベースのエッチング剤)、BOE(buffered oxide etch)(緩衝酸化物エッチング)などのウェットエッチングを使用することができる。
【0123】
ステップ7.レーザまたは発光ダイオードのエピタキシャル材料の中にパターンをエッチングする。基板またはドープ電気コンタクト層上で止める。通常、エッチングは、ある程度の量(高いパーセンテージ)のBCl3を有するClベースである。
【0124】
ステップ8.マスクを洗い落とす。O2のディスカムまたはウエハーからのすべての有機物のアッシング。
【0125】
ステップ9.N型金属を堆積させないエリアをマスクするために、フォトリソグラフィを使用する。
【0126】
ステップ10.N型金属(通常、原子量で80%Au/20%GeであるGeAu/Ni/Au共晶組成)を堆積させる。他の拡散バリア金属としての~200A以上のNiを伴う全体の厚さが~3000A以上のAuGe層、および~5000A以上のAuである。
【0127】
ステップ11.マスクを洗い落とす(通常、リフトオフと呼ばれる)。O2のディスカムまたはウエハーからのすべての有機物のアッシング。
【0128】
ステップ12.非導電性分離バリアとして誘電堆積体(通常、~2000AのSiNx)を使用する。
【0129】
ステップ13.エッチングされない誘電体のエリアをマスクするために、フォトリソグラフィを使用する。
【0130】
ステップ14.誘電体を通してのエッチングを行うためにプラズマエッチングを使用することが(通常、Flベースのエッチング剤)、BOE(buffered oxide etch)(緩衝酸化物エッチング)などのウェットエッチングを使用することができる。
【0131】
ステップ15.マスクを洗い落とす。O2のディスカムまたはウエハーからのすべての有機物のアッシング。
【0132】
ステップ16.めっき金属を堆積させないエリアをマスクするために、フォトリソグラフィを使用する。
【0133】
ステップ17.~4-5μmの金属(通常は、Au)で、または拡散バリアが先に堆積されていてよい場合にはCuでエリアをめっきする。
【0134】
ステップ18.はんだを堆積させないエリアをマスクするために、フォトリソグラフィを使用する。
【0135】
ステップ19.はんだ金属(通常、原子量で80%Au/20%SnであるAuSn/Au共晶組成)を堆積させる。AuSn層の全体の厚さは~40,000A(4ミクロン)以上であり、Snのいかなる酸化も防止するために頂部に~500A以上のAuが用いられる。この層がパターニングされてサブマウントの上に堆積され得、ここでは電気導波管がレーザグリッドに接着されている。
【0136】
ステップ20.クリービングまたはダイシングを用いてレーザチップをウエハーから分離する。
【0137】
ステップ21.高周波数動作を可能にする設計を用いて、レーザチップに位置合わせする電気導波管を設計および製作する。
【0138】
ステップ22.レーザチップをサブマウントの電気導波管に位置合わせしてフリップチップ接着する
【0139】
米国特許出願公開第2017/0033535号の実施形態4-底面発光の酸化
第4の実施形態では、複数のレージング領域を有する酸化した単一構造がトップ放射体ではなくボトム放射体として設計される。
図8から
図14Cが実施形態4の細部を提示しており、この実施形態を作るのに使用され得るプロセスを示している。レージンググリッドの光が基板を通して放射され、バック放射体を形成する。
【0140】
光は~900nm以上の波長においてGaAs内を透過可能である。エピタキシャル設計で処理される光の波長が~900nm以上の範囲内にある場合、GaAs基板は光を伝達する、つまり光に対して透過性である。このエピタキシャル設計がP型鏡より低い反射率を有するN型鏡を含む場合、VCSELなどのレーザがN型鏡から基板を通して光を放射することができる。レーザビームがこの材料を通って伝播することになり、基板は、光をコリメートするか、光を広げるか、光を発散させるか、光を集束させるか、光を導くための光学部品のためのプラットフォームとなり得る。これが、非常に高い輝度パワーを有する一体型の光学回路を形成することを可能にする。この場合、この単一構造およびグラウンドコンタクトが高速電気導波管基板に一体化され得、それによりグリッド全体からの高周波数応答を可能にする。この高速電気導波管にはグラウンド-シグナル-グラウンドの電気導波管が理想的である。使用され得る別の種類の電気導波管としてマイクロストリップ導波管があり(
図15を参照)、ここでは、基板上の薄い誘電層により信号パッドがグラウンドパッドから分離される。
【0141】
図8は一般的なエピタキシャル設計の図である。VCSELデバイスには任意の高速設計が使用され得る。
図8は:
81 GaAs基板
82 低抵抗性コンタクト層のための、考えられる位置
83 コンタクト領域の後のN型鏡層
84 低抵抗性N型コンタクト領域
85 量子井戸の後のN型鏡層
86 量子井戸領域
87 酸化層
88 P型鏡
89 低抵抗性P型コンタクト層
を示す。
【0142】
図9は、P型金属の堆積である、実施された第1のプロセスの図である。これは、通常、オームコンタクトを形成する高濃度ドープのP型コンタクト層の頂部にあるTi/Pt/Au層である。
図9は:
91 アニールプロセス後のオームコンタクトを形成するP型金属
92 低抵抗性P型コンタクト層
を示す。
【0143】
図10は、N型コンタクト層までの下方向のエピタキシャル層のエッチングの上面図である。
図10は以下のものを示す:
1001 N型コンタクト層までエッチングされたエリア
1002 単一メサグラウンド構造
1003 単一メサアクティブ構造
1004 アパーチャを形成することを目的とした酸化プロセスを可能にするためのエッチング孔
1005 導電性による電流閉じ込め(conductive current confinement)を形成する酸化が存在することがないところである、すべての孔の間にあるエリア
【0144】
【0145】
図10Bは、示されるエリア内に電流閉じ込めアパーチャが形成された場所を示している
図10の断面
図Bである。この図は、単一メサのセクションを示しており、その断面を孔が貫通しておらず、またこの図は、このメサ構造が接着プロセスにおいて好適である、より堅固な構造を可能にする単一メサ構造であることを明瞭に示している。
図10Bは:
125 電流閉じ込めアパーチャが単一メサ構造の導電性領域である
126 孔がエッチングされた場所の近くに誘電層として形成している酸化層
127 P型金属コンタクト層
を示す。
【0146】
図11は、エピタキシャルコンタクト層への電気コンタクトのための、および高い信頼性のために半導体を密封するための、開いているビア「ホール」を用いてパターニングされた、堆積された誘電層を示している。
図11は:
1101 開口部または「ビア」を伴う、パターニングされた誘電層
1102 P型コンタクト金属までの、誘電層内の開口部
1103 単一メサグラウンド構造上にあるコンタクト層
を示す。
【0147】
図12は、堆積された後のN型金属コンタクトを示している。
図12は:
1201 N型コンタクト金属が、孔を介して、N型コンタクト層への電気接続部を作るために、N型コンタクトの上に堆積されている
を描いている。
【0148】
図13は、単一の接地されたフレーム領域の頂部にN型コンタクト領域を短絡する金属をめっきする次のステップを示しており、単一の接地されているフレーム領域がGSG導波管のグラウンドパッドに接着されて電気的に導通している。このめっきが、静電容量を低減するアクティブ領域の高さをさらに加え、デバイスのアクティブ領域から熱を除去して、デバイスにさらに良好な性能を与える。アクティブな単一構造の上のめっきが、誘電層により、N型鏡およびN型コンタクト領域から分離される。
図13は:
1301 アクティブ領域を覆い、および単一メサ構造の孔まで延在するめっきを防止する誘電層
1302 N型コンタクト金属を通してN型コンタクト領域に短絡される、単一の接地されているメサ構造を覆うめっき
1303 めっき金属の高い熱伝導係数を通じて冷却が生じ得るところの、アクティブ領域の孔まで延在する、アクティブ構造を覆うめっき
1304 GSG電気導波管のグラウンドに接着されて電気的に接続されるための、単一フレーム構造の上を延在するめっき金属
を示す。
【0149】
図14aはレーザチップ上に堆積されるはんだを示している。これが、レーザチップと高速電気導波管との間の電気伝導性の接着層として機能する。
図14aは:
1401 はんだ堆積体
を示す。
【0150】
図14bは、接着前のGSG電気導波管のアライメントを示している。
図14bは:
1403 GSG高速電気導波管のためのサブマウント
1404 GSG高速電気導波管のためのグラウンドパッド
1405 GSG高速電気導波管のための信号パッド
1406 GSG高速電気導波管の導電性エリア上に堆積されためっき金属
を示す。
【0151】
図14Cは、GSG電気導波管への接着されたレーザチップを示している。単一の接地されているメサの中の隙間が、静電容量を低減することにより高速動作を可能にする
を示す。
【0152】
米国特許出願公開第2017/0033535号の実施形態5
第5の実施形態では、
図15に示されるように、GSG導波管ではなくマイクロストリップまたはストリップラインの電気導波管が使用される。この実施形態はやはり、上記の
図14cで言及した隙間を有することができる。この電気導波管は、やはり、ストリップラインまたはマイクロストリップの導波管を形成する誘電体の上に信号リードを伴い、薄い誘電体の下方にあるグラウンド層によって形成され得る。誘電体の中の開口部が、レージンググリッドのグラウンド部分にコンタクトするのに使用され得る。ラインの幅および誘電体の厚さが、が特性をマッチングする回路のための固有インピーダンス値を作るように制御され得る。このテクニックが実施形態2または以下で考察される実施形態のうちの任意の実施形態、などの、他の実施形態でも使用されることを理解されたい。
図15の図が、アクティブな単一メサ構造に跨る断面図を示している:
151 導波管基板
152 導波管の全体に跨る金属グラウンドパッド
153 グラウンドを信号パッドから分離する誘電層
154 金属信号パッド
155 信号パッド上にある金属めっき
156 単一のアクティブメサへ信号パッドを電気的に接続するはんだであって、その中までエッチングされる隙間または孔を有するように示される
157 グラウンドパッド上にある金属めっき
158 グラウンドパッドを、単一の接地されているメサに電気的に接続するはんだ
【0153】
米国特許出願公開第2017/0033535号の実施形態6
図16は第6の実施形態を示している。
図16では、この構造が、レージングを同相で維持することを目的として各レージングポイントの光の一部分をその隣の別のレーザまで導くためのパスを残すという点で独自的である。この例では、レーザ161が、その隣のレーザアパーチャ163までの下向きの反射されたその外側モード構造162の一部を有し、レーザアパーチャ163が162と同相の光を作る。同相であるレーザが164であり、角度付き反射面165から反射され、164および161と同相であるその隣のレーザ167のアパーチャに戻り、この形が繰り返される。レンズまたはアウトプットエリアのすぐ外側にある角度付きエリアおよびまたは反射エリア164が、レンズまたはアウトプットエリアからオーバーフローする光のわずかな部分を、そこに隣接するレージンググリッドへと転じることができ、それによりコヒーレントなレージンググリッドを可能にする。隣り合うレージングポイントからの光の一部が、互いに同相関係にあるレージングポイントをセットアップするレージングポイントに注入される。これにより、この構造が各レーザからの光の一部をその隣のレーザまで導くときに、すべてのレージングポイントのコヒーレントな動作を可能にする。反射率、距離、および角度が、光学的モデル化の技術分野の当業者により非常に正確に計算される。何年にもわたって、コヒーレントな動作は、レーザアレイの動作を回避してきた利点である。
図16は:
161 光の一部分のみを放射する広い発散を有する大型アパーチャのレーザ
162 レーザ161からの光の一部分がアパーチャ163の方へ反射される
163 反射率が162からの光の位相に適合するところのレーザのアパーチャ
164 光の一部分のみを放射する広い発散を有する大型アパーチャのレーザ
165 アウトプットアパーチャのすぐ外側にあるレーザチップの背面上にある角度付き反射面
166 レーザグリッド164と同相である反射ビーム
167 光の一部分のみを放射する広い発散を有する大型アパーチャのレーザ
を示す。
【0154】
米国特許出願公開第2017/0033535号の実施形態7
図17は第7の実施形態を示す。
図17では、レージンググリッドチップの背面側が、特に有益なエリアの方にレーザ光172の向きを変えるための、エッチングされたパターンを有する。これが回折光学素子(DOE)171によって達成され、それはエッチングされた表面を有し、エッチングは光がこの部分を通って移動するときに、DOEの表面の角度に応じて、この表面の角度がビームまたは光の向きを変える175ようになされる。これが、光をコリメートするかまたは光を発散させるのに、あるいは光を導くかまたは均質化するのに、使用される。
図17は電気導波管を示していない。モードは、アパーチャのサイズならびに反射面173および174の特性によって制御される。
図17は:
171 ビーム172からの向きを変えられたレーザグリッドビーム
172 アパーチャから放射されたレーザグリッドビーム
173 背面発光のレーザグリッドのための、鏡のコンタクトおよび背面
174 背面発光のレーザグリッドのための、鏡のコンタクトおよび背面
175 レーザグリッドからの向きを変えられたビーム
を示す。
【0155】
米国特許出願公開第2017/0033535号の実施形態8
図18は第8の実施形態を示す。
図18では、パターニングされた回折格子184(これは
図17のDOEの反対の角度パターンである)が、背面発光VCSEL設計のレーザウエハーの背面側において、発光点181の上に設置されるか、またはエッチングされ、レージングポイントをこのグリッドの外側185に向ける。このレンズからは、すべてのレーザがチップの後方の単一のポイント186から来ているように見え、仮想的な点の源が形成され、ここでは、マイクロレンズ187が、チップの後方の仮想的な集束的な源からのビームをコリメートするのに使用され得る。
図18は:
181 背面発光レーザグリッドのための鏡のコンタクトおよび背面
182 レーザ特性を作るアパーチャ
183 レーザグリッドからのレーザビーム
184 固有の全体のビームグリッド特性のために角度付けされる回折光学素子(DOE)の表面
185 レーザグリッドからの向きを変えられたビーム
186 レンズ187から見るときの、すべてのビームからの集束的な仮想的な光源
187 仮想的な集束的な点186上に焦点を有するマイクロレンズ
を示す。
【0156】
米国特許出願公開第2017/0033535号の実施形態9
図19は第9の実施形態を示す。
図19は、接着され、エッチングされ、および酸化が行われた実施形態3の断面を示しているが、ただし、1つのマイクロレンズを他のマイクロレンズに位置合わせして、さらにはこの単一メサ構造から放射されるレーザビームの向きを変えることを目的として1つのマイクロレンズの位置をわずかにずらすような形で、位置付けされる、レーザチップの背面上に加工されているマイクロレンズを有することを除いてである。実施形態3はこの構成のために参照されるものであるが、上記の背面発光の実施形態のうちの任意の実施形態と、チップに取り付けられるかまたはアウトプットグリッドの上方に位置付けされるマイクロレンズアレイとが、使用され得ることを理解されたい。このマイクロレンズアレイは光伝導グリッドポイントのピッチに関連する値を有することができるが、レージングポイントによって放射される光が、チップの前方またはチップの後方においてビームが仮想的な点源のところで一体となるか、または一体となっているように見えるようになるところの単一のエリアまで、導かれるようなわずかに異なるピッチを有するレンズ74を用いる。マイクロレンズのピッチがレーザのピッチより小さい場合、マイクレンズが中心から離れるレーザをチップの前方の点の方向に導くかまたは内側に導く。マイクロレンズアレイのピッチがレーザのグリッドのピッチより大きい場合、光が
図19にように外側に導かれることになる。
図19は:
71 レーザ基板
72 N型鏡
73 N型コンタクト領域
74 レーザ光を外側に導くための、レーザからわずかにオフセットされるマイクロレンズ
75 アクティブ領域または量子井戸
76 アクティブ領域への電流閉じ込めを作り出す酸化層
77 単一グラウンド構造およびアクティブな単一メサ構造からの分離を作り出すエッチングトレンチ
78 P型金属コンタクト
79 酸化がおきるのを可能にするために、単一メサ構造にエッチングされる孔
80 レーザチップおよび高速電気導波管を電気的に接続するはんだ
81 GSG電気導波管の信号パッド
82 P型鏡
83 GSG導波管基板
84 GSG電気導波管のグラウンドパッドに電気コンタクトしているN型コンタクト層、および単一グラウンドメサの上に置かれるN型金属を短絡するめっき
85 GSG電気導波管のグラウンドパッド
を示す。
【0157】
米国特許出願公開第2017/0033535号の実施形態10
図20は第10の実施形態を示している。
図20は、レージングしない点の方への、N型エピタキシャル出力鏡31の反射性を低減して、ついでキャビティを延長するレージンググリッドの背面において、反射面231の方への反射性を増大させることにより、単一のグリッド構造を使用して延長されたキャビティレーザ設計が実現され得ることを示している。この構造が、キャビティ内の高次モード構造233のフィードバックを低減し、それによりグリッドからのアウトプットビーム235のためのより基本的なモードの構造を形成する。
図20は:
230 不完全なN型出力鏡のエピタキシャル領域を示す矢印
231 変化する屈折率を有する誘電層で作られる反射領域
232 レーザビームのキャビティが、ここでは、モード排除のためのキャビティを延長するレーザウエハー材料を有する
233 キャビティの方に戻るようには反射されない、高次モードの反射
234 キャビティ内のシングルモードまたは低次モード
235 延長されたキャビティデバイスから出力される、シングルモードまたは低次モード
を示す。
【0158】
米国特許出願公開第2017/0033535号の実施形態11
図21は第11の実施形態を示す。
図21では、VCSEL構造が上記の実施形態のようにレーザグリッド設計に適合され得、レージンググリッドの出力レフレクタ(レンズ形状241の上に堆積される)が光を放射するところのレージングチップの背面が、集束フィードバック機構(焦点の矢印243)をより良好に形成するためにレフレクタの下に凸形形状241または凹形形状を有することができ、この集束フィードバック機構は高次モードを排除するものであり、各グリッドエリアからのシングルモードのレージング出力245を有するように設計され得る。この場合、全体のレージング構造が低いM2値を有することになる。アウトプットをコリメートするためにレンズまたはマイクロレンズが追加され得る。
図21は:
240 不完全なN型出力鏡のエピタキシャル領域を示す矢印
241 レーザ基板またはウエハーにエッチングされるマイクレンズ構造の上に堆積される、変化する屈折率を有する誘電層で作られる反射領域
242 延長されたキャビティ内で反射されているシングルモードビーム
243 チップの表面上にある光学素子からの、延長されたキャビティに戻るように導かれている縁部からの光
244
図20のシングルモードビームよりも、より大きいパワーを有し、より高く選択的な、シングルモードである
245 高品質のシングルモードビームのアウトプット
246 より強く反射するエピタキシャル鏡
を示す。
【0159】
米国特許出願公開第2017/0033535号の実施形態12
図22は第12の実施形態を示す。
図22では、VCSEL構造は上記の実施形態のようなレーザグリッド設計に適合され得るが、ただし、レンズから真っすぐ外に出るビームが外部のマイクロレンズアレイを通り、この外部のマイクロレンズアレイがレーザのピッチとは異なるピッチのマイクロレンズを有するように設計されており、それにより、上記の実施形態のうちの多くの実施形態と同様に、単一のロケーションまでのまたは単一のロケーションからのビームの向きを変えるのを可能にし得る、ということを除いてである。このテクニックの他の形態が、レーザグリッドに位置合わせされてレーザグリッドと等しいピッチを有する外部レンズアレイの底部に形成される凹形レンズを使用することもでき、対してレーザグリッドとは異なるピッチを有する凸形レーザアレイが頂部側にある。ビームを導くための別のテクニックとして、外部レンズアレイの上にある凸形マイクロレンズの代わりに頂部側の光学素子としてDOEを使用するテクニックがある。252はより強力なシングルモードビームを作るためにアパーチャの中心に戻るように反射される光であり、他方、253がレーザ出力鏡のキャビティを完成する反射コーティングを有する。254がキャビティであり、外部レンズキャビティの内側に堆積される反射防止コーティングを有し、他方で頂部側のマイクロレンズアレイ上に反射防止コーティングも堆積させる。別のテクニックは、キャビティ鏡を完成するために、
図20のような平面的な反射特性を使用することであり、これは、ビームの向きを変えるために頂部側にあるオフセットされるマイクロレンズアレイまたは頂部側にあるDOEを有するものである。
図22が以下のものを示している:
250 不完全なN型出力鏡のエピタキシャル領域を示す矢印
251 延長されたキャビティ内で反射されているシングルモードビーム
252 チップの表面上にある光学素子からの、強いシングルモードキャビティを作り出す中心に戻るように導かれている、縁部からの光
253 レーザ基板またはウエハーにエッチングされるマイクレンズ構造の上に堆積される、変化する屈折率を有する誘電層で作られる反射領域
254 エッチングされるレンズが外部レンズアレイに触れないようにするのための、キャビティ
255 外部レンズアレイの透過性材料
256 延長されたキャビティレーザによって出力されるシングルモードビーム
257 ビームを導くレーザのピッチとは異なるピッチを有するレンズアレイからのマイクロレンズ
258 導かれるシングルモードビーム