(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-07
(45)【発行日】2023-04-17
(54)【発明の名称】半導体ウエハの洗浄に用いられる方法及び装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20230410BHJP
【FI】
H01L21/304 643D
H01L21/304 643A
H01L21/304 648H
H01L21/304 651B
(21)【出願番号】P 2020560308
(86)(22)【出願日】2018-04-27
(86)【国際出願番号】 CN2018084752
(87)【国際公開番号】W WO2019205074
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2020-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】510005650
【氏名又は名称】エーシーエム リサーチ (シャンハイ) インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン,フーピン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,シアオイェン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,フゥイ
【審査官】安田 雅彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/096553(WO,A1)
【文献】特開2001-087725(JP,A)
【文献】特開2016-058665(JP,A)
【文献】特開2010-212690(JP,A)
【文献】特開2018-046259(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B08B 3/00 -3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工程中のウエハを回転させることと、
回転する前記工程中のウエハの表面に機能水を供給し、回転する前記工程中のウエハに、流動する機能水膜を生成すること
であって、前記機能水は、パーティクルのζ電位の絶対値を増加させるものを含むことと、
音波装置により、前記工程中のウエハの前記表面を第1時間の間洗浄することであって、前記工程中のウエハが前記第1時間において10rpm~50rpmの速度で回転することと、
前記音波装置の上昇及び/又は回転する前記工程中のウエハの回転速度の引き上げによって、前記流動する機能水膜から前記音波装置を分離させることと、
前記音波装置を前記機能水膜から分離させた後、回転する前記工程中のウエハの前記表面に
、前記機能水を第2時間の間供給することであって、前記工程中のウエハが前記第2時間において300rpm~1000rpmの速度で回転することと、
前記工程中のウエハの前記表面を乾燥させることと
を含む、工程中のウエハの洗浄に用いられる方法。
【請求項2】
回転する前記工程中のウエハの前記回転速度の引き上げは、回転する前記工程中のウエハの前記回転速度を、50rpm未満から、300rpmを超える値まで上げることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記機能水は、FWN
2、FWH
2、FWO
2、オゾン化脱イオン水(DIO
3)、FOM、SC1、DSP及びTMAHのうちの少なくとも一種を
さらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1時間は20秒より長く、前記第2時間は2秒より長い、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1時間は30秒より長く、前記第2時間は4秒より長い、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記工程中のウエハの前記表面を乾燥させることは、
第2速度で前記工程中のウエハを回転させる際に、前記工程中のウエハの前記表面に非反応性ガスを吹き付けることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記非反応性ガスは、N
2、イソプロパノール(IPA)及び不活性ガスのうちの少なくとも一種を含み、前記第2速度は1,000rpmより大きい、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記音波装置は、10W~100Wの電力で操作するように配置されており、前記音波装置は共振器を含み、前記共振器は、自身と、回転する前記工程中のウエハの前記表面との間に、隙間を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記音波装置は、20W~50Wの電力で操作するように配置されており、前記隙間は可変である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記機能水は、前記第1時間及び前記第2時間の間、1 lpm~3 lpmの流速で供給される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記機能水は、前記第1時間及び前記第2時間の間、1.2 lpm~2 lpmの流速で供給される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
回転する前記工程中のウエハは、前記第1時間の間25rpm~35rpmの前記第1速度で回転し、回転する前記工程中のウエハは、前記第2時間の間500rpm~700rpmの前記第3速度で回転する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
さらに、
回転する前記工程中のウエハの前記表面に前記機能水を供給する前に、回転する前記工程中のウエハの前記表面に脱イオン水を第3時間の間供給することと、
回転する前記工程中のウエハの前記表面に前記脱イオン水を前記第2時間の後の第4時間の間供給することと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記第3時間は4秒より長く、前記第4時間は10秒より長い、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
さらに、
空気を0.2m/s~0.8m/sの速度で供給することと、
チャンバ排
気圧力(EXH)が70pa~400paに設定されるように空気を排出することと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
さらに、
回転する前記工程中のウエハの前記表面に、脱イオン水を第3時間の間供給することと、
前記機能水を供給する前に、回転する前記工程中のウエハの前記表面に、希フッ化水素酸(DHF)を第5時間の間供給して、回転する前記工程中のウエハの前記表面の酸化物をエッチングすることと、
前記音波装置を使用する前に、回転する前記工程中のウエハの前記表面に、前記機能水を別
一つの第3時間の間供給することと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
さらに、
回転する前記工程中のウエハの前記表面に、脱イオン水を第3時間の間供給することと、
前記機能水を供給する前に、回転する前記工程中のウエハの前記表面に、希フッ化水素酸(DHF)を第5時間の間供給して、回転する前記工程中のウエハの前記表面の酸化物をエッチングすることと、
回転する前記工程中のウエハの前記表面に、DIO
3を第6時間の間供給して、回転する前記工程中のウエハの前記表面を漱ぐことと、
前記音波装置を使用する前に、回転する前記工程中のウエハの前記表面に、前記機能水を別
一つの第3時間の間供給することと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
工程中のウエハを保持するチャック盤と、
前記チャック盤を回転させるように操作可能な回転装置と、
前記工程中のウエハの表面を洗浄するように操作可能な音波装置と、
脱イオン水、機能水及び乾燥ガスのうちの少なくとも一種を、前記工程中のウエハの前記表面に供給するように操作可能な少なくとも1つの流体供給装置と、
前記チャック盤、前記回転装置、前記音波装置及び前記少なくとも1つの流体供給装置を制御して、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法を実行するように操作可能な制御装置と
を含む、洗浄装置。
【請求項19】
洗浄装置に、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法を実行させるための指令を含む、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は全体として、半導体素子の製造に関し、さらに具体的には半導体ウエハの洗浄に用いられる方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路の製造プロセスは通常、基板工程(FEOL)と配線工程(BEOL)に分けることができる。FEOL工程では主に、集積回路を構成するさまざまな素子の製造を行い、一方BEOL工程では主に、相互接続する金属配線を集積回路のさまざまな素子の間に形成する。FEOL工程では通常、浅溝の隔離構造及びゲート又はメモリの積層が形成される。こうした構造は、サイズの小型化、及び構造を形成する材料の種類により、脆弱になる。BEOL工程においても、例えば低誘電率電介質材料又はポリシリコンの相互接続線におけるデュアルダマシンエッチング開口といった、脆弱な構造が存在する可能性がある。通常、BEOL処理は、1つ又は複数の化学機械平坦化(CMP)工程ステップを含むが、このステップ自体、汚染されやすい工程である。
【0003】
ここ数年、半導体製造工程で採用されるフォトレジストの洗浄又は剥離のステップ数は、大幅に増加してきた。数量増加には、増え続けるイオン注入ステップ数が大きく寄与している。現在の高電流又は高エネルギーの注入(例えばプラズマ)は、操作が最も過酷である。その理由は、高度なウエハ洗浄度が求められるとともに、基板/結合若しくは酸化物を基本的に損失することなく、レジスト突起、表面残留物及び金属汚染を最少化又は除去することが求められるためである。同様に、半導体製造工程は、典型的には、1つ又は複数のCMP工程を含み、該工程では通常、研磨スラリー及び回転パッド/ブラシを用いて表面を平面化する。素子のサイズのさらなる小型化に伴い、半導体製造プロセスにおける欠陥を最少化することは、全体的な成功にとって非常に重要である。しかしながら、半導体素子及びCMPパッド/ブラシは常に、パーティクルで汚染されがちであり、これらのパーティクルは、素子の効率的な製造を成功させるために、除去する必要がある。
【0004】
半導体素子の製造期間中は、通常、非常に高いレベルの洗浄度が要求されるので、後続処理の前に、通常は、基板表面から不純物又はパーティクルを除去するために、複数の洗浄ステップが必要とされる。典型的な表面準備プロセスには、エッチング、洗浄、漱ぎ及び乾燥ステップを含むことができる。典型的な洗浄ステップの間、基板を、過酸化水素及び水酸化アンモニウム及び/又は塩酸、及び/又は硫酸及び/又はフッ化水素酸の混合物の洗浄溶液に曝すことができる。洗浄後、超純水を用いて基板を漱ぎ、その後、複数の既知の乾燥工程のうちの1種で乾燥を行う。状況によって、洗浄溶液は、音響的洗浄方法、例えば超音波、メガソニック等と組み合わせることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
よって、不要なパーティクル又は残留物を除去することが可能であるが、装置の性能を不利に低下又は変化させることのない方法及び装置が、望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、半導体ウエハの洗浄に用いられる工程及び装置を開示する。
第1の態様において、工程中のウエハを洗浄するための方法が提供される。該方法は、工程中のウエハを回転させ、回転する工程中のウエハの表面に機能水(function water)を供給し、回転する工程中のウエハに、流動する機能水膜を生成し、音波装置により、回転する工程中のウエハの表面を第1時間の間洗浄し、音波装置の上昇及び/又は回転する工程中のウエハの回転速度の引き上げによって、流動する機能水膜から音波装置を分離させ、音波装置を機能水膜から分離させた後、回転するウエハの表面に機能水を第2時間の間供給し、ウエハの表面を乾燥させること、を含む。
【0007】
第2の態様において、洗浄装置が提供される。該洗浄装置は、工程中のウエハを保持するチャック盤と、チャック盤を回転させるように操作可能な回転装置と、工程中のウエハの表面を洗浄するように操作可能な音波装置と、脱イオン水、機能水及び乾燥ガスのうちの少なくとも一種を工程中のウエハの表面に供給するように操作可能な少なくとも1つの流体供給装置と、前記チャック盤、前記回転装置、前記音波装置及び前記少なくとも1つの流体を制御して、洗浄方法を実行するように操作可能な制御装置とを含む。該方法は、工程中のウエハを回転させ、回転する工程中のウエハの表面に機能水を供給し、回転する工程中のウエハに、流動する機能水膜を生成し、音波装置により、回転するウエハの表面を第1時間の間洗浄し、音波装置の上昇及び/又は回転する工程中のウエハの回転速度の引き上げにより、流動する機能水膜から音波装置を分離させ、音波装置を機能水膜から分離させた後、回転するウエハの表面に機能水を第2時間の間供給し、ウエハの表面を乾燥させること、を含む。
【0008】
第3の態様において、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体が提供される。該コンピュータが読み取り可能な記憶媒体は、洗浄装置に洗浄方法を実行させるための指令を含む。該方法は、工程中のウエハを回転させ、回転する工程中のウエハの表面に機能水を供給し、回転する工程中のウエハに、流動する機能水膜を生成し、音波装置により、回転するウエハの表面を第1時間の間洗浄し、音波装置の上昇及び/又は回転する工程中のウエハの回転速度の引き上げにより、流動する機能水膜から音波装置を分離させ、音波装置を機能水膜から分離させた後、回転するウエハの表面に機能水を第2時間の間供給し、ウエハの表面を乾燥させること、を含む。
【0009】
理解すべき点として、この概要は、本明細書に記載された主題の実現のための重要又は基本的特徴を識別することは意図しておらず、また、本明細書に記載された主題の範囲を制限することも意図していない。以下の説明により、本明細書に記載された主題の他の特徴は容易に理解されることとなる。
【0010】
本明細書と図面を結び付けて説明する主題において、例示的実施形態をより詳細に説明することで、本明細書が説明する主題の上述の、及びその他の目的、特徴、利点をさらに明らかにする。ここで、主題の例示的実施形態において説明する内容において、同一の図面符号は基本的に同一の部材を示す。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の1つの実施形態による例示的な洗浄装置を示す図である。
【
図2】本開示の1つの実施形態による例示的洗浄工程を示す図である。
【
図3】本開示の1つの実施形態による例示的洗浄工程を示す図である。
【
図4】本開示の1つの実施形態による例示的洗浄工程を示す図である。
【
図5】本開示の1つの実施形態による例示的洗浄工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、複数の実施形態を参照しつつ、本明細書に記載された主題について論じる。これらの実施形態について論じるのは、本明細書に記載された主題を、当業者がより適切に理解することで実現できるようにするためであって、本明細に記載された主題の範囲を何ら制限するものではない。この点、理解されるべきである。
【0013】
本明細書で使用される用語「含む」及びその変形は、「…を含むが、これらに限定されない」という開放的な意味を指すと理解されるべきである。用語「…に基づいて」は、「少なくとも部分的に基づく」と解釈されるべきである。用語「実施形態」又は「1つの実施形態」は、「少なくとも1つの実施形態」と解釈されるべきである。用語「他の実施形態」は、「少なくとも1つの他の実施形態」と解釈されるべきである。用語「機能水」とは、例えば水素、酸素、窒素又はオゾン等の特定のガスを水中に溶解させた、少量の化学品(例えばアンモニア)を含む溶液を指すことができる。機能水は、半導体ウエハの洗浄に用いることができる。機能水の例示には、FWH2、FWN2、FWO2、DIO3、FOM、SC1、DSP及びTMAHのうちの少なくとも1つを含むことができ、FWH2、FWN2、FWO2はそれぞれ、H2、N2及びO2を溶解させた溶液を指すことができる。例えば、FWO2は、機能水+O2を指す。本開示において、DIO3はオゾン化脱イオン水を指し、FOMはオゾン化脱イオン水+フッ化水素酸(HF)を指し、SC1は基準洗浄化学品1---水酸化アンモニウム及び過酸化水素の混合物を指し、DSPは希釈した硫酸過酸化物を指し、TMAHは、水酸化テトラメチルアンモニウムを指す。以下の説明では、その他の定義も、明確及び暗黙のものとして含むことができる。
【0014】
以下の文中において、いくつかの値又は数値の範囲が記載されている。理解すべき点として、これらの値及び値の範囲は、説明のために用いられるだけで、本明細書に記載された主題の構想を実現する際に、役立つものである。しかしながら、これらの例示的説明は、何らかの方法で本明細書の主題の範囲を制限することを、意図するものではない。値又は取得値の範囲は、具体的な応用の場面及び必要に応じて、別に設定することができる。
【0015】
また、以下の文中において、いくつかの具体的材料が記載されている。理解すべき点として、これらの材料は説明するために用いられるだけで、本明細書に記載された主題の構想を実現する際に、役立つものである。しかしながら、これらの例示的説明は、本明細書の主題の範囲を、何らかの方法で制限することを意図するものではない。具体的な応用の場面及び必要に応じて、他の材料を選択することができる。
【0016】
上述したように、半導体ウエハに各種処理、例えばCMP、溝エッチング、フォトリソグラフィ処理等を行うことで、半導体ウエハ表面に各種汚染物が生じる。したがって、FEOL及びBEOL処理プロセスにおいて、半導体ウエハを大量に洗浄する必要がある。
【0017】
図1は、本開示の実施形態による例示的洗浄装置10を示す。洗浄装置10は、本明細書の工程を実施するために用いることができる。洗浄装置10は、チャック盤16と、回転装置14と、流体供給装置18と、モーター22と、アーム23及び送りねじ(leading screw)24を介してモーター22にカップリングされた音波装置15と、制御装置12とを含む。チャック盤16は、工程中のウエハ11を保持するように操作可能である。回転装置14は、チャック盤16にカップリングされるモーターであってよく、チャック盤16を回転させるように操作することができ、これに応じて、工程中のウエハ11を回転させることができる。制御装置12は、例えばコンピュータのようなコンピュータ装置であってよく、指令を実行するプロセッサ、指令を記憶するメモリ等を有する。例えば、回転数は制御装置12によって制御することができ、1rpmから3,000rpmまで変化する。
【0018】
制御装置12が流体供給装置18を制御することで、流体供給装置18は、少なくとも1つのノズル19によって、脱イオン水、機能水及び乾燥ガスのうち少なくとも一種を、工程中のウエハ11の表面に供給することができる。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのノズル19は、脱イオン水、機能水及び乾燥ガスをそれぞれ供給する複数のノズルを含むことができる。選択的に、他のいくつかの実施形態において、少なくとも1つのノズル19は、脱イオン水、機能水及び乾燥ガスを順に供給する1つのノズルを含んでもよい。流体供給装置18が、工程中のウエハ11の表面中心に液体を散布した場合、工程中のウエハ11の表面に流動液体膜13を形成することができる。液体散布に伴い、液体は工程中のウエハ11の中心から外周に向かって流れ、その後、外周から飛び散る。
【0019】
音波装置15は、共振器17と音響的にカップリングする圧電トランスデューサー21を含む。トランスデューサー21が電気的に励起されて振動し、且つ共振器17が高周波音エネルギーを、流動する液体膜13中に伝送する。制御装置12は、モーターを制御して、送りねじ24の上方向又は下方向に沿って音波装置15を移動させる。制御装置12はさらに、トランスデューサー21及び共振器17を制御して、音波又は超音波を供給させる。音波装置15は、制御装置12の制御に基づき、上下に移動して、共振器17と工程中のウエハ11の上面との間に隙間を形成するように操作することができる。洗浄中、隙間には、脱イオン水、機能水及び乾燥ガスのうちの1つを充填することができる。この隙間は、より良い洗浄効果を奏するように変化させることができる。隙間の設定についての詳細は、WO2010066081A1に見出すことができる。その内容は全体的に、全ての目的のために本明細書に参照として組み込まれる。また、音波装置15は、制御装置12の制御に基づき、各種電力で操作可能である。音波装置15の配置は例示的な実施方式に過ぎず、本発明の範囲に何らかの制限を加えるものでないことは、理解されるべきである。音波装置は、その他任意の適切な方式でも実現が可能である。
【0020】
例えば、例示的な洗浄装置10は、ファンフィルターユニット(FFU)及び排気ユニット(図示せず)を有するウルトラクリーンチャンバに設置可能である。FFU及び排気ユニットは、制御装置12により制御してよく、又は独立して制御してもよい。チャンバの洗浄度の要求に応じて、FFUは、0.1m/s~2m/sの速度で、好ましくは0.2m/s~0.8m/sの速度で空気を供給するように操作することができる。チャンバの洗浄度の要求に応じて、排気ユニットは、空気を排出してチャンバの排気圧力(EXH)が1Pa~1,000Pa、好ましくは70Pa~400Paに設定されるように操作することができる。
【0021】
図2は、本開示による実施形態の例示的洗浄工程100を示す。ブロック102において、制御装置12は工程中のウエハ11を回転させる。ある例示では、工程中のウエハ11は600rpmの速度で回転させることができる。
【0022】
ブロック104において、制御装置12は、流体供給装置18から、回転する工程中のウエハ11の表面に機能水を供給させ、回転する工程中のウエハ11上に、流動する機能水膜を生成させる。例えば、機能水は、N2を水中に溶解した、少量の化学品(例えばアンモニア)を含む溶液であってよい。例えば、12インチのウエハでは、機能水の流速は、1 lpm~3 lpmであってよく、好ましくは1.2 lpm~2 lpmであり、より好ましくは1.8 lpmである。例えば、8インチのウエハでは、機能水の流速は、0.5 lpm~2 lpmであってよく、好ましくは1 lpm~1.5 lpmであり、より好ましくは1.2 lpmである。機能水は、FWN2、FWH2、FWO2、オゾン化脱イオン水(DIO3)、FOM、SC1、DSP及びTMAHのうちの少なくとも一種を含む。回転数は、600回転/分(rpm)から50rpm以下まで下げることができる。上述の範囲及び機能水は、例示的な実施方式に過ぎず、本開示の範囲に何らかの制限を加えるものでないことは、理解されるべきである。その他任意の適切な方式でも実現が可能である。
【0023】
ブロック106において、制御装置12が音波装置15の共振器17を下げさせることで、流動する機能水の膜中に共振器17が浸漬し、共振器17と、回転する工程中のウエハ11との間に隙間が形成される。制御装置12はさらに、音波装置15から、機能水膜上に音波又は超音波を第1時間の間付加させて、工程中のウエハ11を洗浄させる。したがって、工程中のウエハ11の表面を漱ぐことができ、パーティクルを工程中のウエハ11の表面から分離させることができる。パーティクルが工程中のウエハ11の表面から離れ、且つ機能水が混入すると、流動する機能水によって、回転する工程中のウエハ11からパーティクルを洗い流すことができる。
【0024】
第1時間の間、回転数は、10rpm~50rpmであってよく、好ましくは25rpm~35rpmである。ある例示において、音波装置は、10W~100Wの電力で操作するように配置され、好ましくは20W~50Wで操作される。例えば、12インチのウエハでは、音波装置は、20W~50Wの電力で運転するように配置される。例えば、8インチのウエハでは、音波装置は、10W~30Wの電力で運転するように配置される。ある例では、第1時間は20秒より長く、好ましくは30秒より長い。上述の範囲は、例示的な実現形態に過ぎず、本開示の範囲に何らかの制限を加えるものでないことは、理解されるべきである。その他任意の適切な方式でも実現が可能である。流動する機能水膜に音波/超音波を付加することで、工程中のウエハ11の表面に付着したパーティクルを、工程中のウエハ11の表面から分離させることができる。
【0025】
ブロック108において、制御装置12は音波装置15を上昇させて、流動する機能水膜から共振器17を分離させる。選択的に、回転速度を上げて、工程中のウエハ11の表面の機能水流を、さらに速く流動させて、流動する機能水膜を薄くして共振器17と分離させてもよい。ある例示では、回転速度は、50rpm未満から、300rpmを超える値まで上げることができる。ある例示では、音波装置15の上昇及び回転速度の引き上げの両方によって、流動する機能水膜から共振器17を分離させることができる。上述の範囲は、例示的な実現形態に過ぎず、本開示の範囲に何らかの制限を加えるものでないことは、理解されるべきである。その他任意の適切な方式でも実現が可能である。
【0026】
ブロック110において、制御装置12は、流体供給装置18から機能水を第2時間の間引き続き供給させる。第2時間の間、回転数は、300rpm~1,000rpmであってよく、好ましくは500rpm~700rpmである。ある例では、第2時間は2秒より長く、好ましくは4秒より長い。上述の範囲は、例示的な実現形態に過ぎず、本開示の範囲に何らかの制限を加えるものでないことは、理解されるべきである。その他任意の適切な方式でも実現が可能である。例えば、第2時間は5秒~15秒とすることができる。機能水を第2時間の間供給し続けることで、機能水中のアンモニアによってパーティクル表面のζ(zeta)電位を増加させることができる。アンモニアは弱電解質なので、機能水のpH値を増加させることができる。pH値の増加に伴い、ζ電位が増加することで、表面に大きいマイナスζ電位を有するパーティクルが、回転する工程中のウエハ11の表面に再度付着することを防止し、回転する表面からパーティクルを離すことができる。アンモニアは例示的な実施方式に過ぎず、本開示の範囲に何らかの制限を加えるものでないことは、理解されるべきである。パーティクルのζzeta電位を増加させることが可能なその他任意の適切な方式でも、実現が可能である。このようにして、半導体素子の生産量を顕著に増やすことが可能である。なお、回転速度を上げることで、より適切にパーティクルを除去することができる。
【0027】
機能水がH2ガス及びアンモニアを含む状況において、より効率的に表面のパーティクルを除去するために音波又は超音波を付加することは、特に利点を有する。音波又は超音波は、流動する機能水膜13において、微小な気泡を発生させる可能性がある。また、水素の特殊な物理化学特性により、H2ガスも作用する。気泡がはじけ、パーティクルは工程中のウエハ11の表面から分離するよう促される。さらに、機能水膜13中に溶解したH2ガスが、より多くのHラディカルを発生させるが、これは表面不動態化に有利である。したがって、このような状況では、化学酸化物の発生を抑えることができるとともに、表面のパーティクルの除去効率をより高めることができる。また、表面のパーティクルの除去効率が良いため、薬品費及びDIWコストを抑えることができる。
【0028】
ブロック112において、制御装置12は工程中のウエハ11の表面を乾燥させる。ある例示において、制御装置12は、流体供給装置18から非反応性ガスを供給させ、工程中のウエハ11の表面に吹きつけさせることができる。非反応性ガスはN2、イソプロパノール(IPA)、不活性ガスのうちの少なくとも一種を含む。また、制御装置12は、工程中のウエハ11の回転速度を、例えば600rpmから、1,900rpmのような1,000rpmより大きい数値まで上げることができる。上述の範囲は、例示的な実現形態に過ぎず、本開示の範囲に何らかの制限を加えるものでないことは、理解されるべきである。その他任意の適切な方式でも実現が可能である。
【0029】
理解すべき点として、DIWは、工程中のウエハ11の表面に随時供給することができる。例えば、洗浄工程の開始時、洗浄工程終了時、FW使用前、FW使用後又はその他任意の組合せの後に、DIWを使用することができる。DIWを使用することで、工程中のウエハ11の表面をさらに洗浄し、又は何らかの潜在的なFW衝突(conflict)を回避することができる。
【0030】
図3は、本開示の実施形態による例示的洗浄工程200を示す。洗浄工程200は、平坦化洗浄、スルーホール洗浄及びパターン洗浄に用いることができる。平坦化洗浄は、CMP後洗浄、注入洗浄、エッチング後洗浄、金属化前(pre-metal)洗浄及び金属化後(post-metal)洗浄のうちの少なくとも一種を含む。スルーホール洗浄は、予備洗浄、後洗浄及びエッチング後洗浄のうちの少なくとも一種を含む。パターン洗浄は、予備洗浄、後洗浄及びエッチング後洗浄のうちの少なくとも一種を含む。
【0031】
ブロック202において、制御装置12は、工程中のウエハ11を回転させ、流体供給装置18から工程中のウエハ11の表面に脱イオン水(DIW)を供給させる。例えば、工程中のウエハ11は600rpmの速度で回転させることができ、DIWは1.8 lpmの流速で、工程中のウエハ11の表面に10秒間散布することができる。こうして、工程中のウエハ11を予め漱いでおくことができる。
【0032】
ブロック203において、制御装置12は、流体供給装置18から、回転する工程中のウエハ11の表面に機能水を供給させ、回転する工程中のウエハ11に、流動する機能水膜を生成させる。
【0033】
ブロック204において、制御装置12は工程中のウエハ11の回転速度を下げさせ、流体供給装置18から、工程中のウエハ11の表面に機能水を少なくとも一秒間供給させる。ある例では、機能水は、N2を水中に溶解した、少量の化学品(例えばアンモニア)を含む溶液であってよい。理解すべき点として、洗浄の目的により、他の機能水も使用可能である。機能水は1.8 lpmの流量で提供してよく、回転数は600rpmから100rpmまで下げることができる。
【0034】
ブロック206において、制御装置12は音波装置15を下に移動させることで、流動する機能水により形成された流動する機能水膜中に、共振器17を浸漬させることができる。これは独立して行うことができ、又は、機能水を工程中のウエハ11の表面に供給すると同時に、行うことができる。これにより、共振器17と、工程中のウエハ11の表面との間に隙間を形成することができ、該隙間には、流動する機能水膜が充填される。したがって、音波又は超音波を、流動する機能水膜に付加して、工程中のウエハ11の表面を洗浄することができる。また、制御装置12は、回転装置14の回転速度を下げる。例えば、回転数は100rpmから30rpmまで下げることができる。
【0035】
ブロック208において、WO2010066081A1に記載されているように、機能水を供給し続けるとともに、制御装置12は音波装置15を45Wの電力で30秒間、上下に移動させて、この間に隙間を変化させることができる。また、音波又は超音波の電力は、ウエハを洗浄する間に変更することができる。
【0036】
ブロック210において、機能水を供給し続けるとともに、制御装置12は回転装置14の回転速度を上げ、且つ音波装置15を少なくとも1秒間、上へ移動させる。ある例では、回転数は30rpmから100rpmまで上げることができる。このようにして、共振器17を、流動する機能水膜から分離させることができる。選択的に、回転速度を30rpmから600rpmまで上げて、共振器17を上に移動させずに、流動する機能水膜から共振器17を分離してもよい。ある例示では、音波装置15を上昇させ且つ回転速度を上げることで、流動する機能水膜から共振器17を分離させることができる。
【0037】
ブロック212において、機能水を供給し続けるとともに、制御装置12は、回転装置14の回転速度を少なくとも4秒間さらに上げる。機能水はブロック203~212の間、連続して供給することができることを、理解されたい。共振器17が既に上に移動した状況で、この間に、回転数を100rpmから600rpmまで上げることができる。回転数を600rpmまで上げた場合、この間に、回転数を600rpmより高く、例えば1,000rpmまで上げることができる。
【0038】
ブロック214において、制御装置12は、流体供給装置18から、回転する工程中のウエハ11に、DIWを少なくとも10秒間散布させる。この間に、DIWは1.8 lpmの流量で散布される。ブロック216において、制御装置12は工程中のウエハ11を乾燥させるように回転装置14の回転速度を上げて、流体供給装置18から、回転するウエハ11に5 lpmの流速でN2を散布させる。工程中のウエハ11には少なくとも15秒間、持続して散布する。流速は、3~6 lpmの間で選択可能である。ある例では、回転数は、600rpmから1,900rpmまで上げることができる。このようにして、回転するウエハ11の表面を乾燥させることができる。
【0039】
図4は、本開示の実施形態による例示的洗浄工程300を示す。洗浄工程300は、平坦化洗浄、スルーホール洗浄及びパターン洗浄に用いることができる。平坦化洗浄は、CMP後洗浄、注入洗浄及びエッチング後洗浄のうちの少なくとも一種を含む。スルーホール洗浄は、予備洗浄、後洗浄及びエッチング後洗浄のうちの少なくとも一種を含む。パターン洗浄は、予備洗浄、後洗浄及びエッチング後洗浄のうちの少なくとも一種を含む。
【0040】
ブロック302において、制御装置12は、工程中のウエハ11を回転させ、流体供給装置18から、工程中のウエハ11の表面に脱イオン水(DIW)を供給させる。例えば、工程中のウエハ11は600rpmの速度で回転させることができ、DIWは1.8 lpmの流速で、工程中のウエハ11の表面に10秒間、散布することができる。こうして、工程中のウエハ11を予め漱いでおくことができる。
【0041】
ブロック304において、制御装置12は、流体供給装置18から、回転するウエハ11の表面に、1 lpm~3 lpmの流速で、希釈したフッ化水素酸(DHF)を少なくとも40秒間供給し、回転するウエハ11の表面の酸化物層をエッチングすることができる。ある実施形態において、DHFの流速は1.8 lpmであってよく、DHFの濃度は体積比で1:25~1:1,000の間から選択可能である。また、制御装置12は、より良いエッチング效果を奏するために、回転装置14の回転速度を600rpmから450rpmまで下げることができる。
【0042】
ブロック306において、制御装置12は、流体供給装置18から、工程中のウエハ11の表面に機能水を少なくとも4秒間供給させ、回転する工程中のウエハ11の表面を予め漱ぐ。ある例では、機能水は、H2を水中に溶解した、少量の化学品(例えばアンモニア)を含む溶液であってよい。理解すべき点として、洗浄の目的により、他の機能水も使用可能である。機能水は1.8 lpmの流速で提供してよい。また、制御装置12は、より効果的に予め漱ぐことができるように、回転装置14の回転数を450rpmから600rpmまで上げることができる。
【0043】
ブロック307において、ウエハ11の表面に機能水を引き続き供給し、回転する工程中のウエハ11上に、流動する機能水膜を生成する。
【0044】
ブロック308において、工程中のウエハ11の表面に機能水を引き続き散布する際、制御装置12は、工程中のウエハ11の回転数を少なくとも1秒間下げる。ある例示では、回転速度は、600rpmから、100rpmまで下げることができる。
【0045】
ブロック310において、制御装置12は音波装置15を下に移動させることで、機能水が流動することで形成された流動する機能水膜中に、共振器17を浸漬させることができる。これにより、共振器17と、工程中のウエハ11の表面との間に隙間を形成することができ、該隙間には、流動する機能水膜が充填される。したがって、音波又は超音波を、流動する機能水膜に付加して、工程中のウエハ11の表面を洗浄することができる。また、制御装置12は、回転装置14の回転速度を下げる。例えば、回転数は100rpmから30rpmまで下げることができる。
【0046】
ブロック312において、WO2010066081A1に記載されているように、機能水を供給し続けるとともに、制御装置12は音波装置15を45Wの電力で30秒間、上下に移動させて、この間に隙間を変化させることができる。また、音波又は超音波の電力は、ウエハを洗浄する間に変更することができる。
【0047】
ブロック314において、機能水を供給し続けるとともに、制御装置12は回転装置14の回転速度を上げ、且つ音波装置15を少なくとも1秒間、上へ移動させる。ある例では、回転数は30rpmから100rpmまで上げることができる。このようにして、共振器17を、流動する機能水膜から分離させることができる。選択的に、回転速度を30rpmから600rpmまで上げて、共振器17を上に移動させずに、流動する機能水膜から共振器17を分離してもよい。ある例示では、音波装置15の上昇及び回転速度の引き上げの両方によって、流動する機能水膜から共振器17を分離させることができる。
【0048】
ブロック316において、機能水を供給し続けるとともに、制御装置12は、回転装置14の回転速度を少なくとも4秒間さらに上げる。機能水はブロック306~316の間、連続して供給することができることを、理解されたい。共振器17が既に上に移動した状況で、この間に、回転数を100rpmから600rpmまで上げることができる。回転数を600rpmまで上げた場合、この間に、回転数を600rpmより高く、例えば1,000rpmまで上げることができる。
【0049】
ブロック318において、制御装置12は、流体供給装置18から、回転する工程中のウエハ11に、DIWを少なくとも10秒間散布させる。この間に、DIWは1.8 lpmの流量で散布される。ブロック320において、制御装置12は回転装置14の回転速度を上げるとともに、流体供給装置18から、回転する工程中のウエハ11に、5 lpmの流速でN2を少なくとも15秒間散布させることができる。流速は、3 lpm~6 lpm間で選択可能である。ある例では、回転数は、600rpmから1,900rpmまで上げることができる。このようにして、回転するウエハ11の表面を乾燥させることができる。
【0050】
図5は、本開示の実施形態による例示的洗浄工程400を示す。洗浄工程400は、平坦化洗浄及び接触洗浄に用いることができる。平坦化洗浄は、CMP後洗浄、予備洗浄及びエッチング後除去の少なくとも一種を含む。
【0051】
ブロック402において、制御装置12は、工程中のウエハ11を回転させ、流体供給装置18から、工程中のウエハ11の表面に脱イオン水(DIW)を供給させる。例えば、工程中のウエハ11は600rpmの速度で回転させることができ、DIWは1.8 lpmの流速で、工程中のウエハ11の表面に10秒間、散布することができる。このように、工程中のウエハ11を予め漱いでおくことができる。
【0052】
ブロック404において、制御装置12は、流体供給装置18から、回転するウエハ11の表面に、1 lpm~3 lpmの流速で、希釈したフッ化水素酸(DHF)を少なくとも40秒間供給し、表面の酸化物層をエッチングすることができる。ある実施形態において、例えば、DHFの流速は1.8 lpmであってよく、DHFの濃度は体積比で1:25~1:1000の間から選択可能である。また、制御装置12は、より良いエッチング效果を奏するために、回転装置14の回転速度を600rpmから450rpmまで下げることができる。
【0053】
ブロック406において、制御装置12は、流体供給装置18から、回転する工程中のウエハ11の表面に、1 lpm~3 lpmの流速でオゾン化脱イオン水(DIO3)を少なくとも20秒間供給し、ウエハ11の表面に後処理の漱ぎを行うことができる。ある実施形態において、DIO3の流速は1.8 lpmであってよく、DIO3の濃度は20~50ppmの間から選択可能である。また、制御装置12は、より効果的に後処理の漱ぎを行うことができるように、回転装置14の回転数を450rpmから600rpmまで上げることができる。
【0054】
ブロック408において、制御装置12は、流体供給装置18から、工程中のウエハ11の表面に機能水を少なくとも4秒間供給させ、回転する工程中のウエハ11の表面を予め漱ぐ。ある例では、機能水は、H2を水中に溶解した、少量の化学品(例えばアンモニア)を含む溶液であってよい。理解すべき点として、洗浄の目的により、他の機能水も使用可能である。機能水は1.8 lpmの流量で提供してよい。
【0055】
ブロック409において、ウエハ11の表面に機能水を引き続き供給し、回転する工程中のウエハ11に、流動する機能水膜を生成する。
【0056】
ブロック410において、制御装置12は、工程中のウエハ11の表面に機能水を引き続き散布するとともに、工程中のウエハ11の回転数を少なくとも1秒間下げる。ある例示では、回転速度は、600rpmから、100rpmまで下げることができる。
【0057】
ブロック412において、制御装置12は音波装置15を下に移動させることで、機能水を流動させることにより形成された流動する機能水膜中に、共振器17を浸漬させることができる。これにより、共振器17と、工程中のウエハ11の表面との間に隙間を形成することができ、該隙間には、流動する機能水膜が充填される。したがって、音波又は超音波を、流動する機能水膜に付加して、工程中のウエハ11の表面を洗浄することができる。また、制御装置12は、回転装置14の回転速度を下げる。例えば、回転数は100rpmから30rpmまで下げることができる。
【0058】
ブロック414において、WO2010066081A1に記載されているように、機能水を供給し続けるとともに、制御装置12は音波装置15を45Wの電力で30秒間、上下に移動させて、この間に隙間を変化させることができる。また、音波又は超音波の電力は、効率的にウエハを洗浄するために、この間に変更することができる。
【0059】
ブロック416において、機能水を供給し続けるとともに、制御装置12は回転装置14の回転速度を上げ、且つ音波装置15を少なくとも1秒間、上へ移動させる。ある例では、回転数は30rpmから100rpmまで上げることができる。このようにして、共振器17を、流動する機能水膜から分離させることができる。選択的に、回転速度を30rpmから600rpmまで上げて、共振器17を上に移動させずに、流動する機能水膜から共振器17を分離してもよい。ある例示では、音波装置15の上昇及び回転速度の引き上げの両方によって、流動する機能水膜から共振器17を分離させることができる。
【0060】
ブロック418において、機能水を供給し続けるとともに、制御装置12は、回転装置14の回転速度を少なくとも4秒間さらに上げる。機能水はブロック408~418の間、連続して供給することができることを、理解されたい。共振器17が既に上に移動した状況で、この間に、回転数を100rpmから600rpmまで上げることができる。回転数を600rpmまで上げた場合、この間に、回転数を600rpmより高く、例えば1,000rpmまで上げることができる。
【0061】
ブロック420において、制御装置12は、流体供給装置18から、回転する工程中のウエハ11にDIWを少なくとも10秒間散布させる。この間に、DIWは1.8 lpmの流速で提供してよい。
【0062】
ブロック422において、制御装置12は回転装置14の回転速度を上げるとともに、流体供給装置18から、回転する工程中のウエハ11に5 lpmの流速でN2を少なくとも15秒間散布させることができる。流速は、3 lpm~6 lpmの間で選択可能である。ある例では、回転数は、600rpmから1,900rpmまで上げることができる。このようにして、回転するウエハ11の表面を乾燥させることができる。
【0063】
上述のプロセスは、例示的な実施方式に過ぎず、本開示の範囲に何らかの制限を加えるものでなく、また、上述のプロセスは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体上の指令として実施することが可能である。この点について、理解されるべきである。ある実現形態において、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体は、制御装置12内のメモリであってよい。指令が実行されると、制御装置12は、装置10に上述の洗浄処理を実行させる。他の実現形態において、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体は、制御装置12以外の装置に配置することができ、制御装置12は、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体の指令にアクセスして、装置10に上述のプロセスを実行させることができる。
【0064】
以下の文中において、本開示のいくつかの例示的な実現形態を列挙する。
いくつかの実施形態において、工程中のウエハを洗浄するための方法が提供される。該方法は、工程中のウエハを回転させることと、機能水を回転する工程中のウエハの表面に供給し、回転する工程中のウエハに、流動する機能水膜を生成することと、音波装置により、工程中のウエハの表面を第1時間の間洗浄することと、音波装置の上昇及び/又は回転する工程中のウエハの回転速度の引き上げにより、流動する機能水膜から音波装置を分離させることと、音波装置を機能水膜から分離させた後、回転する工程中のウエハの表面に機能水を第2時間の間供給することと、工程中のウエハの表面を乾燥させることと、を含む。
【0065】
いくつかの実施形態において、回転する工程中のウエハの回転速度の引き上げは、回転する工程中のウエハの回転速度を、50rpm未満から、300rpmを超える値まで上げることを含む。
【0066】
いくつかの実施形態において、機能水は、FWN2、FWH2、FWO2、DIO3、FOM、SC1、DSP及びTMAHのうちの少なくとも一種を含む。
【0067】
いくつかの実施形態において、第1時間は20秒より長く、第2時間は2秒より長い。
いくつかの実施形態において、第1時間は30秒より長く、第2時間は4秒より長い。
【0068】
いくつかの実施形態において、工程中のウエハの表面を乾燥させることは、工程中のウエハの表面に非反応性ガスを吹くとともに、第2速度で工程中のウエハを回転させることを含む。
【0069】
いくつかの実施形態において、非反応性ガスは、N2、イソプロパノール(IPA)及び不活性ガスのうちの少なくとも一種を含み、第2速度は1,000rpmより大きい。
【0070】
いくつかの実施形態において、音波装置は、10W~100Wの電力で操作するように配置されており、音波装置は、共振器と、回転する工程中のウエハの表面との間に、隙間を形成する共振器を含む。
【0071】
ある実施形態において、音波装置は、20W~50Wの電力で操作するように配置されており、隙間は可変である。
【0072】
いくつかの実施形態において、機能水は第1時間及び第2時間の間、1 lpm~3 lpmの流速で供給される。
【0073】
いくつかの実施形態において、機能水は第1時間及び第2時間の間、1.2 lpm~2 lpmの流速で供給される。
【0074】
いくつかの実施形態において、回転する工程中のウエハは、第1時間の間10rpm~50rpmの第1速度で回転し、回転する工程中のウエハは、第2時間の間300rpm~1,000rpmの第3速度で回転する。
【0075】
いくつかの実施形態において、回転する工程中のウエハは、第1時間の間25rpm~35rpmの第1速度で回転し、回転する工程中のウエハは、第2時間の間500rpm~700rpmの第3速度で回転する。
【0076】
いくつかの実施形態において、前記方法はさらに、回転する工程中のウエハの表面に機能水を供給する前に、回転する工程中のウエハの表面に脱イオン水を第3時間の間供給することと、回転する工程中のウエハの表面に脱イオン水を第2時間の後の第4時間の間供給することとを含む。
【0077】
いくつかの実施形態において、第3時間は4秒より長く、第4時間は10秒より長い。
いくつかの実施形態において、前記方法はさらに、空气を0.2m/s~0.8m/sの速度で供給することと、チャンバ排气圧力(EXH)が70パスカル~200パスカルに設定されるように空気を排出することとを含む。
【0078】
いくつかの実施形態において、前記方法はさらに、回転する工程中のウエハ表面に脱イオン水を第3時間の間供給することと、機能水を供給する前に、回転する工程中のウエハの表面に希フッ化水素酸(DHF)を第5時間の間供給して、回転する工程中のウエハの表面で酸化物をエッチングすることと、音波装置を使用する前に、回転するウエハの表面に、機能水を別の第3時間の間供給することとを含む。
【0079】
いくつかの実施形態において、前記方法はさらに、回転する工程中のウエハ表面に、脱イオン水を第3時間の間供給することと、機能水を供給する前に、回転する工程中のウエハの表面に、希フッ化水素酸(DHF)を第5時間の間供給して、回転する工程中のウエハの表面で酸化物をエッチングすることと、回転する工程中のウエハの表面に、DIO3を第6時間の間供給して、回転する工程中のウエハの表面を漱ぐことと、音波装置を使用する前に、回転するウエハの表面に、機能水を別の第3時間の間供給することとを含む。
【0080】
いくつかの実施形態では、洗浄装置が提供される。洗浄装置は、工程中のウエハを保持するチャック盤と、チャック盤を回転させるために操作可能な回転装置と、工程中のウエハの表面を洗浄するために操作可能な音波装置と、脱イオン水、機能水のうちの少なくとも一種を前記工程中のウエハの前記表面に供給するために操作可能な少なくとも1つの流体供給装置と、チャック盤、回転装置、音波装置及び流体供給装置のうちの少なくとも1つを制御して、方法を実行するために操作可能な制御装置と、を含む。該方法は、工程中のウエハを回転させることと、機能水を回転する工程中のウエハの表面に供給し、回転する工程中のウエハに、流動する機能水膜を生成することと、音波装置により、工程中のウエハの表面を第1時間の間洗浄することと、音波装置の上昇及び/又は回転する工程中のウエハの回転速度の引き上げにより、流動する機能水膜から音波装置を分離させることと、音波装置を機能水膜から分離させた後、回転する工程中のウエハの表面に機能水を第2時間の間供給することと、工程中のウエハの表面を乾燥させることと、を含む。
【0081】
いくつかの実施形態において、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体が提供される。該コンピュータが読み取り可能な記憶媒体は、洗浄装置に方法を実行させるための指令を含む。該方法は、工程中のウエハを回転させることと、機能水を回転する工程中のウエハの表面に供給し、回転する工程中のウエハに、流動する機能水膜を生成することと、音波装置により、工程中のウエハの表面を第1時間の間洗浄することと、音波装置の上昇及び/又は回転する工程中のウエハの回転速度の引き上げにより、流動する機能水膜から音波装置を分離させることと、音波装置を機能水膜から分離させた後、回転する工程中のウエハの表面に機能水を第2時間の間供給することと、工程中のウエハの表面を乾燥させることと、を含む。
【0082】
以上、本明細書に記載された主題の各実施形態について説明した。以上の説明は解説のためのものであり、本明細書の主題の範囲に何らかの制限を加えるものではない。前述した各種実施形態の範囲及び精神から逸脱しない状況において、当業者が複数の修正及び変更を行うことができることは明らかである。ここで使用された用語は、各実施形態の原理、実際の応用又は市場での技術改良について最良の説明を行うこと、又は当業者に本開示の実施形態を理解させることを意図して、選択したものである。