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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-07
(45)【発行日】2023-04-17
(54)【発明の名称】膨張性ポリマー粒子
(51)【国際特許分類】
   C08L 33/04 20060101AFI20230410BHJP
   C08F 265/06 20060101ALI20230410BHJP
   C08K 5/42 20060101ALI20230410BHJP
【FI】
C08L33/04
C08F265/06
C08K5/42
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020540542
(86)(22)【出願日】2019-02-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-10
(86)【国際出願番号】 US2019018140
(87)【国際公開番号】W WO2019164754
(87)【国際公開日】2019-08-29
【審査請求日】2022-02-08
(31)【優先権主張番号】62/633,219
(32)【優先日】2018-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】590002035
【氏名又は名称】ローム アンド ハース カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110000589
【氏名又は名称】弁理士法人センダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バンクロフト、パトリシア アンセムス
(72)【発明者】
【氏名】カーター、マシュー
(72)【発明者】
【氏名】エルヤズジュ、イブラヒム
【審査官】北田 祐介
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-506994(JP,A)
【文献】特開2011-190463(JP,A)
【文献】特開平11-147971(JP,A)
【文献】特開2013-237779(JP,A)
【文献】国際公開第2017/141653(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K 3/00-13/08
C08L 1/00-101/14
C08F 251/00-297/08
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のポリマー粒子の水性分散体であって、前記第1のポリマー粒子が、t-ブチルメタクリレートまたはt-ブチルアクリレートの構造単位で官能化され、前記第1のポリマー粒子の重量に基づいて、0.1~10重量パーセントの構造Iの触媒を吸収し、
【化1】
式中、RはH、C~C-アルキルまたはC(O)C~C-アルキルであり、Rは、HまたはC~C-アルキルであり、Rは、HまたはCHであり、Rは、C~C18-アルキル、フェニル-(R3aまたはベンジル-(R3aであり、bは、0、1、2または3であり、各R3aは、独立して、メチル、ハロ、メトキシ、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチルまたはアセチルアミノであり、前記第1のポリマー粒子は、100nm~500μmの範囲の平均粒子サイズ直径と、前記第1のポリマー粒子の前記水性分散体の重量に基づいて、10~60重量パーセントの範囲の固形分とを有する、水性分散体。
【請求項2】
Rは、Hであり、Rは、CHであり、Rは、フェニル、o-メチルフェニル、p-メチルフェニル、o-メトキシフェニルまたはp-メトキシフェニルである、請求項1に記載の水性分散体
【請求項3】
前記第1のポリマー粒子が、1~99重量パーセントの1つ以上の補助的なモノエチレン性不飽和非イオン性モノマーの構造単位をさらに含み、前記ポリマー粒子が、1.1 μm超から30μmまでの範囲のD50粒子サイズを有し、Rが、フェニル、o-メチルフェニルまたはp-メチルフェニルである、請求項1または2に記載の水性分散体
【請求項4】
前記第1のポリマー粒子が、前記第1のポリマー粒子の重量に基づいて、0.1~5重量パーセントの多エチレン性不飽和モノマーの構造単位をさらに含む、請求項3に記載の水性分散体
【請求項5】
前記第1のポリマー粒子が、70℃~150℃の範囲のTを有するポリマーシェルに封入されている、請求項1~4のいずれかに記載の水性分散体
【請求項6】
前記封入するシェルが、ビニルベンゼン、エチレン性不飽和ニトリル、エチレン性不飽和アミド、イソボルニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、およびメチルメタクリレートからなる群から選択される1つ以上の高Tモノマー、ならびに塩化ビニリデン、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、および2-エチルヘキシルメタクリレートからなる群から選択される少なくとも1つの低Tモノマーの構造単位を含む、請求項5に記載の水性分散体
【請求項7】
前記封入するシェルが、スチレン、メチルメタクリレート、アクリロニトリル、およびメタクリロニトリルからなる群から選択される1つ以上のモノマーの構造単位、ならびに塩化ビニリデンの構造単位を含む、請求項6に記載の水性分散体
【請求項8】
前記封入するシェルが、前記シェルの重量に基づいて、0.1~5重量パーセントの多エチレン性不飽和モノマーの構造単位をさらに含む、請求項7に記載の水性分散体
【請求項9】
1)エマルジョンまたは懸濁重合によって、t-ブチルメタクリレートまたはt-ブチルアクリレートを水中で重合させて、t-ブチルメタクリレートまたはt-ブチルアクリレートの構造単位で官能化された第1のポリマー粒子の水性分散体を形成する工程と、
2)構造1の触媒を前記ポリマー粒子に組み込む工程と、を含む方法であって、
【化2】
式中、Rは、H、C~C-アルキルまたはC(O)C~C-アルキルであり、Rは、C~C-アルキルであり、Rは、HまたはCHであり、Rは、C~C18-アルキル、フェニル-(R3aまたはベンジル-(R3aであり、bは、0、1、2または3であり、各R3aは、独立して、メチル、ハロ、メトキシ、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチルまたはアセチルアミノであり、前記触媒が、
)モノマーエマルジョンもしくは懸濁液の重合中に、in situで、または
b)前記ポリマー粒子の水性分散体を前記触媒と接触させて、前記触媒を前記第1のポリマー粒子中に輸送することによって、のいずれかで組み込まれ、
前記第1のポリマー粒子は、100nm~500μmの範囲の平均粒子サイズ直径と、前記第1のポリマー粒子の前記水性分散体の重量に基づいて、10~60重量パーセントの範囲の固形分とを有する、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、膨張ガスを形成することができる基で官能化されたポリマー粒子の水性分散体および分散体の調製方法に関する。
【0002】
100nm~50μmの範囲の直径を有する熱膨張性ポリマー粒子は、軽量材、断熱および発泡を必要とする用途において有用である。ポリマー粒子の熱分解およびin situガス発生による熱膨張性粒子の調製は、例えば、日本国特許出願第JP11147971A号、日本国特許出願第JP05991851B2号、および米国特許出願第US2015/0361236号に記載されている。これらの公報は、熱分解性側鎖基を有するポリマーコアを含み、低ガス透過性のポリマーシェル内に封入された粒子を開示しており、これらの粒子を、乾燥状態で180℃~250℃の範囲の温度に加熱すると、ポリマーコアがガスを放出して、粒子の膨張を引き起こす。
【0003】
膨張ガスを放出するのに必要な高温は、熱としてかなりの量のエネルギーの投入を必要とするため、これらの温度で悪影響を被る用途(例えば、発泡)では、熱膨張性粒子の使用が制限される。さらに、より低い温度で膨張ガスを放出することができれば、エネルギーコストが低減し、ポリマーシェルを調製するのに使用され得るモノマーの種類の選択肢が広がるであろう。したがって、乾燥状態において著しくより低い温度で熱膨張性ポリマー粒子を調製する方法を見出すことは有利であろう。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、第1の態様では、第1のポリマー粒子の水性分散体を含む組成物を提供することによって、当該技術分野における必要性に対処するものであり、第1のポリマー粒子は、t-ブチルメタクリレートまたはt-ブチルアクリレートの構造単位で官能化され、第1のポリマー粒子の重量に基づいて、0.1~10重量パーセントの構造Iの触媒を吸収し、
【化1】
式中、RはH、C~C-アルキルまたはC(O)C~C-アルキルであり、Rは、HまたはC~C-アルキルであり、Rは、HまたはCHであり、Rは、C~C18-アルキル、フェニル-(R3aまたはベンジル-(R3aであり、bは、0、1、2または3であり、各R3aは、独立して、メチル、ハロ、メトキシ、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチルまたはアセチルアミノであり、第1のポリマー粒子は、100nm~500μmの範囲の平均粒子サイズ直径と、第1のポリマー粒子の水性分散体の重量に基づいて、10~60重量パーセントの範囲の固形分とを有する。
【0005】
第2の態様では、本発明は、コア-シェルポリマー粒子の水性分散体を含む組成物であって、コアは、t-ブチルメタクリレートまたはt-ブチルアクリレートの構造単位で官能化され、シェルは、70℃~150℃の範囲の算定Tを有し、ポリマー粒子は、ポリマー粒子の重量に基づいて、0.1~10重量パーセントの構造Iの触媒を吸収し、
【化2】
式中、RはH、C~C-アルキルまたはC(O)C~C-アルキルであり、Rは、HまたはC~C-アルキルであり、Rは、HまたはCHであり、Rは、C~C18-アルキル、フェニル-(R3aまたはベンジル-(R3aであり、bは、0、1、2または3であり、各R3aは、独立して、メチル、ハロ、メトキシ、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチルまたはアセチルアミノであり、第1のポリマー粒子は、100nm~500μmの範囲の平均粒子サイズ直径と、第1のポリマー粒子の水性分散体の重量に基づいて、10~60重量パーセントの範囲の固形分とを有する。
【0006】
第3の態様では、本発明は、
1)エマルジョンまたは懸濁重合によって、t-ブチルメタクリレートまたはt-ブチルアクリレートを水中で重合させて、t-ブチルメタクリレートまたはt-ブチルアクリレートの構造単位で官能化された第1のポリマー粒子の水性分散体を形成する工程と、
2)構造Iの触媒をポリマー粒子に組み込む工程であって、a)モノマーエマルジョンまたは懸濁液の重合中に、in situで、またはb)ポリマー粒子の水性分散体を触媒と接触させて、触媒を第1のポリマー粒子中に輸送することによって、触媒を組み込む工程と、を含み、
第1のポリマー粒子は、100nm~500μmの範囲の平均粒子サイズ直径と、第1のポリマー粒子の水性分散体の重量に基づいて、10~60重量パーセントの範囲の固形分を有する。本発明は、当該技術分野で既知の類似した分散体よりもかなり低い温度で、乾燥状態で熱膨張することができるポリマー粒子の水性分散体を提供することによって、当該技術分野における必要性に対処する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
第1の態様では、本発明は、第1のポリマー粒子の水性分散体を含む組成物であり、第1のポリマー粒子は、t-ブチルメタクリレートまたはt-ブチルアクリレートの構造単位で官能化され、第1のポリマー粒子の重量に基づいて、0.1~10重量パーセントの構造Iの触媒を吸収し、
【化3】
式中、RはH、C~C-アルキルまたはC(O)C~C-アルキルであり、Rは、HまたはC~C-アルキル、好ましくはCHであり、Rは、HまたはCHであり、Rは、C~C18-アルキル、フェニル-(R3aまたはベンジル-(R3aであり、bは、0、1、2または3であり、各R3aは、独立して、メチル、ハロ、メトキシ、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチルまたはアセチルアミノであり、第1のポリマー粒子は、100nm~500μmの範囲の平均粒子サイズ直径と、第1のポリマー粒子の水性分散体の重量に基づいて、10~60重量パーセントの範囲の固形分とを有する。
【0008】
本明細書で使用される場合、指定のモノマーの用語「構造単位」は、重合後のモノマーの残存物を指す。例えば、t-ブチルメタクリレートの構造単位は、次の構造で図示される。
【化4】
【0009】
平均粒子サイズ直径は、粒子のサイズに応じて、異なる方法によって決定される。100nm~1.1μmの範囲の直径を有する粒子では、粒子サイズは、Z-平均粒子サイズ(D)を指し、1.1μm超~30μmの範囲の粒子サイズを有する粒子では、粒子サイズは、ディスク遠心光沈降法により測定される中央値重量(D50)粒子サイズを指す。30μmを超える粒子の平均粒子サイズは、レーザー回折により測定されるD50粒子サイズを指す。
【0010】
第1のポリマー粒子は、好ましくは1~100重量パーセント、より好ましくは1~99重量パーセントのt-ブチルメタクリレートまたはt-ブチルアクリレートの構造単位で官能化される。好ましくは、第1のポリマー粒子は、1から、より好ましくは5から、好ましくは99、より好ましくは50、最も好ましくは20重量パーセントまでの、1つ以上の補助的なモノエチレン性不飽和非イオン性モノマー(t-ブチルメタクリレートまたはt-ブチルアクリレート以外)の構造単位をさらに含み、その例としては、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、2-プロピルヘプチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートなどのアクリル酸およびメタクリル酸のC~C20アルキルエステル、スチレン、α-メチルスチレン、o-メチルスチレン、p-メチルスチレンおよびt-ブチルスチレンなどのビニルベンゼン類、ビニルアセテートおよびビニルバーサテートなどのビニルエステル類、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルなどのエチレン性不飽和ニトリル類、アクリルアミドおよびメタクリルアミドなどのエチレン性不飽和アミド類、あるいは塩化ビニリデン、が挙げられる。
【0011】
第1のポリマー粒子は、第1のポリマー粒子の重量に基づいて、0.05から、より好ましくは0.1から、好ましくは5、より好ましくは2重量パーセントまでの、1つ以上のモノエチレン性不飽和アニオン性モノマーまたはその塩の構造単位をさらに含み、その例としては、アクリル酸、メタクリル酸およびイタコン酸のようなモノエチレン性不飽和カルボン酸、ならびにそれらの塩、およびそれらの組合せ、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、2-スルホエチルアクリレート、2-スルホエチルメタクリレート、3-スルホプロピルアクリレート、3-スルホプロピルメタクリレート、スチレンスルホン酸ナトリウム、および2-プロペン-1-スルホン酸などのモノエチレン性不飽和スルホン酸、ならびにそれらの塩およびそれらの組合せ、ならびに2-ホスホエチルメタクリレートまたはその塩のような亜リン酸モノマー、ならびに構造IIの有機リン酸
【化5】
またはその塩が挙げられ、式中、Rは、HまたはCHであり、RおよびRは、各々独立してHまたはCHであり、ただし、2つの隣接するCRCR基は、各々メチル基で置換されておらず、各Rは、独立して直鎖または分枝鎖のC~Cアルキレンであり、mは、2~10であり、nは、0~5であり、xは、1または2であり、yは、1または2であり、x+y=3である。Sipomer PAM-100、Sipomer PAM-200、Sipomer PAM-600、およびKayamer PM-21リン酸エステルは、式IIの範囲内の市販の化合物の例である。
【0012】
また、第1のポリマー粒子は、ジビニルベンゼン、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、およびトリメチロールプロパントリメタクリレートなどの多エチレン性不飽和モノマーで官能化してもよく、コアの重量に基づいて、好ましくは0.1~5重量パーセントの範囲で使用してもよい。
【0013】
第1のポリマー粒子は、0.1から、好ましくは0.2から、およびより好ましくは0.5から、10重量パーセントまで、好ましくは5重量パーセントまでの構造Iの触媒を吸収し、
【化6】
【0014】
Rは、好ましくはH、CH、またはC(O)CH、より好ましくはHであり、Rは、好ましくはCHであり、Rは、好ましくはフェニル、o-メチルフェニル、p-メチルフェニル、o-メトキシフェニルまたはp-メトキシフェニルである。本明細書で使用される場合、「吸収した」とは、構造Iの触媒が、定められた濃度範囲で、第1のポリマー粒子に組み込まれていることを意味する。第1のポリマー粒子への構造Iの触媒の組み込みは、触媒を、t-ブチルメタクリレートまたはt-ブチルアクリレートおよび任意選択的に1つ以上の補助的なエチレン性不飽和モノマーを含むモノマーエマルジョンと、エマルジョンまたは懸濁重合条件下で接触させることによって、in situで有利に達成される。また、第1のポリマー粒子への構造Iの触媒の組み込みは、第1のポリマー粒子の分散体を、触媒と、好ましくは水性エマルジョンとして接触させて、激しく混合しながら、触媒を第1のポリマー粒子に輸送することによっても達成してもよい。
【0015】
100nm~500μmの範囲の粒子の分散体は、様々な既知の方法によって調製することができ、例えば、直径500μmの粒子は、米国特許出願第US2015/0361236A1号および米国特許第US8,722,751B2号に記載されているように調製することができる。好ましくは、第1の粒子は、1.1μm超から30μmまで、より好ましくは10μmまでの範囲のD50粒子サイズ直径を有する。
【0016】
第2の態様では、本発明は、構造Iの触媒を吸収したコア-シェルポリマー粒子の水性分散体を含む組成物であって、シェルは、70℃から、好ましくは100℃から150℃までの範囲の、Fox方程式によって計算されるガラス転移温度(T)を有する。本発明のこの態様の一実施形態では、第1のポリマー粒子は、コア-シェルポリマー粒子のコアとなる。この実施形態では、コア-シェルポリマー粒子の水性分散体は、構造Iの触媒を吸収した第1のポリマー粒子の水性分散体を、1つ以上のシェルモノマーと、エマルジョン重合条件下で、接触させることによって有利に調製され、コアを封入するポリマーシェルを形成する。
【0017】
好適なシェルモノマーは、Fox方程式によって計算される70℃~150℃の範囲のTを有するシェルを形成することができる。シェルモノマーの構造は、ホモポリマーが少なくとも70℃のTを有する1つ以上のモノマー(高Tモノマー)を必然的に含むが、ただし、共重合体のTが所定の範囲のTを有するシェルを形成することを条件として、ホモポリマーが70℃未満のTを有する(低Tモノマー)1つ以上のモノマーを含んでいてもよい。
【0018】
好適な高Tシェルモノマーの例としては、ビニルベンゼン、エチレン性不飽和ニトリル、エチレン性不飽和アミド、イソボルニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、N-フェニルマレイミド、およびメチルメタクリレートが挙げられ、高Tモノマーと組み合わせて使用することができる低Tモノマーの例としては、塩化ビニリデン、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、および2-エチルヘキシルメタクリレート、が挙げられる。好ましくは、シェルは、スチレン、メチルメタクリレート、アクリロニトリル、およびメタクリロニトリルからなる群から選択される1つ以上の高Tモノマーの構造単位と、低Tモノマー塩化ビニリデンの構造単位とを含む。
【0019】
多エチレン性不飽和モノマーも、シェルの重量に基づいて、好ましくは0.1~5重量パーセントの範囲で使用することができる。シェル対コアの重量対重量比は、好ましくは1:100から200:1の範囲である。
【0020】
本発明の第2の態様の別の実施形態では、構造Iの触媒は、シェル重合段階中に装填してもよく、この実施形態では、触媒は、第1段階および第2段階で、または第2段階のみで導入してもよい。
【0021】
コア-シェルポリマー粒子は、粒子膨張を起こすように設計され、これは最初にポリマー粒子の分散体の希釈溶液を基材上に配置し、次いで水を蒸発させて乾燥および空間的に分離したコア-シェルポリマー粒子を提供し、次いで基材を十分な温度に十分な時間加熱してコア-シェルポリマー粒子を膨張させることによって測定できる。
【0022】
第3の態様では、本発明は、
1)エマルジョンまたは懸濁重合によって、t-ブチルメタクリレートまたはt-ブチルアクリレートを水中で重合させて、t-ブチルメタクリレートまたはt-ブチルアクリレートの構造単位で官能化された第1のポリマー粒子の水性分散体を形成する工程と、
2)ポリマー粒子に構造Iの触媒を組み込む工程であって、a)モノマーエマルジョンまたは懸濁液の重合中にin situで、またはb)ポリマー粒子の水性分散体を触媒と接触させて、触媒を第1のポリマー粒子中に輸送することによって、触媒を組み込む工程と、を含み、、
第1のポリマー粒子は、100nm~500μmの範囲の平均粒子サイズ直径と、第1のポリマー粒子の水性分散体の重量に基づいて、10~60重量パーセントの範囲の固形分を有する。
【0023】
水は、第1のポリマー粒子の分散体またはコア-シェルポリマー粒子の分散体のいずれから有利に除去され、乾燥したポリマー粒子を形成し、それは、130℃~150℃の範囲の温度で加熱されると膨張を起こす。
【0024】
コア(あるいは、第1のポリマー粒子)中に構造Iの触媒が存在すると、130℃~150℃の範囲の分解温度で、コアから膨張ガスが(イソブチレン)放出される経路を提供することが発見された。対照的に、触媒を含まないと、膨張ガスの放出が、190℃以上で発生することが実証された。吸収された触媒が存在すると、膨張を引き起こすのに必要な熱としてのエネルギー量が減少する。第1のポリマー粒子(またはコア-シェルポリマー粒子のコア)中に構造Iの触媒が含まれると、以前に説明した現在の膨張性粒子よりもかなり低い温度で粒子の同時膨張を伴う膨張ガスのin situ生成を必要とする用途において、粒子の分散体を使用するための機構が提供される。例えば、構造Iの触媒を吸収した膨張性粒子を含浸させた板紙の密度を低減して、抄紙機の乾燥部の温度制限を超えない温度に板紙をさらすことによって、軽量材を作製することができる。
【0025】
マルバーン粒子サイズ測定法
1.1μmまでの粒子サイズは、Malvern Zetasizer Nano ZS90 Analyzerを用いて測定し、90°の散乱角で、動的光散乱法(DLS)を用いて、Zetasizerソフトウェアバージョン7.11を用いて、Z-平均粒子サイズ(D)を測定する。分散体1滴を0.01MのNaCl水溶液(超純水、タイプI、ISO3696)を用いて希釈し、さらに必要に応じて希釈して、100~400キロカウント/秒(Kcps)の範囲の粒子カウントにした。粒子サイズの測定は、機器の粒子サイズ測定法を使用して行い、Dは、ソフトウェアによって計算した。Dは、強度ベースの調和平均粒子サイズとしても知られ、次のように表現される。
【数1】
ここで、Sは、直径Dの粒子iからの散乱強度である。詳細なD計算は、ISO 22412:2017(粒子サイズ分析-動的光散乱(DLS))に記載されている。
【0026】
未膨張および膨張粒子のための顕微鏡粒子サイズ測定法
1.1μm~30μm,の範囲の直径を有する粒子の場合、ポリマー粒子の希釈水溶液を標準的なガラス顕微鏡スライド上に沈着させた。水を蒸発させることで、空間的に分離した乾燥粒子が得られ、Evolution VF Monochromeカメラを搭載したLeitz Orthoplan Trinocular Microscopeで画像化した。1滴の液浸油(Type A、Cargille)を乾燥したサンプルの上に置き、ガラスカバースリップを油滴の上に置き、油の2滴目をガラスカバースリップの上に置き、3滴目を顕微鏡のコンデンサーレンズの上に置いた。Zeiss 100X油浸レンズを使用して、Q-Captureソフトウェア(バージョン2.9.13)を使用して、画像を収集した。次に、ImageJソフトウェア(バージョン1.50i、NIH、米国)を使用して画像を処理した。ImageJの画像スケールは21.27ピクセル/μmに設定した(同じ画像化条件下で既知の寸法のステージマイクロメーターの画像から事前に決定された)。ImageJの測定機能を使用して、最低10個の代表的な粒子の直径を手動で測定した。測定値の平均を記録して、平均粒子直径を決定した。
【0027】
DCP粒子サイズ測定法
50粒子直径(1.1μm~30μm)は、スクロース勾配による遠心分離と沈降によって粒子サイズモードを分離するディスク遠心光沈降法(Disc Centrifuge Photosedimentometer(DCP)、CPS Instruments,Inc.,Prairieville,LA)を使用して測定した。サンプルは、0.1%ラウリル硫酸ナトリウムを含む10mLの脱イオン(DI)水に1~2滴の粒子分散体を加えることで調製し、続いて、0.1mLのサンプルを15gのショ糖水溶液で満たした回転ディスクに注入した。回転ディスク上のスクロース勾配は、2つの別個のぜん動ポンプを使用して確立され、最初のポンプで高スクロース濃度溶液(8%)を送り、2番目のポンプで低スクロース濃度溶液(2%)を送った。サンプルを10,000rpmで回転するディスクに適用し、サンプルの注入前に、596nmのポリスチレン較正標準を注入した。D50粒子サイズは、機器のアルゴリズムを使用して計算した。
【0028】
熱重量分析(TGA)によるポリマー粒子粉末の調製と分解温度の測定
ポリマー粒子の分散体(約5g)をアルミニウム皿に置き、周囲条件下で一晩乾燥させた。乳鉢と乳棒を使用して乾燥した固形物を粉砕し、細かい粉末状の材料を得た。少量の粉末(2-10mg)を化学天秤上のTGAるつぼに量り入れ、サンプルの質量損失を、Universal AnalysisのソフトウェアV3.15ビルド263を搭載したTA Instrumentsのmodel TGA Q5000を用いて、5℃/分の温度勾配で、25℃から300℃まで測定した。温度の関数としての質量損失プロファイルの導関数は、機器のアルゴリズムを使用して生成され、導関数の最大値を分解温度として採用した。この点が、加熱時の最大質量損失率に相当する。
【0029】
アクリルオリゴマーシードの分子量測定
アクリルオリゴマーシードの分散体(約0.1g)をテトラヒドロフラン(THF、約8g、HPLCグレード)に溶解し、0.45μmのPTFEフィルターでろ過した。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)は、Agilent 1100モデルアイソクラティックポンプ、真空デガッサ、可変注入サイズオートサンプラー、およびAgilent 1100 HPLC G1362A示差屈折計を備えた液体クロマトグラフで実施した。データは、Agilent ChemStationバージョンB.04.03およびAgilent GPC-アドオンバージョンB.01.01で処理された。SEC分離は、2つのPLgel Mixed Dカラム(300×7.5mm ID、5μm)とガードカラム(50×7.5mm ID、5μm)で構成されるSECカラムセットを使用し、1mL/minの流量で、THFを溶出液として用い、40℃で実行した。
【0030】
機器は、10個の分子量分布が狭いポリスチレン標準を使用して較正し、1次較正曲線でフィットした。標準の重量平均分子量(ダルトンでのM)は、次の通りである:630、1,370、2,930、4,900、10,190、22,210、50,550、111,400、214,700および363,600。
【実施例
【0031】
比較実施例1-触媒なしのt-BMA官能化ポリマー粒子の水性分散体の調製
モノマーエマルジョン(ME)は、脱イオン水(87.5g)、ノノキシノール-4-硫酸アンモニウム(Triton XN-45S、1.2g、エタノール中60%活性)、NHOH(0.2g、28%水溶液)、t-ブチルメタクリレート(t-BMA、217.0g)、n-ブチルアクリレート(n-BA、45.4g)を合わせて容器中で調製した。別個に、脱イオン水(600g)を、オーバーヘッドスターラー、冷却器、および熱電対を備えた4つ口2-L丸底反応器に加えた。反応器を87℃に加熱した後、過硫酸アンモニウム溶液(APS、15gの水に1.5g)とアクリルポリマーシード(52n-BA/46.5メチルメタクリレート(MMA)/1.5メタクリル酸(MAA)13.0g、44.7%活性、DLSによる測定でZ-平均直径が95nm)を反応器に加えた。反応器の温度を83℃に維持しながら、MEおよび別に調製したAPS溶液(49gの水に0.42g)を同時に140分かけて反応器に供給した。供給物の添加が完了したら、反応器の温度を30分間82℃に維持し、その後35℃に冷却した。得られた分散体を45μmのスクリーンでろ過した。ろ液は、固形分パーセントについて分析され(24.1%)、DLSの測定により、Z-平均粒子サイズは、328nmであると決定された。粉末材料の分解温度は、上に記載のTGA法による測定により、191℃であった。
【0032】
比較実施例2-触媒なしの水性分散t-BMA官能化ポリマー粒子の調製
モノマーエマルジョン(ME)は、脱イオン水(187.5g)、Triton XN-45S(1.7g、エタノール中60%活性)、PPGモノメタクリレートのSolvay Sipomer PAM-200リン酸エステル(PAM-200、5.8g、97%活性)、t-BMA(500.0g)、およびn-BA(56.0g)を合わせて容器中で調製した。別個に、脱イオン水(900.0g)を、オーバーヘッドスターラー、冷却器、および熱電対を備えた4つ口5-L丸底反応器に加えた。反応器を93℃に加熱した後、APS(25.0gの水に2.3g)とアクリルポリマー(83 t-BMA/13 n-BA/4 PAM-200、300g、22.7%活性、DLSにより測定されたZ-平均粒子サイズが336nm)を反応器に加えた。反応器の温度を84℃に維持しながら、MEおよび別に調製したAPS溶液(130gの水に0.8g)を同時に140分かけて反応器に供給した。供給物の添加が完了したら、NHOH(1.4g、28%水溶液)を反応器に加えて、反応器の温度を30分間82℃に維持し、その後35℃に冷却した。得られた分散体を150μmのスクリーンでろ過した。ろ液は、固形分パーセントについて分析され(28.2%)、DLSの測定により、Z-平均粒子サイズは、678nmであると決定された。乾燥した粉末材料の分解温度は、TGAによる測定で190℃であった。
【0033】
比較実施例3-触媒なしのt-ブチルアクリレート官能化ポリマー粒子の水性分散体の調製
DLSで測定したZ-平均粒子サイズが672nmで、量平均分子量(上に記載のSEC法で決定される)が2532g/モルである、アクリルオリゴマーシード(固形分33%、67 n-BA/18 n-ドデシルメルカプタン/14.8 メチルメタクリレート/0.2 メタクリル酸)の水性分散体を、米国特許第US8,686,096号の実施例1および5(カラム19および20)に記載されているように調製した。
【0034】
開始剤のエマルジョンは、DI水(2.5g)、Polystep A-16-22分岐アルキルベンゼンスルホネート(A-16-22、0.15g、22.0%水溶液)、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン(4-ヒドロキシ-TEMPO、0.2g)、およびt-アミルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート(TAPEH、3.50g、98%活性)を合わせて、続いて15,000rpmで10分間ホモジナイズして調製した。次いで、開始剤エマルジョンを、容器中で、予め秤量されたアクリルオリゴマーシード(15.0g、32.4%固形分)の分散体に添加して、内容物を70分間混合した。モノマーエマルジョン(ME)は、脱イオン水(125.0g)、ヒドロキシエチルセルロースQP-3L(QP-3L、3.0g、99%活性)、PAM-200(3.0g、97%活性)、A-16-22(4.8g、22.0%溶液)、4-ヒドロキシ-TEMPO(0.2g)、t-ブチルアクリレート(t-BA、291.0g)、およびアリルメタクリレート(ALMA、6.0g)を合わせて、別の容器で調製した。別個に、脱イオン水(1575g)を、オーバーヘッドスターラー、冷却器、および熱電対を備えた4つ口5-L丸底反応器に加えた。反応器を70℃に加熱し、その後開始剤/オリゴマーシード混合物を反応器に加えた。次に、MEを17分かけて反応器に供給した。82分の誘導期間後、結果としての発熱により、反応器の温度が最高温度の80℃に上昇した。次に、反応器の温度を85℃に上げて30分間維持した後、30℃に冷却した。得られた分散体を45μmのスクリーンでろ過した。ろ液を固形分パーセント(13.5%)について分析し、DCPによる測定から、D50粒子サイズが2.8μmであることが判明した。乾燥した粉末材料の分解温度は、TGAによる測定で194℃であった。
【0035】
実施例1-1%の触媒1を用いたt-BMA官能化粒子の調製
モノマーエマルジョン(ME)を、脱イオン水(94.0g)、A-16-22(1.9g、22.0%水溶液)、PAM-200(2.7g、97%活性)、t-BMA(231.0g)、n-BA(25.5g)、および3-ヒドロキシ-3-メチルブチル4-メチル-ベンゼンスルホネート(触媒1、2.7g、99%活性)を合わせて、フラスコ中で調製した。DI水(1200.0g)および氷酢酸溶液(0.8g、15.0gの水中で99.7%活性)を、オーバーヘッドスターラー、冷却器、熱電対を備えた4つ口5-L丸底反応器に加えた。反応器を92℃に加熱し、その後NaPS(25.0gの水に2.4g)および比較実施例2に記載のアクリルポリマーシード(217.0g、28.2%活性、DLSによる測定で678nm)を反応器に添加した。反応器の温度を85℃に維持しながら、MEおよび別に調製したNaPS溶液(60.0gの水に0.6g)を同時に70分かけて反応器に供給した。供給物の添加が完了したら、反応器の温度を30分間85℃に維持し、その後30℃に冷却した。得られた分散体を45μmのスクリーンでろ過した。ろ液は、固形分パーセントについて分析され(15.6%)、DLSの測定により、Z-平均粒子サイズが804nmであると決定された。乾燥粉末材料の分解温度は、TGAによる測定で、142℃であった。
【0036】
実施例2-2%の触媒1を使用したt-BMA機能化粒子の調製
モノマーエマルジョン(ME)は、DI水(43.8g)、A-16-22(1.1g、22.0%水溶液)、PAM-200(0.7g、97%活性)、t-BMA(120.7g)、n-BA(13.1g)、および触媒1(2.8g、99%活性)を合わせて、容器中で調製した。別個に、DI水(190.0g)を、オーバーヘッドスターラー、冷却器、および熱電対を備えた4つ口1-L丸底反応器に加えた。反応器を70℃に加熱し、次にFeSO・7H Oの溶液(5.0g、0.15%水溶液)およびアクリルポリマーシード(89.5 t-BMA/10 n-BA/0.5 PAM-200、119.0g、29.7%活性、DLSによる測定で563nm)を反応器に加えた。反応器の温度を70℃に維持しながら、MEおよび別々に調製したt-ブチルヒドロペルオキシド溶液(t-BHP、35.0gの水に0.7g(70%水溶液))とイソアスコルビン酸(IAA、35.0gの水に0.5g)を同時に130分かけて反応器に供給した。共供給物の添加が完了したら、反応器を30℃に冷却した。得られた分散体を45μmのスクリーンでろ過した。ろ液は、固形分パーセントについて分析され(27.8%)、DLSによる測定で、Z-平均粒子サイズは、933nmであると決定された。乾燥した粉末材料の分解温度は、TGAにより147℃であった。
【0037】
実施例3-2%の触媒2を使用したt-BMA機能化粒子の調製
触媒のエマルジョンは、DI水(0.2g)、オクトキシノール-40(Triton X-405、0.15g、70.0%水溶液)、および2,4-ペンタンジオール、2-メチル-,4-(4-メチルベンゼンスルホネート)(触媒2、1.0g、90%活性)を合わせて、スターラーバーを備えた1-ozのガラスバイアル中で調製し、続いて激しく混合した。比較実施例1で調製した粒子分散体の一部(15.0g)に、少量の触媒エマルジョン(0.11g)を加えて、混合物を回転シェーカーで1時間撹拌した。得られた混合物を、室温で一晩乾燥させ、粉末材料の分解温度は、TGAにより146℃であった。
【0038】
実施例4-3%の触媒2を使用したt-ブチルアクリレート官能化粒子の調製
比較実施例3で得られた分散体の一部(35.0g)に、実施例3に記載の少量の触媒エマルジョン(0.25g)を加え、得られた混合物を回転シェーカーで1時間撹拌した。得られた混合物を室温で一晩乾燥させ、粉末材料の分解温度は、TGAにより138℃であった。
【0039】
実施例5-2%の触媒1を使用したコア/シェル粒子の調製
モノマーエマルジョン(ME)は、DI水(11.0g)、A-16-22(0.7g、22.0%水溶液)、ラウレス-12-硫酸ナトリウム(FES-993、0.2g、30%活性)、スチレン(31.0g)、アクリロニトリル(10.5g)、およびジビニルベンゼン(0.25g、85%活性)を合わせて、容器中で調製した。別個に、DI水(200.0g)を、オーバーヘッドスターラー、冷却器、および熱電対を備えた4つ口1-L丸底反応器に加えた。反応器を70℃に加熱し、その後FeSO・7HO(1.2g、0.15%水溶液)および実施例2で調製した分散体の一部(150.0g、27.8%活性)を反応器に加えた。反応器の温度を70℃に維持しながら、MEおよび別々に調製したt-BHPの溶液(30.0gの水に0.3g(70%水溶液))およびIAA(30.0gの水に0.2g)を、同時に90分かけて反応器に供給した。共供給物の添加が完了したら、DI水(1.7g)、A-16-22(0.1g、22.0%水溶液)、およびスチレン(6.2g)を合わせて、1-ozのガラスバイアル中で第2のモノマーエマルジョンを調製し、続いて激しく混合した。反応器の温度を70℃に維持ながら、この第2のモノマーエマルジョンを反応器に加え、5分後に、t-BHP(20.0gの水に0.5g(70%水溶液))とIAA(20.0gの水に0.3g)を、同時に35分間かけて反応器に供給した。共供給物の添加が完了したら、反応器を30℃に冷却した。得られた分散体を45μmのスクリーンでろ過した。ろ液を、固形分パーセントに(14.2%)、およびZ-平均粒子サイズ(DLSにより1.1μm)について分析した。
【0040】
実施例6-実施例5の粒子の膨張
実施例5に記載されるように調製された分散体の1滴(約10μL)を、15mLのDI水で希釈した。希釈した分散体の液滴を標準的な顕微鏡のガラススライドに置き、周囲温度で約1時間乾燥させた。乾燥した粒子の平均直径は、上記の顕微鏡粒子サイズ測定法により、1.2±0.1μmであった。次に、乾燥した粒子を含むスライドを、ガラススライドの温度を150℃に上げるのに十分な温度に予熱されたIKAホットプレート上に置いた(熱接触プローブを使用して測定)。ガラススライドの温度が150℃に達したら、この温度でガラススライドを3分間維持し、その後、スライドを取り外して室温に冷却した。得られた粒子の平均直径は、顕微鏡粒子サイズ測定法により、1.8±0.1μmであった。