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特許7258898バイオセメンテーションの方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-07
(45)【発行日】2023-04-17
(54)【発明の名称】バイオセメンテーションの方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   C04B 41/50 20060101AFI20230410BHJP
   C04B 41/46 20060101ALI20230410BHJP
   C04B 41/62 20060101ALI20230410BHJP
   C04B 41/65 20060101ALI20230410BHJP
   C12P 1/04 20060101ALI20230410BHJP
   C12P 3/00 20060101ALI20230410BHJP
   C12N 1/20 20060101ALI20230410BHJP
【FI】
C04B41/50
C04B41/46
C04B41/62
C04B41/65
C12P1/04 Z
C12P3/00 Z
C12N1/20 A
C12N1/20 Z
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020540691
(86)(22)【出願日】2018-10-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-17
(86)【国際出願番号】 US2018054683
(87)【国際公開番号】W WO2019071175
(87)【国際公開日】2019-04-11
【審査請求日】2021-10-04
(31)【優先権主張番号】62/568,539
(32)【優先日】2017-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/577,911
(32)【優先日】2017-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/735,060
(32)【優先日】2018-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520118991
【氏名又は名称】バイオメゾン・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドシエ,ジンジャー・ケイ
(72)【発明者】
【氏名】ドシエ,ジェイ・マイケル
(72)【発明者】
【氏名】スミス,ケント・ジェイ
【審査官】末松 佳記
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/145190(WO,A1)
【文献】特表2013-505705(JP,A)
【文献】特開2014-005617(JP,A)
【文献】特表2008-524096(JP,A)
【文献】特開2011-045333(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 7/00-28/36
C04B 41/00-41/91
C12N 1/20-1/21
C12P 1/04
C12P 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設材を製造する方法であって、
(a)ウレアーゼ産生生物及び尿素産生生物の細胞を固体物体に充填して、充填された固体物体を生成すること;
(b)炭素、窒素及びカルシウムのうちの1つ以上を含有する海洋環境に前記固体物体を加えること;及び
(c)前記充填された固体物体を前記海洋環境と接触させながら、前記ウレアーゼ産生生物及び前記尿素産生生物の細胞、並びに、炭素、窒素、及びカルシウムのうちの1つ以上を使用して、前記充填された固体物体の内部、前記充填された固体物体の周囲、又は前記充填された固体物体の外部で炭酸カルシウムを形成し、それによって前記建設材を製造すること
を含む、方法。
【請求項2】
前記ウレアーゼ産生生物及び/又は前記尿素産生生物の細胞を充填することが、前記ウレアーゼ産生生物及び/又は前記尿素産生生物の細胞を前記固体物体の内部に又は表面上に保持することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ウレアーゼ産生生物及び/又は尿素産生生物の細胞を充填することが、前記ウレアーゼ産生生物及び/又は前記尿素産生生物の細胞を含有する組成物中に前記固体物体を配置することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記充填された固体物体に、前記ウレアーゼ産生生物及び/又は前記尿素産生生物の胞子及び/又は栄養細胞が充填される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記充填された固体物体が、天然若しくは非天然材料、再生砂若しくは砕砂、鉱石、レンガ、ブロック、石積み、パネル、タイル、ボード、岩、石、破砕岩、砕石、鉱物、破砕された若しくは破壊されたガラス、木材、ジュート、灰、フォーム、玄武岩、繊維、鉱くず、紙、廃材、製造プロセスからの廃棄物、プラスチック、ポリマー、粗化材料及び/又はそれらの組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記固体物体が、微生物を透過させる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記固体物体が、炭素、窒素及びカルシウムのうちの1つ以上を含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
(b)の前記加えることが、前記充填された固体物体を完全に前記環境内に浸漬することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記海洋環境が、前記ウレアーゼ産生生物及び/又は前記尿素産生生物の増殖を促進する環境を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記尿素産生生物が、シュードモナス属(Pseudomonas)、デラヤ・アヴェヌスタ(Delaya avenusta)、チオスファエラ・パントトロファ(Thiosphaera pantotropha)、シュードモナス・スタッツェン(Pseudomonas stutzen)、フラジラリア・クロトネンシス(Fragilaria crotonensis)、シュードアルテロモナス属種(Pseudoalteromonas spp.)、シュードアルテロモナス・ハロプランクチス(Pseudoalteromonas haloplanktis)、ハロモナス・ヴェヌスタ(Halomonas venusta)、シュードモナス・バレアリカ(Pseudomonas balearica)、シュードモナス・スタッツェリ(Pseudomonas stutzeri)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)、エキシグオバクテリウム・アウランティアクム(Exiguobacterium aurantiacum)、シュードアルテロモナス・アリエナ(Pseudoalteromonas aliena)、シュードアルテロモナス・ルテオビオラセア(Pseudoalteromonas luteoviolacea)、並びに/又はそれらのバリアント、血清型、変異体、組換え型及び/若しくは組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ウレアーゼ産生生物が、スポロサルシナ属種(Sporosarcina spp.)、S.パストゥリ(S.pasteurii)、S.ウレエ(S.ureae)、プロテウス属種(Proteus spp.)、P.ブルガリス(P.vulgaris)、P.ミラビリス(P.mirabilis)、バチルス属種(Bacillus spp.)、B.スファエリクス(B.sphaericus)、B.メガテリウム(B.megaterium)、ミキソコッカス属種(Myxococcus spp.)、M.ザンサス(M.xanthus)、ヘリコバクター属種(Helicobacter spp.)、H.ピロリ(H.pylori)、並びに/又はそれらのバリアント、血清型、変異体、組換え型及び/若しくは組合せを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記炭酸カルシウムが、前記ウレアーゼ産生生物により産生されるウレアーゼが作用する前記尿素産生生物により産生される尿素と、炭素、窒素及びカルシウムの存在下との組合せから形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記炭酸カルシウムが、前記充填された固体物体の周囲のコーティングとして形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記炭酸カルシウムが、前記充填された固体物体の外側に形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
記建設材が、前記環境における侵食制御に利用される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
記建設材が、前記環境内の構造体の固体支持体として利用される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記構造体が、建築材、電子デバイス及び/又はコンテナを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
炭酸カルシウムが、6ヶ月以上の期間、前記固体物体の内部に、前記固体物体の周囲に及び/又は前記固体物体の外部に形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
炭酸カルシウムが、1年以上の期間、前記固体物体の内部に、前記固体物体の周囲に及び/又は前記固体物体の外部に形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
炭酸カルシウムが、5年以上の期間、前記固体物体の内部に、前記固体物体の周囲に及び/又は前記固体物体の外部に形成される、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、国防高等研究計画局によって授与された課題番号HR001117C0077のもとに米国政府の支援を受けて行われたものであり、したがって、米国政府は本発明において一定の権利を有する。
【0002】
本出願は、2017年10月5日に出願された米国仮出願第62/586,539号、2017年10月27日に出願された米国仮出願第62/577,911号及び2018年9月22日に出願された米国仮出願第62/735,060号の優先権を主張し、各々の全体が参照により明確にかつ完全に組み込まれる。
【0003】
本発明は、自然環境においてバイオセメントを形成する循環プロセスを含むキット、組成物、ツール及び方法を対象とする。詳細には、本発明は、窒素及び炭素並びに/又は窒素化合物及び炭素化合物を尿素に変換し、次いで、この尿素が利用されてカルシウム含有水中においてバイオセメントを形成する、材料及び方法を対象とする。
【背景技術】
【0004】
2014年のアンモニアの世界の工業生産は1億7,600万トンであり、1億5,200万トンであった2006年の生産より16%増であった。工業用アンモニアの生産は、世界のCO排出の1.44%を占める。アンモニアの生産は、世界の天然ガス生産量の5%を消費すると共に、世界のエネルギー生産量の約2%を消費している。
【0005】
バイオセメンテーションの反応(図1を参照されたい)は、尿素の代謝加水分解に依拠しており、塩化カルシウムを含有する溶液中でアンモニウムイオン及び炭酸イオンを生産する。
【0006】
【化1】
【0007】
カルシウムカチオンは細菌膜の表面で炭酸アニオンと反応し、多形方解石の炭酸カルシウムを形成する。アンモニウムカチオン及び塩素アニオンは、プロセス水中で平衡状態に保たれる。塩化カルシウムは、酸化カルシウムを塩化アンモニウムと反応させて、塩化カルシウム、水及びアンモニアガスを生産することによって生産される。
【0008】
CaCO2+NHCl→CaCl+HO+NH
ソルベー法又はアンモニア-ソーダ法は、ソーダ灰とも呼ばれる炭酸ナトリウム、及び塩化カルシウムの生産のための工業プロセスである。化学プロセスは:
2NaCl+CaCO→NaCO+CaCl
と記すことができる。
【0009】
このプロセスの材料は容易に入手可能であり、塩及び石灰石を含む。ソルベーベースの化学プラントは現在、世界的供給のおよそ4分の3を生産し、残りは天然鉱床から供給されている。
【0010】
尿素製造は、その発見者らの名をとってBosch-Meiser尿素法とも呼ばれ、反応生成物の変換が不完全である主たる2つの平衡反応を伴う。第1はカルバメート形成である:カルバミン酸アンモニウムを形成する、高温高圧での液体アンモニアのガス状の二酸化炭素(CO)との高速の発熱反応:
【0011】
【化2】
【0012】
第2は尿素変換である:カルバミン酸アンモニウムの尿素及び水へのより緩慢な吸熱分解。
【0013】
【化3】
【0014】
NH及びCOの尿素への全体的な変換は発熱性であり、第1の反応からの反応熱が第2の反応を推進する。あらゆる化学平衡と同様に、これらの反応はLe Chatelierの原理に従った挙動を示し、カルバメート形成に最も好都合である条件は、尿素変換平衡に好ましくない影響を有する。したがって、従来のプロセス条件は折り合いを伴う:第2の反応に必要な、高温(およそ190℃)の第1の反応への弊害は、第1の反応に好都合である高圧下(140~175バール)でのプロセスを実行することによって補償される。
【0015】
通常、気体の二酸化炭素をこの圧力まで圧縮する必要があるが、アンモニアは、システムに無駄なくポンプで送ることが可能である液体形態でアンモニアプラントから入手可能である。尿素変換が不完全であるので、生成物は未変化のカルバミン酸アンモニウムから分離される。
【0016】
尿素生産プラントでは、このことは、システム圧力を大気圧に下げて、カルバミン酸アンモニウムをアンモニア及び二酸化炭素に再分解することによって行われた。当初、再利用向けにアンモニア及び二酸化炭素を再圧縮することは経済的ではなかったので、アンモニアは少なくとも、二酸化炭素を廃棄物として出した他の製品、例えば、硝酸アンモニウム又は硫酸アンモニウムの製造に使用された。もっと後のプロセススキームは、使用されていないアンモニア及び二酸化炭素の再利用を実用化した。このことは、段階的に反応溶液を減圧し(最初は18~25バールに、次いで2~5バールに)、各段階で反応溶液を蒸気加熱されたカルバメートデコンポーザーに通流し、結果として生じた二酸化炭素及びアンモニアを流下膜式カルバメート凝縮器中で再結合させ、前の段階にカルバメート溶液をポンプで送ることによって達成された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
(発明の要旨)
本発明は、現行の戦略及び設計に伴う問題及び欠点を克服し、自然環境においてバイオセメントを形成するためのプロセス向けの新しいツール、組成物及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の一実施形態は:ウレアーゼ産生生物及び尿素産生生物を固体物体に充填すること;炭素、窒素及びカルシウムのうちの1つ以上を含有する環境に固体物体を配置すること;及び固体物体内で炭酸カルシウムを形成すること、を含む方法を対象とする。好ましくは、ウレアーゼ産生生物及び/又は尿素産生生物を充填することは、生物が固体物体の内部に又は表面上に保持されるように固体物体を乾燥生物と合わせること、又はウレアーゼ産生生物及び/又は尿素産生生物を含有する組成物中に固体物体を配置することを含む。好ましくは、固体物体に、ウレアーゼ産生生物及び/又は尿素産生生物の胞子及び/又は栄養細胞が充填される。好ましくは、固体物体が、天然若しくは非天然材料、再生砂若しくは砕砂、鉱石、レンガ、ブロック、石積み、パネル、タイル、ボード、岩、石、破砕岩、砕石、鉱物、破砕された若しくは破壊されたガラス、木材、ジュート、灰、フォーム、玄武岩、繊維、鉱くず、紙、廃材、製造プロセスからの廃棄物、プラスチック、ポリマー、粗化材料及び/又はそれらの組合せを含み、また好ましくは、固体物体が、微生物を透過させる。好ましくは、固体物体が、炭素、窒素及びカルシウムのうちの1つ以上を含有し、より好ましくは、環境及び固体物体は、炭酸カルシウムを形成するのに十分な量の炭素、窒素及びカルシウムを含有する。好ましくは、配置することが、固体物体を完全に環境内に浸漬することを含む。好ましくは、環境が、ウレアーゼ産生生物及び/又は尿素産生生物の増殖を促進する環境、すなわち海洋環境を含み、より好ましくは海洋環境である。好ましくは、尿素産生生物が、シュードモナス属(Pseudomonas)、デラヤ・アヴェヌスタ(Delaya avenusta)、チオスファエラ・パントトロファ(Thiosphaera pantotropha)、シュードモナス・スタッツェン(Pseudomonas stutzen)、フラジラリア・クロトネンシス(Fragilaria crotonensis)、シュードアルテロモナス属種(Pseudoalteromonas spp.)、シュードアルテロモナス・ハロプランクチス(Pseudoalteromonas haloplanktis)、ハロモナス・ヴェヌスタ(Halomonas venusta)、シュードモナス・バレアリカ(Pseudomonas balearica)、シュードモナス・スタッツェリ(Pseudomonas stutzeri)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、エキシグオバクテリウム・アウランティアクム(Exiguobacterium aurantiacum)、シュードアルテロモナス・アリエナ(Pseudoalteromonas aliena)、シュードアルテロモナス・ルテオビオラセア(Pseudoalteromonas luteoviolacea)、エシェリキア.コリ(E.coli)、並びにそれらのバリアント、血清型、変異体、組換え型及び組合せ、を含み、及び、ウレアーゼ産生生物が、スポロサルシナ属種(Sporosarcina spp.)、S.パストゥリ(S.pasteurii)、S.ウレエ(S.ureae)、プロテウス属種(Proteus spp.)、P.ブルガリス(P.vulgaris)、P.ミラビリス(P.mirabilis)、バチルス属種(Bacillus spp.)、B.スファエリクス(B.sphaericus)、B.メガテリウム(B.megaterium)、ミキソコッカス属種(Myxococcus spp.)、M.ザンサス(M.xanthus)、ヘリコバクター属種(Helicobacter spp.)、H.ピロリ(H.pylori)、並びにそれらのバリアント、血清型、変異体、組換え型及び組合せ、を含む。好ましくは、炭酸カルシウムが、ウレアーゼ産生生物により産生されるウレアーゼが作用する尿素産生生物により産生される尿素と、炭素、窒素及びカルシウムの存在下との組合せから形成される。好ましくは、炭酸カルシウムが、固体物体の周囲のコーティングとして(例えば、生物及び炭酸カルシウムを含有するバイオフィルムとして)形成され、及び/又は固体物体の外側に形成される。好ましくは、炭酸カルシウムを含有する固体物体は、環境内の構造体の固体支持体として環境における侵食制御に利用され、この場合、構造体は、建築材、電子デバイス及び/又はコンテナを含む。好ましくは、炭酸カルシウムが、6ヶ月以上の期間、1年以上の期間又は5年以上の期間、固体物体の内部に形成されるか、周囲に形成されるか、及び/又は外部に形成される。
【0019】
本発明の別の実施形態は、ウレアーゼ産生生物及び尿素産生生物を含有する、好ましくは炭酸カルシウムを含有する、固体物体を対象とする。好ましくは、ウレアーゼ産生生物及び尿素産生生物が生存可能であり、好ましくはウレアーゼ産生生物がウレアーゼを産生し、尿素産生生物が尿素を産生する。好ましくは、炭素、カルシウム及び窒素の存在下でのウレアーゼ及び尿素が、炭酸カルシウムを形成する。好ましくは、固体物体が、天然若しくは非天然材料、再生砂若しくは砕砂、鉱石、レンガ、ブロック、石積み、パネル、タイル、ボード、岩、石、破砕岩、砕石、鉱物、破砕された若しくは破壊されたガラス、木材、ジュート、灰、フォーム、玄武岩、繊維、鉱くず、紙、廃材、製造プロセスからの廃棄物、プラスチック、ポリマー、粗化材料及び/又はそれらの組合せを含む。好ましくは、固体物体が、例えば、有機又は無機材料、岩、ガラス、木材、紙、金属、プラスチック、ポリマー、繊維、鉱物又はそれらの組合せなどの補助材をさらに含有する。
【0020】
本発明の別の実施形態は、ウレアーゼ産生生物及び尿素産生生物の生存可能な混合物を含む組成物を対象とする。好ましくは、組成物は、胞子及び/又は栄養細胞の形態であるウレアーゼ産生生物及び尿素産生生物を含有する。好ましくは、組成物が水性である又は乾燥している。
【0021】
本発明の他の実施形態及び利点が、以下の説明において一部記載されており、一部にはこの説明から明らかであり、又は本発明の実施から知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】尿素加水分解バイオセメンテーションの反応を示す図である。
図2】閉ループ型工業用循環プロセスとしての尿素加水分解バイオセメンテーションの反応を示す図である。
図3】石灰石の炭酸カルシウムがバイオセメントに変換される、工業用循環プロセスとしての尿素加水分解バイオセメンテーションの反応を示す図である。
図4】大規模工業生産量で表された尿素加水分解バイオセメンテーションの反応を示す図である。
図5】尿素加水分解バイオセメンテーションの反応を示す図である。
図6】プロセス水が塩化カルシウムの再生を通して再利用されている尿素加水分解バイオセメンテーションの反応及びアンモニアの水素ガスと窒素ガスとへの電気分解を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
バイオセメンテーションは、尿素の代謝加水分解を伴い、塩化カルシウムを含有する溶液中でアンモニウムイオン及び炭酸イオンを生成する。カルシウムカチオンは細菌膜の表面で炭酸アニオンと反応し、多形方解石の炭酸カルシウムを形成する。アンモニウムカチオン及び塩素アニオンは、プロセス水中で平衡状態に保たれる。
【0024】
本発明は、この反応が循環的になり得るという驚くべき発見を対象とする。一代替法では、炭酸カルシウムは高温で酸化カルシウムと二酸化炭素とに分解される。酸化カルシウムは塩化アンモニウムと反応して、塩化カルシウム、水及びアンモニアガスを形成する。アンモニアガス及び二酸化炭素が反応させられて尿素及び水を合成し、次いで、尿素及び水はバイオセメンテーションプロセスで利用される。別の代替法では、炭酸カルシウムは、好ましくは高温で又は酸で分解されて、酸化カルシウム及び二酸化炭素を形成する;一プロセスで二酸化カルシウムをアンモニウムと反応させて尿素及び水を形成する;尿素及び塩化カルシウムを反応させてバイオセメントを形成する。したがって、前駆体成分に応じて、その結果は、炭酸カルシウム、アンモニア、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、尿素及び/又はアンモニアの生産とすることができる。好ましくは、尿素を塩化カルシウムと反応させるステップは、塩化アンモニウムをさらに形成する。好ましくは、塩化アンモニウムはさらに分解しながら酸及びアンモニアを形成する。
【0025】
循環プロセスは、バイオセメンテーション技術と組み合わせた既存の工業プロセスを使用して達成され得る(例えば、図2を参照されたい)。生成する製品が建築材としてバイオセメントの形成に使用され得るので、炭酸カルシウムの当量の投入ストリームはプロセスサイクルに燃料を供給する(図3を参照されたい)。大きな工業規模では、炭酸カルシウムの投入源は、ポルトランドセメントの製造において現在使用されているように、採掘された石灰石鉱床である。好ましくは、分解するステップは、炭酸カルシウムを高温又は酸で処理するステップを含み、ここで、好ましい高温は、約600℃以上であり、700℃以上であり、800℃以上であり、850℃以上であり、900℃以上であり、1,000℃以上であり又はさらにより高い温度である。好ましい酸は、限定されないが、リン酸、硝酸、酢酸及びそれらの組合せを含めて種々の酸が利用され得るが、塩酸を含む。好ましくは、本発明のプロセスは、例えば、100psigより大きい、200psigより大きい、300psigより大きい、400psigより大きい、500psigより大きい又はより大きいなどの高圧を含む。コロナ放電が利用されても、尿素産生生物との共培養が利用されてもよい。コロナ放電とは、帯電しているコンダクタを取り囲む空気などの流体のイオン化によってもたらされる放電である。コロナは、コンダクタ周囲の電界の強さ(電位の傾き)が導電領域を形成するほど高いが、近くにある物体に電気的破壊又はアーキングを引き起こすほど高くない場合に発生する。コロナは、高電圧のかかった尖った金属コンダクタに隣接する空気中の青みを帯びた(又は他の色)グローとしてよく見られ、ガス放電ランプと同じ特性によって光を放射する。このステップは、バルク尿素の生産向けに分離して実行してもよく、バイオセメンテーションに際して消費される、限局性の尿素生産向けに骨材マトリックスで用いてもよい。
【0026】
別の実施形態とは、例えば、大気中の窒素及び二酸化炭素の尿素への独立栄養代謝による、又は有機物の細菌分解によるなどの、尿素産生生物と共に共培養することである。尿素を産生する微生物は、例えば、シュードモナス属の様々な種、デラヤ・アヴェヌスタ、チオスファエラ・パントトロファ、シュードモナス・スタッツェリ、フラジラリア・クロトネンシス、シュードアルテロモナス属種、シュードアルテロモナス・ハロプランクチス、ハロモナス・ヴェヌスタ、シュードモナス・バレアリカ、シュードモナス・スタッツェリ、バチルス・メガテリウム、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)、エキシグオバクテリウム・アウランティアクム、シュードアルテロモナス・アリエナ、シュードアルテロモナス・ルテオビオラセア、それらのバリアント、血清型、変異体、組換え型又は組合せ、並びに当業者に知られているその他の生物及び微生物を含む。
【0027】
現代のドライプロセスのポルトランドセメント製造は、回転窯内の1,450℃の材料焼結温度を得るために1,850℃~2,000℃の熱源を利用する。製造プロセスの初期に、炭酸カルシウムは、予熱器/か焼炉塔中で850℃の温度で酸化カルシウム及び二酸化炭素に分解されるが、この場合、必要な熱エネルギーが回転窯の排気の部分的な回収を通して供給されている。ポルトランドセメント製造プラントでサイドチェーンプロセスとして実装されている酸化カルシウム蒸解釜は、セメント回転窯からの使用されていない廃熱エネルギーによって同様に燃料を補給されて、現場で炭酸カルシウムを処理することが可能である。酸化カルシウムは、塩化アンモニウムと反応して、塩化カルシウム、水及びアンモニアガスを生産する。サイドチェーンの酸化カルシウムの生産中に放出された二酸化炭素と次いで反応させられたアンモニアガスは、カーボンニュートラルである材料再利用プロセスとして尿素及び水を生産する。このプロセスの投入物は、その結果、塩化アンモニウム及び炭酸カルシウムであり、産出材料は塩化カルシウム及び尿素である。
【0028】
石灰石の投入材料がバイオセメント製品に変換される尿素加水分解バイオセメンテーションの反応のこの大規模モデルにおいて、工業生産量が示される(図4を参照されたい)。代謝バイオセメンテーションプロセスは分散モデルとして表されており、この場合、塩化アンモニウム、尿素及び塩化カルシウムが、工業用材料再利用システムへの輸送及びそこからの輸送向けの安定した可溶性材料として使用され、それによって、材料が、地域の骨材を使用したバイオセメント建設材の生産向けに、分散したバイオセメント生産施設に尿素及び塩化カルシウムを供給する再利用プラントに、集中化される。分散したバイオセメント生産ストリームから回収された塩化アンモニウムは、集中型材料再利用プラントに戻される。このことは、フレッシュな塩化カルシウム及び尿素を再生し、再分配することによって閉ループ型となっている。塩化カルシウム及び尿素は、総直接材料費のおよそ75%を占める。この大規模モデルは、これらの重要な材料のサプライチェーンを動かし、直接費用は、サードパーティーサプライヤーからの市場価格ではなく、集中型材料再利用プラントの運転費用によって内部で決定される。
【0029】
完全再利用、大規模プロセスモデルのバイオセメント生産の目標実施は、工業用尿素合成の現行の規模によって当初決定された。尿素プラントは、最も一般的にはアンモニア生産プラントと一体になっており、この場合、アンモニア生産中に放出された二酸化炭素が、尿素の形成向けに、生産されたアンモニアの一部と反応させられる。小規模な、現代の尿素プラントは、年間およそ350,000トンの尿素を生産する。1mol.尿素(2NHCO):1mol.塩化カルシウム(CaCl)のバイオセメント生産投入材料比に基づいて、350,000トンの尿素の生産には、326,791トンの酸化カルシウムの相応する生産を必要とする(表1を参照されたい)。効率的な米国のポルトランドセメント製造プラントは、年間2,000,000トン超のセメントを生産し、1,276,200トン超の酸化カルシウムを消費している。
【0030】
【表1】
【0031】
したがって、本システムは、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、塩化カルシウム、塩化アンモニウム、アンモニア及び尿素のうちの1つ以上の大規模(又は小規模)生産向けに設計され得る。
【0032】
本発明の別の実施形態は、工業用循環プロセスを対象とする。例えば、工業用循環プロセスは、バイオセメント材の生産向けであることが好ましく、この場合、カルシウムイオン及び溶存二酸化炭素/炭酸塩は、海水、工業廃棄物流及び/又は天然のブラインによって供給される。共培養生物群(1)は、炭素及び窒素基質から尿素を産生する。共培養生物群(2)は海水カルシウムイオン及び生物群(1)産生尿素を使用してバイオセメントを産生する。次いで、生物群(2)産生アンモニウムは、尿素産生向けの窒素基質として生物群(1)によって使用される。
【0033】
工業プロセスはまた、農業、化学及び製造産業で使用するための尿素及び/又はアンモニアの生産向けであるのが好ましく、この場合、生物又は生物のコンソーシアムは、窒素基質及び炭素に富む培地から尿素を産生する。産生された尿素は、分離され、水性形態で使用されてもよく、ダウンストリームでの使用向けに、ペレット、プリル又は粉末などの固形物に乾燥されてもよい。ウレアーゼ産生細菌を使用する後続のステップは、尿素をアンモニウムに加水分解することができるが、アンモニウムは、ダウンストリームでの使用向けに、アンモニア液又は圧縮アンモニアガスとして分離される。ウレアーゼ産生細菌の例は、限定されないが、スポロサルシナ属種(例えば、S.パストゥリ及びS.ウレエ)、プロテウス属種(例えばP.ブルガリス及びP.ミラビリス)、バチルス属種(例えばB.スファエリクス及びB.メガテリウム)、ミキソコッカス属種(例えばM.ザンサス)、ヘリコバクター属種(例えばH.ピロリ)、又はそれらのバリアント、血清型、変異体、組換え型又は組み合わせ、を含む。好ましくは、生物は栄養細胞であるが、胞子が利用されてもよく、ウレアーゼを産生する栄養細胞に変換されてもよく、又は抽出されたウレアーゼ酵素が酵素産生生物の非存在下で使用されてもよい。尿素生産向けの窒素基質は、コンソーシアムの仕様に応じて、合成窒素源又はガス状大気窒素を含む。炭素は任意の形態で供給され得る、例えば、溶存大気二酸化炭素として液体に変換され得る。反応物は、例えば、有機又は無機材料、岩、ガラス、木材、紙、金属、プラスチック、ポリマー、繊維、鉱物又はそれらの組合せなどの、バイオセメントに組み込まれるさらなる材料をさらに含んでもよい。
【0034】
エンジニアードリビングマリンセメント(Engineered Living Marine Cement)(ELMc)
本発明の別の実施形態は、エンジニアードリビングマリンセメント(ELMc)向けのツール、組成物、生産方法及び構造体を対象とする。ELMcは、海洋及びその他の用途に利用される、生きている生物学的コンクリート及び/又はコンクリート様材料の開発を伴う。ELMc材は、自己修復する(例えば、メンテナンスフリー)能力を有し、その結果、かなりの維持経費及び/又は交換経費をもたらす伝統的な海洋コンクリートの一般的な構造劣化を軽減する。生存可能なELMc材は、バイオセメント形成向けの材料を環境(例えば、海水、鉱山環境)から直接供給するのが好ましい。
【0035】
好ましくは、ELMc材は、構造体が生産される環境に固有のものである又はそれに適応可能である細菌株を用いる。例えば、海洋環境では、原料の尿素及びカルシウムは海水から直接供給される。カルシウムは海洋炭素ポンプの工具として海水に豊富に含まれており、一方、尿素はバイオセメント形成の速度を制限する場合もある、より少量で入手可能である。海洋尿素は動物プランクトン、例えば魚類及び海洋細菌などの海洋生命によって産生される。海洋バイオセメント構造体の場合、ELMcは、尿素産生細菌及びウレアーゼ産生細菌のコンソーシアムを含むのが好ましい。300株超の海洋細菌が尿素生産についてスクリーニングされ、24株が選別され、異なる7種に分類された。株は、選別及び/又は遺伝子工学によってさらに開発されて、いくつかの非常に高レベルのELMc産生がもたらされた。好ましくは、株は、尿素をまったく含まない合成海水原料を使用して、バイオセメント形成について7日の試験期間単位で開発された。
【0036】
好ましい細菌株は、異なる2つの代謝経路を通して尿素を発生させる:(a)プリン/ピリミジン代謝及び(b)酵素アルギナーゼによるアミノ酸L-アルギニンの開裂。海洋環境では、これらの基質は依然として制限因子のままであり、この場合、合成的アプローチが、より豊富な炭素源の使用を可能とする。例えば、代謝経路は、グルコース炭素源からのL-アルギニンの工業生産向けに遺伝子操作されている。同様のツール及びプロセスが、溶存無機炭素から直接産生されたものを含めて、代替炭素源の利用を可能とする。
【0037】
好ましいELMc生産は、セメント形成の核生成部位での細菌の産出による尿素の局所産生を伴う。このアプローチは、工業的に生産された尿素への依拠を排除し、原料成分として尿素を取り出す。合成的生物学ツール及び方法を発展させたELMcは、工業用バイオセメント製品に関して2つのプロセス及び適用条件を伴う。
【0038】
第1に、ELMcは、数年、数十年及びより長期の材料寿命に関連するメンテナンス活動としてバイオセメントを産生する。この方法論では、メンテナンスは、構造的な損傷や欠陥への材料の段階的な堆積を伴うが、メンテナンスは即座に開始する。好ましくは、メンテナンスは連続的なプロセスである。第2に、ELMcは、海水などの窒素が制限された天然供給源から直接に必要な原料成分を、他の任意の不純物又は変動要因とともに、そこに固有の濃度で供給することを伴う。ELMcが産生した材料は、炭酸カルシウム形成の場所で有機尿素を発生させる細菌のコンソーシアムで構成される。原料は、天然海水に見いだされる成分及び/又は濃度によって制限される。本明細書の開示によれば、持続可能なバイオセメントの開発は、カーボンアカウンティング及びライフサイクル分析(LCA)のガイドの両方を提供し、原料炭素の持続可能な供給源を提供すると同時に、確立された製品の性能及び商業な実行可能性を維持する。
【0039】
本発明の別の実施形態は:ウレアーゼ産生生物及び尿素産生生物を固体物体に充填すること;炭素、窒素及びカルシウムのうちの1つ以上を含有する環境に固体物体を配置すること;並びに固体物体内で炭酸カルシウムを形成すること、を含む方法を対象とする。好ましくは、ウレアーゼ産生生物及び/又は尿素産生生物を充填することは、生物が固体物体の内部に又は表面上に保持されるように固体物体を乾燥生物と合わせること、又はウレアーゼ産生生物及び/又は尿素産生生物を含有する組成物中に固体物体を配置することを含む。好ましくは、固体物体に、ウレアーゼ産生生物及び/又は尿素産生生物の胞子及び/又は栄養細胞が充填される。好ましくは、固体物体が、天然若しくは非天然材料、再生砂若しくは砕砂、鉱石、レンガ、ブロック、石積み、パネル、タイル、ボード、岩、石、破砕岩、砕石、鉱物、破砕された若しくは破壊されたガラス、木材、ジュート、灰、フォーム、玄武岩、繊維、鉱くず、紙、廃材、製造プロセスからの廃棄物、プラスチック、ポリマー、粗化材料及び/又はそれらの組合せを含み、また好ましくは、固体物体が、微生物を透過させる。好ましくは、固体物体が、炭素、窒素及びカルシウムのうちの1つ以上を含有し、より好ましくは、環境及び固体物体は、炭酸カルシウムを形成するのに十分な量の炭素、窒素及びカルシウムを含有する。好ましくは、配置することが、固体物体を完全に環境内に浸漬することを含む。好ましくは、環境が、ウレアーゼ産生生物及び/又は尿素産生生物の増殖を促進する環境、すなわち海洋環境を含み、より好ましくは、例えば本明細書に開示の海洋環境である。好ましくは、炭酸カルシウムが、ウレアーゼ産生生物により産生されるウレアーゼが作用する尿素産生生物により産生される尿素と、炭素、窒素及びカルシウムの存在下での尿素との組合せから形成される。好ましくは、炭酸カルシウムが、固体物体の周囲のコーティングとして(例えば、生物及び炭酸カルシウムを含有するバイオフィルムとして)形成され、及び/又は固体物体の外側に形成される。好ましくは、炭酸カルシウムを含有する固体物体は、環境内の構造体の固体支持体として、環境における侵食制御に利用され、この場合、構造体が、例えば、建築材、電子デバイス及び/又はコンテナを含む。好ましくは、炭酸カルシウムが、6ヶ月以上の期間、1年以上の期間又は5年以上の期間、固体物体内部に形成され、周囲に形成され、及び/又は外部に形成される、又は炭酸カルシウムは自己複製であり又は自己持続性であり、固体物体の寿命の間永続する。加えて、そのような固体物体も自己修復性である。
【0040】
本発明の別の実施形態は、ウレアーゼ産生生物及び尿素産生生物を含有する、好ましくは炭酸カルシウムを含有する固体物体を対象とする。好ましくは、ウレアーゼ産生生物及び尿素産生生物が生存可能であり、好ましくはウレアーゼ産生生物がウレアーゼを産生し、尿素産生生物が尿素を産生する。好ましくは、炭素、カルシウム及び窒素の存在下でのウレアーゼ及び尿素が、炭酸カルシウムを形成する。好ましくは、固体物体が、天然若しくは非天然材料、再生砂若しくは砕砂、鉱石、レンガ、ブロック、石積み、パネル、タイル、ボード、岩、石、破砕岩、砕石、鉱物、破砕された若しくは破壊されたガラス、木材、ジュート、灰、フォーム、玄武岩、繊維、鉱くず、紙、廃材、製造プロセスからの廃棄物、プラスチック、ポリマー、粗化材料及び/又はそれらの組合せを含む。好ましくは、固体物体が、例えば、有機又は無機材料、岩、ガラス、木材、紙、金属、プラスチック、ポリマー、繊維、鉱物又はそれらの組合せなどの補助材をさらに含有する。
【0041】
本発明の別の実施形態は、ウレアーゼ産生生物及び尿素産生生物の生存可能な混合物を含む組成物を対象とする。好ましくは、組成物は、胞子及び/又は栄養細胞の形態であるウレアーゼ産生生物及び尿素産生生物を含有する。好ましくは、組成物が水性である又は乾燥している。
【0042】
以下の実施例は、本発明の実施形態を例示するものであるが、本発明の範囲を限定するものと捉えられるべきではない。
【実施例
【0043】
[実施例1]
プラットフォーム適合性
伝統的なポルトランドセメント製造は、20世紀の集中型工業モデルを含み、セメントの生産は資本集約型及びエネルギー集約型プロセス(例えば、メタン燃焼トンネル窯)と結び付いている。市場の需要、規制条件、物的資源及び環境への影響に関する国際理解の変化に伴い、伝統的なセメントプラントの適合、次のプラントを建設するためのインフラの変化が必要となる。本明細書で開示されている及び記載されている生産設計は、そのニーズを満たし、また、適合可能なプラットフォームも提供した。
【0044】
本明細書での開示によるバイオセメントの生産は相互に関係のある2つシステム:製造設備及びバイオセメント生産のバイオテクノロジーを含む。製造設備は、マテリアルズハンドリング(例えば、混合、成形及びトランジット設備)、及び固体状発酵(例えば、原料及び送達)のための設備を含み、製品を製造するための実際に目に見える資本コストを表す。材料及びインフラ生産の大部分は、製造用の細菌及び原材料を含み、生産現場に供給される。
【0045】
本開示のプラントは、製造システムに対するインフラ又は資本の大幅な変更を要求せずに、又はメタンなどの高価な炭素源も不要で、バイオセメント生産に要求される原料化学物質を適合させることを提供する。本開示の本プロセスは、持続可能性を高め、性能を拡張し、地域の原料成分と共に働き、生産価格を低下させ、迅速に展開可能である。
【0046】
本発明の他の実施形態及び使用は、本明細書に開示された本発明の仕様及び実施を考察することにより、当業者であれば明らかであろう。あらゆる刊行物、米国及び外国の特許及び特許出願を含めて、本明細書で引用されるあらゆる参考文献は、参照により具体的かつ全体として組み込まれる。含む(comprising)という用語は、どの箇所で使用されていても、からなる(consisting of)、及び、から本質的になる(consisting essentially of)という用語を含むものとする。さらに、含む(comprising)、含む(including)及び含有する(containing)という用語は、限定することを意図するものではない。本明細書及び実施例は、例示にすぎないとみなされるべきであり、本発明の真の範囲及び精神は添付の特許請求の範囲によって示されることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6