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7258893内燃機関の排ガスターボチャージャのためのフィルタ消音器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-07
(45)【発行日】2023-04-17
(54)【発明の名称】内燃機関の排ガスターボチャージャのためのフィルタ消音器
(51)【国際特許分類】
   F02M 35/14 20060101AFI20230410BHJP
   F02B 37/00 20060101ALI20230410BHJP
   F04D 29/66 20060101ALI20230410BHJP
   F04D 29/62 20060101ALI20230410BHJP
【FI】
F02M35/14 G
F02B37/00 301F
F04D29/66 G
F04D29/62 B
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020536106
(86)(22)【出願日】2019-01-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-04-30
(86)【国際出願番号】 EP2019050160
(87)【国際公開番号】W WO2019137854
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2021-10-19
(31)【優先権主張番号】102018100466.4
(32)【優先日】2018-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】522056149
【氏名又は名称】ターボ システムズ スウィッツァーランド リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Turbo Systems Switzerland Ltd
【住所又は居所原語表記】Bruggerstrasse 71a, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ハインツ-ユアゲン フェルト
(72)【発明者】
【氏名】マルセル ヨホー
【審査官】櫻田 正紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-118832(JP,A)
【文献】特開2017-150354(JP,A)
【文献】特開2013-160153(JP,A)
【文献】実開昭63-123716(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2014/0219781(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 35/14
F02B 37/00
F04D 29/66
F04D 29/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排ガスターボチャージャのコンプレッサの吸込側に配置されているフィルタ消音器(10)であって、
前側エレメント(11)と、
後側エレメント(12)と、
前記前側エレメント(11)と前記後側エレメント(12)との間に配置されている複数の消音エレメント(20)と、を備えており、
前記消音エレメント(20)は、それぞれ隣接する消音エレメントの間に、流れ通路(30)が形成されるように、前記フィルタ消音器の中心軸線(16)を中心として半径方向に配置されており、前記消音エレメント(20)の各流出側端部(22)は、前記中心軸線(16)に向かって先細りする流出側の先細り部を有するそれぞれ1つのディフューザエレメント(23)を有しており、前記流出側の先細り部は、連続的であり、かつ、前記流出側端部(22)を形成するようになっており、前記ディフューザエレメント(23)の、対向する2つの側面間の角度αは、1°≦α≦8°の範囲から選択されていて、これにより前記流れ通路(30)は流出側で増大する流れ横断面を有している、フィルタ消音器(10)。
【請求項2】
前記ディフューザエレメント(23)の、前記対向する2つの側面はまっすぐに形成されている、請求項1記載のフィルタ消音器(10)。
【請求項3】
前記流れ通路(30)は、流れ通路長さの少なくとも40%にわたって、隣接する消音エレメントの各インボリュート輪郭(25)によって画定されている、請求項1または2記載のフィルタ消音器(10)。
【請求項4】
前記消音エレメント(20)の前記各インボリュート輪郭(25)は、前記消音エレメントの半径方向外側の流入側端部(21)と、半径方向内側の流出側端部(22)との間に形成されている、請求項3記載のフィルタ消音器(10)。
【請求項5】
前記消音エレメント(20)の各流入側端部(21)は、周方向で逆湾曲部(27)を有している、請求項1からまでのいずれか1項記載のフィルタ消音器(10)。
【請求項6】
前記先細り部は、前記ディフューザエレメント(23)の流出縁部(24)に向かって延在しており、前記流出縁部で、消音エレメントの厚さは、少なくとも20%となるように減少する、請求項1から5までのいずれか1項記載のフィルタ消音器(10)。
【請求項7】
前記先細り部は、前記ディフューザエレメント(23)の流出縁部(24)に向かって延在しており、前記流出縁部で、消音エレメントの厚さは、少なくとも50%となるように減少する、請求項1から5までのいずれか1項記載のフィルタ消音器(10)。
【請求項8】
前記消音エレメント(20)は、隣接する消音エレメント(20)の間の前記各流れ通路の流入領域の横断面(Q)が、流れ方向(31)で減少するように構成されている、請求項1から7までのいずれか1項記載のフィルタ消音器(10)。
【請求項9】
前記消音エレメント(20)は、隣接する消音エレメントのインボリュート輪郭(25)によって画定されている領域における前記各流れ通路の横断面(Q)が、流れ方向(31)で一定であるように構成されている、請求項1から8までのいずれか1項記載のフィルタ消音器(10)。
【請求項10】
前記消音エレメント(20)は、隣接する消音エレメント(20)の間の前記各流れ通路(30)の流出領域の横断面(Q)が、流れ方向(31)で拡大するように構成されている、請求項1から9までのいずれか1項記載のフィルタ消音器(10)。
【請求項11】
前記流れ通路(30)は、流れ通路長さの少なくとも50%にわたって、隣接する消音エレメント(20)の各インボリュート輪郭(25)によって画定されている、請求項1から10までのいずれか1項記載のフィルタ消音器(10)。
【請求項12】
隣接する消音エレメントの各インボリュート輪郭の間の間隔Dは、2mm≦D≦30mmの範囲から選択されている、請求項3から11までのいずれか1項記載のフィルタ消音器(10)。
【請求項13】
前記各消音エレメント(20)は、第1のインボリュート輪郭(25A)と、前記第1のインボリュート輪郭に対して平行な第2のインボリュート輪郭(25B)とを有しており、前記第1のインボリュート輪郭と前記第2のインボリュート輪郭との間の間隔Tは、6mm≦T≦50mmの範囲から選択されている、請求項1から11までのいずれか1項記載のフィルタ消音器(10)。
【請求項14】
請求項1から13までのいずれか1項記載のフィルタ消音器を備えた排ガスターボチャージャ。
【請求項15】
請求項14記載の排ガスターボチャージャを備えた内燃機関。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過給される内燃機関のための排ガスターボチャージャの分野に関する。特に本発明は、排ガスターボチャージャを備えた内燃機関のためのフィルタ消音器に関する。さらに、本発明は、本開示に記載されるフィルタ消音器を備えた内燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関のパワー向上のために、今日標準的に、内燃機関の排ガス路内のタービンと、内燃機関の手前に配置されたコンプレッサとを備えた排ガスターボチャージャが使用される。内燃機関の排ガスは、この場合、タービン内で膨張する。このとき得られる仕事量は、内燃機関に供給される空気を圧縮するコンプレッサに、軸を介して伝達される。内燃機関における燃焼プロセスに供給される空気を圧縮するために、排ガスのエネルギを利用することにより、燃焼プロセスおよび内燃機関の効率を最良にすることができる。
【0003】
排ガスターボチャージャの作動時に、通常、望ましくない高い振幅の音波が主としてコンプレッサホイールで発生し、これは、空気吸込通路を通じて周囲に放出される。したがって、この音波は、通常、フィルタ消音器によって消音される。
【0004】
従来技術により公知のフィルタ消音器は、通常は、燃焼空気圧縮して内燃機関に供給するコンプレッサの吸込側で使用される。このようなコンプレッサは、排ガスターボチャージャの排ガスタービンによって駆動される。
【0005】
通常、フィルタ消音器は、周囲の空気が、フィルタ消音器の周囲に配置されたフィルタを通って、消音エレメントを備えたフィルタ消音器の内室内へと導入されることができ、次いで、消音エレメントを流過し、この場合、ガイドエレメントによって、空気の流れに逆らって音波を発するコンプレッサホイールへと変向されるように、形成されている。消音は、音響エネルギが、実質的に消音エレメントを構成している、多孔性または繊維状の吸収材料によって直接、熱に変換されることにより、消音エレメントにおいて散逸的に行われる。
【0006】
例えば、欧州特許出願公開第0740080号明細書には、鋳造されたモノブロックから成り、このモノブロックにおける、溝を備えた放射状のリブ内に消音エレメントが配置されているフィルタ消音器が記載されている。取外し可能な多孔板部分から成るフィルタフレームが、消音エレメントを半径方向の脱落に対して保護するようにフィルタ消音器を取り囲んでいる。この多孔板部分は結合部材によりフィルタ消音器の周りに環状に配置されている。1つのディスク状の消音エレメントは、4つの消音セグメントから成っており、これらの消音セグメントはまとまって環状面を形成している。吸収エレメントが、2つの打ち抜かれた多孔板により保持されており、かつ鋳造により製作されたモノブロックの前述のリブの溝内に半径方向で挿入される消音エレメントを形成している。
【0007】
従来技術により公知のフィルタ消音器では、特に高速の流れ速度のもとではなお、良好な消音が得られないことがわかった。さらに、従来のフィルタ消音器は、所要構成サイズに関して、かつ生じる圧力損失に関して、ある種の欠点を有していることがわかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、従来技術により公知のフィルタ消音器の少なくとも上述の欠点の1つに関して改善されたフィルタ消音器を提供することである。特に、本発明の課題は、従来技術により公知のフィルタ消音器と比較してコンパクトな構成サイズを有するフィルタ消音器を提供することである。本発明のさらなる課題は、フィルタ消音器を貫流する際の圧力損失を減らすために改善された設計を有するフィルタ消音器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、独立請求項によるフィルタ消音器が提供される。本発明のさらなる態様、利点、および特徴は、従属請求項、詳細な説明、および添付の図面により明らかである。
【0010】
本発明の1つの態様によれば、前側エレメントと、後側エレメントと、前側エレメントと後側エレメントとの間に配置されている複数の消音エレメントと、を備えるフィルタ消音器が提供される。消音エレメントは、それぞれ隣接する消音エレメントの間に、流れ通路が形成されるように、フィルタ消音器の中心軸線を中心として半径方向に配置されている。消音エレメントの各流出側端部は、流出側の先細り部を有するそれぞれ1つのディフューザエレメントを有している。ディフューザエレメントの、特に流出側の先細り部の対向する2つの側面の間の角度αは、1°≦α≦8°の範囲から選択されている。
【0011】
これにより好適には、従来技術により公知のフィルタ消音器よりも改善されたフィルタ消音器が提供される。特に、本発明によるフィルタ消音器によって、その設計によって、特に消音エレメントの設計によって、フィルタ消音器を貫流する際の圧力損失を減らすことができるように構成されているフィルタ消音器が提供される。したがって、改善された消音特性を有したフィルタ消音器を提供することができる。さらに、本発明によるフィルタ消音器は、好適には、従来のフィルタ消音器と比較してコンパクトに、特に軸方向でコンパクトに構成することができるように形成されている。
【0012】
本発明のさらなる態様によれば、前側エレメントと、後側エレメントと、前側エレメントと後側エレメントとの間に配置されている複数の消音エレメントと、を備えるフィルタ消音器が提供される。消音エレメントは、それぞれ隣接する消音エレメントの間に、流れ通路が形成されるように、フィルタ消音器の中心軸線を中心として半径方向に配置されている。消音エレメントの各流出側端部は、流出側の先細り部を有するそれぞれ1つのディフューザエレメントを有している。
【0013】
したがって、好適には、消音特性に関して改善されているフィルタ消音器のための選択的な解決手段が提供される。特に、その設計によって、特に消音エレメントの設計によって、フィルタ消音器を貫流する際の圧力損失を減らすことができるように構成されているフィルタ消音器が提供される。
【0014】
本発明の別の態様によると、本明細書で説明する1つの実施形態によるフィルタ消音器を備えた排ガスターボチャージャであって、フィルタ消音器が、排ガスターボチャージャのコンプレッサの吸込側に配置されている、排ガスターボチャージャが提供される。したがって、好適には改善された排ガスターボチャージャを提供することができる。
【0015】
本発明の別の態様によれば、本明細書で説明する排ガスターボチャージャを備えた内燃機関が提供され、これにより好適には改善された内燃機関を提供することができる。
【0016】
次に、さらなる利点と変化態様が生じる図示した実施例に基づき本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】コンプレッサの吸込側に配置された、本明細書で説明する実施形態によるフィルタ消音器を示す概略的な斜視断面図である。
図2】本明細書で説明する実施形態によるフィルタ消音器を概略的に示す軸方向断面図である。
図3図2のフィルタ消音器の軸方向断面図の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1には、本明細書で説明する実施形態によるフィルタ消音器10の概略的な斜視断面図が示されている。特に、図1には、コンプレッサ40の吸込側に配置されているフィルタ消音器10が示されている。図示したフィルタ消音器は円筒状に形成されている。
【0019】
図1に例示したように、本発明によるフィルタ消音器10は、前側エレメント11と、後側エレメント12と、前側エレメント11と後側エレメント12との間に配置されている複数の消音エレメント20とを備えている。消音エレメント20は、それぞれ隣接する消音エレメントの間に、流れ通路30が形成されるように、フィルタ消音器の中心軸線16を中心として半径方向に配置されている。例えば、図2および図3に示したように、消音エレメント20の各流出側端部22は、流出側の先細り部を有しているそれぞれ1つのディフューザエレメント23を有している。通常、ディフューザエレメントの、特に流出側の先細り部の対向する2つの側面の間の角度αは、1°≦α≦8°の範囲から選択されている。したがって、隣接する消音エレメント間の流れ通路30を、この流れ通路30が流出側で増大する流れ横断面を有するように、形成することができる。これにより好適には、圧力損失を減らすことができるフィルタ消音器が提供される。
【0020】
フィルタ消音器の消音特性を改善するために、特に圧力損失を減らすために、本明細書で説明する別の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態によれば、流れ通路30は、図2に例示されているように、流れ通路長さの少なくとも40%にわたって、隣接する消音エレメントの各インボリュート輪郭25によって画定されている。本明細書で説明したフィルタ消音器の消音エレメントは、ゲートと呼ぶこともできる。
【0021】
代替的にまたは付加的に、フィルタ消音器の消音特性を改善するために、特に圧力損失を減らすために、消音エレメント20の各流出側端部22が、図2および図3に例示したように、流出側の先細り部を有したそれぞれ1つのディフューザエレメント23を有することができる。
【0022】
したがって、好適には、貫流速度ができるだけ一定であるように構成されている湾曲した流れ通路(ゲート通路とも呼ばれる)を有し、速度ピークを有さないフィルタ消音器を提供することができる。速度ピークは圧力損失に2乗の影響を与えるので、本発明によるフィルタ消音器の圧力損失が減少するため、このような構成は特に好適である。これは、消音特性に対して、またはフィルタ消音器の構成スペースに対して、良好な影響を与える。
【0023】
本明細書で説明する別の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態によれば、隣接する消音エレメント間の流れ通路30は、流れ通路長さの少なくとも50%にわたって、特に少なくとも65%にわたって、特に少なくとも70%にわたって、各インボリュート輪郭25によって画定されている。これにより、フィルタ消音器の貫流は、一定の流れ速度によってさらに改善することができるので、フィルタ消音器の消音特性をさらに改善することができる。
【0024】
前側エレメント11はフロントプレートであってよい。例えば、フロントプレートは、図1に例示したように、ディスクの形態、特に円形ディスクの形態で形成されていてよい。後側エレメント12は、バックプレート、特に空気流出孔としての中央の開口17を備えたバックプレートであってよい。バックプレートは、中央の開口を備えたディスクの形態、特に円形ディスクの形態で形成されていてよい。例えば、バックプレートは、図1に示したように、中央の開口17を取り囲むようにリング状に形成されていてよい。消音エレメント20間に形成された流れ通路30から、後側エレメントの空気流出孔を通ってコンプレッサ内へ向かう流れ方向31は、図1において矢印で略示されている。
【0025】
図1および図2に例示したように、消音エレメント20は通常、それぞれ隣接する消音エレメントの間に、中心軸線16に向かって延在する流れ通路30が形成されるように、フィルタ消音器の中心軸線16を中心として半径方向に均等に配置されている。特に、隣接する消音エレメント間の各流れ通路は、フィルタ消音器の半径方向外側の流入領域から、フィルタ消音器の半径方向内側の排出領域または流出流領域へと延在している。
【0026】
図1に例示したように、通常、各消音エレメントの第1の端部28は前側エレメント11に、各消音エレメントの第2の端部29は後側エレメント12に接触している。例えば、消音エレメント20は、図1の上部に例示したように、接続エレメント13によって、前側エレメント11と後側エレメント12との間に固定することができる。通常、接続エレメントは、前側エレメント11を後側エレメント12に接続する。
【0027】
例えば、接続エレメント13は、後側エレメント12にねじ固定されていてよい。選択的には、接続エレメントは、後側エレメント12に設けられた相応の開口を貫通してガイドされて、コンプレッサハウジングのフランジ41にねじ固定されてもよい。したがって、フィルタ消音器の構造は、接続エレメント13を介した前側エレメント11と後側エレメント12との軸方向の接続、特に軸方向のねじ固定により、好適には補強される。フランジ41は、例えば、コンプレッサハウジングに取り付けられたアダプタリングの部分であってよい。アダプタリングは通常、フィルタ消音器を、例えば、本明細書で説明されている接続エレメント13を介して取り付けることができるように形成されている。
【0028】
図2に例示したように、本明細書で説明する別の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態によれば、消音エレメントの半径方向外側の流入側端部21と、半径方向内側の流出側端部22との間にそれぞれ、消音エレメント20のインボリュート輪郭25が形成されている。半径方向は、図2および図3内に符号「R」で示されている。
【0029】
本明細書で説明する別の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態によれば、消音エレメント20の各流入側端部21は、各インボリュート輪郭に関して、周方向で逆湾曲部27を有している。「逆湾曲部」の表現は、この逆湾曲部が、図2および図3に示したように、消音エレメントの湾曲に対して逆方向の湾曲を有していることを意味する。周方向は、図2および図3内に、符号「φ」で示されている。消音エレメントまたはゲートの逆湾曲部により、好適には流入圧損失を減らすことができる。さらに、ゲート間の流れ通路内への半径方向の流入が好適に得られる。したがって、特に、流れ速度を通常フィルタ薄板15(流入格子とも呼ぶ)によって減らすことによっても、フィルタ消音器内への流入の際の圧力損失を減じることができる。さらに、逆湾曲部によって好適には、流入領域における遮断を減らし、かつ/または流入速度を減らすことができる。
【0030】
図1に概略的に示したように、本明細書で説明する別の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態によれば、フィルタ消音器は、フィルタ消音器の流入領域にフィルタ薄板15を備えている。通常、フィルタ薄板15は、フィルタ消音器の周囲に配置されている。特にフィルタ薄板15は、好適には摩擦接続的に前側エレメント11および後側エレメント12に接続されており、これにより好適にはフィルタ消音器の剛性を高めることができる。フィルタ薄板は、通常、孔付薄板として、特に六角形の孔または開口を備えた孔付薄板として、形成されている。通常、フィルタ薄板は、約80%の自由断面を有している。孔付薄板の厚さは、例えば1mmであってよい。
【0031】
本明細書で説明する別の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態によれば、消音エレメント20の各流出側端部22は、それぞれ1つのディフューザエレメント23を有している。通常、ディフューザエレメント23は流出側の先細り部を有している。図3により明らかであるように、先細り部は、ディフューザエレメント23の流出縁部24に向かって延在している。特に、流出側縁部における先細り部によって、中間領域Bにおける消音エレメントの厚さTの最大でも50%の厚さとなる、特に中間領域Bにおける消音エレメントの厚さTの最大でも25%の厚さとなる、特に中間領域Bにおける消音エレメントの厚さTの最大でも15%の厚さとなる、消音エレメントの厚さ減少となるように、先細り部は構成されていてよい。換言すると、流出縁部におけるディフューザエレメント23の厚さDDEは、DDE≦0.5×Tであってよく、特にDDE≦0.25×T、特にDDE≦0.15×Tであってよい。これにより好適には、流出圧力損失を減らすことができる。さらに、好適には、排出または流出の際の流れの失速を好適には実質的に回避することができる。
【0032】
換言すると、本明細書で説明する別の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態によれば、消音エレメント20は、図2および図3に例示したように、それぞれ中心軸線16に向いた端部に(すなわち、流出領域において)ディフューザエレメント23を有している。例えば、各ディフューザエレメント23は、それぞれ取付エレメントによって、前側エレメント11および/または後側エレメント12に取り付けることができる。取付エレメントとしては、溶接、ろう接、または接着のような取り外し不能な接続、または取り外し可能な接続、特にねじも使用することができる。
【0033】
図1図2、および図3により明らかであるように、ディフューザエレメント23は通常、ゲート流出部を提供する。例えば、ディフューザエレメント23はアルミニウムからフライス加工により形成することができる。通常、ディフューザエレメント23は、先細りするように、特に三角形に、形成されている。ディフューザエレメントの、先端に向かって延在する側面は、ホブ加工を可能とするために、好適にはまっすぐ形成されている。これにより、簡単かつ安価な製造が可能である。
【0034】
本明細書で説明する別の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態によれば、ディフューザエレメント23の対向する2つの側面の間の角度αは、1°≦α≦8°の範囲から選択されている。具体的に、ディフューザエレメント23の対向する2つの側面の間の角度αが図3に示されている。例えば、角度α=6°±2°、特にα=4°±1°である。
【0035】
本明細書で説明する別の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態によれば、図3に例示したように、消音エレメント20は、隣接する消音エレメント20の間の各流れ通路の流入領域Aの横断面Qが、流れ方向31で減少されるように構成されている。したがって、流入横断面Qは、ゲート間の主流れ横断面Qよりも拡大されているので、好適にはフィルタ消音器内への流入の際の圧力損失を減らすことができる。
【0036】
本明細書で説明する別の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態によれば、図3に例示したように、消音エレメント20は、隣接する消音エレメントのインボリュート輪郭25によって画定されている領域における各流れ通路の横断面Qが、流れ方向31で一定であるように構成されている。隣接する消音エレメントのインボリュート輪郭25によって画定されている領域は、流入領域Aと流出領域Cとの間の中間領域Bを成す。図3に例示したように、中間領域Bにおけるゲートの一定の間隔により、好適には、フィルタ消音器の消音特性を改善することができる。
【0037】
本明細書で説明する別の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態によれば、図3に例示したように、消音エレメント20は、隣接する消音エレメント20間の各流れ通路30の流出領域Cの横断面Qが、流れ方向31で拡大されるように構成されている。これは好適には、流出圧力損失の低減につながる。さらに、好適には、排出または流出の際の流れの失速を実質的に回避することができる。
【0038】
本明細書で説明する別の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態によれば、図3に例示したように、隣接する消音エレメント20の各インボリュート輪郭間の間隔Dは、2mm≦D≦30mmの、特に5mm≦D≦25mmの範囲から選択されている。
【0039】
図3に例示したように、本明細書で説明する別の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態によれば、各消音エレメント20は、第1のインボリュート輪郭25Aと、これに対して平行な第2のインボリュート輪郭25Bとを有している。例えば、図3に例示したように、第1のインボリュート輪郭25Aは凹状であってよく、第2のインボリュート輪郭25Bは凸状であってよい。第1のインボリュート輪郭25Aと第2のインボリュート輪郭25Bとの間の間隔Tは、6mm≦T≦50mmの範囲から選択されてよい。この間隔Tは、すなわち中間領域Bにおける消音エレメントの厚さに相当する。
【0040】
本明細書で説明する別の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態によれば、消音エレメントは、通常は消音材料から成るそれぞれ1つの吸収エレメントを含んでいる。例えば、消音材料は、発泡材料、フェルト、またはフリース、特にポリエステルフリースであってよい。吸収エレメントは通常は、少なくとも部分的に消音薄板によって取り囲まれている。特に、消音薄板は、消音エレメントの側壁間に中間室が形成されるように、形成されていてよい。この中間室内には、吸収エレメントを取り付けることができる。
【0041】
本明細書で説明する別の実施形態と組み合わせることができる1つの実施形態によれば、本明細書で説明する消音薄板は、厚さ0.8mmまたは0.75mmの孔付薄板から成っている。孔付薄板は、例えば、2mm~5mmの直径の孔を有していてよい。
【0042】
本明細書で説明した実施形態により明らかであるように、好適には従来技術により公知のフィルタ消音器よりも改善されたフィルタ消音器が提供される。特に、本発明によるフィルタ消音器により、特に軸方向で、よりコンパクトな構成サイズを可能にするフィルタ消音器が提供される。さらに、本発明によるフィルタ消音器は好適には、その設計によって、特に消音エレメントまたはゲートの設計によって、フィルタ消音器を貫流する際の圧力損失を減らすことができるように構成されている。したがって、改善された消音特性を有したフィルタ消音器を提供することができる。
【符号の説明】
【0043】
10 フィルタ消音器
11 前側エレメント
12 後側エレメント
13 接続エレメント
15 フィルタ薄板
16 中心軸線
17 中央の開口
20 消音エレメント
21 流入側端部
22 流出側端部
23 ディフューザエレメント
24 流出縁部
25 インボリュート輪郭
25A 第1のインボリュート輪郭
25B 第2のインボリュート輪郭
30 流れ通路
31 流れ方向
40 コンプレッサ
41 コンプレッサハウジングのフランジ
A 流入領域
B 中間領域
C 流出領域
D 隣接する消音エレメント間の間隔
T 消音エレメントの厚さ
各流れ通路の流入領域の横断面
各流れ通路の中間領域の横断面
各流れ通路の流出領域の横断面
R 半径方向
φ 周方向
α ディフューザエレメントの対向する2つの側面の間の角度
図1
図2
図3